JP2019120945A - 重合性液晶化合物、重合性組成物、重合体、位相差フィルム及びその製造方法、転写用積層体、光学部材及びその製造方法、並びに表示装置 - Google Patents

重合性液晶化合物、重合性組成物、重合体、位相差フィルム及びその製造方法、転写用積層体、光学部材及びその製造方法、並びに表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶剤溶解性が良好で、析出し難くインクの安定性も良好で、且つ、理想的な逆波長分散性に近付けるように波長分散特性を調整可能な、フラット波長分散性や逆波長分散性を示す重合性液晶化合物。【解決手段】インドレニン環構造を含む重合性液晶化合物であり、具体的には下記構造等が例示される。【選択図】なし

Description

本開示は、重合性液晶化合物、重合性組成物、重合体、位相差フィルム及びその製造方法、転写用積層体、光学部材及びその製造方法、並びに表示装置に関する。
従来、液晶表示装置や発光表示装置等の表示装置に関して、位相差フィルムや偏光板等の光学部材をパネル面に配置する構成が提案されている。
例えば有機発光表示装置等の発光表示装置においては、発光層の光を効率よく利用するため、反射性に優れた金属電極が設けられている。一方、当該金属電極を用いることにより、外光反射が大きくなる。そのため、発光表示装置においては、当該外光反射を抑制することを目的として、視認側に、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板と偏光子からなる円偏光板を用いることが知られている。
位相差フィルムには、前記1/4波長板の他、直線偏光の偏光振動面を90度変換する1/2波長板等がある。これらの位相差フィルムは、ある特定の単色光に対しては正確に光線波長の1/4λ又は1/2λの位相差に変換可能なものである。しかしながら、従来の位相差フィルムには、位相差フィルムを通過して出力される偏光が有色の偏光に変換されてしまうという問題があった。これは位相差フィルムを構成する材料が位相差について波長分散性を有し、可視光域の光線が混在する白色光に対して各波長ごとの偏光状態に分布が生じることに起因する。この問題を防ぐためには、各波長において設計した位相差になるよう、波長分散性を制御する必要があり、広い波長域の光に対して均一な位相差を与え得る広帯域位相差フィルム、いわゆる逆波長分散性を有する位相差フィルムが求められている。
位相差フィルムは、フィルムを延伸して製造する方法や、例えば、配向処理した支持体上に、液晶化合物を含む重合性組成物を塗布し、溶剤を乾燥させ、液晶化合物を配向させた後、紫外線又は熱により重合させることによって製造する方法が挙げられる。
逆波長分散性を有する位相差フィルムとしては、例えば、2枚の位相差層を配向軸の方向にそれぞれ角度を付けて積層する方法が提案されている(特許文献1及び2)。しかし、このような積層体では、2枚の位相差層が必要であり、且つ2枚の位相差層を積層する際の製造上の煩雑さや位相差フィルムの膜厚が厚くなるなどの課題があった。
携帯型情報端末の高機能化及び普及に伴い、表示装置の厚みを薄くすることが求められてきており、その結果、構成部材である位相差フィルムの薄膜化も求められている。
そのため、1層で逆波長分散性を有する位相差層を構成することができるように、複屈折率(△n)の波長分散性を小さく若しくは逆にする特性を実現する、逆波長分散性を示す液晶化合物の開発が行われてきている(例えば特許文献3〜4)。なお、位相差フィルムに対する入射光の波長λを横軸に取り、その複屈折率(△n=異常光に対する屈折率n−常光に対する屈折率n)を縦軸にプロットして得たグラフの傾きが正(右肩上がり)である場合、その複屈折率の波長分散は逆である、又はその位相差フィルムを構成する材料の液晶化合物は逆波長分散性を示す、と一般的に言われている。
しかしながら、例えば特許文献3〜4の化合物など、従来の逆波長分散性を示す液晶化合物は複屈折率(△n)が小さいため、所望の位相差(Re(λ)=複屈折率Δn(λ)×膜厚d)を得るためには、膜厚を厚くする必要があった。また、従来の逆波長分散性を示す液晶化合物は、総じて有機溶剤に対する溶解性が低く、有機溶剤に溶解してインクを塗布して塗膜を形成する際に、均一な塗膜を形成し難かったり、多量の溶剤を乾燥させるための製造工程や製造装置に負荷が高くなるといった問題があった。
特許文献5には、可視領域での透過率が高く、室温下での液晶相保持時間が長いことにより、取り扱いが容易で、煩雑な工程を必要とせずに、波長分散特性の制御が可能で、低波長分散特性や逆波長分散性を示す光学異方性フィルムを製造することができる重合性液晶組成物として、コア骨格として1,4−フェニレンの2位もしくは3位に直接あるいは2重結合を介して芳香環を有する、式(1)で表される化合物を含有する重合性液晶組成物が開示されている。特許文献5においては、当該重合性液晶組成物を利用することにより、波長450nmの光に対する複屈折率Δn(450)と波長550nmの光に対する複屈折率Δn(550)が、Δn(450)/Δn(550)≦1.05の関係を満たす光学異方性フィルム、即ち、低波長分散特性や逆波長分散性を示す光学異方性フィルムを製造することができる、と記載されている。しかしながら、特許文献5の式(1)で表される化合物で実現できているΔn(450)/Δn(550)は、最小でも0.996であって、せいぜい低波長分散性(フラット波長分散性)が得られているに止まり、0.99未満の逆波長分散性は得られていない。また、特許文献5で開示されている1,4−フェニレンの2位もしくは3位に直接あるいは2重結合を介して芳香環が結合した構造の場合、未だ有機溶剤に対する溶解性が不十分な場合がある。特許文献5の実施例では、特許文献5の式(1)で表される化合物が高い溶剤溶解性を有するように示されているが、長軸方向の環構造の間にアルキレン基を含み溶剤溶解性を高くしている液晶構造を採用することによって高い溶剤溶解性を実現している。また、特許文献5の式(1)で表される化合物を含有する重合性液晶組成物は、後述の比較例で示したように、当該化合物が保管中に析出し易く、安定性が不十分であるという課題があった。組成物(インク)の安定性は、光学異方性フィルムを生産する上では重要な性能である。
例えば1/4波長板において、理想的な逆波長分散性が得られれば、可視光域全ての波長で円偏光に変換できるため、完全な外光の反射防止が可能になる。しかしながら、従来の逆波長分散性を示す液晶化合物は、単独で理想的な逆波長分散性を示すには不十分であり、理想的な逆波長分散性に近付けることが望まれている。そのため、溶剤溶解性が良好で、析出し難くインクの安定性も良好で、且つ、理想的な逆波長分散性に近付けるように波長分散特性を調整可能な、フラット波長分散性や逆波長分散性を示す重合性液晶化合物が求められていた。
特開平10−68816号公報 特開2001−4837号公報 特表2010−522893号公報 特許5962760号公報 特開2016−166344号公報
本開示の実施形態は、前述のような実情を鑑み、溶剤溶解性が良好で、析出し難く安定性が向上した、フラット波長分散性や逆波長分散性を示す重合性液晶化合物、当該重合性液晶化合物を含む重合性組成物、当該重合性液晶化合物又は当該重合性組成物を重合して得られる重合体、当該重合性組成物の硬化物を含む位相差層を有する位相差フィルム及びその製造方法、前記位相差層を転写可能な転写用積層体、前記位相差フィルムを有する光学部材及びその製造方法、並びに、表示装置を提供することを目的とする。
本開示の1実施形態は、下記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を提供する。
(一般式(1)中、Acoreは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の三価又は四価の基を表し、
Mは、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、又は−N=N−を表し、
Dは、インドレニン環構造を含む一価の基を表し、
、L、L及びLはそれぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びRはそれぞれ独立して、下記一般式(R−1)から選ばれる基を表し、
一般式(R−1): −L−Rsp1−Z
一般式(R−1)中、Lは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Rsp1は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置換されても良い炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表し、Zは重合性官能基を表す。
置換基Eはそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、これらによって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、或いは、置換基Eはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE、及びZは、それぞれ、前記L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、化合物内に置換基Eが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良く、
M、D、L、L、A、及びAが複数現れる場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
nは1又は2の整数を表し、m1及びm2はそれぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
本開示の1実施形態においては、前記一般式(1)において、前記Dが、下記一般式(D−1)から選ばれる基を表す重合性液晶化合物を提供する。
(一般式(D−1)中、Rd1及びRd2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、当該アルキル基は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、或いは、Rd1及びRd2は互いに結合して3〜7員環の非芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該非芳香族炭化水素環の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていても良く、
e1、Re2、Re3及びRe4はそれぞれ独立して、水素原子、又は前記置換基Eを表し、Re1、Re2、Re3及びRe4は互いに結合して3〜7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていても良い。*(アスタリスク)はMとの結合位置を示す。)
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の重合性液晶化合物を含有する、重合性組成物を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の重合性液晶化合物と、当該重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物を更に含有する、重合性組成物を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の重合性液晶化合物或いは前記本開示の1実施形態の重合性組成物を重合して得られる重合体を提供する。
本開示の1実施形態は、位相差層を有する位相差フィルムであって、前記位相差層が、前記本開示の1実施形態の重合性組成物の硬化物を含有する、位相差フィルムを提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の重合性組成物を成膜する工程と、
前記成膜された前記重合性組成物中の前記重合性化合物を少なくとも配向させる工程と、
前記配向工程の後に、前記重合性化合物を少なくとも重合する工程とを有することにより、位相差層を形成する工程を有する、位相差フィルムの製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、
前記位相差層が、前記本開示の1実施形態の重合性組成物の硬化物を含有する、
位相差層の転写に供する転写用積層体を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の位相差フィルム上に、偏光板を備える光学部材を提供する。
本開示の1実施形態は、位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、前記位相差層が、前記本開示の1実施形態の重合性組成物の硬化物を含有する、位相差層の転写に供する転写用積層体を準備する工程と、
少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記支持体を剥離する剥離工程と、
を有する、光学部材の製造方法を提供する。
また、本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の位相差フィルム又は、前記本開示の1実施形態の光学部材を備える表示装置を提供する。
本開示の実施形態によれば、溶剤溶解性が良好で、析出し難く安定性が向上した、フラット波長分散性や逆波長分散性を示す重合性液晶化合物、当該重合性液晶化合物を含む重合性組成物、当該重合性液晶化合物又は当該重合性組成物を重合して得られる重合体、当該重合性組成物の硬化物を含む位相差層を有する位相差フィルム及びその製造方法、前記位相差層を転写可能な転写用積層体、前記位相差フィルムを有する光学部材及びその製造方法、並びに、表示装置を提供することができる。
図1は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図2は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図3は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図4は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図5は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図6は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図7は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。 図8は、表示装置の1実施形態を示す模式断面図である。
以下、本開示の実施の形態や実施例などを、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態や実施例等の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
「本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
本開示において配向規制力とは、位相差層中の液晶化合物を特定方向に配列させる作用をいう。
本開示において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
また、本明細書において「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではなく、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
A.重合性液晶化合物
本開示の重合性液晶化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
(一般式(1)中、Acoreは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の三価又は四価の基を表し、
Mは、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、又は−N=N−を表し、
Dは、インドレニン環構造を含む一価の基を表し、
、L、L及びLはそれぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びRはそれぞれ独立して、下記一般式(R−1)から選ばれる基を表し、
一般式(R−1): −L−Rsp1−Z
一般式(R−1)中、Lは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Rsp1は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置換されても良い炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表し、Zは重合性官能基を表す。
置換基Eはそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、これらによって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、或いは、置換基Eはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE、及びZは、それぞれ、前記L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、化合物内に置換基Eが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良く、
M、D、L、L、A、及びAが複数現れる場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
nは1又は2の整数を表し、m1及びm2はそれぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
本開示の一般式(1)で表される化合物は、前記特定のRからRに至る主鎖構造に特定の構造を有することから、分子同士の配向性が向上し、単独で液晶性を示す化合物である。また、本開示の一般式(1)で表される化合物は、末端に重合性基を有することから重合性液晶化合物である。
本開示の一般式(1)で表される化合物は、側鎖部分に、二重結合を介して、インドレニン環構造を有することにより、従来技術の芳香環を有する場合と比べて、逆波長分散性を示し易くなり、且つ溶剤溶解性が向上し、析出し難くインクの安定性が向上する。
インドレニン環構造は、下記一般式(d)のように、Rd1及びRd2が結合したsp3炭素原子が存在する。当該Rd1及びRd2が結合したsp3炭素原子の影響により、側鎖部分に、二重結合を介して、インドレニン環構造を有すると、側鎖部分のπ共役系の方向性が液晶化合物の短軸方向に調整され易く、液晶化合物の短軸方向の吸収が長波長領域に拡大し易くなり、逆波長分散性を示し易くなると推定される。
また、従来の逆波長分散性やフラット波長分散性を有する化合物は一般的に溶解性が悪いが、本開示の一般式(1)で表される化合物は、コア部分に近接するA及びAに脂環式炭化水素基を導入し、更に、当該Rd1及びRd2が結合したsp3炭素原子を有することにより、溶剤溶解性が向上し、更に当該Rd1及びRd2が結合したsp3炭素原子の立体構造によって沈殿が析出し難く、インクにした場合の安定性が向上していると推定される。
(一般式(d)において、Rd1及びRd2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、当該アルキル基は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、或いは、Rd1及びRd2は互いに結合して3〜7員環の非芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該非芳香族炭化水素環の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていても良いものである。)
本開示の一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、例えば後述の実施例1に示す方法により、本開示の重合性液晶化合物と光重合開始剤のみを含む重合性組成物を調製し、硬化膜(位相差層)を形成し、後述のように位相差値を測定した場合に、Re(450)/Re(550)が0.99以上1.01未満のフラット波長分散性やRe(450)/Re(550)が0.99未満の逆波長分散性を示すことが可能であり、Re(450)/Re(550)が0.99未満の逆波長分散性を示すことが好ましく、0.95未満の逆波長分散性を示すことが更に好ましい。また、本開示の一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、Re(650)/Re(550)が1以上であることが好ましく、1超過であることが更に好ましく、1.02以上1.1以下の範囲内にあることがより更に好ましい。
本開示の一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、溶剤溶解性が良好であるため、有機溶剤に溶解してインクを調製し、当該インクを用いて塗膜を形成する際に、均一な塗膜を形成しやすく、溶剤を乾燥させるための製造工程や製造装置の負荷が軽減される。
また、本開示の一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、溶剤溶解性が良好で、逆波長分散性を示し易く、或いはフラット波長分散性を示すため、単独で又は他の液晶化合物と混合して、所望の逆波長分散性又はフラット波長分散性を有する位相差層を得ることが可能である。本開示の一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、溶剤溶解性が良好であるため、溶剤溶解性が低い他の液晶化合物と混合して、所望の逆波長分散性を有する材料の位相差層を調整するための液晶化合物としても好適に用いられる。
また、本開示の一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、有機溶剤に溶解してインクを調製して例えば24時間保管後に、インク中で析出し難く、インクの安定性が向上したものになる。そのため、本開示の一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、インク保管後にも調製直後と同様の配向性を示すことができ、位相差層を工業的に生産する上で、大きなメリットがある。
一般式(1)において、Dは、インドレニン環構造を含む一価の基を表す。インドレニン環構造を含む一価の基としては、前記一般式(d)の構造を含めばよく、更に置換基を有していても良く、前記一般式(d)のベンゼン環を含む縮合環が形成されていても良く、前記一般式(d)のいずれかの水素原子がMに置換した構造が挙げられる。
一般式(1)において、Dは、例えば、下記一般式(D−1)から選ばれる基、下記一般式(D−2)から選ばれる基、又は下記一般式(D−3)から選ばれる基が挙げられる。
(一般式(D−1)〜(D−3)中、Rd1及びRd2は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、当該アルキル基は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、或いは、Rd1及びRd2は互いに結合して3〜7員環の非芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該非芳香族炭化水素環の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていても良く、
e1、Re2、Re3及びRe4、並びに、Rd3は、それぞれ独立して、水素原子、又は前記置換基Eを表し、Re1、Re2、Re3及びRe4は互いに結合して3〜7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていても良い。*(アスタリスク)はMとの結合位置を示す。)
一般式(d)、一般式(D−1)、一般式(D−2)、及び一般式(D−3)において、Rd1及びRd2は、溶剤溶解性の向上、安定性の向上と逆波長分散性の調整の点から、それぞれ独立して無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基であるか、Rd1及びRd2が互いに結合して5〜7員環の非芳香族炭化水素環を形成していることが好ましい。溶剤溶解性の向上、安定性の向上と逆波長分散性の調整、更に製造の点からは、Rd1及びRd2は、それぞれ独立して、無置換の炭素原子数1〜4のアルキル基か、Rd1及びRd2が互いに結合して5〜7員環の非芳香族炭化水素環を形成していることがより好ましく、無置換の炭素原子数1〜2のアルキル基であるか、Rd1及びRd2が互いに結合して6員環の非芳香族炭化水素環を形成していることがより更に好ましい。
一般式(D−1)、一般式(D−2)、及び一般式(D−3)において、Re1、Re2、Re3及びRe4、並びに、Rd3は、それぞれ独立して、水素原子であっても良いが、逆波長分散性の調整や溶剤溶解性の調整の点から、Re1、Re2、Re3及びRe4、並びに、Rd3の少なくとも1つに、後述する置換基Eを導入していても良い。Re1、Re2、Re3及びRe4、並びに、Rd3の少なくとも1つに、置換基Eを導入すると、逆波長分散性を示し易くなる。
逆波長分散性の調整の点から、Re1、Re2、Re3及びRe4、並びに、Rd3の少なくとも1つに、置換基Eを導入する場合、置換基Eの中でも、インドレニン環のπ共役系を広げることができる置換基(インドレニン環のπ共役系を広げる基)を導入することが好ましい。インドレニン環のπ共役系を広げることができる置換基としては、例えば、π結合電子対、孤立電子対、又は孤立電子対を受け入れられる空軌道を有する基、或いは、誘起効果を示す基が挙げられ、具体的には、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、若しくはヒドロキシル基で置換されていても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、或いはヒドロキシル基が好ましく、中でも、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜10のアルキルオキシカルボニル基、炭素原子数1〜10のヒドロキシアルキル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、或いは、ヒドロキシル基等が更に好ましく、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基等がより更に好ましい。
また、Re1、Re2、Re3及びRe4が互いに結合して5〜7員環の芳香族炭化水素環を形成し、Re1、Re2、Re3及びRe4が結合しているベンゼン環を含む縮合環が形成されていることも、インドレニン環構造の共役系を広げることができる点から好ましい。
また、Re1、Re2、Re3及びRe4、並びに、Rd3の少なくとも1つに、置換基Eとして、−L−RspE−Zを導入する場合、膜の硬化度が向上することにより耐久性が向上する点から好ましい。
前記一般式(1)において、前記Dは、中でも逆波長分散性の調整の点から、前記一般式(D−1)から選ばれる基を表すことが好ましい。
前記Dは、具体的には、下記の式(d−1)から式(d−18)から選ばれる基を表すことが、原料が入手しやすく、溶解性が良好で、逆波長分散性を調整しやすい点から、特に好ましい。中でも、前記Dが式(d−18)のように末端に重合性官能基を有する置換基を含む場合、更に膜の硬化度が向上することにより耐久性が向上する点から好ましい。
前記一般式(1)において、Mは、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、又は−N=N−を表すが、中でも、合成の容易さ、安定性の点から、−CH=CH−、−N=CH−、又は−CH=N−が好ましく、CH=CH−、又は−CH=N−が更に好ましく、−CH=CH−であることがより更に好ましい。また、Mはトランス型でDとAcoreが結合することが逆波長分散性の点から好ましい。
前記一般式(1)において、−M−Dとしては、下記一般式(MD−1)から選ばれる基が好ましい。
(一般式(MD−1)中、Rd1及びRd2、Re1、Re2、Re3及びRe4は、それぞれ前記一般式(D−1)と同様であり、X及びXはそれぞれ独立して、CH又はNである。*(アスタリスク)はAcoreとの結合位置を示す。)
一般式(MD−1)中、X及びXは、合成の容易さ、安定性の点から、少なくとも1つがCHであることが好ましく、少なくともXがCHであることが更に好ましく、X及びXが共に、CHであることがより更に好ましい。
前記一般式(1)において、nは1又は2の整数を表し、−M−Dは、後述するAcoreに1つ又は2つ結合する。−M−Dが、後述するAcoreに1つ結合する場合、Acoreは三価の基であり、後述するAcoreに2つ結合する場合、Acoreは四価の基である。
前記一般式(1)において、nは、波長分散特性を調整するために、適宜1又は2を選択すればよい。
中でも、nが1を選択する場合、逆波長分散性を示し易い。
中でも、nが2を選択する場合、逆波長分散性を調整する効果を高める点から、Re1、Re2、Re3及びRe4、並びに、Rd3の少なくとも1つに、前述のようなインドレニン環構造の共役系を広げることができる置換基を導入することが好ましい。
一般式(1)中、Acoreは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の三価又は四価の基を表す。
単環芳香族基を構成する単環の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環が挙げられ、単環芳香族基を構成する単環の芳香族複素環としては、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環等が挙げられる。縮合環芳香族基を構成する縮合環の芳香族炭化水素環としては、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられ、縮合環芳香族基を構成する縮合環の芳香族複素環としては、キノリン環、アクリジン環、フェナントリジン環等が挙げられる。環集合とは、2環が共有原子を持たず、結合を介して連結している構造をいい、環集合芳香族基を構成する構造としては、前記単環及び縮合環の芳香族炭化水素環並びに前記単環及び縮合環の芳香族複素環からなる群から選択される少なくとも2種の環が直接連結している構造が挙げられる。炭素原子数4〜16の環集合芳香族基を構成する構造としては、例えば、ビフェニル、2−フェニルナフタレン、1−フェニルナフタレン等が挙げられる。
単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の三価又は四価の基は、無置換であっても良いが、1つ以上の後述する置換基Eによって置換されていても良い。
coreにおける置換基としては、中でも、合成が容易な点から、フッ素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、によって置換されても良い炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
coreにおける、無置換の単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の三価又は四価の基としては、例えば、下記式(Co−1)から式(Co−18)から選ばれる基を表すことが好ましいが、下記に限定されるものではない。
また、下記式(Co−1)から式(Co−18)においては、芳香族基の1つ以上の水素原子が1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い。
(式(Co−1)から式(Co−18)において、−M−Dは、前記一般式(1)と同様であり、M、Dが複数現れる場合は、各々同一であっても異なっていても良い。*(アスタリスク)はL又はLとの結合位置を示す。)
coreにおける、単環、縮合環又は環集合芳香族基の環構造としては、中でも原料調達の容易さの点から、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルであることが好ましく、波長分散性の点からはベンゼンであることが好ましく、分子同士の配向性、複屈折率を向上する点からは、ビフェニルであることが好ましい。前記本開示の重合性液晶化合物が複屈折率(△n)が大きい場合には、従来よりも薄膜で位相差を実現することが可能である。
coreにおける、無置換の単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の三価又は四価の基は、前記式(Co−1)から式(Co−8)から選ばれる基、及び前記式(Co−16)から式(Co−18)から選ばれる基の少なくとも1つを表すことが好ましい。
一般式(1)中のL、L、L及びLは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表す。二価の連結基又は単結合を表す。なお、L及びLがそれぞれ独立して、複数現れる場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
及びLとしてより具体的には、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことが好ましく、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−CH=CH−、−C≡C−又は単結合を表すことがより好ましく、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−又は単結合を表すことがさらに好ましく、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、又は単結合を表すことがさらにより好ましく、−COO−、−OCO−、−OCH−、又は−CHO−を表すことが特に好ましい。
及びLとしてより具体的には、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことがより好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良い。
一般式(1)中のA及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン−1,4−ジイル基(1,4−シクロヘキシレン基)、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表す。
これらの中でも、A及びAはそれぞれ独立して、中でも液晶性を向上させ、その重合体の配向性を向上させることが容易になる点から、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、又はシクロヘプタン−1,4−ジイル基であることが更に好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン−1,4−ジイル基であることが特に好ましい。
前記二価の脂環式炭化水素基は、L、L(又はL、L)と結合する炭素原子の立体配置の相違に基づく、シス型、トランス型の立体異性体が存在し得る。前記二価の脂環式炭化水素基は、シス型であってもトランス型であっても、あるいはシス型とトランス型の異性体混合物であってもよいが、配向性が良好であることから、トランス型あるいはシス型であるのが好ましく、トランス型がより好ましい。
一般式(1)中のA及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基(1,4−フェニレン基)、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表す。なお、A及びAがそれぞれ独立して複数現れる場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
一般式(1)中のA及びAとしてはそれぞれ独立して、中でも液晶性を向上させ、その重合体の配向性を向上させることが容易になる点から、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基であることが好ましい。
一般式(1)中のA及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いベンゼン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることが好ましく、ベンゼン−1,4−ジイル基又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることがより好ましく、ベンゼン−1,4−ジイル基であることが特に好ましい。これらの基であると、本実施形態の重合性液晶化合物の液晶性を向上させ、その重合体の配向性を向上させることが容易になる。
置換基Eはそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、これらによって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、或いは、置換基Eはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE、及びZは、それぞれ、後述するL、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、化合物内に置換基Eがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
液晶性、合成の容易さの観点から、置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことがより好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い炭素原子数1〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基若しくはアルコキシ基を表すことがさらに好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は、炭素原子数1〜8の直鎖アルキル基若しくは直鎖アルコキシ基を表すことが特に好ましい。
また、A及びAに置換されていても良い置換基E、中でも、R及びRがそれぞれ結合しているA及びAに置換されていても良い置換基Eとしては、−L−RspE−Zで表される基も、膜の硬化度が向上することにより耐久性が向上する点から好ましい。
一般式(1)中のm1及びm2はそれぞれ独立して1〜4の整数を表す。
本実施形態の重合性化合物の液晶性及び配向性を重視する場合には、m1及びm2の一方又は両方が1〜3の整数であることが好ましく、m及びnの両方が1〜3の整数であることがより好ましく、m1及びm2の両方が1又は2であることがさらに好ましい。
及びRはそれぞれ独立して、下記一般式(R−1)から選ばれる基を表す。
一般式(R−1): −L−Rsp1−Z
一般式(R−1)中、Lは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表す。
一般式(R−1)中、Lとしてより具体的には、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、又は単結合を表すことがより好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良い。
一般式(R−1)中、Rsp1は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置換されても良い炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表す。
一般式(R−1)中、Rsp1としてより具体的には、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置換されても良い炭素原子数2〜12のアルキレン基又は単結合を表すことがより好ましく、各々独立して、炭素原子数2〜10のアルキレン基又は単結合を表すことが更に好ましく、各々独立して、炭素原子数2〜8のアルキレン基を表すことがより更に好ましく、炭素原子数4〜8のアルキレン基を表すことがより更に好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良い。
一般式(R−1)中、Zは重合性官能基を表す。当該重合性官能基は、従来の重合性液晶化合物に使用される基が制限なく適用可能である。
当該重合性官能基は、それぞれ独立して下記式(Z−1)から式(Z−8)から選ばれる基を表すことが好ましい。なお、下記式(Z−1)から式(Z−8)において、*(アスタリスク)はRsp1との結合位置を示す。
(式(Z−1)〜(Z−8)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基である。)
重合方法として紫外線重合を行う場合には、Zは、式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−5)、式(Z−7)が好ましく、式(Z−1)、式(Z−3)、式(Z−7)がより好ましく、式(Z−1)がさらに好ましく、式(Z−1)において、Rが水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である場合が特に好ましい。
一般式(1)において、Lc1:−L−A−(L−Am1−L−Rsp1−Z、及び、Lc2:−L−A−(L−Am2−L−Rsp1−Zの具体例としては、これらに限定されるものではないが、下記Lc−1〜Lc−244で表される基が挙げられる。一般式(1)で表される重合性液晶化合物において、Lc1とLc2は同一であっても異なっていても良い。
前記Lc−1〜Lc−244で表される基において、L及びLにおけるmは1又は2を表し、2が好ましい。Rsp1におけるnは1〜20を表すが、中でもRsp1におけるnは、2以上であることが好ましく、更に4以上であることが好ましく、一方で、12以下であることが好ましく、更に10以下であることが好ましい。
また、Zにおいて、式(Z−1)中のRとしては、それぞれ独立して、中でも水素原子、又はメチル基であることが好ましく、更に水素原子であることが好ましい。
更に、一般式(1)で表される化合物としては、例えば、下記化合物(i)〜化合物(lxxxv)が挙げられる。表中のLc1は、−L−A−(L−Am1−L−Rsp1−Zを、Lc2は、−L−A−(L−Am2−L−Rsp1−Zを表す。
更に、表7〜表8の化合物(i)〜化合物(lxxxv)の代表的な構造式を下記に例示するが、これらに限定されるものではない。以下において、R及びRはそれぞれ独立して、前記一般式(R−1)から選ばれる基を表すが、中でもLは、−O−、−COO−、−OCO−、又は−O−CO−O−を表すことがより好ましく、R及びRにおいて各々同一であっても異なっていても良い。また、Rsp1は、各々独立して、炭素原子数1〜20のアルキレン基を表すことがより更に好ましく、R及びRにおいて各々同一であっても異なっていても良い。また、Zは前記式(Z−1)がさらに好ましく、式(Z−1)において、Rが水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である場合が特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、以下の製法で製造することができる。製法としては例えば、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応、ダフ反応など)を、その構造に応じて適宜組み合わせることにより、製造することができる。以下、製造方法の例を示すが、本開示はこれらの構造や製造方法に限定されるものではない。
例えば、L及びLがそれぞれ、*−OCO−であり(*はAcoreとの結合位置を示す)、Dが一般式(D−1)から選ばれる基を表し、Mが−CH=CH−である化合物の場合、例えば下記のように製造することができる。
まず、式(ip−1)で表されるインドレニン化合物を準備し、臭素化を行い式(ip−2)で表される中間体Aを得る。
一方で、Acoreにおいて、Mを導入する位置にアルデヒド基を導入した中間体Bを準備する。Acoreがベンゼン環の場合には、例えば2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドを準備する。また、例えばAcoreがビフェニルの場合には、4,4’−ジヒドロキシビフェニル又は更に置換基E(式(ip−3)、式(ip−4)において、E、Eは置換基Eを表し、n1又はn2は0又は1である。)が導入された式(ip−3)で表される化合物を準備し、ダフ反応等によって所望の位置にアルデヒド基を導入した式(ip−4)で表される中間体Bを製造する。
次に、式(ip−2)で表される中間体Aと、式(ip−5)で表される2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド等の、AcoreにおいてMを導入する位置にアルデヒド基を導入した中間体Bとを反応させ、式(ip−6)の中間体Cを得る。
次に、式(ip−6)の中間体Cと、HOOC−A−(L−Am1−Rで表される中間体D1(A、L、A、R、及びm1は上記と同一の意味を表す)とを、縮合反応等によって反応させることにより、式(ip−7)で表される中間体Eを得て、更に、得られた式(ip−7)で表される中間体Eと、HOOC−A−(L−Am2−Rで表される中間体D2(A、L、A、R、及びm2は上記と同一の意味を表す)とを反応させることにより、式(1−ex1)で表される化合物を得る。前記中間体D1と中間体D2の構造が同じ場合には、式(ip−6)の中間体Cに中間体D1を反応させることにより式(1−ex1)で表される化合物を得ることができる。
また、Acoreにおいて、ビフェニル等の環集合芳香族基を用いる場合、置換基Eの種類や置換位置、Mの置換位置等によって、例えば3,4−メチレンジオキシフェノール(東京化成工業(株)製)又はその誘導体に、ダフ反応を行ってアルデヒド基を導入し、鈴木−宮浦カップリング反応を行うことにより得てもよい。
また、例えば、式(ip−5)で表される2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド等の、AcoreにおいてMを導入する位置にアルデヒド基を導入した中間体Bに、主鎖部分となるHOOC−A−(L−Am1−Rで表される中間体D1(A、L、A、R、及びm1は上記と同一の意味を表す)や、HOOC−A−(L−Am2−Rで表される中間体D2(A、L、A、R、及びm2は上記と同一の意味を表す)を反応させた後に、アルデヒド基に、式(ip−2)で表される中間体Aを反応させることにより、式(1−ex1)で表される化合物を得てもよい。
また、Mが−CH=N−である化合物の場合、例えば下記のように製造することができる。
対応するインドレニンのアミン体を式(ip−2’)で表される中間体A’として準備し、当該式(ip−2’)で表される中間体A’と、式(ip−5)で表される2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド等の、AcoreにおいてMを導入する位置にアルデヒド基を導入した中間体Bとを酸性条件下で反応させ、式(ip−6’)の中間体C’を得る以外は、上記と同様にして製造することができる。
また製造に用いられる各中間体は、適宜市販品を用いてもよいし、従来公知の方法で適宜合成することができる。
本開示において重合性液晶化合物の構造は核磁気共鳴分光法(NMR)、熱分解型ガスクロマトグラフ質量分析法(Py−GC−MS)、及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOFMS)等を適宜組み合わせて解析することができる。
また、本開示の重合性液晶化合物は、使用可能な基材の選択肢が広がる点から、固体−液晶相転移温度が25℃以上200℃以下であることが好ましく、30℃以上180℃以下であることが更に好ましく、30℃以上150℃以下であることがより更に好ましい。固体−液晶相転移温度が低いと、液晶を配向させる工程での負荷が軽減されたり、高温に弱い基板への利用が可能となる。
ここで、固体−液晶相転移温度とは、液晶化合物が固体から液晶に変化する温度を意味する。本開示において固体−液晶相転移温度は、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって昇温時において確認する。すなわち、偏光顕微鏡観察において、昇温時、固体が融解して液状になり、かつ偏光顕微鏡のクロスニコル観察(偏光板が直交状態)において明視野となった点を固体−液晶相転移温度と特定することができる。
また、本開示の重合性液晶化合物は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びジオキソランからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤に10質量%以上溶解することが、使用可能な基材の選択肢が広がる点から好ましく、更に20質量%以上溶解することが好ましい。
B.重合性組成物
本開示の重合性組成物は、少なくとも前記本開示の重合性液晶化合物を含む組成物である。
本開示の重合性組成物は、前記本開示の重合性液晶化合物を含むことから、前述のように、フラット波長分散性や逆波長分散性を示す位相差層を形成可能な重合性組成物とすることができる。また、本開示の重合性組成物は、有機溶剤を含有してインクとする場合に、有機溶剤に対して前記本開示の重合性液晶化合物の含有割合を高くすることができ、製造工程の負荷を低減し易く、更に、均一な塗膜を製造しやすい。
本開示の重合性組成物は、少なくとも前記本開示の重合性液晶化合物を含むものであるが、更に、光重合開始剤を含有することが好ましい。
また、本開示の重合性組成物は、位相差や波長分散性を調整する点や、配向性、溶解性、相転移温度を調整する点から、更に、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物を含有していても良く、また、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよいものである。以下、本開示の重合性組成物を構成する各成分について順に説明する。
1.前記本開示の重合性液晶化合物
本開示の重合性組成物において前記本開示の重合性液晶化合物は、前記「A.重合性液晶化合物」で説明したものと同様であって良いので、ここでの説明は省略する。
本開示における重合性組成物において、前記本開示の重合性液晶化合物は1種単独を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、逆波長分散性を有する重合性組成物を得る場合であって、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物として逆波長分散性を示す重合性液晶化合物と組み合わせて用いる場合、前記本開示の重合性液晶化合物の含有割合は、本開示の重合性液晶化合物と本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物との合計量100質量部に対して、1質量部以上99.9質量部以下であってよく、5質量部以上99質量部以下であることが好ましく、10質量部以上95質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態において、逆波長分散性を有する重合性組成物を得る場合であって、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物としてフラット波長分散性を示す重合性液晶化合物と組み合わせて用いる場合、前記本開示の重合性液晶化合物の含有割合は、本開示の重合性液晶化合物と本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物との合計量100質量部に対して、50質量部以上99.9質量部以下であることが好ましく、54質量部以上99質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態において、逆波長分散性を有する重合性組成物を得る場合であって、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物として正波長分散性を示す重合性液晶化合物と組み合わせて用いる場合、前記本開示の重合性液晶化合物の含有割合は、本開示の重合性液晶化合物と本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物との合計量100質量部に対して、70質量部以上99.9質量部以下であることが好ましく、85質量部以上99質量部以下であることが更に好ましく、90質量部以上99質量部以下であることが更に好ましい。
また、本実施形態において、フラット波長分散性を有する重合性組成物を得る場合であって、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物として逆波長分散性、フラット波長分散性、又は正波長分散性を示す重合性液晶化合物のいずれか1種以上と組み合わせて用いる場合、前記本開示の重合性液晶化合物の含有割合は、本開示の重合性液晶化合物と本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物との合計量100質量部に対して、50質量部以上99.9質量部以下であることが好ましく、54質量部以上99質量部以下であることが更に好ましい。
また、本実施形態において前記本開示の重合性液晶化合物を含む重合性液晶化合物の合計含有割合(本開示の重合性液晶化合物と本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物との合計含有割合)は、重合性組成物の硬化性の点から、重合性組成物の固形分100質量部に対して、90質量部以上99.9質量部以下であることが好ましく、92質量部以上99質量部以下であることがより好ましい。
なお、本開示において固形分とは溶剤を除く全ての成分をいい、例えば、後述する、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物が液状であっても固形分に含まれるものとする。
2.光重合開始剤
本実施形態において光重合開始剤は、従来公知の物の中から適宜選択して用いることができる。このような光重合開始剤の具体例としては、例えば、チオキサントン等を含む芳香族ケトン類、α−アミノアルキルフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が好適に挙げられ、中でも、塗膜の内部まで硬化し耐久性が向上するため、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤、及びオキシムエステル系重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイド(例えば、商品名:イルガキュア819、BASF社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名:Lucirin TPO:BASF社製等)等が挙げられる。
また、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えばイルガキュア907、BASF社製)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(例えばイルガキュア369、BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379EG、BASF社製)等が挙げられる。
また、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(例えば、商品名:イルガキュア127、BASF社製等)、2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン(例えば、商品名:イルガキュア2959、BASF社製等)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、商品名:イルガキュア184、BASF社製等)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}(例えば、商品名:ESACURE ONE、Lamberti社製等)等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名:イルガキュアOXE−01、BASF製)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(商品名:イルガキュアOXE−02、BASF製)、メタノン,エタノン,1−[9−エチル−6−(1,3−ジオキソラン,4−(2−メトキシフェノキシ)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(商品名ADEKA OPT−N−1919、ADEKA社製)等が挙げられる。
本実施形態において光重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において光重合開始剤の含有割合は、前記重合性化合物の硬化を促進する点から、重合性組成物の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
3.本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物
本開示の重合性組成物において、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物は、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。位相差フィルムに対する入射光の波長λを横軸に取り、その複屈折率を縦軸にプロットして得たグラフの傾きが負(右肩下がり)である一般的な正常分散(正分散)の重合性液晶化合物であってもよいし、逆波長分散性の重合性液晶化合物であっても良いし、フラット分散性又は低波長分散性重合性液晶化合物であっても良い。前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物として、例えば、逆波長分散性を示す化合物の例としては特許第5463666号、特許第4186981号、特許第5962760号、及び特許第5826759号に記載の重合性液晶化合物が挙げられる。フラット分散性を示す化合物の例としてはRecueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas(1996),115(6),321-328に記載の化合物などがあげられる。
本実施形態においては、前記重合性液晶化合物との組み合わせにおいて配向しやすいことから、棒状メソゲンの少なくとも一方の末端に重合性官能基を有する重合性液晶化合物であることが好ましく、棒状メソゲンの両末端に重合性官能基を有する重合性液晶化合物であることがより好ましい。1分子中に重合性官能基を2つ以上有する重合性液晶化合物は、塗膜の硬度や耐久性を向上させることができる。
本開示に用いられる重合性液晶化合物としては、例えば、前記重合性化合物の主鎖部分と同様の構造を有する、下記一般式(II−1)で表される重合性液晶化合物、及び下記一般式(II−2)で表される重合性液晶化合物が挙げられる。
(式中、Z10、及びZ20は各々独立して重合性官能基を表し、Rsp10、及びRsp20は各々独立して単結合又は炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、L10、L20及びL30は各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、A10、及びA20は各々独立して、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A10、及びA20は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、s1及びs2は0、1、2、3又は4を表すが、s1及びs2がそれぞれ独立に2、3又は4を表す場合、2個、3個あるいは4個存在するA20、L10はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
重合性液晶化合物が有する重合性官能基としては、前記重合性化合物のZ等と同様のものが挙げられる。重合性液晶化合物が有する重合性官能基としては、例えば、オキシラン環、オキセタン環等の環状エーテル含有基、エチレン性二重結合含有基等が挙げられるが、中でも光硬化性を示し、取り扱い性に優れる点から、エチレン性二重結合含有基であることが好ましい。環状エーテル基としては、例えば、グリシジル基が挙げられる。また、エチレン性二重結合含有基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
本実施形態において、重合性液晶化合物は、配向性の点から、中でも、下記一般式(III)で表される化合物、及び下記一般式(IV)で表される化合物より選択される1種以上の化合物が好ましい。
(一般式(III)中、R21は、水素原子又はメチル基を、R22は、−(CH−、又は−(CO)p’−で表される基を表す。L23は、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、Arは無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、複数あるL23及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R23は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R24、−C(=O)−OR24、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR24 、−R25、又は−OR25を、R24は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R25は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。bは2以上4以下の整数、p及びp’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。)
(一般式(IV)中、R31及びR32は各々独立に、水素原子又はメチル基を、R33は、−(CH−、又は−(CO)q’−で表される基を、R34は、−(CH−、又は−(OCr’−で表される基を表す。L34は、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、Arは無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、複数あるL34及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。cは2以上5以下の整数、q、q’、r及びr’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。)
一般式(III)におけるp、p’、一般式(IV)におけるq、q’、r及びr’は配向性の点から、2以上8以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましく、2以上5以下であることがより更に好ましい。
また、Ar及びArはそれぞれ、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、中でもベンゼン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基がより好ましい。Ar及びArが有してもよい置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基が挙げられるが、より好ましくは炭素原子数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、一般式(III)におけるR24及びR25における炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖、分岐、若しくは環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基等の分岐アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。R24は、中でも、水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、更に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。R25は、中でも、炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、更に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。
23は、中でも配向性の点から、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R25、−C(=O)−OR24、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR24 、−R25、又は−OR25であることが好ましく、−Cl、−CN、−OCF又は−C(=O)−OR24、−R25、又は−OR25であることがより好ましい。
重合性液晶化合物に含まれるメソゲン構造としては、下記化学式(V−1)〜(V−6)で表される部分構造が、好ましく用いられ、中でも、環構造を3つ以上含む下記化学式(V−1)、(V−2)、(V−4)、(V−5)、及び(V−6)よりなる群から選択される少なくとも1種で表される部分構造が、好ましく用いられる。下記化学式(V−1)〜(V−6)で表される部分構造におけるフェニレン基やナフチレン基における水素原子は、炭素数1以上3以下のアルキル基や、ハロゲン原子によって置換されていても良い。
一般式(III)で表される化合物、及び一般式(IV)で表される化合物の好適な具体例としては、下記化学式(1)〜(22)に示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(gは2〜5の整数である。)
本実施形態において、本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物の重合性組成物中の含有割合は、所望の位相差等を調整するために適宜調整されれば良く、限定されるものではない。
例えば、本実施形態において、逆波長分散性を有する重合性組成物を得る場合であって、本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物として逆波長分散性を示す重合性液晶化合物を用いる場合、当該逆波長分散性を示す重合性液晶化合物の含有割合は、本開示の重合性液晶化合物と本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物との合計量100質量部に対して、0.1質量部以上99質量部以下であってよく、1質量部以上95質量部以下であることが好ましく、5質量部以上90質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態において、逆波長分散性を有する重合性組成物を得る場合であって、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物としてフラット波長分散性を示す重合性液晶化合物と組み合わせて用いる場合、当該フラット波長分散性を示す重合性液晶化合物の含有割合は、本開示の重合性液晶化合物と本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物との合計量100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上46質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態において、逆波長分散性を有する重合性組成物を得る場合であって、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物として正波長分散性を示す重合性液晶化合物と組み合わせて用いる場合、当該正波長分散性を示す重合性液晶化合物の含有割合は、本開示の重合性液晶化合物と本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物との合計量100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、1質量部以上15質量部以下であることが更に好ましく、1質量部以上10質量部以下であることが更に好ましい。
また、本実施形態において、フラット波長分散性を有する重合性組成物を得る場合であって、前記本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物として逆波長分散性、フラット波長分散性、又は正波長分散性を示す重合性液晶化合物のいずれか1種以上と組み合わせて用いる場合、当該本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物の含有割合は、本開示の重合性液晶化合物と本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物との合計量100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上46質量部以下であることが更に好ましい。
4.その他の成分
本実施形態の重合性組成物は、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよい。具体的には、他の成分としてレベリング剤、酸化防止剤、光安定化剤、増感剤、帯電防止剤、易滑剤や、塗工性の観点から溶剤等を含有してもよい。また、単独では液晶性を示さないが本開示の重合性液晶化合物と共に用いることで位相差や逆波長分散性、相転移温度、硬度、耐久性を調整可能な重合性化合物を含有してもよい。これらは従来公知の材料を適宜選択して用いればよい。
塗膜の硬度や耐久性を向上させるためには、1分子中に重合性官能基を2つ以上有する重合性化合物を、更に含有することが好ましい。1分子中に重合性官能基を2つ以上有する重合性化合物としては前述のような重合性液晶化合物の他、液晶性を有しない重合性化合物を用いることができる。
1分子中に重合性官能基を2つ以上有する重合性化合物としては、所謂多官能モノマーを用いることもでき、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。架橋反応が進行し、塗膜の耐久性が向上するため、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)等の1分子中に重合性官能基を3つ以上有する重合性化合物が好ましい。
本実施形態において液晶性を有しない重合性化合物を用いる場合、その含有割合は、重合性組成物の固形分100質量部に対して40質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましく、20質量部以下とすることがより更に好ましい。
本実施形態において、本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性化合物としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びジオキソランからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤に20質量%以上溶解することが、重合性組成物の溶剤溶解性が向上し、当該重合性組成物を用いて塗膜を形成する際に、均一な塗膜を形成しやすく、溶剤を乾燥させるための製造工程や製造装置の負荷が軽減される点、使用可能な基材の選択肢が広がる点から好ましい。
レベリング剤としては、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を用いることが好ましい。レベリング剤の 具体例としては、例えば、特開2010−122325号公報に記載のDIC(株)製の メガファックシリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製の TSFシリーズ及び(株)ネオス製のフタージェントシリーズ等が挙げられる。本実施形態においてレベリング剤を用いる場合、その含有割合は、重合性組成物の固形分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下とすることが好ましい。
本実施形態の重合性組成物は、塗工性の点から、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、重合性組成物に含まれる各成分を溶解乃至分散し得る従来公知の溶剤の中から適宜選択すればよい。具体的には、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。本実施形態において溶剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて混合溶剤として用いることができる。
本実施形態の重合性組成物は、配向性が良好であることから種々の用途に好適に用いられる。本実施形態の重合性組成物は、液晶組成物として、例えば、後述する位相差フィルムや各種光学部材用途に好適に用いられる。
C.重合体
本開示の重合体は、前記本開示の重合性液晶化合物、或いは前記本開示の重合性組成物を重合して得られるものである。重合方法は、本開示の重合性液晶化合物に含まれる重合性官能基に合わせて適宜選択することができる。
前記本開示の重合性液晶化合物、或いは前記本開示の重合性組成物を配向させずに重合することにより得られる重合体は、例えば、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。
また、前記本開示の重合性液晶化合物、或いは前記本開示の重合性組成物を配向させた後に重合することにより得られる重合体は、光学異方性を有し、後述する位相差フィルムや各種光学部材用途に好適に用いられる。
D.位相差フィルム
本開示の位相差フィルムは、位相差層を有する位相差フィルムであって、前記位相差層が、前記本開示の重合性組成物の硬化物からなるものである。
上記本実施形態の位相差フィルムは、位相差層が前記重合性組成物の硬化物からなるものであるため、前述したように、逆波長分散性又はフラット波長分散性を示すものである。
位相差フィルムの層構成について図を参照して説明する。図1〜図3は、各々本開示の位相差フィルムの1実施形態を示す。図1の例に示される位相差フィルム10の1実施形態は、基材2上に配向膜3と位相差層1がこの順に積層されている位相差フィルムである。図2の例に示される位相差フィルム10の1実施形態は、位相差層1のみからなる位相差フィルムである。また図3の例に示される位相差フィルム10の1実施形態は、基材2’上に直接位相差層1が形成されている。図3の例に示される位相差フィルムには基材2’の位相差層1側表面に配向規制力を発現する手段が付されていてもよい。ここで、本開示において配向規制力とは、位相差層中の配向性成分を特定方向に配列させる作用をいう。
1.位相差層
本開示の実施形態の位相差層1は、前記本開示の重合性液晶化合物を含有する前記本開示の重合性組成物の硬化物からなる。
ここで、前記本開示の重合性液晶化合物、及び前記本開示の重合性組成物とは、それぞれ、前記本開示の実施形態の重合性液晶化合物、及び重合性組成物において説明したものと同様であって良いので、ここでの説明は省略する。
位相差層は、前記本開示の重合性液晶化合物の配向性を有する主鎖部分、及び更に含まれていても良い重合性液晶化合物が、フィルム面に対して実質的に水平配向した状態で、硬化しているものであることが好ましい。本開示の実施形態の重合性組成物の硬化物には、前記重合性化合物の重合性官能基の少なくとも一部が重合した構造が含まれる。このような前記重合性化合物の重合性官能基の少なくとも一部が重合した構造が含まれることから、本実施形態の位相差層は、耐久性が向上している位相差層である。
位相差は、自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−WR)により測定することができる。測定光を位相差層表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから位相差層の位相差を増減させる異方性や、液晶の垂直(厚さ)方向の配向性の程度を確認することができる。
また、位相差層が、前記本開示の重合性組成物に含まれる本開示の重合性液晶化合物や更に含まれていても良い重合性液晶化合物の重合性官能基の少なくとも一部が重合した構造が含まれることは、位相差層から材料を採取し分析することで確認することができる。分析方法としては、NMR、IR、GC−MS、XPS、TOF−SIMSおよびこれらの組み合わせた方法を適用することができる。
当該位相差層は、光重合開始剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定化剤等のその他の成分を含んでいても良い。光重合開始剤など、前記重合性液晶化合物が有する重合性官能基を反応させるために光照射した際に、全てが分解する可能性がある成分については、位相差層には含まれていない場合もある。
位相差層の厚みは、用途に応じて適宜設定すればよい。
本開示の位相差フィルムを、例えば、広帯域1/4波長板とする場合には、得られる位相差フィルムのRe(550)を113nm以上163nm以下、好ましくは135nm以上140nm以下、特に好ましくは約137.5nm程度に膜厚を調整すればよく、1/2波長板とする場合には、得られる光学フィルムのRe(550)を250nm以上300nm以下、好ましくは273nm以上277nm以下、特に好ましくは約275nm程度となるように、膜厚を調整すればよい。
なお重合性組成物の塗布量や重合性液晶化合物の濃度を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように膜厚を調整することができる。得られる位相差層の位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、下記式のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るためには、膜厚dを調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
位相差層の厚みは、中でも、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上3μm以下であることがより好ましい。
本開示の位相差フィルムの波長分散特性は、位相差層における本開示の重合性液晶化合物とその他含有していても良い重合性液晶化合物の含有量によって、任意に決定することができる。位相差層において本開示の重合性液晶化合物の含有量を増加させると、逆波長分散特性やフラット波長分散性が増加する傾向を示す。
本開示の位相差層は、理想的な逆波長分散性に近付けるために、Re(450)/Re(550)が、0.75以上0.99未満の範囲内にあることが好ましく、0.75以上0.95未満の範囲内にあることが好ましく、更に0.78以上0.93未満の範囲内にあることがより更に好ましい。また、Re(650)/Re(550)が、1以上であることが好ましく、1超過であることが更に好ましく、1.02以上1.1以下の範囲内にあることがより更に好ましい。
或いは、本開示の位相差層は、フラット波長分散性とするために、Re(450)/Re(550)が0.99以上1.01未満であっても良く、また、Re(650)/Re(550)が、1以上であることが好ましく、1超過であることが更に好ましい。
2.配向膜
本明細書において配向膜とは、位相差層に含まれる液晶性成分を一定方向に配列させるための層をいう。
本開示の実施形態に用いられる配向膜としては、前記本開示の実施形態の重合性組成物が水平配向しやすいことから、水平配向膜を用いることが好ましい。
水平配向膜は、塗膜として設けることで、位相差層に含まれる液晶性成分のメソゲンの長軸を該水平配向膜面(フィルム面)に対して実質的に水平に配向させる膜であればよい。
水平配向膜としては、従来公知のもの適宜選択して用いることができ、例えば、ラビング法、光配向法、賦形法等により配向規制力を付与した配向膜等を挙げることができ、中でも、ラビング法、光配向法又は賦形法により配向規制力を付与した水平配向膜が好ましい。
ラビング法により配向規制力を付与する場合、水平配向膜には、ラビングにより配向規制力を発現するポリマーが用いられる。当該ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミド及びこれらの誘導体が挙げられ、中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
ラビング法による水平配向膜の形成方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、前記透明基材上に、上記ポリマーを含む塗膜を形成した後、公知のラビングローラ等を用いてラビングすることにより、水平配向膜を得ることができる。
水平配向膜を光配向法により形成する場合、配向膜用組成物として、偏光を照射することにより配向規制力を発現する光配向性材料を含有する光配向性組成物が用いられる。当該光配向性材料としては、光二量化型材料であっても、光異性化型材料であってもよい。具体的には、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、または、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等が挙げられ、中でも、シンナメート及びクマリンのうち少なくとも一方を有するポリマー、並びにこれらの誘導体が好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例として、例えば、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、WO2010/150748号公報、及び特開2015−151548号公報に記載された化合物を挙げることができる。
光配向法による光配向膜の形成方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、前記透明基材上に、前記光配向性組成物を均一に塗布し、偏光を照射し、次いで、塗膜全面に光照射することにより、光配向膜を得ることができる。
また、水平配向膜を賦型法により形成する場合、配向膜用組成物は、所望の微細凹凸形状を賦型可能なものの中から適宜選択して用いればよく、例えば、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を含有する賦型用組成物を用いることができる。中でも、配向膜の形成が容易である点から紫外線硬化性樹脂が用いられることが好ましい。紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、上記重合性モノマー、重合性オリゴマーの他、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレート等が挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
賦型法による水平配向膜の形成方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、前記透明基材上に、前記賦型用組成物を均一に塗布し、所望の微細凹凸形状が形成された金型上に、塗膜を接触させた後、加圧し、紫外線を照射することにより、所望の微細凹凸形状が付与された配向膜を得ることができる。
また、前記水平配向膜としては、パターニング処理がされ、配向性能を有する部位がパターン状に配置されたものであっても良い。パターニング処理がされた水平配向膜としては、公知のものを用いることができ、特に限定はされないが、例えば、マスクラビングによりパターニング処理がされたラビング配向膜、マスク露光によりパターニング処理がされた光配向膜、配向膜を印刷等でパターニング処理した配向膜等が挙げられる。
水平配向膜の厚さは、前記重合性棒状液晶化合物を水平方向に配向できればよく、適宜設定することができ、特に限定はされないが、通常、1nm以上であり、60nm以上であることが好ましく、薄膜化の観点から、15μm以下が挙げられ、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることがより更に好ましい。
3.基材
本実施形態において基材は、ガラス基材、金属箔、樹脂基材等が挙げられる。中でも、基材は透明性を有することが好ましく、従来公知の透明基材の中から適宜選択することができる。透明基材としては、ガラス基材の他、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を用いて形成された透明樹脂基材が挙げられる。
上記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、ロールトゥロール方式で位相差層を形成する場合には、透明基材は、ロール状に巻き取ることができる可撓性を有するフレキシブル材であることが好ましい。
このようなフレキシブル材としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類などを例示することができる。なかでも本実施形態においてはセルロース誘導体やポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。セルロース誘導体は特に光学的等方性に優れるため、光学的特性に優れたものとすることができるからである。また、ポリエチレンテレフタレートは、透明性が高く、機械的特性に優れる点から好ましい。
本実施形態に用いられる基材の厚みは、位相差フィルムの用途等に応じて、必要な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、10μm以上1000μm以下程度の範囲内である。
中でも、基材の厚みは、25μm以上125μm以下の範囲内が好ましく、中でも30μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、長尺状の位相差フィルムを形成した後、裁断加工し、枚葉の位相差フィルムとする際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本実施形態に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
例えば、本実施形態に用いられる配向膜が紫外性硬化性樹脂を含有するものである場合、透明基材と当該紫外線硬化性樹脂の接着性を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、基材および紫外線硬化性樹脂との双方に接着性を有し、可視光学的に透明であり、紫外線を通過させるものであればよく、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体系、ウレタン系のもの等を適宜選択して使用することができる。
また、基材上にアンカーコート層を積層しても良い。当該アンカーコート層によって基板の強度を向上させることができる。アンカーコート材料としては、金属アルコキシド、特に金属シリコンアルコキシドゾルを用いることができる。金属アルコキシドは、通常アルコール系の溶液として用いられる。アンカーコート層は、均一で、かつ柔軟性のある膜が必要なため、アンカーコート層の厚みは0.04μm以上2μm以下程度が好ましく、0.05μm以上0.2μm以下程度がより好ましい。
前記基材がアンカーコート層を有する場合には、基材とアンカーコート層の間に更にバインダー層を積層したり、アンカーコート層に基板との密着性を強化する材料を含有させることにより、基材とアンカーコート層の密着性を向上させてもよい。前記バインダー層の形成に用いるバインダー材料は、基材とアンカーコート層との密着性を向上できるものを特に制限なく使用することができる。バインダー材料としては、たとえば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等を例示できる。
4.位相差フィルムの製造方法
本開示の実施形態の位相差フィルムの製造方法は、
前記本開示の実施形態の重合性組成物を成膜する工程(成膜工程)と、
前記成膜された前記重合性組成物中の前記重合性化合物を少なくとも配向させる工程(配向工程)と、
前記配向工程の後に、前記重合性化合物を少なくとも重合する工程(重合工程)とを有することにより、位相差層を形成する工程を有する。
当該重合性組成物としては、前記「B.重合性組成物」と同様のものを用いることができるので、ここでの説明を省略する。
(1)重合性組成物の成膜工程
支持体上に、重合性組成物を均一に塗布して成膜を形成する。
前述のように、重合性組成物の塗布量や重合性液晶化合物の濃度を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように膜厚を調整する
ここでの支持体上としては、前記基材上であっても良いし、前記配向膜を備えた基材の配向膜上であってもよい。
塗布方法は、所望の厚みで精度良く成膜できる方法であればよく、適宜選択すればよい。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などが挙げられる。
(2)配向工程
次いで、前記成膜された前記重合性組成物中の前記重合性液晶化合物を少なくとも配向させる。成膜された重合性組成物中の前記重合性液晶化合物が、配向可能な温度に調整し、加熱する。当該加熱処理により、本開示の重合性液晶化合物の配向性を有する主鎖部分と、必要に応じて更に含まれる前記本開示の重合性化合物とは異なる重合性液晶化合物とを配向させて乾燥することができ、前記配向状態を維持した状態で固定化することができる。
配向可能な温度は、重合性組成物中の各物質に応じて異なるため、適宜調整する必要がある。例えば、60℃以上200℃以下の範囲内で行うことが好ましく、更に60℃以上100℃以下の範囲内で行うことが好ましい。
加熱手段としては、公知の加熱、乾燥手段を適宜選択して用いることができる。
また、加熱時間は、適宜選択されれば良いが、例えば、10秒以上2時間以内、好ましくは20秒以上30分以内の範囲内で選択される。
(3)重合工程
前記配向工程の後に、前記重合性液晶化合物を少なくとも重合する。前記配向工程において、重合性液晶化合物の配向状態を維持した状態で固定化された塗膜に、例えば光照射することにより、重合性液晶化合物を重合することができ、前記重合性組成物の硬化物からなる位相差層を得ることができる。
光照射としては、紫外線照射が好適に用いられる。紫外線照射は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線を使用することができる。エネルギー線源の照射量は、適宜選択されれば良く、紫外線波長365nmでの積算露光量として、例えば10mJ/cm以上10000mJ/cm以下の範囲内であることが好ましい。
5.用途
本開示の位相差フィルムは、例えば反射防止用1/4波長板して好適に用いられ、後述するような各種表示装置用の光学部材に好適に用いられる。
E.転写用積層体
本開示の転写用積層体は、位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、
前記位相差層が、前記本開示の重合性組成物の硬化物からなる、
位相差層の転写に供する転写用積層体である。
上記本実施形態の転写用積層体は、位相差層が前記重合性組成物の硬化物からなるものであるため、重合性化合物の析出が抑制され、光学特性に優れているものである。上記本実施形態の転写用積層体によれば、他の任意の光学部材等に、例えば、基材を含まない薄膜の、本開示の位相差層を転写することができる。
本実施形態の転写用積層体によれば、例えば、図2の例に示される位相差層1のみからなる位相差フィルム10や、図5の例に示されるような、基材は含まず配向膜23と位相差層21とが積層された積層体26からなる位相差フィルムを、提供することができる。すなわち、前記位相差層を少なくとも剥離可能であれば、転写用積層体の転写に供する位相差層には、配向膜等が積層されていても良い。
以下、このような転写用積層体の構成について説明するが、前記本開示の実施形態の重合性組成物については前述のとおりであるため、ここでの説明は省略する。
転写用積層体の層構成について図を参照して説明する。図4及び図5は、各々本開示の転写用積層体の1実施形態を示す。
図4の例に示される転写用積層体20の1実施形態は、転写に供する位相差層16と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体15として、第二の基材12上に配向膜13と位相差層11とがこの順に積層されている転写用積層体である。図4の例に示される転写用積層体においては、第二の基材12と配向膜13との剥離強度が、配向膜13と位相差層11との剥離強度よりも大きくなっていることにより、配向膜と位相差層との界面17で剥離され、位相差層11(16)を転写することができる転写用積層体の例である。
図5の例に示される転写用積層体30の1実施形態は、転写に供する位相差層26と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体25として、第二の基材22上に配向膜23と位相差層21がこの順に積層されている転写用積層体である。図5の例に示される転写用積層体においては、第二の基材22と配向膜23との剥離強度が、配向膜23と位相差層21との剥離強度よりも小さくなっていることにより、第二の基材22と配向膜23との界面27で剥離され、転写に供する位相差層26としては、位相差層21及び配向膜23を転写することができる転写用積層体の例である。
例えば、第二の基材と配向膜との剥離強度が配向膜と位相差層との剥離強度よりも大きいか小さいかは、位相差層の剥離を行って、いずれの界面で剥離しているかで確認することができる。いずれの界面で剥離しているかは、例えば、IR等により分析可能である。
また、図6の例に示される転写用積層体40の1実施形態は、転写に供する位相差層36と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体35として、第二の基材32上に位相差層31がこの順に積層されている転写用積層体である。
以下、本実施形態について説明するが、位相差層については前記「D.位相差フィルム」で述べた位相層と同様のものとすることができるのでここでの説明を省略する。
また、配向膜及び基材も前記「D.位相差フィルム」で述べた配向膜及び基材と同様のものを用いることができるが、剥離強度を調整する方法としては、例えば下記の方法を挙げることができる。
図4の例に示される転写用積層体20を得るために、第二の基材12と配向膜13との剥離強度が、配向膜13と位相差層11との剥離強度よりも大きくするには、例えば、配向膜形成用組成物に含まれる溶剤を、第二の基材を溶解可能なものとする方法を用いることができる。当該第二の基材としては樹脂基材を用いることが好ましく、また、基材表面に接着性が向上するための表面処理を行っても良い。このような場合、樹脂基材および配向膜の密着性を向上させることができる。
また、基材と配向膜との剥離強度が配向膜と位相差層との剥離強度よりも大きくなるよう、配向膜と位相差層との剥離強度を小さくするために、配向膜の耐溶剤性を比較的高くすることも好ましい。配向膜の耐溶剤性が比較的高い場合には、配向膜上に重合性組成物を塗布して位相差層を形成する際に、重合性組成物中の溶剤に配向膜が溶解しにくくなるため、配向膜および位相差層の密着性を低くすることができる。
一方、図5の例に示される転写用積層体30を得るために、第二の基材22と配向膜23との剥離強度が、配向膜23と位相差層21との剥離強度よりも小さくするためには、例えば、基材の表面に離型処理が施されていてもよく、あるいは離型層が形成されていてもよい。これにより、基材の剥離性を高めることができ、基材および配向層の剥離強度を配向層および位相差層の剥離強度よりも小さくすることができる。
離型処理としては、例えばフッ素処理、シリコーン処理等の表面処理が挙げられる。
離型層の材料としては、例えばフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ワックス系離型剤等が挙げられる。離型層の形成方法としては、例えば離型剤をディップコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布法により塗布する方法が挙げられる。
また、図6の例に示される転写用積層体40を得るためにも、必要に応じて、基材の表面に離型処理が施されていてもよく、あるいは離型層が形成されていてもよい。
転写用積層体に用いられる基材は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよいが、基材を剥離しやすいことから、可撓性を有することが好ましい。
転写用積層体に用いられる基材の厚みは、充分な自己支持強度と、本実施形態の転写用積層体の製造および転写工程に適応出来るだけの可撓性との兼合いから、通常、上記材料のシートの場合、20μm以上200μm以下の範囲内であることが好ましい。
本開示の転写用積層体から提供できる位相差層は、前記位相差フィルムと同様の用途に好適に用いられ、例えば反射防止用1/4波長板として好適に用いられ、各種表示装置用の光学部材に転写することができ、薄膜の光学部材を提供するために好適に用いられる。
F.光学部材
本開示の光学部材は、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を備えるものである。
本実施形態の光学部材を、図を参照して説明する。図7は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。
図7の光学部材60の例では、前記本開示の位相差フィルム10上に、偏光板50が配置されている。位相差フィルム10と偏光板50との間には、必要に応じて粘着層(接着層)を有していてもよい(図示せず)。
本実施形態において偏光板は、特定方向に振動する光のみを通過させる板状ものであり、従来公知の偏光板の中から適宜選択して用いることができる。例えば、沃素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。
また、本実施形態において粘着層(接着層)用の粘着剤又は接着剤としては、従来公知のものの中から適宜選択すればよく、感圧接着剤(粘着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等、いずれの接着形態のもの好適に用いることができる。
本実施形態の光学部材には、偏光板の他にも、公知の光学部材が備える他の層を更に有していても良い。当該他の層としては、例えば、前記本実施形態の位相差層とは異なる他の位相差層の他、反射防止層、拡散層、防眩層、帯電防止層、保護フィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態の光学部材は、例えば、外光反射を抑制する光学部材や、各種表示装置用の広視野角偏光板として好適に用いることができる。
本開示の光学部材の製造方法は、特に限定されることなく、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を積層する方法を適宜選択して用いることができる。例えば、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を、粘着層乃至接着層を介して積層する製造方法等が挙げられる。
また、本開示の1実施形態の光学部材の製造方法としては、
前記本開示の転写用積層体を準備する転写用積層体準備工程と、
少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記支持体を剥離する剥離工程とを有する、光学部材の製造方法が挙げられる。
前記転写用積層体を用いた本開示の1実施形態の光学部材の製造方法によれば、偏光板と、前記本開示の位相差フィルムのうち前記位相差層のみを備えた光学部材を得ることができる。
本開示の1実施形態の光学部材の製造方法に用いる転写用積層体は、前記「E.転写用積層体」で説明したものと同様のものとすることができるので、ここでの説明を省略する。
また、本開示の1実施形態の光学部材の製造方法に用いる被転写体は、典型的には、接着層と偏光板とを有する被転写体が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、前述した本開示の1実施形態における光学部材が有していても良い他の層と同様の層を、更に有していても良い。
G.表示装置
本開示に係る表示装置は、前記本実施形態の位相差フィルム、又は前記本実施形態の光学部材を備えることを特徴とする。
表示装置としては、例えば、発光表示装置、液晶表示装置等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
中でも、前記本実施形態の位相差フィルム又は前記本実施形態の光学部材を備えるため、特に、透明電極層と、発光層と、電極層とをこの順に有する有機発光表示装置等の発光表示装置において外光反射を抑制しながら、視野角が向上するという効果を有する。
1実施形態である発光表示装置の例を、図を参照して説明する。図8は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。
図8の有機発光表示装置100の例では、前記位相差フィルム10の出光面側に、偏光板50が配置され、反対側の面には、透明電極層71と、発光層72と、電極層73とをこの順に有している。
発光層72としては、例えば、透明電極層71側から順に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層の順に積層する構成等が挙げられる。本実施形態において、透明電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電極層、及びその他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された発光表示装置は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本実施形態の表示装置は、上記構成に限定されるものではなく、適宜選択した公知の構成とすることができる。
製造した各化合物は、日本電子(株)製JEOL JNM−LA400WBを用いて、H NMR測定により、化学構造を確認した。
また、製造した各化合物の相転移温度は、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡(オリンパス製、BX51)によるテクスチャー観察によって昇温時において確認した。Cは結晶、Nはネマチック相、Iは等方性液体を表す。例えば「C 87 N 160 I」は、87℃で結晶からネマチック相に転移し、160℃でネマチック相から等方性液体へ転移したことを示す。
[製造例1:式(1−1)で表される化合物1の製造]
臭化水素 (30%酢酸溶液) 5mlをエタノール100mlに溶解させ、2,3,3−トリメチルインドレニン 3.2g(20mmol)、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド 3.4g(24mmol)を添加し70℃で3時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を除去したのち、得られた租体をジクロロメタン300mLに溶解させ、有機層を洗浄・濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、中間体1を1.4g(3.8mmol、収率19%)得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
シクロヘキサンジカルボン酸 172g(1.0mol)、6−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキシルアクリレート 53g(200mmol、DKSH製)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 0.98g(8.0mmol)のジクロロメタン(1L)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 43g(210mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸で洗浄し、溶媒を留去した。得られた粗体をオープンカラムクロマトグラフィにより精製することで式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を35g(84mmol)合成した。
次に、上記で得られた式(1−1−2)で表される中間体1 1.0g(2.8mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 3.5g(8.3mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 10mg(83μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 2.0g(9.7mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 280mg(2.8mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−1)で表される化合物1を1.4g(1.2mmol、収率45%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 87 N 160 I
H NMR(CDCl ; δppm) :7.87(s,1H),7.65(d,1H),7.54(d,1H),7.49(d,1H),7.39−7.22(m,5H),7.04−7.01(m,4H),6.96−6.93(m,4H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.64(m,3H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,14H)
[製造例2:式(1−2)で表される化合物2の製造]
製造例1の製造において、中間体1を得る工程にて、2,3,3−トリメチルインドレニンの代わりに2,3,3−トリメチル−5−メトキシ−インドレニンを等モル量用いて、中間体2を得た。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた中間体2 1.0g(2.6mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 3.2g(7.7mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 9.4mg(76μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.8g(8.9mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 260mg(2.6mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−2)で表される化合物2を1.3g(1.1mmol、収率44%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 92 N 140 I
H NMR(CDCl ; δppm) :7.83(s,1H),7.55(d,1H),7.45(d,1H),7.35−7.17(m,3H),7.11(s,1H),7.04−7.01(m,4H),6.96−6.93(m,4H),6.87(d,1H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),3.79(s,3H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.64(m,3H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,14H)
[製造例3:式(1−3)で表される化合物3の製造]
製造例1の製造において、中間体1を得る工程にて、2,3,3−トリメチルインドレニンの代わりに2,3,3−トリメチル−4,5−ベンゾインドレニンを等モル量用いて、中間体3を得た。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた中間体3 1.0g(2.4mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 3.1g(7.3mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 8.9mg(73μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.7g(8.5mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 250mg(2.5mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−3)で表される化合物3を1.1g(0.96mmol、収率40%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 76 N 143 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.19(s,1H),8.03(d,1H),7.97−7.93(m,2H),7.80(s,1H),7.77(d,1H),7.60(t,1H),7.53−7.48(m,2H),7.29−7.21(m,2H),7.05−6.91(m,8H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.64(m,3H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,20H),1.49−1.39(m,10H)
[製造例4:式(1−4)で表される化合物4の製造]
製造例1の製造において、中間体1を得る工程にて、2,3,3−トリメチルインドレニンの代わりに5−クロロ−2,3,3−トリメチルインドレニンを等モル量用いて、中間体4を得た。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた中間体4 1.0g(2.5mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 3.2g(7.7mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 9.4mg(76μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.8g(8.9mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 260mg(2.6mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−4)で表される化合物4を1.5g(1.30mmol、収率52%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 78 N 105 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.46(s,1H),8.27(d,1H),7.93(s,1H),7.85(d,1H),7.74(d,1H),7.47(d,1H),7.31−7.25(m,2H),7.04−7.01(m,4H),6.96−6.93(m,4H),6.87(d,1H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),3.79(s,3H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.64(m,3H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,14H)
[製造例5:式(1−5)表される化合物5の製造]
製造例1の製造において、中間体1を得る工程にて、2,3,3−トリメチルインドレニンの代わりに5−ニトロ−2,3,3−トリメチルインドレニンを等モル量用いて、中間体5を得た。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた中間体5 1.0g(2.5mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 3.1g(7.3mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 9.0mg(74μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.8g(8.9mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 250mg(2.5mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−5)で表される化合物5を1.2g(1.1mmol、収率44%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 140 N 144 I
H NMR(CDCl ; δppm) :7.87(s,1H),7.68(d,1H),7.63(s,1H),7.54(d,1H),7.38−7.34(m,2H),7.28−7.21(m,2H),7.05−7.01(m,4H),6.96−6.93(m,4H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.64(m,3H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,14H)
[製造例6:式(1−6)で表される化合物6の製造]
製造例1の製造において、中間体1を得る工程にて、2,3,3−トリメチルインドレニンの代わりに2−メチル−3−シクロヘキシルインドレニンを等モル量用いて、中間体6を得た。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた中間体6 1.0g(2.5mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 3.1g(7.3mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 9.1mg(75μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.8g(8.9mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 250mg(2.5mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−6)で表される化合物6を1.1g(0.98mmol、収率39%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 95 N 135 I
H NMR(CDCl ; δppm) :7.87(s,1H),7.65(d,1H),7.54(d,1H),7.49(d,1H),7.39−7.22(m,5H),7.04−7.01(m,4H),6.96−6.93(m,4H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.64(m,3H),2.33−2.17(m,10H),1.75−1.35(m,32H)
[製造例7:式(1−7)で表される化合物7の製造]
4−ヒドロキシ安息香酸エチル(7.0g,44mmol)、炭酸カリウム(6.5g,47mmol)のDMF(250ml)懸濁液に6−ブロモヘキサノール(7.3g,41mmol)を加え、80℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し溶媒を留去した。得られた粗体に、水酸化カリウム(2.8g,47mmol)の水溶液を加え、100℃で4時間反応させ加水分解した。反応終了後、塩酸水溶液を加え、続いて酢酸エチルを加え抽出し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、p−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸を収率83%(8.7g,37mmol)で得た。
次に、p−(6−ヒドロキシエトキシ)安息香酸(7.1g,30mmol)、アクリロイルクロリド(2.5g,27mmol)、ジメチルアニリン(DMA)(3.3g,27mmol)、のテトラヒドロフラン(150mL)懸濁液を12時間撹拌した。反応終了後、水、酢酸エチルを加え、分液を行った。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸を収率85%(7.4g,26mmol)で得た。
trans−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸(5.0g、32mmol)、トリエチルアミン(5.3g、52mmol)をテトラヒドロフラン(25ml)に溶解させ、窒素雰囲気下10℃以下で冷却しながら撹拌した。そこへ、クロロメチルメチルエーテル(3.0g、37mmol)をゆっくり滴下し、室温で8時間撹拌した。酢酸エチルおよび水を加えて有機層を抽出し、有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥することでtrans−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸メトキシメチルを4.8g(26mmol、収率80%)得た。
4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸 7.4g(26mmol)、trans−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸メトキシメチル 4.7g(25mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 0.12g(1.0mmol)のジクロロメタン(150ml)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 5.6g(27mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸で洗浄し、溶媒を留去した。得られた粗体のテトラヒドロフラン(20ml)溶液にp−トルエンスルホン酸(pTSA) 0.40g(2.1mmol)を加え、40℃で8時間加熱撹拌した。酢酸エチルおよび水を加えて有機層を抽出し、有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、減圧下で溶媒を留去し、残渣をメタノールで再結晶することにより、式(1−7−3)で表されるカルボン酸誘導体2を5.4g(13mmol、収率52%)得た。
製造例1において、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1の代わりに、式(1−7−3)で表されるカルボン酸誘導体2を用いた以外は、製造例1と同様にして、式(1−7)で表される化合物7を1.5g(1.4mmol、収率49%)得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 92 N 141 I
H NMR(CDCl ; δppm) :7.96(d,2H),7.74(d,1H),7.46−7.40(m,2H),7.28(t,1H),7.21−7.01(m,8H),6.75(d,1H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.64(m,3H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,14H)
[製造例8:式(1−8)で表される化合物8の製造]
既報(Macromolecules (Washington, DC, United States), 40(15), 5337−5343; 2007)に従い、6−クロロヘキシルアクリレートを合成した。
6−クロロヘキシルアクリレート 9.5g(50mmpl)、炭酸カリウム 14g(100mmol)のジメチルホルムアミド(100ml)懸濁液に、2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール 7.6g(55mmol)のジメチルホルムアミド溶液(30ml)を滴下した。滴下終了後、反応容器を90℃に加熱して5時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル200mlを加え、純水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させることで、6−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ヘキシルアクリレートを合成した。
製造例1のカルボン酸誘導体1の合成方法において6−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキシルアクリレートの代わりに、6−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ヘキシルアクリレートを利用することで、式(1−8−3)で表されるカルボン酸誘導体3を4.2g(9.4mmol)合成した。
製造例1において、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1の代わりに、式(1−8−3)で表されるカルボン酸誘導体3を用いた以外は、製造例1と同様にして、式(1−8)で表される化合物8を1.4g(1.2mmol、収率43%)得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 74 N 138 I
H NMR(CDCl ; δppm) :7.87(s,1H),7.65(d,1H),7.54(d,1H),7.49(d,1H),7.39−7.22(m,5H),7.04−7.01(m,4H),6.96−6.93(m,4H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),3.85(t,4H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.58(m,7H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,14H)
[製造例9:式(1−9)で表される化合物9の製造]
製造例7のカルボン酸誘導体2の合成方法において、4−ヒドロキシ安息香酸エチルの代わりに、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルを等モル量用いることで、式(1−9−3)で表されるカルボン酸誘導体4 3.9g(8.7mmol)を合成した。
製造例1において、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1の代わりに、式(1−9−3)で表されるカルボン酸誘導体4を用いた以外は、製造例1と同様にして、式(1−9)で表される化合物9を1.4g(1.2mmol、収率45%)得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 65 N 131 I
H NMR(CDCl ; δppm) :7.96(d,2H),7.74(d,1H),7.46−7.40(m,2H),7.28(t,1H),7.21−7.01(m,8H),6.75(d,1H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.85−4.67(m,2H)、4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,4H),2.67−2.51(m,7H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,14H)
[製造例10:式(1−10)で表される化合物10の製造]
既報(Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry, 49(3), 770−780; 2011)に従い、3−[4−[[6−[(1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]へキシル]オキシ]フェニル]−2−プロペン酸を合成した。
製造例7のカルボン酸誘導体2の合成方法において、4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸の代わりに、3−[4−[[6−[(1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]へキシル]オキシ]フェニル]−2−プロペン酸を使用することで、式(1−10−3)で表されるカルボン酸誘導体5 3.8g(8.6mmol)を合成した。
製造例1において、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1の代わりに、式(1−10−3)で表されるカルボン酸誘導体5を用いた以外は、製造例1と同様にして、式(1−10)で表される化合物10を1.3g(1.1mmol、収率41%)得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 91 N 129 I
H NMR(CDCl ; δppm) :7.96(d,2H),7.74(d,1H),7.46−7.40(m,4H),7.28(t,1H),7.21−7.01(m,8H),6.75(d,1H),6.45(d,2H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.64(m,3H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,14H)
[製造例11:式(1−11)で表される化合物11の製造]
5−ブロモサリチルアルデヒド 4.2g(22mmol)、4−ヒドロキシフェニルボロン酸 3.0g(22mmol)をトルエン:エタノール=3:1(80mL)に溶解させ、2M炭酸ナトリウム水溶液 20mlを添加し、60度で加熱した。所定の温度に到達したのち、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.48g(0.42mmol)を添加し、80度で加熱した。所定の温度に到達したのち、10時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、不溶分をろ過し、有機層を抽出・濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、中間体7を1.8g(8.4mmol、収率38%)得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
製造例1の製造において、中間体1を得る工程にて、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドの代わりに前記中間体7を等モル量用いて、中間体8を得た。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた中間体8 1.5g(3.4mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 4.3g(10mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 13mg(100μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 2.5g(12mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 350mg(3.4mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−11)で表される化合物11を1.5g(1.3mmol、収率39%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 121 N 172 I
H NMR(CDCl ; δppm) :7.95(s,1H),7.74(d,2H),7.65(d,1H),7.54(d,1H),7.49(d,1H),7.39−7.22(m,7H),7.04−7.01(m,4H),6.96−6.93(m,4H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,1H),2.67−2.64(m,3H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,14H)
[製造例12:式(1−12)で表される化合物12の製造]
500mLナスフラスコ中、4,4’−ジヒドロキシビフェニル27g(150mmol)、ヘキサメチレンテトラミン46g(330mmol)をトリフルオロ酢酸320mlに溶解し、110℃で3時間反応を行った。反応終了後、氷浴下で4規定塩酸3Lを添加し終夜で撹拌した。撹拌終了後、沈殿物をろ過した。得られた粗体に水(1L)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、中間体11を7.5g(21mmol、収率21%)得た。目的物の構造はH NMRNMRで同定した。
製造例1の製造において、中間体1を得る工程にて、2,3,3−トリメチルインドレニンの代わりに2,3,3−トリメチル−5−メトキシ−インドレニンを等モル量、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドの代わりに前記中間体11を等モル量用いて、中間体12を得た。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた中間体12 2g(2.7mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 3.4g(8.0mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 9.8mg(80μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.9g(9.4mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 270mg(2.7mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−12)で表される化合物12を1.4g(0.97mmol、収率36%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 141 N 152 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.40(s,2H),7.87(d,2H),7.67(d,2H),7.50(d,2H),7.36−7.10(m,6H),7.12(s、2H) 7.04−7.01(m,4H), 6.96−6.93(m,4H),6.32(d,2H),6.18(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),3.79(s,6H),2.86−2.81(m,2H),2.67−2.63(m,2H),2.38−2.27(m,4H),2.26−2.17(m,4H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,20H)
[製造例13:式(1−13)で表される化合物13の製造]
300mLナスフラスコ中、2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド 5.0g(26mmol)をジクロロメタン 100mlに溶解し、−40℃で三臭化ホウ素 14g(57mmol)を滴下し1.5時間反応し、室温に戻したのち1時間反応した。反応終了後、氷浴下で水 75mlを添加し、沈殿物をろ過した。得られた粗体に水(1L)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過・水洗し、得られた結晶を乾燥させることにより、中間体13を4.3g(26mmol、収率100%)得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
製造例1の製造において、中間体1を得る工程にて、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドの代わりに上記で得られた中間体13を等モル量用いて、中間体14を得た。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた中間体14 1.5g(2.5mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 3.1g(7.3mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 9.0mg(74μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.8g(8.9mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 250mg(2.5mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−13)で表される化合物13を1.2g(0.87mmol、収率35%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 170 N 171 I
H NMR(CDCl ; δppm) 7.98(s,2H),7.63(d,2H),7.55(d,2H),7.50(d,2H),7.42(d,2H),7.34(t,2H),7.26(t,2H),7.04(d,4H),6.95(d,4H),6.32(d,2H),6.18(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,2H),2.67−2.63(m,2H),2.34−2.31(m,4H),2.26−2.17(m,4H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,20H)
[製造例14:式(1−14)で表される化合物14の製造]
製造例12の製造において、中間体12を得る工程にて、2,3,3−トリメチル−5−メトキシ−インドレニンの代わりに2,3,3−トリメチルインドレニンを等モル量用いて、中間体15を得た。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた中間体15 2g(3.1mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 3.8g(9.2mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 11mg(92μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 2.2g(11mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、トリエチルアミン 310mg(3.1mmol)を添加し、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−14)で表される化合物14を1.4g(1.0mmol、収率34%)で得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 136 N 180 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.40(s,1H),7.87(d,1H),7.77(d,1H),7.58−7.54(m,4H),7.50(d,2H),7.36−7.32(m,4H),7.25(t,2H),7.04(d,4H),6.95(d,4H),6.32(d,2H),6.18(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,2H),2.67−2.63(m,2H),2.38−2.27(m,4H),2.26−2.17(m,4H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,20H)
[比較製造例1:式(C1−1)で表される比較化合物1の製造]
特開2016−166344号公報の実施例1の化合物(ex−2)の合成を参考にして、式(C1−1−2)で表される比較中間体1を合成した。また、製造例1と同様にして、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を得た。
次に、上記で得られた比較中間体1 1.0g(3.7mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 4.63g(11mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 14mg(110μmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 2.7g(13mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、下記式(C1−1)で表される比較化合物1を2.3g(2.4mmol、収率65%)得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 98 N 117 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.14(d,1H),8.01(s,1H),7.86(d,1H),7.73(d,1H),7.55−7.47(m,3H),7.30−7.25(m,2H),7.04−7.01(m,4H),6.96−6.93(m,4H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.12(t,4H),3.96(t,4H),2.86−2.81(m,1H),2.71−2.61(m,3H),2.33−2.17(m,8H),1.75−1.59(m,16H),1.49−1.35(m,8H)
[比較製造例2:式(C1−2)で表される比較化合物2の製造]
比較製造例1において、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1の代わりに、式(1−9−3)で表されるカルボン酸誘導体4を等モル量用いた以外は、比較製造例1と同様にして、下記式(C1−2)で表される比較化合物2を2.3g(2.2mmol、収率61%)得た。目的物の構造はH NMRで同定した。
相転移温度(昇温時):C 67 N 82 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.00(d,1H),7.89(d,1H),7.54−7.34(m,5H),7.15−7.06(m,6H),6.91-6.82(m,4H),6.32(d,2H),6.17(d,2H),5.93(d,2H),4.85−4.74(m,2H),4.19(t,4H),3.94(t,4H),2.94−2.88(m,4H),2.73−2.53(m,6H),2.32−2.04(m,8H),1.86−1.67(m,12H),1.56−1.41(m,12H)
[評価]
<化合物の溶解性>
前記製造例及び比較製造例でそれぞれ得られた化合物について、溶解性試験を行った。化合物と各溶剤との合計重量を100重量%とし、化合物が20重量%、30重量%の時のメチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、ジオキソランの各溶剤に対する25℃30分後の溶解性を目視にて評価した。評価結果を表9に示す。
(配向性の評価基準)
A:目視で完全に溶解
C:目視で不溶物がある
[実施例1]
(1)重合性組成物の製造
重合性液晶化合物(式(1−1)で表される化合物1)100質量部、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ製、イルガキュア907)4質量部をシクロヘキサノン400質量部に溶解させ重合性組成物1を製造した。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の製造
(2−1)光配向膜用組成物の調製
特許5626493の製造例1の記載に従って、光配向性モノマーとヒドロキシエチルメタクリレートを共重合した共重合体1を得た。
下記に示す組成の光配向膜用組成物を調製した。
・共重合体1:0.1質量部
・ヘキサメトキシメチルメラミン(HMM):0.01質量部
・p−トルエンスルホン酸1水和物(PTSA):0.0015質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME):2.1質量部
(2−2)水平配向膜の形成
PET基板(東洋紡(株)製、E5100、厚さ38μm)の片面上に、前記光配向膜用組成物を、硬化後の膜厚が0.2μmとなるようにバーコートにより塗布し、120℃のオーブンで1分間加熱して乾燥及び熱硬化を行い、硬化塗膜を形成した。その後、この硬化塗膜表面にHg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線を基板法線から垂直方向に露光量100mJ/cmで照射することで、水平配向膜を形成した。
(2−3)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
形成した配向膜上に、前記重合性組成物1を、硬化後の膜厚が1μmになるように塗布し、重合性組成物を成膜した。その後表10に示す乾燥温度(配向温度)で120秒間オーブン中で乾燥させた後に、Fusion社製のHバルブを用いて紫外線(UV)を照射量400mJ/cmで照射して位相差層を形成して位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
[実施例2〜14、比較例1〜2]
(1)重合性組成物の製造
実施例1において、各成分の組成を下記表10に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物2〜14、及び比較重合性組成物1〜2を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の製造
実施例1において、重合性組成物1の代わりに、重合性組成物2〜14及び比較重合性組成物1〜2を用いた以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルム乃至転写用積層体2〜14及び比較位相差フィルム乃至転写用積層体1〜2を得た。
[評価]
<サンプル作成>
各実施例及び各比較例で得られた位相差フィルムのPET基板を剥離して、位相差層及び水平配向膜を粘着付きガラスに転写したサンプルを用いた。
<配向性>
位相差層の配向性は、偏光顕微鏡観察することにより、3段階で評価した。
なお、配向性は、重合性組成物を製造後、1時間以内に位相差層を形成した場合の位相差層の配向性(組成物調製直後の配向性)と、重合性組成物を調製して24時間保管後に同様に位相差フィルム乃至転写用積層体を形成した場合の位相差層の配向性(組成物24時間保管後の配向性)の両方について評価した。
(配向性の評価基準)
A:目視で均一な配向が得られており、偏光顕微鏡観察で90%以上が配向
B:目視ではA程の配向は得られておらず、偏光顕微鏡観察での配向面積は50%以上90%未満
C:目視では無配向で、偏光顕微鏡観察での配向面積も50%未満
<位相差(波長分散性)>
位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA−WR)により、波長450nm、550nm、650nmに対する面内位相差Reを測定した。
測定した位相差を用いて以下のように算出されるx、y値から波長分散を評価した。
x=(450nmにおける面内位相差Re)/(550nmにおける面内位相差Re)
y=(650nmにおける面内位相差Re)/(550nmにおける面内位相差Re)
なお、xは、JIS Z8401:1999の規則Bに従い、小数点以下第2位に丸めた値とし、yは、JIS Z8401:1999の規則Bに従い、整数に丸めた値とした。
(波長分散性の評価基準)
A:0.75≦x<0.95、1≦y ・・・逆波長分散性
B:0.95≦x<0.99、1≦y ・・・逆波長分散性
C:0.99≦x<1.01、1≦y ・・・フラット波長分散性
D:1.01≦x、1>y ・・・正常分散性
<安定性>
重合性組成物を製造後、25℃で24時間保管後の組成物(インク)の安定性評価を行った。保管後の組成物を目視で確認し、沈殿物の析出の有無で、組成物(インク)安定性を評価した。
(安定性の評価基準)
A:析出なし
C:析出あり
[実施例15〜43]
(1)重合性組成物の製造
実施例1において、本開示の重合性液晶化合物である化合物1を重合性液晶化合物中の含有量100質量%で用いる代わりに、本開示の重合性液晶化合物と、本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物とを、下記表11に従って混合して用いた以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物15〜43を得た。
なお、本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物として、下記化学式で表される重合性液晶化合物B−1〜B−6で表される化合物を準備した。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の製造
実施例1において、重合性組成物1の代わりに、重合性組成物15〜43を用いた以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルム乃至転写用積層体15〜43を得た。
なお、重合性液晶化合物B−1〜B−6で表される化合物をそれぞれ、以下のようにして波長分散性を評価した。
重合性液晶化合物100質量部と2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン4質量部をシクロペンタノン900質量部に溶解させた重合性組成物を、ラビング処理後ポリイミド配向膜付ガラス[製品名:配向処理ガラス基板、株式会社イーエッチシー製]の配向膜上に、硬化後の膜厚が1μmになるように塗布して成膜した。その後、当該膜を、含まれる重合性液晶化合物の固体−液晶相転移温度に10℃加えた温度にて120秒間オーブン中で乾燥させた後に、Fusion社製のHバルブを用いて紫外線(UV)を照射量400mJ/cmで照射して位相差層を形成した。
形成された位相差層について、前記と同様に面内位相差Reを測定したところ、重合性液晶化合物B−1〜B−5はそれぞれ、波長分散性が前記評価基準で「D」であり、重合性液晶化合物B−6は、波長分散性が前記評価基準で「C」であった。
[評価]
<サンプル作成>
各実施例で得られた位相差フィルムのPET基板を剥離して、位相差層及び水平配向膜を粘着付きガラスに転写したサンプルを用い、実施例1と同様に評価を行った。
評価結果を表11に示す。
[実施例44〜49]
(1)重合性組成物の製造
実施例1において、本開示の重合性液晶化合物である化合物1を重合性液晶化合物中の含有量100質量%で用いる代わりに、本開示の重合性液晶化合物と、本開示の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物及びその他の重合性化合物から選択される少なくとも1種とを、下記表12に従って混合して用いた以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物44〜49を得た。
なお、その他の重合性化合物としては、以下の重合性化合物を準備した。
・DPHA(M−405):ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート、商品名アロニックスM−405、東亞合成株式会社製
・PETTA(M−450):ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート、商品名アロニックスM−450、東亞合成株式会社製
・TMPTA(M−309):トリメチロールプロパントリアクリレート、商品名アロニックスM−309、東亞合成株式会社製
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の製造
実施例1において、重合性組成物1の代わりに、重合性組成物44〜49を用いた以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルム乃至転写用積層体44〜49を得た。
なお、実施例47〜49においては、PET基板の代わりに、基材としてTAC基材(富士フィルム株式会社製、フジタック)を用いた。
各実施例で得られた位相差フィルムの基板を剥離して、位相差層及び水平配向膜を粘着付きガラスに転写したサンプルを用い、実施例1と同様に評価を行った。
評価結果を表12に示す。
1 位相差層
2、2’ 基材
3 配向膜
10 位相差フィルム
11、21、31 位相差層
12、22、32 第二の基材
13、23、33 配向膜
15、25、35 剥離可能な支持体
16、26、36 転写に供する位相層
17 配向膜と位相差層との界面
27 第二の基材と配向膜との界面
20、30、40 転写用積層体
50 偏光板
60 光学部材
71 透明電極層
72 発光層
73 電極層
100 発光表示装置

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で表される重合性液晶化合物。
    (一般式(1)中、Acoreは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の三価又は四価の基を表し、
    Mは、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、又は−N=N−を表し、
    Dは、インドレニン環構造を含む一価の基を表し、
    、L、L及びLはそれぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
    及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
    及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
    及びRはそれぞれ独立して、下記一般式(R−1)から選ばれる基を表し、
    一般式(R−1): −L−Rsp1−Z
    一般式(R−1)中、Lは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Rsp1は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置換されても良い炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表し、Zは重合性官能基を表す。
    置換基Eはそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、これらによって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、或いは、置換基Eはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE、及びZは、それぞれ、前記L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、化合物内に置換基Eが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良く、
    M、D、L、L、A、及びAが複数現れる場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
    nは1又は2の整数を表し、m1及びm2はそれぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
  2. 前記一般式(1)において、前記Dが、下記一般式(D−1)から選ばれる基を表す、請求項1に記載の重合性液晶化合物。
    (一般式(D−1)中、Rd1及びRd2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、当該アルキル基は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、或いは、Rd1及びRd2は互いに結合して3〜7員環の非芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該非芳香族炭化水素環の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていても良く、
    e1、Re2、Re3及びRe4はそれぞれ独立して、水素原子、又は前記置換基Eを表し、Re1、Re2、Re3及びRe4は互いに結合して3〜7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていても良い。*(アスタリスク)はMとの結合位置を示す。)
  3. 固体−液晶相転移温度が25℃以上200℃以下である、請求項1又は2に記載の重合性液晶化合物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の重合性液晶化合物を含有する、重合性組成物。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の重合性液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物を、更に含有する、請求項4に記載の重合性組成物。
  6. アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤、及びオキシムエステル系重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種の開始剤を、更に含有する、請求項4又は5に記載の重合性組成物。
  7. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の重合性液晶化合物、或いは請求項4乃至6のいずれか1項に記載の重合性組成物を重合して得られる重合体。
  8. 位相差層を有する位相差フィルムであって、前記位相差層が、前記請求項4乃至6のいずれか1項に記載の重合性組成物の硬化物を含有する、位相差フィルム。
  9. 請求項4乃至6のいずれか1項に記載の重合性組成物を成膜する工程と、
    前記成膜された前記重合性組成物中の前記重合性化合物を少なくとも配向させる工程と、
    前記配向工程の後に、前記重合性化合物を少なくとも重合する工程とを有することにより、位相差層を形成する工程を有する、位相差フィルムの製造方法。
  10. 位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、
    前記位相差層が、前記請求項4乃至6に記載の重合性組成物の硬化物を含有する、
    位相差層の転写に供する転写用積層体。
  11. 請求項8に記載の位相差フィルム上に、偏光板を備える、光学部材。
  12. 位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、前記位相差層が、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の重合性組成物の硬化物を含有する、位相差層の転写に供する転写用積層体を準備する工程と、
    少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
    前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記支持体を剥離する剥離工程と、
    を有する、光学部材の製造方法。
  13. 請求項8に記載の位相差フィルム、又は請求項11に記載の光学部材を備える表示装置。
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