JP2015023019A - 水素およびハロゲン元素イオンを活物質とする炭素極蓄電池 - Google Patents

水素およびハロゲン元素イオンを活物質とする炭素極蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】Pbなどの金属電極で構成する大容量蓄電池の効率、サイクル寿命、資源性、環境性などの課題を克服する。【解決手段】蓄電池の負極活物質に水素(H)を、正極活物質に反応性の高いVII属ハロゲン元素を用い、さらに電池の正極・負極に上記活物質を吸着—放出する電気伝導性且つ超多孔質性の活性炭で構成することにより、優れた充電—放電容量比(効率)、長いサイクル寿命を持つ大容量蓄電池を提供する。【選択図】図3

Description

本発明は正極活物質に水素イオン、負極活物質にVII族ハロゲン元素イオンを用いた炭素極などによる蓄電池に関するものである。
<金属極蓄電池の性能・信頼性の課題>
金属―金属酸化物の代表的電池であるPb系蓄電池は電極にPb(金属鉛)、PbO(酸化鉛)を正・負極として構成されているが、その課題は充電―放電のサイクル寿命が十分でないこと、充電―放電容量比(効率)が小さいこと(75%程度)、またPb金属自身が生物系に有害な物質であり、それに代替する低コスト・大容量蓄電池の開拓が待望されている。
金属電極の蓄電池はPb系に限定されず充電―放電のサイクル寿命の改良も課題である。そのサイクル寿命が十分でない要因の一つは、金属あるいは金属酸化物の長期の還元―酸化反応サイクル過程で電極の腐食・劣化が進行する問題による。
安定な充電―放電のサイクル寿命を得るために、金属―電解液界改良面の研究や、金属腐食の抑制、自発分極の抑止を目指した諸技術が生まれているが、まだ解決には至っていない。金属系電極で構成される畜電池は、基本的に酸化―還元反応を利用するので、反応の副産物である金属酸化物や金属表面の腐食・劣化は本質的に避けにくい問題となっている。
<環境性、資源性の課題>
また、従来の金属系蓄電池には資源性、生態系への有毒性の観点からも解決すべき課題を有している。Liイオン系電池では高純度のLi金属のコストや資源の限界、Pb系電池では資源的に恵まれているが生態系への厳しい有毒性の問題もある。これら、従来の金属系蓄電池には克服すべき課題が山積している。
<循環再生資源を利用した大容量蓄電池の必要性>
電気エネルギーを化学反応物質として蓄積―放出する蓄電地(2次電池)は、今後ますます重要が増しその消費量も増大する。この観点からも、埋蔵量が限定さている貴重な金属資源だけでなく、循環・再生可能な炭素資源、特にバイオ資源由来の炭素材料を利用した新しい原理の畜電池の開拓が期待されている。
<全炭素極蓄電池について>
本発明の蓄電池は、従来の金属電極電池と異なり、電池の正極および負極を炭素電極で構成することを特徴としている。正極の炭素極は、水素をイオン形体で吸着し、炭素電極と電荷を交換する。負極の炭素極は、塩素(Cl)、臭素(Br)などのハロゲン族(VII族)元素イオンを吸着し、やはり炭素極と電荷を交換する。負極、および正極炭素に吸蔵された水素およびハロゲンイオンは、放電時には電解液中に放出される(放電過程)。このシンプルな充電―放電を可能とする電極に、電気伝導性をもつ多孔質の活性炭を使用する。本蓄電池の基本性能は、上記した活性炭による炭素電極の水素およびハロゲンイオンの吸着(吸蔵)―放出能力で支配される。
<水素吸蔵合金(水素・負極)―炭素極(ハロゲン・正極)蓄電池>
本発明のもう一つの形態は、水素吸着と放出を行う負極を、MgNi系等の水素吸蔵合金を使用し、正極(ハロゲン元素吸着)に炭素極を用いる構造である。この蓄電池は、全炭素極で構成する蓄電池の動作原理と同じであるが、水素吸蔵能力が優れた水素吸蔵物質を使用することができ、さらに高い電気容量密度(mAh/g)が実現される。以下に本発明の重要な機能を果たす炭素素材である電気伝導性活性炭について、その主成分であるグラファイト組織とそのグラファイト微粒体(ナノスケール)に関して概略する。
炭素原子が6角形のベンゼン環で構成された単一層のグラフェン、それが積層されたバルクのグラファイト結晶に関しては、製造手法、炭素の物性、制御手法などは着実に進展している。本発明の炭素極は、グラファイト構造の微粒子(数百mn―μmサイズ)で構成され、且つ超多孔質性(内部面積>1000m/g)を有する活性炭である。さらに電池極として機能するために、これらの活性炭は十分な電気伝導性(<0.5Ωcm)を持つことが必要である。
<絶縁性活性炭と電気伝導性活性炭>
一般に多孔質性の活性炭は、木材やヤシガラなどのバイオ資源由来のものと,石炭・石油などの鉱物資源由来のものがあるが、本発明で使用する活性炭電極は、バイオ資源由来でも鉱物資源由来でも可能である。しかし、資源・低コスト性の観点からはバイオ資源由来の炭素(活性炭)が好ましく、本発明ではバイオ資源由来の活性炭電極の蓄電池が実現できることに主張点をおいている。このことは、バイオ資源由来炭素(活性炭)に微量な金属不純物が残存していても、本発明の炭素蓄電池の基本特性に影響を与えないことを意味している。この金属不純物に対する耐性は、本発明の炭素極電池の大きな特徴であり低コスト化を可能とするものである。
本発明は、電気伝導性の活性炭をバルク、あるいは粉末、あるいは粉末からのセラミック板の形状で電池の正極と負極に用いる。活性炭が電池電極に使用できるためには良好な電気伝導性を持つことが必要で、そのためには活性炭の炭素組織がグラファイト結晶粒で構成されている必要がある。
<図1、図2:炭素電極のX線回折スペクトルと透過電子線回折像>
図1に本蓄電池で使用した2種類の活性炭粉末(木材粉末由来とヤシガラ粉末由来)のX線回折スペクトルを示す。図1には比較のため、グラファイト結晶の結果も示している。このX線回折スペクトルから、本電池で使用する活性炭が基本構造としてグラファイト組織を有することが判る。図2は活性炭(木材粉末由来)の透過電子線回折像(TEM像)と電子線回折パターン(図2:挿入図)を示す。この電子線回折実験から、本発明で使用する炭素・活性炭は、数百nm−μmサイズのグラファイト微粒体(クラスター)で構成されている超多孔質性の炭素素材であることが判る。
従来のグラファイト結晶やその焼結体は、水素イオン(負極)やハロゲン元素イオン(正極)の吸蔵能力は極めて小さい。その理由は多孔質性でないことと、微粒体(クラスター)の粒界の界面が極めて少ないことによる。 本発明で使用する炭素極は活性炭、つまり、グラファイト微粒体の集合体は、水素とハロゲン元素イオンに対して優れた吸着―再放出能力を発揮する。その値は、水素イオンにおいて、50mAh/g以上,塩素や臭素イオンに関しては80mAh/g以上に達し、実用域の大容量蓄電池が可能となる。このことから、水素、ハロゲン活物質は、グラファイト・クラスターの表面や界面に吸着していることが判断される。つまり、活性炭の内部の粒界とその界面の細孔面積が重要なポイントになる。
<無触媒畜電池>
本発明の炭素極蓄電池は、Ptなどの貴金属触媒を一切使用することなしで電池動作を行う。同じグラファイト組織の炭素素材であっても、金属伝導性のグラファイト結晶やグラファイト焼結体では、触媒添加なしでは本電池の炭素極としての機能を実現することは困難である。
特許第4278468号
本発明が解決しようとする課題
本発明の蓄電池は、大型・大容量蓄電池の代表であるPbなどの金属系電極蓄電池の課題である充電―放電容量の効率、サイクル寿命、人間を含む生物系への有害性・資源性などの課題を克服する。
課題を解決するための手段
<炭素極と水素―ハロゲン活物質の利用>
上記した課題を解決するために電池の正極および負極の双方、あるいは一方を炭素極で構成する。この電極を構成する炭素素材は、数100nmから数μmサイズのグラファイト・グラスター(微粒子)からなる多孔質性、かつ特異な電気伝導性を発現する炭素素材である活性炭で構成する。電池正極を構成する多孔質の炭素電極は、適切な電解液中で塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br),ヨウ素(I)イオンなどのVII族ハロゲン元素イオンを充電プロセスで吸蔵し、さらに放電プロセスでは、2V〜0.0.5Vの起電力において、それらのイオンを繰り返し放出(放電)する2次電池動作を行う。一方、負極を構成する炭素極は充電過程において水素イオンを吸着し、放電過程でそれを再放出する。
この全炭素極畜電池の特徴は、正極・負極がともに超多孔質活性炭であること、反応活物質が負極は水素(イオン)、正極は塩素(Cl)、臭素(Br)、F(フッ素)などのハロゲン元素(イオンで)あることにより、蓄電池の電気容量密度(mAh/g)に優れ、且つ充電―放電の容量比(効率)が優れていることである。さらに本炭素電池は実用において不可欠な優れたサイクル寿命も有している。
<炭素極蓄電池の理論容量>
本発明の水素およびハロゲン元素イオンを活物質とする炭素極蓄電池の理論容量値は、H(負極)を負極とし、塩素、臭素、などのハロゲン元素を正極炭素で構成したとき、60−80mAh/g(正・負極の炭素重量+活物質を溶解する電解液重量で規格化)であり、Pb蓄電池の理論容量値(約30−40mAh/g)を凌駕している。
発明の効果
本発明は、資源性、環境性に優れ、且つ、充電―放電容量非、サイクル寿命、コスト性にすぐれた実用的な新しい炭素極蓄電池を提供する。本発明の蓄電池は、今後大量に導入される太陽電池などの自然エネルギー源のバックアップ畜電池として有効性を発揮する。また本蓄電池は環境性・資源性から次世代のスマートグリッドシステムのキーデバイスの役割を果たすものである。
炭素電極のX線回折スペクトル 炭素電極の透過電子線回折像と回折パターン 炭素極蓄電池の基本構成 水素(負極)―ハロゲン元素(正極)を活物質とした炭素極蓄電池の充電―放電特性 正極活物質を塩素あるいは臭素とした蓄電池の充電―放電特性 正極活物質を臭素とした蓄電池のサイクル寿命試験 水素吸蔵合金(負極)―炭素(正極)蓄電池の構成図 水素吸蔵合金(負極)−炭素正極蓄電池の充電―放電特性 水素吸蔵合金(負極)−炭素正極蓄電池の充電―放電サイクル試験 自然エネルギー源と連結した炭素蓄電池モジュールの構成例
語句の定義
<特異な電気伝導性を持つ活性炭>
バイオ資源あるいは鉱物資源から炭化した多孔質性と電気伝導性を有する炭素素材においてその電気抵抗率(ρ)が室温近傍での温度上昇で“負の温度係数”を示す炭素素材。これはグラファイト微粒破片間(粒界間)をキャリア(電子)がホッピング伝導していることを示唆しており、抵抗に負の熱活性が発生する。この特異な電気伝導性をもつ活性炭は、本蓄電池の本発明の炭素蓄電池の正極および負極として優れた能力を発揮する(参考文献 1)。
<発明の詳細な説明>
以下に実施例を基に、両極を炭素電極、あるいは正極を炭素電極、負極(水素極)を水素吸蔵物質で構成した蓄電池の基本特性を実験結果をもとに説明していく。
<活性炭の処理>
バイオ資源(木材あるいはヤシガラ粉末)由来の電気伝導性活性炭の内部細孔面積は600−1000m/gであった。この内部面積は高ければ高いほど電池容量が増大する。実験ではこれらの活性炭を水素雰囲気で還元処理して使用した。条件は水素+アルゴン混合ガス中で900℃、2時間行っている。水素還元処理により、炭素表面や界面に付着した炭素酸化物、炭素窒化物、などの付着物が清浄化され、炭素極の水素とハロゲン元素イオンの吸着能力が向上する。
<図3:炭素極蓄電池の基本構造>
図3に本発明の蓄電池の基本構成図を示す。正極および負極は活性炭粉末をセラミック板状加工した多孔質炭素素材で構成している。バルク活性炭でも粉末でも構成可能である。電池の正極の活物質は塩素や臭素(イオン)などのハロゲン元素イオン、正極活物質は水素イオンである。これらのイオン活物質は、水溶性電解液であるHCl、HBr、HFなどの水性電解液に溶解している。
上記したハロゲン(Cl,Br,F)−H 水性電解液(20%)と、それにNHCl水溶液(30%)を添加した混合電解液で電池特性を調査した。正極活物質がヨウ素(I)イオンの電池では、ヨウ化カリウム(KI)20%水溶液とNHCl水溶液の混合で実験を行っている。
セパレータは水素イオンの透過膜であれば材質の制限はないが、ここでは天然樹脂膜を採用した。電池の集電極は正極・負極共に炭素棒を使用した。
<充電―放電のメカニズム>
蓄電池の充電―放電機構(反応)を水素(負極)―塩素(正極)の炭素蓄電池の例をとって説明する。充電過程では塩酸水溶液のHイオンは負極に移動し、負極炭素中にHイオンとして吸着し、炭素と電荷を交換する。この水素イオンは通常は水素気体として外部へ放出されるが、本電池では一切の気体放出はなく、全て炭素壁に吸着あるいは吸蔵されている。
<水素―塩素イオン蓄電池の充電−放電反応>
一方、電解液中の塩素イオン(Cl)は正極に移動し正極炭素壁に吸着される。正極からの塩素の気体発生もなく、容量値以内の充電では95%以上の効率で吸着―再放出される。反応過程は、以下の反応式で記述される:
負極: HO+HCl⇒ H(吸着)+2Cl+HO・・・(1)
正極: 2Cl ⇒ Cl(吸着) ・・・・・・・・・・・(2)
<放電反応>
放電過程では、負極炭素中に吸着した塩素がイオン(Cl)として放出され、充電前のHCl水溶液のイオン濃度へ回復する。充電―放電過程の全反応式は、
O+2HCl ⇔ H(吸着)+Cl(吸着)+HO・・(3)
と表現される。右辺のH、Clは分子(気体)で記述されているが、外部へ放出される気体分子ではなく、炭素内部あるいは炭素壁に物理―化学吸着している状態を表している。
<水素−臭素イオン系蓄電池の充電―放電反応>
水素―臭素系蓄電池が最も大容量炭素蓄電能力を持つので、その系に関しても基本的な反応プロセスを記す。臭素イオン(活物質での全反応式は、
O+2HBr⇔ H(吸着)+Br(吸着)+HO・・・・(4)
と表現される。右辺のH、Brは気体分子で表現されているが、塩素のケース同様、外部へは放出されず両極の炭素内部あるいは炭素壁に物理―化学吸着している状態(充電)である。H(負極)−Br(正極)蓄電池は、臭素Brの炭素吸着が優れており、高い電流容量密度(mAh/g)の蓄電池が実現できる。
<図4:H−ハロゲン活物質の炭素極電池の充電―放電特性>
図4に水素を負極活物質、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素のハロゲン元素イオンを正極活物質として構成した炭素極電池の充電―放電特性を示す。正極と負極の炭素極(活性炭)はそれぞれ10gで,炭素極の総重量は20gとした。電解液はハロゲン酸(HCl、HF,Br)水溶液とNHCl水溶液の混合電界液である。 充電は全て300mA、2時間(600mAh)である。 放電は全て定電流放電(100mA)で5時間放電させた。充電過程では、600mAh充電で電源電圧は1.7V(F)から2V (Br)の範囲となっている。この充電電圧の違いは4種類のハロゲン活物質イオン(Cl,Br,F,I)の電気分解の過電圧に差があることを示唆している。
<開放電圧と放電特性比較>
2時間の充電後、1時間電池を開放にして電池の起電圧(開放電圧)を調査した。電池開放電圧は、フッ素Fで1.2V,ヨウ素Iで1.4V,塩素Clで1.5V、臭素Brで1.6Vとなっている。 水素―ハロゲン活物質での電池は、各酸の水溶液(電解液)では、電圧は1.2−1.3Vであるが、NHCl水溶液との混合により電池電圧を1.5−1.6V領域へ上げることができる。 全ての電池は、放電とともに電圧はゆっくりと低下し、1.3V付近から0.5V付近まで低下する。放電による電圧の低下の様子は、電気2重層キャパシターと類似している。しかし、電池の動作機構は、水素(負極)やハロゲン活物質が炭素極に弱く化学吸着しているので、2重層キャパシターとは本質的に異なる(後述)。
また、放電スタート時点で、開放電圧から0.2V程度低下しているが、これは電池の内部抵抗がまだ高いこと(1Ω程度)を反映している。
図4から0.5V低下までの電流容量を評価する。4種のハロゲン活物質において、臭素Brが優れた電流容量(500mAh=100mAx5h)を持つことが判る。充電量が600mAh(300mAx2h)であるので82%程度の高い充電―放電容量比(効率)であることが判る。。 塩素活物質の電池も0.5Vへ低下する時間が4時間であり70%以上の効率を示している。 ヨウ素とフッ素のケースでは0.5Vで3−3.5時間の放電時間で、効率は60%程度である。 ヨウ素Iとフッ素Fの蓄電池では、さらに電解液を最適化する必要がある。
図5は塩素Clと臭素Brを正極活物質とした炭素極電池の充電―放電特性を3サイクルまで示している。 炭素極の総重量はともに15gである。充電は350mAx1h(350mAh)、放電は100mAの定電流放電で3時間で,それを3回繰り返した結果である。臭素および塩素を活物質とした炭素極電池は充電―放電容量比(効率)がともに85%以上の高い変換効率で安定なサイクルが得られている。
<水素H−臭素Brイオン 蓄電池のサイクル寿命試験>
図6に水素―臭素の組み合わせでの炭素蓄電池のサイクル寿命試験の一例を示す(50回程度)。サイクル試験での初期特性は5回程度までゆっくりと変化するが、それ以上では安定な充電―放電サイクルを繰り返すことがみてとれる。この試験は50回程度までの試験であるが、炭素極の劣化や質量欠損が生じておらず、1000回以上の長期サイクル寿命が期待できる。サイクル安定性は充電―放電において炭素極の劣化が極めて少ないことを反映しており、炭素極蓄電池が実用電池として優れていることが判る。
<表1:蓄電池基礎特性>
表1に水素(負極)、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素を正極活物質として炭素極蓄電池の基礎特性をまとめた。電解液はNHClとの混合の結果である。電池の容量密度(mAh/g),正極および負極の炭素重量の総和で規格化している。サイクル寿命は現在も継続中であり記載していない
<正極のOHイオンの寄与>
蓄電池の電圧を上げるために塩酸水、臭素水にNHCl水溶液を添加していることは前に記したが、その効果はOHイオンが電解液中にかなりの濃度で存在し、OHイオンが正極炭素に吸着する効果と考えられる。このOH効果を調べるために、電解液をKOH水溶液(30%)とした炭素蓄電池を試作し、その2次電池動作特性を調べて結果を記載する。この電池では、KOHはKとOHイオンに解離し、Kは負極で水素イオンに変換され吸着し、OHイオンは正極炭素に吸着し、正極活物質として本電池に寄与する。
KOH水溶液の炭素蓄電池ので電圧は1.7−1.8Vと高い。これは水の電気分解の電圧値(1.3V程度)より0.5V高い値で、大きな過電圧が発生していることを反映している。OHイオンの吸着能力は、電池換算で15mAh/g(正極炭素重量で規格化)程度であり、ハロゲン活物質の半分以下であるが、NHClの添加効果(OHイオン効果)は本発明の炭素極電池の電圧の上昇と電気容量の増大に寄与する。
<電気2重層キャパシターとの電池動作の相違>
本発明の炭素極蓄電池の動作を、炭素極で構成する電気2重層コンデンサーとの対比で説明した。その類似点は、炭素壁に高濃度で吸着する水素、ハロゲン活物質イオンが、物理的な2重層コンデンサーと類似した形態で炭素壁に付着することを利用しており、この類似から放電過程で、炭素極の電荷が放電とともに低下する現象を説明した。 一方、本電池は、2重層コンデンサーとは異なる放電特性を持つ。 すなわち、充電後に、本電池を短絡して、電圧を1.5Vから0.5Vへ低下させた後、短絡を中止して開放にすると、電池起電力はもとの1.5V領域へ回復する。 この回復効果は2重層コンデンサーでは観測されない効果であり、本電池のイオン活物質は、物理吸着のみでなく、化吸着性が関与していることを示している。 この物理+化学吸着の効果は、炭素極蓄電池の優れた特性の一つである高い電気容量(〜50mAh/g)の理由の一つとなっている。 この高い容量密度は、2重層コンデンサーの3倍以上であり、Pb系蓄電池の1.5倍以上の優れた値である。
<水素吸蔵物質(負極)−炭素(正極)蓄電池>
以下に、負極の水素イオンの吸着機能の炭素極をより水素吸蔵能力の高い水素吸蔵合金で構成したH−ハロゲン蓄電池の構造と特性を説明していく。
<図7:負極(水素吸蔵物質)―正極(炭素正)蓄電池構造>
図7は、臭素イオンを吸着する正極を炭素で、水素を吸蔵する負極をMgNi系水素吸蔵合金で構成した蓄電池の構成図を示す。 電解液はHBr水(30%)とNHCl水溶液(20%)の混合液を使用した。セパレータは水素イオン透過膜で構成した。
図8に、本蓄電池の充電―放電の3回までの充電―放電特性を示す。 充電は400mAの定電流充電で1時間(400mAh)、放電は100mA(定電流)で3時間である。充電カーブは全炭素極電池と類似しているが、電圧は1.2Vである。放電過程は、全炭素電池とは異なり、1.2V〜1.0Vを維持して定電流で3時間放電し0.9Vまで低下している。放電は0.8V以下になると急激に0Vへ向かって低下する。この放電特性は化学電池であるNiCd電池やNiH系2次電池のそれに類似しており。この電池の充電―放電容量比(効率)は75%と全炭素極電池より少し低いが、電解液の適正化で80%以上が可能と思われる。本電池の電流容量密度は、水素吸蔵物質の効果で高い値が得られる。 正極の炭素極重量は5g、負極の水素吸蔵物質は2gである。 この電極の総重量で規格化した容量密度は40mAh/g以上である。
<サイクル寿命試験>
図10に水素吸蔵物質(負極)としてMgNi合金を、正極に活性炭素極を使用した電池のサイクル寿命試験(54回)を示す。このサイクル試験は充電を250mA,2h(500mAh),放電を100mA定電流で4時間のサイクルである。充電後に1時間電池を開放状態にしている。水素吸合金のサイクル寿命が課題となるが50回程度のサイクル寿命試験では、水素吸蔵合金の顕著な劣化は観測されていない。全炭素極電池と比較して、電池コストは全炭素極電池に比して高価になる可能性はあるが、次世代の中型・大容量蓄電池として大きなポテンシャルを持っていることが判る。
<太陽光パネルと連携した電源システム>
本発明の炭素極蓄電池は、低コストかつ大容量の特徴を持つことから、太陽電池などの自然エネルギー源との連結により環境性・資源性に優れた電源システムを構成することができる。
<図10:システム構成>
図10に自然エネルギーの代表各である太陽電池パネル、風力発電、地熱発電本蓄電池モジュールを充放電の制御回路で連結したシステムの一例を示す。このシステムは2種類の電力系統が制御される。一つは、太陽電池パネルなどからの出力は制御回路をとうして蓄電池モジュールに充電され、蓄電池から負荷回路へ電力が供給されるパスで、これは昼間の太陽電池の電気エネルギーを時間差をつけて夜間電力へ変換する機能である。第二のパスは、太陽電池パネルから負荷へのの電力供給において、蓄電池からの電力が加算され、太陽電池などの出力の時間変動を平滑化する機能である。
<試験用電池モジュール>
実験はSi(多結晶型)太陽電池パネル(18V)で、最大電力4Wのソーラ電源に、炭素極蓄電池モジュールを電子制御回路でリンクして行った。蓄電池は、1500mAhの容量(炭素重量50g)の炭素極電池2個を並列にし、それを10個直列にしたモジュールを構成した。 負荷は、200個の白色LED照明を連結し、システム全体の充電―放電容量の効率を評価した。 この試験的な電源システムのエネルギー効率は15日間の平均で63%であり、安定に動作した。本発明の電源システムは、Pb系電池よりも抵コスト且つ軽量で構成でき、種々の自然エネルギー源との連携で、次世代のスマートグリッドの構築に貢献することが期待される。

Claims (3)

  1. 負極活物質を水素(H)、正極活物質を塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、フッ素(F)などのハロゲン元素とし、負極の水素イオンを電解液中で吸着―放出する炭素負極で構成し、ハロゲン元素をイオン形態で吸着―放出する炭素正極で構成した全炭素極の大容量蓄電池。
  2. 負極活物質を水素(H)、正極活物質を塩素(Cl)、臭素(Br)、フッ素(F)、ヨウ素(I)などのハロゲン元素とし、ハロゲン活物質を電解液中で吸着―放出する炭素正極で構成し、水素イオンの吸蔵―放出を行う負極は水素吸蔵合金で構成した大容量蓄電池。
  3. 請求項目[1],[2]の蓄電池と太陽電池、地熱発電、風力発電などを充電―放電制御機能を持つ電子制御装置で連結させた複合電源システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112436144A (zh) * 2020-11-06 2021-03-02 风帆有限责任公司 一种铅酸蓄电池正极铅膏及正极板的制备方法
CN112803095A (zh) * 2021-01-29 2021-05-14 中国科学技术大学 一种水系卤素-氢气二次电池
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