JP2019123944A - 焼結体の製造装置、及び焼結体の製造方法 - Google Patents

焼結体の製造装置、及び焼結体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形体の作製と成形体の加工とを連続して行えて、焼結体の生産性を高められる焼結体の製造装置を提供する。【解決手段】金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体20を作製する成形装置2と、前記成形体20に切削加工を施して焼結体素材30を作製する加工装置3と、前記成形装置2と前記加工装置3とを一連に連結して前記成形体20を個々に前記成形装置2から前記加工装置3へ搬送する成形体搬送路5とを備える焼結体の製造装置1。【選択図】図1

Description

本発明は、焼結体の製造に用いる焼結体の製造装置、及びその製造装置を利用できる焼結体の製造方法に関する。特に、成形体の作製と成形体の加工とを連続して行えて、焼結体の生産性を高められる焼結体の製造装置に関する。
鉄粉などの金属粉末を含む成形体を焼結してなる焼結体が、自動車用部品や一般機械の部品などに利用されている。これら部品の種類には、例えば、スプロケット、ローター、ギア、リング、フランジ、プーリー、軸受けなどが挙げられる。焼結体の製造は、一般的に、金属粉末を含有する原料粉末をプレス成形して成形体を作製し、この成形体を焼結することで行われる。
例えば、自動車用部品に利用される焼結体には、油孔など貫通している通し孔(貫通孔)や貫通していない止まり穴などが形成されたものがある。このような焼結体の製造は、成形体を焼結した後、ドリルで穴あけ加工(切削加工)することで行われる(特許文献1)。
特開2006−336078号公報
焼結体に対してドリルで穴あけ加工を行う場合、焼結後の穴あけ加工は困難であり、生産性が低い。焼結体は、焼結前の成形体に比べて、非常に硬いため、焼結体自体に穴あけ加工を施すと、加工時間が長くなり易いからである。成形体が、成形により原料粉末を固めただけで、金属粉末の粒子同士が機械的に密着している状態であるのに対して、焼結体は、金属粉末の粒子同士が焼結により拡散結合ならびに合金化して強固に結合している。その結果、生産性の向上が難しい上に、工具の寿命が短くなり易い。焼結体の加工箇所によっては、焼結体に亀裂などの疵が形成される虞もある。
そこで、焼結前の圧粉成形体にドリルで穴あけ加工を行い、予め圧粉成形体に貫通孔を形成することが考えられる。そうすれば、焼結体の生産性を高められると考えられる。しかし、成形体を切削加工する場合、成形から加工まで連続して行うには成形と加工の作製時間の差が大きすぎることから、一旦複数の成形体をトレイに纏め、そのトレイを加工装置に搬送して順次加工を行うことが考えられる。その場合、複数の成形体を一旦トレイに纏めることで生産性の低下を招く虞がある。また、成形体は強度が低く脆いので、搬送時の成形体同士の接触などにより成形体に欠けが発生することが考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、成形体の作製と成形体の加工とを連続して行えて、焼結体の生産性を高められる焼結体の製造装置を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記焼結体の製造装置を利用できる焼結体の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様に係る焼結体の製造装置は、成形装置と加工装置と成形体搬送路とを備える。成形装置は、金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する。加工装置は、成形体に切削加工を施して焼結体素材を作製する。成形体搬送路は、成形装置と加工装置とを一連に連結して成形体を個々に成形装置から加工装置へ搬送する。
本発明の一態様に係る焼結体の製造方法は、成形工程と加工工程とを備える。成形工程は、金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する。加工工程は、成形体に切削加工を施して焼結体素材を作製する。そして、本発明の一態様に係る焼結体の製造方法は、成形、及び加工の各工程をインラインで行う。
上記焼結体の製造装置は、焼結体の生産性を高められる。
上記焼結体の製造方法は、焼結体を生産性よく製造できる。
実施形態1に係る焼結体の製造装置の概略を示す上面図である。 実施形態1に係る焼結体の製造装置に備わる成形体移送機の動作手順を説明する工程説明図である。 実施形態1に係る焼結体の製造装置に備わる搬送側移送機の成形体搬送路から待機ステージへの成形体の移送手順を説明する工程説明図である。 実施形態1に係る焼結体の製造装置に備わる搬送側移送機の待機ステージから焼結体素材搬送路への成形体の移送手順を説明する工程説明図である。 実施形態1に係る焼結体の製造装置に備わる加工側移送機の成形体同士の入れ替え手順を説明する工程説明図である。 実施形態1に係る焼結体の製造装置に備わる加工側移送機の焼結体素材と成形体の入れ替え手順を説明する工程説明図である。 実施形態1に係る焼結体の製造装置に備わる搬送側移送機及び加工側移送機による成形体及び焼結体素材の移送動作説明図である。 実施形態1に係る焼結体の製造装置に備わる成形装置と加工装置のタイムチャートである。
《本発明の実施形態の説明》
最初に本発明の実施態様の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る焼結体の製造装置は、成形装置と加工装置と成形体搬送路とを備える。成形装置は、金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する。加工装置は、成形体に切削加工を施して焼結体素材を作製する。成形体搬送路は、成形装置と加工装置とを一連に連結して成形体を個々に成形装置から加工装置へ搬送する。
上記の構成によれば、焼結体の生産性を向上できる。上記成形体搬送路を備えることで、成形体を1個作製するごとに順次加工装置へ搬送できるため、成形から加工まで連続して行えるからである。即ち、複数の焼結体が積層された積層物をトレイ上に複数並列するように一旦貯めてから搬送せずにすむため、成形から加工までタイムロスを極力少なくできる。
(2)上記焼結体の製造装置の一形態として、成形装置で作製された成形体を保持して成形体搬送路に移す成形体移送機を備えることが挙げられる。
上記の構成によれば、成形体移送機を備えることで、成形体の成形体搬送路への移送を自動化できる。そのため、焼結体に比較して欠けや割れなどの損傷が生じ易い成形体の移送を、人手による移送操作ミスなどが生じることなく行えるので、成形体の成形体搬送路への移送過程における成形体の損傷を抑制し易い。
(3)上記焼結体の製造装置の一形態として、待機ステージと、搬送側移送機とを備えることが挙げられる。待機ステージは、成形体搬送路と加工装置との間に設けられ、成形体搬送路上の成形体を加工装置へ設置する前、及び加工装置の焼結体素材を焼結炉へ移送する前に、成形体及び焼結体素材を一時的に待機させる。搬送側移送機は、成形体搬送路上の成形体を保持して待機ステージへの移送、及び待機ステージ上の焼結体素材を保持して焼結炉への移送を行う。
上記の構成によれば、走行しない待機ステージに成形体を一旦待機させられることで、搬送中の成形体を保持して加工装置へ設置しなくてもよく、成形体の加工装置への設置を行い易い。
(4)上記焼結体の製造装置の一形態として、待機ステージを備える場合、以下の関係を満たすとき、加工装置はM/N個の切削加工機を有し、待機ステージの成形体を保持して切削加工機への取り付け、及び切削加工機から焼結体素材を取り外して待機ステージへの載置を行う加工側移送機を備えることが挙げられる。上記関係とは、1台の成形装置における成形体1個当たりの作製時間をN秒、一個の成形体に対する切削加工の総加工時間をM秒とするときの「(M/N)=整数」を言う。そして、加工側移送機は、N秒毎に各切削加工機へ順に成形体を取り付ける。
上記の構成によれば、1台の成形装置における成形体の1個の作製時間と、1個の成形体に対する総加工時間とに大きな差がある場合でも、成形から加工まで一連に連続して行えるため、焼結体の生産性を向上できる。
(5)上記焼結体の製造装置の一形態として、加工装置がM/N個の加工機を有する場合、M/N個の加工機の一部は成形体の一面側から加工する一面加工機であり、他部は成形体の他面側から加工する他面加工機であることが挙げられる。
上記の構成によれば、一面及び他面の両方側から切削加工を要する焼結体を製造できる。
(6)上記焼結体の製造装置の一形態として、一面加工機と他面加工機とを備える場合、加工側移送機は、二つの保持部とアームとを備えることが挙げられる。二つの保持部は、成形体及び焼結体素材の保持及び解放を行う。アームは、二つの保持部が連結され、保持部を待機ステージ、一面加工機、及び他面加工機の各間で移動させる。そして、各保持部は、成形体の保持及び解放と、焼結体素材の保持及び解放とが切り替え自在である。
上記の構成によれば、二つの上記保持部と上記アームとを備えることで、待機ステージ上の成形体の保持、保持した成形体の一面加工機への取り付け、一面加工機から成形体の取り外し、一面加工機から取り外した成形体の他面加工機への取り付け、他面加工機から焼結体素材の取り外し、他面加工機から取り外した焼結体素材の待機ステージへの載置を行える。
特に、二つの保持部を備えることで、一面加工機及び他面加工機の全てに成形体や焼結体素材が取り付けられた状態において、待機ステージ上から保持した成形体と一面加工機に取り付けられた成形体との交換と、他面加工機から取り外した焼結体素材と待機ステージ上の成形体との交換とを容易かつ迅速に行える。具体的な交換の仕方は、後述する。
(7)上記焼結体の製造装置の一形態として、加工装置が複数の加工機を備える場合、加工装置と焼結炉との間に設けられ、焼結体素材の加工履歴を識別するマーキングを施すマーキング装置を備えることが挙げられる。
上記の構成によれば、マーキング装置を備えることで、加工履歴の情報を持つマーキングが施された焼結体を製造できる。このマーキングを認識するだけで焼結体の加工履歴を特定できるため、焼結体の加工履歴の特定が容易である。
(8)上記焼結体の製造装置の一形態として、成形体が載置され、成形体搬送路で搬送されるトレイを備えることが挙げられる。
上記の構成によれば、上記トレイを備えることで、成形体の搬送中に成形体が成形体搬送路の側縁などと接触することを抑制できるため、搬送過程での成形体の損傷を抑制し易い。
(9)本発明の一態様に係る焼結体の製造方法は、成形工程と加工工程とを備える。成形工程は、金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する。加工工程は、成形体に切削加工を施して焼結体素材を作製する。そして、本発明の一態様に係る焼結体の製造方法は、成形、及び加工の各工程をインラインで行う。
上記の構成によれば、生産性よく焼結体を製造できる。成形と加工の各工程をインラインで行うことで、成形から加工までを短縮させられるからである。
《本発明の実施形態の詳細》
本発明の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔実施形態1〕
図1〜図8を用いて、実施形態1に係る焼結体の製造装置1を説明する。実施形態1に係る焼結体の製造装置1は、成形体20を作製する成形装置2と、成形体20に切削加工を施して焼結体素材30を作製する加工装置3とを備える。実施形態1に係る焼結体の製造装置1の主たる特徴とするところは、成形装置2と加工装置3とを一連に連結して順次作製した成形体20を個々に成形装置2から加工装置3へ搬送する成形体搬送路5を備える点にある。加工装置3で作製された焼結体素材30は、焼結炉4へ搬送されて焼結炉4で焼結される。そうして焼結体(図示略)が製造される。まず、焼結体の製造装置1の各構成を説明した後、各構成の動作、及びその動作に伴う成形体20及び焼結体素材30の挙動を説明する。その後、この焼結体の製造装置を用いることができる焼結体の製造方法を説明する。
[全体概要]
成形装置2と加工装置3とは、成形体搬送路5により一連に連結されている(図1)。成形装置2から成形体搬送路5を介した加工装置3への成形体20の搬送過程や、加工装置3から焼結炉4への焼結体素材30の移送過程には、複数の移送機や、一時的に成形体20や焼結体素材30を待機させる待機ステージなどを利用できる。例えば、成形装置2と成形体搬送路5の間に成形体移送機7が、成形体搬送路5と加工装置3との間に搬送側移送機8、待機ステージ10、及び加工側移送機9が、加工装置3と焼結炉4との間には、加工側移送機9、待機ステージ10、搬送側移送機8、焼結体素材搬送路6、及び焼結体素材移送機14がそれぞれ配置される。
[成形装置]
成形装置2は、金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体20を作製する。成形装置2には、機械部品の最終形状に沿った形状に成形できる適宜な成形用金型を用いることが挙げられる。
機械部品の種類としては、例えば、スプロケット、オイルポンプロータ、ギア、リング、フランジ、プーリーなどが挙げられる。この機械部品(焼結体)の形状は、中心に円形状の軸孔が形成される円筒状である場合が多い。そのため、円筒状の機械部品の素材の作製には、円筒の軸方向にプレス成形可能な成形用金型を用いる。この成形用金型は、例えば、成形体20の両端面を形成する円環状のプレス面を有する上下のパンチと、上下パンチの内側に挿通されて、成形体20の内周面を形成する円柱状の内側ダイと、上下パンチの外周を囲み、成形体20の外周面を形成する円形状の挿通孔が形成された外側ダイとを備える(いずれも図示略)。この場合、成形体20の軸方向両端面は上下のパンチでプレスされたプレス面、内周面と外周面とはダイとの摺接面であり、軸孔は成形時に一体に形成される。
成形装置2は、複数備えることができる。成形装置2の数を多くするほど、成形体20の生産性を向上できる。ここでは、二台の成形装置2(成形用金型)を用いている。図1では、説明の便宜上、成形装置2の図示は簡略化している。この図示の簡略化の点は、後述の加工装置3及び焼結炉4でも同様である。
1台の成形装置2における成形体20の1個当たりの作製時間をN秒とし、1個の成形体20に対する切削加工(後述の加工装置3による)の総加工時間をM秒とするとき、この作製時間N秒は、通常、総加工時間M秒よりも短い。成形体20の作製時間N秒は、加工対象にもよるが、総加工時間M秒の1/2以下、更には1/3以下、特に1/6以下が挙げられる。
[加工装置]
加工装置3は、成形体20に切削加工を施して焼結体素材30を作製する。加工装置3は、例えば、成形体20を掴むチャック(図示略)と、成形体20に所望の切削加工を施す切削工具(図示略)とを有する切削加工機を備える。
チャックは、後述の加工側移送機9により成形体20が加工装置3に近づけられた際、加工側移送機9から成形体20を受け取る。そして、成形体20の所定の位置に切削工具による切削加工を施せるように成形体20の位置決めを行う。
切削工具の種類は、機械部品の種類に応じて適宜選択できる。上述の機械部品へ施す切削加工としては、代表的には穴あけ加工が挙げられる。そのため切削工具は、機械部品に応じた孔を形成できる穴あけ加工用のドリルが挙げられる。機械部品には、その外周面から軸孔に交差(直交)するように貫通する貫通孔(例えば、油孔に利用される)や止まり穴が形成されるものがあり、この貫通孔や止まり穴は、成形体20の成形時に一体に形成できないことから、この穴あけ加工により形成する必要がある。
切削工具の数は、単数でもよいし複数でもよい。切削加工機が複数の切削工具を備える場合、各切削工具のサイズや種類を異ならせることができ、各切削工具を切り替え自在に構成できる。そうすれば、種々の切削加工に対応可能である。なお、複数の切削工具のうち1本を成形体20の位置決めセンサと入れ替えてもよい。
加工装置3は、複数の切削加工機を有することができる。上述のように、通常、成形体20の作製時間N秒と1個の成形体20への総加工時間M秒とは一致しないため、成形装置2と加工装置3とを一連の製造ラインに組むことが難しい。1個の成形体20への総加工時間M秒は、成形体20の作製時間N秒に比べて遅いため、未加工の成形体20の数が多くなるからである。1個の成形体20に対する一連の切削加工を行うのに複数の切削加工機を用いる場合、その切削加工に必要な複数の切削加工機を1ユニットとする。このとき、加工装置3の1ユニット当たりの切削加工機の数を多くすることで、成形体20の作製時間N秒と、1個の成形体20への総加工時間M秒との差を実質的に無くせる。具体的には、加工装置3の1ユニット当たりの切削加工機の数は、M/N台とすることが挙げられる。そして、各切削加工機に対し、加工側移送機9によりN秒毎に順に成形体20を取り付けることが挙げられる。そうすれば、加工装置3で焼結体素材30がN秒毎に作製され、1台の成形装置2で作製される成形体20の作製時間N秒と、1ユニットの加工装置3で作製される焼結体素材30の作製時間とを同一にすることができる。従って、成形装置2と加工装置3とを一連の製造ラインに組める。
複数の切削加工機は、機械部品の種類にもよるが、全てが同じ側から同じ切削(穴あけ)加工を行ってもよいし、複数の切削加工機の一部を成形体20の一面側から切削加工を行う一面加工機31として用い、他部をその成形体20の他面側から切削加工を行う他面加工機32として用いてもよい。
一面加工機31と他面加工機32の数の組み合わせは、一面側と他面側のうち切削(穴あけ)加工に時間をより要する側の加工機の数を多くすることが挙げられる。具体的には、一面加工機31と他面加工機32の数の比が、加工時間の比に相当するように各加工機の数を調整することが挙げられる。例えば、一面加工機31と他面加工機32の加工時間の比が2:1の場合、一面加工機31の数を2台、他面加工機32の数を1台とすることが挙げられる。そうすれば、加工機の空き時間を極力短くでき、効率良く切削加工を行えて生産性を高め易い。ここでは、1ユニットの加工装置3に2台の一面加工機31と1台の他面加工機32とを備える。2台の一面加工機31は、加工側移送機9の上流側に左右に並列配置され、他面加工機32は、その下流側に一面加工機31と対面配置されている。
加工装置3の数は、複数とすることができる。加工装置3の数は、多いほど生産性を高められる。ここでは、2ユニットの加工装置3を備え、両加工装置3を成形体搬送路5に沿って並列配置している。
加工装置3への成形体20の取り付けは、加工側移送機9により成形装置2による成形体20の作製時間毎に加工装置3により焼結体素材30が作製されるように行う。即ち、1台の成形装置2でN秒毎に成形体20が作製され、1ユニットの加工装置3につき2台の一面加工機31と1台の他面加工機32とを備える場合、2台の一面加工機31に対する成形体20の取り付けは、加工側移送機9によりN秒毎に順に行う。本例のようにN秒毎に成形体20を作製する成形装置2が2台でN/2秒毎に成形体20が作製される場合、2台の一面加工機31と1台の他面加工機32とを備える加工装置3を2ユニット備えることで、各加工装置3への成形体20の取り付けをN/2秒毎に順に行えば、各加工装置3の一面加工機31に対する成形体20の取り付けをN秒毎に行える。そうすれば、成形体20の作製時間と一個の成形体20への総加工時間とが一致しない成形装置2と加工装置3とを一連の製造ラインに組むことができる。
[焼結炉]
焼結炉4は、焼結体素材30を焼結する。この焼結により、焼結体が作製される。焼結炉4は、焼結体素材30を焼結できる温度に加熱できれば特に限定されない。焼結炉4には、例えば、メッシュベルト式連続焼結炉を用いることができる。ここでは、焼結炉4は、搬送路5,6を挟んで加工装置3と対向する位置に、搬送路5,6と略平行に設けられている。焼結炉4の入口は、成形体搬送路5の上流側(成形装置2側)にあり、焼結炉4の出口は、成形体搬送路5の下流側にある。
[搬送路]
(成形体搬送路)
成形体搬送路5は、成形装置2と加工装置3とを一連に連結して成形体20を個々に連続的に成形装置2から加工装置3へ搬送する。成形体搬送路5は、一定の速度で走行し、一定の速度で成形体20を加工装置3へ搬送する。成形体搬送路5には、例えば、ベルトコンベアなどを用いることができる。
(焼結体素材搬送路)
加工装置3で作製された焼結体素材30は、成形体搬送路5と隣接して並走するように加工装置3側から成形装置2側へ延びる焼結体素材搬送路6により成形装置2側へ搬送される。焼結体素材搬送路6は、成形体搬送路5と同一の一定速度で走行する。焼結体素材搬送路6には、例えば、成形体搬送路5と同様にベルトコンベアを用いることができる。
成形体搬送路5と焼結体素材搬送路6とは、互いに独立して走行してもよいが、焼結体素材搬送路6の下流と成形装置2側で成形体搬送路5の上流とを連通させることもできる。即ち、成形体搬送路5と焼結体素材搬送路6とがそれぞれ往路と復路の一連の搬送路とすることができる。そうすれば、詳しくは後述するが、成形体20が載置されて成形体20の搬送に利用するトレイ100(後述)の再利用が容易になる。焼結体素材30が載置されたトレイ100を焼結体素材搬送路6上の所定位置まで搬送させ、焼結体素材30を焼結炉4に移送してトレイ100のみを所定位置から成形装置2側まで搬送すれば、そのトレイ100に次の成形体20を載置して加工装置3へ搬送させられるからである。この場合、トレイ100の数を最小限に抑えられる。
[トレイ]
成形体搬送路5上及び焼結体素材搬送路6上の成形体20及び焼結体素材30の搬送には、成形体20や焼結体素材30が載置されるトレイ100を用いることができる。即ち、このトレイ100が両搬送路5,6上を搬送される。トレイ100を用いることで、成形体20や焼結体素材30の損傷を抑制し易い。成形体20や焼結体素材30の成形体搬送路5や焼結体素材搬送路6の側縁などとの接触を抑制できるためである。
トレイ100には、トレイ100の搬送経路を記憶するICタグ(図示略)が取り付けられていることが好ましい。そうすれば、トレイ100の位置情報を把握でき、複数ユニットの加工装置3が設けられている場合に、トレイ100がいつ・どの加工装置3に搬送されたかを容易に把握できる。
トレイ100の大きさは、一個の成形体20及び焼結体素材30が載置される程度の大きさが挙げられる。
トレイ100の成形体20及び焼結体素材30の載置面には、これらを位置決めする位置決め部(図示略)を備えることが好ましい。そうすれば、成形体20及び焼結体素材30の搬送過程でこれらの位置ずれを抑制でき、位置ずれに伴う成形体20及び焼結体素材30の搬送路の側縁などへの衝突による損傷を抑制できる。このトレイ100の載置面には、成形体20及び焼結体素材30の互いに異なる面が載置される。そのため、位置決め部を設ける場合は、その両方に対応していることが挙げられる。例えば、成形体20及び焼結体素材30の外周の少なくとも一部を囲む周壁と、成形体20及び焼結体素材30に軸孔が形成されていたり軸孔以外の孔が形成されていたりする場合にはその孔に挿通される突起とを適宜組み合わせることが挙げられる。トレイ100の載置面と反対側面には、後述の搬送側移送機8の保持部81によって、トレイ100を保持し易くするために切欠(図示略)が形成されていることが好ましい。
成形装置2からトレイ100への成形体20の載置は、成形体移送機7により行える。成形体20を加工装置3へ設置するためのトレイ100の成形体搬送路5からの持ち上げ、及びトレイ100の焼結体素材搬送路6への載置は、搬送側移送機8により行える。
[成形体移送機]
成形装置2により作製された成形体20の初期位置から所定位置(成形体搬送路5のトレイ100上)への載置は、成形体移送機7により行える。通常は、一旦成形用金型から成形体20を取り出してベルトコンベアなどで特定の箇所に搬送されるため、上記初期位置はその搬送された箇所とする。
成形体移送機7は、図2に示すように、成形体20を保持及び載置する保持部71と、保持部71に連結して保持部71で保持した成形体20を初期位置から所定位置(トレイ100上)に移送させるアーム72とを有する形態が挙げられる。この形態は、後述の焼結体素材移送機14でも同様とすることができる。
保持部71による成形体20の保持は、例えば、電磁石や真空パッドなどで吸着したり、ロボットハンドなどのマニピュレータで把持したりすることで行うことが挙げられる。把持する場合、成形体20の外側から内側に向かって作用する力で成形体20の外周を把持してもよいし、成形体20に軸孔が形成されている場合、軸孔に挿通して内側から外側に向かって作用する力で成形体20の内周を把持してもよい。この点は、加工側移送機9に備わる保持部91でも同様とすることができる。
ここでは、保持部71は開閉駆動するロボットハンドで構成し、成形体20の外周を把持する。ロボットハンドの開閉駆動は、モータと、後述の成形体移送制御部の保持部制御部による指令をモータに出力する回路となどを備えるアクチュエータで行える(いずれも図示略)。ロボットハンドの駆動と同様に、後述する成形体移送機7のアーム72の駆動、搬送側移送機8の保持部81及びスライド機構82の駆動、加工側移送機9の各保持部91の駆動及び切替(回転)とアーム92の駆動も、各部材に応じて制御部が異なるものの、例えばモータと回路となどを備えるアクチュエータにより行える。
成形体移送制御部は、コンピュータに備わり、成形体移送機7は、そのコンピュータによって制御される。この点は、後述の搬送側移送制御部及び加工側移送制御部でも同様である。
アーム72は、上下左右に駆動自在に設けられる。具体的には、アーム72は、保持部71を成形体20へ近づけるように下降したり、成形体20を初期位置から所定位置(図2紙面右から左)へ移送したり、保持部71が成形体20を配置した際、保持部71を成形体20から遠ざけるように上昇したり、所定位置から初期位置(図2紙面左から右)へ復帰したりする。
成形体移送機7は、ここでは2台の成形装置2に対して1台としているが、成形装置1台ごとに設けてもよい。
成形体移送機7により成形体搬送路5上のトレイ100に対して成形体20を移送する場合には、例えば、トレイ100が成形体搬送路5上で動かないようにトレイ100の進行を規制するストッパー(図示略)などを設けることが好ましい。なお、後述の待機ステージ10と同様のステージを別途設けて、成形体20のトレイ100への載置前に、そのトレイ100を成形体搬送路5からそのステージに一時的に待機させてもよい。その場合、ストッパーなどは設けなくてよいが、後述の搬送側移送機8と同様の移送機を備えることが挙げられる。その移送機で、ステージから成形体搬送路5へトレイ100を移送する。これらの点は、後述の焼結体素材移送機14でも同様である。
[待機ステージ]
成形体搬送路5上の成形体20を加工装置3へ設置する前、及び加工装置3の焼結体素材30を焼結炉4へ移送する前(ここでは、焼結体素材搬送路6上への載置前)に、成形体20及び焼結体素材30を一時的に待機させる待機ステージ10を備えることが好ましい。そうすれば、詳しくは後述の動作説明で行うが、加工装置3へ取り付ける成形体20と加工装置3から取り出した焼結体素材30との交換を行い易い。
待機ステージ10の設置箇所は、成形体搬送路5と加工装置3との間が挙げられる。待機ステージ10の大きさは、一個のトレイ100(成形体20)を載置できる程度が挙げられる。待機ステージ10では、成形体20を貯めるのが目的ではなく、加工側移送機9での成形体20及び焼結体素材30の保持と載置を行い易くするためだからである。待機ステージ10は、1ユニットの加工装置3ごとに設ける。この点は、搬送側移送機8、及び加工側移送機9でも同様である。
待機ステージ10のトレイ100の載置面には、トレイ100の周縁の対向箇所を把持してトレイ100の動きを規制するホールド部(図示略)を備えることが好ましい。そうすれば、トレイ100の位置ずれを抑制し易く、加工側移送機9による成形体20の保持を行い易い。
[搬送側移送機]
成形体搬送路5上の成形体20を保持して待機ステージ10への移送、及び待機ステージ10上の焼結体素材30を保持して焼結炉4への移送を行う搬送側移送機8を備えることが挙げられる(図3,図4)。図3,4では、上流側の搬送側移送機8を示し、説明の便宜上、加工側移送機9は省略して示している。ここでは、搬送側移送機8は、トレイ100ごと成形体20を待機ステージ10へ移送し、トレイ100ごと焼結体素材30を焼結体素材搬送路6へ移送する。
搬送側移送機8は、例えば、成形体20及び焼結体素材30を保持及び載置する保持部81と、保持部81に連結して保持部81を上下左右にスライドさせるスライド機構82とを備える形態が挙げられる。保持部81は、トレイ100の外側から開閉してトレイ100を把持及び載置する。
スライド機構82は、保持部81を上昇及び下降させる昇降スライド部82aと、保持部81を左右方向へ水平移動させる水平スライド部82bとを備える。左右方向とは、成形体搬送路5と焼結体素材搬送路6の並列方向に沿った方向とする。昇降スライド部82aは、保持部81の下降により保持部81を成形体20(トレイ100)へ近づけたり成形体20(トレイ100)を待機ステージ10や焼結体素材搬送路6へ載置したりする。また、保持部81の上昇により成形体20(トレイ100)を持ち上げたり保持部81を成形体20(トレイ100)から遠ざけたりする。水平スライド部82bは、左右方向の水平移動により保持部81を待機ステージ10と成形体搬送路5と焼結体素材搬送路6のそれぞれの上方へ位置させる。
[加工側移送機]
待機ステージ10上の成形体20を保持して加工装置3への取り付け、及び加工装置3から焼結体素材30を取り外して待機ステージ10上への載置には、加工側移送機9を用いることができる(図5,図6)。図5,6では、上流側の加工側移送機9を示し、説明の便宜上、搬送側移送機8を省略して示している。
加工側移送機9は、成形体20及び焼結体素材30の保持及び解放を行う二つの保持部91と、両保持部91が連結され、保持部91を待機ステージ10と加工装置3との間で移動させるアーム92とを備える。図5,6では説明の便宜上、保持部91を簡略化して示している。両保持部91は、アーム92の先端にこのアーム92の軸を中心に互いに連動して回転するように連結され、成形体20の保持及び解放と、焼結体素材30の保持及び解放とが切り替え自在である。アーム92による保持部91の移動は、具体的には待機ステージ10、一面加工機31、及び他面加工機32の各間で行う。
各保持部91の構成は、上述の成形体移送機7の保持部71と同様とすることができる。この保持部91により、待機ステージ10上の成形体20の保持、保持した成形体20の一面加工機31への取り付け、一面加工機31から成形体20の取り外し、一面加工機31から取り外した成形体20の他面加工機32への取り付け、他面加工機32から焼結体素材30の取り外し、他面加工機32から取り外した焼結体素材30の待機ステージ10への載置を行う。
アーム92は、一面加工機31と他面加工機32との間で、成形体移送機7と同様、上下左右に駆動自在に設けられる。具体的には、アーム92は、保持部91を待機ステージ10に近づけるように下降したり、一面加工機31へ近づけるように上昇及び回転したり、一面加工機31から他面加工機32へ近づけるように回転したりする。
[マーキング装置]
焼結体素材30の加工履歴を識別するマーキングを施すマーキング装置13を備えることが好ましい(図1)。加工履歴とは、例えば、焼結体素材30がいつ・どの加工装置3(切削加工機)で加工されたかを示す。即ち、マーキング装置13を備えることで、上述のように加工装置3を複数備える場合、更には、各加工装置3が複数の切削加工機を備える場合、マーキングを認識するだけで、焼結体素材30の加工時期と、加工装置3及び切削加工機の種類とを特定できる。
マーキングの種類としては、焼結時に加工履歴の消えないものであれば特に限定されない。マーキングの種類としては、例えば、バーコード(例えば、二次元)などが挙げられる。マーキング装置13には、市販のレーザーマーキング装置などを用いることができる。
マーキング装置13の設置箇所は、加工装置3と焼結炉4との間が挙げられる。より具体的には、マーキング装置13の設置箇所は、焼結体素材搬送路6と焼結炉4との間に、焼結体素材搬送路6とは独立して設置されている。
[焼結体素材移送機]
焼結体素材搬送路6上の焼結体素材30をマーキング装置13に移送する焼結体素材移送機14を備えることが挙げられる(図1)。上述したように、焼結体素材搬送路6の下流が成形体搬送路5の上流に連結している場合、焼結体素材移送機14は、焼結体素材30のみを移送し、トレイ100を焼結体素材搬送路6上に残したままとすることができる。それにより、トレイ100を成形装置2側まで搬送でき、トレイ100に次の成形体20を載置して再度加工装置3へ搬送するのに利用できる。焼結体素材移送機14は、上述の成形体移送機7と同様の保持部とアームとを備える形態が挙げられる(図示略)。
焼結体素材移送機14は、マーキング装置13と焼結炉4との位置関係(間の距離)にもよるが、焼結体素材30のマーキング装置13への移送に加えて、マーキング装置13から焼結炉4へマーキングが施された焼結体素材30の移送も兼ね備えることができる。勿論、焼結体素材移送機14とは別に、マーキングされた焼結体素材30を焼結炉4へ移送する移送機を別途備えていてもよい。
[成形体移送制御部]
図2の工程説明図を参照して、成形体移送制御部による成形体移送機7の制御手順を説明する。図2の黒塗り矢印は各部材の動きを示す。この点は、後述の図3〜6でも同様である。成形体移送制御部は、成形体移送機7による成形体20の保持、移送、及び載置の一連の動作を繰り返させて成形体20を一個ずつ初期位置から所定位置(成形体搬送路5のトレイ100上)に載置する。
成形体移送制御部は、入力部と、メモリと、保持部制御部と、アーム駆動制御部とを備える。入力部は、メモリに記憶させる設定データを入力する。メモリは、成形体20の移送元と移送先の位置情報などの設定データを記憶する。保持部制御部は、保持部71による成形体20の保持と配置とを制御する。アーム駆動制御部は、アーム72の初期位置から所定位置への移送と、所定位置から初期位置への復帰とを制御する。
まず、アーム72の駆動に必要な移送元の位置情報、成形体20を載置する移送先の位置情報の設定データの読み出しを行う。そして、アーム72が移送元の位置に位置している状態で成形装置2(図1)により作製された成形体20がベルトコンベアで移送元の位置に搬送されたら(図2上図)、アーム駆動制御部によりアーム72を下降させて、保持部71を成形体20の外側に位置させる。続いて、保持部制御部により保持部71を閉じて保持部71が成形体20の外周を把持する。
次に、アーム駆動制御部が、アーム72を上昇させると共に、予め記憶させていた設定データの成形体20の移送先の位置情報に基づきアーム72を移送元の位置から移送先の位置に移送させたら(図2中図)、アーム72を下降して保持部71をトレイ100に近づける。続いて、保持部制御部が、保持部71の成形体20を解放して、成形体20をトレイ100上に載置する。このとき、ストッパー(図示略)などでトレイ100の進行を成形体搬送路5上で規制しておくとよい。成形体搬送路5は連続して走行したままであるが、トレイ100はストッパーに保持されることで成形体搬送路5上をスライドし、成形体搬送路5上の所定位置に保持される。
その後、アーム駆動制御部が、アーム72を上昇させると共に移送先の位置から移送元の位置に復帰させる(図2下図)。
成形体20が載置されたトレイ100は、成形体搬送路5により加工装置3側へ搬送される(図2下図)。その後、次のトレイ100を用意し、成形体移送制御部による成形体移送機7の制御を繰り返し行う。
成形体移送制御部による成形体移送機7の制御は、成形装置2による成形体20の作製時間に合わせることが挙げられる。即ち、1台の成形装置2において成形体20の1個当たりの作製時間がN秒の場合、成形体移送制御部による成形体移送機7の制御は、N秒毎に成形体20を移送するようにする。そうすれば、成形体20が作製されるたびに成形体20を搬送できる。ここでは、2台の成形装置2に対して1台の成形体移送機7を用いるため、成形体移送機7の制御は、N/2秒毎に成形体20を移送するように行う。
[搬送側移送制御部]
図3,4の工程説明図を参照して、搬送側移送制御部による搬送側移送機8の制御手順を説明する。図3,4の成形体20、トレイ100、焼結体素材30(図4)には、説明の便宜上、括弧付きのローマ数字を下付きしている。このローマ数字は、成形体20、トレイ100、焼結体素材30の番号を示す。この点は、後述の図5,6でも同様である。図3は、搬送側移送機8による成形体搬送路5から待機ステージ10への成形体20(トレイ100)の移動動作を示す。図4は、搬送側移送機8による待機ステージ10から焼結体素材搬送路6への焼結体素材30(トレイ100)の移動動作を示す。
搬送側移送制御部は、搬送側移送機8による成形体搬送路5上のトレイ100の待機ステージ10上への載置と、待機ステージ10上のトレイ100の焼結体素材搬送路6への載置とを繰り返させる。搬送側移送制御部は、入力部と、メモリと、センサと、カウンターと、保持部制御部と、スライド駆動制御部とを備える。
入力部は、メモリに記憶させる設定データを入力する。メモリは、成形体20(トレイ100)の移送元と移送先の位置情報などの設定データを記憶する。センサは、成形体搬送路5の所定の位置を通過する成形体20を検知する。カウンターは、センサの検知結果に基づき通過した成形体20の数をカウントする。保持部制御部及びスライド駆動制御部は、カウント数に基いて成形体20(トレイ100)を保持及び配置を行うか否かを制御する。具体的には、保持部制御部は、保持部81による成形体20(トレイ100)の保持と配置とを制御する。スライド駆動制御部は、昇降スライド部82aの下降及び上昇と、水平スライド部82bを初期位置(焼結体素材搬送路6の上方)から移送元の位置への移送、移送元の位置から移送先への移送、及び移送先の位置から初期位置への復帰とを制御する。移送元及び移送先の組み合わせとして、成形体搬送路5及び待機ステージ10と、待機ステージ10及び焼結体素材搬送路6が挙げられる。
保持部制御部及びスライド駆動制御部は、例えば、本例のように複数の加工装置3を備える場合、各加工装置3に対応する搬送側移送機8に対して、全て同じ制御を行ってもよいが、最下流の加工装置3に対応する搬送側移送機8に対して、カウント数に基づくことなく全ての成形体20(トレイ100)を保持及び載置するように制御することが挙げられる。
例えば、本例のように加工装置3が2ユニットであれば、保持部制御部及びスライド駆動制御部は、上・下流の加工装置3に対応する搬送側移送機8に対し以下の制御を行う。上流側の搬送側移送機8に対しては、搬送される成形体20が奇数番目の場合にその成形体20が載置されるトレイ100を把持するように制御する。搬送される成形体20が偶数番目の場合には把持することなく下流側へ搬送される。下流側の搬送側移送機8に対しては、全てのトレイ100(成形体20)を把持するように制御する。即ち、奇数番目の成形体20は、上流側の加工装置3へ移送され、偶数番目の成形体20は、下流側の加工装置3へ移送される。
例えば、加工装置3が3ユニットであれば、保持部制御部及びスライド駆動制御部は、上・中・下流の加工装置3(ユニット)のそれぞれに対応する搬送機側移送機8に対して、以下の制御を行う。最上流の搬送側移送機8に対しては、「搬送される成形体20のカウント数nをユニット数で割った余りが1」の場合、即ち、搬送される成形体20が「n=1,4,7,…」番目の場合に、その成形体20が載置されるトレイ100を把持するように制御する。それ以外のトレイ100は搬送側移送機8で把持することなく下流側へ搬送される。中流の搬送側移送機に対しては、「上記余りが2」の場合、即ち、搬送される成形体20が「n=2,5,8,…」番目の場合に、その成形体20のトレイ100を把持するように制御する。「上記余りが0」の場合、即ち、「n=3,6,9,…」番目の成形体20のトレイ100は把持されることなく下流へ搬送される。下流の搬送側移送機に対しては、全てのトレイ100(成形体20)を把持するように制御する。
保持部制御部及びスライド駆動制御部の制御による保持部81及びスライド機構82の具体的な動作を説明する。まず、スライド機構82の駆動に必要な移送元の位置情報、成形体20を載置する移送先の位置情報の設定の読み出しを行う。次に、成形体搬送路5により所定の位置に搬送されたトレイ100(図3上図)をセンサが検知し、カウンターが成形体20の数をカウントする。
上流側の搬送側移送機8では、カウント数が成形体20を保持する奇数番目の場合、スライド駆動制御部により水平スライド部82bを初期位置から成形体搬送路5上方に水平移動させる(図3中上図)。続いて、スライド駆動制御部により昇降スライド部82aを下降させて保持部81をトレイ100(奇数番目)の外側に位置させる。次に、保持部制御部により保持部81を閉じて保持部81がトレイ100の外周を把持する。次に、スライド駆動制御部が、昇降スライド部82aを上昇させ、水平スライダ82bを成形体搬送路5上方から待機ステージ10上方へ水平移動させ、昇降スライド部82aを下降させて、保持部81を待機ステージ10に近づける。次に、保持部制御部が、保持部81を開いてトレイ100を解放し、トレイ100を待機ステージ10に載置する(図3中下図)。その後、スライド駆動制御部が、昇降スライド部82aを上昇させ、水平スライド部82bを待機ステージ10上方から焼結体素材搬送路6上方の初期位置へ水平移動させる(図3下図)。
カウント数が成形体20を保持しない偶(奇)数番目の場合、保持部制御部及びスライド駆動制御部は保持部81及びスライド機構82に対して動作させることなく、そのトレイ100(偶数番目)は下流側の加工装置3へ搬送される。下流側の搬送側移送機では、搬送されてくる全てのトレイ100を待機ステージ10に移送する。この移送動作は、上述した上流側のスライド機構82及び保持部81と同様に下流側のスライド機構及び保持部を制御することで行う。
加工側移送機9により待機ステージ10のトレイ100上の成形体20が保持(成形体が1〜3個目)、又はトレイ100上の成形体20と加工装置3の焼結体素材30(図4上図では二点鎖線で示す)とが待機ステージ10上で交換されて焼結体素材30がトレイ100上に載置されたら(成形体が4個目以降)、スライド駆動制御部が、水平スライド部82bを初期位置から待機ステージ10上方へ水平移動させる(図4上図)。続いて、スライド駆動制御部が、昇降スライド部82aを下降させて保持部81を待機ステージ10上のトレイ100の外側に位置させる。その後、保持部制御部により保持部81を閉じて保持部81がトレイ100の外周を把持する。
次に、スライド駆動制御部が、昇降スライド部82aを上昇させ、水平スライド部82bを待機ステージ10上方から焼結体素材搬送路6上方へ水平移動させると共に、昇降スライド部82aを下降させて保持部81を焼結体素材搬送路6に近づける(図4下図)。続いて、保持部制御部が、保持部81を開いてトレイ100を解放し、トレイ100を焼結体素材搬送路6上に載置する。
トレイ100のみ(焼結体素材30が載置されていない)、又は焼結体素材30が載置されたトレイ100が焼結体素材搬送路6により成形装置2側へ搬送される。スライド駆動制御部が、昇降スライド部82aを上昇させ、初期位置に復帰させる(図3上図)。
搬送側移送機8で成形体搬送路5上のトレイ100を保持する際、成形体搬送路5の進行を規制することなく成形体搬送路5上でトレイ100の位置を保持するストッパー(図示略)などを設けることが好ましい。ストッパーにより成形体搬送路5上でトレイ100を一時的に待機させておくことで、成形体20(トレイ100)を保持部81により保持させ易い。このストッパーは成形体搬送路5の側縁に設けてもよいが、保持部81に設けて保持部81がストッパーを兼ねてもよい。保持部81がストッパーを兼ねる場合、センサで成形体20を検知したら保持部81を成形体搬送路5上で予め待機させておく。トレイ100が保持部81の内側にまで来たら、その保持部81の内側で一時的にトレイ100の進行を規制すればよい。トレイ100の進行を規制してから保持部81でトレイ100を把持すると容易に把持できる。保持部81を成形体搬送路5上に待機させるには、トレイ100を把持する位置(移送元)にトレイ100が到着するタイミングを演算しておけばよい。例えば、成形体搬送路5の搬送速度と、センサとトレイ100の移送元との間の距離とから上記タイミングを演算して、成形体20が移送元に搬送されてくる前に保持部81及びスライド機構82を移送元に移動させるとよい。
[加工側移送制御部]
図5,6の工程説明図を参照して、加工側移送制御部による加工側移送機9の制御手順を説明する。図5は、加工側移送機9による待機ステージ10から一面加工機31、一面加工機31から他面加工機32へのアーム92の移動動作と、その移動の際の成形体20の保持動作及び成形体20同士の交換動作を示す。図6は、加工側移送機9による他面加工機32から待機ステージ10へのアーム92の移動動作と、その移動の際の焼結体素材30の保持動作及び焼結体素材30と成形体20との交換動作を示す。加工側移送制御部は、加工側移送機9により待機ステージ10の成形体20の一面加工機31への取り付けと、成形体20の一面加工機31から他面加工機32への取り付けと、他面加工機32から焼結体素材30の取り外しと共に待機ステージ10への載置とを繰り返させる。なお、焼結体素材30の待機ステージ10上への載置は、待機ステージ10上の成形体20と交換により行う場合がある。
加工側移送制御部は、入力部と、メモリと、保持部制御部と、保持部切替制御部と、アーム駆動制御部とを備える。入力部は、メモリに記憶させる設定データを入力する。メモリは、成形体20の所定箇所(設置箇所)などの設定データを記憶する。保持部制御部は、保持部91による成形体20及び焼結体素材30の保持及び解放を制御する。保持部切替制御部は、各保持部91による成形体20及び焼結体素材30の保持及び解放の切替を制御する。アーム駆動制御部は、アーム92を待機ステージ10、一面加工機31、及び他面加工機32の各間での移動を制御する。
(1,2個目の成形体)
1ユニットの加工装置3において、1,2個目の成形体20に対する加工側移送機9の制御は次のようにして行う。
まず、搬送側移送機8により待機ステージ10上にトレイ100が載置されたら、アーム駆動制御部がアーム92を下降させて、一方の保持部91を成形体20の外側に位置させる。続いて、保持部制御部が一方の保持部91を閉じて成形体20の外周を把持する。アーム駆動制御部が、アーム92を上昇させると共に、アーム92を一面加工機31側に移動して一方の保持部91を一方の一面加工機31に近づける。一面加工機31のチャックに成形体20を把持させたら、保持部制御部が、一方の保持部91を開いて成形体20を解放する。そうして、成形体20の一面加工機31への受け渡しが完了する。同様にして他方の一面加工機31へ成形体20を設置する。
(3個目の成形体)
3個目の成形体20の場合には、まず、1,2個目の制御手順と同様、アーム駆動制御部によるアーム92の下降、保持部制御部による一方の保持部91での成形体20を保持、アーム駆動制御部によるアーム92の上昇を行う(図5上図)。
次に、アーム駆動制御部が、アーム92を一面側加工機31側へ移動させて、他方の保持部91を一方の一面加工機31に近づける。続いて、保持部制御部が、他方の保持部91を閉じて一方の一面加工機31に取り付けられた成形体20を把持して取り外す(図5中上図)。この成形体20を保持部91により把持した際に、一方の一面加工機31のチャックによる成形体20の把持を解除する。
次に、保持部切替制御部が、両保持部91をアーム92を中心に回転させて一方の保持部91を一方の一面加工機31に対面させる。アーム駆動制御部がアーム92を一方の一面加工機31に近づけて一方の保持部91の成形体20をチャックに把持させる。このチャックに成形体20を把持させたら、保持部制御部が、一方の保持部91の成形体20を解放する。こうして、待機ステージ10上の成形体20と一面加工機31の成形体20との交換が行われる(図5中下図)。
次に、アーム駆動制御部がアーム92を回転させると共に保持部切替制御部が両保持部91を回転させて他方の保持部91を他面加工機32に近づけ、他方の保持部91の成形体20を他面加工機32のチャックに把持させる。このチャックに成形体20を把持させたら、保持部制御部が、他方の保持部91の成形体20を解放させる。こうして、2台の一面加工機31と、1台の他面加工機32に成形体20が取り付けられた状態となる(図5下図)。
(4個目の成形体)
4個目の成形体20の場合には、他面加工機32による成形体20の加工が完了して焼結体素材30が作製されたら、アーム駆動制御部がアーム92を他面加工機32側へ移動して他方の保持部91を他面加工機32に近づける。続いて、保持部制御部が、他方の保持部91を閉じて他面加工機32のチャックに把持させていた焼結体素材30を把持して取り外す(図6上図)。
次に、アーム駆動制御部がアーム92を待機ステージ10側へ移動させて、一方の保持部91を待機ステージ10上方へ移動させる。続いて、アーム駆動制御部がアーム92を下降させて、一方の保持部91を待機ステージ10上の成形体20の外側に位置させる。続いて、保持部制御部が一方の保持部91を閉じて成形体20の外周を把持する。続いて、アーム駆動制御部がアーム92を上昇させる(図6中上図)。
次に、保持部切替制御部が両保持部91を回転させ、他方の保持部91を待機ステージ10と対面させる。続けて、アーム駆動制御部がアーム92を下降させて他方の保持部91を待機ステージ10に近づけたら、保持部制御部が他方の保持部91を開いて焼結体素材30を待機ステージ10上のトレイ100に載置する(図6中下図)。
次に、アーム駆動制御部がアーム92を上昇する(図6下図)。
以降の制御は、上述した3個目の成形体20に対する制御と略同様にして、保持した待機ステージ10上の成形体20と一面加工機31での加工が完了した成形体20との交換、及びその成形体20の他面加工機32への取り付けを行う。但し、一面加工機31の成形体20との交換の前に、保持部切替制御部が両保持部91を回転させる点が、上述した3個目の成形体20に対する制御と相違する。
(5個目以降の成形体)
5個目以降の成形体20に対する加工側移送機9の制御は、上述の4個目の成形体20に対する制御と同様であり、繰り返し行う。
[成形体及び焼結体素材の移動の説明]
図7を用いて、図3〜図6で説明した搬送側移送機及び加工側移送機の動作による成形体及び焼結体素材の動きを説明する。図中の丸括弧付き数字は成形体の番号を示し、角括弧付き数字はトレイの番号を示し、丸付き数字は動作の順番を示す。加工装置欄に示す図面左側の四角枠は一面加工機を示し、図面右側の四角枠は他面加工機を示す。この四角枠の空欄は、各加工機に成形体が設置されていない状態を示し、四角枠内の丸括弧付き数字はその数字に対応する番号の成形体が設置された状態を示す。また、ハッチングは、一面加工機による加工が完了したことを示し、クロスハッチングは、一面加工機及び他面加工機の両方の加工が完了した、即ち焼結体素材が作製されたことを示す。その他、「待」は待機ステージを、「往」は成形体搬送路を、「復」は焼結体素材搬送路を示す。ここでは、上流側の加工装置を例に成形体及び焼結体素材の移動を説明し、下流側の加工装置における上記移動は、上流側と同じであるため説明及び図示を省略する。
(ステップS0)
図示は省略しているが、製造開始時のいずれの加工機にも成形体が取り付けられていない状態から、搬送側移送機により、成形体(1)が載置されたトレイ[1]は成形体搬送路上から待機ステージ上に移送される(成形体とトレイ番号は適宜図7上図のステップS1を参照)。そして、成形体(2)が載置されたトレイ[2]は、搬送側移送機により待機ステージに移送されることなく、成形体搬送路により下流側の加工装置へ搬送される。成形体搬送路上では、成形体(3)が載置されたトレイ[3]以降のトレイが順次搬送される。
(ステップS1)
〈加工側移送機〉
加工側移送機により、待機ステージ上の成形体(1)は一方の一面加工機へ取り付けられる。
〈搬送側移送機〉
搬送側移送機により、トレイ[1]は何も載置されないまま焼結体素材搬送路へ移送される。次に、搬送側移送機により、トレイ[3]が待機ステージに移送される。そして、成形体(4)が載置されたトレイ[4]は、搬送側移送機により待機ステージに移送されることなく、成形体搬送路により下流側の加工装置へ搬送される。
(ステップS2)
〈加工側移送機〉
加工側移送機により、待機ステージ上の成形体(3)は他方の一面加工機へ取り付けられる。
〈搬送側移送機〉
取り扱うトレイと成形体の番号が次の奇数番目である点を除き、成形体(焼結体素材)の動きは、ステップS2以降、ステップS1と同様である。そのため、以降のステップでは説明を省略する。
(ステップS3)
加工側移送機の一方の保持部により、待機ステージ上の成形体(5)を保持する。続いて、一方の一面加工機での加工が完了した成形体(1)を加工側移送機の他方の保持部で取り外し、その一面加工機に一方の保持部の成形体(5)を取り付ける。続いて、他方の保持部の成形体(1)を他面加工機へ取り付ける。なお、説明は省略しているが、搬送側移送機によるトレイ[5]の焼結体素材搬送路への移送は、一方の保持部による成形体(5)の保持後であればいつでもよく、成形体(1)の他面加工機への取り付けと同時でもそれよりも前でもよい。
(ステップS4)
他面加工機での加工が完了した焼結体素材(1)を加工側移送機の一方の保持部で取り出す。続いて、待機ステージ上の成形体(7)を加工側移送機の他方の保持部で保持し、加工側移送機の一方の保持部で保持した焼結体素材(1)を待機ステージ上のトレイ[7]へ載置する。その後、他方の一面加工機での加工が完了した成形体(3)の取り外しと、成形体(7)の他方の一面加工機への取り付けと、成形体(3)の他面加工機への取り付けとは、ステップS3と同様にして行う。このとき、成形体(3)の取り外しと成形体(7)の取付けとは、前回のステップS3とは異なる一面加工機に対して行われる。なお、搬送側移送機によるトレイ[7]の焼結体素材搬送路への移送は、焼結体素材(1)のトレイ[7]への載置後であれば、成形体(3)の取り外しと同時でもそれよりも前でもよい。
(ステップS5)
取り扱う成形体、トレイ、及び焼結体素材の番号が次の奇数番目である点と、一面加工機での加工が完了した成形体の一面加工機からの取り外し、及び成形体の一面加工機への取付けを、前回のステップとは異なる一面加工機に対して行う点とを除き、成形体及び焼結体素材の動きはステップS4と同様である。
(ステップS6以降)
ステップS4とステップS5とを繰り返し行う。
[タイムチャート]
図8のタイムチャートを参照して、上述の搬送側移送機、及び加工側移送機の動作のタイミングを説明する。図8に示すタイムチャートは、2台の成形装置と2ユニットの加工装置とを有する焼結体の製造装置におけるタイムチャートである。各加工装置には、2台の一面加工機と1台の他面加工機とを備える。図8の丸付き数字は、成形体の番号を示す。1マスが「N/2」秒であり、マスを跨ぐ四角枠は、「N/2」秒以上の加工を行っていることを示す。復路欄の「空」とは、トレイに何も載置されずに焼結体素材搬送路により搬送されたことを示す。
N秒毎に1個の成形体を作製する成形装置が2台あるとき、「N/2」秒毎に1個の成形体が作製される。そして、1個の成形体に対する加工装置の総加工時間が3N秒(一面が2N秒、裏面がN秒)かかるとすると、成形体の各加工装置への取り付け、各加工装置における成形体の一面加工機への取り付けが次のタイミングで行われるように、搬送路側移送機、及び加工側移送機を駆動する。
上流側と下流側の各加工装置へ成形体の取り付けは、互いに「N/2」秒ずつずらして行う。具体的には、上流側の加工装置に成形体を取り付けたら、その「N/2」秒後に下流側の加工装置に成形体を取り付け、更に「N/2」秒後に上流側の加工装置に成形体を取り付けることを繰り返す。そうすると、各加工装置における成形体の一方と他方の一面加工機への取り付けは、N秒ずつずれる。具体的には、上流側の加工装置において一方の一面加工機に成形体を取り付けたら、その「N」秒後に他方の一面加工機に成形体が取り付けられる。そして、更に「N」秒後には一方の一面加工機の成形体が取り外されて、次の成形体が取り付けられる。このとき、一面加工機から取り外された成形体は他面加工機に取り付けられる。即ち、他面加工機への成形体の取り付けも「N」秒ごとに行われる。この点は、下流側の加工装置でも同様である。
このように、上流側の加工装置へ成形体が取り付けられたら、下流側の加工装置への成形体の取り付けは、成形体の1個当たりの作製時間と同様の時間(「N/2」秒)を空けてから行う。そうすると、各加工装置における一方の一面加工機へ成形体が取り付けられたら、他方の一面加工機への成形体の取り付けは、「N」秒後になる。その結果、成形体の1個あたりの作製時間(N/2)と、1個の成形体に対する総加工時間(3N)との差が非常に大きくても、両加工装置から移送される焼結体素材の移送時間を成形体の1個当たりの作製時間と実施的に同一とすることができ、成形体の作製から焼結体素材の作製まで滞ることなく連続して行える。
[焼結体の製造装置の作用効果]
上述の焼結体の製造装置によれば、1台の成形装置における成形体の1個の作製時間と、1個の成形体に対する総加工時間とに大きな差がある場合でも、成形から加工まで一連に連続して行えるため、焼結体の生産性を向上できる。また、成形体の成形体搬送路への移送から焼結体素材の焼結炉への移送までの一連の過程を人手を介することなく全て自動で行えるため、人手の成形体や焼結体素材への接触に伴う損傷や、人手を介することに伴うロスを低減できる。
[焼結体の製造方法]
焼結体の製造方法は、成形体を作製する成形工程と、成形体に切削加工を施して焼結体素材を作製する加工工程と、焼結体素材を焼結する焼結工程とを備える。この焼結体の製造方法の主たる特徴とするところは、成形、及び加工の各工程をインラインで行う点にある。ここでは、焼結体の製造には、上述の焼結体の製造装置1を用いる。
(成形工程)
成形工程は、金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する。この成形体は、後述の焼結を経て製品化される機械部品の素材である。上述したように機械部品の形状に応じた成形用金型を用いることが挙げられる。
金属粉末の種類は、上述の機械部品の種類に応じて適宜選択でき、例えば、鉄や鉄を主成分とする鉄合金などが挙げられる。成形体は、潤滑剤を含有していることが好ましい。上記のように原料粉末を圧縮成形して成形体を作製する際に、原料粉末が潤滑剤を含有することで成形時の潤滑性が高められ成形性が向上するからである。成形体の形状・サイズは、上記機械部品の最終形状に沿った形状・サイズである。成形の圧力は、例えば250MPa以上800MPa以下が挙げられる。
(加工工程)
加工工程は、成形体に切削加工を施して焼結体素材を作製する。切削加工としては、上述したように代表的には穴あけ加工が挙げられる。穴あけ加工の加工条件はドリルの種類、形成する孔のサイズや形成箇所などに応じて適宜選択できる。ドリル刃先の切削速度は、通常200m/min程度であるが、その2倍以上、即ち400m/min以上が可能である。
(焼結工程)
成形体を焼結して焼結体を作製する。この焼結は、上述の焼結部により行う。焼結温度は、成形体の材質に応じて焼結に必要な温度を適宜選択することができ、例えば、鉄系焼結体の場合、1000℃以上、更に1100℃以上、特に1200℃以上が挙げられる。焼結時間は、凡そ20分以上150分以下が挙げられる。
[焼結体の製造方法の作用効果]
上述の焼結体の製造方法によれば、成形と加工の各工程をインラインで行うことで、成形から加工までを短縮させられるため、焼結体を生産性よく製造できる。
本発明の一態様に係る焼結体の製造装置及び焼結体の製造方法は、各種の一般構造用部品(スプロケット、ローター、ギア、リング、フランジ、プーリー、軸受けなどの機械部品などの焼結体)の製造に好適に利用できる。
1 焼結体の製造装置
2 成形装置
20 成形体
3 加工装置
30 焼結体素材
31 一面加工機 32 他面加工機
4 焼結炉
5 成形体搬送路(往路)
6 焼結体素材搬送路(復路)
7 成形体移送機
71 保持部 72 アーム
8 搬送側移送機
81 保持部
82 スライド機構 82a 昇降スライド部 82b 水平スライド部
9 加工側移送機
91 保持部 92 アーム
10 待機ステージ
13 マーキング装置
14 焼結体素材移送機
100 トレイ
例えば、加工装置3が3ユニットであれば、保持部制御部及びスライド駆動制御部は、上・中・下流の加工装置3(ユニット)のそれぞれに対応する搬送側移送機8に対して、以下の制御を行う。最上流の搬送側移送機8に対しては、「搬送される成形体20のカウント数nをユニット数で割った余りが1」の場合、即ち、搬送される成形体20が「n=1,4,7,…」番目の場合に、その成形体20が載置されるトレイ100を把持するように制御する。それ以外のトレイ100は搬送側移送機8で把持することなく下流側へ搬送される。中流の搬送側移送機に対しては、「上記余りが2」の場合、即ち、搬送される成形体20が「n=2,5,8,…」番目の場合に、その成形体20のトレイ100を把持するように制御する。「上記余りが0」の場合、即ち、「n=3,6,9,…」番目の成形体20のトレイ100は把持されることなく下流へ搬送される。下流の搬送側移送機に対しては、全てのトレイ100(成形体20)を把持するように制御する。
上流側の搬送側移送機8では、カウント数が成形体20を保持する奇数番目の場合、スライド駆動制御部により水平スライド部82bを初期位置から成形体搬送路5上方に水平移動させる(図3中上図)。続いて、スライド駆動制御部により昇降スライド部82aを下降させて保持部81をトレイ100(奇数番目)の外側に位置させる。次に、保持部制御部により保持部81を閉じて保持部81がトレイ100の外周を把持する。次に、スライド駆動制御部が、昇降スライド部82aを上昇させ、水平スライド部82bを成形体搬送路5上方から待機ステージ10上方へ水平移動させ、昇降スライド部82aを下降させて、保持部81を待機ステージ10に近づける。次に、保持部制御部が、保持部81を開いてトレイ100を解放し、トレイ100を待機ステージ10に載置する(図3中下図)。その後、スライド駆動制御部が、昇降スライド部82aを上昇させ、水平スライド部82bを待機ステージ10上方から焼結体素材搬送路6上方の初期位置へ水平移動させる(図3下図)。
次に、アーム駆動制御部が、アーム92を一面加工機31側へ移動させて、他方の保持部91を一方の一面加工機31に近づける。続いて、保持部制御部が、他方の保持部91を閉じて一方の一面加工機31に取り付けられた成形体20を把持して取り外す(図5中上図)。この成形体20を保持部91により把持した際に、一方の一面加工機31のチャックによる成形体20の把持を解除する。

Claims (9)

  1. 金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する成形装置と、
    前記成形体に切削加工を施して焼結体素材を作製する加工装置と、
    前記成形装置と前記加工装置とを一連に連結して前記成形体を個々に前記成形装置から前記加工装置へ搬送する成形体搬送路とを備える焼結体の製造装置。
  2. 前記成形装置で作製された前記成形体を保持して前記成形体搬送路に移す成形体移送機を備える請求項1に記載の焼結体の製造装置。
  3. 前記成形体搬送路と前記加工装置との間に設けられ、前記成形体搬送路上の前記成形体を前記加工装置へ設置する前、及び前記加工装置の前記焼結体素材を焼結炉へ移送する前に、前記成形体及び前記焼結体素材を一時的に待機させる待機ステージと、
    前記成形体搬送路上の前記成形体を保持して前記待機ステージへの移送、及び前記待機ステージ上の前記焼結体素材を保持して前記焼結炉への移送を行う搬送側移送機とを備える請求項1又は請求項2に記載の焼結体の製造装置。
  4. 1台の前記成形装置における前記成形体1個当たりの作製時間をN秒、一個の前記成形体に対する前記切削加工の総加工時間をM秒とし、「(M/N)=整数」を満たすとき、前記加工装置はM/N個の切削加工機を有し、
    前記待機ステージの前記成形体を保持して前記切削加工機への取り付け、及び前記切削加工機から前記焼結体素材を取り外して前記待機ステージへの載置を行う加工側移送機を備え、
    前記加工側移送機は、N秒毎に前記各切削加工機へ順に前記成形体を取り付ける請求項3に記載の焼結体の製造装置。
  5. M/N個の前記切削加工機の一部は前記成形体の一面側から加工する一面加工機であり、他部は前記成形体の他面側から加工する他面加工機である請求項4に記載の焼結体の製造装置。
  6. 前記加工側移送機は、
    前記成形体及び焼結体素材の保持及び解放を行う二つの保持部と、
    二つの前記保持部が連結され、前記保持部を前記待機ステージ、前記一面加工機、及び前記他面加工機の各間で移動させるアームとを備え、
    前記各保持部は、前記成形体の保持及び解放と、前記焼結体素材の保持及び解放とが切り替え自在である請求項5に記載の焼結体の製造装置。
  7. 前記加工装置と前記焼結炉との間に設けられ、前記焼結体素材の加工履歴を識別するマーキングを施すマーキング装置を備える請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の焼結体の製造装置。
  8. 前記成形体が載置され、前記成形体搬送路で搬送されるトレイを備える請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の焼結体の製造装置。
  9. 金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する成形工程と、
    前記成形体に切削加工を施して焼結体素材を作製する加工工程とを備え、
    前記成形、及び加工の各工程をインラインで行う焼結体の製造方法。
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