JP7158269B2 - 二次電池用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

二次電池用正極活物質及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースナノファイバー由来の炭素とリグニン由来の炭素が担持されてなる二次電池用正極活物質及びその製造方法に関する。
携帯電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車等に用いられる二次電池の開発が行われており、特にリチウムイオン二次電池は広く知られている。こうしたなか、Li(Fe、Mn)PO4等のリチウム含有オリビン型リン酸金属塩は、資源的な制約に大きく左右されることがなく、しかも高い安全性を発揮することができるため、高出力で大容量のリチウムイオン二次電池を得るのには最適な正極材料となる。しかしながら、これらの化合物は、結晶構造に由来して導電性を充分に高めるのが困難な性質を有しており、またリチウムイオンの拡散性にも改善の余地があるため、結晶粒子の超微粒子化を図ったり、結晶粒子表面を導電性材料によって被覆したりする等、種々の技術開発がなされている。
例えば、特許文献1では、正極活物質の粒子表面における炭素被覆膜の内外間でリチウム原子の移動量が制限されて充放電特性が低下してしまうのを回避すべく、リチウム金属リン酸塩化合物粒子の表面にカーボンナノチューブやナノグラフェン等のカーボンナノ構造体を有した正極材を得ている。また、特許文献2では、正極活物質の粒子表面にセルロースナノファイバー由来の炭素を担持してなる正極活物質によって、電池の高出力化を図っている。
一方、リチウムは希少有価物質であることから、特許文献2にも開示されるように、リチウムイオン二次電池に代えてナトリウムを用いたナトリウムイオン二次電池等も種々検討されはじめており、さらに特許文献3においても、オリビン型構造を有するリン酸遷移金属ナトリウムを含む正極活物質によって、高性能な正極材料の実現を試みている。
特開2011-76931号公報 国際公開第2016/047491号 特開2011-34963号公報
しかしながら、上記特許文献に記載の技術では、微粒子化されてなる正極活物質粒子に対して、カーボンナノ構造体やセルロースナノファイバー由来の炭素が過大すぎる場合があるため、正極活物質粒子の表面の一部において炭素が充分に被覆されずに露出してしまうおそれがあることが判明した。そして、こうした正極活物質では、例えば二次電池の高速充放電においてLiイオンやNaイオンの移動速度が不足し、良好なレート特性が得られないことも予測されるため、さらなる改善を要する状況にある。
したがって、本発明の課題は、より優れたレート特性を効果的に発現することのできるリチウムイオン二次電池用正極活物質又はナトリウムイオン二次電池用正極活物質、並びにこれらの製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、種々検討したところ、特定の式で表される酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなる正極活物質であれば、一層優れたレート特性を確保できる二次電池が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記式(A)、(B)又は(C):
LiFeaMnbcPO4・・・(A)
(式(A)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
LiFeaMnbcSiO4・・・(B)
(式(B)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
NaFegMnhiPO4・・・(C)
(式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
で表される酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなる二次電池用正極活物質を提供するものである。
また、本発明は、上記二次電池用正極活物質の製造方法であって、
リチウム化合物又はナトリウム化合物を含むスラリー水Qに、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して複合体Qを得る工程(I)、
得られた複合体Q、及び少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Rを水熱反応に付して、複合体Rを得る工程(II)、
得られた複合体R、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Sを乾燥して複合体Sを得る工程(III)、並びに
得られた複合体Sを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(IV)
を備える二次電池用正極活物質の製造方法等を提供するものである。
本発明の二次電池用正極活物質によれば、リチウム含有オリビン型リン酸金属塩、リチウム含有オリビン型ケイ酸金属塩又はナトリウム含有オリビン型リン酸金属塩である上記特定の式で表される酸化物に、セルロースナノファイバーに由来する炭素及びリグニンに由来する炭素が、双方とも炭化された炭素として堅固に担持してなるため、簡易な方法によって得られるものであるにもかかわらず、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池におけるレート特性を充分に向上させることができる。そのため、セルロースナノファイバーに由来する炭素及びリグニンに由来する炭素の担持量を低減したとしても、良好なレート特性を充分に確保することもできる。
実施例1のポリアニオン正極活物質のTEM像を示す。 比較例1のポリアニオン正極活物質のTEM像を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる酸化物は、下記式(A)、(B)又は(C):
LiFeaMnbcPO4・・・(A)
(式(A)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.2、及び2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たし、かつa+b≠0を満たす数を示す。)
Li2FedMnefSiO4・・・(B)
(式(B)中、NはNi、Co、Al、Zn、V又はZrを示す。d、e及びfは、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f<1、及び2d+2e+(Nの価数)×f=2を満たし、かつd+e≠0を満たす数を示す。)
NaFegMnhiPO4・・・(C)
(式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
のいずれかの式で表される。
これらの酸化物は、いずれもオリビン型構造を有しており、少なくとも鉄又はマンガンを含む。上記式(A)又は式(B)で表される酸化物を用いた場合には、リチウムイオン二次電池用正極活物質が得られ、上記式(C)で表される酸化物を用いた場合には、ナトリウムイオン二次電池用正極活物質が得られる。
上記式(A)で表される酸化物は、いわゆる少なくとも遷移金属として鉄(Fe)及びマンガン(Mn)を含むオリビン型リン酸遷移金属リチウム化合物である。式(A)中、Mは、Mg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示し、好ましくはMg、Zr、Mo又はCoである。aは、0≦a≦1であって、好ましくは0.01≦a≦0.99であり、より好ましくは0.1≦a≦0.9である。bは、0≦b≦1であって、好ましくは0.01≦b≦0.99であり、より好ましくは0.1≦b≦0.9である。cは、0≦c≦0.2であって、好ましくは0≦c≦0.1である。そして、これらa、b及びcは、2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たし、かつa+b≠0を満たす数である。上記式(A)で表されるオリビン型リン酸遷移金属リチウム化合物としては、具体的には、例えばLiFe0.9Mn0.1PO4、LiFe0.2Mn0.8PO4、LiFe0.15Mn0.75Mg0.1PO4、LiFe0.19Mn0.75Zr0.03PO4等が挙げられ、なかでもLiFe0.2Mn0.8PO4が好ましい。
上記式(B)で表される酸化物は、いわゆる少なくとも遷移金属として鉄(Fe)及びマンガン(Mn)を含むオリビン型ケイ酸遷移金属リチウム化合物である。式(B)中、Nは、Ni、Co、Al、Zn、V又はZrを示し、好ましくはCo、Al、Zn、V又はZrである。dは、0≦d≦1であって、好ましくは0≦d<1であり、より好ましくは0.1≦d≦0.6である。eは、0≦d≦1であって、好ましくは0≦e<1であり、より好ましくは0.1≦e≦0.6である。fは、0≦f<1であって、好ましくは0<f<1であり、より好ましくは0.05≦f≦0.4である。そして、これらd、e及びfは、2d+2e+(Nの価数)×f=2を満たし、かつd+e≠0を満たす数である。上記式(B)で表されるオリビン型ケイ酸遷移金属リチウム化合物としては、具体的には、例えばLi2Fe0.45Mn0.45Co0.1SiO4、Li2Fe0.36Mn0.54Al0.066SiO4、Li2Fe0.45Mn0.45Zn0.1SiO4、Li2Fe0.36Mn0.540.066SiO4、Li2Fe0.282Mn0.658Zr0.02SiO4等が挙げられ、なかでもLi2Fe0.282Mn0.658Zr0.02SiO4が好ましい。
上記式(C)で表される酸化物は、いわゆる少なくとも遷移金属として鉄(Fe)及びマンガン(Mn)を含むオリビン型リン酸遷移金属ナトリウム化合物である。式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示し、好ましくはMg、Zr、Mo又はCoである。gは、0≦g≦1であって、好ましくは0<g≦1である。hは、0≦h≦1であって、好ましくは0.5≦h<1である。iは、0≦i<1であって、好ましくは0≦i≦0.5であり、より好ましくは0≦i≦0.3である。そして、これらg、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、及び0≦i<1、2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数である。上記式(C)で表されるオリビン型リン酸遷移金属ナトリウム化合物としては、具体的には、例えばNaFe0.9Mn0.1PO4、NaFe0.2Mn0.8PO4、NaFe0.15Mn0.7Mg0.15PO4、NaFe0.19Mn0.75Zr0.03PO4、NaFe0.19Mn0.75Mo0.03PO4、NaFe0.15Mn0.7Co0.15PO4等が挙げられ、なかでもNaFe0.2Mn0.8PO4が好ましい。
本発明の二次電池用正極活物質は、上記式(A)、(B)又は(C)で表される酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなる。かかるセルロースナノファイバー及びリグニンは炭化されて炭素となり、これが上記酸化物に堅固に担持してなる。
これらセルロースナノファイバー及びリグニンは、例えば焼成を介することによって、ともに炭化させることが可能な炭素源であり、こうして炭素と化したこれらの炭素源が上記酸化物に担持されて、本発明の二次電池用正極活物質を構成するものである。後述するとおり、これらセルロースナノファイバー及びリグニンは、いずれも固有の特徴的な構造を有しているため、炭化された後においても双方が補い合いながら又は絡み合いながら堅固に酸化物に担持されてなる等、構造的又は物性的に何らかの相互作用を及ぼしあって、特徴的な複合構造を有する炭素になるものと考えられる。しかしながら、如何なる分析方法を用いても、最終生成物である二次電池用正極活物質からは、あくまでも炭素として検出されるにすぎず、その担持の態様や構造等をもって直接的に特定するのは不可能であるため、本発明の二次電池用正極活物質においては、「式(A)、(B)又は(C)で表される酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなる」と表現するものである。
一方の炭素源であるセルロースナノファイバーとは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、かかる細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維である。かかるセルロースナノファイバーの繊維径は1nm~1000nmであり、好ましくは1nm~500nmであり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖では、炭素による周期的構造が形成されていることから、これが炭化されて上記酸化物に堅固に担持されることによって、得られる電池における性能を有効に高めることができる有用な正極活物質を得ることができる。かかるセルロースナノファイバーとしては、例えば、セリッシュKY-100S(ダイセルファインケム株式会社製)等の市販品を好適に用いることができる。
他方の炭素源であるリグニンとは、セルロースに伴って存在する、木材の2割~3割を占める高分子の芳香族重合化合物で、主に植物細胞膜間の中間層を構成している。リグニンの化学構造の詳細は明らかではないが、芳香環に水酸基、メトキシル基などの置換基を有するプロピルベンゼン誘導体からなる構成単位が、三次元網目構造を形成している。植物細胞中の天然リグニンは疎水性であるが、紙パルプ製造プロセスのパルプ廃液から大規模に得られる工業リグニン(リグノスルホン酸塩)は水溶性である。したがって、リグニンが炭化されてなる炭素は、上記酸化物の表面全体を有効に被覆することができる。
本発明で用い得るリグニンとしては、紙パルプ製造プロセスやバイオエタノール製造プロセスなどにおける、セルロース/ヘミセルロース主体の分離工程における脱リグニン反応での副生成物として得られる工業リグニンあれば、特に制限されず、例えば、サンエキス(日本製紙株式会社製)等の市販品を好適に用いることができる。
また、リグニンやヘミセルロース成分を含む木質から水熱処理技術を用いて製造されたセルロースナノファイバーは、リグニンで被覆されたリグノセルロースナノファイバーとして得られる。このリグノセルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーよりもさらに優れた水への分散性を有している。そして、リグノセルロースナノファイバーが炭化されてなる炭素は、セルロースナノファイバー由来の周期的構造とリグニン由来の三次元網目構造を有する複合的な三次元構造を形成し、上記酸化物の表面全体を有効に被覆しつつ、有用な正極活物質を形成することができる。
かかるリグノセルロースナノファイバーの繊維径は、好ましくは30nm~1000nmであり、より好ましくは50nm~500nmであり、例えば、リグノCNF45(モリマシナリー株式会社製)等の市販品を好適に用いることができる。
セルロースナノファイバー及びリグニンは、その後炭化されて、上記酸化物に、それぞれセルロースナノファイバー由来の担持された炭素及びリグニン由来の担持された炭素として、本発明の二次電池用正極活物質中に存在することとなる。炭化してなる炭素として酸化物に担持してなる、セルロースナノファイバー由来の炭素とリグニン由来の炭素の合計担持量は、本発明の二次電池用正極活物質中に、好ましくは0.3質量%~20質量%であり、より好ましくは0.4質量%~15質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%~10質量%である。より具体的には、例えば、後述する工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、セルロースナノファイバー由来の炭素とリグニン由来の炭素の合計担持量は、本発明の二次電池用正極活物質中に、好ましくは0.3質量%~15質量%であり、より好ましくは0.4質量%~10質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%~7質量%である。また、ケイ酸化合物を用いた場合、セルロースナノファイバー由来の炭素とリグニン由来の炭素の合計担持量は、本発明の二次電池用正極活物質中に好ましくは0.5質量%~20質量%であり、より好ましくは0.6質量%~15質量%であり、さらに好ましくは0.7質量%~10質量%である。
さらに具体的には、例えば、後述するように、本発明の二次電池用正極活物質が、リチウム化合物又はナトリウム化合物を含むスラリー水Qにリン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して得られた複合体Qと、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Rとの水熱反応物である複合体Rと、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Sを乾燥して得られた複合体Sの還元雰囲気下焼成物又は不活性雰囲気下焼成物である二次電池用正極活物質(H)である場合、或いはリチウム化合物又はナトリウム化合物とセルロースナノファイバーを含むスラリー水Tにリン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して得られた複合体Tと、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Uとの水熱反応物である複合体Uと、リグニンを含むスラリー水Vを乾燥して得られた複合体Vの還元雰囲気下焼成物又は不活性雰囲気下焼成物である二次電池用正極活物質(H')である場合、上記酸化物に担持してなるセルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量は、本発明の二次電池用正極活物質中に、好ましくは0.5質量%~20質量%であり、より好ましくは0.7質量%~15質量%であり、さらに好ましくは1質量%~10質量%である。より具体的には、例えば、後述する工程(I)又は工程(I')においてリン酸化合物を用いた場合、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量は、本発明の二次電池用正極活物質中に、好ましくは0.5質量%~15質量%であり、より好ましくは0.7質量%~10質量%であり、さらに好ましくは1質量%~7質量%である。また、ケイ酸化合物を用いた場合、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量は、本発明の二次電池用正極活物質中に、好ましくは1質量%~20質量%であり、より好ましくは1.3質量%~15質量%であり、さらに好ましくは1.5質量%~10質量%である。
またさらに具体的には、例えば、後述するように、本発明の二次電池用正極活物質が、リチウム化合物又はナトリウム化合物、リン酸化合物又はケイ酸化合物、並びに少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩の合成反応物である酸化物、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Yを乾燥して得られた造粒体Yの、還元雰囲気下焼成物又は不活性雰囲気下焼成物である二次電池用正極活物質(H'')である場合、上記酸化物に担持してなるセルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量は、本発明の二次電池用正極活物質中に、好ましくは0.3質量%~6質量%であり、より好ましくは0.4質量%~5質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%~4質量%である。より具体的には、例えば、後述する工程(I'')においてリン酸化合物を用いた場合、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量は、本発明の二次電池用正極活物質中に、好ましくは0.3質量%~4質量%であり、より好ましくは0.4質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%~2.5質量%である。また、ケイ酸化合物を用いた場合、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量は、本発明の二次電池用正極活物質中に、好ましくは0.5質量%~6質量%であり、より好ましくは0.6質量%~5質量%であり、さらに好ましくは0.7質量%~4質量%である。
なお、二次電池用正極活物質中に存在するセルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量は、炭素・硫黄分析装置を用いた測定により、求めることができ、リグノセルロースナノファイバー由来の炭素も同様に、その担持量を測定して求めることができる。また、かかるセルロースナノファイバー由来の炭素とリグニン由来の炭素の合計担持量は、セルロースナノファイバーの炭素原子換算量とリグニンの炭素原子換算量の合計量と同義であり、セルロースナノファイバーの配合量及びリグニンの配合量から算出して求めることもでき、リグノセルロースナノファイバーの場合は、その組成から換算し、セルロースナノファイバーの炭素原子換算量とリグニンの炭素原子換算量を求めればよい。
また、本発明の二次電池用正極活物質中に担持された炭素として存在する、セルロースナノファイバー由来の炭素の担持量(x)とリグニン由来の炭素の担持量(y)の比((x):(y))は、好ましくは95:5~30:70であり、より好ましくは90:10~40:60であり、さらに好ましくは85:15~50:50である。
なお、セルロースナノファイバー由来の炭素の担持量(x)とリグニン由来の炭素の担持量(y)の比((x):(y))は、セルロースナノファイバーの炭素原子換算量とリグニンの炭素原子換算量の比と同義であり、セルロースナノファイバーの配合量とリグニンの配合量から算出して求めることができる。
本発明の二次電池用正極活物質に担持してなる、セルロースナノファイバー由来の炭素は、上記式(A)、(B)又は(C)で表される酸化物粒子間の間隙を充填するように存在することを特徴とし、リグニン由来の炭素は、上記式(A)、(B)又は(C)で表される酸化物粒子の表面に均一に堆積されることを特徴とする。すなわち、本発明の二次電池用正極活物質は、セルロースナノファイバー由来の炭素が、リグニン由来の炭素で表面が被覆されている正極活物質の粒子表面の一部に存在して、リグニン由来の炭素で被覆された酸化物粒子が形成するパッキング構造の粒子間空隙を充填している。
本発明の二次電池用正極活物質は、このような特徴的な複合構造を有する炭素が、正極活物質の表面全体を被覆すると同時にパッキング密度が増大する状態で酸化物粒子間の導電パスを形成しているため、優れた充放電特性が発現され、かかる炭素の量を有効に減じることも可能になると考えられる。
本発明の二次電池用正極活物質は、リチウム化合物又はナトリウム化合物を含むスラリー水Qにリン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して得られた複合体Qと、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Rとの水熱反応物である複合体Rと、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Sを乾燥して得られた複合体Sの還元雰囲気下焼成物又は不活性雰囲気下焼成物である二次電池用正極活物質(H)、リチウム化合物又はナトリウム化合物とセルロースナノファイバーを含むスラリー水Tにリン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して得られた複合体Tと、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Uとの水熱反応物である複合体Uと、リグニンを含むスラリー水Vを乾燥して得られた複合体Vの還元雰囲気下焼成物又は不活性雰囲気下焼成物である二次電池用正極活物質(H')であるか、或いは上記式(A)、(B)又は(C)で表される酸化物、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Yを乾燥して得られた複合体Yの、還元雰囲気下焼成物又は不活性雰囲気下焼成物である二次電池用正極活物質(H'')であるのが好ましい。
本発明の二次電池用正極活物質が上記二次電池用正極活物質(H)である場合、二次電池用正極活物質(H)の製造方法は、具体的には、リチウム化合物又はナトリウム化合物を含むスラリー水Qに、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して複合体Qを得る工程(I)、
得られた複合体Q、及び少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Rを水熱反応に付して、複合体Rを得る工程(II)、
得られた複合体R、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Sを乾燥して複合体Sを得る工程(III)、並びに
得られた複合体Sを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(IV)
を備える。
工程(I)は、リチウム化合物又はナトリウム化合物を含むスラリー水Qに、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して複合体Qを得る工程である。
リチウム化合物又はナトリウム化合物としては、水酸化物(例えばLiOH・H2O、NaOH)、炭酸化物、硫酸化物、酢酸化物が挙げられる。なかでも、水酸化物が好ましい。スラリー水Qにおけるリチウム化合物又はナトリウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5質量部~50質量部であり、より好ましくは7質量部~45質量部である。より具体的には、工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、スラリー水Qにおけるリチウム化合物又はナトリウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5質量部~50質量部であり、より好ましくは10質量部~45質量部である。また、ケイ酸化合物を用いた場合、スラリー水Qにおけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5質量部~40質量部であり、より好ましくは7質量部~35質量部である。
スラリー水Qにリン酸化合物又はケイ酸化合物を混合する前に、予めスラリー水Qを撹拌しておくのが好ましい。かかるスラリー水Qの撹拌時間は、好ましくは1分間~15分間であり、より好ましくは3分間~10分間である。また、スラリー水Xの温度は、好ましくは20℃~90℃であり、より好ましくは20℃~70℃である。
リン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでもリン酸を用いるのが好ましく、70質量%~90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。かかる工程(I)では、スラリー水Qにリン酸を混合するにあたり、スラリー水Qを撹拌しながらリン酸を滴下するのが好ましい。スラリー水Qにリン酸を滴下して少量ずつ加えることで、スラリー水Q中において良好に反応が進行して、複合体Qがスラリー水Q中で均一に分散しつつ生成され、かかる複合体Qが不要に凝集するのをも効果的に抑制することができる。
リン酸の上記スラリー水Qへの滴下速度は、好ましくは15mL/分~50mL/分であり、より好ましくは20mL/分~45mL/分であり、さらに好ましくは28mL/分~40mL/分である。また、リン酸を滴下しながらのスラリー水Qの撹拌時間は、好ましくは0.5時間~24時間であり、より好ましくは3時間~12時間である。さらに、リン酸を滴下しながらのスラリー水Qの撹拌速度は、好ましくは200rpm~700rpmであり、より好ましくは250rpm~600rpmであり、さらに好ましくは300rpm~500rpmである。
なお、スラリー水Qを撹拌する際、さらにスラリー水Qの沸点温度以下に冷却するのが好ましい。具体的には、80℃以下に冷却するのが好ましく、20℃~60℃に冷却するのがより好ましい。
ケイ酸化合物としては、反応性のあるシリカ化合物であれば特に限定されず、非晶質シリカ、ナトリウム塩(例えばメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、Na4SiO4・H2O)等が挙げられる。
リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合した後のスラリー水Qは、リン酸又はケイ酸1モルに対し、リチウム又はナトリウムを2.0モル~4.0モル含有するのが好ましく、2.0モル~3.1モル含有するのがより好ましく、このような量となるよう、上記リチウム化合物又はナトリウム化合物と、リン酸化合物又はケイ酸化合物を用いればよい。より具体的には、工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、リン酸化合物を混合した後のスラリー水Qは、リン酸1モルに対し、リチウム又はナトリウムを2.7モル~3.3モル含有するのが好ましく、2.8モル~3.1モル含有するのがより好ましく、工程(I)においてケイ酸化合物を用いた場合、ケイ酸化合物を混合した後のスラリー水Qは、ケイ酸1モルに対し、リチウムを2.0モル~4.0モル含有するのが好ましく、2.0モル~3.0モル含有するのがより好ましい。
リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合した後のスラリー水Qに対して窒素をパージすることにより、かかるスラリー水Q中での反応を完了させて、上記(A)~(C)で表される酸化物の前駆体である複合体Qをスラリーとして得る。窒素がパージされると、スラリー水Q中の溶存酸素濃度が低減された状態で反応を進行させることができ、また得られる複合体Qを含有するスラリーの溶存酸素濃度も効果的に低減されるため、次の工程で添加する金属塩の酸化を抑制することができる。かかる複合体Qを含有するスラリー中において、上記(A)~(C)で表される酸化物の前駆体は、微細な分散粒子として存在する。かかる複合体Qは、例えば上記式(A)で表される酸化物の場合、リン酸三リチウム(Li3PO4)として得られる。
窒素をパージする際における圧力は、好ましくは0.1MPa~0.2MPaであり、より好ましくは0.1MPa~0.15MPaである。また、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合した後のスラリー水Qの温度は、好ましくは20℃~80℃であり、より好ましくは20℃~60℃である。例えば上記式(A)で表される酸化物の場合、反応時間は、好ましくは5分間~60分間であり、より好ましくは15分間~45分間である。
また、窒素をパージする際、反応を良好に進行させる観点から、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合した後のスラリー水Qを撹拌するのが好ましい。このときの撹拌速度は、好ましくは200rpm~700rpmであり、より好ましくは250rpm~600rpmである。
また、より効果的に複合体Xの分散粒子表面における酸化を抑制し、分散粒子の微細化を図る観点から、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合した後のスラリー水Q中における溶存酸素濃度を0.5mg/L以下とするのが好ましく、0.2mg/L以下とするのがより好ましい。
工程(II)は、工程(I)で得られた複合体Q、及び少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Rを水熱反応に付して、複合体Rを得る工程である。上記工程(I)により得られた複合体Qを、スラリーのまま、上記(A)~(C)で表される酸化物の前駆体として用い、これに少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を添加してスラリー水Rとして用いるのが好ましい。これにより、極めて微細な粒子であって正極活物質として非常に有用な二次電池用正極活物質を得ることができる。
金属塩は、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含み、さらにこれら鉄化合物及びマンガン化合物以外の金属(M、N又はQ)塩を含んでいてもよい。鉄化合物としては、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸鉄が好ましい。また、マンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マンガンが好ましい。
金属塩として、鉄化合物及びマンガン化合物を用いる場合、その使用モル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、リチウム化合物を用いた場合、好ましくは99:1~51:49であり、より好ましくは95:5~70:30であり、さらに好ましくは90:10~80:20であり、ナトリウム化合物を用いた場合、好ましくは100:0~51:49であり、より好ましくは100:0~60:40であり、さらに好ましくは100:0~70:30である。また、これら金属塩の合計添加量は、スラリー水R中に含有されるリン酸イオン又はケイ酸イオン1モルに対し、好ましくは0.99モル~1.01モルであり、より好ましくは0.995モル~1.005モルである。
鉄化合物及びマンガン化合物以外の金属(M、N又はQ)塩を用いてもよい。金属(M、N又はQ)塩におけるM、N及びQは、上記式(A)~(C)中のM、N及びQと同義であり、かかる金属塩として、硫酸塩、ハロゲン化合物、有機酸塩、及びこれらの水和物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。なかでも、電池物性を高める観点から、硫酸塩を用いるのがより好ましい。
これら金属(M、N又はQ)塩を用いる場合、鉄化合物、マンガン化合物、及び金属(M、N又はQ)塩の合計添加量は、上記工程(I)において得られた水溶液中のリン酸又はケイ酸1モルに対し、好ましくは0.99モル~1.01モルであり、より好ましくは0.995モル~1.005モルである。
水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、金属塩の溶解性、撹拌の容易性、及び合成の効率等の観点から、スラリー水R中に含有されるリン酸又はケイ酸イオン1モルに対し、好ましくは10モル~50モルであり、より好ましくは12.5モル~45モルである。より具体的には、スラリー水R中に含有されるイオンがリン酸イオンの場合、水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、好ましくは10モル~30モルであり、より好ましくは12.5モル~25モルである。また、スラリー水R中に含有されるイオンがケイ酸イオンの場合、水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、好ましくは10モル~50モルであり、より好ましくは12.5モル~45モルである。
工程(II)において、鉄化合物、マンガン化合物及び金属(M、N又はQ)塩の添加順序は特に制限されない。また、これらの金属塩を添加するとともに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。かかる酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na224)、アンモニア水等を使用することができる。酸化防止剤の添加量は、過剰に添加されることにより上記式(A)~(C)で表される酸化物の生成が抑制されるのを防止する観点から、鉄化合物、マンガン化合物及び必要に応じて用いる金属(M、N又はQ)塩の合計1モルに対し、好ましくは0.01モル~1モルであり、より好ましくは0.03モル~0.5モルである。
鉄化合物、マンガン化合物及び必要に応じて用いる金属(M、N又はQ)塩を添加し、必要に応じて酸化防止剤等を添加することにより得られるスラリー水R中における複合体Qの含有量は、好ましくは10質量%~50質量%であり、より好ましくは15質量%~45質量%であり、さらに好ましくは20質量%~40質量%である。
水熱反応は、100℃以上であればよく、130℃~180℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130℃~180℃で反応を行う場合、この時の圧力は0.3MPa~0.9MPaであるのが好ましく、140℃~160℃で反応を行う場合の圧力は0.3MPa~0.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は0.1時間~48時間が好ましく、さらに0.2時間~24時間が好ましい。
得られた複合体Rは、上記式(A)~(C)で表される酸化物であり、ろ過後、水で洗浄することによりこれを単離できる。
工程(III)は、工程(II)で得られた複合体R、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Sを乾燥して複合体Sを得る工程である。上記工程(II)により得られた複合体Rを、スラリーのまま、上記(A)~(C)で表される酸化物として用い、これにセルロースナノファイバー及びリグニンを添加してスラリー水Sとして用いるのが好ましい。なお、ここで用い得るセルロースナノファイバー及びリグニンは、上記と同様である。
スラリー水Sにおけるセルロースナノファイバーの含有量は、その炭素原子換算量が、本発明の二次電池用正極活物質中に上記担持量となるような量であるのが望ましい。具体的には、スラリー水Sにおけるセルロースナノファイバーの含有量は、例えば水100質量部に対し、セルロースナノファイバーの炭素原子換算量で、好ましくは0.15質量部~35質量部であり、より好ましくは0.2質量部~30質量部であり、さらに好ましくは0.25質量部~20質量部である。より具体的には、工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、スラリー水Sにおけるセルロースナノファイバーの含有量は、水100質量部に対し、セルロースナノファイバーの炭素原子換算量で、好ましくは0.15質量部~30質量部であり、より好ましくは0.2質量部~20質量部であり、さらに好ましくは0.25質量部~15質量部である。また、ケイ酸化合物を用いた場合、スラリー水Sにおけるセルロースナノファイバーの含有量は、水100質量部に対し、セルロースナノファイバーの炭素原子換算量で、好ましくは0.25質量部~35質量部であり、より好ましくは0.3質量部~30質量部であり、さらに好ましくは0.35質量部~20質量部である。
スラリー水Sにおけるリグニンの含有量は、その炭素原子換算量が、本発明の二次電池用正極活物質中に上記担持量となるような量であるのが望ましい。具体的には、スラリー水Sにおけるリグニンの含有量は、例えば水100質量部に対し、リグニンの炭素原子換算量で、好ましくは0.25質量部~23質量部であり、より好ましくは0.35質量部~17質量部であり、さらに好ましくは0.45質量部~12質量部である。より具体的には、工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、スラリー水Sにおけるリグニンの含有量は、水100質量部に対し、リグニンの炭素原子換算量で、好ましくは0.25質量部~17質量部であり、より好ましくは0.35質量部~12質量部であり、さらに好ましくは0.45質量部~9質量部である。また、ケイ酸化合物を用いた場合、スラリー水Sにおけるリグニンの含有量は、水100質量部に対し、リグニンの炭素原子換算量で、好ましくは0.45質量部~23質量部であり、より好ましくは0.6質量部~17質量部であり、さらに好ましくは0.8質量部~12質量部である。
工程(III)において、セルロースナノファイバー及びリグニンとして、リグノセルロースナノファイバーを用いることができ、この場合、セルロースナノファイバー及びリグニンをスラリー水Sに添加する代わりに、リグノセルロースナノファイバーをスラリー水Sに添加すればよい。なお、用い得るリグノセルロースナノファイバーは、上記と同様である。
スラリー水Sにおけるリグノセルロースナノファイバーの含有量は、その炭素原子換算量が、本発明の二次電池用正極活物質中に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量と同じ担持量となるような量であるのが望ましい。具体的には、スラリー水Sにおけるリグノセルロースナノファイバーの含有量は、例えば水100質量部に対し、リグノセルロースナノファイバーの炭素原子換算量で、好ましくは0.5質量部~35質量部であり、より好ましくは0.7質量部~30質量部であり、さらに好ましくは0.9質量部~20質量部である。より具体的には、工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、スラリー水Sにおけるリグノセルロースナノファイバーの含有量は、水100質量部に対し、リグノセルロースナノファイバーの炭素原子換算量で、好ましくは0.5質量部~30質量部であり、より好ましくは0.7質量部~20質量部であり、さらに好ましくは0.9質量部~15質量部である。また、ケイ酸化合物を用いた場合、スラリー水Sにおけるリグノセルロースナノファイバーの含有量は、水100質量部に対し、リグノセルロースナノファイバーの炭素原子換算量で、好ましくは0.9質量部~35質量部であり、より好ましくは1.1質量部~30質量部であり、さらに好ましくは1.3質量部~20質量部である。
スラリー水Sは、セルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーを充分に拡散させて、複合体Rとセルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーを均一に分散させる観点から、分散機(ホモジナイザー)を用いた処理を行うことにより、凝集しているセルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーを解砕することが好ましい。かかる分散機としては、例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。なかでも、分散効率の観点から、超音波攪拌機が好ましい。スラリー水Sの分散均一性の程度は、例えば、UV・可視光分光装置を使用した光線透過率や、E型粘度計を使用した粘度で定量的に評価することもでき、また目視によって白濁度が均一であることを確認することで、簡便に評価することもできる。分散機で処理する時間は、好ましくは0.5分間~6分間であり、より好ましくは2分間~5分間である。このように処理されたスラリー水Sは、セルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーの良好な分散状態を数日間保持することができるので、予め調製し、保管しておくことも可能となる。
上記スラリー水Sは、未だ凝集状態にあるセルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーを有効に取り除く観点から、さらに、湿式分級することが好ましい。湿式分級には、篩や市販の湿式分級機を使用することができる。篩の目開きは、用いるセルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーの繊維長により変動し得るが、作業効率の観点から、140μm~160μmであるのが好ましい。
次いで、得られたスラリー水Sを乾燥して、複合体Sを得る。スラリー水Sの乾燥法は、スラリー水S中のセルロースナノファイバー、リグニン又はリグノセルロースナノファイバーが熱変性等による変質を生じない方法であれば特に限定されず、恒温乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等が用いられる。乾燥して得られる複合体Sは、複合体Rの表面にセルロースナノファイバー及びリグニンが付着した複合体であるか、複合体Rの表面にリグノセルロースナノファイバーが付着した複合体である。
工程(IV)は、工程(III)で得られた複合体Sを、還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程である。これにより、複合体Sに存在するセルロースナノファイバー及びリグニンを、又は、複合体Sに存在するリグノセルロースナノファイバーを炭化させ、セルロースナノファイバー由来の炭素とリグニン由来の炭素が上記式(A)~(C)で表される酸化物の粒子表面に堅固に担持された、二次電池用正極活物質を得ることができる。焼成条件は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で、好ましくは400℃以上、より好ましくは400℃~800℃で、好ましくは10分間~3時間、より好ましくは0.5間~1.5時間とするのがよい。
本発明の二次電池用正極活物質が上記二次電池用正極活物質(H')である場合、二次電池用正極活物質(H')の製造方法は、具体的には、リチウム化合物又はナトリウム化合物と、セルロースナノファイバーを含むスラリー水Tに、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して複合体Tを得る工程(I')、
得られた複合体T、及び少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Uを水熱反応に付して、複合体Uを得る工程(II')、
得られた複合体U及びリグニンを含むスラリー水Vを乾燥して複合体Vを得る工程(III')、並びに
得られた複合体Vを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(IV')
を備える。
工程(I')は、リチウム化合物又はナトリウム化合物と、セルロースナノファイバーを含むスラリー水Tに、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して複合体Tを得る工程である。工程(I')のスラリー水Tは、上記工程(I)でスラリー水Qを得た方法において、上記工程(III)のスラリー水Sにセルロースナノファイバーを添加した方法を組み合せることで得ることができ、その後は上記工程(I)と同様にすればよい。
なお、ここで用いるセルロースナノファイバーは、上記二次電池用正極活物質(H)の製造方法において用いるものと同様である。
工程(II')は、工程(I')で得られた複合体T、及び少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Uを水熱反応に付して、複合体Uを得る工程である。この工程(II')は、上記工程(II)と同様にすればよい。
工程(III')は、工程(II')で得られた複合体U及びリグニンを含むスラリー水Vを乾燥して複合体Vを得る工程である。この工程(III')は、上記工程(III)のスラリー水Sにリグニンを添加した方法と同様にすればよい。
なお、ここで用いるリグニンは、上記二次電池用正極活物質(H)の製造方法において用いるものと同様である。
工程(IV')は、工程(III')で得られた複合体Vを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程である。この工程(IV')は、上記工程(IV)と同様にすればよい。これにより、複合体Vに存在するセルロースナノファイバー及びリグニンを炭化させ、セルロースナノファイバー由来の炭素とリグニン由来の炭素が上記式(A)~(C)で表される酸化物の粒子表面に堅固に担持された、二次電池用正極活物質を得ることができる。
本発明の二次電池用正極活物質が上記二次電池用正極活物質(H'')である場合、二次電池用正極活物質(H'')の製造方法は、具体的には、上記式(A),(B)又は(C)で表される酸化物を含むスラリー水Wと、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Xを混合して、スラリー水Yを得る工程(I'')、
得られたスラリー水Yを乾燥して、複合体Yを得る工程(II'')、並びに
得られた複合体Yを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(III'')
を備える。
工程(I'')は、上記式(A)、(B)又は(C)で表される酸化物を含むスラリー水Wと、セルロースナノファイバー及びリグニンを充分に分散させたか、又は、リグノセルロースナノファイバーを充分に分散させたスラリー水Xを混合して、酸化物、セルロースナノファイバー及びリグニンが、又は、酸化物及びリグノセルロースナノファイバーが、共に充分に分散してなるスラリー水Yを得る工程である。
上記酸化物は、上記二次電池用正極活物質(H)又は上記二次電池用正極活物質(H')の製造方法のように、合成反応に付して得られるものであり、かかる合成反応に付す方法としては、固相法(焼成法、溶融-アニール法)と湿式法(水熱法)に大別されるがいずれの方法であってもよく、さらに合成反応に付した後に粉砕又は分級してもよい。なかでも、粒径が小さく、かつ粒度が揃った酸化物が得られる観点から、水熱反応に付すことにより得られる酸化物であるのが好ましい。
なお、水熱反応に付して上記酸化物を得る方法は、具体的には、上記二次電池用正極活物質(H)又は上記二次電池用正極活物質(H')の製造方法において、セルロースナノファイバー及びリグニン、又はリグノセルロースナノファイバーを用いないこと以外、上記工程(I)~(II)を経ることにより複合体Rを得る方法、或いは上記工程(I')~(II')を経ることにより複合体Uを得る方法と同様である。
スラリー水Wにおける酸化物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは10質量部~400質量部であり、より好ましくは30質量部~210質量部である。
スラリー水Xにおけるセルロースナノファイバー及びリグニンの合計含有量、又はリグノセルロースナノファイバーの含有量は、その炭素原子換算量が、本発明の二次電池用正極活物質中に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量と同じ担持量となるような量であるのが望ましい。具体的には、例えば水100質量部に対し、セルロースナノファイバー及びリグニンを用いる場合、スラリー水Xにおけるセルロースナノファイバー及びリグニンの合計含有量は、セルロースナノファイバー及びリグニンの炭素原子換算量で、好ましくは0.5質量部~10質量部であり、より好ましくは0.7質量部~8質量部である。リグノセルロースナノファイバーを用いる場合、スラリー水Xにおけるリグノセルロースナノファイバーの含有量は、リグノセルロースナノファイバーの炭素原子換算量で、好ましくは0.4質量部~9質量部であり、より好ましくは0.6質量部~8.5質量部である。
セルロースナノファイバー、リグニン及びリグノセルロースナノファイバーとしては、上記二次電池用正極活物質(H)又は(H')の製造方法において用いるものと同様のものを用いることができる。
スラリー水Xは、リグニンの溶解とセルロースナノファイバーを充分に分散させ、或いはリグノセルロースナノファイバーを充分に分散させて、得られるスラリー水X中においても酸化物とセルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーを均一に分散させる観点から、分散機(ホモジナイザー)を用いた処理を行うことにより、凝集しているセルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーを解砕することが好ましい。かかる分散機としては、例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。なかでも、分散効率の観点から、超音波攪拌機が好ましい。スラリー水Xの分散均一性の程度は、例えば、UV・可視光分光装置を使用した光線透過率や、E型粘度計を使用した粘度で定量的に評価することもでき、また目視によって白濁度が均一であることを確認することで、簡便に評価することもできる。分散機で処理する時間は、好ましくは0.5分間~6分間であり、より好ましくは2分間~5分間である。このように処理されたスラリー水Xは、セルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーの良好な分散状態を数日間保持することができるので、予め調製し、保管しておくことも可能となる。
上記スラリー水Xは、未だ凝集状態にあるセルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーを有効に取り除く観点から、さらに、湿式分級することが好ましい。湿式分級には、篩や市販の湿式分級機を使用することができる。篩の目開きは、用いるセルロースナノファイバー又はリグノセルロースナノファイバーの繊維長により変動し得るが、作業効率の観点から、150μm前後であるのが好ましい。
スラリー水Yは、上記スラリー水Wとスラリー水Xを混合して得られる。スラリー水Yにおけるセルロースナノファイバー及びリグニンの合計含有量、又はリグノセルロースナノファイバーの含有量は、その炭素原子換算量が、本発明の二次電池用正極活物質中に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量と同じ担持量となるような量であればよい。具体的には、セルロースナノファイバー及びリグニンの合計含有量、又はリグノセルロースナノファイバーの含有量は、スラリー水Y中の酸化物100質量部に対し、セルロースナノファイバー及びリグニンの炭素原子換算量或いはリグノセルロースナノファイバーの炭素原子換算量で、好ましくは0.5質量部~10質量部であり、より好ましくは0.7質量部~8.5質量部であり、さらに好ましくは0.9質量部~7質量部である。このような割合になるように、スラリー水Wとスラリー水Xの混合割合を定めればよく、これらスラリー水Wとスラリー水Xの混合順序は特に制限されない。
工程(II'')は、工程(I'')で得られたスラリー水Yを乾燥に付して、複合体Yを得る工程である。スラリー水Yの乾燥法は、スラリー水Y中のセルロースナノファイバー、リグニン又はリグノセルロースナノファイバーが熱変性などによる変質を生じない方法であれば特に限定されず、恒温乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等が用いられ、噴霧乾燥であるのが好ましい。乾燥して得られる複合体Yは、酸化物の表面にセルロースナノファイバー及びリグニンが付着した複合体であるか、酸化物の表面にリグノセルロースナノファイバーが付着した複合体である。
工程(III'')は、工程(II'')で得られた複合体Yを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程である。これにより、複合体Yに存在するセルロースナノファイバー及びリグニンを、又はリグノセルロースナノファイバーを炭化させ、かかる炭素を式(A)~(C)で表される酸化物に堅固に担持させてなる二次電池用正極活物質を得ることができる。焼成条件は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で、好ましくは400℃以上、より好ましくは400℃~800℃で、好ましくは10分間~3時間、より好ましくは0.5時間~1.5時間とするのがよい。
本発明の二次電池用正極活物質を含む二次電池用正極を適用できる、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池である二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータ、若しくは正極と負極と固体電解質を必須構成とするものであれば特に限定されない。
ここで、負極については、リチウムイオン又はナトリウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、ナトリウム金属、グラファイト、シリコン系(Si、SiOx)、チタン酸リチウム又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そしてリチウムイオン又はナトリウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。さらに、二種以上の上記の負極材料を併用してもよく、たとえばグラファイトとシリコン系の組み合わせを用いることができる。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池の電解液として用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、リチウムイオン二次電池の場合、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32及びLiN(SO3CF32、LiN(SO2252及びLiN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。また、ナトリウムイオン二次電池の場合、NaPF6、NaBF4、NaClO4及びNaAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、NaSO3CF3、NaC(SO3CF32及びNaN(SO3CF32、NaN(SO2252及びNaN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
固体電解質は、正極及び負極を電気的に絶縁し、高いリチウムイオン電導性又は高いナトリウムイオン電導性を示すものである。たとえば、リチウムイオン二次電池の場合、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43、Li7La3Zr212、50Li4SiO4・50Li3BO3、Li2.9PO3.30.46、Li3.6Si0.60.44、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO43、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43、Li10GeP212、Li3.25Ge0.250.754、30Li2S・26B23・44LiI、63Li2S・36SiS2・1Li3PO4、57Li2S・38SiS2・5Li4SiO4、70Li2S・30P25、50Li2S・50GeS2、Li7311、Li3.250.954を、ナトリウムイオン二次電池の場合、Na0.51Li0.34TiO2.94、Na1.3Al0.3Ti1.7(PO43、Na7La3Zr212、50Na4SiO4・50Na3BO3、Na2.9PO3.30.46、Na3.6Si0.60.44、Na1.07Al0.69Ti1.46(PO43、Na1.5Al0.5Ge1.5(PO43、Na10GeP212、Na3.25Ge0.250.754、30Na2S・26B23・44NaI、63Na2S・36SiS2・1Na3PO4、57Na2S・38SiS2・5Na4SiO4、70Na2S・30P25、50Na2S・50GeS2、Na7311、Na3.250.954を用いればよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量は、得られた正極活物質を元に、炭素・硫黄分析装置(EMIA-220V2、株式会社堀場製作所製)を使用した非分散赤外吸収法によって定量した。また、セルロースナノファイバー由来の炭素の担持量(x)とリグニン由来の炭素の担持量(y)の比((x):(y))は、各々セルロースナノファイバー、リグニン又はリグノセルロースナノファイバー(成分比から)の炭素原子換算量を元に算出した。
[合成例1:酸化物aの合成]
Li2CO3 7.39g、Mn(CH3COO)2・4H2O 19.61g、Fe (CH3COO)2 3.48g、NH42PO4 11.50g、及びエタノール50gを混合した後、遊星型ボールミルを用いて、400rpmで6時間混合粉砕を行った。次いで、得られたスラリー水を、80℃で3時間温風乾燥して、複合体を得た。得られた複合体を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で6時間焼成して、酸化物a(LiFe0.2Mn0.8PO4、平均粒径2μm)を得た。
[実施例1]
LiOH・H2O 12.72g、水 90gを混合してスラリー水a1を得た。次いで、得られたスラリー水a1を、25℃の温度に保持しながら5分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液 11.53gを35mL/分で滴下し、続いて12時間、400rpmの速度で撹拌することにより、複合体b1を含有するスラリー水c1を得た。かかるスラリー水c1は、リン1モルに対し、2.97モルのリチウムを含有していた。
次に、得られたスラリー水c1に対し、FeSO4・7H2O 5.56g及びMnSO4・5H2O 19.29gを添加して、スラリー水d1を得た。
次いで、得られたスラリー水d1をオートクレーブに投入し、170℃で1時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し、12質量部の水により洗浄してケーキe1を得た。
洗浄して得られたケーキe1に、リグノセルロースナノファイバー(モリマシナリー株式会社製、繊維径50nm~300nm、含水量90%)7.13g及び水 30gを混合した後、超音波攪拌機(T25、IKA社製)で1分間撹拌して、スラリー水f1を得た。
次いで、得られたスラリー水f1を、-50℃で12時間凍結乾燥して、複合体g1を得た。
得られた複合体g1を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質A(LiFe0.2Mn0.8PO4、炭素の合計担持量=1.8質量%、セルロースナノファイバー由来の炭素の担持量:リグニン由来の炭素の担持量((x):(y))=70:30)を得た。
得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質AのTEM写真を図1に示す。
[実施例2]
LiOH・H2O 4.28g、Na4SiO4・nH2O 13.97gに水 40gを加えて混合してスラリー水a2を得た後、スラリー水a2に、FeSO4・7H2O 3.92g、MnSO4・5H2O 7.93g、及びZr(SO42・4H2O 0.53gを添加、混合してスラリー水b2を得た。
次いで、スラリー水b2をオートクレーブに投入し、150℃で3時間水熱反応を行った。オートクレーブの圧力は0.4MPaであった。生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し、12質量部の水により洗浄してケーキc2を得た。
得られたケーキc2に、リグノセルロースナノファイバー(同上)10.2g及び水 30gを超音波攪拌機(同上)を用いて1分間撹拌して、スラリー水d2を得た。次に、スラリー水d2を、-50℃で12時間凍結乾燥して、複合体e2を得た。
得られた複合体e2を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、650℃で1時間焼成して、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質B(Li2Fe0.09Mn0.85Zr0.03SiO4、炭素の合計担持量=5.0質量%、セルロースナノファイバー由来の炭素の担持量:リグニン由来の炭素の担持量((x):(y))=70:30)を得た。
[実施例3]
リグノセルロースナノファイバー 7.13gの代わりに、セルロースナノファイバー(セリッシュKY-100G、ダイセルファインケム製、繊維径4~100nm、含水量90%)5.0g及びリグニン(東京化成工業社製)0.21gを用いた以外、実施例1と同様にして、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質C(LiFe0.2Mn0.8PO4、炭素の合計担持量=1.8質量%、セルロースナノファイバー由来の炭素の担持量:リグニン由来の炭素の担持量((x):(y))=60:40)を得た。
[実施例4]
合成例1で得られた酸化物a(LiFe0.2Mn0.8PO4)15.7g、リグノセルロースナノファイバー(同上)0.71g及び水 30gを超音波攪拌機(同上)で1分間撹拌して、全体が均一な白濁度を有するスラリー水a4を得た。
得られたスラリー水a4を、-50℃で12時間凍結乾燥して、複合体b4を得た。
得られた複合体b4を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、650℃で1時間焼成して、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質D(Li2Fe0.09Mn0.85Zr0.03SiO4、炭素の合計担持量=1.8質量%、セルロースナノファイバー由来の炭素の担持量:リグニン由来の炭素の担持量((x):(y))=70:30)を得た。
[実施例5]
NaOH 6.00g及び水 90gを混合してスラリー水a5を得た。次いで、得られたスラリー水a5を、25℃の温度に保持しながら5分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液 5.77gを35mL/分で滴下し、続いて12時間、400rpmの速度で撹拌することにより、複合体b5を含有するスラリー水c5を得た。かかるスラリー水c5は、リン1モルに対し、3.00モルのナトリウムを含有していた。
次に、得られたスラリー水c5に対し、窒素ガスをパージして溶存酸素濃度を0.5mg/Lに調整した後、FeSO4・7H2O 1.39g、MnSO4・5H2O 9.64g、MgSO4・7H2O 1.24gを添加して、スラリー水d5を得た。
次いで、得られたスラリー水d5を窒素ガスでパージしたオートクレーブに投入し、200℃で3時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は、1.4MPaであった。生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し、12質量部の水により洗浄してケーキe5を得た。得られたケーキe5に、リグノセルロースナノファイバー(同上)3.57g及び水 30gを超音波攪拌機(同上)で1分間撹拌して、スラリー水f5を得た。
次いで、得られたスラリー水f5を、-50℃で12時間凍結乾燥して、複合体g5を得た。得られた複合体g5を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなるナトリウムイオン二次電池用正極活物質E(NaFe0.1Mn0.8Mg0.1PO4、炭素の合計担持量=1.7質量%、セルロースナノファイバー由来の炭素の担持量:リグニン由来の炭素の担持量((x):(y))=70:30)を得た。
[比較例1]
リグノセルロースナノファイバーの代わりにセルロースナノファイバー(セリッシュKY-100G、ダイセルファインケム製、繊維径4~100nm、含水量90%)7.13gを用いた以外、実施例1と同様にしてセルロースナノファイバー由来の炭素のみが担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質F(LiFe0.2Mn0.8PO4、炭素の担持量=1.8質量%)を得た。
得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質FのTEM写真を図2に示す。
[比較例2]
リグノセルロースナノファイバーの代わりにリグニン(東京化成工業社製)0.71gを用いた以外、実施例1と同様にしてリグニン由来の炭素のみが担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質G(LiFe0.2Mn0.8PO4、炭素の担持量=1.8質量%)を得た。
[比較例3]
リグノセルロースナノファイバーの代わりにセルロースナノファイバー(同上)10.2gを用いた以外、実施例2と同様にしてセルロースナノファイバー由来の炭素のみが担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質H(Li2Fe0.09Mn0.85Zr0.03SiO4、炭素の担持量=5.0質量%)を得た。
[比較例4]
リグノセルロースナノファイバーの代わりにセルロースナノファイバー(同上)3.57gを用いた以外、実施例5と同様にしてセルロースナノファイバー由来の炭素のみが担持してなるナトリウムイオン二次電池用正極活物質I(NaFe0.1Mn0.8Mg0.1PO4、炭素の担持量=1.7質量%)を得た。
《充放電特性の評価》
実施例1~5及び比較例1~4で得られた正極活物質を用い、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池の正極を作製した。具体的には、得られた正極活物質、ケッチェンブラック、ポリフッ化ビニリデンを重量比75:15:10の配合割合で混合し、これにN-メチル-2-ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
次いで、上記の正極を用いてコイン型二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6(リチウムイオン二次電池の場合)もしくはNaPF6(ナトリウムイオン二次電池の場合)を1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンを用いた。これらの電池部品を露点が-50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR-2032)を製造した。
製造した二次電池を用いて、以下の条件で定電流密度での充放電試験を行った。なお、環境温度は全て30℃とした。
LiFe0.2Mn0.8PO4を用いたリチウムイオン電池は、充電条件を電流0.1CA(17mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件を10CA(1700mA/g)、終止電圧2.0Vの定電流放電として、10CAにおける放電容量を求めた。
Li2Fe0.09Mn0.85Zr0.03SiO4を用いたリチウムイオン電池では、充電条件を電流0.1CA(33mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件を10CA(3300mA/g)、終止電圧1.5Vの定電流放電として、10CAにおける放電容量を求めた。
NaFe0.1Mn0.8Mg0.1PO4を用いたナトリウムイオン電池では、充電条件を電流0.1CA(15.4mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件を10CA(1540mA/g)、終止電圧2.0Vの定電流放電として、10CAにおける放電容量を求めた。
得られた放電容量の結果を表1に示す。
Figure 0007158269000001
上記結果より、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の双方が担持してなる正極活物質である実施例1~5は、優れたレート特性を発揮できることがわかる。

Claims (7)

  1. 下記式(A)、(B)又は(C):
    LiFeaMnbcPO4・・・(A)
    (式(A)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
    LiFeaMnbcSiO4・・・(B)
    (式(B)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
    NaFegMnhiPO4・・・(C)
    (式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
    で表される酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなる二次電池用正極活物質。
  2. セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素の合計担持量が、0.3~20質量%である請求項1に記載の二次電池用正極活物質。
  3. セルロースナノファイバー由来の炭素の担持量(x)とリグニン由来の炭素の担持量(y)の比((x):(y))が、95:5~30:70である請求項1又は2に記載の二次電池用正極活物質。
  4. 下記式(A)、(B)又は(C):
    LiFeaMnbcPO4・・・(A)
    (式(A)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
    LiFeaMnbcSiO4・・・(B)
    (式(B)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
    NaFegMnhiPO4・・・(C)
    (式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
    で表される酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなる二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    リチウム化合物又はナトリウム化合物を含むスラリー水Qに、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して複合体Qを得る工程(I)、
    得られた複合体Q、及び少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Rを水熱反応に付して、複合体Rを得る工程(II)、
    得られた複合体R、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Sを乾燥して複合体Sを得る工程(III)、並びに
    得られた複合体Sを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(IV)
    を備える二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 下記式(A)、(B)又は(C):
    LiFeaMnbcPO4・・・(A)
    (式(A)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
    LiFeaMnbcSiO4・・・(B)
    (式(B)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
    NaFegMnhiPO4・・・(C)
    (式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
    で表される酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなる二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    リチウム化合物又はナトリウム化合物と、セルロースナノファイバーを含むスラリー水Tに、リン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して複合体Tを得る工程(I')、
    得られた複合体T、及び少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Uを水熱反応に付して、複合体Uを得る工程(II')、
    得られた複合体U及びリグニンを含むスラリー水Vを乾燥して複合体Vを得る工程(III')、並びに
    得られた複合体Vを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(IV')
    を備える二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 下記式(A)、(B)又は(C):
    LiFeaMnbcPO4・・・(A)
    (式(A)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
    LiFeaMnbcSiO4・・・(B)
    (式(B)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、及び0≦c≦0.3を満たし、a及びbは同時に0ではなく、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
    NaFegMnhiPO4・・・(C)
    (式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
    で表される酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素及びリグニン由来の炭素が担持してなる二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    上記式(A)、(B)又は(C)で表される酸化物を含むスラリー水Wと、セルロースナノファイバー及びリグニンを含むスラリー水Xを混合して、スラリー水Yを得る工程(I'')、
    得られたスラリー水Yを乾燥して、複合体Yを得る工程(II'')、並びに
    得られた複合体Yを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(III'')
    を備える二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. セルロースナノファイバー及びリグニンとして、リグノセルロースナノファイバーを用いることを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質の製造方法。
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WO2016047491A1 (ja) 2014-09-26 2016-03-31 太平洋セメント株式会社 二次電池用正極活物質及びその製造方法

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