JP2019131626A - 親水性組成物、及び親水性シート - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、ベタインモノマー及びアルコキシシリル基含有化合物を含有するモノマー成分を重合させてなるアルコキシシリル基含有ポリマーを含有する親水性コート剤や、この親水性コート剤を用いて形成された被膜を有する防曇性シート等が記載されている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、このような親水性シートにおいては、親水性が高くなるにつれて耐ブロッキング性が低下する傾向があることが分かった。このため、親水性に優れる親水性シートを製造した後、それをロール状に巻き取って保管したり、それを切断して重ねて保管したりした場合、その使用時に不具合が生じるおそれがあった。
したがって、双性イオンポリマーを含有する親水性層を有する親水性シートであって、親水性と耐ブロッキング性のいずれにも優れる親水性シートが要望されていた。
〔1〕下記(A)成分、及び(B)成分を含有する親水性組成物であって、(B)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して、60〜152質量部である親水性組成物。
(A)成分:双性イオンポリマー
(B)成分:ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の水性ポリエステル系樹脂
〔2〕前記(A)成分の双性イオンポリマーが、下記式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体である、〔1〕に記載の親水性組成物。
のいずれかで示される2価の基を表す。−G−は、脱プロトン化カルボキシ基(−COO−)又は脱プロトン化スルホ基(−SO3 −)を表す。mは、2〜5の整数を表す。〕
〔3〕前記式(1)中の−G−が、脱プロトン化スルホ基である、〔2〕に記載の親水性組成物。
〔4〕前記(A)成分の双性イオンポリマーが、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位、及び、カルボキシ基、スルホ基、又は、これらの基が塩基と反応してなる基を有する繰り返し単位(ただし、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位を除く。)を有する重合体である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の親水性組成物。
〔5〕前記(B)成分の水性ポリエステル系樹脂が、下記式(5)
で示される繰り返し単位を有する重合体である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の親水性組成物。
〔6〕Xで表される親水性基が、−SO3H、−CO2H、−PO3H2、又はこれらの基が塩基と反応してなる基である、〔5〕に記載の親水性組成物。
〔7〕さらに、下記の(C)成分を含有する、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の親水性組成物。
(C)成分:炭素数が0〜10の陽イオンを有するイオン性化合物
〔8〕基材シート上に、直接又はその他の層を介して親水性層が積層されてなる親水性シートであって、前記親水性層が、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の親水性組成物を用いて形成されたものである親水性シート。
本発明の親水性組成物は、下記(A)成分、及び(B)成分を含有する親水性組成物であって、(B)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して、60〜152質量部であることを特徴とする。
(A)成分:双性イオンポリマー
(B)成分:ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の水性ポリエステル系樹脂
本発明の親水性組成物は、(A)成分として、双性イオンポリマーを含有する。
本発明の親水性組成物は双性イオンポリマーを含有するため、この親水性組成物を用いることで、親水性に非常に優れる親水性層を効率よく形成することができる。
双性イオンポリマーとは、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位を有する重合体である。
双性イオンモノマーとは、分子内に重合性炭素−炭素二重結合と、カチオン性部と、アニオン性部とを有する化合物をいう。
双性イオンポリマーの質量平均分子量は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
エーテル結合を有しないアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
エーテル結合を有するアルキル基としては、下記式(6)又は(7)で示される基等が挙げられる。
式(7)中、R8は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、Z2は、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、Z3は、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、R8、Z2、Z3の炭素数の合計は、5〜10である。*は結合手を表す。
エーテル結合を有しないシアノアルキル基としては、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基、6−シアノヘキシル基等が挙げられる。
エーテル結合を有するシアノアルキル基としては、下記式(8)又は(9)で示される基等が挙げられる。
式(9)中、R10は、炭素数2〜7のシアノアルキル基を表し、Z5は、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、Z6は、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、R10、Z5、Z6の炭素数の合計は、6〜11である。*は結合手を表す。
エーテル結合を有しないアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基等が挙げられる。
エーテル結合を有するアルケニル基としては、下記式(10)又は(11)で示される基等が挙げられる。
式(11)中、R12は、炭素数2〜6のアルケニル基を表し、Z8は、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Z9は、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、R12、Z8、Z9の炭素数の合計は、6〜10である。*は結合手を表す。
無置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
置換基を有するアリール基の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
無置換のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の直鎖状アルキレン基;プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基等の分岐鎖状アルキレン基が挙げられる。
置換基を有するアルキレン基の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
R4、R5及びR6の置換基を有する若しくは有しない炭素数6〜20のアリール基の、炭素数6〜20のアリール基の炭素数は6〜10が好ましい。
無置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
置換基を有するアリール基の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
nは、1〜10の整数であり、1〜5の整数が好ましい。
式(1)中、mは、2〜5の整数であり、3又は4が好ましい。
式(1a)中、「−G−」が脱プロトン化カルボキシ基である化合物は、例えば、対応するアミン化合物〔下記式(1b)〕と、式:hal−(CH2)m−COOH(halはハロゲン原子を表し、mは前記と同じ意味を表す。)で表されるハロゲン化カルボン酸を反応させる方法等の、公知のカルボキシベタイン化合物の製造方法により得ることができる(特開平8−99945号公報、特開平7−278071号公報、特開2006-143634号公報、特開2006-143635号公報等)。
また、式(1a)中、「−G−」が脱プロトン化スルホ基である化合物は、例えば、下記式に示すように、対応するアミン化合物(1b)とスルトン化合物(1c)とを反応させることにより得ることができる。
アミン化合物(1b)は、公知の方法で製造し、入手することができる。
これらは、公知化合物であり、公知の方法で製造し、入手することができる。また、本発明においては、これらのスルトン化合物として市販品を用いることもできる。
用いる不活性溶媒としては、水;テトラヒドロフラン、ジグライム等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
不活性溶媒を用いる場合、その使用量は特に制限されないが、アミン化合物(1b)1質量部に対して、通常1〜100質量部である。
反応時間は、特に限定されないが、通常12〜332時間、好ましくは24〜168時間である。
反応は、酸素による酸化や、空気中の水分によるスルトン化合物(1c)の加水分解による収率の低下を防ぐ観点から、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
また、本発明においては、双性イオンモノマーとして市販品を用いることもできる。
双性イオンポリマーが、カルボキシ基、スルホ基、又は、これらの基が塩基と反応してなる基を有する繰り返し単位を有する場合、これらの繰り返し単位の量は、双性イオンポリマー全体を基準として、通常0〜50モル%、好ましくは1〜40モル%、より好ましくは5〜30モル%である。
有機過酸化物としては、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル類等が挙げられる。
アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)等の油溶性アゾ重合開始剤;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロロイド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルホネートジヒドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロロイド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等の水溶性アゾ重合開始剤;等が挙げられるが、水溶性アゾ重合開始剤が好ましく、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)が特に好ましい。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ラジカル重合反応の反応条件は、目的の重合反応が進行する限り特に限定されない。加熱温度は、通常40〜150℃であり、反応時間は、1分から24時間の範囲で適宜設定することができる。
得られた反応液は、そのまま親水性組成物の調製に用いてもよいし、常法に従って、双性イオンポリマーを単離、精製して用いてもよい。
本発明の親水性組成物は、(B)成分として、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の水性ポリエステル系樹脂(以下、「水性ポリエステル系樹脂(α)」ということがある。)を含有する。
本発明の親水性組成物は、水性ポリエステル系樹脂(α)を含有するため、この親水性組成物を用いることで、耐ブロッキング性に優れる親水性シートを製造することができる。
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸(またはジカルボン酸エステル)とジオールとをエステル化(またはエステル交換)させながら重縮合させる方法等により得られる樹脂である。
水性ポリエステル系樹脂(α)は、ポリエステル系樹脂に、水性(水溶性又は水分散性)が付与された樹脂である。
ガラス転移温度(Tg)が50℃未満の水性ポリエステル系樹脂を含有する親水性組成物を用いた場合、耐ブロッキング性に優れる親水性シートが得られ難くなる。
この質量平均分子量(Mw)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値である。
水性ポリエステル系樹脂(α)の水接触角は、例えば全自動接触角測定装置(協和界面科学株式会社製、DM−701)を用いて測定することができる。
水性ポリエステル系樹脂(α)の酸価は、通常0.1〜60mgKOH/g、好ましくは0.5〜15mgKOH/gである。
水性ポリエステル系樹脂(α)の酸価は、例えば、フェノールフタレイン溶液などの指示薬と水酸化カリウム溶液などのアルカリ性溶液を用いた中和点滴定法で測定することができる。
水性ポリエステル系樹脂(α)に含まれる親水性基としては、スルホ基(−SO3H)、カルボキシ基(−CO2H)、ホスホン酸基(−PO3H2)、ヒドロキシ基(−OH)、これらの基が塩基と反応してなる基等のアニオン系親水性基;置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換の窒素含有複素環基、これらの基が酸と反応してなる基等のカチオン系親水性基;等が挙げられる。
これらの中でも、親水性基としては、アニオン系親水性基が好ましく、−SO3H、−CO2H、−PO3H2、又はこれらの基が塩基と反応してなる基(以下、「これらの基が塩基と反応してなる基」を「アニオン系親水性基(β)」ということがある。)がより好ましい。
Arで表される芳香族基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Yで表されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の直鎖状アルキレン基;プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基等の分岐鎖状アルキレン基が挙げられる。これらの中でも、直鎖状アルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
Yで表されるアリーレン基としては、下記式で表される基、又は、その水素原子が置換されたものが挙げられる。
Yで表されるアリーレン基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記式(5)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位や、Xを有しない点を除き、上記式(5)で示される繰り返し単位と同様の構造を有するものが挙げられる。なかでも、下記式で示される構造の繰り返し単位が好ましい。
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸(またはジカルボン酸エステル)とジオールとをエステル化(またはエステル交換)させながら重縮合させる方法等の、従来公知の製造方法により得ることができる。
ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸およびそのエステル;アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸およびそのエステル;シクロヘキシルジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸およびそのエステル;ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸およびそのエステル;等が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルが好ましい。
ジカルボン酸エステルとしては、ジカルボン酸の、メチルエステル、エチルエステル等の、ジカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。これらのエステルはモノエステルであってもジエステルであってもよい。
これらの中でも、親水性と耐ブロッキング性のバランスに優れる親水性層を形成し易いことから、アクリル変性ポリエステル系樹脂が好ましい。アクリル変性ポリエステル系樹脂としては、例えば、主鎖としてポリエステル鎖を有し、側鎖としてアクリル系単量体由来の重合体鎖を有するグラフト共重合体が挙げられる。
本発明の親水性組成物は、前記(A)成分と(B)成分を含有する。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、60〜152質量部であり、好ましくは70〜150質量部、より好ましくは80〜120質量部である。
溶媒の含有量は、取り扱い性や塗布適性の観点から、本発明の親水性組成物の固形分濃度が0.5〜30質量%となるように調整することが好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
その他の樹脂成分としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、(メタ)アクリル酸系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
本発明の親水性組成物がその他の樹脂成分を含有する場合、その含有量は、(A)成分100質量部に対して、通常50質量部以下、好ましくは40質量部以下である。
M’としては、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;マグネシウムイオン;等が挙げられる。
Xとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;炭酸水素イオン;硝酸イオン;等が挙げられる。
X’としては、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
炭素数が1〜10の陽イオンを有するイオン性化合物としては、〔(CH3)NH3〕Cl、〔(CH3)2NH2〕Cl、〔(CH3)3NH〕Cl、〔(CH3)4N〕Cl等が挙げられる。
親水性組成物中の、炭素数が0〜10の陽イオンを有するイオン性化合物の含有量は、(A)成分100質量部に対して、通常1〜70質量部、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
架橋剤とは、本発明の親水性組成物を構成する樹脂成分と反応して、架橋構造を形成し得る化合物である。
架橋剤を含有する親水性組成物を用いることで、耐水性に優れる親水性層を形成することができる。
エポキシ系架橋剤としては、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
本発明の親水性組成物が架橋剤を含有する場合、その含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。
添加剤としては、界面活性剤、保湿剤、粘度調整剤、色素等が挙げられる。
本発明の親水性組成物は、公知の方法を用いて、上記の成分を混合することにより調製することができる。
親水化の対象となる固体は特に限定されない。固体の種類としては、ガラス、陶器、磁器、琺瑯、タイル、セラミックス等の無機物;アルミニウム、ステンレス、真鍮等の金属;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等の合成樹脂;木綿、パルプ、絹、羊毛等の天然繊維;等が挙げられる。
親水化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の物理的表面処理;酸接触等の化学的表面処理;プライマー層の形成;等が挙げられる。
ただし、本発明の親水性組成物によれば、このような親水化処理を行わなくても、固体表面との密着性に優れる親水性層を形成することができる。
塗膜の乾燥温度は、通常30〜150℃、好ましくは50〜100℃である。加熱時間は、通常5秒〜10分、好ましくは20秒〜5分、より好ましくは40秒〜2分である。
乾燥後、必要に応じて、親水性層が形成された固体を適切な環境に静置し、シーズニング処理を施すことが好ましい。
親水性層の水接触角は、通常15〜50°、好ましくは20〜40°である。
本発明の親水性シートは、基材シート上に、直接又はその他の層を介して親水性層が積層されてなるものであって、前記親水性層が、本発明の親水性組成物を用いて形成されたものである。
基材シートとしては、樹脂シート、金属箔、無機シート、紙、及びこれらが積層化してなるもの等が挙げられる。
樹脂シートの表面は親水化処理が施されていてもよい。
親水化処理としては、先に説明したものが挙げられる。
無機シートを構成する無機化合物としては、ガラス等が挙げられる。
基材シートの厚さは、通常20〜200μm、好ましくは30〜100μmである。
親水性シート中の親水性層は、先に説明した方法を使用して形成することができる。
親水性シート中の親水性層の好ましい厚さ及び水接触角は、先に説明したものと同様である。
シロキサン系ポリマーとは、シロキサン結合(Si−O−Si)を有するポリマーである。シロキサン系ポリマーは、通常、加水分解性有機ケイ素化合物を加水分解重縮合させることにより得ることができる。この「加水分解性」とは、水との反応によりシラノール基を生成させる性質をいう。
なお、前記シロキサン系ポリマーの前駆体化合物を含有する塗布液としては、いわゆるアルコール性シリカゾルとして知られる市販品を用いてもよい。
したがって、本発明の親水性シートは、親水性と耐ブロッキング性のいずれにも優れる。
各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
双性イオンポリマーの質量平均分子量(Mw)は、以下の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を行って求めた。
カラム:TSKgelGMPWXL(東ソー株式会社製)×2
検出器:HLC−8320GPC 内蔵RI検出器/UV−8320(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料濃度:1.0g/L(ポリマー成分濃度)
注入量:100μL
溶離液:0.2M NaNO3水溶液
流速:1.0mL/分
分子量マーカー:標準ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール
撹拌装置付きの反応容器内に、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド100部、ジブチルヒドロキシトルエン0.4部、アセトン267部を仕込み、内容物を撹拌しながらゆっくりとプロパンサルトン78部を滴下した。その後、内容物を25℃で24時間撹拌し、析出した白色固体をろ取し、これを乾燥することで、双性イオンモノマー(N−アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホキシベタイン)を得た。
撹拌装置付きの反応容器内に、N−アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホキシベタイン98.7部、アクリル酸1.3部、重合開始剤(和光純薬株式会社製、製品名「V−501」、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸))0.21部、蒸留水234部を入れ、反応容器内に窒素を導入しながら25℃で30分間撹拌した。その後、系内を80℃まで上昇させ、そのまま12時間撹拌することで重合反応を行い、双性イオンポリマーを含有する溶液を得た。得られた双性イオンポリマーの質量平均分子量は、720,000であった。
製造例2で得られた、双性イオンポリマーを含有する溶液(固形分100部)、塩化ナトリウム17部、水性ポリエステル系樹脂(1)含有液〔互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート RZ−105」(固形分濃度25%)〕(固形分100部)を加え、蒸留水を加えて固形分濃度を2.0%に調整し、このものを十分に撹拌して親水性組成物を得た。
次いで、このシロキサン系ポリマーを含有する層上に、前記親水性組成物を塗布し、得られた塗膜を100℃で1分間加熱して、厚さが1μmの親水性層を形成し、親水性シートを得た。
実施例1において、各成分の種類と量を第1表に記載のとおりに変更したことを除き、実施例1と同様にして親水性組成物と親水性シートを得た。
なお、各例においては、以下の市販品を使用した。
水性ポリエステル系樹脂(1)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート RZ−105」(固形分濃度25%)、Tg54℃、分子量16,000
水性ポリエステル系樹脂(2)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート Z−760」(固形分濃度25%)、Tg52℃、分子量3,000
水性ポリエステル系樹脂(3)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート Z−687」(固形分濃度25%)、Tg110℃、分子量26,000
水性ポリエステル系樹脂(4)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート Z−690」(固形分濃度25%)、Tg110℃、分子量28,000
水性ポリエステル系樹脂(5)含有液:東洋紡績株式会社製、製品名「MD−1245」固形分濃度30%)、Tg64℃、分子量20,000
水性ポリエステル系樹脂(6)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート Z−221」(固形分濃度20%)、Tg47℃、分子量14,000
実施例及び比較例で得られた親水性シートの親水性層上に、イオン交換水2μLを滴下した。全自動接触角測定装置(協和界面科学株式会社製、Drop Master、DM−701)を用いて、滴下から3秒後の水滴について水接触角を測定した。
実施例及び比較例で得られた親水性シートを1辺5cmの正方形に3枚切り出した。これらを重ねた後、2kgの重りを乗せた。これを、温度40℃、相対湿度80%の環境に1週間静置した後、親水性シート間の貼り付きの有無を調べ、以下の基準で耐ブロッキング性を評価した。
A:貼り付き無し
B:僅かに貼り付き有り
C:貼り付き有り
実施例1〜7で得られた親水性シートは、水接触角が小さく、親水性に優れている。さらに、これらの親水性シートは耐ブロッキング性にも優れている。
一方、比較例1で得られた親水性シートは、ガラス転移温度が低い水性ポリエステル系樹脂を含有する親水性組成物を用いて得られたものであるため、耐ブロッキング性に劣っている。
また、比較例2、3で得られた親水性シートは、水性ポリエステル系樹脂の量が少ない親水性組成物を用いて得られたものであるため、耐ブロッキング性に劣っている。
Claims (8)
- 下記(A)成分、及び(B)成分を含有する親水性組成物であって、(B)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して、60〜152質量部である親水性組成物。
(A)成分:双性イオンポリマー
(B)成分:ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の水性ポリエステル系樹脂 - 前記(A)成分の双性イオンポリマーが、下記式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体である、請求項1に記載の親水性組成物。
のいずれかで示される2価の基を表す。−G−は、脱プロトン化カルボキシ基(−COO−)又は脱プロトン化スルホ基(−SO3 −)を表す。mは、2〜5の整数を表す。〕 - 前記式(1)中の−G−が、脱プロトン化スルホ基である、請求項2に記載の親水性組成物。
- 前記(A)成分の双性イオンポリマーが、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位、及び、カルボキシ基、スルホ基、又は、これらの基が塩基と反応してなる基を有する繰り返し単位(ただし、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位を除く。)を有する重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の親水性組成物。
- Xで表される親水性基が、−SO3H、−CO2H、−PO3H2、又はこれらの基が塩基と反応してなる基である、請求項5に記載の親水性組成物。
- さらに、下記の(C)成分を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の親水性組成物。
(C)成分:炭素数が0〜10の陽イオンを有するイオン性化合物 - 基材シート上に、直接又はその他の層を介して親水性層が積層されてなる親水性シートであって、
前記親水性層が、請求項1〜7のいずれかに記載の親水性組成物を用いて形成されたものである親水性シート。
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