JP2019131389A - 吸引式ベルト搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】決められた用紙の位置を維持しつつ、用紙に浮きや弛み、シワが発生することなく用紙を搬送する。【解決手段】本発明の一態様の吸引式ベルト搬送装置は、複数の吸着孔を有するベルトと、ベルトに当接し、かつ、ベルトに当接する部位に、通気性を有する通気部材を配置した減圧室と、減圧室の内部を減圧状態にする減圧部と、を備える。吸引式ベルト搬送装置は、吸着孔及び通気部材を通して、用紙幅方向において位置決めされてベルト上に搬送された用紙を減圧室側に吸引しつつ、ベルト駆動部によりベルトを所定のベルト駆動方向に駆動して用紙を搬送する。そして、ベルトに搬送された用紙の吸引を行う際に、用紙の一方の位置決めされた側端部側が減圧部により優先的に吸引される構成を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、吸引式ベルト搬送装置及び画像形成装置に関する。
複数のローラーの間に掛け渡されて駆動される無端のベルトに表面及び裏間の通気を可能にする小さな貫通孔(以下「吸着孔」とも記す)が複数形成され、吸着孔を通してベルトの上に載置される被搬送物をベルトの面に吸引しつつ搬送するベルト搬送装置(以下「吸引式ベルト搬送装置」とも記す)が知られている。
吸引式ベルト搬送装置は、排気手段により内部を大気圧よりも低い気圧に保持した減圧室を設け、ベルトの吸着孔を通してベルトに載置された被搬送物を減圧室に向かって吸引する。通常、減圧室は、その上面部のベルトに当接する部位に、減圧室への空気の流入を可能にする通気孔を複数配した通気板を有している。通気板は広い面でベルトに当接し、ベルトを支持するようにも機能する。そして、被搬送物は、ベルトの吸着孔と減圧室の通気板の通気孔を通して減圧室に向かって吸引されることによりベルトの面に吸着されて搬送される。
このような、吸引式ベルト搬送装置においては、被搬送物は搬送途中でベルトの載置位置からズレを生じることがなく、ベルトの駆動速度で搬送される。そのため、吸引式ベルト搬送装置は、用紙(記録紙)を搬送しつつ用紙の表面に画像情報を出力して画像形成を行う画像形成装置、例えばインクジェット記録装置の用紙搬送装置として好適に使用される。インクジェット記録装置には、画像と用紙の位置に高い精度(一例として0.1mm以下)が求められている。
特許文献1には、吸引式ベルト搬送装置において記録紙の前端中央を吸着開始位置として記録紙の吸着を行うことにより、記録紙にシワを生じにくくさせる技術が記載されている。用紙幅方向の中央部が凸形状であり、記録紙が搬送下流側に搬送されるに従い吸引面積が増える構成である。この場合、記録紙が搬送されると、最初に中央部からベルトに吸着され、記録紙がベルト駆動方向へ移動すると共に記録紙の側端部方向に吸着部分が進行する。これにより、記録紙の表面にシワが生じにくい吸着搬送が可能となるとされている。
特開2007−302406号公報
しかしながら、用紙位置調整部(例えばアライナー)により用紙搬送方向に平行な用紙側端部を基準に、用紙の用紙幅方向(用紙搬送方向に直交する方向)の位置を決める場合においては、特許文献1に記載の技術で位置が決められた用紙側端部と吸着開始位置(用紙前端中央)とが異なる。そのため、用紙幅方向の用紙側端部位置にずれが発生する(特許文献1の図8参照)。これが、用紙側端部に対する印字位置のずれとなり、用紙Pに対する印字位置の基準(マーカー)のずれにつながる。その結果、後処理工程(抜き、折り等)で位置ずれの問題が生じる。このような問題は、特にうねりやシワ等を生じやすい薄紙で顕著となる。例えばベルト表面から少し浮いた状態にある用紙の中央から側端部側へ徐々に吸着した場合、ベルト搬送装置よりも上流での用紙側端部位置とベルト搬送装置上での用紙端部位置が異なり、用紙側端部と画像の位置がずれる問題が発生する。
上記の状況から、決められた用紙の位置を維持しつつ、用紙に浮きや弛み、シワが発生することなく用紙を搬送する吸引式ベルト搬送装置及び画像形成装置が要望されていた。
本発明の一態様の吸引式ベルト搬送装置は、複数の吸着孔を有する無端のベルトと、そのベルトを駆動するベルト駆動部と、ベルトに当接し、かつ、ベルトに当接する部位に、通気性を有する通気部材を配置した減圧室と、その減圧室の内部を減圧状態にする減圧部と、を備える。このような構成を有する吸引式ベルト搬送装置は、吸着孔及び通気部材を通して、用紙搬送方向に直交する方向において位置決めされてベルト上に搬送された用紙を減圧室側に吸引しつつ、ベルト駆動部によりベルトを所定のベルト駆動方向に駆動して用紙を搬送する。吸引式ベルト搬送装置は、ベルトに搬送された用紙の吸引を行う際に、用紙の一方の位置決めされた側端部側が減圧部により優先的に吸引される構成を有する。
本発明の少なくとも一態様によれば、決められた用紙の位置を維持しつつ、用紙に浮きや弛み、シワが発生することなく用紙を搬送することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置が組み込まれたインクジェット記録装置の一例を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る用紙位置調整部の概略を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置における吸引の仕組みを示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る吸着補助機構を備えた吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る吸着補助機構の押圧部の移動例を示す上面模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る吸着補助機構の押圧部を移動させるための移動機構の説明図であり、図8Aは移動機構の上面図、図8Bは移動機構の側面図である。 本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御系を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る吸着補助機構の押圧部の変形例1としてのボール押圧部を示す説明図であり、図10Aはボール押圧部の側面図、図10Bはボール押圧部の断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る吸着補助機構の押圧部の変形例2としての毛歯車を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る吸着補助機構の押圧部の変形例3としてのエア吹き付け部を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係る吸着補助機構の押圧部の配置例を示す上面模式図である。 本発明の第3の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。 本発明の第3の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の用紙幅方向で吸引力の大きさを異ならせる仕組みを示す説明図である。 本発明の第3の実施形態の第1の変形例に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す説明図である。 本発明の第3の実施形態の第2の変形例に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。 本発明の第4の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。 本発明の第5の実施形態に係る減圧室の天面を構成する通気板の一例を示す説明図である。 本発明の第6の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す説明図であり、図20Aは吸引式ベルト搬送装置のベルトを取り外した状態の減圧室の概略上面図、図20Bは減圧室の概略断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。 本発明の第8の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置が組み込まれたインクジェット記録装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記の順序で行う。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
1.第1の実施形態(多孔質体のベルト駆動方向上流側の端部を、一方の用紙側端部から他方の側端部にかけて斜めに形成した例)
2.第2の実施形態(複数の押圧部を、多孔質体のベルト駆動方向上流側において一の側端部から他の側端部にかけて斜めに配置した例)
3.第3の実施形態(用紙の位置決めされた側端部側からその反対側にかけて吸引力を小さくなるように設定した例)
4.第4の実施形態(全面吸着エリアの吸引力を吸着開始エリアよりも小さくした例)
5.第5の実施形態(減圧室の天面を通気板で構成した例)
6.第6の実施形態(用紙サイズに応じて減圧空間の大きさを変更する例)
7.第7の実施形態(用紙側端部センサと揺動機構を備えた例)
8.第8の実施形態(温度測定部と加熱部を備えた例)
<1.第1の実施形態>
まず、吸引式ベルト搬送装置が組み込まれた画像形成装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置が組み込まれたインクジェット記録装置の一例を示す模式図である。図1において、ベルト20が駆動される方向であるベルト駆動方向(用紙搬送方向に同じ)をX方向(第1の方向)、ベルト駆動方向に直交する方向をY方向(第2の方向)、ベルト面に垂直な方向をZ方向(第3の方向)とする。以下では、画像形成装置としてインクジェット記録装置1を例に挙げて説明するが、画像形成装置はこの例に限らず電子写真方式の画像形成装置等に適用することもできる。
インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド42(図5参照)に設けたノズルからインクを吐出することで用紙に画像を形成(記録)するものである。このインクジェット記録装置1には、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のインクを重ね合わせるカラーインクジェット記録装置が用いられる。
図1において、インクジェット記録装置1は、用紙位置調整部10、吸引式ベルト搬送装置2、及びヘッドユニット40(画像出力部の一例)を有している。インクジェット記録装置1は、操作表示部53(図5参照)から入力されたジョブ(画像データ、出力設定情報)に基づき、不図示の給紙装置から送り出されて吸引式ベルト搬送装置2により吸着搬送された用紙Pに、ヘッドユニット40により画像あるいは文字情報を出力して画像形成を行う。これら、インクジェット記録装置1における画像形成動作は、制御部51により制御される。給紙装置は、例えば、シート体である用紙Pを収納する容器である用紙収納トレイ及び用紙取り出しローラー(いずれも図示略)を有し、用紙収納トレイに収納された用紙Pを用紙取出しローラーにより1枚ずつ取り出し、用紙位置調整部10に搬送する。
吸引式ベルト搬送装置2は、無端のベルト20と、モーター等の駆動源により回転駆動される駆動ローラー21と、従動ローラー22と、テンションローラー23と、ガイドローラー24a,24bと、押さえローラー25と、減圧室30とを有する。ベルト20は、駆動ローラー21と従動ローラー22の間に掛け渡されて駆動ローラー21により駆動される。このときベルト20は、テンションローラー23によりテンションが維持されつつ、ガイドローラー24a,24bに案内されながら駆動する。ベルト20には、表裏を貫通する複数の吸着孔20h(図3の上側図参照)が形成されている。
減圧室30は、天面が開口され且つ底部を有する凹型の筐体構造であり、駆動ローラー21と従動ローラー22との間隙に配置される。減圧室30の天面部のベルト20に当接する部位には、細孔(≠貫通孔)が3次元に無数に形成された多孔質体31が配置されている。多孔質体31は、ベルト20に当接する部位において減圧室30の内部と外部との通気を可能にする通気性を有する。多孔質体31は、減圧室30の天面に形成された開口を塞ぐ蓋としても機能する。減圧室30の内部の空気(雰囲気)がファン(減圧部の一例)により排気されることで、減圧室30の内部は大気圧よりも低い気圧の減圧状態(負圧状態)に保たれる。吸引式ベルト搬送装置2の吸引の概要については、後に図3及び図4を参照して詳しく説明する。
ヘッドユニット40は、画像出力部を構成するインクジェットヘッド42(図5参照)を備え、その下部を搬送される用紙Pに、インクジェットヘッド42よりインクを噴射し、用紙Pの面上に画像や文字等を形成する。例えば、本実施形態によるヘッドユニット40は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する4個のインクジェットヘッド42を備え、4色のインクを噴射することにより用紙P上にカラー画像や文字等を形成する。4個のインクジェットヘッド42のそれぞれがインクを噴射するタイミングと噴射するインクの量は、制御部51(図5参照)により制御される。
インクジェット記録装置1は排紙トレイ(図示略)を有し、ヘッドユニット40により画像形成された用紙Pは排紙トレイに収容される。
次に、第1の実施形態に係る用紙位置調整部10の概略について図2を参照して説明する。
図2は、用紙位置調整部10の概略を示す説明図である。
用紙位置調整部10は、ベルト20よりも用紙搬送方向上流側に設けられた、用紙Pの搬送方向に平行な側端部の一方を用紙搬送方向に直交する方向において位置決めする。用紙位置調整部10としては、一例としてアライナーを用いることができる。例えば図2に示すように、アライナーが適用された用紙位置調整部10は、突き当て部材11と4つの斜行ベルト搬送部12a〜12dとを有する。
突き当て部材11は、用紙搬送方向(XZ平面)な面を有し、その面に用紙Pの一方の側端部s1が突き当てられる。斜行ベルト搬送部12a〜12dはそれぞれ、矢印で表した用紙搬送方向に対して突き当て部材11に向くように斜めに配置されて独立に駆動する無端のベルトを有する。斜行ベルト搬送部12a〜12dは、斜めに配置されているために、給紙された用紙Pを用紙搬送方向の下流側へ搬送するとともに用紙Pを突き当て部材11へ近づけていく。
不図示の給紙装置から用紙位置調整部10へ用紙Pが給紙されると、用紙Pは斜めに配置された斜行ベルト搬送部12a〜12dにより順次搬送される。このとき用紙Pは、吸引式ベルト搬送装置2へ向けて搬送されるとともに、徐々に突き当て部材11側に寄せられ、吸引式ベルト搬送装置2に到達する前に突き当て部材11にその側端部が突き当てられる。このようにして用紙Pの一方の側端部が突き当てられてその位置が規制されることにより、用紙Pの用紙幅方向(Y方向)の位置が決められる。
なお、用紙Pの側端部の位置決めは、用紙位置調整部10に限らず、他の機構により行われてもよい。
次に、第1の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置2における吸引の仕組みについて図3を参照して説明する。
図3は、吸引式ベルト搬送装置2における吸引の仕組みを示す説明図である。図3の上側図は吸引式ベルト搬送装置2の上面図、図3の下側図は吸引式ベルト搬送装置2の概略断面図である。
上述したように、ベルト20には、表裏を貫通する複数の吸着孔20hが形成されている(図3の上側図参照)。減圧室30に設置された多孔質体31は、減圧室30の天面を構成する部材として筐体構造を形成すると共に、ベルト20に当接してベルト20の面を平面に支持するようにも機能する。多孔質体31は、例えばフェルトや、繊維を合成樹脂その他の接着剤で接合して布状にした不織布などが適用され、無数の細孔を通じて表側と裏側との通気が可能である。減圧室30の内部は、ファン33により雰囲気が排気されることにより減圧空間32となっている。なお、減圧部として、ファンの他に、ブースター、ポンプ等を用いてもよい。
ベルト20上に載置された被搬送物である用紙Pは、ベルト20の複数の吸着孔20h及び多孔質体31を通して減圧室30側に吸引され、ベルト20の表面(吸着面)に吸着しながら搬送される。
なお、後述するように減圧室30を複数の小部屋(図15、図20参照)に分割し、それぞれの小部屋を減圧空間としてもよい。本発明の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置2において、減圧室30を構成する小部屋の数は、吸引式ベルト搬送装置2が使用される条件に適応して決定してよい。
次に、第1の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置2における吸引搬送方法について図4を参照して説明する。
図4は、第1の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置2の一例を示す上面模式図である。多孔質体31は各ローラーなどとともにベルト20の下方に配置されているが、図4では多孔質体31を実線で記載している。この多孔質体31は、用紙Pの搬送に伴い用紙Pを幅方向の片側から吸着するための構造になっている。
図4に示すように、多孔質体31のベルト駆動方向上流側に位置する後端は、ベルト駆動方向と直交する用紙幅方向に対して斜めである。即ち、多孔質体31の一方の側端部31s1における後端の位置に対し、多孔質体31の他方の側端部31s2における後端の位置がベルト駆動方向の下流側に変位している。多孔質体31の側端部31s1は、用紙Pの位置決めされた側に対応する。即ち、多孔質体31のベルト駆動方向上流側の端部が、用紙Pの位置決めされた側端部31s1側から他方の側端部31s2側にかけてベルト駆動方向の下流側(以下単に「下流側」と称することもある)に変位するように形成されている。
搬送された用紙Pがベルト20の多孔質体31に対応する部分(吸着領域)に掛かる際、始めに多孔質体31の一方の側端部31s1のベルト駆動方向上流側(吸着開始部Ps)が用紙Pの前端と交差する。そのため、吸引式ベルト搬送装置2は、用紙Pの側端部が位置決めされた状態で用紙Pを吸着搬送しながら、用紙Pの前端のうち、用紙Pの位置決めされた側端部側から吸着を行い徐々に他方の側端部側を吸引する。吸着開始部Psは、優先的に吸着を行う対象となり得る優先吸着部である。優先的に吸着を行うとは、最初に吸着を開始すること、もしくは、他の場所よりも吸引力を強めて吸着を行うことである。
ここでは、多孔質体31(及び減圧室30)のベルト駆動方向上流側の側端部(側端部31s1及びその付近を含む部分)をその他の部分と比較して上流側へ向かって凸形状若しくは突状に形成して、用紙Pの吸着開始場所を決定できればよい。この条件を満たすならば、多孔質体31のベルト駆動方向上流側の一方の側端部31s1側の頂点(吸着開始部31pと交差)から他方の側端部31s2側の頂点を結ぶ線分は、直線でなく曲線や階段状の線でもよい。
図1のように、吸引式ベルト搬送装置2に用紙Pが搬送される際に、用紙位置調整部10により用紙Pの片方の側端部の位置を基準に用紙Pが搬送された場合、このような多孔質体31の形状により、用紙Pの吸着を位置決めされた側端部側から開始することができる。それにより、吸引式ベルト搬送装置2は、用紙Pの位置決めされた側端部の位置を維持しつつ用紙Pを搬送することができる。
次に、吸引式ベルト搬送装置2が組み込まれたインクジェット記録装置1の制御系の構成について図5を参照して説明する。
図5は、インクジェット記録装置1の制御系の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、インクジェット記録装置1は、制御部51を備えている。制御部51は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成される。メモリ52は、制御部51が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)や制御部51の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)やから構成される。また、メモリ52は、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)等でもよい。メモリ52には、入力された印刷ジョブや用紙サイズと用紙位置調整部10により調整される用紙Pの側端部の位置との対応関係の情報等が格納される。制御部51は、印刷ジョブに含まれる画像データのRIP(Raster Image Processor)処理や色変換処理を行う。
また、インクジェット記録装置1は、操作表示部53と、用紙位置調整部10と、ベルト駆動部54と、ファン駆動部55と、ヘッドユニット40と、通信インターフェース56とを有している。
制御部51は、操作表示部53、用紙位置調整部10、ベルト駆動部54、ファン駆動部55、ヘッドユニット40、及び通信インターフェース56にそれぞれシステムバスを介して接続され、装置全体を制御する。
操作表示部53は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部53は、ユーザに対する指示メニュー、ノズルの吐出検出動作に関する情報や取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部53は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける入力部としての役割を持つ。
用紙位置調整部10は、制御部51の制御の下で、斜行ベルト搬送部12a〜12dを駆動させて搬送されてきた用紙Pの側端部を突き当て部材11に突き当てて、用紙Pの側端部の位置を調整する。
ベルト駆動部54は、制御部51の制御の下で、吸引式ベルト搬送装置2のベルト20の駆動を制御する。
ファン駆動部55は、制御部51の制御の下で、吸引式ベルト搬送装置2の減圧室30の減圧空間32から空気を排出するファン33の駆動(例えば回転速度)を制御する。ファン33の駆動を制御することにより、減圧空間32の減圧状態即ち用紙Pに対する吸引力が調整される。ファン33は、用紙搬送方向に直交する方向において位置決めされてベルト20に載置された用紙Pを、複数の吸着孔20h及び多孔質体31を通して減圧室30側に吸引する。
ヘッドユニット40は、制御部51によって画像処理された画像データを受け取り、画像データに基づいて用紙P上に所定の画像を形成する。具体的には、ヘッドユニット40は、ヘッド駆動部41を駆動することで、インクジェットヘッド42からインクを所定の位置に吐出させる。ヘッドユニット40の上流側には、制御部51の制御により、近傍を通過する用紙Pが所定の温度となるように発熱を行う不図示の加熱部が設けられている。
上述したようにヘッドユニット40は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に応じて4つ設けられている。4つのヘッドユニット40は、用紙Pの搬送方向に対して上流側から、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの順に配置されている。
ヘッドユニット40は、用紙Pの搬送方向と直交する幅方向(主走査方向)において用紙Pの全体を覆う長さ(幅)に設定されている。すなわち、インクジェット記録装置1は、ワンパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。4つのヘッドユニットは、それぞれ吐出するインクの色が異なるのみで、互いに同一の構成を有している。
通信インターフェース56は、例えばNIC(Network Interface Card)やモデム等で構成され、LAN等のネットワークNを介して通信相手装置との接続を確立し、各種データの送受信を実行する。そして、通信インターフェース56は、通信相手装置から印刷ジョブ(画像データ、出力設定)を受信する。通信インターフェース56は、受信した画像データを制御部51に出力する。そして、制御部51は、通信インターフェース56から受信した画像データを画像処理する。また、制御部51が、受信した画像データに対し、必要に応じて、シェーディング補正、画像濃度調整、画像圧縮等の画像処理を行うように構成してもよい。
上述した第1の実施形態によれば、搬送された用紙Pがベルト20の多孔質体31に対応する部分(吸着領域)に掛かる際、多孔質体31の一方の側端部31s1のベルト駆動方向上流側(吸着開始部31p)が用紙Pの前端と交差する。そのため、吸引式ベルト搬送装置2は、用紙Pの側端部が位置決めされた状態で用紙Pを吸着搬送しながら、用紙Pの前端のうち、用紙Pの位置決めされた側端部側から吸着を行い徐々に他方の側端部側を吸引することができる。即ち、本実施形態では、ベルト20に搬送された用紙Pの吸引を行う際に、用紙Pの一方の位置決めされた側端部s1側が、複数の吸着孔20hと多孔質体31を通じて優先的に吸引される。それゆえ、吸引式ベルト搬送装置2は、用紙位置調整部10により決められた用紙Pの用紙幅方向(ベルト駆動方向に直交する方向)の位置を維持しつつ、用紙Pに浮きや弛み、シワが発生することなく用紙Pを吸着搬送することができる。
さらに、インクジェット記録装置1は、吸引式ベルト搬送装置2による吸着搬送中でも用紙Pの用紙幅方向の位置が維持されるため、用紙Pに対し印字位置の基準(マーカー)を正確に設定することが可能になる。そして、用紙Pに対し印字位置の基準を正確に設定できることにより、印字後の後処理工程(抜き、折り等)を高い精度で実行することができる。
<2.第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の吸引式ベルト搬送装置2に、用紙Pの吸着を補助するための吸着補助機構を設けた例である。
図6は、第2の実施形態に係る吸着補助機構を備えた吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。
吸引式ベルト搬送装置2Aは、複数の押圧部61a〜61dを有し、複数の押圧部61a〜61dにより用紙Pをベルト20の吸着面側へ押圧して用紙Pの吸着を補助する吸着補助機構60を備える。複数の押圧部61a〜61dの各々は、多孔質体31の、ベルト20により搬送される用紙Pの一方の側端部31s1側の吸着開始部Psに対応する位置若しくはその近傍の位置から、その位置よりも用紙Pの他方の側端部側かつベルト駆動方向下流側に対応する位置へ順次変位して配置される。なお、押圧部の数は、4個に限定されず、複数個であればよい。
このように複数の押圧部61a〜61dを配置することにより、多孔質体31に対応する領域(吸着領域)に搬送されてきた用紙Pの前端に対し、位置決めされた側端部s1側から押圧部61aによる吸着補助を開始することができる。続いて、押圧部61b〜61dは、押圧部61aにより吸着補助が開始された後、用紙Pの側端部s1側からその反対側の側端部s2側へかけて順次、吸着の補助を行う。
押圧部61a〜61dとしては、一例としてローラーが用いられる。ローラーが用紙Pの表面に当接することにより、ローラーが当接した部分の用紙Pがベルト20側に押圧され、用紙Pの該当する部分の吸着が補助される。それにより、用紙Pのローラーにより押圧された部分は、押圧されていない部分よりも確実にベルト20の表面に吸着される。このローラーの用紙Pに対する押圧は、自重によるものでも、弾性部材の弾性力等を利用するものでもよい。
搬送対象の用紙Pの用紙サイズ(用紙幅方向の長さ:用紙幅)が異なると、吸着開始位置(優先吸着位置)が変わる。そこで、吸着補助機構60は、搬送対象の用紙Pの用紙サイズに合わせて、複数の押圧部61a〜61dの用紙幅方向における位置を可変できることが望ましい。
図7は、第2の実施形態に係る吸着補助機構60の押圧部61a〜61dの移動例を示す上面模式図である。図7には、直前に搬送された用紙Pよりも用紙サイズの小さい用紙P1が搬送されてきた場合の例が示されている。
制御部51は、吸引式ベルト搬送装置2Aに用紙P1が搬送されてくると(図7の下側図)、用紙P1の用紙幅に合わせて、押圧部61a〜61dをそれぞれ用紙幅方向における中央位置に適宜移動させ、隣接する押圧部の間隔を狭める。吸着領域に搬送される用紙Pの用紙サイズ等の用紙情報は、印刷ジョブの出力設定に含まれている。制御部51は、この用紙サイズの情報に基づいて、押圧部61a〜61dの用紙幅方向の位置を変更する。直前のものよりも用紙サイズが大きい用紙Pに対しては、制御部51は、押圧部61a〜61dを逆方向に移動させる、即ち隣接する押圧部の間隔が広がるように押圧部61a〜61dを移動させる。
次に、吸着補助機構60の押圧部61a〜61dを移動させる機構について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る吸着補助機構60の押圧部61a〜61dを移動させるための移動機構の一例を示す。図8Aは移動機構の上面図、図8Bは移動機構の側面図である。押圧部61a〜61dの移動機構は同様の構成であるため、代表して押圧部61aの移動機構について説明する。
吸着補助機構60における押圧部61a〜61dを移動させる機構は、一例としてボールネジ機構を用いて実現できる。吸着補助機構60は、押圧部61a(ローラー)、モーター62、ボールネジ軸部63、ローラー移動保持部64、ローラー軸受部材65、及びローラー移動軸部66を備える。
モーター62の回転軸と連結されたボールネジ軸部63は、ベルト駆動方向に直交する用紙幅方向(Y方向)に配置されている。モーター62の回転に伴いボールネジ軸部63が回転し、ボールネジ軸部63に移動可能に取り付けられたローラー移動保持部64が、その回転方向に応じて用紙幅方向を移動する。ローラー移動軸部66は、ローラー軸受部材65に固定されている。そのため、ローラー移動保持部64が用紙幅方向に移動すると、ローラー軸受部材65に回転可能に取り付けられた押圧部61a(ローラー)が、用紙幅方向に平行に配置されたローラー移動軸部66に案内されて、用紙幅方向に移動する。このような移動機構が、押圧部ごとに設けられ各押圧部を独立して移動する。
なお、4つの押圧部61a〜61dに対し一つの駆動源を設け、不図示の動力伝達機構を介して駆動源の動力を押圧部61a〜61dのそれぞれに伝達することで、押圧部61a〜61dを一つの駆動源により移動させる構成としてもよい。
図9は、第2の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。図9に示すインクジェット記録装置1Aは、図5のインクジェット記録装置1と比較して、押圧部61a〜61dを用幅方向に駆動させる吸着補助機構駆動部57を備える点が異なる。図9のその他の部分は図5と同じであるため、重複する説明を割愛する。
吸着補助機構駆動部57は、制御部51の制御の下で、押圧部61a〜61dを移動させるためのモーター62の駆動を制御する。押圧部61a〜61dの用紙幅方向の移動量(移動距離)は、各々の移動機構のモーター62の回転量によって決まる。よって、制御部51は、押圧部61a〜61dの各々に対応する移動機構のモーター62の回転量を制御することにより、各押圧部の用紙幅方向の移動量を調整し、各押圧部を吸着補助点に移動させることができる。
上述した第2の実施形態によれば、ベルト20上に載置された用紙Pの位置決めされた側端部s1側からその反対の側端部s2側にかけて所定位置を、押圧部61a〜61dにより押圧する。それにより、用紙Pのベルト面への吸着が補助される。即ち、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ベルト20に搬送された用紙Pの吸引を行う際に、用紙Pの一方の位置決めされた側端部s1側が、複数の吸着孔20hと多孔質体31を通じて優先的に吸引される。それゆえ、吸引式ベルト搬送装置2Aは、用紙位置調整部10により決められた用紙Pの用紙幅方向の位置を維持しつつ、用紙Pに浮きや弛み、シワが発生することなく用紙Pを吸着搬送することができる。
また、第2の実施形態によれば、吸着補助機構駆動部57により用紙Pのサイズ(用紙幅)に合わせて押圧部61a〜61dを用紙幅方向に移動させるため、用紙Pのサイズに合わせて、用紙Pの位置決めされた側端部s1から行う吸着を補助できる。それにより、搬送された用紙Pを、位置決めされた側端部s1側から確実に吸着させることができる。
上記の説明では、押圧部61a〜61dにローラーを用いた例を説明したが、押圧部はこの例に限らない。以下、押圧部の他の例について説明する。
[押圧部の変形例1]
図10は、第2の実施形態に係る吸着補助機構60の押圧部の変形例1としてのボール押圧部を示す。図10Aはボール押圧部の側面図、図10Bはボール押圧部の断面図である。
図10に示すボール押圧部においては、用紙Pを押圧する複数のボール61−1が管状保持部材Tの内部に設けられている。管状保持部材Tの内径は、ボール61−1の直径よりも大きく、かつ管状保持部材Tの下端の開口部の径は、ボール61−1の直径よりも小さい(図10B参照)。それにより、ボール61−1が管状保持部材Tの内部に留まるとともに、ボール61−1の下側の一部が管状保持部材Tの開口部から露出し、用紙Pを押圧する(図10A参照)。
[押圧部の変形例2]
図11は、第2の実施形態に係る吸着補助機構60の押圧部の変形例2としての毛歯車を示す側面図である。
図11に示すように、毛歯車61−2はY方向に延在する棒状の軸部の表面に多数の毛部材が設けられたものである。毛歯車を用いることにより、用紙Pの該当部分を傷つけることなく押圧し、用紙Pの該当部分における吸着を補助することができる。なお、毛歯車に代えて、周面に突起が設けられた拍車を用いてもよい。
[押圧部の変形例3]
図12は、第2の実施形態に係る吸着補助機構60の押圧部の変形例3としてのエア吹き付け部を示す側面図である。
図12に示す例では、押圧部にエア吹き付け部61−3が適用されている。例えば複数のエア吹き付け部61−3のそれぞれに対応して、減圧部であるファンと、ファンを回転駆動させるファン駆動部とが設けられる。
エア吹き付け部61−3は、ノズル状の部材であり、その下端にはファンから供給されたエアを用紙Pの表面に吹き付けるための吹き出し口が形成されている。制御部51は、ファンを回転駆動させるファン駆動部(不図示)により、所定のタイミングでファンからエア吹き付け部61−3へエアを供給する処理を行う。それにより、エア吹き付け部61−3の吹き出し口から用紙Pの表面に向かってエアが吹き付けられ、用紙Pがベルト20側へ押しつけられる。押圧部61a〜61dの各々に適用されたエア吹き付け部61−3は、制御部51の制御に基づいて、吹き付け開始タイミングをずらしながら用紙Pにエアを吹き付ける。
[第2の実施形態の第1の変形例]
次に、第2の実施形態の第1の変形例に係る吸着補助機構について図13を参照して説明する。
図13は、第2の実施形態の第1の変形例に係る吸着補助機構60の押圧部の配置例を示す上面模式図である。
図13に示す吸着補助機構60Aの押圧部61a〜61dは、吸着補助機構60の押圧部61a〜61dの配置とは異なる。互いに隣接する押圧部において、少なくとも、用紙の位置決めされた側端部s1側からの用紙幅方向における距離がより遠い押圧部は、側端部s1側からの上記距離が近い押圧部よりも、ベルト駆動方向下流側に対応する位置へ変位して配置されていればよい。
図13に示す例では、用紙Pの位置決めされた側端部s1側に最も近い押圧部61aの隣にある押圧部61bは、押圧部61aよりもベルト駆動方向の下流側の位置に配置されている。同じように、押圧部61bの隣にある押圧部61cは、押圧部61bよりもベルト駆動方向の下流側の位置に配置されている。但し、押圧部61cとその隣にある押圧部61dとは、ベルト駆動方向における位置が同じである。
あるいは、ベルト駆動方向における位置が押圧部61bと同じとなるように、押圧部61c,61dを配置してもよい。即ち、押圧部61b〜61dを用紙幅方向に並べて配置してもよい。少なくとも、押圧部61a〜61dは、用紙Pの位置決めされた側端部s1側に最も近い押圧部61aから吸着の補助が開始されるように配置されていればよい。
なお、押圧部61a〜61dを、この第2の実施形態で示したような、少なくとも、用紙Pの位置決めされた側端部s1側に最も近い押圧部61aから吸着の補助が開始されるように配置した場合には、多孔質体31の形状は図6の例に限らない。即ち、図7のように、多孔質体31Aを、その後端部(ベルト駆動方向上流側の端部)がベルト駆動方向に直交するように形成してもよい。
上述した第2の実施形態の第1の変形例においても、第2の実施形態と同様に、用紙Pのベルト面への吸着が補助される。即ち、第2の実施形態の第1の変形例によれば、ベルト20に搬送された用紙Pの吸引を行う際に、用紙Pの一方の位置決めされた側端部s1側が、複数の吸着孔20hと多孔質体31を通じて優先的に吸引される。
[第2の実施形態の第2の変形例]
上述した第2の実施形態では、吸着補助機構60が持つ複数の押圧部61a〜61dの位置を用紙サイズに応じて移動させる例を説明したが、この例に限らない。例えば押圧部61a〜61dの各々を用紙幅方向において固定するとともに、押圧部61a〜61dの各々をベルト20の吸着面に対し接離可能に構成する。そして、制御部51が、用紙サイズに応じて押圧部61a〜61dの中から使用する押圧部を選択し、選択した押圧部を用いて用紙Pを押圧し吸着を補助する構成としてもよい。例えば、制御部51は、用紙サイズが大きいときは、4つの押圧部61a〜61dを選択し、用紙サイズが小さいときは中央寄りの押圧部61b,61cを選択する。
押圧部61a〜61dの各々がエア吹き付け部61−3である場合、制御部51は、用紙サイズに合わせてエア吹き付けを行うエア吹き付け部61−3を選択すればよい。
この第2の実施形態の第2の変形例によれば、押圧部61a〜61dを移動させるための移動機構を設けなくてもよいので、吸着補助機構60の構成が簡素化される。したがって、第2の実施形態の構成と比較してより簡単な構成によって、第2の実施形態の機能、即ち用紙サイズに応じて吸着補助を行う位置を変更する機能が実現される。
なお、図6、図7、及び図13において押圧部61a〜61dは非連続であるが、押圧部61a〜61dを連続する一体の構成としてもよい。例えば、図10の管状保持部材Tを、押圧部61aの押圧位置から押圧部61dの押圧位置にかけて長い開口部を有する一つの長尺の部材として構成してもよい。そして、長尺の管状保持部材Tにおいて押圧部61a〜61dの各押圧位置においてボール61−1による押圧が行われるように、ボール61−1の位置を設定する。このとき、長尺の管状保持部材Tの開口部は、ボール61−1が開口部の長手方向において移動しないような形状に形成しておく。また、図11の毛歯車61−2の場合には、押圧部61aの押圧位置から押圧部61dの押圧位置にかけて一つの長尺の棒状部材として構成すればよい。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、吸引式ベルト搬送装置の減圧室30の内部を、後述する図15のように複数の減圧空間に分割せずに、一つの分割空間でもよい。
<3.第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態は、ベルト用紙Pの位置決めされた側端部s1に対する吸引力を、反対側の側端部s2に対する吸引力よりも相対的に大きく設定する例である。
図14は、第3の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。
図14に示すように、吸引式ベルト搬送装置2Bは、基本的に第2の実施形態の吸引式ベルト搬送装置2と同じ構造であるが、吸引力の設定が異なる。押圧部61a〜61dに対して矢印で示すように、用紙Pを減圧室30側に吸引する際の吸引力は、多孔質体31における用紙Pの吸着開始部Psに対応する側(側端部31s1)が大きく設定される。反対に、多孔質体における用紙Pの吸着開始部Psの反対側に対応する側(側端部31s2)が小さく設定される。即ち、用紙Pに対する吸引力に関して、“吸着開始側(位置決めされた側端部31s1)>反対側”の関係が規定される。ここで、各吸引力は、連続、非連続、あるいは段階式に設定されてもよい。
図15は、吸引式ベルト搬送装置2Bの用紙幅方向で吸引力の大きさを変える仕組みを示す説明図である。図15に示す減圧室30Aは、多孔質体31を外して減圧室30Aを上方から見た状態を表している。
図15に示すように、減圧室30は、複数の小部屋(本例では5部屋)に分けられている。減圧室30のベルト駆動方向上流側は、用紙幅方向に4つの小部屋(減圧空間32a〜32d)に分けられている。また、減圧室30のベルト駆動方向下流側は、1つの小部屋(減圧空間32e)となっている。このように、減圧室30の内部の少なくともベルト駆動方向上流側には、ベルト駆動方向に直交する方向に分割して生成される複数の減圧空間が設けられる。本実施形態の吸引式ベルト搬送装置2Bは、押圧部61a〜61eに対応して5つの減圧空間32a〜32eを有するとともに、減圧空間32a〜32eの各々に対応して複数のファンと、各ファンを駆動するファン駆動部55−1〜55−5を有する。
ファン駆動部55−1〜55−5は、制御部51の制御に基づいて、対応する減圧空間32a〜32eの減圧状態、即ち吸引力を調節する。これらの減圧空間32a〜32eにおける各々の吸引力は、用紙Pの種類、坪量及びサイズの1以上の組み合わせに基づいて設定されることが望ましい。例えば搬送される用紙(記録材)が段ボールの場合、普通紙や柔らかい樹脂などと比較して、減圧空間32a〜32eの吸引力は大きい値に設定される。また、例えば坪量が大きい(剛性が高い)用紙の場合には、減圧空間32a〜32eの吸引力は大きい値に設定される。
このように、吸引力を用紙情報に応じて各減圧空間32a〜32dの吸引力を設定することにより、ベルト20上で用紙Pの位置を維持しながら用紙Pを安定的に吸着搬送することができる。
なお、押圧部61a〜61dの各々の押圧力についても、用紙Pの種類、坪量及びサイズの1以上の組み合わせに基づいて設定するようにしてもよい。
(全面吸着エリア)
また、吸引式ベルト搬送装置2Bにおいて、ベルト20(多孔質体31)の押圧部61a〜61dよりもベルト駆動方向下流側に、ベルト駆動方向に直交する方向にわたって用紙Pを吸着する全面吸着エリアA1を設定してもよい。全面吸着エリアA1は、ベルト20の多孔質体31に対応する部分(吸着領域)の一部であり、本実施形態では減圧空間32eに対応する。この全面吸着エリアA1では、搬送された用紙Pはベルト20の面に全面的に吸着される。全面吸着エリアA1を設定することで、ベルト20の吸着領域において用紙Pの安定した吸着搬送が可能となる。
なお、後述するように、ベルト20(多孔質体31)の全面吸着エリアA1の上流側の領域を、吸着開始エリアA2と設定する。吸着開始エリアA2は、上述したように用紙Pの吸着が開始される領域であり、押圧部61a〜61dによる押圧が行われる領域でもある。
[第3の実施形態の第1の変形例]
第3の実施形態の第1の変形例は、用紙Pをベルト20に吸着するための吸引力を、多孔質体の厚みによって連続的に変える例である。
図16は、第3の実施形態の第1の変形例に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す説明図である。図16の上側図は、両側端部で厚みが異なる多孔質体の側面図、図16の下側図は、両側端部で厚みが異なる多孔質体を用いた吸引式ベルト搬送装置2の概略断面図である。
図16の上側図に示すように、吸引式ベルト搬送装置2B’の多孔質体31Bは、用紙Pの位置決めされた側端部31s1側に対応する部分の厚みt1が、その反対側の側端部31s2側に対応する部分の厚みt2よりも薄い。実際には、多孔質体31Bを減圧室30の天面に設置して多孔質体31Bをベルト20に当接させると、側端部31s2の厚みがベルト20で規制されるため、多孔質体31Bの両側端部の厚みは実質的に同じになる。
このような多孔質体31Bはその厚みが増すほど、通気抵抗が高くなり通気性が低くなる。多孔質体31Bの押圧部61aが配置される厚みが薄い側(側端部31s1)は、押圧部61dが配置される厚みが厚い側(側端部31s2)と比べて、通気性が高く吸引力が大きくなる。このように、多孔質体31Bの厚みを用紙幅方向で異ならせることにより、簡単に用紙幅方向において吸引力を変えることができる。
なお、図14及び図15には、吸引式ベルト搬送装置2Bに吸着補助機構60(押圧部61a〜61d)が示されているが、用紙幅方向の位置で吸引力を変えている場合には、吸着補助機構60を削除しても第3の実施形態の効果を得ることができる。
[第3の実施形態の第2の変形例]
図17は、第3の実施形態の第2の変形例に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。
図17に示す吸引式ベルト搬送装置2B’’では、押圧部61a〜61dがベルト駆動方向に垂直な方向(用紙幅方向)に配置されている。多孔質体31Aの側端部31s1から側端部31s2へ向かう矢印は、吸引力の大きい方から小さい方への向きを示す。
図15又は図16の例と同じように、用紙Pの位置決めされた側端部s1に対応する多孔質体31Aの側端部31s1(押圧部61aに対応する側)の吸引力が他の部分よりも大きい場合には、用紙Pの位置決めされた側端部s1側が優先的に吸引されるため、用紙Pの位置が維持される。そのため、本例は、押圧部61a〜61dをベルト駆動方向に垂直な方向に配置しても、用紙Pの位置決めされた側が優先的に吸引されるという、図15及び図16に示す形態とほぼ同じ効果が得られる。
<4.第4の実施形態>
第4の実施形態は、全面吸着エリアA1と吸着開始エリアA2で吸引力が異なる例である。
図18は、第4の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。
吸引式ベルト搬送装置2Cにおいて用紙Pの吸着を開始する際に、用紙Pの位置決めされた側端部s1側から優先的に吸引することで用紙Pの位置が維持されるため、その後は用紙Pの搬送に必要な吸引力が確保できればよい。そこで、本実施形態では、多孔質体31Aにおける全面吸着エリアA1の吸引力を、吸着開始エリアA2(本実施形態では減圧空間32a〜32dに対応)の吸引力よりも小さい値に設定する。
上述した第4の実施形態によれば、吸引式ベルト搬送装置2Cの全面吸着エリアA1では、吸着開始エリアA2における用紙幅方向による複雑な吸引力の設定が必要なくなる。また、そのためのファンやファン駆動部等の複雑な構成も不要である。そして、全面吸着エリアA1では吸着力が小さくてよいので、電力消費が抑えられる。
なお、上述した各実施形態において通気部材として多孔質体を用いたが、多孔質体に代えて、複数の通気孔が形成された通気板を用いてもよい。以下、第5の実施形態として、減圧室30の天面に通気板を用いた場合の例を説明する。
<5.第5の実施形態>
図19は、第5の実施形態に係る減圧室30の天面を構成する通気板の一例を示す説明図であり、通気板をベルト20に当接する面側から見た状態を示している。
図19に示す通気板70は、筐体構造の減圧室30(図3参照)の天面を構成する。通気板70には、ベルト駆動方向に直交する方向に配置された複数の通気孔から構成される通気孔列72a〜72cが形成されている。通気孔列72a〜72cは、ベルト駆動方向の下流側に向かって通気孔列72a,72b,72cの順に形成されている。
通気板70の最上流側に設けられた通気孔列72aは、通気孔71a〜71a10の10個の通気孔を有する。通気孔71a及び通気孔71a10は、通気孔列72aの両端に位置する通気孔である。
また、通気孔列72aの下流側に設けられた通気孔列72bは、通気孔71b〜71b10の10個の通気孔を有する。通気孔71b及び通気孔71b10は、通気孔列72bの両端に位置する通気孔である。同様に、通気孔列72bの下流側に設けられた通気孔列72cは、通気孔71c〜71c10の10個の通気孔を有する。通気孔71c及び通気孔71c10は、通気孔列72cの両端に位置する通気孔である。
なお、各通気孔列を形成する通気孔の数は10個に限定されるものではなく、搬送対象とする用紙Pのサイズや、用紙Pがベルト20に載置される向き等、吸引式ベルト搬送装置が使用される条件に適応して適宜決定してよい。
通気孔列72aにおける用紙Pの位置決めされた側端部s1側(即ち側端部70s1側)にある通気孔71aは、ベルト駆動方向上流側の端部が通気孔列72aにおける最上流の位置に形成されている。また、通気孔71a〜通気孔71a10は、ベルト駆動方向上流側の端部が、通気孔71aに対して順次それぞれのベルト駆動方向の下流側に位置するように形成されている。一方、通気孔列72aにおける各通気孔71a〜71a10のベルト駆動方向の下流側の端部は、ベルト駆動方向に直交する直線上に並んでいる。
即ち、用紙Pの位置決めされた側端部s1側に対応する側端部70s1側に形成された通気孔71aは、そのベルト駆動方向上流側の端部が通気孔列72aにおいて最上流位置に形成されている。また、通気孔71aに列接して通気孔列72aを形成する各通気孔71a〜72a10は、それぞれのベルト駆動方向上流側の端部が、通気孔71aのベルト駆動方向上流側の端部に対して順次下流方向に変位して形成されている。
一方、通気孔列72bを構成する通気孔71b〜71b10は、同じ大きさである。そして、通気孔71b〜71b10は、ベルト駆動方向上流側の端部の位置も同じである。同様に、通気孔列72cを構成する通気孔71b〜71b10は、同じ大きさであり、ベルト駆動方向上流側の端部の位置も同じである。
本実施形態の通気孔列72aと類似の通気孔列が特許文献1の図7(a)に示されている。特許文献1に示された通気孔列31aは、その下流側の他の通気孔列(通気孔列31b,31c)にも適用される(段落[0052]を参照)。これに対し、本例では、通気孔列72aの構成は通気板70のベルト駆動方向の最上流の通気孔列にのみ適用され、その下流側には適用されない。したがって、用紙Pの吸着開始部Psの位置を決定するための通気孔列72aよりも下流側では、用紙Pが用紙幅方向にわたって同じ条件で吸着されるため、用紙Pは通気孔列72aによって位置が保持された後、通気孔列72b,72cによって用紙の全面が吸着され、安定した搬送が行われる。即ち、本実施形態は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
<6.第6の実施形態>
ベルト20の吸着面(多孔質体が配置された領域)の用紙幅方向の長さよりも搬送対象の用紙Pの用紙幅が短いと、用紙Pがないために吸着が行われない未吸着エリアが発生し、用紙Pの吸着力が弱くなる。そこで、第6の実施形態として、用紙のサイズに応じて未吸着エリアを解消する例を説明する。
図20は、第6の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す説明図であり、図20Aは吸引式ベルト搬送装置のベルトを取り外した状態の減圧室の概略上面図、図20Bは減圧室のA−A線についての概略断面図である。
図20Aには、吸引式ベルト搬送装置2Dのベルトを取り外した状態の減圧室30Bが示されている。減圧室30Bは、ベルト駆動方向の中央位置に設けられた仕切り板39により、2つの小部屋(減圧空間)に分割されている。ベルト駆動方向上流側には減圧空間32−1が形成され、ベルト駆動方向上流側には減圧空間32−2が形成されている。減圧空間32−1には、2つのファン33−1,33−2、及び減圧空間のベルト駆動方向に垂直な方向の長さを変更可能にする間隔変更機構80が設けられている。なお、減圧空間32−2には、2つのファン33−3,33−4が設けられている。減圧空間32−2にも、間隔変更機構80が設けられてもよい。
以下、減圧空間32−1の間隔変更機構80について説明する。間隔変更機構80は、第1の可動側面部81a、第2の可動側面部81b、第1のラック82a、第2のラック82b、ピニオン83、及び操作レバー84から構成される。第1のラック82a、第2のラック82b、及びピニオン83は、第1の可動側面部81aと第2の可動側面部81bを移動させてそれらの間隔を変更する移動機構を構成する。
第1の可動側面部81aは、ベルト駆動方向に平行な面を有し、減圧室30Bの内部において減圧空間32-1を形成する。第1の可動側面部81aは、第1のラック82aに取り付けられている。また、第2の可動側面部81bは、ベルト駆動方向に平行な面を有し、第1の可動側面部81aと対向するように配置されて減圧室30Bの内部において減圧空間32-1を形成する。第2の可動側面部81bは、第1の可動側面部81aと対向するように第2のラック82bに取り付けられている。
移動機構を構成するピニオン83と第1のラック82a、並びにピニオン83と第2のラック82bはそれぞれ、減圧室30B(減圧空間32−1)の底面30bに、係合可能に設置されている。減圧空間32−1の容積は、多孔質体31、底面30b、及び可動側面部81a,81bにより形成される空間で決まる。
操作レバー84のピニオン83と当接する部分には、ピニオン83と係合するように歯が形成されている。作業者が操作レバー84を手前側に引いたり奥側へ押し込んだりすることで、操作レバー84の移動方向に応じた方向にピニオン83が回転する。そして、ピニオン83が回転することにより、ピニオン83の回転方向と回転量に応じて、第1のラック82aに固定された第1の可動側面部81a、及び第2のラック82bに固定された第2の可動側面部81bがそれぞれ、用紙幅方向(Y方向)において反対向きに移動する。
作業者が用紙Pのサイズに合わせて操作レバー84を手前側に所定量だけ引くと、第1の可動側面部81a及び第2の可動側面部81bの間隔が狭まり、小さいサイズの用紙に対応可能となる。また、作業者が用紙Pのサイズに合わせて操作レバー84を奥側に所定量だけ押し込むと、第1の可動側面部81a及び第2の可動側面部81bの間隔が広がり、大きいサイズの用紙に対応可能となる。このように、間隔変更機構80(移動機構)は、第1の可動側面部81a及び第2の可動側面部81bの間隔を変化させることで、用紙Pの用紙幅に応じて、第1の可動側面部81aと第2の可動側面部81bの間隔を変更する。
上述した第6の実施形態によれば、用紙Pのサイズ(用紙幅)に応じて、減圧空間を形成する第1の可動側面部81aと第2の可動側面部81bの距離を調整できる構成を有し、用紙幅の短い用紙Pに対応して減圧空間の実質の用紙幅方向の長さ(吸着エリア)を短くすることができる。それにより、第6の実施形態は、搬送対象が用紙幅の短い用紙である場合に、未吸着エリアを解消し、吸引力を落とすことなく用紙を効率よくベルト20の吸着面へ吸引することが可能である。
なお、本実施形態では、作業者が操作レバー84を操作して、第1の可動側面部81a及び第2の可動側面部81bの間隔を手動で変更する構成を示したが、その間隔の変更が自動で行われる構成としてもよい。例えば制御部51が、印刷ジョブから用紙情報を取得し、その用紙情報に基づいて、予め用紙サイズごとに設定されているパラメーターをメモリ52から読み込み、そのパラメーターに基づいて、ピニオン83の駆動軸と連結した不図示の駆動源を回転駆動させる。それにより、搬送される用紙Pのサイズに応じて、第1の可動側面部81aと第2の可動側面部81bの間隔が、自動的に目標の間隔に調整される。
また、可動側面部81a,81bごとに図8に示したようなボールネジ機構を用いて、可動側面部81a,81bの移動を実現してもよい。
<7.第7の実施形態>
図21は、第7の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置の一例を示す上面模式図である。
図21に示すように、吸引式ベルト搬送装置2Aの上流側に、用紙位置調整部10Aが配置されている。用紙位置調整部10Aは、用紙Pの側端部s1の用紙幅方向における位置を検知する用紙側端部センサ13と、用紙Pの前端の通過を検知する用紙前端センサ14と、用紙Pを挟持搬送しながら用紙幅方向に揺動するレジストローラー15(揺動機構)とを備える。用紙側端部センサ13は、用紙Pの位置合わせが行われる側端部s1側に設置される。
制御部51は、用紙前端センサ14が用紙Pの前端の通過を検知したときに用紙側端部センサ13から出力された検知信号に基づいて、用紙Pの側端部s1の位置を検知する。そして、制御部51は、用紙Pの側端部s1の位置に基づいて、レジストローラー15の用紙幅方向における移動量(補正量)を決定し、この移動量に基づいてレジストローラー15を用紙幅方向に揺動させる駆動源(例えば回転型モーター、直動型モーター)を制御する。これにより、用紙Pの用紙幅方向の位置が目標位置となるように調整される。
なお、レジストローラー15により用紙Pの用紙幅方向の位置を補正する代わりに、用紙Pの側端部s1の位置の検知結果を、用紙Pに対する画像の書き出し位置に反映させる構成としてもよい。制御部51は、用紙側端部センサ13で検知された用紙Pの側端部s1の位置に基づいて、画像の用紙幅方向における書き出し位置を調整する。これにより、用紙Pとそこに出力される画像との位置関係を適切にすることができる。
<8.第8の実施形態>
図22は、第8の実施形態に係る吸引式ベルト搬送装置が組み込まれたインクジェット記録装置の一例を示す模式図である。
図22に示す吸引式ベルト搬送装置2Eは、ベルト20の温度を測定する温度測定部26と、ベルト20を加熱する加熱部27とを備える。図22では、ベルト20の裏面の近傍に温度測定部26が配置されているが、表面側に配置されていてもよい。また、加熱部27としては、例えば従動ローラー22の内部に設けられたヒーターが適用される。加熱部27からの輻射熱により従動ローラー22が温められ、その熱量がベルト20に伝達する。制御部51は、温度測定部26の測定結果に基づいて、ベルト20の温度が所定の範囲内となるように加熱部27の動作(例えばオン/オフの切り替え)を制御する。
用紙は温度に応じて僅かに伸縮する。用紙が伸縮すると、用紙と画像の位置が僅かにずれて、用紙と画像の位置の精度が落ちてしまう。本実施形態よれば、温度測定部26の測定結果に基づき加熱部27の動作を制御することで、用紙を吸着搬送するベルト20の温度を適切に管理し、用紙の伸縮を所定範囲内に収めることができる。したがって、上述した各実施形態に本実施形態を適用することにより、本実施形態を適用しない場合と比べて、用紙と画像の位置の精度が向上する。
加熱部27の設置場所は、図22に示された場所に限られない。例えば、加熱部27をベルト20の面に近い場所に設置し、ベルト20を直接加熱するような構成でもよい。または、吸引式ベルト搬送装置2Eを含む雰囲気全体を暖めるような場所に加熱部27を設置してもよい。あるいは、用紙位置調整部内の用紙の搬送経路下に加熱部27を設けてもよい。
なお、上述した各実施形態では、多数の吸着孔20hが形成されたベルト20(図3参照)を示したが、ベルト20をフェルトや不織布などの多孔質体で構成してもよい。
さらに、本発明は上述した各実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成要素に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成要素の追加、削除、置換をすることも可能である。
1,1A,1B…画像形成装置、 2,2A〜2E…吸引式ベルト搬送装置、 10,10A…用紙位置調整部、 20…ベルト、 30,30A,30B…減圧室、 31,31A,31B…多孔質体(通気部材)、 31s1,31s2…側端部、 32,32a〜32e,32−1,32−2…減圧空間、 33,33−1〜33−5…ファン駆動部、 40…ヘッドユニット、 51…制御部、 54…ベルト駆動部、 57…吸着補助機構駆動部、 60…吸着補助機構、 61a〜61d…押圧部、 80…間隔変更機構、 A1…全面吸着エリア、 A2…吸着開始エリア、 Ps…吸着開始部、 s1,s2…側端部

Claims (13)

  1. 複数の吸着孔を有する無端のベルトと、
    前記ベルトを駆動するベルト駆動部と、
    前記ベルトに当接し、かつ、前記ベルトに当接する部位に、通気性を有する通気部材を配置した減圧室と、
    前記減圧室の内部を減圧状態にする減圧部と、を備え、
    前記吸着孔及び前記通気部材を通して、用紙搬送方向に直交する方向において位置決めされて前記ベルト上に搬送された前記用紙を前記減圧室側に吸引しつつ、前記ベルト駆動部により前記ベルトを所定のベルト駆動方向に駆動して前記用紙を搬送する吸引式ベルト搬送装置であって、
    前記ベルトに搬送された前記用紙の吸引を行う際に、前記用紙の一方の位置決めされた側端部側が前記減圧部により優先的に吸引される構成を有する
    吸引式ベルト搬送装置。
  2. 前記通気部材における、前記ベルトにより搬送される前記用紙の位置決めされた前記側端部側の優先吸着部に対応する位置若しくはその近傍の位置から、前記用紙の他方の側端部側かつ前記ベルト駆動方向下流側の対応する位置へ順次変位して配置された複数の押圧部を有し、各押圧部により前記用紙を前記ベルトの吸着面側へ押圧して前記用紙の吸着を補助する吸着補助機構、を更に備える
    請求項1に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  3. 前記用紙を前記減圧室側に吸引する際の吸引力は、前記通気部材における前記用紙の前記優先吸着部に対応する側が大きく、前記通気部材における前記用紙の前記優先吸着部の反対側に対応する側が小さく設定される
    請求項1又は2に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  4. 前記減圧室の内部の少なくとも前記ベルト駆動方向上流側に、前記ベルト駆動方向に直交する方向に分割して生成される複数の減圧空間と、
    前記複数の減圧空間の各々に対応して設けられた複数の前記減圧部と、を備え、
    各減圧部により対応する前記減圧空間の減圧状態を調節する
    請求項3に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  5. 前記複数の減圧空間における各々の吸引力は、前記用紙の種類、坪量及びサイズの1以上の組み合わせにより設定される
    請求項4に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  6. 前記通気部材は、多孔質体を用いて構成され、前記多孔質体における前記用紙の位置決めされた側端部側に対応する部分の厚みが、その反対側の側端部側に対応する部分の厚みよりも薄い
    請求項3に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  7. 前記ベルトの前記ベルト駆動方向下流側において前記ベルト駆動方向に直交する方向にわたって前記用紙を吸着する全面吸着エリアが設けられている
    請求項2又は3に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  8. 前記全面吸着エリアにおいて前記用紙を前記減圧室側に吸引する際の吸引力は、前記用紙の吸着が開始される吸着開始エリアの吸引力よりも小さく設定される
    請求項7に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  9. 前記通気部材の前記ベルト駆動方向上流側の端部は、前記用紙の位置決めされた前記側端部側から他方の側端部側にかけて前記ベルト駆動方向の下流側に変位するように形成されている
    請求項1に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  10. 前記ベルト駆動方向に平行な面を有し前記減圧室の内部において減圧空間を形成する第1の可動側面部と、
    前記ベルト駆動方向に平行な面を有し前記第1の可動側面部と対向するように配置されて前記減圧室の内部において前記減圧空間を形成する第2の可動側面部と、
    前記用紙の前記ベルト駆動方向に垂直な方向の長さに合わせて、前記第1の可動側面部及び前記第2の可動側面部を移動させて前記第1の可動側面部と前記第2の可動側面部の間隔を変更可能に構成された移動機構と、を更に備える
    請求項1に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  11. 前記ベルトよりも用紙搬送方向上流側に設けられた、前記用紙の側端部の一方を前記用紙搬送方向に直交する方向において位置決めする用紙位置調整部を、更に備える
    請求項1乃至10のいずれか一項に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  12. 前記ベルトの温度を測定する温度測定部と、
    前記ベルトの温度を調節する温度調節部と、を備え、
    前記温度調節部は、前記温度測定部の測定結果に基づいて、前記ベルトの温度が所定の範囲内となるように前記ベルトの温度を調節する
    請求項1に記載の吸引式ベルト搬送装置。
  13. 請求項1に記載の吸引式ベルト搬送装置と、
    前記吸引式ベルト搬送装置により搬送される用紙に画像を出力する画像出力部と、を備える
    画像形成装置。
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