JP2023009361A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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愉子 加藤
Satoko Kato
弘樹 山下
Hiroki Yamashita
剛章 大神
Takeaki Ogami
孝 吉田
Takashi Yoshida
信秋 浜中
Nobuaki Hamanaka
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Abstract

【課題】レート特性とサイクル特性とをともに充分に高めることのできるリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】正極と、負極と、電解質とを少なくとも含むリチウムイオン二次電池であって、前記正極は、集電体と、前記集電体上に形成された正極活物質層とを少なくとも含み、前記正極活物質層に含まれる正極活物質は、下記式(a)で表される粒子(A)と、下記式(b)で表される粒子(B)とからなり、前記粒子(A)が、粒子(A)と粒子(B)との総重量100質量部中に60質量部~95質量部含まれ、前記粒子(B)が、特定の条件下で測定される水分量を特定の比とする、リチウムイオン二次電池。LiNiaCobMncM1wO2・・・(a)LifMngFehM2xPO4・・・(b)【選択図】なし

Description

本発明は、レート特性及びサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池に関する。
層状型リチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(NCM)等の層状型リチウム複合酸化物は、リチウム原子層と遷移金属原子層とが、酸素原子層を介して交互に積み重なった層状結晶構造となっている。かかる層状型リチウム複合酸化物は、高出力及び高容量のリチウムイオン二次電池を構成する正極活物質として使用されている。
こうした層状型リチウム複合酸化物を正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池では、リチウムイオンが層状型リチウム複合酸化物に脱離・挿入されることによって充電・放電が行われるが、充放電サイクルを重ねるにつれて容量低下が生じ、特に長期間使用すると、電池の容量低下が著しくなるおそれがある。
このような状況下、有用性の高い層状型リチウム複合酸化物を用いて高性能なリチウムイオン二次電池を実現するべく、従来種々の開発がなされている。例えば、特許文献1には、コバルト原子の数を規定したリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物と、マンガン原子の数を規定したリン酸マンガン鉄リチウムとを含む二次電池用正極を備えたリチウム二次電池が開示されており、正極の初期クーロン効率の向上を図ることによって、エネルギー密度に優れたリチウム二次電池の実現を試みている。
また特許文献2には、正極が、特定の式で表される特定量のオリビン化合物と特定の式で表されるリチウムニッケル酸化物との正極活物質を含むリチウム二次電池が開示され、充放電サイクル効率等の向上を図っている。さらに、特許文献3には、層状型リチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(NCM)とオリビン型構造を有するリチウム複合酸化物(LMPO)を正極活物質として含むリチウムイオン二次電池が開示されており、リチウムイオン二次電池の安全性を担保しつつ、入力特性を高める試みがなされている。
特開2011-159388号公報 国際公開第2012/147929号 特開2016-076317号公報
しかしながら、いずれの文献に記載の技術であっても、レート特性とサイクル特性との双方に優れるリチウムイオン二次電池を実現するにあたり、正極を形成する正極活物質の組成や吸水特性の検討が未だ不充分であり、改善の余地がある。
したがって、本発明の課題は、レート特性とサイクル特性とをともに充分に高めることのできるリチウムイオン二次電池を提供することにある。
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定量のLi-Ni-Co-Mn酸化物粒子(いわゆるNCM粒子)と、その残部をマンガン(Mn)及び鉄(Fe)の双方を含むリン酸マンガン鉄リチウム系粒子(いわゆるLMFP粒子)が占める正極活物質により形成されてなる正極を備え、かかるLMFP粒子が特異な吸水特性を有する粒子であることにより、高いレート特性と優れたサイクル特性とを両立することのできるリチウムイオン二次電池が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、正極と、負極と、電解質とを少なくとも含むリチウムイオン二次電池であって、
前記正極は、集電体と、前記集電体上に形成された正極活物質層とを少なくとも含み、 前記正極活物質層に含まれる正極活物質は、下記式(a)で表される粒子(A)と、下記式(b)で表される粒子(B)とからなり、
前記粒子(A)が、粒子(A)と粒子(B)との総重量100質量部中に60質量部~95質量部含まれ、
前記粒子(B)が、大気圧条件下300℃で24時間乾燥した工程に引き続き、温度20℃相対湿度50%の環境にx時間静置した後から、カールフィッシャー水分計を用いた測定により250℃に昇温したときまでに検出される水分量yの測定において、xを1としたときの水分量yとxを24としたときの水分量yとの比(y/y)を0.3以下とする、リチウムイオン二次電池。
LiNiCoMn ・・・(a)
(式(a)中、MはMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Al、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。a、b、c、wは、0.5≦a<1、0<b<0.5、0<c<0.5、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(Mの価数)×w=3を満たす数を示す。)
LiMnFe PO4・・・(b)
(式(b)中、MはMg、Al、Ti、Cu、Zn、Nb、Co、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd及びGdから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。f、g、h及びxは、0<f≦1.2、0.08≦g<0.6、0.5<h≦1.1、0≦x≦0.3、及び1/9≦g/h<1を満たし、かつf+(Mnの価数)×g+(Feの価数)×h+(Mの価数)×x=3を満たす数を示す。)を提供するものである。
本発明によれば、優れたレート特性を発現するとともに、サイクル特性にも優れる有用性の高いリチウムイオン二次電池を実現することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解質とを少なくとも含むリチウムイオン二次電池であって、
前記正極は、集電体と、前記集電体上に形成された正極活物質層とを少なくとも含み、
前記正極活物質層に含まれる正極活物質は、下記式(a)で表される粒子(A)と、下記式(b)で表される粒子(B)とからなり、
前記粒子(A)が、粒子(A)と粒子(B)との総重量100質量部中に60質量部~95質量部含まれ、
前記粒子(B)が、大気圧条件下300℃で24時間乾燥した工程に引き続き、温度20℃相対湿度50%の環境にx時間静置した後から、カールフィッシャー水分計を用いた測定により250℃に昇温したときまでに検出される水分量yの測定において、xを1としたときの水分量yとxを24としたときの水分量yとの比(y/y)を0.3以下とする。
LiNiCoMn ・・・(a)
(式(a)中、MはMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Al、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。a、b、c、wは、0.5≦a<1、0<b<0.5、0<c<0.5、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(Mの価数)×w=3を満たす数を示す。)
LiMnFe PO4・・・(b)
(式(b)中、MはMg、Al、Ti、Cu、Zn、Nb、Co、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd及びGdから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。f、g、h及びxは、0<f≦1.2、0.08≦g<0.6、0.5<h≦1.1、0≦x≦0.3、及び1/9≦g/h<1を満たし、かつf+(Mnの価数)×g+(Feの価数)×h+(Mの価数)×x=3を満たす数を示す。)
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解質とを少なくとも含むリチウムイオン二次電池であって、前記正極は、集電体と、前記集電体上に形成された正極活物質層とを少なくとも含み、前記正極活物質層に含まれる正極活物質は、Niリッチ(Ni高含有)のNCM粒子である上記粒子(A)を60質量部~95質量部含有し、その粒子(A)の残部である5質量部~40質量部をFeリッチ(Fe高含有)のLMFP粒子である上記粒子(B)が占める正極活物質によって形成された正極を備えており、正極活物質に含有される粒子(B)は、特定の比(y/y)の値を示すように、20℃から250℃の温度変遷において特異な吸水特性を有する粒子である。
このように、各々特定量の上記粒子(A)と特異な吸水特性を有する粒子(B)との2種の粒子からなる正極活物質によって形成される正極を採用することにより、粒子(A)を含有しつつも、共存する粒子(B)によって、正極形成時や電池製造時等における粒子(A)への水分移動を効果的に抑制することができるものと考えられる。そして、粒子(A)本来の優れた電子伝導性を有効に発現させながら、粒子(B)によっても安定性を一層向上させて、レート特性及びサイクル特性の双方を有効に向上させることが可能になると考えられる。
本発明のリチウムイオン二次電池が備える正極を形成するための正極活物質は、下記式(a)で表される粒子(A)を粒子(A)と粒子(B)との総重量100質量部中に60質量部~95質量部含有する。
LiNiCoMn ・・・(a)
(式(a)中、MはMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Al、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。a、b、c、wは、0.5≦a<1、0<b<0.5、0<c<0.5、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(Mの価数)×w=3を満たす数を示す。)
上記式(a)で表される粒子(A)は、NiリッチのLi-Ni-Co-Mn酸化物粒子(NCM粒子)、いわゆるリチウム複合酸化物粒子であり、層状型岩塩構造を有する粒子であって、一次粒子が凝集することにより形成される二次粒子である。かかる粒子(A)を上記量で含有することにより、良好なレート特性を保持しながら、サイクル特性の向上に寄与することができる。
式(a)中のMは、Mg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Al、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示し、好ましくはMg、又はAlである。
また、上記式(a)中のa、b、c、wは、0.5≦a<1、0<b<0.5、0<c<0.5、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(Mの価数)×w=3を満たす数である。aについては、好ましくは0.7以上である。
上記粒子(A)において、Ni、Co及びMnは、電池容量及び出力特性に寄与することが知られている。また、サイクル特性の観点からは、かかる遷移元素の一部が他の金属元素Mにより置換されていることが好ましい。これら金属元素Mにより置換されることにより、粒子(A)の結晶構造が安定化されるため、充放電を繰り返しても結晶構造の破壊が抑制でき、優れたサイクル特性が実現し得ると考えられる。
上記式(a)で表されるNCM粒子としては、具体的には、例えばLiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.75Co0.15Mn0.05Mg0.05、LiNi0.75Co0.15Mn0.05Al0.05、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、又はLiNi0.5Co0.3Mn0.2等が挙げられる。なかでも、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.6Co0.2Mn0.2からなる粒子が好ましい。
さらに、上記粒子(A)は、コア部(内部)とシェル部(表層部)とを有するコア-シェル構造を形成していてもよい。このとき、コア部は1相であってもよいし、組成の異なる2相以上で構成していてもよい。コア部を2相以上で構成する態様として、同心円状に複数の相が層状となって積層された構造でもよいし、コア部の表面から中心部に向けて遷移的に組成が変化する構造でもよい。
さらに、シェル部は、コア部の外側に形成されてなるものであればよく、コア部同様に1相であってもよいし、組成の異なる2相以上で構成していてもよい。
このようなコア-シェル構造を形成してなる粒子(A)として、具体的には(コア部)-(シェル部)が、例えば(LiNi0.8Co0.1Mn0.1)-(LiNi0.5Co0.3Mn0.2)、又は(LiNi0.6Co0.2Mn0.2)-(LiNi0.5Co0.3Mn0.2)等からなる粒子が挙げられる。
さらに、上記粒子(A)は、金属酸化物、金属フッ化物又は金属リン酸塩で被覆されていてもよい。これら金属酸化物、金属フッ化物又は金属リン酸塩でNCM粒子を被覆することによって、電解質へのNCM粒子からの金属成分(Ni、Mn、Co、M)の溶出を抑制することができる。かかる被覆物としては、CeO、SiO、MgO、Al、ZrO、TiO、ZnO、RuO、SnO、CoO、Nb、CuO、V、MoO、La、WO、AlF、NiF、MgF、LiF、LiPO、Li、LiPO、LiPOF、及びLiPOから選択される1種又は2種以上、或いはこれらの複合化物を用いることができる。
上記式(a)で表される粒子(A)の一次粒子としての平均粒径は、リチウムイオンの挿入及び脱離に伴う上記一次粒子の膨張収縮量を抑制することができ、粒子割れを有効に防止する観点、及びハンドリングの観点から、50nm~500nmであり、より好ましくは50nm~300nmである。
また、上記一次粒子が凝集して形成する二次粒子である粒子(A)の平均粒径(単に「粒子(A)の平均粒径」という)は、サイクル特性に優れた電池を得る観点、及びハンドリングの観点から、好ましくは3μm~20μmであり、より好ましくは5μm~15μmである。
ここで、粒子(A)における「平均粒径」とは、レーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布により得られるD50値(累積50%での粒径(メジアン径))を意味する。
上記式(a)で表される粒子(A)のタップ密度は、サイクル特性に優れた電池を得る観点、及びハンドリングの観点から、好ましくは1.5g/cm~3.5g/cmであり、より好ましくは2.0g/cm~3.0g/cmである。
なお、タップ密度とは、以下同様、JIS R 1628「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に規定される方法により測定される「タップかさ密度」を意味する。
本発明のリチウムイオン二次電池が備える正極を形成するための正極活物質において、上記粒子(A)の含有量は、高いレート特性と優れたサイクル特性との両立を有効に図る観点から、粒子(A)と粒子(B)との総重量100質量部中に、60質量部~95質量部であって、好ましくは70質量部~95質量部であり、より好ましくは75質量部~95質量部であり、さらに好ましくは80質量部~95質量部である。
なお、粒子(A)は、例えば、以下の製造方法により得ることができる。
具体的には、ニッケル化合物、コバルト化合物、マンガン化合物、及び水を添加してスラリー水aを調製し、かかるスラリー水aをろ過・乾燥して混合物Aを得る工程(Ia)、得られた混合物Aにリチウム化合物を添加して混合し、次いで焼成する工程(IIa)を備える製造方法である。
工程(Ia)において用いるニッケル化合物としては、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸ニッケルが好ましい。
コバルト化合物としては、酢酸コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸コバルトが好ましい。
マンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マンガンが好ましい。
なお、これらニッケル化合物、コバルト化合物、及びマンガン化合物とともに、これらの化合物以外の金属(M)化合物を用いてもよい。
リチウム化合物としては、水酸化物(例えばLiOH・H2O、LiOH)、硫酸塩、酢酸塩が挙げられる。なかでも、水酸化物が好ましい。
工程(Ia)において、スラリー水aを得るにあたり、pH8~13に調整するのが好ましく、例えばアンモニア水を滴下することにより調整すればよい。
工程(IIa)において、焼成する際、まず500℃~1000℃、好ましくは600℃~900℃にて1時間~15時間、好ましくは1時間~6時間で仮焼成した後、500℃~1000℃、好ましくは600℃~900℃にて1時間~15時間、好ましくは5時間~13時間で本焼成するのがよい。また、仮焼成後に解砕してから本焼成に付すのがよい。
本発明のリチウムイオン二次電池が備える正極を形成するための正極活物質は、下記式(b)で表される粒子であって、大気圧条件下300℃で24時間乾燥した工程に引き続き、温度20℃相対湿度50%の環境にx時間静置した後から、カールフィッシャー水分計を用いた測定により250℃に昇温したときまでに検出される水分量yの測定において、xを1としたときの水分量yとxを24としたときの水分量yとの比(y/y)を0.3以下とする粒子(B)が、上記粒子(A)と粒子(B)との総重量中において粒子(A)の残部を占める。
LiMnFe PO4・・・(b)
(式(b)中、MはMg、Al、Ti、Cu、Zn、Nb、Co、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd及びGdから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。f、g、h及びxは、0<f≦1.2、0.08≦g<0.6、0.5<h≦1.1、0≦x≦0.3、及び1/9≦g/h<1を満たし、かつf+(Mnの価数)×g+(Feの価数)×h+(Mの価数)×x=3を満たす数を示す。)
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池が備える正極を形成するための正極活物質において、上記粒子(A)と粒子(B)との総重量中において粒子(A)の残部である5質量部~40質量部をFeリッチのLMFP粒子である粒子(B)が占め、本発明のリチウムイオン二次電池は、上記粒子(A)と粒子(B)との2種の粒子からなる正極活物質によって形成される正極を備える。
粒子(B)は、少なくとも遷移金属としてマンガン(Mn)及び鉄(Fe)の双方を含む、いわゆるオリビン型構造を有するリチウム複合酸化物(LMPO)であって、一次粒子が凝集することにより形成される二次粒子である。そして、粒子(B)は、かかる粒子を構成するMnとFeとのモル比である上記式(b)中の「g/h」の値が示すように、FeリッチなLMFP粒子である。このことも要因となって、かかる粒子(B)が粒子(A)の残部全てを占めることにより、後述する粒子(B)の有する特異な吸水特性も効果を発揮し、サイクル特性の向上に寄与することとなる。
上記粒子(B)としては、平均放電電圧の観点から、fについては、0.6≦f≦1.2が好ましく、0.65≦f≦1.15がより好ましく、0.7≦f≦1.1がさらに好ましい。gについては、0.08≦g≦0.4が好ましく、0.08≦g≦0.2がより好ましい。hについては、0.6≦h≦1.1が好ましく、0.8≦h≦1.1がより好ましい。xについては、0≦x≦0.2が好ましく、0≦x≦0.15がより好ましく、0≦x≦0.1がさらに好ましい。そして、粒子(B)を構成するMnとFeとのモル比であるg/hは、1/9≦g/h≦9/10が好ましく、1/9≦g/h≦2/3がより好ましく、1/9≦g/h≦1/4がさらに好ましい。
具体的には、例えばLiMn0.1Fe0.9PO、LiMn0.2Fe0.8PO、LiMn0.15Fe0.75Mg0.1PO、LiMn0.19Fe0.75Zr0.03PO、LiMn0.3Fe0.7PO、LiMn0.4Fe0.6PO、Li1.2Mn0.27Fe0.63PO、Li0.6Mn0.36Fe0.84PO等が挙げられる。なかでもLiMn0.1Fe0.9PO、又はLiMn0.2Fe0.8POが好ましい。
さらに、粒子(B)は、コア部(内部)とシェル部(表層部)を有するコア-シェル構造を形成していてもよい。このコア-シェル構造を有する粒子(B)とすることによって、例えば電解質に溶出しやすいMe含有量が多めのLMFP粒子をコア部に配置し、電解質に接するシェル部にはコア部よりもFe含有量のより一層多いLMFP粒子を配置することによって、粒子(B)に起因するサイクル特性の低下を抑制し、レート特性の確保をより向上させることができる。このとき、コア部は1相であってもよいし、組成の異なる2相以上で構成していてもよい。コア部を2相以上で構成する態様として、同心円状に複数の相が層状となって積層された構造でもよいし、コア部の表面から中心部に向けて遷移的に組成が変化する構造でもよい。
さらに、シェル部は、コア部の外側に形成されてなるものであればよく、コア部同様に1相であってもよいし、組成の異なる2相以上で構成していてもよい。
上記式(b)で表される粒子(B)の一次粒子としての平均粒径は、リチウムイオンの挿入及び脱離に伴う上記一次粒子の膨張収縮量を抑制することができ、粒子割れを有効に防止する観点、及びハンドリングの観点から、好ましくは50nm~180nmであり、より好ましくは70nm~150nmである。
また、上記一次粒子が凝集して形成する二次粒子である粒子(B)の平均粒径(単に「粒子(B)の平均粒径」という)は、サイクル特性に優れた電池を得る観点、及びハンドリングの観点から、好ましくは5μm~20μmであり、より好ましくは6μm~18μmであり、さらに好ましくは7μm~16μmである。
ここで、粒子(B)における「平均粒径」とは、上記粒子(A)と同様、レーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布により得られるD50値(累積50%での粒径(メジアン径))を意味する。
正極活物質に含有される粒子(B)のBET比表面積は、優れた電池特性の発現を確保する観点から、好ましくは10m/g~30m/gであり、より好ましくは13m/g~27m/gであり、さらに好ましくは15m/g~25m/gである。
なお、BET比表面積は、例えば流動式比表面積自動測定装置(FlowSorbIII2305、島津製作所社製)を用いて、窒素を30%含有する窒素・ヘリウム混合ガスとする条件で測定することができる。
正極活物質に含有される粒子(B)のタップ密度は、優れた電池特性の発現を確保する観点から、好ましくは0.8g/cm~1.5g/cmであり、より好ましくは0.9g/cm~1.4g/cmであり、さらに好ましくは1.0g/cm~1.3g/cmである。
なお、タップ密度とは、JIS R 1628「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に規定される方法により測定される「タップかさ密度」を意味する。
上記粒子(B)は、20℃から250℃の温度変遷において特異な吸水特性を有しており、具体的には、大気圧条件下300℃で24時間乾燥した工程に引き続き、温度20℃相対湿度50%の環境にx時間静置した後から、カールフィッシャー水分計を用いた測定により250℃に昇温したときまでに検出される水分量yの測定において、これを絶対乾燥状態とみたて、xを1としたときの水分量yとxを24としたときの水分量yとの比(y/y)を0.3以下とする粒子である。すなわち、比(y/y)の値は、20℃から250℃の温度変遷における吸水量を基準とする1時間から24時間までの吸水速度とみなすことができ、粒子(B)は、20℃にて1時間経過したときの吸水量と24時間経過したときとの吸水量との差が小さいことから、吸水速度が緩やかな特性、吸水しにくい特性を有する。
粒子(B)がこうした特異な吸水特性を有することにより、Niがリッチである粒子(A)を含有しつつも、正極形成時や電池製造時等において、粒子(B)から粒子(A)への水分移動を緩慢にし、不要な副反応(LiCO等の生成)が生じるのを有効に防止して、レート特性やサイクル特性が低下してしまうのを効果的に抑制することができる。
なお、上記水分量y及びyは、250℃まで昇温したのち、恒温状態となるよう20分間保持して測定する。
粒子(B)における水分量yは、特異な吸水特性の効果を充分に発揮させる観点から、2000ppm以下であって、好ましくは1900ppm以下であり、より好ましくは1800ppm以下であり、さらに好ましくは1600ppm以下である。また、粒子(B)における上記比(y/y)は、特異な吸水特性の効果を充分に発揮させる観点から、0.3以下であって、好ましくは0.28以下であり、より好ましくは0.26以下であり、さらに好ましくは0.24以下である。
本発明のリチウムイオン二次電池が備える正極を形成するための正極活物質において、上記粒子(A)の残部を占める上記粒子(B)の具体的な含有量は、特異な吸水特性の効果を発揮して、高いレート特性と優れたサイクル特性との両立を有効に図る観点から、粒子(A)と粒子(B)との総重量100質量部中に、5質量部~45質量部であって、好ましくは5質量部~40質量部であり、より好ましくは5質量部~30質量部であり、さらに好ましくは5質量部~20質量部である。
粒子(B)は、高いレート特性と優れたサイクル特性との両立を有効に図る観点から、その粒子の表面に、セルロースナノファイバー由来の炭素及び/又は水溶性炭素材料由来の炭素を担持されてなる粒子とするのが好ましい。
セルロースナノファイバーとは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、かかる細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維である。かかるセルロースナノファイバーの繊維径は1nm~1000nmであり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖では、炭素による周期的構造が形成されている。
水溶性炭素材料とは、セルロースナノファイバーと同様、炭化されて炭素となり、これが粒子(B)の表面に担持してなると、高いレート特性と優れたサイクル特性との両立を確実なものとすることができる。
かかる水溶性炭素材料としては、例えば、糖類、ポリオール、ポリエーテル、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類;マルトース、スクロース、セロビオース等の二糖類;デンプン、デキストリン等の多糖類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリビニルアルコール、グリセリン等のポリオールやポリエーテル;クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、溶媒への溶解性及び分散性を高めて炭素材料として効果的に機能させる観点から、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリンが好ましく、グルコースがより好ましい。
これらセルロースナノファイバー由来の炭素、及び水溶性炭素材料由来の炭素は、セルロースナノファイバー由来の炭素のみを担持、水溶性炭素材料由来の炭素のみを担持、或いはセルロースナノファイバー由来の炭素と水溶性炭素材料由来の炭素とを双方とも担持させてもよい。
粒子(B)の表面にセルロースナノファイバー由来の炭素及び/又は水溶性炭素材料由来の炭素が担持してなる場合、セルロースナノファイバー由来の炭素の原子換算量及び水溶性炭素材料由来の炭素の原子換算量の合計、すなわちセルロースナノファイバー由来の炭素の担持量及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持量の合計は、粒子(B)100質量部中に、好ましくは0.7質量部~5.0質量部であり、より好ましくは0.9質量部~4.0質量部であり、さらに好ましくは1.0質量部~3.0質量部である。
なお、粒子(B)が、その表面にセルロースナノファイバー由来の炭素及び/又は水溶性炭素材料由来の炭素を担持してなる場合、正極活物質中における粒子(B)の含有量には、これらの炭素の担持量も含むものとする。
また、粒子(B)中に存在するセルロースナノファイバー由来の炭素の原子換算量(担持量)、及び水溶性炭素材料由来の炭素の原子換算量(担持量)は、炭素・硫黄分析装置を用いた測定により求められる値を意味する。
なお、粒子(B)は、例えば、以下の製造方法により得ることができる。具体的には、次の工程(Ib)~(IVb):
(Ib)リチウム化合物、マンガン化合物及び鉄化合物を含む金属化合物、リン酸化合物、セルロースナノファイバー由来の炭素及び/又は水溶性炭素材料由来の炭素、並びに水を添加してスラリー水bを得た後、水熱反応に付して、複合体Bを得る工程
(IIb)得られた複合体B、並びに水を添加してスラリー水cを得る工程
(IIIb)得られたスラリー水cを噴霧乾燥に付して造粒体Zを得る工程
(IVb)得られた造粒体Zを焼成する工程
を備える製造方法である。
上記工程(Ib)は、リチウム化合物、マンガン化合物及び鉄化合物を含む金属化合物、リン酸化合物、セルロースナノファイバー由来の炭素及び/又は水溶性炭素材料由来の炭素、並びに水を添加してスラリー水bを得た後、水熱反応に付して、複合体Bを得る工程である。
リチウム化合物としては、上記粒子(A)と同様のものを用い得るが、なかでも水酸化物が好ましい。
マンガン化合物としては、上記粒子(A)と同様のものを用い得る。
鉄化合物としては、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸鉄が好ましい。
金属化合物として、少なくともこれらマンガン化合物及び鉄化合物を含み、さらにマンガン化合物及び鉄化合物以外の金属(M)化合物を用いてもよい。
リン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでもリン酸を用いるのが好ましい。
工程(Ib)は、より具体的には、リチウム化合物を含むスラリー水b’に、リン酸化合物を混合して複合体B’を得る工程(ib-1)、
得られた複合体B’、及び少なくともマンガン化合物及び鉄化合物を含む金属化合物を含有するスラリー水bを水熱反応に付して、複合体Bを得る工程(ib-2)
を備えるのが好ましい。
リン酸化合物を混合した後のスラリー水b’は、リン酸1モルに対し、リチウムを2.0モル~4.0モル含有するのが好ましく、2.0モル~3.1モル含有するのがより好ましく、このような量となるよう、上記リチウム化合物とリン酸化合物を用いればよい。より具体的には、リン酸化合物を混合した後のスラリー水b’は、リン酸1モルに対し、リチウムを2.7モル~3.3モル含有するのが好ましく、2.8モル~3.1モル含有するのがより好ましい。
リン酸化合物を混合した後のスラリー水b’に対して窒素をパージすることにより、かかるスラリー水中での反応を完了させて、粒子(B)の前駆体である複合体B’をスラリーとして得る。窒素がパージされると、スラリー水b’中の溶存酸素濃度が低減された状態で反応を進行させることができ、また得られる複合体B’を含有するスラリー水の溶存酸素濃度も効果的に低減されるため、次の工程で添加する金属化合物の酸化を抑制することができる。かかる複合体B’を含有するスラリー水b’中において、粒子(B)の前駆体は、微細な分散粒子として存在する。かかる複合体B’は、リン酸三リチウム(LiPO)とセルロースナノファイバー由来の炭素及び/又は水溶性炭素材料由来の炭素の複合体として得られる。
次いで工程(ib-2)では、工程(ib-1)で得られた複合体B’、及び少なくともマンガン化合物及び鉄化合物を含む金属化合物を含有するスラリー水bを水熱反応に付して、複合体Bを得る。
これら金属化合物の合計添加量は、スラリー水A中に含有されるリン酸イオン1モルに対し、好ましくは0.99モル~1.01モルであり、より好ましくは0.995モル~1.005モルである。
水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、金属化合物の溶解性、撹拌の容易性、及び合成の効率等の観点から、スラリー水b中に含有されるリン酸イオン1モルに対し、好ましくは10モル~50モルであり、より好ましくは12.5モル~45モルである。
水熱反応は、100℃以上であればよく、130℃~200℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130℃~200℃で反応を行う場合、この時の圧力は0.3MPa~1.6MPaであるのが好ましく、140℃~160℃で反応を行う場合の圧力は0.3MPa~0.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は0.1時間~48時間が好ましく、さらに0.2時間~24時間が好ましい。
得られた複合体Bは、ろ過後、水で洗浄し、乾燥することにより単離する。乾燥手段は、凍結乾燥、真空乾燥が用いられる。
なお、上記工程(Ib)は、リチウム化合物及びリン酸化合物を添加する代わりに、リン酸三リチウム粒子を添加する工程としてもよい。具体的には、上記工程(Ib)を、リン酸三リチウム粒子、マンガン化合物及び鉄化合物を含む金属化合物、セルロースナノファイバー由来の炭素及び/又は水溶性炭素材料由来の炭素、並びに水を添加してスラリー水bを得た後、水熱反応に付して、複合体Bを得る工程とすればよい。
ここで用い得るマンガン化合物、鉄化合物、及びセルロースナノファイバー由来の炭素及び/又は水溶性炭素材料由来の炭素は上記と同様であり、その他諸条件についても上記と同様に適宜選択すればよい。
上記工程(IIb)は、工程(Ib)により得られた複合体B、並びに水を添加してスラリー水cを得る工程である。
スラリー水cの固形分濃度は、好ましくは5質量%~60質量%であり、より好ましくは10質量%~55質量%であり、さらに好ましくは15質量%~50質量%である。
上記工程(IIIb)は、工程(IIb)により得られたスラリー水cを噴霧乾燥に付して造粒体Zを得る工程である。噴霧乾燥では、例えば4流体ノズルを備えたマイクロミストドライヤー等の用いる装置に応じて適宜運転条件を設定すればよい。
上記工程(IVb)は、工程(IIIb)により得られた造粒体Zを焼成する工程である。かかる工程(IVb)の焼成条件は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中であるのが好ましく、焼成温度は、好ましくは500℃~1000℃であり、より好ましくは550℃~900℃であり、焼成時間は、好ましくは0.5時間~12時間であり、より好ましくは1時間~6時間である。
本発明のリチウムイオン二次電池が備える正極を形成するための正極活物質を得るにあたり、上記粒子(A)と粒子(B)とを各々上記含有量となる量に調整した後、常法により混合すればよい。
かかる正極活物質を用いて正極を形成するには、上記正極活物質と、アセチレンブラックやケッチェンブラック、ポリフッ化ビニリデン、N-メチル-2-ピロリドン等とを混練して正極スラリーを調製した後、集電体に塗工し、次いでプレス成形すればよい。この際にも、粒子(B)の有する特異な吸水特性により粒子(A)への水分移動を効果的に抑制し、不要な副反応が生じるのを有効に防止することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記正極とともに、負極と電解質、又は上記正極とともに、負極を必須構成として備える。
ここで、負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、グラファイト、シリコン系(Si、SiOx)、チタン酸リチウム又は非晶質炭素等の炭素材料等を用いることができる。そしてリチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。さらに、2種以上の上記の負極材料を併用してもよく、たとえばグラファイトとシリコン系の組み合わせを用いることができる。
電解質は、その種類が特に限定されるものではないが、有機溶媒に支持塩を溶解させた電解液が好ましい。有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池の電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF、LiBF、LiClO及びLiAsFから選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSOCF、LiC(SOCF及びLiN(SOCF、LiN(SO及びLiN(SOCF)(SO)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、より好ましい形態として、セパレータを構成要素に含む。セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状としては、特に制限を受けるものではなく、コイン型、円筒型、角型等種々の形状や、ラミネート外装体に封入した不定形状であってもよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<リチウム複合酸化物粒子(A-1)>
粒子(A-1)として、市販の粒子(LiNi0.5Mn0.3Co0.2:平均粒径12μm)を用いた。
<リチウム複合酸化物粒子(A-2)>
粒子(A-2)として、市販の粒子(LiNi0.8Mn0.1Co0.1:平均粒径13μm)を用いた。
<リチウム系ポリアニオン粒子(B-1)>
粒子(B-1)として、市販の粒子(LiMn0.3Fe0.7PO:平均粒径14μm、炭素の原子換算量0.9%)を用いた。
<リチウム系ポリアニオン粒子(B-2)>
粒子(B-2)として、市販の粒子(LiMn0.3Fe0.7PO:平均粒径14μm、炭素の原子換算量0.7%)を用いた。
<リチウム系ポリアニオン粒子(B-3)>
粒子(B-3)として、市販の粒子(LiMn0.1Fe0.9PO:平均粒径15μm、炭素の原子換算量1.0%)を用いた。
<リチウム系ポリアニオン粒子(B-4)>
粒子(B-4)として、市販の粒子(LiMn0.7Fe0.3PO:平均粒径14μm、炭素の原子換算量1.0%)を用いた。
<リチウム系ポリアニオン粒子(B-5)>
粒子(B-5)として、市販の粒子(LiMn0.3Fe0.7PO:平均粒径15μm、炭素の原子換算量0.5%)を用いた。
《炭素の原子換算量(担持量)》
炭素・硫黄分析装置(EMIA-220V2、堀場製作所社製)を用い、得られた粒子の炭素の原子換算量(担持量)を測定した。
《粒子(二次粒子)の平均粒径の測定》
粒子の粒度分布は、レーザー回折装置(マイクロトラックMT3000II、MicrotracBEL社製)を用いて測定した。
測定条件は、粒子透過性:透過、粒子形状:非球形、粒子屈折率:1.52とした。溶媒にはエタノールを用い、溶媒屈折率:1.36とした。
上記粒子A-1~A-2、及び粒子B-1~B-5を用い、さらに以下の方法にしたがって、吸水特性の評価を行った。
各粒子が有する物性とともに、結果を表1に示す。
《吸水特性の評価(水分量y及び水分量yの測定)》
上記各粒子粒子を予め大気圧条件下300℃で24時間乾燥させて絶対乾燥状態とした。次いで、温度20℃相対湿度50%の環境に1日間静置して平衡に達するまで、大気中の水分を吸水させた後に温度250℃まで昇温して20分間保持したときの、250℃に到達した時を始点とし250℃での恒温状態を終えたときを終点として、揮発した水分量を吸水量としてみたて、カールフィッシャー水分計(MKC-610、京都電子工業(株)製)により測定した。
Figure 2023009361000001
[実施例1~8、比較例1~3]
表2に示す配合にしたがい、プラネタリーミキサー(PLM-2、井上製作所社製)を用いて各粒子を混合し、正極活物質を得た。
次いで、得られた正極活物質を正極材料として用い、リチウムイオン二次電池の正極を作製した。具体的には、得られた各正極活物質、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンを質量比90:5:5の配合割合で混合し、これにN-メチル-2-ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
次いで、上記正極を用いてコイン型二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比3:7の割合で混合した混合溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、高分子多孔フィルムを用いた。これらの電池部品を露点が-50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR-2032)を得た。
得られたコイン型二次電池を用い、充放電容量測定装置(HJ-1001SD8、北斗電工社製)にて気温30℃環境での、0.2C(34mA/g)、5C(850mA/g)の放電容量を測定し、下記式(x)による容量比の値(%)を求めた。なお、充電時の終止電圧は4.25V、放電時の終止電圧は2.0Vとした。
容量比=
{(5Cにおける放電容量)/(0.2Cにおける放電容量)}×100・・(x)
さらに、気温45℃、1C(170mA/g)充放電条件での1000サイクル繰り返し試験を行い、各放電容量を測定して、下記式(y)による容量保持率の値(%)を求めた。なお、充電時の終止電圧は4.25V、放電時の終止電圧は2.0Vとした。
サイクル特性=
{(1000サイクル後の放電容量)/(1サイクル後の放電容量)}×100
・・・(y)
電極中に含まれる活物質の目付量(mg/cm)及び密度(g/cm)とともに、結果を表3に示す。
Figure 2023009361000002
Figure 2023009361000003

Claims (3)

  1. 正極と、負極と、電解質とを少なくとも含むリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、集電体と、前記集電体上に形成された正極活物質層とを少なくとも含み、 前記正極活物質層に含まれる正極活物質は、下記式(a)で表される粒子(A)と、下記式(b)で表される粒子(B)とからなり、
    前記粒子(A)が、粒子(A)と粒子(B)との総重量100質量部中に60質量部~95質量部含まれ、
    前記粒子(B)が、大気圧条件下300℃で24時間乾燥した工程に引き続き、温度20℃相対湿度50%の環境にx時間静置した後から、カールフィッシャー水分計を用いた測定により250℃に昇温したときまでに検出される水分量yの測定において、xを1としたときの水分量yとxを24としたときの水分量yとの比(y/y)を0.3以下とする、リチウムイオン二次電池
    LiNiCoMn ・・・(a)
    (式(a)中、MはMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Al、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。a、b、c、wは、0.5≦a<1、0<b<0.5、0<c<0.5、0≦w≦0.3、かつ3a+3b+3c+(Mの価数)×w=3を満たす数を示す。)
    LiMnFe PO4・・・(b)
    (式(b)中、MはMg、Al、Ti、Cu、Zn、Nb、Co、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd及びGdから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。f、g、h及びxは、0<f≦1.2、0.08≦g<0.6、0.5<h≦1.1、0≦x≦0.3、及び1/9≦g/h<1を満たし、かつf+(Mnの価数)×g+(Feの価数)×h+(Mの価数)×x=3を満たす数を示す。)。
  2. 正極活物質に含有される粒子(B)における水分量yが、2000ppm以下である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 正極活物質に含有される粒子(B)の表面に、セルロースナノファイバー由来の炭素及び/又は水溶性炭素材料由来の炭素が担持してなる、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
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