JP2019139951A - 信号伝送路、信号伝送路の製造方法 - Google Patents
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また下記特許文献にはシールド電線を用いた技術が開示されている。
例えば制御信号、データ信号、電源ラインなどの各種信号伝送を行う複数(図の例では10本)の伝送電線がそれぞれシールド電線110として形成されている。
10本の各シールド電線110の一端はコネクタ101に接続されている。そのうち8本のシールド電線110の他端側はコネクタ102に接続され、2本のシールド電線110の他端側はコネクタ103に接続されている。
この場合、コネクタ101はシールド電線対応のコネクタとされており、各シールド電線110のシールド層はコネクタ101内で電気的に接続され、コネクタ101から一括してグランディングされることで、ノイズシールド機能が得られるようにしている。
特にはシールド電線110を用いることで、各伝送電線からの高周波ノイズ輻射が有効に遮断される。
図8Cは複数の信号線111を有するハーネス130を模式的に示している。また図8Dは図8CにおけるB−B’断面の模式図である。
信号線111は、シールド構造を持たない伝送電線である。例えばビニール皮膜された電線である。
10本の信号線111の一端はシールド電線には非対応のコネクタ105に接続されている。そのうち8本の信号線111の他端側はコネクタ102に接続され、2本の信号線111の他端側はコネクタ103に接続されている。
この場合のノイズシールドとしては、破線で示すように編組120が各信号線111の束の周囲を巻装するようにし、その編組120をグランドに接続する。
そのような場合に部分的に図8Cの構造を採用し、チューブ状の編組120に複数の信号線111の束を通すのは、作業の手間を著しく大きくし、車両の生産性、量産性を極度に悪化させてしまう。
さらには車両内の配線では図示したようなコネクタ102側とコネクタ103側で分けられるような途中分岐を設ける場合も多い。そのような途中分岐を有するハーネス130の場合、信号線111の所定の区間を編組120にくぐらせるようなことは非常に困難である。
即ちグランド接続された編組線が伝送電線の電線長方向の一部又は全部の区間において、複数の束になった伝送電線に編組線を這わせ、グランディングできる構造とする。
即ち各伝送電線に周囲を囲まれた状態で略中央に配置されるようにする。
即ち複数の編組線が各伝送電線に沿って配置されたり、複数の一部区間に配置される。
例えば平編みの編組線の周囲に伝送電線を並べて配置したり、或いは平編みの編組線を丸めてその周囲に伝送線路を配置してもよい。
この手順により、複数の伝送電線間の容量結合による高周波ノイズ対策として編組線を設けた信号伝送路を非常に容易に構成できるようにする。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態では本発明の信号伝送路として、自動車等の車両内の電気系統で用いられるハーネス(ワイヤーハーネス)1を挙げる。
まず実施の形態のハーネス1としての各種の構造例を説明する。
ハーネス1は、例えば制御信号、データ信号、電源ラインなどの各種信号伝送を行う複数(図の例では10本)の信号線5が、それぞれの少なくとも一端がコネクタ2に接続されて束となっている。
このようにハーネス1は複数の電装電線として信号線5を有するが、各信号線5はシールド電線ではない。例えば各信号線5はビニール皮膜電線である。図1Bに示すように、各信号線5は、伝送路となる単線又はより線による金属芯線5aの周囲がビニール皮膜5bによって絶縁皮膜されている構造となる。
信号線5はシールド電線ではないので、当然、コネクタ2はシールド電線対応コネクタである必要はない。
もちろん信号線5の本数や、分岐により分けられる信号線5の本数は説明上の一例にすぎない。
なお、以下、コネクタ2の近傍から分岐点DPまでの区間、即ち全信号線5がまとめられている区間を「非分岐区間」と呼ぶ。また分岐点DPからコネクタ3までの区間、及び分岐点DPからコネクタ4までの区間を「分岐区間」と呼ぶ。
そして図1Aのように、編組線10の端部からはドレイン線11が引き出されてグランディングされる。これによりノイズシールド機能が得られるようにしている。特には編組線10を沿わせることで、各信号線5から輻射される高周波ノイズが有効に吸収される。
ドレイン線11は、後述する図7Eのように編組線10を構成する細線がまとめられて形成されてもよいし、図示していないが他の電線が編組線10の端部に接続されて形成されたものでもよい。
どの区間に編組線10を配置するかは、実際の車両内等での配線時に位置する空間に応じて決められればよい。
例えば信号線5は、車体のシャーシなどのグランド部分に沿って配設されている区間は、そもそも車両グランドの存在によりノイズ吸収効果が得られる。
一方で、或る程度、車両グランドから離れた場所、空間に位置する区間は、そのようなノイズ吸収効果が得られないので、信号線5間の容量結合によるノイズ対策が必要となる。そこで、そのような区間において編組線10を沿わせるようにすることが想定される。
例えば図1Aの場合、非分岐区間が、車両グランドとは離れている部分に配置される区間となることで編組線10を配置してノイズ対策をとることが想定される。
そして編組線10を信号線5に併走させることは、信号線5を車体グランドに沿わせる距離を長くすることと同じ効果が得られ、ノイズ対策として有効である。
この例が上記の図1Aの第1構造例と異なるのは、編組線10がコネクタ2からコネクタ3までの信号線5のほぼ全長にわたって、沿わされている点である。
図示しないが、この場合も編組線10は複数の信号線5の略中央に配置される状態で各信号線5に沿っている。
この第2構造例は、コネクタ2側からコネクタ3側までのほぼ全区間においてノイズ対策が必要な場合に好適な構造例となる。なお、編組線10の延伸長は長いほど対ノイズ効果は高くなるため、その点では編組線10の長さは信号線5の全長に近いほどよい。
この例は、編組線10として、2つの編組線10A、10Bを用いている。そして編組線10Aはコネクタ2からコネクタ3までの信号線5のほぼ全長にわたって沿わされている。さらに編組線10Bはコネクタ2からコネクタ4までの信号線5のほぼ全長にわたって沿わされている。
非分岐区間では、図2Bのように、中央に2つの編組線10A、10Bが配置され、その周囲を10本の信号線5が囲むようにされている。
コネクタ4側の分岐区間では図2Cのように編組線10Bの周囲に2本の信号線5が位置する。
コネクタ3側の分岐区間では図2Dのように中央に編組線10Aが配置され、その周囲に8本の信号線5が囲むようにされている。
なお非分岐区間では2つの編組線10A、10Bが存在するが、このため図2Aのように10本の信号線5がより編組線10に接近した状態となりやすい。このため非分岐区間の対ノイズ効果は高くなる。また各分岐区間でも、信号線5の本数が減ることで、各信号線5は編組線10(10A又は10B)に接近でき、対ノイズ効果の点で有利となる。
この例は、編組線10が、分岐点DPからコネクタ3側の分岐区間に設けられている。この部分の断面の様子は上記図2Dと同様となる。
編組線10における分岐点DP側の端部は、まとめられてドレイン線11が形成され、グランディングされる。
この第4構造例は、分岐点DPからコネクタ3までの分岐区間においてノイズ対策が必要な場合に好適な構造例となる。
この例は、編組線10Cが、分岐点DPからコネクタ3側の分岐区間に設けられている。この部分の断面の様子は上記図2Dと同様となる。編組線10Cにおけるコネクタ3側の端部は、まとめられてドレイン線11Cが形成され、グランディングされる。
また編組線10Dが、非分岐区間内の一部区間に設けられている。この部分の断面の様子は上記図1Bと同様となる。編組線10Dにおけるコネクタ2側の端部は、まとめられてドレイン線11Dが形成され、グランディングされる。
この第5構造例は、信号線5の全長の区間で、複数の区間においてノイズ対策が必要な場合に対応する構造例となる。
この例は、ハーネス1に分岐が設けられておらず、例えば10本の信号線5がコネクタ2,3間に接続される構成の場合である。
そして編組線10C、10Dが、それぞれ一部区間に設けられている。各編組線10C、10Dは、それぞれ端部のドレイン線11C、11Dからグランディングされる。
この第6構造例は、分岐のないハーネス1において、複数の区間においてノイズ対策が必要な場合に対応する構造例となる。
図4にノイズシールド効果を示す。横軸は周波数(MHz)、縦軸は近電界ノイズレベル(dBμV)である。細線は編組線10を設けていない場合、太線は編組線10を設けた場合の測定値である。
例えば50〜60MHzあたりでは5dB程度のノイズ低減効果が得られ、また150MHz近辺の帯域では最大19dBのノイズ低減効果が得られている。
この結果は、例えば先に述べた図8A、図8Cのような構造と比較しても十分なノイズシールド効果といえる。
なお図4に示した測定は、後述する図6のようなバッテリーボックス80内における充電回路のコネクタ近傍におけるハーネス1からの放射ノイズを、電磁界プローブとスペクトラムアナライザを用いて行った。電磁界プローブはETS-LINDGREN Model7405 904Bを用い、スペクトラムアナライザはKEYSIGHT TECHNOLOGIES N9010Aを用いた。
ところで実施の形態のように編組線10を沿わせる場合、グランディング位置の自由度という利点も得られる。
図5Aは、コネクタ2,3間の信号線5のほぼ全長に編組線10を沿わせる場合、図5Bは、分岐点DPからコネクタ3の分岐区間に編組線10を沿わせる場合をそれぞれ示している。
例えばハーネス1を、例えば電気自動車やハイブリッド自動車の車両内で図6のようにバッテリーボックス80に併設される制御ユニット81の電装電線接続に用いる場合を想定する。
制御ユニット81には装置筐体82,83があり、これらに分岐区間のコネクタ3、4が接続されるとする。装置筐体82,83とは、例えばバッテリー制御回路、充電回路、或いはファン駆動回路などとしての電気系統を構成するものである。
図6の例では、ハーネス1における複数の信号線5及び編組線10はテープ20によりまとめられているものとしている。
ここで、編組線10のグランドとして例えばケース90を用いるとする。
例えば図6のように開口部91の近傍でドレイン線11を導出し、ドレイン線11の先端に接続された金属端子31(例えば圧着端子)を用いてケース90の壁面にネジ止めすることでグランディングするとする。
図7により、本実施の形態のハーネス1の製造方法を説明する。
図7Aは、一端がコネクタ3に接続された多数の信号線5を模式的に示している。信号線5の他端側は図示していないが、他端側の1つのコネクタ、又は分岐して複数のコネクタに接続されたり、或いはコネクタ未接続の状態である場合もある。
図7Bは、編組線10を示している。編組線10は例えば平編み線とする。
例えばこのように沿わせた状態で、編組線10が中央となるように信号線5をまとめる。例えば図7Dのように複数の信号線5を、編組線10を中心に丸めていくようにする。
編組線10の端部からはドレイン線11が導出されるようにし、その先端に金属端子31を取り付ける。例えば編組線10の端部をドレイン線11として利用し、その先端を圧着端子で圧着固定する。これによりネジ32を用いて車両グランドにグランディングできるようにする。
この状態で、上述したように編組線10を略中心として周囲に信号線5が配置される本実施の形態のハーネス1が形成されることになる。
以上実施の形態について説明してきたが、実施の形態では次のような効果が得られる。
実施の形態の構造例1〜構造例6のハーネス1は、電気信号を伝送する複数の信号線5(伝送電線)と、信号線5の長さ方向の少なくとも一部区間において複数の信号線5に周囲を囲まれて信号線5に沿った状態に配置されるとともに、グランド接続された編組線10を有する。
即ちグランド接続された編組線10が信号線5の長さ方向の一部又は全部の区間において、複数の束になった信号線5に編組線10を這わせ、グランディングできる構造としている。
これにより各信号線5間の容量結合による高周波ノイズ対策として編組線10を用いたグランディングが可能となる。即ちシールド電線を使用しないで、信号線5間の容量結合によるノイズ対策としてのノイズシールド構造が実現できる。
またこれにより、シールド電線対応コネクタを使用しなくともよく、コネクタタイプの自由度も増す。
さらに、信号線5の周囲に編組線10を巻くような図8Cの構造の場合よりも製造が容易で量産性を確保でき、またコスト的に有利なハーネス1を提供できる。
また、複数の信号線5が途中で分岐する場合も、一部区間に編組線10を這わせる構造であることで生産性は低下せず、従来のシールド構造に比較して著しく有利である。
これにより複数のそれぞれの信号線5に対して略等距離で編組線10が位置することになり、複数の信号線5についての高周波ノイズシールド効果が適切に発揮される。
例えば図2Aの第3構造例のように複数の編組線10A、10Bを用いることで分岐のあるハーネス1において、各分岐部分に対応したシールド構造を実現できる。
またこの場合、非分岐部分では図2Bのように編組線10A、10Bの周囲に信号線5が囲むようになるが、編組線10が複数あることで、どの信号線5にも近い位置に編組線10(10A又は10B)が位置する状態となりやすい。これにより複数のそれぞれの伝送電線に対して略等距離で編組線が位置することになる。従って複数の信号線5についての高周波ノイズ効果が適切に発揮される。
また図3Bの第5構造例や図3Cの第6構造例のように、ハーネス1の複数の一部区間に編組線10C、10Dを設けるような構造によれば、高周波ノイズ対策が必要な区間のみに編組線10を配置するといった構造も可能である。この場合、編組線10が不要な部分では編組線10を配置しないことでハーネスサイズや径を小さくできる場合もある。
なお3本以上の編組線10が配置される例も考えられる。
これにより図7で説明した手順で、周囲を信号線5に囲まれた編組線10を配置する構造を容易に実現できる。
また図5Aのように平編みの編組線10を長さ方向に折り返すことで、ハーネス1の長さ方向の所望の位置で編組線10(ドレイン線11)を取り出すことが容易で、車体やバッテリーボックスなどの車両グランドへのグランディングの容易性を得ることができる。
この手順により、必要な区間に編組線10を配置して信号線5をまき付け、結束すればよいため、複数の信号線5の容量結合による高周波ノイズ対策として編組線10を設けたハーネス1を非常に容易に構成でき、量産性が確保されるとともに、コスト的にも有利なものとなる。
そしてそのような手順の工程は、ハーネス1の途中区間などの任意の箇所でも容易に実行できる。特に車両内でのハーネス1による電気的結線では、その配置位置に応じてノイズ対策が必要となる区間に編組線10を配置するが、上記手順により、必要な区間で容易に編組線10を配置できる。もちろん途中で分岐があるハーネスにおいて、その分岐前や分岐後の区間にノイズ対策を施したい場合も容易に実現できる。
また、ハーネス1が少なくとも一端側に、複数の信号線5の端子を構成するコネクタ3が接続されている状態で提供されることで、取扱いが容易で、また配線長の自由度が増し、さらに図7の手順がより容易となる。
もちろんハーネス1の両端がコネクタ接続された状態で、配線作業に提供されてもよい。製造するハーネス長が決まっていたり、規格に沿った長さのものとする場合、両端がコネクタ接続されていることで、実際の配線作業は容易となる。
Claims (5)
- 電気信号を伝送する複数の伝送電線と、
前記伝送電線の長さ方向の少なくとも一部区間において複数の前記伝送電線に周囲を囲まれて前記伝送電線に沿った状態に配置されるとともに、グランド接続された編組線と、
を有する信号伝送路。 - 前記編組線は、複数の前記伝送電線の略中央に配置されている
請求項1に記載の信号伝送路。 - 複数の編組線が前記伝送電線に沿った状態に配置されている
請求項1に記載の信号伝送路。 - 前記編組線は平編み線である
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の信号伝送路。 - 一端が共通のコネクタに接続された複数の伝送電線に対して、その長さ方向の少なくとも一部区間に編組線を沿わせ、
複数の前記伝送電線が前記編組線を囲う状態を維持するように複数の前記伝送電線と前記編組線を束ねるとともに、前記編組線の一部をドレイン線として束ねた状態から取り出された状態とする
信号伝送路の製造方法。
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