JP2019139138A - トナー用外添剤、トナー用外添剤の製造方法及びトナー - Google Patents

トナー用外添剤、トナー用外添剤の製造方法及びトナー Download PDF

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Abstract

【課題】トナーの低温定着性、高温高湿環境下の帯電安定性及び保存性が良好であり、白ポチを抑制することができるトナー用外添剤。【解決手段】結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、該樹脂微粒子に埋め込まれたシリカ微粒子とを有するトナー用外添剤であって、該樹脂微粒子の表面には、該無機微粒子の一部が露出しており、最大吸熱ピーク温度が50℃以上120℃以下であり、該トナー用外添剤の分散液に対する超音波照射前後のX線光電子分光分析において、照射前のケイ素原子の濃度Xa、炭素原子の濃度Ya、及び酸素原子の濃度Za並びに、照射後のケイ素原子の濃度Xb、炭素原子の濃度Yb、及び酸素原子の濃度Zbが下記式を満たすトナー用外添剤。7.0≦Xa≦25.0 ・・・(1)0.10≦Xa/Ya≦0.90 ・・・(2)0.50≦(Xb/Yb)/(Xa/Ya) ・・・(3)【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法などの画像形成方法に使用されるトナー用外添剤、該トナー用外添剤の製造方法及び該トナー用外添剤を有するトナーに関する。
従来から、電子写真技術を使用する複写機やプリンター等の画像形成装置は、使用目的及び使用環境の多様化が進んでおり、それと共に更なる高速化、高画質化が強く求められている。
プリントスピードが速くなるほど、定着器を通過する時間が短くなるため、定着器の設定温度が同じでも、トナーが受ける熱量は少なくなる。さらに、省エネルギーの観点からも定着温度を下げることが求められており、低温定着性が良好なトナーが求められている。
低温定着性を良化させるには、定着ニップ内においてトナーをシャープメルトさせることが好ましく、そのためにはトナー粒子表層を柔らかくする設計等が求められている。特に、定着ニップ内でトナーが受ける熱量が少なくなる高速プリンターでは、定着ニップ内でトナー粒子表層を溶融させることで、トナー粒子同士を合一させることが重要である。
特許文献1では、トナー粒子に無機微粒子、及び結晶性樹脂微粒子を外添することで低温定着性と耐熱保存性を向上させる技術が開示されている。さらに、特許文献2では、結晶性樹脂微粒子の表面に無機微粒子を機械的に打ち込んだ外添剤を外添することで低温定着性を向上させつつ、現像性、及び転写性をも向上させる技術が開示されている。しかし、これらの手法では、低温定着性は良化するものの、結晶性樹脂微粒子が帯電リークサイトとなるため、帯電分布が不均一化し、現像性の低下要因となりやすかった。
特許文献3では、樹脂微粒子の表面に無機微粒子が埋め込まれた複合粒子からなる外添剤をトナーに外添し、低温定着性と保存性を向上させる技術が開示されている。しかし、当該手法では、低温定着性は良化するものの、トナー粒子の表層溶融がより一層重要となる高速プリンターでの低温定着性の観点からは十分とはいえなかった。
そこで、特許文献4では、融点が60℃以上150℃以下である樹脂微粒子に無機微粒子が埋め込まれた複合微粒子を、トナー粒子に外添することで、低温定着性と高温高湿環境下の現像性を向上させる技術が開示されている。
特開2004−212740号公報 特開2013−83837号公報 特開2016−133578号公報 特開2015−45859号公報
しかし、トナー粒子表層に特許文献4に記載されているような外添剤を添加すると、該外添剤を構成する結晶性樹脂が定着ニップで溶融した際に、結晶性樹脂と無機微粒子との異なるなじみ性のために無機微粒子が相分離し、凝集物を形成することがある。その結果、画像中に微小ではあるが上記凝集物由来の画像抜け(以下、白ポチと呼ぶ)が発生する場合があった。このような白抜けはグラフィック画像のような高画質を要求される画像においては問題となる場合がある。つまり、トナー粒子表層だけを溶融させると、なじみ性の違いによりシリカ微粒子などの無機微粒子が凝集しやすく、凝集したシリカ無機微粒子
が定着画像上で白ポチとなって見える場合があった。
このように、表層溶融による低温定着性と白ポチの改善を両立させるためには、未だ改善の余地がある。
本発明は、トナーの低温定着性、高温高湿環境下の帯電安定性及び保存性が良好であり、白ポチを抑制することができるトナー用外添剤、該トナー用外添剤の製造方法及び該トナー用外添剤を有するトナーを提供することにある。
本発明は、
結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、
該樹脂微粒子に埋め込まれたシリカ微粒子と、
を有するトナー用外添剤であって、
該樹脂微粒子の表面には、該無機微粒子の一部が露出しており、
該トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度が50℃以上120℃以下であり、
該トナー用外添剤をポリタングステン酸ナトリウム水溶液に分散させた分散液に対する超音波照射前後の、該トナー用外添剤のX線光電子分光分析において、照射前のケイ素原子の濃度Xa、炭素原子の濃度Ya、及び酸素原子の濃度Zaの合計を100atomic%とし、照射後のケイ素原子の濃度Xb、炭素原子の濃度Yb、及び酸素原子の濃度Zbの合計を100atomic%としたとき、下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするトナー用外添剤である。
7.0atomic%≦Xa≦25.0atomic% ・・・(1)
0.10≦Xa/Ya≦0.90 ・・・(2)
0.50≦(Xb/Yb)/(Xa/Ya) ・・・(3)
また、本発明は、
結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、
樹脂微粒子に埋め込まれた無機微粒子と、を有し、
該樹脂微粒子の表面に、該無機微粒子の一部が露出したトナー用外添剤の製造方法であって、
結晶性樹脂を有機溶媒に溶解し溶解液Aを調製する工程a、
該溶解液AにpKa7.0以上の中和剤を添加し、溶解液Bを調製する工程b、
該溶解液Bに水を添加し、転相乳化により樹脂微粒子の分散液Aを調製する工程c、
該分散液Aとシリカ微粒子を混合して分散液Bを調製する工程d、及び
該分散液B中で、該結晶性樹脂と該シリカ微粒子をラジカル重合させる工程e、を有し、
該結晶性樹脂の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度が50℃以上120℃以下であり、
該結晶性樹脂の酸価が、5.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であり、
該結晶性樹脂がラジカル重合性官能基Aを有し、該シリカ微粒子がラジカル重合性官能基Bを有することを特徴とするトナー用外添剤の製造方法である。
本発明によれば、トナーの低温定着性、高温高湿環境下の帯電安定性及び保存性が良好であり、白ポチを抑制することができるトナー用外添剤、該トナー用外添剤の製造方法及び該トナー用外添剤を有するトナーを提供することができる。
粉体動的粘弾性測定による温度T−貯蔵弾性率E’曲線 メタノール濃度に対する透過率を示したグラフ
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明において、数値範囲の上限及び下限の組み合わせは、明細書に記載されている上限及び下限の全ての組み合わせから決定することができる。
本発明者らは、トナーの低温定着性、高温高湿環境下の帯電安定性及び保存性が良好であり、白ポチを抑制できるトナー用外添剤について鋭意検討した。
これまで、画質を良化させるために、様々な外添剤が提案されてきた。例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、及びチタニア微粒子等の無機微粒子だけでなく、樹脂微粒子の表面に上記無機微粒子が埋め込まれたような複合微粒子が提案されてきた。しかし、単に上記記載のような外添剤を含有させるだけでは、低温定着性の低下要因となり得る。
そこで、低温定着性を良化させ、白ポチを良化させるアプローチとして、融点を持つ樹脂微粒子の表面に無機微粒子が埋め込まれた特許文献4のような外添剤をトナー粒子に付与することが提案されてきた。ここで、トナーが定着ニップにおいて記録媒体に定着する過程を本発明者らが観察した所、下記の点が重要であることを見出した。
(1−1)定着ニップ通過時にトナーが溶融し、記録媒体上で濡れ広がること
(1−2)定着ニップ通過時にトナー粒子表層が溶融し、トナー粒子同士が合一化すること
上記(1−1)はトナー粒子全体の溶融特性、及び記録媒体とトナーとの親和性の影響を強く受ける。一方、上記(1−2)はトナー粒子表層の溶融特性、特に、外添剤の影響を強く受ける。このため、低温定着性を改良するには、トナー粒子全体の溶融特性、記録媒体とトナーとの親和性、及びトナー粒子表層の溶融特性を制御する必要がある。そして、装置の高速化に伴う低温定着性改良のためには、上記(1−2)のトナー粒子表層の溶融特性を改良することが重要であることが分かった。
特許文献4のような外添剤をトナーに外添することはで、確かに低温定着性は良化する。しかしながら、このような外添剤はトナー粒子表層溶融時に樹脂微粒子が溶融してトナー粒子表層を可塑するものの、樹脂と無機微粒子とのなじみ性の違いにより外添剤表面の無機微粒子が凝集する傾向がある。
この結果、トナー溶融時に無機微粒子が凝集体を形成し、その凝集体起因の白ポチが発生する。特に、平滑紙の場合、紙の凹凸が少ないため、記録媒体上のトナーが濡れ広がりやすく、トナー粒子が合一しやすくなるため、トナー粒子表面の無機微粒子が凝集物を形成しやすく、白ポチが発生しやすい傾向がある。
本発明者らが鋭意検討を進めた結果、結晶性樹脂微粒子表面のシリカ微粒子が脱離しにくい構造を持たせることで、定着ニップでトナー粒子表層を溶融させた際のシリカ微粒子の凝集を抑制でき、低温定着性の良化と白ポチの抑制を達成できることを見出した。加えて、式(1)と式(2)を満たすように、外添剤表面のシリカ微粒子の存在量と割合を一定程度にすることで、高温高湿環境下の帯電性を安定させることができる。
すなわち本発明は、結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、
該樹脂微粒子に埋め込まれたシリカ微粒子と、
を有するトナー用外添剤であって、
該樹脂微粒子の表面には、該無機微粒子の一部が露出しており、
該トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度が50℃以上120℃以下であり、
該トナー用外添剤をポリタングステン酸ナトリウム水溶液に分散させた分散液に対する超音波照射前後の、該トナー用外添剤のX線光電子分光分析において、照射前のケイ素原子の濃度Xa、炭素原子の濃度Ya、及び酸素原子の濃度Zaの合計を100atomic%とし、照射後のケイ素原子の濃度Xb、炭素原子の濃度Yb、及び酸素原子の濃度Z
bの合計を100atomic%としたとき、下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするトナー用外添剤である。
7.0atomic%≦Xa≦25.0atomic% ・・・(1)
0.10≦Xa/Ya≦0.90 ・・・(2)
0.50≦(Xb/Yb)/(Xa/Ya) ・・・(3)
また、トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度が、50℃以上120℃以下であることが必要である。当該最大吸熱ピーク温度は外添剤中の結晶性樹脂に由来する。このような結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子の表面にシリカ微粒子が埋め込まれた構造を持つことで、定着ニップでトナー粒子表層を可塑することができ、トナー粒子同士を合一化できる。また、後述するトナー用外添剤の製造方法においては、結晶性樹脂の示差走査熱量測定による昇温1回目の最大吸熱ピーク温度は、50℃以上、120℃以下である。該最大吸熱ピーク温度は、好ましくは60℃以上、110℃以下である。
本発明の式(1)中のXaは、帯電性のシリカ微粒子が樹脂微粒子表面に存在する量を意味する。同様に、本発明の式(2)中のXa/Yaは、樹脂微粒子表面のシリカ微粒子の樹脂微粒子に対する割合を意味する。このため、式(1)、及び(2)を満たした本発明のトナー用外添剤は、樹脂微粒子表面のシリカ微粒子の量と割合が適正であることを示し、高温高湿環境におけるトナーの帯電安定性を高めることができる。
Xaは10.0atomic%以上が好ましい。上限は22.0atomic%以下が好ましい。上記範囲であると、高温高湿環境におけるトナーの帯電安定性がより一層良化する。加えて、Xa/Yaは、0.30以上が好ましい。上限は0.75以下が好ましい。当該範囲であると、高温高湿環境におけるトナーの帯電安定性がより一層良化する。
Xaは、トナー用外添剤中のシリカ微粒子の含有割合、及びトナー用外添剤の製造方法により制御できる。また、Yaも同様に、トナー用外添剤中のシリカ微粒子の含有割合、及びトナー用外添剤の製造方法により制御できる。
Xaが7.0atomic%よりも小さい場合、外添剤の樹脂微粒子表面のシリカ微粒子量が少ないことを意味する。樹脂微粒子表面のシリカ微粒子量は高温高湿環境の帯電安定性に寄与する重要な因子となる。このようなトナー用外添剤は、高温高湿環境において、シリカ微粒子で被覆されていない結晶性樹脂部位が多数あるため外添剤の水分吸着量が増加し、そこがリークサイトとなる。この結果、トナーの帯電分布が不均一化し、画像濃度低下が発生する傾向がある。
同様に、Xa/Yaが0.10よりも小さい場合、樹脂微粒子に対するシリカ微粒子量の含有割合が低いことを意味する。このようなトナー用外添剤は、シリカ微粒子で被覆されていない結晶性樹脂部位が多数あるため、高温高湿環境においてトナーの帯電分布が不均一化し、画像濃度が低下しやすい傾向がある。ここで、Xa/Yaは、トナー用外添剤を測定した際の、樹脂微粒子に対するシリカ微粒子の割合を示す。このため、Xaが小さい時、シリカ微粒子の埋め込み量により、Xa/Yaが変動する。
一方、Xaが25.0atomic%よりも大きい場合、外添剤の樹脂微粒子表面のシリカ微粒子量が多いことを意味する。このようなトナー用外添剤は、定着ニップ通過時に、トナー粒子表層を可塑化するものの、同時にシリカ微粒子がトナー粒子表層部分に埋め込まれる。
この際、シリカ微粒子のような剛体が多量に含有されることで起きる増粘効果がトナー粒子表層部で発現し、トナー粒子表層の溶融特性が低下する。そのため、低温定着性が低下する傾向がある。特に、高速プリンターにおいては、トナー粒子表層の溶融特性がより重要になってくるため、低温定着性が低下する傾向が顕著になる。
同様に、Xa/Yaが0.90よりも大きい場合、樹脂微粒子に対するシリカ微粒子量の含有割合が大きいことを意味する。このようなトナー用外添剤は、定着ニップ通過時にトナー粒子表層を可塑化するものの、シリカ微粒子の増粘効果によりトナー粒子表層の溶融特性が低下し、低温定着性が低下する傾向がある。特に、高速プリンターにおいては、トナー粒子表層の溶融特性がより重要になってくるため、低温定着性が低下する傾向が顕著になる。
トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度が50℃よりも小さい場合、高温環境に静置した際にも外添剤がトナー粒子表層を可塑化し始める。そのため、トナー粒子の合一を引き起こし、保存性が低下する。
一方、最大吸熱ピーク温度が120℃よりも大きい場合、定着ニップ通過時に外添剤を構成する前記樹脂微粒子がトナー粒子表層を可塑化することができないために、低温定着性が低下する傾向がある。
式(3)を満たすことは定着ニップで外添剤が溶融した際に、樹脂微粒子表面のシリカ微粒子が凝集せず、樹脂微粒子とシリカ微粒子がある一定程度化学結合を形成していることを意味している。この理由は、シリカ微粒子が樹脂微粒子表面に埋め込まれているだけなど、シリカ微粒子と樹脂微粒子がある一定程度化学的に結合していない場合、超音波を照射した際にシリカ微粒子が外れてしまうためである。
シリカ微粒子の固着量を示す式(3)中の(Xb/Yb)/(Xa/Ya)が0.50以上であると、定着ニップで外添剤が溶融した際にも、樹脂微粒子表面のシリカ微粒子の凝集を抑制することができるため好ましい。より好ましくは0.60以上である。当該範囲であると、シリカ微粒子の凝集をより抑制できる。(Xb/Yb)/(Xa/Ya)は、化学結合の量を変更することで調整することができる。
一方、(Xb/Yb)/(Xa/Ya)が0.50より小さい場合、樹脂微粒子表面のシリカ微粒子が樹脂微粒子と十分に化学的に結合していないことを意味する。このようなトナー用外添剤は、定着ニップでトナー粒子表層が溶融した際、なじみ性の違いによりシリカ微粒子が凝集する傾向にある。そのため、凝集したシリカ微粒子起因の白ポチが発生しやすい。
(Xb/Yb)/(Xa/Ya)の上限は特に制限されないが、好ましくは0.80以下である。
Xbは、トナー用外添剤表面の樹脂微粒子と化学結合しているシリカ微粒子の量を調整することにより制御できる。また、Ybも同様に、トナー用外添剤表面の樹脂微粒子と化学結合しているシリカ微粒子の量を調整することにより制御できる。
このように、従来のトナー用外添剤は、結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子の表面にシリカ微粒子が埋め込まれた構造を持っていたとしても、式(1)〜(3)を同時に満たすことはない。これに対して、本発明のトナー用外添剤は、上記構造を有し、かつ、式(1)〜(3)を満たすことが最大の特徴である。
上記、式(1)〜(3)を満たすことは、結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子の表面にシリカ微粒子が埋め込まれ、その一部が露出した構造を有し、かつシリカ微粒子が脱離しにくい構造を有することを示す。この結果、高温高湿環境での現像性と保存性を両立させつつ、定着器ニップでトナー粒子表層を可塑化し、溶融した際のシリカ微粒子の凝集を抑制することで、低温定着性と白ポチ抑制も初めて両立することができた。
本発明のトナー用外添剤の個数平均粒径は、50nm以上300nm以下であることが好ましい。より好ましくは100nm以上である。一方、上限はより好ましくは250nm以下である。トナー用外添剤の粒径をある一定の範囲に制御することで、定着ニップ内
でトナーを溶融させた際に、トナー粒子表面のトナー用外添剤を表層熔融させ、トナーをより均一に紙に定着させることが可能となる。この結果、低温定着性を良化させることができる。
トナー用外添剤に含有される、樹脂微粒子中の結晶性樹脂については特に制限されず、結晶性ポリエステル樹脂;結晶性ポリウレタン樹脂;結晶性アクリル樹脂;エチレン酢酸ビニル共重合体;変性ワックスをグラフトしたビニル系樹脂が挙げられる。結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定において明確な融点を有する樹脂である。
結晶性樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましく、結晶性ポリエステル樹脂であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂は紙との親和性が高いため、外添剤と紙との付着性が上がり、低温定着性が向上しやすい。
結晶性ポリエステルの合成に使用可能なアルコール成分としては、例えば以下の脂肪族ジオールを挙げる事ができる。
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等。これらは、各々単独で、又は混合して用いる事もできる。なお、脂肪族ジオールは、これらに限定されるものではない。
また、当該脂肪族ジオールとしては、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いる事もできる。二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、例えば以下のものを挙げる事ができる。2−ブテン1,4ジオール、3−ヘキセン1,6ジオール、4−オクテン1,8ジオール等。
次に、結晶性ポリエステルの合成に用いる事のできる酸成分について述べる。酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸などの多価カルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば以下のものを挙げる事ができる。蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸。あるいはその低級アルキルや酸無水物等。これらは、単独で、又は混合して用いる事も可能である。また、脂肪族ジカルボン酸はこれらに限定されるものではない。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば以下を挙げる事ができる。テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等。
さらに酸成分としては、二重結合を持つジカルボン酸を用いる事もできる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物を用いる事もできる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができる。例えば、モノマーの種類に応じて、直接重縮合やエステル交換法を適宜使い分けて製造することができる。
また、結晶性ポリエステル樹脂末端のカルボキシ基又は水酸基を、二重結合を持つ脂肪族ジオール又は二重結合を持つジカルボン酸で修飾することで結晶性ポリエステルの不飽和基の位置を制御することもできる。二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、上記と同様2−ブテン1,4ジオール、3−ヘキセン1,6ジオール、4−オクテン1,8ジオールなどが挙げられる。また、二重結合を持つジカルボン酸としては、上記と同様フマル酸
、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸などが挙げられる。
結晶性樹脂の数平均分子量Mnは、15000以上60000以下であることが好ましい。数平均分子量が15000以上であると、結晶性樹脂の靱性が向上し、トナー用外添剤としての耐久性が良好になる。一方、数平均分子量が60000以下であると、トナー粒子表層を可塑する能力が高くなり低温定着性向上の効果が大きくなる。より好ましくは数平均分子量が17000以上50000以下である。
トナー用外添剤に用いられるシリカ微粒子は、下記式(A)で表されるラジカル重合性官能基を有する有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されているシリカ微粒子であることが好ましい。
Si[H3−X(OR]RQ ・・・(A)
(式中、xは1,2又は3であり、Rはメチル又はエチルであり、Rは式−C2n−を有するアルキルリンカー(nは1〜10(好ましくは1〜4))であり、Qは置換又は非置換のビニル基、アクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基である。)
シリカ微粒子の表面を、ラジカル重合性官能基を有する有機ケイ素化合物の加水分解物で処理することにより、樹脂微粒子表面のシリカ微粒子が該有機ケイ素化合物に由来する構造(有機ケイ素化合物の加水分解縮合物)を介して樹脂微粒子と結合できるためである。
この結果、白ポチの発生を抑制することができる。すなわち、該有機ケイ素化合物の加水分解縮合物と結晶性樹脂(好ましくは結晶性ポリエステル樹脂)とが化学的に結合していることが好ましい。化学的な結合とは、例えば共有結合が挙げられる。具体的には上記Qで表される基を介してビニル重合により結合していることが好ましい。
上記有機ケイ素化合物としては、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシオキシプロピル)トリエトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリエトキシシラン、4−ペンテニルトリエトキシシラン、4−ペンテニルトリメトキシシラン、5−ヘキセントリメトキシシラン、5−ヘキセンメチルジメトキシシラン、及びメタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、が挙げられるがそれらには限定されない。
本発明のトナー用外添剤の製造方法は種々の方法が挙げられるが、なかでも前記特性を満足するトナー用外添剤を得るため、本発明のトナー用外添剤の製造方法は、樹脂微粒子表面にシリカ微粒子を化学的に結合させる方法をとることが好ましい。
以下、トナー用外添剤の製造方法を説明する。
本発明のトナー用外添剤の製造方法は、
結晶性樹脂を有機溶媒に溶解し溶解液Aを調製する工程a、
該溶解液AにpKa7.0以上の中和剤を添加し、溶解液Bを調製する工程b、
該溶解液Bに水を添加し、転相乳化により樹脂微粒子の分散液Aを調製する工程c、
該分散液Aとシリカ微粒子を混合して分散液Bを調製する工程d、及び
該分散液B中で、該結晶性樹脂とシリカ微粒子をラジカル重合させる工程eを有することを特徴とする。
ここで、結晶性樹脂の酸価が5.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であることが好ましい。また、結晶性樹脂がラジカル重合性官能基Aを有し、シリカ微粒子
がラジカル重合性官能基Bを有する。
溶解液Aには結晶性樹脂の他に、他の樹脂を共溶解させてもよい。
なお、pKaとは酸解離定数のことである。本発明のトナー用外添剤の製造方法においては、さらに、分散液A中に含有される有機溶媒を除去する工程を加えてもよい。有機溶媒を除去する工程には、減圧操作や溶媒抽出、スチーム蒸留等、従来公知の方法を適用することができる。
工程bにおいてpKaが7.0以上の中和剤を添加する理由は、結晶性樹脂が有する酸性官能基、又は結晶性樹脂と共溶解させた樹脂の酸性官能基を中和するためである。このため、結晶性樹脂の酸価が、5.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であることが好ましい。より好ましくは、6.0mgKOH/g以上である。上限はより好ましくは27.0mgKOH/g以下である。
結晶性樹脂の酸価が5.0mgKOH/g以上であると、樹脂微粒子を転相乳化によって製造しやすくなる。また、酸価が30.0mgKOH/g以下であると、結晶性樹脂の結晶化度を高めやすく、トナー用外添剤としての耐熱保存性が良好になる。工程bにおいてpKaが7.0以上の中和剤を添加することで、結晶性樹脂及び必要に応じて添加した他の樹脂に含まれる酸性官能基を中和することができる。
これにより、工程cにおいて前記酸性官能基の解離を促し、静電斥力を利用して分散液A中における樹脂微粒子の分散安定性を担保することが可能になる。樹脂微粒子に良好な分散安定性を付与するためには、中和剤のpKaは好ましくは7.5以上14.0以下である。より好ましくは8.5以上、さらに好ましくは9.0以上である。一方、上限は、より好ましくは13.0以下、さらに好ましくは12.5以下である。
中和剤の例として、下記化合物が挙げられるがこれらに限定されない。なお、カッコ内の数字は沸点を表す。
アンモニア水(−33℃)、N−メチル−エタノールアミン(155℃)、N,N−ジメチルエタノールアミン(133℃)、2−ジエチルアミノエタノール(161℃)、トリエチルアミン(90℃)、エタノールアミン(170℃)、トリエタノールアミン(208℃)、N−メチル−ジエタノールアミン(246℃)、トリ−n−ブチルアミン(216℃)、ビス−3−ヒドロキシプロピルアミン(185℃)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(165℃)、1−アミノ−2−プロパノール(160℃)、2−アミノ−2−メチル1−3−プロパンジオール(151℃)、シクロヘキシルアミン(135℃)、t−ブチルアミン(78℃)、N−メチルモルホリン(115℃)などのアミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの弱酸と強塩基の塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物など。また、これらは単独で、又は混合して用いることも可能である。
また、中和剤の沸点が140℃以下であることが好ましい。より好ましくは0℃以上130℃以下である。140℃以下であると、酸性官能基の中和に用いられなかった過剰な中和剤の除去が容易になる。そのため、中和剤が残渣になりにくく、樹脂微粒子に含有される結晶性樹脂が可塑されにくいため、耐熱保存性が良好になる。揮発性の中和剤は残渣になりにくく、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ジメタノールアミンなどが好ましい。
中和剤の添加量は、結晶性樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
さらに、溶解液Aにラジカル重合性官能基Bを有するシリカ微粒子を混合し、ラジカル重合させる上記記載の工程d、eにより、樹脂微粒子の表面にシリカ微粒子が埋め込まれ、その一部が露出した構造を有し、かつ、樹脂微粒子とシリカ微粒子の固着性を高めるこ
とができる。この結果、トナーの高温高湿環境での現像性、及び保存性が良好であり、低温定着性と白ポチの抑制を両立することができるトナー用外添剤を提供することができる。ラジカル重合性官能基Bを有するシリカ微粒子は、前述の式(A)で表されるラジカル重合性官能基を有する有機ケイ素化合物の加水分解物で処理されたシリカ微粒子であることが好ましい。すなわち、ラジカル重合性官能基Bは、ビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基が好ましい。
トナー用外添剤の製造方法においては、結晶性樹脂を溶解可能であることに加え、水系分散媒体と液/液分離する、または任意に混和する有機溶媒を適用することが好ましい。このような有機溶媒の例として、シクロヘキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらは単独で、又は混合して用いることも可能である。
結晶性樹脂に含有されるラジカル重合性官能基Aの数は、一分子あたりの平均値で、0.5以上2.0以下であることが好ましく、1.0以上がより好ましい。上限は1.5以下がより好ましい。
結晶性樹脂に含有されるラジカル重合性官能基Aの数は、結晶性樹脂間のラジカル重合反応、及び結晶性樹脂とシリカ微粒子とのラジカル重合反応に寄与する重要な因子となる。結晶性樹脂に含有されるラジカル重合性官能基Aの数が0.5以上であると、樹脂粒子とシリカ微粒子の固着性を十分に高めることができる。一方、ラジカル重合性官能基Aの数が2.0以下であると、結晶性樹脂間、又は結晶性樹脂とシリカ微粒子間、あるいはこれらの両方の化学結合が適切になり、樹脂微粒子の溶融特性が良好になる。
このため、ラジカル重合性官能基Aの数を上記範囲内にすることで、定着器近傍での外添剤の溶融特性、及びシリカ微粒子の固着性を適正な範囲に制御することができる。この結果、低温定着性を良化させつつ、白ポチの発生を抑制することができる。
ラジカル重合性官能基Aは、−CH=CH−で表される二価の基、又はビニル基、アクリロイル基、若しくはメタクリロイル基が好ましい。
ラジカル重合性官能基Aが、結晶性樹脂の分子鎖の末端に存在することが好ましい。ラジカル重合性官能基Aの位置を分子鎖の末端にすることで、結晶性樹脂同士、及び結晶性樹脂とシリカ微粒子とのラジカル重合反応の反応性を高めることができ、結果として、樹脂微粒子とシリカ微粒子の固着性を向上させることができる。
トナー用外添剤の製造方法では、溶解液Aが、ラジカル重合性官能基Cを有するラジカル重合性単量体を含有することが好ましい。該ラジカル重合性単量体は結晶性樹脂と反応しやすいため、結晶性樹脂の溶解液Aが、該ラジカル重合性単量体を含有することにより、ラジカル重合性官能基AとBのみを共重合させる場合よりも重合反応性が向上する。その結果、樹脂微粒子とシリカ微粒子との固着力を高めることができる。
溶解液Aが結晶性樹脂とSP値の差分が小さいラジカル重合性単量体を含有することで、結晶性樹脂の溶解液Aに対する溶解度を高めることができる。さらに、工程eにおいて、結晶性樹脂とシリカ微粒子とラジカル重合性単量体とをラジカル重合させることで、ラジカル重合性単量体を介して、結晶性樹脂とシリカ微粒子とを化学的に結合させることができる。
これにより、高温高湿環境において帯電リークサイトとなる結晶性樹脂をシリカ微粒子で均一に被覆すると共に、樹脂微粒子に対するシリカ微粒子の固着性を高めることができる。この結果、高温高湿環境における濃度低下及び広いメディアに対する白ポチの発生を抑制することができる。
ラジカル重合性単量体のSP値と結晶性樹脂のSP値の差の絶対値が3.5以下であることが好ましい。そして、工程eにおいて、結晶性樹脂とシリカ微粒子とラジカル重合性単量体とをラジカル重合させることが好ましい。該SP値の差の絶対値は、1.2以下で
あることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましい。一方、下限は特に制限されないが、好ましくは0以上、より好ましくは0.1以上である。
ラジカル重合性官能基Cは、ビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基が好ましい。
本発明におけるSP値の単位は、(J/cm1/2であるが、1(cal/cm1/2=2.046×10−3(J/cm1/2によって(cal/cm1/2の単位に換算することができる。
ラジカル重合性官能基Cを有するラジカル重合性単量体としては、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどのスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸クロルメチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアクリル酸エステル系単量体又はメタクリル酸エステル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなど。これらの重合性単量体は単独で、又は混合して使用できる。中でも有機溶媒との混合性の面で、スチレン、メタクリル酸エステル系単量体、及びアクリル酸エステル系単量体が好ましい。
シリカ微粒子の疎水化度は、30メタノール体積%以下であることが好ましい。より好ましくは、25メタノール体積%以下、さらに好ましくは20メタノール体積%以下である。一方、下限は特に制限されないが、好ましくは5メタノール体積%以上、より好ましくは10メタノール体積%以上である。
ここでいう疎水化度とはシリカ微粒子のメタノールによる濡れ性試験によって決定される値である。このため、疎水化度が30メタノール体積%以下であると、シリカ微粒子とともに水系分散媒体に共分散させやすく、シリカ微粒子同士の凝集を抑制できる。
シリカ微粒子の疎水化度は、転相乳化後の製造工程dにおいて、分散液Aにシリカ微粒子を添加した際の無機シリカ微粒子の表面への露出しやすさに関与する。このため、疎水化度が上記範囲内であることで、シリカ微粒子の一部を樹脂微粒子表面に露出させやすくなる。この結果、外添剤の帯電安定性を高めることができ、高温高湿環境での濃度低下を抑制することができる。シリカ微粒子の疎水化度は、シリカ微粒子表面の有機ケイ素化合物の処理量により調整することができる。
工程eにおいて樹脂微粒子表面に無機微粒子を埋め込ませた後、トナー用外添剤を疎水化処理する工程fを含むことが好ましい。具体的には、表面が有機ケイ素化合物又はシリコーンオイルで処理されていることが好ましい。
有機ケイ素化合物又はシリコーンオイルで処理することによって、外添剤の疎水性を高めることができるため、高温高湿環境においても安定した現像性を有するトナーとすることができる。表面処理されてなる外添剤方法は、例えば、トナー用外添剤の表面に反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理することによって疎水化することができる。
好ましい方法は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で処理する方法である。有機ケイ素化合物の例としては、以下のものが挙げられる。
ジメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位のSiに水酸基を1つずつ有するジメチルポリシロキサン等。これらは1種又は2種以上の混合物で用いられる。
無機微粒子は、シリコーンオイル処理されていてもよい。また、上記疎水化処理と併せてシリコーンオイル処理されてもよい。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコーンオイル処理の方法は以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーのような混合機を用いて直接混合する方法。ベースとなるシリカ微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粒子を加え混合し、溶剤を除去する方法。
トナーの流動性や帯電性を向上させるために、上記トナー用外添剤以外にも流動性向上剤などを添加してもよい。
流動性向上剤としては、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末のようなフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカのような微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ;酸化亜鉛、酸化スズのような酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムのような複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムのような炭酸塩化合物等が挙げられる。
流動性向上剤は、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上200nm以下であると、高い帯電性と流動性を持たせることができるので好ましい。
本発明のトナー用外添剤は、トナー粒子表面に外添することでその効果を発現することが可能である。トナー粒子の製造方法は特に限定されず、例えば粉砕法や、乳化重合法、懸濁重合法及び溶解懸濁法などの重合法を用いることができる。トナー用外添剤及びトナー粒子をヘンシェルミキサーのような混合機により充分混合し、トナーを得ることができる。
粉砕法では、まず、トナー粒子を構成する結着樹脂、着色剤、さらに必要に応じてワックス、電荷制御剤等の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分に混合する。次いで、得られた混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。
本発明のトナー用外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましい。
さらに必要に応じその他所望の外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合してもよい。
混合機としては、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)などが挙げられる。
トナーの粉体動的粘弾性測定で得られる温度T[℃]−貯蔵弾性率E’[Pa]曲線において、温度Tに対する貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、dE’/dT曲線のオンセット温度以上90℃以下の温度範囲に−1.0×10以下となる極小値を有し、該極小値のうちの最も低温側の極小値が、−9.0×10以下であることが好ましい。より好ましくは−9.5×10以下である。
下限は特に制限されないが、好ましくは−20.0×10以上であり、より好ましくは−18.0×10以上である。
この粉体動的粘弾性測定は、粉体状態のままトナーの粘弾性を測定する事が可能であるため、貯蔵弾性率E’[Pa]は、トナーが粉体として振る舞う際のトナー溶融の状態を示していると考えられる。
トナーの粉体動的粘弾性測定における温度T[℃]−貯蔵弾性率E’[Pa]曲線の例を図1に示す。図1によると、粉体動的粘弾性測定においてトナーの温度に対する貯蔵弾性率を測定した場合、2段階で貯蔵弾性率の低下が起こっていることがわかる。2段階に別れる理由は、トナー粒子の表面近傍の溶融とトナー粒子全体の溶融が別のポイントで発生するからであると本発明者らは考えている。
トナーが外部から熱を受けた際、最初に熱を受けるのは、トナー粒子表面近傍であるので、低温側で示される貯蔵弾性率の低下が意味するものとは、トナー粒子表面近傍における溶融の進行であると推測される。さらに、温度に対する貯蔵弾性率の低下速度とは、トナー溶融の速度を意味する。
よって、ここで定義した最も低温側の極小値とは、トナー粒子の表面近傍の溶融性能のポテンシャルを示すと考えられる。この値が小さい、つまり絶対値が大きくなるほど表面近傍の溶融性能の高いトナーである。
該極小値を小さくしたい場合は、本発明の外添剤のように結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子を使用する等が挙げられる。該極小値の値が上記範囲であるトナーは低温定着性が良好であることを示す。
次に、本発明のトナー用外添剤を用いたトナーについて説明する。本発明のトナーは、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、該トナー粒子の表面のトナー用外添剤と、を有するトナーであって、該トナー用外添剤が本発明のトナー用外添剤であるトナーである。
結着樹脂について具体的に記載する。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。特に、極性を有する荷電制御剤を均一に分散させるという観点から、一般的に高い極性を有するポリエステル樹脂を含有することが、現像性の点で好ましい。より好ましくは非晶性ポリエステル樹脂である。
ポリエステル樹脂は、アルコール成分及び酸成分の縮重合物であることが好ましい。ポリエステル樹脂を生成するモノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
アルコール成分としては、以下のような2価のアルコールが挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2
−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、並びに下記(I)式で表されるビスフェノール及びその誘導体。
アルコール成分には、3価以上の多価アルコールとして、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを用いてもよい。
Figure 2019139138

(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、X及びYはそれぞれ0以上の整数であり、かつX+Yの平均値は0以上10以下である。)
酸成分としては、以下のような2価のカルボン酸が挙げられる。
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上18以下のアルキル基若しくは炭素数6以上18以下のアルケニル基で置換されたこはく酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物。
酸成分には3価以上の多価カルボン酸を用いることも好ましい。例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。
トナー粒子表面近傍の溶融特性の効果を最大限に発揮し、優れた耐久性を有するためにも、トナー粒子の軟化点(Tm)は、90℃以上180℃以下が好ましく、110℃以上170℃以下がより好ましい。
また、結着樹脂は、保存安定性の観点から、ガラス転移点(Tg)が45℃以上70℃以下であることが好ましい。
トナー粒子にはさらに磁性酸化鉄粒子を含有させ磁性トナーとして使用しても構わない。この場合、磁性酸化鉄粒子は着色剤の役割をかねることもできる。磁性トナー中に含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ビスマス、カルシウム、マンガン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金又はその混合物が挙げられる。
これらの磁性酸化鉄粒子は個数平均粒径が2μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。磁性酸化鉄粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対し20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、40質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
着色剤の例を以下に挙げる。
黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、グラフト化カーボンや以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用可能である。イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン
化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が挙げられる。シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナーには、定着時の離型性を付与するために、ワックスを含有させてもよい。
ワックスとしては、例えばポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス、エステルワックス等が挙げられる。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10.0質量部以下が好ましい。
トナーには、その摩擦帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることができる。電荷制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナーを負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩。その他にも、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体が挙げられる。
トナーを正帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体;ホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等);高級脂肪酸の金属塩。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
<外添剤表面に存在するケイ素原子、炭素原子、及び酸素原子の濃度(atomic%)>
外添剤表面に存在するケイ素原子、炭素原子、及び酸素原子の濃度(atomic%)は、X線光電子分光分析(ESCA)を用いて表面組成分析を行うことにより算出する。
ESCAの装置及び測定条件は、下記のとおりである。
使用装置:ULVAC−PHI社製、Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件:X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回、O 30回
本発明では、測定された各原子のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度(atomic%)を算出する。
<外添剤の超音波処理>
上記原子濃度の測定は、下記超音波照射前の外添剤、及び下記超音波照射後の外添剤に
対して行う。
超音波照射は下記のように行う。
イオン交換水100mLにポリタングステン酸ナトリウム160gを加え、湯せんしながら溶解させ、ポリタングステン酸ナトリウム水溶液を調製する。上記ポリタングステン酸ナトリウム水溶液23mLとノニオン系界面活性剤、好ましくはコンタミノンN(和光純薬工業(株)製:商品名)を6.0mL加えて調製した溶液を、50mLのポリエチレン製サンプルビンに入れ、測定試料1.0gを加える。
容器に入れた水溶液を氷水で冷却しながら、超音波分散器(TAITEC社製:VP−050)を用いて下記条件で超音波を照射する。
Timer set:15min
Interval:ON
ON Time:1s
OFF Time:0.1s
Pow set:80%
Start Pwm:80%
Auto tune:ON
Auto power:ON
超音波分散したサンプルを、速やかに遠心分離用の容器に移す。遠心分離用の容器に移し替えたサンプルを、高速冷却遠心機H−9R(コクサン製:商品名)にて、設定温度は20℃、加速減速は最短時間、回転数は3,500rpmで回転時間を30分間、の条件で遠心分離する。最上部に分離した外添剤を回収し、減圧濾過器でろ過した後、乾燥器で1時間以上乾燥する。
<外添剤の最大吸熱ピークのピーク温度の測定>
外添剤の最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA
Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、外添剤約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲−40℃〜150℃で、昇温速度10℃/minで昇温1回目の測定を行う。この昇温1回目のDSC曲線において、温度−40〜150℃の範囲におけるDSC曲線の最大吸熱ピークの温度を求める。
<外添剤の結晶性樹脂とそれ以外の分離>
外添剤から結晶性樹脂とそれ以外の成分とを分離する方法は、下記方法を用いるとよい。以下の方法で分離を行い、さらに有機ケイ素化合物と結晶性ポリエステルの化学的結合の特定などを行う。
(結晶性樹脂とそれ以外の成分との分離)
外添剤を、ギ酸メチル水溶液を用いて、シラノール結合を加水分解した後、テトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。
上記作業で得られた樹脂100mgにアセトン500mlを加え、70℃に加熱し完全に溶解させた後、徐々に25℃まで冷却して該結晶性樹脂を再結晶させる。該結晶性樹脂を吸引ろ過して、結晶性樹脂とろ液に分離する。
次いで、分離したろ液をメタノール500mlへ徐々に加えて、該結晶性樹脂以外の樹脂成分を再沈殿させる。その後、吸引ろ過器で該結晶性樹脂以外の樹脂成分を取り出す。
得られた結晶性樹脂及びそれ以外の樹脂成分を40℃で24時間減圧乾燥する。
<有機ケイ素化合物と結晶性ポリエステル樹脂との化学的結合の特定>
有機ケイ素化合物と結晶性ポリエステル樹脂との化学的結合の特定は核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて特定する。測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
<結晶性樹脂の酸価の測定方法>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。
酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順
に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性樹脂2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<結晶性樹脂、及びラジカル重合性単量体のSP値の算出方法>
樹脂のSP値は、溶解度パラメータ計算ソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice)を用いて、以下のようにして求めた。
まず、樹脂を構成するユニットのSP値を以下のようにして求める。ここで樹脂を構成するユニットとは、樹脂がビニル系樹脂の場合(ビニル系モノマーの重合反応によって該樹脂を構成する重合体を生成している場合)、前記ビニル系モノマーの二重結合が重合によって開裂した状態の分子構造を意味する。
前記ユニットのSP値は、前記ソフトウェアにユニットの分子構造を分子の線形表記法Smiles式で入力することで、分子を自動的に原子団に分解し、ユニットのHansenのSP値が算出される。
前記樹脂のSP値は、前記ソフトウェアにより算出されたユニットのHansenのS
P値と仕込み量に基づく各ユニットの質量比率を前記ソフトウェアに入力することで算出される。
<結晶性樹脂の分子量の測定方法>
結晶性樹脂の数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、50℃で24時間かけて、試料をトルエンに溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、トルエンに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:トルエン
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<シリカ微粒子の疎水化度の測定方法>
下記のようにして得たメタノール滴下透過率曲線から求める。
まず、水70mlを、直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れ、その気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。
次いで、シリカ微粒子0.1gを精秤して、上記水を入れた容器の中に添加し、測定用サンプル液を調製する。
そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機「WET−100P」(レスカ社製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、6.7s−1(400rpm)の速度で攪拌する。なお、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、図2に示したようなメタノール滴下透過率曲線を作成する。
透過率が、滴下開始時の50%となったときのメタノール濃度を疎水化度とする。
<トナー用外添剤の個数平均粒径の測定方法>
個数平均粒径はゼータサイザーNano−ZS(MALVERN社製)を用いて測定する。該装置は動的光散乱法により、粒径を測定できる。まず、測定対象のサンプルの固液比が0.10質量%(±0.02質量%)となるように希釈して調整し、石英セルに採取して測定部に入れる。分散媒体は、シリカ微粒子はメチルエチルケトン/メタノール(質量比99:1)を用い、樹脂微粒子及びトナー用外添剤は水を用いる。測定条件として、制御ソフトZetasizersoftware 6.30でサンプルの屈折率、分散溶媒の屈折率、粘度及び温度を入力し測定する。Dnを個数平均粒径として採用する。
シリカ微粒子の屈折率は、化学便覧から採用する。樹脂微粒子の屈折率は、樹脂微粒子に使用している樹脂の屈折率を前記制御ソフトに内蔵されている屈折率を採用する。ただ
し、内蔵されている屈折率が無い場合は、国立研究開発法人 物質・材料研究機構 高分子データベースに記載の値を用いる。
トナー用外添剤の屈折率は、シリカ微粒子の屈折率と樹脂微粒子に使用されている樹脂の屈折率から重量平均をとって計算する。
分散溶媒の屈折率、粘度および温度は、前記制御ソフトに内蔵されている数値を選択する。混合溶媒の場合は、混合する分散媒体の重量平均をとる。
<粉体動的粘弾性の測定方法>
測定装置としては、DMA8000(Perkin Elmer社製)を用いる。測定にはシングルカンチレバー(品番:N533−0300)を用い、加熱炉は品番:N533−0267を使用して測定する。
まず、トナー約50mgを精秤し、付属のマテリアルポケット(品番:N533−0322)にトナーが中心にくるよう仕込む。次に、固定具が温度センサーをまたぐように、そしてドライブシャフトと固定具間の距離が18.0mmになるようジオメトリーシャフトに固定具を取り付ける。次に、トナーを仕込んだマテリアルポケットの中心が固定具とドライブシャフトの中心にくるよう固定具で挟み、測定を行う。
測定は測定ウィザードを用いて以下の測定条件に設定する。
加熱炉:Standard Air Oven
測定タイプ:温度スキャン
変形モード:シングルカンチレバー
周波数:単一周波数1Hz
振幅:0.05mm
昇温スピード:2℃/min
開始温度:30℃
終了温度:180℃
断面:直方体
試験片の寸法:縦×横×厚み:17.5mm×7.5mm×1.5mm
データ取得間隔:0.3秒間隔
トナーの粉体動的粘弾性測定で得られる、温度T[℃]−貯蔵弾性率E’[Pa]曲線において、貯蔵弾性率E’の温度Tに対する変化量(dE’/dT)は、各温度の前後1.5秒間でのE’の温度Tに対する変化量(dE’/dT)を測定する。
上記方法で30℃以上180℃以下の温度範囲で変化量(dE’/dT)を算出し、各プロットのデータの内、最初のデータから2点飛ばしで温度[℃]−変化量(dE’/dT)のグラフを作成し、−1.00×10以下となる極小値があることを確認する。そして、−1.00×10以下となる極小値のうち低温側に最初に現れる極小値を算出する。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモー
ドの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(商品名;非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(商品名;日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<pKaの測定法>
中和剤0.100gを250mlのトールビーカーに精秤し、水150mlを加え、30分かけて溶解し中和剤水溶液を作製する。前記中和剤水溶液にpH電極を入れ、サンプルの水溶液のpHを読み取る。次に、前記中和剤水溶液に0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を10μlずつ添加し、その都度pHを読み取り滴定を行う。pHが14以上となり、30μl添加してもpHの変化がなくなるまで0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液を加える。
得られた結果から0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液添加量に対するpHをプロットし、滴定曲線を得る。得られた滴定曲線からpH変化の傾きが一番大きいところを中和点とし、中和店におけるpHの値をpKaとする。
<結晶性樹脂に含有されるラジカル重合性官能基Aの数の測定>
結晶性樹脂に含有されるラジカル重合性官能基Aの数の測定は、H−NMRにより以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30.0℃
試料は、ラジカル重合性官能基Aを有する結晶性樹脂50.0mgを内径5.0mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を添加し、これを40.0℃の恒温槽内で溶解させることにより調製する。
上記試料のH−NMRを測定し、以下のユニットに帰属されるピーク情報を得る。
(1)ラジカル重合性官能基Aを含む化合物に由来するユニットY1
(2)ラジカル重合性官能基Aを含まないジオールに由来するユニットY2
(3)ラジカル重合性官能基Aを含まないジカルボン酸、又はジイソシアネートに由来するユニットY3
上記ラジカル重合性官能基Aを含む化合物は、重合性不飽和基を有するジオールや重合性不飽和基を有するジカルボン酸、ヒドロキシル基を有するビニル系化合物、イソシアネート基を有するビニル系化合物が含まれる。
前記ユニットY1に帰属されるピークの中から、他のユニットと一致しない固有のピークP1を選択し、選択したピークP1の積分値S1を算出する。
前記ユニットY2に帰属されるピークの中から、他のユニットと一致しない固有のピークP2を選択し、選択したピークP2の積分値S2を算出する。
前記ユニットY3に帰属されるピークの中から、他のユニットと一致しない固有のピークP3を選択し、選択したピークP3の積分値S3を算出する。
前記ラジカル重合性官能基Aを有する結晶性樹脂に含まれるラジカル重合性官能基Aの数は、上記積分値S1、積分値S2、積分値S3を用い、下記式にしたがって求められる。
結晶性樹脂に含まれるラジカル重合性官能基Aの数=
{Mp×(S1/n1)}/{M1×(S1/n1)+M2×(S2/n2)+M3×(S3/n3)}
なお、n1、n2、n3は、それぞれ上記ユニットY1、Y2、Y3における水素原子の数であり、M1、M2、M3は、それぞれ上記ユニットY1、Y2、Y3の分子量である。Mpは、ラジカル重合性官能基Aを有する結晶性樹脂の分子量である。
<トナーからの外添剤の単離方法>
トナー100gを秤量し、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)1mgを添加した水1000mlに分散させる。分散液を振とう機(AS
ONE社製 Mighty Shaker AS−1N)で振とう数を300に設定し、5分間分散させた。その後、遠心分離器で所定の強度で処理し上澄みを乾固する。走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」(日立製作所製)を用いて、20万倍に拡大した視野において、トナー用外添剤単体のみであることを確認する。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。なお、以下の材料における部及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<結晶性樹脂1の製造例>
・セバシン酸 128.0部
・1,6−ヘキサンジオール 78.0部
・トリメリット酸 9.0部
・フマル酸 1.4部
撹拌装置、温度計、窒素同入管を備えた反応容器中に、上記原料を仕込んだ。続いて上記原料総量に対して、0.1部のテトライソブチルチタネートを入れ、180℃で4時間反応させた後、10℃/1時間の速度で210℃まで昇温、210℃で8時間保持した。その後8.3kPaにて1時間反応させることで、結晶性樹脂1を得た。結晶性樹脂1の物性は表1のとおり。
<結晶性樹脂2〜3、5〜8、及び11〜14の製造例>
結晶性樹脂1の製造例からモノマー処方を表1のように変更し、反応条件を調整して、結晶性樹脂2〜3、5〜8、及び11〜14を得た。結晶性樹脂2〜3、5〜8、及び1〜14の物性を表1に示す。
<結晶性樹脂4の製造例>
結晶性樹脂1の製造例において、モノマー処方を表1のように変更し、反応後にフマル酸を添加し、末端に不飽和基で修飾するように変更して、結晶性樹脂4を得た。結晶性樹脂4の物性は表1のとおり。
<結晶性樹脂9の製造例>
低分子量ポリエチレンワックス(DSC吸熱ピーク75℃)500部と無水マレイン酸4部を窒素ガス気流下で、220℃で12時間反応させて、結晶性樹脂9を得た。結晶性樹脂9の物性を表1に示す。
<結晶性樹脂10の製造例>
結晶性樹脂9の製造例において低分子量ポリエチレンワックスをDSCの吸熱ピークが92℃の低分子量ポリエチレンワックスに変え、低分子量ポリエチレンワックス500部と無水マレイン酸を2部に量を調整した以外は結晶性樹脂9と同様にして結晶性樹脂10を得た。結晶性樹脂10の物性を表1に示す。
Figure 2019139138
<疎水化剤溶液1の製造例>
ジメチルジシラザン0.1部をイソプロピルアルコール1.0部に溶解させた疎水化剤溶液1を作製する。
<中和剤>
中和剤は、表2に示すものを用意した。表2に中和剤のpKa、沸点を示す。
Figure 2019139138
<シリカ微粒子分散液>
シリカ微粒子分散液は、表3に示すものを用意した。シリカ微粒子分散剤を乾固して、乾燥前後の重量変化から固形分量を測定した。また、乾固して得られた無機微粒子の凝集物を凍結粉砕器で粉砕した後、十分に乾燥および解砕して、メタノールに対する濡れ性試験を行って疎水化度を測定した。表3に疎水化度、固形分量を示す。これらの分散液の溶媒はメチルエチルケトン99部にメタノール1部を混合させた混合溶媒である。
Figure 2019139138
<ラジカル重合性単量体>
ラジカル重合性単量体は、表4に示すものを用意した。表4にSP値を示す。
Figure 2019139138
<トナー用外添剤1の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性樹脂1を3部、スチレンを2部、そしてTHF10部を仕込み、50℃に加熱して溶解した。
次いで、撹拌しながら、トリエチルアミン0.45部を添加する。十分に樹脂が溶解していることを確認してから、水を2.5g/分の速度で75部滴下して転相乳化することで、結晶性樹脂微粒子分散液1(固形分濃度5.5質量%)を得る。
さらに、10部のエタノールに2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと呼ぶ)を5部溶解させたAIBN溶液を作製する。撹拌しながら、結晶性樹脂微粒子分散液1に表3に記載のシリカ微粒子分散液1を3部と、ラジカル重合開始剤としてAIBN溶液を0.1部添加し、温度を75℃に昇温させた。その後、ラジカル重合を5時間進行させることで、トナー用外添剤分散液1を得る。
そして、トナー用外添剤分散液1に疎水化剤溶液1を1.0質量部添加し、30.0℃で2時間撹拌した。次に、12000回転/分で10分間遠心分離処理し、沈殿物を回収して、真空乾燥することでトナー用外添剤1が得られた。トナー用外添剤1の物性は表6に示す。
<外添剤A2〜A20、及びA24〜A25の製造例>
外添剤A1の製造例において、結晶性樹脂、中和剤、シリカ微粒子分散液、ラジカル重合性単量体を表5に記載の組み合わせに変更した以外は、同様にして、外添剤A2〜A20、及びA24〜A25を得た。物性値を表6に示す。
<外添剤A21の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた容器に結晶性樹脂11を100.0部、メチルエチルケトンを50.0部、及び2−プロパノールを25.0部投入し、50℃で十分に撹拌しながら溶解させた。次に10重量%の中和剤5を3.5部添加し、1
0分以上撹拌し結晶性樹脂溶解液1を得た。
次に72℃に加温し、結晶性樹脂溶解液1を撹拌しながら水を1.0部/分の割合で滴下することで転相乳化を行った。水の滴下終了後、70rpmの条件で撹拌しつつ25℃で24時間乾燥窒素をバブリングすることにより溶剤を除去し、結晶性樹脂微粒子分散液2を得た。次に、結晶性樹脂微粒子分散液2の全量を凍結乾燥して外添剤A21を得た。外添剤A21の物性値を表6に示す。
<外添剤A22の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を備えた容器に結晶性樹脂10を100.0部、水を900.0部、及びモノステアリン酸エチレングリコール)を2.0部投入し90℃で撹拌した。次にクレアミックスの回転速度を10000回転/分で10分間分散を行い、ワックス微粒子分散液を得た。次いで、ワックス微粒子分散液を40℃まで冷却した後、真空乾燥機にて、25℃で真空乾燥して、ワックス微粒子を得た。
ワックス微粒子100.0部と、ヒュームドシリカ(BET:200m/g)20.0部とを、マルチパーパスミキサー(MP5(日本コークス工業株式会社製))により混合して、ヒュームドシリカをワックス微粒子の表面に埋め込ませて、外添剤A22を得た。物性値を表6に示す。
<外添剤A23の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計を備えた容器に、結晶性樹脂12を5.0部とTHF10.0部を仕込み、50℃に加熱して溶解した。次に、シリカ微粒子分散液7を3.0部添加した。
次いで、撹拌しながら、中和剤として中和剤1となるトリエチルアミンを0.5部添加する。十分に樹脂が溶解し、シリカ微粒子が分散していることを確認してから、水を2.5g/分の速度で75部滴下して転相乳化し、40℃においてエバポレータでTHFを十分に留去し、結晶性樹脂微粒子分散液3(固形分濃度5.0質量%)を得た。
さらに結晶性樹脂微粒子分散液3に疎水化剤溶液1を1.0部添加し、30.0℃で2時間撹拌した。次に、12000回転/分で10分間遠心分離処理し、沈殿物を回収して、真空乾燥することで外添剤A23を得た。物性値を表6に示す。
<外添剤A26の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計を備えた容器に、ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)を3.0部及び水を150.0部投入し溶解させた。次に、スチレン95.0部を3.0部/分の割合で滴下することで添加し、乳化液を作製した。乳化液の温度を80℃に昇温し、10.0部の水に溶解した過硫酸カリウム0.6部を加え2時間重合させた。
続いて乳化液を40℃まで冷却させたのちジビニルベンゼンを5.0部添加して2時間攪拌を行った後、温度を85℃に昇温して水2.0部に溶解した過硫酸カリウム0.1部を添加して、4時間重合反応を実施し、反応停止剤としてハイドロキノン水溶液を添加して重合を終了した。この時の重合転化率は99%であった。
限外ろ過によって水溶性物質を除去し、pH及び濃度を調整して、固形分濃度が50%、pHが8.5の樹脂微粒子分散液4を得た。
得られた2.0部の樹脂微粒子分散液4をメタノール100.0部に添加した後、疎水化剤として、テトラエトキシシラン7.5部を溶解した。この状態で50℃に加熱し、1時間攪拌した。次いで、この溶液に、28質量%のNHOH水溶液20.0部を滴下しながら加え、室温にて48時間攪拌することによって、ゾルゲル反応を行って、樹脂微粒子の表面をシロキサンによって被覆した。反応終了後に、水で洗浄し、次いでメタノールで洗浄し、濾過した後、45℃で24時間、40kPaの減圧下で乾燥させた。
次に全量をトルエン6.0部に分散し、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミノ基を含有するケイ素化合物)を0.01部添加した後、15分間分散混合した。次いで
、ヘキサメチルジシラザンを0.01部添加した後、15分間分散混合して微粒子と接触させた。その分散液を減圧蒸留、乾燥して外添剤A26を得た。物性値を表6に示す。
Figure 2019139138

Figure 2019139138

表中、SP値差は、結晶性樹脂のSP値とラジカル重合性単量体のSP値の差の絶対値を表す。
<結着樹脂1の製造例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.2mol付加) 60.0部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.2mol付加) 40.0部
・テレフタル酸 77.0部
上記ポリエステルモノマー混合物をモノマー総量100部に対して、0.2部のジブチル錫オキシドとともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、Nガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にNガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整し、反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂1を得た。結着樹脂1のガラス転移温度(Tg)は56℃、軟化点(Tm)は121℃であった。
<トナー粒子1の製造例>
・結着樹脂1:100部
・磁性酸化鉄粒子:75部
・フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製C105、融点:105℃):2部・荷電制御剤(保土谷化学工業社製、T−77):2部
上記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径(D4)7.2μmのトナー粒子1を得た。
<トナー1の製造例>
トナー粒子1の100.0部に対し、1.5部のトナー用外添剤1、ヘキサメチルジシラザンで処理された1.5部のヒュームドシリカ(BET:200m/g)、をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)にて5分間乾式混合して、さらに外添された粒子を目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。表7に物性を示す。
<トナー2〜20、比較トナー1〜6の製造例>
トナー1の製造例から用いる外添剤を表7のように変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜20、比較トナー1〜6を得た。物性を表7に示す。
Figure 2019139138
<実施例1>
市販の磁性一成分方式のプリンターHP LaserJet Enterprise M609dn(ヒューレットパッカード社製:プロセススピード377mm/s)のプロ
セススピードを400mm/sになるように改造を施した本体を用いて、トナー1に関し下記の評価を実施した。
また、評価に用いるプロセスカートリッジは、37Y Extra High Yiel
d Black Original LaserJet Toner Cartridge(
ヒューレットパッカード社製)である。所定のプロセスカートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、実施例で得たトナーを高密度になるよう1600g充填した。これを用いて、トナー1を用いた下記の評価を実施した。また、評価紙は特に記載がない限り、Vitality(Xerox社製、坪量75g/cm
レター)を用いた。評価結果を表8に示す。
<低温定着性の評価>
上記評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にした外部定着器を用いた。この装置を用いて、170℃以上220℃以下の範囲で5℃おきに定着温度の制御を行い、画像濃度が0.60以上0.65以下となるようにハーフトーン画像を出力する。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定した。得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率を測定した。
定着器の設定温度を横軸に、濃度低下率を縦軸にして座標平面にプロットし、全てのプロットを直線で繋ぎ、濃度低下率10%の時の定着器の設定温度をトナーの定着開始温度とし、下記の基準により低温定着性を評価した。定着開始温度が低いトナーは低温定着性が良いことを示す。低温定着性の評価は常温常湿環境下(25.0℃/60%RH)で行った。評価結果を表8に示す。
・評価基準
・A:定着開始温度が190℃未満
・B:定着開始温度が190℃以上200℃未満
・C:定着開始温度が200℃以上210℃未満
・D:定着開始温度が210℃以上220℃未満
・E:定着開始温度が220℃以上
<高温高湿環境の濃度の評価>
トナーを所定のプロセスカートリッジに充填した。印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計10000枚の画出し試験を実施した。10000枚目では横線パターンの代わりに5mm丸のベタ画像を画出しして、画像濃度を測定した。評価は現像性に厳しい高温高湿下(温度32.5℃、相対湿度80%)で行った。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、5mm丸のベタ画像の反射濃度を測定することにより測定した。評価結果を表8に示す。
・判断基準
・A:(1.35以上)
・B:(1.30以上1.35未満)
・C:(1.20以上1.30未満)
・D:(1.10以上1.20未満)
・E:(1.10未満)
<白ポチの評価>
トナーを所定のプロセスカートリッジに充填した。印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計100枚の画出し試験を実施した。その後、紙種を普通紙としてVitality(Xerox社製、坪量75g/cm、レター)、平滑紙
としてGF−C081(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量81.4g/cm、A4)のそれぞれを用いて、横線パターンの代わりにベタ画像を画出しして評価した。
白ポチは、ベタ黒画像を画出しし、ルーペで10倍に拡大して黒色部の欠損(白ポチ)の有無を確認し、評価した。白ポチの評価は常温常湿環境下(25.0℃/60%RH)で行った。評価結果を表8に示す。
・判断基準
A:白ポチが2個以下
B:白ポチが3個以上4個以下
C:白ポチが5個以上7個以下
D:白ポチが8個以上10個以下
E:白ポチが11個以上
<保存性の評価>
約10gのトナー1を100ccの樹脂製カップに入れ、50℃で3日間放置した後、トナーへの影響を目視で評価した。保存性の判断基準を以下に示す。評価結果を表8に示す。
・判断基準
A:変化なし
B:容易にほぐれる
C:凝集体がみられるが容易にほぐれる
D:凝集体ができ、ほぐれにくい
E:ケーキングしている
<実施例2〜20、比較例1〜6>
トナー2〜20、比較トナー1〜6を用いて実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表8に示す。
Figure 2019139138

Claims (14)

  1. 結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、
    該樹脂微粒子に埋め込まれたシリカ微粒子と、
    を有するトナー用外添剤であって、
    該樹脂微粒子の表面には、該無機微粒子の一部が露出しており、
    該トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度が50℃以上120℃以下であり、
    該トナー用外添剤をポリタングステン酸ナトリウム水溶液に分散させた分散液に対する超音波照射前後の、該トナー用外添剤のX線光電子分光分析において、照射前のケイ素原子の濃度Xa、炭素原子の濃度Ya、及び酸素原子の濃度Zaの合計を100atomic%とし、照射後のケイ素原子の濃度Xb、炭素原子の濃度Yb、及び酸素原子の濃度Zbの合計を100atomic%としたとき、下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするトナー用外添剤。
    7.0atomic%≦Xa≦25.0atomic% ・・・(1)
    0.10≦Xa/Ya≦0.90 ・・・(2)
    0.50≦(Xb/Yb)/(Xa/Ya) ・・・(3)
  2. 前記トナー用外添剤の個数平均粒径が、50nm以上300nm以下である請求項1に記載のトナー用外添剤。
  3. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含む請求項1又は2に記載のトナー用外添剤。
  4. 前記シリカ微粒子が、下記式(A)で表されるラジカル重合性官能基を有する有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されているシリカ微粒子である請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー用外添剤。
    Si[H3−X(OR]RQ ・・・(A)
    (式中、xは1,2又は3であり、Rはメチル又はエチルであり、Rは式−C2n−を有するアルキルリンカー(nは1〜10)であり、Qは置換又は非置換のビニル基、アクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基である。)
  5. 前記有機ケイ素化合物の加水分解縮合物と、前記結晶性樹脂と、が化学的に結合している請求項4に記載のトナー用外添剤。
  6. 結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、
    樹脂微粒子に埋め込まれた無機微粒子と、を有し、
    該樹脂微粒子の表面に、該無機微粒子の一部が露出したトナー用外添剤の製造方法であって、
    結晶性樹脂を有機溶媒に溶解し溶解液Aを調製する工程a、
    該溶解液AにpKa7.0以上の中和剤を添加し、溶解液Bを調製する工程b、
    該溶解液Bに水を添加し、転相乳化により樹脂微粒子の分散液Aを調製する工程c、
    該分散液Aとシリカ微粒子を混合して分散液Bを調製する工程d、及び
    該分散液B中で、該結晶性樹脂と該シリカ微粒子をラジカル重合させる工程e、を有し、
    該結晶性樹脂の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度が50℃以上120℃以下であり、
    該結晶性樹脂の酸価が、5.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であり、
    該結晶性樹脂がラジカル重合性官能基Aを有し、該シリカ微粒子がラジカル重合性官能基Bを有することを特徴とするトナー用外添剤の製造方法。
  7. 前記結晶性樹脂に含有される前記ラジカル重合性官能基Aの数が、一分子あたりの平均値で、0.5以上2.0以下である請求項6に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  8. 前記ラジカル重合性官能基Aが、分子鎖の末端にある請求項6又は7に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  9. 前記溶解液Aが、ラジカル重合性官能基Cを有するラジカル重合性単量体を含有し、
    該ラジカル重合性単量体のSP値と前記結晶性樹脂のSP値の差の絶対値が、3.5以下であり、
    前記工程eにおいて、前記結晶性樹脂と前記シリカ微粒子と該ラジカル重合性単量体とをラジカル重合させる請求項6〜8のいずれか一項に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  10. 前記中和剤のpKaが、7.5以上14.0以下である請求項6〜9のいずれか一項に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  11. 前記中和剤の沸点が140℃以下である請求項6〜10のいずれか一項に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  12. 前記工程eの後、得られたトナー用外添剤を疎水化処理する工程fを有する請求項6〜11のいずれか一項に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  13. 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、
    該トナー粒子の表面のトナー用外添剤と、
    を有するトナーであって、
    該トナー用外添剤が請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー用外添剤であるトナー。
  14. 前記トナーの粉体動的粘弾性測定で得られる温度T[℃]−貯蔵弾性率E’[Pa]曲線において、該温度Tに対する該貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、dE’/dT曲線のオンセット温度以上90℃以下の温度範囲に−1.0×10以下となる極小値を有し、該極小値のうち最も低温側の極小値が、−9.0×10以下である請求項13に記載のトナー。
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