JP2019130515A - 触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクロレイン等の不飽和アルデヒドを気相接触酸化させて対応する不飽和カルボン酸を製造した場合、圧力損失を低減してガス量を高く保持し、それによりコーキングを抑制することができ、高収率で対応する不飽和カルボン酸を製造することができる触媒の提供。【解決手段】不飽和アルデヒドを気相接触酸化させて対応する不飽和カルボン酸を製造する際に用いる、直胴部Aと空胴部Bを有するリング形状の触媒であって、直胴部の長さ3が空胴部の長さ7より短く、且つ、少なくとも一方の端部において直胴部の端部から空胴部の端部Cまでが凹曲している触媒。【選択図】図1

Description

本発明は、触媒に関する。詳しくは、不飽和アルデヒドを気相接触酸化して対応する不
飽和カルボン酸を製造する際に用いる触媒に関する。
従来、アクロレイン等の不飽和アルデヒドを気相接触酸化させて対応する不飽和カルボ
ン酸を製造するために用いる触媒の形状については種々提案されている。
例えば、特許文献1には、(メタ)アクロレインから(メタ)アクリル酸への選択的酸化
に使用される触媒として、中空円筒体状に成形され、該中空円筒体状の端面が湾曲してい
る不均一系触媒反応用の成形触媒が記載されている。特許文献2にはアクロレインから気
相接触酸化によりアクリル酸を合成する際に用いられる触媒としてリング形状の触媒が記
載されている。また、特許文献3には、環状担体の両正面が内から外へ斜めに面取りされ
て、円筒外壁の長さが円筒内壁の長さに比して少なくとも20%だけ短くなっている、バ
ナジウム及びチタン及び/又はジルコンを含有する無水フタル酸を製造するための担持触
媒が記載されている。
特開昭61−141933号公報 特開平5−317713号公報 特開昭55−139834号公報
しかしながら、これら従前知られた触媒では、該触媒が充填された反応器によりアクロ
レイン等の不飽和アルデヒドを気相接触酸化させて対応する不飽和カルボン酸を製造する
際の、圧力損失が高く、不飽和アルデヒドの転化率が低く、対応する不飽和カルボン酸の
選択率も低く、結果として収率が低下するという問題があった。
例えばリング形状の触媒では、反応器に均一に充填されない場合があり、反応場が反応
器内で不均一となり、転化率、選択率の低下が起こる可能性がある。又、中空円筒体状の
端面が湾曲している触媒では、触媒体積に対する触媒表面積が小さく、反応活性点が少な
いため反応の効率が低く、転化率、選択率が低下する場合がある。
また、不飽和カルボン酸であるアクリル酸の製造において、触媒表面に炭化物が付着す
る。該炭化物の触媒表面への付着(コーキング)は多管式反応器の圧力損失が高い反応管
において、ガス量が少なくなることにより発生しやすい。一旦コーキングが発生すると、
更に圧力損失が高くなるので、より炭化物の触媒表面への付着が加速する悪循環が生じ、
最終的には反応を停止せざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、アク
ロレイン等の不飽和アルデヒドを気相接触酸化させて対応する不飽和カルボン酸を製造す
る際に、圧力損失を低減してガス量を高く保持し、それによりコーキングを抑制すること
ができ、高収率で対応する不飽和カルボン酸を製造することができる触媒を提供すること
を目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アクロレイン等の不飽和アル
デヒドを気相接触酸化させて対応する不飽和カルボン酸を製造する際に用いる、直胴部と
空胴部を有するリング形状の触媒を、該直胴部の長さが、該空胴部の長さより短くし、且
つ、該直胴部の端部から該空胴部の端部までが凹曲している触媒とすることにより、圧力
損失を低く抑えることができ、高収率で対応する不飽和カルボン酸を製造することが可能
となることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下である。
[1] 不飽和アルデヒドを気相接触酸化させて対応する不飽和カルボン酸を製造する際
に用いる、直胴部と空胴部を有するリング形状の触媒であって、
該直胴部の長さが該空胴部の長さより短く、且つ、少なくとも一方の端部において該直
胴部の端部から該空胴部の端部までが凹曲している触媒。
[2] 前記直胴部が、前記空胴部の一方の端部を含む面と他方の端部を含む面との間に
ある[1]に記載の触媒。
[3] 少なくとも一方の端部において、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部との間の
距離(mm)に対する、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部を結ぶ面と該凹曲した面と
の最大距離(mm)の比が0.01以上0.2以下である[1]又は[2]に記載の触媒

[4] 両方の端部において前記直胴部の端部から前記空胴部の端部までが凹曲している
[1]乃至[3]のいずれかに記載の触媒。
[5] 前記直胴部と、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部とを結ぶ線とのなす角度が
45°以上85°以下である[1]乃至[4]のいずれかに記載の触媒。
[6] 軸方向において空胴部を備える領域における内径b(mm)に対する直胴部にお
ける外径a(mm)の比(a/b)が2.3以上、該軸方向において空胴部を備える領域
における内径b(mm)に対する直胴部長さH(mm)の比(H/b)が1.3以上、該
直胴部長さH(mm)が2mm〜11mm、且つ該直胴部における外径a(mm)が2m
m〜11mmである[1]乃至[5]のいずれかに記載の触媒。
[7] [1]乃至[6]のいずれかに記載の触媒の存在下、アクロレインと酸素含有ガ
スを含む原料混合ガスを気相接触酸化するアクリル酸の製造方法。
本発明の触媒によれば、該触媒が充填された反応器を用いてアクロレイン等の不飽和ア
ルデヒドと酸素含有ガスとの気相接触酸化によりアクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造
する際の圧力損失が低減されて、ガス量を高く保持することができる。それによりコーキ
ングを抑えることができ、アクロレイン等の不飽和アルデヒドより高収率でアクリル酸等
の不飽和カルボン酸を製造することができる。
また、コーキングされた状態であったとしても、従来の形状の触媒と比較して、圧力損
失低減の効果は保持されるので、デコーキングの頻度を低減できる。
図1(a)は本発明触媒の一例における横断面図であり、図1(b)は本発明の触媒の他の例における横断面図である。 図2(a)は本発明の触媒の図1(a)に示す例における端部の横断面図であり、図2(b)は本発明の触媒の図1(b)に示す例における端部の横断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。尚、本発明は以下に説明
する実施形態に限定されるものではない。
尚、本明細書においてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タン
グステン(W)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチ
ウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、コ
バルト(Co)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、ケイ素(Si)の各元素は、そ
れぞれカッコ内の元素記号を用いて表記する場合がある。
本明細書において、リング形状の触媒の「端部」とは、リング形状の触媒の開口方向(
軸方向)における末端周辺の領域を指す。リング形状の触媒は2つの端部(上端及び下端
)を有する。
本明細書において、リング形状の触媒の「直胴部」とは、リング形状の触媒において、
外径が一定である部分をいう。「直胴部の長さ」とは、直胴部の、軸方向の長さをいう。
「直胴部の端部」とは、直胴部の軸方向の末端における、リング形状の触媒の外縁部をい
う。リング形状の触媒は、2つの直胴部の端部(上端及び下端)を有する。
本明細書において、リング形状の触媒の「空胴部」とは、リング形状の触媒の中空部分
における、内径が一定の部分を指す。「空胴部の長さ」とは、空胴部の、軸方向の長さを
いう。「空胴部の端部」とは、空胴部の軸方向の末端における、リング形状の触媒の内縁
部をいうが、図1(b)に示すようにリング形状の触媒が底面部を有する場合は、空胴部
の軸方向の末端における、リング形状の触媒の外縁部をいう。リング形状の触媒は、2つ
の空胴部の端部(上端及び下端)を有する。
本発明の触媒は不飽和アルデヒドを気相接触酸化させて対応する不飽和カルボン酸を製
造する際に用いる、直胴部と空胴部を有するリング形状の触媒であって、該直胴部の長さ
が、該空胴部の長さより短く、且つ、少なくとも一方の端部において該直胴部の端部から
該空胴部の端部までが凹曲している触媒である。上記構成を有することにより、反応器に
充填し、アクロレイン等の不飽和アルデヒドと酸素含有ガスとの気相接触酸化によりアク
リル酸等の不飽和カルボン酸を製造する際の、圧力損失が低減され、高収率でアクリル酸
等の不飽和カルボン酸を製造することができる。
前記直胴部は、前記空胴部の一方の端部を含む面と他方の端部を含む面との間にあるこ
とが好ましい。すなわち、先述の通り空胴部は上端及び下端の2つの端部を有するが、空
胴部の上端を含む面と、下端を含む面との間に直胴部が存在することが好ましい。このよ
うな構造とすることにより、触媒を反応器に充填し、アクロレイン等の不飽和アルデヒド
と酸素含有ガスとの気相接触酸化によりアクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造する際の
圧力損失が低減され、高収率でアクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造することができる
本発明の触媒は、直胴部の長さが空胴部の長さより短く、且つ、少なくとも一方の端部
において直胴部の端部から該空胴部の端部までが凹曲している。図1(a)及び(b)に
本発明の触媒の例を示す。尚、図1(b)は直胴部からの凹曲面が空胴部まで達しておら
ず、リング形状における底面部に留まっている例であるが、先述の通りリング形状の触媒
が底面部を有する場合は、空胴部の軸方向の末端におけるリング形状の触媒の外縁部が空
胴部の端部であり、このような例も本発明の触媒に相当する。本発明の触媒は体積に対す
る表面積が大きく、反応活性点が多いことより、図1(a)のように底面部がないことが
好ましい。
前記直胴部の端部と前記空胴部の端部との間の距離(mm)に対する、前記直胴部の端
部と前記空胴部の端部を結ぶ面と前記凹曲した面(以下「凹曲面」と称する場合がある。
)との最大距離(mm)との比(以下「凹曲度合い」と称する場合がある。)が0.01
以上0.2以下であることが好ましく、より好ましくは0.02以上0.15以下であり
、さらに好ましくは0.05以上0.1以下である。前記範囲内であることにより、該触
媒を反応器に充填し、アクロレイン等の不飽和アルデヒドと酸素含有ガスとを気相接触酸
化によりアクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造する際の、圧力損失が低減され、高収率
でアクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造することが可能となる。
尚、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部を結ぶ面と凹曲面との最大距離とは図2によ
り明らかなように、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部を結ぶ面と凹曲面が最も離れて
いる部分の長さのことである。
本発明の触媒は、両方の端部において直胴部の端部から空胴部の端部までが凹曲してい
ることが好ましい。この場合、触媒の流動性が良好となり、ロート等を使用して多管式反
応器等へ触媒を充填する際に、ロート内で触媒のブリッジングが抑制され、反応管内に均
一に触媒が充填されることにより、充填時間を短くすることができ、更に多管式反応器等
に充填後、アクロレイン等の不飽和アルデヒドと酸素含有ガスとの気相接触酸化によりア
クリル酸等の不飽和カルボン酸を製造する際の、圧力損失が低減され、高収率でアクリル
酸等の不飽和カルボン酸を製造することが可能となる。
前記直胴部と、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部とを結ぶ線とのなす角度は45°
以上85°以下が好ましく、55°以上80°以下がより好ましく、65°以上75°以
下が更に好ましい。該角度を前記範囲とすることにより、触媒を反応器に充填し、アクロ
レイン等の不飽和アルデヒドと酸素含有ガスとの気相接触酸化によりアクリル酸等の不飽
和カルボン酸を製造する際の、圧力損失が効率よく低減され、高収率でアクリル酸等の不
飽和カルボン酸を製造することが可能となる。
尚、前記直胴部と、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部とを結ぶ線とのなす角度とは
、図1で示すように、該直胴部の端部を頂点として、該直胴部に沿い引いた延長線と、該
直胴部の端部と該空胴部の端部とを結ぶ線とのなす角度のことである。
本発明の触媒は、軸方向において空胴部を備える領域における内径b(以下、単に「内
径b」や「b」ともいう。単位はmm。)に対する直胴部における外径a(以下、単に「
外径a」や「a」ともいう。単位はmm。)の比(a/b)が2.3以上、内径b(mm
)に対する直胴部長さH(mm)の比(H/b)が1.3以上、直胴部長さH(mm)が
2mm〜11mm、且つ外径a(mm)が2mm〜11mmであることが好ましい。前記
範囲であることにより反応器への充填の際の触媒の割れを抑制することができ、アクロレ
イン等の不飽和アルデヒドと酸素含有ガスとの気相接触酸化によりアクリル酸等の不飽和
カルボン酸を製造する際の、圧力損失が低減され、高収率でアクリル酸等の不飽和カルボ
ン酸を製造することが可能となる。
a/bは2.35以上であることがより好ましく、2.4以上であることがさらに好ま
しく、2.45以上であることがとりわけ好ましく、2.5以上であることが特に好まし
い。上限は特に限定されないが、触媒強度の観点より3.5が好ましい。
H/bは1.35以上であることがより好ましく、1.4以上であることがさらに好ま
しく、1.45以上であることがとりわけ好ましく、1.5以上であることが特に好まし
い。上限は特に限定されないが、多管式反応器への充填時におけるブリッジング抑制効果
の観点より2.5が好ましい。
Hは2mm〜10mmであることがより好ましく、2.3mm〜9mmであることがさ
らに好ましく、2.6mm〜7mmであることがとりわけ好ましく、3mm〜5mmであ
ることが特に好ましい。
aは2mm〜10mmであることがより好ましく、3mm〜9mmであることがさらに
好ましく、4mm〜7mmであることがとりわけ好ましく、4mm〜5.6mmであるこ
とが特に好ましい。
更に、直胴部長さH(mm)に対する外径a(mm)の比(a/H)は1.47以上が
好ましく、1.50以上であることがより好ましく、1.53以上であることが更に好ま
しく、1.56以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、2.5が好
ましい。前記範囲内であることにより、アクロレイン等の不飽和アルデヒドと酸素含有ガ
スとを気相で接触酸化させて対応する不飽和カルボン酸を製造する際の、圧力損失が低減
され、高収率で対応する不飽和カルボン酸を製造することが可能となる。
本発明の触媒はアクロレイン等の不飽和アルデヒドを気相接触酸化させて、対応する不
飽和カルボン酸を製造する際に用いる触媒であって、モリブデン及びバナジウムを少なく
とも含む触媒であることが好ましい。かかる2つの成分を含む触媒であれば、本発明の触
媒に適応できるが、なかでも、下記の一般式(1)で表される触媒であることが好ましい
MoCuSbSi (1)
(式中、XはNb、Wから選ばれた少なくとも一種の元素であり、Yは、Mg、Ca、S
r、Ba及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zは、Fe、C
o、Ni及びBiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、aからh
はそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12のとき、0<b≦12、0<c≦12、0
≦d≦500、0≦e≦500、0≦f≦12、0≦g≦8、0≦h≦500の範囲にあ
り、またiは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
本発明の触媒は例えば以下のように製造される。
まず、上記触媒の各元素成分を含有する原料化合物を、製造する組成に応じて必要な所
要量を水性媒体中に適宜溶解又は分散させることにより、触媒成分を含む混合溶液又はそ
の水性スラリーが製造される。各触媒成分の原料は、それぞれの元素を含む、硝酸塩、ア
ンモニウム塩、水酸化物、酸化物、硫酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物、酢酸塩などが用いら
れる。例えば、モリブデンとしては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン
、塩化モリブデン等が使用される。バナジウムとしては、バナジン酸アンモニウム、五酸
化バナジウム、シュウ酸バナジウム、硫酸バナジウム等が使用される。
上記の触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーは、各成分の偏在を防ぐために充分に
攪拌、混合することが好ましい。次いで、触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーは乾
燥して粉体とされる。乾燥は種々の方法で実施でき、例えば、噴霧乾燥機、スラリードラ
イヤー、ドラムドライヤー等による乾燥が挙げられるが、特に噴霧乾燥機による乾燥が好
ましい。
その後、上記乾燥により得られる粉体はリング形状に成形され、触媒が得られる。リン
グ形状への成形方法は必ずしも制限されるものではないが、打錠成形、押出成形等が好ま
しい。特に、直胴部と、直胴部の端部と空胴部の端部とを結ぶ線とのなす角度や前記凹曲
度合いの制御が容易であるため、打錠成形が好ましい。成形に際しては、成形助剤を使用
してもよい。好ましい成形助剤は、シリカ、グラファイト、結晶性セルロース、セルロー
ス、デンプン、ポリビニルアルコール、ステアリン酸である。成形助剤は、粉体100重
量部に対して通常1重量部〜50重量部程度使用できる。また、必要によりセラミックス
繊維、ウイスカー等の無機繊維を触媒の機械的強度向上材として用いることもできる。こ
れらの繊維の使用量は、粉体100重量部に対して通常1重量部〜30重量部である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<触媒の調製>
酸素を除く構成成分の実験式が表1に示す組成である複合金属酸化物を以下のようにし
て製造した。なお、使用した各供給源化合物の量は、表1に示す量である。
塩基性炭酸ニッケルを純水350mlに分散させ、これにシリカ及び三酸化アンチモン
を加えて十分に撹拌した。
このスラリー状液を加熱して濃縮し、乾燥した。得られた乾燥固体をマッフル炉にて8
00℃で3時間焼成し、生成固体を粉砕して60メッシュ篩を通過する粉体を得た。(S
b−Ni−Si−O粉末)。
一方、純水を80℃に加熱し、パラモリブデン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモ
ニウムを順次攪拌しながら溶解した。これに硫酸銅を純水100mlに溶解させた硫酸銅
水溶液を加え、さらに水酸化ニオブを加えて攪拌し、スラリー液を得た。
このスラリー液に、上記Sb−Ni−Si−O粉末を撹拌しながら徐々に加えて充分に
撹拌混合した。このスラリー状液を150℃で噴霧乾燥し前駆化合物を得た。これに1.
5重量%のグラファイトを添加混合し、小型打錠成形機にて密度2.93g/cmのリ
ング形状に成形した。得られた成形体を1%酸素気流中、380℃で焼成し、触媒を調製
した。触媒の形状は、図1(a)に示すように底面部がなく、外径:5mm、内径:2m
m、直胴部長さ:3mm、空胴部長さ:4mmであった。また、両方の端部において、直
胴部と、直胴部の端部と空胴部の端部とを結ぶ線とのなす角度、すなわち、直胴部に沿い
引いた延長線と、該直胴部の端部と該空胴部の端部とを結ぶ線とのなす角度がいずれも7
2°であった。又、両端部の直胴部の端部から空胴部の端部までが凹曲している、凹曲面
を有するものであり、直胴部の端部と空胴部の端部との間の距離は1.59mmであり、
直胴部の端部と空胴部の端部を結ぶ平面と該凹曲面との最大距離は0.10mmであった
。更に、直胴部の端部と空胴部の端部との間の距離に対する、直胴部の端部と空胴部の端
部を結ぶ面と該凹曲面との最大距離との比は0.06であった。触媒組成、圧力損失、ア
クロレインの気相接触酸化反応結果等を表1、表2にまとめた。
(比較例1)
外径:5mm、内径:2mm、直胴部長さ:3mm、空胴部長さ:3mmであり、直胴
部長さと空胴部長さが同じであること、直胴部の端部から空胴部の端部まで平坦であった
こと以外は実施例1と同様にして触媒を得た。触媒組成、圧力損失、アクロレインの気相
接触酸化反応結果等を表1、表2にまとめた。
<圧力損失の測定>
内径26mm、長さ1000mmのアクリル樹脂製直管を直立させ、前記触媒を900
mmの高さまで充填して、該アクリル樹脂製直管の底部に取り付けた内径6mmのSUS
製配管より室温で乾燥空気を50NL/分の流量で流通させ、SUS製配管より分岐した
配管に取り付けたデジタル差圧計testo 506−3で差圧を測定した(差圧A)。
次いで、該リング形状の触媒をアクリル樹脂製直管より抜出して空筒とし、同様に差圧を
測定し、ブランク値とした。圧力損失は(差圧A)−ブランク値として求めた。
次いで、前記触媒を使用して、下記条件を継続しながらアクロレインの気相接触酸化反
応を行った。アクロレイン転化率、アクリル酸選択率、アクリル酸収率は、下記の式(1
)〜(3)のように定義する。
(1)アクロレイン転化率(モル%)=100×(反応したアクロレインのモル数)/(
供給したアクロレインのモル数)
(2) アクリル酸選択率(モル%)=100×(生成したアクリル酸モル数)/(転化
したアクロレインのモル数)
(3) アクリル酸収率(モル%)=100×(生成したアクリル酸モル数)/(供給し
たアクロレインのモル数)
<アクロレインの気相接触酸化反応>
ナイターを入れたジャケット付き反応管(内径21mm)に、前記触媒33mlを充填
し、反応管を加熱し、原料ガス(アクロレイン6体積%、酸素8体積%、スチーム22体
積%、窒素ガス64体積%)を導入し、SV(空間速度;単位時間当たりの原料ガスの流
量/充填した触媒の見かけ容積)を1550/hrとしてアクロレインの気相接触酸化反
応を実施した。
前記ナイターとは、アルカリ金属の硝酸塩からなる熱媒体であり、この熱媒体は200
℃以上で溶融し、400℃まで使用可能で除熱効率が良好であるので、発熱量の大きな酸
化反応に適している。
本発明の触媒は実施例1において示されているように、該触媒が充填された反応器によ
り不飽和アルデヒドであるアクロレインを気相接触酸化反応させて対応する不飽和カルボ
ン酸であるアクリル酸を製造した場合、圧力損失を低く抑え、且つ、温度を上げることな
く、アクロレインを高転化率で酸化することができ、高選択率でアクリル酸とし、高収率
でアクリル酸を製造することができる。
尚、実施例1における圧力損失は、触媒の充填層長さ900mmとし、簡易的に乾燥空
気をガス流速として50NL/分、流通させた測定により、従来技術に対する優位性を示
している。尚、圧力損失は、通常、下記Ergun式に示されるように触媒の充填層長さ
とガス流速の二乗とに比例することが一般的である。アクリル酸等の不飽和カルボン酸を
工業的に製造する際には固定床管型反応器が用いられ、通常、該固定床管型反応器には2
000mm〜7000mmの反応管を数千〜数万本有している(特開2011−2254
76号公報、WO2005/005037号公報)。そのため、アクリル酸等の不飽和カ
ルボン酸の製造プラントにおいて、本発明の従来技術に対する圧力損失の差異は、実施例
で示した結果より2.2〜7.8倍に拡大する方向であり、本発明の優位性は工業的規模
となるほど大きくなることは明らかである。更に、不飽和カルボン酸の製造においては圧
力損失が高い方が、コーキングが発生し、又、時間経過とともに圧力損失の上昇とコーキ
ングの増大が起きる。すなわち、時間を経るに従い、本発明の従来技術に対する圧力損失
の差異は広がる方向であることは明らかである。
(ΔP:圧力損失、L:充填層長さ、ρ:ガス密度、u:ガス流速、Dp:粒子径、ε:
空隙率、Re:レイノルズ数)
1 内径
2 外径
3 直胴部長さ
4 直胴部と、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部とを結ぶ線とのなす角度
5 直胴部の端部と空胴部の端部との間の距離
6 直胴部の端部と空胴部の端部を結ぶ面と凹曲した面との最大距離
7 空胴部の長さ
A 直胴部
B 空胴部
C 空胴部の端部

Claims (7)

  1. 不飽和アルデヒドを気相接触酸化させて対応する不飽和カルボン酸を製造する際に用い
    る、直胴部と空胴部を有するリング形状の触媒であって、
    該直胴部の長さが該空胴部の長さより短く、且つ、少なくとも一方の端部において該直
    胴部の端部から該空胴部の端部までが凹曲している触媒。
  2. 前記直胴部が、前記空胴部の一方の端部を含む面と他方の端部を含む面との間にある請
    求項1に記載の触媒。
  3. 少なくとも一方の端部において、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部との間の距離(
    mm)に対する、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部を結ぶ面と該凹曲した面との最大
    距離(mm)の比が0.01以上0.2以下である請求項1又は2に記載の触媒。
  4. 両方の端部において前記直胴部の端部から前記空胴部の端部までが凹曲している請求項
    1乃至3のいずれか1項に記載の触媒。
  5. 前記直胴部と、前記直胴部の端部と前記空胴部の端部とを結ぶ線とのなす角度が45°
    以上85°以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の触媒。
  6. 軸方向において空胴部を備える領域における内径b(mm)に対する直胴部における外
    径a(mm)の比(a/b)が2.3以上、該軸方向において空胴部を備える領域におけ
    る内径b(mm)に対する直胴部長さH(mm)の比(H/b)が1.3以上、直胴部長
    さH(mm)が2mm〜11mm、且つ該直胴部における外径a(mm)が2mm〜11
    mmである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の触媒。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の触媒の存在下、アクロレインと酸素含有ガスを
    含む原料混合ガスを気相接触酸化するアクリル酸の製造方法。
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