JP2019125465A - 二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

二次電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗工性に優れた正極スラリーの調製が可能であり、かつ優れた体積エネルギー密度を有する正極の作製が可能な二次電池用正極活物質を簡易に得ることのできる、二次電池用正極活物質の製造方法に関する。【解決手段】特定の式で表されるリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物の1種以上を一次粒子(A)として用い、次の工程(X)〜(Z):リチウム化合物、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付す等により、一次粒子(A)を得る工程(X)、工程(X)で得られた一次粒子(A)と炭素源を含むスラリーを噴霧乾燥し、得られた造粒物を焼成して、一次粒子(A)の表面に炭素(B)が担持してなる焼成物(C)を得る工程(Y)、工程(Y)で得られた焼成物(C)のみを、特定の装置を特定条件下で用いて圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合化し、二次電池用正極活物質を得る工程(Z)を備える二次電池用正極活物質の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、体積エネルギー密度に優れる正極を得ることのできる二次電池用正極活物質の製造方法に関する。
携帯電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車等に用いられる二次電池の開発が行われており、特にリチウムイオン二次電池は広く知られている。こうしたなか、オリビン型構造を有するLi(Fe,Mn)PO4、Na(Fe,Mn)PO4等のリン酸塩化合物やLi2(Fe,Mn)SiO4、Na2(Fe,Mn)SiO4等のケイ酸塩化合物は、資源的な制約に大きく左右されることがなく、しかも高い安全性を発揮することができるため、高出力で大容量の二次電池を得るのには最適な正極活物質となる。しかしながら、これらの化合物は、結晶構造に由来して導電性を十分に高めるのが困難な性質を有しており、またリチウムイオンまたはナトリウムイオンの拡散性にも改善の余地があるため、従来より種々の開発がなされている。
例えば、特許文献1では、一次結晶粒子を超微粒子化して、オリビン型正極活物質内のリチウムイオン拡散距離の短縮化を図ることにより、得られる電池の性能向上を試みてはいるものの、微粒子化によって正極活物質のタップ密度が低下するために、正極活物質が電極合剤中に占める割合も減じられ、正極の体積エネルギー密度も低下しまうおそれがある。
そのため、こうした正極活物質の微粒子化による体積エネルギー密度の低下を抑制すべく、例えば、特許文献2では、電極活物質と導電材の混合物に50MPaまでの加圧下において通電して、電極活物質と導電材とを焼結させる方法が開示されており、また特許文献3では、予めメカノフュージョン処理によって結着させた電極活物質と導電材とを、60MPa以上の加圧下において通電して焼結させる方法が開示されている。
さらに、特許文献4では、導電性炭素材料で被覆された微細なリチウムリン系複合酸化物粒子をメカノケミカル処理して、圧縮しながら凝集させることにより、電極密度の高いリチウムリン系複合酸化物炭素複合体を得ている。
特開2010−251302号公報 特開2005−135723号公報 特開2008−226741号公報 特開2010−218884号公報
ところで、こうした正極活物質を用いて二次電池の正極を製造するには、かかる正極活物質、導電助剤、及びポリフッ化ビニリデン等の結着材(バインダー)に、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒を加えて、充分に混練して正極スラリーを調製し、これをアルミニウム箔等の集電体上に塗布する必要がある。そのため、調製して得られる正極スラリーとしては、正極活物質が占める割合の高いものが求められ、またかかる正極活物質を得るにあたってもより簡易な方法であることが望ましい。
しかしながら、上記特許文献2〜3に記載される方法は、あくまでも高圧下における通電焼結処理という特殊な方法であるため、簡便な方法とはいえない。また上記特許文献4に記載される方法であっても、得られるリチウムリン系複合酸化物炭素複合体のBET比表面積は25m2/gを超えるため、正極スラリーの塗工性を確保するには結着材の使用割合を増加させる必要があり、正極中の正極活物質が占める割合を充分に高めることは困難である。
したがって、本発明の課題は、塗工性に優れた正極スラリーの調製が可能であり、かつ優れた体積エネルギー密度を有する正極の作製が可能な二次電池用正極活物質を簡易に得ることのできる、二次電池用正極活物質の製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、所定の原料化合物を水熱反応に付すことにより得られるリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物を一次粒子として用い、かかる一次粒子の表面に炭素が担持してなる焼成物のみを、特定の装置を用いて特定の条件下で圧力及びせん断力を付加しながら混合して複合化することにより、体積エネルギー密度に優れる正極の作製が可能となる二次電池用正極活物質が簡易に得られる製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって、本発明は、下記式(I)〜(VIII):
LiFeaMnb1 cPO4・・・(I)
(式(I)中、M1はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.3、及びa+b≠0を満たし、かつ2a+2b+(M1の価数)×c=2を満たす数を示す。)、
LiCodNie2 fPO4・・・(II)
(式(II)中、M2はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。d、e、及びfは、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦0.3、及びd+e≠0を満たし、かつ2d+2e+(M2の価数)×f=2を満たす数を示す。)、
Li2FegMnh3 iSiO4・・・(III)
(式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。g、h、及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i≦0.3、及びg+h≠0を満たし、かつ2g+2h+(M3の価数)×i=2を満たす数を示す。)
Li2CojNik4 lSiO4・・・(IV)
(式(IV)中、M4はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。j、k、及びlは、0≦j≦1、0≦k≦1、0≦l≦0.3、及びj+k≠0を満たし、かつ2j+2k+(M4の価数)×l=2を満たす数を示す。)
NaFemMnn5 oPO4・・・(V)
(式(V)中、M5はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。m、n、及びoは、0≦m≦1、0≦n≦1、0≦o≦0.3、及びm+n≠0を満たし、かつ2m+2n+(M5の価数)×o=2を満たす数を示す。)
NaCopNiq6 rPO4・・・(VI)
(式(VI)中、M6はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。p、q、及びrは、0≦p≦1、0≦q≦1、0≦r≦0.3、及びp+q≠0を満たし、かつ2p+2q+(M6の価数)×r=2を満たす数を示す。)、
Na2FesMnt7 uSiO4・・・(VII)
(式(VII)中、M7はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。s、t、及びuは、0≦s≦1、0≦t≦1、0≦u≦0.3、及びs+t≠0を満たし、かつ2s+2t+(M7の価数)×u=2を満たす数を示す。)
Na2CovNiw8 xSiO4・・・(VIII)
(式(VIII)中、M8はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。v、w、及びxは、0≦v≦1、0≦w≦1、0≦x≦0.3、及びv+w≠0を満たし、かつ2v+2w+(M8の価数)×x=2を満たす数を示す。)
のいずれかで表され、かつオリビン型構造を有するリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物の1種以上を一次粒子(A)として用いる二次電池用正極活物質の製造方法であって、次の工程(X)〜(Z):
(X)リチウム化合物、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
リチウム化合物、少なくともコバルト化合物又はニッケル化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
ナトリウム化合物、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
或いは、ナトリウム化合物、少なくともコバルト化合物又はニッケル化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すことにより、一次粒子(A)を得る工程
(Y)工程(X)で得られた一次粒子(A)と炭素源を含むスラリーを噴霧乾燥し、得られた造粒物を焼成して、一次粒子(A)の表面に炭素(B)が担持してなる焼成物(C)を得る工程
(Z)工程(Y)で得られた焼成物(C)のみを、インペラ又はロータ工具を備える装置を用いてインペラ又はロータ工具の回転数1000rpm〜3000rpm及び混合時間3分〜10分の条件下で、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合化し、二次電池用正極活物質を得る工程
を備える二次電池用正極活物質の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、簡便な方法であるにもかかわらず、BET比表面積の小さな二次電池用正極活物質を得ることができるので、良好な塗工性を有する正極スラリーの調製が可能となり、体積エネルギー密度の優れた正極が得られ、充放電容量に優れる二次電池を実現することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の二次電池用正極活物質の製造方法は、下記式(I)〜(VIII):
LiFeaMnb1 cPO4・・・(I)
(式(I)中、M1はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.3、及びa+b≠0を満たし、かつ2a+2b+(M1の価数)×c=2を満たす数を示す。)、
LiCodNie2 fPO4・・・(II)
(式(II)中、M2はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。d、e、及びfは、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦0.3、及びd+e≠0を満たし、かつ2d+2e+(M2の価数)×f=2を満たす数を示す。)、
Li2FegMnh3 iSiO4・・・(III)
(式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。g、h、及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i≦0.3、及びg+h≠0を満たし、かつ2g+2h+(M3の価数)×i=2を満たす数を示す。)
Li2CojNik4 lSiO4・・・(IV)
(式(IV)中、M4はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。j、k、及びlは、0≦j≦1、0≦k≦1、0≦l≦0.3、及びj+k≠0を満たし、かつ2j+2k+(M4の価数)×l=2を満たす数を示す。)
NaFemMnn5 oPO4・・・(V)
(式(V)中、M5はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。m、n、及びoは、0≦m≦1、0≦n≦1、0≦o≦0.3、及びm+n≠0を満たし、かつ2m+2n+(M5の価数)×o=2を満たす数を示す。)
NaCopNiq6 rPO4・・・(VI)
(式(VI)中、M6はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。p、q、及びrは、0≦p≦1、0≦q≦1、0≦r≦0.3、及びp+q≠0を満たし、かつ2p+2q+(M6の価数)×r=2を満たす数を示す。)、
Na2FesMnt7 uSiO4・・・(VII)
(式(VII)中、M7はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。s、t、及びuは、0≦s≦1、0≦t≦1、0≦u≦0.3、及びs+t≠0を満たし、かつ2s+2t+(M7の価数)×u=2を満たす数を示す。)
Na2CovNiw8 xSiO4・・・(VIII)
(式(VIII)中、M8はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。v、w、及びxは、0≦v≦1、0≦w≦1、0≦x≦0.3、及びv+w≠0を満たし、かつ2v+2w+(M8の価数)×x=2を満たす数を示す。)、
のいずれかで表され、かつオリビン型構造を有するリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物の1種以上を一次粒子(A)として用いる二次電池用正極活物質の製造方法であって、次の工程(X)〜(Z):
(X)リチウム化合物、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
リチウム化合物、少なくともコバルト化合物又はニッケル化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
ナトリウム化合物、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
或いは、ナトリウム化合物、少なくともコバルト化合物又はニッケル化合物を含む金属化合物及びリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すことにより、一次粒子(A)を得る工程、
(Y)工程(X)で得られた一次粒子(A)と炭素源を含むスラリーを噴霧乾燥し、得られた造粒物を焼成して、一次粒子(A)の表面に炭素(B)が担持してなる焼成物(C)を得る工程、及び
(Z)工程(Y)で得られた焼成物(C)のみを、インペラ又はロータ工具を備える装置を用いてインペラ又はロータ工具の回転数1000rpm〜3000rpm及び混合時間3分〜10分の条件下で、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合化し、二次電池用正極活物質を得る工程
を備える。
本発明の二次電池用正極活物質の製造方法が備える工程(X)は、リチウム化合物、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
リチウム化合物、少なくともコバルト化合物又はニッケル化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
ナトリウム化合物、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
或いは、ナトリウム化合物、少なくともコバルト化合物又はニッケル化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すことにより、一次粒子(A)を得る工程である。かかる工程(X)で得られる一次粒子(A)は、オリビン型構造を有するリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物であり、下記式(I)〜(VIII)のいずれかで表される。
したがって、本発明では、工程(X)で得られる一次粒子(A)として、下記式(I)〜(VIII)のいずれかで表されるリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物であって、互いに異なる組成のリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物の1種以上であり、これらリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物を複数種用いることもできる。
LiFeaMnb1 cPO4・・・(I)
(式(I)中、M1はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.3、及びa+b≠0を満たし、かつ2a+2b+(M1の価数)×c=2を満たす数を示す。)、
LiCodNie2 fPO4・・・(II)
(式(II)中、M2はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。d、e、及びfは、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦0.3、及びd+e≠0を満たし、かつ2d+2e+(M2の価数)×f=2を満たす数を示す。)、
Li2FegMnh3 iSiO4・・・(III)
(式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。g、h、及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i≦0.3、及びg+h≠0を満たし、かつ2g+2h+(M3の価数)×i=2を満たす数を示す。)
Li2CojNik4 lSiO4・・・(IV)
(式(IV)中、M4はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。j、k、及びlは、0≦j≦1、0≦k≦1、0≦l≦0.3、及びj+k≠0を満たし、かつ2j+2k+(M4の価数)×l=2を満たす数を示す。)
NaFemMnn5 oPO4・・・(V)
(式(V)中、M5はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。m、n、及びoは、0≦m≦1、0≦n≦1、0≦o≦0.3、及びm+n≠0を満たし、かつ2m+2n+(M5の価数)×o=2を満たす数を示す。)
NaCopNiq6 rPO4・・・(VI)
(式(VI)中、M6はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。p、q、及びrは、0≦p≦1、0≦q≦1、0≦r≦0.3、及びp+q≠0を満たし、かつ2p+2q+(M6の価数)×r=2を満たす数を示す。)、
Na2FesMnt7 uSiO4・・・(VII)
(式(VII)中、M7はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。s、t、及びuは、0≦s≦1、0≦t≦1、0≦u≦0.3、及びs+t≠0を満たし、かつ2s+2t+(M7の価数)×u=2を満たす数を示す。)
Na2CovNiw8 xSiO4・・・(VIII)
(式(VIII)中、M8はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。v、w、及びxは、0≦v≦1、0≦w≦1、0≦x≦0.3、及びv+w≠0を満たし、かつ2v+2w+(M8の価数)×x=2を満たす数を示す。)
上記式(I)〜(IV)で表される一次粒子(A)は、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸リチウム系酸化物又はリチウム含有ケイ酸リチウム系酸化物である。
上記式(I)で表される一次粒子(A)としては、二次電池用正極活物質の平均放電電圧の観点から、0.5≦b≦1が好ましく、0.6≦b≦1がより好ましく、0.65≦b≦1がさらに好ましい。具体的には、例えばLiMnPO4、LiMn0.9Fe0.1PO4、LiMn0.8Fe0.2PO4、LiMn0.75Fe0.15Mg0.1PO4、LiMn0.75Fe0.19Zr0.03PO4、LiMn0.7Fe0.3PO4、LiMn0.6Fe0.4PO4、LiMn0.5Fe0.5PO4等が挙げられ、なかでもLiMn0.8Fe0.2PO4が好ましい。
また、上記式(III)で表される一次粒子(A)としては、具体的には、例えばLi2Fe0.45Mn0.45Co0.1SiO4、Li2Fe0.36Mn0.54Al0.066SiO4、Li2Fe0.45Mn0.45Zn0.1SiO4、Li2Fe0.36Mn0.540.066SiO4、Li2Fe0.282Mn0.658Zr0.02SiO4等が挙げられ、なかでもLi2Fe0.282Mn0.658Zr0.02SiO4が好ましい。
上記式(II)で表される一次粒子(A)としては、具体的には、例えばLiCoPO4、LiCo0.25Ni0.25PO4、LiCo0.2Ni0.2Mn0.1PO4、LiCo0.2Ni0.2Fe0.1PO4等が挙げられる。なかでも、LiCoPO4、又はLiCo0.2Ni0.2Mn0.1PO4が好ましい。
また、上記式(IV)で表される一次粒子(A)としては、具体的には、例えばLi2CoSiO4、Li2Co0.5Ni0.5SiO4、Li2Co0.4Ni0.4Mn0.2SiO4、Li2Co0.4Ni0.4Fe0.2SiO4等が挙げられる。なかでも、Li2CoSiO4、又はLi2Co0.4Ni0.4Mn0.2SiO4が好ましい。
上記式(I)〜式(IV)で表される一次粒子(A)の平均粒径は、これを用いて得られる正極が良好な体積エネルギー密度を発現する観点から、一次粒子(A)が式(I)で表される場合には、好ましくは50nm〜200nmであり、より好ましくは70nm〜150nmであり、一次粒子(A)が式(II)、(III)又は(IV)で表される場合には、好ましくは20nm〜200nmであり、より好ましくは25nm〜180nmである。
上記式(I)〜式(IV)で表される一次粒子(A)の25℃での20MPa加圧時におけるリチウムイオン伝導度は、1×10-7S/cm以上であることが好ましく、1×10-6S/cm以上であることがより好ましい。一次粒子(A)のリチウムイオン伝導度の上限値は特に限定されない。
上記式(V)〜(VIII)で表される一次粒子(A)は、オリビン型構造を有するナトリウム含有のリン酸ナトリウム系酸化物又はナトリウム含有のケイ酸ナトリウム系酸化物である。
上記式(V)で表される一次粒子(A)としては、具体的には、例えばNaFe0.2Mn0.8PO4、NaFe0.9Mn0.1PO4、NaFe0.15Mn0.75Mg0.1PO4、NaFe0.19Mn0.75Zr0.03PO4等が挙げられ、なかでもNaFe0.2Mn0.8PO4が好ましい。
また、上記式(VII)で表される一次粒子(A)としては、具体的には、例えばNa2Fe0.45Mn0.45Co0.1SiO4、Na2Fe0.36Mn0.54Al0.066SiO4、Na2Fe0.45Mn0.45Zn0.1SiO4、Na2Fe0.36Mn0.540.066SiO4、Na2Fe0.282Mn0.658Zr0.02SiO4等が挙げられ、なかでもNa2Fe0.282Mn0.658Zr0.02SiO4が好ましい。
上記式(VI)で表される一次粒子(A)としては、具体的には、例えばNaCoPO4、NaCo0.25Ni0.25PO4、NaCo0.2Ni0.2Mn0.1PO4、NaCo0.2Ni0.2Fe0.1PO4等が挙げられる。なかでも、NaCoPO4、又はNaCo0.2Ni0.2Mn0.1PO4が好ましい。
また、上記式(VIII)で表される一次粒子(A)としては、具体的には、例えばNa2CoSiO4、Na2Co0.5Ni0.5SiO4、Na2Co0.4Ni0.4Mn0.2SiO4、Na2Co0.4Ni0.4Fe0.2SiO4等が挙げられ、なかでもNa2CoSiO4、又はNa2Co0.4Ni0.4Mn0.2SiO4が好ましい。
上記式(V)〜式(VIII)で表される一次粒子(A)の平均粒径は、かかるオリビン型正極材料を含む正極が良好な体積エネルギー密度を発現する観点から、好ましくは50nm〜200nmであり、より好ましくは70nm〜150nmである。
上記式(V)〜式(VIII)で表される一次粒子(A)の25℃での20MPa加圧時におけるナトリウムイオン伝導度は、1×10-7S/cm以上であることが好ましく、1×10-6S/cm以上であることがより好ましい。一次粒子(A)のナトリウムイオン伝導度の上限値は特に限定されない。
上記工程(X)では、リチウム化合物又はナトリウム化合物、所定の金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を、いわゆる湿式反応である水熱反応に付して、上記式(V)〜(VIII)で表されるリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物を一次粒子(A)として得る。
以下、表記が煩雑になることを避けるために、工程(X)の例として、リチウム化合物、鉄化合物、マンガン化合物及びリン酸化合物を用いて、上記式(I)で示される一次粒子(A)を得る場合につき、具体的に説明する。
なお、上記式(II)〜式(VIII)で示される一次粒子(A)を得る場合には、一次粒子(A)の組成に応じて、「リチウム化合物」を「ナトリウム化合物」に、「鉄化合物及び/又はマンガン化合物」を「コバルト化合物及び/又はニッケル化合物」に、「リン酸化合物」を「ケイ酸化合物」に、文言の置き換えを行えばよい。
工程(X)は、より具体的には、一次粒子(A)として一次粒子(x−4)を得るにあたり、次の(i)及び(ii):
(i)リチウム化合物を含む混合物(x−1)に、リン酸化合物を混合して一次粒子(x−4)の前駆体(x−2)を得る工程、及び
(ii)得られた前駆体(x−2)と、少なくとも鉄化合物及び/又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水(x−3)を水熱反応に付して、一次粒子(x−4)を得る工程
を備えるのが好ましい。
工程(i)は、リチウム化合物を含む混合物(x−1)に、リン酸化合物を混合して一次粒子(x−4)の前駆体(x−2)を得る工程である。
用い得るリチウム化合物としては、水酸化リチウム(例えばLiOH、LiOH・H2O)、炭酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウムが挙げられる。なかでも、水酸化リチウムが好ましい。
混合物(x−1)におけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5質量部〜50質量部であり、より好ましくは7質量部〜45質量部である。
なお、工程(i)において、次工程(Y)で用いる炭素源(セルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料)を用い、かかる炭素源とリチウム化合物を含む混合物(x−1)'を、上記混合物(x−1)の代わりに用いてもよい。この場合、次工程(Y)において、スラリー(y−1)への炭素源の添加を省略することができる。
かかる混合物(x−1)'における炭素源の含有量は、その炭素原子換算量が、得られる焼成物(C)中に0.1質量%〜20質量%となるような量であるのが望ましい。具体的には、例えば炭素源の含有量は、混合物(x−1)'における水100質量部に対し、炭化処理の残渣量換算で、好ましくは0.01質量部〜20質量部であり、より好ましくは0.02質量部〜16.5質量部であり、さらに好ましくは0.03質量部〜13.5質量部である。より具体的には、上記式(I)で示される一次粒子(A)を用いて焼成物(C)を得る場合には、炭素源の含有量は、混合物(x−1)'における水100質量部に対し、炭化処理の残渣量換算で、好ましくは0.01質量部〜10質量部であり、より好ましくは0.02質量部〜7質量部であり、さらに好ましくは0.03質量部〜5質量部である。また、上記式(II)〜式(VIII)で示される一次粒子(A)を用いて焼成物(C)を得る場合には、炭素源の含有量は、混合物(x−1)'における水100質量部に対し、炭化処理の残渣量換算で、好ましくは0.01質量部〜20質量部であり、より好ましくは0.05質量部〜16.5質量部であり、さらに好ましくは1質量部〜13.5質量部である。
混合物(x−1)にリン酸化合物を混合する前に、予め混合物(x−1)を撹拌しておくのが好ましい。かかる混合物(x−1)の撹拌時間は、好ましくは1分〜15分であり、より好ましくは3分〜10分である。また、混合物(x−1)の温度は、好ましくは20℃〜90℃であり、より好ましくは20℃〜70℃である。
工程(i)で用いるリン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでもリン酸を用いるのが好ましく、70質量%濃度〜90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。かかる工程(i)では、混合物(x−1)にリン酸を混合するにあたり、混合物(x−1)を撹拌しながらリン酸を滴下するのが好ましい。混合物(x−1)にリン酸を滴下して少量ずつ加えることで、混合物(x−1)中において良好に反応が進行して、一次粒子(x−4)の前駆体(x−2)がスラリー中で均一に分散しつつ生成され、かかる前駆体(x−2)が不要に凝集するのを効果的に抑制することができる。
リン酸の上記混合物(x−1)への滴下速度は、好ましくは15mL/分〜50mL/分であり、より好ましくは20mL/分〜45mL/分であり、さらに好ましくは28mL/分〜40mL/分である。また、リン酸を滴下しながらの混合物(x−1)の撹拌時間は、好ましくは0.5時間〜24時間であり、より好ましくは3時間〜12時間である。さらに、リン酸を滴下しながらの混合物(x−1)の撹拌速度は、好ましくは200rpm〜700rpmであり、より好ましくは250rpm〜600rpmであり、さらに好ましくは300rpm〜500rpmである。
なお、混合物(x−1)を撹拌する際、さらに混合物(x−1)の沸点温度以下に冷却するのが好ましい。具体的には、80℃以下に冷却するのが好ましく、20℃〜60℃に冷却するのがより好ましい。
リン酸化合物を混合した後の混合物(x−1)は、リン酸1モルに対し、リチウムを2.7モル〜3.3モル含有するのが好ましく、2.8モル〜3.1モル含有するのがより好ましい。
リン酸化合物を混合した後の混合物(x−1)に対して窒素をパージすることにより、かかる混合物中での反応を完了させて、一次粒子(x−4)の前駆体(x−2)を混合物中に生成させる。窒素がパージされると、混合物(x−1)中の溶存酸素濃度が低減された状態で反応を進行させることができ、また得られる前駆体(x−2)を含有する混合物中の溶存酸素濃度も効果的に低減されるため、次の工程で添加する鉄化合物やマンガン化合物等の酸化を抑制することができる。かかる混合物中において、一次粒子(x−4)の前駆体(x−2)は、微細なリン酸三リチウム(Li3PO4)の分散粒子として存在する。
窒素をパージする際における圧力は、好ましくは0.1MPa〜0.2MPaであり、より好ましくは0.1MPa〜0.15MPaである。また、リン酸化合物を混合した後の混合物(x−1)の温度は、好ましくは20℃〜80℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。また、反応時間は、好ましくは5分〜60分であり、より好ましくは15分〜45分である。
また、窒素をパージする際、反応を良好に進行させる観点から、リン酸化合物を混合した後の混合物(x−1)を撹拌するのが好ましい。このときの撹拌速度は、好ましくは200rpm〜700rpmであり、より好ましくは250rpm〜600rpmである。
また、より効果的に一次粒子(x−4)の前駆体(x−2)の分散粒子表面における酸化を抑制し、分散粒子の微細化を図る観点から、リン酸化合物を混合した後の混合物(x−1)中における溶存酸素濃度を0.5mg/L以下とするのが好ましく、0.2mg/L以下とするのがより好ましい。
工程(ii)では、工程(i)で得られた一次粒子(x−4)の前駆体(x−2)と、少なくとも鉄化合物及び/又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水(x−3)を水熱反応に付して、オリビン型構造を有する一次粒子(x−4)を得る工程である。
上記工程(i)により得られた前駆体(x−2)に、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を添加して、スラリー水(x−3)として用いるのが好ましい。これにより、工程を簡略化させつつ、目的とする一次粒子(x−4)が極めて微細な粒子になる。
用い得る鉄化合物としては、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、得られる二次電池の電池特性を高める観点から、硫酸鉄が好ましい。
用い得るマンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、得られる二次電池の電池特性を高める観点から、硫酸マンガンが好ましい。
金属塩として、鉄化合物とマンガン化合物の双方を用いる場合、これらマンガン化合物及び鉄化合物の使用モル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、好ましくは99:1〜1:99であり、より好ましくは90:10〜10:90である。また、これら鉄化合物及びマンガン化合物の合計添加量は、スラリー水(x−3)中に含有されるLi3PO4 1モルに対し、好ましくは0.99モル〜1.01モルであり、より好ましくは0.995モル〜1.005モルである。
さらに、必要に応じて、金属塩として、鉄化合物及びマンガン化合物以外の金属(M1)塩を用いてもよい。金属塩におけるM1は、上記式(I)中のM1と同義であり、かかる金属塩として、硫酸塩、ハロゲン化合物、有機酸塩、及びこれらの水和物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。なかでも、電池物性を高める観点から、硫酸塩を用いるのがより好ましい。
これら金属(M1)塩を用いる場合、鉄化合物、マンガン化合物、及び金属(M1)塩の合計添加量は、スラリー水(x−3)中に含有されるLi3PO4 1モルに対し、好ましくは0.99モル〜1.01モルであり、より好ましくは0.995モル〜1.005モルである。
水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、用いる金属塩の溶解性、撹拌の容易性、及び合成の効率等の観点から、スラリー水(x−3)中に含有されるリン酸イオン1モルに対し、好ましくは10モル〜30モルであり、より好ましくは12.5モル〜25モルである。
工程(ii)において、鉄化合物、マンガン化合物及び金属(M1)塩の添加順序は特に制限されない。また、これらの金属塩を添加するとともに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。かかる酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na224)、アンモニア水等を使用することができる。酸化防止剤の添加量は、過剰に添加されることで一次粒子(x−4)の生成が抑制されるのを防止する観点から、鉄化合物、マンガン化合物及び必要に応じて用いる金属(M1)塩の合計1モルに対し、好ましくは0.01モル〜1モルであり、より好ましくは0.03モル〜0.5モルである。
鉄化合物、マンガン化合物及び必要に応じて用いる金属(M1)塩や酸化防止剤を添加することにより得られるスラリー(x−3)中の一次粒子(x−4)の含有量は、好ましくは10質量%〜50質量%であり、より好ましくは15質量%〜45質量%であり、さらに好ましくは20質量%〜40質量%である。
工程(ii)における水熱反応は、100℃以上であればよく、130℃〜180℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130℃〜180℃で反応を行う場合、この時の圧力は0.3MPa〜0.9MPaであるのが好ましく、140℃〜160℃で反応を行う場合の圧力は0.3MPa〜0.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は0.1時間〜48時間が好ましく、さらに0.2時間〜24時間が好ましい。
得られた一次粒子(x−4)は、上記式(I)で表される粒子であり、或いは混合物(x−1)の代わりに(x−1)'を用いた場合には、かかる一次粒子(x−4)とともに炭素源を含む複合体となる。より具体的には、炭素源がセルロースナノファーバーである場合は、一次粒子(x−4)及びセルロースナノファイバーを含む複合体であり、炭素源が水溶性炭素材料である場合は、水溶性炭素材料で被覆された一次粒子(x−4)及び非晶質球状カーボン(ACS)を一部含む複合体であり、ろ過後、水で洗浄し、乾燥することにより、これを一次粒子(A)として単離できる。なお、乾燥手段は、凍結乾燥、真空乾燥が用いられる。
ここで、水溶性炭素材料を含む混合物(x−1)'を用いた場合に、得られる複合体に含まれる上記非晶質球状カーボンとは、水とグルコース等の水溶性炭素材料の混合溶液を水熱反応させた場合に得られる水溶性炭素材料由来の反応生成物であり、水熱反応後のスラリー(x−3)を乾燥することによって得られる微小な非晶質炭素の集合体であって、さらに焼成することによって結晶化し、優れた導電性を有する炭素となる。
得られる一次粒子(x−4)のBET比表面積は、得られる二次電池用正極活物質のBET比表面積を小さくする観点から、好ましくは5m2/g〜40m2/gであり、より好ましくは5m2/g〜20m2/gである。なお、一次粒子(x−4)のBET比表面積が5m2/g未満であると、一次粒子(x−4)の大径化により、二次電池用正極活物質が大きくなりすぎてしまうおそれがある。また、BET比表面積が40m2/gを超えると、二次電池用正極活物質のBET比表面積の増大により、正極スラリーの塗工性に影響を与えるおそれがある。
次の工程(Y)は、工程(X)で得られた一次粒子(A)と炭素源を含むスラリーを噴霧乾燥し、得られた造粒物を焼成して、一次粒子(A)の表面に炭素(B)が担持してなる焼成物(C)を得る工程である。かかる炭素源として、具体的には、セルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料を用いることができ、これらが焼成されることにより炭化されて炭素(B)となる。
炭素(B)となる上記セルロースナノファイバーとは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、かかる細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維であり、セルロースナノファイバー由来の炭素は、周期的構造を有する。かかるセルロースナノファイバーの繊維径は、1nm〜100nmであり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖では、炭素による周期的構造が形成されていることから、これが炭化されつつ上記一次粒子(A)とも相まって、かかる一次粒子(A)の表面に堅固に担持されることにより、得られる二次電池用正極活物質に電子伝導性を付与し、充放電特性に優れる有用なオリビン型正極材料とすることができる。
炭素(B)となる上記水溶性炭素材料とは、25℃の水100gに、水溶性炭素材料の炭素原子換算量で0.4g以上、好ましくは1.0g以上溶解する炭素材料を意味し、炭化されることで炭素として上記一次粒子(A)の表面に存在することとなる。かかる水溶性炭素材料としては、例えば、糖類、ポリオール、ポリエーテル、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類;マルトース、スクロース、セロビオース等の二糖類;デンプン、デキストリン等の多糖類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリビニルアルコール、グリセリン等のポリオールやポリエーテル;クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、溶媒への溶解性及び分散性を高めて炭素材料として効果的に機能させる観点から、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリンが好ましく、グルコースがより好ましい。
なお、上記一次粒子(A)の表面に存在する、セルロースナノファイバー由来の炭素又は水溶性炭素材料由来の炭素の原子換算量(炭素の担持量)は、得られた二次電池用正極活物質について炭素・硫黄分析装置を用いて測定した炭素量として、確認することができる。
工程(Y)は、より具体的には、焼成物(C)として焼成物(y−3)を得るにあたり、工程(X)で得られた一次粒子(x−4)と炭素源をスラリー(y−1)にした後に噴霧乾燥して造粒物(y−2)とした後、これを焼成して、一次粒子(x−4)の表面に炭素(B)が担持してなる造粒物(y−2)のみからなる焼成物(y−3)を得る工程である。また、前工程(X)において、混合物(x−1)の代わりに(x−1)'を用いた場合には、この工程(Y)において、スラリー(y−1)に炭素源を混合することを省略できる。
一次粒子(x−4)、炭素源、及び水を混合した後のスラリー(y−1)中における一次粒子(x−4)及び炭素源の含有量は、炭素源の炭素原子換算量が、得られる焼成物(y−3)中に0.1質量%〜20質量%となるような量であるのが望ましい。
具体的には、炭素源としてセルロースナノファイバーを用いる場合、スラリー(y−1)中における一次粒子(x−4)の含有量は、例えば水100質量部に対し、好ましくは5質量部〜200質量部であり、より好ましくは15質量部〜100質量部である。また、セルロースナノファイバーの含有量は、水100質量部に対し、好ましくは0.01質量部〜150質量部であり、より好ましくは0.1質量部〜70質量部である。
また、炭素源として水溶性炭素材料を用いる場合、上記スラリー(y−1)における水溶性炭素材料の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは0.03質量部〜20質量部であり、より好ましくは0.1質量部〜15質量部である。
なお、炭素源としてセルロースナノファイバーを用いる場合、スラリー(y−1)は、セルロースナノファイバーを充分に分散させて、得られるスラリー(y−1)中においても一次粒子(x−4)とセルロースナノファイバーを均一に分散させる観点から、分散機(ホモジナイザー)を用いた処理を行うことにより、凝集しているセルロースナノファイバーを解砕することが好ましい。かかる分散機としては、例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。なかでも、分散効率の観点から、超音波攪拌機が好ましい。スラリー(y−1)の分散均一性の程度は、例えば、UV・可視光分光装置を使用した光線透過率や、E型粘度計を使用した粘度で定量的に評価することもでき、また目視によって白濁度が均一であることを確認することによっても、簡便に評価することができる。分散機で処理する時間は、好ましくは0.5分間〜6分間であり、より好ましくは2分間〜5分間である。このように処理されたスラリー(y−1)は、セルロースナノファイバーの良好な分散状態を数日間保持することができるので、予め調製し、保管しておくことも可能となる。
上記セルロースナノファイバーを含むスラリー(y−1)は、未だ凝集状態にあるセルロースナノファイバーを有効に取り除く観点から、さらに、湿式分級することが好ましい。湿式分級には、篩や市販の湿式分級機を使用することができる。篩の目開きは、用いるセルロースナノファイバーの繊維長により変動し得るが、作業効率の観点から、140μm〜160μmであるのが好ましい。
次に、得られたスラリー(y−1)を噴霧乾燥して、一次粒子(x−4)と炭素源からなる造粒物(y−2)を得る。噴霧乾燥により得られる造粒物(y−2)の粒径は、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布におけるD50値で、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは2〜15μmである。ここで、粒度分布測定におけるD50値とは、レーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布により得られる値であり、D50値は累積50%での粒径(メジアン径)を意味する。したがって、噴霧乾燥に用いるスプレードライヤーの運転条件を適宜最適化することにより、かかる造粒物(y−2)の粒径を調整すればよい。
次に、得られた造粒物(y−2)を還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する。これにより、造粒物(y−2)に存在する炭素源を炭化させ、かかる炭素(B)が一次粒子(A)の表面に堅固に担持された焼成物(y−3)を得ることができる。焼成条件は、焼成温度が、好ましくは400℃以上であり、より好ましくは400℃〜800℃であり、焼成時間が、好ましくは10分〜3時間であり、より好ましくは0.5時間〜1.5時間であるのがよい。
焼成物(y−3)は、次工程(Z)において圧縮力及びせん断力を受けながら複合化される際に、焼成物(y−3)を構成する一次粒子(A)の結晶が応力によって損傷を受けることのないよう、一次粒子(A)が焼成物(y−3)の内部方向へ移動し(ずれ)て過剰な圧縮力等を緩和する観点から、空隙量の多い焼成物であることが望ましい。
すなわち、焼成物(y−3)のタップ密度としては、0.9g/cm3〜1.3g/cm3が好ましく、0.9g/cm3〜1.15g/cm3がより好ましい。焼成物(y−3)のタップ密度がこの範囲内の値であると、次工程(Z)での処理で受ける応力によって一次粒子(A)の結晶が不要な損傷を受けることなく、かかる一次粒子(A)と炭素(B)が密実に複合化され、体積エネルギー密度に優れる正極及び充放電特性に優れる二次電池の実現が可能な二次電池用正極活物質を得ることができる。
なお、タップ密度とは、JIS R 1628「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に規定されるタップかさ密度を意味する。
工程(Z)は、工程(Y)で得られた焼成物(C)のみを、インペラ又はロータ工具を備える装置を用いてインペラ又はロータ工具の回転数1000rpm〜2500rpm及び混合時間3分〜10分の条件下で、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合化し、二次電池用正極活物質を得る工程である。より具体的には、上記工程(Y)で得られた、一次粒子(x−4)の表面に炭素(B)が担持してなる造粒物(y−2)のみからなる焼成物(y−3)のみを、インペラ又はロータ工具を備える装置を用いてインペラ又はロータ工具の回転数1000rpm〜3000rpm及び混合時間3分〜10分の条件下で、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合化する工程である。
上記一次粒子(A)の表面に炭素(B)が担持されてなる焼成物(C)のみを、特定の装置を用いて特定の条件下で圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して得られる、いわゆる複合物である二次電池用正極活物質は、一次粒子(A)の表面に担持された炭素(B)が一次粒子間の結着材として機能しつつ、二次電池用正極活物質の表面のみならず内部においても連続した三次元ネットワークを構成するため、得られる二次電池用正極活物質は、良好な電子伝導性を有することができる。
さらに、一次粒子(A)の表面に担持された炭素(B)が、一次粒子間の結着材として機能することによって、複合化処理において付与する圧縮力及びせん断力を減じても体積エネルギー密度に優れる正極の実現が可能な二次電池用正極活物質を得ることが可能となる。これにより、複合化処理における一次粒子(A)の結晶が受ける物理的な損傷を簡易にかつ効果的に抑制し、良好な充放電特性を発現する二次電池の実現が可能な二次電池用正極活物質を得ることができる。
工程(Z)では、造粒物(y−2)のみからなる焼成物(y−3)のみが有効に複合化されてなる複合体を得る観点から、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合化する処理は、インペラ又はロータ工具を備える装置を用いて行い、インペラ又はロータ工具の回転数を1000rpm〜3000rpm、混合時間を3分〜10分とする。
例えば、インペラを備える装置として乾式粒子複合化装置であるノビルタ(ホソカワミクロン社製)を用いる場合、かかるインペラの回転数は、一次粒子(A)の結晶が損傷を受けることを抑制する観点から、好ましくは1000rpm〜2500rpmであり、より好ましくは1000rpm〜2000rpmである。また混合時間は、3分〜10分であって、好ましくは5分〜10分である。
また、ロータ工具を備える装置として高速攪拌混合機であるアイリッヒインテンシブミキサー(日本アイリッヒ社製)を用いる場合、かかるロータ工具の回転数は、好ましくは1000rpm〜3000rpmであり、より好ましくは1000rpm〜2500rpmである。また混合時間は、3分〜10分であって、好ましくは5分〜10分である。
工程(Z)において、上記圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を行う際の処理時間やインペラ又はロータ工具の回転数は、容器に投入する焼成物(y−3)の量に応じて適宜調整する必要がある。そして、容器を稼動させることにより、インペラ又はロータ工具と容器内壁との間で焼成物(y−3)に圧縮力及びせん断力を付加しつつ、これを複合化する処理を行うことが可能となる。そして、焼成物(y−3)は、その内部空隙が有効に減少しつつ複合化され、高いタップ密度を有する正極材料として、一次粒子(A)の表面に炭素(B)が担持してなる焼成物(y−3)のみからなる二次電池用正極活物質を得ることができる。
例えば、上記複合化処理を行う場合、容器に投入する焼成物(y−3)の量は、有効容器(インペラ又はロータ工具を備える密閉容器のうち、上記混合物を収容可能な部位に相当する容器)1cm3当たり、好ましくは0.1g〜0.6gであり、より好ましくは0.1g〜0.4gである。
上記複合化処理のその他の処理条件としては、処理温度が、好ましくは5℃〜80℃であり、より好ましくは10℃〜50℃である。処理雰囲気としては、特に限定されないが、不活性ガス雰囲気下、又は還元ガス雰囲気下が好ましい。
上記工程(X)〜(Y)を経ることにより、上記式(I)〜式(VIII)で表されるリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物である一次粒子(A)は、その表面に炭素(B)が担持されて、二次電池用正極活物質となる。かかる炭素(B)の担持量は、一次粒子(A)が式(I)で表される場合には、炭素(B)が担持されてなる二次電池用正極活物質全量100質量%中に、好ましくは0.1質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.1質量%〜7質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%〜5質量%である。また炭素(B)の担持量は、一次粒子(A)が式(II)〜式(VIII)で表される場合には、炭素(B)が担持されてなる二次電池用正極活物質全量100質量%中に、好ましくは0.1質量%〜20質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜15質量%であり、さらに好ましくは1質量%〜10質量%である。
なお、上記二次電池用正極活物質に含有される炭素量は、セルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料の原子換算量であり、本発明により得られる二次電池用正極活物質について炭素・硫黄分析装置を用いて測定した炭素量として、確認することができる。
本発明により得られる二次電池用正極活物質のタップ密度は、得られる正極において良好な体積エネルギー密度を発現する観点から、1.1g/cm3以上であって、好ましくは1.2g/cm3以上、特に好ましくは1.3g/cm3以上である。
なお、タップ密度とは、JIS R 1628「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に規定されるタップかさ密度である。
本発明により得られる二次電池用正極活物質の平均粒径は、良好な正極スラリー塗工性を得る観点から、好ましくは10μm〜25μmであり、より好ましくは10μm〜22.5μm、さらに好ましくは10μm〜20μmである。
なお、二次電池用正極活物質の平均粒径とは、レーザー光散乱法により求められる平均粒径の値を意味する。
本発明により得られる二次電池用正極活物質のBET比表面積は、かかる二次電池用正極活物質が、上記式(I)において0.5<a≦1、0≦b≦0.5、及び0≦c≦0.3で表される一次粒子(A)から構成される場合、正極スラリーの良好な塗工性を確保する観点から、好ましくは9m2/g〜13m2/gであり、より好ましくは10m2/g〜12m2/gである。
また、二次電池用正極活物質が上記以外の一次粒子(A)から構成される場合、正極スラリーの良好な塗工性を確保する観点から、好ましくは17.5m2/g〜22m2/gであり、より好ましくは18m2/g〜21.5m2/gである。
なお、二次電池用正極活物質のBET比表面積とは、窒素吸着法で得られた二次電池用正極活物質の吸着等温線にBETの式を適用して得られる値を意味する。
本発明の製造方法により得られた二次電池用正極活物質を含む正極が適用可能な、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池である二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータ、又は正極と負極と固体電解質を必須構成とするものであれば特に限定されない。
リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池の正極は、本発明により得られた二次電池用正極活物質、カーボンブラック等の導電助剤、及びポリフッ化ビニリデン等の結着材(バインダー)に、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒を加え、充分に混練して正極スラリーを得た後、アルミニウム箔等の集電体上に塗布し、次いでローラープレス等による圧密し、乾燥して得る。本発明により得られた二次電池用正極活物質であれば、調製した正極スラリーが良好な塗工性を有するため、体積エネルギー密度に優れる正極を得ることができる。
ここで、負極については、リチウムイオン又はナトリウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、ナトリウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そしてリチウムイオン又はナトリウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池の電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、リチウムイオン二次電池の場合、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32及びLiN(SO3CF32、LiN(SO2252及びLiN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。また、ナトリウムイオン二次電池の場合、NaPF6、NaBF4、NaClO4及びNaAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、NaSO3CF3、NaC(SO3CF32及びNaN(SO3CF32、NaN(SO2252及びNaN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
固体電解質は、正極及び負極を電気的に絶縁し、高いリチウムイオン電導性を示すものである。たとえば、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43、Li7La3Zr212、50Li4SiO4・50Li3BO3、Li2.9PO3.30.46、Li3.6Si0.60.44、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO43、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43、Li10GeP212、Li3.25Ge0.250.754、30Li2S・26B23・44LiI、63Li2S・36SiS2・1Li3PO4、57Li2S・38SiS2・5Li4SiO4、70Li2S・30P25、50Li2S・50GeS2、Li7311、Li3.250.954を用いればよい。
上記の構成を有するリチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池の形状としては、特に制限を受けるものではなく、コイン型、円筒型,角型等種々の形状や、ラミネート外装体に封入した不定形状であってもよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[製造例1:リチウム含有のリン酸塩系酸化物からなる焼成物(LMP−A)の製造]
LiOH・H2O 14.7kg、及び水35Lを混合してスラリーAを得た。次いで、得られたスラリーAを、25℃の温度に保持しながら10分間撹拌しつつ75%のリン酸水溶液15.3kgを滴下した後、3時間撹拌して、Li3PO4を含むスラリーBを得た。得られたスラリーBに窒素パージして、スラリーBの溶存酸素濃度を0.5mg/Lとした後、スラリーB全量に対し、MnSO4・H2O 14.8kg、FeSO4・7H2O 8.1kgを添加してスラリーCを得た。添加したMnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、70:30であった。その後、得られたスラリーCをオートクレーブに投入し、170℃まで1時間で昇温後、170℃で1時間水熱反応を行い、一次粒子LiMn0.7Fe0.3PO4を含むスラリーDを得た。オートクレーブ内の圧力は0.8MPaであった。
得られたスラリーDを、フィルタープレス装置を使ってろ過、ケーキ洗浄した後、水及びオリビン型正極活物質中の炭素量が3%となるようにグルコースを添加し、撹拌混合して、固形分濃度が40質量%のスラリーFとした。スラリーFをスプレードライ装置(MDL−050M、藤崎電機株式会社製)を用いて噴霧乾燥して造粒物Gを得た。得られた造粒物Gを、窒素雰囲気下、700℃まで1時間で昇温後、700℃で1時間焼成して、3質量%の水溶性炭素由来の炭素が担持されたリン酸マンガン鉄リチウムA(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=3質量%、平均粒径:101nm)からなる焼成物A(タップ密度0.96g/cm3、BET比表面積19.8m2/g)を得た。以後、上記焼成物AをLMP−Aと称する。
[製造例2:リチウム含有のリン酸塩系酸化物からなる焼成物(LMP−B)の製造]
製造例1のスラリーFの固形分濃度を60質量%とした以外、製造例1と同様にして、3質量%の水溶性炭素由来の炭素が担持されたリン酸マンガン鉄リチウムB(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=3質量%、平均粒径:98nm)からなる焼成物B(タップ密度1.05g/cm3、BET比表面積20.1m2/g)を得た。以後、上記焼成物BをLMP−Bと称する。
[製造例3:リチウム含有のリン酸塩系酸化物からなる焼成物(LMP−C)の製造]
製造例1のスラリーFの固形分濃度を30質量%とした以外、製造例1と同様にして、3質量%の水溶性炭素由来の炭素が担持されたリン酸マンガン鉄リチウムC(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=3質量%、平均粒径:103nm)からなる焼成物C(タップ密度0.91g/cm3、BET比表面積19.6m2/g)を得た。以後、上記焼成物CをLMP−Cと称する。
[製造例4:リチウム含有のリン酸塩系酸化物からなる焼成物(LMP−D)の製造]
製造例1のスラリーCの水熱反応条件を、130℃まで1時間で昇温後、130℃で1時間水熱反応を行った以外、製造例1と同様にして、3質量%の水溶性炭素由来の炭素が担持されたリン酸マンガン鉄リチウムD(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=3質量%、平均粒径:91nm)からなる焼成物D(タップ密度0.97g/cm3、BET比表面積20.4m2/g)を得た。以後、上記焼成物DをLMP−Dと称する。
[製造例5:リチウム含有のリン酸塩系酸化物からなる焼成物(LMP−E)の製造]
製造例1のスラリーCの水熱反応条件を、150℃まで1時間で昇温後、150℃で1時間水熱反応を行った以外、製造例1と同様にして、3質量%の水溶性炭素由来の炭素が担持されたリン酸マンガン鉄リチウムE(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=3質量%、平均粒径:96nm)からなる焼成物E(タップ密度0.97g/cm3、BET比表面積20.3m2/g)を得た。以後、上記焼成物EをLMP−Eと称する。
[製造例6:リチウム含有のリン酸塩系酸化物からなる焼成物(LMP−F)の製造]
製造例1のスラリーCの水熱反応条件を、200℃まで1時間で昇温後、200℃で1時間水熱反応を行った以外、製造例1と同様にして、3質量%の水溶性炭素由来の炭素が担持されたリン酸マンガン鉄リチウムF(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=3質量%、平均粒径:123nm)からなる焼成物F(タップ密度0.99g/cm3、BET比表面積20.8m2/g)を得た。以後、上記焼成物FをLMP−Fと称する。
[製造例7:リチウム含有のリン酸塩系酸化物からなる焼成物(LFP−G)の製造]
製造例1のスラリーBに加える金属化合物を、FeSO4・7H2O 27kgとし、さらにスラリーFの固形分濃度を55質量%とした以外、製造例1と同様にして、3質量%の水溶性炭素由来の炭素が担持されたリン酸鉄リチウムG(LiFePO4、炭素の量=3質量%、平均粒径:203nm)からなる焼成物G(タップ密度1.11g/cm3、BET比表面積11.2m2/g)を得た。以後、上記焼成物GをLFP−Gと称する。
[製造例8:リチウム含有のリン酸塩系酸化物からなる焼成物(LFP−H)の製造]
特許文献4(特開2010−218884号公報)に記載の方法に準じて、3質量%の水溶性炭素由来の炭素が担持されたリン酸鉄リチウムHを得た。具体的には、Fe3(PO42 100g、Li3PO4 24g及び水を混合して、固形分濃度が40質量%のスラリーHを得た後、遊星ボールミルを使ってスラリーHを湿式混合し、その後乾燥して混合物Iを得た。得られた混合物Iにスクロース24gを添加、混合した後、スクロース混合物10gをφ6mmの成型機に入れ、40MPaでプレスして原料成型体Jを得た。得られた原料成型体Jを、窒素フロー下の管状炉にて600℃まで1時間で昇温後、600℃で5時間焼成して焼成物Kを得た。その後、焼成物Kを解砕後、分級して3質量%の炭素が担持されたリン酸鉄リチウムH(LiFePO4、炭素の量=3質量%、平均粒径:15μm、タップ密度0.71g/cm3、BET比表面積55.4m2/g)を得た。以後、上記リン酸鉄リチウムHをLFP−Hと称する。
[実施例1]
製造例Aで得られたLMP−A 200gを、ノビルタ(ホソカワミクロン社製、NOB130)を用いてインペラ回転数2000rpmで5分間の複合化処理を行い、LMP−Aのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Aを得た。なお、水分の吸着を防ぐために、ノビルタの試料室内は窒素雰囲気とした。
[実施例2]
LMP−Aを製造例2で得られたLMP−Bに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Bのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Bを得た。
[実施例3]
LMP−Aを製造例3で得られたLMP−Cに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Cのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Cを得た。
[実施例4]
LMP−Aを製造例4で得られたLMP−Dに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Dのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Dを得た。
[実施例5]
LMP−Aを製造例5で得られたLMP−Eに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Eのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Eを得た。
[実施例6]
LMP−Aを製造例6で得られたLMP−Fに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Fのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Fを得た。
[実施例7]
複合化処理時間を10分間に変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Aのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Gを得た。
[実施例8]
ノビルタ(NOB130)でのインペラ回転数を2500rpmに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Aのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Hを得た。
[実施例9]
ノビルタ(NOB130)でのインペラ回転数を1500rpmに変更し、複合化処理時間を10分間に変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Aのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Iを得た。
[実施例10]
LMP−A 200gを、LMP−A 140gとLMP−F 60gに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−AとLMP−Fが複合化してなる二次電池用正極活物質Jを得た。
[実施例11]
LMP−A 200gを、LMP−A 100gとLMP−F 100gに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−AとLMP−Fが複合化してなる二次電池用正極活物質Kを得た。
[実施例12]
LMP−A 200gを、LMP−A 60gとLMP−F 140gに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−AとLMP−Fが複合化してなる二次電池用正極活物質Lを得た。
[比較例1]
複合化処理時間を2分間に変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Aのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Mを得た。
[比較例2]
ノビルタ(NOB130)の回転数を750rpmに変更し、複合化処理時間を10分間に変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Aのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Nを得た。
[比較例3]
ノビルタ(NOB130)の回転数を4000rpmに変更した以外、実施例1と同様にして、LMP−Aのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Oを得た。
[実施例13]
LMP−Aを製造例7で得られたLFP−Gに変更した以外、実施例1と同様にして、LFP−Gのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Pを得た。
[比較例4]
LMP−Aを製造例8で得られたLFP−Hに変更した以外、実施例1と同様にして、LFP−Hのみが複合化してなる二次電池用正極活物質Qを得た。
≪タップ密度及びBET比表面積の測定≫
全ての実施例及び比較例の二次電池用正極活物質について、上記記載の方法にしたがってタップ密度及びBET比表面積を測定した。
結果を表1に示す。
≪正極スラリーの塗工性の評価≫
全ての実施例及び比較例の二次電池用正極活物質を用いて正極スラリーを調製し、塗工性を評価した。具体的には、得られた実施例又は比較例の二次電池用正極活物質、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンを質量比90:5:5の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを、上記混合物100質量部に対して1質量部加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。調製後、正極スラリーを直ちにアルミニウム箔の集電体上に塗布したときの塗工性について、塗布しやすいものを○、塗布しにくいものを×として評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2019125465
比較例4*):正極スラリーの粘度が高く、集電体上に塗布することができなかった。
≪体積エネルギー密度の評価≫
上記正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。なお、比較例4の二次電池用正極活物質については、正極スラリーが適当な粘度となるようにN−メチル−2−ピロリドンを加えた。
この際、上記正極の厚さ及び正極中の二次電池用正極活物質の重量から、以下の式(1)により電極密度を求めた。
結果を表2に示す。
電極密度(g/cm3)=
正極中活物質重量(mg)/電極体積(φ14mm×厚さ(μm))・・・(1)
次いで、上記正極を用いてコイン型二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比3:7の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR−2032)を得た。
得られた二次電池を用いて、放電容量測定装置(HJ−1001SD8、北斗電工社製)にて気温30℃環境での、0.1C(17mAh/g)の放電容量を測定した。
結果を表2に示す。
下記式(2)を用い、全ての実施例及び比較例の二次電池用正極活物質を用いた二次電池の正極体積エネルギー密度を求めた。
結果を表2に示す。
正極体積エネルギー密度(mAh/cm3)=
0.1C放電容量(mAh/g)×電極密度(g/cm3)・・・(2)
Figure 2019125465
表1〜2の結果から、本発明により得られた二次電池用正極活物質は、作製した正極スラリーにおいて、優れた塗工性を有するとともに、高い正極体積エネルギー密度を示す正極を得ることができるため、得られる二次電池において優れた充放電特性を示すことがわかる。

Claims (5)

  1. 下記式(I)〜(VIII):
    LiFeaMnb1 cPO4・・・(I)
    (式(I)中、M1はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.3、及びa+b≠0を満たし、かつ2a+2b+(M1の価数)×c=2を満たす数を示す。)、
    LiCodNie2 fPO4・・・(II)
    (式(II)中、M2はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。d、e、及びfは、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦0.3、及びd+e≠0を満たし、かつ2d+2e+(M2の価数)×f=2を満たす数を示す。)、
    Li2FegMnh3 iSiO4・・・(III)
    (式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。g、h、及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i≦0.3、及びg+h≠0を満たし、かつ2g+2h+(M3の価数)×i=2を満たす数を示す。)
    Li2CojNik4 lSiO4・・・(IV)
    (式(IV)中、M4はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。j、k、及びlは、0≦j≦1、0≦k≦1、0≦l≦0.3、及びj+k≠0を満たし、かつ2j+2k+(M4の価数)×l=2を満たす数を示す。)
    NaFemMnn5 oPO4・・・(V)
    (式(V)中、M5はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。m、n、及びoは、0≦m≦1、0≦n≦1、0≦o≦0.3、及びm+n≠0を満たし、かつ2m+2n+(M5の価数)×o=2を満たす数を示す。)
    NaCopNiq6 rPO4・・・(VI)
    (式(VI)中、M6はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。p、q、及びrは、0≦p≦1、0≦q≦1、0≦r≦0.3、及びp+q≠0を満たし、かつ2p+2q+(M6の価数)×r=2を満たす数を示す。)、
    Na2FesMnt7 uSiO4・・・(VII)
    (式(VII)中、M7はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。s、t、及びuは、0≦s≦1、0≦t≦1、0≦u≦0.3、及びs+t≠0を満たし、かつ2s+2t+(M7の価数)×u=2を満たす数を示す。)
    Na2CovNiw8 xSiO4・・・(VIII)
    (式(VIII)中、M8はFe、Mn、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。v、w、及びxは、0≦v≦1、0≦w≦1、0≦x≦0.3、及びv+w≠0を満たし、かつ2v+2w+(M8の価数)×x=2を満たす数を示す。)
    のいずれかで表され、かつオリビン型構造を有するリン酸塩系酸化物又はケイ酸塩系酸化物の1種以上を一次粒子(A)として用いる二次電池用正極活物質の製造方法であって、次の工程(X)〜(Z):
    (X)リチウム化合物、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
    リチウム化合物、少なくともコバルト化合物又はニッケル化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
    ナトリウム化合物、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すか、
    或いは、ナトリウム化合物、少なくともコバルト化合物又はニッケル化合物を含む金属化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を水熱反応に付すことにより、一次粒子(A)を得る工程
    (Y)工程(X)で得られた一次粒子(A)と炭素源を含むスラリーを噴霧乾燥し、得られた造粒物を焼成して、一次粒子(A)の表面に炭素(B)が担持してなる焼成物(C)を得る工程
    (Z)工程(Y)で得られた焼成物(C)のみを、インペラ又はロータ工具を備える装置を用いてインペラ又はロータ工具の回転数1000rpm〜3000rpm及び混合時間3分〜10分の条件下で、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合化し、二次電池用正極活物質を得る工程
    を備える二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. 工程(Y)において用いる炭素源が、セルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料である請求項1に記載の二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. 工程(X)において得られる一次粒子(A)の平均粒径が、50nm〜200nmである請求項1又は2に記載の二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 工程(Y)において得られる焼成物(C)のタップ密度が、0.9g/cm3〜1.3g/cm3である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 工程(Z)において得られる二次電池用正極活物質のBET比表面積が、9m2/g〜22m2/gである請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質の製造方法。
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CN114792798A (zh) * 2022-04-25 2022-07-26 湖北万润新能源科技股份有限公司 一种硅酸锰钠正极材料及其制备方法、其正极和电池

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