JP5864682B2 - ペースト状バナジウム電解質の製造方法及びバナジウムレドックス電池の製造方法 - Google Patents

ペースト状バナジウム電解質の製造方法及びバナジウムレドックス電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、バナジウム電解質、その製造方法及びバナジウムレドックス電池に関する。さらに詳しくは、高い蓄電容量や高いエネルギー密度を有するとともに、電解質の抵抗が上がりにくく、イオン伝導性が低下しにくいバナジウム電解質及バナジウムレドックス電池等に関する。
二次電池は、電気を繰り返し充放電することができる環境負荷の小さいエネルギー貯蔵源として注目を集めている。産業用の二次電池としては、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池等が知られている。このうち、バナジウム電解液を用いたレドックスフロー電池は、室温で作動し、活物質が液体で外部タンクに貯蔵できるので大型化が容易であり、他の二次電池の電解液と比べて再生が容易で長寿命である等の利点がある。
レドックスフロー電池は、イオン交換膜で正極と負極に分けられた電解セルを用い、それぞれの電解セルに価数の異なるバナジウムイオン溶液を入れ、そのバナジウムイオン溶液が電解セル内を循環する際にバナジウムイオンの価数が変化することで充放電が行われる循環型のバナジウムレドックス電池である。充放電による化学反応は下記式のとおりであり、正極では式(1)の充放電反応が起こり、負極では式(2)の充放電反応が起こる。なお、式(1)及び式(2)において、放電時は右辺から左辺に向かい、充電時は左辺から右辺に向かう。
Figure 0005864682
レドックスフロー電池で用いるバナジウム電解液は、通常、酸化硫酸バナジウム(VOSO・nHO)を硫酸水溶液に溶解して4価のバナジウムイオン溶液を調製し、そのバナジウムイオン溶液をそれぞれの電解セルで循環させながら電解して価数の異なるバナジウムイオン溶液を得ている。具体的には、正極側では、4価のバナジウムイオン溶液の酸化反応により正極活物質である5価(VO )のバナジウムイオン溶液を調製し、負極側では、4価のバナジウムイオン溶液の還元反応により負極活物質である2価(V2+)のバナジウムイオン溶液を調製している。
レドックスフロー電池で用いるバナジウム電解液については様々な先行技術が報告されているが、バナジウムイオンの価数により硫酸水溶液中での安定性が異なり、バナジウム化合物が析出するという問題があった。特にバナジウムイオンの濃度を高めた場合にバナジウム化合物が析出しやすく、その析出したバナジウム化合物が電解セル内で詰まり、電池の作動を妨げるという問題があった。こうした問題に対し、例えば特許文献1では、バナジウムイオン及び/又はバナジルイオンを含有する硫酸水溶液に、保護コロイド剤、オキソ酸、錯化剤等を添加することによりバナジウム化合物の析出を防ぐことができるとする技術が提案されている。
レドックスフロー電池は、例えば特許文献2に記載のように、1〜2.5mol/Lのバナジウム電解液をタンクに蓄え、蓄えられたバナジウム電解液をポンプで循環して電解セルに供給している。具体的には、図7に示すように、レドックスフロー電池100は、隔膜104で正極セル101Aと負極セル101Bとに分離された電解セル101を備えている。正極セル101Aと負極セル101Bはそれぞれ正極105と負極106を内蔵している。正極セル101Aには正極用電解液を供給及び排出するための正極電解液タンク102が配管107,108を介して接続され、負極セル101Bにも負極用電解液を供給及び排出するための負極電解液タンク103が配管110,111を介して接続されている。正極用電解液は5価と4価のバナジウムイオンの混合液であり、負極用電解液は2価と3価のバナジウムイオンの混合液であり、それらの電解液をポンプ109,112でそれぞれ循環させ、正極105と負極106で上記式(1)(2)に示す充放電を行うように構成されている。
特開平8−64223号公報 特開2002−367657号公報 WO2013−058375号 WO2011−049103号
上記した従来のレドックスフロー電池の蓄電容量は、電解液に溶解しているバナジウムの量によって決まり、そのバナジウムの量は、電解液の体積と、電解液中のバナジウムイオンの濃度とに比例する。そのため、蓄電容量は、バナジウム電解液の総量が多いほど大きくなり、バナジウム電解液中のバナジウムイオン濃度が高いほど大きくなる。また、エネルギー密度も、バナジウム電解液中のバナジウムイオン濃度が高いほど大きくなる。しかし、電解質としてバナジウム電解液を用いる従来のレドックスフロー電池は、電解液の濃度が1〜2mol/L程度であり、蓄電容量やエネルギー密度は高いとはいえない。
蓄電容量やエネルギー密度を高めることについて、本発明者は、特許文献3において、従来問題になっていたスラッジ等の発生を防いだ高濃度バナジウム電解液を提案し、その高濃度バナジウム電解液を用いたバナジウムレドックス電池を提案している。
また、特許文献4では、高い蓄電容量を有しつつ、高いエネルギー密度を有する二次電池を得ることを目的として、負極用の第一のバナジウム化合物と、正極用の第二のバナジウム化合物と、第一及び第二のバナジウム化合物に挟まれたセパレータとを含む固体バナジウム二次電池が提案されている。
しかしながら、上記したバナジウムレドックス電池は、リチウム二次電池に比べて蓄電容量やエネルギー密度は未だ十分ではなく、それらをより高めることが要請されている。さらに、高い蓄電容量や高いエネルギー密度を有するとともに、電解質の抵抗が上がりにくく、イオン伝導性が低下しにくい電解質であることも要請されている。
本発明は、上記要請に応えるためになされたものであって、その目的は、高い蓄電容量や高いエネルギー密度を有するとともに、電解質の抵抗が上がりにくく、イオン伝導性が低下しにくいバナジウム電解質及びその製造方法を提供することにある。また、そのバナジウム電解質を備えたバナジウムレドックス電池を提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明に係るバナジウム電解質は、3.5mol/L以上6.5mol/L以下の濃度範囲のバナジウムイオンと、硫酸イオンと、導電性粉末とを含み、脱泡処理されたペースト状電解質であることを特徴とする。
この発明によれば、上記濃度のバナジウムイオンと硫酸イオンと導電性粉末とを含むペースト状電解質であるので、高い蓄電容量と高いエネルギー密度を有している。また、そのペースト状電解質が脱泡処理されているので、ペースト状電解質に含まれる泡(空気泡)を除去することができ、その結果、泡の存在による導電抵抗の増加を抑制できると共にイオン伝導性の低下も抑制することができる。
本発明に係るバナジウム電解質において、前記ペースト状電解質がリン酸を含んでいてもよい。
この発明によれば、ペースト状電解質がリン酸を含むので、そのリン酸の存在によって、バナジウムイオンが電離しやすくなると共に酸化物等の析出物の発生をより抑制することができる。特に負極用のバナジウム電解質として好ましく用いることができる。
(2)上記課題を解決するための本発明に係るバナジウム電解質の製造方法は、上記本発明に係るバナジウム電解質を製造する方法であって、3.5mol/L以上6.5mol/L以下の濃度範囲のバナジウムイオンを含有するオキソ硫酸バナジウムと、硫酸イオンとを含むペーストに、導電性粉末を練り込み、その後、脱泡処理することを特徴とする。
この発明によれば、上記濃度のバナジウムイオンを含有するオキソ硫酸バナジウム(VOSO)と硫酸イオンとを含むペーストに導電性粉末を練り込んでいるので、高い蓄電容量と高いエネルギー密度を有するペースト状電解質にすることができる。さらに、そのペースト状電解質を脱泡処理しているので、ペースト状電解質に含まれる泡(空気泡)を除去することができ、その結果、泡の存在による導電抵抗の増加を抑制できると共にイオン伝導性の低下も抑制することができるバナジウム電解質を製造できる。
(3)上記課題を解決するための本発明に係るバナジウムレドックス電池は、正極と、上記本発明に係るバナジウム電解質を酸化電解してなる正極用バナジウム電解質と、隔膜と、上記本発明に係るバナジウム電解質を還元電解してなる負極用バナジウム電解質と、負極とをその順で配置した単セル構造を少なくとも含むことを特徴とする。
この発明によれば、高い蓄電容量や高いエネルギー密度を有するとともに、電解質の抵抗が上がりにくく、イオン伝導性が低下しにくいバナジウム電解質を備えたバナジウムレドックス電池を提供することができる。
本発明によれば、高い蓄電容量や高いエネルギー密度を有するとともに、電解質の抵抗が上がりにくく、イオン伝導性が低下しにくいバナジウム電解質及びその製造方法並びにバナジウムレドックス電池を提供することができる。
本発明に係るバナジウムレドックス電池の一例を示す模式的な構成図である。 本発明に係るバナジウムレドックス電池の他の一例を示す模式的な構成図である。 単セル構造を積層した本発明に係るバナジウムレドックス電池の例を示す説明図である。(A)は単セル構造を積層する様子を示す構成図であり、(B)は積層した後にパッケージした形態を示す模式的な構成図である。 本発明に係るバナジウムレドックス電池を、正極を内側にして丸めた筒状電池の一例を示す図である。(A)は中心に炭素棒を配置し、その炭素棒に正極を接触させた例であり、(B)は中心に正極棒を配置した例である。 バナジウムレドックス電池のシステム構成図である。 従来型の正極用電解液及び負極用電解液の製造方法を示す模式図である。 従来の一般的なレドックスフロー電池の原理を説明する模式図である。
本発明に係るバナジウム電解質、その製造方法及びバナジウムレドックス電池について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の技術的範囲は、本発明の要旨を含む範囲であれば以下の実施形態の記載や図面に限定されない。
[バナジウムレドックス電池]
本発明に係るバナジウムレドックス電池10,20は、図1〜図4に示すように、正極1と、正極用バナジウム電解質2と、隔膜3と、負極用バナジウム電解質4と、負極5とをその順で配置した単セル構造を少なくとも含んでいる。
このバナジウムレドックス電池10,20は、正極用バナジウム電解質2と負極用バナジウム電解質4とを有しており、そのバナジウム電解質2,4は、いずれも3.5mol/L以上6.5mol/L以下の濃度範囲のバナジウムイオンを含有し、しかも脱泡処理されたペースト状電解質である。こうしたペースト状電解質からなるバナジウム電解質2,4を備えるバナジウムレドックス電池10,20は、高い蓄電容量と高いエネルギー密度を有している。また、ペースト状電解質が脱泡処理されているので、ペースト状電解質に含まれる泡(空気泡)を除去することができ、その結果、バナジウムレドックス電池10,20は、泡の存在による導電抵抗の増加を抑制できると共に、イオン伝導性の低下も抑制することができる。
以下、バナジウムレドックス電池の各構成要素について説明する。
<バナジウム電解質>
正極用バナジウム電解質2と負極用バナジウム電解質4は、隔膜3を挟んで設けられている。いずれのバナジウム電解質2,4も、3.5mol/L以上、6.5mol/L以下の高い濃度範囲のバナジウムイオンと、硫酸イオンと、導電性粉末とを含んでいる。バナジウム電解質2,4が高い濃度範囲のバナジウムイオンを含むことにより、高い蓄電容量と高いエネルギー密度を実現することができる。
バナジウム電解質2,4は、オキソ硫酸バナジウム(VOSO)と、硫酸イオンと、水とを含んだ水系のペースト状電解質である。オキソ硫酸バナジウムは、電解質中でその全てが溶解していてもよいし、一部が溶解し一部がオキソ硫酸バナジウムとして存在していてもよい。
(製造例)
バナジウム電解質2,4の製造例として、(1)先ず、後に加える硫酸やリン酸等の添加量を考慮し、最終的に出来上がるバナジウム電解質2,4中のバナジウムイオン濃度が3.5mol/L以上、6.5mol/L以下の濃度範囲になるように調整したオキソ硫酸バナジウム溶液を準備する。準備したオキソ硫酸バナジウム溶液は、オキソ硫酸バナジウムと水とを含んでいる。水の含有量は、最終的に出来上がるバナジウム電解質2,4中のバナジウムイオン濃度を考慮するとともに、最終的に出来上がったペースト状のバナジウム電解質2,4の粘度を考慮して調整される。水の含有量は、バナジウムイオン濃度が高い場合に相対的に少なくなり、バナジウムイオン濃度が低い場合には相対的に多くなる。また、最終的に出来上がったペースト状のバナジウム電解質2,4の粘度が大きくて流動しにくい場合には、混練りや脱泡を行いにくいので、水の量を相対的に多くすることが好ましい。
(2)次に、準備したオキソ硫酸バナジウム溶液に導電性粉末を加える。導電性粉末としては、耐酸性の電気伝導性粉末であれば各種の材料を用いることができ、具体的には、黒鉛(グラファイト)、グラフェン等の炭素材料等を好ましく挙げることができる。導電性粉末の大きさは、例えば400メッシュ以上のふるいをかけた導電性粉末であってもよいし、平均粒径で例えば300μm以上、700μm以下程度の範囲内のものであってもよく、任意に選択して用いることができる。
導電性粉末の配合割合はその種類によっても異なるが、炭素材料を用いた場合には、最終的に出来上がるバナジウム電解質2,4の全容量に対して5容量%以上、30容量%以下の範囲内であればよい。この範囲内の炭素材料を配合して得た混合物は、その後に混練処理することにより、良好な導電性を持つ導電ペーストになる。混練処理して得られた導電ペーストは、導電性が付与されているので、その後の電解処理時にバナジウムイオンの酸化又は還元を容易に行うことができる。なお、この段階での導電性の目安は、およそ1.5Ω以下の範囲内であることが好ましく、この程度を目安として導電性粉末を配合することが好ましい。
なお、導電性粉末は、電解処理前のこの段階で全量加えてもよいし、この段階ではその一部を加え、残りは電解処理後に加えてもよい。全量をこの段階で加える場合は、導電性粉末をオキソ硫酸バナジウム溶液に配合してなる混合物の流動性が著しく低下せずに、その後の取り扱いに支障が出ない場合である。この段階で一部のみを加える場合は、全量加えることによって混合物の流動性が著しく低下し、その後の取り扱いに支障がでる場合である。例えば、この段階で、上記全容量に対して5容量%以上、15容量%以下の範囲内で加えることができる。
(3)次に、オキソ硫酸バナジウム溶液に導電性粉末を加えた混合物を混練装置で混練処理する。この混練処理によって、オキソ硫酸バナジウム溶液と導電性粉末とが均一に混ざり合った導電ペーストが得られる。混練装置は特に限定されず、各種のものを用いることができる。
この混練処理時には、併せて脱泡処理することが望ましい。脱泡処理は、導電ペーストに含まれる泡(空気泡)を除去するための処理である。脱泡処理としては、減圧装置付きの混練装置を用いて、混練りと同時に脱泡してもよいし、混練りした後の導電ペーストを減圧装置に投入して脱泡してもよい。減圧は、130Pa(1Torr)以上、1300Pa(10Torr)以下の程度の圧力にすることが好ましい。導電ペーストの粘度にもよるが、上記範囲内の圧力で減圧することにより、導電ペーストに含まれる泡を脱泡することができる。脱泡処理は、導電ペーストに含まれる泡(空気泡)を除去することができ、その結果、泡の存在による導電ペーストの導電抵抗の増加を抑制できると共に、導電ペーストのイオン伝導性の低下も抑制することができる。なお、脱泡処理は、この段階で行うことが好ましいが、この段階で行わずに後で行ってもよい。
また、減圧による脱泡処理は、導電ペーストに含まれる泡(空気泡)を除去することができ、導電ペーストに含まれる酸素の含有量を実質的に低減することができる。導電ペーストに含まれる酸素の含有量が低減することにより、バナジウム電解質は、酸素の存在による不利益を避けることができる。特に負極用バナジウム電解質は、そのバナジウム電解質に含まれる酸素が少ないので、その酸素に起因した酸化が小さくなり、還元反応が進みやすくなるという利点がある。
(4)次に、導電ペーストを電解処理する。電解処理は、得られた導電ペーストを二分し、一方を酸化電解装置に入れ、他方を還元電気装置に入れる。酸化電解装置に入れた導電ペーストを酸化電解することにより、正極用のバナジウム電解質2を得ることができ、還元電解装置に入れた導電ペーストを還元電解することにより、負極用のバナジウム電解質4を得ることができる。
電解処理は、窒素等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。不活性雰囲気は、可能な限り封止した電解装置内に窒素等の不活性ガスを導入させることにより実現できる。導電ペーストは、不活性雰囲気の電解装置内で機械撹拌されながら電解処理される。
電解処理は、各種の方法で行うことができる。例えば、(i)導電ペーストをアノード側とし、硫酸ナトリウム等のダミー電解液をカソード側として、導電ペーストに含まれるバナジウムイオンの酸化(V4+→V5+)を単独で行ってもよいし、(ii)導電ペーストをカソード側とし、硫酸ナトリウム等のダミー電解液をアノード側として、導電ペーストに含まれるバナジウムイオンの還元(V4+→V2+、V3+)を単独で行ってもよいし、(iii)導電ペーストをアノード側とカソード側の両方に入れて、両者に含まれるバナジウムイオンをそれぞれ酸化(V4+→V5+)、還元(V4+→V2+、V3+)してもよいし、(iv)最初に、導電ペーストをカソード側とし、硫酸ナトリウム等のダミー電解液をアノード側として、導電ペーストに含まれるバナジウムイオンをある程度還元(V4+→V3+)し、その後、ある程度還元した導電ペーストをそのままカソード側とし、電解していない別の導電ペーストをアノード側として、両者に含まれるバナジウムイオンをそれぞれ還元(V3+→V2+)、酸化(V4+→V5+)してもよい。なお、ダミー電解液の電解は、循環させながら行うことが好ましい。循環させながら行うダミー電解液の電解方法では、電極として鉛電極又は耐酸性金属(白金電極又は白金被覆チタン電極)等を用いることが好ましい。
効率的な電解処理の例としては、(iv)の方法を挙げることができる。(iv)の方法は、最初に、導電ペーストを負極側とし、希硫酸若しくは硫酸ナトリウム等のダミー電解液を正極側として、導電ペーストに含まれるバナジウムイオンをある程度還元(V4+→V3+)する。このときの正極と負極と間の印加電圧は、1.5V以上、1.7V以下程度、好ましくは約1.6Vであることが好ましい。また、このときに流れる電流密度は、2mA/cm以上、8mA/cm以下の範囲内であることが好ましく、3mA/cm以上、5mA/cm以下の範囲内であることがより好ましい。「ある程度還元」は、電極電位測定器で測定した電位(ORP)の目安として、200mV以上、150mV以下の範囲内に到達するまで還元することが好ましい。なお、電極電位測定器は、電極電位を一定時間毎又はリアルタイムで測定でき、銀−塩化銀電極を参照電極として測定する測定器である。なお、ダミー電解液は、希硫酸若しくは硫酸ナトリウム等の電解液を用いることができ、そのダミー電解液の電位は、およそ1000mV以下で管理することが好ましい。
導電ペーストを200mV〜150mVの範囲内に到達するまで還元することにより、導電ペーストに含まれるバナジウムイオンはある程度還元(V4+→V3+)する。その後、アノード側のダミー電解液を抜き、代わりに別の導電ペーストを投入し、同様に電解を行って、両者に含まれるバナジウムイオンをそれぞれ還元(V3+→V2+)、酸化(V4+→V5+)する。このときの正極と負極と間の印加電圧は、1.5V〜1.7V程度、好ましくは約1.6Vであることが好ましい。また、このときに流れる電流密度は、4mA/cm以上、12mA/cm以下の範囲内であることが好ましく、5mA/cm以上、10mA/cm以下の範囲内であることがより好ましい。
この電解中、アノード電位(ORP)が800mV〜900mVの範囲内に到達した段階で、アノード側の導電ペーストに、硫酸や塩酸等の添加剤を投入することが好ましい。硫酸は、得られたバナジウム電解質2,4のイオン伝導性や電子伝導性を高めることができ、塩酸は、その存在によって、バナジウムイオンが電離しやすくなると共に酸化物等の析出物の発生をより抑制することができ、特に負極用のバナジウム電解質として好ましく用いることができる。また、塩酸を必要に応じて加えてもよい。添加剤の投入は機械撹拌を継続しつつ行い、添加剤を添加した後もさらに引き続いて電解を行う。電解の終点の目安としては、カソード電位(ORP)が約100mVに到達した時点とすることができる。カソード側の導電ペーストに、硫酸やリン酸の添加剤を投入することが好ましい。硫酸は、得られたバナジウム電解質2,4のイオン伝導性や電子伝導性を高めることができ、リン酸は、その存在によって、バナジウムイオンが電離しやすくなると共に酸化物等の析出物の発生をより抑制することができ、特に負極用のバナジウム電解質として好ましく用いることができる。
(5)電解を終了した後、アノード側の導電ペーストは、正極用のバナジウム電解質2となり、カソード側の導電ペーストは、負極用のバナジウム電解質4となる。負極用のバナジウム電解質4には、この段階で硫酸やリン酸等の添加剤を投入することが好ましい。上記同様、硫酸は、得られたバナジウム電解質2,4のイオン伝導性や電子伝導性を高めることができ、リン酸は、酸化物の発生を抑制することができるという利点がある。添加剤の投入は機械撹拌しながら行う。
(6)得られたバナジウム電解質2,4は、必要に応じて、不活性雰囲気中で価数調整を行うことが好ましい。価数調整は、所定の電気量を逆電解したり、例えば正極用バナジウム電解質2の一部を負極用バナジウム電解質4に混ぜたり、例えば負極用バナジウム電解質4の一部を正極用バナジウム電解質2に混ぜたりして行うことができる。こうした価数調整により、正極用バナジウム電解質2は、バナジウムイオンの価数がおよそ4価になるように調整し、負極用バナジウム電解質4は、バナジウムイオンの価数がおよそ3価になるように調整することが好ましい。この価数調整も不活性雰囲気中で行うことが望ましい。
(7)必要に応じて行う価数調整後、上記した導電性粉末の残りを各バナジウム電解質2,4に投入し、最終的に出来上がるバナジウム電解質2,4の全容量に対して、導電性粉末を5容量%以上、30容量%以下の範囲内にすることができる。こうした製造例により、いずれも3.5mol/L以上6.5mol/L以下の濃度範囲のバナジウムイオンを含有し、しかも脱泡処理されたペースト状電解質であるバナジウム電解質2,4を製造することができる。このバナジウム電解質2,4を備えるバナジウムレドックス電池10,20は、高い蓄電容量と高いエネルギー密度を有し、また、ペースト状電解質が脱泡処理されているので、ペースト状電解質に含まれる泡(空気泡)を除去することができ、その結果、バナジウムレドックス電池10,20は、泡の存在による導電抵抗の増加を抑制できると共に、イオン伝導性の低下も抑制することができる。
なお、硫酸やリン酸等の添加剤は、それぞれの作用効果を奏する程度に配合されていればよく特に限定されない。例えば、硫酸は、3mol/L以上、5mol/L以下の範囲内であることが好ましく、リン酸は、0.5mol/L以上、2mol/L以下の範囲内であることが好ましい。
一例として、5mol/Lのバナジウムイオンを含むバナジウム電解液を各50mL作製する場合、先ず、電解装置として、鉛電極を酸化電解用電極としで酸化セルにセットし、炭素電極を還元電極用電極とし還元セルにセットし、酸化セルと還元セルとを隔膜でセパレートする。酸化セル内にVOSOを120g、純水を30mLそれぞれ投入し、酸化セル内を撹拌装置で撹拌し、ペースト状にする。一方、還元セル内に3mol/Lの希硫酸をダミー電解液として入れ、その希硫酸をポンプ循環する。この電解装置を用い、上記した電位条件にしたがって、正極用のペースト状バナジウム電解液と負極用のペーストバナジウム電解液とを製造することができる。この製造過程では、硫酸16mL、導電性粉末2g、10%リン酸5mLを投入して製造することができる。
なお、ORP計としては、銀−塩化銀電極(ORP−SOTA、株式会社佐藤商事)等を用いることができ、酸化還元滴定装置としては、過マンガン酸による自動的滴定装置(GT−200型、三菱化学株式会社)等を用いることができる。
<電池の形成>
得られたペースト状のバナジウム電解質2,4は、図1に示すように、正極1や負極5に塗って設けてもよいし、正極1や負極5にキャパシタ(図示しない。以下同じ。)が設けられている場合にはそのキャパシタ上に塗って設けてもよいし、隔膜3上に塗って設けてもよい。
また、図2に示すように、セルフレーム2a,4aを正極1や負極5に押し当てた状態でそのセルフレーム2a,4aの枠内に塗って設けてもよいし、正極1や負極5にキャパシタが設けられている場合にはそのキャパシタ上にセルフレーム2a,4aを押し当てた状態でセルフレーム2a,4aの枠内に塗って設けてもよいし、隔膜3上セルフレーム2a,4aを押し当てた状態で塗って設けてもよい。セルフレーム2a,4aの材質や大きさは、問題なく使用可能な材質や大きさのものであれば特に限定されない。
なお、セルフレーム2a,4aの面内方向の幅を変えてバナジウム電解質2,4の面積を調整し、出力電流値等を調整してもよい。また、セルフレーム2a,4aの厚さを変えてバナジウム電解質2,4の体積を調整し、出力電流値等を調整してもよい。
<隔膜>
隔膜3は、正極用バナジウム電解質2と負極用バナジウム電解質4との間に設けられている。この隔膜3は、充放電時に、プロトン(陽イオン)である水素イオン(H)等を正極用バナジウム電解質2と負極用バナジウム電解質4との間で選択的に透過させることができ、一方、バナジウムイオンは透過させない膜である。隔膜3としては、例えば、イオン交換膜等の耐酸性の隔膜を好ましく用いることができる。一例としては、ナフィオン117(登録商標、デュポン社)、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜、炭化水素系膜等を挙げることができる。隔膜3の厚さは特に限定されないが、例えば、0.1mm以上、0.5mm以下の程度である。
<正極、負極>
正極1と負極5は、単セル構造の両端に配置され、単セル構造の必須の構成要素として設けられている。正極1と負極5の構成材料としては、例えば、金や白金等の耐酸性金属;金等の耐酸性金属をめっきした金属;炭素等の耐酸性皮膜を施した金属;銅やアルミニウム等の金属;導電性の良好な非液透過性を有する炭素シート(グラフォイル等);アルミニウム箔に高導電性微粒カーボンをコーティングしたカーボンコート箔;等を挙げることができる。正極1と負極5は、同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。例えば、正極1をアルミニウムとし、負極5を銅にしてもよい。
正極1と負極5は、電解質やイオンを通過させない形状及び材料であることが必要である。正極1の電気抵抗は、1Ω以下であることが好ましく、小さければ小さいほど好ましい。また、正極1の大きさや形状は特に限定されないが、正極1がシート状である場合、その厚さは0.015mm以上、1mm以下の程度であることが好ましい。
正極1と負極5は、双極板として設けられていてもよい。双極板は、単セル構造を直列接続するように積層したバナジウムレドックス電池20の場合に適用でき、上記した正極1と負極5とを別々に設けたものではなく、その双極板の片面を正極とし、他の面を負極にして作用させるものである。
なお、正極1や負極5には必要に応じて集電板(図示しない)が設けられていてもよい。集電板は、複数の単セル構造が直列接続された場合に、その全体の端部(両端部)に必要に応じて配置されていてもよい。集電板は、充電電力の供給電極として、また放電電力の取り出し電極として機能する。集電板の材質は、例えば銅板等を挙げることができ、その厚さは特に制限されないが、板状の場合には0.3mm以上、0.5mm以下の程度とすることができる。また、図4(A)に示す円筒状の電池の場合には、直径3mm程度の棒状電極を採用することができる。この集電板には、入力又は取り出しのための接続端子(図示しない)が設けられていてもよい。集電板や接続端子の材質は特に限定されないが、耐酸性金属が好ましく用いられ、例えば白金、白金被覆チタン電極、ステンレス鋼等を挙げることができる。
<電気化学キャパシタ>
電気化学キャパシタ(図示しない)は、正極1とバナジウム電解質2との間、及び/又は、負極5とバナジウム電解質4との間に設けられていることが好ましい。電気化学キャパシタは、電極(正極1、負極5)とバナジウム電解質2,4との界面において、電極と電解質中のイオンとの間で電子の授受が伴わない非ファラデー反応、又は電子の授受を伴うファラデー反応に起因して発現する容量を利用したキャパシタである。こうした電気化学キャパシタは、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ、及びハイブリッドキャパシタに大別され、これらから任意に選択して用いることができる。こうした電気化学キャパシタは、低電流での静電容量の低下を防ぎ、高効率な大電流での高速充放電を可能にした分極性電極を提供できる点で有利である。
電気化学キャパシタのうち、例えば電気二重層キャパシタは、電極とバナジウム電解質中のイオンとの間で電子の授受が行われず(非ファラデー反応)、物理的なイオンの吸脱着によって容量が形成される。具体的には、活性炭やカーボン材料(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー)で形成したフェルト材料に、水系(硫酸水溶液等を添加したもの)や、有機系(プロピレンカーボネート等の有機溶媒に、第四級アミアンモニウム塩等の電解質を添加したもの)等を挙げることができる。
[電池の形態]
バナジウムレドックス電池20Bは、図3に示すように、単セル構造を積層したものであってもよい。図3に示すバナジウムレドックス電池20Bは、正極1と、正極用バナジウム電解質2と、隔膜3と、負極用バナジウム電解質4と、負極5とをその順で配置した単セル構造が、3つ積層した形態を示している。積層数は特に限定されず、2以上であればよく、積層数を増すことによって直列接続になり、出力電圧をその積層数を乗じた値に高めることができる。なお、図3(B)に示すように、積層したバナジウムレドックス電池20Aを、絶縁性ケーシング21,22で収納して、電池パック等として使用してもよい。
また、バナジウムレドックス電池20B,20Cは、既存の乾電池のような形態にすることができる。具体的には、図4(A)に示すように、プラス電極となる炭素棒6を中心(芯)にして、その周りにバナジウムレドックス電池を設けてもよい。具体的には、炭素棒6の側から、正極1、正極用バナジウム電解質2、隔膜3、負極用バナジウム電解質4、負極5の順で配置することができる。また、シート状のバナジウムレドックス電池を炭素棒6を中心にして丸めて構成してもよい。また、図4(B)に示すように、炭素棒を使用せずに、正極1を棒状にして中心に配置し、その正極1の側から、正極用バナジウム電解質2、隔膜3、負極用バナジウム電解質4、負極5の順で配置してもよい。
また、正極用ペースト状電解質を塗布した正極と、負極用ペースト状電解質を塗布した負極を、隔膜を介して積層し、それらを真空パック用シートに入れ、外部との接続端子を真空パック外に引き出すようにして、真空パックしながらシートをシール処理したシート状電池としてもよい。
[充放電制御]
構成されたバナジウムレドックス電池のセル電圧は、バナジウムイオンの酸化還元電位に起因するため、例えば、1.4V〜1.6Vの範囲であり、おおむね1.45V程度である。また、バナジウムレドックス電池の出力電流値は、隔膜3の面積や、水素イオン(H+)の交換効率にも起因するが、例えば、30mA/cm〜120mA/cmの範囲であり、おおむね50mA/cmである。
こうした出力特性を持つバナジウムレドックス電池は、図5示す充放電制御システムによって作動する。図5示す充放電制御システムは、バナジウムレドックス電池と、そのバナジウムレドックス電池に直流を供給する交流直流変換装置と、その交流直流変換装置を制御する充放電制御装置(以下、システムコントローラーともいう。)とで少なくとも構成されている。
交流直流変換装置は、図5に示すように、バナジウムレドックス電池を充電するための直流電力をバナジウムレドックス電池に供給するとともに、バナジウムレドックス電池が放電した直流電力を負荷電源に供給するための装置である。交流直流変換装置は、バナジウムレドックス電池に電力を供給する充電電源の種類や、バナジウムレドックス電池から電力を受け取る負荷電源の種類に応じ、AC−DC変換機能、DC−AC変換機能、又はDC−DC変換機能を任意に備えている。
(充電制御)
交流直流変換装置には、商用交流電源からの交流電圧又は発電機で発電された交流電圧が入力される。入力された交流電圧は、交流直流変換装置内のAC−DC変換機能により、バナジウムレドックス電池での充電を高効率で安全に行うために必要な直流電力に変換される。
充電に必要な直流電力は、充電時の充電電圧を常時監視し、制限電圧及び制限電流を超えないようにシステムコントローラーで制御される。そうした制限電圧は、単セル構造あたり概ね1.7Vを上限とし、直列接続した単セル構造の数に応じて決定される。例えば、20個の単セル構造を直列接続した場合には、約34Vの充電電圧を上限として一定電圧が印加される。一方、制限電流は、1セル(単セル構造)あたり概ね50mA/cmを上限とし、セルの有効面積と並列接続の数とを考慮して設定される。通常、0.5CA以上、1CA以下の範囲で設定される。
このように、定電圧で充電する場合及び定電流で充電する場合のいずれも、充電電圧は、単セル構造あたり約1.7Vを上限とし、充電電流は、単セル構造あたり50mA/cmが上限になるように制御される。こうした制御によって、各単位セルで均等な充電が行われ、局部的に大電流が印加されるのを防ぐことができる。その結果、正極側で過酸化状態になるのを防いで過酸化バナジウム等のスラッジが発生するのを防ぐことができ、負極側でもスラッジが発生するのを防ぐことができる。なお、通常、0.8V以上、1.6V以下の範囲の充電電圧で行われる。
充電制御は定電流又は定電圧のいずれかで行うが、定電流充電の場合は電圧変動をモニタリングして電流値を可変させ、一方、定電圧充電の場合は電流変動をモニタリングして電圧値を可変させることにより、安定で効率的な充電を行う。また、定電流充電と定電圧充電とを任意に複合させた複合充電であってもよい。複合充電としては、例えば、最初に定電流充電を1段階で又は多段階で行い、その後に、定電圧充電を1段階で又は多段階で行ってもよいし、最初に定電圧充電を1段階で又は多段階で行い、その後に、定電流充電を1段階で又は多段階で行ってもよい。
(放電制御)
交流直流変換装置は、バナジウムレドックス電池で充電された電力を、下流側に接続された負荷に出力する。「負荷」は特に限定されないが、家庭用家電機器であってもよいし、工場の製造装置であってもよいし、屋外の公共設備であってもよい。交流直流変換装置は、交流直流変換装置内のDC−AC変換機能又はDC−DC変換機能により、負荷の種類に応じて、安定化した交流電圧又は直流電圧として出力する。
放電電圧の制御は一般的な制御手段を適用でき、例えば、バナジウムレドックス電池の構成や出力インバーターの動作に合わせて放電深度が深められる。この放電深度は、電池の放電状態を表す数値であり、一般に定格容量に対する放電量の比を百分率で表したものである。放電深度を深めるためには、DC−DCコンバータによって動作範囲が広がるように調製される。また、放電時には、バナジウムレドックス電池で放電特性、すなわち放電時の放電電流、放電電圧、放電時間等が考慮され、放電持続時間、放電電力量(Wh)、放電終止電圧等が制御される。
1 正極
2 正極用バナジウム電解質
2a セルフレーム
3 隔膜
4 負極用バナジウム電解質
4a セルフレーム
5 負極
6 炭素棒
10,20 バナジウムレドックス電池
21 絶縁シート
22 絶縁ケーシング
100 レドックスフロー電池
101 電解セル
101A 正極セル
101B 負極セル
102 正極電解液タンク
103 負極電解液タンク
104 隔膜
105 正極
106 負極
107,108 配管
109,112 ポンプ
110,111 配管

Claims (4)

  1. 3.5mol/L以上6.5mol/L以下の濃度範囲のバナジウムイオンと、硫酸イオンと、導電性粉末とを含み、脱泡処理されたペースト状バナジウム電解質の製造方法であって、
    調整後の濃度が3.5mol/L以上6.5mol/L以下の濃度範囲になるバナジウムイオンを含有するオキソ硫酸バナジウム溶液と導電性粉末とを練り込んだペーストを脱泡処理し、その後、硫酸イオンを加えることを特徴とするペースト状バナジウム電解質の製造方法。
  2. 前記バナジウム電解質において、負極用バナジウム電解質がリン酸を含む、請求項1に記載のペースト状バナジウム電解質の製造方法。
  3. 前記バナジウム電解質において、正極用バナジウム電解質が塩酸を含む、請求項1又は2に記載のペースト状バナジウム電解質の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で製造されたペースト状バナジウム電解質を準備し、
    正極と、隔膜と、負極と、前記正極と前記隔膜との間に塗布してなる正極用ペースト状バナジウム電解質と、前記負極と前記隔膜との間に塗布してなる負極用ペースト状バナジウム電解質とを少なくとも含むように配置することを特徴とするバナジウムレドックス電池の製造方法
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