JP2019140906A - 潤滑油の供給構造、および、インホイールモータ駆動装置 - Google Patents

潤滑油の供給構造、および、インホイールモータ駆動装置 Download PDF

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四郎 田村
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Abstract

【課題】モータ部の冷却を効率的に行うこと。【解決手段】潤滑油の供給構造は、ステータ(24)よりも上方位置においてモータ部の軸線方向に沿って配置され、オイルポンプにより汲み上げられた潤滑油を径方向に吐出する少なくとも1つのオイル孔(59)を有するオイル通路(50)と、オイル孔(59)から吐出した潤滑油をステータのコイルエンド(26e)に導く潤滑油案内部(7)とを備える。潤滑油案内部(7)は、オイル孔(59)から吐出された潤滑油を受けるオイル受け室(71)を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、インホイールモータ駆動装置における潤滑油の供給構造に関し、特に、オイルポンプを備えた潤滑油の供給構造に関する。
車輪を駆動するモータ回転軸を有するモータ部と、車輪ハブ軸受部と、複数の歯車を有しモータ回転軸の回転を減速して車輪ハブ軸受部に伝達する減速部とを備えたインホイールモータ駆動装置が存在する。このようなインホイールモータ駆動装置において、モータ部における発熱要素(ステータ)の冷却、および、減速部における減速機構を構成する回転要素(歯車および軸受)の潤滑のために、潤滑油が利用される。
たとえば特開2005−73364号公報(特許文献1)には、モータの出力トルクにより回転する回転軸の一方端にオイルポンプを設け、オイルポンプにより圧送される潤滑油が、オイル通路を介してモータのステータコアの外周に供給されて、コイルエンドに到達するように構成されたインホイールモータ駆動装置が開示されている。
また、特開2015−107709号公報(特許文献2)には、インホイールモータ駆動装置のオイル供給装置が、オイルポンプの吐出口に連結されたオイル供給路から、モータのステータコアおよびコイルの外周とモータベアリングとに、潤滑油を導くことが開示されている。
特開2005−73364号公報(特許第3968333号) 特開2015−107709号公報
モータ部はステータのコイルに流される電流によって駆動される一方、コイル抵抗により発生する銅損が、モータ部の発熱の原因にもなる。特に高いトルクを発生させる時、大電流による銅損が発熱の主因になるため、モータ部を冷却するとき、コイルを冷却することが求められる。
特許文献1に開示された潤滑油の供給構造は、オイル通路からステータコアの外周に供給された潤滑油が、ステータコアの外周を介してコイルエンドに到達するように構成されているため、コイルを冷却することが可能になる。しかしながら、オイル通路に潤滑油を送り込むオイルポンプは、モータ回転軸の回転に連動して駆動されるため、オイルポンプの回転数はモータ回転軸の回転数に比例する。そのため、オイルポンプからの吐出流量も、モータ回転軸の回転数に比例する。
したがって、モータ回転軸が低い回転数で回転する時、オイルポンプも少ない流量でしか潤滑油を吐出できないため、オイル通路を経て開口部からステータコアの外周に供給される潤滑油も少量となる。少量の潤滑油が重力によって優先的に流れるのは、ステータコアの外周方向であり、ステータの軸方向端部にあるコイルエンドに到達するのは、その後となるため、コイルの冷却が不十分となることが懸念される。
逆に、モータ回転軸が高い回転数で回転する時には、オイルポンプから大量の潤滑油が吐出されるため、低流量時と比べてオイル通路を通過する潤滑油の流速が大幅に増加する。そうすると、オイル通路の開口部から流出する潤滑油は、ステータコアの外周面に直撃し、飛散する。潤滑油が飛散すると、コイルに接触する潤滑油の量が不十分になるため、この場合においても、モータ部の冷却不足が懸念される。
また、特許文献2には、ステータのコイルエンドにも直接潤滑油を供給する構成が開示されているものの、ステータの上方において軸方向に延びるオイル供給路に設けられた下向きの開口部から径方向に潤滑油を流出させる構成である。この場合、潤滑油は、オイル供給路に設けられた開口部からビーム状に吐出されるため、潤滑油の撥ね返りが起き、コイルを効果的に冷却できない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、モータ部の冷却を効率的に行うことのできる潤滑油の供給構造を提供することである。
この発明のある局面に従う潤滑油の供給構造は、ステータを含むモータ部を備えたインホイールモータ駆動装置における潤滑油の供給構造であって、モータ部を収容し、インホイールモータ駆動装置の外郭を形成するケーシングと、ケーシングの下部に設けられ、潤滑油を貯留するオイルタンクと、オイルタンクから潤滑油を汲み上げるオイルポンプとを備える。また、この潤滑油の供給構造は、ステータよりも上方位置においてモータ部の軸線方向に沿って配置され、オイルポンプにより汲み上げられた潤滑油を径方向に吐出する少なくとも1つのオイル孔を有するオイル通路と、オイル孔から吐出した潤滑油をステータのコイルエンドに導く潤滑油案内部とを備える。潤滑油案内部は、オイル孔から吐出した潤滑油を受けるオイル受け室を含む。
好ましくは、オイル受け室は、オイル孔と対面し、オイル通路の外周を取り囲むように配置されており、オイル受け室の断面積はオイル通路の通路面積よりも大きい。
好ましくは、オイル孔は、ステータのコア部の軸線方向幅内に配置され、かつ、軸線方向位置が異なる第1孔および第2孔を含む。この場合、オイル受け室は、第1孔から吐出した潤滑油を受ける第1オイル受け室と、第2孔から吐出した潤滑油を受ける第2オイル受け室とに区画されていることが望ましい。
また、オイル通路は、ケーシングの上部を軸方向に貫通する貫通孔に挿通された管状部材によって構成されていることが望ましい。この場合、第1オイル受け室と第2オイル受け室とは、貫通孔の内周面から突出するように設けられた仕切り部によって仕切られていてもよい。
また、第1オイル受け室および第2オイル受け室の少なくとも一方は、その下端高さが凸部から遠ざかるにつれて下方となるよう、軸線方向に沿って傾斜していることも望ましい。
好ましくは、オイル受け室は、ケーシングの一部に形成されている。
好ましくは、潤滑油案内部は、オイル受け室と連通して軸線方向に沿って延び、コイルエンドへの潤滑油の注ぎ口が先端に形成されたオイル注ぎ路をさらに含む。
潤滑油案内部は、オイル注ぎ路の注ぎ口と軸線方向に対面して配置され、注ぎ口から流出する潤滑油の飛散を防止するための飛散防止部材をさらに含むことが望ましい。
好ましくは、オイル通路は、ケーシングに取り付け固定された1つまたは複数の管状部材によって構成されている。この場合、飛散防止部材は管状部材と一体的に形成された板状部材を含んでもよい。
また、ケーシングは、オイル注ぎ路と軸線方向に対面する壁部を有しており、飛散防止部材は、ケーシングの壁部に形成された凸部を含んでいてもよい。
潤滑油案内部は、オイル注ぎ路の注ぎ口から流出する潤滑油を、複数のコイルエンドに分配するための分配部材をさらに含むことも望ましい。
あるいは、潤滑油案内部は、複数のコイルエンドに潤滑油を分配するための分配部材と、分配部材と一体的に設けられ、潤滑油の飛散を防止するための飛散防止部材とをさらに含んでもよい。
好ましくは、オイル通路の少なくとも一部は、一端に大径の嵌合部が形成された管状部材によって構成されている。また、ケーシングは、分配部材と一体的に設けられた飛散防止部材と軸線方向に対面し、管状部材の嵌合部を受入れる接続部を有する壁部を含む。この場合、飛散防止部材と接続部との間の間隔は、管状部材の嵌合部の軸線方向寸法以上であることが望ましい。
好ましくは、インホイールモータ駆動装置は、モータ部のモータ回転軸の回転を減速する減速部をさらに含み、ケーシングは、モータ部と減速部とを軸線方向に仕切る隔壁部を有している。この場合、オイル通路は、隔壁部を貫通する1本の管状部材によって構成されていることが、より望ましい。
本発明によれば、潤滑油案内部によって、オイル孔から径方向に吐出した潤滑油がステータのコイルエンドに導かれるため、モータ部の冷却を効率的に行うことができる。
本発明の実施形態1〜4に係るインホイールモータ駆動装置を所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。 本発明の実施形態1〜4に係るインホイールモータ駆動装置の減速部の内部構造を示す横断面図である。 本発明の実施の形態1に係る潤滑油の供給構造の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態1におけるオイル通路および潤滑油案内部を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1におけるオイル通路および潤滑油案内部を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1において、オイル通路の他の構成例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態2におけるオイル通路および潤滑油案内部を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態2において、分配部材と飛散防止部材とを一体的に含む誘導部材の正面図である。 本発明の実施の形態2における誘導部材の上面図である。 本発明の実施の形態2における誘導部材の斜視図である。 本発明の実施の形態2における誘導部材の取り付け状態を示す断面図である。 本発明の実施の形態2において、オイル通路の他の構成例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態3に係る潤滑油の供給構造の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態3における潤滑油案内部を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態4に係る潤滑油の供給構造の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態4における潤滑油案内部を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態5に係る潤滑油の供給構造を模式的に示す断面図であり、インホイールモータ駆動装置を所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。 本発明の実施の形態5に係るインホイールモータ駆動装置の減速部の内部構造を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態5に係る潤滑油の供給構造の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態5において、ケーシングの減速室側の内部構造例を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態5において、オイル管が挿通されたモータケーシングの上部の縦断面構造を減速室側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態5における潤滑油案内部を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態5における潤滑油案内部を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態5において、モータケーシングカバーを取り外した状態で、インボード側からモータ室を見た図である。 本発明の実施の形態5において、ケーシングのモータ室側の内部構造例を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態5におけるモータケーシングカバーの構造例を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施の形態5におけるモータケーシングカバーの構造例を模式的に示す正面図である。 本発明の実施の形態5においてモータケーシングカバーに設けられたセンサ室を模式的に示す縦断面図である。 図17に示すインホイールモータ駆動装置およびその周辺構造を車両後方からみた状態を模式的に表す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
<インホイール駆動装置の基本構成例について>
はじめに、図1および図2を参照して、本発明の実施の形態に係る潤滑油の供給構造を採用するインホイールモータ駆動装置1の基本構成例について説明する。インホイールモータ駆動装置1は、電気自動車およびハイブリッド車両などの乗用自動車に搭載される。
図1は、本発明の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置1を所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。図2は、インホイールモータ駆動装置1の減速部31の内部構造を示す横断面図であり、車幅方向外側からみた状態を模式的に表す。なお、図1で表される所定の平面は、図2に示す軸線Mおよび軸線Nを含む平面と、軸線Nおよび軸線Oを含む平面とを、この順序で接続した展開平面である。図1中、紙面左側は車幅方向外側(アウトボード側)を表し、紙面右側は車幅方向内側(インボード側)を表す。図2中、減速部31の内部の各歯車は歯先円で表され、個々の歯を図略する。
インホイールモータ駆動装置1は、車輪ホイールWの中心に設けられる車輪ハブ軸受部11と、車輪を駆動するモータ部21と、モータ部21の回転を減速して車輪ハブ軸受部11に伝達する減速部31とを備える。
モータ部21および減速部31は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oからオフセットして配置される。軸線Oは車幅方向に延び、車軸に一致する。本実施の形態においては、軸線O方向一方側がアウトボード側であり、軸線O方向他方側がインボード側であるものとする。
軸線O方向位置に関し、車輪ハブ軸受部11はインホイールモータ駆動装置1の軸線方向一方に配置され、モータ部21はインホイールモータ駆動装置1の軸線方向他方に配置され、減速部31はモータ部21よりも軸線方向一方に配置され、減速部31の軸線方向位置が車輪ハブ軸受部11の軸線方向位置と重なる。
インホイールモータ駆動装置1は、電動車両の車輪を駆動する車両用モータ駆動装置である。インホイールモータ駆動装置1は、図示しない車体に連結される。インホイールモータ駆動装置1は、電動車両を時速0〜180km/hで走行させることができる。
車輪ハブ軸受部11は、回転内輪・固定外輪とされ、車輪ホイールWと結合する回転輪(ハブ輪)としての内輪12と、内輪12の外径側に同軸に配置される固定輪としての外輪13と、内輪12と外輪13との間の環状空間に配置される複数の転動体14を有する。内輪12の回転中心は、車輪ハブ軸受部11の中心を通る軸線Oに一致する。
外輪13は、本体ケーシング39の正面部分39fを貫通するとともに、この正面部分39fに連結固定される。正面部分39fは、本体ケーシング39のうち減速部31の軸線O方向一方端を覆うケーシング壁部である。たとえば、外輪13の外周面には周方向で異なる位置に、外径方向に突出する複数の外輪突出部が立設され、各外輪突出部に設けられた貫通孔に対し、軸線O方向一方側からボルトが通される。各ボルトの軸部は、本体ケーシング39の正面部分39fに穿設される雌ねじ孔と螺合する。
外輪13には、キャリア部材61が連結固定される。外輪13の外周面には、周方向で異なる位置に、外径方向に突出する複数の外輪突出部13gが設けられている。キャリア部材61は、外輪突出部13gの軸線O方向他方側に位置し、軸線O方向一方側から、外輪突出部13gの貫通孔およびキャリア部材61の雌ねじ孔にボルト62が通される。キャリア部材61は、本体ケーシング39に対し、軸線O方向他方側から通されたボルト63によって固定されている。
内輪12は、外輪13よりも長い筒状体であり、外輪13の中心孔に通される。外輪13から外部(アウトボード側)へ突出する内輪12の軸線O方向一方端部には、結合部12fが形成される。結合部12fはフランジであり、ブレーキロータBDおよび車輪と同軸に結合するための結合部を構成する。内輪12は、結合部12fで車輪ホイールWと結合し、車輪と一体回転する。
内輪12および外輪13間の環状空間には、複数列の転動体14が配置される。内輪12の軸線O方向中央部の外周面は、第1列に配置される複数の転動体14の内側軌道面を構成する。内輪12の軸線O方向他方端部外周には内側軌道輪12rが嵌合する。内側軌道輪12rの外周面は、第2列に配置される複数の転動体14の内側軌道面を構成する。外輪13の軸線O方向一方端部の内周面は、第1列の転動体14の外側軌道面を構成する。外輪13の軸線O方向他方端部の内周面は、第2列の転動体14の外側軌道面を構成する。内輪12および外輪13間の環状空間には、シール材16がさらに介在する。シール材16は環状空間の両端を封止して、塵埃および異物の侵入を阻止する。内輪12の軸線O方向他方端の中心孔には減速部31の出力軸38が差し込まれてスプライン嵌合する。
モータ部21は、モータ回転軸22、ロータ23、およびステータ24を有し、この順序でモータ部21の軸線Mから外径側へ順次配置される。モータ部21は、インナロータ、アウタステータ形式のラジアルギャップモータであるが、他の形式であってもよい。例えば図示しなかったがモータ部21はアキシャルギャップモータであってもよい。
モータ部21はモータケーシング29に収容されている。モータケーシング29はステータ24の外周を包囲する。モータケーシング29の軸線M方向一方端は本体ケーシング39の背面部分39bと結合する。モータケーシング29の軸線M方向他方端は、板状のモータケーシングカバー29vで封止される。背面部分39bは、本体ケーシング39のうち減速部31の軸線M方向(軸線O方向)他方端を覆うケーシング壁部である。
本体ケーシング39、モータケーシング29、およびモータケーシングカバー(リヤカバー)29vは、インホイールモータ駆動装置1の外郭をなすケーシング10を構成する。
ステータ24は円筒形状のコア部(以下「ステータコア」という)25と、該ステータコア25に巻回されたコイル26を含む。ステータコア25はリング状の鋼板を軸線M方向に積層してなる。
モータ回転軸22の両端部は、転がり軸受27,28を介して、本体ケーシング39の背面部分39bと、モータケーシングカバー29vに回転自在に支持される。モータ回転軸22およびロータ23の回転中心になる軸線Mは、車輪ハブ軸受部11の軸線Oと平行に延びる。つまりモータ部21は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oから離れるようオフセットして配置される。例えば図2に示すようにモータ部21の軸線Mは、軸線Oから車両前後方向にオフセットして、具体的には軸線Oよりも車両前方に配置される。
減速部31は、モータ部21のモータ回転軸22と同軸に結合する入力軸32と、入力軸32の外周面に同軸に設けられる入力歯車33と、複数の中間歯車34,36と、これら中間歯車34,36の中心と結合する中間軸35と、車輪ハブ軸受部11の内輪12と同軸に結合する出力軸38と、出力軸38の外周面に同軸に設けられる出力歯車37とを有する。減速部31のこれら複数の歯車および回転軸は、本体ケーシング39に収容される。本体ケーシング39は減速部31の外郭をなすことから減速部ケーシングともいう。
入力歯車33は外歯のはすば歯車である。入力軸32は中空構造であり、入力軸32の中空部32hにモータ回転軸22の軸線方向一方端部が差し込まれる。これにより、モータ回転軸22は、入力軸32に相対回転不可能にスプライン嵌合(またはセレーション嵌合)する。入力軸32は入力歯車33の両端側で、転がり軸受32a,32bを介して、本体ケーシング39の正面部分39fおよび背面部分39bに回転自在に支持される。
減速部31の中間軸35の回転中心になる軸線Nは軸線Oと平行に延びる。中間軸35の両端は、軸受35a,35bを介して、本体ケーシング39の正面部分39fおよび背面部分39bに回転自在に支持される。中間軸35の中央部には、第1中間歯車34および第2中間歯車36が、中間軸35の軸線Nと同軸に設けられる。第1中間歯車34および第2中間歯車36は、外歯のはすば歯車であり、第1中間歯車34の径が第2中間歯車36の径よりも大きい。大径の第1中間歯車34は、第2中間歯車36よりも軸線N方向他方側に配置されて、小径の入力歯車33と噛合する。小径の第2中間歯車36は、第1中間歯車34よりも軸線N方向一方側に配置されて、大径の出力歯車37と噛合する。
中間軸35の軸線Nは、図1に示すように、軸線Oおよび軸線Mよりも上方に配置される。また中間軸35の軸線Nは、軸線Oよりも車両前方、軸線Mよりも車両後方に配置される。減速部31は、車両前後方向に間隔を空けて配置されて互いに平行に延びる軸線O,N,Mを有する3軸の平行軸歯車減速機である。
出力歯車37は外歯のはすば歯車であり、出力軸38の中央部に同軸に設けられる。出力軸38は軸線Oに沿って延びる。出力軸38の軸線O方向一方端部は、内輪12の中心孔に差し込まれて相対回転不可能に嵌合する。かかる嵌合は、スプライン嵌合あるいはセレーション嵌合である。出力軸38の軸線O方向中央部(一方端側)は、転がり軸受38aを介して、本体ケーシング39の正面部分39fに回転自在に支持される。出力軸38の軸線O方向他方端部(他方端側)は、転がり軸受38bを介して、本体ケーシング39の背面部分39bに回転自在に支持される。
減速部31は、小径の駆動歯車と大径の従動歯車の噛合、即ち入力歯車33と第1中間歯車34の噛合、および、第2中間歯車36と出力歯車37の噛合により、入力軸32の回転を減速して出力軸38に伝達する。減速部31の入力軸32から出力軸38までの回転要素は、モータ部21の回転を内輪12に伝達する駆動伝達経路を構成する。入力軸32と、中間軸35と、出力軸38は、上述した転がり軸受によって両持ち支持される。これらの転がり軸受32a,35a,38a,32b,35b,38bはラジアル軸受である。
本体ケーシング39は、筒状部分と、当該筒状部分の両端を覆う板状の正面部分39fおよび背面部分39bを含む。筒状部分は、互いに平行に延びる軸線O、N、Mを取り囲むように減速部31の内部部品を覆う。板状の正面部分39fは、減速部31の内部部品を軸線方向一方側から覆う。板状の背面部分39bは、減速部31の内部部品を軸線方向他方側から覆う。
本体ケーシング39の背面部分39bは、モータケーシング29と結合し、減速部31の内部空間およびモータ部21の内部空間を仕切る隔壁でもある。モータケーシング29は本体ケーシング39に支持されて、本体ケーシング39から軸線方向他方側へ突出する。
インホイールモータ駆動装置1の外部からモータ部21のステータ24に電力が供給されると、モータ部21のロータ23が回転し、モータ回転軸22から減速部31に回転を出力する。減速部31はモータ部21から入力軸32に入力された回転を減速し、出力軸38から車輪ハブ軸受部11へ出力する。車輪ハブ軸受部11の内輪12は、出力軸38と同じ回転数で回転し、内輪12に取付固定される図示しない車輪を駆動する。
図2に示されるように、本体ケーシング39の下部には、オイルタンク40が設けられている。オイルタンク40はモータ部21よりも低位置に配置される。本体ケーシング39の内部空間の下部を占めるオイルタンク40には、潤滑油が貯留される。
潤滑油は、モータ部21および減速部31の回転要素を潤滑するとともに、モータ部21の発熱要素であるステータ24を冷却するために用いられる。以下に、インホイールモータ駆動装置1における潤滑油の供給構造について詳細に説明する。
なお、インホイールモータ駆動装置1の減速部31が3軸の平行軸式歯車減速機である例を示したが、減速部はたとえば4軸の平行軸式歯車減速機など、他種の歯車減速機であってもよいし、歯車を有さない減速機であってもよい。
<潤滑油の供給構造について>
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る潤滑油の供給構造の概要について説明する。図1に示されるように、インホイールモータ駆動装置1における潤滑油の供給構造は、潤滑油を封入するケーシング10と、ケーシング10の下部に設けられ、潤滑油を貯留するオイルタンク40と、オイルタンク40から潤滑油を汲み上げるオイルポンプ43と、ステータ24よりも上方位置において軸線M方向に沿って配置されたオイル通路50とを、前提の構成として備えている。なお、以下の説明において、モータ部21の軸線M方向に沿う方向を、単に軸方向という。
オイルポンプ43は、吸入油路41を介してオイルタンク40から潤滑油を吸入し、吸入した潤滑油を吐出油路45に吐出する。オイルポンプ43は、モータ回転軸22の回転に連動して駆動する。オイルポンプ43は、たとえば、出力軸38と同軸に結合され、出力軸38に駆動される。この場合、オイルポンプ43は車輪と同じ回転数で駆動される。オイルポンプ43は、たとえば、アウタロータおよびインナロータを有するトロコイドポンプである。
本実施の形態では、出力軸38の軸線O方向他方端部38fが、本体ケーシング39の背面部分39bを貫通して延びており、オイルポンプ43は、この背面部分39bから突出する出力軸38の軸線O方向他方端部38fと結合する。そのため、オイルポンプ43は、減速部31よりも車幅方向内側に位置するポンプ室46に収容される。
吸入油路41は、オイルタンク40から、本体ケーシング39の背面部分39b(すなわち、本体ケーシング39とモータケーシング29との間の隔壁部)を貫通して、ポンプ室46に導かれている。ポンプ室46は、たとえば、モータケーシング29のうち、モータ部21(ステータ24)の外周面の位置よりも車両後方側に拡張した拡張部分に設けられる。なお、オイルタンク40は、モータケーシング29の下部に設けられていてもよい。
吐出油路45は、モータケーシングカバー29vの壁厚内に形成された昇り油路45aを含む。昇り油路45aは、上下方向に延び、上端においてオイル通路50の一端に接続されている。
オイル通路50には、軸方向に沿って複数の孔(以下「オイル孔」という)59が互いに間隔をあけて設けられている。つまり、オイル通路50には、軸方向に直交するように複数の孔59が設けられている。これにより、オイル通路50を流れる潤滑油は、オイル孔59から径方向に吐出される。
本実施の形態では、オイル通路50のオイル孔59から吐出される潤滑油を、そのままステータ24のコイル26に供給するのではなく、潤滑油案内部7を介してコイル26(コイルエンド)に供給する。すなわち、本実施の形態に係る潤滑油の供給構造は、オイル孔59から吐出した潤滑油をステータ24のコイルエンドに導く潤滑油案内部7を備えている。
図3〜図5を参照して、オイル通路50および潤滑油案内部7の構成例について詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る潤滑油の供給構造の要部を模式的に示す断面図である。図4および図5は、本実施の形態におけるオイル通路50および潤滑油案内部7を模式的に示す図であり、図4にはステータ24の全体が示され、図5にはステータ24の一部が示されている。
図3〜図5を参照して、オイル通路50の構成例について説明する。本実施の形態において、オイル通路50は、2本(複数本)の管状部材(以下「オイル管」という)51,52により構成されている。オイル管51,52は直列的に接続されており、オイル管51はオイル管52の上流側に配置されている。オイル管51,52は円筒状に形成されており、オイル管51,52の直径(内径および外径)は互いに等しい。
オイル管51の一端は、昇り油路45aの上端と連結し、オイル管51の他端はオイル管52の一端と連結する。本実施の形態では、オイル管52の他端は閉鎖されているが、オイル管52は、本体ケーシング39内に配置されたオイル管(図2において想像線で示すオイル管57)と、本体ケーシング39の背面部分39bにおいて連結していてもよい。つまり、モータケーシング29内に配置されるオイル通路50の下流側に、本体ケーシング39内に配置されるオイル通路(オイル管57により構成されるオイル通路)が設けられていてもよい。あるいは、オイル管52が、本体ケーシング39の背面部分39bを貫通して延び、モータ室と減速室とに跨って配置されていてもよい。
図3に示されるように、オイル管51,52は、モータケーシング29の上部に取り付け固定されている。本実施の形態では、モータケーシング29の上端壁が径方向内側に向かって隆起しており、この隆起部分(以下「厚肉部」という)29tを軸方向に貫通するようにオイル通路50が配置されている。なお、図4には、モータケーシング29の厚肉部29tの横断面が示され、図5には、モータケーシング29の厚肉部29tの縦断面が示されている。図5は、オイル通路50を下方から見上げた状態を示す。
厚肉部29tは、軸方向位置に関し、ステータコア25の軸方向幅内(軸方向一端から他端までの範囲内)に配置されている。厚肉部29tの下端は、ステータコア25の外周面と当接していてよい。
具体的には、厚肉部29tは、軸方向に延びる貫通孔29hを有している。貫通孔29hの軸方向他方側(インボード側)の開口からオイル管51の一部が通され、貫通孔29hの軸方向一方側(アウトボード側)の開口からオイル管52の一部が通されている。貫通孔29hの直径は、オイル管51,52の外径寸法よりも大きい。
オイル管51は、上方に向かって突出するフランジ部51aを有しており、このフランジ部51aが、厚肉部29tの軸方向他方端面にボルト固定されている。フランジ部51aは、厚肉部29tの軸方向他方端面に設けられた雌ねじ孔と対面する貫通孔を有しており、軸方向他方側から、フランジ部51aの貫通孔および厚肉部29tの雌ねじ孔にボルト63が通される。オイル管52も同様に、上方に向かって突出するフランジ部52aを有しており、このフランジ部52aが、厚肉部29tの軸方向一方端面にボルト固定されている。これにより、オイル管51,52の回転が防止される。
オイル管51の一端は、昇り油路45aの上端に連結され、オイル管51の他端が、厚肉部29t内に配置されている。オイル管52の一端は、オイル管51の他端と隣接するように厚肉部29t内に配置され、オイル管52の他端は、厚肉部29tから外側に突出するように配置されている。オイル管52の他端の軸方向位置は、ステータコア25の軸方向一方側に位置するコイルエンド26eよりも外側(軸方向一方側)の位置である。
オイル管51の一端および他端には、本体部分(中央部)よりも大径である嵌合部53,54がそれぞれ設けられている。オイル管52の一端にも、本体部分(中央部)よりも大径である嵌合部55が設けられている。オイル管51の一端側の嵌合部53は、モータケーシングカバー29vの内側端面に設けられた開口部(昇り油路45aの上端部)に嵌合する。オイル管51の他端側の嵌合部54およびオイル管52の一端の嵌合部55は、モータケーシング29の厚肉部29tの貫通孔29hに嵌合する。各嵌合部の外周面には、たとえばOリング56が設けられており、各嵌合部における潤滑油の漏出が防止される。このような場合、図示されるように、オイル管51の他端とオイル管52の一端とが若干離れて配置されていてもよい。
各々のオイル管51,52の本体部分には、少なくとも1つのオイル孔59が設けられている。すなわち、オイル通路50には、軸方向位置が互いに異なる少なくとも2つのオイル孔(第1孔、第2孔)59を含む。より具体的には、ステータ24の軸方向中央面(図3において想像線で示す)を境として軸方向一方側および他方側の双方に、少なくとも1つのオイル孔59がオイル通路50に直交するように設けられている。
図3および図5に示されるように、各オイル管51,52のオイル孔59は、ステータコア25の軸方向幅内に設けられている。つまり、オイル孔59の軸方向位置が、ステータコア25の軸方向一方端と他方端との間である。
オイル孔59は、各オイル管51,52の下部領域に設けられており、オイル通路50を流れる潤滑油の一部を下方に流出(吐出)する。オイル孔59から吐出された潤滑油は、潤滑油案内部7を介してコイルエンド26eに導かれる。なお、コイルエンド26eは、ステータコア25の軸方向両端面の外側に形成されたコイル26の屈曲部に相当する。図4に示されるように、ステータコア25の軸方向一方側および他方側の各々において、複数のコイルエンド26eが放射状に配置されている。
本実施の形態において、潤滑油案内部7は、オイル孔59から吐出した潤滑油を受けるオイル受け室71と、オイル受け室71と連通して軸方向に沿って延びるオイル注ぎ路72とを含む。
オイル受け室71は、オイル通路50のオイル孔59と対面し、オイル通路50の(一部分の)外周を取り囲むように配置されている。オイル受け室71はオイル孔59から径方向に吐出される潤滑油を一旦貯め込むための空間である。オイル受け室71は、軸方向に沿って延び、たとえば円形断面(リング状断面)を有している。典型的には、オイル受け室71の軸心は、オイル通路50の軸心と一致する。オイル受け室71は、その断面積が、オイル通路50の通路面積よりも大きくなるように形成されている。
本実施の形態において、オイル受け室71は、モータケーシング29の一部、すなわち厚肉部29tに形成されている。つまり、オイル受け室71は、厚肉部29tの貫通孔29hの内周面と、オイル管51,52の外周面との間の環状空間により形成される。このように、厚肉部29tは、オイル受け室71の外周部を構成する。
本実施の形態では、上述のように、オイル管51の下流側端部(他端)およびオイル管52の上流側端部(一端)の外周面に、厚肉部29tの内周面と密着する嵌合部54,55がそれぞれ設けられている。そのため、オイル受け室71は、図3に示されるように、軸方向において2つのオイル受け室71a,71bに区画されている。オイル受け室71aは、オイル管51の嵌合部54よりも軸方向他方側(インボード側)に形成され、オイル管51のオイル孔59に対面する。オイル受け室71bは、オイル管52の嵌合部55よりも軸方向一方側(アウトボード側)に形成され、オイル管52のオイル孔59に対面する。
これにより、オイル管51のオイル孔59から吐出した潤滑油は、オイル受け室71aにおいて受け止められ、オイル管51の嵌合部54によって、他方のオイル受け室71bへの流動が阻止される。オイル受け室71aの断面形状は円形であるため、オイル受け室71aにおいて潤滑油は(オイル管51の回りを)円周方向に流動する。オイル受け室71aが受けた潤滑油は、軸方向他方端の開口から流出する。
オイル管52のオイル孔59から吐出した潤滑油は、オイル受け室71bにおいて受け止められ、オイル管52の嵌合部55によって、他方のオイル受け室71aへの流動が阻止される。オイル受け室71bの断面形状も円形であるため、オイル受け室71bにおいても潤滑油は(オイル管52の回りを)円周方向に流動する。オイル受け室71bが受けた潤滑油は、軸方向一方端の開口から流出する。
本実施の形態では、オイル受け室71a,71bの開口端側を下流側、嵌合部54,55側を上流側という。各オイル受け室71a,71bにおいて、オイル孔59の軸方向位置は上流寄りの位置であることが望ましい。すなわち、2つのオイル孔59は、ステータコア25の軸方向中央面寄りに配置されていることが望ましい。
上述のように、オイル受け室71a,71bの断面積はオイル通路50の通路面積よりも大きいため、オイル通路50のオイル孔59から吐出された潤滑油は、オイル通路50内で流動したときよりも遅い流速で、オイル受け室71a,71bの開口端から流出する。以下の説明において、2つのオイル受け室71a,71bを区別する必要がない場合には、単にオイル受け室71という。
オイル注ぎ路72は、オイル受け室71の下流側端部と連通して軸方向に沿って延びている。具体的には、オイル受け室71a,71bそれぞれの開口端と連通するように、一対のオイル注ぎ路72が設けられている。各オイル注ぎ路72の先端に、コイルエンド26eに潤滑油を注ぐ注ぎ口72aが形成されている。
オイル注ぎ路72の断面形状は、たとえば半円形状である。この場合、オイル注ぎ路72は、モータケーシング29の厚肉部29tの軸方向端部に連結された円弧状の部材72mによって形成される。なお、この円弧状の部材72mは厚肉部29tの一部であってもよい。つまり、オイル注ぎ路72も、モータケーシング29の一部に形成されていてもよい。
オイル注ぎ路72の半円形状の半径は、オイル受け室71の円形状の半径よりも大きい。典型的には、オイル注ぎ路72の半円形状の中心点は、オイル通路50およびオイル受け室71の中心(軸心)と一致する。これにより、オイル受け室71の内周面とオイル注ぎ路72の内周面との間に、上下方向の段差が形成されるため、オイル受け室71が受けた潤滑油が、開口端(下流側端部)からオイル注ぎ路72に流下する。したがって、オイル注ぎ路72において、オイル受け室71で生じた円周方向の流れを制限し、潤滑油の流動方向を軸方向に収束させることができる。
オイル注ぎ路72の注ぎ口72aの軸方向位置は、ステータコア25とコイルエンド26eとの境界位置付近である。そのため、オイル注ぎ路72において流動方向が軸方向に収束された潤滑油がそのまま、注ぎ口72aから流出し、下方にあるコイルエンド26e(典型的には最も上方に位置するコイルエンド26e)に流れ落ちる。つまり、注ぎ口72aから流出する潤滑油はステータコア25の外周方向に広がらず、直接、コイルエンド26eに供給される。なお、本実施の形態では、注ぎ口72aは、径方向に見てコイルエンド26eには重ならず、ステータコア25の端部と重なる位置に形成されている。
すなわち、本実施の形態によれば、オイル通路50のオイル孔59から径方向に吐出した潤滑油は、オイル受け室71a,71bにおいて流速が弱められた後、オイル受け室71a,71bよりも軸方向外側に配置されたオイル注ぎ路72において整流される。そして、オイル注ぎ路72の最も軸方向外側に位置する注ぎ口72aから、ステータコア25の両側のコイルエンド26eに、潤滑油を注ぐように供給することができる。ステータコア25の両側それぞれにおいて、最も上方に位置するコイルエンド26eに潤滑油が注がれることにより、コイル26の他の部分にも潤滑油が伝わり、また、その下方側のコイル26にも潤滑油が流れ落ちる。これにより、ステータ24のコイル26のうち潤滑油に浸かっていない部分に潤滑油を供給できるため、コイル26を効率的に冷却することができる。
ここで、モータ回転軸22が高速で回転し、オイルポンプ43から大流量の潤滑油が吐出される場合、オイル受け室71において潤滑油の流速が弱められたとしても、注ぎ口72aから勢い良く潤滑油が流出すると、潤滑油はコイルエンド26eに流れ落ちずに飛び越してしまうおそれがある。そのため、本実施の形態における潤滑油案内部7は、オイル注ぎ路72の注ぎ口72aと軸方向に対面して配置される飛散防止部材73を含む。
飛散防止部材73は、たとえば、径方向に延在する板状部材により構成される。インボード側に位置する飛散防止部材73は、オイル管51から下方に延びるようにオイル管51と一体的に形成され、アウトボード側に位置する飛散防止部材73は、オイル管52から下方に延びるようにオイル管52と一体的に形成さていることが望ましい。これにより、飛散防止部材73の位置決めが容易になるとともに、部品点数の増加を抑えることができる。
軸方向位置に関し、飛散防止部材73は、各コイルエンド26eの軸方向幅内に配置されていることが望ましい。具体的には、飛散防止部材73は、径方向に見て、各コイルエンド26eの軸方向外側端部と重なっていることが望ましい。これにより、オイル注ぎ路72の注ぎ口72aから流出する潤滑油が、コイルエンド26eを越えて飛散することが防止される。また、飛散防止部材73の下端位置は、コイルエンド26eの上端よりも上方かつステータコア25の上端よりも下方であることが望ましい。
このような飛散防止部材73がオイル管51,52それぞれに設けられるため、注ぎ口72aから勢い良く流出する潤滑油は、飛散防止部材73によってコイルエンド26eの軸方向幅内に拘束される。したがって、注ぎ口72aから流出する潤滑油の大部分をコイルエンド26eに供給することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る潤滑油の供給構造によれば、ステータ24のコイルエンド26eに供給する潤滑油の流速および流動方向をコントロールすることができる。したがって、モータ回転軸22の回転速度、すなわちオイルポンプ43による潤滑油の吐出量に関わらず、効果的にコイルエンド26eに潤滑油を供給することができる。
より具体的には、オイル孔59の径が比較的小さい場合に、オイル孔59から潤滑油がビーム状に吐出するため、オイル孔59から直接、コイルエンド26eに潤滑油を供給する構造を採用すると、潤滑油の撥ね返りが起きるため、供給対象のコイルエンド26eに万遍なく潤滑油を与えることができない。これに対し、本実施の形態では、オイル孔59からビーム状に潤滑油が吐出されたとしても、オイル受け室71において潤滑油が一旦受け止められて、オイル注ぎ路72において潤滑油が軸方向に整流されるため、潤滑油を無駄なくコイルエンド26eに供給することができる。その結果、コイル26の冷却を効果的に行うことができる。
一方で、オイル孔59の径を大きくすることも考えられるが、その場合、オイル通路50から減速部31にも潤滑油を供給する形態(具体的には、図2において想像線で示す減速部31側のオイル管57がオイル管52と連通する形態)を採用するインホイールモータ駆動装置に、本実施の形態に係る潤滑油の供給構造を適用できなくなるため、汎用性の観点から望ましくない。
なお、本実施の形態では、オイル通路50が2本のオイル管51,52を含む例を示したが、図6に示すように、オイル通路50は1本のオイル管58によって構成されていてもよい。この場合、厚肉部29tと嵌合する嵌合部54が、ステータ24の軸方向中央位置に設けられ、この嵌合部54の両側にオイル孔59が設けられる。また、このオイル管58は、フランジ部58aにより厚肉部29tの軸方向他方端面にボルト固定される。
(実施の形態2)
図7を参照して、本発明の実施の形態2に係る潤滑油の供給構造の概要について説明する。本実施の形態に係る潤滑油の供給構造は、上記した潤滑油案内部7に代えて潤滑油案内部7Aを備えている点において、実施の形態1と異なる。
本実施の形態においても、潤滑油の供給構造は、オイル受け室および注ぎ路を備えているが、図7および図11に示されるように、オイル受け室71Aは、オイル管51の嵌合部54およびオイル管52の嵌合部55よりも大径に形成されている。つまり、厚肉部29tの貫通孔29hは、軸方向中央部分が小径となり軸方向両端部分が大径となるように形成されている。
これにより、オイル受け室71Aの断面積が大きくなり、潤滑油の受入れ量が増えるため、オイル受け室71Aにおいて潤滑油の流速を十分に低下させることが可能となる。
潤滑油案内部7Aは、実施の形態1で説明した飛散防止部材73を含まず、代わりに、誘導部材8を含んでいる。誘導部材8は、オイル注ぎ路72の注ぎ口72a(図5等参照)から流出する潤滑油を、複数のコイルエンド26eに分配するための分配部材81と、潤滑油の飛散を防止するための飛散防止部材82とを、一体的に含んでいる。
誘導部材8については、図8〜図11をさらに参照して説明する。図8は、ステータ24の軸方向外側から見た場合の誘導部材8の正面図である。図9は、図8のIX方向から見た図であり、誘導部材8の上面図である。図10は、誘導部材8の斜視図である。図11は、誘導部材8の取り付け状態を示す断面図である。
分配部材81は、略U字状断面を有する樋部材83と、樋部材83の底面85に設けられた複数の孔86とにより構成されている。図8に示されるように、樋部材83は、正面から見て略円弧状に形成されている。樋部材83の円弧形状の半径はステータ24の半径と略等しい。樋部材83の円弧形状の中心角θは、たとえば60°以上であり、90°以下であることが望ましい。
本実施の形態では、樋部材83は、径方向外側から見て(上方から見て)たとえば3つのコイルエンド26eと重なるように配置される。この場合、図9において想像線で示すように、各コイルエンド26eと重なる位置に孔86が設けられている。孔86は、1つのコイルエンド26eに対して複数個(たとえば2個)設けられていることが望ましい。
樋部材83の底面85は、円弧面でなくてもよい。図示されるように、樋部材83の底面85のうちの中央部が水平面によって形成され、その両端部が傾斜面によって形成されてもよい。
樋部材83の一対の立上り部87のうちの一方(以下、裏側の立上り部87という)がステータコア25の軸方向端面の円弧状の縁部に当接する。樋部材83の他方の立上り部87(以下、表側の立上り部87という)の中央部分は、飛散防止部材82と一体形成されている。
本実施の形態では、図11に示されるように、オイル注ぎ路72の先端面と分配部材81の裏側の立上り部87とが接する。つまり、本実施の形態では、オイル注ぎ路72の注ぎ口72aが、ステータコア25とコイルエンド26eとの境界線上に配置されている。
裏側の立上り部87の上端位置は、ステータコア25よりも若干上方であり、オイル注ぎ路72を形成する部材72mの厚み範囲内の位置である。そのため、オイル注ぎ路72の注ぎ口72aから流出する潤滑油を、確実に、分配部材81に流し入れることができる。
飛散防止部材82は、取り付け状態において径方向(上下方向)に延在する板状部材である。飛散防止部材82は、分配部材81の表側の立上り部87と面一状に形成されている。飛散防止部材82の上端部には、オイル管51または52を受入れる円弧状の切欠き部88が形成されている。
図8および図10に示されているように、誘導部材8は、分配部材81の下端に連結された複数(3個)の脚部84をさらに含んでいる。脚部84は、分配部材81の裏側の立上り部87と面一状に形成された板状部材である。各脚部84は、ステータ24の軸方向端面とコイルエンド26eとの間に径方向に貫通するように形成されるスロット26s(図7)に、差し込まれた状態となるように、コイル26をステータコア25に巻き付けるときに脚部84を共組みする。
誘導部材8は、ステータ24の軸方向端面に形成される複数のスロット26sに複数の脚部84をそれぞれ挿通するだけで取り付けられるため、分配部材81および飛散防止部材82の設置を容易に行うことができる。
このような誘導部材8が取り付けられることにより、オイル注ぎ路72の注ぎ口72aからの潤滑油は分配部材81の樋部材83の中央部に流れ落ちる。中央部に流れ落ちた潤滑油は、樋部材83の円弧形状に沿って、円周方向一方側および他方側の双方に分流する。樋部材83の中央部および両端部それぞれの底面85には孔86が設けられているため、潤滑油が樋部材83上を流れる過程において、孔86から潤滑油が流下する。これにより、比較的上方に位置する複数のコイルエンド26eに直接潤滑油を供給することができる。
このように、本実施の形態によれば、潤滑油の供給構造が分配部材81を含むため、実施の形態1よりもさらに効率的にコイル26を冷却することが可能となる。また、飛散防止部材82が分配部材81と一体的に設けられているため、飛散防止部材82に当たった潤滑油は確実に分配部材81に流れ落ちる。したがって、部品点数の増加を抑制できるとともに、潤滑油を無駄なくコイル26へと導くことができる。
なお、本実施の形態においても、図12に示すように、オイル通路50は1本のオイル管58によって構成されていてもよい。
(実施の形態3)
図13および図14を参照して、本発明の実施の形態3に係る潤滑油の供給構造について説明する。図13は、本発明の実施の形態3に係る潤滑油の供給構造の要部を模式的に示す断面図である。図14は、本発明の実施の形態3における潤滑油案内部7Bを模式的に示す図である。
潤滑油案内部7Bの基本構成は、実施の形態1の潤滑油案内部7と略同じである。したがって、実施の形態1との相違点のみ以下に説明する。
本実施の形態に係る潤滑油の供給構造は、実施の形態1で示した図6のオイル管58と同様に、モータ室内のオイル通路50として1本のオイル管91を備えている。オイル管91のアウトボード側端部には板状の飛散防止部材73Aが設けられているが、オイル管91のインボード側端部には板状の飛散防止部材が設けられていない。
本実施の形態では、リヤカバーとしてのモータケーシングカバー29vの内側端面が、飛散防止形状を有している。具体的には、モータケーシングカバー29vの内側端面に設けられた凸部93が、インボード側の飛散防止部材として機能する。凸部93は、インボード側に位置するオイル注ぎ路72の注ぎ口72aと軸線方向に対面する位置に形成されている。
凸部93は、モータケーシングカバー29vの接続部92の下方に位置し、これに連続して設けられている。接続部92は、オイル管91の嵌合部53を受入れる開口部を有する部分である。軸方向位置に関し、凸部93の先端位置は、インボード側のコイルエンド26eの端部と重なる位置であることが望ましい。上下方向位置(径方向位置)に関し、凸部93とインボード側のコイルエンド26eとの間には、隙間が設けられている。
このように、本実施の形態では、オイル管91と一体形成された飛散防止部材73Aが、オイル管91のアウトボード側端部にのみ設けられているため、オイル管91をアウトボード側から厚肉部29tの貫通孔29hに挿通する際に飛散防止部材が邪魔になることがない。したがって、図3に示されるようにオイル通路50を2本のオイル管51,52で構成しなくても、飛散防止機能を損なうことなくオイル通路50を1本のオイル管91で実現することができる。
この場合、オイル管91は、フランジ部91aにより厚肉部29tの軸方向一方端面(アウトボード側端面)に、ボルト63によって固定される。なお、オイル管91は、たとえば、本体ケーシング39の背面部分39bに設けられた開口部(図示せず)を通して、アウトボード側から厚肉部29tに挿入することが可能である。
ここで、オイル管91の中央部には、モータケーシング29の厚肉部29tの貫通孔29hに嵌合する大径の嵌合部(図6の嵌合部54)が設けられていない。その代わりに、厚肉部29tの軸方向中央位置に、厚肉部29tを加工して形成された仕切り部74が設けられている。仕切り部74は、たとえば、厚肉部29tの貫通孔29hの内周面に形成された円弧状または円環状の凸部によって構成されている。
これにより、オイル受け室71Bは、仕切り部74を介して、軸方向において2つのオイル受け室71c,71dに区画される。つまり、本実施の形態では、仕切り部74によって、一方のオイル受け室から他方のオイル受け室への潤滑油の流出が抑制される。
この場合、後述の図16に示されるように、仕切り部74の軸心の位置は、オイル受け室71Bの軸心の位置よりも鉛直上方にオフセットしていることが望ましい。これにより、オイル管91の外周を取り囲む仕切り部74全体のうちオイル管91の下方側に位置する部分の高さを高くできるため、2つのオイル受け室71c,71d間の潤滑油の流動を効果的に防止することができる。なお、仕切り部74の内周面の直径は、オイル管91の嵌合部53の外径寸法以上である。
図13および図14に示されるように、オイル受け室71c,71dは、オイル注ぎ路72に向かって徐々に断面積が大きくなるようにテーパ状に形成されている。この場合、オイル受け室71c,71dの内周面とオイル注ぎ路72の内周面との間には、上下方向の段差がなく、これらが連続的に設けられていてもよい。
オイル受け室71c,71dの円筒面がこのようにテーパ状に形成される場合、各オイル受け室が受けた潤滑油は自然とオイル注ぎ路72側へ導かれるため、2つのオイル受け室71c,71d間の潤滑油の流動をさらに効果的に防止することができる。
なお、図14に示されるように、オイル管91に設けられた板状の飛散防止部材73Aの横幅(車両前後方向に沿う長さ寸法)は、オイル注ぎ路72の横幅(直径)よりも大きい。この場合、飛散防止部材73Aの横幅方向両端部は、内側に曲げられていてもよい。これにより、オイル注ぎ路72から勢いよく流出した潤滑油が、飛散防止部材73Aの横幅方向端部からさらに飛散して、コイルエンド26eよりも外側に潤滑油が流出することを防止することができる。また、飛散防止部材73Aの剛性を向上できるので、飛散防止部材73Aの板厚を薄くでき、軽量化を図ることができる。
(実施の形態4)
図15および図16を参照して、本発明の実施の形態4に係る潤滑油の供給構造について説明する。図15は、本発明の実施の形態4に係る潤滑油の供給構造の要部を模式的に示す断面図である。図16は、本発明の実施の形態4における潤滑油案内部7Cを模式的に示す図である。
潤滑油案内部7Cの基本構成は、実施の形態2の潤滑油案内部7Aと略同じである。したがって、実施の形態2との相違点のみ以下に説明する。
本実施の形態に係る潤滑油の供給構造は、実施の形態2で示した図12のオイル管58と同様に、モータ室内のオイル通路50として1本のオイル管91Aを備えている。このオイル管91Aは、実施の形態3のオイル管91と略同じ構成である。
潤滑油案内部7Cは、アウトボード側に位置する誘導部材8Aと、インボード側に位置する誘導部材8Bとを含んでいる。アウトボード側の誘導部材8Aは、実施の形態2で示した分配部材81のみを有し、実施の形態2で示した飛散防止部材82(図11等参照)を有さない。これに対し、インボード側の誘導部材8Bは、実施の形態2の誘導部材8と同様に、分配部材81と、これと一体的に形成された飛散防止部材82Aとを有している。
このように、アウトボード側の誘導部材8Aは飛散防止部材を含まないが、その代わりに、オイル管91Aが、上記実施の形態3で示したオイル管91と同様に、アウトボード側にのみ板状の飛散防止部材73Bを一体的に有している。これにより、本実施の形態においても、飛散防止部材73Bがオイル管91Aのアウトボード側端部にのみ設けられているため、オイル管91Aをアウトボード側から厚肉部29tの貫通孔29hに挿通する際に飛散防止部材が邪魔になることがない。
つまり、本実施の形態においても、オイル通路50を1本のオイル管91Aによって実現することができる。なお、飛散防止部材73Bは、誘導部材8Aを構成する分配部材81の表側の立上り部87の直上に配置されているため、実施の形態3の飛散防止部材73Aよりも上下長さが短い。
誘導部材8Bの飛散防止部材82Aは、実施の形態2と同様に、分配部材81の表側の立上り部87と一体形成されている。飛散防止部材82Aの機能を高めるためには、オイル管91Aとの隙間を極力小さくすることが望ましい。しかしながら、オイル管91Aのインボード側端部に位置する嵌合部53は、オイル管91A本体の外径寸法よりも大きい。嵌合部53の外周面には、シール部材としてのOリング56を嵌め入れる円環状の溝を形成する必要があるためである。
そのため、飛散防止部材82Aとオイル管91Aとの隙間が小さい場合、オイル管91Aをアウトボード側から厚肉部29tの貫通孔29hに挿通してケーシング10に組み付ける際に、嵌合部53が飛散防止部材82Aに干渉するおそれがある。
そこで、本実施の形態では、飛散防止部材82Aとモータケーシングカバー29vの接続部92との間の間隔L2を、オイル管91Aの嵌合部53の軸方向寸法L1以上としている。これにより、飛散防止部材82Aとオイル管91Aの外周面との間の隙間を小さくしたとしても、オイル管91Aを組み付ける際に、間隔L2で示される空間で、オイル管91Aの嵌合部53を上下に動かしながら、モータケーシングカバー29vの接続部92に嵌め込むことができる。
したがって、本実施の形態によれば、取り付け状態において、軸方向に見て、飛散防止部材82Aの上端部がオイル管91Aの嵌合部53と重なるように、飛散防止部材82Aを配置することができる。これにより、飛散防止部材82Aとオイル管91Aとの隙間からの潤滑油の漏れを極力抑えることが可能となる。
(変形例)
上記実施の形態1〜4では、オイル通路50は、ステータコア25と重なる位置に設けられたオイル孔59のみを有することとしたが、ステータコア25と重ならない位置にも、オイル孔を有していてもよい。
また、オイル受け室71は、モータケーシング29に形成されていることとしたが、モータケーシング29に取り付け可能な別部材により構成されてもよい。
また、オイル注ぎ路72は、円弧状の部材72mによって形成されることとしたが、オイル受け室71と同様に、円筒状の部材によって形成されてもよい。
また、オイル受け室71の断面形状は円(正円)形であることとしたが、限定的ではない。オイル受け室71はオイル通路50の外周を取り囲むように配置されていればよく、オイル受け室71の断面形状はたとえば楕円形や多角形など他の形状であってもよい。
また、オイル注ぎ路72の断面形状は半円形であることとしたが、限定的ではない。オイル注ぎ路72、オイル受け室71よりも下方位置において、軸方向に沿って(オイル通路50と平行な方向に)潤滑油を流動させることができればよく、オイル注ぎ路72の断面形状はたとえばV字形状やU字形状など他の形状であってもよい。
また、オイル受け室71の軸方向長さを比較的長くとれる場合などにおいては、オイル注ぎ路72を設けなくてもよい。この場合、オイル受け室71の下流側端部に、コイルエンド26eへの潤滑油の注ぎ路が形成される。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る潤滑油の供給構造について説明する。図17は、本発明の実施の形態5に係る潤滑油の供給構造を模式的に示す断面図であり、インホイールモータ駆動装置1Aを、軸線O、軸線M、およびオイル通路50を通る所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。
インホイールモータ駆動装置1Aの基本構成は、図1および図2に示したインホイールモータ駆動装置1と同様であり、車輪ハブ軸受部11と、モータ部21と、減速部31と、モータケーシング29および本体ケーシング39を含むケーシング10とを備えている。図18には、インホイールモータ駆動装置1Aの減速部31の内部構造をアウトボード側からみた状態が模式的に示されている。
なお、車輪ホイールWの内空領域に配置されるインホイールモータ駆動装置1Aは、図29に示されるように、サスペンション装置100を介して車体(図示せず)に連結されている。サスペンション装置100は、たとえばストラット式サスペンション装置であり、車幅方向に延びるロアアーム101と、ロアアーム101よりも上方に配置されて上下方向に延びるダンパー102とを含む。
本実施の形態に係る潤滑油の供給構造の要部が、図19に示されている。本実施の形態に係る潤滑油の供給構造は、オイル通路50のオイル孔59から吐出した潤滑油をステータ24のコイルエンド26eに導く潤滑油案内部7Dを備えている。
本実施の形態において、オイル通路50は、モータケーシング29の厚肉部29tおよび本体ケーシング39の背面部分39bを軸方向に貫通するように配置された一本のオイル管91Bによって構成されている。なお、本体ケーシング39の背面部分39bは、モータケーシング29内のモータ室S1(モータ部21)と本体ケーシング39内の減速室S2(減速部31)とを軸方向に仕切る隔壁として機能していることから、以下の説明において、本体ケーシング39の背面部分39bを、ケーシング10の隔壁部39bという。
減速室S2側に位置するオイル管91Bのアウトボード側端部にもオイル孔59を設けることで、一本のオイル管91Bによって、モータ室S1および減速室S2の双方に潤滑油を供給することができる。
ここでまず、図20および図21をさらに参照して、オイル管91Bの支持構造について説明する。図20は、ケーシング10の減速室S2側の内部構造例を示す図であり、図20には、隔壁部39bのアウトボード側端面が模式的に表されている。図20(A)は正面図であり、図20(B)は斜視図である。なお、図20には、本体ケーシング39の正面部分39fを構成する平板状壁部を取り外した状態が示されている。図21は、オイル管91Bが挿通されたモータケーシング29(モータケーシングカバー29vを含む)の上部の縦断面構造を、減速室S2側から見た斜視図である。
オイル管91Bは、その両端がケーシング10に支持されている。オイル管91Bの一端(インボード側端部)は、上記各実施の形態と同様に、嵌合部53においてモータケーシングカバー29vの接続部92に嵌合する。オイル管91Bの他端(アウトボード側端部)は、ケーシング10の隔壁部39bにボルト固定される。
図18および図20に示されるように、ケーシング10の隔壁部39bには、オイル管91Bが挿通される開口部39hが設けられている。設置状態において減速室S2側に位置するオイル管91Bの外周面には、溶接等によって取付金具(ブラケット)91tが連結されている。取付金具91tは、オイル管91Bに直交して径方向に延びる板状部を含み、当該板状部に板厚方向に貫通する貫通孔(図示せず)を有している。隔壁部39bのアウトボード側端面には、開口部39hの近傍に雌ねじ孔39iが設けられている。オイル管91Bの他端側(アウトボード側端部)は、取付金具91tの貫通孔にボルト64の軸部がアウトボード側から通されて雌ねじ孔39iと螺合することにより、隔壁部39bのアウトボード側端面に確りと固定される。
本実施の形態におけるオイル管91Bの支持構造によれば、インホイールモータ駆動装置1Aの製造時に、モータ部21の組み付けが完了した後に、(図18および図20に示されるように、本体ケーシング39の正面部分39fを構成する平板状壁部が外された状態において)1本のオイル管91Bを減速室S2側から容易に取り付けることができる。具体的には、次のような手順でオイル管91Bがケーシング10に取り付けられる。
まず、ケーシング10の隔壁部39bの開口部39hに、嵌合部53が先頭となるようにアウトボード側からオイル管91Bを挿入する。次に、嵌合部53が、厚肉部29tの貫通孔29hを通過してモータケーシングカバー29vにまで達すると、嵌合部53をモータケーシングカバー29vの接続部92に嵌め入れる。これにより、オイル管91Bのインボード側端部が、嵌合部53の外周に設けられたOリング56と接続部92との嵌め合いによって固定される。その後、減速室S2において、オイル管91Bに連結された取付金具91tを、隔壁部39bのアウトボード側端面にボルト64で固定する。これにより、オイル管91Bのアウトボード側端部が、隔壁部39bにボルト固定される。
このように、本実施の形態によれば、1本のオイル管91Bでモータ室S1だけでなく、減速室S2にも潤滑油を送ることができるため、部品点数を減らすことができる。また、製造コストを低減することができる。また、図21に示されるように、オイル管91Bの軸方向両端部が、Oリング56とボルト64とによりケーシング10に支持されるため、オイル管91Bを傾き難くすることができる。
次に、図22〜図25を参照して、潤滑油案内部7Dについて説明する。図22は、潤滑油案内部7Dを模式的に示す図であり、モータケーシング29の上部(厚肉部29t)およびオイル管91Bの縦断面構造を斜め上方から見た図である。図23は、潤滑油案内部7Dを模式的に示す図であり、オイル管91Bを取り除いた状態で、モータケーシング29の上部(厚肉部29t)の横断面構造を斜め上方から見た図である。図24は、モータケーシングカバー29vを取り外した状態で、インボード側からモータ室S1を見た図である。図25は、ケーシング10のモータ室S1側の内部構造例を示す図であり、図25には、隔壁部39bおよび厚肉部29tのインボード側端面が模式的に表されている。図25(A)は正面図であり、図25(B)は斜視図である。
潤滑油案内部7Dは、ステータコア25の上方に位置するオイル管91Bのオイル孔59から吐出した潤滑油を受けるオイル受け室71Cを含んでいる。
オイル受け室71Cは、実施の形態3と同様に、モータケーシング29上部の厚肉部29tにおいて、仕切り部74Aを境として、2つのオイル受け室71e,71fに区画されている。仕切り部74Aは、厚肉部29tの貫通孔29hの内周面から突出する円弧状または円環状の凸部によって構成されている。仕切り部74Aとしての凸部は、少なくともオイル管91Bの軸心高さよりも下方に配置されていればよい。なお、オイル管91Bが上述のように減速室S2側から取り付けられる場合、仕切り部74Aの内径寸法(最小寸法)は、オイル管91Bの嵌合部53の外径寸法よりも大きい。
本実施の形態においても、ステータコア25の軸方向幅内において、仕切り部74Aの軸方向位置よりもアウトボード側およびインボード側に、少なくとも1つずつオイル孔59が設けられている。これにより、オイル孔59から各オイル受け室71e,71fへと潤滑油が吐出される。また、オイル受け室71e,71f間には仕切り部74Aが設けられているため、各オイル受け室71e,71fで受けた潤滑油が他方のオイル受け室へと浸入することを防止できる。これにより、ステータ24の軸方向両側に配置されたコイルエンド26eのうちの一方側にのみ潤滑油が多く流れる(潤滑油の供給量が不均一となる)ことを防止できる。
潤滑油案内部7Dは、アウトボード側のオイル受け室71eと連通して軸方向に沿って延びるオイル注ぎ路72Aと、インボード側のオイル受け室71fと連通して軸方向に沿って延びるオイル注ぎ路72Bとをさらに含む。本実施の形態におけるオイル注ぎ路72A,72Bの形状は、半円形状ではなく、図23に示されるように、略平坦な底面72fを有する谷形状であってもよい。これにより、オイル注ぎ路72A,72Bにおいて、より効果的に、潤滑油の流動方向を軸方向に収束させることができる。
図19に示されるように、本実施の形態では、仕切り部74Aの軸方向位置が、ステータ24の中央位置LAよりもアウトボード側にずれている。この場合、アウトボード側のオイル受け室71eおよびオイル注ぎ路72Aの少なくとも一方の軸方向長さは、インボード側のオイル受け室71fおよびオイル注ぎ路72Bの軸方向長さよりも短い。本実施の形態では、アウトボード側のオイル受け室71eおよびオイル注ぎ路72Aの双方の軸方向長さが、インボード側のオイル受け室71fおよびオイル注ぎ路72Bの軸方向長さよりも短い。
また、図19に示されるように、インボード側のオイル受け室71fは、実施の形態3と同様に、オイル注ぎ路72Bに向かって(インボード側へいくにつれて)徐々に断面積が大きくなるようにテーパ状に形成されている。つまり、インボード側のオイル受け室71fは、その下端高さが仕切り部74Aから遠ざかるにつれて下方となるよう、軸方向に沿って(軸線Mに対して)傾斜している。アウトボード側のオイル受け室71eも、その下端高さが仕切り部74Aから遠ざかるにつれて下方となるよう、軸方向に沿って(軸線Mに対して)傾斜していてもよい。本実施の形態では、インボード側のオイル受け室71fの方が、アウトボード側のオイル受け室71eよりも勾配(傾斜角度)が大きい。オイル注ぎ路72A,72Bについても同様に、インボード側のオイル注ぎ路72Bの方が、アウトボード側のオイル注ぎ路72Aよりも勾配(傾斜角度)が大きい。
このように、インボード側のオイル受け室71fまたはオイル注ぎ路72Bは、軸方向外側へ潤滑油が流れやすくなるよう勾配がつけられている。アウトボード側のオイル受け室71eおよびオイル注ぎ路72Aの少なくとも一方の勾配は、いわゆる抜き勾配程度であってもよい。なお、オイル受け室71f(71e)およびオイル注ぎ路72B(72A)の双方において、軸方向に沿って傾斜する傾斜面は、滑らかな傾斜面(テーパ面)に限定されず、たとえば、軸方向外側に向かって潤滑油が流れるように構成された波状の面や複数の段差を有する面によって形成されていてもよい。オイル受け室71f(71e)の傾斜角度およびオイル注ぎ路72B(72A)の傾斜角度は、インホイールモータ駆動装置1Aを車体に取り付けた場合のキャンバー角を考慮して定めてもよい。
なお、本実施の形態のように、たとえば、アウトボード側のオイル受け室71eの軸方向長さがインボード側のオイル受け室71fの軸方向長さよりも短い場合、オイル注ぎ路72Aに対面する位置にオイル孔59が配置されていてもよい。つまり、オイル注ぎ路72Aにも、オイル管91Bのオイル孔59から吐出されたオイルを受ける機能を持たせてもよい。
図19を参照して、潤滑油案内部7Dは、オイル注ぎ路72A,72Bから流出する潤滑油を、複数のコイルエンド26eに分配するための一対の分配部材81A,81Aを含んでいる。また、潤滑油案内部7Dは、アウトボード側のオイル注ぎ路72Aから流出する潤滑油の飛散を防止する飛散防止部材73Cと、インボード側のオイル注ぎ路72Bから流出する潤滑油の飛散を防止する飛散防止部材73Dとをさらに含んでいる。
分配部材81Aは、樋部材83Aと、樋部材83Aの底面85に設けられた複数の孔86とにより構成されている。樋部材83Aは、上述の樋部材83とは異なり、ステータコア25の軸方向端面の円弧状の縁部25aに接する立上り部を有さず、樋部材83Aの底面85がステータコア25の軸方向端面の縁部25aに突き当たった状態で接している。
分配部材81Aは、実施の形態2と同様に、樋部材83Aと一体的に連結された複数の脚部84が、ステータ24の軸方向端面に形成される複数のスロット26sにそれぞれ挿通されることによって取り付けられる。
図24に示されるように、軸方向に見て円弧状の樋部材83Aは、オイル管91B(オイル通路50)の軸線Cとモータ回転軸22の軸線Mとを結ぶ仮想線LB上またはその付近に、その中央部が位置するように配置されることが望ましい。
図22および図23に示されるように、樋部材83Aの中央部には、仕切壁89が設けられていてもよい。仕切壁89は、ステータコア25の軸方向端面の縁部25eと樋部材83Aの立上り部87との間の空間を塞ぐように、樋部材83Aの底面85上に立設される。これにより、オイル管91Bの軸線Cが軸線Mよりも車両前方側(または後方側)にずれて配置され、樋部材83Aの中央部が上端に位置しない場合であっても、仕切壁89によって車両前後方向に潤滑油を分配できる。すなわち、軸方向にみて、潤滑油の分配が車両前方側(または後方側)に偏ることを防止または抑制できる。したがって、複数のコイルエンド26eに潤滑油を適切に分配することができる。
アウトボード側の飛散防止部材73Cは、実施の形態4の飛散防止部材73Bと同様に、オイル管91Bに溶接等により接続された板状部材により構成されている。飛散防止部材73Cは、分配部材81Aの上方に位置し、オイル注ぎ路72Aの軸方向端部(注ぎ口)と軸方向に対面して配置されている。飛散防止部材73Cは、分配部材81Aの立上り部87よりもステータコア25側(インボード側)に配置されていてもよい。なお、飛散防止部材73Cは、オイル管91Bに固定された状態で、隔壁部39bに設けられた開口部39hを通過できる形状および大きさとなっている。また、飛散防止部材73Cは、上述の取付金具91tと一体形成されていてもよい。
インボード側の飛散防止部材73Dは、実施の形態3と同様に、モータケーシングカバー29vに設けられた凸部93により構成されている。すなわち、飛散防止部材73Dは、モータケーシングカバー29vの内側端面に、接続部92の下方に連続するように設けられている。
以上説明したように、潤滑油案内部7Dを備えたインホイールモータ駆動装置1Aによれば、簡易な構造で、軸方向両側のコイルエンド26eに上方から潤滑油を供給できるため、ステータ24を効率的に冷却することができる。
コイルエンド26eに供給された潤滑油は、モータ回転軸22を回転支持する転がり軸受27,28の潤滑にも寄与する。図17に示されるように、モータ回転軸22のインボード側端部に、モータ回転軸22の回転を検出するレゾルバ(回転センサ)68が設けられている場合、インボード側の転がり軸受28に供給された潤滑油が、センサ室S3に導かれるようにモータケーシングカバー29vを構成してもよい。センサ室S3は、レゾルバ68が収容される空間である。
モータケーシングカバー29vの構造例を、図26〜図28に示す。図26は、モータケーシングカバー29vをアウトボード側から(モータ室S1側から)見た斜視図であり、図27は、モータケーシングカバー29vをインボード側から見た正面図である。図28は、モータケーシングカバー29vに設けられたセンサ室S3を模式的に示す縦断面図である。
モータケーシングカバー29vは、転がり軸受28およびレゾルバ68が同軸で嵌め入れられる筒状部66を有している。筒状部66において、レゾルバ68は転がり軸受28よりもインボード側に配置されている。また、モータケーシングカバー29vには、レゾルバ68の信号線(図示せず)を、センサ室S3からモータ室S1へ引き込むための連通穴69が設けられている。連通穴69は、軸線Mよりも下方に位置している。
筒状部66の下端部には、モータ室S1からセンサ室S3へと軸方向に貫通する排出路67が設けられている。これにより、転がり軸受28を潤滑した潤滑油が、排出路67を通ってセンサ室S3へと排出される。センサ室S3へと排出された潤滑油は、連通穴69を通って再びモータ室S1へ流れる。このように、転がり軸受28を潤滑した潤滑油が、センサ室S3を迂回して、連通穴69からモータ室S1に戻る構成とすることで、潤滑油をロータ23に掛かり難くすることができる。したがって、ロータ23の回転抵抗を減らすことができる。
図26に示されるように、レゾルバ68の信号線を固定するための配線固定部材94が設けられる場合、センサ室S3から連通穴69を通過する潤滑油は、配線固定部材94とモータケーシングカバー29vのアウトボード側端面との間の隙間を流下し、配線固定部材94とモータケーシングカバー29vの筒状部の下端部(内周面)との間の隙間を通ってアウトボード側へと流れる。
なお、ステータ24の冷却(および転がり軸受27,28の潤滑)に供された潤滑油は、隔壁部39bに設けられた開口39j(図18および図19)を介して、モータ室S1から減速室S2に設けられたオイルタンク40に戻る。隔壁部39bの開口39jは、軸線Mよりも下方に位置し、オイル戻り路として機能している。
本実施の形態において、オイル戻り路としての開口39jは、軸方向にみてステータ24と重なる位置に設けられている。つまり、開口39jは、ステータコア25の外周円(図18において破線で示す)の内側に位置していることが望ましい。この場合、図18に示されるように、隔壁部39bをインボード側からみた場合、開口39jからステータ24の下端部(コイルエンド26eおよびステータコア25の軸方向端面の縁部25e)が露出する。
開口39jがこのような位置に設けられる場合、潤滑油がオイルタンク40へ戻りやすくなるため、ケーシング10内に封入する潤滑油量を少なくしても潤滑油を効率良く循環させることができる。また、潤滑油量を少なくすることで、インホイールモータ駆動装置1Aの軽量化を図ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A インホイールモータ駆動装置、7,7A,7B,7C,7D 潤滑油案内部、8,8A,8B 誘導部材、10 ケーシング、11 車輪ハブ軸受部、21 モータ部、22 モータ回転軸、23 ロータ、24 ステータ、25 ステータコア、26 コイル、26e コイルエンド、29 モータケーシング、29v モータケーシングカバー、31 減速部、39 本体ケーシング、40 オイルタンク、41 吸入油路、43 オイルポンプ、45 吐出油路、50 オイル通路、51,52,57,58,91,91A,91B オイル管、59 オイル孔、71,71A,71B,71C,71a,71b,71c,71d,71e,71f オイル受け室、72,72A,72B オイル注ぎ路、72a 注ぎ口、73,73A,73B,73C,73D,82,82A 飛散防止部材、81,81A 分配部材、92 接続部、93 凸部。

Claims (15)

  1. ステータを含むモータ部を備えたインホイールモータ駆動装置における潤滑油の供給構造であって、
    前記モータ部を収容し、前記インホイールモータ駆動装置の外郭を形成するケーシングと、
    前記ケーシングの下部に設けられ、潤滑油を貯留するオイルタンクと、
    前記オイルタンクから潤滑油を汲み上げるオイルポンプと、
    前記ステータよりも上方位置において前記モータ部の軸線方向に沿って配置され、前記オイルポンプにより汲み上げられた潤滑油を径方向に吐出する少なくとも1つのオイル孔を有するオイル通路と、
    前記オイル孔から吐出した潤滑油を受けるオイル受け室を含み、前記オイル受け室が受けた潤滑油を前記ステータのコイルエンドに導く潤滑油案内部とを備える、潤滑油の供給構造。
  2. 前記オイル受け室は、前記オイル孔と対面し、前記オイル通路の外周を取り囲むように配置されており、
    前記オイル受け室の断面積は前記オイル通路の通路面積よりも大きい、請求項1に記載の潤滑油の供給構造。
  3. 前記オイル孔は、前記ステータのコア部の軸線方向幅内に配置され、かつ、軸線方向位置が異なる第1孔および第2孔を含み、
    前記オイル受け室は、前記第1孔から吐出した潤滑油を受ける第1オイル受け室と、前記第2孔から吐出した潤滑油を受ける第2オイル受け室とに区画されている、請求項1または2に記載の潤滑油の供給構造。
  4. 前記オイル通路は、前記ケーシングの上部を軸方向に貫通する貫通孔に挿通された管状部材によって構成されており、
    前記第1オイル受け室と前記第2オイル受け室とは、前記貫通孔の内周面から突出するように設けられた仕切り部によって仕切られている、請求項3に記載の潤滑油の供給構造。
  5. 前記第1オイル受け室および前記第2オイル受け室の少なくとも一方は、その下端高さが前記凸部から遠ざかるにつれて下方となるよう、軸線方向に沿って傾斜している、請求項4に記載の潤滑油の供給構造。
  6. 前記オイル受け室は、前記ケーシングの一部に形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油の供給構造。
  7. 前記潤滑油案内部は、前記オイル受け室と連通して軸線方向に沿って延び、前記コイルエンドへの潤滑油の注ぎ口が先端に形成されたオイル注ぎ路をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油の供給構造。
  8. 前記潤滑油案内部は、前記オイル注ぎ路の注ぎ口と軸線方向に対面して配置され、前記注ぎ口から流出する潤滑油の飛散を防止するための飛散防止部材をさらに含む、請求項7に記載の潤滑油の供給構造。
  9. 前記オイル通路は、前記ケーシングに取り付け固定された1つまたは複数の管状部材によって構成されており、
    前記飛散防止部材は、前記管状部材と一体的に形成された板状部材を含む、請求項8に記載の潤滑油の供給構造。
  10. 前記ケーシングは、前記オイル注ぎ路と軸線方向に対面する壁部を有しており、
    前記飛散防止部材は、前記ケーシングの前記壁部に形成された凸部を含む、請求項8または9に記載の潤滑油の供給構造。
  11. 前記潤滑油案内部は、前記オイル注ぎ路の注ぎ口から流出する潤滑油を、前記複数のコイルエンドに分配するための分配部材をさらに含む、請求項8〜10のいずれかに記載の潤滑油の供給構造。
  12. 前記潤滑油案内部は、前記複数のコイルエンドに潤滑油を分配するための分配部材と、前記分配部材と一体的に設けられ、潤滑油の飛散を防止するための飛散防止部材とをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油の供給構造。
  13. 前記オイル通路の少なくとも一部は、一端に大径の嵌合部が形成された管状部材によって構成されており、
    前記ケーシングは、前記分配部材と一体的に設けられた前記飛散防止部材と軸線方向に対面し、前記管状部材の嵌合部を受入れる接続部を有する壁部を含み、
    前記飛散防止部材と前記接続部との間の間隔は、前記管状部材の前記嵌合部の軸線方向寸法以上である、請求項12に記載の潤滑油の供給構造。
  14. 前記インホイールモータ駆動装置は、前記モータ部のモータ回転軸の回転を減速する減速部をさらに含み、
    前記ケーシングは、前記モータ部と前記減速部とを軸線方向に仕切る隔壁部を有しており、
    前記オイル通路は、前記隔壁部を貫通する1本の管状部材によって構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油の供給構造。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の潤滑油の供給構造を備えた、インホイールモータ駆動装置。
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