JP2009161445A - 固定床反応器および不飽和カルボン酸の製造方法 - Google Patents

固定床反応器および不飽和カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不飽和アルデヒドの気相接触酸化により不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる触媒が高い充填密度で充填され、不飽和カルボン酸を製造する際の圧力損失が小さく、過度のホットスポットの発生が抑制された固定床反応器、および該固定床反応器を用いた不飽和カルボン酸の製造方法の提供。
【解決手段】不飽和アルデヒドを分子状酸素により気相接触酸化して不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる少なくともモリブデンおよびバナジウムを含む触媒成形体と、充填補助材とが充填された反応管を備え、前記充填補助材が、充填密度が1.5〜2.0kg/lの金属製コイルスプリングであることを特徴とする固定床反応器。不飽和アルデヒドを、前記固定床反応器を用いて、分子状酸素により気相接触酸化することを特徴とする不飽和カルボン酸の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、不飽和アルデヒドの気相接触酸化により不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる少なくともモリブデンおよびバナジウムを含む触媒が充填された固定床反応器、および該固定床反応器を用いた不飽和カルボン酸の製造方法に関する。
一般的に、不飽和アルデヒドを分子状酸素により気相接触酸化して不飽和カルボン酸を製造する際には、触媒成形体(成形触媒、担持触媒等)が充填された反応管を備える固定床反応器が使用されている。
上記不飽和カルボン酸の製造においては、反応を、より低圧力下にて行うことにより、逐次酸化が抑制され、高収率で目的とする不飽和カルボン酸を高収率で得ることができるとされている。また、局所的な異常高温帯域(以下、ホットスポットという)を抑制することにより、上記と同様、逐次酸化が抑制され、高収率で目的とする不飽和カルボン酸を高収率で得ることができるとされている。
しかし、工業的規模の条件下においてこの反応を行う場合、固定床反応器にて圧力損失が生じるため、低圧力下で反応することが困難である。
つまり、一般的に、触媒成形体を反応管に充填する際には、反応管上部より投入落下させる方法が採られている。また、気相接触酸化反応のような強度の発熱をともなう反応に用いられる場合には、除熱を目的として充填補助材を触媒と混合して充填する場合がある。酸化反応のような発熱反応では、充填補助材は、触媒の密度を希釈し、ホットスポットの発生を防ぐ希釈材の役割ももっている。
しかし、かかる固定床反応器を用いて反応を行う場合、該固定床反応器に原料ガスを流通させると、充填された触媒成形体自身や充填補助材により圧力損失が生じ、また、それと同時に、投入落下時の物理的衝撃により触媒成形体が粉化又は崩壊して、さらに圧力損失の程度が大きくなるという問題点がある。
固定床反応器の圧力損失を抑制する試みは数多くの報告されている。たとえば、特許文献1および2では触媒成形体の形状を円柱状ではなくリング状にすることで圧力損失を抑制できるとする報告がある。また、特許文献3または4では充填補助材として、金属製ラシヒリングを用いることで、触媒投入落下時の崩壊または粉化を低減し、反応時の圧力損失の低減することが報告されている。また、特許文献5では充填補助材として様々な形状のものが報告されており、空隙率の高いものが充填落下時のクッション材として触媒の破損を防止し、圧力損低減に効果があると報告されている。
特公昭62−36739号公報 特公昭62−36740号公報 特開平9−301912号公報 特開平11−33393号公報 特開平5−293359号公報
しかし実際には、触媒の形状を工夫するだけでは圧力損失の抑制は不十分であり、また、過度のホットスポットが発生する場合がある。たとえば本発明者らの検討によれば、特許文献3〜5等に記載された充填補助材の場合、充填密度が1.0kg/lを下回るような軽い触媒であれば有効であるが、充填密度が1.0kg/lを超える触媒の場合、過度のホットスポットが発生してしまう。これは、充填密度が1.0kg/lを超える触媒の場合、ホットスポットの発生を防ぐ希釈材である充填補助材と均一に混合することが困難であり、反応管上部から投入落下して充填した際に不均一な混合状態になってしまい、触媒の希釈が不十分な部分で、過度のホットスポットが発生してしまうためと考えられる。
さらに、触媒の形状によっては、たとえばリング状の場合、触媒充填量が少なくなるため、触媒の寿命に関して不利となる問題がある。
すなわち、触媒は工業的見地、経済的見地から触媒活性を長期に亘って安定に維持できることが望ましいため、触媒調製方法や触媒組成・組成比等について改良が重ねられ、寿命の長い触媒の開発に力が注がれてきている。一般に、触媒の劣化速度は、単位時間当たりの反応量に応じてほぼ決まることが知られている。
工業的に用いられる酸化反応用の固定床反応器としては、除熱を考慮し、多管式反応器が一般的である。反応管1本当たりに充填できる触媒の量は、反応管の管径および長さによりほぼ決まってくる。そのため、決められた反応管1本当たりの容積に、できるだけ多くの触媒を充填したほうが、上述した理由により、寿命延長に有効である。
触媒の充填密度を大きくする方法としては、触媒成形体の形状を小粒系にする方法や、触媒成形体1粒あたりの質量を増やす方法、充填補助材の量を減らす方法等が挙げられる。しかし、何れの方法でも圧力損失が大きくなり、過度のホットスポットが発生しやすい傾向があるなど、目的成分を高収率で得るには不利な条件となる。
このように、触媒の寿命延長を考慮して触媒の充填密度を大きくすることと、圧力損失の低減および過度のホットスポットの発生の抑制とを両立することは難しく、更なる改良が求められているのが現状である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、不飽和アルデヒドの気相接触酸化により不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる触媒が高い充填密度で充填され、不飽和カルボン酸を製造する際の圧力損失が小さく、過度のホットスポットの発生が抑制された固定床反応器、および該固定床反応器を用いた不飽和カルボン酸の製造方法の提供を課題とする。
上記課題を解決する本発明は、以下の態様を有する。
[1]不飽和アルデヒドを分子状酸素により気相接触酸化して不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる少なくともモリブデンおよびバナジウムを含む触媒成形体と、充填補助材とが充填された反応管を備え、前記充填補助材が、充填密度が1.5〜2.0kg/lの金属製コイルスプリングであることを特徴とする固定床用反応器。
[2]前記金属製コイルスプリングが、下記式(1)〜(4)を満たす形状を有する[1]に記載の固定床用反応器。
(1)dn=dc×0.5〜2.0
(2)dl=dc×0.5〜2.0
(3)ds=dn×0.1〜0.4
(4)p=ds×0.3〜0.9
[式中、dcは触媒の最大外径、dnはコイルスプリングの外径、dlはコイルスプリングの自由長、dsはコイルスプリングの線径、pはコイルスプリングのピッチ間を示す。]
[3]不飽和アルデヒドを、[1]または[2]に記載の固定床反応器を用いて、分子状酸素により気相接触酸化することを特徴とする不飽和カルボン酸の製造方法。
本発明によれば、不飽和アルデヒドの気相接触酸化により不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる触媒が高い充填密度で充填され、不飽和カルボン酸を製造する際の圧力損失が小さく、過度のホットスポットの発生が抑制された固定床反応器、および該固定床反応器を用いた不飽和カルボン酸の製造方法を提供できる。
<固定床反応器>
本発明の固定床反応器において、反応管には、充填補助材として、充填密度が1.5〜2.0kg/l、好ましくは1.6〜1.8kg/lの金属製コイルスプリングが充填される。
該充填密度が上記範囲内であると、当該充填補助材と触媒成形体とを予め均一に混合したものを反応管に充填した際に不均一な混合状態にならず、反応時における過度のホットスポットの発生を抑制できる。また、充填時の触媒成形体の粉化や崩壊による圧力損失を抑制できる。
ここで、充填補助材の充填密度とは、単位体積あたりに充填される充填補助材の質量である。該充填密度は、たとえば内径26mmのステンレス製反応管中に当該充填補助材を落下させて充填し、充填された充填補助材の質量を、該充填補助材が占める体積で除することにより求められる。
充填補助材の充填密度は、金属製コイルスプリングの形状、たとえば金属製コイルスプリングの外径、自由長、線径、ピッチやそれらのバランス、材質等を調節することにより調節できる。
本発明においては、前記金属製コイルスプリングが、下記式(1)〜(4)を満たす形状を有することが好ましい。
(1)dn=dc×0.5〜2.0
(2)dl=dc×0.5〜2.0
(3)ds=dn×0.1〜0.4
(4)p=ds×0.3〜0.9
[式中、dcは触媒の最大外径、dnはコイルスプリングの外径、dlはコイルスプリングの自由長、dsはコイルスプリングの線径、pはコイルスプリングのピッチ間を示す。]
式(1)は、金属製コイルスプリングの外径(dn)が、当該金属製コイルスプリングと共に充填される触媒成形体の最大外径(dc)に対し、0.5〜2.0倍であることを示す。dnは、dcの0.8〜1.5倍であることが好ましい。なお、金属製コイルスプリングの外径が均一でない場合は、dnは金属製コイルスプリングの最大外径を示す。
式(2)は、金属製コイルスプリングの自由長(dl)が、当該金属製コイルスプリングと共に充填される触媒成形体の最大外径(dc)に対し、0.5〜2.0倍であることを示す。ここで、「自由長」とは、当該金属製コイルスプリングの、圧縮されていない状態での長さである。dlは、dcの0.8〜1.5倍であることが好ましい。
このように、金属製コイルスプリングの外径および自由長を、触媒成形体の大きさと極端に変わらない特定の大きさとすることにより、当該充填補助材と触媒成形体とを予め均一に混合したものを反応管に充填した際に、より不均一な混合状態になりにくく、ホットスポットの発生抑制効果が向上する。
式(3)は、金属製コイルスプリングの線径(ds)が、当該金属製コイルスプリングの外径(dn)に対し、0.1〜0.4倍であることを示す。dsは、dnの0.2〜0.3倍であることが好ましい。
式(4)は、金属製コイルスプリングのピッチ間(p)が、当該金属製コイルスプリングの線径(ds)に対し、0.3〜0.9倍であることを示す。ここで、「ピッチ間」とは、当該金属製コイルスプリングを構成する金属線間の間隙の幅である。pは、dsの0.5〜0.8倍であることが好ましい。
このように、金属製コイルスプリングの線径とピッチ間を上記範囲内とすることで、当該金属製コイルスプリング同士の入り込みや絡みを防止でき、また、金属製コイルスプリングの中に触媒成形体が入り込むことを防止でき、反応器における圧力損失を抑制する効果が向上する。
金属製コイルスプリングの材質は、不飽和アルデヒドを分子状酸素により気相接触酸化する反応を阻害しない金属であればよく、例えば炭素鉱、ステンレス鋼、チタン等が挙げられる。これらの中でも、所望の充填密度を得やすいこと、工業的な機械的強度、取り扱い性、価格等から、ステンレス鋼がより好ましい。
金属製コイルスプリングは、両端が処理されていてもよく、処理されていなくてもよい。両端の処理としては、クローズドエンド加工、内径方向への折り曲げ加工等が挙げられる。
金属製コイルスプリングとしては、市販のもののなかから、所望の特性(充填密度、形状、材質等)を有するものを適宜選択して使用することができる。
本発明の固定床反応器において、反応管には、前記充填補助材とともに、不飽和アルデヒドを分子状酸素により気相接触酸化して不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる少なくともモリブデンおよびバナジウムを含む触媒成形体が充填される。
該触媒成形体における触媒としては、一般的に、アクロレインの気相接触酸化によるアクリル酸の製造やメタクロレインの気相接触酸化によるメタクリル酸製造に用いられているものが挙げられる。
たとえばアクロレインの気相接触酸化によるアクリル酸製造用触媒としては、下記一般式(I)で表される組成を有するものが好ましい。
Mo ・・・(I)
[式(I)中、Mo、V、Oはそれぞれモリブデン、バナジウム、酸素を示し、Aは銅、鉄、コバルト、クロム、アルミニウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、Xはゲルマニウム、ホウ素、ヒ素、セレン、銀、ケイ素、ナトリウム、テルル、リチウム、アンチモン、リン、カリウム及びバリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、Yはマグネシウム、チタン、マンガン、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、タンタル、カルシウム、スズ及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示す。a、b、c、d、e及びfは各元素の原子比率を表し、a=12のときb=0.5〜10、c=0〜6、d=0〜6、e=0〜10であり、fは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子数である。]
式(I)中、Xとして2種以上の元素を含む場合、dは、それら2種以上の元素の合計の原子比率を表す。Y、Zについても同様である。
また、メタクロレインの気相接触酸化によるメタクリル酸製造用触媒としては、下記一般式(II)で表される組成を有するものが好ましい。
MoCu ・・・(II)
[式(II)中、P、Mo、V、Cu、Oはそれぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅、酸素を示し、Xはヒ素、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステン及びホウ素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、Yは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、マンガン、コバルト、バリウム、ガリウム、セリウム及びランタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、Zはカリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示す。a、b、c、d、e、f、g及びhは各元素の原子比率を表し、b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0〜2、e=0〜3、f=0〜3、g=0.01〜3であり、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子数である。]
式(II)中、Xとして2種以上の元素を含む場合、dは、それら2種以上の元素の合計の原子比率を表す。Y、Zについても同様である。
本発明において、触媒は、触媒成形体として反応管に充填される。
触媒成形体としては、前記触媒を賦形した成形触媒、前記触媒を担体に担持させた担持触媒等が挙げられる。
触媒、触媒成形体としては、市販のものを用いてもよく、製造してもよい。
触媒の製造方法としては、特殊な方法に限定する必要はなく、成分の著しい偏在を伴わない限り、従来から良く知られている種々の方法を用いることができ、たとえば蒸発乾固法、沈殿法、酸化物混合法等が挙げられる。具体例としては、たとえば、各触媒成分の原料を水と混合して各元素を所定の比率で含む原料液を調製し、該原料液を乾燥する方法が挙げられる。
触媒成分の原料としては、各元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、当該元素を含む酸、該酸の塩等を適宜組み合わせて使用することができる。
例えば、モリブデンの原料としては、モリブデン酸、三酸化モリブデン、パラモリブデン酸アンモニウム等が挙げられる。バナジウムの原料としては、メタバナジン酸アンモニウム、シュウ酸バナジウム、五酸化二バナジウム等が挙げられる。リンの原料としては、リン酸(HPO)、五酸化リン、リン酸アンモニウム等が挙げられる。銅の原料としては硝酸銅、硫酸銅、炭酸銅等が挙げられる。
触媒の組成は、触媒成分の原料仕込み量から算出できる。また、ICP(誘導結合高周波プラズマ)発光分析法、蛍光X線分析法、原子吸光分析法等により元素分析を行うことによっても確認できる。
成形触媒の賦形方法及び形状は特に限定されない。たとえば上述した触媒を通常の打錠成形機、押出成形機、転動造粒機等を用いて、球状、円柱状、リング状(円筒状)、星型状等の任意の形状に賦形されたものを用いることができる。
また、賦形する際に、触媒成形体に従来公知の添加剤、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の有機化合物、グラファイト、ケイソウ土等の無機化合物、ガラス繊維、セラミックファイバー、炭素繊維等の無機ファイバーを添加しても差し支えない。
担持触媒の担体の種類や形状については、特に限定されない。担体の種類としては、たとえばシリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、マグネシア、チタニア等が挙げられる。また、その形状としては、球状、円柱状、リング状(円筒状)、板状等が挙げられる。
触媒成形体の大きさは、特に限定されないが、圧力損失や触媒充填量を考慮して、球状触媒であれば好ましくは1mmφ〜10mmφ、より好ましくは3mmφ〜7mmφのもの、円柱状の触媒であれば好ましくは2mmφ×2mmL〜10mmφ×10mmL、より好ましくは3mmφ×3mmL〜7mmφ×7mmLのものが用いられる。
触媒成形体も、充填密度をある程度自由に調節することが可能であるが、通常触媒の機械的強度や表面積、細孔を考慮して、好ましくは0.3kg/l〜2.0kg/l、より好ましくは0.5kg/l〜1.5kg/lのものが多く用いられる。
反応管内に充填される触媒成形体および充填補助材の比率(質量比)は、触媒成形体:充填補助材=100:1〜100:300の範囲内であることが好ましく、100:5〜100:50の範囲内であることがより好ましい。
該比率が上記範囲内であると、圧力損失の低減および過度のホットスポットの発生の抑制効果に優れており、目的の不飽和カルボン酸を高収率で得ることができる。また、触媒密度が高く、触媒の寿命が充分に長いものとなる。
触媒成形体および充填補助材の充填方法は、特に限定されず、従来公知の方法を利用できる。たとえば触媒成形体および充填補助材を予め均一に混合して混合物となし、該混合物を反応管の上部から反応管内に落下させて充填する方法が挙げられる。
触媒成型体および充填補助材の混合方法は、特に限定されず、充填される触媒全体に対して充填補助材を混合する方法や、充填される触媒の一部を充填補助材で混合する方法でも良い。また、いくつかのセクションに分けて触媒成型体と充填補助材の比率を変更して混合してもよい。
本発明の固定床反応器内には、触媒成形体および充填補助材により触媒層が形成されている。
触媒層内における触媒成形体と金属製コイルスプリングの分布状態は、固定床反応器内全体で均一でもよいし、不均一でもよい。たとえば固定床反応器における反応ガス入口部から出口部にかけて分割された複数の層で分布状態が異なっていてもよく、さらに分布状態が連続的に変化してもよい。
本発明において充填補助材として充填される金属製コイルスプリングは、触媒層内に適度の空隙を与えて圧力損失が大きくなるのを防止し、また、触媒層内における触媒密度を希釈して、反応時のホットスポットの発生を抑制するものである。そのため、少なくとも、反応ガスの入口部分の触媒層が、金属製コイルスプリングにより希釈された状態にあることが好ましい。
<不飽和カルボン酸の製造方法>
本発明においては、不飽和アルデヒドを、前記固定床反応器を用いて、分子状酸素により気相接触酸化することにより不飽和カルボン酸を製造する。
気相接触酸化による不飽和カルボン酸の製造は、たとえば、前記固定床反応器に、不飽和アルデヒドおよび分子状酸素を含む原料ガスを供給し、反応させることにより実施できる。
たとえば、メタクロレインと分子状酸素を含む原料ガスを前記不飽和カルボン酸合成用触媒に接触させると、メタクロレインが分子状酸素により気相接触酸化され、メタクリル酸が得られる。また、アクロレインと分子状酸素を含む原料ガスを前記不飽和カルボン酸合成用触媒に接触させると、アクロレインが分子状酸素により気相接触酸化され、アクリル酸が得られる。
原料ガス中の不飽和アルデヒドの濃度は、広い範囲で変えることができるが、1〜20体積%が好ましく、特に3〜10体積%が好ましい。
不飽和アルデヒドは、反応に実質的な影響を与えない不純物として、水、低級飽和アルデヒド等を少量含んでいてもよい。
原料ガス中の分子状酸素濃度は、不飽和アルデヒド1モルに対して0.3〜4モルが好ましく、特に0.4〜2.5モルが好ましい。
分子状酸素源としては、空気を用いるのが経済的であるが、必要ならば純酸素で富化した空気も用い得る。
また、原料ガスには、希釈のために、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスを加えてもよいし、水蒸気を加えてもよい。
反応圧力は、通常、常圧から数気圧までの範囲内で適宜設定される。
反応温度は、通常、230〜450℃の範囲内で設定され、不飽和カルボン酸収率の点からは、250〜400℃が好ましい。
前記固定床反応器は、不飽和カルボン酸を製造する際の圧力損失が小さく、過度のホットスポットの発生が抑制されたものであるため、本発明によれば、不飽和カルボン酸を、高い収率で製造できる。
本発明の不飽和カルボン酸の製造方法は、特に、メタクリル酸またはアクリル酸の製造に好適に用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例および比較例中の「部」は重量部を意味する。
各充填補助材の充填密度は、内径26mmのステンレス製反応管中に当該充填補助材を落下させて充填し、充填された充填補助材の質量を、当該ステンレス製反応管内の、充填補助材で占められた体積で除することにより求めた。各触媒成型体の充填密度も同様にして求めた。
触媒組成は触媒成分の原料仕込み量から求めた。
反応器の熱媒としては硝酸カリウム50質量%および亜硝酸ナトリウム50質量%からなる塩溶融物を用いた。
また、実施例および比較例で用いた評価方法を以下に示す。
(ホットスポット)
触媒層内の温度を、反応管の管軸方向に対して垂直な断面の中心に設置した保護管に挿入した熱電対により測定した。なお、保護管内は反応系と隔離されており、測温する位置は挿入する熱電対の長さを調節して変えることができる。
このとき測定した触媒層内の温度と熱媒浴の温度との差ΔT(触媒層の温度−熱媒浴の温度)を測定することで、ホットスポットを検出した。
このとき検出されたΔT分布のうち、局所的異常高温帯域をホットスポットと呼び、最も高温のΔTをΔTMAXとして示す。
(選択率(%))
生成物(メタクリル酸またはアクリル酸)のモル数、および反応した原料(メタクロレインまたはアクロレイン)のモル数を、ガスクロマトグラフィーにより求め、下記式により算出した。
選択率(%)=(生成物のモル数/反応した原料のモル数)×100
(圧力損失率(%))
下記式により算出した。
圧力損失率(%)=100−B/A×100
[式中、Aは反応器入口でのガス圧力(kPa)、Bは反応器出口でのガス圧力(kPa)を示す。A、Bともにゲージ圧力である。]
[実施例1]
パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム3.3部及び硝酸カリウム4.8部を純水400部に溶解した。これを攪拌しながら、85重量%リン酸8.2部を純水10部に溶解した溶液を加え、さらに硝酸銅2.3部を純水10部に溶解した溶液を加えた。次に、硝酸亜鉛2.8部を純水10部に溶解した溶液を加えた後、95℃に昇温した。これに60重量%ヒ酸2.2部を純水10部に溶解した溶液を加え、続いて二酸化ゲルマニウム1.0部を加えた。この混合液を加熱撹拌しながら蒸発乾固し、得られた固形物を130℃で16時間乾燥し、粉砕した。この乾燥粉を打錠成形機により、外径5mm、平均長さ5mmのペレット状に成型した。これを空気流通下に380℃で5時間熱処理し、触媒成形体とした。この触媒成型体の充填密度は1.28kg/lであった。
得られた触媒成形体の酸素以外の元素の組成は、以下の通りであった。
1.5Mo120.6Cu0.2As0.2Ge0.2Zn0.2
上記触媒成形体1500gと、充填補助材として、線径1mm、外径6mm、ピッチ間0.6mm、自由長6mm、充填密度1.60kg/lのSUS304製のコイルスプリング600gとを均一に混合し、その混合物を、内径26mm、長さ5mのステンレス製反応管中に落下させて充填することにより固定床反応器を得た。
この固定床反応器に、メタクロレイン5体積%、酸素10体積%、水蒸気30体積%及び窒素55体積%からなる原料混合ガスを、マスフローで1500Nl(ノルマルリッター)/hr、出口圧力98kPaになるように通過させ、280℃で反応させた。
その結果、メタクリル酸の選択率は84.2%であった。また、この時の圧力損失率は25.9%で、ホットスポットのΔTMAXは20.3℃であった。
[比較例1]
充填補助材として、線径が0.8mm、外径が5mm、ピッチ間1mm、自由長5mmで充填密度1.10kg/lのSUS304製のコイルスプリングを使用する以外は実施例1と同様に触媒調製、充填および反応を行った。
その結果、メタクリル酸の選択率は82.6%であった。また、この時の圧力損失率は31.3%で、ホットスポットのΔTMAXは31.3℃であった。
[比較例2]
充填補助材として、線径が1.2mm、外径が12mm、ピッチ間1mm、自由長10mmで充填密度2.12kg/lのSUS304製のコイルスプリングを使用した以外は実施例1と同様に触媒調製、充填および反応を行った。
その結果、メタクリル酸の選択率は82.7%であった。また、この時の圧力損失率は35.5%で、ホットスポットのΔTMAXは29.6℃であった。
[実施例2]
充填補助材として、線径が0.5mm、外径が6mm、ピッチ間0.1mm、自由長が7mmで充填密度1.59kg/lのSUS304製のコイルスプリングを使用した以外は実施例1と同様に触媒調整、充填および反応を行った。
その結果、メタクリ酸の選択率は83.2%であった。また、この時の圧力損失率は31.0%で、ホットスポットのΔTMAXは26.3℃であった。
実施例1〜2および比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
充填密度が1.5〜2.0kg/lの金属製コイルスプリングを用いた実施例1、2は、選択率、圧力損失率、ΔTMAXのいずれの結果についても、同じ金属製コイルスプリングであっても充填密度が1.5〜2.0kg/lの範囲外のものを用いた比較例1、2に比べて良好であった。ただし、コイルスプリングの線径が前記式(3)(ds=dn×0.1〜0.4)を満たしていない実施例2は、式(1)〜(4)を全て満たす実施例1に比べて結果が悪かった。
Figure 2009161445
[実施例3]
三酸化モリブデン100部、五酸化バナジウム3.2部、ホウ酸0.4部、五酸化アンチモン4.7部及び85重量%リン酸10.0部を純水800部と混合した。これを還流下で3時間加熱攪拌した後、酸化銅(II)0.5部、酸化コバルト0.9部及び硝酸マンガン0.8部を加え、さらに還流下で2時間加熱攪拌した。このスラリーを50℃まで冷却し、重炭酸セシウム11.2部を純水30部に溶解した溶液を加え15分撹拌し、次に硝酸アンモニウム10部を純水30部に溶解した溶液を加えた。これを加熱攪拌しながら蒸発乾固し、得られた固形物を130℃で16時間乾燥後、粉砕した。この乾燥粉100部に対して重合度500のポリビニルアルコール3部及び純水15部を混合し、混練りを行い、押出成形機により、外径8mm、内径4mm、平均長さ6mmのリング状に賦形した。これを空気流通下に380℃で5時間熱処理し、触媒成形体とした。この触媒成型体の充填密度は1.60kg/lであった。
得られた触媒成形体の酸素以外の元素の組成は、次の通りであった。
1.5Mo120.6Cu0.1Sb0.50.1Mn0.05Co0.2Cs
上記触媒成形体1500gと、充填補助材として、線径2mm、外径10mm、ピッチ間1mm、自由長7mm、充填密度1.89kg/lのSUS304製のコイルスプリング600gとを均一に混合し、実施例1と同じ条件で充填及び反応を行った。
その結果、メタクリル酸の選択率は85.5%であった。また、この時の圧力損失率は26.0%で、ホットスポットのΔTMAXは21.0℃であった。
[比較例3]
充填補助材として、充填密度1.50kg/lの直径8mmの球状のセラミックボールを使用した以外は実施例3と同様に触媒調製、充填及び反応を行なった。
その結果、メタクリル酸の選択率は83.2%であった。また、この時の圧力損失率は32.5%で、ホットスポットのΔTMAXは25.5℃であった。
[比較例4]
実施例3において、充填補助材として外径6mm、外径と内径の差0.4mm、長さ6mm、充填密度0.89kg/lのSUS304製のラシヒリングを使用した点以外は実施例3と同様に触媒調製、充填及び反応を行った。
その結果、ホットスポットのΔTMAXが35℃を超えたため、低ロードの運転を余儀なくされ、フルロードに達するまでおよそ3週間かかり、スムーズなスタートアップができなかった。これは、充填補助材の充填密度が小さく、触媒の充填密度との差が大きいため、均一に混合できず、また、反応管内での混合状態の均一でなかったことによると推測される。
[比較例5]
実施例3において、充填補助材を使用しない以外は実施例3と同様に触媒調製、充填及び反応を行なった。
その結果、ホットスポットのΔTMAXが40℃を超え、安定な運転ができず暴走を起こしてしまった。
[実施例4]
実施例3において、充填補助材として線径が0.8mm、外径が10mm、ピッチ間0.6mm、自由長7mmで充填密度1.65kg/lのSUS304製のコイルスプリングを使用した以外は実施例3と同様に触媒調製、充填および反応を行なった。
その結果、メタクリル酸の選択率は84.5%であった。また、この時の圧力損失率は28.0%でホットスポットのΔTMAXは22.3℃であった。
実施例3〜4および比較例3〜5の評価結果を表2に示す。
充填補助材にセラミックボールを用いた比較例3は圧力損失率が高く、充填補助材にラヒシリングを用いた比較例4や充填補助材をまったく使用しなかった比較例5は安定運転に支障をきたす結果となった。また、コイルスプリングの線径が前記式(3)(ds=dn×0.1〜0.4)を満たしていない実施例4は、式(1)〜(4)を全て満たす実施例3に比べて結果が悪かった。
Figure 2009161445
[実施例5]
パラモリブデン酸アンモニウム100部及びメタバナジン酸アンモニウム16.6部を純水1000部に溶解した。これに硝酸第二鉄22.9部を純水200部に溶解した溶液を加え、続いて、硝酸バリウム1.3部を純水200部に溶解した溶液を加えた。次に、一般式NaO・2.2SiO・2.2HOで表される水ガラス3.9部を純水30部に溶解した溶液を加え、さらに、20%シリカゾル52.4部を加えた。この混合液を加熱撹拌しながら蒸発乾固し、得られた固形物を130℃で16時間乾燥し、粉砕した。この乾燥粉を打錠成形機により、外径5mm、内径2mm、平均長さ5mmのリング状に賦形した。これを酸素1%、窒素99%(容量%)の混合ガス流通下に380℃で5時間熱処理し、触媒成形体とした。この触媒成型体の充填密度は1.19kg/lであった。
得られた触媒成形体の酸素以外の元素の組成は、次の通りであった。
Mo12Fe1.2Si4.5Na0.7Ba0.1
上記触媒成形体1500gと、充填補助材として線径0.8mm、外径5mm、ピッチ間0.3mm、自由長6mm、充填密度1.50kg/lのSUS304製のコイルスプリング600gとを均一に混合し、その混合物を内径26mm、長さ5mのステンレス製反応管中に落下させて充填することにより固定床反応器を得た。
この反応器に、アクロレイン5体積%、酸素10体積%、水蒸気30体積%及び窒素5体積5%からなる原料混合ガスを、マスフローで1500Nl/hr、出口圧力98kPa(ゲージ圧)になるように通過させ、240℃で反応させた。
その結果、アクリル酸の選択率は85.5%であった。また、この時の圧力損失率は24.0%で、ホットスポットのΔTMAXは20.0℃であった。
[比較例6]
実施例5において、充填補助材として使用したSUS304製のコイルスプリングのかわりに充填密度0.88kg/lの直径5mmの球状のシリカアルミナボールを使用した点以外は実施例5と同様に触媒調製、充填及び反応を行なった。
その結果、アクリル酸の選択率は84.8%であった。この時の圧力損失は43.7%で、ホットスポットのΔTMAXは34.5℃と高く、およそ2週間、低ロードでの運転を余儀なくされた。この時の触媒層の温度分布を測定したところ、極端な温度分布が見られ混合斑があることが確認された。
[比較例7]
実施例5において、充填補助材として使用するSUS304製のコイルスプリングの形状を線径0.6mm、外径5mm、ピッチ間0.5mm、自由長6mm、充填密度0.89kg/lとしたものを使用する以外は実施例5と同じ条件で充填及び反応を行なった。
その結果、アクリル酸の選択率は84.9%であった。また、この時の圧力損失率は33.0%で、ホットスポットのΔTMAXは34.0℃と高く、触媒層の温度分布を確認したところ比較例6と同様で混合斑が確認された。
[実施例6]
実施例5において、充填補助材として使用するSUS304製のコイルスプリングの形状を線径2mm、外径10mm、ピッチ間1.2mm、自由長12mm、充填密度1.98kg/lとしたものを使用する以外は実施例5と同じ条件で充填及び反応を行なった。
その結果、アクリル酸の選択率は85.1%であった。また、この時の圧力損失率は26.4%で、ホットスポットのΔTMAXは31.5℃であった。
実施例5〜6および比較例6〜7の評価結果を表3に示す。
実施例5〜6は、コイルスプリング以外の充填補助材を使用した比較例6、7に比べ、選択率、圧力損失率、ΔTMAXのいずれの結果についても良好であった。ただし、コイルスプリングの自由長が前記式(2)(dl=dc×0.5〜2.0)を満たしていない実施例6は、式(1)〜(4)を全て満たす実施例5に比べて結果が悪かった。
Figure 2009161445
[実施例7]
実施例5に準じて、酸素以外の元素の組成が下記に示す組成となるように触媒成分を含む混合溶液を調製した。
Mo123.5Fe0.7Co0.5Sr0.4Ag0.05Si4.5Na0.7
この混合液を加熱撹拌しながら蒸発乾固し、得られた固形物を130℃で16時間乾燥し、粉砕した。この乾燥粉100部に対して純水20部、平均長さ200μmの無機ファイバー10部を混合し、押出成形機により、外径6mm、平均長さ5mmのペレット状に賦形した。これを酸素1%、窒素99%(容量%)の混合ガス流通下に380℃で5時間熱処理し、触媒成形体とした。この触媒成型体の充填密度は1.25kg/lであった。
上記触媒成形体1500gと、充填補助材として、線径1.0mm、外径6mm、ピッチ間0.6mm、自由長6mm、充填密度1.60kg/lのSUS304製コイルスプリング600gとを均一に混合し、実施例3と同じ条件で充填及び反応を行った。
その結果、アクリル酸の選択率86.1%であった。この時の圧力損失は26.5%で、ホットスポットのΔTMAXは21.0℃であった。
[比較例8]
実施例7において、充填補助材として、充填密度1.50kg/lの直径8mmの球状のセラミックボールを使用した点以外は、実施例4と同様に充填及び反応を行った。
その結果、アクリル酸の選択率は85.0%であった。また、この時の圧力損失率は33.0%でホットスポットのΔTMAXは32.0℃であった。
[実施例8]
実施例4において、充填補助材として使用するSUS304製のコイルスプリングの形状が、線径1.0mm、外径6mm、ピッチ間0.2mm、自由長8mm、充填密度1.84kg/lのものを使用する以外は実施例4と同様に充填及び反応を行った。その結果、アクリル酸の選択率は85.2%であった。また、この時の圧力損失率は30.1%でホットスポットのΔTMAXは31.3℃であった。
実施例7〜8、比較例8の評価結果を表4に示す。
充填密度が1.5〜2.0kg/lの金属製コイルスプリングを用いた実施例7、8は、選択率、圧力損失率、ΔTMAXのいずれの結果についても、同じく充填密度が1.5〜2.0kg/lの範囲内であるセラミックボールを用いた比較例8に比べて良好であった。ただし、コイルスプリングのピッチ間が前記式(4)(p=ds×0.3〜0.9)を満たしていない実施例8は、式(1)〜(4)を全て満たす実施例7に比べて結果が悪かった。
Figure 2009161445
上記結果から明らかなように、本発明の固定床反応器を用いると、圧力損失の低減と、過度のホットスポットの発生を抑制することが可能となる。そのため、本発明の固定床反応器を用いて不飽和アルデヒドの気相接触酸化反応を行うと、収率よく不飽和カルボン酸を製造することができる。

Claims (3)

  1. 不飽和アルデヒドを分子状酸素により気相接触酸化して不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる少なくともモリブデンおよびバナジウムを含む触媒成形体と、充填補助材とが充填された反応管を備え、前記充填補助材が、充填密度が1.5〜2.0kg/lの金属製コイルスプリングであることを特徴とする固定床反応器。
  2. 前記金属製コイルスプリングが、下記式(1)〜(4)を満たす形状を有する請求項1に記載の固定床反応器。
    (1)dn=dc×0.5〜2.0
    (2)dl=dc×0.5〜2.0
    (3)ds=dn×0.1〜0.4
    (4)p=ds×0.3〜0.9
    [式中、dcは触媒の最大外径、dnはコイルスプリングの外径、dlはコイルスプリングの自由長、dsはコイルスプリングの線径、pはコイルスプリングのピッチ間を示す。]
  3. 不飽和アルデヒドを、請求項1または2に記載の固定床反応器を用いて、分子状酸素により気相接触酸化することを特徴とする不飽和カルボン酸の製造方法。
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