JP2019137208A - 車両用空気調和装置 - Google Patents

車両用空気調和装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2019137208A
JP2019137208A JP2018021871A JP2018021871A JP2019137208A JP 2019137208 A JP2019137208 A JP 2019137208A JP 2018021871 A JP2018021871 A JP 2018021871A JP 2018021871 A JP2018021871 A JP 2018021871A JP 2019137208 A JP2019137208 A JP 2019137208A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
air
radiator
dehumidifying
compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018021871A
Other languages
English (en)
Inventor
竜 宮腰
Tatsu Miyakoshi
竜 宮腰
耕平 山下
Kohei Yamashita
耕平 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanden Automotive Climate Systems Corp
Original Assignee
Sanden Automotive Climate Systems Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanden Automotive Climate Systems Corp filed Critical Sanden Automotive Climate Systems Corp
Priority to JP2018021871A priority Critical patent/JP2019137208A/ja
Priority to DE112019000729.7T priority patent/DE112019000729T5/de
Priority to CN201980010218.6A priority patent/CN111629919B/zh
Priority to PCT/JP2019/002399 priority patent/WO2019155905A1/ja
Publication of JP2019137208A publication Critical patent/JP2019137208A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/00642Control systems or circuits; Control members or indication devices for heating, cooling or ventilating devices
    • B60H1/00814Control systems or circuits characterised by their output, for controlling particular components of the heating, cooling or ventilating installation
    • B60H1/00878Control systems or circuits characterised by their output, for controlling particular components of the heating, cooling or ventilating installation the components being temperature regulating devices
    • B60H1/00899Controlling the flow of liquid in a heat pump system
    • B60H1/00921Controlling the flow of liquid in a heat pump system where the flow direction of the refrigerant does not change and there is an extra subcondenser, e.g. in an air duct
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/00642Control systems or circuits; Control members or indication devices for heating, cooling or ventilating devices
    • B60H1/00814Control systems or circuits characterised by their output, for controlling particular components of the heating, cooling or ventilating installation
    • B60H1/00821Control systems or circuits characterised by their output, for controlling particular components of the heating, cooling or ventilating installation the components being ventilating, air admitting or air distributing devices
    • B60H1/00835Damper doors, e.g. position control
    • B60H1/00849Damper doors, e.g. position control for selectively commanding the induction of outside or inside air
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/32Cooling devices
    • B60H1/3204Cooling devices using compression
    • B60H1/3205Control means therefor
    • B60H1/3213Control means therefor for increasing the efficiency in a vehicle heat pump
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/32Cooling devices
    • B60H2001/3236Cooling devices information from a variable is obtained
    • B60H2001/3255Cooling devices information from a variable is obtained related to temperature
    • B60H2001/3261Cooling devices information from a variable is obtained related to temperature of the air at an evaporating unit
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/32Cooling devices
    • B60H2001/3236Cooling devices information from a variable is obtained
    • B60H2001/3255Cooling devices information from a variable is obtained related to temperature
    • B60H2001/3263Cooling devices information from a variable is obtained related to temperature of the refrigerant at an evaporating unit
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/32Cooling devices
    • B60H2001/3269Cooling devices output of a control signal
    • B60H2001/327Cooling devices output of a control signal related to a compressing unit

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Air-Conditioning For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】空気流通路の内気率を適切に制御することで、除湿モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性を向上させた車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器9にて吸熱させる除湿モード(除湿暖房モード、除湿冷房モード)を実行する車両用空気調和装置1において、ヒートポンプコントローラは、放熱器4の目標温度である目標ヒータ温度TCOが高い程、空気流通路3に流入する空気のうちの内気の割合である内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパ26を制御する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の車室内を空調するヒートポンプ方式の空気調和装置、特にハイブリッド自動車や電気自動車に好適な車両用空気調和装置に関するものである。
近年の環境問題の顕在化から、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱する放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却する吸熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させる室外熱交換器を備え、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を室外熱交換器において吸熱させる暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を吸熱器において吸熱させる除湿モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器において放熱させ、吸熱器において吸熱させる冷房モードを切り換え可能としたものが開発される。
更に、上記除湿モードとしては除湿暖房モードと除湿冷房モードを設け、除湿暖房モードでは、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を吸熱器及び室外熱交換器において吸熱させ、除湿冷房モードでは、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器及び室外熱交換器において放熱させ、吸熱器において吸熱させるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−94673号公報
ここで、このように除湿モード(除湿暖房モード及び除湿冷房モード)では、放熱器で空気を加熱し、暖房を行いながら吸熱器では空気を冷却し、冷房を行っているため、暖房能力と冷房能力の双方を両立させることが重要であり、例えば必要とされる暖房能力が不足するようになったときには、電気ヒータ(補助ヒータ)等を設けてそれに通電し、発熱させていたため、消費電力が増大し、COP(成績係数)が低下してしまう問題があった。
一方、除湿モードにおいて、例えば外気温度が低い環境条件では、空気流通路に導入される外気によって吸熱器の温度は下がり易くなるが、放熱器の温度は上がり難くなる。他方、外気温度が高い環境条件では、導入される外気によって放熱器の温度は上がり易くなるが、吸熱器の温度は下がり難くなる。従って、吸込切換ダンパによって空気流通路に流入する空気のうちの内気率を調整することが、除湿モードにおける暖房能力と冷房能力の実現に極めて重要なこととなる。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、空気流通路の内気率を適切に制御することで、除湿モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性を向上させた車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、空気流通路に流入する外気と車室内の空気である内気の比率を調整可能な吸込切換ダンパと、制御装置とを備え、この制御装置が少なくとも、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿モードを実行するものであって、制御装置は、放熱器の目標温度である目標ヒータ温度TCOが高い程、空気流通路に流入する空気のうちの内気の割合である内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパを制御する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行することを特徴とする。
請求項2の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、除湿時吸込切換ダンパ制御においては、外気温度が低い程、内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパを制御することを特徴とする。
請求項3の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、空気流通路に流入する外気と車室内の空気である内気の比率を調整可能な吸込切換ダンパと、制御装置とを備え、この制御装置が少なくとも、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿モードを実行するものであって、制御装置は、必要とされる暖房能力を実現することができないが、必要とされる冷房能力は実現することができている場合、放熱器の温度Thpを、その目標値である目標ヒータ温度TCOとする方向で、吸込切換ダンパにより空気流通路に流入する空気のうちの内気の割合である内気率RECrateを制御する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行することを特徴とする。
請求項4の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、吸熱器の温度である吸熱器温度Teに基づいて圧縮機の運転を制御し、若しくは、吸熱器温度Teに基づいて圧縮機の運転を制御する状態を有すると共に、吸熱器温度Teに基づいて圧縮機の運転を制御している場合、除湿時吸込切換ダンパ制御においては、吸熱器温度Teの目標値である目標吸熱器温度TEOを低下させることにより、圧縮機の能力を増大させることを特徴とする。
請求項5の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、除湿時吸込切換ダンパ制御において、吸熱器温度Teが制御上の下限値まで低下しており、且つ、必要とされる暖房能力を実現することができない場合、内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパを制御することを特徴とする。
請求項6の発明の車両用空気調和装置は、請求項3乃至請求項5の発明において制御装置は、必要とされる暖房能力を実現することができているが、必要とされる冷房能力は実現することができない場合、除湿時吸込切換ダンパ制御においては、吸熱器温度Teを、その目標値である目標吸熱器温度TEOとする方向で、吸込切換ダンパにより内気率RECrateを制御することを特徴とする。
請求項7の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、必要とされる冷房能力を実現することができない場合、内気率RECrateを低くする方向で吸込切換ダンパを制御することを特徴とする。
請求項8の発明の車両用空気調和装置は、請求項3乃至請求項7の発明において放熱器の温度Thpは、当該放熱器の風下側の空気温度であることを特徴とする。
請求項9の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において車室外に設けられた室外熱交換器を備え、除湿モードは、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器及び吸熱器にて吸熱させる除湿暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器及び室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿冷房モードを含み、制御装置はそれらを切り換えて実行すると共に、制御装置は、除湿暖房モードにおいて、放熱器の圧力である放熱器圧力PCIに基づいて算出された圧縮機の目標回転数TGNChと、吸熱器温度Teに基づいて算出された圧縮機の目標回転数TGNCcのうちの小さい方を選択して圧縮機の運転を制御し、除湿冷房モードにおいては、吸熱器温度Teに基づいて算出された圧縮機の目標回転数TGNCcにより圧縮機の運転を制御することを特徴とする。
請求項10の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させる暖房モードと、除湿暖房モードと、除湿冷房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる冷房モードの各運転モードを有し、これら運転モードを切り換えて実行することを特徴とする。
請求項11の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において制御装置は、外気温度が車室内の設定温度より高い場合、又は、外気温度が車室内の空気温度より高い場合、除湿時吸込切換ダンパ制御を実行しないことを特徴とする。
請求項12の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において除湿時吸込切換ダンパ制御での内気率RECrateには、車両のフロントガラスの曇り防止要求、及び/又は、車室内の二酸化炭素濃度に基づく所定の制限値が設けられることを特徴とする。
冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、空気流通路に流入する外気と車室内の空気である内気の比率を調整可能な吸込切換ダンパと、制御装置とを備え、この制御装置が少なくとも、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿モードを実行する車両用空気調和装置においては、外気温度が車室内の設定温度や車室内の空気温度以下のときは、空気流通路に流入する空気のうちの内気の割合である内気率RECrateを高くし、外気の割合を低くした方が、放熱器の目標温度である目標ヒータ温度TCOを実現し易くなる。
そこで、請求項1の発明の如く制御装置が、目標ヒータ温度TCOが高い程、内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパを制御する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行するようにすれば、目標ヒータ温度TCOを実現し易くなり、除湿モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性を向上させて除湿モードの実行可能性を広げることができるようになる。これにより、省エネ性と車室内の快適性も向上させることが可能となるものである。
この場合、請求項2の発明の如く制御装置が、除湿時吸込切換ダンパ制御においては外気温度が低い程、内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパを制御するようにすれば、より一層目標ヒータ温度TCOを達成し易くして除湿モードの実行可能性を拡大することができるようになる。
また、外気温度が車室内の設定温度や車室内の空気温度以下のときの除湿モードにおいて、必要とされる暖房能力を実現することができないが、必要とされる冷房能力は実現することができている場合には、請求項3の発明の如く制御装置が放熱器の温度Thpを、その目標値である目標ヒータ温度TCOとする方向で、吸込切換ダンパにより内気率RECrateを制御する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行するようにしても、内気率RECrateにより放熱器の温度Thpを目標ヒータ温度TCOにし易くして、除湿モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性を向上させ、除湿モードの実行可能性を広げることができるようになる。これにより、同様に省エネ性と車室内の快適性も向上させることが可能となるものである。
ここで、請求項4の発明の如く制御装置が、吸熱器の温度である吸熱器温度Teに基づいて圧縮機の運転を制御し、若しくは、吸熱器温度Teに基づいて圧縮機の運転を制御する状態を有する場合には、吸熱器温度Teに基づいて圧縮機の運転を制御しているとき、除湿時吸込切換ダンパ制御においては、吸熱器温度Teの目標値である目標吸熱器温度TEOを低下させることにより、圧縮機の能力を増大させるようにすれば、吸熱器温度Teを的確に制御しながら、圧縮機の能力を増大させて放熱器による暖房能力を増大させ、除湿モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性をより一層向上させることができるようになる。
また、請求項5の発明の如く制御装置が、除湿時吸込切換ダンパ制御において、吸熱器温度Teが制御上の下限値まで低下しており、且つ、必要とされる暖房能力を実現することができない場合、内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパを制御するようにすれば、圧縮機の能力をそれ以上増大させることができない状況において、内気率RECrateにより放熱器の温度Thpを目標ヒータ温度TCOにし易くして、除湿モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性を効果的に向上させることができるようになる。
一方、外気温度が車室内の設定温度や車室内の空気温度以下のときの除湿モードにおいて、必要とされる暖房能力を実現することができているが、必要とされる冷房能力は実現することができない場合は、請求項6の発明の如く制御装置が、除湿時吸込切換ダンパ制御においては、吸熱器温度Teを、その目標値である目標吸熱器温度TEOとする方向で、吸込切換ダンパにより内気率RECrateを制御することで、内気率RECrateにより吸熱器温度Teを目標吸熱器温度TEOにし易くすることができるようになる。これにより、冷房能力を実現することができない状況でも、除湿モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性を向上させ、除湿モードの実行可能性を広げることができるようになる。
特に、請求項7の発明の如く制御装置が、必要とされる冷房能力を実現することができない場合、内気率RECrateを低くする方向で吸込切換ダンパを制御することで、内気率RECrateにより適切に冷房能力の実現を促進することができるようになる。
また、請求項8の発明の如く放熱器の温度Thpを、当該放熱器の風下側の空気温度とすることで、制御性が良好となる。
更に、車室外に設けられた室外熱交換器を備え、除湿モードが、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器及び吸熱器にて吸熱させる除湿暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器及び室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿冷房モードを含み、制御装置はそれらを切り換えて実行する場合には、請求項9の発明の如く制御装置が、除湿冷房モードにおいては、吸熱器温度Teに基づいて算出された圧縮機の目標回転数TGNCcにより圧縮機の運転を制御するようにすれば、圧縮機の運転制御で必要な冷房能力を実現することができるようになる。
他方、除湿暖房モードにおいては、放熱器の圧力である放熱器圧力PCIに基づいて算出された圧縮機の目標回転数TGNChと、吸熱器温度Teに基づいて算出された圧縮機の目標回転数TGNCcのうちの小さい方を選択して圧縮機の運転を制御するようにすれば、例えば外気温度が低いときは目標回転数TGNCcを選択し、圧縮機の運転制御で必要な冷房能力を実現することができるようになり、外気温度が高いときには目標回転数TGNChを選択し、高圧が上がり過ぎてしまう不都合を解消することができるようになる。
そして、上記発明は請求項10の発明の如く制御装置が、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させる暖房モードと、除湿暖房モードと、除湿冷房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる冷房モードの各運転モードを有し、これら運転モードを切り換えて実行する車両用空気調和装置において極めて好適となる。
尚、外気温度が車室内の設定温度より高い場合、又は、車室内の空気温度より高い場合は、請求項11の発明の如く除湿時吸込切換ダンパ制御を実行しない。また、内気率RECrateの制御は車両のフロントガラスの曇りや車室内の二酸化炭素濃度に影響することになるため、請求項12の発明の如く除湿時吸込切換ダンパ制御での内気率RECrateには、車両のフロントガラスの曇り防止要求や、車室内の二酸化炭素濃度に基づく所定の制限値を設けることで、これらに関する不都合の発生を未然に回避することができるようになる。
本発明を適用した一実施形態の車両用空気調和装置の構成図(暖房モード)である。 図1の車両用空気調和装置の制御装置の電気回路のブロック図である。 図2の制御装置のヒートポンプコントローラによる除湿暖房モードを説明する車両用空気調和装置の構成図である。 図2の制御装置のヒートポンプコントローラによる除湿冷房モードを説明する車両用空気調和装置の構成図である。 図2の制御装置のヒートポンプコントローラによる冷房モードを説明する車両用空気調和装置の構成図である。 図1の車両用空気調和装置の空気流通路部分の拡大図である。 図2の制御装置のヒートポンプコントローラの圧縮機制御に関する制御ブロック図である。 図2の制御装置のヒートポンプコントローラの圧縮機制御に関するもう一つの制御ブロック図である。 図2の制御装置のヒートポンプコントローラによる除湿暖房モードでの圧縮機目標回転数の決定に関する制御ブロック図である。 図2の制御装置のヒートポンプコントローラによる運転モードの切換制御を説明する図である。 図2の制御装置のヒートポンプコントローラによる除湿時吸込切換ダンパ制御に関するフローチャートである(実施例1)。 図11の除湿時吸込切換ダンパ制御に使用する内気率マップを説明する図である。 図2の制御装置のヒートポンプコントローラによるもう一つの除湿時吸込切換ダンパ制御に関するフローチャートである(実施例2)。 図13の除湿時吸込切換ダンパ制御における目標吸熱器温度TEOの制御に関する制御ブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態の車両用空気調和装置1の構成図を示している。本発明を適用する実施例の車両は、エンジン(内燃機関)が搭載されていない電気自動車(EV)であって、車両に搭載されたバッテリに充電された電力を走行用の電動モータ(何れも図示せず)に供給することで駆動し、走行するものであり、本発明の車両用空気調和装置1も、バッテリの電力で駆動されるものとする。
即ち、実施例の車両用空気調和装置1は、エンジン廃熱による暖房ができない電気自動車において、冷媒回路Rを用いたヒートポンプ運転により暖房モード、除湿モード、冷房モード、及び、補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換えて実行することで車室内の空調を行い、更に、上述する室外熱交換器7の除霜を行う除霜モードも有しているものである。また、実施例の車両用空気調和装置1は上記除湿モードとして、除湿暖房モードと除湿冷房モードの二種類を有している。
尚、車両として電気自動車に限らず、エンジンと走行用の電動モータを供用する所謂ハイブリッド自動車にも本発明は有効であり、更には、エンジンで走行する通常の自動車にも適用可能であることは云うまでもない。
実施例の車両用空気調和装置1は、電気自動車の車室内の空調(暖房、冷房、除湿、及び、換気)を行うものであり、冷媒を圧縮する電動式の圧縮機2と、車室内空気が通気循環されるHVACユニット10の空気流通路3内に設けられ、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒が冷媒配管13Gを介して流入し、この冷媒を車室内に放熱させる放熱器4と、暖房時に冷媒を減圧膨張させる電動弁(電子膨張弁)から成る室外膨張弁6と、冷房時には冷媒を放熱させる放熱器として機能し、暖房時には冷媒を吸熱させる蒸発器として機能すべく冷媒と外気との間で熱交換を行わせる室外熱交換器7と、冷媒を減圧膨張させる機械式膨張弁から成る室内膨張弁8と、空気流通路3内に設けられて冷房時及び除湿時に車室内外から冷媒に吸熱させる吸熱器9と、アキュムレータ12等が冷媒配管13により順次接続され、冷媒回路Rが構成されている。
そして、室外膨張弁6は放熱器4から出て室外熱交換器7に流入する冷媒を減圧膨張させると共に、全閉も可能とされている。また、実施例では機械式膨張弁が使用された室内膨張弁8は、吸熱器9に流入する冷媒を減圧膨張させると共に、吸熱器9における冷媒の過熱度を調整する。
尚、室外熱交換器7には、室外送風機15が設けられている。この室外送風機15は、室外熱交換器7に外気を強制的に通風することにより、外気と冷媒とを熱交換させるものであり、これにより停車中(即ち、車速が0km/h)にも室外熱交換器7に外気が通風されるよう構成されている。
また、室外熱交換器7は冷媒下流側にレシーバドライヤ部14と過冷却部16を順次有し、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは、吸熱器9に冷媒を流す際に開放される開閉弁としての電磁弁17(冷房用)を介してレシーバドライヤ部14に接続され、過冷却部16の出口側の冷媒配管13Bは逆止弁18、及び、室内膨張弁8を順次介して吸熱器9の入口側に接続されている。尚、レシーバドライヤ部14及び過冷却部16は構造的に室外熱交換器7の一部を構成している。また、逆止弁18は室内膨張弁8の方向が順方向とされている。
過冷却部16と逆止弁18間の冷媒配管13Bは、吸熱器9の出口側の冷媒配管13Cと熱交換関係に設けられ、両者で内部熱交換器19を構成している。これにより、冷媒配管13Bを経て室内膨張弁8に流入する冷媒は、吸熱器9を出た低温の冷媒により冷却(過冷却)される構成とされている。
また、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷媒配管13Dに分岐しており、この分岐した冷媒配管13Dは、暖房時に開放される開閉弁としての電磁弁21(暖房用)を介して内部熱交換器19の下流側における冷媒配管13Cに連通接続されている。この冷媒配管13Cがアキュムレータ12に接続され、アキュムレータ12は圧縮機2の冷媒吸込側に接続されている。
更に、放熱器4の出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6の手前(冷媒上流側)で冷媒配管13Jと冷媒配管13Fに分岐しており、分岐した一方の冷媒配管13Jが室外膨張弁6を介して室外熱交換器7の冷媒入口側に接続されている。また、分岐した他方の冷媒配管13Fは除湿時に開放される開閉弁としての電磁弁22(除湿用)を介し、逆止弁18の冷媒下流側であって、室内膨張弁8の冷媒上流側に位置する冷媒配管13Bに連通接続されている。
これにより、冷媒配管13Fは室外膨張弁6、室外熱交換器7及び逆止弁18の直列回路に対して並列に接続されたかたちとなり、室外膨張弁6、室外熱交換器7及び逆止弁18をバイパスするバイパス回路となる。また、室外膨張弁6にはバイパス用の開閉弁としての電磁弁20が並列に接続されている。
また、吸熱器9の空気上流側における空気流通路3には、外気吸込口25Aと内気吸込口25Bの各吸込口が形成されており、外気吸込口25Aからは車室外の空気である外気が導入され、内気吸込口25Bからは車室内の空気である内気が吸い込まれる構成とされている。更に、空気流通路3には吸込切換ダンパ26が設けられ、この吸込切換ダンパ26の空気下流側には、各吸込口25A、25Bから吸い込まれた外気や内気を空気流通路3に送給するための室内送風機(ブロワファン)27が設けられている。
上記吸込切換ダンパ26は、外気吸込口25Aと内気吸込口25Bを任意の比率で開閉することにより、空気流通路3の吸熱器9に流入する空気(外気と内気)のうちの内気の比率を0〜100%の間で調整することができるように構成されている。逆に云えば、吸込切換ダンパ26は、外気の比率も100%〜0%の間で調整可能である。
尚、本出願では吸込切換ダンパ26により調整される空気の総量(外気と内気を合わせた総量)に対する内気の比率を内気率RECrateと称し、この内気率RECrate=1のときに内気が100%、外気が0%の内気循環モードとなり、内気率RECrate=0のときに外気が100%、内気が0%の外気導入モードとなる。そして、0<内気率RECrate<1のときに0%<内気<100%、且つ、100%>外気>0%の内外気中間位置となる。即ち、本出願において内気率RECrateは空気流通路3の吸熱器9に流入する全体の空気のうちの内気の割合を意味する。
この吸込切換ダンパ26は後述する空調コントローラ45により制御され、後述するオートモード或いは空調操作部53へのマニュアル操作(マニュアルモード)によって上記内気循環モード、外気導入モード及び内外気中間位置が選択される。この場合、通常ではクールダウン時等の冷房負荷が大きいときや市街地等の外気臭が気になるときに内気循環モードとされ、換気が必要なときや暖房時の窓曇り防止を行うときにデフロスタスイッチ(後述する空調操作部53に設けられる)との連動等で外気導入モードが選択される。また、暖房時の暖房負荷の低減と窓曇り防止の両立を行うときに内外気中間位置が選択される。
更に、後述するヒートポンプコントローラ32による除湿時吸込切換ダンパ制御では、ヒートポンプコントローラ32から吸込切換ダンパ26の制御要求が空調コントローラ45に送信されるので、ヒートポンプコントローラ32からの係る制御要求を受信した場合には、空調コントローラ45はこのヒートポンプコントローラ32からの制御要求に基づいて吸込切換ダンパ26を制御することになる。
また、放熱器4の風下側(空気下流側)における空気流通路3内には、実施例ではPTCヒータ(電気ヒータ)から成る補助加熱装置としての補助ヒータ23が設けられ、放熱器4を経て車室内に供給される空気を加熱することが可能とされている。更に、放熱器4の空気上流側における空気流通路3内には、当該空気流通路3内に流入し、吸熱器9を通過した後の空気流通路3内の空気(内気や外気)を放熱器4及び補助ヒータ23に通風する割合を調整するエアミックスダンパ28が設けられている。
更にまた、放熱器4の空気下流側における空気流通路3には、FOOT(フット)、VENT(ベント)、DEF(デフ)の各吹出口(図1では代表して吹出口29で示す)が形成されており、この吹出口29には上記各吹出口から空気の吹き出しを切換制御する吹出口切換ダンパ31が設けられている。
次に、図2は実施例の車両用空気調和装置1の制御装置11のブロック図を示している。制御装置11は、何れもプロセッサを備えたコンピュータの一例であるマイクロコンピュータから構成された空調コントローラ45及びヒートポンプコントローラ32から構成されており、これらがCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)を構成する車両通信バス65に接続されている。また、圧縮機2と補助ヒータ23も車両通信バス65に接続され、これら空調コントローラ45、ヒートポンプコントローラ32、圧縮機2及び補助ヒータ23が車両通信バス65を介してデータの送受信を行うように構成されている。
空調コントローラ45は、車両の車室内空調の制御を司る上位のコントローラであり、この空調コントローラ45の入力には、車両の外気温度Tamを検出する外気温度センサ33と、吸込口25から空気流通路3に吸い込まれて吸熱器9に流入する空気の温度(吸込空気温度Tas)を検出するHVAC吸込温度センサ36と、車室内の空気(内気)温度(内気温度Tin)を検出する内気温度センサ37と、車室内の空気の湿度を検出する内気湿度センサ38と、車室内の二酸化炭素濃度を検出する室内CO2濃度センサ39と、車室内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度センサ41と、圧縮機2の吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力センサ42と、車室内への日射量を検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ51と、車両の移動速度(車速)を検出するための車速センサ52の各出力と、車室内の設定温度Tsetや運転モードの切り換え等の車室内の空調設定操作を行うための空調操作部53(エアコン操作部)が接続されている。
また、空調コントローラ45の出力には、室外送風機15と、室内送風機(ブロワファン)27と、吸込切換ダンパ26と、エアミックスダンパ28と、吹出口切換ダンパ31とが接続され、それらは空調コントローラ45により制御される。
ヒートポンプコントローラ32は、主に冷媒回路Rの制御を司るコントローラであり、このヒートポンプコントローラ32の入力には、圧縮機2の吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度センサ43と、圧縮機2の吸込冷媒圧力Psを検出する吸込圧力センサ44と、圧縮機2の吸込冷媒温度Tsを検出する吸込温度センサ55と、放熱器4の冷媒入口側の冷媒温度(放熱器入口温度TCIin)を検出する放熱器入口温度センサ46Aと、放熱器4の冷媒出口側の冷媒温度(放熱器出口温度TCIout)を検出する放熱器出口温度センサ46Bと、放熱器4の冷媒出口側の冷媒圧力(放熱器4の圧力:放熱器圧力PCI)を検出する放熱器出口圧力センサ47と、吸熱器9の温度(吸熱器9の冷媒温度:吸熱器温度Te)を検出する吸熱器温度センサ48と、吸熱器9の冷媒圧力を検出する吸熱器圧力センサ49と、補助ヒータ23の温度(補助ヒータ温度Theat)を検出する補助ヒータ温度センサ50と、室外熱交換器7の出口の冷媒温度(室外熱交換器7の冷媒蒸発温度TXO、室外熱交換器温度TXO)を検出する室外熱交換器温度センサ54と、室外熱交換器7の出口の冷媒圧力(室外熱交換器7の冷媒蒸発圧力PXO、室外熱交換器圧力PXO)を検出する室外熱交換器圧力センサ56の各出力が接続されている。
尚、補助ヒータ温度センサ50は、補助ヒータ23の風下側(直後)の空気温度を検出するものでも、補助ヒータ23自体の温度を検出するものでもよいが、制御性を良好とするためには、補助ヒータ23の風下側の空気温度の方が好適である。そこで、この実施例では補助ヒータ温度センサ50は、補助ヒータ23の風下側に少許離間して設けられ、補助ヒータ23の風下側(直後)の空気温度を検出するものとし、補助ヒータ23の温度である補助ヒータ温度Theatとしては、補助ヒータ23の風下側の空気温度を採用している。
また、ヒートポンプコントローラ32の出力には、室外膨張弁6、電磁弁22(除湿用)、電磁弁17(冷房用)、電磁弁21(暖房用)、電磁弁20(バイパス用)の各電磁弁が接続され、それらはヒートポンプコントローラ32により制御される。尚、圧縮機2と補助ヒータ23はそれぞれコントローラを内蔵しており、圧縮機2と補助ヒータ23のコントローラは車両通信バス65を介してヒートポンプコントローラ32とデータの送受信を行い、このヒートポンプコントローラ32によって制御される。
ヒートポンプコントローラ32と空調コントローラ45は車両通信バス65を介して相互にデータの送受信を行い、各センサの出力や空調操作部53にて入力された設定に基づき、各機器を制御するものであるが、この場合の実施例では外気温度センサ33、HVAC吸込温度センサ36、内気温度センサ37、内気湿度センサ38、室内CO2濃度センサ39、吹出温度センサ41、吐出圧力センサ42、日射センサ51、車速センサ52、空気流通路3に流入して当該空気流通路3内を流通する空気の風量Ga(空調コントローラ45が算出)、エアミックスダンパ28による風量割合SW(空調コントローラ45が算出)、空調操作部53の出力は空調コントローラ45から車両通信バス65を介してヒートポンプコントローラ32に送信され、ヒートポンプコントローラ32による制御に供される構成とされている。
また、ヒートポンプコントローラ32からも冷媒回路Rの制御に関するデータが車両通信バス65を介して空調コントローラ45に送信されるが、前述した如く吸込切換ダンパ26の制御要求も車両通信バス65を介して空調コントローラ45に送信される。尚、上記エアミックスダンパ28による風量割合SWは、0≦SW≦1の範囲で空調コントローラ45が算出する。そして、SW=1のときはエアミックスダンパ28により、吸熱器9を経た空気の全てが放熱器4及び補助ヒータ23に通風されることになる。
以上の構成で、次に実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。この実施例では制御装置11(空調コントローラ45、ヒートポンプコントローラ32)は、暖房モードと、除湿暖房モード(除湿モードの一つ)と、除湿冷房モード(もう一つの除湿モード)と、冷房モードと、補助ヒータ単独モードの各空調モードを切り換えて実行すると共に、室外熱交換器7を除霜する除霜モードも実行するように構成されている。
(1)暖房モード
先ず、図1を参照しながら暖房モードについて説明する。図1には暖房モードにおける冷媒回路Rの冷媒の流れ(実線矢印)を示している。ヒートポンプコントローラ32により(オートモード)或いは空調コントローラ45の空調操作部53へのマニュアルの空調設定操作(マニュアルモード)により暖房モードが選択されると、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁21を開き、電磁弁17、電磁弁20、電磁弁22は閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4及び補助ヒータ23に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した冷媒は放熱器4を出た後、冷媒配管13E、13Jを経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる(吸熱)。即ち、冷媒回路Rがヒートポンプとなる。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A及び冷媒配管13D、電磁弁21を経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。放熱器4にて加熱された空気は吹出口29から吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は、車室内に吹き出される空気の目標温度(車室内に吹き出される空気の温度の目標値)である後述する目標吹出温度TAOから算出される目標ヒータ温度TCO(後述するヒータ温度Thpの目標値。放熱器4の目標温度)から目標放熱器圧力PCOを算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器出口圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCI(冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数を制御すると共に、放熱器出口温度センサ46Aが検出する放熱器4の冷媒出口側の温度TCIout及び放熱器出口圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度を制御する。
また、ヒートポンプコントローラ32は、必要とされる暖房能力に対して放熱器4による暖房能力(加熱能力)が不足する場合、この不足する分を補助ヒータ23の発熱で補完する。これにより、低外気温時等にも車室内を支障無く暖房する。
(2)除湿暖房モード(除湿モード)
次に、図3を参照しながら除湿モードの一つである除湿暖房モードについて説明する。図3は除湿暖房モードにおける冷媒回路Rの冷媒の流れ(実線矢印)を示している。除湿暖房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁21、及び、電磁弁22を開き、電磁弁17、電磁弁20は閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4及び補助ヒータ23に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した冷媒は放熱器4を出た後、冷媒配管13Eを経て一部は冷媒配管13Jに入り、室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる(吸熱)。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A及び冷媒配管13D、電磁弁21を経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
一方、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒の残りは分流され、この分流された冷媒が電磁弁22を経て冷媒配管13Fに流入し、冷媒配管13Bに至る。次に、冷媒は室内膨張弁8に至り、この室内膨張弁8にて減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときに吸熱器9で生じる冷媒の吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は、冷媒配管13Cに出て冷媒配管13Dからの冷媒(室外熱交換器7からの冷媒)と合流した後、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4や補助ヒータ23(発熱している場合)を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は、実施例では目標ヒータ温度TCOから算出される目標放熱器圧力PCOと放熱器出口圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCI(冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数を制御するか、又は、吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数を制御する。このとき、ヒートポンプコントローラ32は放熱器圧力PCIによるか吸熱器温度Teによるか、何れかの演算から得られる圧縮機目標回転数の低い方を選択して圧縮機2を制御する。また、吸熱器温度Teに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御する。
また、ヒートポンプコントローラ32は、この除湿暖房モードにおいても必要とされる暖房能力に対して放熱器4による暖房能力(加熱能力)が不足する場合、この不足する分を補助ヒータ23の発熱で補完する。これにより、低外気温時等にも車室内を支障無く除湿暖房する。
(3)除湿冷房モード
次に、図4を参照しながらもう一つの除湿モードとしての除湿冷房モードについて説明する。図4は除湿冷房モードにおける冷媒回路Rの冷媒の流れ(実線矢印)を示している。除湿冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開き、電磁弁20、電磁弁21、及び、電磁弁22を閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4及び補助ヒータ23に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化していく。
放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13E、13Jを経て室外膨張弁6に至り、開き気味で制御される室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13A、電磁弁17、レシーバドライヤ部14、過冷却部16を経て冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19、逆止弁18を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着し、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19、冷媒配管13Cを経てアキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4や補助ヒータ23(発熱している場合)を通過する過程で再加熱(除湿暖房時よりも放熱能力は低い)されるので、これにより車室内の除湿冷房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)と吸熱器9の目標温度(吸熱器温度Teの目標値)である目標吸熱器温度TEOに基づき、吸熱器温度Teを目標吸熱器温度TEOにするように圧縮機2の回転数を制御すると共に、放熱器出口圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCI(冷媒回路Rの高圧圧力)と目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)に基づき、放熱器圧力PCIを目標放熱器圧力PCOにするように室外膨張弁6の弁開度を制御することで放熱器4による必要なリヒート量(再加熱量)を得る。
また、ヒートポンプコントローラ32は、この除湿冷房モードにおいても必要とされる暖房能力に対して放熱器4による暖房能力(再加熱能力)が不足する場合、この不足する分を補助ヒータ23の発熱で補完する。これにより、車室内の温度を下げ過ぎること無く、除湿冷房する。
(4)冷房モード
次に、図5を参照しながら冷房モードについて説明する。図5は冷房モードにおける冷媒回路Rの冷媒の流れ(実線矢印)を示している。冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17、及び、電磁弁20を開き、電磁弁21、及び、電磁弁22を閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4及び補助ヒータ23に通風される割合を調整する状態とする。尚、補助ヒータ23には通電されない。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気は通風されるものの、その割合は小さくなるので(冷房時のリヒート(再加熱)のみのため)、ここは殆ど通過するのみとなり、放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て冷媒配管13Jに至る。このとき電磁弁20は開放されているので冷媒は電磁弁20を通過し、そのまま室外熱交換器7に流入し、そこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮液化する。
室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13A、電磁弁17、レシーバドライヤ部14、過冷却部16を経て冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19、逆止弁18を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着し、空気は冷却される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19、冷媒配管13Cを経てアキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は吹出口29から車室内に吹き出されるので、これにより車室内の冷房が行われることになる。この冷房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)に基づいて圧縮機2の回転数を制御する。
(5)除霜モード
次に、室外熱交換器7の除霜モードについて説明する。前述した如く暖房モードでは、室外熱交換器7では冷媒が蒸発し、外気から吸熱して低温となるため、室外熱交換器7には外気中の水分が霜となって付着する。そこで、ヒートポンプコントローラ32は以下の如く室外熱交換器7の除霜モードを実行する。
ヒートポンプコントローラ32はこの除霜モードでは、冷媒回路Rを図1の暖房モードの状態とした上で、室外膨張弁6の弁開度を全開とし、エアミックスダンパ28は放熱器4及び補助ヒータ23に通風しない状態とする。そして、圧縮機2を運転し、当該圧縮機2から吐出された高温の冷媒を放熱器4、室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入させ、当該室外膨張弁7の着霜を融解させる。そして、ヒートポンプコントローラ32は室外熱交換器温度センサ54が検出する室外熱交換器7の温度(室外熱交換器温度TXO)が所定の除霜終了温度(例えば、+3℃等)より高くなった場合、室外熱交換器7の除霜が完了したものとし、除霜モードを終了する。
(6)補助ヒータ単独モード
尚、実施例のヒートポンプコントローラ32は室外熱交換器7に過着霜が生じた場合などに、冷媒回路Rの圧縮機2と室外送風機15を停止し、補助ヒータ23に通電してこの補助ヒータ23のみで車室内を暖房する補助ヒータ単独モードを有している。この場合、ヒートポンプコントローラ32は、補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Theatと、補助ヒータ23の目標温度(補助ヒータ温度Theatの目標値)である目標補助ヒータ温度THOに基づいて補助ヒータ23の通電(発熱)を制御する。
また、ヒートポンプコントローラ32は室内送風機27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出された空気流通路3内の空気を補助ヒータ23に通風し、風量を調整する状態とする。補助ヒータ23にて加熱された空気が吹出口29から車室内に吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
(7)ヒートポンプコントローラ32による各目標温度(目標値)/能力等の算出
次に、図6を参照しながらヒートポンプコントローラ32による各目標温度(目標値)や能力の算出について説明する。ヒートポンプコントローラ32は下記式(I)から前述した目標吹出温度TAO(吹出口29から車室内に吹き出される空気の目標温度)を算出する。
TAO=(Tset−Tin)×K+Tbal(f(Tset、SUN、Tam))
・・(I)
ここで、Tsetは空調操作部53で設定された車室内の設定温度、Tinは内気温度センサ37が検出する内気温度、Kは係数、Tbalは設定温度Tsetや、日射センサ51が検出する日射量SUN、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamから算出されるバランス値である。そして、一般的に、この目標吹出温度TAOは外気温度Tamが低い程高く、外気温度Tamが上昇するに伴って低下する。
そして、ヒートポンプコントローラ32はこの目標吹出温度TAOに基づき、下記式(II)と、式(III)を用いて前述した目標ヒータ温度TCO(ヒータ温度Thpの目標値。放熱器4の目標温度)と、目標補助ヒータ温度THO(補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Theatの目標値。補助ヒータ23の目標温度)をそれぞれ算出する。
TCO=f(TAO) ・・(II)
THO=f(TAO) ・・(III)
尚、上記各式(II)、(III)中のfは制御上の制限やオフセット等を意味しているが、式(III)中のfは式(ii)中のfとは異なるものである。
また、ヒートポンプコントローラ32は下記式(IV)を用いて放熱器4の温度としての前述したヒータ温度Thpを算出し、推定する。ここで、ヒータ温度Thpは放熱器4の風下側の空気温度でも、放熱器4自体の温度でもよいが、制御性を良好とするためには放熱器4の風下側の空気温度の方が好適である。そこで、実施例では下記式(IV)を用いて放熱器4の風下側の空気温度を算出(推定)し、これを放熱器4の温度であるヒータ温度Thpとする。
Thp=f(PCI、TCIout) ・・(IV)
尚、PCIは前述した放熱器出口圧力センサ47が検出する放熱器圧力、TCIoutは放熱器出口温度センサ46Bが検出する放熱器出口温度である。従って、目標ヒータ温度TCOは、実施例では放熱器4の風下側の空気温度(Thp)の目標値となる。
更に、ヒートポンプコントローラ32は、下記式(V)、式(VI)、式(VII)を用い、必要とされる暖房能力である目標暖房能力TGQ(kW)と、放熱器4の最大暖房能力の予測値であるHP暖房能力予測値Qmax(kW)と、放熱器4が実際に発生する暖房能力であるHP暖房能力実測値Qhp(kW)をそれぞれ算出する。
TGQ=f((THO−Te)、Ga、係数) ・・(V)
Qmax=f(Tam、Ga、NC) ・・(VI)
Qhp=f((Thp−Te)、Ga、係数) ・・(VII)
尚、THOは目標補助ヒータ温度、Teは吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器温度、Gaは空気流通路3内を流通する空気の風量(m3/s)、Tamは外気温度センサ33が検出する外気温度、NCは圧縮機2の回転数、Thpはヒータ温度である。
更に、ヒートポンプコントローラ32は、下記式(VIII)、式(IX)を用いて目標暖房能力TGQとHP暖房能力予測値Qmaxとの差ΔQmaxと、目標暖房能力TGQとHP暖房能力実測値Qhpとの差ΔQhpを算出する。
ΔQmax=TGQ−Qmax ・・(VIII)
ΔQhp=TGQ−Qhp ・・(IX)
尚、放熱器4と補助ヒータ23が実際に発生する全体の暖房能力は、全体能力Qtotal(kW)となる。また、実施例では補助ヒータ23が放熱器4の風下側(空気下流側)の空気流通路3内に設けられている関係上、補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Theatは、吸熱器9と放熱器4と補助ヒータ23を経た空気流通路3内の空気の温度を示すことになる。
(8)除湿暖房モードでのヒートポンプコントローラ32による圧縮機2の制御
前述した如くこの実施例の除湿暖房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は放熱器圧力PCIによるか吸熱器温度Teによるか、何れかの演算から得られる圧縮機目標回転数の低い方を選択して圧縮機2を制御するものであるが、次に係る圧縮機目標回転数の切換制御について詳述する。
(8−1)放熱器圧力PCIに基づく圧縮機目標回転数TGNChの算出
先ず、図7を用いて放熱器圧力PCIに基づく圧縮機2の制御について詳述する。図7は放熱器圧力PCIに基づいて圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNChを算出するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である(暖房モードも同じ)。ヒートポンプコントローラ32のF/F(フィードフォワード)操作量演算部58は外気温度センサ33から得られる外気温度Tamと、室内送風機27のブロワ電圧BLVと、SW=(TAO−Te)/(Thp−Te)で得られるエアミックスダンパ28による風量割合SWと、放熱器4の出口における過冷却度SCの目標値である目標過冷却度TGSCと、ヒータ温度Thpの目標値である前述した目標ヒータ温度TCOと、放熱器4の圧力の目標値である目標放熱器圧力PCOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNChffを算出する。
前記目標放熱器圧力PCOは上記目標過冷却度TGSCと目標ヒータ温度TCOに基づいて目標値演算部59が算出する。更に、F/B(フィードバック)操作量演算部60はこの目標放熱器圧力PCOと放熱器4の圧力である放熱器圧力PCIに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNChfbを算出する。そして、F/F操作量演算部58が算出したF/F操作量TGNCnffとF/B操作量演算部60が算出したTGNChfbは加算器61で加算され、リミット設定部62で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後、圧縮機目標回転数TGNChとして決定される。この圧縮機目標回転数TGNChが放熱器圧力PCIに基づいて算出された圧縮機2の目標回転数である。
(8−2)吸熱器温度Teに基づく圧縮機目標回転数TGNCcの算出
次に、図8を用いて吸熱器温度Teに基づく圧縮機2の制御について詳述する。図8は吸熱器温度Teに基づいて圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNCcを算出するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である(除湿冷房モード、冷房モードも同じ)。ヒートポンプコントローラ32のF/F操作量演算部63は外気温度Tamと、室内送風機27のブロワ電圧BLVと、吸熱器温度Teの目標値である目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNCcffを算出する。
また、F/B操作量演算部64は目標吸熱器温度TEOと吸熱器温度Teに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNCcfbを算出する。そして、F/F操作量演算部63が算出したF/F操作量TGNCcffとF/B操作量演算部64が算出したF/B操作量TGNCcfbは加算器66で加算され、リミット設定部67で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後、圧縮機目標回転数TGNCcとして決定される。この圧縮機目標回転数TGNCcが吸熱器温度Teに基づいて算出された圧縮機2の目標回転数である。
(8−3)圧縮機目標回転数TGNCの決定
そして、この実施例の除湿暖房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は図9で示すように、図7の制御ブロック図で放熱器圧力PCIに基づいて算出された圧縮機目標回転数TGNChと図8の制御ブロック図で吸熱器温度Teに基づいて算出された圧縮機目標回転数TGNCcを比較部68で比較し、それらのうちの小さい方を選択して圧縮機目標回転数TGNCに決定し、選択されたこの圧縮機目標回転数TGNCに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
このように、放熱器圧力PCIに基づいて算出された圧縮機目標回転数TGNChと、吸熱器温度Teに基づいて算出された圧縮機目標回転数TGNCcのうちの小さい方を選択して圧縮機2の運転を制御することにより、例えば外気温度Tamが低い環境条件では圧縮機目標回転数TGNCcが比較的小さくなるためそれが選択され、圧縮機2の運転制御で吸熱器温度Teをその目標値である目標吸熱器温度TEOに制御し、圧縮機2の運転制御で必要な冷房能力を実現することができるようになる。一方、外気温度Tamが高い環境条件では圧縮機目標回転数TGNChが比較的小さくなるためにそれが選択されるようになるので、放熱器圧力PCI(高圧)により圧縮機2の運転が制御され、冷媒回路Rの高圧圧力が上がり過ぎてしまう不都合が解消されることになる。
(9)運転モードの切換制御
次に、図10を参照しながらヒートポンプコントローラ32による上記暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード間での運転モードの切換制御について説明する。実施例のヒートポンプコントローラ32は、外気温度Tamや目標吹出温度TAO、ヒータ温度Thp、目標ヒータ温度TCO、補助ヒータ温度Theat、目標補助ヒータ温度THO、吸熱器温度Te、目標吸熱器温度TEO、車室内の除湿要求の有無、等のパラメータに基づいて暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モードの各運転モードの切り換えを行うことで、環境条件や車室内の除湿の要否に応じて的確にこれら運転モードの切り換えを行い、車室内に吹き出される空気の温度を目標吹出温度TAOに制御し、快適且つ効率的な車室内空調を実現する。
(9−1)暖房モードと除湿暖房モードの間の切換制御
ヒートポンプコントローラ32は、暖房モードを実行しているときに、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamが所定の低外気温では無く、且つ、車室内の除湿が必要となった場合、除湿暖房モードに移行する。逆に、この除湿暖房モードを実行しているときに、外気温度Tamが所定の低外気温になった場合、又は、除湿が不要となった場合、暖房モードに移行する。
(9−2)暖房モードと冷房モード/除湿冷房モードの間の切換制御
ヒートポンプコントローラ32は、暖房モードを実行しているときに、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamが、実施例では目標ヒータ温度TCOより高くなって暖房が不要となり、且つ、車室内の除湿が必要となった場合、冷房モードか除湿冷房モードに移行する。この場合、実施例では目標ヒータ温度TCOと外気温度Tamの差(TCO−Tam)が0deg以上の場合、除湿冷房モードに移行し、目標ヒータ温度TCOと外気温度Tamの差(TCO−Tam)が0degより低い場合は、冷房モードに移行する。逆に、冷房モード又は除湿冷房モードを実行しているときに、外気温度Tamが所定の低外気温になった場合、又は、車室内の除湿が不要となった場合、暖房モードに移行する。
(9−3)冷房モードと除湿冷房モードの間の切換制御
ヒートポンプコントローラ32は、除湿冷房モードを実行しているときに、実施例では補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Theatが目標ヒータ温度TCO以上となり(TCO≦Theat)、補助ヒータ温度Theatが成立して暖房が不要となった場合、冷房モードに移行する。逆に、冷房モードを実行しているときに、実施例では補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Theatが目標ヒータ温度TCOより低くなり(TCO>Theat)、補助ヒータ温度Theatが不成立となって暖房が必要となった場合、除湿冷房モードに移行する。
(9−4)除湿暖房モードと除湿冷房モード間の切換制御
ヒートポンプコントローラ32は、除湿暖房モードで運転しているときに、例えば吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器温度Teが目標吸熱器温度TEO+αより高くなった場合(Te>(TEO+α))、吸熱器9において必要とされる冷房能力を実現することができなくなったものと判断して(吸熱器温度Te不成立)、除湿冷房モードに移行する。尚、αは制御安定化するための所定の余裕度(ヒステリシス)であり、制御上必要が無い場合には0でもよい。α=0の場合には上記はTe>TEOで判断することになる(以下、同様)。また、ヒートポンプコントローラ32は除湿冷房モードで運転中、必要とされる暖房能力を実現することができなくなった場合、補助ヒータ23を発熱させて暖房補助(再加熱補助)を行い、必要な暖房能力を実現して車室内の温度低下を防止する。
また、ヒートポンプコントローラ32は、除湿冷房モードで運転中、所定の除湿暖房移行条件が成立した場合、除湿暖房モードに移行する。この除湿暖房移行条件は、除湿冷房モードで運転中、そのときの環境条件及び/又は運転状況に基づき、除湿暖房モードとしても放熱器4において必要とされる暖房能力を実現することができ、且つ、吸熱器9において必要とされる冷房能力を実現することができるようになったことである。より具体的には、除湿暖房モードでの放熱器4による放熱でヒータ温度Thpの目標値(放熱器4の目標温度)である目標ヒータ温度TCOを実現することができ、且つ、吸熱器9による吸熱で目標吸熱器温度TEOを実現することができるようになったことである。
従って、実施例のヒートポンプコントローラ32は、除湿冷房モードで運転中、そのときの環境条件や運転状況から、除湿暖房モードに移行した場合にも、放熱器4による放熱でヒータ温度Thpの目標値(放熱器4の目標温度)である目標ヒータ温度TCOを実現することができ、且つ、吸熱器9による吸熱で目標吸熱器温度TEOを実現することができるようになったと判断した場合、除湿暖房モードに移行する。また、ヒートポンプコントローラ32は、この除湿暖房モードで運転中、除湿が必要な状況において、必要とされる暖房能力を実現することができなくなった場合、補助ヒータ23を発熱させて暖房補助を行い、必要な暖房能力を実現して車室内の温度低下を防止する。
(10)ヒートポンプコントローラ32による除湿時吸込切換ダンパ制御(その1)
次に、図11及び図12を参照しながら、前述した除湿暖房モード及び除湿冷房モード(除湿モード)において、ヒートポンプコントローラ32が実行する除湿時吸込切換ダンパ制御の一例について説明する。ヒートポンプコントローラ32は、先ず外気温度センサ33が検出する外気温度Tamと、空調操作部53で設定された車室内の設定温度Tset及び内気温度センサ37が検出する内気温度Tin(車室内の空気温度)とを比較する。
そして、外気温度Tamを設定温度Tsetと内気温度Tinの何れと比較してもよいが、外気温度Tamが設定温度Tsetより高い場合(Tam>Tset)、又は、外気温度Tamが内気温度Tinより高い場合(Tam>Tin)は、以下に説明する除湿時吸込切換ダンパ制御は実行しない。即ち、外気温度Tamが設定温度Tset以下である場合(Tam≦Tset)や、外気温度Tamが内気温度Tin以下である場合(Tam≦Tin)であることを前提条件として、ヒートポンプコントローラ32は以下に説明する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行する(後述する実施例2の場合も同様)。
図11はこの除湿時吸込切換ダンパ制御の一例に関するヒートポンプコントローラ32の動作を説明するフローチャートである。ヒートポンプコントローラ32は、図11のステップS1で現在の運転モードが除湿暖房モード、又は、除湿冷房モードであるか否か判断し、何れの運転モードでも無い場合には他の制御に進む。ステップS1で現在の運転モードが除湿暖房モード、又は、除湿冷房モードである場合、ヒートポンプコントローラ32はステップS2に進み、内気率RECrateが予めヒートポンプコントローラ32に設定された内気率マップの値となるように吸込切換ダンパ26を制御する。
図12は上記内気率マップの一例を示している。除湿暖房モードや除湿冷房モードにおいて、外気温度Tamが設定温度Tset以下である場合や、外気温度Tamが内気温度Tin以下であるような低外気温の環境条件では、前述した如く空気流通路3に導入される外気によって吸熱器温度Teは下がり易くなるが、ヒータ温度Thpは上がり難くなる。特に、実施例の如く除湿暖房モードでは目標回転数TGNChと目標回転数TGNCcのうちの小さい方を選択して圧縮機2の運転を制御する場合、吸熱器温度Teが下がり易い環境では、目標回転数TGNCcが選択されるため、圧縮機2の回転数NCを上げられなくなる。これによりヒータ温度Thpを上げられなくなり、目標ヒータ温度TCOを実現し難くなって、必要とされる暖房能力を実現できなくなる。即ち、外気温度Tamが車室内の設定温度Tset以下のときや、外気温度Tamが車室内の空気温度Tin以下のときは、内気率RECrateを高くし、外気の割合を低くした方が、目標ヒータ温度TCOを実現し易くなる。これは目標回転数TGNCcで圧縮機2の運転を制御する除湿冷房モードにおいても同様である。
そして、外気温度Tamが高くなる程、導入される外気によってヒータ温度Thpは上がり易くなるが、逆に今度は吸熱器温度Teは下がり難くなる。特に、実施例では除湿暖房モードで目標回転数TGNChと目標回転数TGNCcのうちの小さい方を選択して圧縮機2の運転を制御しているため、ヒータ温度Thpが上がり易い環境では、目標回転数TGNChが選択される。そのため、圧縮機2の回転数NCを上げられなくなり、吸熱器温度Teを下げられなくなって、目標吸熱器温度TEOを実現し難くなり、必要とされる冷房能力を実現できなくなる。
そこで、図12の内気率マップは、目標ヒータ温度TCOが高い程、内気率RECrateが高くなり、外気温度Tamが低い程、内気率RECrateが高くなる傾向で設定されている。外気温度Tamが設定温度Tset以下である場合、又は、外気温度Tamが内気温度Tin以下である場合、内気率RECrateが高い方が吸熱器9に流入する空気の温度(吸熱器9前の温度)は上がり、内気率RECrateが低い方が吸熱器9に流入する空気の温度が下がるからである。そして、ヒートポンプコントローラ32は、現在の目標ヒータ温度TCOと外気温度Tamに基づき、図12の内気率マップから制御目標とする内気率RECrateの値を抽出して、内気率RECrateがこの抽出した値となるように吸込切換ダンパ26を制御する。
例えば、現在の目標ヒータ温度TCOがTCO1であり、外気温度TamがTam1である場合、制御目標とする内気率RECrateの値は、図2中の65%となる。これにより、ヒートポンプコントローラ32は目標ヒータ温度TCOが高い程、外気温度Tamが低い程、内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパ26を制御することになる。
但し、内気率RECrateが高くなると、車両のフロントガラスが曇り易くなり、車室内の二酸化炭素濃度が上昇し易くなるため、ヒートポンプコントローラ32はこの内気率RECrateに所定の制限値RECrateLim(上限リミット)を設け、この内気率マップから抽出される内気率RECrateがこの制限値RECrateLimより高くなる場合には、それ以上、高くならないように制限する。
この制限値RECrateLimは、固定された値(例えば、90%等)を予めヒートポンプコントローラ32に設定しておいてもよい。それに限らず、内気湿度センサ38が検出する車室内の空気の湿度が高くなり、空調コントローラ45からフロントガラスの曇り防止要求が送信された場合や、室内CO2濃度センサ39が検出する二酸化炭素濃度が所定値より高くなり、空調コントローラ45から二酸化炭素濃度要求が送信された場合に、そのときの湿度や二酸化炭素濃度に応じてヒートポンプコントローラ32が所定の値を制限値RECrateとして設定するようにしてもよい。
次に、ヒートポンプコントローラ32は、ステップS3でヒータ温度Thpが目標ヒータ温度TCO−βより低い状態(Thp<(TCO−β))が所定期間t1以上継続しているか否か判断する。上記のように吸込切換ダンパ26を制御してもヒータ温度Thp<(目標ヒータ温度TCO−β)の状態が所定期間t1以上継続している場合、ヒートポンプコントローラ32は放熱器4において必要とされる暖房能力に対して放熱器4による暖房能力(加熱能力)が不足し、必要とされる暖房能力を実現することができないものと判断してステップS4に進み、補助ヒータ23に通電(ON)する。尚、βは制御を安定化するための所定の余裕度(ヒステリシス)であり、制御上必要が無い場合には0でもよい。β=0の場合には上記はThp<TCOで判断することになる(以下、同様)。これにより、車室内の温度の低下を防止若しくは抑制して支障無く除湿暖房又は除湿冷房を行う。
一方、ステップS3でヒータ温度Thp<(目標ヒータ温度TCO−β)の状態が所定期間t1以上継続していない場合、ステップS5に進んで補助ヒータ23を非通電(OFF)とする。次に、ステップS6で現在の運転モードが除湿暖房モードであって、前述した図10の条件(Te>(TEO+α))が成立しているか否か判断し、成立している場合には、除湿暖房モードで必要とされる冷房能力が実現できないものと判断してステップS7に進み、運転モードを除湿冷房モードに切り換える。
以上のように、除湿暖房モードや除湿冷房モード(除湿モード)において、外気温度Tamが車室内の設定温度Tset以下のときや、外気温度Tamが車室内の空気温度Tin以下のときは、ヒートポンプコントローラ32が、目標ヒータ温度TCOが高い程、内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパ26を制御する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行するようにしたので、目標ヒータ温度TCOを実現し易くなり、除湿暖房モードや除湿冷房モード(除湿モード)における暖房能力と冷房能力の両立性を向上させて除湿暖房モードや除湿冷房モードの実行可能性を広げることができるようになる。これにより、補助ヒータ23を発熱させる状況(ステップS4)に陥ることを出来る限り回避して省エネ性を向上させながら、車室内の快適性も向上させることができるようになる。
また、実施例ではヒートポンプコントローラ32が、除湿時吸込切換ダンパ制御においては外気温度Tamが低い程、内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパ26を制御するようにしているので、より一層目標ヒータ温度TCOを達成し易くして除湿暖房モードや除湿冷房モードの実行可能性を拡大することができるようになる。
(11)ヒートポンプコントローラ32による除湿時吸込切換ダンパ制御(その2)
次に、図13及び図14を参照しながら、除湿暖房モード及び除湿冷房モード(除湿モード)において、ヒートポンプコントローラ32が実行する除湿時吸込切換ダンパ制御のもう一つの例について説明する。この実施例においても前記実施例1の場合と同様にヒートポンプコントローラ32は、外気温度Tamが設定温度Tset以下である場合(Tam≦Tset)や、外気温度Tamが内気温度Tin以下である場合(Tam≦Tin)であることを前提条件として、以下に説明するもう一つの除湿時吸込切換ダンパ制御を実行する。
図13はこの場合の除湿時吸込切換ダンパ制御に関するヒートポンプコントローラ32の動作を説明するフローチャートである。ヒートポンプコントローラ32は、図13のステップS8で現在の運転モードが除湿暖房モード、又は、除湿冷房モードであるか否か判断し、何れの運転モードでも無い場合には他の制御に進む。ステップS8で現在の運転モードが除湿暖房モード、又は、除湿冷房モードである場合、ヒートポンプコントローラ32はステップS9に進み、ヒータ温度Thpが目標ヒータ温度TCO−βより低いか否か判断する。
ステップS9でヒータ温度Thpが目標ヒータ温度TCO−βより低い場合、ヒートポンプコントローラ32は放熱器4において必要とされる暖房能力に対して放熱器4による暖房能力(加熱能力)が不足し、必要とされる暖房能力を実現することができていないものと判断してステップS10に進む。尚、必要とされる暖房能力を実現できない状況では除湿暖房モードでの圧縮機2の運転制御は目標回転数TGNCcが選択されている。
このステップS10では、ヒートポンプコントローラ32は目標吸熱器温度TEOを下げることで圧縮機2の回転数を上げ、圧縮機2の能力を増大させて高圧圧力を上昇させ、放熱器圧力PCIを目標放熱器圧力PCOに上げるTEO下げ制御を実行する。図14はこのTEO下げ制御におけるヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図の一例を示している。即ち、図14の74は基本目標吸熱器温度TEO0のデータテーブルであり、実施例では外気温度Tamに対応して予め設定されており、基本目標吸熱器温度TEO0は当該外気温度Tamの環境で必要な湿度を得るための吸熱器温度Teである。
尚、実施例では外気温度Tamから基本目標吸熱器温度TEO0を算出するようにしているが、それに限らず、外気温度Tam、内気温度Tin、内気湿度(車室内の空気の湿度)、及び、車両のフロントガラス内側の露点温度のうちの何れか、若しくは、それらの組み合わせ、或いは、それらの全てから基本目標吸熱器温度TEO0(その場合は、当該外気温度Tam、内気温度Tin、内気湿度、或いは、フロントガラス内側の露点温度の環境で必要な湿度を得るための吸熱器温度Te)を算出するようにしてもよい。
上記露点温度はフロントガラスの温度、内気温度Tin及び内気湿度に基づいて算出されるが、その場合には別途フロントガラスの温度を検出する温度センサを設けるか、外気温度Tamから推定する。そして、通常は図14のデータテーブル74に基づき、実施例では外気温度Tamから算出された基本目標吸熱器温度TEO0が目標吸熱器温度TEOとして決定されるが、このTEO下げ制御では、ヒートポンプコントローラ32は目標放熱器圧力PCOと放熱器圧力PCIとの差の積分値に基づいて補正を加える。
即ち、目標放熱器圧力PCOと放熱器圧力センサ47から得られる放熱器圧力PCIは減算器76に入力され、その偏差e(PCO−PCI)が増幅器77で増幅されて演算器78に入力される。演算器78では所定の積分周期と積分時間で吸熱器温度補正値の積分演算が行われ(積分制御。微分積分でもよい)、加算器79で前回値と加算された吸熱器温度補正値の積分値TEOPCOが算出される。そして、リミット設定部81で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後、吸熱器温度補正値TEOPCとして決定される。
この吸熱器温度補正値TEOPCは切換器83に入力される。この切換器83は、TEO下げ制御を許可するためのTEO下げ許可フラグfTEOdownのセット/リセットにより切り換えられ、ステップS10ではこのTEO下げ許可フラグfTEOdown=1(セット)とされるので、切換器83からリミット設定部81で制御下限値(TEOPCLo(0))と制御上限値(TEO0−LLTEO)のリミットが付けられた後の吸熱器温度補正値TEOPCが出力される。尚、ステップS10のTEO下げ制御を実行しない場合には、TEO下げ許可フラグfTEOdown=0(リセット)とされるので、切換器83からは吸熱器温度補正値TEOPC=0が出力される。
このTEO下げ制御ではTEO下げ許可フラグfTEOdown=1(セット)とされ、リミット設定部81で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後の吸熱器温度補正値TEOPCが出力されて、減算器82にて基本目標吸熱器温度TEO0から減算され、目標吸熱器温度TEOとして決定される。従って、通常のときよりも、吸熱器温度補正値TEOPCの分、目標吸熱器温度TEOが下げられ、それにより圧縮機2の圧縮機目標回転数TGNCcが引き上げられることになり、圧縮機2の回転数NCが上がり、圧縮機2の能力が増大して高圧圧力が上昇し、放熱器圧力PCIが上昇して必要な放熱器4の暖房能力(ヒータ温度Thp)を得ることができるようになる。
尚、リミット設定部81におけるLLTEO(例えば+1.5℃)は目標吸熱器温度TEOの制御上の下限値であって、吸熱器9に着霜しない範囲の下限を意味しており、これにより、吸熱器温度補正値TEOPCで補正された目標吸熱器温度TEOは、この制御上の下限値LLTEOを下回らなくなる。
また、このTEO下げ制御において、前述した吸熱器温度補正値TEOPCが零(0)となり、且つ、ヒータ温度Thp−目標ヒータ温度TCOが例えば1degより高く(即ち、放熱器4の暖房が過剰)となった状態が所定期間t3(例えば10sec)以上継続した場合、ヒートポンプコントローラ32はTEO下げ制御を終了する(TEO下げ許可フラグfTEOdown=0)。TEO下げ許可フラグfTEOdown=0となるので、図14の切換器83からは「0」の吸熱器温度補正値TEOPCが出力されるようになり、基本目標吸熱器温度TEO0が目標吸熱器温度TEOとされるようになる。
次に、ヒートポンプコントローラ32はステップS11に進み、吸熱器温度Teが制御上の下限値まで低下しており、且つ、ヒータ温度Thpが目標ヒータ温度TCO−βより低いか否か判断する。ステップS11で吸熱器温度Teが制御上の下限値まで低下しており、且つ、ヒータ温度Thpが目標ヒータ温度TCO−βより低い場合、ヒートポンプコントローラ32は放熱器4において必要とされる暖房能力は実現することができないが、吸熱器9において必要とされる冷房能力は実現できているものと判断してステップS12に進み、内気率RECrateを所定ステップ上げる(内気の割合を高くし、外気の割合を低くする)方向に吸込切換ダンパ26を制御する。
外気温度Tamが車室内の設定温度Tset以下のときや、外気温度Tamが車室内の空気温度Tin以下のときは、内気率RECrateを高くし、外気の割合を低くした方が、ヒータ温度Thpにより目標ヒータ温度TCOを実現し易くなるので、内気率RECrateが上げられることで、ヒータ温度Thpが目標ヒータ温度TCOとなる方向で制御されることになる。
尚、ステップS11で吸熱器温度Teが制御上の下限値まで低下し、且つ、ヒータ温度Thpが目標ヒータ温度TCO−βより低い状態では無い場合、ヒートポンプコントローラ32はステップS15に進んでその時点の内気率RECrateを維持する。これにより、ヒートポンプコントローラ32は目標ヒータ温度TCOとヒータ温度Thpとの差(TCO−Thp)に基づき、当該ヒータ温度Thpを目標ヒータ温度TCOとする方向で吸込切換ダンパ26による内気率RECrateをフィードバック(F/B)制御することになる。
ヒートポンプコントローラ32はステップS12の次にステップS13に進み、内気率RECrateが制御上の上限リミット(前述した実施例での制限値RECrateLim)となっており、且つ、ヒータ温度Thpが目標ヒータ温度TCO−βより低い状態(Thp<(TCO−β))が所定期間t1以上継続しているか否か判断する。上記のようにTEO下げ制御や吸込切換ダンパ26の制御を行っても、内気率RECrateが制御上の上限リミットとなり、且つ、ヒータ温度Thp<(目標ヒータ温度TCO−β)の状態が所定期間t1以上継続している場合、ヒートポンプコントローラ32は放熱器4において必要とされる暖房能力に対して放熱器4による暖房能力(加熱能力)が不足し、必要とされる暖房能力を実現することができないものと判断してステップS14に進み、補助ヒータ23に通電(ON)する。ステップS13で内気率RECrateが制御上の上限リミットとなり、且つ、ヒータ温度Thp<(目標ヒータ温度TCO−β)の状態が所定期間t1以上継続していない場合、ステップS16に進んで補助ヒータ23を非通電(OFF)とする。
他方、ステップS9でヒータ温度Thpが目標ヒータ温度TCO−β以上である場合、ヒートポンプコントローラ32は放熱器4において必要とされる暖房能力を実現することができていると判断してステップS17に進む。ステップS17でヒートポンプコントローラ32は、吸熱器温度Teが目標吸熱器温度TEO+αより高いか否か判断する。ステップS17で吸熱器温度Teが目標吸熱器温度TEO+αより高い場合、ヒートポンプコントローラ32は放熱器4において必要とされる暖房能力は実現することができているが(ステップS9)、吸熱器9において必要とされる冷房能力は実現することができないものと判断してステップS18に進み、内気率RECrateを所定ステップ下げる(内気の割合を低くし、外気の割合を高くする)方向に吸込切換ダンパ26を制御する。
ここで、ステップS17からステップS18に進む状況では、除湿暖房モードでは前述した目標回転数TGNChが選択されるので、吸熱器温度Teが高くても圧縮機2の回転数NCを上げられない状況となっている。一方、外気温度Tamが車室内の設定温度Tset以下のときや、外気温度Tamが車室内の空気温度Tin以下のときは、内気率RECrateを低くし、外気の割合を高くした方が、吸熱器温度Teにより目標吸熱器温度TEOを実現し易くなるので、内気率RECrateが下げられることで、吸熱器温度Teが目標吸熱器温度TEOとなる方向で制御されることになる。
尚、ステップS17で吸熱器温度Teが目標吸熱器温度TEO+αより高い状態では無い場合、ヒートポンプコントローラ32はステップS21に進んでその時点の内気率RECrateを維持する。これにより、ヒートポンプコントローラ32は目標吸熱器温度TEOと吸熱器温度Teとの差(TEO−Te)に基づき、当該吸熱器温度Teを目標吸熱器温度TEOとする方向で吸込切換ダンパ26による内気率RECrateをフィードバック(F/B)制御することになる。
ヒートポンプコントローラ32はステップS18の次にステップS19に進み、現在の運転モードが除湿暖房モードであり、且つ、内気率RECrateが制御上の下限リミットとなっており、且つ、吸熱器温度Teが目標吸熱器温度TEO+αより高い状態(Te>(TEO+α))が所定期間t2以上継続しているか否か判断する。この実施例では、除湿暖房モードにおいて上記のような吸込切換ダンパ26の制御を行っても、内気率RECrateが制御上の下限リミットとなり、且つ、吸熱器温度Te>(目標吸熱器温度TEO+α)の状態が所定期間t2以上継続している場合、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器9において必要とされる冷房能力に対して吸熱器9による冷房能力(冷却能力)が不足し、必要とされる冷房能力を実現することができないものと判断してステップS20に進み、運転モードを除湿冷房モードに切り換える。
但し、この実施例の場合にも、ヒートポンプコントローラ32は内気率RECrateに前述同様の制限値RECrateLimを上限リミットとして設定し、上記のようなフィードバック制御により調整される内気率RECrateがこの制限値RECrateLimより高くなる場合には、それ以上、高くならないように制限するものである。
以上のようにこの実施例では、外気温度Tamが車室内の設定温度Tsetや内気温度Tin以下のときの除湿暖房モードや除湿冷房モードにおいて、放熱器4において必要とされる暖房能力を実現することができないが、吸熱器9において必要とされる冷房能力は実現することができている場合には、ヒートポンプコントローラ32がヒータ温度Thpを目標ヒータ温度TCOとする方向で吸込切換ダンパ26により内気率RECrateを制御する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行するようにしたので(ステップS11、ステップS12、ステップS15)、内気率RECrateによりヒータ温度Thpを目標ヒータ温度TCOにし易くして、除湿暖房モードや除湿冷房モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性を向上させ、除湿暖房モードや除湿冷房モードの実行可能性を広げることができるようになる。これにより、前述した実施例と同様に省エネ性と車室内の快適性を向上させることが可能となる。
また、実施例ではヒートポンプコントローラ32が、吸熱器温度Teに基づいて圧縮機2の運転を制御しているとき、除湿時吸込切換ダンパ制御においては、目標吸熱器温度TEOを低下させることにより、圧縮機2の能力を増大させるTEO下げ制御を実行するようにしているので(ステップS10)、吸熱器温度Teを的確に制御しながら、圧縮機2の能力を増大させて放熱器4による暖房能力を増大させ、除湿暖房モードや除湿冷房モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性をより一層向上させることができるようになる。
また、実施例ではヒートポンプコントローラ32が、除湿時吸込切換ダンパ制御において、吸熱器温度Teが制御上の下限値まで低下しており、且つ、必要とされる暖房能力を実現することができない場合、内気率RECrateを高くする方向で吸込切換ダンパ26を制御するようにしているので(ステップS11)、圧縮機2の能力をそれ以上増大させることができない状況において、内気率RECrateによりヒータ温度Thpを目標ヒータ温度TCOにし易くして、除湿暖房モードや除湿冷房モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性を効果的に向上させることができるようになる。
一方、外気温度Tamが車室内の設定温度Tsetや内気温度Tin以下のときの除湿暖房モードや除湿冷房モードにおいて、放熱器4において必要とされる暖房能力を実現することができているが、吸熱器9において必要とされる冷房能力は実現することができない場合は、ヒートポンプコントローラ32が、除湿時吸込切換ダンパ制御においては、吸熱器温度Teを目標吸熱器温度TEOとする方向で、吸込切換ダンパ26により内気率RECrateを制御するようにしているので(ステップS17、ステップS18、ステップS21)、内気率RECrateにより吸熱器温度Teを目標吸熱器温度TEOにし易くすることができるようになる。これにより、吸熱器9における冷房能力を実現することができない状況でも、除湿暖房モードや除湿冷房モードにおける暖房能力と冷房能力の両立性を向上させ、除湿暖房モードや除湿冷房モードの実行可能性を広げることができるようになる。
特に、実施例の如くヒートポンプコントローラ32が、吸熱器9において必要とされる冷房能力を実現することができない場合、内気率RECrateを低くする方向で吸込切換ダンパ26を制御しているので(ステップS17、ステップS18)、内気率RECrateにより適切に冷房能力の実現を促進することができるようになる。
また、上記各実施例では放熱器4の温度であるヒータ温度Thpを、当該放熱器4の風下側の空気温度としているので、制御性が良好となる。更に、各実施例の如く除湿冷房モードにおいては、吸熱器温度Teに基づいて算出された圧縮機2の目標回転数TGNCcにより圧縮機2の運転を制御するようにすれば、圧縮機2の運転制御で必要な冷房能力を実現することができるようになる。他方、除湿暖房モードにおいては、放熱器圧力PCIに基づいて算出された圧縮機2の目標回転数TGNChと、吸熱器温度Teに基づいて算出された圧縮機2の目標回転数TGNCcのうちの小さい方を選択して圧縮機2の運転を制御するようにしているので、外気温度Tamが低いときは目標回転数TGNCcを選択し、圧縮機2の運転制御で必要な冷房能力を実現することができるようになり、外気温度Tamが高いときには目標回転数TGNChを選択し、高圧が上がり過ぎてしまう不都合を解消することができるようになる。
そして、各実施例の如く制御装置11のヒートポンプコントローラ32が、暖房モードと、除湿暖房モードと、除湿冷房モードと、冷房モードの各運転モードを有して、これら運転モードを切り換えて実行する車両用空気調和装置1において、本発明は極めて好適となる。また、前述した前提から外気温度Tamが車室内の設定温度Tsetより高い場合、又は、内気温度Tinより高い場合、ヒートポンプコントローラ32は上述した除湿時吸込切換ダンパ制御を実行しないので、支障無く吸込切換ダンパ26の制御を実現することができる。
また、各実施例では除湿時吸込切換ダンパ制御での内気率RECrateに、車両のフロントガラスの曇り防止要求や、車室内の二酸化炭素濃度に基づく所定の制限値RECrateLimを設けているので、これらに関する不都合の発生を未然に回避することができるようになる。
尚、補助加熱装置は実施例で示した補助ヒータ23に限られるものでは無く、ヒータで加熱された熱媒体を循環させて空気流通路3内の空気を加熱する熱媒体循環回路や、エンジンを備える車両の場合にはエンジンで加熱されたラジエター水を循環するヒータコア等を利用してもよい。また、上記実施例で説明した冷媒回路Rの構成や数値はそれに限定されるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であることは云うまでもない。
また、実施例ではヒータ温度Thpを放熱器4の風下側の空気温度とし、それを推定するようにし、目標ヒータ温度TCOもこのヒータ温度Thpの目標値としたが、請求項8以外の発明ではそれに限らず、制御に問題が無ければ、例えば放熱器4自体の温度をヒータ温度Thpとし、目標ヒータ温度TCOも放熱器4自体の温度Thpの目標値としてもよい。
更に、実施例では除湿暖房モードと除湿冷房モードの各運転モードを有する車両用空気調和装置1で本発明を説明したが、請求項9、請求項10以外の発明ではそれに限らず、実施例で示した除湿暖房モードと除湿冷房モードのうちの何れかの運転モードを除湿モードとして実行する車両用空気調和装置にも本発明は有効である。
1 車両用空気調和装置
2 圧縮機
3 空気流通路
4 放熱器
6 室外膨張弁
7 室外熱交換器
8 室内膨張弁
9 吸熱器
11 制御装置
17、20、21、22 電磁弁
23 補助ヒータ(補助加熱装置)
26 吸込切換ダンパ
27 室内送風機(ブロワファン)
28 エアミックスダンパ
31 吹出口切換ダンパ
32 ヒートポンプコントローラ(制御装置)
45 空調コントローラ(制御装置)
R 冷媒回路

Claims (12)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
    冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
    冷媒を吸熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、
    前記空気流通路に流入する外気と前記車室内の空気である内気の比率を調整可能な吸込切換ダンパと、
    制御装置とを備え、
    該制御装置が少なくとも、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる除湿モードを実行する車両用空気調和装置において、
    前記制御装置は、前記放熱器の目標温度である目標ヒータ温度TCOが高い程、前記空気流通路に流入する空気のうちの前記内気の割合である内気率RECrateを高くする方向で前記吸込切換ダンパを制御する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行することを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 前記制御装置は、前記除湿時吸込切換ダンパ制御においては、外気温度が低い程、前記内気率RECrateを高くする方向で前記吸込切換ダンパを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  3. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
    冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
    冷媒を吸熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、
    前記空気流通路に流入する外気と前記車室内の空気である内気の比率を調整可能な吸込切換ダンパと、
    制御装置とを備え、
    該制御装置が少なくとも、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる除湿モードを実行する車両用空気調和装置において、
    前記制御装置は、必要とされる暖房能力を実現することができないが、必要とされる冷房能力は実現することができている場合、前記放熱器の温度Thpを、その目標値である目標ヒータ温度TCOとする方向で、前記吸込切換ダンパにより前記空気流通路に流入する空気のうちの前記内気の割合である内気率RECrateを制御する除湿時吸込切換ダンパ制御を実行することを特徴とする車両用空気調和装置。
  4. 前記制御装置は、前記吸熱器の温度である吸熱器温度Teに基づいて前記圧縮機の運転を制御し、若しくは、前記吸熱器温度Teに基づいて前記圧縮機の運転を制御する状態を有すると共に、
    前記吸熱器温度Teに基づいて前記圧縮機の運転を制御している場合、前記除湿時吸込切換ダンパ制御においては、前記吸熱器温度Teの目標値である目標吸熱器温度TEOを低下させることにより、前記圧縮機の能力を増大させることを特徴とする請求項3に記載の車両用空気調和装置。
  5. 前記制御装置は、前記除湿時吸込切換ダンパ制御において、前記吸熱器温度Teが制御上の下限値まで低下しており、且つ、必要とされる暖房能力を実現することができない場合、前記内気率RECrateを高くする方向で前記吸込切換ダンパを制御することを特徴とする請求項4に記載の車両用空気調和装置。
  6. 前記制御装置は、必要とされる暖房能力を実現することができているが、必要とされる冷房能力は実現することができない場合、前記除湿時吸込切換ダンパ制御においては、前記吸熱器温度Teを、その目標値である目標吸熱器温度TEOとする方向で、前記吸込切換ダンパにより前記内気率RECrateを制御することを特徴とする請求項3乃至請求項5のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  7. 前記制御装置は、必要とされる冷房能力を実現することができない場合、前記内気率RECrateを低くする方向で前記吸込切換ダンパを制御することを特徴とする請求項6に記載の車両用空気調和装置。
  8. 前記放熱器の温度Thpは、当該放熱器の風下側の空気温度であることを特徴とする請求項3乃至請求項7のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  9. 車室外に設けられた室外熱交換器を備え、
    前記除湿モードは、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記室外熱交換器及び前記吸熱器にて吸熱させる除湿暖房モードと、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器及び前記室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる除湿冷房モードを含み、前記制御装置はそれらを切り換えて実行すると共に、
    前記制御装置は、前記除湿暖房モードにおいて、前記放熱器の圧力である放熱器圧力PCIに基づいて算出された前記圧縮機の目標回転数TGNChと、前記吸熱器温度Teに基づいて算出された前記圧縮機の目標回転数TGNCcのうちの小さい方を選択して前記圧縮機の運転を制御し、前記除湿冷房モードにおいては、前記吸熱器温度Teに基づいて算出された前記圧縮機の目標回転数TGNCcにより前記圧縮機の運転を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  10. 前記制御装置は、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記室外熱交換器にて吸熱させる暖房モードと、
    前記除湿暖房モードと、
    前記除湿冷房モードと、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる冷房モードの各運転モードを有し、これら運転モードを切り換えて実行することを特徴とする請求項9に記載の車両用空気調和装置。
  11. 前記制御装置は、外気温度が前記車室内の設定温度より高い場合、又は、外気温度が前記車室内の空気温度より高い場合、前記除湿時吸込切換ダンパ制御を実行しないことを特徴とする請求項1乃至請求項10のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  12. 前記除湿時吸込切換ダンパ制御での前記内気率RECrateには、車両のフロントガラスの曇り防止要求、及び/又は、前記車室内の二酸化炭素濃度に基づく所定の制限値が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項11のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
JP2018021871A 2018-02-09 2018-02-09 車両用空気調和装置 Pending JP2019137208A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018021871A JP2019137208A (ja) 2018-02-09 2018-02-09 車両用空気調和装置
DE112019000729.7T DE112019000729T5 (de) 2018-02-09 2019-01-25 Fahrzeugklimaanlage
CN201980010218.6A CN111629919B (zh) 2018-02-09 2019-01-25 车辆用空气调节装置
PCT/JP2019/002399 WO2019155905A1 (ja) 2018-02-09 2019-01-25 車両用空気調和装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018021871A JP2019137208A (ja) 2018-02-09 2018-02-09 車両用空気調和装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019137208A true JP2019137208A (ja) 2019-08-22

Family

ID=67548969

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018021871A Pending JP2019137208A (ja) 2018-02-09 2018-02-09 車両用空気調和装置

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP2019137208A (ja)
CN (1) CN111629919B (ja)
DE (1) DE112019000729T5 (ja)
WO (1) WO2019155905A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112721567A (zh) * 2020-09-14 2021-04-30 江苏振宁半导体研究院有限公司 一种车内检测湿度传感器控制方法
WO2021199776A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07 サンデン・オートモーティブクライメイトシステム株式会社 車両用空気調和装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102019133489A1 (de) * 2019-12-09 2021-06-10 Audi Ag Nachheizverfahren zum Betreiben einer Kälteanlage für ein Kraftfahrzeug, Kälteanlage und Kraftfahrzeug mit einer solchen Kälteanlage

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06143996A (ja) * 1992-11-04 1994-05-24 Nippondenso Co Ltd 車両用空気調和装置
JPH11342725A (ja) * 1998-06-02 1999-12-14 Zexel:Kk 車両用空調装置
DE10101700A1 (de) * 2001-01-15 2002-07-18 Behr Gmbh & Co Verfahren und Anordnung zur Mischluftregelung in einer Heizungs-oder Klimaanlage eines Kraftfahrzeuges
JP2006182075A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Nissan Motor Light Truck Co Ltd 車両の空調装置
JP2007131232A (ja) * 2005-11-11 2007-05-31 Valeo Thermal Systems Japan Corp 車両用空調制御装置
JP5012451B2 (ja) * 2007-11-21 2012-08-29 株式会社デンソー 車両用空調装置
JP5999637B2 (ja) * 2012-11-09 2016-09-28 サンデンホールディングス株式会社 車両用空気調和装置
JP6005484B2 (ja) * 2012-11-09 2016-10-12 サンデンホールディングス株式会社 車両用空気調和装置
JP5949648B2 (ja) * 2013-04-18 2016-07-13 株式会社デンソー 冷凍サイクル装置
JP6167892B2 (ja) * 2013-06-06 2017-07-26 株式会社デンソー 車両用空調装置
JP6402424B2 (ja) * 2014-09-29 2018-10-10 サンデンホールディングス株式会社 車両用空気調和装置
JP2017149360A (ja) * 2016-02-26 2017-08-31 サンデン・オートモーティブクライメイトシステム株式会社 車両用空気調和装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021199776A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07 サンデン・オートモーティブクライメイトシステム株式会社 車両用空気調和装置
JP2021160469A (ja) * 2020-03-31 2021-10-11 サンデン・オートモーティブクライメイトシステム株式会社 車両用空気調和装置
JP7387520B2 (ja) 2020-03-31 2023-11-28 サンデン株式会社 車両用空気調和装置
CN112721567A (zh) * 2020-09-14 2021-04-30 江苏振宁半导体研究院有限公司 一种车内检测湿度传感器控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019155905A1 (ja) 2019-08-15
CN111629919B (zh) 2024-03-08
CN111629919A (zh) 2020-09-04
DE112019000729T5 (de) 2020-10-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6997558B2 (ja) 車両用空気調和装置
JP6607638B2 (ja) 車両用空気調和装置
JP2018177083A (ja) 車両用空気調和装置
WO2018139342A1 (ja) 車両用空気調和装置
WO2018074112A1 (ja) 車両用空気調和装置
JP6900271B2 (ja) 車両用空気調和装置
WO2019155905A1 (ja) 車両用空気調和装置
JP6767857B2 (ja) 車両用空気調和装置
WO2018079121A1 (ja) 車両用空気調和装置
JP2018058575A (ja) 車両用空気調和装置
CN109661317B (zh) 车用空调装置
CN110062708B (zh) 车用空调装置
WO2018135603A1 (ja) 車両用空気調和装置
WO2018123634A1 (ja) 車両用空気調和装置
WO2018061785A1 (ja) 車両用空気調和装置
WO2017146269A1 (ja) 車両用空気調和装置
JP7387520B2 (ja) 車両用空気調和装置
JP2019073053A (ja) 車両用空気調和装置
WO2018225485A1 (ja) 車両用空気調和装置
WO2018074111A1 (ja) 車両用空気調和装置
WO2019049637A1 (ja) 車両用空気調和装置
WO2019031203A1 (ja) 車両用空気調和装置
JP7036489B2 (ja) 車両用空気調和装置
JP6853036B2 (ja) 車両用空気調和装置
JP6807710B2 (ja) 車両用空気調和装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210622

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210720

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20211116