本発明は、内部空間を有する切削工具を対象としている。
先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円柱を形成している切削工具においては、前記円柱の後部が工具ホルダーによって把持された状態にて先端及びその近傍の刃先に切削に必要な回転モーメントが伝達されている。
従って、切削工具においては、上記モーメントの伝達に必要な剛性を有することを必要不可欠としている。
このような剛性が重視された結果、切削工具においては、回転中心軸の周囲近傍に延設されたクーラント通過用パイプ以外の内部は工具を生成する素材、具体的には、ニッケルクロム鋼等の硬度が高く耐摩耗性、耐熱性に優れた金属材料を充填した構成が採用されており、工具の軽量化については重視されていなかったというのが偽らざる実状である。
即ち、精々局所的な設計の改善又は材質の選択によって、切削工具の軽量化が行われているに過ぎない。
因みに、刃先を交換可能とする所謂スローアウェイ切削工具の構成を開示した特許文献1においては、交換可能な刃の設置角度を調節可能とした上で(請求項6)、切削工具の小型化又は大型の切削工具の構造の単純化によって軽量化を実現している(発明の効果に関する段落[0036])。
しかしながら、このような局所的な設計の改善によっては、切削工具の大幅な軽量化を実現することはできない。
他方、特許文献2及び3においては、切削工具の材質としてプラスチックを選択することによって軽量化を実現している。
しかしながら、このようなプラスチックを採用した切削工具の場合には(各要約書及び請求項1)、切削の対象となるワークが、アルミニウム、アルミニウム合金、銅合金、或いはプラスチック等を素材としている場合に限定され、しかも金属材料による切削工具に比し、精度及び使用可能な加工数において劣る状態を否定することができない。
尚、特許文献1及び同2による出願は、日本国特許庁において拒絶査定が行われている。
特開2001−121318号公報
特開2006−159349号公報
特開2006−159350号公報
本発明は、切削に必要な剛性を備えた状態にて、内部空間の形成によって工具の軽量化を実現することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、
(1)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、回転中心軸を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプと前記円筒の内壁とを、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
(2)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、前記円筒の内壁間を、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体によって接続し、かつ各板状体に同一形状である複数個のクーラント通過用穴を、当該形状の中心位置が回転中心軸を基準として、半径方向に沿って同一の長さの距離にあり、かつ等角度となるように配設されている内部空間を有する切削工具、
(3)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、回転中心軸を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプと前記円筒の内壁とを、回転中心軸を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の板状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
(4)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、前記円筒の内壁間を、回転中心軸を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の板状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
(5)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、前記円筒の内壁間を、長手方向に直交又は斜交する方向に複数個の柱状体が規則的に交差することによって格子状体を形成した状態にて接続している内部空間を有する切削工具、
(6)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、前記円筒の内壁間を、回転中心軸から長手方向に直交する方向に半径方向に沿って等角度にて延設された複数個の柱状体と、回転中心軸を同心円状にて囲んでいる複数個の柱状体とが交差することによる格子状体、又は前記延設された複数個の柱状体と、当該柱状体を直線状にて接続し、かつ回転中心軸を中心とする正多角形辺を形成している複数個の柱状体との交差による格子状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
からなる。
尚、前記各基本構成において、板状体とは、例えば長方形又は楕円のように、一方側が長く、当該一方側に直交する他方側が短い状態を呈している断面を備えた平坦面形状又は湾曲面形状を意味しており、柱状体とは、例えば正多角形又は円形のように、長い方の一方側と短い方の他方側とに特定できない状態を呈している断面を備えた直線形状又は曲線形状を意味している。
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)に立脚している本発明においては、金属材料を採用したうえで、円筒、板状体、及び柱状体の素材及び形状につき、切削に必要な回転モーメントを工具ホルダーから切削刃に伝達するために必要な剛性を備えるように設計することを当然の前提としている。
このような前提の下に、基本構成(1)、(2)の場合には、長手方向と直交する板状体と内壁、基本構成(3)、(4)の場合には、長手方向に沿った板状体と内壁との間の内部空間、基本構成(5)、(6)の場合には、内壁を接続する格子状体によって形成される内部空間によって、工具の軽量化を達成することができる。
しかも、基本構成(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、及び基本構成(1)のうち板状体にクーラント通過用穴を設置した場合には、クーラントを切削工具の内部空間に充満することが可能であることから、切削工具の効率的な冷却を実現することができる。
基本構成(1)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)、(c)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における板状体の断面図であり、(d)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向に沿った柱状体の補強材の断面図である。
基本構成(2)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)、(c)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における板状体の断面図であり、(d)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向に沿った板状体の補強材の断面図である。
基本構成(3)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における板状体の断面図であり、(c)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向と直交する方向における柱状体の補強材の断面図である。
基本構成(4)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における板状体の断面図であり、(c)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向と直交する方向における板状体の補強材の断面図である。
基本構成(5)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における柱状体の断面図であり、(c)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向と直交する方向における柱状体の補強材の断面図である。
基本構成(6)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)、(c)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における柱状体の断面図であり、(d)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向と直交する方向における板状体の補強材の断面図である。
以下、各基本構成につき実施形態に即して説明する。
基本構成(1)は、図1(a)、(b)、(c)に説明するように、前記円筒の内壁5と回転中心軸7を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプ8とを、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体2によって接続している。
上記板状体2の個数については、切削工具1の長さ及び板状体2の厚さによって適宜選択することができる。
基本構成(1)においては、クーラント通過用パイプ8を延設していることから、板状体2については、図1(b)に示すように、内壁5の全領域と接続し、かつクーラント通過用穴20を設置しない実施形態を選択することができる。
但し、基本構成(1)においても、図1(c)に示すように、クーラント通過用穴20を設置するような実施形態も選択可能であって(尚、図1(c)は、クーラント通過用穴20を、内壁5との隙間状態によって形成している。)、その場合には、クーラント通過用パイプ8の存在は無意味であるが如くである。
しかしながら、クーラント通過用パイプは、工具ホルダーにおいて、回転中心軸を囲んだ状態にて延設されている。
したがって、基本構成(1)のクーラント通過用パイプ8は、工具ホルダーにおけるクーラント通過用パイプとの接続を円滑に実現する一方、長手方向に沿って、クーラント放出用穴(図示せず)を設置した場合には、内部空間にクーラントを充満させた状態にて、工具の効率的な冷却を実現することができ、決して無意味な存在ではない。
基本構成(1)においては、前記円筒及び前記板状体2における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(2)は、図2(a)、(b)、(c)に示すように、クーラント通過用パイプ8を延設せずに、前記円筒の内壁5間を、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体2によって接続し、かつ各板状体2に同一形状である複数個のクーラント通過用穴20を、当該形状の中心位置が回転中心軸7を基準として、半径方向に沿って同一の長さの距離にあり、かつ等角度となるように配設している。
上記板状体2の数については、基本構成(1)の場合と同様に、長手方向の長さ及び板状体2の厚みを考慮したうえで適宜選択することができる。
基本構成(2)においては、クーラント通過用穴20の上記配設状態によって、切削工具1は回転中心軸7を基準として等方位的にバランスしており、切削段階にて安定した回転状態を維持することができる。
基本構成(2)においても、前記円筒及び前記板状体2における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(1)、(2)においては、図1(a)、(b)に示すように、板状体2の肉厚が内壁5から回転中心軸7に近くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
切削段階において発生する曲げモーメントは、外周から回転中心軸7に近くなるにしたがって増加するが、上記実施形態は、このような曲げモーメントの増加に適合することができる。
更には、これらの基本構成においては、図2(a)に示すように、板状体2の肉厚が長手方向の先端から遠くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
切削段階にある切削工具1は、切削が行われている先端及びその近傍から遠くなるにしたがって、曲げモーメントが増加するが、上記実施形態はこのような増加状態に適合することができる。
基本構成(3)は、図3(a)、(b)、(c)に示すように、前記円筒の内壁5と回転中心軸7を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプ8とを、回転中心軸7を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の板状体2によって接続している。
基本構成(3)においても、前記円筒及び前記板状体2における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
長手方向に沿って配設された複数個の板状体2につき、回転中心軸7を基準として等角度であってかつ同一形状とすることによって、切削工具1は回転中心軸7を基準として等方位的にバランスしており、切削段階にて安定した回転状態を維持することができる。
基本構成(4)は、図4(a)、(b)、(c)に示すように、クーラント通過用パイプ8を延設せずに、前記円筒の内壁5間を、回転中心軸7を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の板状体2によって接続している。
長手方向に沿って配設された板状体2につき、回転中心軸7を基準として等角度にて同一形状とすることによって、基本構成(3)の場合と同様に、切削工具1は回転中心軸7を基準として等方位的にバランスしており、切削段階にて安定した回転状態を維持することができる。
基本構成(4)においても、前記円筒及び前記板状体2における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(3)、(4)においては、長手方向に沿って必ずしも連続状態にて接続する必要はなく、図3(a)に示すように、長手方向の1個又は複数個の位置において、非連続であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
但し、上記実施形態において、板状体2が非連続という領域においては、切削工具1の剛性を維持するために、円筒における内壁5を肉厚とすることによって、切削時に発生する曲げモーメントに対応するような設計を採用するとよい。
基本構成(3)、(4)においても、図3(c)、(d)に示すように、板状体2の肉厚が内壁5から回転中心軸7に近くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態によって、曲げモーメントが中心軸に近くなるに従って増加することに適合することができる。
更には、これらの基本構成においては、図4(b)、(c)に示すように、板状体2の肉厚が長手方向の先端から遠くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態を採用することによって、曲げモーメントが先端から遠くなるにしたがって増加することに適合することができる。
基本構成(3)、(4)においては、何れも長手方向に沿った内部空間を形成していることから、クーラントを、当該空間に沿って流動することができる。
したがって、基本構成(3)のように、回転中心軸7を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプ8を設けることは、必ずしも必要ではない。
但し、大抵の工具ホルダーにおいては、回転中心軸7を囲んだクーラント通過用パイプが採用されている以上、基本構成(3)のように、切削工具1において前記クーラント通過用パイプ8を延設したうえで、当該クーラント通過用パイプ8において、長手方向に沿ってクーラント放出用穴(図示せず)を設置した場合には、工具ホルダーのクーラント通過用パイプとの接続を行う一方、クーラントを内部空間に充満させることができる。
基本構成(5)は、図5(a)、(b)、(c)に示すように、切削工具1の外周を形成している円筒の内壁5間を、長手方向に直交又は斜交する方向に複数個の柱状体3が規則的に交差することによって格子状体を形成した状態にて接続している(図5においては、図5(a)に示すように、長手方向に直交する状態を示している。)。
柱状体3が規則的に交差することによって、基本構成(3)の場合と同様に、切削工具1は回転中心軸7を基準として等方位的にバランスしており、切削段階にて安定した回転状態を維持することができる。
換言するならば、不規則的な交差の場合には、回転中心軸7を基準とする円周方向に沿って、交差した柱状体3の分布状態を均一とすることができないことを原因として、等方位的なバランスに基づく安定した回転状態を維持することが不可能となるからに他ならない。
基本構成(5)は、格子状体を形成方向が長手方向に直交する方向又は斜交する方向の何れをも採用することができるが、何れの方向の場合であっても、本来必要な剛性が同程度であることを考慮するならば、直交する構成の方が斜交する構成よりも、必要な材料を節約することが可能である点においてベターである。
基本構成(5)においては、前記円筒及び前記格子状体における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(6)は、図6(a)、(b)に示すように、切削工具1の外周を形成している円周の内壁5間を、回転中心軸7から長手方向に直交する方向に半径方向に沿って等角度にて延設された複数個の柱状体3と、回転中心軸7を同心円状にて囲んでいる複数個の柱状体3とが交差することによる格子状体によって接続するか、又は図6(a)、(c)に示すように、前記延設された複数個の柱状体3と、当該柱状体3を直線状にて接続し、かつ回転中心軸7を中心とする正多角形辺を形成している複数個の柱状体3との交差による格子状体によって接続している。
基本構成(6)においても、前記円筒及び前記格子状体における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(5)、(6)においては、格子状の内部空間が存在していることから、切削工具1内に、回転中心軸7を囲んだ状態によるクーラント通過用パイプ8を延設することは必ずしも必要不可欠ではない。
但し、大抵の工具ホルダーにおいては、回転中心軸を囲んだクーラント通過用パイプが採用されている以上、基本構成(5)、(6)において、クーラント通過用パイプ8を延設したうえで、当該クーラント通過用パイプ8において、長手方向に沿ってクーラント放出用穴(図示せず)を設置した場合には、工具ホルダーのクーラント通過用パイプとの接続を行う一方、クーラントを内部空間に充満させることができる。
基本構成(5)、(6)においては、図5(a)、(b)、(c)に示すように、格子状体を形成する柱状体3の断面積が先端から遠くなるに従って増加することを特徴とする実施形態を採用することによって、曲げモーメントが先端から遠くなるにしたがって増加することに適合することができる。
更には、これらの基本構成においては、図6(a)、(b)、(c)に示すように、格子状体を形成する柱状体3の交差数が先端から遠くなるに従って増加することを特徴とする実施形態を採用することによって、曲げモーメントが先端から遠くなるに従って増加することに適合することができる。
以下、実施例にしたがって説明する。
実施例1は、基本構成(1)、(2)において、図1(a)、(d)及び図2(a)、(d)に示すように、複数個の板状体2相互の間の一部又は全てを、回転中心軸7を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42によって架設していることを特徴としている(尚、図1(a)、(d)は、先端部の内壁5と最も先端側の板状体2との間及び複数個の板状体2の間の一部の間に柱状体の補強材41を採用している状態を示しており、図2(a)、(d)は、複数個の板状体2相互の間の一部に板状体の補強材42を架設している状態を示す。)。
実施例1において、同一形状である複数個の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42を、長手方向に沿って、回転中心軸7を基準として等角度にて架設しているのは、切削時の回転工具の回転軸のバランスを確保することに由来している。
このような柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の架設によって、実施例1においては、切削工具1に必要な剛性を十分補強することができる。
尚、切削時における曲げモーメントが、切削が行われる先端及びその近傍から離れるに従って、増加することを考慮するならば、上記柱状体の補強材41又は板状体の補強材42は、先端から離れるに従って、補強効果を発揮することができる。
したがって、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の断面積については、図2(a)に示すように、先端部から離れるに従って増加させるとよい。
実施例2は、基本構成(3)、(4)において、図3(a)、(d)及び図4(a)、(d)に示すように、長手方向に沿って配設された前記複数個の板状体2の間を、1個又は複数個の長手方向と直交し、かつ回転中心軸7を中心とする円周状態を形成している柱状体の補強材41又は板状体の補強材42によって架設していることを特徴としている(図3(a)、(d)は、柱状体の補強材41を架設した場合を示しており、図4(a)、(d)は、板状体の補強材42を架設した場合を示す。)。
このような円周状態を形成している柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の架設によって、実施例2においても、切削工具1に必要な剛性を十分補強することができる。
実施例1の場合と同様の根拠に基づき、実施例2においても、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42を設ける部位は、切削が行われている先端部及びその近傍から離れるにしたがって、補強効果を十分発揮することができる。
したがって、実施例1の場合と同様に、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の断面積を先端部から離れるにしたがって増加させるとよい。
実施例3においては、基本構成(5)、(6)において、図5(a)、(d)及び図6(a)、(d)に示すように、長手方向に沿った同一形状である複数個の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42を、格子状体を形成している柱状体3との間に架設し、前記複数個の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42が回転中心軸7を基準として等角度に配設されていることを特徴としている(図5(a)、(d)は、柱状体の補強材41を架設した場合を示しており、図6(a)、(d)は、板状体の補強材42を架設した場合を示す。)。
このような柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の架設によって、実施例3においても切削工具1の剛性を十分補強することができる。
同一形状の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42が、回転中心軸7を基準として等角度に配設されているのは、切削工具1の回転時におけるバランスを確保することに由来している。
実施例1及び同2の場合と同様の根拠によって、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42は、先端部及びその近傍から離れるに従って補強効果を十分発揮することができる。
したがって、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の断面積は、先端部から離れるに従って増加させるとよい。
このように、本発明においては、切削工具において円筒状の内側壁部において内部空間を形成することによって、切削工具の軽量化を実現することができ、その利用価値は絶大である。
1 切削工具
2 板状体
20 クーラント通過用穴
3 柱状体
41 柱状体の補強材
42 板状体の補強材
5 内壁
6 切削刃
7 回転中心軸
8 クーラント通過用パイプ
本発明は、内部空間を有する切削工具を対象としている。
先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円柱を形成している切削工具においては、前記円柱の後部が工具ホルダーによって把持された状態にて先端及びその近傍の刃先に切削に必要な回転モーメントが伝達されている。
従って、切削工具においては、上記モーメントの伝達に必要な剛性を有することを必要不可欠としている。
このような剛性が重視された結果、切削工具においては、回転中心軸の周囲近傍に延設されたクーラント通過用パイプ以外の内部は工具を生成する素材、具体的には、ニッケルクロム鋼等の硬度が高く耐摩耗性、耐熱性に優れた金属材料を充填した構成が採用されており、工具の軽量化については重視されていなかったというのが偽らざる実状である。
即ち、精々局所的な設計の改善又は材質の選択によって、切削工具の軽量化が行われているに過ぎない。
因みに、刃先を交換可能とする所謂スローアウェイ切削工具の構成を開示した特許文献1においては、交換可能な刃の設置角度を調節可能とした上で(請求項6)、切削工具の小型化又は大型の切削工具の構造の単純化によって軽量化を実現している(発明の効果に関する段落[0036])。
しかしながら、このような局所的な設計の改善によっては、切削工具の大幅な軽量化を実現することはできない。
他方、特許文献2及び3においては、切削工具の材質としてプラスチックを選択することによって軽量化を実現している。
しかしながら、このようなプラスチックを採用した切削工具の場合には(各要約書及び請求項1)、切削の対象となるワークが、アルミニウム、アルミニウム合金、銅合金、或いはプラスチック等を素材としている場合に限定され、しかも金属材料による切削工具に比し、精度及び使用可能な加工数において劣る状態を否定することができない。
尚、特許文献1及び同2による出願は、日本国特許庁において拒絶査定が行われている。
特開2001−121318号公報
特開2006−159349号公報
特開2006−159350号公報
本発明は、切削に必要な剛性を備えた状態にて、内部空間の形成によって工具の軽量化を実現することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、
(1)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、回転中心軸を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプと前記円筒の内壁とを、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
(2)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、前記円筒の内壁間を、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体によって接続し、かつ各板状体に同一形状である複数個のクーラント通過用穴を、当該形状の中心位置が回転中心軸を基準として、半径方向に沿って同一の長さの距離にあり、かつ等角度となるように配設されている内部空間を有する切削工具、
(3)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、回転中心軸を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプと前記円筒の内壁とを、回転中心軸を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の板状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
(4)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、前記円筒の内壁間を、長手方向に直交又は斜交する方向に複数個の柱状体が規則的に交差することによって格子状体を形成した状態にて接続している内部空間を有する切削工具、
(5)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、前記円筒の内壁間を、回転中心軸から長手方向に直交する方向に半径方向に沿って等角度にて延設された複数個の柱状体と、回転中心軸を同心円状にて囲んでいる複数個の柱状体とが交差することによる格子状体、又は前記延設された複数個の柱状体と、当該柱状体を直線状にて接続し、かつ回転中心軸を中心とする正多角形辺を形成している複数個の柱状体との交差による格子状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
からなる。
尚、前記各基本構成において、板状体とは、例えば長方形又は楕円のように、一方側が長く、当該一方側に直交する他方側が短い状態を呈している断面を備えた平坦面形状又は湾曲面形状を意味しており、柱状体とは、例えば正多角形又は円形のように、長い方の一方側と短い方の他方側とに特定できない状態を呈している断面を備えた直線形状又は曲線形状を意味している。
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)に立脚している本発明においては、金属材料を採用したうえで、円筒、板状体、及び柱状体の素材及び形状につき、切削に必要な回転モーメントを工具ホルダーから切削刃に伝達するために必要な剛性を備えるように設計することを当然の前提としている。
このような前提の下に、基本構成(1)、(2)の場合には、長手方向と直交する板状体と内壁、基本構成(3)の場合には、長手方向に沿った板状体と内壁との間の内部空間、基本構成(4)、(5)の場合には、内壁を接続する格子状体によって形成される内部空間によって、工具の軽量化を達成することができる。
しかも、基本構成(2)、(3)、(4)、(5)、及び基本構成(1)のうち板状体にクーラント通過用穴を設置した場合には、クーラントを切削工具の内部空間に充満することが可能であることから、切削工具の効率的な冷却を実現することができる。
基本構成(1)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)、(c)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における板状体の断面図であり、(d)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向に沿った柱状体の補強材の断面図である。
基本構成(2)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)、(c)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における板状体の断面図であり、(d)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向に沿った板状体の補強材の断面図である。
基本構成(3)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における板状体の断面図であり、(c)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向と直交する方向における柱状体の補強材の断面図である。
基本構成(4)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における柱状体の断面図であり、(c)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向と直交する方向における柱状体の補強材の断面図である。
基本構成(5)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)、(c)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における柱状体の断面図であり、(d)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向と直交する方向における板状体の補強材の断面図である。
以下、各基本構成につき実施形態に即して説明する。
基本構成(1)は、図1(a)、(b)、(c)に説明するように、前記円筒の内壁5と回転中心軸7を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプ8とを、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体2によって接続している。
上記板状体2の個数については、切削工具1の長さ及び板状体2の厚さによって適宜選択することができる。
基本構成(1)においては、クーラント通過用パイプ8を延設していることから、板状体2については、図1(b)に示すように、内壁5の全領域と接続し、かつクーラント通過用穴20を設置しない実施形態を選択することができる。
但し、基本構成(1)においても、図1(c)に示すように、クーラント通過用穴20を設置するような実施形態も選択可能であって(尚、図1(c)は、クーラント通過用穴20を、内壁5との隙間状態によって形成している。)、その場合には、クーラント通過用パイプ8の存在は無意味であるが如くである。
しかしながら、クーラント通過用パイプは、工具ホルダーにおいて、回転中心軸を囲んだ状態にて延設されている。
したがって、基本構成(1)のクーラント通過用パイプ8は、工具ホルダーにおけるクーラント通過用パイプとの接続を円滑に実現する一方、長手方向に沿って、クーラント放出用穴(図示せず)を設置した場合には、内部空間にクーラントを充満させた状態にて、工具の効率的な冷却を実現することができ、決して無意味な存在ではない。
基本構成(1)においては、前記円筒及び前記板状体2における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(2)は、図2(a)、(b)、(c)に示すように、クーラント通過用パイプ8を延設せずに、前記円筒の内壁5間を、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体2によって接続し、かつ各板状体2に同一形状である複数個のクーラント通過用穴20を、当該形状の中心位置が回転中心軸7を基準として、半径方向に沿って同一の長さの距離にあり、かつ等角度となるように配設している。
上記板状体2の数については、基本構成(1)の場合と同様に、長手方向の長さ及び板状体2の厚みを考慮したうえで適宜選択することができる。
基本構成(2)においては、クーラント通過用穴20の上記配設状態によって、切削工具1は回転中心軸7を基準として等方位的にバランスしており、切削段階にて安定した回転状態を維持することができる。
基本構成(2)においても、前記円筒及び前記板状体2における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(1)、(2)においては、図1(a)、(b)に示すように、板状体2の肉厚が内壁5から回転中心軸7に近くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
切削段階において発生する曲げモーメントは、外周から回転中心軸7に近くなるにしたがって増加するが、上記実施形態は、このような曲げモーメントの増加に適合することができる。
更には、これらの基本構成においては、図2(a)に示すように、板状体2の肉厚が長手方向の先端から遠くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
切削段階にある切削工具1は、切削が行われている先端及びその近傍から遠くなるにしたがって、曲げモーメントが増加するが、上記実施形態はこのような増加状態に適合することができる。
基本構成(3)は、図3(a)、(b)、(c)に示すように、前記円筒の内壁5と回転中心軸7を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプ8とを、回転中心軸7を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の板状体2によって接続している。
基本構成(3)においても、前記円筒及び前記板状体2における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
長手方向に沿って配設された複数個の板状体2につき、回転中心軸7を基準として等角度であってかつ同一形状とすることによって、切削工具1は回転中心軸7を基準として等方位的にバランスしており、切削段階にて安定した回転状態を維持することができる。
基本構成(3)においては、長手方向に沿って必ずしも連続状態にて接続する必要はなく、図3(a)に示すように、長手方向の1個又は複数個の位置において、非連続であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
但し、上記実施形態において、板状体2が非連続という領域においては、切削工具1の剛性を維持するために、円筒における内壁5を肉厚とすることによって、切削時に発生する曲げモーメントに対応するような設計を採用するとよい。
基本構成(3)においても、図3(c)、(d)に示すように、板状体2の肉厚が内壁5から回転中心軸7に近くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態によって、曲げモーメントが中心軸に近くなるに従って増加することに適合することができる。
基本構成(3)においては、何れも長手方向に沿った内部空間を形成していることから、クーラントを、当該空間に沿って流動することができる。
したがって、基本構成(3)のように、回転中心軸7を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプ8を設けることは、必ずしも必要ではない。
但し、大抵の工具ホルダーにおいては、回転中心軸7を囲んだクーラント通過用パイプが採用されている以上、基本構成(3)のように、切削工具1において前記クーラント通過用パイプ8を延設したうえで、当該クーラント通過用パイプ8において、長手方向に沿ってクーラント放出用穴(図示せず)を設置した場合には、工具ホルダーのクーラント通過用パイプとの接続を行う一方、クーラントを内部空間に充満させることができる。
基本構成(4)は、図4(a)、(b)、(c)に示すように、切削工具1の外周を形成している円筒の内壁5間を、長手方向に直交又は斜交する方向に複数個の柱状体3が規則的に交差することによって格子状体を形成した状態にて接続している(図4においては、図4(a)に示すように、長手方向に直交する状態を示している。)。
柱状体3が規則的に交差することによって、基本構成(3)の場合と同様に、切削工具1は回転中心軸7を基準として等方位的にバランスしており、切削段階にて安定した回転状態を維持することができる。
換言するならば、不規則的な交差の場合には、回転中心軸7を基準とする円周方向に沿って、交差した柱状体3の分布状態を均一とすることができないことを原因として、等方位的なバランスに基づく安定した回転状態を維持することが不可能となるからに他ならない。
基本構成(4)は、格子状体を形成方向が長手方向に直交する方向又は斜交する方向の何れをも採用することができるが、何れの方向の場合であっても、本来必要な剛性が同程度であることを考慮するならば、直交する構成の方が斜交する構成よりも、必要な材料を節約することが可能である点においてベターである。
基本構成(4)においては、前記円筒及び前記格子状体における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(5)は、図5(a)、(b)に示すように、切削工具1の外周を形成している円周の内壁5間を、回転中心軸7から長手方向に直交する方向に半径方向に沿って等角度にて延設された複数個の柱状体3と、回転中心軸7を同心円状にて囲んでいる複数個の柱状体3とが交差することによる格子状体によって接続するか、又は図5(a)、(c)に示すように、前記延設された複数個の柱状体3と、当該柱状体3を直線状にて接続し、かつ回転中心軸7を中心とする正多角形辺を形成している複数個の柱状体3との交差による格子状体によって接続している。
基本構成(5)においても、前記円筒及び前記格子状体における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(4)、(5)においては、格子状の内部空間が存在していることから、切削工具1内に、回転中心軸7を囲んだ状態によるクーラント通過用パイプ8を延設することは必ずしも必要不可欠ではない。
但し、大抵の工具ホルダーにおいては、回転中心軸を囲んだクーラント通過用パイプが採用されている以上、基本構成(4)、(5)において、クーラント通過用パイプ8を延設したうえで、当該クーラント通過用パイプ8において、長手方向に沿ってクーラント放出用穴(図示せず)を設置した場合には、工具ホルダーのクーラント通過用パイプとの接続を行う一方、クーラントを内部空間に充満させることができる。
基本構成(4)、(5)においては、図4(a)、(b)、(c)に示すように、格子状体を形成する柱状体3の断面積が先端から遠くなるに従って増加することを特徴とする実施形態を採用することによって、曲げモーメントが先端から遠くなるにしたがって増加することに適合することができる。
更には、これらの基本構成においては、図5(a)、(b)、(c)に示すように、格子状体を形成する柱状体3の交差数が先端から遠くなるに従って増加することを特徴とする実施形態を採用することによって、曲げモーメントが先端から遠くなるに従って増加することに適合することができる。
以下、実施例にしたがって説明する。
実施例1は、基本構成(1)、(2)において、図1(a)、(d)及び図2(a)、(d)に示すように、複数個の板状体2相互の間の一部又は全てを、回転中心軸7を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42によって架設していることを特徴としている(尚、図1(a)、(d)は、先端部の内壁5と最も先端側の板状体2との間及び複数個の板状体2の間の一部の間に柱状体の補強材41を採用している状態を示しており、図2(a)、(d)は、複数個の板状体2相互の間の一部に板状体の補強材42を架設している状態を示す。)。
実施例1において、同一形状である複数個の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42を、長手方向に沿って、回転中心軸7を基準として等角度にて架設しているのは、切削時の回転工具の回転軸のバランスを確保することに由来している。
このような柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の架設によって、実施例1においては、切削工具1に必要な剛性を十分補強することができる。
尚、切削時における曲げモーメントが、切削が行われる先端及びその近傍から離れるに従って、増加することを考慮するならば、上記柱状体の補強材41又は板状体の補強材42は、先端から離れるに従って、補強効果を発揮することができる。
したがって、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の断面積については、図2(a)に示すように、先端部から離れるに従って増加させるとよい。
実施例2は、基本構成(3)において、図3(a)、(d)に示すように、長手方向に沿って配設された前記複数個の板状体2の間を、1個又は複数個の長手方向と直交し、かつ回転中心軸7を中心とする円周状態を形成している柱状体の補強材41又は板状体の補強材42によって架設していることを特徴としている(図3(a)、(d)は、柱状体の補強材41を架設した場合を示す。)。
このような円周状態を形成している柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の架設によって、実施例2においても、切削工具1に必要な剛性を十分補強することができる。
実施例1の場合と同様の根拠に基づき、実施例2においても、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42を設ける部位は、切削が行われている先端部及びその近傍から離れるにしたがって、補強効果を十分発揮することができる。
したがって、実施例1の場合と同様に、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の断面積を先端部から離れるにしたがって増加させるとよい。
実施例3においては、基本構成(4)、(5)において、図4(a)、(d)及び図5(a)、(d)に示すように、長手方向に沿った同一形状である複数個の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42を、格子状体を形成している柱状体3との間に架設し、前記複数個の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42が回転中心軸7を基準として等角度に配設されていることを特徴としている(図4(a)、(d)は、柱状体の補強材41を架設した場合を示しており、図5(a)、(d)は、板状体の補強材42を架設した場合を示す。)。
このような柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の架設によって、実施例3においても切削工具1の剛性を十分補強することができる。
同一形状の柱状体の補強材41又は板状体の補強材42が、回転中心軸7を基準として等角度に配設されているのは、切削工具1の回転時におけるバランスを確保することに由来している。
実施例1及び同2の場合と同様の根拠によって、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42は、先端部及びその近傍から離れるに従って補強効果を十分発揮することができる。
したがって、柱状体の補強材41又は板状体の補強材42の断面積は、先端部から離れるに従って増加させるとよい。
このように、本発明においては、切削工具において円筒状の内側壁部において内部空間を形成することによって、切削工具の軽量化を実現することができ、その利用価値は絶大である。
1 切削工具
2 板状体
20 クーラント通過用穴
3 柱状体
41 柱状体の補強材
42 板状体の補強材
5 内壁
6 切削刃
7 回転中心軸
8 クーラント通過用パイプ
本発明は、内部空間を有する切削工具を対象としている。
先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円柱を形成している切削工具においては、前記円柱の後部が工具ホルダーによって把持された状態にて先端及びその近傍の刃先に切削に必要な回転モーメントが伝達されている。
従って、切削工具においては、上記モーメントの伝達に必要な剛性を有することを必要不可欠としている。
このような剛性が重視された結果、切削工具においては、回転中心軸の周囲近傍に延設されたクーラント通過用パイプ以外の内部は工具を生成する素材、具体的には、ニッケルクロム鋼等の硬度が高く耐摩耗性、耐熱性に優れた金属材料を充填した構成が採用されており、工具の軽量化については重視されていなかったというのが偽らざる実状である。
即ち、精々局所的な設計の改善又は材質の選択によって、切削工具の軽量化が行われているに過ぎない。
因みに、刃先を交換可能とする所謂スローアウェイ切削工具の構成を開示した特許文献1においては、交換可能な刃の設置角度を調節可能とした上で(請求項6)、切削工具の小型化又は大型の切削工具の構造の単純化によって軽量化を実現している(発明の効果に関する段落[0036])。
しかしながら、このような局所的な設計の改善によっては、切削工具の大幅な軽量化を実現することはできない。
他方、特許文献2及び3においては、切削工具の材質としてプラスチックを選択することによって軽量化を実現している。
しかしながら、このようなプラスチックを採用した切削工具の場合には(各要約書及び請求項1)、切削の対象となるワークが、アルミニウム、アルミニウム合金、銅合金、或いはプラスチック等を素材としている場合に限定され、しかも金属材料による切削工具に比し、精度及び使用可能な加工数において劣る状態を否定することができない。
尚、特許文献1及び同2による出願は、日本国特許庁において拒絶査定が行われている。
特開2001−121318号公報
特開2006−159349号公報
特開2006−159350号公報
本発明は、切削に必要な剛性を備えた状態にて、内部空間の形成によって工具の軽量化を実現することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、
(1)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、回転中心軸を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプと前記円筒の内壁とを、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
(2)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、回転中心軸を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプと前記円筒の内壁とを、回転中心軸を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の板状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
(3)長手方向の先端及びその近傍に切削刃を備え、かつ当該切削刃の後方領域が円筒を形成している切削工具において、前記円筒の内壁間を、回転中心軸から長手方向に直交する方向に半径方向に沿って等角度にて延設された複数個の柱状体と、回転中心軸を同心円状にて囲んでいる複数個の柱状体とが交差することによる格子状体、又は前記延設された複数個の柱状体と、当該柱状体を直線状にて接続し、かつ回転中心軸を中心とする正多角形辺を形成している複数個の柱状体との交差による格子状体によって接続している内部空間を有する切削工具、
からなる。
尚、前記各基本構成において、板状体とは、例えば長方形又は楕円のように、一方側が長く、当該一方側に直交する他方側が短い状態を呈している断面を備えた平坦面形状又は湾曲面形状を意味しており、柱状体とは、例えば正多角形又は円形のように、長い方の一方側と短い方の他方側とに特定できない状態を呈している断面を備えた直線形状又は曲線形状を意味している。
基本構成(1)、(2)、(3)に立脚している本発明においては、金属材料を採用したうえで、円筒、板状体、及び柱状体の素材及び形状につき、切削に必要な回転モーメントを工具ホルダーから切削刃に伝達するために必要な剛性を備えるように設計することを当然の前提としている。
このような前提の下に、基本構成(1)の場合には、長手方向と直交する板状体と内壁、基本構成(2)の場合には、長手方向に沿った板状体と内壁との間の内部空間、基本構成(3)の場合には、内壁を接続する格子状体によって形成される内部空間によって、工具の軽量化を達成することができる。
しかも、基本構成(2)、(3)、及び基本構成(1)のうち板状体にクーラント通過用穴を設置した場合には、クーラントを切削工具の内部空間に充満することが可能であることから、切削工具の効率的な冷却を実現することができる。
基本構成(1)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)、(c)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における板状体の断面図であり、(d)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向に沿った柱形状の補強材の断面図であり、(e)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向に沿った板形状の補強材の断面図である。
基本構成(2)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)は前記側断面図において、A−Aの位置の長手方向と直交する方向における板状体の断面図であり、(c)は前記長手方向において、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における柱形状の補強材の断面図であり、(d)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向と直交する方向において、複数個の板状体の間を回転中心軸を中心とする円周状態を形成している柱形状の補強材によって架設した断面図であり、(e)は前記長手方向において、C´−C´の位置の長手方向と直交する方向において、複数個の板状体の間を回転中心軸を中心とする円周状態を形成している板形状の補強材によって架設した断面図である。
基本構成(3)を示しており、(a)は長手方向に沿った側断面図であり(尚、断面は左右方向の中央位置を示す。)、(b)、(c)は前記側断面図において、A−A、B−Bの位置の長手方向と直交する方向における柱状体の断面図であり、(d)は前記長手方向において、C−Cの位置の長手方向と直交する方向における柱形状の補強材の断面図であり、(e)は前記長手方向において、C´−C´の位置の長手方向と直交する方向における板形状の補強材の断面図である。
以下、各基本構成につき実施形態に即して説明する。
基本構成(1)は、図1(a)、(b)、(c)に説明するように、前記円筒の内壁5と回転中心軸7を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプ8とを、長手方向と直交又は斜交する方向に配設された1個又は複数個の板状体2によって接続している。
上記板状体2の個数については、切削工具1の長さ及び板状体2の厚さによって適宜選択することができる。
基本構成(1)においては、クーラント通過用パイプ8を延設していることから、板状体2については、図1(b)に示すように、内壁5の全領域と接続し、かつクーラント通過用穴20を設置しない実施形態を選択することができる。
但し、基本構成(1)においても、図1(c)に示すように、クーラント通過用穴20を設置するような実施形態も選択可能であって(尚、図1(c)は、クーラント通過用穴20を、内壁5との隙間状態によって形成している。)、その場合には、クーラント通過用パイプ8の存在は無意味であるが如くである。
しかしながら、クーラント通過用パイプは、工具ホルダーにおいて、回転中心軸を囲んだ状態にて延設されている。
したがって、基本構成(1)のクーラント通過用パイプ8は、工具ホルダーにおけるクーラント通過用パイプとの接続を円滑に実現する一方、長手方向に沿って、クーラント放出用穴(図示せず)を設置した場合には、内部空間にクーラントを充満させた状態にて、工具の効率的な冷却を実現することができ、決して無意味な存在ではない。
基本構成(1)においては、前記円筒及び前記板状体2における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(1)においては、図1(a)に示すように、板状体2の肉厚が内壁5から回転中心軸7に近くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
切削段階において発生する曲げモーメントは、外周から回転中心軸7に近くなるにしたがって増加するが、上記実施形態は、このような曲げモーメントの増加に適合することができる。
更には、基本構成(1)においては、図1(a)に示すように、複数個の板状体2の肉厚が長手方向の先端から遠くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
切削段階にある切削工具1は、切削が行われている先端及びその近傍から遠くなるにしたがって、曲げモーメントが増加するが、上記実施形態はこのような増加状態に適合することができる。
基本構成(2)は、図2(a)、(b)、(c)に示すように、前記円筒の内壁5と回転中心軸7を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプ8とを、回転中心軸7を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の板状体2によって接続している。
基本構成(2)においても、前記円筒及び前記板状体2における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
長手方向に沿って配設された複数個の板状体2につき、回転中心軸7を基準として等角度であってかつ同一形状とすることによって、切削工具1は回転中心軸7を基準として等方位的にバランスしており、切削段階にて安定した回転状態を維持することができる。
基本構成(2)においては、板状体2は長手方向に沿って必ずしも連続状態にて接続する必要はなく、図2(a)に示すように、長手方向の1個又は複数個の位置において、非連続であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
但し、上記実施形態において、板状体2が非連続という領域においては、切削工具1の剛性を維持するために、円筒における内壁5を肉厚とすることによって、切削時に発生する曲げモーメントに対応するような設計を採用するとよい。
基本構成(2)においても、図2(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、板状体2の肉厚が内壁5から回転中心軸7に近くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態によって、曲げモーメントが中心軸に近くなるに従って増加することに適合することができる。
基本構成(2)においても、図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、板状体2の肉厚が長手方向の先端から遠くなるに従って厚い状態であることを特徴とする実施形態によって、曲げモーメントが先端から遠くなるに従って増加することに適合することができる。
基本構成(2)においては、何れも長手方向に沿った内部空間を形成していることから、クーラントを、当該空間に沿って流動することができる。
したがって、基本構成(1)のように、回転中心軸7を囲んだ状態にあるクーラント通過用パイプ8を設けることは、必ずしも必要ではない。
但し、大抵の工具ホルダーにおいては、回転中心軸7を囲んだクーラント通過用パイプが採用されている以上、基本構成(2)のように、切削工具1において前記クーラント通過用パイプ8を延設したうえで、当該クーラント通過用パイプ8において、長手方向に沿ってクーラント放出用穴(図示せず)を設置した場合には、工具ホルダーのクーラント通過用パイプとの接続を行う一方、クーラントを内部空間に充満させることができる。
基本構成(3)は、図3(a)、(b)に示すように、切削工具1の外周を形成している円周の内壁5間を、回転中心軸7から長手方向に直交する方向に半径方向に沿って等角度にて延設された複数個の柱状体3と、回転中心軸7を同心円状にて囲んでいる複数個の柱状体3とが交差することによる格子状体によって接続するか、又は図3(a)、(c)に示すように、前記延設された複数個の柱状体3と、当該柱状体3を直線状にて接続し、かつ回転中心軸7を中心とする正多角形辺を形成している複数個の柱状体3との交差による格子状体によって接続している。
基本構成(3)においても、前記円筒及び前記格子状体における金属材料の素材及び形状の選択によって、切削に必要な剛性を確保することを当然の前提としている。
基本構成(3)においては、格子状の内部空間が存在していることから、切削工具1内に、回転中心軸7を囲んだ状態によるクーラント通過用パイプ8を延設することは必ずしも必要不可欠ではない。
但し、大抵の工具ホルダーにおいては、回転中心軸を囲んだクーラント通過用パイプが採用されている以上、基本構成(3)において、クーラント通過用パイプ8を延設したうえで、当該クーラント通過用パイプ8において、長手方向に沿ってクーラント放出用穴(図示せず)を設置した場合には、工具ホルダーのクーラント通過用パイプとの接続を行う一方、クーラントを内部空間に充満させることができる。
基本構成(3)においても、図3(a)、(b)、(c)に示すように、格子状体を形成する柱状体3の断面積が先端から遠くなるに従って増加することを特徴とする実施形態を採用することによって、曲げモーメントが先端から遠くなるにしたがって増加することに適合することができる。
更には、基本構成(3)においては、図3(a)、(b)、(c)に示すように、格子状体を形成する柱状体3の交差数が先端から遠くなるに従って増加することを特徴とする実施形態を採用することによって、曲げモーメントが先端から遠くなるに従って増加することに適合することができる。
以下、実施例にしたがって説明する。
実施例1は、基本構成(1)において、図1(a)、(d)、(e)に示すように、複数個の板状体2相互の間の一部又は全てを、回転中心軸7を基準として等角度にて長手方向に沿って配設された同一形状である複数個の柱形状の補強材41又は板形状の補強材42によって架設していることを特徴としている(尚、図1(a)、(d)は、先端部の内壁5と最も先端側の板状体2との間及び複数個の板状体2の間の一部の間に柱形状の補強材41を採用している状態を示しており、図1(a)、(e)は、複数個の板状体2相互の間の一部に板形状の補強材42を架設している状態を示す。)。
実施例1において、同一形状である複数個の柱形状の補強材41又は板形状の補強材42を、長手方向に沿って、回転中心軸7を基準として等角度にて架設しているのは、切削時の回転工具の回転軸のバランスを確保することに由来している。
このような柱形状の補強材41又は板形状の補強材42の架設によって、実施例1においては、切削工具1に必要な剛性を十分補強することができる。
尚、切削時における曲げモーメントが、切削が行われる先端及びその近傍から離れるに従って、増加することを考慮するならば、上記柱形状の補強材41又は板形状の補強材42は、先端から離れるに従って、補強効果を発揮することができる。
したがって、柱形状の補強材41又は板形状の補強材42の断面積については、先端部から離れるに従って増加させるとよい。
実施例2は、基本構成(2)において、図2(a)、(d)、(e)に示すように、長手方向に沿って配設された前記複数個の板状体2の間を、1個又は複数個の長手方向と直交し、かつ回転中心軸7を中心とする円周状態を形成している柱形状の補強材41又は板形状の補強材42によって架設していることを特徴としている(図2(a)、(d)は、柱形状の補強材41を架設した場合を示し、(a)、(e)は、板形状の補強材42を架設した場合を示す。)。
このような円周状態を形成している柱形状の補強材41又は板形状の補強材42の架設によって、実施例2においても、切削工具1に必要な剛性を十分補強することができる。
実施例1の場合と同様の根拠に基づき、実施例2においても、柱形状の補強材41又は板形状の補強材42を設ける部位は、切削が行われている先端部及びその近傍から離れるにしたがって、補強効果を十分発揮することができる。
したがって、実施例1の場合と同様に、柱形状の補強材41又は板形状の補強材42の断面積を先端部から離れるにしたがって増加させるとよい。
実施例3においては、基本構成(3)において、図3(a)、(d)、(e)に示すように、長手方向に沿った同一形状である複数個の柱形状の補強材41又は板形状の補強材42を、格子状体を形成している柱状体3との間に架設し、前記複数個の柱形状の補強材41又は板形状の補強材42が回転中心軸7を基準として等角度に配設されていることを特徴としている(図3(a)、(d)は、柱形状の補強材41を架設した場合を示しており、図3(a)、(e)は、板形状の補強材42を架設した場合を示す。)。
このような柱形状の補強材41又は板形状の補強材42の架設によって、実施例3においても切削工具1の剛性を十分補強することができる。
同一形状の柱形状の補強材41又は板形状の補強材42が、回転中心軸7を基準として等角度に配設されているのは、切削工具1の回転時におけるバランスを確保することに由来している。
実施例1及び同2の場合と同様の根拠によって、柱形状の補強材41又は板形状の補強材42は、先端部及びその近傍から離れるに従って補強効果を十分発揮することができる。
したがって、柱形状の補強材41又は板形状の補強材42の断面積は、先端部から離れるに従って増加させるとよい。
このように、本発明においては、切削工具において円筒状の内側壁部において内部空間を形成することによって、切削工具の軽量化を実現することができ、その利用価値は絶大である。
1 切削工具
2 板状体
20 クーラント通過用穴
3 柱状体
41 柱形状の補強材
42 板形状の補強材
5 内壁
6 切削刃
7 回転中心軸
8 クーラント通過用パイプ