JP2015051421A - 炭素電極で構成した海水などの電気透析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属電極で構成する海水などの電気透析装置における、大量の塩素ガス発生、金属極の腐食・劣化を低減すると共に、高エネルギー効率の電気透析装置を提供する。【解決手段】電気透析装置を、環境性、資源性、耐腐食性に優れた炭素・活性炭を正極(塩素イオン吸収)13、および負極(水素イオン吸収)12として構成し、透析過程で電力を充電することにより、有害な塩素ガス発生、装置の長期透析サイクル性を実現すると共に、透析電力の蓄電機能を利用した高いエネルギー効率の透析装置を実現する。【選択図】図7
Description
本発明は正極および負極を全て電気伝導性活性炭で構成した蓄電能力を有する低コスト電気透析装置に関するものである。
<従来の透析装置の現状>
従来、海水などの電気透析装置は耐腐食性の正負の金属系電極、陽イオンおよび陰イオン透過膜などで構成され、外部電源から正極―負極間に電流を通電し、塩素イオンおよびNaイオンを正極、負極に高濃度で集め、脱塩する手法が採られている。また、電流通電をせず、塩素イオン濃度差による浸透圧効果を利用した手法も開拓されている。
従来、海水などの電気透析装置は耐腐食性の正負の金属系電極、陽イオンおよび陰イオン透過膜などで構成され、外部電源から正極―負極間に電流を通電し、塩素イオンおよびNaイオンを正極、負極に高濃度で集め、脱塩する手法が採られている。また、電流通電をせず、塩素イオン濃度差による浸透圧効果を利用した手法も開拓されている。
上記した2種類の方式はそれぞれ長所と短所を持っている。外部電源による方式は高速で高い透析効率をもつが、高コストであり、電極の腐食劣化があり、長期間サイクル動作などが課題である。また正極から有毒の塩素ガスの発生の問題も克服されていなし。一方、浸透圧方式は、電力コストは不要であり経済的であるが、高速且つ大規模、大容量の透析層装置の実現に課題がある。海水などの透析技術は現在は地球規模の課題となっており、大容量且つ環境性にすぐれた低コストの透析装置の実用開発が緊急の課題となっている。
<電気伝導性・活性炭電極の特異な機能>
本発明の電気透析装置は、従来の金属系電極とは異なり、透析装置の正極と負極を全て炭素・活性炭電極で構成するものである。電気伝導性と超多孔質性を有する炭素・活性炭電極の特徴は、塩素などのハロゲン元素イオンの吸着性に優れ、且つ水素(イオン)吸蔵機能も有していることである。
本発明の電気透析装置は、従来の金属系電極とは異なり、透析装置の正極と負極を全て炭素・活性炭電極で構成するものである。電気伝導性と超多孔質性を有する炭素・活性炭電極の特徴は、塩素などのハロゲン元素イオンの吸着性に優れ、且つ水素(イオン)吸蔵機能も有していることである。
炭素活性炭は塩素、ヨウ素などのハロゲン元素の吸着能力は高いことは、活性炭の内部細孔面積が極めて大きいことを反映しており、この広大な炭素内部の壁に気体中の水分やハロゲン元素気体が吸着するものである。本発明は基本的にこの高い吸着能力を利用するものであるが、従来の活性炭が空気中の各種ガス吸着をするのに対し、海水などの液体中で、イオン形態で吸着させる手法をとることが従来手法と異なる特徴である。
<海水中の塩素・水素イオンの電気的吸着>
活性炭電極内部へ海水などの塩素イオンを高濃度に吸着させるために、外部電源による電流通電の手法をとる。海水を電界液とした外部からの電流のキャリアは、負の塩素イオン(Cl−)と正のナトリウムイオン(Na+)であることから、外部からの電力にたいして高効率で海水の脱塩、および脱ナトリウムイオンが可能となる。
活性炭電極内部へ海水などの塩素イオンを高濃度に吸着させるために、外部電源による電流通電の手法をとる。海水を電界液とした外部からの電流のキャリアは、負の塩素イオン(Cl−)と正のナトリウムイオン(Na+)であることから、外部からの電力にたいして高効率で海水の脱塩、および脱ナトリウムイオンが可能となる。
本発明の2番目の特徴は炭素(活性炭)正極に電流通電で吸着した高濃度の塩素イオンは、外部電流を停止すると、今度は海水中へ再度塩素イオンを放出する性質があることである。この再放出により、炭素極は塩素フリーの最初の透析前の状態に戻り、このサイクルを繰り替えすことで、極めて長期間のサイクルで透析が可能となる。
<蓄電地機能>
一方、負極の活性炭は、Naイオンを引き寄せ、そこでH2Oと反応してNaから水素イオンへ変換され負極炭素へ吸着する。つまり負極はNaではなく水素イオンの貯蔵場所となり、透析のための電流通電が終わると、今度は水素イオンを再放出することになる。この負極からの水素(イオン)と正極からの塩素(イオン)の放出が同時に進行するために、装置の外部負荷へ電流を駆動する電池として働くことになる。この過程は逆透析過程であり、透析装置を大きな2次電池とすると、まさに充電された電池からの外部負荷への放電過程となる。逆透析過程で発生する電力を有効に利用するシステム構成をとることで、エネルギー効率の優れた電気透析装置が可能となる。
一方、負極の活性炭は、Naイオンを引き寄せ、そこでH2Oと反応してNaから水素イオンへ変換され負極炭素へ吸着する。つまり負極はNaではなく水素イオンの貯蔵場所となり、透析のための電流通電が終わると、今度は水素イオンを再放出することになる。この負極からの水素(イオン)と正極からの塩素(イオン)の放出が同時に進行するために、装置の外部負荷へ電流を駆動する電池として働くことになる。この過程は逆透析過程であり、透析装置を大きな2次電池とすると、まさに充電された電池からの外部負荷への放電過程となる。逆透析過程で発生する電力を有効に利用するシステム構成をとることで、エネルギー効率の優れた電気透析装置が可能となる。
<電気伝導性・活性炭電極>
本発明で使用する炭素・活性炭は多孔質性に加えて電気伝導性をもつことが要求される。電気抵抗率は小さいほどジュール損失が低減し効率が向上するが、数Ωcm以下であれば実用な透析の電力効率(>60%)が可能である。本実験では、0.5Ωcm領域の活性炭で実験を行っている。
本発明で使用する炭素・活性炭は多孔質性に加えて電気伝導性をもつことが要求される。電気抵抗率は小さいほどジュール損失が低減し効率が向上するが、数Ωcm以下であれば実用な透析の電力効率(>60%)が可能である。本実験では、0.5Ωcm領域の活性炭で実験を行っている。
<活性炭のサイクル資源性>
本実験で使用した活性炭は、木材粉末やヤシガラなどの植物由来の活性炭を高温炭化して製造したものを主に使用した。バイオ資源以外の石炭などの鉱物資源由来の活性炭も電気伝導性とガス吸着のための多孔質性があれば電極として用いることはいうまでもない。しかし、バイオ資源由来の電気伝導性活性炭は、再生可能な炭素であり、かつ低コストであることから、本実験では主にバイオ資源由来の電気伝導性活性炭にて実験を進めている。
本実験で使用した活性炭は、木材粉末やヤシガラなどの植物由来の活性炭を高温炭化して製造したものを主に使用した。バイオ資源以外の石炭などの鉱物資源由来の活性炭も電気伝導性とガス吸着のための多孔質性があれば電極として用いることはいうまでもない。しかし、バイオ資源由来の電気伝導性活性炭は、再生可能な炭素であり、かつ低コストであることから、本実験では主にバイオ資源由来の電気伝導性活性炭にて実験を進めている。
透析過程で蓄積した炭素正極および負極からの塩素イオン、水素イオンの放出は、大型の炭素蓄電池(透析装置)の能力が本装置にはあることは前に説明したが、この放電過程は、逆透析過程であり、その時の海水(電解液)は、透析過程で淡水化された海水ではなく、新たな塩素濃度の高い海水でなければ意味がない。つまり透析過程で脱塩された淡水は取り出し、新たな海水を入れて逆透析させなければならない。このため、本装置は、透析―逆透析を同時行うペアーの透析(逆透析)装置で構成し、サイクル的に透析―逆透析を繰り返すプロセスをとることになる。
<環境性>
本透析装置は、優れた資源性と低コスト性を特徴とするが、有害な塩素ガスの発生を抑制できることから、自然環境面においても大きな優位性を合わせ持っている。
本透析装置は、優れた資源性と低コスト性を特徴とするが、有害な塩素ガスの発生を抑制できることから、自然環境面においても大きな優位性を合わせ持っている。
本発明の電気透析装置は、従来から課題となっている透析過程での有毒な塩素発生や金属系電極の腐食・劣化の問題および資源・コストの課題などを克服する。
上記した課題を解決するために、ステンレスなどの金属系電極に代わる多孔質性と電気伝導性を持つ炭素活性炭により両電極を構成する。この炭素電極は、Ptなどの触媒添加なしで、外部電源からの電力の投入で、海水中の塩素イオン(Cl−)を炭素正極へ吸着させ、ナトリウムイオン(Na+)を負極炭素近傍へ集め、水素イオンへ交換して炭素に吸着させ、効率的な電気透析を行う。
<蓄電機能の利用>
両極を炭素活性炭で構成した本装置の外部電流による透析過程は、炭素正極と負極、電解液(海水)およびイオン交換膜で構成された蓄電池の充電過程に対応する。電気透析過程で蓄電された電力を、逆透析過程で外部回路に駆動する電池として作動する。この充電(透析)―放電(逆透析)機能を有する2次電池特性を有効に活用することで、本透析装置のエネルギー効率を向上させることが可能となる。
両極を炭素活性炭で構成した本装置の外部電流による透析過程は、炭素正極と負極、電解液(海水)およびイオン交換膜で構成された蓄電池の充電過程に対応する。電気透析過程で蓄電された電力を、逆透析過程で外部回路に駆動する電池として作動する。この充電(透析)―放電(逆透析)機能を有する2次電池特性を有効に活用することで、本透析装置のエネルギー効率を向上させることが可能となる。
<透析―逆透析過程の化学反応>
本発明の透析装置の透析プロセスを電池の充電過程としてみるとき、以下の反応プロセスが対応する。
{透析プロセス = 充電プロセス}
正極:2Cl− ⇒ Cl2(炭素極吸着)
負極:2Na+ +H2O ⇒ NaOH+H2(一部炭素極吸着)
透析過程(充電過程)で正極および負極炭素に吸蔵された塩素、水素イオンが逆透析過程で塩素イオンと水素イオンを再放出し蓄電池として放電を行う。この電池の電圧は約0.8−1.0Vで、電気容量値は炭素1kgあたり1−3Ah/kg以上の畜電能力が検証されている。
本発明の透析装置の透析プロセスを電池の充電過程としてみるとき、以下の反応プロセスが対応する。
{透析プロセス = 充電プロセス}
正極:2Cl− ⇒ Cl2(炭素極吸着)
負極:2Na+ +H2O ⇒ NaOH+H2(一部炭素極吸着)
透析過程(充電過程)で正極および負極炭素に吸蔵された塩素、水素イオンが逆透析過程で塩素イオンと水素イオンを再放出し蓄電池として放電を行う。この電池の電圧は約0.8−1.0Vで、電気容量値は炭素1kgあたり1−3Ah/kg以上の畜電能力が検証されている。
本発明は、資源性、環境性に優れた活性炭素極からなる電気透析装置を提供する。この透析装置は、透析過程で発生する塩素ガスを抑制し、また蓄電地機能を有することから太陽電池などの外部電源による透析電力を軽減させることができる。
<電気伝導性活性炭>
電気伝導性活性炭は炭素グラファイトからなる微粒且つ多孔質正の炭素材料で木材、ヤシガラあるいは石炭などの鉱物資源から高温炭化過程で製造
<発明の詳細な説明>
以下に実施例を基に、全炭素電極で構成する透析装置の特性を実験結果をもとに説明していく。
以下に実施例を基に、全炭素電極で構成する透析装置の特性を実験結果をもとに説明していく。
<電気伝導性活性炭の電気伝導性と炭素組織構造>
先に本発明の電極を構成する炭素電極(活性炭)について説明する。前述したように電極が有毒な塩素ガスを高密度に吸着(あるいは放出)するために、多孔質且つ電気伝導性を有する活性炭を使用する。活性炭は元来、多孔質性が特徴であり、その製造手法や集発となる材料は限定されず、特性として必要な条件は、1Ω程度あるいはそれ以下の電気伝導性を有していることである。
先に本発明の電極を構成する炭素電極(活性炭)について説明する。前述したように電極が有毒な塩素ガスを高密度に吸着(あるいは放出)するために、多孔質且つ電気伝導性を有する活性炭を使用する。活性炭は元来、多孔質性が特徴であり、その製造手法や集発となる材料は限定されず、特性として必要な条件は、1Ω程度あるいはそれ以下の電気伝導性を有していることである。
実験では電気伝導性の活性炭は、木材の“おが屑”から炭化した活性炭(白炭と呼称)と、ヤシガラ由来の活性炭を使用した。電極形状は、バルクあるいは活性炭粉末(100−500μm粒)粉末を使用した。活性炭の処理は、まず酸で洗浄し、その後900℃で2時間水素還元処理を行なった。これらの活性炭の電気抵抗率はともに1Ωcm以下であった。
<活性炭のX線回折スペクトル>
上記2種類の活性炭の炭素原子の組織構造をX線回折分光で調べた結果を図1に示す。比較として、グラファイト結晶のスペクトルを比較として示している。電気伝導性の活性炭は、グラファイト結晶の回折信号と類似しているが、各回折ピークは極めてブロードで、グラファイトの微粒系から構成された多結晶体であることが判る。
上記2種類の活性炭の炭素原子の組織構造をX線回折分光で調べた結果を図1に示す。比較として、グラファイト結晶のスペクトルを比較として示している。電気伝導性の活性炭は、グラファイト結晶の回折信号と類似しているが、各回折ピークは極めてブロードで、グラファイトの微粒系から構成された多結晶体であることが判る。
図2に木材粉末から製造した活性炭(白炭)の水素還元処理後の電子線回折パターンを示す。図2の回折パターンからグラファイトの基本構造である6角形の炭素ベンゼン環が確認される。活性炭の基本組織としてグラファイト構造が活性炭の電気伝導性を発現させていることが判る。
をもつことは、活性炭が電気伝導性を有することを示すものであり本発明で電極として使用する炭素活性炭の特徴となっている。
をもつことは、活性炭が電気伝導性を有することを示すものであり本発明で電極として使用する炭素活性炭の特徴となっている。
<活性炭電極のTEM観察像>
図2の透過電子線回折像(TEM)から、活性炭の粒形が数百ナノメーターのサイズであり、超微粒の多孔質炭素材料であるが判る。
図2の透過電子線回折像(TEM)から、活性炭の粒形が数百ナノメーターのサイズであり、超微粒の多孔質炭素材料であるが判る。
<炭素電極による透析装置の構成例>
図3は電気透析による海水脱塩の概略図である。図3において1は電気透析用の太陽電池等の直流電源である。2は海水を入れる透析容器である。透析容器2を陽イオン交換膜3および陰イオン交換膜4で区切る。負極(活性炭)電極51を、図における透析容器2側面と陽イオン交換膜3で区切られた領域に挿入し、電源1の負極を接続する。正極(活性炭)電極52を、図における透析容器2側面と陰イオン交換膜4で区切られた領域に挿入し、電源1の正極を接続する。
図3は電気透析による海水脱塩の概略図である。図3において1は電気透析用の太陽電池等の直流電源である。2は海水を入れる透析容器である。透析容器2を陽イオン交換膜3および陰イオン交換膜4で区切る。負極(活性炭)電極51を、図における透析容器2側面と陽イオン交換膜3で区切られた領域に挿入し、電源1の負極を接続する。正極(活性炭)電極52を、図における透析容器2側面と陰イオン交換膜4で区切られた領域に挿入し、電源1の正極を接続する。
<電気透析の基本原理>
陽イオン交換膜3および陰イオン交換膜4で挟まれた領域の陰イオンである塩素イオンは外部からの電流通電により交換膜4を通過して正極の活性炭に全て吸着される。一方、ナトリウムイオンは陽イオン交換膜を通過して負極の活性炭近傍に集まり、そこで水(H2O)と反応して水素イオンに変換され、その一部は活性炭に吸着される。吸着しきれない水素イオンは気体となって外部へ放出される。
陽イオン交換膜3および陰イオン交換膜4で挟まれた領域の陰イオンである塩素イオンは外部からの電流通電により交換膜4を通過して正極の活性炭に全て吸着される。一方、ナトリウムイオンは陽イオン交換膜を通過して負極の活性炭近傍に集まり、そこで水(H2O)と反応して水素イオンに変換され、その一部は活性炭に吸着される。吸着しきれない水素イオンは気体となって外部へ放出される。
<脱塩実験>
図4は図3の透析用の基本装置に海水(35‰の食塩水)を入れ、炭素電極間に直流電源から1アンペアの定電流を駆動したときの塩分濃度変化の実験例である。陽イオンおよび陰イオン交換膜で囲まれた領域の塩分濃度は最終的(250分)にほぼ0‰となり、電気透析による完全な脱塩がなされていることが判る。
図4は図3の透析用の基本装置に海水(35‰の食塩水)を入れ、炭素電極間に直流電源から1アンペアの定電流を駆動したときの塩分濃度変化の実験例である。陽イオンおよび陰イオン交換膜で囲まれた領域の塩分濃度は最終的(250分)にほぼ0‰となり、電気透析による完全な脱塩がなされていることが判る。
<脱塩過程と電圧変動>
図5は直流電源から1アンペアの定電流源を接続したときの塩分濃度の減少と両電極間の電圧の変化を表す。塩分濃度が初期値(35‰)から15‰までは電極間電圧は6V程度で安定しているが、濃度が10‰以下になると急激に増加し最終的には14V領域に達する。この電圧の上昇は、脱塩が進み海水の抵抗が急激に増大していることに対応している。
図5は直流電源から1アンペアの定電流源を接続したときの塩分濃度の減少と両電極間の電圧の変化を表す。塩分濃度が初期値(35‰)から15‰までは電極間電圧は6V程度で安定しているが、濃度が10‰以下になると急激に増加し最終的には14V領域に達する。この電圧の上昇は、脱塩が進み海水の抵抗が急激に増大していることに対応している。
<逆透析過程と両極間電位変化>
図6は図5における領域22の塩分濃度が0‰なった時点で図3の直流電源1を取り外し、代わりに抵抗を接続して逆電気透析(放電)を行ったときの塩分濃度変化(増大)ならびに電極間の電圧の変化を表す。この図より逆電気透析過程では、図2における塩分濃度が35‰(初期塩素イオン濃度)まで上昇している。この実験結果は電気透析(脱塩)過程で脱塩された塩素イオンほとんどが活性炭・正極に吸着され、逆電気透析時に吸着した塩素イオンが放出されていることを示している。
図6は図5における領域22の塩分濃度が0‰なった時点で図3の直流電源1を取り外し、代わりに抵抗を接続して逆電気透析(放電)を行ったときの塩分濃度変化(増大)ならびに電極間の電圧の変化を表す。この図より逆電気透析過程では、図2における塩分濃度が35‰(初期塩素イオン濃度)まで上昇している。この実験結果は電気透析(脱塩)過程で脱塩された塩素イオンほとんどが活性炭・正極に吸着され、逆電気透析時に吸着した塩素イオンが放出されていることを示している。
図6には逆電気透析過程での電極間の電圧の減少の様子もプロットしている。この電極間には1Ωの抵抗が外部負荷として接続されている。この実験から逆電気透析過程では、本装置は充電された2次電池様の電源として機能していることが判る。塩素透析(充電)過程での塩素イオンの吸着―放出はほぼ100%であり、負極の水素吸着―再放出率は20%程度である。つまり、電気透析に要した電力の約20%をこの逆透析過程において発電する能力を有していることを示している。電気透析―逆透析過程が2次電池への充電―放電に対応する本発明の特徴を活かした透析システムの構成について以下に説明する。
<透析装置の基本構成ユニット>
図7に本発明の炭素電極で構成した電気透析システムの構成の1例を示す。図3の脱塩装置において負極電極51および正極電極52に炭素電極を用いて電気透析(脱塩)を行った後の塩素および水素イオンを吸着した正負の炭素電極からのイオン放出現象を充電型の2次電池(補助電源)として利用するシステム構成例である。
図7に本発明の炭素電極で構成した電気透析システムの構成の1例を示す。図3の脱塩装置において負極電極51および正極電極52に炭素電極を用いて電気透析(脱塩)を行った後の塩素および水素イオンを吸着した正負の炭素電極からのイオン放出現象を充電型の2次電池(補助電源)として利用するシステム構成例である。
図7において1は太陽電池等の電気透析用の直流主電源である。透析容器2は海水を入れる透析容器であり、ここで逆透析による電力を発生させる。透析容器2を陽イオン交換膜3および陰イオン交換膜4で区切る。水素イオンを吸着している炭素電極5を、図における透析容器2側面と陽イオン交換膜3で区切られた負極領域6に挿入する。塩素イオンを吸着している炭素電極7を、図における透析容器2側面と陰イオン交換膜4で区切られた正極領域8に挿入する。
負極領域6においては正イオンである水素イオンが炭素電極から海水中に放出されるため、炭素電極5は容器2を電池としてとらえた場合、負の電極として機能する。領域8においては負イオンである塩素イオンが炭素電極から海水中に放出されるため、炭素電極7は容器2を電池としてとらえた場合、正の電極として機能する。そのため、主電源1の電力が低下した場合、図7のように主電源1と逆透析電源2を接続してその合成電力により、透析容器9に入れた海水を省電力で脱塩することができる。
図7において10は補助電源の電圧を必用な値まで昇圧するコンバータである。11は補助電源である逆透析装置と主電源1を電気的に接続および切り離しを行うスイッチである。容器9において電極12および13は炭素電極であり、14は陽イオン交換膜であり、15は陰イオン交換膜である。この図における透析終了時には電極13の表面に塩素イオンが吸着され、電極12の表面には水素イオンが吸着されており、これを次のステップの電気透析の補助電源としての逆透析電源の電極に使用することができる。
<透析−逆透析の電気化学反応>
以上透析―逆透析過程での脱塩と塩素の再放出を実験結果をもとに説明してきたが、ここでは電気化学反応の立場から追加的な説明を記述しておく。透析過程(充電過程)では海水のH+イオンは負極に移動し、負極炭素中に吸蔵される。このとき、電極は正極から外部の回路をより流入する電子を受け電荷中性を保つ。一方、海水中の塩素イオン(Cl−)は正極炭素に吸着され、正極炭素極に電子を一個放出する。この透析過程で必要な電子の流れを外部電源が行い、透析が進行する。
以上透析―逆透析過程での脱塩と塩素の再放出を実験結果をもとに説明してきたが、ここでは電気化学反応の立場から追加的な説明を記述しておく。透析過程(充電過程)では海水のH+イオンは負極に移動し、負極炭素中に吸蔵される。このとき、電極は正極から外部の回路をより流入する電子を受け電荷中性を保つ。一方、海水中の塩素イオン(Cl−)は正極炭素に吸着され、正極炭素極に電子を一個放出する。この透析過程で必要な電子の流れを外部電源が行い、透析が進行する。
逆透析過程では、正極に吸着した塩素は塩素イオンとして再放出され、負極の炭素中に吸着した水素も、H+イオンとして電解液に放出される。この逆透析過程は外部回路を通じて電子を負極から正極は移動させる電池として機能することが理解できよう。この逆透析を新たに流入させた海水を電界液として行うことで、炭素の正極・負極は吸着した全ての塩素・水素イオンを放出し、リセット状態になり、次の透析過程にサイクル的に進むことができる。
図3に示した基本装置を図7のように2個並列に構成し、一つは透析、他の一つは逆透析を行う対として基本ユニットを構成し、そのユニットを直列あるいは並列に大規模に構成することで、エネルギー効率に優れ、且つ環境に適合した大容量且つ低コストの実用的な透析装置が可能となる。
<高純度水素気体の利用>
本発明の透析装置は、2次電池機能(補助電力として使用可)が特徴の一つであるが、負極の水素吸着率は20%程度であり、残りの水素イオンは気体として外部へ放出されることになる。この水素気体は塩素ガスが全く混入されないことから、適切な収集装置を備えることで純度の高い水素気体(燃料)を電気透析と同時に得ることも可能である。
本発明の透析装置は、2次電池機能(補助電力として使用可)が特徴の一つであるが、負極の水素吸着率は20%程度であり、残りの水素イオンは気体として外部へ放出されることになる。この水素気体は塩素ガスが全く混入されないことから、適切な収集装置を備えることで純度の高い水素気体(燃料)を電気透析と同時に得ることも可能である。
Claims (2)
- 多孔質、且つ電気伝導性を持つ炭素・活性炭を正極および負極として構成する高効率・低コストの海水などの電気透析装置
- 請求項1の透析装置において、透析に投入する太陽電池などの外部電源に、透析過程で充電された電力を補助電源として有効に活用した高エネルギー効率の透析装置
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2022130254A (ja) * | 2021-02-25 | 2022-09-06 | 均 石井 | 海水淡水化のコスト削減方法 |
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- 2013-09-06 JP JP2013200542A patent/JP2015051421A/ja active Pending
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