JP2019125894A - 車載画像処理装置 - Google Patents

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彩乃 宮下
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Abstract

【課題】物理的なミラーに写り込む画像と比較して、電子ミラーの表示装置に表示される画像に対してドライバーが違和感を有することを少なくすることが可能な車載画像処理装置を提供する。【解決手段】車両の後側方を撮影する撮像装置Cから出力される画像信号を画像処理して表示装置Mに画像処理後の画像を表示させる車載画像処理装置は、車両の走行状態情報を取得する走行状態情報取得部20と、走行状態情報に基づいて、表示装置Mに表示される画像の少なくとも一部にぼかし処理がされるように、撮像装置Cからの画像信号を画像処理する画像処理部22とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の後側方を撮影する撮像装置から出力される画像信号を画像処理する車載画像処理装置に関するものである。
国際規格(ISO16505: Road vehicles -- Ergonomic and performance aspects of Camera Monitor Systems -- Requirements and test procedures)において、いわゆるサイドミラーの代わりに、電子ミラー、すなわち、図15に示すような車両の後側方を撮影するカメラ(撮像装置)Cと、図14に示すような車室内に設けられたモニタ(表示装置)Mとの組み合わせの使用が解禁され、これに伴い、日本においても2016年6月に保安基準が改訂されている。
そして、この電子ミラーにより表示される画像が運転手等にとって認識しやすいものにする技術も既に提案されている(例えば特許文献1参照)。
このような電子ミラーにおいて、モニタに表示される画像を全領域にわたって鮮明なものとしてドライバーの視認性を確保する観点から、カメラの焦点距離は無限遠に設定されることが多かった。
特開2016−220011号公報
一般的に、モニタは人間に対して2次元画像を提示するが、物理的なミラーは人間に対して3次元情報を提示することができる。つまり、物理的なミラーは、ミラーに写り込んでいる対象物を実際に人間が目視している場合と同等の像を人間に対して提供することができ、人間は、このミラーに写り込んでいる対象物に対して適宜焦点を合わせることで、その対象物の奥行き(距離)を把握することができる。これにより、物理的なミラーは人間に対して3次元情報を提示することができる。
一方、カメラは所定の焦点距離(上述のように多くは無限遠)が設定された光学素子を有し、この焦点距離により撮像された2次元画像をモニタに表示させる。従って、ある瞬間に画像に写り込んでいる対象物毎に異なる焦点距離をドライバーが設定することはできないため、モニタに表示される画像から3次元情報を取得、把握することは困難である。
従って、ドライバーは、物理的なミラーの画像と対比して、電子ミラーのモニタに表示される画像に違和感を有することがあった。
そこで、本発明は、物理的なミラーに写り込む画像と比較して、電子ミラーの表示装置に表示される画像に対してドライバーが違和感を有することを少なくすることが可能な車載画像処理装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明車載画像処理装置は、車両の後側方を撮影する撮像装置から出力される画像信号を画像処理して表示装置に画像処理後の画像を表示させるものであって、車両の走行状態情報を取得する走行状態情報取得部と、走行状態情報に基づいて、表示装置に表示される画像の少なくとも一部にぼかし処理がされるように、撮像装置からの画像信号を画像処理する画像処理部とを有することを特徴とする。
ここで、走行状態情報は、車両の走行速度と、車両が走行中の道路の種別情報とを含むことができる。
また、本発明の車載画像処理装置が画像中の対象物を認識する対象物認識部を有し、画像処理部が、対象物認識部の認識結果に基づいて画像処理を行う構成とすることができる。
さらに、画像処理部が、走行速度に基づいて、ぼかし処理の対象となる対象物と、ぼかし処理におけるぼかし度合いとを変更する構成とすることができる。
そして、画像処理部が、種別情報に基づいて、ぼかし処理を解除する対象となる対象物を変更する構成とすることができる。加えて、対象物認識部が認識した対象物までの距離を推定し、画像処理部が、対象物認識部により推定された距離に基づいて、ぼかし処理を解除する画像の領域を決定する構成とすることができる。
このように構成された本発明の車載画像処理装置では、走行状態情報取得部が取得した走行状態情報に基づいて、表示装置に表示される画像の少なくとも一部にぼかし処理がされるように、画像処理部が撮像装置からの画像信号を画像処理している。
このようにすることで、車両の走行状態に応じて表示装置に表示される画像の少なくとも一部にぼかし処理を行うことができるので、車両の走行状態に応じてドライバーが注視すべき領域のみを明瞭に表示することができる。これにより、物理的なミラーに写り込む画像と比較して、電子ミラーの表示装置に表示される画像に対してドライバーが違和感を有することを少なくすることが可能となる。
ここで、走行状態情報は、車両の走行速度と、車両が走行中の道路の種別情報とを含むので、車両の走行速度及び車両が走行中の道路の種別情報に基づいてドライバーが注視すべき領域を選定することができ、電子ミラーの表示装置に表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをより少なくすることが可能となる。
また、画像中の対象物を認識する対象物認識部を有し、画像処理部が、対象物認識部の認識結果に基づいて画像処理を行うので、表示装置に表示される画像に写り込んでいる対象物を考慮してドライバーが注視すべき領域を選定することができ、電子ミラーの表示装置に表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをさらに少なくすることが可能となる。
さらに、画像処理部が、走行速度に基づいて、ぼかし処理の対象となる対象物と、ぼかし処理におけるぼかし度合いとを変更するので、一律にぼかし処理を行う場合と比較して、電子ミラーの表示装置に表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをより少なくすることが可能となる。
さらに、画像処理部が、種別情報に基づいて、ぼかし処理を解除する対象となる対象物を変更するので、道路状況に応じてドライバーが注視すべき領域をより適切に選定することができ、電子ミラーの表示装置に表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをより少なくすることが可能となる。
そして、対象物認識部が認識した対象物までの距離を推定し、画像処理部が、対象物認識部により推定された距離に基づいて、ぼかし処理を解除する画像の領域を決定するので、対象物との距離に応じてドライバーが注視すべき領域をより適切に選定することができ、電子ミラーの表示装置に表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをより少なくすることが可能となる。
本発明の実施の形態である車載画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。 本実施の形態である車載画像処理装置の概要を説明するための図である。 本実施の形態である車載画像処理装置の概要を説明するための図である。 本実施の形態である車載画像処理装置の概要を説明するための図である。 本実施の形態である車載画像処理装置の概要を説明するための図である。 本発明の実施の形態である車載画像処理装置の全体動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態である車載画像処理装置のぼかし効果タイプ設定処理の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態である車載画像処理装置の走行シーン判定設定処理の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態である車載画像処理装置の画像内情報評価処理の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態である車載画像処理装置の逆マスク作成処理の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態である車載画像処理装置の逆マスク作成処理の動作の概要を説明する図である。 本発明の実施の形態である車載画像処理装置のぼかし処理の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態である車載画像処理装置のぼかし処理の動作の概要を説明する図である。 従来の電子ミラーの表示装置を示す図である。 従来の電子ミラーの撮像装置を示す図である。 本発明の実施の形態である車載画像処理装置に用いられる評価テーブルの一例を示す図である。
まず、図2〜図5を参照して、本実施の形態である車載画像処理装置の概要について説明する。
図2は、例えば上述の図15に示したような電子ミラーの撮像装置Cにより撮像され、図14に示したような電子ミラーの表示装置Mに表示される画像の一例を示す図である。既に説明したように、撮像装置Cは焦点距離が無限遠に設定されているので、画像に写り込んでいる対象物全てに焦点が合っており、ドライバーは全ての対象物をクリアに確認することができる。しかしながら、図2に示す画像において、ドライバーが注視すべきは順行車C1と自車との距離や路面Sなど、画像中の一部の対象物であり、しかも、運転状況によってドライバーが注視する対象物は刻々と変化する。
さらに言えば、画像中の対象物毎に、ドライバーに対して与える情報量の多少は異なる。つまり、図3に示すように、自車ボディBや空Kは運転状況によらずほとんど変化しないため、ドライバーの運転に影響を及ぼす情報はほとんど含まれない。一方、順行車C1や路面Sについては、自車との距離を含む状況などがドライバーの運転に影響を及ぼす情報となり、その情報量も多い。
従って、画像中の自車ボディBや空Kが写り込んでいる領域については、情報量を削減する、言い換えればぼかし処理を行ってもドライバーの運転に影響を与えることもなく、さらには、これらの領域をぼかし処理することで、ドライバーが注視すべき領域を限定できる。
そこで、図4に示すように、撮像装置Cから出力された画像信号に対してまずは全領域に一様のぼかし処理を行い、次いで、図5に示すように、ドライバーが注視すべき領域Aについて逆マスク処理を行ってぼかしを解除することで、ドライバーが注視すべき領域を限定し、よって、電子ミラーの表示装置Mに表示される画像に対してドライバーが違和感を有することを少なくすることが可能となる。
なお、以降説明する本実施の形態である車載画像処理装置では、ドライバーが注視すべき領域についてより詳細かつ精密な設定を行っている。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態である車載画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態である車載画像処理装置1は、車両の後側方を撮影する撮像装置Cから出力される画像信号を画像処理して表示装置Mに画像処理後の画像を表示させるものである。
ここで、撮像装置Cは、例えば図15に示すようなものであり、例えば車両の側部に設置されてこの車両の後側方を撮影する。この撮像装置Cの焦点距離は無限遠に設定されている。また、表示装置Mは、例えば図14に示すようなものであり、車室内のドライバーが視認可能な位置に設けられている。これら撮像装置C及び表示装置M自体は周知の構成が適宜採用可能であるため、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
また、車載画像処理装置1には、例えば車内に設けられた図略のECU(Electronic Control Unit)から車両CAN(Controller Area Network)を経由して車両の走行速度等の情報が提供され、また、GPS装置2が接続されたナビゲーション装置3から車両の現在位置情報及び車両が走行中の道路に関する情報等が提供される。
車載画像処理装置1は、制御部10と、記憶部11と、入力インタフェース12と、出力インタフェース13とを有する。制御部10はCPU等の演算素子を備える。記憶部11内に格納されている図略の制御用プログラムが車載画像処理装置1の起動時に実行され、この制御用プログラムに基づいて、制御部10は記憶部11等を含む車載画像処理装置1全体の制御を行うとともに、走行状態情報取得部20と、対象物認識部21と、画像処理部22としての機能を実行する。これら各機能部の動作については後述する。
記憶部11はハードディスクドライブ等の大容量記憶媒体、及びROM、RAM等の半導体記憶媒体を備える。この記憶部11には上述の制御用プログラムが格納されているとともに、制御部10の制御動作時に必要とされる各種データが一時的に格納される。また、この記憶部11には評価テーブル11aが格納されている。評価テーブル11aの詳細については後述する。
入力インタフェース12は、車載画像処理装置1に接続された撮像装置Cからの画像信号や図略のECUからの車両の走行速度等の情報を受け入れ、これを制御部10に出力する。出力インタフェース13は、制御部10、特に画像処理部22から出力された出力信号を受け入れ、これを表示装置Mに出力する。
次に、制御部10に構成される各機能部の説明をする。
走行状態情報取得部20は、車両の走行状態情報を取得する。ここで、走行状態情報には、車両の走行速度と、車両が走行中の道路の種別情報とが含まれ、走行状態情報取得部20は、車両の走行速度を図略のECUから車両CANを経由して取得し、道路の種別情報をナビゲーション装置3から取得する。
対象物認識部21は、撮像装置Cから出力される画像信号に基づき、表示装置Mに表示される画像中の対象物を認識する。ここで、対象物認識部21は、認識した対象物までの距離についても推定することが好ましい。
画像処理部22は、走行状態情報取得部20が取得した走行状態情報に基づいて、表示装置Mに表示される画像の少なくとも一部にぼかし処理がされるように、撮像装置Cからの画像信号を画像処理する。
ここで、画像処理部22は、対象物認識部21の認識結果に基づいて画像処理を行うことが好ましい。また、画像処理部22は、走行状態情報取得部20が取得した走行速度に基づいて、ぼかし処理の対象となる対象物と、ぼかし処理におけるぼかし度合いとを変更することが好ましい。さらに、画像処理部22は、走行状態情報取得部20が取得した道路の種別情報に基づいて、ぼかし処理を解除する対象となる対象物を変更することが好ましい。そして、画像処理部22は、対象物認識部21により推定された距離に基づいて、ぼかし処理を解除する画像の領域を決定することが好ましい。
これら各機能部の動作についてはさらに詳細に後述する。
次に、本実施の形態である車載画像処理装置1の動作の概要を図6のフローチャートを参照して説明する。
ステップS1において、車載画像処理装置1の制御部10、特に画像処理部22が、走行状態情報取得部20が取得した、この車載画像処理装置1が搭載された車両の車速に基づいて、撮像装置Cから入力された画像信号に対するぼかし処理のタイプを設定する処理を行う。
次いで、ステップS2では、車載画像処理装置1の画像処理部22が、走行状態情報取得部20が取得した、この車載画像処理装置1が搭載された車両が現在走行中の道路の種別情報に基づいて、ぼかし処理の対象となる対象物を設定する処理を行う。
さらに、ステップS3では、ステップS2で設定されたぼかし処理の対象となる対象物に基づいて、車載画像処理装置1の対象物認識部21が対象物を認識するとともにその対象物までの距離を推定し、ついで、画像処理部22が、この距離に基づいてぼかし処理を解除する画像の領域を決定する処理を行う。
そして、ステップS4では、車載画像処理装置1の画像処理部22が、撮像装置Cから入力された画像信号に対してぼかし処理を行い、処理後の画像信号を表示装置Mに出力する処理を行う。
次に、図6のステップS1の動作の詳細を図7のフローチャートを参照して説明する。
ステップS10では、走行状態情報取得部20が取得した車両の車速が0km/hより大きいか否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS11に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS13に移行する。
次に、ステップS11では、走行状態情報取得部20が取得した車両の車速が20km/hより大きいか否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS12に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS14に移行する。
次に、ステップS12では、走行状態情報取得部20が取得した車両の車速が40km/hより大きいか否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS16に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS15に移行する。
ステップS13では、ステップS10の判定が否定された、すなわち、現在の車両の車速Pは0km/hであると判定されたことから、ドライバーは表示装置Mに表示される画像を仔細に認識する余裕があるものと判断し、画像処理部22はぼかし処理を行わない。
ここで、本実施の形態である車載画像処理装置1、特に画像処理部22におけるぼかし処理とは、対象となる画素の周辺画素を含めた加算平均値をその対象画素の値とする処理を指す。当然、他のデジタルフィルタによるぼかし処理も好適に適用可能である。
ステップS14では、ステップS11の判定が否定された、すなわち、現在の車両の車速Pは0km/h<P<20km/hであると判定されたことから、車両は低速で走行しているものと判断し、画像処理部22は自車ボディBのみぼかし処理を行う(ぼかし効果 タイプ1)。
ここで、撮像装置Cの撮像範囲は通常固定であるので、この撮像装置Cの車体への取付位置が決まれば、表示装置Mの画像上での自車ボディBの領域も一意に定めることができる。本実施の形態である車載画像処理装置1では、表示装置Mの画像上での自車ボディBの領域が予め設定されているものとする。
ステップS15では、ステップS12の判定が否定された、すなわち、現在の車両の車速Pは20km/h<P<40km/hであると判定されたことから、車両は中速で走行しているものと判断し、画像処理部22は自車ボディB及び空Kについてぼかし処理を行う(ぼかし効果 タイプ2)。
ここで、撮像装置Cの車体への取付位置が決まれば、表示装置Mの画像上での地平線位置も推定することができる。本実施の形態である車載画像処理装置1では、表示装置Mの画像において所定範囲の上部領域が空Kとして予め設定されているものとする。
ステップS16では、ステップS12の判定が肯定された、すなわち、現在の車両の車速Pは40km/hより大きいと判定されたことから、車両は高速で走行しているものと判断し、画像処理部22は、自車ボディB及び空Kについてぼかし処理を行うとともに、図6のステップS2及びステップS3で設定される(詳細は後述する)領域のみドライバーに明瞭に提示するようなぼかし処理を後に行う(ぼかし効果 タイプ3)。
そして、ステップS13〜S16の処理が終了すると、プログラムはステップS2に移行する。
次に、図6のステップS2の動作の詳細を図8のフローチャートを参照して説明する。
ステップS20では、走行状態情報取得部20がナビゲーション装置3から取得した道路の種別情報に基づいて、車載画像処理装置1が搭載された車両が現在走行中の道路の種別情報を画像処理部22が判定する。判定は、現在走行中の道路が細街路か、県道か、国道か、自動車専用道路。高速道路かのいずれに該当するかにより行う。
ステップS21では、ステップS20により判定された道路の種別情報が細街路であるか否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS25に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS22に移行する。
ステップS22では、ステップS20により判定された道路の種別情報が県道であるか否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS26に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS23に移行する。
ステップS23では、ステップS20により判定された道路の種別情報が国道であるか否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS27に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS24に移行する。
ステップS24では、ステップS20により判定された道路の種別情報が自動車専用道路・高速道路であるか否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS28に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS3に移行する。
ステップS25では、ステップS21の判定が肯定された、すなわち、車両が現在走行中の道路の種別情報が細街路であると判定されたことから、画像処理部22は、表示装置Mの画像に写り込んでいる個々の対象物に対する優先度を、一例として歩行者・自転車の優先度を高くする(シーンフラグ:0)設定をする。
後述するシーンフラグ1〜3を含めて、道路の種別情報毎の対象物に対する優先度は、記憶部11内に評価テーブル11aとして格納されている。この評価テーブル11aの一例を図16に示す。優先度は、後述する逆マスク領域のぼかし処理の解除動作(図12のステップS62参照)において、ぼかし処理の解除をどの程度行うかの設定に用いられる。
ステップS26では、ステップS22の判定が肯定された、すなわち、車両が現在走行中の道路の種別情報が県道であると判定されたことから、画像処理部22は、表示装置Mの画像に写り込んでいる個々の対象物に対する優先度を、一例として歩行者・自転車の優先度を中程度にする(シーンフラグ:1)設定をする。
ステップS27では、ステップS23の判定が肯定された、すなわち、車両が現在走行中の道路の種別情報が国道であると判定されたことから、画像処理部22は、表示装置Mの画像に写り込んでいる個々の対象物に対する優先度を、一例として信号の優先度を高くする(シーンフラグ:2)設定をする。
ステップS28では、ステップS24の判定が肯定された、すなわち、車両が現在走行中の道路の種別情報が自動車専用道路・高速道路であると判定されたことから、画像処理部22は、表示装置Mの画像に写り込んでいる個々の対象物に対する優先度を、一例として車両の優先度を高くする(シーンフラグ:3)設定をする。
ステップS25〜S28の設定は、図7においてぼかし効果 タイプ3設定がされた場合に設定される。つまり、車両の車速が40km/hよりも速いので、ドライバーに対して注視すべき対象物を道路状況、言い換えれば道路の種別情報に応じて優先度を付けて明瞭に表示させることで、ドライバーによる対象物の視認をより明瞭にかつより確実に行わせることができる。
次に、図6のステップS3の動作の詳細を図9のフローチャートを参照して説明する。
ステップS30では、図8に示すフローチャートにおいて優先度がシーンフラグ:0に設定された(つまりステップS25において設定された)か否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS34に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS31に移行する。
ステップS31では、図8に示すフローチャートにおいて優先度がシーンフラグ:1に設定された(つまりステップS26において設定された)か否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS35に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS32に移行する。
ステップS32では、図8に示すフローチャートにおいて優先度がシーンフラグ:2に設定された(つまりステップS27において設定された)か否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS36に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS33に移行する。
ステップS33では、図8に示すフローチャートにおいて優先度がシーンフラグ:3に設定された(つまりステップS28において設定された)か否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS37に移行し、判定が否定されたらプログラムはステップS4に移行する。
ステップS34〜S37においては同一の動作が行われる。すなわち、車載画像処理装置1の対象物認識部21が、表示装置Mの画像に写り込んでいる対象物のうち、図16に示す優先度が設定されている対象物について、その種類及び画像中の領域を認識する処理を行う。
対象物認識部21による対象物認識処理自体は既存技術であり、一例として、特開2017−157138号公報に開示された技術等が好適に適用可能である。この公報に開示された技術では、撮像装置Cにより撮像された画像から3以上の異なるスケールの特徴ベクトルを抽出し、抽出した特徴ベクトルを異なるスケールの特徴セットに変換する処理を段階的に複数回実行することで、対象物の認識を行っている。認識された対象物は、この対象物が写り込んでいる矩形領域の形式で提示される。
この後、プログラムはそれぞれステップS38〜S41に移行する。このステップS38〜S41でも同一の動作が行われる。すなわち、車載画像処理装置1の画像処理部22が、ステップS34〜S37において認識された対象物に対して逆マスク処理を行う。
逆マスク処理の詳細について、図10のフローチャート及び図11を参照して説明する。図10のステップS50では、図9のステップS34〜S37において認識された対象物と車両との間の距離を算出する。対象物と車両との間の距離を算出する処理自体は既存技術であり、一例として、モーションステレオ技術(特開2017−78923号公報参照)等の技術が好適に適用可能である。
次に、ステップS51では、ステップS50において算出された対象物までの距離に基づいて、画像処理部22が、ステップS34〜S37における対象物認識部21の認識結果として出力される矩形領域に対して、この矩形領域の外方に設定するマージンの幅を設定する。
一例として、図11に示すように、車両と距離が近い対象物に設定された矩形領域R1に対してはマージンM1の幅を広く、距離が遠い対象物に設定された矩形領域R2に対してはマージンM2の幅を狭く設定する。これは、距離が近い対象物ほどドライバーに対して明瞭かつ確実な視認を確保することが重要だからである。
そして、ステップS52では、画像処理部22が、ステップS34〜S37において認識された対象物の矩形領域に、ステップS51で設定されたマージンを加えた領域の逆マスクを作成する。ここで、逆マスクとは、後述するように、表示装置Mの画像全体に対してぼかし処理を行った後、対象物認識部21により認識された対象物が写り込んだ矩形領域にマージンを加えた領域について、このぼかし処理を解除することを意味する。逆マスク作成処理は、矩形領域にマージンを加えた領域の画像中の位置(縦及び横の座標値)及び領域の大きさ(縦×横の画素数)を設定することにより行えばよい。
次に、図6のステップS4の動作の詳細を図12のフローチャート及び図13を参照して説明する。なお、図12のフローチャートでは、これまで説明したフローチャートのステップについても記載している。
図7のステップS10〜S16の処理が行われ、ステップS13〜S15の処理が終了するとプログラムは終了し、ステップS16の処理が終了するとプログラムは図6のステップS2及び図8のフローチャートに示すステップの処理を行う。次いで、プログラムは図6のステップS3及び図9のフローチャートに示すステップの処理を行い、さらに、図9のステップS38〜S41及び図12のフローチャートに示すステップの処理を行う。
ステップS60では、図9のステップS8〜S41及び図12のフローチャートに示すステップで設定された逆マスク領域が0より大きい(言い換えれば少なくとも1つの逆マスク領域が設定された)か否かが画像処理部22により判定され、判定が肯定されたらプログラムはステップS61に移行し、判定が否定されたらプログラムは終了する。
ステップS61では、画像処理部22が表示装置Mの画像全体(全域)にぼかし処理を行う。但し、ステップS61で行うぼかし処理は、図7のステップS13〜S16で行うぼかし処理より弱め(加算平均を行う周辺画素の数を減らすなど)である。
次いで、ステップS62では、画像処理部22が、図9のステップS38〜S41及び図12のフローチャートに示すステップで設定された逆マスク領域のぼかし処理を解除する。ぼかし処理を解除する手法は周知技術から適宜採用可能であるが、本実施の形態である車載画像処理装置1では、撮像装置Cから出力された画像信号を記憶部11に一旦格納しておき、逆マスクが設定された領域の画像信号をこの逆マスク設定領域の画像信号に重畳する、言い換えれば元の画像信号に近付けることによりぼかし処理を解除している。
図12のステップS62における逆マスク領域のぼかし処理の解除動作において、画像処理部22は、図8のステップS25〜S28で設定した優先度に基づいてぼかし処理の解除を行う。一例として、図16に示すように、車両が国道を走行している(シーンフラグ:2)場合、対象物が信号であれば優先度5が割り当てられており、この場合、画像処理部22は、信号に対応する逆マスク領域のぼかし処理を全て解除する。言い換えれば、元の画像信号に戻す。一方、対象物が歩行者であれば優先度1が割り当てられており、この場合、画像処理部22は、ステップS61において行われた弱いぼかし処理を残したままにする。言い換えれば、ぼかし処理の解除動作は行わない。
本実施の形態である車載画像処理装置1では、画像処理部22が、優先度が高くなるほどぼかし処理の解除を強く行い、結果として、優先度が高い対象物ほど明瞭に表示してドライバーの注視を促している。
図12のフローチャートに示すステップに基づく画像処理の一例を図13を参照して説明する。図13に示す例は、40km/h以上の車速で車両が高速道路を走行している場合の例である。
まず、図13の画像Z1に示すような画像信号が撮像装置Cにより撮像されているものとする。図13に示す例では図7のステップS16による処理が行われるので、図13の画像Z2に示すように、自車ボディB及び空Kについてぼかし処理が行われる。次いで、図13に示す例では1つ以上の逆マスク領域が設定されたものとし、図13の画像Z3に示すように、ステップS61において画像全体に弱いぼかし処理が行われる。そして、図13の画像Z4に示すように、図9のステップS8〜S41及び図10のフローチャートに示すステップで設定された逆マスク領域に対して、ステップS62においてぼかし処理が解除される処理が行われる。これにより、画像Z4に示すように、ドライバーが注視すべき対象物である順行車、路面等が明瞭に表示された画像が表示装置Mに表示される。
以上のように構成された各実施の形態である車載画像処理装置1では、走行状態情報取得部20が取得した走行状態情報に基づいて、表示装置Mに表示される画像の少なくとも一部にぼかし処理がされるように、画像処理部22が撮像装置Cからの画像信号を画像処理している。
このようにすることで、車両の走行状態に応じて表示装置Mに表示される画像の少なくとも一部にぼかし処理を行うことができるので、車両の走行状態に応じてドライバーが注視すべき領域のみを明瞭に表示することができる。これにより、物理的なミラーに写り込む画像と比較して、電子ミラーの表示装置Mに表示される画像に対してドライバーが違和感を有することを少なくすることが可能となる。
ここで、走行状態情報は、車両の走行速度と、車両が走行中の道路の種別情報とを含むので、車両の走行速度及び車両が走行中の道路の種別情報に基づいてドライバーが注視すべき領域を選定することができ、電子ミラーの表示装置Mに表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをより少なくすることが可能となる。
また、画像中の対象物を認識する対象物認識部21を有し、画像処理部22が、対象物認識部21の認識結果に基づいて画像処理を行うので、表示装置Mに表示される画像に写り込んでいる対象物を考慮してドライバーが注視すべき領域を選定することができ、電子ミラーの表示装置Mに表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをさらに少なくすることが可能となる。
さらに、画像処理部22が、走行速度に基づいて、ぼかし処理の対象となる対象物と、ぼかし処理におけるぼかし度合いとを変更するので、一律にぼかし処理を行う場合と比較して、電子ミラーの表示装置Mに表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをより少なくすることが可能となる。
さらに、画像処理部22が、種別情報に基づいて、ぼかし処理を解除する対象となる対象物を変更するので、道路状況に応じてドライバーが注視すべき領域をより適切に選定することができ、電子ミラーの表示装置Mに表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをより少なくすることが可能となる。
そして、対象物認識部21が認識した対象物までの距離を推定し、画像処理部22が、対象物認識部21により推定された距離に基づいて、ぼかし処理を解除する画像の領域を決定するので、対象物との距離に応じてドライバーが注視すべき領域をより適切に選定することができ、電子ミラーの表示装置Mに表示される画像に対してドライバーが違和感を有することをより少なくすることが可能となる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
C 撮像装置
M 表示装置
1 車載画像処理装置
2 GPS装置
3 ナビゲーション装置
10 制御部
11 記憶部
11a 評価テーブル
20 走行状態情報取得部
21 対象物認識部
22 画像処理部

Claims (6)

  1. 車両の後側方を撮影する撮像装置から出力される画像信号を画像処理して表示装置に画像処理後の画像を表示させる車載画像処理装置であって、
    前記車両の走行状態情報を取得する走行状態情報取得部と、
    前記走行状態情報に基づいて、前記表示装置に表示される前記画像の少なくとも一部にぼかし処理がされるように、前記撮像装置からの前記画像信号を画像処理する画像処理部と
    を有することを特徴とする車載画像処理装置。
  2. 前記走行状態情報は、前記車両の走行速度と、前記車両が走行中の道路の種別情報とを含むことを特徴とする請求項1に記載の車載画像処理装置。
  3. 前記画像中の対象物を認識する対象物認識部を有し、前記画像処理部は、前記対象物認識部の認識結果に基づいて画像処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の車載画像処理装置。
  4. 前記画像処理部は、前記走行速度に基づいて、前記ぼかし処理の対象となる前記対象物と、前記ぼかし処理におけるぼかし度合いとを変更することを特徴とする請求項3に記載の車載画像処理装置。
  5. 前記画像処理部は、前記種別情報に基づいて、前記ぼかし処理を解除する対象となる前記対象物を変更することを特徴とする請求項3または4に記載の車載画像処理装置。
  6. 前記対象物認識部は、認識した前記対象物までの距離を推定し、前記画像処理部は、前記対象物認識部により推定された前記距離に基づいて、前記ぼかし処理を解除する前記画像の領域を決定することを特徴とする請求項5に記載の車載画像処理装置。
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