JP2020157290A - 触媒の製造方法 - Google Patents

触媒の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020157290A
JP2020157290A JP2019216075A JP2019216075A JP2020157290A JP 2020157290 A JP2020157290 A JP 2020157290A JP 2019216075 A JP2019216075 A JP 2019216075A JP 2019216075 A JP2019216075 A JP 2019216075A JP 2020157290 A JP2020157290 A JP 2020157290A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
powder
weight
parts
molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019216075A
Other languages
English (en)
Inventor
和治 田澤
Kazuharu Tazawa
和治 田澤
佳宗 阿部
Yoshimune Abe
佳宗 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Publication of JP2020157290A publication Critical patent/JP2020157290A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和アルデヒドから、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造する気相接触酸化反応に用いられる触媒として、原料転化率及び生成物選択率が高く、かつ、機械的強度の向上した触媒の製造方法の提供。【解決手段】各触媒成分元素の供給源化合物を水性系で一体化及び加熱することにより調製液とする調液工程、該調製液を乾燥処理して粉体とする乾燥工程、該粉体を成型し触媒前駆体とする成型工程及び該触媒前駆体を焼成し触媒とする焼成工程を含み、成型工程において、成型前に該粉体100重量部に対し、炭素数15〜20の脂肪酸金属塩を0.03重量部以上0.48重量部以下添加する。【選択図】図1

Description

この発明は、アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和アルデヒドを気相接触酸化し、
アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造する際に用いられる触媒の製造方
法に関する。
アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和アルデヒドを気相接触酸化し、アクリル酸、
メタクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造する際に用いられる触媒としてモリブデン系触
媒が有用であることは良く知られており、工業的にも広く実用化されている。
これら各種反応におけるモリブデン系触媒の組成及び製造方法に関する特許文献として
は、特許文献1等が知られている。特許文献1は、焼成工程において焼成雰囲気の酸素濃
度を調整することにより、原料転化率や生成物選択率を向上させることを実現する。
特開2018−158287号公報
ところで、特許文献1に記載の方法において、成型する際にシリカ、グラファイト等の
成型助剤を用いているが、十分な機械的強度が得られず、使用中に粉化が生じる場合があ
る。
そこで、この発明は、アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和アルデヒドから、アク
リル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造する気相接触酸化反応に用いられる触
媒として、原料転化率及び生成物選択率が高く、かつ、機械的強度の向上した触媒を提供
することを目的とする。
本発明者らが検討を行った結果、特定の成型助剤を用いることにより、前記課題を解決
することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1]不飽和カルボン酸合成用の触媒を製造する方法であって、各触媒成分元素の供給源
化合物を水性系で一体化及び加熱することにより調製液とする調液工程、該調製液を乾燥
処理して粉体とする乾燥工程、該粉体を成型し触媒前駆体とする成型工程及び該触媒前駆
体を焼成し触媒とする焼成工程を含み、前記成型工程において、成型前に該粉体100重
量部に対し、炭素数15〜20の脂肪酸金属塩を0.03重量部以上0.48重量部以下
添加する触媒の製造方法。
[2]前記炭素数15〜20の脂肪酸金属塩が二価の金属塩である、[1]に記載の触媒
の製造方法。
[3]前記不飽和カルボン酸合成用の触媒がモリブデン、バナジウムを含有する[1]又
は[2]に記載の触媒の製造方法。
[4][1]乃至[3]のいずれか1項に記載の触媒の製造方法により製造された触媒を
用いて、アクロレインを酸素含有ガスにより気相接触酸化するアクリル酸の製造方法。
この発明によれば、アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和アルデヒドから、アクリ
ル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸を合成する気相接触酸化反応に用いられる、原
料転化率及び生成物選択率が高く、かつ、機械的強度の向上した触媒を得ることができる
(a)実施例で得られる触媒成型体の例を示す斜視図、(b)(a)の正面図
この発明に係る不飽和カルボン酸合成用の触媒(以下「触媒」と称する場合がある。)
の製造方法について詳細に説明する。
この発明にかかる触媒は、アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和アルデヒドを原料
とし、酸素含有ガスにより気相接触酸化して、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カル
ボン酸を製造する、不飽和カルボン酸合成用の触媒である。
[触媒の製造方法]
本発明に係る触媒は、この触媒を構成する各成分として、その成分たる元素(以下、「
触媒成分元素」と称する。)を有する所定の化合物を、触媒の供給源となる化合物(以下
、「供給源化合物」と称する。)として用い、この触媒成分元素を有する各供給源化合物
を溶媒又は溶液に添加して一体化し、加熱して調製液を得(調液工程)、この調製液を乾
燥処理して粉体を得(乾燥工程)、次いで、該粉体を成型して触媒前駆体を得(成型工程
)、そして、この触媒前駆体を焼成すること(焼成工程)を含み、製造することができる
[調液工程]
前記調製工程は、前記触媒成分元素を有する各供給源化合物を水性系で一体化し、加熱
して調製液を得る工程である。
前記の水性系で一体化とは、各供給源化合物を水系の溶媒又は溶液に添加して一体化を
行うことをいう。この水系の溶媒は、各供給源化合物を溶解又は懸濁させるための水系媒
体であり、水、若しくはメタノール、エタノール等の水と相溶性を有する有機溶媒、又は
これらの混合物からなる溶媒をいう。また、前記水系の溶液とは、前記の水系の溶媒に1
種又は複数種の供給源化合物を溶解、懸濁又は一体化させた液をいう。
前記の一体化とは、前記各触媒成分元素の供給源化合物の水溶液あるいは水分散液を一
括に、あるいは段階的に混合し、必要に応じて加熱を行うことをいう。具体的には、前記
の各供給源化合物を一括して混合する方法、前記の各供給源化合物を一括して混合し、次
いで加熱する方法、前記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、前記の各供給源化合
物を段階的に混合・加熱処理を繰り返す方法、及びこれらの方法を組み合わせる方法があ
げられ、これらのいずれもが、各触媒成分元素の供給源化合物の一体化という概念に含ま
れる。
前記の加熱とは、前記の一体化工程で得られた混合液又は混合分散液を所定温度で所定
時間、撹拌することをいう。この加熱により、混合液又は混合分散液の粘度が上昇し、混
合分散液の場合、その中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程での成分の不
均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である触媒の原料転化率や生成物選
択率等の触媒活性がより良好となる。
前記加熱における温度は、60℃〜100℃が好ましく、60℃〜90℃がより好まし
く、70℃〜85℃がさらに好ましい。加熱温度が60℃未満では、加熱処理の効果が十
分ではなく、良好な活性を得られない場合がある。一方、90℃を超えると、加熱処理中
の水の蒸発が多く、工業的な実施には不利である。更に100℃を超えると、溶解槽に耐
圧容器が必要となり、また、ハンドリングも複雑になり、経済性及び操作性の面で著しく
不利となる。
前記加熱にかける時間は、2時間〜12時間がよく、3時間〜8時間が好ましい。加熱
時間が2時間未満では、触媒の活性及び選択性が十分に発現しない場合がある。一方、1
2時間を超えても加熱の効果が増大することはなく、工業的な実施には不利である。
前記撹拌方法としては、任意の方法を採用することができ、例えば、撹拌翼を有する撹
拌機による方法や、ポンプによる外部循環による方法等が挙げられる。
[供給源化合物]
この触媒は、触媒成分元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)を含有するこ
とが好ましく、それ以外の触媒成分元素として、銅(Cu)を含有することがより好まし
く、さらに、アンチモン(Sb)、ケイ素(Si)、ニオブ(Nb)、タングステン(W
)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(
Ba)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ビスマス(
Bi)等の成分を1種又は複数種含有してもよい。
前記モリブデン(Mo)の供給源化合物としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三
酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸等が
挙げられる。
前記バナジウム(V)の供給源化合物としては、バナジン酸アンモニウム、メタバナジ
ン酸アンモニウム、五酸化バナジウム、シュウ酸バナジウム、硫酸バナジウム等があげら
れる。バナジウムの添加量は、触媒成分元素の原子数比として、モリブデン原子を12と
したとき、0を超えて12以下となるように添加することが好ましく、より好ましくは0
.1以上6以下、更に好ましくは0.5以上5以下、特に好ましくは1以上3以下となる
ように添加する。この範囲内であることにより原料転化率に優れ、高選択率で不飽和カル
ボン酸を製造することができる触媒とすることができる。
前記ニオブ(Nb)の供給源化合物としては、水酸化ニオブ等があげられる。前記タン
グステン(W)の供給源化合物としては、タングステン酸、またはその塩等が挙げられる
。ニオブ及びタングステンから選ばれる少なくとも一種の元素の添加量は、モリブデンが
12のとき、0以上12以下となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.
1以上6以下、更に好ましくは0.5以上4以下となるように添加する。この範囲内であ
ることにより原料転化率に優れ、高選択率で不飽和カルボン酸を製造することができる触
媒とすることができる。
前記銅(Cu)の供給源化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、塩化第一銅等があげられる

銅の添加量は、触媒成分元素の原子数比として、モリブデン原子を12としたとき、0
を超えて12以下となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1以上6以
下、更に好ましくは0.5以上4以下となるように添加する。この範囲内であることによ
り原料転化率に優れ、高選択率で不飽和カルボン酸を製造することができる触媒とするこ
とができる。
前記マグネシウム(Mg)の供給源化合物としては、酸化マグネシウム、炭酸マグネシ
ウム、または硫酸マグネシウム等が挙げられる。前記カルシウム(Ca)の供給源化合物
としては、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、または水酸化カルシウム等が挙げられる。
前記ストロンチウム(Sr)の供給源化合物としては、酸化ストロンチウム、炭酸ストロ
ンチウム、水酸化ストロンチウム、または硝酸ストロンチウム等が挙げられる。前記バリ
ウム(Ba)の供給源化合物としては、酸化バリウム、炭酸バリウム、硝酸バリウム、酢
酸バリウム、または硫酸バリウム等が挙げられる。前記亜鉛(Zn)の供給源化合物とし
ては、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、または硝酸亜鉛等が挙げられる。
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及び亜鉛からなる群より選ばれ
る少なくとも一種の元素の添加量は、触媒成分元素の原子数比として、モリブデンが12
のとき、0以上8以下となるように添加することが好ましく、より好ましくは0以上6以
下、更に好ましくは0以上4以下となるように添加する。この範囲内であることにより原
料転化率に優れ、高選択率で不飽和カルボン酸を製造することができる触媒とすることが
できる。
前記アンチモン(Sb)の供給源化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモ
ン等の酸化アンチモン等や酢酸アンチモン等の3価のアンチモン化合物、5価のアンチモ
ン化合物等があげられる。アンチモンの添加量は、触媒成分元素の原子数比として、モリ
ブデン原子を12としたとき、0以上500以下となるように添加することが好ましく、
より好ましくは0.1以上100以下、更に好ましくは0.2以上50以下となるように
添加する。この範囲内であることにより原料転化率に優れ、高選択率で不飽和カルボン酸
を製造することができる触媒とすることができる。
前記鉄(Fe)の供給源化合物としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸
第二鉄等が挙げられる。前記コバルト(Co)の供給源化合物としては、硝酸コバルト、
硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。前記ニッケ
ル(Ni)の供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸
ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。前記ビスマス(Bi)の供給源化合物としては
、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。
鉄、コバルト、ニッケル及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素の
添加量は、触媒成分元素の原子数比として、モリブデンが12のとき、0以上500以下
となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1以上400以下、更に好ま
しくは1以上300以下となるように添加する。この範囲内であることにより原料転化率
に優れ、高選択率で不飽和カルボン酸を製造することができる触媒とすることができる。
前記ケイ素(Si)の供給源化合物としては、シリカ、粒状シリカ、コロイダルシリカ
、ヒュームドシリカ等が挙げられる。ケイ素の添加量は、触媒成分元素の原子数比として
、モリブデン原子を12としたとき、0以上500以下となるように添加することが好ま
しく、より好ましくは0.1以上400以下、更に好ましくは1以上300以下となるよ
うに添加する。この範囲内であることにより原料転化率に優れ、高選択率で不飽和カルボ
ン酸を製造することができる触媒とすることができる。
[供給源化合物の添加方法]
前記の調液工程において、各供給源化合物の全てを1つの調製液としてもよく、各供給
源化合物をそれぞれ単独で又はいくつかのグループに分けて複数の調製液とし、該複数の
調製液を一度に、若しくは順番に混合して1つの調製液としてもよく、また、1つ若しく
は複数の調製液を乾燥、さらには焼成して固形物とし、該固形物を残りの供給源化合物に
よる調製液に添加し、新たな調製液としてもよい。
[乾燥工程]
得られた調製液は、乾燥工程にて乾燥処理することにより、粉体が得られる。この乾燥
工程における乾燥処理方法については特に限定はなく、例えば、通常のスプレードライヤ
ー、スラリードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉体を得てもよい。
前記乾燥処理で得られた粉体は、必要に応じて、さらに加熱処理をしてもよい。この加
熱処理は、空気中で200℃〜400℃、好ましくは250℃〜350℃の温度域で短時
間に行われる処理である。その方法については特に限定はなく、例えば、通常の箱型加熱
炉、トンネル型加熱炉等を用いて粉体を固定した状態で加熱してもよいし、また、ロータ
リーキルン等を用いて粉体を流動させながら加熱してもよい。
尚、該乾燥工程により得られた粉体はモリブデン、バナジウムを含有することが好ましく
、それ以外に銅を含有することがより好ましく、なかでも、下記の一般式(1)で表され
る粉体であることがさらに好ましい。
Mo12CuSbSi (1)
(式(1)中、XはNb及び/又はWを示し、YはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから
なる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、ZはFe、Co、Ni及びBiからな
る群より選ばれた少なくとも一種の元素を示す。a〜iはそれぞれの元素の原子比を示し
、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦
500、0≦g≦500、0≦h≦500の範囲にあり、iは他の元素の酸化状態を満足
させる値である。)
[成型工程]
前記の乾燥工程で得られた粉体は、押出し成型、打錠成型、あるいは担体に担持する担
持成型等の方法により任意の形状に賦形することにより、成型体である触媒前駆体が得ら
れる。
成型に際して、成型助剤(バインダー)が用いられる。この成型助剤として、シリカ、
グラファイト、結晶性セルロース、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール等があ
げられる。
さらに本発明では、十分な原料転化率や生成物選択率を有すると共に十分な機械的強度
を得る観点から、脂肪酸金属塩、特に炭素数15〜20の脂肪酸金属塩を用いることが必
要である。この炭素数15〜20の脂肪酸金属塩としては、二価の金属塩が好ましい。ま
た、炭素数としては炭素数16〜18の脂肪酸金属塩が好ましい。この炭素数15〜20
の二価の脂肪酸金属塩の好ましい具体例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等があげられる。
前記炭素数15〜20の脂肪酸金属塩は、前記乾燥工程で得られた粉体と混合し、前記
成型方法によって成型体を得ることができる。前記炭素数15〜20の脂肪酸金属塩の添
加量は、前記乾燥工程で得られた粉体100重量部に対し、0.03重量部以上が必要で
、好ましくは0.05重量部以上である。0.03重量部より少ないと、得られる触媒の
圧壊強度等の機械的強度が十分に向上しない傾向がある。一方、使用量の上限は、0.4
8重量部以下がよく、0.40重量部以下が好ましい。0.48重量部より多いと、十分
な原料転化率や生成物選択率が得られないおそれがある。
[焼成工程]
前記触媒前駆体を、好ましくは300℃〜500℃、好ましくは350℃〜450℃の
温度条件にて1時間〜16時間程度、焼成する。焼成方法としては、前記の加熱処理で用
いられる方法を採用することができる。
以上のようにして、高活性で、かつ目的とする不飽和カルボン酸を高い収率で与える複
合酸化物の触媒が得られる。
得られた触媒は触媒成分元素としてモリブデン、バナジウムを含有することが好ましく
、それ以外に銅を含有することがより好ましく、なかでも、下記の一般式(2)で表され
ることがさらに好ましい。
Mo12CuSbSi (2)
(式(1)中、XはNb及び/又はWを示し、YはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから
なる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、ZはFe、Co、Ni及びBiからな
る群より選ばれた少なくとも一種の元素を示す。a〜iはそれぞれの元素の原子比を示し
、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦
500、0≦g≦500、0≦h≦500の範囲にあり、iは他の元素の酸化状態を満足
させる値である。)
尚、触媒の製造において、成型工程が乾燥工程で得られた粉体を担体に担持する担持成
型である場合には、得られた触媒の触媒成分元素は該担体を除いたものである。
[用途]
本発明の製造方法により製造された触媒を用いることにより、原料転化率や生成物選択
率等の触媒性能をより向上させることができ、アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和
アルデヒドを酸素含有ガスにより気相接触酸化して、対応するアクリル酸、メタクロレイ
ン等の不飽和アルデヒドを高収率で製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、アクロレイン転化率、アクリル酸選択率、アクリル酸収率は、下記の式(1)〜
(3)のように定義する。
(1)アクロレイン転化率(モル%)=100×(反応したアクロレインのモル数)/(
供給したアクロレインのモル数)
(2)アクリル酸選択率(モル%)=100×(生成したアクリル酸のモル数)/(転化
したアクロレインのモル数)
(3)アクリル酸収率(モル%)=100×(生成したアクリル酸のモル数)/(供給し
たアクロレインのモル数)
<触媒の側面圧壊強度の測定>
圧縮用治具を具備したデジタルフォースゲージDPS−5R((株)今田製作所製)を電
動計測スタンドに取り付けた。リング径を水平方向にした触媒サンプルを該電動計測スタ
ンドの試料台に載置し、該DPS−5Rを15mm/分の速度で降下して該圧縮用治具に
より触媒サンプルを圧縮し、触媒サンプルが破壊したときの荷重を側面圧壊強度とした。
同種の触媒サンプル50粒の側面圧壊強度をそれぞれ測定し、平均値をその触媒の側面圧
壊強度とした。
<アクロレインの気相接触酸化反応>
各実施例及び比較例で得られた触媒を用いて、以下の通りの条件でアクロレインの気相
接触酸化反応を行った。
ナイターを入れたジャケット付き反応管(内径21mm)に、前記触媒33mlを充填
し、反応管を加熱し、原料ガス(アクロレイン6体積%、酸素8体積%、スチーム22体
積%、窒素ガス64体積%)を導入し、SV(空間速度;単位時間当たりの原料ガスの流
量/充填した触媒の見かけ容積)を1550/hrとしてアクロレインの気相接触酸化反
応を実施した。尚、該気相接触酸化反応においては、アクロレイン転化率が99.0モル
%となるように熱媒温度を調製した。
なお、前記ナイターとは、アルカリ金属の硝酸塩からなる熱媒体であり、この熱媒体は
200℃以上で溶融し、400℃まで使用可能で除熱効率が良好であるので、発熱量の大
きな酸化反応に適している。
(実施例1)
<触媒の調製>
塩基性炭酸ニッケル3.5重量部を純水350mlに分散させ、これにシリカ1.17
重量部及び三酸化アンチモン2.3重量部を加えて十分に撹拌し、スラリー状液を得た。
このスラリー状液を加熱して濃縮し、乾燥した。得られた乾燥固体をマッフル炉にて8
00℃で3時間焼成し、生成固体を粉砕して60メッシュ篩を通過する粉体を得た(Sb
−Ni−Si−O粉末)。
一方、回転攪拌翼付溶解槽中の純水3.8部を80℃に加熱し、パラモリブデン酸アン
モニウム1.0重量部、メタバナジン酸アンモニウム0.133重量部を順次撹拌しなが
ら溶解した。これに硫酸銅0.141重量部を純水100mlに溶解させた硫酸銅水溶液
を加え、さらに塩基性水酸化ニオブ0.076重量部を加えて撹拌し、スラリー液を得た
このスラリー液に、上記Sb−Ni−Si−O粉末1.88重量部を撹拌しながら徐々
に加えて充分に撹拌混合し、調製液を得た。この調製液を150℃で噴霧乾燥し粉体を得
た。
得られた粉体の各成分元素の原子数比は、以下の通りであった。
Mo:V:Nb:Cu:Sb:Ni:Si=12:2.4:1:1.2:20:8.5
:2
該粉体100重量部に対しステアリン酸マグネシウム0.10重量部を添加、混合し混
合物とした。
次いで該混合物を小型打錠成型機にて密度2.3g/cmのリング形状に成型した。
得られた成型体を1%酸素気流中、380℃で焼成し、触媒を製造した。この触媒は、
図1(a)(b)に示すような、円筒状の直胴部2とその両端部に形成された円錐台状の
頭頂部3とからなり、この直胴部2及び頭頂部3は、その内部に、軸方向に貫通した空洞
部4を有するリング形状の触媒1である。そして、この触媒1の直胴部2の外周面の両端
縁と空胴部4の両端縁とを結ぶ線とのなす角度、すなわち、直胴部2の外周面に沿い、軸
方向に引いた延長線と、直胴部2の外周面の両端縁と空胴部4の両端縁とを結ぶ線とのな
す角度(θ)がいずれも72°である。また、外径aは5mm、内径bは2mm、直胴部
2の長さcは3mm、空胴部4の長さdは4mmであった。
得られた触媒の側面圧壊強度、アクロレインの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめ
た。
なお、得られた触媒の各成分元素の原子数比は、以下の通りであった。なお、モリブデ
ン原子を12としたとき、0.1未満となる成分元素は記載していない。
Mo:V:Nb:Cu:Sb:Ni:Si=12:2.4:1:1.2:20:8.5
:2
(実施例2)
粉体100重量部に対しステアリン酸マグネシウム0.20重量部を添加、混合し混合
物とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した。触媒の側面圧壊強度、アクロレ
インの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(実施例3)
粉体100重量部に対しステアリン酸マグネシウム0.30重量部を添加、混合し混合
物とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した。触媒の側面圧壊強度、アクロレ
インの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(実施例4)
粉体100重量部に対しステアリン酸マグネシウム0.40重量部を添加、混合し混合
物とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した。触媒の側面圧壊強度、アクロレ
インの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(実施例5)
粉体100重量部に対しステアリン酸カルシウム0.30重量部を添加、混合し混合物
とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した。触媒の側面圧壊強度、アクロレイ
ンの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(実施例6)
粉体100重量部に対しステアリン酸カルシウム0.40重量部を添加、混合し混合物
とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した。触媒の側面圧壊強度、アクロレイ
ンの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(実施例7)
粉体100重量部に対しグラファイト1.50重量部及びステアリン酸マグネシウム0
.05重量部を添加、混合し混合物とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した
。触媒の側面圧壊強度、アクロレインの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(実施例8)
粉体100重量部に対しグラファイト1.50重量部及びステアリン酸マグネシウム0
.10重量部を添加、混合し混合物とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した
。触媒の側面圧壊強度、アクロレインの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(実施例9)
粉体100重量部に対しグラファイト1.50重量部及びステアリン酸カルシウム0.
10重量部を添加、混合し混合物とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した。
触媒の側面圧壊強度、アクロレインの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(比較例1)
粉体100重量部に添加物なく実施例1と同様な操作で触媒の製造を試みたが、小型打
錠成型機で成型できず、触媒とならなかった。
(比較例2)
粉体100重量部に対しグラファイト1.50重量部を添加、混合し混合物とした以外
は実施例1と同様な操作で触媒を製造した。触媒の側面圧壊強度、アクロレインの気相接
触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(比較例3)
粉体100重量部に対しグラファイト1.50重量部及びステアリン酸マグネシウム0
.50重量部を添加、混合し混合物とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した
。触媒の側面圧壊強度、アクロレインの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
(比較例4)
粉体100重量部に対しグラファイト1.50重量部及びステアリン酸カルシウム0.
50重量部を添加、混合し混合物とした以外は実施例1と同様な操作で触媒を製造した。
触媒の側面圧壊強度、アクロレインの気相接触酸化反応結果等を表1にまとめた。
Figure 2020157290
1 触媒
2 直胴部
3 頭頂部
4 空洞部
a 外径
b 内径
c 直胴部の長さ
d 空洞部の長さ

Claims (4)

  1. 不飽和カルボン酸合成用の触媒を製造する方法であって、
    各触媒成分元素の供給源化合物を水性系で一体化及び加熱することにより調製液とする
    調液工程、該調製液を乾燥処理して粉体とする乾燥工程、該粉体を成型し触媒前駆体とす
    る成型工程及び該触媒前駆体を焼成し触媒とする焼成工程を含み、
    前記成型工程において、成型前に該粉体100重量部に対し、炭素数15〜20の脂肪
    酸金属塩を0.03重量部以上0.48重量部以下添加する触媒の製造方法。
  2. 前記炭素数15〜20の脂肪酸金属塩が二価の金属塩である、請求項1に記載の触媒の
    製造方法。
  3. 前記不飽和カルボン酸合成用の触媒がモリブデン、バナジウムを含有する請求項1又は
    2に記載の触媒の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の触媒の製造方法により製造された触媒を用いて
    、アクロレインを酸素含有ガスにより気相接触酸化するアクリル酸の製造方法。
JP2019216075A 2019-03-20 2019-11-29 触媒の製造方法 Pending JP2020157290A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019052232 2019-03-20
JP2019052232 2019-03-20

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020157290A true JP2020157290A (ja) 2020-10-01

Family

ID=72640920

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019216075A Pending JP2020157290A (ja) 2019-03-20 2019-11-29 触媒の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020157290A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7132384B2 (en) Process for producing composite oxide catalyst
JPWO2005039760A1 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒、メタクリル酸の製造方法
JP4442317B2 (ja) 複合酸化物触媒の製造方法
JP6845473B2 (ja) 触媒の製造方法
JP2005058909A (ja) メタクリル酸合成用触媒の製造方法
JP2020157290A (ja) 触媒の製造方法
JP6628386B1 (ja) 不飽和カルボン酸製造用触媒
JP6136436B2 (ja) 触媒の製造方法
US10569260B2 (en) Method for preparing catalyst
JP2005161309A (ja) 複合酸化物触媒の製造方法
JP7375638B2 (ja) 不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
JP7347283B2 (ja) 不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
JP7375639B2 (ja) 不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
JP7347282B2 (ja) 不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
JP7459589B2 (ja) アクリル酸合成用触媒の製造方法
JP7480671B2 (ja) 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
JP7468292B2 (ja) 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
JP7480672B2 (ja) 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
JP7468291B2 (ja) 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
WO2021152916A1 (ja) 触媒の製造方法及びアクリル酸の製造方法
JP7468290B2 (ja) 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
JP2021090908A (ja) 触媒の製造方法
JPS60150834A (ja) メタクリル酸合成用触媒の製造法
JP2003251188A (ja) メタクリル酸合成用触媒およびメタクリル酸の製造方法
WO2020203789A1 (ja) 不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法