JP6935562B2 - ジョイントキャップ、接続構造体、及びワイヤーハーネス - Google Patents

ジョイントキャップ、接続構造体、及びワイヤーハーネス Download PDF

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Description

この発明は、例えば車載LAN(Local Area Network)で用いられる複数の信号線のジョイント部に装着されるジョイントキャップ、接続構造体、及びワイヤーハーネスに関する。
従来より、車載LANでは、リンギング(即ち信号の波形に対する反射波などにより信号の波形が歪む現象)によって通信状態が不安定になることを解消するために、バス(即ち通信路)に接続するノード(即ち車載機器)の数を減らしたり、バスの長さやノード間距離を短くしたり、各分岐点での分岐の本数を制限したりするなど、車載LANのトポロジ(即ち接続形態)を制限していた。このため、車載LANのネットワーク設計の自由度が制限されていた。
さらに、車両に搭載される車載機器の数の増加や、各機器の通信帯域の増加により、通信速度が高速化する傾向がある。例えば、従来の車載LANでしばしば使用されるCAN(controller area network:通信速度500kbps)に対して、新たにCAN−FD(CAN with flexible data−rate:通信速度2Mbps)が検討されつつある。通信速度の上昇に伴い、リンギングが波形に及ぼす影響はさらに顕著となっている。この状況に対応するために、車載LANのネットワーク設計の自由度を向上させる要望が高まっている。
特許文献1には、車載LANのネットワーク設計の自由度を向上させるための技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、バスで用いるコネクタ(例えば中継コネクタやジャンクションコネクタ)に、リンギング除去用のフィルタ回路を実装した回路基板を内蔵することで、車載LANのトポロジを制限することなく、従って車載LANのネットワーク設計の自由度を向上させつつ、リンギングを除去しようとしている。
しかし、特許文献1に記載の技術では、コネクタに、リンギング除去用のフィルタ回路を実装した回路基板を内蔵するため、コネクタの構造が複雑化するという問題があった。
特開2006−67543号公報
そこで、この発明は、簡易な構造でリンギングを除去することができると共に、車載LANのネットワーク設計の自由度を向上させることができるジョイントキャップ、接続構造体、及びワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
この発明は、複数の信号線の一端部同士が束ねられて電気的に接続されたジョイント部に装着されるジョイントキャップであって、前記ジョイント部が挿着される孔部が設けられた絶縁性のキャップ本体と、前記孔部と間隔を空けて前記キャップ本体に設けられると共に接地される導電部とが備えられ、前記導電部は、当該導電部と前記ジョイント部とで前記信号線を流れる信号から高周波リンギング成分を除去するローパスフィルタとして機能するキャパシタ容量となるように板厚及び面積が調整された板状部材、金属テープ、金属薄膜、メッキ、導電性樹脂のいずれかであることを特徴とする。
なお、導電部の接地は、仮に複数の信号線がドレイン線又は電磁遮蔽用の編組と共に束ねられた場合は、導電部をドレイン線又は電磁遮蔽用の編組に接続すればよく、又は、仮にこのジョイントキャップが車両に搭載された場合は、導電部を車両の金属製の車体に接続すればよく、又は、仮に複数の信号線が回路基板に接続された場合は、導電部を回路基板の接地点に接続すればよい。
この発明により、キャップ本体に設けられた導電部と、キャップ本体の孔部に挿着されたジョイント部とで、信号線に流れる信号に含まれる高周波成分を除去するローパスフィルタとして機能するキャパシタを構成することができる。従って、信号線に流れる信号に含まれる高周波リンギング成分を除去することができる。この結果、信号線を車両に配索する際にリンギングの発生を考慮する必要がなくなり、信号線の配索の自由度を向上させることができ、これにより、車載LANのネットワーク設計の自由度を向上させることができる。
また、キャップ本体に導電部を設けるだけで、リンギングを除去するための電子部品や回路基板を必要としないため、簡易な構造で(従って部品点数の増加を抑制して)製造することができる。
以上より、簡易な構造でリンギングを除去することができると共に、車載LANのネットワーク設計の自由度を向上させることができる。
また、導電部が板状部材、金属テープ、金属薄膜、メッキ、導電性樹脂のいずれかであるため、導電部の形状及び大きさを自由に設定することができる。これにより、導電部の配置場所の確保及びキャパシタの容量の調整が容易になる。例えば、導電部の厚さ、導電部の主面の面積、並びにキャップ本体の材質を変更することで、キャパシタの容量を適宜容量に調整することができる。このため、高周波リンギング成分を除去するローパスフィルタとして機能する。
この発明の態様として、前記導電部を、前記孔部の周側面に対向した状態で設けてもよい。
この発明により、導電部における孔部に対向する領域を十分に確保することができる。これにより、ジョイント部が孔部に挿着されたとき、孔部に挿着されたジョイント部と導電部とで効果的にキャパシタを構成することができる。
また、この発明の態様として、前記導電部を、前記キャップ本体に埋設してもよい。
この発明により、導電部が外部に露出することを防止でき、導電部を埃や湿気から保護することができる。
また、この発明の態様として、前記導電部を、前記キャップ本体の外表面に設けてもよい。
この発明により、キャップ本体の側壁が薄くても、導電部の配置場所を確保することができる。また、金属テープ、蒸着又はメッキによって導体部を形成することができ、導電部を容易に形成することができる。
なお、この発明の態様として、前記導電部を、前記孔部を囲む筒状に形成してもよい。
この発明により、導電部は、孔部に挿着されたジョイント部に対して全方位的にキャパシタを構成することができ、これにより、高周波リンギング成分を効果的に除去することができる。
また、この発明の態様として、前記導電部と接地点との間の電路上に接続された電気抵抗部を更に備えてもよい。
なお、電気抵抗部は、キャップ本体に内蔵されてもよく、キャップ本体に外付けされてもよい。また、導電部が所定の抵抗値を有していてもよい。
この発明により、導電部によるローパスフィルタの効果を調整することができる。
また、この発明の態様として、前記キャップ本体には、前記導電部を前記孔部の孔軸方向に移動可能に保持すると共に、前記導電部の移動に伴って、前記導電部における前記孔部に対向する領域の面積を増減させるスライド機構を設けてもよい。
なお、孔部の孔軸方向は、キャップ本体の孔部に対するジョイント部の挿入方向に略平行な方向である。
この発明により、導電部をキャップ本体の孔部に対して孔軸方向に移動させることで、孔部に挿着されたジョイント部と導電部とで構成されるキャパシタの容量を変更することができる。
また、この発明は、前記複数の信号線の一端部同士が束ねられて電気的に接続されたジョイント部と、前記ジョイント部に装着された上記のジョイントキャップとを備えた接続構造体であることを特徴とする。
この発明により、上記のジョイントキャップが備えられた接続構造体を提供することができる。
また、この発明の態様として、前記複数の信号線にはそれぞれ、一対の電線が備えられ、前記ジョイント部は、前記複数の信号線の前記各一対の電線のうち、一方の電線の一端部同士が束ねられて電気的に接続された第1ジョイント部と、他方の電線の一端部同士が束ねられて電気的に接続された第2ジョイント部とを有し、前記ジョイントキャップを、前記第1ジョイント部及び前記第2ジョイント部の各々に装着してもよい。
この構成により、信号線が一対の電線を備える場合、複数の信号線のジョイント部は、第1ジョイント部と第2ジョイント部とで構成されるが、この場合、ジョイントキャップは、第1ジョイント部及び第2ジョイント部の各々に装着される。即ち、第1ジョイント部及び第2ジョイント部の各々で発生する高周派リンギング成分は、第1ジョイント部及び第2ジョイント部に個別に装着されたジョイントキャップで個別に除去される。
これにより、リンギングの発生を抑制するために第1ジョイント部と第2ジョイント部との相対的な配置を考慮する必要がなくなり、第1ジョイント部及び第2ジョイント部の各配置の自由度を向上させることができる。この結果、車載LANのネットワーク設計の自由度を更に向上させることができる。
また、この発明は、分岐部を有する幹線と、前記分岐部から分岐した支線と、前記分岐部から各方向に配索された複数の信号線の一端部同士を接続する上記の接続構造体とが備えられ、前記複数の信号線は、前記分岐部から前記幹線の一方端側に配索された信号線と、前記分岐部から前記幹線の他端部側に配索された信号線と、前記分岐部から前記支線に配索された信号線とで構成されたワイヤーハーネスであることを特徴とする。
この発明により、上記の接続構造体を備えたワイヤーハーネスを提供することができる。
この発明によれば、簡易な構造でリンギングを除去することができると共に、車載LANのネットワーク設計の自由度を向上させることができるジョイントキャップ、接続構造体、及びワイヤーハーネスを提供することができる。
本発明の実施形態に係るワイヤーハーネスを備えた車載通信システムの一例を示す模式図。 ワイヤーハーネスの分岐部に設けられた接続構造体を示す模式図。 接続構造体を示す分解斜視図。 ワイヤーハーネスの分岐部を示す外観図。 図3の部分拡大図。 (a)は接続構造体を孔部の孔軸方向に沿った断面で切断した断面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図。 (a)は、2本の信号線の一端部同士を接続する場合の接続構造体を示す模式図、(b)は、4本の信号線の一端部同士を接続する場合の接続構造体を示す模式図。 (a)は変形例1での接続構造体を孔部の孔軸方向に沿った切断面で切断した断面図、(b)は(a)のC−C断面図。 変形例2でのジョイントキャップを示す外観図。 (a)は変形例3でのジョイントキャップを示す外観図、(b)は(a)のD−D断面図。 (a)はキャパシタの容量を最大にした状態での図10(a)のE−E断面図、(b)はキャパシタの容量を最小にした状態での図10(a)のE−E断面図。
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
(実施形態)
図1は、この実施形態に係るワイヤーハーネス2を備えた車載通信システム1の一例を示す模式図であり、図2は、ワイヤーハーネス2の分岐部3aに設けられた接続構造体10を示す模式図であり、図3は、接続構造体10を示す分解斜視図であり、図4は、ワイヤーハーネス2の分岐部3aを示す外観図であり、図5は、図3の部分拡大図であり、図6(a)は、接続構造体10を孔部25の孔軸方向Pに沿った断面で切断した断面図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A断面図であり、図6(c)は、図6(a)のB−B断面図である。
車載通信システム1は、図1及び図2に示すように、例えば車載LAN(Local Area Network)として代表的なCAN(Controller Area Network)方式に基づく通信システムであり、車両に搭載されたエンジン、ブレーキ及びトランスミッション等を制御する各ECU(Electronic Control Unit)6と、各ECU6間を接続するワイヤーハーネス2とを備えている。各ECU6は、車両に搭載された車載機器の一例である。
ワイヤーハーネス2は、複数の信号線30を束ねた幹線3と、幹線3の分岐部3aから分岐した支線4と、分岐部3aから3又状に各方向(即ち幹線3の一端部側及び他端部側、並びに支線4)に配索された3本の信号線30の一端部同士を電気的に接続する接続構造体10とを有しており、幹線3の端部及び支線4の端部に、ECU6が接続されている。なお、図1及び図2において、分岐部3aからは、1本の支線4が分岐しているが、分岐部3aから分岐する支線4の本数は2本以上となってもよい。この場合も、図1及び図2と同様、支線4の端部に、ECU6が接続される。
このようにワイヤーハーネス2が構成されることで、車載通信システム1は、CANバスとしてのワイヤーハーネス2を介して複数のECU6間を接続でき、ECU6同士の多重通信を可能としている。
信号線30は、図2及び図3に示すように、ツイストペア線であり、互いに螺旋状に撚り合わされた一対の電線30a,30bを有している。車載通信システム1において、一対の電線30a,30bのうち、一方の電線30aの電位は相対的に高い電位に設定されており、他方の電線30bの電位は相対的に低い電位に設定されている。このように、一対の電線30a,30bには、バスレベルを判断するための電位差が設定されている。各電線30a,30bはそれぞれ、銅線等の導電性材料で形成された芯線31の外周に絶縁性材料で形成された被覆部32が被覆された被覆電線である。
接続構造体10は、図3〜図6に示すように、幹線3の分岐部3aから3又状の各方向に分岐した3本の信号線30の一端部同士が束ねられて電気的に接続されたジョイント部33と、ジョイント部33に装着されたジョイントキャップ20とを備えている。
ジョイント部33は、当該3本の信号線30の一端部同士を、電位レベルに応じた電線30a,30b毎に束ねて電気的に接続した部分である。即ち、ジョイント部33は、当該3本の信号線30の各一対の電線30a,30bのうち、3本の高電位電線30aの一端部同士が束ねられて電気的に接続された第1ジョイント部33aと、3本の低電位電線30bの一端部同士が束ねられて電気的に接続された第2ジョイント部33bとを有している。第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bはそれぞれ、円柱状に形成されているが、角柱状(例えば四角柱状)に形成されてもよい。
より詳細には、第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bでは、当該3本の信号線30の各一対の電線30a,30bの一端部において、被覆部32を剥離して芯線31を露出させ、それら露出させた芯線31を、電位レベルに応じた電線30a,30b毎に束ねて電気的に接続している。露出させた芯線31の接続方法としては、例えば超音波溶接又は抵抗溶接のような溶接方法を採用することができるが、このような溶接方法に限定されない。なお、溶接の代わりに半田付けで、露出させた芯線31を束ねて電気的に接続してもよい。
なお、露出させた芯線31を電位レベルに応じた電線30a,30b毎に束ねるために、当該3本の信号線30の各一対の電線30a,30bの一端部側において、それら各一対の電線30a,30bの被覆部32の一端部を電位レベルに応じた電線30a,30b毎に集結させることで、被覆端集結部34を形成している。
ジョイントキャップ20は、第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bの各々に装着されている。第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bの各々に装着された一対のジョイントキャップ20は、ワイヤーハーネス2の分岐部3aにおいて、幹線3に対して粘着テープ7で巻き付けられることで、固着されている(図4参照)。
ジョイントキャップ20は、図5及び図6において詳しく図示するように、第1ジョイント部33a又は第2ジョイント部33bに装着される絶縁性のキャップ本体22と、キャップ本体22に設けられた導電部23と、導電部23を接地するための配線24とを備えている。
キャップ本体22は、合成樹脂などの樹脂素材により例えば略直方体状に形成されている。キャップ本体22における長手方向の一端面(以下、基端面と記載する。)22aには、第1ジョイント部33a又は第2ジョイント部33bが挿着される孔部25が設けられている。即ち、孔部25は、基端面22aに開口を有するように、キャップ本体22の内部に設けられている。
孔部25は、被覆端集結部34が挿入される被覆端挿入孔部25aと、被覆端集結部34の挿入方向の奥側において被覆端集結部34と同心軸上に連通し、第1ジョイント部33a又は第2ジョイント部33bが嵌挿されるジョイント嵌挿孔部25bとを有している。
被覆端挿入孔部25aは、例えば四角柱状の孔部であり、ジョイント嵌挿孔部25bは、第1ジョイント部33a又は第2ジョイント部33bと略同形同大(即ち円柱状)の孔部である。
導電部23は、金属(例えば銅又はアルミ)により適宜厚さの板状に形成されており、キャップ本体22の外周面のうちの一側面22bに設けられている。導電部23を一側面22bに設ける方法としては、金属テープを一側面22bに貼着する方法、金属蒸着による方法、又はメッキによる方法を採用することができる。なお、導電部23は、金属に限らず、例えば樹脂等に導電性粉末等(金属、カーボン等)を混合して成形した導電性樹脂等で構成することもできる。
上記のように、導電部23は、キャップ本体22の外周面に設けられることで、孔部25と間隔を空けると共に孔部25の周側面に対向した状態で、キャップ本体22に設けられている。これにより、孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)と導電部23とで、効果的にキャパシタが構成される。
このキャパシタは、孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)に流れる信号から高周波リンギング成分を除去するローパスフィルタとして機能する。このキャパシタの容量は、導電部23の厚さ、導電部23の主面の面積、並びにキャップ本体22の材質を変更することで、適宜容量に調整することができる。
配線24は、例えば被覆電線であり、一端部が導電部23に接続されており、他端部が接地点に接続される。ワイヤーハーネス2が車両に搭載された場合は、車両の金属製の車体が接地点として使用可能である。
このように構成されたワイヤーハーネス2では、図2に示すように、第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bの各々にジョイントキャップ20が装着される。この装着状態では、第1ジョイント部33aに装着されたジョイントキャップ20では、第1ジョイント部33aと導電部23とで、ローパスフィルタとして機能するキャパシタが構成され、このキャパシタにより、第1ジョイント部33aに流れる信号に含まれる高周波リンギング成分が除去される。
同様に、第2ジョイント部33bでも、第2ジョイント部33bと、第2ジョイント部33bに挿着されたジョイントキャップ20の導電部23とでキャパシタが構成され、このキャパシタにより、第2ジョイント部33bに流れる信号に含まれる高周波リンギング成分が除去される。
以上、この実施形態のジョイントキャップ20によれば、ジョイント部33(33a又は33b)が挿着される孔部25が設けられた絶縁性のキャップ本体22と、孔部25と間隔を空けてキャップ本体22に設けられると共に接地される導電部23とを備えている。
この構成により、キャップ本体22に設けられた導電部23と、キャップ本体22の孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)とで、信号線30に流れる信号に含まれる高周波成分を除去するローパスフィルタとして機能するキャパシタを構成することができる。従って、信号線30に流れる信号に含まれる高周波リンギング成分を除去することができる。この結果、信号線30を車両に配索する際にリンギングの発生を考慮する必要がなくなり、信号線30の配索の自由度を向上させることができ、これにより、車載LANのネットワーク設計の自由度を向上させることができる。
また、キャップ本体22に導電部23を設けるだけで、リンギングを除去するための電子部品や回路基板を必要としないため、簡易な構造で(従って部品点数の増加を抑制して)部品点数の増加を抑制して製造することができる。
以上より、簡易な構造でリンギングを除去することができると共に、車載LANのネットワーク設計の自由度を向上させることができる。
また、導電部23は、孔部25の周側面に対向した状態で設けられているため、
導電部23における孔部25に対向する領域を十分に確保することができる。これにより、ジョイント部33(33a又は33b)が孔部25に挿着されたとき、孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)と導電部23とで効果的にキャパシタを構成することができる。
また、導電部23は、キャップ本体22の外表面に設けられているため、キャップ本体22の側壁が薄くても、導電部23の配置場所を確保することができる。また、金属テープ、蒸着又はメッキによって導電部23を形成することができ、導電部23を容易に形成することができる。
また、導電部23は、板状に形成されているため、導電部23の形状及び大きさを自由に設定することができる。これにより、導電部の配置場所の確保及びキャパシタの容量の調整が容易になる。
また、この実施形態の接続構造体10によれば、複数の信号線30の一端部同士が束ねられて電気的に接続されたジョイント部33と、ジョイント部33に装着されたジョイントキャップ20とを備えているため、ジョイントキャップ20を備えた接続構造体10を提供することができる。
また、複数の信号線30にはそれぞれ、一対の電線30a,30bが備えられ、ジョイント部33は、複数の信号線30の一対の電線30a,30bのうち、一方の電線30aの一端部同士が束ねられて電気的に接続された第1ジョイント部33aと、他方の電線30bの一端部同士が束ねられて電気的に接続された第2ジョイント部33bとを有し、ジョイントキャップ20は、第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bの各々に装着される。
この構成により、信号線30が一対の電線30a,30bを備えているため、複数の信号線30のジョイント部33は、第1ジョイント部33aと第2ジョイント部33bとで構成されるが、この場合、ジョイントキャップ20は、第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bの各々に装着される。即ち、第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bの各々で発生する高周派リンギング成分は、第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bに個別に装着されたジョイントキャップ20で個別に除去される。
これにより、リンギングの発生を抑制するために第1ジョイント部33aと第2ジョイント部33bとの相対的な配置を考慮する必要がなくなり、第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bの各配置の自由度を向上させることができる。この結果、車載LANのネットワーク設計の自由度を更に向上させることができる。
また、この実施形態のワイヤーハーネス2によれば、分岐部3aを有する幹線3と、分岐部3aから分岐した支線4と、分岐部3aから各方向に配索された複数の信号線30の一端部同士を接続する接続構造体10とが備えられ、複数の信号線30は、分岐部3aから幹線3の一方端側に配索された信号線―30と、分岐部3aから幹線3の他端部側に配索された信号線30と、分岐部3aから支線4に配索された信号線30とで構成されている。
この構成により、接続構造体10を備えたワイヤーハーネス2を提供することができる。
なお、この実施形態では、信号線30は、一対の電線30a,30bで構成されたツイストペア電線であったが、ツイストペア電線に限定するものではなく、例えば、1本の被覆電線で構成されたものであってもよい。
また、この実施形態では、信号線30は一対の電線30a,30bで構成されたが、電磁シールド用の編組や接地用のドレイン線を更に備えてもよく、この場合は、配線24の他端部は、接地点として上記の編組又はドレイン線に接続されてもよい。
また、この実施形態では、導電部23は、キャップ本体22の一側面22bの全体に(即ち孔部25の被覆端挿入孔部25a及びジョイント嵌挿孔部25bの各周側面に対向するように)設けられたが、孔部25のうちジョイント嵌挿孔部25bの周側面だけに対向するように設けられてもよい。即ち、導電部23は、ジョイント部33(33a又は33b)と協働してキャパシタを構成するため、孔部25のうちの少なくとも、ジョイント部33(33a又は33b)が嵌挿されるジョイント嵌挿孔部25bの周側面に対向するように、一側面22bに設けられればよい。
また、この実施形態では、接続構造体10は、3本の信号線30の一端部同士を接続する場合に適用されたが、他の例に適用されてもよい。例えば、図1及び図2において、分岐部から支線が2本以上分岐する場合などのように、4本以上の信号線30の一端部同士を接続する場合に適用してもよく、又は、他の系統の信号線と接続する場合や信号線を延長する場合などのように、2本の信号線30の一端部同士を接続する場合に適用してもよい。図7(a)は、2本の信号線30の一端部同士を接続する場合の接続構造体10を示す模式図であり、図7(b)は、4本の信号線30の一端部同士を接続する場合の接続構造体10を示す模式図である。
図7では、接続構造体10は、幹線3に沿って一列に配索された2本の信号線30の一端部同士を接続(即ち継合)している。より詳細には、当該2本の信号線30はそれぞれ、ツイストペア線であり、一対の電線30a,30bが互いに螺旋状に撚り合わされて構成されている。そして、この場合の第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bはそれぞれ、当該2本の信号線30の一端部同士を、電位レベルに応じた電線30a,30b毎に束ねて電気的に接続して構成されており、ジョイントキャップ20は、それら第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bの各々に装着される。
図7(b)では、接続構造体10は、幹線3の分岐部3aから四又状の各方向に分岐した4本の信号線30の一端部同士を接続している。4本の信号線30はツイストペア線である。この場合の第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bはそれぞれ、当該4本の信号線30の一端部同士を、電位レベルに応じた電線30a,30b毎に束ねて電気的に接続して構成されており、ジョイントキャップ20は、それら第1ジョイント部33a及び第2ジョイント部33bの各々に装着される。
また、この実施形態では、キャップ本体22は、略直方体状に形成されたが、このような形状に限定するものではなく、例えば円柱状に形成されてもよい。
以下、実施形態の変形例を説明する。
(変形例1)
図8(a)は、変形例1での接続構造体10を孔部25の孔軸方向(即ちジョイント部33の挿入方向に平行な方向)Pに沿った切断面で切断した断面図であり、図8(b)は、図8(a)のC−C断面図である。
上記の実施形態では、導電部23は、キャップ本体22の一側面22bに板状に設けられたが、変形例1では、導電部23は、キャップ本体22の樹脂内部に埋設されると共に孔部25を囲む筒状(例えば円筒状)に形成されている。
変形例1では、導電部23は、金属製の管で構成されてもよく、金属製の筒状の編組で構成されてもよい。導電部23をキャップ本体22に埋設する方法として、例えばインサート成形を採用することができる。
また、変形例1では、配線24の一端部は、キャップ本体22の樹脂内部に埋設されて導電部23に接続されており、配線24の他端部は、キャップ本体22の樹脂内部から外部に引き出されて接地点に接続されている。
以上、変形例1によれば、導電部23はキャップ本体22に埋設されるため、導電部23が外部に露出することを防止でき、導電部23を埃や湿気から保護することができる。
また、導電部23は、孔部25を囲む筒状に形成されるため、孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)に対して全方位的にキャパシタを構成することができ、これにより、高周波リンギング成分を効果的に除去することができる。
なお、変形例1では、導電部23は、孔部25を囲む筒状に形成されたが、上記の実施形態のように、孔部25の周側面に対向する板状に形成されてもよい。
(変形例2)
図9は、変形例2でのジョイントキャップ20を示す外観図である。
変形例2は、図9に示すように、上記の実施形態において、導電部23に対して直列に接続された電気抵抗部26を更に備えたものである。
電気抵抗部26は、図9に示すように、例えば電気抵抗素子であり、配線24の途中で配線24に直列接続されることで、キャップ本体22に外付けされている。なお、電気抵抗部26は、導電部23と接地点との間の電路上に設けられていればよく、キャップ本体22に内蔵されていても、キャップ本体22に外付けされてもよい。また、導電部23が所定の抵抗値を有していてもよい。
以上、変形例2によれば、導電部23に対して直列に接続された電気抵抗部26を更に備えるため、導電部23を直接接地する場合と比較して、ローパスフィルタの効果は抑制されるが、ジョイント部33における高周波領域の特性インピーダンス不整合の影響が緩和されるため、電気抵抗部26の抵抗値を適切(例えば信号線30の特性インピーダンスの数十分の1から数十倍の範囲)に設定することにより、ローパスフィルタの効果を調整することができる。
(変形例3)
図10(a)は、変形例3でのジョイントキャップ20を示す斜視図であり、図10(b)は、図10(a)のD−D断面図である。図11(a)(b)はそれぞれ、図10(a)のE−E断面であり、より詳細には、図11(a)は、キャパシタの容量を最大にした状態を示し、図11(b)は、キャパシタの容量を最小にした状態を示す。
変形例3は、変形例1において、円筒状の導電部23を孔部25の孔軸方向Pに移動可能にすることで、孔部25に挿入されたジョイント部33(33a又は33b)と導電部23とで構成されるキャパシタの容量を可変にしたものである。
変形例3のキャップ本体22には、円筒状の導電部23を孔部25の孔軸方向Pに移動可能に保持すると共に、導電部23の移動に伴って、導電部23における孔部25に対向する領域の面積を増減させるスライド機構27が設けられている。
より詳細には、スライド機構27は、キャップ本体22の樹脂内部に設けられ、円筒状の導電部23を孔軸方向Pに移動可能に収容する円筒状の収容空間41と、キャップ本体22の外周面において孔軸方向Pに移動可能に配置され、収容空間41に収容された導電部23に連結部42を介して連結されたスライドレバー43と、収容空間41とキャップ本体22の外側の空間(以下、この空間を外側空間と記載する。)とを連通し、連結部42を孔軸方向Pに移動可能に挿通する第1連通孔44と、収容空間41と外側空間とを連通し、導電部23に接続された配線24を孔軸方向Pに移動可能に外側空間に引き出すための第2連通孔45とを備えている。スライドレバー43及び連結部42は例えば合成樹脂で形成されている。
収容空間41は、内径及び外径が導電部23の内径及び外径と略同一寸法に形成されており、孔軸方向Pの長さが導電部23における孔軸方向Pの長さよりも長く形成されている。これにより、導電部23を孔軸方向Pに移動可能に収容空間41に収容することができる。
また、収容空間41がキャップ本体22の樹脂内部に設けられた状態では、収容空間41の一端側(即ちキャップ本体22の基端面22a側)の略半分41aが孔部25を囲み、収容空間41の他端側(即ちキャップ本体22の先端面22c側)の略半分41bが孔部25よりも孔軸方向Pに突出している。
第1連通孔44の開口面は、孔軸方向Pに沿った細長形状に形成されており、これにより、連結部42が第1連通孔44に沿って孔軸方向Pに移動可能になっている。また、第2連通孔45の開口面は、孔軸方向Pに沿った細長形状に形成されている。これにより、導電部23が孔軸方向Pに移動したとき、配線24が第2連通孔45に沿って孔軸方向Pに移動することができ、配線24が導電部23の孔軸方向Pへの移動の支障になることが防止される。
このように構成されたジョイントキャップ20では、手動でスライドレバー43を第1連通孔44の開口面の長手方向(即ち孔軸方向P)に沿ってスライドさせることで、導電部23を収容空間41内で孔軸方向Pに沿って移動させることができる。
この移動により、導電部23において、孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)に対向する領域の面積を増減させることができ、この増減により、孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)と導電部23とで構成されるキャパシタの容量を調整することができる。
より詳細には、キャパシタの容量を増大させる場合は、図10(a)に示すように、スライドレバー43をキャップ本体22の基端面22a側に移動させることで、導電部23を収容空間41内の基端面22a側に移動させる。これにより、導電部23において、孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)に対向する領域の面積が増大し、キャパシタの容量が増大する。
他方、キャパシタの容量を減少させる場合は、図10(b)に示すように、スライドレバー43を先端面22c側に移動させることで、導電部23を収容空間41内の先端面22c側に移動させる。これにより、導電部23において、孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)に対向する領域の面積が減少し、キャパシタの容量が減少する。
以上、変形例3によれば、キャップ本体22には、導電部23を孔部25の孔軸方向Pに移動可能に保持すると共に、導電部23の移動に伴って、導電部23における孔部25に対向する領域の面積を増減させるスライド機構27が設けられている。
この構成により、導電部23をキャップ本体22の孔部25に対して孔軸方向Pに移動させることで、孔部25に挿着されたジョイント部33(33a又は33b)と導電部23とで構成されるキャパシタの容量を変更することができる。
なお、変形例3では、導電部23は、円筒状であったが、板状であってもよい。
以上、この発明の実施形態及び変形例を説明したが、この発明は、上記の実施形態及び変形例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
2…ワイヤーハーネス
3…幹線
3a…分岐部
4…支線
20…ジョイントキャップ
22…キャップ本体
23…導電部
25…孔部
26…電気抵抗部
27…スライド機構
30…信号線
30a,30b…電線
33…ジョイント部
33a…第1ジョイント部
33b…第2ジョイント部

Claims (10)

  1. 複数の信号線の一端部同士が束ねられて電気的に接続されたジョイント部に装着されるジョイントキャップであって、
    前記ジョイント部が挿着される孔部が設けられた絶縁性のキャップ本体と、
    前記孔部と間隔を空けて前記キャップ本体に設けられると共に接地される導電部とが備えられ
    前記導電部は、当該導電部と前記ジョイント部とで前記信号線を流れる信号から高周波リンギング成分を除去するローパスフィルタとして機能するキャパシタ容量となるように板厚及び面積が調整された板状部材、金属テープ、金属薄膜、メッキ、導電性樹脂のいずれかである
    ジョイントキャップ。
  2. 前記導電部は、前記孔部の周側面に対向した状態で設けられた
    請求項1に記載のジョイントキャップ。
  3. 前記導電部は、前記キャップ本体に埋設された
    請求項1又は請求項2に記載のジョイントキャップ。
  4. 前記導電部は、前記キャップ本体の外表面に設けられた
    請求項1又は請求項2に記載のジョイントキャップ。
  5. 前記導電部は、前記孔部を囲む筒状に形成された
    請求項1から請求項4のうちの一項に記載のジョイントキャップ。
  6. 前記導電部と接地点との間の電路上に接続された電気抵抗部が更に備えられた
    請求項1から請求項のうちの一項に記載のジョイントキャップ。
  7. 前記キャップ本体には、前記導電部を前記孔部の孔軸方向に移動可能に保持すると共に、前記導電部の移動に伴って、前記導電部における前記孔部に対向する領域の面積を増減させるスライド機構が設けられた
    請求項1から請求項のうちの一項に記載のジョイントキャップ。
  8. 前記複数の信号線の一端部同士が束ねられて電気的に接続されたジョイント部と、
    前記ジョイント部に装着された請求項1から請求項のうちの一項に記載のジョイントキャップとが備えられた
    接続構造体。
  9. 前記複数の信号線にはそれぞれ、一対の電線が備えられ、
    前記ジョイント部は、
    前記複数の信号線の前記一対の電線のうち、一方の電線の一端部同士を束ねて電気的に接続した第1ジョイント部と、他方の電線の一端部同士を束ねて電気的に接続した第2ジョイント部とを有し、
    前記ジョイントキャップは、
    前記第1ジョイント部及び前記第2ジョイント部の各々に装着された
    請求項に記載の接続構造体。
  10. 分岐部を有する幹線と、
    前記分岐部から分岐した支線と、
    前記分岐部から各方向に配索された複数の信号線の一端部同士を接続する請求項又は請求項に記載の接続構造体とが備えられ、
    前記複数の信号線は、
    前記分岐部から前記幹線の一方端側に配索された信号線と、前記分岐部から前記幹線の他端部側に配索された信号線と、前記分岐部から前記支線に配索された信号線とで構成された
    ワイヤーハーネス。
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