JP2017159883A - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents

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四郎 田村
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Abstract

【課題】装置の車軸方向寸法の小型化を図ること。
【解決手段】インホイールモータ駆動装置(10)は、車輪を駆動するモータ部(21)と、車輪ハブ軸受部と、モータ部(21)の回転を減速して車輪ハブ軸受部に伝達する減速部(31)と、潤滑油を貯留するオイルタンク(47)と、減速部(31)の駆動伝達経路を構成する複数の軸(32,35,38,41)から独立して設けられたポンプ軸(51)と、ポンプ軸(51)によって駆動され、オイルタンク(47)から潤滑油を吸入するオイルポンプとを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、インホイールモータ駆動装置に関し、特に、平行軸式歯車を有する減速機を搭載したインホイールモータ駆動装置に関する。
インホイールモータ駆動装置は、バネ下重量を軽減するためにモータを小型化しなければならないが、小型化に伴って熱容量が減少することで高温になりやすい。そのため、オイルポンプでコイルに油を流して装置を冷却する必要がある。オイルポンプは、油路のシール性の観点から、モータおよび減速機を内蔵するケーシング内部に組み込まれる。
特開2008−44438号公報(特許文献1)においては、オイルポンプが、カウンターギヤの内部に同心状に配置され、オイルポンプの回転軸とカウンターギヤの回転軸とが一体に連結されたインホイールモータ構造が提案されている。特許文献1のインホイールモータ構造によれば、カウンターギヤはモータの回転を減速して車輪ホイールに伝達するため、オイルポンプがモータ回転軸と同軸で駆動される場合に比べて、オイルポンプの回転速度を抑えることができる。したがって、オイルポンプの耐久性を向上させることができる。
特開2008−44438号公報(特許第4501911号)
一般的に、減速機を構成する歯車と同軸にオイルポンプを配置すると、オイルポンプの搭載スペース分、装置の車軸方向寸法を大きくする必要がある。そうすると、車両取付け状態において、装置がショックアブソーバ等のサスペンション部品と干渉してしまう可能性がある。
特許文献1のように歯車の内部にオイルポンプを配置する場合、モータ、オイルポンプ、および減速機構の配置に必要な車軸方向の長さを、これらを直列的に配置した場合に比べて、オイルポンプの分だけ短くすることができる。しかしながら、この場合、歯車の中心から歯面に延びるウェブの形状が、オイルポンプ搭載のために特殊な形状となり、歯車の強度が低下してしまうおそれがある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、装置の車軸方向寸法を小型化することのできるインホイールモータ駆動装置を提供することである。
また、本発明は、オイルポンプの回転速度を低速化することも他の目的とする。
この発明のある局面に従うインホイールモータ駆動装置は、車輪を駆動するモータ部と、車輪ハブ軸受部と、モータ部の回転を減速して車輪ハブ軸受部に伝達する減速部と、潤滑油を貯留するオイルタンクと、減速部の駆動伝達経路を構成する複数の軸から独立して設けられたポンプ軸と、ポンプ軸によって駆動され、オイルタンクから潤滑油を吸入するオイルポンプとを備える。
このインホイールモータ駆動装置によれば、ポンプ軸が、駆動伝達経路を構成する複数の軸から独立して設けられる。したがって、駆動伝達経路を構成する軸と同軸にポンプ軸を設ける場合に比べて、簡易な構成で、装置(ケーシング)の車軸方向寸法の小型化を図ることができる。
好ましくは、複数の軸は、モータ部のモータ回転軸と同軸に結合された入力軸と、車輪ハブ軸受部と同軸に結合された出力軸とを含み、減速部は、入力軸に結合された入力歯車と、出力軸に結合された出力歯車とを含む、複数の歯車を有している。この場合、インホイールモータ駆動装置は、ポンプ軸に結合され、複数の歯車のうちのいずれか1つの歯車と噛合するポンプギヤをさらに備えることが望ましい。
特に、ポンプギヤが複数の歯車のうち入力歯車を除く歯車と噛合する場合、ポンプギヤを入力歯車と噛合させる場合に比べて、オイルポンプの回転速度を低速化することができる。
より好ましくは、ポンプギヤは、出力歯車と噛合する。
また、ポンプ軸は、車軸方向から見てモータ部と重なる位置に配置されていることが望ましい。
また、ポンプ軸の軸心は、車軸の軸心よりも車両下方に位置していることが望ましい。
好ましくは、インホイールモータ駆動装置は、モータ部および減速部を収容するケーシングをさらに備え、オイルタンクはケーシングの下部に設けられる。この場合、オイルポンプの少なくとも下部は、車両の静止状態においてケーシングの内部に溜まる潤滑油の油面よりも下方に位置することが望ましい。
減速部の複数の軸が、入力軸および出力軸と平行に配置された中間軸を含んでおり、複数の歯車は、中間軸に結合された中間歯車を有する。ポンプギヤは、中間歯車と噛合してもよい。
ポンプ軸は、車軸方向から見て複数の歯車のうちの他の歯車、すなわちポンプギヤが噛合する歯車とは異なる歯車の1つと重なる位置に配置されることが望ましい。
好ましくは、ケーシングは、互いに対面し、複数の軸の両端をそれぞれ回転支持する一対の対向壁を含み、ポンプ軸は、一対の対向壁のうちの一方にのみ回転支持されている。このようなポンプ軸の支持形態は、ポンプ軸が車軸方向から見て他の歯車と重なる位置に配置される場合に特に好適である。
ポンプ軸の軸心は、車軸の軸心よりも車両上方に位置していてもよい。
好ましくは、車輪ハブ軸受部は、車輪と一体回転する外輪と、外輪の内周に配置される内側固定部材と、外輪と内側固定部材との環状隙間に配置される複数の転動体とを含む。この場合、減速部は、複数の歯車が互いに噛合することでモータ回転軸の回転を減速して外輪に伝達する。
あるいは、車輪ハブ軸受部は、車輪と一体回転する内輪と、内輪の外周に配置される外輪と、内輪と外輪との環状隙間に配置される複数の転動体とを含む。この場合、減速部は、複数の歯車が互いに噛合することでモータ回転軸の回転を減速して内輪に伝達する。
本発明によれば、装置の車軸方向寸法を小型化することができる。
本発明の実施形態1に係るインホイールモータ駆動装置を所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。 本発明の実施形態1に係るインホイールモータ駆動装置の内部構造を示す正面図である。 本発明の実施形態1に係るインホイールモータ駆動装置の内部構造を示す背面図である。 本発明の実施形態1において、ケーシング内に形成される潤滑油循環経路を部分的に示す縦断面図である。 本発明の実施形態1の変形例に係るインホイールモータ駆動装置の内部構造を示す正面図である。 本発明の実施形態2に係るインホイールモータ駆動装置を所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。 本発明の実施形態2に係るインホイールモータ駆動装置の内部構造を示す横断面図である。 図7のVIII−VIII線に沿う平面で切断した減速部を部分的に示す縦断面図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
<実施形態1>
(基本構成について)
はじめに、図1〜図3を参照して、本発明の実施形態1に係るインホイールモータ駆動装置10の基本構成について説明する。インホイールモータ駆動装置10は、電気自動車およびハイブリッド車両などの乗用自動車に搭載される。
図1は、本発明の実施形態1に係るインホイールモータ駆動装置10を所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。図2は、インホイールモータ駆動装置10の内部構造を示す正面図であり、図1中のインホイールモータ駆動装置10から本体ケーシング43の正面部分43fを取り外し、図1の紙面左側からインホイールモータ駆動装置10内部をみた状態を表す。なお図1で表される所定の平面は、図2に示す軸線Mおよび軸線Nfを含む平面と、軸線Nfおよび軸線Nlを含む平面と、軸線Nlおよび軸線Oを含む平面とを、この順序で接続した展開平面である。図3は、インホイールモータ駆動装置10の内部構造を示す背面図であり、図1の紙面右側からインホイールモータ駆動装置10の減速部31の内部の歯車をみた状態を表す。
インホイールモータ駆動装置10は、図1に示すように仮想線で表される車輪ホイールWの中心と連結する車輪ハブ軸受部11と、車輪の車輪ホイールWを駆動するモータ部21と、モータ部の回転を減速して車輪ハブ軸受部11に伝達する減速部31を備え、車両のホイールハウジング(図示せず)に配置される。インホイールモータ駆動装置10は、モータ部21および減速部31を収容するケーシング70を備える。ケーシング70はモータケーシング25と本体ケーシング43とを含み、ケーシング70の内部に潤滑油が封入される。
モータ部21および減速部31は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oと同軸に配置されるのではなく、図2に示すように車輪ハブ軸受部11の軸線Oからオフセットして配置される。車輪ホイールWは周知のものであり、車輪ホイールWの外周に図示しないタイヤが嵌合し、車体の前後左右に配置される。かかる車体は車輪とともに乗用自動車を構成する。インホイールモータ駆動装置10は、公道で乗用自動車を時速0〜180km/hで走行させることができる。
車輪ハブ軸受部11は、車輪ホイールWと結合する車輪ハブとしての外輪12と、外輪12の中心孔に通される内側固定部材13と、外輪12と内側固定部材13との環状隙間に配置される複数の転動体14を有し、車軸を構成する。内側固定部材13は、非回転の固定軸15と、1対のインナーレース16と、抜け止めナット17を含む。固定軸15は根元部15rが先端部15eよりも大径に形成される。インナーレース16は、根元部15rと先端部15eの間で、固定軸15の外周に嵌合する。抜け止めナット17は固定軸15の先端部15eに螺合して、抜け止めナット17と根元部15rの間にインナーレース16を固定する。
固定軸15は軸線O方向に延び、固定軸15の先端部15eは、車幅方向外側を指向する。固定軸15の根元部15rは、車幅方向内側を指向し、本体ケーシング43の背面部分43bに形成される開口43qと一致する。開口43qには外方から図示しないブラケットが差し込まれて、ブラケットは本体ケーシング43の内部で根元部15rに取付固定される。さらにブラケットは、本体ケーシング43の外方で図示しないサスペンション部材と連結する。
転動体14は、車軸方向である軸線O方向に離隔して複列に配置される。軸線O方向一方のインナーレース16の外周面は、第1列の転動体14の内側軌道面を構成し、外輪12の軸線O方向一方の内周面と対面する。軸線O方向他方のインナーレース16の外周面は、第2列の転動体14の内側軌道面を構成し、外輪12の軸線O方向他方の内周面と対面する。以下の説明において、車幅方向外側(アウトボード側)を軸線方向一方ともいい、車幅方向内側(インボード側)を軸線方向他方ともいう。図1の紙面左右方向は、車幅方向に対応する。外輪12の内周面は転動体14の外側軌道面を構成する。
外輪12の軸線O方向一方端にはフランジ12fが形成される。フランジ12fは図示しないブレーキロータおよび車輪ホイールWのスポーク部Wsと同軸に結合するための結合部を構成する。外輪12はフランジ12fで車輪ホイールWと結合して、車輪ホイールWと一体回転する。
モータ部21は図1に示すように、モータ回転軸22、ロータ23、およびステータ24を有し、この順序でモータ部21の軸線Mから外径側へ順次配置される。モータ部21は、インナーロータ、アウターステータ形式のラジアルギャップモータであるが、他の形式であってもよい。例えば図示しなかったがモータ部21はアキシャルギャップモータであってもよい。
モータ回転軸22およびロータ23の回転中心になる軸線Mは、車輪ハブ軸受部11の軸線Oと平行に延びる。つまりモータ部21は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oから離れるようオフセットして配置される。モータ回転軸22の先端部を除いたモータ部21の大部分の軸線方向位置は、図1に示すように内側固定部材13の軸線方向位置と重ならない。モータケーシング25は略円筒形状であり、軸線M方向一方端で本体ケーシング43の背面部分43bと結合し、軸線M方向他方端で椀状のモータケーシングカバー25vに封止される。モータ回転軸22の両端部は、転がり軸受27,28を介して、モータケーシング25およびに回転自在に支持される。モータ部21は外輪12を駆動する。
減速部31は、入力軸32、入力歯車33、中間歯車34、中間軸35、中間歯車36、中間歯車37、中間軸38、中間歯車39、出力歯車40、および出力軸41を有する。入力軸32は、モータ回転軸22の先端部22eよりも大径の筒状部を有し、モータ部21の軸線Mに沿って延びる。先端部22eは入力軸32の軸線M方向他方端部の中心孔に受け入れられて、入力軸32はモータ回転軸22と同軸に結合する。入力軸32の両端は転がり軸受42a,42bを介して、本体ケーシング43に支持される。入力歯車33は、モータ部21よりも小径の外歯歯車であり、入力軸32と同軸に結合する。具体的には入力歯車33は、入力軸32の軸線M方向中央部の外周に一体形成される。
出力軸41は、外輪12よりも大径の筒状体であって、車輪ハブ軸受部11の軸線Oに沿って延びる。外輪12の軸線O方向他方端は、出力軸41の軸線O方向一方端の中心孔に受け入れられて、出力軸41は外輪12と同軸に結合する。出力軸41の軸線O方向一方端は転がり軸受44を介して、本体ケーシング43に支持される。出力軸41の軸線O方向他方端は転がり軸受46を介して、固定軸15の根元部15rに支持される。出力歯車40は外歯歯車であり、出力軸41と同軸に結合する。具体的には出力歯車40は出力軸41の軸線O方向他方端の外周に一体形成される。
2本の中間軸35,38は入力軸32および出力軸41と平行に延びる。つまり減速部31は平行四軸式減速機であり、出力軸41の軸線Oと、中間軸35の軸線Nfと、中間軸38の軸線Nlと、入力軸32の軸線Mは互いに平行に延び、換言すると車幅方向に延びる。
各軸の車両前後方向位置につき説明すると、入力軸32は出力軸41よりも車両前方に配置される。また中間軸35は入力軸32よりも車両前方に配置される。中間軸38は出力軸41よりも車両前方かつ入力軸32よりも車両後方に配置される。図示しない変形例として入力軸32と、中間軸35と、中間軸38と、出力軸41が、この順序で車両前後方向に配置されてもよい。この順序は駆動力の伝達順序でもある。
各軸の上下方向位置につき説明すると、入力軸32は出力軸41よりも上方に配置される。中間軸35は入力軸32よりも上方に配置される。中間軸38は中間軸35よりも上方に配置される。なお複数の中間軸35,38は、入力軸32および出力軸41よりも上方に配置されれば足り、図示しない変形例として中間軸35が中間軸38よりも上方に配置されてもよい。あるいは図示しない変形例として出力軸41が入力軸32よりも上方に配置されてもよい。
中間歯車34および中間歯車36は外歯歯車であり、中間軸35の軸線Nf方向中央部と同軸に結合する。中間軸35の両端部は、転がり軸受45a,45bを介して、本体ケーシング43に支持される。中間歯車37および中間歯車39は外歯歯車であり、中間軸38の軸線Nl方向中央部と同軸に結合する。中間軸38の両端部は、転がり軸受48a,48bを介して、本体ケーシング43に支持される。
本体ケーシング43は、筒状に形成されて、図2に示すように互いに平行に延びる軸線O、Nf、Nl、Mを取り囲む。また本体ケーシング43は、車輪ホイールWの内空領域に収容される。図1を参照して、内空領域はリム部Wrの内周面と、リム部Wrの軸線O方向一端と結合するスポーク部Wsとによって区画される。そして車輪ハブ軸受部11、減速部31、およびモータ部21の軸線方向一方領域が車輪ホイールWの内空領域に収容される。またモータ部21の軸線方向他方領域が車輪ホイールWから軸線方向他方へはみ出す。このように車輪ホイールWはインホイールモータ駆動装置10の大部分を収容する。
図2を参照して本体ケーシング43は、出力歯車40の軸線Oから車両前後方向に離れた位置、具体的には入力歯車33の軸線Mの真下で、下方へ突出する。この突出部分はオイルタンク47を形成する。これに対し本体ケーシング43のうち軸線Oの真下部分43cと、リム部Wrの下部との間には、空間Sを確保する。空間Sには、車幅方向に延びる図示しないサスペンション部材が配置され、該サスペンション部材の車幅方向外側端と真下部分43cが、例えばボールジョイント(図示せず)を介して方向自在に連結される。
本体ケーシング43は、図1に示すように入力軸32、入力歯車33、中間歯車34、中間軸35、中間歯車36、中間歯車37、中間軸38、中間歯車39、出力歯車40、および出力軸41を収容するとともに、車輪ハブ軸受部11の軸線O方向他方端を覆う。
本体ケーシング43は、図1に示すように減速部31の筒状部分の軸線方向一方側を覆う略平坦な正面部分43fと、減速部31の筒状部分の軸線方向他方側を覆う略平坦な背面部分43bを含む。背面部分43bは、モータケーシング25と結合する。また背面部分43bは、固定軸15とともに、例えばストラット等の図示しないサスペンション部材と結合する。これによりインホイールモータ駆動装置10は、該サスペンション部材に支持される。
正面部分43fには外輪12が貫通するための開口43pが形成される。開口43pには、外輪12との環状隙間を封止するシール材43sが設けられる。このため回転体になる外輪12は、軸線O方向一方端部を除いて本体ケーシング43に収容される。
小径の入力歯車33と大径の中間歯車34は、減速部31の軸線方向一方側に配置されて互いに噛合する。小径の中間歯車36と大径の中間歯車37は、減速部31の軸線方向他方側に配置されて互いに噛合する。小径の中間歯車39と大径の出力歯車40は、減速部31の軸線方向一方側に配置されて互いに噛合する。このようして入力歯車33と複数の中間歯車34,36,37,39と出力歯車40は、互いに噛合し、入力歯車33から複数の中間歯車34,36,37,39を経て出力歯車40に至る駆動伝達経路を構成する。そして上述した小径歯車および大径歯車の噛合により、入力軸32の回転は中間軸35で減速され、中間軸35の回転は中間軸38で減速され、中間軸38の回転は出力軸41で減速される。これにより減速部31は十分に減速比を確保する。なお、図2以降では、歯車の個々の歯を表さず、歯車を歯先円で表す。
図2に示すように、出力軸41、中間軸38、および入力軸32は、この順序で車両前後方向に間隔を空けて配置される。さらに中間軸35および中間軸38は、入力軸32および出力軸41よりも上方に配置される。かかる実施形態によれば、車輪ハブになる外輪12の上方に中間軸を配置し得て、外輪12の下方にオイルタンク47の配置スペースを確保したり、外輪12の真下に空間Sを確保したりすることができる。したがって上下方向に延びる転舵軸を空間Sに交差して設けることができ、車輪ホイールWおよびインホイールモータ駆動装置10を転舵軸回りに好適に転舵させることができる。
また本実施形態によれば、図2に示すように、モータ部21の軸線Mが車輪ハブ軸受部の軸線Oから車両前後方向にオフセットして配置され、中間軸35の軸線Nfが車輪ハブ軸受部の軸線Oから上方にオフセットして配置され、中間軸38の軸線Nlが車輪ハブ軸受部の軸線Oからから上方にオフセットして配置される。これにより、インホイールモータ駆動装置10における軸線Oの真下部分43cとリム部Wrの下部との間に空間Sを確保することができる。そして車輪の転舵軸を車輪ホイールWに交差するよう配置することができ、車輪の旋回特性が向上する。
また本実施形態によれば、図1に示すように入力軸32および出力軸41は車幅方向に延び、図2に示すように入力歯車33および出力歯車40は上下方向に起立した姿勢にされ、出力歯車40の下縁40bが入力歯車33の下縁33bよりも下方に配置される。これにより高速回転する入力歯車33が、本体ケーシング43の内部で減速部31の下部に貯留する潤滑油に浸漬することがなく、入力歯車33の攪拌抵抗を回避できる。
また本実施形態によれば、図2に示すように複数の中間軸35,38は、入力軸32の上方に隣り合うよう配置されて入力軸32から駆動トルクを供給される最初の中間軸35、および出力軸41の上方に隣り合うよう配置されて出力軸41に駆動トルクを供給する最終の中間軸38を含み、入力軸32と最初の中間軸35と最終の中間軸38と出力軸41は、複数の中間軸35,38の軸線方向にみて、入力軸の中心(軸線M)と最初の中間軸35の中心(軸線Nf)と最終の中間軸38の中心(軸線Nl)と出力軸41の中心(軸線O)とを順次結ぶ基準線が逆U字を描くよう、配置される。これにより駆動伝達経路を構成する複数の軸および歯車の全体配置が小型化されて、複数の軸および歯車を車輪ホイールWの内部に収納することができる。
また本実施形態によれば、図1に示すように、車輪ハブになる外輪12は筒状体であり、車輪ハブ軸受部11は外輪12の中心孔に配置されて外輪12を回転自在に支持する固定軸15をさらに含む。これにより出力歯車40を外輪12の外径側に同軸に結合し得る。そして、外輪12を中心としてオフセットするよう配置される中間軸38から、外輪12へ駆動力を伝達することができる。
(潤滑油路について)
次に、図1、図3、および図4を参照して、インホイールモータ駆動装置10の潤滑油路について説明する。図4は、本実施の形態においてケーシング70内に形成される潤滑油循環経路を部分的に示す縦断面図である。
図3を参照して、本実施の形態におけるインホイールモータ駆動装置10は、ケーシング70内に、潤滑油路として、オイルタンク47、吸入油路61、オイルポンプ54、吐出油路64,65を有している。オイルタンク47は、ケーシング70の内部空間であり、インホイールモータ駆動装置10の下部を占める。なお、オイルタンク47は、減速部31およびモータ部21双方の下方に配置されていてもよい。つまり、オイルタンク47は、図4に示されるように、減速部31の背面部分43bの位置よりも車幅方向内側に張り出していてもよい。
オイルタンク47は、出力軸41よりも車両前方に配置されるため、車輪ホイールWがインホイールモータ駆動装置10に駆動されて車両が走行すると、オイルタンク47は車両前方から走行風を受けて、空気冷却される。
オイルポンプ54は、吸入油路61を介してオイルタンク47から潤滑油を吸入する。また、吸入した潤滑油を、吐出油路64,65を介してモータ部21および減速部31に吐出する。
ここで、本実施の形態では、オイルポンプ54のポンプ軸51が、駆動伝達経路とは異なる軸に設定されている。すなわち、ポンプ軸51が、減速部31の駆動伝達経路を構成する複数の軸(入力軸32、中間軸35、中間軸38、および出力軸41)から独立して設けられている。
具体的には、ポンプ軸51の軸線Pは、出力軸41の軸線Oと平行に延びる。またポンプ軸51は、出力軸41から車両前後方向に離れて配置され、軸線P方向両端で、転がり軸受52a,52bを介して回転自在に支持され、軸線P方向中央部でポンプギヤ53と同軸に結合する。ポンプギヤ53は、駆動伝達経路とは異なる位置に設けられ、出力歯車40と噛合する。これにより、オイルポンプ54は出力歯車40に駆動される。
オイルポンプ54は、転がり軸受52bよりもさらに軸線P方向他方に配置され、ポンプ軸51の軸線P方向他方端に設けられる。オイルポンプ54は、ポンプ軸51と略同軸に配置される。なお、図1では、オイルポンプ54がポンプ軸51の軸線P方向他方端に設けられる例を示したが、図4に示すように、オイルポンプ54はポンプ軸51の軸線P方向一方端に設けられてもよい。
図1に示すようにポンプ軸51、転がり軸受52a,52b、ポンプギヤ53、およびオイルポンプ54は、ケーシング70のうち本体ケーシング43に収容される。ポンプギヤ53は、入力歯車33よりも若干大径であるが、出力歯車40よりも小径である。
図3を参照して、オイルポンプ54は、アウタロータ54jおよびインナロータ54kを有するトロコイドポンプである。アウタロータ54jは本体ケーシング43に形成された円形の室54hに収納される。インナロータ54kの中心孔にはポンプ軸51が差し込まれ、インナロータ54kの内周面がポンプ軸51の外周面と係合し、両者は一体回転する。
図3および図4に示されるように、吸入油路61は上下方向に延び、下端でオイルタンク47と接続し、上端でオイルポンプ54の吸入口62と接続する。吐出油路64は上下方向に延び、下端でオイルポンプ54の吐出口63と接続し、上端で吐出油路65の一端と接続する。吐出油路64は、ケーシング70(本体ケーシング43)の軸線方向一方側の壁厚内部、すなわち正面部分43fに形成される。
吐出油路65は、ケーシング70の上端部分70tの下方に位置し、車幅方向に沿って延びる。吐出油路65は、ケーシング70に取付け固定され、減速部31とモータ部21との間の隔壁(本体ケーシング43の背面部分43b)を貫通する配管により実現される。配管には、一端から他端までの間に複数の流出口(図示せず)が設けられており、吐出油路65を通過する潤滑油が複数の流出口から下方に向けて噴出される。吐出油路65の他端65は、モータケーシング25内に配置される。
潤滑油路がこのような構成とされるため、オイルポンプ54が出力歯車40に駆動されると、オイルタンク47内の潤滑油がオイルポンプ54により吸入され、吸入された潤滑油がモータ部21および減速部31に向けて噴射される。減速部31に向けた潤滑油の噴射によって、複数の中間歯車34,36,37,39に潤滑油を供給し、歯車同士の回転によって、入力歯車33および出力歯車40の噛合部にも潤滑油を供給する。また、減速部31に向けた潤滑油の噴射によって、複数の中間軸35,38の転がり軸受45a,45b,48a,48bに潤滑油を供給し、さらにケーシング70内に施された溝(図示せず)を伝って入力軸32および出力軸41の転がり軸受42a,42b,44,46にも潤滑油を供給する。
モータ部21および減速部31を冷却および潤滑した潤滑油は、ケーシング70下部のオイルタンク47に流下する。図4の例では、モータケーシング25内のモータ部21を冷却した潤滑油は、戻り路71を通過してオイルタンク47に流下する。また、本体ケーシング43内の減速部31の回転要素を潤滑した潤滑油は、戻り路72を通過してオイルタンク47に流下する。
なお、潤滑油路の構成はこのような例に限定されない。たとえば、オイルポンプ54の吐出口63から、入力軸32の中心部に形成された入力軸油路に潤滑油を供給し、入力軸油路から周辺の回転要素を潤滑してもよい。同様に、オイルポンプ54の吐出口63から、中間軸35または38の中心孔である中間軸油路に潤滑油を供給し、中間軸油路からその周辺の回転要素を潤滑してもよい。
上述のように、ポンプギヤ53が出力歯車40と噛合するため、本実施の形態によれば、オイルポンプ54を入力歯車33あるいは中間歯車34,36,37,39のうちのいずれかにより駆動する場合に比べて、オイルポンプ54の回転速度を低速化することができる。その結果、オイルポンプ54の耐久性を向上させることができる。
また、ポンプギヤ53が出力歯車40と噛合する構成であるため、出力歯車40と同軸にオイルポンプを設ける場合に比べて、ケーシング70(より特定的には本体ケーシング43)の車軸方向寸法を小型化することができる。その理由としては、車軸に直交する方向から見て、減速機を構成する駆動歯車(入力歯車33、中間歯車34,36,37,39、および出力歯車40)と同列にオイルポンプ54を配置できることから、オイルポンプ54の搭載スペース分、本体ケーシングの車軸方向長さを車両方向内側に延長する必要がないからである。
また、駆動歯車の軸(入力軸32、中間軸35、中間軸38、および出力軸41)とは別にポンプ軸51を設定するため、駆動歯車のウェブ形状を特殊な形状にする必要がない。したがって、駆動歯車の強度を確保することができる。また、装置の製造コストを抑えることも可能である。
また、図2に示されるように、ポンプ軸51は、出力軸41よりも車両前方に配置されている。より具体的には、ポンプ軸51が、車軸方向から見てモータ部21と重なる位置に配置される。図2には、モータ部21の外径が二点鎖線で示されている。本実施の形態では、ポンプギヤ53の全体またはその大部分が、モータ部21の外径内に収まっている。これにより、駆動伝達経路を構成する駆動歯車の軸(入力軸32、中間軸35、中間軸38、および出力軸41)とは別にポンプ軸51を設定したとしても、ケーシング70の大きさを車両後方側や下方側に拡大させる必要がない。したがって、車両取付け状態において、インホイールモータ駆動装置10がサスペンション部品に干渉することを防止することができる。なお、サスペンション部材と干渉しない範囲であれば、車軸方向から見て、ポンプギヤ53またはポンプ軸51の一部がモータ部21の外径から食み出していてもよい。
さらに、ポンプ軸51は、オイルタンク47の直上に位置し、かつ、その全体が、車軸の軸心すなわち軸線Oよりも車両下方に位置している。そのため、オイルポンプ54の吸い込み高さを低く抑えることができる。つまり、吸入油路61を比較的短く設定することができる。なお、少なくとも、ポンプ軸51の軸心が軸線Oよりも車両下方に位置していればよい。
また、オイルポンプ54およびポンプギヤ53はそれぞれ、少なくとも下部が、車両の静止状態においてケーシング70の内部に溜まる潤滑油の油面より下方に位置している。具体的には、車両の静止状態において、ポンプギヤ53と出力歯車40との噛合部分の一部が潤滑油に浸かる。図3には、静止状態における潤滑油の油面の位置が二点鎖線で示されている。この状態における油面は、入力歯車33の下縁33b(図2)よりも下方に位置している。潤滑油の油面は、車両の走行開始後に下がり、潤滑油はオイルタンク47内に溜められる。
より特定的には、オイルポンプ54の吸入口62が、車両の静止状態における潤滑油の油面より下方に位置していることが望ましい。このように構成することで、始動時のキャビテーションを防止し、潤滑油の吸い込み効率を向上させることができる。
なお、ポンプギヤ53が出力歯車40と噛合する構成であれば、減速部31は2つの中間軸35,38を有する四軸式の減速機に限定されず、たとえば三軸式の減速機であってもよい。また、減速部31は、最終段が平行軸式歯車による減速機構であれば、平行軸式歯車と遊星歯車とを組み合わせた減速機であってもよい。
あるいは、本実施の形態では、ポンプギヤ53が出力歯車40と噛合する構成としたが、ポンプギヤ53は中間歯車34,36,37,39のいずれか1つと噛合する構成としてもよい。このような場合でも、ポンプギヤ53が入力歯車33と噛合することによってオイルポンプ54を駆動する場合に比べて、オイルポンプ54の回転速度を低速化することができる。また、ケーシング70の車軸方向寸法の小型化を実現することができる。図5には、本実施の形態の変形例に係るインホイールモータ駆動装置10Aの内部構造が示されており、ポンプギヤ53が、一例として中間歯車34と噛合している。
<実施形態2>
次に、図6〜図8を参照して、本発明の実施形態2に係るインホイールモータ駆動装置10Bについて説明する。図6は、インホイールモータ駆動装置10Bを所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。図7は、インホイールモータ駆動装置10Bの内部構造を示す横断面図である。図8は、図7のVIII−VIII線に沿う平面で切断した減速部31Aを部分的に示す縦断面図である。なお図6で表される所定の平面は、図7に示す軸線Mおよび軸線Nfを含む平面と、軸線Nfおよび軸線Oを含む平面とを、この順序で接続した展開平面である。
図6〜図8において、前述した実施形態1と共通する構成については同一の符号を付してある。そのため、これらについての詳細な説明は繰り返さない。以下に、実施形態1に係るインホイールモータ駆動装置10との相違点のみ詳細に説明する。
(基本構成について)
本実施形態に係るインホイールモータ駆動装置10Bにおいて、車輪ハブ軸受部11Aは回転内輪・固定外輪とされ、減速部31Aは中間軸を1つとした3軸の平行軸式歯車減速機である。
図6に示されるように、車輪ハブ軸受部11Aは、回転要素である内輪82と、固定要素である外輪83と、これら内外輪間の環状隙間に配置される複数の転動体84を有する。外輪83の外周面にはフランジ83fが立設される。外輪フランジ83fには周方向に間隔を空けて貫通孔が穿設される。各貫通孔は軸線Oと平行に延び、軸線O方向一方側からボルト83bが通される。各ボルト83bの軸部は、本体ケーシング43の正面部分43fに穿設される雌ねじ孔と螺合する。これにより外輪83は正面部分43fに連結固定される。なお、外輪83は、下端部においてキャリア18と固定される。
内輪82は、外輪83よりも長い筒状体であり、外輪83の中心孔に通される。つまり、外輪83は、内輪82の外周に配置される。外輪83から車幅方向外側へ突出する内輪82の軸線O方向一方端部には、結合部82fが形成される。結合部82fはフランジであり、図示しないブレーキロータおよび車輪と同軸に結合するための結合部を構成する。内輪82は、結合部82fで車輪と結合し、車輪ハブとして車輪と一体回転する。
内輪82および外輪83間の環状隙間には、複数列の転動体84が配置される。内輪82の軸線O方向一方の外周面は、第1列の転動体84の内側軌道輪を構成する。内輪82の軸線O方向他方端部外周には内側軌道輪82rが嵌合し、内側軌道輪82rの外周面は、第2列の転動体84の内側軌道輪を構成する。内輪82および外輪83間の環状隙間には、シール材86がさらに介在する。シール材86は環状隙間の両端を封止して、塵埃および異物の侵入を阻止する。内輪82の軸線O方向他方端の中心孔には減速部31の出力軸81が差し込まれてスプライン嵌合する。
減速部31Aは、実施形態1で示した出力軸41に代えて出力軸81を含む。また、実施形態1で示した中間軸38および中間歯車37,39を含まない。そのため、本実施の形態における減速部31Aを構成する歯車は、出力軸81を介して内輪82と同軸に結合される出力歯車40と、モータ部21のモータ回転軸22と同軸に結合する入力歯車33と、中間軸35に同軸に結合され、入力歯車33から出力歯車40へ回転を伝達する複数の中間歯車34,36とである。小径の入力歯車33と大径の中間歯車34とが、減速部31Aの軸線方向他方側に配置されて互いに噛合し、大径の出力歯車40と小径の中間歯車36とが、減速部31Aの軸線方向一方側に配置されて互いに噛合する。なお、中間歯車34の軸線O方向他方端面には環状の凹部34dが形成され、この凹部34d内に転がり軸受45bが配置されてもよい。
入力軸32の中心孔32hは、軸線M方向に貫通して設けられており、この中心孔32hに、モータ回転軸22から軸線M方向一方端側に突出する先端部22eが嵌め入れられることで、筒状体である入力軸32がモータ回転軸22と一体となって回転する。
本実施の形態における軸線O,Nf,Mの位置関係は図7に示すとおりである。減速部31Aは、互いに平行に延びる軸線O,Nf,Mを有する平行3軸式歯車減速機である。図7においては、各歯車の歯先を円で示す。
出力歯車40は出力軸81に同軸に設けられる外歯歯車である。出力軸81は、軸線O方向に沿って延びる中実の軸部である。出力軸81は、出力歯車40よりも軸線O方向一方で、転がり軸受87aを介して本体ケーシング43の正面部分43fに回転自在に支持され、出力歯車40よりも軸線O方向他方で、転がり軸受87bを介して本体ケーシング43の背面部分43bに回転自在に支持される。出力軸81は、転がり軸受87aよりも軸線O方向一方側に突出する部分を有しており、この突出部分が、内輪82の軸線O方向他方端の中心孔に差し込まれる。出力歯車40の軸線O方向一方端面には環状の凹部40dが形成され、この凹部40dに転がり軸受87aが設けられてもよい。
なお、本実施形態においても、出力歯車40の下縁は入力歯車33の下縁よりも下方に配置されているが、出力軸81の軸線Oが入力軸32の軸線Mよりも車両上方に位置していてもよい。
(潤滑油路について)
図7および図8を参照して、本実施形態に係るインホイールモータ駆動装置10Bは、前述の実施形態1と同様に、潤滑油路として、オイルタンク47、吸入油路61、オイルポンプ54、吐出油路64,65を有している。また、オイルポンプ54のポンプ軸51が、減速機の駆動伝達経路を構成する入力軸32、中間軸35、および出力軸81から独立して設けられている。
しかし、実施形態1ではポンプギヤ53が出力歯車40と噛合する構成であったのに対し、図7および図8に示すように、本実施形態ではポンプギヤ53が小径の中間歯車36と噛合する構成である。つまり、オイルポンプ54は中間歯車36に駆動される。
図8を参照して、ポンプ軸51は、オイルポンプ54とポンプギヤ53との間に配置された複列の転がり軸受52a,52bを介して、本体ケーシング43に対して回転自在に支持される。具体的には、ポンプ軸51は、本体ケーシング43の背面部分43bには支持されておらず、正面部分43fにのみ回転支持されている。本体ケーシング43の正面部分43fおよび背面部分43bは、互いに対面し、入力軸32、中間軸35、および出力軸81の両端をそれぞれ回転支持する一対の対向壁に相当する。
このように、ケーシング70は、駆動伝達経路を構成する各歯車軸を、軸線方向両端にそれぞれ位置する転がり軸受によって両持ち支持しているのに対し、ポンプ軸51を、複列の転がり軸受52a,52bによって片持ち支持している。
複列の転がり軸受52a,52bは、本体ケーシング43の正面部分43fに取り付けられた円筒部材57の内周に配置されてもよい。ポンプギヤ53の軸線方向一方端面には環状の凹部53dが形成されており、円筒部材57は、凹部53d内に配置される。円筒部材57は軸線方向一方端から外径方向に延びる環状フランジ57fを有している。環状フランジ57fは、正面部分43fの内側面に設けられた段差部分に嵌め込まれる。
図7に示すように、ポンプ軸51の軸心は、車軸の軸線Oおよび入力軸32の軸線Mよりも車両上方に位置し、かつ、中間軸35の軸線Nfよりも車両下方に位置する。本実施形態では、ポンプ軸51の全体が車軸の軸線Oよりも車両上方に位置するため、ポンプギヤ53の攪拌抵抗を抑制でき、効率を向上させることができる。本実施の形態ではさらに、ポンプギヤ53の下端が潤滑油の油面(図7において二点鎖線で示す)よりも上方に位置するため、ポンプギヤ53の攪拌抵抗を回避することができる。また、この場合、ポンプ軸51、ポンプギヤ53、およびオイルポンプ54を含むポンプ系部材のうち、実施形態1において潤滑油に浸っていた部分の体積分、潤滑油の封入量を増加させることができる。
また、ポンプ軸51の軸心が車軸の軸線Oよりも車両上方に位置するため、ポンプ軸51の軸心が車軸の軸線Oよりも車両下方に位置する形態に比べて、サスペンション部材設置のための空間(実施形態1の図3で示した空間Sに相当)を広くとることができる。
ポンプ軸51は、中間軸35よりも車両前方側(入力軸32側)に配置されており、実施形態1と同様に、車軸方向から見てモータ部21と重なる位置に配置されている。本実施形態ではさらに、本体ケーシング43がポンプ軸51を片持ち支持する構成であるため、図7に示されるように、ポンプ軸51が、車軸方向に見て大径の中間歯車34から食み出すことなく中間歯車34と重なる位置に配置されている。
なお、本実施形態では、ポンプ軸51が、一対の対向壁(正面部分43fおよび背面部分43b)のうち軸線O方向一方側に位置する対向壁(正面部分43f)に回転支持される構成であるため、大径の中間歯車34は、小径の中間歯車36よりも軸線O方向他方側に位置しているが、これらの位置関係は逆であってもよい。つまり、ポンプ軸51が本体ケーシング43の背面部分43bに回転支持され、大径の中間歯車34が、小径の中間歯車36よりも軸線O方向一方側に位置してもよい。
このように、ポンプ軸51が、車軸方向に見て中間歯車34と重なる位置に配置されているため、ポンプ軸51の位置が車軸方向に見て歯車(減速機を構成するいずれかの歯車)の位置と重ならない形態に比べて、ケーシング70の径方向の大きさをコンパクトにすることができる。その結果、サスペンション部材との干渉をより確実に防止することができる。なお、ポンプ軸51の全てが車軸方向に見て中間歯車34と重なる例に限定されず、ポンプ軸51の少なくとも一部が車軸方向に見て中間歯車34と重なる位置に配置されていればよい。
また、本実施形態では、ポンプギヤ53が、(出力歯車40と噛合する)小径の中間歯車36と噛合する構成である。したがって、大径の歯車(出力歯車40または中間歯車34)と噛合する構成に比べて、ケーシング70の拡大を抑制しつつ、ポンプギヤ53の径を大きくすることができる。ポンプギヤ53を大径化できれば、オイルポンプ54の回転数を下げることができるため、オイルポンプ54駆動による騒音および振動を低減することが可能となる。
なお、本実施形態の構成の一部を実施形態1およびその変形例の構成と置き換えてもよい。たとえば、本実施形態では、減速部が3軸の平行軸式歯車減速機であるとして説明したが、実施形態1と同様に、4軸の平行軸式歯車減速機に、本実施形態におけるポンプ軸51の配置態様を適用してもよい。この場合、オイルポンプ54の回転速度を低速化するという観点からすれば、ポンプギヤ53は、前段側の小径の中間歯車36ではなく、出力歯車40と噛合する後段側の小径の中間歯車39(図1〜図3)に噛合することが望ましい。また、本実施形態では、車輪ハブ軸受部が内輪回転タイプであるとして説明したが、実施形態1と同様に、車輪ハブ軸受部が外輪回転タイプであってもよい。
上記した各実施形態では、オイルポンプ54が出力歯車40または中間歯車により駆動されることとしたが、ケーシング70の車軸方向寸法の小型化を実現するという観点においては、オイルポンプ54を入力歯車33により駆動してもよい。
また、各実施形態では、オイルポンプ54がトロコイドポンプであることとしたが、限定的ではなく、たとえば、サイクロイドポンプやインボリュートギヤポンプなどであってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,10A,10B インホイールモータ駆動装置、11,11A 車輪ハブ軸受部、12,83 外輪(車輪ハブ)、13 内側固定部材、14,84 転動体、15 固定軸、16 インナーレース、21 モータ部、22 モータ回転軸、23 ロータ、24 ステータ、25 モータケーシング、25v モータケーシングカバー、31,31A 減速部、32 入力軸、33 入力歯車、34,36,37,39 中間歯車、35,38 中間軸、40 出力歯車、41,81 出力軸、43 本体ケーシング、47 オイルタンク、51 ポンプ軸、53 ポンプギヤ、54 オイルポンプ、54j アウタロータ、54k インナロータ、61 吸入油路、62 吸入口、63 吐出口、64,65 吐出油路、70 ケーシング、71,72 戻り路、82 内輪、M,Nf,Nl,O,P 軸線、S 空間、W 車輪ホイール。

Claims (12)

  1. 車輪を駆動するモータ部と、
    車輪ハブ軸受部と、
    前記モータ部の回転を減速して前記車輪ハブ軸受部に伝達する減速部と、
    潤滑油を貯留するオイルタンクと、
    前記減速部の駆動伝達経路を構成する複数の軸から独立して設けられたポンプ軸と、
    前記ポンプ軸によって駆動され、前記オイルタンクから潤滑油を吸入するオイルポンプとを備える、インホイールモータ駆動装置。
  2. 前記複数の軸は、前記モータ部のモータ回転軸と同軸に結合された入力軸と、前記車輪ハブ軸受部と同軸に結合された出力軸とを含み、
    前記減速部は、前記入力軸に結合された入力歯車と、前記出力軸に結合された出力歯車とを含む、複数の歯車を有しており、
    前記ポンプ軸に結合され、前記複数の歯車のうちのいずれか1つの歯車と噛合するポンプギヤをさらに備える、請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
  3. 前記ポンプギヤは、前記出力歯車と噛合する、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  4. 前記ポンプ軸は、車軸方向から見て前記モータ部と重なる位置に配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
  5. 前記ポンプ軸の軸心は、車軸の軸心よりも車両下方に位置している、請求項1〜4のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
  6. 前記モータ部および前記減速部を収容するケーシングをさらに備え、
    前記オイルタンクは前記ケーシングの下部に設けられており、
    前記オイルポンプの少なくとも下部は、車両の静止状態において前記ケーシングの内部に溜まる潤滑油の油面よりも下方に位置する、請求項1〜5のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
  7. 前記複数の軸が、前記入力軸および前記出力軸と平行に配置された中間軸を含んでおり、前記複数の歯車は、前記中間軸に結合された中間歯車を有し、
    前記ポンプギヤは、前記中間歯車と噛合する、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  8. 前記ポンプ軸は、車軸方向から見て前記複数の歯車のうちの他の歯車と重なる位置に配置されている、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  9. 前記モータ部および前記減速部を収容するケーシングをさらに備え、
    前記ケーシングは、互いに対面し、前記複数の軸の両端をそれぞれ回転支持する一対の対向壁を含み、
    前記ポンプ軸は、前記一対の対向壁のうちの一方にのみ回転支持されている、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  10. 前記ポンプ軸の軸心は、車軸の軸心よりも車両上方に位置している、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  11. 前記車輪ハブ軸受部は、車輪と一体回転する外輪と、前記外輪の内周に配置される内側固定部材と、前記外輪と前記内側固定部材との環状隙間に配置される複数の転動体とを含み、
    前記減速部は、前記複数の歯車が互いに噛合することで前記モータ回転軸の回転を減速して前記外輪に伝達する、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  12. 前記車輪ハブ軸受部は、車輪と一体回転する内輪と、前記内輪の外周に配置される外輪と、前記内輪と前記外輪との環状隙間に配置される複数の転動体とを含み、
    前記減速部は、前記複数の歯車が互いに噛合することで前記モータ回転軸の回転を減速して前記内輪に伝達する、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置。
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