JP6853036B2 - 車両用空気調和装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の車室内を空調するヒートポンプ式の空気調和装置に関するものである。
近年の環境問題の顕在化から、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、冷媒を圧縮して吐出する圧縮器と、車室内側に設けられて冷媒を放熱させる内部凝縮機と、車室内側に設けられて冷媒を吸熱させる蒸発器と、車室外側に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させる外部凝縮機と、この外部凝縮機に流入する冷媒を膨張させる第1膨張バルブと、蒸発器に流入する冷媒を膨張させる第2膨張バルブと、内部凝縮機及び第1膨張バルブをバイパスする配管と、圧縮器から吐出された冷媒を内部凝縮機に流すか、この内部凝縮機と第1膨張バルブをバイパスして前記配管から外部凝縮機に直接流すかを切り換える第1バルブを備え、圧縮器から吐出された冷媒を第1バルブにより内部凝縮機に流して放熱させ、この放熱した冷媒を第1膨張バルブで減圧した後、外部凝縮機において吸熱させる暖房モードと、圧縮器から吐出された冷媒を第1バルブにより内部凝縮機において放熱させ、放熱した冷媒を第2膨張バルブで減圧した後、蒸発器において吸熱させる除湿モードと、圧縮器から吐出された冷媒を第1バルブにより内部凝縮機及び第1膨張バルブをバイパスして外部凝縮機に流して放熱させ、第2膨張バルブで減圧した後、蒸発器において吸熱させる冷房モードを切り換えて実行するものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−23210号公報 特開2014−88151号公報
ここで、上記特許文献1の第1バルブを圧縮器の吐出側から分岐した各冷媒配管に設けた二つの電磁弁で構成した場合、電磁弁が非通電時に閉じられる所謂ノーマルオープンタイプの電磁弁であった場合、運転が停止されると各電磁弁は開くことになるが、これら電磁弁前後の圧力差は大きいため、開放した電磁弁に急激に流れる冷媒により、比較的大きい騒音が発生する問題がある。
ここで、暖房と冷房を切り換える際に、冷媒回路の高圧側と低圧側の圧力差を下げてから電磁弁を開放することで異音の発生を抑えるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、放熱器と室外膨張弁をバイパスするバイパス配管と、流路を切り換えるための開閉弁を備えた車両用空気調和装置において、運転を停止する際に生じる騒音を解消、若しくは、低減することを目的とする。
請求項1の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、車室外に設けられた室外熱交換器と、放熱器を出て室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁と、圧縮機の吐出側と放熱器の入口側の間に設けられた第1の開閉弁と、この第1の開閉弁の上流側で分岐し、放熱器及び室外膨張弁をバイパスして圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器に流すためのバイパス配管と、このバイパス配管に設けられた第2の開閉弁と、制御装置を備え、この制御装置により少なくとも、室外膨張弁を全閉とし、第1の開閉弁を閉じ、第2の開閉弁を開くことで、圧縮機から吐出された冷媒をバイパス配管により室外熱交換器に流して放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる運転モードを実行するものであって、制御装置は、前記運転モードで運転している状態から停止する際、第1の開閉弁前後の圧力差が所定値より低くなるまで当該第1の開閉弁の開放を禁止すると共に、圧縮機を停止し、室外膨張弁を開き、その弁開度を第1の開閉弁前後の圧力差に基づくフィードバック制御により拡大することを特徴とする。
請求項2の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、第1の開閉弁前後の圧力差にかかわらず、圧縮機を停止してから所定時間が経過した場合、第1の開閉弁の開放を許可することを特徴とする。
請求項3の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において第1の開閉弁は通電状態で閉じ、非通電状態で開く電磁弁であると共に、制御装置は、前記運転モードで運転している状態から停止する際、圧縮機を停止した後も電源が供給され、第1の開閉弁を通電された状態に維持し、第1の開閉弁前後の圧力差が所定値より低くなった場合、又は、圧縮機を停止してから所定時間経過した場合に電源供給が絶たれ、第1の開閉弁を非通電とすることを特徴とする。
請求項4の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において前記運転モードは、室外膨張弁を全閉とし、第1の開閉弁を閉じ、第2の開閉弁を開くことで、圧縮機から吐出された冷媒をバイパス配管により室外熱交換器に流して放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる最大冷房モードであることを特徴とする。
請求項5の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において空気流通路内に設けられた補助加熱装置を備え、前記運転モードは、室外膨張弁を全閉とし、第1の開閉弁を閉じ、第2の開閉弁を開くことで、圧縮機から吐出された冷媒をバイパス配管により室外熱交換器に流して放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させると共に、補助加熱装置を発熱させる除湿暖房モードであることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、車室外に設けられた室外熱交換器と、放熱器を出て室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁と、圧縮機の吐出側と放熱器の入口側の間に設けられた第1の開閉弁と、この第1の開閉弁の上流側で分岐し、放熱器及び室外膨張弁をバイパスして圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器に流すためのバイパス配管と、このバイパス配管に設けられた第2の開閉弁と、制御装置を備え、この制御装置により少なくとも、室外膨張弁を全閉とし、第1の開閉弁を閉じ、第2の開閉弁を開くことで、圧縮機から吐出された冷媒をバイパス配管により室外熱交換器に流して放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる運転モードを実行する車両用空気調和装置において、制御装置が、前記運転モードで運転している状態から停止する際、第1の開閉弁前後の圧力差が所定値より低くなるまで当該第1の開閉弁の開放を禁止するようにしたので、請求項4の発明の最大冷房モードや請求項5の発明の除湿暖房モードで運転している状態から車両用空気調和装置の運転を停止する際、第1の開閉弁が開いたときに放熱器側に向かって冷媒が急激に流れることによって生じる騒音を解消、若しくは、低減することが可能となる。
この場合、車両用空気調和装置の運転を停止する際には圧縮機を停止し、室外膨張弁を開くようにしているので、第1の開閉弁の冷媒下流側の圧力を上げて当該第1の開閉弁前後の圧力差を効果的に縮小させ、迅速に第1の開閉弁前後の圧力差を所定値より低くして第1の開閉弁を開放することが可能となる。特に、室外膨張弁の弁開度を第1の開閉弁前後の圧力差に基づくフィードバック制御により拡大するようにしているので、室外膨張弁の弁開度を拡大することによって発生する冷媒の流動音も的確に低減することが可能となり、総じて、車両用空気調和装置の運転を停止する際に生じる騒音を効果的に解消、若しくは、低減することができるようなる。
更に、上記発明に加えて請求項2の発明の如く制御装置が、第1の開閉弁前後の圧力差にかかわらず、圧縮機を停止してから所定時間が経過した場合、第1の開閉弁の開放を許可するようにすれば、第1の開閉弁前後の圧力差の縮小が緩慢な場合やセンサの応答遅れにより長時間第1の開閉弁が開放されなくなる不都合を未然に回避することができるようになる。
更に、請求項3の発明の如く第1の開閉弁が通電状態で閉じ、非通電状態で開く電磁弁である場合に上記各発明は有効であり、前記運転モードで運転している状態から停止する際には、制御装置は圧縮機を停止した後も電源が供給され、第1の開閉弁を通電された状態に維持し、第1の開閉弁前後の圧力差が所定値より低くなった段階で、又は、圧縮機を停止してから所定時間経過した段階で電源供給が絶たれ、第1の開閉弁を非通電とするようにすることで、適切に騒音を解消、若しくは、低減しながら制御装置への電源供給と第1の開閉弁への通電も早期に停止することができるようになる。
本発明を適用した一実施形態の車両用空気調和装置の構成図である。 図1の車両用空気調和装置の制御装置のブロック図である。 図1の車両用空気調和装置の空気流通路の模式図である。 図2のヒートポンプコントローラの暖房モードにおける圧縮機制御に関する制御ブロック図である。 図2のヒートポンプコントローラの除湿暖房モードにおける圧縮機制御に関する制御ブロック図である。 図2のヒートポンプコントローラの除湿暖房モードにおける補助ヒータ(補助加熱装置)制御に関する制御ブロック図である。 図2のヒートポンプコントローラによるMAX冷房モードから停止する際の騒音改善制御を説明するタイミングチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。本発明を適用する実施例の車両は、エンジン(内燃機関)が搭載されていない電気自動車(EV)であって、バッテリに充電された電力で走行用の電動モータを駆動して走行するものであり(何れも図示せず)、本発明の車両用空気調和装置1も、バッテリの電力で駆動されるものとする。
即ち、実施例の車両用空気調和装置1は、エンジン廃熱による暖房ができない電気自動車において、冷媒回路を用いたヒートポンプ運転により暖房モードを行い、更に、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード(最大冷房モード)及び補助ヒータ単独モードの各運転モードを選択的に切り換えて実行するものである。
尚、車両として電気自動車に限らず、エンジンと走行用の電動モータを供用する所謂ハイブリッド自動車にも本発明は有効であり、更には、エンジンで走行する通常の自動車にも適用可能であることは云うまでもない。
実施例の車両用空気調和装置1は、電気自動車の車室内の空調(暖房、冷房、除湿、及び、換気)を行うものであり、冷媒を圧縮する電動式の圧縮機2と、車室内空気が通気循環されるHVACユニット10の空気流通路3内に設けられ、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒が冷媒配管13Gを介して流入し、この冷媒を放熱させて車室内に供給する空気を加熱するための放熱器4と、暖房時に冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室外膨張弁6(減圧装置)と、車室外に設けられて冷房時には放熱器として機能し、暖房時には蒸発器として機能すべく冷媒と外気との間で熱交換を行わせる室外熱交換器7と、冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室内膨張弁8(減圧装置)と、空気流通路3内に設けられ、冷房時及び除湿時に冷媒を吸熱させて車室内外から吸い込んで車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器9と、アキュムレータ12等が冷媒配管13により順次接続され、冷媒回路Rが構成されている。
そして、この冷媒回路Rには所定量の冷媒と潤滑用のオイルが充填されている。尚、室外熱交換器7には、室外送風機15が設けられている。この室外送風機15は、室外熱交換器7に外気を強制的に通風することにより、外気と冷媒とを熱交換させるものであり、これにより停車中(即ち、車速が0km/h)にも室外熱交換器7に外気が通風されるよう構成されている。
また、室外熱交換器7は冷媒下流側にレシーバドライヤ部14と過冷却部16を順次有し、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷房時に開放される電磁弁17を介してレシーバドライヤ部14に接続され、過冷却部16の出口側の冷媒配管13Bは室内膨張弁8介して吸熱器9の入口側に接続されている。尚、レシーバドライヤ部14及び過冷却部16は構造的に室外熱交換器7の一部を構成している。
また、過冷却部16と室内膨張弁8間の冷媒配管13Bは、吸熱器9の出口側の冷媒配管13Cと熱交換関係に設けられ、両者で内部熱交換器19を構成している。これにより、冷媒配管13Bを経て室内膨張弁8に流入する冷媒は、吸熱器9を出た低温の冷媒により冷却(過冷却)される構成とされている。
また、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷媒配管13Dに分岐しており、この分岐した冷媒配管13Dは、暖房時に開放される電磁弁21を介して内部熱交換器19の下流側における冷媒配管13Cに連通接続されている。この冷媒配管13Cがアキュムレータ12に接続され、アキュムレータ12は圧縮機2の冷媒吸込側に接続されている。更に、放熱器4の出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6を介して室外熱交換器7の入口側に接続されている。
また、圧縮機2の吐出側と放熱器4の入口側の間の冷媒配管13Gには後述する除湿暖房とMAX冷房時に閉じられる電磁弁30(流路切換装置を構成する)が介設されている。この場合、冷媒配管13Gは電磁弁30の上流側でバイパス配管35に分岐しており、このバイパス配管35は除湿暖房とMAX冷房時に開放される電磁弁40(これも流路切換装置を構成する)を介して室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Eに連通接続されている。これらバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40によりバイパス装置45が構成される。
このようなバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40によりバイパス装置45を構成したことで、後述する如く圧縮機2から吐出された冷媒を室外熱交換器7に直接流入させる除湿暖房モードやMAX冷房モードと、圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4に流入させる暖房モードや除湿冷房モード、冷房モードとの切り換えを円滑に行うことができるようになる。
また、吸熱器9の空気上流側における空気流通路3には、外気吸込口と内気吸込口の各吸込口が形成されており(図1では吸込口25で代表して示す)、この吸込口25には空気流通路3内に導入する空気を車室内の空気である内気(内気循環モード)と、車室外の空気である外気(外気導入モード)とに切り換える吸込切換ダンパ26が設けられている。更に、この吸込切換ダンパ26の空気下流側には、導入した内気や外気を空気流通路3に送給するための室内送風機(ブロワファン)27が設けられている。
また、図1において23は実施例の車両用空気調和装置1に設けられた補助加熱装置としての補助ヒータである。実施例の補助ヒータ23は電気ヒータであるPTCヒータにて構成されており、空気流通路3の空気の流れに対して、放熱器4の風上側(空気上流側)となる空気流通路3内に設けられている。そして、補助ヒータ23に通電されて発熱すると、吸熱器9を経て放熱器4に流入する空気流通路3内の空気が加熱される。即ち、この補助ヒータ23が所謂ヒータコアとなり、車室内の暖房を行い、或いは、それを補完する。
ここで、HVACユニット10の吸熱器9より風下側(空気下流側)の空気流通路3は仕切壁10Aにより区画され、暖房用熱交換通路3Aとそれをバイパスするバイパス通路3Bとが形成されており、前述した放熱器4と補助ヒータ23は暖房用熱交換通路3Aに配置されている。
また、補助ヒータ23の風上側における空気流通路3内には、当該空気流通路3内に流入し、吸熱器9を通過した後の空気流通路3内の空気(内気や外気)を、補助ヒータ23及び放熱器4が配置された暖房用熱交換通路3Aに通風する割合を調整するエアミックスダンパ28が設けられている。
更に、放熱器4の風下側におけるHVACユニット10には、FOOT(フット)吹出口29A(第1の吹出口)、VENT(ベント)吹出口29B(FOOT吹出口29Aに対しては第2の吹出口、DEF吹出口29Cに対しては第1の吹出口)、DEF(デフ)吹出口29C(第2の吹出口)の各吹出口が形成されている。FOOT吹出口29Aは車室内の足下に空気を吹き出すための吹出口で、最も低い位置にある。また、VENT吹出口29Bは車室内の運転者の胸や顔付近に空気を吹き出すための吹出口で、FOOT吹出口29Aより上方にある。そして、DEF吹出口29Cは車両のフロントガラス内面に空気を吹き出すための吹出口で、他の吹出口29A、29Bよりも上方の最も高い位置にある。
そして、FOOT吹出口29A、VENT吹出口29B、及び、DEF吹出口29Cには、空気の吹き出し量を制御するFOOT吹出口ダンパ31A、VENT吹出口ダンパ31B、及び、DEF吹出口ダンパ31Cがそれぞれ設けられている。
次に、図2は実施例の車両用空気調和装置1の制御装置11のブロック図を示している。制御装置11は、何れもプロセッサを備えたコンピュータの一例であるマイクロコンピュータから構成された空調コントローラ20及びヒートポンプコントローラ32から構成されており、これらがCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)を構成する車両通信バス65に接続されている。また、圧縮機2と補助ヒータ23も車両通信バス65に接続され、これら空調コントローラ20、ヒートポンプコントローラ32、圧縮機2及び補助ヒータ23が車両通信バス65を介してデータの送受信を行うように構成されている。
空調コントローラ20は、車両の車室内空調の制御を司る上位のコントローラであり、この空調コントローラ20の入力には、車両の外気温度Tamを検出する外気温度センサ33と、外気湿度を検出する外気湿度センサ34と、吸込口25から空気流通路3に吸い込まれて吸熱器9に流入する空気の温度(吸込空気温度Tas)を検出するHVAC吸込温度センサ36と、車室内の空気(内気)の温度(室内温度Tin)を検出する内気温度センサ37と、車室内の空気の湿度を検出する内気湿度センサ38と、車室内の二酸化炭素濃度を検出する室内CO2濃度センサ39と、車室内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度センサ41と、圧縮機2の吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力センサ42と、車室内への日射量を検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ51と、車両の移動速度(車速)を検出するための車速センサ52の各出力と、設定温度や運転モードの切り換えを設定するための空調(エアコン)操作部53が接続されている。
また、空調コントローラ20の出力には、室外送風機15と、室内送風機(ブロワファン)27と、吸込切換ダンパ26と、エアミックスダンパ28と、各吹出口ダンパ31A〜31Cが接続され、それらは空調コントローラ20により制御される。
ヒートポンプコントローラ32は、主に冷媒回路Rの制御を司るコントローラであり、このヒートポンプコントローラ32の入力には、圧縮機2の吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度センサ43と、圧縮機2の吸込冷媒圧力Psを検出する吸込圧力センサ44と、圧縮機2の吸込冷媒温度Tsを検出する吸込温度センサ55と、放熱器4の冷媒温度(放熱器温度TCI)を検出する放熱器温度センサ46と、放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI)を検出する放熱器圧力センサ47と、吸熱器9の冷媒温度(吸熱器温度Te)を検出する吸熱器温度センサ48と、吸熱器9の冷媒圧力を検出する吸熱器圧力センサ49と、補助ヒータ23の温度(補助ヒータ温度Tptc)を検出する補助ヒータ温度センサ50と、室外熱交換器7の出口の冷媒温度(室外熱交換器温度TXO)を検出する室外熱交換器温度センサ54と、室外熱交換器7の出口の冷媒圧力(室外熱交換器圧力PXO)を検出する室外熱交換器圧力センサ56の各出力が接続されている。
また、ヒートポンプコントローラ32の出力には、室外膨張弁6、室内膨張弁8と、電磁弁30(リヒート用)、電磁弁17(冷房用)、電磁弁21(暖房用)、電磁弁40(バイパス用)の各電磁弁が接続され、それらはヒートポンプコントローラ32により制御される。尚、圧縮機2と補助ヒータ23はそれぞれコントローラを内蔵しており、圧縮機2と補助ヒータ23のコントローラは車両通信バス65を介してヒートポンプコントローラ32とデータの送受信を行い、このヒートポンプコントローラ32によって制御される。
ヒートポンプコントローラ32と空調コントローラ20は車両通信バス65を介して相互にデータの送受信を行い、各センサの出力や空調操作部53にて入力された設定に基づき、各機器を制御するものであるが、この場合の実施例では外気温度センサ33、吐出圧力センサ42、車速センサ52、空気流通路3に流入した空気の体積風量Ga(空調コントローラ20が算出)、エアミックスダンパ28による風量割合SW(空調コントローラ20が算出)、空調操作部53の出力は空調コントローラ20から車両通信バス65を介してヒートポンプコントローラ32に送信され、ヒートポンプコントローラ32による制御に供される構成とされている。
以上の構成で、次に実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。この実施例では制御装置11(空調コントローラ20、ヒートポンプコントローラ32)は、暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード(最大冷房モード)及び補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換えて実行する。先ず、各運転モードにおける冷媒の流れと制御の概略について説明する。
(1)暖房モード
ヒートポンプコントローラ32により(オートモード)或いは空調操作部53へのマニュアル操作(マニュアルモード)により暖房モードが選択されると、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁21(暖房用)を開放し、電磁弁17(冷房用)を閉じる。また、電磁弁30(リヒート用)を開放し、電磁弁40(バイパス用)を閉じる。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量を調整してもよい。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は電磁弁30を経て冷媒配管13Gから放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒(補助ヒータ23が動作するときは当該補助ヒータ23及び放熱器4)により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した冷媒は当該放熱器4を出た後、冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる。即ち、冷媒回路Rがヒートポンプとなる。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A及び電磁弁21及び冷媒配管13Dを経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。放熱器4(補助ヒータ23が動作するときは当該補助ヒータ23及び放熱器4)にて加熱された空気は各吹出口29A〜29Cから吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は、空調コントローラ20が目標吹出温度TAOから算出する目標ヒータ温度TCO(放熱器温度TCIの目標値)から目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)を算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御し、放熱器4による加熱を制御する。また、ヒートポンプコントローラ32は、放熱器温度センサ46が検出する放熱器4の冷媒温度(放熱器温度TCI)及び放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度SCを制御する。
また、ヒートポンプコントローラ32はこの暖房モードにおいては、車室内空調に要求される暖房能力に対して放熱器4による暖房能力が不足する場合、その不足する分を補助ヒータ23の発熱で補完するように補助ヒータ23の通電を制御する。それにより、快適な車室内暖房を実現し、且つ、室外熱交換器7の着霜も抑制する。このとき、補助ヒータ23は放熱器4の空気上流側に配置されているので、空気流通路3を流通する空気は放熱器4の前に補助ヒータ23に通風されることになる。
ここで、補助ヒータ23が放熱器4の空気下流側に配置されていると、実施例の如くPTCヒータで補助ヒータ23を構成した場合には、補助ヒータ23に流入する空気の温度が放熱器4によって上昇するため、PTCヒータの抵抗値が大きくなり、電流値も低くなって発熱量が低下してしまうが、放熱器4の空気上流側に補助ヒータ23を配置することで、実施例の如くPTCヒータから構成される補助ヒータ23の能力を十分に発揮させることができるようになる。
(2)除湿暖房モード(本発明における運転モード)
次に、除湿暖房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
これにより、圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出された高温高圧のガス冷媒は、放熱器4に向かうこと無くバイパス配管35に流入し、電磁弁40を経て室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Eに至るようになる。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、冷媒は室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却され、且つ、当該空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気流通路3内の空気は冷却され、且つ、除湿される。吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
このとき、室外膨張弁6の弁開度は全閉とされているので、圧縮機2から吐出された冷媒が室外膨張弁6から放熱器4に逆流入する不都合を抑制若しくは防止することが可能となる。これにより、冷媒循環量の低下を抑制若しくは解消して空調能力を確保することができるようになる。更に、この除湿暖房モードにおいてヒートポンプコントローラ32は、補助ヒータ23に通電して発熱させる。これにより、吸熱器9にて冷却され、且つ、除湿された空気は補助ヒータ23を通過する過程で更に加熱され、温度が上昇するので車室内の除湿暖房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)と、空調コントローラ20が算出する吸熱器温度Teの目標値である目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御すると共に、補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Tptcと前述した目標ヒータ温度TCO(この場合、補助ヒータ温度Tptcの目標値となる)に基づいて補助ヒータ23の通電(発熱による加熱)を制御することで、吸熱器9での空気の冷却と除湿を適切に行いながら、補助ヒータ23による加熱で各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出される空気温度の低下を的確に防止する。これにより、車室内に吹き出される空気を除湿しながら、その温度を適切な暖房温度に制御することが可能となり、車室内の快適且つ効率的な除湿暖房を実現することができるようになる。
尚、補助ヒータ23は放熱器4の空気上流側に配置されているので、補助ヒータ23で加熱された空気は放熱器4を通過することになるが、この除湿暖房モードでは放熱器4に冷媒は流されないので、補助ヒータ23にて加熱された空気から放熱器4が吸熱してしまう不都合も解消される。即ち、放熱器4によって車室内に吹き出される空気の温度が低下してしまうことが抑制され、COPも向上することになる。
(3)除湿冷房モード
次に、除湿冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を開放し、電磁弁40を閉じる。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は電磁弁30を経て冷媒配管13Gから放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化していく。
放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至り、開き気味で制御される室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。この除湿冷房モードではヒートポンプコントローラ32は補助ヒータ23に通電しないので、吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱(暖房時よりも放熱能力は低い)される。これにより車室内の除湿冷房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である目標吸熱器温度TEO(空調コントローラ20から送信される)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。また、ヒートポンプコントローラ32は前述した目標ヒータ温度TCOから目標放熱器圧力PCOを算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4による加熱を制御する。
(4)冷房モード
次に、冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は上記除湿冷房モードの状態において室外膨張弁6の弁開度を全開とする。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の空気が、暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は電磁弁30を経て冷媒配管13Gから放熱器4に流入すると共に、放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。このとき室外膨張弁6は全開とされているので冷媒はそれを通過し、そのまま室外熱交換器7に流入し、そこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮液化する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却される。また、空気中の水分は吸熱器9に凝結して付着する。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気が各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出されるので(一部は放熱器4を通過して熱交換する)、これにより車室内の冷房が行われることになる。また、この冷房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である前述した目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(5)MAX冷房モード(最大冷房モード:本発明における運転モード)
次に、最大冷房モードとしてのMAX冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。空調コントローラ20は、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の空気が、暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出された高温高圧のガス冷媒は、放熱器4に向かうこと無くバイパス配管35に流入し、電磁弁40を経て室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Eに至るようになる。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、冷媒は室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却される。また、空気中の水分は吸熱器9に凝結して付着するので、空気流通路3内の空気は除湿される。吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、同様に圧縮機2から吐出された冷媒が室外膨張弁6から放熱器4に逆流入する不都合を抑制若しくは防止することが可能となる。これにより、冷媒循環量の低下を抑制若しくは解消して空調能力を確保することができるようになる。
ここで、前述した冷房モードでは放熱器4に高温の冷媒が流れているため、放熱器4からHVACユニット10への直接の熱伝導が少なからず生じるが、このMAX冷房モードでは放熱器4に冷媒が流れないため、放熱器4からHVACユニット10に伝達される熱で吸熱器9からの空気流通路3内の空気が加熱されることも無くなる。そのため、車室内の強力な冷房が行われ、特に外気温度Tamが高いような環境下では、迅速に車室内を冷房して快適な車室内空調を実現することができるようになる。また、このMAX冷房モードにおいても、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である前述した目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(6)補助ヒータ単独モード
尚、実施例の制御装置11は室外熱交換器7に過着霜が生じた場合などに、冷媒回路Rの圧縮機2と室外送風機15を停止し、補助ヒータ23に通電してこの補助ヒータ23のみで車室内を暖房する補助ヒータ単独モードを有している。この場合にも、ヒートポンプコントローラ32は補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Tptcと前述した目標ヒータ温度TCOに基づいて補助ヒータ23の通電(発熱)を制御する。
また、空調コントローラ20は室内送風機27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出された空気流通路3内の空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23に通風し、風量を調整する状態とする。補助ヒータ23にて加熱された空気が各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
(7)運転モードの切換
空調コントローラ20は、下記式(I)から前述した目標吹出温度TAOを算出する。この目標吹出温度TAOは、車室内に吹き出される空気の温度の目標値である。
TAO=(Tset−Tin)×K+Tbal(f(Tset、SUN、Tam))
・・(I)
ここで、Tsetは空調操作部53で設定された車室内の設定温度、Tinは内気温度センサ37が検出する室内温度、Kは係数、Tbalは設定温度Tsetや、日射センサ51が検出する日射量SUN、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamから算出されるバランス値である。そして、一般的に、この目標吹出温度TAOは外気温度Tamが低い程高く、外気温度Tamが上昇するに伴って低下する。
ヒートポンプコントローラ32は、起動時には空調コントローラ20から車両通信バス65を介して送信される外気温度Tam(外気温度センサ33が検出する)と目標吹出温度TAOとに基づいて上記各運転モードのうちの何れかの運転モードを選択すると共に、各運転モードを車両通信バス65を介して空調コントローラ20に送信する。また、起動後は外気温度Tam、車室内の湿度、目標吹出温度TAO、後述する加熱温度TH(放熱器4の風下側の空気の温度。推定値)、目標ヒータ温度TCO、吸熱器温度Te、目標吸熱器温度TEO、車室内の除湿要求の有無、等のパラメータに基づいて各運転モードの切り換えを行うことで、環境条件や除湿の要否に応じて的確に暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード及び補助ヒータ単独モードを切り換えて車室内に吹き出される空気の温度を目標吹出温度TAOに制御し、快適且つ効率的な車室内空調を実現するものである。
(8)ヒートポンプコントローラ32による暖房モードでの圧縮機2の制御
次に、図4を用いて前述した暖房モードにおける圧縮機2の制御について詳述する。図4は暖房モード用の圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNChを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。ヒートポンプコントローラ32のF/F(フィードフォワード)操作量演算部58は外気温度センサ33から得られる外気温度Tamと、室内送風機27のブロワ電圧BLVと、SW=(TAO−Te)/(TH−Te)で得られるエアミックスダンパ28による風量割合SWと、放熱器4の出口における過冷却度SCの目標値である目標過冷却度TGSCと、放熱器4の温度の目標値である前述した目標ヒータ温度TCO(空調コントローラ20から送信される)と、放熱器4の圧力の目標値である目標放熱器圧力PCOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNChffを演算する。
ここで、風量割合SWを算出する上記THは、放熱器4の風下側の空気の温度(以下、加熱温度と云う)であり、ヒートポンプコントローラ32が下記に示す一次遅れ演算の式(II)から推定する。
TH=(INTL×TH0+Tau×THz)/(Tau+INTL) ・・(II)
ここで、INTLは演算周期(定数)、Tauは一次遅れの時定数、TH0は一次遅れ演算前の定常状態における加熱温度THの定常値、THzは加熱温度THの前回値である。このように加熱温度THを推定することで、格別な温度センサを設ける必要がなくなる。
尚、ヒートポンプコントローラ32は前述した運転モードによって上記時定数Tau及び定常値TH0を変更することにより、上述した推定式(II)を運転モードによって異なるものとし、加熱温度THを推定する。そして、この加熱温度THは車両通信バス65を介して空調コントローラ20に送信される。
前記目標放熱器圧力PCOは上記目標過冷却度TGSCと目標ヒータ温度TCOに基づいて目標値演算部59が演算する。更に、F/B(フィードバック)操作量演算部60はこの目標放熱器圧力PCOと放熱器4の冷媒圧力である放熱器圧力PCIに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNChfbを演算する。そして、F/F操作量演算部58が演算したF/F操作量TGNCnffとF/B操作量演算部60が演算したTGNChfbは加算器61で加算され、リミット設定部62で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後、圧縮機目標回転数TGNChとして決定される。前記暖房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32はこの圧縮機目標回転数TGNChに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(9)ヒートポンプコントローラ32による除湿暖房モードでの圧縮機2及び補助ヒータ23の制御
一方、図5は前記除湿暖房モード用の圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNCcを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。ヒートポンプコントローラ32のF/F操作量演算部63は外気温度Tamと、空気流通路3に流入した空気の体積風量Gaと、放熱器4の圧力(放熱器圧力PCI)の目標値である目標放熱器圧力PCOと、吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)の目標値である目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNCcffを演算する。
また、F/B操作量演算部64は目標吸熱器温度TEO(空調コントローラ20から送信される)と吸熱器温度Teに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNCcfbを演算する。そして、F/F操作量演算部63が演算したF/F操作量TGNCcffとF/B操作量演算部64が演算したF/B操作量TGNCcfbは加算器66で加算され、リミット設定部67で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後、圧縮機目標回転数TGNCcとして決定される。除湿暖房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32はこの圧縮機目標回転数TGNCcに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
また、図6は除湿暖房モードにおける補助ヒータ23の補助ヒータ要求能力TGQPTCを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。ヒートポンプコントローラ32の減算器73には目標ヒータ温度TCOと補助ヒータ温度Tptcが入力され、目標ヒータ温度TCOと補助ヒータ温度Tptcの偏差(TCO−Tptc)が算出される。この偏差(TCO−Tptc)はF/B制御部74に入力され、このF/B制御部74は偏差(TCO−Tptc)を無くして補助ヒータ温度Tptcが目標ヒータ温度TCOとなるように補助ヒータ要求能力F/B操作量を演算する。
このF/B制御部74で算出された補助ヒータ要求能力F/B操作量はリミット設定部76で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後、補助ヒータ要求能力TGQPTCとして決定される。除湿暖房モードにおいては、コントローラ32はこの補助ヒータ要求能力TGQPTCに基づいて補助ヒータ23の通電を制御することにより、補助ヒータ温度Tptcが目標ヒータ温度TCOとなるように補助ヒータ23の発熱(加熱)を制御する。
このようにしてヒートポンプコントローラ32は、除湿暖房モードでは吸熱器温度Teと目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機の運転を制御すると共に、目標ヒータ温度TCOに基づいて補助ヒータ23の発熱を制御することで、除湿暖房モードにおける吸熱器9による冷却と除湿、並びに、補助ヒータ23による加熱を的確に制御する。これにより、車室内に吹き出される空気をより適切に除湿しながら、その温度をより正確な暖房温度に制御することが可能となり、より一層快適且つ効率的な車室内の除湿暖房を実現することができるようになる。
(10)エアミックスダンパ28の制御
次に、図3を参照しながら空調コントローラ20によるエアミックスダンパ28の制御について説明する。図3においてGaは前述した空気流通路3に流入した空気の体積風量、Teは吸熱器温度、THは前述した加熱温度(放熱器4の風下側の空気の温度)である。
空調コントローラ20は、前述した如き式(下記式(III))により算出される暖房用熱交換通路3Aの放熱器4と補助ヒータ23に通風する風量割合SWに基づき、当該割合の風量となるようにエアミックスダンパ28を制御することで放熱器4(及び補助ヒータ23)への通風量を調整する。
SW=(TAO−Te)/(TH−Te) ・・(III)
即ち、暖房用熱交換通路3Aの放熱器4と補助ヒータ23に通風する風量割合SWは0≦SW≦1の範囲で変化し、「0」で暖房用熱交換通路3Aへの通風をせず、空気流通路3内の全ての空気をバイパス通路3Bに通風するエアミックス全閉状態、「1」で空気流通路3内の全ての空気を暖房用熱交換通路3Aに通風するエアミックス全開状態となる。即ち、放熱器4への風量はGa×SWとなる。
(11)MAX冷房モードから車両用空気調和装置を停止する際の騒音改善制御
次に、図7を参照しながら、車両用空気調和装置1を、前述したMAX冷房モード(最大冷房モード)から運転を停止する際にヒートポンプコントローラ32が実行する騒音改善制御について説明する。図7のタイミングチャートは、MAX冷房モードから運転を停止する際の圧縮機2の回転数NC、及び、室外膨張弁6の弁開度と、電磁弁40(本発明の第2の開閉弁)、電磁弁30(本発明の第1の開閉弁)、電磁弁17、及び、電磁弁21の開閉状態をそれぞれ示している。
尚、電磁弁30(本発明の第1の開閉弁)と電磁弁17は通電されて閉じ、非通電の状態では開く所謂ノーマルオープンの電磁弁であり、電磁弁40(本発明の第2の開閉弁)と電磁弁21は通電されて開き、非通電の状態では閉じる所謂ノーマルクローズの電磁弁であるものとする。
また、ヒートポンプコントローラ32は、電磁弁30(第1の開閉弁)の前後の圧力差ΔPdcを、吐出圧力センサ42が検出する電磁弁30の冷媒上流側(前)の圧力Pdと、放熱器圧力センサ47が検出する電磁弁30の冷媒下流側(後)の圧力である放熱器圧力PCIとの差(ΔPdc=Pd−PCI)として算出し、監視しているものとする。
(11−1)MAX冷房モードから運転を停止する際の騒音改善制御(その1)
MAX冷房モードから運転を停止する際、MAX冷房モードにおいては電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcは大きい値となっている。また、電磁弁30は非通電(運転停止)の状態で開く。そのため、MAX冷房モードでは閉じている電磁弁30が、係る圧力差のままで非通電(運転停止)となって開くと、圧縮機2の吐出側から電磁弁30を経て放熱器4の入口側の方向に冷媒配管13G内を冷媒が急激に流れ、電磁弁30において大きな音(騒音)が発生することになる。
そこで、ヒートポンプコントローラ32はMAX冷房モードから運転を停止する際、以下に説明する騒音改善制御を実行する。即ち、ヒートポンプコントローラ32はMAX冷房モードで運転している状態(圧縮機2は、作動範囲の回転数NCで運転中)から車両用空気調和装置1の運転を停止する際、電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcが所定値A(例えば、0.2MPa)より低くなるまでは電磁弁30を通電状態に維持し、当該電磁弁30の開放を禁止する。そして、先ず圧縮機2を停止し、室外膨張弁6を全閉の状態(0)から開き、その弁開度を全開の状態(例えば、500パルス)に向けて開いていく。
圧縮機2が停止し、室外膨張弁6が開くことで冷媒回路R内の圧力は平衡状態に向かうため(高圧側圧力は下がり、低圧側圧力は上がる)、電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcも均圧されて小さくなっていく。
また、ヒートポンプコントローラ32はこの実施例では室外膨張弁6を開いた後、その弁開度を段階的に拡大していく。実施例では先ず、室外膨張弁6の弁開度を、全閉である0の状態から弁開度V1(例えば、200パルス)まで拡大する。次に、その状態を所定時間T1(例えば、10秒)維持した後、弁開度V2(例えば、300パルス)まで拡大する。次に、その状態を所定時間T2(例えば、5秒)維持した後、弁開度V3(例えば、最大開度の500パルス)まで拡大する。
そして、圧力差ΔPdcが前記所定値A(0.2MPa)より低くなった場合に、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁30を非通電として運転を停止する。即ち、車両用空気調和装置1は圧力差ΔPdcが前記所定値Aより低くなるまで制御装置11(空調コントローラ20とヒートポンプコントローラ32)の電源をON状態に維持し(電源が供給される)、低くなったときに制御装置11の電源をOFFし(電源供給が絶たれる)、電磁弁30も非通電とする。電磁弁30は非通電となることで開くことになる。
尚、電磁弁40については圧縮機2を停止してから非通電とすれば良い。このように、ヒートポンプコントローラ32は、MAX冷房モードで運転している状態から停止する際、電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcが所定値Aより低くなるまで電磁弁30の開放を禁止するので、MAX冷房モードで運転している状態から車両用空気調和装置1の運転を停止する際、電磁弁30が開いたときに放熱器4側に向かって冷媒が急激に流れることによって生じる騒音を解消、若しくは、低減することが可能となる。
この場合、ヒートポンプコントローラ32は車両用空気調和装置1の運転を停止する際、圧縮機2を停止し、室外膨張弁6を開くので、電磁弁30の冷媒下流側の圧力を上げて当該電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcを効果的に縮小させ、迅速に圧力差ΔPdcを所定値Aより低くして電磁弁30を開放することが可能となる。特に、この実施例では室外膨張弁6の弁開度を段階的に拡大するようにしているので、室外膨張弁6の弁開度を拡大することによって発生する冷媒の流動音も低減することが可能となり、総じて、車両用空気調和装置1の運転を停止する際に生じる騒音を効果的に解消、若しくは、低減することができるようなる。
更に、実施例の如く電磁弁30が通電状態で閉じ、非通電状態で開く電磁弁である場合に極めて有効であり、MAX冷房モードで運転している状態から停止する際には、ヒートポンプコントローラ32により圧縮機2を停止した後も、制御装置11の電源をON状態として電源を供給し、電磁弁30も通電された状態に維持し、電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcが所定値Aより低くなった段階で、制御装置11の電源をOFFして電源供給を絶ち、電磁弁30も非通電とすることで、適切に騒音を解消、若しくは、低減しながら制御装置11への給電と電磁弁30への通電も早期に停止することができるようになる。
(11−2)MAX冷房モードから運転を停止する際の騒音改善制御(その2)
ここで、上記実施例(MAX冷房モードから運転を停止する際の騒音改善制御(その1))以外にも、例えば、ヒートポンプコントローラ32が、MAX冷房モードから運転を停止する際の騒音改善制御において、室外膨張弁6の弁開度を、電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcに基づくフィードバック制御により拡大するようにしても良い。
その場合にも、ヒートポンプコントローラ32はMAX冷房モードで運転している状態から車両用空気調和装置1の運転を停止する際、電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcが所定値Aより低くなるまでは電磁弁30を通電状態に維持し、当該電磁弁30の開放を禁止する。そして、先ず圧縮機2を停止し、室外膨張弁6を全閉の状態(0)から開き、その弁開度を全開の状態に向けて開いていくものであるが、この実施例では電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcと前記所定値Aとの偏差eから室外膨張弁6の弁開度の拡大量(ステップ)を算出し、室外膨張弁6の弁開度を拡大する。
次に、室外膨張弁6の弁開度の拡大で減少した圧力差ΔPdcをフィードバックし、それと所定値Aとの偏差eに基づき弁開度の拡大量を再度算出することを繰り返すことで室外膨張弁6の弁開度を拡大していく。そして、圧力差ΔPdcが前記所定値Aより低くなった場合に、車両用空気調和装置1は制御装置11(空調コントローラ20とヒートポンプコントローラ32)の電源をOFFとし、電磁弁30も非通電として運転を停止する。電磁弁30は非通電となることで開くことになる。このように室外膨張弁6の弁開度を電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcに基づくフィードバック制御により拡大することで、室外膨張弁6の弁開度を拡大することによって発生する冷媒の流動音をより一層的確に低減することが可能となる。
(11−3)MAX冷房モードから運転を停止する際の騒音改善制御(その3)
また、上記各制御(MAX冷房モードから運転を停止する際の騒音改善制御(その1)と(その2))以外に、圧縮機2を停止してから所定時間後に電磁弁30を非通電とするようにしても良い。具体的には、ヒートポンプコントローラ32はMAX冷房モードで運転している状態から車両用空気調和装置1の運転を停止する際、先ず圧縮機2を停止し、前述の各実施例のように室外膨張弁6を開いてその弁開度を拡大する。そして、圧縮機2を停止してから所定時間T3(例えば、30秒等)が経過した場合、車両用空気調和装置1は制御装置11(空調コントローラ20とヒートポンプコントローラ32)の電源をOFFし、電磁弁30も開放を許可する。即ち、電磁弁30を非通電として開く。
これは上記各実施例において電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcが所定値Aより低くなった場合に電磁弁30を開くのに加えて、圧縮機2が停止してから所定時間T3が経過した段階で、圧力差ΔPdcが所定値Aより低くなっていなくとも電磁弁30を開くものでも良く、上記各実施例に代えて、圧力差ΔPdcを監視すること無く、圧縮機2の停止からの経過時間のみを計測し、所定時間T3の経過のみで電磁弁30を開くものでも良い。
何れの場合にも、圧縮機2を停止して室外膨張弁6を開けば、圧縮機2の停止からの時間経過で電磁弁30の前後の圧力差ΔPdcは小さくなっていく。従って、上記各実施例の制御に加えて所定時間T3の経過でも電磁弁30を開くことで、騒音を低減しながら、圧力差ΔPdcの低下が緩慢な場合や各センサ42、54の応答遅れで長時間制御装置11の電源をOFF(電磁弁30を非通電)することができなくなる不都合を回避することができるようになる。
他方、圧力差ΔPdcによらず、圧縮機2を停止してからの経過時間(所定時間T3)のみで制御装置11の電源をOFFし、電磁弁30を非通電として開く制御によれば、比較的簡単な構成によって車両用空気調和装置1の運転を停止する際に生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようなる効果がある。
尚、各実施例ではMAX冷房モードから運転を停止する場合について説明したが、除湿暖房モードから車両用空気調和装置1の運転を停止する際にも前述の各実施例と同様の騒音改善制御を実行するものとする。それにより、除湿暖房モードから運転を停止する際の騒音も同様に解消、若しくは、低減することができるようになる。
また、実施例で示した各運転モードの切換制御は、それに限られるものでは無く、車両用空気調和装置の能力や使用環境に応じて、外気温度Tam、車室内の湿度、目標吹出温度TAO、放熱器温度TH、目標放熱器温度TCO、吸熱器温度Te、目標吸熱器温度TEO、車室内の除湿要求の有無、等のパラメータの何れか、又は、それらの組み合わせ、それらの全てを採用して適切な条件を設定すると良い。
更に、補助加熱装置は、実施例で示した補助ヒータ23に限られるものでは無く、ヒータで加熱された熱媒体を循環させて空気流通路内の空気を加熱する熱媒体循環回路や、エンジンで加熱されたラジエター水を循環するヒータコア等を利用してもよい。また、上記各実施例で説明した冷媒回路Rの構成はそれに限定されるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であることは云うまでもない。
1 車両用空気調和装置
2 圧縮機
3 空気流通路
4 放熱器
6 室外膨張弁
7 室外熱交換器
8 室内膨張弁
9 吸熱器
10 HVACユニット
11 制御装置
20 空調コントローラ
23 補助ヒータ(補助加熱装置)
27 室内送風機(ブロワファン)
28 エアミックスダンパ
30 電磁弁(第1の開閉弁)
32 ヒートポンプコントローラ
35 バイパス配管
40 電磁弁(第2の開閉弁)
42 吐出圧力センサ
54 室外熱交換器温度センサ
65 車両通信バス
R 冷媒回路

Claims (5)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
    冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
    冷媒を吸熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、
    前記車室外に設けられた室外熱交換器と、
    前記放熱器を出て前記室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁と、
    前記圧縮機の吐出側と前記放熱器の入口側の間に設けられた第1の開閉弁と、
    該第1の開閉弁の上流側で分岐し、前記放熱器及び前記室外膨張弁をバイパスして前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器に流すためのバイパス配管と、
    該バイパス配管に設けられた第2の開閉弁と、
    制御装置を備え、
    該制御装置により少なくとも、前記室外膨張弁を全閉とし、前記第1の開閉弁を閉じ、前記第2の開閉弁を開くことで、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記バイパス配管により前記室外熱交換器に流して放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる運転モードを実行する車両用空気調和装置において、
    前記制御装置は、前記運転モードで運転している状態から停止する際、前記第1の開閉弁前後の圧力差が所定値より低くなるまで当該第1の開閉弁の開放を禁止すると共に、
    前記圧縮機を停止し、前記室外膨張弁を開き、その弁開度を前記第1の開閉弁前後の圧力差に基づくフィードバック制御により拡大することを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 前記制御装置は、前記第1の開閉弁前後の圧力差にかかわらず、前記圧縮機を停止してから所定時間が経過した場合、前記第1の開閉弁の開放を許可することを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  3. 前記第1の開閉弁は通電状態で閉じ、非通電状態で開く電磁弁であると共に、
    前記制御装置は、前記運転モードで運転している状態から停止する際、前記圧縮機を停止した後も電源が供給され、前記第1の開閉弁を通電された状態に維持し、前記第1の開閉弁前後の圧力差が所定値より低くなった場合、又は、前記圧縮機を停止してから所定時間経過した場合に電源供給が絶たれ、前記第1の開閉弁を非通電とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空気調和装置。
  4. 前記運転モードは、前記室外膨張弁を全閉とし、前記第1の開閉弁を閉じ、前記第2の開閉弁を開くことで、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記バイパス配管により前記室外熱交換器に流して放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる最大冷房モードであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  5. 前記空気流通路内に設けられた補助加熱装置を備え、
    前記運転モードは、前記室外膨張弁を全閉とし、前記第1の開閉弁を閉じ、前記第2の開閉弁を開くことで、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記バイパス配管により前記室外熱交換器に流して放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させると共に、前記補助加熱装置を発熱させる除湿暖房モードであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
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