JP2019127509A - 耐火性樹脂成形体 - Google Patents
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Description
また、例えば、内側に断熱材層を設け、外側には耐火塗料層を設けた板金製のケーシングの中にケーブルを格納する技術も知られている(特許文献1)。このケーシングはコンクリートトラフよりも軽量で、かつ耐火断熱性能にも優れる。しかし、断熱材層や耐火塗料層を設ける必要があり、長いケーブルをすべて格納して保護するケーシングの提供には、量産性やコストの面で課題がある。
また特許文献2〜5記載の技術では、電線・ケーブルの格納用途に適用した場合に、電線・ケーブルを火災から効果的に保護して断線をより確実に防ぐ目的を達成するのは困難である。すなわち、特許文献2〜5記載の技術は、火災による炎に曝されると成形体に穴が開いたりクラックが生じたりしやすいという根本的な問題を抱えている。穴あきやクラックが生じると、断熱性を十分に確保できず、内部の電線・ケーブルの外周を構成する絶縁被覆が損傷して絶縁抵抗が低下したり、最悪の場合には断線したりすることがある。
そこで本発明は、火災による炎に曝されても穴あきやクラックを生じにくく、耐火性と断熱性に優れた耐火性樹脂成形体を提供することを課題とする。
〔1〕
ポリ塩化ビニル化合物と、該ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、熱膨張性黒鉛3〜15質量部と、酸化チタンを1〜20質量部とを含有する、耐火性樹脂成形体。
〔2〕
前記耐火性樹脂成形体が三酸化アンチモンを含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記三酸化アンチモンの含有量が1〜10質量部である、〔1〕記載の耐火性樹脂成形体。
〔3〕
前記耐火性樹脂成形体が炭酸カルシウムを含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記炭酸カルシウムの含有量が1〜10質量部である、〔1〕又は〔2〕記載の耐火性樹脂成形体。
〔4〕
前記耐火性樹脂成形体が鉛化合物を含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記鉛化合物の含有量が1〜6質量部である、〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の耐火性樹脂成形体。
〔5〕
前記鉛化合物が、三塩基性硫酸鉛、三塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、シリカゲル共沈ケイ酸鉛、及び塩基性亜硫酸鉛の少なくとも1種を含む、〔4〕記載の耐火性樹脂成形体。
〔6〕
前記耐火性樹脂成形体がガラスフリットを含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記ガラスフリットの含有量が5〜20質量部である、〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の耐火性樹脂成形体。
〔7〕
前記耐火性樹脂成形体が耐衝撃改良剤を含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記耐衝撃改良剤の含有量が合計で1〜20質量部である、〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の耐火性樹脂成形体。
〔8〕
前記耐衝撃改良剤が、ゴム及び/又は熱可塑性エラストマーである、〔7〕記載の耐火性樹脂成形体。
〔9〕
前記耐火性樹脂成形体がフタル酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ化エステル、ポリエステル、トリメリット酸エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸エステル、及び塩素化パラフィンの少なくとも1種の可塑剤を含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記可塑剤の含有量が合計で0.1〜10質量部である、〔1〕〜〔8〕のいずれか記載の耐火性樹脂成形体。
〔10〕
前記耐火性樹脂成形体が押出成形体である、〔1〕〜〔9〕のいずれか記載の耐火性樹脂成形体。
〔11〕
電線・ケーブルを格納する保護部材である、〔1〕〜〔10〕のいずれか記載の耐火性樹脂成形体。
〔12〕
耐火・断熱試験において、前記耐火性樹脂成形体が燃焼して熱膨張性黒鉛の膨張した際に、前記耐火性樹脂成形体に、貫通する穴あき及び貫通するクラックが発生しない、〔1〕〜〔11〕のいずれか記載の耐火性樹脂成形体。
本発明に用いるポリ塩化ビニル化合物は、ポリ塩化ビニルの他、ポリ塩化ビニル骨格を有する誘導体を含む意味である。ポリ塩化ビニル化合物としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化塩化ビニル(CPVC)、及び、塩化ビニルとポリエチレンとの共重合体等を挙げることができ、ポリ塩化ビニル及び/又は塩素化塩化ビニルがより好ましい。成形性の観点から、塩素化塩化ビニルを用いる場合、ポリ塩化ビニルとブレンドして用いることが好ましい。
ポリ塩化ビニル化合物は、耐火性樹脂として用いられる通常のものを用いることができる。また、ポリ塩化ビニル化合物を常法により合成し、用いることができる。
本発明に用いる熱膨張性黒鉛は、二次元的に広がる六員環構造の網平面の層と層とがC軸方向に積層している六方晶結晶の前記各層間に、熱分解性の物質を挿入した層間化合物である。例えば発煙硫酸や硫酸と濃硝酸、各種の硝酸塩、過塩素酸、各種の過塩素酸塩、クロム酸、各種のクロム酸塩、重クロム酸などを含む酸化性溶液に黒鉛を浸漬した後、水洗、乾燥して製造される。
本発明に用いる酸化チタンは、安定な結晶構造として知られるルチル型であることが好ましい。また、酸化チタンには表面処理が付されていてもよい。この表面処理により、樹脂中への分散性や樹脂との密着性を高めることができる。表面処理剤としては、例えば、脂肪酸処理剤、シランカップリング剤、アルミナ、シリカが挙げられる。
本発明の耐火性樹脂成形体は、難燃剤を含有することも好ましい。難燃剤としては、アンチモン系難燃剤、リン系難燃剤、水酸化物系難燃剤、シリコーン系難燃剤、クレイ系難燃剤、メラミン系難燃剤が挙げられる。本発明においては、後述する理由により、アンチモン系難燃剤を用いることが好ましい。
アンチモン系難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムが挙げられる。アンチモンは塩素(ハロゲン)と反応し、発生したガスが酸素を遮断するため炭化層の生成を促進し、かつフリーラジカルをトラップ(熱分解連鎖反応停止作用)すると考えられている。なかでもより安定した炭化層を形成する観点から、本発明においては、三酸化アンチモンを含有させることが好ましい。また、本発明の耐火性樹脂成形体が三酸化アンチモンを含有することで、酸化チタンとの共存下において焼失がより遅効化し、難燃剤としての効果を、より持続的に発現することが可能になる。
水酸化物系難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが挙げられる。なお、水酸化物系難燃剤の添加は、成形体の熱膨張後の穴あきやクラックの防止に対してはあまり影響せず、この観点では積極的に添加する必要はない。
本発明の耐火性樹脂成形体に炭酸カルシウムが含まれていることが好ましい。炭酸カルシウムは、燃焼中に分解し塩化ビニル化合物と反応して、塩化カルシウムと炭酸ガスや水を生成する。そのため、安定化作用は存在するものの、発泡により耐火性樹脂成形体の組織を不安定化する作用も有する。そのため、塩化ビニル化合物100質量部に対する炭酸カルシウムの含有量の上限は、最大でも10質量部以下に抑えることが好ましい。このように、炭酸カルシウムを所定量範囲で添加した場合には、後述する鉛系化合物の安定化作用を補完し、より高い安定性を実現できる。
本発明の耐火性樹脂成形体が炭酸カルシウムを含む場合、当該成形体中、炭酸カルシウムの含有量は、ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、1〜10質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましく、3〜8質量部がさらに好ましい。
本発明の耐火性樹脂成形体は、下記の無機充填剤を含有してもよい。この無機充填剤としては、例えば、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、珪藻土、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化スズ、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、モンモリロナイト、カーボンブラック、窒化ホウ素、窒化ケイ素を挙げることができる。無機充填剤の含有量はポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、成形性の観点から10質量部以下なら許容される。さらに炭酸カルシウムと合算で10質量部以下が好ましい。なお、炭酸カルシウムと無機充填剤の両者を含む場合には、両者の含有量の合計値の50質量%以上が炭酸カルシウムであることが望ましい。本発明の耐火性樹脂成形体は無機充填剤を含まない形態も好ましい。
本発明の耐火性樹脂成形体は、ポリ塩化ビニル化合物の安定化剤を含有することも好ましい。この安定化剤を成形体に含有させることにより、ポリ塩化ビニル化合物の分解を、より効果的に防ぐことができる。
上記安定化剤の種類に特に制限はなく、例えば、鉛系安定化剤(鉛化合物)、金属石鹸、Cd/Ba系複合安定化剤、有機スズ系安定化剤、有機安定化剤、エポキシ系安定化剤を挙げることができる。なかでも鉛系安定化剤が好ましい。
本発明の耐火性樹脂成形体は、加工性や機械強度の調整(耐衝撃性)の観点で、可塑剤を含有してもよい。可塑剤は、フタル酸エステル(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)等)、脂肪酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ化エステル、ポリエステル、トリメット酸エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸エステル、及び塩素化パラフィン等を挙げることができる。
本発明の耐火性樹脂成形体は、耐衝撃改良剤を含有することも好ましい。耐衝撃改良剤としては、ゴム及び熱可塑性エラストマーが挙げられる。
上記ゴムは、シリコーンゴム、アクリルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。
また、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑エラストマー、オレフィン系熱可塑エラストマー、ウレタン系熱可塑エラストマー、エステル系熱可塑エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アイオノマー熱可塑エラストマー、水素化熱可塑エラストマー等を挙げることができる。
本発明の耐火性樹脂成形体は、上記各成分に加え、目的に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤等)、光安定剤(HALS系光安定化剤等)、ガラスフリット(低融点粉末ガラス)等を含有してもよい。なかでも、強固な炭化層を形成する観点から、ガラスフリットを含有することが好ましい。
本発明の耐火性樹脂成形体は、当該成形体を構成する材料を混練し、成形することにより得ることができる。混練温度は熱膨張性黒鉛の膨張を生じにくい温度で行うことが好ましく、通常は200℃以下である。
また、成形方法に特に制限はなく、プレス成形、押出成形、射出成形等の通常の方法を採用することができる。成形体の成形性の観点からは、本発明の耐火性樹脂成形体は押出成形体、プレス成形体、射出成形体、又はブロー成形体であることが好ましい。
本発明の耐火性樹脂成形体の用途に特に制限はなく、耐火性ないし断熱性が要求される成形体に適宜に適用することができる。なかでも、本発明の耐火性樹脂成形体は、耐火性に加え、断熱性にも優れる。したがって、電線やケーブルを格納し、火災から電線やケーブルの断線を防ぐための用途、すなわち電線管等の保護部材として適用することが好ましい。
<材料>
下記の材料を使用した。
・PVC(商品名:TH−1000、大洋塩ビ社製)
・安定化剤1:ステアリン酸鉛と三塩基性硫酸鉛の混合物(商品名:SR−700、日東化成工業社製)
・安定化剤2:三塩基性硫酸鉛(商品名:シナカレッドTS−102、サンエース社製)
・加工助剤(商品名:メタブレンP551A、アクリル系加工助剤、三菱ケミカル社製)
・耐衝撃改良剤1:シリコーン/アクリル系複合ゴム(商品名:メタブレンS−2000、三菱ケミカル社製)
・耐衝撃改良剤2:アクリル系ゴム(商品名:カネエースFM−50、カネカ社製)
・可塑剤:アジピン酸ジイソノニル(商品名:W−242、DIC社製)
・熱膨張性黒鉛(商品名:9550250、伊藤黒鉛社製)
・酸化チタン(商品名:Ti−Pure R−103、Chemours社製)
・炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1500、備北粉化工業社製)
・酸化亜鉛(商品名:酸化亜鉛2種、堺化学工業社製)
・酸化アルミニウム(商品名:ALH35−125、新日鉄マテリアル社製)
・三酸化アンチモン(商品名:PATOX−M、日本精鉱株式会社製)
・ガラスフリット(商品名:VY0144、日本フリット社製)
上記材料を、下表の通り配合し、195℃に温調した6インチオープンロールにて混練した。混練した材料を175℃に温調した金型で10分間予熱したのち、荷重200kgfで5分間プレスすることにより縦300mm×横200mm×厚さ5mmのサンプルシートを成形した。
図1に示す耐火・断熱試験機1を用いて耐火・断熱性の評価を実施した。縦150mm×横150mmに切り出したサンプルシート4を、床面からサンプルシート4底面の高さが180mmとなるように耐火・断熱試験機1に設置した。火源としてブンゼンバーナー2を使用し、ブンゼンバーナー2の口からサンプルシート4底面までの距離が25mmとなるように設置した。
燃焼ガスとしてプロパンガスを使用し、炎全体の高さが80mm、還元炎の高さが40mmとなるようにブンゼンバーナー2のガス弁と空気弁を調整し、炎の大きさが一定になるようにした。断熱性評価のため、設置されたサンプルシート4の上面から高さ60mmの位置にシース先端が来るように熱電対3を設置し、温度を測定した。熱電対3はシース径φ4.8mmのK型熱電対を使用した。加熱時間は20分間とした。ただし、サンプルシート4に穴があき、炎がサンプルシート4を貫通した場合は20分経過していなくても、その時点で試験を中断した。
断熱性評価として、設置した熱電対3をデータロガーに接続し、温度の経時変化を測定した。20分経過後の温度が100℃以上の場合は×、100℃未満の場合〇とした。また、〇のうち、80℃以下に温度上昇が抑えられた場合は◎とした。
また、材料の基礎物性としてJIS K 7111に準拠し、シャルピー衝撃強度(KJ/m2)を測定した。(エッジワイズ ノッチ2mm)
結果を下表に示す。
熱膨張性黒鉛と酸化チタンとを本発明で規定する特定量含有する場合、すなわちポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、熱膨張黒鉛を10質量部、酸化チタンを1質量部〜20質量部の範囲で組み合わせて含有する実施例1〜5の成形体はいずれも、強固で貫通するクラックないし穴あきが生じず、凹凸も抑えられた均一な炭化断熱層を形成した。すなわち、炎が成形体を貫通することを効果的に防ぎ、また、成形体の厚み方向への断熱性にも優れており、内部に電線・ケーブル等を布設する保護部材として好適な特性を示した。これらが実現できた理由は定かではないが、酸化チタンの高い輻射反射作用によって成形体の加熱が比較的緩やかに進むこと、酸化チタン自体が優れた熱伝導体として作用し、加熱時の成形体の温度上昇が緩やかになると同時に成形体の面方向に熱が一様に伝わることなどにより、成形体のサンプルシートの上面から所定距離に配置した熱電対による測定温度を低く抑えることが可能になったものと考えられる。
また、熱膨張性黒鉛と酸化チタンとの組合せに加え、さらに炭酸カルシウムを含有させた場合、断熱性が向上する結果となった(実施例6)
また、熱膨張性黒鉛と酸化チタンとの組合せに加え、三酸化アンチモンを含有させることにより、耐火・断熱性が高められることもわかった(実施例7、8、9)。これは、アンチモンが塩素(ハロゲン)と反応して発生したガスが酸素を遮断し、炭化層の生成を促進したためと考えられる。また発生ガスはフリーラジカルをトラップ(熱分解連鎖反応停止作用)する効果もある。また、酸化チタンにより三酸化アンチモンの焼失が抑えられたこと(酸化チタンと三酸化アンチモンとの相互作用)も一因と推定される。
また、耐衝撃改良剤の種類を変えたり、可塑剤を含有させたりしても十分な耐火・断熱性を実現できること、可塑剤は、耐衝撃性の向上にも寄与することもわかった(実施例10、11)。
さらに、ガラスフリットを含有させることで、耐火・断熱性を向上させることができる。そのため、ガラスフリットにより炭化層を適宜に強化することも可能である(実施例12、13)。
また、熱膨張性黒鉛の含有量を変化させても、当該含有量が一定の範囲内にあれば、目的の耐火・断熱性能を実現できることもわかる(実施例14〜16)。
上記の実施例1〜実施例16に記載の耐火性と断熱性に優れる材料のシャルピー衝撃強度は、4.0〜9.8(kJ/m2)であり、ばらつきはあるものの、いずれも十分に高い衝撃強度を示した。上記で調製した各成形体中に含まれる熱膨張性黒鉛は、その平均粒径をレーザ回折法により測定すると、いずれも平均粒径100μm以下であった。
上記表に示されるように、成形体が熱膨張性黒鉛を含まない場合、耐火・断熱試験において成形体(サンプルシート)に炎が貫通する穴が開く結果となった(比較例1)。
また、成形体が熱膨張性黒鉛を含有しても、酸化チタンを含有しない場合には、耐火・断熱試験において成形体にクラックが発生した(比較例2)。これは、熱膨張性黒鉛が不均一に膨張し、炭化層に応力がかかったことが一因と考えられる。
また、熱膨張性黒鉛とともに無機充填剤を含有しても、無機充填剤が酸化チタンでない場合には、やはりクラックないし穴あきが生じる結果となった(比較例3、4、5)。これらの無機充填剤は、いずれも白色顔料として使用されるものであり、酸化チタンと同様に光反射効果が高いものである。それでもクラックの発生を抑えることはできなかった。
また、酸化チタンを含有しないと、難燃剤の三酸化アンチモンを含有させてもクラックが生じる結果となった(比較例6)。
また、熱膨張性黒鉛と酸化チタンを組合せて含有する場合であっても、熱膨張性黒鉛の含有量が少なすぎると炎が貫通する穴あきを生じた(比較例7)。
2 ブンゼンバーナー
3 熱電対
4 サンプルシート
Claims (12)
- ポリ塩化ビニル化合物と、該ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、熱膨張性黒鉛3〜15質量部と、酸化チタン1〜20質量部とを含有する、耐火性樹脂成形体。
- 前記耐火性樹脂成形体が三酸化アンチモンを含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記三酸化アンチモンの含有量が1〜10質量部である、請求項1記載の耐火性樹脂成形体。
- 前記耐火性樹脂成形体が炭酸カルシウムを含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記炭酸カルシウムの含有量が1〜10質量部である、請求項1又は2記載の耐火性樹脂成形体。
- 前記耐火性樹脂成形体が鉛化合物を含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記鉛化合物の含有量が1〜6質量部である、請求項1〜3のいずれか1項記載の耐火性樹脂成形体。
- 前記鉛化合物が、三塩基性硫酸鉛、三塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、シリカゲル共沈ケイ酸鉛、及び塩基性亜硫酸鉛の少なくとも1種を含む、請求項4記載の耐火性樹脂成形体。
- 前記耐火性樹脂成形体がガラスフリットを含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記ガラスフリットの含有量が5〜20質量部である、請求項1〜5のいずれか1項記載の耐火性樹脂成形体。
- 前記耐火性樹脂成形体が耐衝撃改良剤を含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記耐衝撃改良剤の含有量が合計で1〜20質量部である、請求項1〜6のいずれか1項記載の耐火性樹脂成形体。
- 前記耐衝撃改良剤が、ゴム及び/又は熱可塑性エラストマーである、請求項7記載の耐火性樹脂成形体。
- 前記耐火性樹脂成形体がフタル酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ化エステル、ポリエステル、トリメリット酸エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸エステル、及び塩素化パラフィンの少なくとも1種の可塑剤を含有し、前記ポリ塩化ビニル化合物100質量部に対し、前記可塑剤の含有量が合計で0.1〜10質量部である、請求項1〜8のいずれか1項記載の耐火性樹脂成形体。
- 前記耐火性樹脂成形体が押出成形体である、請求項1〜9のいずれか1項記載の耐火性樹脂成形体。
- 電線・ケーブルを格納する保護部材である、請求項1〜10のいずれか1項記載の耐火性樹脂成形体。
- 耐火・断熱試験において、前記耐火性樹脂成形体が燃焼して熱膨張性黒鉛の膨張した際に、前記耐火性樹脂成形体に、貫通する穴あき及び貫通するクラックが発生しない、請求項1〜11のいずれか1項記載の耐火性樹脂成形体。
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