JP4023320B2 - 空調装置用加熱器 - Google Patents

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    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/32Cooling devices
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    • B60H2001/3298Ejector-type refrigerant circuits

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調装置用加熱器及び空調装置に関するもので、車両用に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用空調装置では、蒸気圧縮式冷凍機を循環する冷媒と室内に吹き出す空気とを熱交換する第1、2熱交換器、及びエンジン冷却水を熱源として室内に吹き出す空気を加熱するヒータを1つの空調ケーシング内に収納している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3267147号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載の発明では、3つの熱交換器を1つの空調ケーシング内に収納しているので、空調装置が大型化してしまう。このため、特許文献1に記載の発明は、空調装置の車両への搭載性が悪いという問題を有している。
【0005】
そこで、出願人は、廃熱により加熱された流体を熱源として室内に吹き出す空気を加熱するヒータ機能と高圧冷媒を熱源とするヒータ機能とを兼ね備えた発明を既に出願している(特願2002−270093号)。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、廃熱により加熱された流体を熱源として室内に吹き出す空気を加熱するヒータ機能、及び高圧冷媒を熱源とするヒータ機能に加えて、内燃機関(エンジン)の暖機運転を促進する機能を付加することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、内燃機関(20)の廃熱を回収した流体および蒸気圧縮式冷凍機の高圧側冷媒を熱源として室内の暖房を行う空調装置に適用されるとともに、室内に吹き出す空気中に配置される空調装置用加熱器であって、内燃機関(20)から流出した流体を流すことによって流体と室内に吹き出す空気とを熱交換させるとともに、流体を内燃機関(20)側へ流出させて循環させる流体チューブ(2)と、流体チューブ(2)に対して室内に吹き出す空気の空気流れ下流側に配置され、高圧側冷媒を流すことによって高圧側冷媒と室内に吹き出す空気とを熱交換させる冷媒チューブ(3)と、流体チューブ(2)に対して並列的に接続された通路を流れる流体を、前記冷媒チューブ(3)へ流入する高圧側冷媒および前記冷媒チューブ(3)から流出した高圧側冷媒と熱交換させる熱交換部(4、6)と、流体を内燃機関(20)と流体チューブ(2)との間で循環させる流路と、流体を内燃機関(20)と熱交換部(4、6)との間で循環させる流路とを切り替える切替手段(4a)とを備え、流体チューブ(2)、前記冷媒チューブ(3)および前記熱交換部(4、6)が一体的に構成されていることを特徴とする。
【0008】
これにより、空調装置が大型化してしまうことを防止しつつ、内燃機関(20)の暖機運転を促進して冷間始動時に排出される有害物質を低減しつつ、室内を早期に暖房することができる。
【0009】
また、高圧側冷媒は流体より早期に温度が上昇するので、冷媒チューブ(3)を流体チューブ(2)より空気流れ上流側に配置した場合に比べて流体と空気との温度差を確保することができ、流体及び冷媒と室内に吹き出す空気とを効率よく熱交換することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、熱交換部は、流体チューブ(2)に対して並列的に接続されたU字管(4)、および、冷媒チューブ(3)へ高圧側冷媒を供給するとともに、冷媒チューブ(3)から流出した高圧側冷媒を集合させる冷媒タンク(6)によって構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明では、室内に吹き出す空気が流れる空調ケーシング(8)と、空調ケーシング(8)内に配置された請求項1又は2に記載の空調装置用加熱器(1)とを備え、内燃機関(20)から流出する流体の温度が所定温度未満のときには、蒸気圧縮式冷凍機を稼動させた状態で流体を内燃機関(20)と熱交換部(4、6)との間で循環させる運転モードを有することを特徴とする。
【0013】
これにより、暖機運転の促進と暖房能力の向上とを両立することができる。
【0014】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、本発明に係る空調装置を車両用空調装置に適用したもので、図1は本実施形態に係る加熱器1を用いた車両用空調装置の模式図であり、図2は加熱器1の模式図であり、図3は図2のA−A断面図である。
【0016】
空調用の加熱器1は、図3に示すように、走行用内燃機関であるエンジン20(図1参照)内を循環してエンジン20の廃熱を回収した冷却水が流れる複数本の冷却水チューブ2、冷却水チューブ2より空気流れ下流側に配置されて蒸気圧縮式冷凍機30(図1参照)で生成された高圧・高温冷媒が流れる複数本の冷媒チューブ3、及びエンジン20内を循環して加熱器1側に供給された冷却水と高温・高圧冷媒と熱交換する熱交換部4、6等が一体的に構成されたものである。
【0017】
なお、蒸気圧縮式冷凍機30は、低温側の熱を高温側に移動させる冷凍機であり、詳細は後述する。
【0018】
冷却水チューブ2内は、長手方向に延びる複数本(本実施形態では、2本)の冷却水通路2a、2bに区画されており、2本の冷却水通路2a、2bは、冷却水チューブ2の長手方向端部のうち冷却水タンク5と反対側端部にて連通している。
【0019】
冷却水タンク5は、冷却水チューブ2の長手方向一端側に配置されて複数本の冷却水チューブ2と連通しているとともに、内部はその長手方向に延びる2本の空間に区画されている。
【0020】
このため、冷却水タンク5に流入した冷却水は、冷却水タンク5にて複数本の冷却水チューブ2の冷却水通路2aに分配供給された後、冷却水タンク5と反対側端部にて流通方向を180°転向させて冷却水通路2bを流れ、冷却水タンク5にて集められて加熱器1外に流出する。なお、冷却水通路2aは冷却水通路2bより空気流れ下流側に位置している。
【0021】
また、冷媒チューブ3内は、図3に示すように、長手方向に延びる複数本(本実施形態では、7本)の冷媒通路に区画されており、これら複数本の冷媒通路は、大きく分けて2本の冷媒通路3a、3bに分類され、冷媒通路3a、3bは、冷媒チューブ3の長手方向端部のうち冷媒タンク6と反対側端部、つまり冷却水タンク5側にて連通している。
【0022】
冷媒タンク6は、冷媒チューブ3の長手方向一端側であって、冷却水タンク5と反対側に配置されて複数本の冷媒チューブ3と連通しているとともに、その内部は、冷媒通路3a、3bに対応するように長手方向に延びる2本の空間に区画されている。
【0023】
このため、冷媒タンク6に流入した冷媒は、冷媒タンク6にて複数本の冷媒チューブ3の冷媒通路3aに分配供給された後、冷媒タンク6と反対側端部にて流通方向を180°転向させて冷媒通路3bを流れ、冷媒タンク6に集められて加熱器1外に流出する。なお、冷媒通路3aは冷媒通路3bより空気流れ下流側に位置している。
【0024】
そして、本実施形態では、U字管4を冷媒タンク6内に配置して高温・高圧冷媒と冷却水とを熱交換するとともに、切替弁4aにより冷却水を冷却水チューブ2(冷却水タンク5)に循環させる場合とU字管4に循環させる場合とを切り替える。従って、U字管4および冷媒タンク6によって、流体チューブ2に対して並列的に接続された通路を流れる流体を、冷媒チューブ3へ流入する高圧側冷媒および冷媒チューブ3から流出した高圧側冷媒と熱交換させる熱交換部が構成される。
【0025】
また、冷却水チューブ2と冷媒チューブ3とは、図3に示すように、空気との伝熱面積を増大させるフィン7を介して一体化されている。なお、本実施形態では、フィン7として温度境界層及び速度境界層が成長することを抑制するルーバ7aを有するコルゲートフィンを採用するとともに、フィン7のうち冷却水チューブ2側と冷媒チューブ3側との接続部の断面積をその他の部位に比べて小さくすることより、両チューブ2、3間での熱移動を抑制している。
【0026】
そして、両チューブ2、3及びフィン7等からなるコア部は、室内に吹き出す空気中に晒されてコア部を通過する空気を加熱する。
【0027】
次に、図1に基づいて蒸気圧縮式冷凍機30について述べる。
【0028】
圧縮機31は走行用のエンジン20から動力を得て冷媒を吸入圧縮するもので、室外熱交換器32は冷媒と室外空気とを熱交換するもので、室内熱交換器33は室内に吹き出す空気と冷媒とを熱交換するもので、この室内熱交換器33は、室内に吹き出す空気の通路を構成する空調ケーシング8内において、加熱器1より空気流れ上流側に配置されている。
【0029】
なお、エアミックスドア9は加熱器1を通過する風量と加熱器1を迂回してバイパス通路10を流れる風量とを調節するもので、本実施形態では、エアミックスドア9の開度を調節することにより室内に吹き出す空気の温度を調節している。
【0030】
エジェクタ34は冷却された高圧冷媒を減圧膨張させて蒸発した気相冷媒を吸引するとともに、膨張エネルギーを圧力エネルギーに変換して圧縮機31の吸入圧を上昇させるものである。
【0031】
なお、エジェクタ34は、流入する高圧冷媒の圧力エネルギーを速度エネルギーに変換して冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるノズル、ノズルから噴射する高い速度の冷媒流の巻き込み作用により低圧側で蒸発した気相冷媒を吸引しながら、ノズルから噴射する冷媒流とを混合する混合部、及びノズルから噴射する冷媒と吸引した気相冷媒とを混合させながら速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して冷媒の圧力を昇圧させるディフューザ等からなるものである。
【0032】
このとき、混合部においては、ノズルから噴射する駆動流の運動量と吸引された吸引流の運動量との和が保存されるように駆動流と吸引流とが混合するので、混合部においても冷媒の圧力が(静圧)が上昇する。
【0033】
一方、ディフューザにおいては、通路断面積を徐々に拡大することにより、冷媒の速度エネルギ(動圧)を圧力エネルギ(静圧)に変換するので、エジェクタにおいては、混合部及びディフューザの両者にて冷媒圧力を昇圧する。そこで、混合部とディフューザとを総称して昇圧部と呼ぶ。
【0034】
因みに、本実施形態では、ノズルから噴出する冷媒の速度を音速以上まで加速するために、通路途中に通路面積が最も縮小した喉部を有するラバールノズル(流体工学(東京大学出版会)参照)を採用しているが、勿論、先細ノズルを採用してもよいことは言うまでもない。
【0035】
アキュムレータ35はエジェクタ34から流出した冷媒が流入するとともに、その流入した冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して冷媒を蓄える気液分離器であり、アキュムレータ35の気相冷媒流出口は圧縮機31の吸引側に接続され、液相冷媒流出口は室内熱交換器33側に接続されている。
【0036】
因みに、アキュムレータ35内に設けられた気相冷媒抽出用のJ型配管の最下部には、アキュムレータ35にて分離された冷凍機油を圧縮機31の吸入側に戻すためのオイル戻し穴が設けられている。
【0037】
減圧器36は高圧冷媒を等エンタルピ的に減圧膨脹させる膨脹弁であり、内部熱交換器37は減圧される前の高圧冷媒圧縮機31に吸入される低圧冷媒とを熱交換するものである。
【0038】
なお、開閉弁38a〜38eは冷媒通路を開閉する電磁弁であり、逆止弁39が冷媒が一方向にのみ流れることを許容するバルブである。
【0039】
次に、エンジン冷却水系について述べる。
【0040】
ラジエータ21は冷却水と外気とを熱交換してエンジン20から流出した冷却水を冷却するものであり、サーモスタット22は、ラジエータ21に循環させる冷却水量とエンジン20から流出した冷却水をラジエータ21を迂回させてエンジン20に戻す冷却水量とを調節することによりエンジン20の温度を所定範囲にための流量調節バルブであり、ポンプ23はエンジン20から動力を得て冷却水を循環させるものである。
【0041】
次に、本実施形態に係る車両用空調装置の特徴的作動を述べる。
【0042】
1.冷房及び温度調整運転モード(図4参照)
この運転モードは、夏場ごとく主に冷房運転を行う時期、又は春及び秋のごとく、冷却水にて加熱された温風又はバイパス通路10を通過する加熱されていない冷風のみでは、車室内に吹き出す空気の温度を所望の温度にすることができず、エアミックスドア9にて冷風と温風とを混合して吹出空気の温度を調節する必要がある時期に実行されるモードである。
【0043】
具体的には、室内熱交換器33にて室内熱交換器33を通過する空気から吸熱して冷媒を蒸発させて室内熱交換器33を通過する空気を冷却するとともに、エンジン20と加熱器1との間で冷却水を循環させて加熱器1を通過する空気を加熱するものである。
【0044】
なお、吹出空気温度は、エアミックスドア9の開度、つまりバイパス通路10を通過する冷風量と加熱器1を通過する温風量とを調節することにより行うが、最大冷房運転時、つまり加熱器1側の空気通路を閉じる場合には、加熱器1への冷却水の供給を停止してもよい。
【0045】
ところで、蒸気圧縮式冷凍機30の作動の概略は以下のようなものである。すなわち、圧縮機31が稼働することにより、アキュムレータ35から気相冷媒が圧縮機31に吸入され、圧縮された冷媒が室外熱交換器32に吐出される。そして、室外熱交換器32にて冷却された冷媒は、エジェクタ34のノズルにて減圧膨張して室内熱交換器33内の冷媒を吸引する。
【0046】
なお、本実施形態では、冷媒を二酸化炭素として高圧側冷媒圧力、つまり圧縮機31の吐出圧を冷媒の臨界圧力以上としているので、高圧側熱交換器となる室外熱交換器32では、冷媒は凝縮することなく温度を低下させながらエンタルピを低下させる。
【0047】
そして、室内熱交換器33から吸引された冷媒とノズルから吹き出す冷媒とは、混合部にて混合しながらディフューザにてその動圧が静圧に変換されてアキュムレータ35に戻る。
【0048】
一方、エジェクタ34にて室内熱交換器33内の冷媒が吸引されるため、室内熱交換器33にはアキュムレータ35から液相冷媒が流入し、その流入した冷媒は、室内に吹き出す空気から吸熱して蒸発する。なお、本実施形態では、室内熱交換器33を通過した直後の空気温度が略3℃〜4℃となるように運転される。
【0049】
2.急速暖房運転モード(図5参照)
この運転モードは、エンジン始動直後等の冷却水温度が低く冷却水のみでは十分な暖房能力を得ることができない場合であって、かつ、エンジン20の暖機運転が終了する前に実施されるモードである。
【0050】
具体的には、冷却水を冷却水チューブ2に循環させることなくU字管4に循環させるとともに、圧縮機31か流出した高温・高圧の冷媒を加熱器1に供給して高温の冷媒にて室内に吹き出す空気と冷却水とを加熱するものである。因みに、冷却水温度が低いときには、通常、サーモスタット22がラジエータ21側を閉じているので、ラジエータ21側に冷却水は流れない。
【0051】
そして、加熱器1にて冷却された高圧冷媒は、減圧器36にて減圧された後、室外熱交換器32にて室外空気から吸熱して蒸発し、アキュムレータ35を経由して圧縮機31に吸引される。
【0052】
なお、本モードにおいても高圧側冷媒圧力を臨界圧力以上としているので、高圧側熱交換器となる室内熱交換器33では、冷媒は凝縮することなく温度を低下させながらエンタルピを低下させる。
【0053】
3.急速暖房&除湿運転モード(図6参照)
この運転モードは、エンジン始動直後等の冷却水温度が低く冷却水のみでは十分な暖房能力を得ることができない場合であって、かつ、エンジン20の暖機運転が終了する前に室内を除湿しながら暖房を行うモードである。
【0054】
具体的には、冷却水を冷却水チューブ2に循環させることなくU字管4に循環させるとともに、圧縮機31か流出した高温・高圧の冷媒を加熱器1に供給して高温の冷媒にて室内に吹き出す空気を加熱しつつ、室内熱交換器33にて冷媒を蒸発させて室内に吹き出す空気を除湿冷却するものである。
【0055】
なお、このモードでは、アキュムレータ35から圧縮機31に吸引された気相冷媒は加熱器1に流入する。そして、加熱器1にて冷却された冷媒は、エジェクタ34のノズルにて減圧膨張して室内熱交換器33内の冷媒を吸引し、この吸引された冷媒とノズルから吹き出す冷媒とは、混合部にて混合しながらディフューザにてその動圧が静圧に変換されてアキュムレータ35に戻る。
【0056】
一方、エジェクタ34にて室内熱交換器33内の冷媒が吸引されるため、室内熱交換器33にはアキュムレータ35から液相冷媒が流入し、その流入した冷媒は、室内に吹き出す空気から吸熱して蒸発する。
【0057】
因みに、本モードにおいても高圧側冷媒圧力を臨界圧力以上としているので、高圧側熱交換器となる室内熱交換器33では、冷媒は凝縮することなく温度を低下させながらエンタルピを低下させる。
【0058】
4.暖房運転モー
この運転モードは、冷却水温度が室内に吹き出す空気を加熱するに十分な温度(例えば、80℃以上)となって暖機運転が終了したときに実施されるモードである。
【0059】
具体的には、冷却水をU字管4に循環させることなく冷却水チューブ2に循環させるとともに、圧縮機31から流出した高温・高圧の冷媒を加熱器1に供給して高温の冷媒及び冷却水にて室内に吹き出す空気を加熱するものである。
【0060】
因みに、蒸気圧縮式冷凍機30の作動状態は急速暖房運転モードと同じであるが、冷却水温度が上昇しているため、高圧側冷媒圧力を臨界圧力未満としてもよい。
【0061】
なお、エンジン20で発生する廃熱量が十分に上昇してエンジン廃熱のみで暖房を行うことができる場合には、圧縮機31を停止して冷却水のみで室内に吹き出す空気を加熱してもよい。
【0062】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0063】
本実施形態では、冷却水を熱源として室内に吹き出す空気を加熱するヒータ機能と高圧冷媒を熱源とするヒータ機能とが1つの熱交換器(加熱器1)となっているので、空調装置が大型化してしまうことを防止でき、空調装置の車両への搭載性を向上させることができる。
【0064】
また、圧縮機31から吐出される冷媒の温度は、圧縮機31起動後、直ぐに臨界温度以上の所定温度となるので、エンジン20の始動直後から冷却水及び室内に吹き出す空気を加熱することができる。
【0065】
したがって、エンジン20の暖機運転を促進して冷間始動時に排出される有害物質を低減しつつ、室内を早期に暖房することができる。
【0066】
また、エンジン20を加熱するためのU字管4が加熱器1に一体化されているので、蒸気圧縮式冷凍機30で発生した熱を吸熱してエンジン20を加熱するための熱交換器を別途、エンジンルーム内に設ける必要が無く、冷媒配管及び冷却水配管の取り回しを容易なものとすることができる。
【0067】
また、冷却水の温度は、80℃〜90℃程度に保持されるのに対して、圧縮機31から吐出される冷媒の温度は、冷媒の臨界温度以上となり、冷却水の温度より高くなるので、本実施形態のごとく、冷媒チューブ3を冷却水チューブ2より空気流れ下流側に配置すれば、冷媒チューブ3を冷却水チューブ2より空気流れ上流側に配置した場合に比べて冷却水と空気との温度差を確保することができるので、冷却水及び冷媒と室内に吹き出す空気とを効率よく熱交換することができる。
【0068】
(その他の実施形態)
上述の実施形態(図2)では、チューブ2、3の長手方向は上下方向に一致していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばチューブ2、3の長手方向を水平方向に一致させてもよい。
【0069】
また、加熱器1の構造は、上述の実施形態(図2、3)に示された構造に限定されるものではない。
【0070】
また、上述の実施形態ではU字管4にて熱交換部を構成したが、本発明はこれに限定されものではない。
【0071】
また、上述の実施形態では、エジェクタ34にて冷媒を減圧したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばタービン等の膨脹機又は等エンタルピ減圧する膨脹弁を用いてもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、本発明に係る空調装置を車両用に適用し、かつ、廃熱源をエンジン20としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
また、上述の実施形態では、冷媒を二酸化炭素として高圧側の冷媒圧力を臨界圧力以上としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空調装置の模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る空調装置用加熱器の模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る空調装置の作動説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る空調装置の作動説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る空調装置の作動説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る空調装置の作動説明図である。
【符号の説明】
1…空調装置用加熱器、2…冷却水チューブ、3…冷媒チューブ、
4…U字管、4a…切替弁、5…冷却水タンク、6…冷媒タンク。

Claims (3)

  1. 内燃機関(20)の廃熱を回収した流体および蒸気圧縮式冷凍機の高圧側冷媒を熱源として室内の暖房を行う空調装置に適用されるとともに、室内に吹き出す空気中に配置される空調装置用加熱器であって、
    記内燃機関(20)から流出した前記流体を流すことによって前記流体と室内に吹き出す空気とを熱交換させるとともに、前記流体を前記内燃機関(20)側へ流出させて循環させる流体チューブ(2)と、
    記流体チューブ(2)に対して前記室内に吹き出す空気の空気流れ下流側に配置され、前記高圧側冷媒を流すことによって前記高圧側冷媒と室内に吹き出す空気とを熱交換させる冷媒チューブ(3)と、
    前記流体チューブ(2)に対して並列的に接続された通路を流れる流体を、前記冷媒チューブ(3)へ流入する高圧側冷媒および前記冷媒チューブ(3)から流出した高圧側冷媒と熱交換させる熱交換部(4、6)と
    前記流体を前記内燃機関(20)と前記流体チューブ(2)との間で循環させる流路と、前記流体を前記内燃機関(20)と前記熱交換部(4、6)との間で循環させる流路とを切り替える切替手段(4a)とを備え
    前記流体チューブ(2)、前記冷媒チューブ(3)および前記熱交換部(4、6)が一体的に構成されていることを特徴とする空調装置用加熱器。
  2. 前記熱交換部は、前記流体チューブ(2)に対して並列的に接続されたU字管(4)、および、前記冷媒チューブ(3)へ高圧側冷媒を供給するとともに、前記冷媒チューブ(3)から流出した高圧側冷媒を集合させる冷媒タンク(6)によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空調装置用加熱器。
  3. 室内に吹き出す空気が流れる空調ケーシング(8)と、
    前記空調ケーシング(8)内に配置された請求項1又は2に記載の空調装置用加熱器(1)とを備え、
    前記内燃機関(20)から流出する流体の温度が所定温度未満のときには、前記蒸気圧縮式冷凍機を稼動させた状態で前記流体を前記内燃機関(20)と前記熱交換部(4、6)との間で循環させる運転モードを有することを特徴とする空調装置。
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