JP2019141808A - リチウム同位体濃縮装置および多段式リチウム同位体濃縮装置、ならびにリチウム同位体濃縮方法 - Google Patents

リチウム同位体濃縮装置および多段式リチウム同位体濃縮装置、ならびにリチウム同位体濃縮方法 Download PDF

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【課題】電気透析法により安全で、かつ効率の高いリチウム同位体濃縮装置およびリチウム同位体濃縮方法を提供する。【解決手段】リチウム同位体濃縮装置10は、リチウムイオン伝導性電解質膜2で供給槽11と回収槽12とに仕切られた処理槽1を備え、電解質膜2の両面に設けられた電極31,32間に接続した電源5で、供給槽11側の電極31に正の電圧+V1を間欠的に印加することにより、電気透析法における運転開始直後の同位体分離係数の大きい状態を繰り返す。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム同位体を分離するリチウム同位体濃縮装置および多段式リチウム同位体濃縮装置、ならびにリチウム同位体濃縮方法に関する。
リチウム(Li)は、7Liと6Liの2つの安定同位体が存在し、その天然存在比は92.41wt%と7.59wt%である。質量数7の7Liと質量数6の6Liは、その性質が大きく異なり、例えば7Liは原子炉の冷却液のpH調整に使用される。一方、6Liは、核融合炉の燃料の三重水素(トリチウム)の生産に使用される。そのため、7Liと6Liは、他方の同位体のより少ない状態に濃縮、分離する技術が開発され、アマルガム法、溶融塩法、蒸留法、吸着法、および電気泳動法(例えば、特許文献1)が知られている。
特許第5429658号公報
アマルガム法は、同位体分離係数が大きいが、水銀を多量に使用するので環境への負荷が大きい。また、溶融塩法や蒸留法は、リチウム化合物等を高温で加熱するので、生産コストが高い。一方、吸着法や電気泳動法は、海水等からリチウムイオンLi+を選択的に回収する方法でもあり、質量が小さいために移動速度の高速な6Li+が多く回収されることを利用したものである。これらの方法は、環境負荷等の観点では比較的優れるが、同位体分離係数が小さく、濃縮方法としては生産性が低い。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、安全で効率の高いリチウム同位体濃縮装置および多段式リチウム同位体濃縮装置、ならびにリチウム同位体濃縮方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、電気泳動法によるリチウム同位体の濃縮について鋭意研究した結果、運転開始直後の短時間に限り同位体分離係数が大きいことを見出し、電圧を適切な時間で印加と停止を交互に行うことにより、運転開始直後の状態を繰り返し続けることに想到した。
すなわち、本発明に係るリチウム同位体濃縮装置は、第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽を備え、前記第1槽に収容した、6Liと7Liとをリチウムイオンの状態で含有する水溶液から、前記水溶液よりも6Liの同位体比の高いリチウムイオンを含有する水溶液を前記第2槽で回収する装置である。そして、本発明に係るリチウム同位体濃縮装置は、前記処理槽を仕切るリチウムイオン伝導性電解質膜と、前記リチウムイオン伝導性電解質膜の両面のそれぞれに接触させて設けられた多孔質構造の電極と、前記電極間に電圧を印加する電源装置と、を備え、前記電源装置が、前記第1槽側の電極に、前記第2槽側の電極に対して正の電圧を間欠的に印加する構成とする。また、本発明に係るリチウム同位体濃縮装置は、前記電源装置が、前記正の電圧を印加していない時に、前記第1槽側の電極に、前記第2槽側の電極に対して、前記正の電圧よりも電位差の小さな負の電圧を印加してもよく、さらに、前記正の電圧を印加している順印加期間と、前記正の電圧を印加していない休止期間と、を周期的に繰り返すこともできる。また、本発明に係る多段式リチウム同位体濃縮装置は、前記のリチウム同位体濃縮装置の2台以上を、前記処理槽が一体化されるように連結して備え、前記リチウム同位体濃縮装置のそれぞれのリチウムイオン伝導性電解質膜が、一体化された前記処理槽を3槽以上に仕切るように互いに離間して配置され、隣り合う2台の前記リチウム同位体濃縮装置の一方の前記第2槽が他方の前記第1槽を兼ねた構成とする。
かかる構成により、本発明に係るリチウム同位体濃縮装置においては、リチウムイオン伝導性電解質膜を挟む両電極間に電圧を印加する電源装置が、リチウムイオンを移動させる電圧を短時間印加して停止させては印加することにより、印加開始直後における、リチウムイオンの時間あたりの移動量の多い状態が人為的に繰り返される。したがって、7Liに対して移動速度比の高い6Liがより多く移動して回収される。
また、本発明に係るリチウム同位体濃縮方法は、リチウムイオン伝導性電解質膜で第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽において、前記第1槽に収容した、6Liと7Liとをリチウムイオンの状態で含有する水溶液から、前記水溶液よりも6Liの同位体比の高いリチウムイオンを含有する水溶液を前記第2槽で回収する方法である。そして、本発明に係るリチウム同位体濃縮方法は、前記リチウムイオン伝導性電解質膜の両面のそれぞれに接触させて設けられた多孔質構造の電極の前記第1槽側に、前記第2槽側に対して正の電圧を間欠的に印加する。また、本発明に係るリチウム同位体濃縮方法は、前記正の電圧を印加していない時に、前記第1槽側の電極に、前記第2槽側の電極に対して、前記正の電圧よりも電位差の小さな負の電圧を印加してもよく、さらに、前記正の電圧を印加している順印加期間と、前記正の電圧を印加していない休止期間と、を周期的に繰り返すこともできる。
かかる方法により、リチウムイオン伝導性電解質膜を挟む両電極間に、リチウムイオンを移動させる電圧を短時間印加して停止させては印加することにより、印加開始直後における、リチウムイオンの時間あたりの移動量の多い状態を人為的に繰り返す。したがって、7Liに対して移動速度比の高い6Liをより多く移動させて回収することができる。
本発明に係るリチウム同位体濃縮装置およびリチウム同位体濃縮方法によれば、6Liの同位体比のより高い水溶液を効率的に、かつ安全に回収することができる。さらに本発明に係る多段式リチウム同位体濃縮装置によれば、6Liの同位体比をいっそう高くすることができる。
本発明の第1実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置の構成を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置の電源装置の印加電圧の推移を説明するタイムチャートである。 リチウムイオンの電気透析を説明する、図1に示すリチウム同位体濃縮装置の概略図である。 リチウムイオンの電気透析におけるリチウムイオンの挙動を説明する、図1に示すリチウム同位体濃縮装置の要部拡大図である。 リチウムイオンの電気透析におけるリチウムイオンの挙動を説明する、図1に示すリチウム同位体濃縮装置の要部拡大図である。 リチウムイオンの電気透析におけるリチウムイオンの挙動を説明する、図1に示すリチウム同位体濃縮装置の要部拡大図である。 シミュレーションによる、リチウムイオンの電気透析におけるリチウムイオンの時間あたりの移動量の経時変化を説明するグラフである。 シミュレーションによる、リチウムイオンの電気透析における時間あたりの移動リチウムイオンの同位体比、ならびにリチウムイオンの移動量およびその同位体比の、経時変化を説明するグラフである。 本発明の第2実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置の構成を説明する概略図である。 本発明の第2実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置の電源装置の印加電圧の推移を説明するタイムチャートである。 リチウムイオンの電気透析におけるリチウムイオンの挙動を説明する、図7に示すリチウム同位体濃縮装置の要部拡大図である。 リチウムイオンの電気透析におけるリチウムイオンの挙動を説明する、図7に示すリチウム同位体濃縮装置の要部拡大図である。 本発明の実施形態に係る多段式リチウム同位体濃縮装置の構成を説明する概略図である。 実施例および比較例に係るリチウム回収における電流値の推移を表すグラフである。 実施例および比較例に係るリチウム回収における電流値の推移を表すグラフである。 実施例および比較例に係るリチウム回収における電流値の推移を表すグラフである。 実施例および比較例に係るリチウム回収における電流値の推移を表すグラフである。 実施例および比較例に係るリチウム回収における電流値の推移を表すグラフである。 実施例および比較例に係るリチウム回収における電流値の推移を表すグラ 実施例および比較例に係るリチウムの移動量およびリチウムの同位体分離係数を表すグラフである。
本発明に係るリチウム同位体濃縮装置およびリチウム同位体濃縮方法を実施するための形態について、図を参照して説明する。図面においては、説明を明確にするために、特定の要素の大きさ等を誇張していることがあり、また、形状を単純化していることがある。
〔第1実施形態〕
(リチウム同位体濃縮装置)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置10は、処理槽1、電解質膜(リチウムイオン伝導性電解質膜)2、電解質膜2の各面に被覆した第1電極31と第2電極32(電極)、および電源装置5を備える。処理槽1は、電解質膜2によって、Li含有水溶液ASiを収容する供給槽(第1槽)11と、6Li回収用水溶液ASoを収容する回収槽(第2槽)12と、の2つに仕切られている。電源装置5は、直流電源を有し、電源の正(+)極が、供給槽11側に設けられた第1電極31に接続され、負(−)極が、回収槽12側に設けられた第2電極32に接続される。以下、本発明の実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置を構成する各要素について説明する。
処理槽1は、Li含有水溶液ASiおよび6Li回収用水溶液ASoに接触しても腐食等の変質のない材料からなる。そして、処理槽1は、必要な処理能力に対応した容積を有していればよく、形状等は特に限定されない。
電解質膜2は、リチウムイオン伝導性を有する電解質であり、電子e-が伝導しないことが好ましい。さらに、Li含有水溶液ASiがLi+以外の金属イオンを含有する場合には、電解質膜2は、この金属イオンが伝導しないことが好ましい。さらに好ましくは、これらの性質を有するセラミックス製の電解質である。具体的には、リチウムランタンチタン酸化物(La2/3-xLi3xTiO3、LLTOとも称される)等が挙げられる。このような電解質膜2は、一定の割合で格子欠陥を有し、この格子欠陥サイトのサイズが小さいので、Li+よりも径の大きい金属イオンが伝導しない。
第1電極31および第2電極32は、電解質膜2の各面に接触して両面から電圧を印加するために設けられる一対の電極である。第1電極31および第2電極32は、電解質膜2の広い範囲に電圧を印加する一方で、電解質膜2の各面の十分な面積に水溶液ASi,ASoが接触するように、網状等の多孔質構造を有する。第1電極31は、電解質膜2の供給槽11側の面(以下、適宜、表面と称する。)に設けられ、下式(1)の反応に対する触媒活性と電子伝導性を有し、Li含有水溶液ASi中で電圧印加時にも安定な電極材料、例えば白金(Pt)で形成される。第2電極32は、電解質膜2の回収槽12側の面(以下、適宜、裏面と称する。)に設けられ、下式(2)の反応に対する触媒活性と電子伝導性を有し、反応が進行してLi+を含有するようになった6Li回収用水溶液ASo中でも電圧印加時に安定な電極材料、例えばPtで形成される。
電源装置5は、直流電源を有し、さらにスイッチング素子等を備えて直流電圧を間欠的に印加する直流パルス電源である。一例として、電源装置5は、電源の正極がスイッチング素子を経由して第1電極31に接続し、負極が第2電極32に接続して、所定の電圧V1を印加する。スイッチング素子が電気的手段等により、周期的に電源端子と第1電極31とを接続、非接続状態を交互に繰り返し、図2に示すように、第1電極31に、第2電極32に対して正の電圧+V1を間欠的に印加する。図1においては、第1電極31、第2電極32間に電圧が印加されていない状態(休止期間tRST)を示す。なお、休止期間tRSTにおいては、図1に示すように、第1電極31および第2電極32の少なくとも一方を非接続状態としてもよいが、第1電極31と第2電極32を短絡させて0V印加としてもよい。
Li含有水溶液ASiは、Li源であり、7Liと6Liの陽イオン7Li+6Li+を含有する水溶液で、例えば水酸化リチウム(LiOH)水溶液)であり、リチウム同位体濃縮装置10の運転開始時においては、7Li+6Li+を天然存在比で含有する。6Li回収用水溶液ASoは、Li含有水溶液ASiから回収したリチウムイオンLi+、特に、6Li+を多く収容するための水溶液であり、リチウム同位体濃縮装置10の運転開始時においては、例えば純水である。なお、本明細書において、7Liと6Li(7Li+6Li+)は、互いを区別しない場合には、まとめてLi(Li+)と称する。
(リチウム同位体濃縮方法)
本発明の第1実施形態に係るリチウム同位体濃縮方法について説明する。まず、図3を参照して、第1実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置によるリチウムイオンの電気透析について説明する。
リチウム同位体濃縮装置10において、電源装置5が、第1電極31に、第2電極32に対して正の電圧+V1を印加すると、第1電極31の近傍では、Li含有水溶液ASi中の水酸化物イオン(OH-)が下式(3)の反応を生じて、電子e-を第1電極31へ放出させ、水(H2O)と酸素(O2)を発生させる。Li含有水溶液ASiにおいては、OH-が減少したことに伴い、電荷のバランスを保つために、Li含有水溶液ASi中のLi+が電解質膜2中へ移動する下式(4)の反応を、電解質膜2の近傍で生じる。下式(3)と下式(4)の反応を総合すると、第1電極31の近傍では下式(1)の反応を生じることになる。一方、第2電極32の近傍では、6Li回収用水溶液ASoのH2Oが電子e-を供給されることにより、下式(5)の反応を生じて、水素(H2)とOH-を発生させる。6Li回収用水溶液ASoにおいては、OH-が増加したことに伴い、電荷のバランスを保つために、電解質膜2中のLi+が移動してくる下式(6)の反応を、電解質膜2の近傍で生じる。下式(5)と下式(6)の反応を総合すると、第2電極32の近傍では下式(2)の反応を生じることになる。
これらの反応が生じると、Li含有水溶液ASi、電解質膜2(electrolyte)、および6Li回収用水溶液ASoのそれぞれに含まれるLi+(Li+(ASi)、Li+(electrolyte)、Li+(ASo))の電気化学ポテンシャル差により、Li含有水溶液ASi中からLi+が電解質膜2を透過して6Li回収用水溶液ASoへ移動する。ここで、Li+が電解質膜2を透過するときの挙動について、図4A〜4Cを参照して詳細に説明する。図4A〜4Cは、リチウム同位体濃縮装置10の電解質膜2の近傍の拡大断面図であり、電極31,32は電解質膜2の両面に部分的に接触している。また、水溶液ASi,ASoは、含有される7Li+6Li+のみをそれぞれ○で囲って表す。
電圧が印加されていない時は、図4Aに示すように、7Li+6Li+は、Li含有水溶液ASi中を浮遊して、電解質膜2の表面への吸着と離脱を交互に繰り返す。この状態から、図4Bに示すように、第1電極31に+、第2電極32に−の電圧を印加される。なお、図中、正の電荷を○の中に−で表し、負の電荷を○の中に−で表す。すると、Li含有水溶液ASi中のLi+7Li+6Li+)は、前記式(4)の反応として、電解質膜2に溶解しようとする。このとき、電解質膜2の表面におけるLiサイト欠陥(図示省略)の近傍に吸着したLi+は、このLiサイト欠陥に潜り込む。そして、電解質膜2は、電極31,32により表面よりも裏面の電位が低い電位勾配があるので、表面のLiサイト欠陥に潜り込んだLi+は、電解質膜2の深部側の近傍のLiサイト欠陥へ飛び移る(ホッピングする)。このように、Li+は、電解質膜2のLiサイト欠陥からその近傍のLiサイト欠陥への移動を繰り返して、最終的に前記式(6)の反応として、図4Cに示すように、裏面のLiサイト欠陥から6Li回収用水溶液ASo中へ移動する。
また、電解質膜2の表面においては、Liサイト欠陥の近傍に吸着していたLi+が電解質膜2の深部へ移動したことにより、空いたLiサイト欠陥に、さらにその近傍に吸着していた別のLi+が移動してきて潜り込んだり、Li含有水溶液ASi中から新たなLi+が吸着したりして、これらのLi+が同様に電解質膜2中を移動する。さらに、電解質膜2中をLi+が移動することにより、Liサイト欠陥がLi+で埋められたり再び空いたりするため、電解質膜2の表面に新たに発生したLiサイト欠陥を通じて、表面に吸着していたLi+が裏面側への移動を開始することができる。
ここで、7Liと6Liは、その質量の違いにより移動速度が異なり、6Liは7Liに対して質量比の逆数の平方根(√(7/6))倍高速である。すなわち、例えば、電解質膜2のあるLiサイト欠陥に対して、近傍の等距離の2箇所にそれぞれ7Li+6Li+が存在する場合、6Li+が優先的に飛び移ってくると推測される。電圧印加開始直後においては、電解質膜2の表面に吸着したLi+における7Li+6Liは、Li含有水溶液ASiにおけるLi+と同等の同位体比である。しかし、このような移動速度の違いにより、電解質膜2のLiサイト欠陥へは、6Li+がLi含有水溶液ASiの6Li同位体比(6Li/(7Li+6Li))よりも多く移動し、電解質膜2中のLiサイト欠陥間の、さらに6Li回収用水溶液ASo中への移動も6Li+の方が速い。その結果、電解質膜2の表面に吸着したLi+の内、6Li+がより多く減少する。そして、表面の空いた箇所には、Li含有水溶液ASi中から新たな7Li+6Li+が同位体比で吸着する。このような挙動が繰り返されることにより、次第に6Li+の時間あたりの移動量が減少して、移動速度の遅い7Li+が代わって増加し、全Li(7Li+6Li)の時間あたりの移動量が減少すると推測される。
そこで、Liを天然存在比で1mol/l含有するLi含有水溶液ASi(7Li:0.921mol/l、6Li:0.079mol/l)からの7Liと6Liのそれぞれの時間あたりの移動量を、電解質膜2に吸着したLi+に対して移動するLi+の比を0.1としてシミュレーションで算出した。図5に示すように、時間あたりの6Liの移動量は、電圧印加開始直後が最大でその後減少するのに対し、7Liの移動量は増加する。そして、6Liの変化量の方が大きいため、全Li(7Li+6Li)の移動量は、6Liと同様に、電圧印加開始直後が最大で指数関数的に減少してある値に収束する。なお、図5において、7Li、6Li、およびLi(7Li+6Li)のそれぞれの時間あたりの移動量は、変化の傾向をわかり易く対比するために縦軸のレンジを調整して示される。したがって、図6に示すように、時間毎に移動する全Liにおける6Liの同位体比は、図5に示すLiの時間あたりの移動量と同様に推移して減少する。そして、6Li回収用水溶液ASoのLi濃度の増加に伴い、6Liの同位体比は減少する。したがって、電圧印加時間が短いほど、6Liの同位体比の高いLiを回収することができるが、回収される6Liの絶対量が極めて少なく、生産性が不十分である。
そこで、本実施形態に係るリチウム同位体濃縮方法は、電圧印加により短時間だけLiを移動させた後、Liの移動をいったん停止させ、電圧印加開始前の状態またはそれに近い状態とする(初期化する)。電圧印加によりLiの移動がある程度進行した状態においては、図4Cに示すように、電解質膜2の当初のLiサイト欠陥にLi+が潜り込み、また、電解質膜2の表面にLi+が吸着している。これらの電解質膜2の内部および表面のLi+は、6Li+が優先的に移動してしまうために、Li含有水溶液ASiに残存するLiよりも6Liの同位体比が低いと考えられる。本実施形態では、短時間の電圧印加により6Liの同位体比の高いLiを少量回収した(順印加期間)後に、電圧の印加を停止して、ある程度の時間無印加状態とする(休止期間)。これにより、電解質膜2の表面に電気的に吸着していたLi+が離脱して、図4Aに示すように、Li含有水溶液ASi中で離脱と吸着を繰り返す電圧印加開始前の状態となる。
このように、電圧印加開始前のように電解質膜2からLi+が離脱した後、再び電圧の印加を開始すると、1回目の電圧印加開始時と同様に、Li含有水溶液ASi中のLi+が電解質膜2の表面に吸着する(図4B参照)。この時に電解質膜2の表面に吸着したLi+における6Liの同位体比は、この時点でのLi含有水溶液ASiにおけるLi+と同等であり、Li含有水溶液ASiの6Li同位体比が1回目の電圧印加前よりも低下しているので、1回目の電圧印加開始時に吸着したLi+よりも低い。しかし、1回目の電圧印加の停止直前(図4C参照)に吸着していたLi+よりは6Li同位体比が高い。そして、電解質膜2中を透過して6Li回収用水溶液ASoへ移動し始める。この2回目の電圧印加開始直後におけるLiの時間あたりの移動量は、Li含有水溶液ASiのLi濃度の低下により、1回目の電圧印加開始直後よりも少ないが、1回目の電圧印加の停止直前よりも多く、その後、1回目と同様に経時的に減少する。このように、2回目の電圧印加においては、印加開始時のLi含有水溶液ASiのLi濃度および6Liの同位体比が共に1回目よりも低いので、1回目と同じ電圧印加条件(電圧V1、印加時間tTD)では、1回目よりも回収されるLiの量(移動量)が少なく、6Li同位体比も低くなる。同様に、休止期間を挟んで3回目、4回目と電圧印加(順印加期間)の回数を重ねるにしたがい、電圧印加1回あたりのLiの回収量および6Li同位体比が減少する。しかし、同じ時間(tTD×回数)連続して電圧を印加するよりも、6Li同位体比の高いLiを、量も多く回収することができる。
休止期間(印加停止時間)tRSTおよび順印加期間(電圧印加時間)tED、ならびに印加電圧V1は、特に規定されず、6Liの回収効率が十分に高くなるようにそれぞれ設定されることが好ましい。Li含有水溶液ASiから6Li回収用水溶液ASoへ移動するLi+の時間あたりの量は、印加電圧V1が大きいほど多く、Liの回収量を増やすことができる。ただし、印加電圧V1が大きくなるにしたがい、6Liと7Liの移動速度の違いによる6Li移動の優先性の効果が得られ難くなって、回収されたLiの6Li同位体比が十分に高くならない。さらに印加電圧V1がある程度以上大きいと、電解質膜2が電子e-も伝導させるようになるため、時間あたりの移動量はそれ以上には増加し難いので、Li回収量あたりの消費エネルギーが増大してエネルギー効率が低下することになる。したがって、印加電圧V1は、電解質膜2の電子伝導性や6Li濃縮の効果に応じて設定することが好ましい。
印加停止時間tRSTが短いと、Li+の電解質膜2への電気的な吸着が十分に解除されず、7Liの同位体比の高いLi+が電解質膜2に残存するので、電圧の間欠的な印加による効果が十分に得られない。一方で、休止期間tRSTが過剰に長いと、一定量の6Liを回収するための運転時間が長くなって生産性が低下する。また、順印加時間(電圧印加時間)tEDは、長くなるにしたがい回収されたLiの6Li同位体比が低下するので、より短いことが好ましいが、極度に短いと、一定量の6Liを回収するための運転時間が長くなって生産性が低下する。具体的には、全Liの時間あたりの移動量が6Liの時間あたりの移動量に連動して減少するので、Liの時間あたりの移動量が収束した以後のより短時間まで、または収束する以前までとすることが好ましい。また、順印加期間tEDと印加停止時間tRSTは、それぞれ一定時間でなくてもよく、周期的でなくてもよい。例えば、順印加期間tEDは、回数を重ねるにしたがい短縮するように設定されてもよい。
〔第2実施形態〕
第1実施形態においては、電解質膜の両面間に印加する電圧を一時停止して無印加状態にすることにより、電解質膜の表面からリチウムイオンを離脱させているが、完全に離脱させるまでに時間がかかるため、6Liの高濃縮化と生産性向上とを両立することが困難である。そこで、積極的にリチウムイオンを電解質膜から離脱させるために、以下の構成とした。以下、本発明の第2実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置およびリチウム同位体濃縮方法について、図7および図8を参照して説明する。第1実施形態(図1〜6参照)と同一の要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
(リチウム同位体濃縮装置)
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置10Aは、処理槽1、電解質膜(リチウムイオン伝導性電解質膜)2、電解質膜2の各面に被覆した第1電極31と第2電極32(電極)、および電源装置5Aを備える。すなわち本実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置10Aは、第1実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置10に対して、電源装置5に代えて電源装置5Aを備えた構成である。
電源装置5Aは、第1実施形態と同様に、第1電極31に、第2電極32に対して正の電圧+V1を間欠的に印加すると共に、本実施形態においては図8に示すように、電圧+V1を印加していない期間(休止期間tRST)に負の電圧−V2を印加する(V1>V2)。そのために、電源装置5Aは、一例として、交流電源、およびその出力を所望の周波数とデューティ比の矩形波に変換する回路を備えて、第1電極31および第2電極32に接続する。あるいは電源装置5Aは、電圧の異なる2個の直流パルス電源を有していてもよい。
(リチウム同位体濃縮方法)
本発明の第2実施形態に係るリチウム同位体濃縮方法について、図9A〜9Bを参照して説明する。正の電圧+V1を印加する順印加期間、および順印加期間におけるリチウムイオンの挙動は、第1実施形態と同様である(図4A〜4C、図5および図6参照)。
本実施形態に係るリチウム同位体濃縮方法は、正の電圧+V1を印加する順印加期間tTDとその次の順印加期間tTDの間に、負の電圧−V2を印加する。第1実施形態で説明したように、電圧+V1の印加停止直前においては、図4Cに示すように、電解質膜2の両面や内部にLi+が吸着していたり潜り込んだりしている。これらのLi+は、Li含有水溶液ASiに残存するLiよりも6Liの同位体比が低い。この状態で、負の電圧−V2の印加に切り替えると、Li含有水溶液ASiにおいて、第1電極31の近傍で下式(5)の反応を生じ、電圧+V1の印加時とは逆に、電解質膜2中のLi+が移動してくる下式(7)の反応を生じる。そのため、図9Aに示すように、電解質膜2の表面に吸着していたLi+やLiサイト欠陥に潜り込んでいたLi+が、電解質膜2から離脱してLi含有水溶液ASi中へ移動する。ただし、電解質膜2の表面が負の電位であるため、図9Bに示すように、これらのLi+は電解質膜2の表面近傍に留まり、さらにLi含有水溶液ASi中の他のLi+も電気泳動により電解質膜2の表面へ引き寄せられ、それらの一部は吸着する。その結果、Li含有水溶液ASiにおいて、電解質膜2の表面の近傍にLi+が偏って高濃度となる。この電気泳動による移動も6Liの方が7Liよりも高速であるため、電解質膜2の表面および近傍の高濃度のLi+は、Li含有水溶液ASi全体に残存するLiよりも6Li同位体比が高い。
一方、6Li回収用水溶液ASoにおいては、第2電極32の近傍で下式(3)の反応を生じるので、6Li回収用水溶液ASo中のLi+が電解質膜2中へ移動する下式(8)の反応を生じる。ただし、電圧+V1の印加時と異なり、両面間の電位差が小さいので、6Li回収用水溶液ASo中のLi+は、電解質膜2を完全に透過してLi含有水溶液ASi中まで移動してこない、または移動量が極めて少ない。また、6Li回収用水溶液ASoとして運転開始時に純水を使用した場合等においては、6Li回収用水溶液ASoのLi濃度が十分に低いために、Li+が正の電位である電解質膜2の裏面に近付き難い。したがって、電解質膜2中へ移動する6Li回収用水溶液ASo中のLi+は、電解質膜2の裏面に吸着していたものに限られると推測される。
負の電圧−V2から切り替えて正の電圧+V1の印加を開始すると、既に電解質膜2の表面に多く吸着していたLi+が電解質膜2中を移動し始めるため、+V1の印加開始直後におけるLiの時間あたりの移動量が、無印加状態から電圧+V1を印加した場合よりも多くなる。さらに、電解質膜2の表面やその近傍のLi+は、6Li同位体比がLi含有水溶液ASi中のLiよりも高いので、+V1印加開始直後に移動するLi+における6Li同位体比がさらに高くなる。また、負の電圧−V2の印加時の式(8)の反応により、6Li回収用水溶液ASo中から電解質膜2中へ移動していたLi+は、その後の正の電圧+V1の印加開始によって、6Li回収用水溶液ASo中へ再び移動する。このように、電圧を逆向きに印加することにより、第1実施形態のような無印加状態よりもLi+が電解質膜2の表面から離脱し易いため、休止期間tRSTが短くても正の電圧+V1の間欠的な印加の効果が十分に得られ、さらに、6Li同位体比のより高いLiを回収することができる。したがって、一定量の6Liを回収するための運転時間を短縮して、生産性を向上させることができる。
負の電圧−V2は、Li+が電解質膜2を裏面から完全に透過してLi含有水溶液ASi中に逆流することがなく、電解質膜2の表面および内部のLi+を離脱させることができる大きさに設定する。また、休止期間(逆印加時間)tRSTは、Li含有水溶液ASi中の十分な量のLi+を電気泳動で電解質膜2の表面近傍まで移動させるように、負の電圧−V2と併せて設定することが好ましい。順印加期間(電圧印加時間)tEDおよび正の印加電圧+V1は、第1実施形態と同様に設定することができる。なお、休止期間tRST中、負の電圧−V2を印加し続けていなくてもよく、例えば、正の電圧V1の印加停止後、一時無印加状態(0V)とした後、負の電圧−V2の印加を開始してもよい。ただし、負の電圧−V2の印加停止後は、電解質膜2の表面近傍の高濃度のLi+を維持するために、速やかに正の電圧+V1に切り替えることが好ましい。また、初回の順印加期間tEDの前に、負の電圧−V2を印加することが好ましい。また、第1実施形態と同様、順印加期間tEDと休止期間tRSTは周期的でなくてもよい。
第1、第2実施形態においては、電圧印加の繰り返し回数が多い、すなわち電圧+V1の累計印加時間が長くなるにしたがい、Liの回収量が増加するが、回収されたLiの6Li同位体比は低下する。したがって、設定した所定の回数を実行した後、供給槽11内のLi含有水溶液ASiを新しいものに交換することが好ましい。あるいは、ポンプ等を有する循環装置(図示せず)を備えて、外部と供給槽11内とでLi含有水溶液ASiを常時循環させたり、休止期間tRST毎に交換したりしてもよい。
(多段式リチウム同位体濃縮装置)
本発明に係るリチウム同位体濃縮装置10,10Aは、供給槽11内のLi含有水溶液ASiに対して6Li同位体比の高いLiを含有する水溶液(6Li回収用水溶液ASo)が回収槽12で得られる。そこで、このLi回収後の6Li回収用水溶液ASoを、空にした供給槽11に投入することにより、さらに6Li同位体比の高いLiを含有する水溶液が得られる。そこで、図10に示すように、リチウム同位体濃縮装置10の回収槽12を別のリチウム同位体濃縮装置10の供給槽11と一体化するように連結させたカスケード構造とすることにより、段階的に6Liを濃縮することができる。このような多段式リチウム同位体濃縮装置20は、処理槽1Aと、処理槽1Aを一方向に5つの槽11,12,13,14,15に仕切るように間隔を空けて平行に配置された4枚の電解質膜(リチウムイオン伝導性電解質膜)2と、電解質膜2のそれぞれの各面に被覆した第1電極31および第2電極32(電極)と、電源装置50と、を備える。電源装置50は、電解質膜2毎にその両面の電極31,32間に接続した第1実施形態の電源装置5を備え、隣り合う電源装置5の直流電源を直列に接続し、さらにすべてのスイッチング素子が連動する構成である。また、多段式リチウム同位体濃縮装置20においては、隣り合う2枚の電解質膜2の対向する側のそれぞれの面に設けられた第2電極32と第1電極31とが、導体で接続されて短絡している。その他各要素は、第1、第2実施形態で説明したとおりである。すなわち、多段式リチウム同位体濃縮装置20は、4台のリチウム同位体濃縮装置10を、それぞれの処理槽1を処理槽1Aに一体化するように連結した構造であり、隣り合う2台のリチウム同位体濃縮装置10,10の一方の回収槽12が他方の供給槽11と兼用になる。
多段式リチウム同位体濃縮装置20によるリチウム同位体濃縮方法は、第1、第2実施形態と同様であり、図中、左端の供給槽11に7Li,6Liを天然存在比で含有するLi含有水溶液ASiを投入し、その他の各槽12,13,14,15に純水を投入する。電源装置50の複数の電源がそれぞれ正の電圧+V1を間欠的に印加することにより、図中、左から右へLi+が移動して、槽12,13,14,15の各槽内の純水が6Li同位体比の異なるLiを異なる濃度で含有する水溶液AS1,AS2,AS3,ASoになる。6Li同位体比はASi<AS1<AS2<AS3<ASoの順に高くなる。なお、図10に示す構成においては、電源装置50により、槽11−12間、槽12−13間、槽13−14間、槽14−15間で、順印加期間tEDと休止期間tRSTが同期しているが、同期していなくてもよい。ただし、例えば槽12−13間のみが順印加期間tEDの時、それ以外の休止期間tRSTの槽間で電位差を生じないように、供給槽11内の第1電極31を、電解質膜2を隔てた槽12内の第2電極32と同電位に固定する。他の該当する電極31,32も同様に電位を固定する。
多段式リチウム同位体濃縮装置20は、電解質膜2、ならびに電解質膜2毎に設けられる第1電極31と第2電極32の数が特に規定されず、多いほど、すなわちより多数台のリチウム同位体濃縮装置10を連結させるほど、6Li同位体比の高いLiを回収することができる。また、図10においては、リチウム同位体濃縮装置10を一方向に連結した構造で、すべての隣り合う電解質膜2,2を対面させて配置しているが、例えば、1、2箇所で90°屈曲させて連結して、隣り合う電解質膜2,2を互いに垂直に配置してもよい。また、多段式リチウム同位体濃縮装置20は、図7および図8に示すリチウム同位体濃縮装置10Aを連結させた構成としてもよい。
以上、本発明に係るリチウム同位体濃縮装置およびリチウム同位体濃縮方法について、本発明を実施するための形態について説明したが、以下に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。なお、本発明はこの実施例および前記形態に限定されるものではなく、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
図1、図7に示す、本発明の第1、第2実施形態に係るリチウム同位体濃縮装置について、電圧印加条件を変化させて、リチウムの同位体比の変化量を測定した。
(リチウム同位体濃縮装置の作製)
リチウム同位体濃縮装置は、電解質膜として、50mm×50mm、厚さ0.5mmの板状のLa0.57Li0.29TiO3(リチウムイオン伝導性セラミックスLLTO、東邦チタニウム(株)製)を使用した。この電解質膜の両面のそれぞれの中央部に、第1電極および第2電極として、厚さ10μm、幅0.5mm、間隔0.5mmの格子状の電極を19.5mm×20.5mmの大きさに形成し、さらにこの電極に接続する、電源に接続するためのリード線を形成した。第1電極、第2電極、およびリード線は、Ptペーストを電解質膜の表面にスクリーン印刷し、大気中において900℃で1h焼成して形成した。電極等を形成した電解質膜を、アクリル板製の処理槽内に装着して供給槽と回収槽に仕切り、リチウム同位体濃縮装置とした。
リチウム同位体濃縮装置の供給槽にLi含有水溶液として、7Li:92.23wt%,6Li:7.77wt%でLiを含有する1mol/lの水酸化リチウム水溶液を、回収槽に6Li回収用水溶液として純水を、150mlずつ、第1電極および第2電極が完全に浸るように投入した。
図2および図8に示すパルス電圧を印加可能な電源装置を、第1電極と第2電極に接続して直流電圧を印加した。正の電圧+V1として、LLTO(電解質膜)がLi+伝導性を示し、かつ電子伝導性が十分に小さい2Vに設定した。電圧+2Vを順印加時間tED印加する毎に、電圧を休止期間tRST停止して、順印加時間tEDの累計で3600秒間まで実行し、電源に直列に接続した電流計(図示せず)により、電流値を計測した。この計測は、室温(24℃)で行った。順印加時間tED:10秒間に対して、休止期間tRSTを、1秒間、5秒間、10秒間(No.1)、30秒間に変化させたときの電流値の開始から100秒までの推移を、図11〜14に示す。また、順印加時間tED:0.5秒間に対して、休止期間tRST:10秒間(No.2)の電流値の推移を図15に示す。また、休止期間tRSTに負の電圧を印加した。負の電圧−V2として、LLTOがLi+をほとんど伝導しない1Vに設定した。順印加時間tED:10秒間に対して、−1Vを印加する休止期間tRST:10秒間(No.3)の電流値の推移を図16に示す。また、比較例として、電圧+2Vの連続通電(No.4)時の電流の推移を、図11〜16に破線で表す。
前記の実験のうち、No.1(順印加時間tED:10秒間および印加停止時間tRST:10秒間)、No.2(順印加時間tED:0.5秒間および印加停止時間tRST:10秒間)、No.3(順印加時間tED:10秒間および逆印加時間tRST:10秒間)、ならびにNo.4(比較例)について、回収した水溶液における7Li,6Liの量を誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)装置(Elan drc−e、(株)パーキンエルマー製)で測定し、6Li同位体分離係数を算出し、順印加累計時間3600秒間のLi(7Li+6Li)移動量と共に、表1および図17に示す。
図11〜16に破線で示すように、連続通電においては、印加開始直後の電流値が高く、その後、指数関数的に減少した。これは、印加開始直後にLi+の時間あたりの移動量が多く、同時に電子e-が多く流れたことによる。そして、図11〜15に示すように、電圧を間欠的に印加することにより、印加再開時に電流値が回復した。これはLi+の時間あたりの移動量が多くなったことを示し、電圧の一時停止によって供給槽内のLi含有水溶液と電解質膜におけるLi+の状態が運転開始前の状態に近付いたからと推測される。印加停止時間が長いほど、電流値の回復も大きく、効果が高いといえる。また、図16に示すように、休止期間に逆向きの電圧を印加しても、印加停止と同様の効果が得られた。特に、無印加状態から開始した1回目に対し、2回目以降の方が順印加開始時の電流値が高いことから、負の電圧を印加することによって、電解質膜表面近傍でLi+を高濃度とすることができたと考えられる。なお、逆印加時の初期に−に電流が流れているのは、電解質膜の裏面に吸着していたLi+が電解質膜中に戻って溶解する反応によるものであり、吸着していたすべてのLi+が電解質膜に溶解して電流値が0Aになったと推測される。
電流値が大きい、すなわちLi+の時間あたりの移動量が多い状態を繰り返すことにより、表1および図17に示すように、6Li同位体比の高いLiを回収することができた。特に、順印加時間tEDの短いNo.2は、Liの順印加時間あたりの移動量が多く、6Li同位体分離係数も大きかった。
また、休止期間に負の電圧を印加したNo.3は、同じ10sの休止期間に無印加状態のNo.1よりも6Li同位体分離係数が大きく、休止期間(逆印加時間)に電解質膜表面のLi+6Li同位体比が増加したことが確認された。なお、No.3は、Liの移動量がNo.1よりもわずかに少なかった。これは、順印加期間終了時に電解質膜中に潜り込んでいたLi+が、その次の休止期間において、無印加状態のNo.1と比較して、供給槽の側へ戻り易かった、または回収槽の側へ移動し難かったことによると推測される。
10,10A リチウム同位体濃縮装置
20 多段式リチウム同位体濃縮装置
1,1A 処理槽
11 供給槽(第1槽)
12 回収槽(第2槽)
2 電解質膜(リチウムイオン伝導性電解質膜)
31 第1電極(電極)
32 第2電極(電極)
5,5A 電源装置
50 電源装置
ASi Li含有水溶液
ASo 6Li回収用水溶液
ED 順印加時間(順印加期間)
RST 印加停止時間、逆印加時間(休止期間)

Claims (7)

  1. 第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽を備え、前記第1槽に収容した、6Liと7Liとをリチウムイオンの状態で含有する水溶液から、前記水溶液よりも6Liの同位体比の高いリチウムイオンを含有する水溶液を前記第2槽で回収するリチウム同位体濃縮装置であって、
    前記処理槽を仕切るリチウムイオン伝導性電解質膜と、前記リチウムイオン伝導性電解質膜の両面のそれぞれに接触させて設けられた多孔質構造の電極と、前記電極間に電圧を印加する電源装置と、を備え、
    前記電源装置は、前記第1槽側の電極に、前記第2槽側の電極に対して正の電圧を間欠的に印加することを特徴とするリチウム同位体濃縮装置。
  2. 前記電源装置は、前記正の電圧を印加していない時に、前記第1槽側の電極に、前記第2槽側の電極に対して、前記正の電圧よりも電位差の小さな負の電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載のリチウム同位体濃縮装置。
  3. 前記電源装置は、前記正の電圧を印加している順印加期間と、前記正の電圧を印加していない休止期間と、を周期的に繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリチウム同位体濃縮装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のリチウム同位体濃縮装置の2台以上を、前記処理槽が一体化されるように連結して備える多段式リチウム同位体濃縮装置であって、
    前記リチウム同位体濃縮装置のそれぞれの前記リチウムイオン伝導性電解質膜は、一体化された前記処理槽を3槽以上に仕切るように、互いに離間して配置され、
    隣り合う2台の前記リチウム同位体濃縮装置の一方の前記第2槽が他方の前記第1槽を兼ねていることを特徴とする多段式リチウム同位体濃縮装置。
  5. リチウムイオン伝導性電解質膜で第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽において、前記第1槽に収容した、6Liと7Liとをリチウムイオンの状態で含有する水溶液から、前記水溶液よりも6Liの同位体比の高いリチウムイオンを含有する水溶液を前記第2槽で回収するリチウム同位体濃縮方法であって、
    前記リチウムイオン伝導性電解質膜の両面のそれぞれに接触させて設けられた多孔質構造の電極の前記第1槽側に、前記第2槽側に対して正の電圧を間欠的に印加することを特徴とするリチウム同位体濃縮方法。
  6. 前記正の電圧を印加していない時に、前記第1槽側の電極に、前記第2槽側の電極に対して、前記正の電圧よりも電位差の小さな負の電圧を印加することを特徴とする請求項5に記載のリチウム同位体濃縮方法。
  7. 前記正の電圧を印加している順印加期間と、前記正の電圧を印加していない休止期間と、を周期的に繰り返すことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のリチウム同位体濃縮方法。
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