JP7144239B2 - リチウムイオン二次電池用混合正極活物質及びその製造方法 - Google Patents
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Description
XA=TA×|DA50-DB50+2|・・・(1)
(式(1)中、TAは、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)のタップ密度(g/cm3)を示し、DA50は、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示し、DB50は、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示す。)
により求められるXAが0.3g/m2~50g/m2である、リチウムイオン二次電池用混合正極活物質を提供するものである。
(I)層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)について、粒度分布における累積50%での平均粒子径DB50を測定する工程
(II)少なくとも一種のリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)について、タップ密度TA t、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)の粒度分布における累積50%での平均粒子径DA t50を測定する工程
(III)工程(I)で得られたDB50を下記式(1):
XA=TA×|DA50-DB50+2|・・・(1)
(式(1)中、TAは、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)のタップ密度(g/cm3)を示し、DA50は、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示し、DB50は、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示す。XAは、工程(IV)で混合するリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)を選択するための指標となる値(g/m2)を示す。)
に導入する工程
(IV)リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)のなかから、式(1)により求められるXAを0.3g/m2~50g/m2とするための、タップ密度TA及びDA50を有するリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)を選択する工程
(V)選択したリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)と層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)とを混合する工程
を備えるリチウムイオン二次電池用混合正極活物質の製造方法を提供するものである。
本発明のリチウムイオン二次電池用混合正極活物質(以下、「混合正極活物質(C)」とも称する)は、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)、及び層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)を含有し、かつ下記式(1):
XA=TA×|DA50-DB50+2|・・・(1)
(式(1)中、TAは、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)のタップ密度(g/cm3)を示し、DA50は、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示し、DB50は、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示す。)
により求められるXAが0.3g/m2~50g/m2である。
LiaMnbFecM1 dPO4 ・・・(I)
(式(I)中、M1はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、c、及びdは、0<a≦1.2、0.3≦b≦1、0≦c≦0.7、及び0≦d≦0.3を満たし、かつa+(Mnの価数)×b+(Feの価数)×c+(M1の価数)×d=3を満たす数を示す。)
又は下記式(II):
LieMnfFegM2 hSiO4 ・・・(II)
(式(II)中、M2はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。e、f、g、及びhは、0<e≦2.4、0≦f≦1.2、0≦g≦1.2、0≦h≦1.2、及びf+g≠0を満たし、かつe+(Mnの価数)×f+(Feの価数)×g+(M2の価数)×h=4を満たす数を示す。)
で表される粒子である。上記式(I)で表される粒子は、いわゆるリン酸リチウム系ポリアニオン粒子であり、上記式(II)で表される粒子は、いわゆるケイ酸リチウム系ポリアニオン粒子である。
炭素(D)となる炭素源としては、セルロースナノファイバー(d1)、水溶性炭素材料(d2)及び水不溶性炭素粉末(d3)から選択される1種以上が挙げられる。
なお、水不溶性炭素粉末(d3)の平均粒子径は、好ましくは0.5μm~20μmであり、より好ましくは1.0μm~15μmである。
LiNiiCojMnkM3 lO2・・・(III)
(式(III)中、M3はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Al、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。i、j、k、lは、0.3≦i<1、0<j≦0.7、0<k≦0.7、0≦l≦0.3、かつ3i+3j+3k+(M3の価数)×l=3を満たす数を示す。)
又は下記式(IV):
LiNimConAloM4 pO2 ・・・(IV)
(式(IV)中、M4はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。m、n、o、pは、0.4≦m<1、0<n≦0.6、0<o≦0.3、0≦p≦0.3、かつ3m+3n+3o+(M4の価数)×p=3を満たす数を示す。)
で表される粒子である。
XA=TA×|DA50-DB50+2|・・・(1)
TA、DA50及びDB50を上記式(1)に導入して求められるXAが上記範囲内であることにより、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)からの遷移金属溶出を充分に抑制できるとともに、充放電サイクルが増加しても正極活物質層の充填構造が乱れるのを防止することができる。したがって、例えば、混合正極活物質(C)の一材料として、用いる層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)を決定した後、かかる層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)のDB50を元に、上記式(1)により求められるXAが上記範囲内になるよう、複数種存在し得るリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)のなかから、TA及びDA50を満たすリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)を選択して用いることができる。
上記式(1)により求められるXAは、0.3g/m2~50g/m2であって、好ましくは0.35(g/m2)~25(g/m2)であり、より好ましくは0.4(g/m2)~20(g/m2)である。
これにより、これら炭素源が炭化されて炭素(D)となり、上記リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の表面に堅固に担持されて存在することとなる。
これにより、水不溶性炭素粉末(d3)が炭素(D)として、上記リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の表面に堅固に担持されて存在することとなる。
かかる質量比(A:B)が上記下限値未満であると、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の含有量が不十分となるため、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)からの遷移金属の溶出を有効に抑制できないおそれがある。また、かかる質量比(A:B)が上記上限値を超えると、放電容量に優れる層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の含有量が不十分となるため、得られるリチウムイオン二次電池の放電容量が減じられてしまうおそれがある。
具体的には、例えば、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)と層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)を含有する混合正極活物質(C)、カーボンブラック等の導電助剤、及びポリフッ化ビニリデン等の結着材(バインダー)に、N-メチル-2-ピロリドン等の溶媒を加え、充分に混練して正極スラリーを得ればよい。その後、アルミニウム箔等の集電体上に正極スラリーを塗布し、次いでローラープレス等による圧密して乾燥することにより、リチウムイオン二次電池の正極を得ることができる。
(I)層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)について、粒度分布における累積50%での平均粒子径DB50を測定する工程
(II)少なくとも一種のリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)について、タップ密度TA t、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)の粒度分布における累積50%での平均粒子径DA t50を測定する工程
(III)工程(I)で得られたDB50を下記式(1):
XA=TA×|DA50-DB50+2|・・・(1)
(式(1)中、TAは、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)のタップ密度(g/cm3)を示し、DA50は、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示し、DB50は、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示す。XAは、工程(IV)で混合するリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)を選択するための指標となる値(g/m2)を示す。)
に導入する工程
(IV)リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)のなかから、式(1)により求められるXAを0.3g/m2~50g/m2とするための、タップ密度TA及びDA50を有するリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)を選択する工程
(V)選択したリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)と層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)とを混合する工程
を備える製造方法により、得ることができる。
なお、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)についてのDA t50及びTA tは、各々リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)についてのDA50及びTAと同義であり、上述した測定方法と同じ測定方法により得られる値である。
XA=TA×|DA50-DB50+2|・・・(1)
(式(1)中、TAは、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)のタップ密度(g/cm3)を示し、DA50は、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示し、DB50は、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示す。XAは、工程(IV)で混合するリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)を選択するための指標となる値(g/m2)を示す。)
に導入する工程である。すなわち、かかる工程(III)では、工程(I)において、測定した層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)のDB50を基準とすべく、上記式(1)にDB50の値を具体的に導入することにより、次工程においてXAの値を指標としながら、適切なリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)を選択することが可能となる。
なお、各DA50及びDB50は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置 MT3300EXII(マイクロトラック・ベル(株)製)を用いて測定した値であり、BET比表面積は、DesorbIII((株)島津製作所製)を用いて測定した値である。
Ni:Co:Mnのモル比が1:1:1となるように、硫酸ニッケル六水和物 263g、硫酸コバルト七水和物 281g、硫酸マンガン五水和物 241g、及び水 3Lを混合した後、かかる混合液に25%アンモニア水を、滴下速度300ml/分で滴下して、pHが11の金属複合水酸化物を含むスラリーa1を得た。
次いで、スラリーa1をろ過、乾燥して、金属複合水酸化物の混合物b1を得た後、かかる混合物b1に炭酸リチウム37gをボールミルで混合して粉末混合物c1を得た。
得られた粉末混合物c1を、空気雰囲気下で800℃×4時間仮焼成して解砕した後、本焼成として空気雰囲気下で800℃×12時間焼成し、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(NMC-Ba)(LiNi0.33Co0.33Mn0.34O2、D50:12.8μm)を得た。
粉末混合物c1の仮焼成を空気雰囲気下で800℃×10時間に、本焼成を空気雰囲気下で800℃×5時間に変更した以外、製造例1と同様にして、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(NMC-Bb)(LiNi0.33Co0.33Mn0.34O2、D50:5.0μm)を得た。
LiOH・H2O 1272g、及び水4Lを混合してスラリーa3を得た。次いで、得られたスラリーa3を、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液1153gを35mL/分で滴下し、続いてセルロースナノファイバー(Wma-10002、(株)スギノマシン製、繊維径4nm~20nm)5892gを添加して、速度400rpmで12時間撹拌して、Li3PO4を含むスラリーb3を得た。
得られたスラリーb3に窒素パージして、スラリーb3の溶存酸素濃度を0.5mg/Lとした後、スラリーb3全量に対し、MnSO4・5H2O 1688g、FeSO4・7H2O 834gを添加してスラリーc3を得た。添加したMnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、70:30であった。
次いで、得られたスラリーc3をオートクレーブに投入し、170℃で1時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は0.8MPaであった。水熱反応後、生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して複合体d3を得た。
得られた複合体d3を1000g分取し、これに水1Lを添加して、スラリーe3を得た。得られたスラリーe3を超音波攪拌機(T25、IKA(株)製)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた後、スプレードライ装置(MDL-050M、藤崎電機(株)製)を用いて、噴霧温度150℃でスプレードライに付して造粒体f3を得た。
得られた造粒体f3を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Aa)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:1.04g/cm3、D50:15.8μm、粒度分布の標準偏差:9.8μm、BET比表面積:18.8m2/g)を得た。
製造例3において得られたスラリーc3をオートクレーブに投入し、140℃で1時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は0.4MPaであった。水熱反応後、生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して複合体d4を得た。
得られた複合体d4を1000g分取し、これに水1Lを添加して、スラリーe4を得た。得られたスラリーe4を超音波攪拌機(同上)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた後、スプレードライ装置(同上)を用いて、噴霧温度200℃でスプレードライに付して造粒体f4を得た。
得られた造粒体f4を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Ab)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:1.14g/cm3、D50:10.0μm、粒度分布の標準偏差:6.6μm、BET比表面積:22.2m2/g)を得た。
スラリーa3に添加するセルロースナノファイバー(同上)の添加量を7660gとした以外、製造例3と同様にして、スラリーb3の代わりにスラリーb5を得た後、スラリーb3と同様の処理を施して複合体d5を得た。得られた複合体d5を1000g分取し、これに水1.5Lを添加して、スラリーe5を得た。得られたスラリーe5を超音波攪拌機(同上)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた後、スプレードライ装置(同上)を用いて、噴霧温度170℃でスプレードライに付して造粒体f5を得た。
得られた造粒体f5を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.6質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Ac)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.6質量%、タップ密度:1.04g/cm3、D50:7.14μm、粒度分布の標準偏差:6.6μm、BET比表面積:24.8m2/g)を得た。
製造例3において得られた複合体d3を1000g分取し、これに水2Lを添加して、スラリーe6を得た。得られたスラリーe6を超音波攪拌機(同上)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた後、スプレードライ装置(同上)を用いて、噴霧温度150℃でスプレードライに付して造粒体f6を得た。
得られた造粒体f6を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Ad)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:0.98g/cm3、D50:8.31μm、粒度分布の標準偏差:7.2μm、BET比表面積:19.9m2/g)を得た。
製造例3において得られた複合体d3を200g分取し、メカノフュージョン(AMS-Lab、ホソカワミクロン社製)を用いて3900rpm(30m/s)で30分間造粒処理して造粒体f7を得た。
得られた造粒体f7を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Ae)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:1.41g/cm3、D50:16.1μm、粒度分布の標準偏差:6.6μm、BET比表面積:20.2m2/g)を得た。
製造例3において得られた複合体d3を200g分取し、メカノフュージョン(同上)を用いて2600rpm(20m/s)で30分間造粒処理して造粒体f8を得た。
得られた造粒体f8を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Af)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:1.42g/cm3、D50:10.5μm、粒度分布の標準偏差:9.8μm、BET比表面積:19.8m2/g)を得た。
添加するMnSO4・5H2O 1688gを2411gに、FeSO4・7H2O 834gを0にして、添加したMnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)を100:0とした以外、製造例3と同様にして、スラリーc9を得た。得られたスラリーc9をオートクレーブに投入し、140℃で1時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は0.4MPaであった。水熱反応後、生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して複合体d9を得た。
得られた複合体d9を1000g分取し、これに水1Lを添加して、スラリーe9を得た。得られたスラリーe9を超音波攪拌機(同上)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた後、スプレードライ装置(同上)を用いて、噴霧温度180℃でスプレードライに付して造粒体f9を得た。
得られた造粒体f9を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Ag)(LiMnPO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:1.02g/cm3、D50:16.0μm、粒度分布の標準偏差:9.8μm、BET比表面積:21.0m2/g)を得た。
添加するMnSO4・5H2O 1688gを723gに、FeSO4・7H2O 834gを1946gにして、添加したMnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)を30:70とした以外、製造例3と同様にして、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Ah)(LiMn0.3Fe0.7PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:1.10g/cm3、D50:15.5μm、粒度分布の標準偏差:9.8μm、BET比表面積:17.6m2/g)を得た。
製造例3において得られた複合体d3を1000g分取し、これに水1Lを添加して、スラリーe11を得た。得られたスラリーe11を超音波攪拌機(同上)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた後、スプレードライ装置(同上)を用いて、噴霧温度180℃でスプレードライに付して造粒体f11を得た。
得られた造粒体f11を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Ai)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:0.95g/cm3、D50:10.6μm、粒度分布の標準偏差:6.6μm、BET比表面積:23.6m2/g)を得た。
製造例3において得られた複合体d3を200g分取し、メカノフュージョン(同上)を用いて3250rpm(25m/s)で30分間造粒処理して造粒体f12を得た。
得られた造粒体f12を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Aj)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:1.42g/cm3、D50:10.9μm、粒度分布の標準偏差:7.2μm、BET比表面積:20.0m2/g)を得た。
製造例3において得られたスラリーc3をオートクレーブに投入し、200℃で1時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は1.6MPaであった。水熱反応後、生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して複合体d13を得た。得られた複合体d13を200g分取し、メカノフュージョン(同上)を用いて3900rpm(30m/s)で4時間造粒処理して造粒体f13を得た。
得られた造粒体f13を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Ak)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:1.80g/cm3、D50:29.8μm、粒度分布の標準偏差:6.6μm、BET比表面積:17.7m2/g)を得た。
スプレードライ装置(同上)の噴霧温度を240℃に変更した以外、製造例3と同様にして、2.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMP-Al)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=2.0質量%、タップ密度:1.04g/cm3、D50:3.0μm、粒度分布の標準偏差:9.8μm、BET比表面積:18.8m2/g)を得た。
LiOH・H2O 428g、Na4SiO4・nH2O 1397g、セルロースナノファイバー(同上)5892g及び水3.75Lを混合してスラリーa15を得た。次いで、得られたスラリーa15に、MnSO4・5H2O 1655g及びZr(SO4)2・4H2O 53gを添加してスラリーb15を得た。添加したMnSO4とZr(SO4)2のモル比(マンガン化合物:ジルコニウム化合物)は、97:3であった。
次いで、得られたスラリーb15をオートクレーブに投入し、170℃で3時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は0.4MPaであった。水熱反応後、生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して複合体c15を得た。
得られた複合体c15を500g分取し、これに水500mLを添加して、スラリーd13を得た。得られたスラリーd13を超音波攪拌機(同上)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた後、スプレードライ装置(同上)を用いて、噴霧温度150℃でスプレードライに付して造粒体e15を得た。
得られた造粒体e15を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、650℃で1時間焼成して、4.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LMS-Aa)(Li2Mn0.97Zr0.03SiO4、炭素の量=4.0質量%、タップ密度:0.97g/cm3、D50:8.9μm、粒度分布の標準偏差:7.2μm、BET比表面積:28.3m2/g)を得た。
添加するMnSO4・5H2O 1655gをFeSO4・7H2O 1358gとした以外、製造例15と同様にして、4.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)(LFS-Aa)(Li2Fe0.97Zr0.03SiO4、炭素の量=4.0質量%、タップ密度:1.03g/cm3、D50:8.5μm、粒度分布の標準偏差:7.2μm、BET比表面積:26.1m2/g)を得た。
また、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)及び層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の所定の物性を用いて上記式(1)により求めたXA も表1に示す。
表1に示す各混合正極活物質の構成にしたがって、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)及び層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)を用いつつ、正極スラリーを調製した。
具体的には、混合正極活物質(リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)と層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の混合物)(18g):アセチレンブラック(2g):ポリフッ化ビニリデン(2g)=90:5:5(質量比)の配合割合となるよう正極スラリーを調製した。より具体的には、自転・公転式ミキサー(ARE-310、(株)シンキー製)を用い、先ずアセチレンブラックとポリフッ化ビニリデンを回転数2000rpmで10分間混練した後、混合正極活物質を構成する層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)を添加して回転数2000rpmで5分間混練し、その後混合正極活物質を構成する層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)を添加して、さらに回転数2000rpmで5分間混練した。その後、これにN-メチル-2-ピロリドンを適量加えて、回転数2000rpmで5分間混練して正極スラリーを得た。
得られた正極について、その断面のSEM写真(後方散乱電子像。使用装置:JSM-7001F、日本電子(株)製)を画像解析して、粒子間空隙の量、平均空隙径(円面積相当径)、当該平均空隙径の標準偏差、及び粒子間空隙の分布状態を評価した。このSEM写真を用いた画像解析では、任意に選択した集電体周辺の50μm×50μmの範囲を対象にした。SEM観察用の正極断面試料は、切断、粗研磨後の正極断面をダイヤモンドペーストで研磨した後、Arイオンビームを用いてクロスセクションポリッシャを行うことにより作製した。
画像解析結果を表2に示す。
なお、表2に示す粒子間空隙の分布状態は、SEM写真を目視により評価した結果である。具体的には、粒子間空隙の分布をSEM写真全体で観察し、空隙が均一に分散していると判断した場合を「○」、集電体近傍に大径の空隙が偏在している等、空隙が均一に分散していないと判断した場合を「×」と評価した。
上記正極を用いてコイン型二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔(リチウムイオン二次電池の場合)を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比3:7の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が-50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR-2032)を得た。
その後、かかる二次電池を解体し、取り出した正極を炭酸ジメチルで洗浄後、電解液に浸した。このときの電解液は、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。正極を浸した電解液を密閉容器に入れ、70℃で1週間静置した。
静置後、正極を取り出した電解液を0.45μmのディスミックフィルタで濾過し、硝酸により酸分解した。酸分解した電解液に含まれる層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)由来のNi、Co、Mnを、ICP発光分光法(ULTIMA2、(株)堀場製作所製)を用いて定量した。
結果を表3に示す。
得られた二次電池を用い、充放電試験を行った。具体的には、電流密度85mA/g、電圧4.25Vの定電流充電後に、電流密度85mA/g、終止電圧3.0Vの定電流放電を行い、放電容量測定装置(HJ-1001SD8、北斗電工(株)製)を用い、気温30℃環境での、0.5C(85mAh/g)における放電容量を測定した。また、上記充放電サイクルを1000サイクル繰返し、下記式(X)により容量保持率(%)を求めた。
結果を表3に示す。
容量保持率(%)=(1000サイクル後の放電容量)/
(1サイクル後の放電容量)×100 ・・・(X)
Claims (8)
- リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)、及び層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)を含有し、かつ下記式(1):
XA=TA×|DA50-DB50+2|・・・(1)
(式(1)中、TAは、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)のタップ密度(g/cm3)を示し、DA50は、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示し、DB50は、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示す。)
により求められるXAが0.3g/cm3×μm~50g/cm3×μmである、リチウムイオン二次電池用混合正極活物質。 - 式(1)中のDA50が、3μm~30μmである、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用混合正極活物質。
- リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の含有量と層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の含有量との質量比(A:B)が、0.5:99.5~90:10である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用混合正極活物質。
- リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)が、表面に炭素が担持されてなる粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用混合正極活物質。
- リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)が、下記式(I):
LiaMnbFecM1 dPO4 ・・・(I)
(式(I)中、M1はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、c、及びdは、0<a≦1.2、0.3≦b≦1、0≦c≦0.7、及び0≦d≦0.3を満たし、かつa+(Mnの価数)×b+(Feの価数)×c+(M1の価数)×d=3を満たす数を示す。)
又は下記式(II):
LieMnfFegM2 hSiO4 ・・・(II)
(式(II)中、M2はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。e、f、g、及びhは、0<e≦2.4、0≦f≦1.2、0≦g≦1.2、0≦h≦1.2、及びf+g≠0を満たし、かつe+(Mnの価数)×f+(Feの価数)×g+(M2の価数)×h=4を満たす数を示す。)
で表される粒子である、請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用混合正極活物質。 - 層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)が、下記式(III):
LiNiiCojMnkM3 lO2・・・(III)
(式(III)中、M3はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Al、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。i、j、k、lは、0.3≦i<1、0<j≦0.7、0<k≦0.7、0≦l≦0.3、かつ3i+3j+3k+(M3の価数)×l=3を満たす数を示す。)
又は下記式(IV):
LiNimConAloM4 pO2 ・・・(IV)
(式(IV)中、M4はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。m、n、o、pは、0.4≦m<1、0<n≦0.6、0<o≦0.3、0≦p≦0.3、かつ3m+3n+3o+(M4の価数)×p=3を満たす数を示す。)
で表される粒子である、請求項1~5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用混合正極活物質。 - 次の工程(I)~(V):
(I)層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)について、粒度分布における累積50%での平均粒子径DB50を測定する工程
(II)少なくとも一種のリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)について、タップ密度TA t、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)の粒度分布における累積50%での平均粒子径DA t50を測定する工程
(III)工程(I)で得られたDB50を下記式(1):
XA=TA×|DA50-DB50+2|・・・(1)
(式(1)中、TAは、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)のタップ密度(g/cm3)を示し、DA50は、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示し、DB50は、層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(μm)を示す。XAは、工程(IV)で混合するリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)を選択するための指標となる値(g/cm3×μm)を示す。)
に導入する工程
(IV)リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(At)のなかから、式(1)により求められるXAを0.3g/cm3×μm~50g/cm3×μmとするための、タップ密度TA及びDA50を有するリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)を選択する工程
(V)選択したリチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)と層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)とを混合する工程
を備えるリチウムイオン二次電池用混合正極活物質の製造方法。 - 工程(V)での混合において、リチウム系オリビン型複合酸化物二次粒子(A)と層状型リチウム複合酸化物二次粒子(B)との質量比(A:B)が、0.5:99.5~90:10である請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用混合正極活物質の製造方法。
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