JP7299119B2 - リチウムイオン二次電池用混合型正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極の製造方法 - Google Patents
リチウムイオン二次電池用混合型正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極の製造方法 Download PDFInfo
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Description
そこで、従来より、リチウムイオン二次電池において要求される種々の性能を付与すべく、様々な開発がなされている。
LiNiaCobMncM1 wO2・・・(I)
(式(I)中、M1はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。a、b、c、wは、0.3≦a<1、0<b≦0.7、0<c≦0.7、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(M1の価数)×w=3を満たす数を示す。)
又は、下記式(II):
LiNidCoeAlfM2 xO2・・・(II)
(式(II)中、M2はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。d、e、f、xは、0.4≦d<1、0<e≦0.6、0<f≦0.3、0≦x≦0.3、かつ3d+3e+3f+(M2の価数)×x=3を満たす数を示す。)
で表されるリチウム複合酸化物粒子(a)からなる、リチウム複合酸化物二次粒子(A)の表面のみにおいて、下記式(III)又は式(IV):
LigMnhFeiM3 yPO4・・・(III)
(式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h、i、及びyは、0<g≦1.2、0≦h≦1.2、0≦i≦1.2、0≦y≦0.3、及びh+i≠0を満たし、かつg+(Mnの価数)×h+(Feの価数)×i+(M3の価数)×y=3を満たす数を示す。)
LijFekMnlM4 zSiO4・・・(IV)
(式(IV)中、M4はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。j、k、l、及びzは、0<j≦2.4、0≦k≦1.2、0≦l≦1.2、0≦z≦1.2、及びk+l≠0を満たし、かつj+(Feの価数)×k+(Mnの価数)×l+(M4の価数)×z=4を満たす数を示す。)
で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B)と、リチウム複合酸化物粒子(a)とが複合化してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)に対し、
さらに、上記式(III)又は式(IV)で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B')を質量比((B'):(C))=91:9~50:50で配合してなり、かつ
リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)の平均粒径(RC)とリチウム系ポリアニオン粒子(B')の平均粒径(RB')との比(RC/RB')が0.2~0.98である、リチウムイオン二次電池用混合型正極活物質を提供するものである。
LiNiaCobMncM1 wO2・・・(I)
(式(I)中、M1はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。a、b、c、wは、0.3≦a<1、0<b≦0.7、0<c≦0.7、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(M1の価数)×w=3を満たす数を示す。)
又は、下記式(II):
LiNidCoeAlfM2 xO2・・・(II)
(式(II)中、M2はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。d、e、f、xは、0.4≦d<1、0<e≦0.6、0<f≦0.3、0≦x≦0.3、かつ3d+3e+3f+(M2の価数)×x=3を満たす数を示す。)
で表されるリチウム複合酸化物粒子(a)からなる、リチウム複合酸化物二次粒子(A)の表面のみにおいて、下記式(III)又は式(IV):
LigMnhFeiM3 yPO4・・・(III)
(式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h、i、及びyは、0<g≦1.2、0≦h≦1.2、0≦i≦1.2、0≦y≦0.3、及びh+i≠0を満たし、かつg+(Mnの価数)×h+(Feの価数)×i+(M3の価数)×y=3を満たす数を示す。)
LijFekMnlM4 zSiO4・・・(IV)
(式(IV)中、M4はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。j、k、l、及びzは、0<j≦2.4、0≦k≦1.2、0≦l≦1.2、0≦z≦1.2、及びk+l≠0を満たし、かつj+(Feの価数)×k+(Mnの価数)×l+(M4の価数)×z=4を満たす数を示す。)
で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B)と、リチウム複合酸化物粒子(a)とが複合化してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)に対し、
さらに、上記式(III)又は式(IV)で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B')を質量比((B'):(C))=91:9~50:50で配合し、導電助剤及び結着剤を配合して、正極ペーストを調製する工程を備える、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法であって、
リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)の平均粒径(RC)とリチウム系ポリアニオン粒子(B')の平均粒径(RB')との比(RC/RB')が0.2~0.98である、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法を提供するものである。
本発明のリチウムイオン二次電池用混合型正極活物質(D)は、下記式(I):
LiNiaCobMncM1 wO2・・・(I)
(式(I)中、M1はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。a、b、c、wは、0.3≦a<1、0<b≦0.7、0<c≦0.7、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(M1の価数)×w=3を満たす数を示す。)
又は、下記式(II):
LiNidCoeAlfM2 xO2・・・(II)
(式(II)中、M2はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。d、e、f、xは、0.4≦d<1、0<e≦0.6、0<f≦0.3、0≦x≦0.3、かつ3d+3e+3f+(M2の価数)×x=3を満たす数を示す。)
で表されるリチウム複合酸化物粒子(a)からなる、リチウム複合酸化物二次粒子(A)の表面のみにおいて、下記式(III)又は式(IV):
LigMnhFeiM3 yPO4・・・(III)
(式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h、i、及びyは、0<g≦1.2、0≦h≦1.2、0≦i≦1.2、0≦y≦0.3、及びh+i≠0を満たし、かつg+(Mnの価数)×h+(Feの価数)×i+(M3の価数)×y=3を満たす数を示す。)
LijFekMnlM4 zSiO4・・・(IV)
(式(IV)中、M4はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。j、k、l、及びzは、0<j≦2.4、0≦k≦1.2、0≦l≦1.2、0≦z≦1.2、及びk+l≠0を満たし、かつj+(Feの価数)×k+(Mnの価数)×l+(M4の価数)×z=4を満たす数を示す。)
で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B)と、リチウム複合酸化物粒子(a)とが複合化してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)に対し、
さらに、上記式(III)又は式(IV)で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B')を質量比((B'):(C))=91:9~50:50で配合してなるリチウムイオン二次電池用混合型正極活物質であって、
リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)の平均粒径(RC)とリチウム系ポリアニオン粒子(B')の平均粒径(RB')との比(RC/RB')が0.2~0.98である。
また、上記式(I)中のa、b、c、wは、0.3≦a<1、0<b≦0.7、0<c≦0.7、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(M1の価数)×w=3を満たす数である。
上記式(I)で表されるNCM系複合酸化物としては、具体的には、例えばLiNi0.33Co0.33 Mn0.34O2、LiNi0.8Co0.1Mn 0.1O2、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2、LiNi0.2Co0.4Mn0.4O2、LiNi0.33Co0.31Mn0.33Mg0.03O2、及びLiNi0.33Co0.31Mn0.33Zn0.03O2等が挙げられる。なかでも、放電容量を重視する場合には、LiNi0.8Co0.1Mn 0.1O2、LiNi0.6Co0.2Mn 0.2O2等のNi量の多い組成が好ましく、サイクル特性を重視する場合には、LiNi0.33Co0.33 Mn0.34O2、LiNi0.33Co0.31Mn0.33Mg0.03O2等のNi量の少ない組成が好ましい。
このコア-シェル構造を形成してなるNCM系複合酸化物二次粒子(A)とすることによって、電解液に溶出しやすい上に安全性に悪影響を与える酸素を放出しやすい、或いは固体電解質において固体電解質と反応しやすいNi濃度の高いNCM系複合酸化物粒子をコア部に配置し、電解液に接するシェル部にはNi濃度の低いNCM系複合酸化物粒子を配置することができるので、長期間にわたりサイクル特性の低下の抑制と安全性の確保をより向上させることができる。このとき、コア部は1相であってもよいし、組成の異なる2相以上で構成していてもよい。コア部を2相以上で構成する態様として、同心円状に複数の相が層状となって積層された構造でもよいし、コア部の表面から中心部に向けて遷移的に組成が変化する構造でもよい。
さらに、シェル部は、コア部の外側に形成されてなるものであればよく、コア部同様に1相であってもよいし、組成の異なる2相以上で構成していてもよい。
ここで、本明細書における平均粒径とは、SEM又はTEMの電子顕微鏡を用いた観察における、数十個の粒子の粒径(長軸の長さ)の測定値の平均値を意味する。
また、かかるコア部の表面を被覆するシェル部を構成するNCM系複合酸化物粒子の一次粒子としての平均粒径は、好ましくは50nm~500nmであり、より好ましくは50nm~300nmであって、かかる一次粒子が凝集して形成するシェル部の層厚は、好ましくは0.1μm~5μmであり、より好ましくは0.1μm~2.5μmである。
上記式(II)中のM2は、Mg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。
また、上記式(II)中のd、e、f、xは、0.4≦d<1、0<e≦0.6、0<f≦0.3、0≦x≦0.3、かつ3d+3e+3f+(M2の価数)×x=3を満たす数である。
上記式(II)で表されるNCA系複合酸化物としては、具体的には、例えばLiNi0.33Co0.33Al0.34O2、LiNi0.8Co0.1Al0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、LiNi0.8Co0.15Al0.03Mg0.03O2、LiNi0.8Co0.15Al0.03Zn0.03O2等が挙げられる。なかでもLiNi0.8Co0.15Al0.05O2、LiNi0.8Co0.15Al0.03Mg0.03O2が好ましい。
すなわち、上記式(II)で表されるNCA系複合酸化物の一次粒子(a)の平均粒径は、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは300nm以下であり、上記一次粒子(a)からなるNCA系複合酸化物二次粒子(A)の平均粒径(RA)は、好ましくは1μm~15μmであり、より好ましくは4μm~13μmである。また、上記式(II)で表されるNCA系複合酸化物からなるNCA系複合酸化物二次粒子(A)の内部空隙率は、かかる二次粒子の体積100%中、4体積%~12体積%が好ましく、5体積%~10体積%がより好ましい。
リチウム複合酸化物二次粒子(A)の表面のみにおいて、リチウム複合酸化物粒子(a)と複合化されてなる、リチウム系ポリアニオン粒子(B)は、担持してなる炭素(c)を含み、かつ下記式(III):
LigMnhFeiM3 yPO4・・・(III)
(式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h、i、及びyは、0<g≦1.2、0≦h≦1.2、0≦i≦1.2、0≦y≦0.3、及びh+i≠0を満たし、かつg+(Mnの価数)×h+(Feの価数)×i+(M3の価数)×y=3を満たす数を示す。)
又は、下記式(IV):
LijFekMnlM4 zSiO4・・・(IV)
(式(IV)中、M4はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。j、k、l、及びzは、0<j≦2.4、0≦k≦1.2、0≦l≦1.2、0≦z≦1.2、及びk+l≠0を満たし、かつj+(Feの価数)×k+(Mnの価数)×l+(M4の価数)×z=4を満たす数を示す。)
で表される、少なくともマンガン又は鉄のいずれかを含むリチウム化合物であって、良好なリチウムイオン伝導性をもたらし得る化合物である。
さらに、シェル部は、コア部の外側に形成されてなるものであればよく、コア部同様に1相であってもよいし、組成の異なる2相以上で構成していてもよい。
上記式(III)又は上記式(IV)で表されるリチウム系ポリアニオン粒子(B)の平均一次粒径(二次粒子を構成する一次粒子の平均粒径)は、リチウム複合酸化物二次粒子(A)の表面のみにおいて、リチウム複合酸化物粒子(a)と密に複合化する観点から、好ましくは50nm~500nmであり、より好ましくは50nm~300nmである。
なお、コア-シェル構造を形成してなるリチウム系ポリアニオン粒子(B)の平均粒径(RB)は、好ましくは5μm~30μmであり、より好ましくは7μm~20μmである。
これらセルロースナノファイバーとリグノセルロースナノファイバーは、共に優れた水への分散性を有している。
したがって、リチウム系ポリアニオン粒子(B')は、平均粒径、リチウムイオン伝導度につき、リチウム系ポリアニオン粒子(B)と同じ範囲内の値を有していればよく、同様のコア-シェル構造を呈していてもよい。
かかる質量比((B'):(C))が上記範囲外であると、リチウム複合酸化物二次粒子(A')と電解液との反応の抑制が困難となり、充放電に伴う放電容量の低下が生じて、長期サイクル特性の向上に支障をきたすおそれがある。
具体的には、リチウム複合酸化物二次粒子(A)、及び炭素(c)が担持されてなるリチウム系ポリアニオン粒子(B)を、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して得られるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)に、リチウム系ポリアニオン粒子(B')を混合する工程を備えればよい。
なお、インペラの周速度とは、回転式攪拌翼(インペラ)の最外端部の速度を意味し、下記式(2)により表すことができ、また圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を行う時間は、インペラの周速度が遅いほど長くなるように、インペラの周速度によっても変動し得る。
インペラの周速度(m/s)=
インペラの半径(m)×2×π×回転数(rpm)÷60・・・(2)
上記混合の処理条件としては、処理温度が、好ましくは5℃~80℃、より好ましくは10℃~50℃である。処理雰囲気としては、特に限定されないが、不活性ガス雰囲気下、又は還元ガス雰囲気下が好ましい。
得られた正極ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。次いで、上記の正極を用いてコイン型二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比3:7の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が-50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR-2032)を得た。
上記の方法で作製した正極について、質量と厚みを測定して電極密度(g/cm3)を算出した。結果を表1に示す。
放電容量測定装置(HJ-1001SD8、北斗電工社製)にて気温30℃環境での、電流密度34mA/g、電圧4.25Vの定電流充電と、電流34mA/g、終止電圧3.0Vの定電流放電とし、電流密度34mA/g(0.2CA)における放電容量を求めた。結果を表1に示す。
放電容量測定装置(同上)を用い、電流密度85mA/g、電圧4.25Vの定電流充電と、電流密度85mA/g、終止電圧3.0Vの定電流放電とし、電流密度85mA/g(0.5CA)における放電容量を求めた。さらに、同じ充放電条件の2000サイクル繰り返し試験を行い、下記式(1)により容量保持率(%)を求めた。なお、充放電試験は全て30℃で行った。結果を表1に示す。
容量保持率(%)=(2000サイクル後の放電容量)/
(1サイクル後の放電容量)×100 ・・・(1)
Ni:Co:Mnのモル比が6:2:2となるように、硫酸ニッケル六水和物473g、硫酸コバルト七水和物169g、硫酸マンガン五水和物145g、及び水3Lを混合した後、かかる混合液に25%アンモニア水を、滴下速度300mL/分で滴下して、pHが11の金属複合水酸化物を含むスラリーa1を得た。
次いで、スラリーa1をろ過、乾燥して、金属複合水酸化物の混合物b1を得た後、かかる混合物b1に炭酸リチウム37gをボールミルで混合して粉末混合物c1を得た。得られた粉末混合物c1を、空気雰囲気下で800℃×4時間仮焼成して解砕した後、本焼成として空気雰囲気下で800℃×11時間焼成し、NCM系複合酸化物の二次粒子A1(LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2、平均一次粒径:250nm、平均粒径:11.8μm)を得た。
以後、上記NCM系複合酸化物の二次粒子A1をNCM-A1と称する。
製造例1の粉末混合物C1を、空気雰囲気下で800℃×4時間仮焼成して解砕した後、本焼成として空気雰囲気下で800℃×4時間焼成して、NCM系複合酸化物の二次粒子A2(LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2、平均一次粒径:250nm、平均粒径:4.8μm)を得た。
以後、上記NCM系複合酸化物の二次粒子A2をNCM-A2と称する。
Li:Ni:Co:Alのモル比が1:0.8:0.15:0.05となるように、炭酸リチウム370g、炭酸ニッケル950g、炭酸コバルト150g、炭酸アルミニウム58g、及び水3Lを混合した後、ボールミルで混合して粉末混合物a3を得た。得られた粉末混合物a3を、空気雰囲気下で800℃×5時間仮焼成して解砕した後、本焼成として空気雰囲気下で800℃×24時間焼成し、NCA系複合酸化物の二次粒子A3(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、平均一次粒径:300nm、平均粒径:10.0μm)を得た。
以後、上記NCA系複合酸化物の二次粒子A3をNCA-A3と称する。
LiOH・H2O 1272g、及び水4Lを混合してスラリーx1を得た。次いで、得られたスラリーx1を、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液1153gを35mL/分で滴下し、続いてセルロースナノファイバー(Wma-10002、スギノマシン社製、繊維径4~20nm)5892gを添加して、速度400rpmで12時間撹拌して、Li3PO4を含むスラリーy1を得た。得られたスラリーy1に窒素パージして、スラリーy1の溶存酸素濃度を0.5mg/Lとした後、スラリーy1全量に対し、MnSO4・5H2O 1688g、FeSO4・7H2O 834gを添加してスラリーz1を得た。添加したMnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、70:30であった。
次いで、得られたスラリーz1をオートクレーブに投入し、170℃で1時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は0.8MPaであった。水熱反応後、生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して複合体Cz1を得た。得られた複合体Cz1を1000g分取し、これに水1Lを添加して、スラリーEz1を得た。得られたスラリーEz1を超音波攪拌機(T25、IKA社製)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた後、スプレードライ装置(MDL-050M、藤崎電機株式会社製)を用いてスプレードライ(ノズルエアー流量35L/min、給気温度180℃)に付して造粒体Fz1を得た。得られた造粒体Fz1を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されたリン酸マンガン鉄リチウムの二次粒子B1(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、平均一次粒径:100nm、平均粒径:15.8μm)を得た。
以後、上記リン酸マンガン鉄リチウムの二次粒子B1をLMP-B1と称する。
添加するMnSO4・5H2Oを723g、FeSO4・7H2Oを1946gにして、MnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)を30:70とした以外、製造例4と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウムの二次粒子B2(LiMn0.3Fe0.7PO4、炭素の量=2.0質量%、平均一次粒径:100nm、平均粒径:15.5μm)を得た。
以後、上記リン酸マンガン鉄リチウムの二次粒子B2をLMP-B2と称する。
複合体Cz1を600g分取し、スプレードライの条件を、ノズルエアー流量80L/min、給気温度120℃とした以外、製造例4と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウムの二次粒子B3(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、平均一次粒径:100nm、平均粒径:4.8μm)を得た。
以後、上記リン酸マンガン鉄リチウムの二次粒子B3をLMP-B3と称する。
NCM-A1275g、LMP-B1 225gをメカノフュージョン(ホソカワミクロン社製、AMS-Lab)を用いて20m/s(2600rpm)で10分間の複合化処理を行い、NCMとLMFPからなる複合体C1(平均粒径:14.7μm)を得た。
NCM-A1を350g、LMP-B1を150gに変更した以外、製造例7と同様にして、NCMとLMFPからなる複合体C2(平均粒径:14.2μm)を得た。
NCM-A1を400g、LMP-B1を100gに変更した以外、製造例7と同様にして、NCMとLMFPからなる複合体C3(平均粒径:13.9μm)を得た。
NCM-A1を450g、LMP-B1を50gに変更した以外、製造例7と同様にして、NCMとLMFPからなる複合体C4(平均粒径:13.3μm)を得た。
LMP-B1をLMP-B2に変更した以外、製造例9と同様にして、NCMとLMFPからなる複合体C5(平均粒径:13.7μm)を得た。
NCM-A1をNCM-A2に変更した以外、製造例7と同様にして、NCMとLMFPからなる複合体C6(平均粒径:7.7μm)を得た。
NCM-A1をNCM-A2に変更した以外、製造例9と同様にして、NCMとLMFPからなる複合体C7(平均粒径:6.7μm)を得た。
NCM-A1をNCA-A3に変更した以外、製造例7と同様にして、NCAとLMFPからなる複合体C8(平均粒径:12.9μm)を得た。
NCM-A1をNCA-A3に変更した以外、製造例9と同様にして、NCAとLMFPからなる複合体C9を得た。(平均粒径:11.9μm)
LMP-B1 80g、複合体C1 10gをナウタミキサNX-1(ホソカワミクロン社製)で1min混合し、正極活物質D1を得た。アセチレンブラック100mg、5%ポリフッ化ビニリデン2000mgを50mLスクリュー管瓶に入れ、あわとり錬太郎(登録商標、(株)シンキー製)で2000rpm、10min混錬した。混錬したペーストに、正極活物質D1 1800mgを加え、2000rpm、10min混錬した。活物質を混錬したペーストに、1-メチル-2-ピロリドン適量を加え、2000rpm、5min混錬し、正極ペーストAを得た。
アセチレンブラック100mg、5%ポリフッ化ビニリデン2000mgを50mLスクリュー管瓶に入れ、あわとり錬太郎(登録商標、(株)シンキー製)で2000rpm、10min混錬した。混錬したペーストに、LMP-B1 1600mg、複合体C1 200mg、を加え、2000rpm、10min混錬した。活物質を混錬したペーストに、1-メチル-2-ピロリドン適量を加え、2000rpm、5min混錬し、正極ペーストBを得た。
LMP-B1を1690mg、複合体C1をNCM-A1 110mgにした以外、実施例2と同様にして正極ペーストCを得た。
LMP-B1をLMP-B3に、複合体C1を複合体C6にした以外、実施例2と同様にして正極ペーストDを得た。
上記所定の物性を表1に示すとともに、結果を表2に示す。
LMP-B1を67.5g、複合体C1を複合体C3 22.5gにした以外、実施例1と同様にして正極活物質E、正極ペーストEを得た。
LMP-B1を67.5g、複合体C1を複合体C5 22.5gにした以外、実施例1と同様にして正極活物質F、正極ペーストFを得た。
LMP-B1を1350mg、複合体C1を複合体C3 450mgにした以外、実施例2と同様にして正極ペーストGを得た。
LMP-B1を1350mg、複合体C1を複合体C5 450mgにした以外、実施例2と同様にして正極ペーストHを得た。
LMP-B1を1350mg、複合体C1を複合体C7 450mgにした以外、実施例2と同様にして正極ペーストIを得た。
LMP-B1を60g、複合体C1を複合体C2 30gにした以外、実施例1と同様にして正極活物質J、正極ペーストJを得た。
LMP-B1を1200mg、複合体C1を複合体C2 600mgにした以外、実施例2と同様にして正極ペーストKを得た。
LMP-B1を45g、複合体C1を複合体C4 45gにした以外、実施例1と同様にして正極活物質L、正極ペーストLを得た。
LMP-B1を900mg、複合体C1を複合体C4 900mgにした以外、実施例2と同様にして正極ペーストMを得た。
LMP-B1を45g、複合体C1を45gにした以外、実施例1と同様にして正極活物質N、正極ペーストNを得た。
LMP-B1を900mg、複合体C1を900mgにした以外、実施例2と同様にして正極ペーストOを得た。
LMP-B1を1704mg、複合体C1を96mgにした以外、実施例2と同様にして正極ペーストPを得た。
LMP-B1を225mg、複合体C1を複合体C3 1575mgにした以外、実施例2と同様にして正極ペーストQを得た。
上記所定の物性を表3に示すとともに、結果を表4に示す。
複合体C1を複合体C8にした以外、実施例2と同様にして正極ペーストRを得た。
複合体C1をNCA-C3にした以外、比較例1と同様にして正極ペーストSを得た。
複合体C1を複合体C9にした以外、実施例5と同様にして正極ペーストTを得た。
複合体C1を複合体C8にした以外、比較例3と同様にして正極ペーストUを得た。
複合体C1を複合体C9にした以外、比較例4と同様にして正極ペーストVを得た。
上記所定の物性を表5に示すとともに、結果を表6に示す。
Claims (7)
- 下記式(I):
LiNiaCobMncM1 wO2・・・(I)
(式(I)中、M1はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。a、b、c、wは、0.3≦a<1、0<b≦0.7、0<c≦0.7、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(M1の価数)×w=3を満たす数を示す。)
又は、下記式(II):
LiNidCoeAlfM2 xO2・・・(II)
(式(II)中、M2はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。d、e、f、xは、0.4≦d<1、0<e≦0.6、0<f≦0.3、0≦x≦0.3、かつ3d+3e+3f+(M2の価数)×x=3を満たす数を示す。)
で表されるリチウム複合酸化物粒子(a)からなる、リチウム複合酸化物二次粒子(A)の表面のみにおいて、下記式(III)又は式(IV):
LigMnhFeiM3 yPO4・・・(III)
(式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h、i、及びyは、0<g≦1.2、0≦h≦1.2、0≦i≦1.2、0≦y≦0.3、及びh+i≠0を満たし、かつg+(Mnの価数)×h+(Feの価数)×i+(M3の価数)×y=3を満たす数を示す。)
LijFekMnlM4 zSiO4・・・(IV)
(式(IV)中、M4はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。j、k、l、及びzは、0<j≦2.4、0≦k≦1.2、0≦l≦1.2、0≦z≦1.2、及びk+l≠0を満たし、かつj+(Feの価数)×k+(Mnの価数)×l+(M4の価数)×z=4を満たす数を示す。)
で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B)と、リチウム複合酸化物粒子(a)とが複合化してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)に対し、
さらに、上記式(III)又は式(IV)で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B')を質量比((B'):(C))=91:9~50:50で配合してなり、かつ
リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)の平均粒径(RC)とリチウム系ポリアニオン粒子(B')の平均粒径(RB')との比(RC/RB')が0.2~0.98である、リチウムイオン二次電池用混合型正極活物質。 - リチウム系ポリアニオン粒子(B)の平均粒径が、5μm~25μmである、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用混合型正極活物質。
- リチウム複合酸化物二次粒子(A)の含有量と、リチウム系ポリアニオン粒子(B)及びリチウム系ポリアニオン粒子(B')の合計量との質量比((A):((B)+(B')))が、47.5:52.5~5:95である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用混合型正極活物質。
- リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)において、炭素(c)の担持量が、リチウム系ポリアニオン粒子(B)100質量%中に0.1質量%以上20質量%未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用混合型正極活物質。
- リチウム系ポリアニオン粒子(B)及びリチウム系ポリアニオン粒子(B')に担持してなる炭素(c)が、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバー由来の炭素(c1)又は水溶性炭素材料由来の炭素(c2)である、請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用混合型正極活物質。
- リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)において、
炭素(c)の担持量が、リチウム系ポリアニオン粒子(B)100質量%中に0.1質量%以上20質量%未満であり、かつリチウム複合酸化物二次粒子(A)の含有量とリチウム系ポリアニオン粒子(B)の含有量との質量比((A):(B))が、95:5~55:45である、請求項1~5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用混合型正極活物質。 - 下記式(I):
LiNiaCobMncM1 wO2・・・(I)
(式(I)中、M1はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。a、b、c、wは、0.3≦a<1、0<b≦0.7、0<c≦0.7、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(M1の価数)×w=3を満たす数を示す。)
又は、下記式(II):
LiNidCoeAlfM2 xO2・・・(II)
(式(II)中、M2はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。d、e、f、xは、0.4≦d<1、0<e≦0.6、0<f≦0.3、0≦x≦0.3、かつ3d+3e+3f+(M2の価数)×x=3を満たす数を示す。)
で表されるリチウム複合酸化物粒子(a)からなる、リチウム複合酸化物二次粒子(A)の表面のみにおいて、下記式(III)又は式(IV):
LigMnhFeiM3 yPO4・・・(III)
(式(III)中、M3はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h、i、及びyは、0<g≦1.2、0≦h≦1.2、0≦i≦1.2、0≦y≦0.3、及びh+i≠0を満たし、かつg+(Mnの価数)×h+(Feの価数)×i+(M3の価数)×y=3を満たす数を示す。)
LijFekMnlM4 zSiO4・・・(IV)
(式(IV)中、M4はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。j、k、l、及びzは、0<j≦2.4、0≦k≦1.2、0≦l≦1.2、0≦z≦1.2、及びk+l≠0を満たし、かつj+(Feの価数)×k+(Mnの価数)×l+(M4の価数)×z=4を満たす数を示す。)
で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B)と、リチウム複合酸化物粒子(a)とが複合化してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)に対し、
さらに、上記式(III)又は式(IV)で表され、かつ担持してなる炭素(c)を含むリチウム系ポリアニオン粒子(B')を質量比((B'):(C))=91:9~50:50で配合し、導電助剤及び結着剤を配合して、正極ペーストを調製する工程を備える、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法であって、
リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(C)の平均粒径(RC)とリチウム系ポリアニオン粒子(B')の平均粒径(RB')との比(RC/RB')が0.2~0.98である、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
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