JP2019142226A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像と定着部材との安定的な剥離性を画像に光沢を付与する定着工程において、得ることが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】記録媒体31にインクジェット法により形成した画像32を加熱及び加圧による定着工程により記録媒体31に定着する画像形成方法において、定着前の画像に、画像の表面状態を改質するための表面処理用の粒子と、定着温度において被膜化する樹脂を予め付与する。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録装置は、低ランニングコスト、装置の小型化が可能、複数色のインクを用いたカラー画像記録への対応が容易という観点からコンピュータ関連の出力機器等に幅広く利用されてきた。
近年、インクジェット記録装置を用いた画像形成におけるインクとしては、顔料を色材とした顔料インクが主流となってきている。また、写真画質の画像を出力するという観点からも、顔料インクを用いたインクジェット記録装置による高光沢の出力画像が求められている。
特許文献1では、記録媒体上の画像を形成するインクに含まれる溶媒の量を、溶媒の除去あるいは定着補助液の付与により調節した後に、画像を熱定着手段で記録媒体に定着することにより、画像の光沢性を制御する画像形成方法が提案されている。特許文献1における定着補助液は、画像を形成するインク中の色材粒子を易溶融化あるいは軟化し、熱定着時の溶融性を向上させて、画像の熱定着を促進できる液体であり、この定着補助液の成分として各種の有機溶剤やシリコーンオイル等の液体が例示されている。
特開2005−271290号公報
しかしながら、特許文献1のように、高い光沢性を得るために画像部に定着補助液といった溶媒を付与すると、定着部材と画像表面の接着力が高くなり、定着部材と画像とが剥離し難くなる場合がある。このような場合には、記録媒体が定着部材から剥離できない剥離不良や、記録媒体から画像が剥がれるといった画像剥がれ等の不具合が生じる場合がある。
本発明の目的は、画像に光沢を付与する定着工程において、画像と定着部材との安定的な剥離性を得ることが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明にかかるインクジェット記録方法は、記録媒体に、色材としての顔料を含むインクを付与して画像を形成する画像形成工程と、前記記録媒体に形成された画像に、前記画像の表面を改質する表面処理剤を付与する表面処理剤付与工程と、前記表面処理剤が付与された画像を定着温度に加熱し、かつ、定着部材を接触させて加圧し、その後、前記定着部材を前記画像から剥離して、前記記録媒体に定着する定着工程と、を有するインクジェット記録方法であって、前記インク及び前記表面処理剤の少なくとも一方が、前記定着温度において溶融または軟化する樹脂を含有し、前記表面処理剤が、前記定着温度において溶融しない少なくとも2種の異なる粒径の粒子を含み、前記粒子が、第一の粒子と前記第一の粒子よりも大きい粒径の第二の粒子とを含み、かつ、前記第二の粒子の粒径が50nmを超え、110nm未満の範囲内にあることを特徴とする。
本発明によれば、画像に光沢を付与する定着工程において画像と定着部材との安定的な剥離性を得ることが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態において記録媒体に形成された表面処理剤層の加熱加圧前後の断面の状態を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態において記録媒体上に形成された表面処理液層の加熱加圧前後の断面と表面の状態を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態において記録媒体上に形成された表面処理液層の定着工程後の表面と断面の状態を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置の定着装置の構成を示す模式図である。
本発明者は先述した背景技術を深く鑑み、鋭意検討の結果、以下に示す工程を有するインクジェット記録方法が、先に記載した課題を達成する上で効果的であることを見出し、本発明を成すに至った。
本発明にかかるインクジェット記録方法は以下の工程を有する。
(1)記録媒体に、色材としての顔料を含むインクを付与して画像を形成する画像形成工程。
(2)記録媒体に形成された画像に、画像の表面を改質する表面処理剤を付与する表面処理剤付与工程。
(3)表面処理剤が付与された画像を定着温度に加熱し、かつ、定着部材を接触させて加圧し、その後、前記定着部材を前記画像から剥離して、前記記録媒体に定着する定着工程。
上記の工程に用いるインク及び表面処理剤の少なくとも一方は、定着温度において溶融または軟化する被膜化用の樹脂を含有する。
また、表面処理剤は、画像の表面を改質するための表面処理用の粒子を含む。表面処理用の粒子は、定着温度までの加熱において溶融せずに固体状態を維持し、その形状及び大きさが変化せず、少なくとも画像表面に固着して画像表面を改質する粒子である。この表面処理用の粒子は異なる粒径の粒子からなり、第一の粒子と第一の粒子よりも大きい粒径の第二の粒子の組合せの少なくとも1つを含む。第二の粒径は50nmを超え、110nm未満の範囲内にある。表面処理用の粒子と被膜化用の樹脂とを組合せて用いることで画像の表面状態を向上させることができ、画像に光沢を付与しつつ、画像からの定着部材の良好な剥離状態を得ることができる。
画像形成工程は、インクを記録媒体に付与するインク付与工程に加えて、インクを高粘度化させる成分を含む反応液を付与する反応液付与工程を有してもよい。また、画像形成工程は、インクを直接、記録媒体に付与することによって、記録媒体に画像を形成する工程であっても、インク、または、反応液とインクを、転写体に付与して転写体に画像を形成し、その画像を転写体から記録媒体に転写することによって、記録媒体に画像を形成する工程であってもよい。転写体上に形成された画像を記録媒体に転写する工程を転写工程とも称する。すなわち、画像形成工程は、転写工程を含んでいてもよい。
上述したとおり、本発明のインクジェット記録方法は、先に挙げた課題を解決して光沢画像を記録媒体に得るために、定着工程前に画像の表面状態を改質させる表面処理剤付与工程を行う。
表面処理剤付与工程では、記録媒体へのインク付与後に、表面処理剤がインクにより形成されたインク層を有する画像上に付与される。定着工程後に高い平滑性をもつインク層を形成させ、かつ、定着工程ではインク層が定着部材からきれいに剥離される必要がある。そのため、インク及び表面処理剤の少なくとも一方に被膜化用の樹脂が添加され、かつ、表面処理剤に定着後のインク層の表面に剥離のトリガーとなる微小な凹凸形状を形成する表面処理用の粒子が添加される。
また、表面処理剤は、無色であるか、あるいは記録媒体に形成された画像に影響をあたえない色を有し、かつ透明であることが好ましい。
表面処理用の粒子は、粒径の異なる2種以上の粒子を含み、かつ、粒径が大小2種類の粒子の組合せを1つ以上含む。例えば、表面処理用の粒子には粒径について大小2種の粒子の組合せの1つが含まれていてもよいし、粒径について大中小3種類の粒径の粒子、すなわち大小2種の粒子の組合せが2つ含まれていてもよい。
表面処理用の粒子と被膜化用の樹脂の記録媒体への付与方法としては、以下の各形態を挙げることができる。
(A)インクに被膜化用の樹脂を含有させ、表面処理用の粒子を表面処理剤に含有させて記録媒体に付与する方法。
(B)被膜化用の樹脂と表面処理用の粒子の両方を表面処理剤に含有させて記録媒体に付与する方法。
(C)インクに被膜化用の樹脂を含有させ、かつ、被膜化用の樹脂と表面処理用の粒子の両方を表面処理剤に含有させて記録媒体に付与する方法。
(D)被膜化用の樹脂を含む表面処理剤と表面処理用の粒子を含む表面処理剤の2種の表面処理剤からなる2剤型の表面処理剤を用意し、これらをこの順に記録媒体に付与する。
但し、表面処理用の粒子と被膜化用の樹脂のより好ましい混合状態を得る上では、被膜化用の樹脂を表面処理剤に含有させるのが好ましい。
画像形成工程では、記録媒体に色材を有するインクを用いてインクジェット法により画像が形成される。その後、表面処理剤が少なくとも記録媒体上のインク層上に付与され、液状またはゲル状のインク層を有する画像が形成される。
ここで、先に形態(B)として挙げた表面処理剤の被膜化用の樹脂としてエマルション樹脂粒子を用いた場合のインク層の表面処理について説明する。記録媒体上の画像に、表面処理剤を付与し、エマルション樹脂粒子の最低造膜温度(MFT:Minimum Film Forming Temperature)よりも高い温度に加熱することで、画像に付与された表面処理剤層では表面処理用の粒子間の隙間にエマルション樹脂が流動化して溶け込む。この結果、エマルション樹脂が粒子間を結合する状態で表面処理剤層は被膜化され、定着部材による加圧及び定着部材の剥離後の冷却により画像に強固な定着状態を得ることができる。
本発明にかかる効果を得ることができるメカニズムについて、表面処理用の粒子として粒径の大きな粒子(大径粒子)と粒径の小さな粒子(小径粒子)の2種類を用いる単純化された形態を用いて以下に説明する。
図2に、定着工程前後における画像上に形成された表面処理剤層の状態の変化を記録媒体の厚さ方向の模式的断面図として示す。図2(a)は定着前の表面処理剤層の断面を示し、図2(b)は定着後の表面処理剤層の断面を示す。図2(c)は図2(b)に示した断面の状態の拡大図である。なお、図2における定着工程は、画像に定着部材を接触させて加圧する際に、同時に画像を加熱する加熱加圧定着工程である。
定着部材5での加熱及び加圧前における表面処理剤層では、粒径の大きな粒子(大径粒子)1、粒径の小さな粒子(小径粒子)2、エマルション樹脂粒子3が混在した状態にある(図2(a)参照)。エマルション樹脂粒子3がそのMFTより高い定着温度に加熱され、定着部材5により加圧されると、各粒子間でエマルション樹脂粒子3が被膜4を形成して各粒子が固定される。この被膜形成とともに、定着部材5の加圧面に対応した平面が表面処理剤層の表面に形成される(図2(b)及び(c)参照)。大径粒子1の間に小径粒子2が配置されることで、定着部材5の画像上の表面処理剤層からの良好な剥離と、定着部材5が剥離された後の画像上の表面処理剤層の表面に目的とする光沢を得るための平滑性を得ることができる。
一方、先に挙げた形態(D)の2剤型の表面処理剤では、表面処理剤層を、画像上に付与する粒子の量をより少なくした薄層の粒子層と、その粒子層の裏側から各粒子を結合させて被膜化させる樹脂層に分割できるため好ましい。
図3に、かかる定着工程における画像上に形成された表面処理剤層の状態の変化を記録媒体の厚さ方向の模式的断面図として示す。図3(a)は定着工程における加圧処理前の表面処理剤層の断面の状態を示し、図3(b)は定着工程における加圧処理後の表面処理剤層の断面の状態を示し、図3(c)は定着工程における加圧処理後の表面処理剤層の表面の状態を示す。なお、図3における定着工程も、図2と同様に、画像に定着部材を接触させて加圧する際に、同時に画像を加熱する加熱加圧定着工程である。
定着部材5での加圧前における表面処理剤層は、大径粒子1と小径粒子2が混在した表層と、エマルション樹脂粒子3を含む下部層からなる(図3(a)参照)。エマルション樹脂粒子3がそのMFTより高い定着温度に加熱されるとともに、定着部材5により加圧されると、下部層にエマルション樹脂粒子3により被膜4が形成される。この被膜形成とともに、被膜化された下部層の表面に大径粒子1及び小径粒子2を含む薄層の粒子層が固着される(図3(b)及び(c)参照)。表面に形成された粒子層では、大径粒子1の間に小径粒子2が配置されることで、定着部材5の、画像上の表面処理剤層からの良好な剥離と、定着部材5が剥離された後の画像上の、表面処理剤層の表面に目的とする光沢を得るための平滑性を得ることができる。
図2及び図3に示す形態では、粒径を2種類にして、大径粒子1を基本骨格として、小径粒子2と樹脂3をその隙間に入り込むようにしており、粒子の配列としての空隙率を小さくできる。その結果、より密な膜が形成できるため、大径粒子1のみを用いた場合に比べて画像表面における平滑性がより良好となり、画像光沢性が向上する。
以下、反応液、表面処理剤、インク等の組成及びこれらの付与方法、並びに画像形成に関わる各プロセスについての実施形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
<反応液>
記録媒体上に付与したインクを高粘度化させ、画像の安定化を向上させるために、インクの高粘度化成分を含む反応液を、記録媒体上での定着前の画像形成に用いることができる。反応液は、インク付与前、あるいはインク付与後に記録媒体に付与することができる。好ましくは、インク付与前に記録媒体の表面に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
記録媒体上でインクと反応液を接触させて画像となるインク層を形成すると、その上に形成する表面処理剤層とインク層との層分離が起き易くなる。その結果、定着工程における画像の定着部材との界面は、インクの色材がない、あるいは色材が少なく、表面処理剤から供給される成分が多い面を有するものとなり好ましい。
インクと反応液を用いて形成した画像を乾燥処理すると、液体状またはゲル状の画像から液体成分の少なくとも一部が除去され、インク凝集層が形成される。
反応液は、インク高粘度化成分を含有する。このインクの高粘度化には、インク中の色材や樹脂等がインク高粘度化成分との接触により化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度上昇が認められる場合のみならず、色材などの成分の一部が凝集する事により局所的に粘度上昇を生じる場合も含まれる。インク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子など、目的とするインク高粘度化による凝集効果が得られるものを選択して用いることができる。中でも特に多価の金属イオンおよび有機酸が好適である。また複数の種類のインク高粘度化成分を反応液に含有させることも好適である。
なお、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
インク高粘度化成分として使用できる金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+およびAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。インク高粘度化成分として使用できる有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は適量の水や有機溶剤を含有していてもよい。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。
反応液は、界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。界面活性剤や粘度調整剤としてはインク高粘度化成分と共存できるものであり、目的とする表面張力や粘度の調整が可能なものであれよい。界面活性剤としてはアセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
<反応液付与>
記録媒体表面へ反応液を付与する方法としては、公知の各種方法を適宜用いることができる。例としては、ダイコーティング、ブレードコーティング、グラビアローラーを用いる方法、オフセットローラーを用いる方法、スプレーコーティング等が挙げられる。また、インクジェット記録ヘッド等の液体吐出ヘッドを用いてインクジェット法により付与する方法も好適である。さらにいくつかの方法を複数組み合わせることもできる。
<画像形成>
本実施形態にかかる画像形成工程は、反応液付与工程とインク付与工程を有する。
インク付与工程では、記録媒体に、インクジェット記録ヘッドを用いてインクが付与され、インク層による画像が形成される。
インクジェット記録ヘッドにおけるインク吐出方式としては、例えば以下の各方式がある。
・電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する方式。
・電気−機械変換体によってインクを吐出する方式。
・静電気を利用してインクを吐出する方式。
画像の形成に用いるインクジェット記録ヘッドの構成は、インクによる画像の形成が可能であれば、特に限定されない。中でも特に高速で高密度の画像形成を行うという観点からは電気−熱変換体を利用したインク吐出方式を採用したインクジェット記録ヘッドが好適に用いられる。
以上、記録媒体に反応液及びインクを付与する画像形成について説明したが、先に述べたように画像形成に転写体を用いることもできる。転写体を用いる画像形成工程は、転写体に反応液を付与する工程と、転写体にインクを付与する工程を有する。これらの工程は、記録媒体を用いる場合と同様にして行なうことができる。
インクジェット記録ヘッドの作動形態についても特に制限はない。記録媒体の進行方向と垂直にヘッドを走査しながら画像の形成を行ういわゆるシャトル形態のインクジェット記録ヘッドを用いることができる。あるいは、記録媒体の進行方向に対し略垂直(転写体がドラム形状の場合はドラム形状の転写体の軸方向に略平行)にインク吐出口をライン状に配列してなるいわゆるラインヘッド形態のインクジェット記録ヘッドを用いることもできる。
加えて、記録方式においても制限はなく、シャトル形態のインクジェット記録ヘッドの場合、例えば以下の記録方式のいずれかを用いることができる。
・同一の記録位置に対して複数回走査が行われることによって記録されるマルチパス記録方式。
・同一の記録位置に対して一回のみ走査が行われることによって記録されるワンパス記録方式。
更には、画像を複数のマスクパターンに分割し、記録する方法を用いることもできる。
<インク>
インク調製用の各成分について以下に説明する。
[色材]
インクは、少なくとも、色材と液媒体を用いて調製することができる。
色材としては、インクの色材として利用できる染料、並びにカーボンブラック、無機顔料及び有機顔料等の顔料の少なくとも1種を用いることができる。色材は、液媒体に溶解および/または分散させた状態でインク中に含有させることができる。中でも各種顔料は印刷物の耐久性や品位に特徴があり、色材として少なくとも顔料を用いることが好ましい。
[顔料]
色材としての顔料は特に限定されず、公知の無機顔料、有機顔料等を用いることができる。具体的には、C.I.(カラーインデックス)ナンバーで表示される顔料を用いることができる。また、黒色顔料としては、カーボンブラックを用いることも好ましい。顔料としては、自己分散型顔料、分散剤により分散する分散剤分散型顔料等を挙げることができ、これらの1種を、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
インク中の色材の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
[顔料分散剤]
分散剤分散型の顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インク中に顔料を分散させる機能を有するものであればいずれも使用することができる。インクが水性の場合は、水性インクにおいて顔料等の分散に用いられているものであればよく、例えば、公知のインクジェット用の水性インクにおける顔料分散用の分散剤の1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
水性インク用の分散剤としては、中でも、分子構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては、目的とする分散剤を得ることができるものであれば特に制限はなく、例えば公知のモノマーを選択して用いることができる。具体的には、疎水性モノマーとしてはスチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。
また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。
なお、顔料と分散剤との比(質量基準)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
自己分散型顔料としては、顔料自体を表面改質してインクの水性液媒体中に分散可能とした顔料を挙げることができる。
[樹脂成分]
インクには、後述する表面処理剤の成分としての被膜化用の樹脂を含有させてもよい。インクにこの樹脂を添加することで、インク凝集層を加熱によって被膜化することができる。
インク中における被膜化用の樹脂の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、2質量%以上40質量%以下がより好ましい。
さらに、インクの調製に際して、被膜化用として樹脂粒子を用いる場合には、樹脂粒子が液中に分散した樹脂粒子分散体を用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂からなる粒子を分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させた、いわゆる乳化分散型樹脂粒子分散体も、同様に好適に用いることができる。乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず、目的とする分散効果が得られるものであればよく、例えば、公知の界面活性剤が好適に用いられる。界面活性剤はノニオン性か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ物が好ましい。
樹脂粒子としては、10nm以上1000nm以下の分散粒径をもつ微粒子が好ましい。更に好ましい分散粒径は100nm以上500nm以下である。
樹脂粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、オリーブ油、青色染料(ブルーイング剤:Blue70)、ポリメチルメタクリレート等を挙げることができ、これらの1種を、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応液のインク高粘度化成分との反応により凝集する成分として被膜化用の樹脂粒子をインクに添加する場合は、反応液のインク高粘度化成分と反応して凝集する樹脂粒子を用いることが好ましい。例えば、反応液のインク高粘度化成分がカチオン性である場合には、アニオン性の樹脂粒子を用いることが好ましい。
樹脂粒子の最低造膜温度は、インク凝集層の加熱による被膜化における熱エネルギー効率を考慮すると、180℃以下であることが好ましい。
[界面活性剤]
インクは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレノールEH(商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
[水及び水溶性有機溶剤]
インクは液媒体を含有する。液媒体としては、水、あるいは水と水溶性有機溶媒との混合溶媒等の水性液媒体を用いることができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶媒の種類は特に限定されず、インクジェット用水性インクで用いられている公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ピロリドン等が挙げられる。また、インク中の水溶性有機溶媒の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
[その他添加剤]
インクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂およびその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよく、これらの1種を、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
<表面処理剤>
表面処理剤の調製用の各成分について以下に説明する。
表面処理剤の形態としては、以下の形態を挙げることができる。
(a)表面処理用の成分が表面処理用の粒子のみからなり、インクに配合した被膜化用の樹脂と組み合わせて用いる表面処理剤。
(b)表面処理用の成分が表面処理用の粒子及び被膜化用の樹脂からなる表面処理剤。
(c)表面処理用の成分が表面処理用の粒子のみからなる第一の表面処理剤と、表面処理用の成分が被膜化用の樹脂のみからなる第二の表面処理剤の2剤型の表面処理剤。
なお、上記(b)の形態の表面処理剤は、被膜化用の樹脂を配合したインクと組み合わせて用いてもよい。
[被膜化用の樹脂]
被膜化用の樹脂と表面処理用の粒子を組み合わせて画像に付与することで、定着工程による画像への光沢の付与と、定着工程での画像と定着部材との良好な剥離が可能となる。また、被膜化用の樹脂を画像に付与することで、記録媒体上の画像の機械強度を高めることも可能である。また、樹脂の種類によっては画像の耐水性の向上も見込める。表面処理剤を介して画像に付与する被膜化用の樹脂は、上記の目的とする機能を有するものであればよい。また、表面処理剤に、表面処理用の粒子とともに被膜化用の樹脂を添加する場合は、被膜化用の樹脂は、表面処理用の粒子と共存でき、上記の目的とする機能を有する樹脂であればよい。
このような目的で用いる被膜化用の樹脂は、溶解状態で、あるいはエマルション状態やサスペンション状態で表面処理剤に含有させることができる。
なお、先に述べたように、被膜化用の樹脂をインクに、インク凝集層の被膜化用として含有させてもよい。この場合における被膜化用の樹脂は、溶解状態で、あるいはエマルション状態やサスペンション状態でインクに含有させることができる。
被膜化用の樹脂は、画像を形成するインク層の発色には関与しないものであり、定着温度までの加熱処理において軟化または溶融することによる被膜化に必要な成分である。被膜化形成用の樹脂としては、非イオン性の樹脂や、極性または電荷を有する樹脂を用いることが可能である。
また、画像を形成するインク層に含まれる反応液のインク高粘度化成分との反応により凝集する成分として被膜化用の樹脂を用いることもできる。この場合、反応液のインク高粘度化成分と異なる極性の被膜化用の樹脂を用いることが好ましい。例えば、反応液のインク高粘度化成分がカチオン性である場合には、アニオン性の被膜化用の樹脂を用いることが好ましい。
表面処理用の粒子との組合せにおいて、より良好な被膜形成を行うには、被膜化用の樹脂は、樹脂粒子の形態で表面処理剤の調製に用いることが好ましい。
樹脂粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、あるいはこれらの重合物形成用のモノマーを複数組み合わせた共重合物が挙げられる。樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。また、表面処理剤における樹脂粒子の量は、表面処理剤全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、2質量%以上40質量%以下がより好ましい。
表面処理剤の調製に際して、樹脂粒子は、樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂からなる粒子を分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず、目的とする分散効果が得られるものであればよく、例えば、公知の界面活性剤が好適に用いられる。界面活性剤はノニオン性か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ物が好ましい。
樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、オリーブ油、青色染料(ブルーイング剤;Blue70)、ポリメチルメタクリレート等を挙げることができ、これらの1種を、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂粒子としては、10nm以上1000nm以下の分散粒径をもつ微粒子が好ましい。更に好ましい分散粒径は50nm以上300nm以下である。
反応液のインク高粘度化成分との反応により凝集する成分として被膜化用の樹脂粒子を反応液に添加する場合は、反応液のインク高粘度化成分と反応して凝集する樹脂粒子を用いることが好ましい。例えば、反応液のインク高粘度化成分がカチオン性である場合には、アニオン性の樹脂粒子を用いることが好ましい。
樹脂粒子は、エマルション樹脂粒子の形態で表面処理剤の調製に用いることがより好ましい。エマルション樹脂粒子を用いる場合には、定着温度において造膜する、すなわち、最低造膜温度が定着温度以下であり、定着工程後に画像の使用温度に冷却された際に、形成された被膜が固化して安定となるエマルション樹脂粒子が好ましい。
エマルション樹脂粒子と、表面処理用の第一の粒子と第一の粒子よりも大きい粒径の第二の粒子との粒径に関する関係は以下のとおりである。
第二の粒子の粒径がエマルション樹脂粒子の粒径よりも大きく、あるいは第一の粒子の粒径がエマルション樹脂粒子の粒径よりも小さいことが好ましい。
更に、エマルション樹脂粒子より大きい粒径の第二の粒子と、エマルション樹脂粒子より小さい粒径の第一の粒子を組み合わせて用いることが好ましい。
このような第一の粒子と第二の粒子の組合せを用いることで、第二の粒子の間のエマルション樹脂粒子の表面に第一の粒子が付着して、造膜後の被膜の表面が露出しにくくなる。その結果、表面処理剤層の定着部材との付着力を低下させ定着部材から表面処理層を剥がれやすくする効果もあると考えられる。これは定着条件にもよるが、表面処理剤中に第二の粒子を添加せずに、例えば粒径10nmの小粒径シリカと粒径60nmのエマルション樹脂粒子を用いた場合に、複数の小粒径シリカが融着した、いわゆるダマの状態となり、表面処理層の表面が平滑にならない場合がある。これに対して、第一の粒子と第二の粒子を混合させることにより、ダマの形成を抑制して表面処理剤層の平滑性と定着部材との剥離性をより向上させる働きがあると思われる。
エマルション樹脂粒子の最低造膜温度は、加熱による被膜化における熱エネルギー効率を考慮すると、180℃以下であることが好ましい。
[表面処理用の粒子]
表面処理剤に含まれる表面処理用の粒子には、粒径の異なる2種以上の粒子が含まれる、すなわち、第一の粒子と第一の粒子より粒径の大きな第二の粒子の組合せをすくなくとも1つ含む。例えば、表面処理用の粒子は、第一の粒子と第一の粒子より粒径の大きな第二の粒子の組合せを含んでもよいし、あるいは、第一の粒子と第一の粒子より粒径の大きな第二の粒子の組合せと第三の粒子と第三の粒子よりも粒径の大きな第四の粒子の組合せを含んでもよい。
表面処理用の粒子は、定着温度までの加熱処理において溶融せずに固体状態を維持し、その形状及び大きさが変化せず、少なくとも画像表面に固着して画像表面を改質する粒子である。この粒子が、溶融しないことにより定着部材との接着力が増加せず、ある程度の曲率を維持することで、定着部材が剥離のし易い状態を維持することが可能となる。
粒子の粒径が大き過ぎると、粒子によって画像表面の平滑性が損なわれ、画像表面が粗てくる。そのため、画像表面による光の散乱によって画像の光沢が低下する場合がある。従って、粒子は光学的に光の波長より小さい粒子であることが好ましい。ところが、粒子が小さ過ぎると、粒子同士の凝集力が強くなり凝集塊が発生し易くなるため、粒子を均一に画像表面に付与させることが難くなる。結果的に、画像表面の平滑性が悪くなってしまう。また、粒子が小さ過ぎると、粒子同士の凝集力を小さくできたとしても被膜化用の樹脂により形成される樹脂層に埋まり易くなってしまい、定着部材との接触が出来なくなる粒子が発生し易くなる。その場合、定着工程における画像からの定着部材の剥離性が低下する。従って、第二の粒子の粒径は50nmを超え、110nm未満の範囲内から選択される。
第一の粒子の粒径としては、多数の第二の粒子によって形成される空隙に入り込んで、画像表面の平滑性をより向上させる上で、50nm以下であることが好ましく、50nm未満であることがより好ましい。第一の粒子の粒径としては、更に、10nm以上、50nm以下であることが好ましく、10nm以上、50nm未満であることがより好ましい。
第一の粒子の粒径は、第二の粒子の粒径に対して0.4倍以下(2/5以下)程度であることがより好ましい。このような粒径であれば被膜化用の樹脂により形成された被膜と第二の粒子からなる部分の表面の凹凸の深さを抑えて、かつ、1種類の粒径の場合に比べて空隙率を小さくでき、結果として画像表面の平滑性を更に向上させることが可能となる。
第一の粒子と第二の粒子の配合比(質量基準)は、1:9以上、5:5以下が好ましい。第一の粒子が多すぎるとダマになり易いためである。
なお、表面処理剤が第一の粒子と第二の粒子の組合せを1つ有する場合に、表面処理用の粒子の粒子径分布は2つのピークを持つことが好ましい。
例えば、1つめのピークを10nm以上50nm以下の範囲内に有し、2つめのピークが50nmを超え、110nm未満の範囲内に有する粒径分布を与える第一の粒子と第二の粒子の組合せを用いることができる。
なお、粒子の粒径を選択するに当たっては、平均粒径を利用してもよい。例えば、10nm以上50nm以下の範囲内の平均粒子径を有する多数の第一の粒子(群)と、50nmを超え110nm未満の範囲内の平均粒子径を有する多数の第二の粒子(群)と、をそれぞれ選択して用いることで、本発明における2種の粒子径の組合せを形成することができる。
表面処理用の粒子としては、無機粒子や有機粒子が挙げられる。無機粒子の一例として、コロイダルシリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子が挙げられる。また、有機粒子としては、定着温度よりも高い融点または軟化点を有し、定着温度において固体状態を維持する樹脂からなる粒子を挙げることができる。
[表面処理剤の組成]
表面処理剤は、少なくとも表面処理用の粒子とその分散用の液媒体を用いて調製することができる。表面処理用の粒子の分散用の液媒体としては、インク調製用の水性液媒体を用いることができる。
表面処理剤は、界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。界面活性剤や粘度調整剤としては目的とする表面張力や粘度の調整が可能なものであれよい。界面活性剤としてはアセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
表面処理用の成分が表面処理用の粒子のみからなり、インクに配合した被膜化用の樹脂と組み合わせて用いる表面処理剤における表面処理用の粒子の含有割合は、0.1質量%以上、1質量%以下とすることが好ましい。
表面処理用の成分が、表面処理用の粒子及び被膜化用の樹脂の両方からなる表面処理剤における表面処理用の粒子の含有割合は、0.1質量%以上、1質量%以下とすることが好ましく、被膜化用の樹脂の含有割合は0.1質量%以上、1質量%以下とすることが好ましい。
また、表面処理剤中に表面処理用の粒子と被膜化用の樹脂の両方が含まれている場合には、第二の粒子に対する被膜化用の樹脂の割合(質量基準)は、体積的に第二の粒子が最密に並んだ場合の空隙率である約26%程度であれば大径粒子が整然と並ぶため好ましい。更に、第一の粒子を第二の粒子と併用することを考慮すると、第二の粒子を1とした場合0.1以上、1以下の範囲で被膜化用の樹脂を用いることが実質的に良好な被膜形態を形成するのに好ましい。
2剤型の表面処理剤の第一の表面処理剤における表面処理用の粒子の含有割合は、0.1質量%以上、1質量%以下とすることが好ましい。また、2剤型の第二の表面処理剤における被膜化用の樹脂の含有量は、0.1質量%以上、1質量%以下とすることが好ましい。2剤型の表面処理剤における表面処理用の粒子と被膜化用の樹脂の割合(質量基準)も、第二の粒子を1とした場合、0.1以上、1以下の範囲で被膜化用の樹脂を用いることが好ましい。
<表面処理剤付与方法>
画像形成工程を経た記録媒体への表面処理剤の付与方法は、特に限定されるものではない。インクジェット記録ヘッドによる吐出方法、各種方式による塗工方法、面状に薄層で転移する方法等、各種の方法を採用することができる。
インクジェット記録ヘッドを利用した方法では、同一面上で光沢の差異を表現したいようなときに、領域別に表面処理剤の付与量を変化させる等の利用も可能である。また、2剤型の表面処理剤においても、第一の表面処理剤と第二の表面処理剤を付与するために2つのインクジェット記録ヘッドによる吐出を利用することができる。
<液体成分の除去>
記録媒体上への画像の形成後、画像から液体成分(水性インクの場合は、主に水や揮発性液体成分)の含有量を減少させる工程及びそのための装置を設けることも好ましい。画像の液体分が過剰であると後工程の定着工程において余剰液体がはみ出したり溢れ出したりして画像を乱し、結果的に定着不良を引き起こす場合がある。また、画像乱れの原因となりうる。
画像から液体成分を除去する方法としては、インクにより形成された画像の乾燥による定着処理に利用されてきた各種方法が利用できる。例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、またこれらの組み合わせが利用できる。また、自然乾燥により液体分除去を行うことも可能である。液体分除去工程は、後述する画像の加熱と兼用して行っても良い。
記録媒体の画像形成面上で、画像を形成するインク滴から液体成分の含有量を減少させることによって、インク中の成分が凝集し、インク凝集層が形成され易くなる。
<加熱装置>
記録媒体上で、画像を加熱して、表面処理用として画像に付与した表面処理用の粒子と被膜化用の樹脂を一体的に被膜化させる。この被膜化のための加熱に用いる加熱装置としては、目的とする加熱処理を行うことができるものであれば特に制限はない。例えば、画像を直接加熱する方式の加熱装置や、記録媒体の裏面から間接的に画像を加熱する方式の加熱装置を利用することができる。また、これらの両方の方式の加熱装置を組み合わせて用いると、より好適である。加熱装置としては、ファンヒーターなどの熱風送風機、温風乾燥機、赤外線加熱装置、フラッシュ定着器、あるいはハロゲンヒータなどの発熱装置等を挙げることができる。また、記録媒体の搬送を行う支持部材を電磁誘導加熱が可能な金属等の材料から構成して、電磁誘導により加熱する方式の加熱装置を用いることもできる。
画像の加熱には、記録媒体に赤外線を照射する加熱方法を用いることが好ましい。画像の加熱を、画像を乾燥させるために兼用しても良い。
上述した加熱装置のなかでは、記録媒体体に赤外線を照射して加熱する赤外線加熱装置が好ましい。
記録媒体を加熱装置に対して移動させながら加熱する方法では、画像を形成するインク層の加熱時間が短くなる場合が多い。特に、高速画像形成を行った場合には、インク層の加熱時間はより顕著に短くなる。この一方で、画像の定着性を向上させるためには、記録媒体の表面を加熱して画像を高温にする必要がある。従って、短時間で記録媒体上の画像を急峻に昇温させる加熱方法が好ましい。そこで、赤外線照射による加熱方法を採用することにより、短時間で記録媒体上の画像を急峻に昇温させることが可能となる。
被膜化用の加熱装置を、上述の画像に対する液体分除去(乾燥)処理に利用してもよい。このように共通の加熱装置を用いることによって、画像の乾燥からインク凝集層の形成、更には表面処理剤層の被膜化までの処理を共通の加熱装置によって行うことができる。加熱装置は、被膜化用の樹脂の軟化温度または溶融温度に応じて加熱温度を変更できる構成を有することが好ましい。また、この加熱装置は後述の定着工程における画像を定着温度に加熱するための加熱処理に利用してもよい。
<定着装置>
定着装置としては周知の定着装置を用いることができる。例えば、加熱加圧ローラ方式、ローラニップ方式、エンドレスプレス方式等の種々の方式の定着装置を用いることができる。
定着工程では、定着温度に加熱された記録媒体上の軟化した画像に定着部材を圧着して、画像の加圧処理を行う、または、定着温度に加熱されていない記録媒体上の軟化していない画像を加熱しながら定着部材を圧着して、画像の加熱加圧処理を行う。これにより、画像印刷物を得る。定着工程では、加圧ローラを用いて定着部材と記録媒体の両側から加圧すると、効率良く画像が記録媒体に定着されるため好適である。
また、加熱加圧ローラ方式の定着装置のように、加熱装置と定着装置を一体的に構成して、熱圧定着用の装置として用いても構わない。また、熱圧定着用の装置を用いる場合、定着部材と接触する前の画像は加熱されていなくてもよい。
定着工程の最後では、定着部材と画像が形成された記録媒体を剥離する工程を経て、最終的な画像印刷物が形成される。
定着工程における画像の加熱によって、被膜化用の樹脂による被膜形成だけでなく、記録媒体上の画像の温度が上昇し、画像が軟化しやすくなる。これにより、画像の熱軟化が十分となり、記録媒体に対する粘着性が増大する。
この状態で加圧処理による定着を行うと、記録媒体と接触するインク凝集物が柔らかいことにより記録媒体との接触性が高くなり接着力が強くなる。一方、定着部材側の画像の表面では、被膜化用の樹脂により形成される被膜と定着部材表面との接触性が表面処理用の粒子の存在により低下している。その結果、画像からの定着部材の剥離性を向上させ、剥離工程での良好な剥離ができる。
加圧処理による定着時の圧力は5Kg重/cm以上が好ましく、定着部材との界面における表面処理用の粒子の配列が均一となり、より平滑化が促進されつつ剥離性も良好となり、光沢性も良好なものとなる。
図1及び図5に示す装置のように、加熱装置と別に定着装置が設けられており、画像を定着温度まで加熱した状態で定着装置に搬入する場合には、定着時に、定着部材が記録媒体と接触する際、定着部材表層の熱容量が小さいことが好ましい。定着部材表層の熱容量を小さくすることで、定着部材表層の熱が記録媒体を介して記録媒体の支持部材側に伝導して奪われることにより定着部材表層の温度が急峻に低下する。この結果、画像の急峻な温度低下が起こり、これに伴い画像の凝集力が大きくなることでも、定着部材からの画像の剥離が容易となり、剥離性が向上する。
図1、図5及び図6に示す構成の装置では、定着工程時の温度調整により定着温度と剥離温度に温度差を設け、剥離温度を低くすることができる。このような温度制御を行うことでも、より良い定着部材の剥離効果を得ることができる。被膜化用の樹脂の軟化温度または溶融温度より低い温度では樹脂が硬くなるため、画像表面の平滑性を保持したまま定着部材との接着力が低下して定着部材が剥離し易くなる。
更に、表面処理用の粒子の添加により、定着部材との接着力が低下した状態を画像表面に形成できるので、表面処理用の粒子の無い状態の剥離可能な温度より高い温度での定着部材の剥離が可能となる。
定着部材の画像との接触部の表面エネルギーは、定着時に画像の形が崩れずに画像品位の良い状態で画像から定着部材が剥離可能となるように適宜選択するとよい。定着部材の表面エネルギーは40(mN/m)以上が好ましい。
また、定着部材の画像との接触部の表面粗さ(Ra)は、0.1μm以下であることが好ましい。
表面処理剤が表面処理用の粒子として粒径の異なる第一の粒子と第二の粒子の組合せを含むことで、定着部材での加圧処理後の表面処理剤層の表面は、例えば図2(b)で示されるような大径粒子1と小径粒子2が密に配列された状態となる。この状態の表面は、大径粒子1及び小径粒子2の各粒子間の、特に大径粒子1の間の隙間に存在する樹脂被膜4の表面が定着部材の接触部の表面に応じた表面粗さとなる。大径粒子1の粒径を110nm未満にすると、定着部材の画像との接触部の表面の粗さRaが0.1μm以下であれば光学的により平滑化された面が形成される。この際の画像表面の凹部の深さは、大径粒子1の粒径が110nmで小径粒子2の粒径が50nmの場合、40nm程度以下であり、大径粒子1の粒径が100nmで小径粒子2の粒径が10〜20nmの場合、10〜20nm程度である。
図2(a)はエマルション樹脂粒子3が溶融する前の状態を示す。このように、好ましくはエマルション樹脂粒子3の粒径を大径粒子1の粒径よりも小さくすることで大径粒子1の隙間に溶け込み易くなり、上述したような面を形成しやすくなる。その理由について以下に説明する。
エマルション樹脂粒子3の粒径が大径粒子1より大きいと、エマルション樹脂粒子3どうしでの癒着が起こりやすくなる。大径粒子1の隙間に流動化する前にエマルション樹脂粒子3どうしでの癒着が起こると、大径粒子1とエマルション樹脂粒子3が均一に分散しにくくなり、過度な空隙ができたり、平滑性が出しにくくなる。
定着温度までの画像の加熱は、記録媒体上の画像に対して赤外線を照射して加熱する赤外線加熱装置により行うことが好ましい。この加熱によって、上述の被膜形成だけでなく、記録媒体上の画像の温度が上昇し、画像が軟化しやすくなる。これにより、画像の熱軟化が十分となり、記録媒体に対する粘着性が増大する。
なお、本発明にかかるインクジェット記録方法で用いる画像形成条件については、後述する実施例で例示することにより詳細に説明する。
<インクジェット記録装置>
本発明にかかるインクジェット記録方法において使用することのできる装置について以下に説明する。
図1は、インクジェット記録装置の一例を表す模式図である。
図1のインクジェット記録装置は、入力データ処理部11、入力データに基づいて装置の動作を制御する装置制御部20、反応液付与用の反応液付与装置(不図示)、インク付与装置、表面処理剤付与装置、記録媒体支持部材43、加熱乾燥装置44及び定着装置50を有する。
インク付与装置は、インク付与用のインクジェット記録ヘッド41を有し、表面処理剤付与装置は表面処理剤付与用のインクジェット記録ヘッド42を有する。
定着装置50は、一対のローラ45、46を有するローラニップ方式の定着装置であり、ローラ45が定着ローラとして機能する。
図示した例には、ロール状に巻回された長尺状の記録媒体を繰り出しローラ(不図示)から巻き取りローラ(不図示)に搬送する記録媒体の搬送システムが示されている。記録媒体31とその搬送システムは図示した例に限定されない。例えば、所定のサイズの枚葉状の記録媒体とこれを搬送する搬送システムを用いることができる。記録媒体31の材質についても特に限定されず、紙、プラスチックフィルム等の種々の材質の記録媒体を用いることができる。
図1の装置を用いて下記(1)〜(4)の工程により、画像形成を行うことができる。
(1)反応液付与工程:記録媒体上に、反応液を付与する。
(2)インク付与工程:反応液が付与された記録媒体上に、次にインクを付与する。
(3)表面処理剤付与工程:反応液が付与された記録媒体上にインクを付与した後、表面処理剤を付与する。これにより、記録媒体に表面処理剤が付与された画像が形成される。
(4)定着工程:記録媒体および画像を加熱し、画像から液体分を除去し、画像を昇温させ、定着部材で画像を加圧することで記録媒体に画像を定着し、その後定着部材を画像から剥離する。
以下では、図1の画像形成装置の各部を参照して、上記(1)〜(4)の工程を詳細に説明する。
図1の装置では、反応液付与装置として、記録媒体の表面に接するように反応液塗布用のローラを配置し得るローラ式塗布装置(不図示)が配置されている。これにより、反応液が記録媒体の画像形成面に連続的に付与される(反応液付与工程)。
次に、インクジェット記録ヘッド41から、画像形成用のインクが吐出される(インク付与工程)。これにより、記録媒体31上では、反応液とインクが作用したインク凝集物を含んだ画像が形成される。
次に、記録媒体の画像が形成された面に対向するように配置されたインクジェット記録ヘッド42から、表面処理剤が吐出される(表面処理剤付与工程)。
図1の装置では、電気熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェット記録ヘッドを使用した。
加熱乾燥装置44として、記録媒体の画像形成面に対向するように配置された赤外線照射装置(不図示)及び送風装置を有する加熱乾燥装置を用い、記録媒体上の表面処理剤が付与された画像を加熱乾燥する。これにより、記録媒体上の画像中の液体分が減少して乾燥されると共に画像中の被膜化用の樹脂分が軟化または溶融する。
加熱乾燥処理された画像は、加熱装置を有さないローラニップ方式の定着装置50に搬入され、定着ローラ45により加圧処理され記録媒体31に定着され、ローラ対により形成されるニップ部から搬出される際に記録媒体31に定着した画像から定着ローラ45が剥離する(定着工程)。
なお、図1の装置では、小型化の観点から、同一の装置が乾燥装置と定着用の加熱装置を兼用している。また、図1では、赤外線照射装置と送風装置を一体型として設けたが、併用した形で赤外線照射装置と送風装置を設けても良い。しかし、乾燥処理と加熱処理の機能を分離させる観点からは、乾燥処理と加熱処理をそれぞれ、別の装置により行っても良い。
また、先に述べたとおり、定着剥離時の温度調整により定着温度(例えば、画像の加熱乾燥時の温度)と剥離温度に温度差を設け、剥離温度を低くする事でも、良好な定着部材の剥離効果を得ることができる。被膜化用の樹脂の軟化温度または溶融温度より低い温度では樹脂が硬くなるため、画像表面の平滑性を保持したまま定着部材との接着力が低下して定着部材が剥離し易くなる。
更に、表面処理用の粒子の添加により、定着部材との接着力が低下した状態を形成できるので、表面処理用の粒子の無い状態の剥離可能な温度より高い温度での定着部材の剥離が可能となる。
なお、定着装置が加熱装置を有する場合には、定着工程までで十分な画像の加熱は必ずしも必要ない。この場合、定着装置搬入前に画像を乾燥させておくことが好ましく、定着温度までの加熱は行わなくてもよい。
また、加熱装置を有するローラニップ方式の定着装置を用いる場合において、高速での画像形成における定着用のニップ時間が短い場合には、定着ローラの温度を高くすることで対応可能である。
図5に、インクジェット記録装置の他の実施形態にかかる構成を示す。
図5に示す装置は、2剤型の表面処理剤のそれぞれを記録媒体31に付与する2つのインクジェット記録ヘッド42a、42bが記録媒体の移動方向の上流側から下流側に順次設けられている以外は、図1と同様の構成を有する。
図6に定着装置の他の実施形態を示す。
図6に示す定着装置は、エンドレスプレス方式の定着装置である。この定着装置は、定着部材としてのエンドレスベルト51、一対のローラ52、53、エンドレスベルト51の架張用としてローラ52ともに利用されるローラ54、冷却装置55を有する。ローラ52は加熱装置を有する加熱ローラである。
この定着装置では、記録媒体107上の表面処理剤が付与された画像32が加熱ローラ52及び加圧ローラ53で加熱加圧されることにより画像32の表面がエンドレスベルト51の表面形状に沿って変形する。変形した状態の画像は冷却装置55により冷却され、ローラ54の設置位置を通過して装置外へ搬出される。その際、画像32の表面からエンドレスベルト51が剥離する。
図6に示す定着装置は、図1及び図5に示す装置の定着装置50として利用することができる。また、この定着装置を用いた場合、加熱ローラ52で画像を定着温度に加熱することができるため、この画像形成装置は、図1及び5に記載の加熱乾燥装置44を具備していなくてもよい。
次に、本発明にかかるインクジェット記録方法を実施例により、より具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、下記の実施例によって限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるものは、特に断りのない限り質量基準である。
(調製例1)
[反応液]
下記の成分を混合し、十分攪拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、濾液を反応液として回収した。
・レブリン酸:40部
・グリセリン:5部
・界面活性剤:1部
(商品名:アセチレノールE100、川研ファインケミカル株式会社製)
・樹脂微粒子:ポリアクリル酸:3部
・イオン交換水:51部
[インク]
(ブラック顔料分散液の調製)
カーボンブラック(製品名:モナク1100、キャボット社製)10%、顔料分散剤水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体<酸価150、重量平均分子量8,000>;固形分20%;水酸化カリウムにて中和済み)15%、純水75%を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200%充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去し、顔料濃度が約10%のブラック顔料分散液を得た。
(シアン顔料分散液の調製)
ブラック顔料分散液の調製の際に使用したカーボンブラック10%を、C.I.ピグメントブルー15:3、10%に代えたこと以外は、ブラック顔料分散液の調製の場合と同様の方法で、シアン顔料分散液を調製した。
(マゼンタ顔料分散液の調製)
ブラック顔料分散液の調製の際に使用したカーボンブラック10%を、C.I.ピグメントレッド122、10%に代えたこと以外は、ブラック顔料分散液の調製の場合と同様の方法で、マゼンタ顔料分散液を調製した。
(イエロー顔料分散液の調製)
ブラック顔料分散液の調製の際に使用したカーボンブラック10%を、C.I.ピグメントイエロー74、10%に代えたこと以外は、ブラック顔料分散液の調製の場合と同様の方法で、イエロー顔料分散液を調製した。
(樹脂微粒子分散体の作製)
ブチルメタクリレート18%、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)2%、n−ヘキサデカン2%を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、乳化剤であるNIKKOL BC15(商品名、日光ケミカルズ製)の6%水溶液(配合割合78%)に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して濃度約20%の樹脂微粒子分散体を得た。該樹脂微粒子の重量平均分子量は約1,000〜約2,000,000、分散粒径は約100nm〜約500nmであった。得られた樹脂微粒子の最低造膜温度は100〜120℃、ガラス転移温度(Tg)は70〜80℃である。
(インクの調製)
<インク1の調製>
下記の組成からなるインクをブラック、シアン、マゼンタ、イエローそれぞれについて調製した。具体的には、下記の処方の成分を各々混合し、十分攪拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過することによりインク1を調製した。
(インク1の組成)
・上述の各色顔料分散液のいずれか1種(濃度約10%):20%
・上述の樹脂微粒子分散体(濃度約20%):50%
・グリセリン:12%
・アセチレノールEH(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):0.5%
・純水:17.5%
<インク2の調製>
・上述の各色顔料分散液のいずれか1種(濃度約10%):20%
・上述の樹脂微粒子分散体(濃度約20%):46%
・スチレン−アクリル共重合体 樹脂エマルション(平均粒径:60nm):4%
(最低造膜温度(MFT):70℃、ガラス転移温度(Tg):40℃)
・グリセリン:12%
・アセチレノールEH(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):0.5%
・純水:17.5%
[表面処理剤]
(表面処理剤調製例1)
下記の組成からなる表面処理剤液1、2を調製した。
具体的には、下記の成分を各々混合し、十分攪拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過することにより表面処理剤液1、2を調製した。
表面処理剤液1組成:
・スチレン−アクリル共重合体 樹脂エマルション:1%
(平均粒径:約100nm)(最低造膜温度(MFT):75℃)
・グリセリン:12%
・アセチレノールEH(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):0.5%
・純水:残量
表面処理剤液2組成:
・大粒径シリカ スノーテックスZL(商品名、日産化学製)(平均粒径:100nm):0.5%
・小粒径シリカ スノーテックスN(商品名、日産化学製)(コロイダルシリカ)(平均粒径:10〜20nm):0.25%
・グリセリン:12%
・アセチレノ−ルEH(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):0.5%
・純水:残量
(表面処理剤調製例2)
下記の組成からなる表面処理剤液3を表面処理剤調製例1と同様にして調製した。
表面処理剤液3組成:
・大粒径シリカ スノーテックスZL(商品名、日産化学製)(平均粒径:100nm):0.5%
・小粒径シリカ スノーテックスN(商品名、日産化学製)(平均粒径:10〜20nm):0.3%
・スチレン−アクリル共重合体 樹脂エマルション(平均粒径:60nm):1%
(最低造膜温度(MFT):70℃)
・グリセリン:12%
・アセチレノールEH(商品名、川研ファインケミカル製):0.5%
・純水:残量
(表面処理剤調製例3)
下記の組成からなる表面処理剤液4を表面処理剤調製例1と同様にして調製した。
表面処理剤液4組成:
・大粒径シリカ スノーテックスZL(商品名、日産化学製)(平均粒径:100nm):0.5%
・小粒径シリカ スノーテックスN(商品名、日産化学製)(平均粒径:10〜20nm):0.3%
・水溶性樹脂(最低造膜温度(MFT):70℃) :1%
・グリセリン:12%
・アセチレノールEH(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):0.5%
・純水:残量
(表面処理剤調製例4)
下記の組成からなる表面処理剤液5を表面処理剤調製例1と同様にして調製した。
表面処理剤液5組成:
・大粒径シリカ スノーテックスZL(商品名、日産化学製)(平均粒径:100nm):0.5%
・小粒径シリカ スノーテックスN(商品名、日産化学製)(平均粒径:10〜20nm):0.3%
・グリセリン:12%
・アセチレノールEH(商品名、川研ファインケミカル製):0.5%
・純水:残量
(実施例1)
本実施例は、2剤型の表面処理剤を用いた例である。
調製例1で調製した反応液及びインク、並びに表面処理剤調製例1で調製した表面処理剤液1、2を用い、図5に示す構成のインクジェット記録装置を用い、以下の条件で記録媒体に画像を形成した。
定着ローラ45として、SUS製の基体上にポリイミドの表面層(カプトン:商品名、東レ・デュポン株式会社製)を有し、表面粗さRaが20nm、表面エネルギー48(mN/m)であるのものを用いた。定着ローラ(定着部材)の画像との接触部の弾性率は3GPa以上であることが好ましい。例えば、3〜7GPaから選択することができ、本実施例では5Gpaとした。
定着ローラ温度80〜150℃、加圧力10kg/cm、20〜600msのニップ時間において定着を行うことができる。
赤外線(IR)照射を主体とした加熱の場合、インク画像の温度を120℃程度まで上げることが可能なため定着ローラ温度は80℃とし、ニップ時間を100msとした。赤外線(IR)照射を用いない熱風だけでの加熱乾燥の場合、定着ローラ温度は150℃とし、ニップ時間を100msとした。
記録媒体としては、キャストコート紙が、グロスコート紙よりも紙白の平滑性が高く、光沢も更に高くなるため好ましい。キャストコート紙としては、グロリアピュアホワイト(商品名、五條製紙社製:210gsm紙)、ミラーコート紙(商品名、王子製紙(株)、坪量127.9g/m)等を挙げることができる。本実施例では、グロリアピュアホワイト(商品名、五條製紙社製)の210gsm紙を用いた。
本実施例においては、記録媒体を所定の位置にセットして以下の工程により画像を形成した。
記録媒体31の表面に塗布ローラ(不図示)により所定量の反応液が塗布された。続いて、インクジェット記録ヘッド41の配置位置に到達した画像形成面に、インクジェット記録ヘッド41からブラック、シアン、マゼンタ、イエローから選択された顔料インクの少なくとも1種が吐出され、画像が形成された。続いて、インクジェット記録ヘッド42a、42bの配置位置に到達した記録媒体31の画像形成面に、インクジェット記録ヘッド42aから表面処理剤液1が吐出され、更に、インクジェット記録ヘッド42bから表面処理剤液2が吐出された。これらの工程を通して、画像を形成する顔料インクは予め塗布してあった反応液と反応し、インク凝集層が形成された。
次に、画像32が加熱装置44に到達すると、乾燥処理により水分等の揮発性成分が除去されるとともに、インク凝集層が加熱された。インク凝集層は加熱されて表面処理剤液1により付与されたエマルジョン樹脂粒子の造膜温度よりも高い温度である120℃に達して、シリカ粒子とともに被膜化され、画像が定着された。
画像が定着装置50内の定着ローラ45の位置に達すると、画像が80℃の定着ローラ45とニップ時間が100msで接触し、表面が平滑化された画像が記録媒体31に定着され、記録媒体31に定着した画像は定着ローラと分離されて定着装置50から搬出された。
本実施例によると、良好な剥離性とともに高光沢な画像が得られた。
画像の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察すると、直径が10〜20nm程度の球状のシリカ粒子が一部を表層に露出した状態で下層の樹脂膜の上に密に配列されて固定された状態が見られた。
(評価)
・平滑度の測定方法
コート紙等の平滑性の高い記録媒体を用いた際の画像平滑度は、写像性測定器(スガ試験機社製、ICM−IT)により測定する。光学櫛の幅が2mm時の像鮮明度C(2)(%)の値を写像性の値とし、この値が30以上の場合に画像最表層が平滑化されていると判断する。
・光沢度の測定方法
記録媒体上の画像の反射光強度は20°光沢度計(日本電色工業株式会社製、VG7000)によって評価する。
・凹凸の測定方法
微細凹凸層における凹凸形状の測定は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、S−4800)によって行う。凹凸高さは微細凹凸層最表層の最頂部と最下部の縦断面方向の高さである。凹凸の縦断面を電子顕微鏡により観察して10個分を測定し、その測定値の平均値とする。AFMを用いて平面を測定することでも同等なことは確認できる。
(評価結果)
画像表面の粗さは凹凸の深さが10〜20nm程度と平滑性の高い面となり(図3参照)、光沢性が良いものとなった。光沢値は20度光沢値で80であり、写像性は28だった。
(実施例2)
本実施例は、2種類の粒径のシリカ粒子とエマルション樹脂粒子の両方を含む表面処理剤を用いた例である。
図1の装置を用いたが、乾燥工程では赤外線照射による加熱(IR加熱)を行わず、熱風のみの乾燥とし、定着ローラ45の温度を150℃とした。本実施例では、表面処理剤として表面処理剤液3を用い、インクジェット記録ヘッド42により記録媒体31の画像形成面に付与した。これらの条件を用いる以外は実施例1と同様にして画像の形成と定着を行った。
本実施例によると、最終的に得られた画像は、比較検討としてシリカ粒子が1種の径の場合に比べて平滑性が向上し、良好な定着時の剥離性とともに高光沢な画像が得られた。光沢値は20度光沢値で75であり、写像性は26だった。
画像の表面をAFMで観察すると、粒径(直径)が100nm程度の球状のシリカ粒子はエマルション樹脂粒子から形成された被膜の中にほとんど埋まってはいるが、その一部が突出した状態で密に配列された状態が見られた。画像を表面から見た場合、エマルション樹脂粒子から形成された被膜は大粒径のシリカ粒子間に見られたが、粒径(直径)が10〜20nm程度の球状のシリカ粒子が被膜の表層に付着していた。断面をSEMで観察すると直径が10〜20nm程度のシリカ粒子球がエマルションの表層に付着しているのが分かる。表面の凹凸の深さは20nm程度となっていた。
本実施例により形成された定着画像における表面処理剤層の断面の状態を図4(a)に、表面の状態を図4(b)に模式的に示す。
(実施例3)
本実施例は、2種類の粒径のシリカ粒子と水溶性樹脂の両方を含む表面処理剤を用いた例である。図1の装置を用いたが、乾燥工程ではIR加熱を行わず、熱風のみの乾燥とし、定着ローラ45の温度を150℃とした。
本実施例では、表面処理剤として表面処理剤液4を用い、インクジェット記録ヘッド42により記録媒体31の画像形成面に付与した。これらの条件を用いる以外は実施例2と同様にして画像の形成と定着を行った。
本実施例によると、最終的に得られた画像は、平滑性が向上し、良好な定着時の剥離性とともに高光沢な画像が得られた。光沢値は20度光沢値で70であり、写像性は27だった。表面の凹凸の深さは20nm程度となっていた。
(実施例4)
本実施例は、表面処理剤ではなくインクにエマルション樹脂粒子を添加し、表面処理剤に2種の平均粒径のシリカ粒子を添加して用いた例である。
インクとしては、定着工程で軟化するエマルション樹脂(最低造膜温度(MFT):70℃、平均粒子径:60nm)を更に含むインク2を用いた。
図1の装置を用いたが、乾燥工程ではIR加熱を行わず、熱風のみの乾燥とし、定着ローラ45の温度を150℃とした。
表面処理剤としてエマルジョン樹脂粒子を含まない表面処理剤液5を用いた。これらの条件を用いる以外は実施例2と同様にして画像の形成と定着を行った。
その結果、記録画像が乱れもなく、定着時にも定着ローラからきれいに剥離し表面が平滑で高光沢な画像を出力する事が出来た。
光沢値は20度光沢値で70であり、写像性は25だった。表面の凹凸の深さは35nm程度となっていた。
(実施例5)
本実施例は、定着装置50として図6に示す定着装置を用いる以外は図1と同様の構成の装置を用いた例である。
表面処理剤として表面処理液3を用い、定着装置として図6に示す定着装置を以下に記載する条件で用いる以外は図1の装置を用い、実施例2と同様にして画像の形成と定着を行った。
なお、図6に示す定着装置における定着工程は以下のとおりである。
定着剥離工程時の温度調整により定着温度と剥離温度に温度差を設け、剥離温度を低くできるようにした。図6に示すエンドレスプレス方式の定着装置において、記録媒体107上に形成されたインク画像32が加熱ローラ52及び加圧ローラ53で加熱加圧されることにより画像32が定着部材としてのエンドレスベルト表面形状に沿って変形する。定着部材としてのエンドレスベルト51として、ポリイミド(カプトン:東レ・デュポン株式会社製)の表面粗さRaが20nm、表面エネルギー48(mN/m)からなるベルトを用いた。弾性率は5GPaだった。
加圧力は10Kg/cmとした。
加熱ローラ52の温度は150℃として、画像32が120℃程度になるように設定し、冷却装置55の調整で剥離温度を調整した。
剥離温度を25℃〜120℃の範囲で調整し、光沢性と剥離性を評価した。
剥離性の評価は定着状態での剥離力を測定する為、定着部材と画像が接触している状態のまま、協和界面科学(株)の軽荷重タイプ粘着・皮膜剥離解析装置 VPA−3を用いて、温度を変えて剥離力を測定することで評価した。
剥離力が0.1N以下を“A”、0.1Nを超えて0.2N以下を“B”、0.2を超えて0.5N以下を“C”、0.5Nを超えた場合を“D”とし、光沢性は20度光沢値で評価し70以上を良好とし、写像性は25以上を良好とした。表面凹凸の深さはAFMで測定し、40nm以下を良好とした。
評価結果を表1に示した。
表1に示すとおり、25℃では十分な光沢性と剥離性が得られ、80℃でもほとんどその効果は変化しないが、100℃〜120℃では若干光沢性と剥離性が低下したものの十分な結果となった。
以下に示した比較例と比べても十分な光沢性と剥離性が両立した結果となった。
Figure 2019142226
(比較例1)
ここでは表面処理剤を用いない以外は実施例5と同様にして画像の形成と定着を行った。実施例5と同様にして行った光沢性と剥離性の評価結果を表2に示した。
表2に示すとおり、剥離温度を25℃とした場合の剥離性は「B」であり、20°光沢値が80、写像性が25となったが、50℃以上では剥離性が不十分であったため光沢性、写像性が低下した。80℃以上では画像が定着部材に張り付いたため光沢度は測定しなかった。
Figure 2019142226
1・・・・大径粒子
2・・・・小径粒子
3・・・・樹脂
4・・・・被膜
5・・・・定着部材
11・・・入力データ処理部
20・・・装置制御部
31・・・記録媒体
32・・・画像
41・・・インクジェット記録ヘッド
42・・・表面処理剤用インクジェット記録ヘッド
43・・・記録媒体の支持部材
44・・・加熱乾燥装置
45・・・定着ローラ
50・・・定着装置
51・・・定着部材
52・・・加熱ローラ
53・・・加圧ローラ
55・・・冷却装置
107・・記録媒体

Claims (10)

  1. 記録媒体に、色材としての顔料を含むインクを付与して画像を形成する画像形成工程と、
    前記記録媒体に形成された画像に、前記画像の表面を改質する表面処理剤を付与する表面処理剤付与工程と、
    前記表面処理剤が付与された画像を定着温度に加熱し、かつ、定着部材を接触させて加圧し、その後、前記定着部材を前記画像から剥離して、前記記録媒体に定着する定着工程と、
    を有するインクジェット記録方法であって、
    前記インク及び前記表面処理剤の少なくとも一方が、前記定着温度において溶融または軟化する樹脂を含有し、
    前記表面処理剤が、前記定着温度において溶融しない少なくとも2種の異なる粒径の粒子を含み、
    前記粒子が、第一の粒子と、前記第一の粒子よりも大きい粒径の第二の粒子とを含み、かつ、前記第二の粒子の粒径が50nmを超え、110nm未満の範囲内にある
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記第一の粒子の粒径が50nm未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記樹脂が、前記定着温度以下に最低造膜温度を有する樹脂粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記第一の粒子の粒径が、前記樹脂粒子の粒径よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記第二の粒子の粒径が、前記樹脂粒子の粒径よりも大きいことを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記表面処理剤が前記樹脂と前記粒子の両方を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記表面処理剤付与工程が第一の表面処理剤と第二の表面処理剤を前記画像に付与する工程を有し、前記樹脂が前記第一の表面処理剤に含有され、前記粒子が前記第二の表面処理剤に含有されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記定着部材の前記画像との接触部の弾性率が3GPa以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記定着部材の前記画像との接触部の表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記画像形成工程が、前記インクを前記記録媒体に付与するインク付与工程に加えて、前記インクを高粘度化させる成分を含む反応液を付与する反応液付与工程を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。

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