JP2019123215A - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents

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宮澤 和利
Kazutoshi Miyazawa
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Abstract

【課題】境目が目立たない高画質の画像を形成すること。【解決手段】インクを複数のノズルから吐出する塗布ヘッドを被対象物に対して往復に走査させ、被対象物にインクの着弾痕を形成する印刷方法であって、複数のノズルを所定数ずつに分けた複数のノズル領域を設定し、往路走査と復路走査とで、複数のノズル領域に対する被対象物の相対位置のずらし方向を逆にし、相対位置のずらし量を異なるようにする。往路走査では、少なくとも、予め定められた数のノズル領域に相当する着弾痕が被対象物に直に形成されるように、所定数のノズル領域からインクを吐出させる。復路走査では、直前の往路走査までに形成された着弾痕の上に新たな着弾痕の全部が積み重なり、かつ、隣接する着弾痕同士の高さに走査2回分以上の段差が生じないように、所定数のノズル領域からインクを吐出させる。【選択図】図7

Description

本発明は、インクを吐出する塗布ヘッドを往復走査させて被対象物に画像を形成する印刷装置および印刷方法に関する。
インクジェット法による画像形成では、塗布ヘッドの製造時のノズルの加工ばらつきによるインクの吐出量や方向の不安定化、インク吐出時におけるノズルの穴つまりなどにより、画像にスジや色むら(濃淡むらともいう。以下同様)が生じる場合がある。このようなノズルの吐出状態の不安定性や不吐出による画像劣化を改善するために、一般的にマルチパス方式が採用されている。
マルチパス方式では、塗布ヘッドにある複数のノズル列を、複数の領域(以下、ノズル領域という)に分割する。分割したノズル領域ごとに、塗布ヘッドを被対象物(記録媒体)に対して走査させるとともに、送り方向(被対象物を走査方向と交差する方向)に搬送しながらインクを繰り返し吐出させて段階的に画像を形成させる。
このように、マルチパス方式では、分割したノズル領域ごとにインクの吐出を繰り返して段階的に画像を形成させる。そのため、特定のノズルの吐出状態が悪く、吐出量や吐出方向のばらつき、インクの不吐出が発生しても、その特性が特定の場所に集中せず分散されるので、画質劣化が抑えられた画像を得ることができる。
しかしながら、マルチパス方式により画像を形成する場合、同一の画像領域に対し複数回のインクを吐出させながら塗布ヘッドの走査をしなければならない。よって、マルチパス方式で画像を形成する場合、印刷時間が長くなる。マルチパス数を多くするほど画像品位は上がるがスループットは低下するため、画像品位とスループットはトレードオフの関係となる。
そこで、マルチパス方式では、スループットを向上させるために、往路走査と復路走査の双方で記録を行う往復印刷が実施されている。しかし、マルチパス方式による往復印刷においては、印刷された画質に対して色むらが発生する問題がある。
一般的に、カラーの印刷を行う場合、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクを吐出するために4つの塗布ヘッドを並べた構成のインクジェット装置を用いる。
図1は、インクジェット装置における塗布ヘッド1の配列の一例を示す模式図である。図1に示したインクジェット装置を用いてマルチパス方式による往復印刷を実施する場合、まず、往路走査(往路印刷)においてK→C→M→Yの順でインクが被対象物へ吐出される。そして、分割されたノズル領域1つ分だけ被対象物が送り方向に搬送された後、復路走査(復路印刷)においてY→M→C→Kの順でインクが被対象物へ吐出される。よって、塗布ヘッド1から被対象物に吐出されるインクの積み重なりの順が、ノズル領域ごとに往路印刷と復路印刷とで異なり、これが色むらを引き起こす。図2を用いて、以下、具体的に説明する。
図2は、一般的な4パスのマルチパス方式(マルチパス方式の一例)の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合の塗布手順を示す模式図である。
4パスのマルチパス方式の場合、図2に示すように、図1に示した塗布ヘッド1のノズル領域は1/4ずつに分割される(ノズル領域A〜D)。そして、塗布ヘッド1による往路走査または復路走査と、被対象物の1/4領域分の搬送動作とを交互に繰り返すことにより、被対象物の画像領域には順次画像が形成されていく。
例えば、図2に示した画像1は、以下の順序で形成される。
まず、1パス目(往路走査)では、塗布ヘッド1のノズル領域AによってK→C→M→Yの順に被対象物にインクが塗布される。
次に、被対象物が1/4のノズル領域分搬送された後の2パス目(復路走査)では、塗布ヘッド1のノズル領域BによってY→M→C→Kの順に被対象物にインクが塗布される。
次に、被対象物が1/4のノズル領域分搬送された後の3パス目(往路走査)では、塗布ヘッド1のノズル領域CによってK→C→M→Yの順に被対象物にインクが塗布される。
次に、被対象物が1/4のノズル領域分搬送された後の4パス目(復路走査)では、塗布ヘッド1のノズル領域DによってY→M→C→Kの順に被対象物にインクが塗布される。
一方で、例えば、画像1に隣接する画像2は、以下の順序で形成される。画像2は、2パス目から形成が開始される。
まず、被対象物が1/4のノズル領域分搬送された後の2パス目(復路走査)では、塗布ヘッド1のノズル領域AによってY→M→C→Kの順に被対象物にインクが塗布される。
次に、被対象物が1/4のノズル領域分搬送された後の3パス目(往路走査)では、塗布ヘッド1のノズル領域BによってK→C→M→Yの順に被対象物にインクが塗布される。
次に、被対象物が1/4のノズル領域分搬送された後の4パス目(復路走査)では、塗布ヘッド1のノズル領域CによってY→M→C→Kの順に被対象物にインクが塗布される。
次に、被対象物が1/4のノズル領域分搬送された後の5パス目(往路走査)では、塗布ヘッド1のノズル領域DによってK→C→M→Yの順に被対象物にインクが塗布される。
このように、画像1と画像2とでは、ノズル領域ごとに往路と復路とで塗布ヘッド1から吐出されるインクの順番が異なるため、往路と復路との間で色むらが発生する。
このような往路印刷における色むらの発生を回避できる技術が特許文献1に開示されている。特許文献1の印刷方法では、往路走査と復路走査とにおいて塗布ヘッドから吐出されるインクの順番を同じにすることで、色むらの無い画像を形成できるとしている。以下、図3を用いて、特許文献1の印刷方法について説明する。
図3は、特許文献1に開示された4パスのマルチパス方式の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合の塗布手順を示す模式図である。
この特許文献1の方法も、上記図2の説明と同様に、塗布ヘッドのノズル領域が1/4ずつに分割され、塗布ヘッドによる往路走査または復路走査と、被対象物の1/4領域分の搬送動作とを交互に繰り返すことにより、被対象物の画像領域に順次画像を形成する。
ただし、特許文献1の方法では、図3に示すように、1パス目(往路走査)で使用するノズル領域を、ノズル領域Aおよびノズル領域Bとしている。よって、まず、1パス目(往路走査)では、ノズル領域A、BによってK→C→M→Yの順に被対象物にインクが塗布される。
次に、被対象物が1/4のノズル領域分搬送された後の2パス目(復路走査)では、ノズル領域B、CによってY→M→C→Kの順に被対象物にインクが塗布される。
次に、被対象物が1/4のノズル領域分搬送された後の3パス目(往路走査)は、ノズル領域A〜DによってK→C→M→Yの順に被対象物にインクが塗布される。
このように往路走査2回と復路走査1回によって、画像1および画像2の形成が同時に完了する。
上述した特許文献1の塗布方法では、往路走査と復路走査とにおいて、塗布ヘッドから被対象物に吐出されるインクの順番が同じになる。すなわち、往路ではK→C→M→Yの順でインクが吐出され、復路ではY→M→C→Kの順でインクが吐出される。これにより、形成される画像1〜6において色むらの発生を回避できる。
特開2008−155474号公報
しかしながら、特許文献1の印刷方法を用いたマルチパス方式の往復印刷では、インクが浸透しない被対象物であるプラスチックにUVインク(紫外線硬化型インク)を塗布した場合、形成された画像に境目が発生し、画質の低下を招くことがある。
以下、マルチパス方式の往復印刷でUVインクを用いた画像形成について、図4を用いて説明する。なお、以下では、被対象物に着弾したインクに紫外線を照射させて硬化する処理についての説明は省略する。
図4は、特許文献1に開示された4パスのマルチパス方式の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合のパス毎の着弾痕(液滴痕)を示す模式図(図3を側面から見た模式図)である。
1パス目(往路走査)では、2つのノズル領域からUVインクが吐出され、被対象物上に直接、2つのノズル領域分のインクの着弾痕(以下、第1の着弾痕という)が形成される。
2パス目(復路走査)では、第1の着弾痕が形成された位置と同じ位置に、1パス目と同じ2つのノズル領域からUVインクが吐出される。これにより、第1の着弾痕の上に1パス分の着弾痕が積み重なる。このとき、被対象物はプラスチックであるので、塗布ヘッドからプラスチックに着弾されたUVインクは被対象物への浸み込みがない。よって、2パス目では、2パス分の着弾痕の厚みHを有する着弾痕(以下、第2の着弾痕という)が形成される。
3パス目(往路走査)では、4つのノズル領域からUVインクが吐出される。このとき、UVインクは、第2の着弾痕が形成された位置と同じ位置と、その位置に隣接する位置とに吐出される。これにより、第2の着弾痕の上には1パス分の着弾痕が積み重なって、第3の着弾痕が形成される。また、第3の着弾痕の隣には、被対象物上に直接、1パス分の着弾痕(以下、第4の着弾痕という)が形成される。
2パス目で形成された第2の着弾痕は厚みHを有するため、第3の着弾痕と、第4の着弾痕とには、厚みH分の段差が生じる。この段差によって連続的にならず境目(境界)Xが目立ってしまう。
図2を用いて上述したとおり、一般的な4パスのマルチパス方式の往復印刷の場合、4パスで1つの画像(図2に示した画像1〜5のうちの1つ)が形成されるが、特許文献1の塗布方法においては、3パスで1つの画像が形成される。よって、特許文献1の塗布方法では、1パスにおける着弾痕の厚みが、一般的な4パスのマルチパス方式の往復印刷の場合の4/3倍となり、大きくなる。このため、図4に示した第3の着弾痕と第4の着弾痕との境目Xが目立ってしまい、画質の低下を招く。
なお、4パス目(復路走査)では、3パス目で第4の着弾痕のUVインクを吐出した2つのノズル領域のみからインクの吐出が行われる。よって、第3の着弾痕の上に1パス分の着弾痕が積み重なることはなく、第4の着弾痕の上に1パス分の着弾痕が積み重なる。
また、詳細な説明は省略するが、5パス目(往路走査)においても、厚みH分の段差が形成され、境目Xが形成される。また、6パス目(復路走査)では、5パス目で被対象物上に直接形成された1パス分の着弾痕の上に、1パス分の着弾痕が形成される。
本発明の目的は、マルチパス方式による往復印刷において、境目が目立たない高画質の画像を形成できる印刷装置および印刷方法を提供することである。
本発明の一態様に係る印刷装置は、インクを複数のノズルから吐出する塗布ヘッドを被対象物に対して往復に走査させ、前記被対象物に前記インクの着弾痕を形成する印刷装置であって、前記複数のノズルを所定数ずつに分けた複数のノズル領域を設定する設定部と、前記インクの吐出動作および前記被対象物の搬送動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、往路走査と復路走査とで、前記複数のノズル領域に対する前記被対象物の相対位置のずらし方向を逆にするとともに、該相対位置のずらし量を異なるようにし、前記往路走査では、少なくとも、予め定められた数のノズル領域に相当する着弾痕が前記被対象物に直に形成されるように、所定数の前記ノズル領域から前記インクを吐出させ、前記復路走査では、直前の前記往路走査までに形成された着弾痕の上に新たな着弾痕の全部が積み重なり、かつ、隣接する着弾痕同士の高さに走査2回分以上の段差が生じないように、所定数の前記ノズル領域から前記インクを吐出させる。
本発明の一態様に係る印刷方法は、インクを複数のノズルから吐出する塗布ヘッドを被対象物に対して往復に走査させ、前記被対象物に前記インクの着弾痕を形成する印刷方法であって、前記複数のノズルを所定数ずつに分けた複数のノズル領域を設定し、往路走査と復路走査とで、前記複数のノズル領域に対する前記被対象物の相対位置のずらし方向を逆にするとともに、該相対位置のずらし量を異なるようにし、前記往路走査では、少なくとも、予め定められた数のノズル領域に相当する着弾痕が前記被対象物に直に形成されるように、所定数の前記ノズル領域から前記インクを吐出させ、前記復路走査では、直前の前記往路走査までに形成された着弾痕の上に新たな着弾痕の全部が積み重なり、かつ、隣接する着弾痕同士の高さに走査2回分以上の段差が生じないように、所定数の前記ノズル領域から前記インクを吐出させる。
本発明によれば、マルチパス方式による往復印刷において、境目が目立たない高画質の画像を形成できる。
塗布ヘッドの配列の一例を示す模式図 一般的な4パスのマルチパス方式の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合の塗布手順を示す模式図 特許文献1に開示された4パスのマルチパス方式の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合の塗布手順を示す模式図 特許文献1に開示された4パスのマルチパス方式の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合のパス毎の着弾痕を示す模式図 本発明の実施の形態に係るインクジェット装置の概要を示す斜視図 本発明の実施の形態に係る塗布ヘッドの構成を示す模式図 本発明の実施の形態に係る4パスのマルチパス方式の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合の塗布手順を示す模式図 本発明の実施の形態に係る4パスのマルチパス方式の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合のパス毎の着弾痕を示す模式図 被対象物上に形成された着弾痕の形状の各例を示す模式図 一般的な4パスのマルチパス方式の往復印刷においてパスごとに形成された着弾痕を示す模式図 一般的な4パスのマルチパス方式の往復印刷においてパスごとに形成された着弾痕の形状の違いによって生じる色むらを示す模式図 本発明の実施の形態に係る4パスのマルチパス方式の往復印刷においてパスごとに形成された着弾痕を示す模式図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<インクジェット装置100>
まず、本発明の実施の形態に係るインクジェット装置100(本発明の印刷装置の一例)の概要について、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態のインクジェット装置100の概要を示す斜視図である。
インクジェット装置100は、架台上10に設置された可動のステージ11と、可動ステージ11をまたぐように設置されたガントリー(門柱)12と、ガントリー12に設置されたキャリッジ13と、キャリッジ13に設置された複数の塗布ヘッド14と、キャリッジ13の左右両側に設置された紫外線照射装置15と、を有する。
架台10には、剛性が強く、平面度の高い構造の定盤を用いる。架台10には、ガントリー12が設置されている。
ガントリー12は、架台10と同様に、剛性が強いフレームによって構成されている。ガントリー12には、キャリッジ13が設置されている。
キャリッジ13は、キャリッジ駆動用ボールネジ17に接続されている。キャリッジ駆動用ボールネジ17は、走査用モータ(キャリッジ駆動用モータ)16により駆動される。
走査用モータ16を駆動させることで、キャリッジ13は走査方向(ガントリー12の長手方向)に往復動作することができる。走査用モータ16は、モータの回転制御を行うための印刷制御装置50と電気的に接続されており、その制御装置からの指令によって、キャリッジ13を任意の送り速度で往復走査させることができる。
キャリッジ13の下部には、塗布ヘッド14が設置されている。キャリッジ13を走査させながら、塗布ヘッド14からはインクの吐出が行われる。
紫外線照射装置15は、キャリッジ13の左側と右側に設置されている。紫外線照射装置15は、UVインク(紫外線硬化型インク)を硬化させるために、ステージ11に固定された被対象物20に対して紫外線(紫外光)を照射する。
架台10上には、キャリッジ13に設置された塗布ヘッド14に対して任意の方向(縦方向および横方向)に移動できるステージ11が設置されている。
ステージ11には、縦方向の移動および横方向の移動を可能とするために、ステージ駆動用ボールネジ18が接続されている。
ステージ駆動用ボールネジ18には、ステージ駆動用モータ19が接続されている。ステージ駆動用モータ19は、ステージ駆動用ボールネジ18を回転させてステージ11を駆動するためのモータである。
このステージ駆動用モータ19の回転を制御することにより、ステージ11を自由に移動させることができる。ステージ駆動用モータ19は、モータの回転制御を行うための印刷制御装置50と電気的に接続されており、その印刷制御装置50からの指令によって、架台10上の所定の位置に任意の送り速度でステージ11を移動させることができる。
ステージ11の表面には細かい小さな穴が形成されており、これらの穴は真空排気させることができる。ステージ11上に被対象物20を設置したときに、それらの穴を真空吸引することでステージ11上に被対象物20を固定することができる。
また、キャリッジ13に設置された塗布ヘッド14とステージ11との間の距離は、塗布ヘッド14から被対象物20へインクを吐出させたときに所定の位置に精度良くインクが着弾できるように、調整されている。
本実施の形態では、塗布ヘッド14から吐出させるインクとしてUVインクを使用する。そのため、インクジェット装置100全体をできるだけ紫外線から避ける必要がある。そこで、インクジェット装置100全体は、紫外線を遮断するフィルムおよび金属のカバー(ともに図示略)により覆われている。また、UVインクの着弾痕が形成される被対象物20は、例えば、UVインクが浸透しない材質で構成されている。
<塗布ヘッド14>
塗布ヘッド14の構成について、図6を用いて説明する。図6は、塗布ヘッド14の構成を示す模式図である。
図6に示すように、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のUVインクを吐出する各塗布ヘッド14は、斜めに並んでいる。このように各塗布ヘッド14を斜めに配置することで、走査方向に対してノズルの配置を高密度にすることができる。よって、高解像度の印刷が可能であり、高画質の画像が得られる。
各塗布ヘッド14は、ステージ11(図5参照)と塗布ヘッド14との距離が一定になるようにヘッドの傾き(平行度)が調整されて設置されている。なお、Kのインクを吐出する塗布ヘッド14の図中左側およびYのインクを吐出する塗布ヘッド14の図中右側には、紫外線照射装置15が設置されている。
各塗布ヘッド14の内部には、UVインクを吐出する複数個のノズル(図示略)が配列されている。各塗布ヘッド14は、圧電素子によって各ノズル内の内圧を変動させて各ノズルからUVインクを吐出させる。各ノズルにおけるUVインクの吐出量を制御する場合、後述の印刷制御装置50が、各ノズルに設置された圧電素子の電圧を制御する。
図5に示したキャリッジ13には、UVインクを供給するためのインク供給配管(図示略)が接続されている。これにより、UVインクは、キャリッジ13から各塗布ヘッド14へ適宜供給され、各塗布ヘッド14は、安定したUVインクの吐出を行うことができる。
<印刷制御装置50>
キャリッジ13の内部には、後述の往復印刷工程を実行させる装置として、印刷制御装置50が設けられている。
図示は省略するが、印刷制御装置50は、設定部および制御部を有する。設定部は、例えば、後述するノズル領域の設定を行う。制御部は、例えば、キャリッジ13の移動動作、被対象物20の搬送動作、塗布ヘッド14のインク吐出動作(吐出量や吐出タイミング)、後述する紫外線照射装置15の紫外線照射動作などを制御する。
<紫外線照射装置15>
紫外線照射装置15は、キャリッジ13の走査動作と連動して動作する。塗布ヘッド14から被対象物20に吐出されたUVインクの幅全体に対して紫外線を照射できるように、紫外線照射口(図示略)の幅は、各塗布ヘッド14の幅L3(図6参照)と同じとしている。
なお、図6では、紫外線照射装置15は、斜めに配置された塗布ヘッド14と平行に配置されていない場合を図示したが、斜めに配置された塗布ヘッド14と平行となるように、塗布ヘッド14と同様に斜めに配置することが好ましい。
その理由は、塗布ヘッド14が斜めに配置された場合、紫外線照射装置15と塗布ヘッド14の先端部(前方部分)との間の距離と、紫外線照射装置15と塗布ヘッド14の終端部(後方部分)との間の距離とが異なるので、UVインクの着弾から紫外線照射までの時間に若干の時間差が発生してしまうからである。紫外線照射装置15を、斜めに配置された塗布ヘッド14と平行となるように、塗布ヘッド14と同様に斜めに配置することで、時間差による影響を低減することができる。
紫外線照射装置15と塗布ヘッド14との間には、遮光板(図示略)が設置されている。これにより、紫外線照射装置15から紫外線を照射したとき、塗布ヘッド14に紫外線が当たらないようにしている。
紫外線照射装置15は、紫外線の照射タイミングや照射強度を制御するための印刷制御装置50と電気的に接続されており、その印刷制御装置50からの指令によって、印刷中に適切なタイミングで適切な強度の紫外線を照射することができる。
例えば、制御装置は、予め実施された実験やシミュレーション(例えば、被対象物20に吐出されたUVインクの着弾痕に対する、紫外線の照射強度の調査)等の結果に基づいて、紫外線の照射強度を制御する。また、例えば、制御装置は、UVインクの着弾後に紫外線の照射が行われるように、往路走査と復路走査とで照射タイミングを制御する。
<往復印刷工程>
本実施の形態の往復印刷工程(本発明の印刷方法の一例)について説明する。この往復印刷工程は、図5に示したインクジェット装置100がその印刷制御装置50によって制御されることで実現される。
まず、印刷制御装置50の設定部は、塗布ヘッド14の複数のノズルが複数のノズル領域に分割されるように設定する。
そして、印刷制御装置50の制御部は、分割されたノズル領域ごとにUVインクを塗布ヘッド14から吐出させ、被対象物20にUVインクを着弾させる。ノズル領域は、被対象物20上においてUVインクが塗布される領域(塗布領域)に対応する。
制御部は、被対象物20にUVインクを着弾させた後、紫外線照射装置15から被対象物20に紫外線を照射させ、被対象物20上に着弾したUVインクを硬化させる。
その後、制御部は、被対象物20を塗布ヘッド14の走査方向と交差する方向に対して塗布領域単位で搬送し、被対象物20上において塗布領域単位ごとにUVインクの吐出と硬化を行う。この動作を繰り返すことで、被対象物20上に段階的に画像を形成する。
上述した往復印刷工程について具体的に説明する。往復印刷工程は、以下のステップ1〜5を含む。
(ステップ1)
設定部は、塗布ヘッド14の複数のノズルを複数のノズル領域に分割する。例えば、ノズル領域の分割数は、偶数である。
(ステップ2)
1パス目の往路走査では、制御部は、塗布ヘッド14のノズル列先頭の2つのノズル領域からUVインクを被対象物20に吐出させ、紫外線照射装置15の紫外線照射によりUVインクの着弾痕を硬化させる。本ステップで吐出されたUVインクは、被対象物20上に直接着弾する。
(ステップ3)
2パス目の復路走査では、制御部は、被対象物20を1つのノズル領域分のみ搬送させながら、塗布ヘッド14のノズル列先頭の1つのノズル領域からUVインクを被対象物20に吐出させる。そして、紫外線照射装置15の紫外線照射によりUVインクの着弾痕を硬化させる。
本ステップにおいて、被対象物20の搬送方向は、塗布ヘッド14と交差し、塗布ヘッド14のノズル列後方側とする。また、本ステップでは、ステップ2の往路走査により着弾したUVインクの上にUVインクが着弾するため、UVインクは被対象部20上に直接着弾しない。
(ステップ4)
3パス目の往路走査では、制御部は、被対象物20をステップ3の復路走査の位置から3つのノズル領域分搬送させながら、塗布ヘッド14のノズル列先頭から4つのノズル領域からUVインクを吐出させる。そして、紫外線照射装置15の紫外線照射によりUVインクの着弾痕を硬化させる。
本ステップにおいて、被対象物20の搬送方向は、ステップ3の搬送方向の反対方向とする。よって、本ステップでは、塗布ヘッド14のノズル列先頭の2つのノズル領域から吐出されたUVインクは、ステップ2と同様、被対象物20に直接着弾する。残りの2つのノズル領域から吐出されたUVインクは、ステップ2、3で着弾されたUVインクの上に着弾する。
(ステップ5)
4パス目の復路走査では、制御部は、被対象物20をステップ4の復路走査の位置から1つのノズル領域分のみ搬送させながら、塗布ヘッド14のノズル列先頭の3つのノズル領域からUVインクを吐出UVインクを吐出させる。そして、紫外線照射装置15の紫外線照射によりUVインクの着弾痕を硬化させる。
本ステップにおいて、被対象物20の搬送方向は、ステップ4の搬送方向の反対方向(換言すれば、ステップ3の搬送方向と同じ方向)とする。よって、本ステップ5は、上記往路走査により着弾したUVインクの上にUVインクが着弾するため、UVインクは被対象部20上に直接着弾しない。
上記ステップ1〜5を繰り返し行うことにより、被対象物20上に段階的に画像を形成する。
このように、本実施の形態の往復印刷工程では、走査回数(パス数)をNとすると、往路走査では、N+1のノズル領域単位でUVインクを吐出し、復路走査では、N−1のノズル領域単位でUVインクを吐出する。なお、ノズル領域単位が全てのノズル領域を含む場合、全てのノズル領域でUVインクの吐出を行う。
また、本実施の形態の往復印刷工程では、復路走査では、被対象物20を1つのノズル領域分のみ搬送させる。このときの搬送方向は、塗布ヘッド14と交差し、塗布ヘッド14のノズル列の後方側へ向かう方向である。一方、往路走査では、被対象物20を復路走査の位置から3つのノズル領域分搬送させる。このときの搬送方向は、復路走査のときの搬送方向とは逆の方向である。すなわち、その搬送方向は、塗布ヘッド14と交差し、塗布ヘッド14のノズル列の前方側へ向かう方向である。
また、本実施の形態の往復印刷工程では、色の濃い順番でUVインクが硬化されるように、往路走査では、K→C→M→Yの順に走査が行われ、復路走査では、Y→M→C→Kの順に走査が行われる。
本実施の形態の往復印刷工程では、ノズル領域単位でUVインクを吐出させる位置を変えながらパス間でノズル領域が一部重なるようにして画像の形成が行われる。よって、パス間でインクを吐出させる領域は、必ず段差が1回分のパス分のみの着弾痕しか形成されない領域となる。そのためノズル領域ごとにおいて、小さな段差を連続的に積み重ねるようになるため、ノズル領域単位間で境目が目立たない。よって、形成される画像は、境目が目立たない高画質の画像となる。
<往復印刷工程の具体例>
以下、本実施の形態の往復印刷工程の具体例について、図7、図8を用いて説明する。
図7は、本実施の形態に係る4パスのマルチパス方式の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合の塗布手順を示す模式図である。図8は、本実施の形態に係る4パスのマルチパス方式の往復印刷によって被対象物に画像を形成する場合のパス毎の着弾痕を示す模式図である。
本例では、塗布ヘッド14の複数のノズルを4つのノズル領域に分割する。そして、被対象物20をノズル領域の1/4分搬送しながら、塗布ヘッド14をパスごとに往路と復路の双方向に走査させて画像を形成する。なお、以下では、紫外線照射装置15の紫外線照射によるUVインクの硬化の説明については省略する。
1パス目(往路走査)では、図7に示すように、2つのノズル領域A、Bから被対象物20に対してUVインクを吐出させる。これにより、被対象物20上に直接UVインクが着弾し、図8に示すように、2つのノズル領域分の着弾痕が形成される。
2パス目(復路走査)では、1つのノズル領域Aから被対象物20に対してUVインクを吐出させる。この復路走査では、被対象物20を1つのノズル領域分後方(終端のノズル領域D側)に送る。よって、図8に示すように、2パス目の着弾痕は、1パス目の着弾痕の半分(図中の左半分)の上に形成され、被対象物20上に直接形成されない。
3パス目(往路走査)では、4つのノズル領域A〜Dから被対象物20に対してUVインクを吐出させる。この往路走査では、被対象物20を3つのノズル領域分前方(先端のノイズ領域A側)に送る。よって、図8に示すように、3パス目の着弾痕のうち2つのノズル領域A、Bからの着弾痕は、被対象物20上に直接形成され、3パス目の着弾痕のうち2つのノズル領域C、Dからの着弾痕は、1パス目の着弾痕および2パス目の着弾痕の上に形成される。
図8に示すように、1パス目の着弾痕と2パス目の着弾痕との段差は1パス分(1つのノズル領域分)である。そして、3パス目では、この1パス分の小さな段差を覆うように全てのノズル領域からUVインクが吐出される。よって、段差による境目が目立たない。
なお、詳細な説明は省略するが、図8に示すように、4パス目以降においても、1パスごとに、1パス分の小さい段差を覆うようにUVインクが吐出される。よって、最終的に、境目が目立たない高画質の画像を形成することができる。
また、上述したように、本実施の形態の往復印刷工程では、往路走査で吐出されたUVインクは、その全部(1パス目の場合)または一部(3パス目以降の場合)が被対象物30上に直接着弾し、復路走査で吐出されたUVインクは、その全部がその復路走査の前までの各走査で形成された着弾痕の上に着弾する。
<色むら発生の原因とその対策>
以下では、まず、従来の往復印刷工程において形成される画像に色むらが発生する原因について説明し、次に、本実施の形態の往復印刷工程で採用した色むらの発生の対策について説明する。
上述したとおり、被対象物20に画像を形成する場合では、塗布ヘッド14からUVインクを吐出させ、被対象物20へ着弾したUVインクの着弾痕に紫外線を照射させて硬化させる。図1におけるK→Yの方向を往路とした場合、往路走査では、被対象物20に対してK→C→M→Yの順でUVインクが付与されるが、復路走査では、往路走査とは反対の順番であるY→M→C→Kの順でUVインクが付与されることになる。各色の塗布ヘッド14と紫外線照射装置15との間の距離は、色ごとに異なるため、色ごとの、UVインクが被対象物20に着弾してから紫外線が照射される(着弾痕が硬化される)までの時間が、往路と復路で異なってくる。
例えば、図6に示した各色の塗布ヘッド14のうちKの塗布ヘッド14に着目すると、K→Yの方向にKの塗布ヘッド14が移動する場合におけるKの塗布ヘッド14と紫外線照射装置15との間の距離L1は、Y→Kの方向にKの塗布ヘッド14が移動する場合におけるKの塗布ヘッド14と紫外線照射装置15との間の距離L2よりも短い。
よって、被対象物20へのインク着弾から紫外線照射(硬化)までの時間は、往路走査ではK→C→M→Yの順で長くなり、復路走査ではY→M→C→Kの順で長くなる。インク着弾から紫外線照射までの時間の差により、被対象物20における着弾痕の形状が異なってくる。
図9は、Kの塗布ヘッド14から吐出されたUVインクにより被対象物20上に形成された着弾痕の形状の各例を示している。
上述したとおり、往路走査ではK→C→M→Yの順で被対象物20にUVインクが付与されるため、被対象物20へのインク着弾から紫外線照射(硬化)までの時間が短くなる。よって、被対象物20に着弾したUVインクが濡れ広がる前にUVインクは硬化する。その結果、図9(a)に示すように、被対象物20上に形成される着弾痕30は、濡れ広がりが小さい凸形状となる。
一方、上述したとおり、復路走査ではY→M→C→Kの順で被対象物20に対してUVインクが付与されるため、被対象物20へのインク着弾から紫外線照射(硬化)までの時間が長くなる。よって、被対象物20に着弾したUVインクが濡れ広がった状態でUVインクは硬化する。その結果、図9(b)に示すように、被対象物20上に形成される着弾痕30は、濡れ広がりが大きい凸形状となる。
往路走査後に復路走査を行った場合、復路走査で吐出されたUVインクは、往路走査で形成された着弾痕の形状に沿って濡れ広がっていく。よって、復路走査で形成される着弾痕は、往路走査で形成された着弾痕の形状に倣った形状となり、往路走査で形成された着弾痕の上に積み重なる。
例えば、往路走査で形成された着弾痕が図9(a)に示した濡れ広がりが小さい凸形状である場合、その後の復路走査で形成される着弾痕31は、図9(c)に示すように、濡れ広がりが小さい凸形状となり、往路走査で形成された着弾痕30の上に積み重なる。
また、例えば、往路走査で形成された着弾痕が図9(b)に示した濡れ広がりが大きい凸形状である場合、その後の復路走査で形成される着弾痕31は、図9(d)に示すように、濡れ広がりが大きい凸形状となり、往路走査で形成された着弾痕30の上に積み重なる。
このような着弾痕の形状の差が往路と復路とで発生し、往路と復路とで色むら(濃淡むら)となって現れる。
ここで、例えば、図2を用いて説明した一般的な4パスのマルチパス方式の往復印刷を例に挙げる。図10は、一般的な4パスのマルチパス方式の往復印刷において、パスごとに形成された着弾痕を示す模式図である。図10では、着弾状態を分かり易くするために、パスごとに2つの着弾痕のみを示している。
1パス目の往路走査では、画像1において、濡れ広がりが小さい凸形状(図9(a)参照)の着弾痕が被対象物上に直接形成される。
2パス目の復路走査では、画像1において、1パス目で形成された着弾痕の上にその着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる(図9(c)参照)。また、画像2において、濡れ広がりが大きい凸形状(図9(b)参照)の着弾痕が被対象物上に直接形成される。
3パス目の往路走査では、画像1において、1パス目および2パス目で形成された着弾痕の上にそれらの着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる。また、画像2において、2パス目で形成された着弾痕の上にその着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる(図9(d)参照)。また、画像3において、濡れ広がりが小さい凸形状(図9(a)参照)の着弾痕が被対象物上に直接形成される。
4パス目の復路走査では、画像1において、1〜3パス目で形成された着弾痕の上にそれらの着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる。また、画像2において、2パス目および3パス目で形成された着弾痕の上にそれらの着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる。また、画像3において、3パス目で形成された着弾痕の上にその着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる(図9(c)参照)。また、画像4において、濡れ広がりが大きい凸形状(図9(b)参照)の着弾痕が被対象物上に直接形成される。
5パス目の往路走査では、画像1において、1〜4パス目で形成された着弾痕の上にそれらの着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる。また、画像2において、2〜4パス目で形成された着弾痕の上にそれらの着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる。また、画像3において、3パス目および4パス目で形成された着弾痕の上にそれらの着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる。また、画像4において、4パス目で形成された着弾痕の上にその着弾痕と同じ形状の着弾痕が積み重なる(図9(d)参照)。また、画像5において、濡れ広がりが小さい凸形状(図9(a)参照)の着弾痕が被対象物上に直接形成される。
このように、所定の画像と、その所定の画像に隣り合う画像とでは、着弾痕の形状が異なることとなり、色むらができる。
図11は、図10で説明した着弾痕の形状の違いによって生じる色むらを示す模式図である。
往路走査(1、3、5パス)に係るインク着弾からインク硬化までの時間が短い領域41では、着弾痕の形状は、濡れ広がりが小さい凸形状となる。そのため、光の乱反射が多くなり、領域41は、領域42に比べて暗く見える。
一方、復路走査(2、4、6パス)に係るインク着弾からインク硬化までの時間が長い領域42では、着弾痕の形状は、濡れ広がりが大きい凸形状となる。そのため、光の乱反射が少なくなり、領域42は、領域41に比べて明るく見える。
このように、従来一般的な4パスのマルチパス方式の往復印刷により画像を形成した場合では、往路走査と復路走査とで形成される各画像に明暗が発生する。この明暗が、最終的に形成された画像全体に色むらが発生する原因となる。
これに対し、本実施の形態の往復印刷工程では、上述した色むらの発生を回避できる。その理由について以下に説明する。
図12は、本実施の形態の4パスのマルチパス方式の往復印刷において、パスごとに形成された着弾痕を示す模式図である。図12では、図10と同じく、着弾状態を分かり易くするために、パスごとに2つの着弾痕のみを示している。
図12に示すように、往路走査(1、3、5パス)でのみ、被対象物20に直接着弾痕が形成される。また、1〜5のパスごとに形成される着弾痕の形状は必ず、濡れ広がりが小さい凸形状となる。
このように本実施の形態の往復印刷工程では、往路走査のときだけ、被対象物20上に直接UVインクが着弾する。よって、被対象物20上に形成される着弾痕の形状は常に同じ形状となり、往路走査と復路走査とで着弾痕の形状が異なることがないため、色むらが発生しない。
また、一般的に、カラー画像の形成では、K、C、M、Yの4色のUVインクを吐出させる必要があるため、塗布ヘッド14は、図6に示したように各色に対応する4つのヘッドから構成されている。そのため、色ごとに被対象物20へのUVインクの着弾から紫外線照射までの時間が異なる。よって、被対象物20に形成される着弾痕の形状は、色ごとに異なる。
例えば、図6に示したように、Kの塗布ヘッド14とYの塗布ヘッド14とが最も離れて設置されている場合、Kの塗布ヘッド14から吐出される黒色のUVインクは、往路走査では濡れ広がりが小さい凸形状の着弾痕を形成し、復路走査では濡れ広がりが大きい凸形状の着弾痕を形成する。
一方、Yの塗布ヘッド14から吐出される黄色のUVインクは、往路走査では濡れ広がりが大きい凸形状の着弾痕を形成し、復路走査では濡れ広がりが小さい凸形状の着弾痕を形成する。
画像形成に用いられるインクでは、色の濃いインクが支配的になる。そこで、本実施の形態の往復印刷工程では、塗布ヘッド14の配列を色の濃い順(K、C、M、Yの順)に配列し、K→Yの方向に往路走査が行われるようにした。これにより、最初に最も色の濃いKの着弾痕が硬化される。よって、色ごとの着弾痕の形状は、被対象物20への着弾から硬化までの時間差による影響を受けない。
また、本実施の形態の往復印刷工程では、パス数を少なく設定する必要がない。例えば、本実施の形態の4パスのマルチパス方式の往復印刷では、4つのパスで1つの画像(例えば、図12に示した各画像1〜5)が形成される。よって、各ノズルの吐出ばらつきや不吐出の影響を大きく受けることなく、高画質な画像を形成することが可能である。
<実施例>
ピエゾ方式の塗布ヘッドを有するインクジェット装置を用いてプラスチック基板(例えばABS樹脂製。以下、基板という)上に画像を形成した実施例について、以下に説明する。
塗布ヘッドは、K、C、M、Yの順で配置されており、各塗布ヘッドには、ノズル間の塗布ピッチが42μmとなる600個のノズルが配置されている。これらの塗布ヘッドから各色のUVインクを吐出させ、印刷解像度600dpiのカラー画像を形成した。塗布ヘッドに配置されたノズルは、直径が20μmのノズルを使用し、基板にUVインクを着弾したときに着弾の広がりが塗布ピッチの長さ以下になるようにした。そのため、塗布ヘッドと基板とのギャップを1.5〜2mm以下、UVインク吐出量8pL、塗布ヘッドの走査速度を200mm/sに設定した。
塗布ヘッドから吐出させるUVインクとしては、KIS−LED(株式会社DNPファインケミカル社製)を用い、インク粘度は、12mPa・sに調合して使用した。
また、各塗布ヘッドにおいて、4つのノズル領域(1つのノズル領域のノズル数は150個)を設定した。具体的には、ノズル列の先頭のノズルNoを1とし、ノズル列の最後尾のノズルNoを600として、ノズルNo1〜150をノズル領域Aに設定し、ノズルNo151〜300をノズル領域Bに設定し、ノズルNo301〜450をノズル領域Cに設定し、ノズルNo451〜600をノズル領域Dに設定した。
また、塗布ヘッドの両側に設けられた紫外線照射装置から、基板に着弾したUVインクに対してLED光を照射するようにした。
以上の条件で、4パスのマルチパス方式の往復印刷を行った。
1パス目(往路走査)では、ノズル領域A、Bから基板にUVインクを吐出させた。このとき、塗布ヘッドはK→Yの方向に走査するようにした。
基板にUVインクを着弾させた後、紫外線照射装置からLED光を照射させ、基板上のUVインクを固化させた。
2パス目(復路走査)では、基板を、ノズルNo600側の方向に、150ノズル分(1つのノズル領域分)搬送させ、ノズル領域AのみからUVインクを吐出させ、基板にUVインクを着弾させた。そして、LED光の照射により、基板上のUVインクを固化させた。
3パス目(往路走査)では、基板を、2パス目の搬送方向とは反対方向に、450ノズル分(3つのノズル領域分)搬送させ、ノズル領域A〜DからUVインクを吐出させ、基板にUVインクを着弾させた。そして、LED光の照射により、基板上のUVインクを固化させた。
4パス目(復路走査)では、基板を、3パス目の搬送方向とは反対方向に、150ノズル分(1つのノズル領域分)搬送させ、ノズル領域A〜CからUVインクを吐出させ、基板にUVインクを着弾させた。そして、LED光の照射により、基板上のUVインクを固化させた。
4パス目の終了時点で、図12に示した画像1が形成された。その後も、上記1〜4パス目と同様の往復印刷を繰り返すことで、基板全体に画像2〜5を形成した。
以上により、本実施例では、境目がなく、色むらのない高画質の画像を得ることができた。
なお、本発明は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
本発明の印刷方法は、写真や文字、パターンなどの画像を高品位で高速に印刷できるだけでなく、紫外線硬化型の材料に対して高品位な印刷ができるため、紫外線硬化型の材料により構成されるデバイス作製などに適用することができ、民生用、産業用に広く利用することが可能である。
1、14 塗布ヘッド
10 架台
11 ステージ
12 ガントリー
13 キャリッジ
15 紫外線照射装置
16 キャリッジ駆動用モータ
17 キャリッジ駆動用ボールネジ
18 駆動用ボールネジ
19 ステージ駆動用モータ
20 被対象物
30、31 着弾痕
41、42 領域

Claims (6)

  1. インクを複数のノズルから吐出する塗布ヘッドを被対象物に対して往復に走査させ、前記被対象物に前記インクの着弾痕を形成する印刷装置であって、
    前記複数のノズルを所定数ずつに分けた複数のノズル領域を設定する設定部と、
    前記インクの吐出動作および前記被対象物の搬送動作を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、
    往路走査と復路走査とで、前記複数のノズル領域に対する前記被対象物の相対位置のずらし方向を逆にするとともに、該相対位置のずらし量を異なるようにし、
    前記往路走査では、少なくとも、予め定められた数のノズル領域に相当する着弾痕が前記被対象物に直に形成されるように、所定数の前記ノズル領域から前記インクを吐出させ、
    前記復路走査では、直前の前記往路走査までに形成された着弾痕の上に新たな着弾痕の全部が積み重なり、かつ、隣接する着弾痕同士の高さに走査2回分以上の段差が生じないように、所定数の前記ノズル領域から前記インクを吐出させる、
    印刷装置。
  2. 前記往路走査のときの前記相対位置のずらし方向は、前記塗布ヘッドの走査方向と交差し、前記塗布ヘッドのノズル列の一端へ向かう方向であり、
    前記復路走査のときの前記相対位置のずらし方向は、前記塗布ヘッドの走査方向と交差し、前記塗布ヘッドのノズル列の他端へ向かう方向である、
    請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記往路走査のときの前記相対位置のずらし量は、前記ノズル領域1つ分であり、
    前記復路走査のときの前記相対位置のずらし量は、前記ノズル領域3つ分である、
    請求項1または2に記載の印刷装置。
  4. 前記インクは、紫外線硬化型インクであり、
    前記被対象物は、前記インクが浸透しない材質で構成され、
    前記制御部は、
    前記往路走査毎および前記復路走査毎に、前記被対象物に形成された前記着弾痕に対して紫外線を照射させる、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷装置。
  5. 前記往路走査では、前記インクを色の濃い順に吐出させる、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置。
  6. インクを複数のノズルから吐出する塗布ヘッドを被対象物に対して往復に走査させ、前記被対象物に前記インクの着弾痕を形成する印刷方法であって、
    前記複数のノズルを所定数ずつに分けた複数のノズル領域を設定し、
    往路走査と復路走査とで、前記複数のノズル領域に対する前記被対象物の相対位置のずらし方向を逆にするとともに、該相対位置のずらし量を異なるようにし、
    前記往路走査では、少なくとも、予め定められた数のノズル領域に相当する着弾痕が前記被対象物に直に形成されるように、所定数の前記ノズル領域から前記インクを吐出させ、
    前記復路走査では、直前の前記往路走査までに形成された着弾痕の上に新たな着弾痕の全部が積み重なり、かつ、隣接する着弾痕同士の高さに走査2回分以上の段差が生じないように、所定数の前記ノズル領域から前記インクを吐出させる、
    印刷方法。
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