JP2019119068A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】織布の積層を避けて、良好な外観を保ち、肌触りが良い布材様な触感を得られるフィルムを提供する。【解決手段】弾性層と塑性層とを有し、前記塑性層を最表面とする積層構造のフィルムであって、該フィルムは、一方の面から他方の面に突出する積層構造の凸部を複数、離間して配した凹凸構造を有し、前記凸部は平面方向に互いに交差する複数方向に配列されている積層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は積層フィルムに関する。
従来、生理用ナプキンなどの吸収性物品において、排泄液に対する防漏性の観点から特定のフィルムが用いられることがある。フィルムとしては、例えば無機フィラーを溶融混練して押し出したものなどが挙げられる。このフィルムに種々の機能を付与する技術がある。
例えば、特許文献1には、エラストマーコア層の両面に非弾性の表皮外側層を有する弾性フィルムラミネートが記載されている。この弾性フィルムラミネートは弾性領域と非弾性領域とを有し、弾性領域において、表皮層がエラストマー層から部分的に離層され、シャーリングされている。これにより、繰り返し伸縮させても長期間に亘って回復させることができるとされる。
特許文献2には、エラストマー性コア層を2つのスキン層で挟持した多層フィルムに、不織布等のウェブ層を積層して伸縮可能なウェブ積層体を作製する方法が記載されている。この作製方法において、加工中のネッキング等による製品の廃棄量を減らすため、多層フィルムを機械幅方向に活性化し、かつ、スキン層の限界を越えて機械方向に延伸し、機械方向に伸長させた多層フィルムにウェブ層を積層する処理を行っている。
特表平7−508473号公報 特表2015−529581号公報
吸収性物品においてフィルムを用いる部材として、着衣側(非肌面側)の裏面シートが挙げられる。フィルムからなる裏面シートは、その触感が肌面側の表面シートをなす不織布とは対照的に柔らかさを感じ難く、無機質な印象になりやすい。例えば、温かみの無いツルツルした触感、パリパリした触感などになることである。裏面シートは吸収性物品の装着時に使用者の手に触れやすい部分であり、吸収性物品全体の使用者の印象を良くするため、できるだけ柔らかく、かつ温かみのある肌触りにすることが望まれる。例えば、裏面シートの非肌面側に不織布を配して触感を良くする方法がある。しかし、不織布を積層する分、厚みが増してしまい、装着時の快適性に改善の余地がある。
本発明は、上記の点に鑑み、不織布の積層を避けて、良好な外観を保ち、肌触りが良い布材様な触感を得られるフィルムを提供することに関する。
本発明は、弾性層と塑性層とを有し、前記塑性層を最表面とする積層構造のフィルムであって、該フィルムは、一方の面から他方の面に突出する積層構造の凸部を複数、離間して配した凹凸構造を有し、前記凸部は平面方向に互いに交差する複数方向に配列されている積層フィルムを提供する。
本発明の積層フィルムは、良好な外観を保ち、肌触りが良い布材様な触感を呈することができる。
本発明に係る積層フィルムの好ましい実施形態を一部拡大して模式的に示す斜視図である。 本実施形態の積層フィルムを一部拡大して模式的に示す平面図である。 本実施形態の積層フィルムの凸部の配置と共に、凸部間の連結部が白色化された状態を示す図面代用写真である。(A)は本実施形態の積層フィルムを図1におけるX方向から見た図面代用写真であり、(B)は本実施形態の積層フィルムを図1におけるY方向から見た図面代用写真である。 起伏構造を模式的に示す一部拡大断面図である。 積層フィルムにおいて、起伏構造を有する領域と有さない領域とが隣接して配されている状態を拡大して示す図面代用写真である。 起伏構造を有する領域において、厚みが、起伏構造を有さない領域よりも薄くされた状態を模式的に示す断面図である。 (A)は本発明の積層フィルムを製造する際に用いられる原料フィルムを模式的に示す断面図であり、(B)は原料フィルムに対し部分延伸する工程を模式的に示す説明図である。 図8に示す部分延伸工程を施すことによって、原料フィルムに起伏構造が形成される過程を示す説明図であり、(A)は部分延伸する前の原料フィルムの断面図であり、(B)は(A)の原料フィルムを延伸している状態を示す断面図であり、(C)は(B)の延伸の後に、弾性層が弾性回復して起伏構造が形成される状態を示す断面図である。
以下、本発明の積層フィルムについて、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の積層フィルム10を示している。積層フィルム10は、弾性層1と塑性層2とを有し、塑性層2を積層フィルム10の最表面としている。本実施形態の積層フィルム10は、弾性層1の両面に一対の塑性層2を積層した3層構造を有する。ただし、本発明においては、この3層構造に限定されるものではなく、最表面が塑性層2からなる種々の積層構造とすることができる。積層フィルム10は、吸収性物品における非肌面側の裏面シート等に用いる場合において、防漏性を有することが好ましい。また、積層フィルム10は適度な透湿性を有することが好ましい。
ここで「弾性層」とは、伸長させることができ、かつ伸長のために付加した引張り力を解除したときに収縮するエラストマー性を有する層である。具体的には、「弾性層」とは、少なくとも一方向の最大伸度が400%(元のシート長からその300%分伸長した状態=元のシート長の3倍)以上であり、その最大伸度の方向に伸度50%まで伸長させた後に収縮させたときの伸長回復率(50%伸長時の伸長回復率)が少なくとも50%以上であることを意味する。最大伸度が400%以上である方向を複数有する弾性層である場合、そのうちの何れかの方向において伸長回復率が50%以上であればよい。このような「弾性層」としては、上記エラストマー性を有し、薄い層に形成することが可能な種々の材料から形成することができる。例えばポリマー樹脂成分からなるものとすることができる。具体的には、熱可塑性エラストマー、ゴム、エチレン・プロピレン共重合体等が挙げられ、これらの中でも、比較的容易に繊維状の弾性体が成形できる点から、熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン、スチレン系(SBS,SIS,SEBS,SEPS等)、オレフィン系(エチレン、プロピレン、ブテン等の共重合体等)、塩化ビニル系、ポリエステル系等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<伸長回復率の測定方法>
長さ50mm、幅25mmのサンプル片を用意し、引っ張り試験機(株式会社オリエンテックの「テンシロン」RTC−1210A)を用いて、チャック間隔K0にサンプル片を固定し、300mm/minの速度で50%伸長時の長さK2(K2=K0×1.5)まで伸長させた後、引張速度と同様の速度で戻し始めて応力が0になった時におけるサンプル片の長さを伸長回復後の長さK1とする。次式から50%伸長時の伸長回復率を算出する。
50%伸長時の伸長回復率(%)=〔(K2−K1)/(K2−K0)〕×100
「塑性層」とは、弾性層よりも低いエラストマー性を有する層である。具体的には、「塑性層」とは、前記<伸長回復率の測定方法>により測定した伸長回復率が50%以下の層または50%伸長する前に破断する層をいう。塑性層は、伸長性を有していても有していなくてもよいが、部分延伸時に塑性層が破断しないようにするために、最大伸度100%以上であることが好ましい。このような「塑性層」としては、弾性層よりも低いエラストマー性を有し、薄い層に形成することが可能な種々の材料から形成することができる。例えば半結晶性又は非結晶性ポリマー樹脂成分からなるものとすることができる。具体的には、オレフィン系、アミド系、エステル系、アクリルコポリマー系、またこれらの組み合わせなどが挙げられる。
また、顔料、酸化防止剤、帯電防止材、結合助剤、充填材、ブロッキング防止剤、スリップ材、熱安定剤、光安定剤、発泡剤、強化繊維のような添加剤を、塑性層や弾性層に使用してもよい。
<市販のナプキン等からフィルムを取り出し・解析する手段>
市販のナプキン等からフィルムを取り出す場合は、コールドスプレーで各材料間を接着するホットメルトを固化させ、フィルムを丁寧に剥がす。
剥がしたフィルムは、液体窒素に浸漬させて、取り出してすぐに厚み方向にカッター刃を使って切断する。切断したフィルムは、切断面が上になるように走査型電子顕微鏡(SEM)用観察台に設置し、倍率700倍で切断面を観察することで、層構造になっていることを確認できる。
層構造になっていたフィルムは、長さ10cm四方に切り出し、弾性層もしくは塑性層のどちらかのみ溶かすことができる溶媒に浸漬させることで、弾性層、塑性層をそれぞれ取り出す。そのため、弾性層を取り出す場合は、塑性層のみが溶ける溶媒にフィルムを浸漬させる。塑性層を取り出す場合は、弾性層のみが溶ける溶媒にフィルムを浸漬させる。
積層フィルム10は、上記の積層構造を厚み方向に有したシートであり、表裏の第1面10A及び第2面10Bを有する。本実施形態においては、第1面10A及び第2面10Bの両面が塑性層2からなる。積層フィルム10は、厚み方向に、一方の面から他方の面に突出する積層構造の凸部3を複数、離間して配した凹凸構造5を有する。凸部3は、弾性層1と塑性層2とが一体化して突出しており、突出した面の反対側の面は、弾性層1と塑性層2とが一体化して窪んで、凹部4とされている。すなわち、凸部3の内部は空洞にされている。
凸部3は、一方の面から他方の面に突出するものとして、第1面10A及び第2面10Bの両方に配される。本実施形態においては、凸部3は、第1面10A側に突出する第1凸部31と、第2面側10Bに突出する第2凸部32とを有する。すなわち、本実施形態においては、凸部3はフィルム平面に対し、互いに反対方向に突出する部分を有する。第1凸部31の第2面10B側には第1凹部41が配され、第2凸部32の第1面10A側には第2凹部42が配されている。
凸部3は、積層フィルム10の平面方向に互いに交差する複数の方向に配列されている。本実施形態においては、図2に示すように、第1面10A側に突出する第1凸部31(第2面10B側の第1凹部41)と第2面10B側に突出する第2凸部32(第1面10A側の第2凹部42)とが、J1方向、及びJ1方向に直交するJ2方向のそれぞれに沿って交互に配列されている。このように配列された凸部3は互いに連接しない独立の突起にされており、積層フィルム10の平面方向に分散配置されている。
本実施形態におけるJ1方向及びJ2方向は、積層フィルム10の幅方向(X方向)と長手方向(Y方向)である。ただし、凸部3が配列される方向は、積層フィルム10の平面方向である限り、J1方向及びJ2方向に限定されるものではく、種々の互いに交差する方向とすることができる。また、凸部3が配列する方向同士が交差する角度の内で最も小さい角度αは、本実施形態のように直角(90°)に限らず、種々の角度とすることができる。積層フィルム10の柔らかい肌触りを実現する観点から、角度αは45°以上であることが好ましく、60°以上であることがより好ましく、70°以上であることが更に好ましい。さらに、凸部3が配列される方向は、本実施形態のように2つの方向に限らず、3つ以上の方向であってもよい。凸部3が配列される方向が多いほど積層フィルム10における凹凸構造5がより複雑なものとなり、肌触りの観点から好ましい。
凸部3の配列は、図1に示すように第1凸部31と第2凸部32とを交互に配列させた態様のみに限定されるものではない。図1に示す配列に加え、第1面10A側に突出する第1凸部31同士が離間して並ぶ配列を含んでいてもよく、第2面10B側に突出する第2凸部32同士が離間して並ぶ配列を含んでいてもよい。
積層フィルム10は、複数の凸部3を上記のように配列することにより、第1面10A及び第2面10Bに平面方向に広がる凹凸構造5を有する。これにより、積層フィルム10の表面(第1面10A又は第2面10B)に触れた者は、手や体の肌表面が凹凸構造5に馴染み、布材様な柔らかさを感じることができる。また、積層フィルム10は、凹凸構造5によって従来のフィルムよりも厚みを有しながら凹部4を備え、これに伴い触れた者に硬さよりもふっくらした触感と安心感を与えることができる。このふっくらした触感は、凸部3が有する弾性層1の弾力感によってより高められている。加えて、このような凹凸構造5が、第1面10A側の第1凸部31と第2面10B側の第2凸部32とを備えることで、両面を凸で支えてより弾力感を高められる。
積層フィルム10において、凸部3と凸部3との間は、後述する部分延伸加工によって延伸された部分であり、凸部3に比べて透明度が下がり白色化している(以下、この部分を連結部6という。)。連結部6は、凸部3の配されない領域を平面方向に延在して複数条配されている。図1及び2においては凸部3を区画するように格子状に配されている。ただし、凸部3の配置はこれに限定されるものでは無く、凸部3の配置に合わせて種々設定することができる。連結部6は、積層フィルム10の厚み方向において、シート面に対して傾斜しいてもよく、シート面に沿う平坦面であってもよく、湾曲面であってもよい。また連結部6は、第1凸部31と第2凸部32(第2凹部42)とを段差なく連続的に繋ぐ壁面であってもよい。
透明度が低下し白色化した連結部6は、例えば図3(A)及び(B)に示す図面代用写真に示されるように、視覚によって、凸部3と対比して確認することができる。図3(A)においては、連結部6が、第1凸部31(第1凹部41)と第2凸部32(第2凹部42)との間を繋いで配されている。図3(B)においては、連結部6が、第2凸部32(第2凹部42)同士の間を繋いで配されている。
なお、連結部6は常に白色化する訳ではなく、フィルムの材質によっては連結部6の透明度は低下せず、連結部6が白色化しないこともある。連結部6が白色化する理由は定かでないが、図3(A)及び(B)における本実施形態の積層フィルム10の特徴から、以下のように考えられる。
すなわち、本実施形態の積層フィルム10は、塑性層2が炭酸カルシウム粒子含有の直鎖状低密度ポリエチレン、弾性層1がポリウレタンからできたフィルムを、2.7倍部分延伸したものである。そのため、積層フィルム10が延伸されることで、炭酸カルシウム粒子とポリエチレンの界面で剥離・開孔が生じ、積層フィルム10に小さな孔が多数生じ得る。また、積層フィルム10が延伸されると、ポリエチレンの分子が微結晶構造を無数に形成し得る。このような現象により、積層フィルム10の延伸部分において透過光が散乱し、連結部6が白色化すると考えられる。
以上のことから、上記の現象が生じない場合、例えば延伸倍率が小さい場合や、結晶構造を形成しないポリマー(非晶性高分子など)を用いた場合であれば、積層フィルム10が部分延伸された領域が白色化しないことは有り得る。
凸部3の配列方向(本実施形態においてはX方向及びY方向)における、凸部3の長さ(W1)の、該配列方向の凸部3同士の間に挟まれた連結部6の前記配列方向の幅(W2)に対する比(W1/W2)は、柔らかい肌触りの向上の観点から、0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1以上が更に好ましい。また、前記比(W1/W2)は、積層フィルムを吸収体などの部材に貼り合わせた時、積層フィルムと部材との十分な剥離強度を担保する観点から、1.8以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下が更に好ましい。
積層フィルム10おいて、柔らかさが平面方向に均質に感じられるよう、上記の凹凸構造5における凸部3が周期的に配列されていることが好ましく、一定のピッチで配列されていることがより好ましい。
積層フィルム10は、前述した凹凸構造5に加え、該凹凸構造5よりも高低差が小さい起伏構造7を有することが好ましい(図4)。起伏構造7における起伏は、光学顕微鏡を用いて観察しても確認できない程小さく、SEMを用いて観察(倍率:約100倍以上)をして確認できる微細なものである。これに対し、前述した凹凸構造5の凹凸は、積層フィルム10の断面に対して光学顕微鏡を用いて観察して確認できる大きさのものである。このように相対的な大きさの違いから、凹凸構造5をマクロな凹凸構造、起伏構造7をミクロな凹凸構造と言うことがある。
起伏構造7は、例えば倍率700倍にしたSEM写真に基づいて積層フィルム10の表面を観察し、長さ100μmの幅の中に溝の有無を確認することで判断することができる。図5は倍率750倍にしたSEM写真であり、起伏構造7があると思われる領域R1と無いと思われる領域R2とが示されている。そして図5の領域R1に、長さ100μmの幅の中に起伏構造7の溝71があり、起伏構造7を有すると判断される。同様に、図5の領域R2に、長さ100μmの幅の中に起伏構造7の溝が無く、起伏構造7を有さないと判断される。このようにして、積層フィルム10における起伏構造7の領域を画定することができる。
なお、図5に示す積層フィルム10は、塑性層2に炭酸カルシウムの粒子を含有する(含有量20質量%)。炭酸カルシウムの粒子は、前述の凹凸構造5及び起伏構造7の形成のために部分延伸した際に、表面に露出している。この炭酸カルシウムの粒子の含有量又は含有の有無が起伏構造7の形成に影響されるものではない。
起伏構造7は、図4に示すように、弾性層1と塑性層2との積層構造の表面に形成されている。この場合、起伏構造7は、上記のように微細な起伏を有するものであれば、塑性層2のみからなっていてもよく、塑性層2及び弾性層1からなっていてもよい。
このような起伏構造7は、前述した凹凸構造5と相俟って、積層フィルム10に触れた者の手や体の肌表面に微細な非接触部分をつくり、密着しすぎないフィット感を与えることができる。特に指等を平面方向に動かしたとき、凸部3及び凹部4と指等が擦り合って凹凸を感じながら、微細な起伏構造7が指等の動きに追従して接触しやすくなる。このような接触において、積層フィルム10は、触れた者に更に布材様な柔らかい触感を与えることができる。
起伏構造7は、図5に示すように、平面方向における一方向に延在する凸条部72を有することが好ましい。この一方向は、積層フィルム10の平面方向における種々の方向とすることができる。例えば、凹凸構造5の凸部3が離間して配列される方向に沿って延在していてもよく、配列される方向とは異なる方向(交差する方向)に延在していてもよい。例えば、図1に示すX方向及びY方向に沿って凸条部72が延在していてもよく、X方向及びY方向と交差する方向に沿って凸条部72が延在していてもよい。この場合、前記一方向は、凹凸構造5の凸部3が離間配列されるJ1方向及びJ2方向のいずれかに一致する。
起伏構造7は、凸条部72を有することによって、マクロな凹凸構造5とは異なる触感を作り出すことができる。これにより、積層フィルム10は単調にならない複雑な触感を与える。積層フィルム10は、例えば手や体の肌表面が積層フィルム10に対して多様な接触、多方向からの平面に沿った接触に対応して、変化に富んだ柔らかさを作り出すことができる。具体的には、マクロな凹凸構造5においては、凸部3が互いに連接しない独立突起であり、平面方向に沿って色々な方向から接触しても、同じような凹凸感を与える。これに対し、ミクロな凹凸構造である起伏構造7は、筋状の凸条部72を有することによって、凸条部72の延在方向と交差する方向からの接触では凸条部72の曲面を撫でるように接触して凸条部72の丸みを感じる。その触感は、凸条部72の延在方向と接触する方向とのなす角度が直角に近づく程強くなる。また、接触する方向が延在方向に近づく程、凸条部72の頂部に沿って接触しなめらかな感触となる。これらが触れる者の様々な動きに応じて異なる感触を与え、変化に富んだ柔らかさを作り出す。
起伏構造7を有する部分における積層フィルムの層厚み(弾性層1と塑性層2とを合わせた層厚み)H1は、図6に示すように、起伏構造7以外の部分(例えばマクロな凹凸構造5の凸部3)における積層フィルムの層厚み(弾性層1と塑性層2とを合わせた層厚み)H2よりも薄くされていることが好ましい。これにより層厚みが薄くされた部分が屈曲点として作用し、積層フィルム10全体の曲げ剛性が低減しより柔らかく感じることができる。
<フィルムの層厚みの測定方法>
液体窒素を用いて凍結させた積層フィルム10を、カッター刃を用いて厚み方向に切断する。そして、切断面が上になる向きで積層フィルム10を無荷重状態でSEM用観察台に設置し、SEMにより倍率1000倍で観察することにより層厚みH1、H2を10点測定し、その平均値をそれぞれの測定値とする。
起伏構造7は、前述の複雑な触感の観点から、一方向に延在する凸条部72に加え、平面方向における前記一方向と交差する異なる方向に延在する別の凸条部72を有することがより好ましい。これにより、多方向からの接触に対してより対応できる変化に富んだ柔らかさを作り出すことができる。この一方向、該一方向と交差する異なる方向とは、図1に示すX方向及びY方向であってもよく、X方向及びY方向と交差する方向であってもよい。凸条部72が延在する2つの交差する方向がX方向及びY方向である場合、該2つの交差する方向は、凹凸構造5の凸部3が離間配列されるJ1方向及びJ2方向に一致する。
また、起伏構造7は、少なくともマクロな凹凸構造5の凸部3、3間に存在することが好ましい。すなわち、起伏構造7は、図1及び2に示す連結部6に配されていることが好ましい。これにより、指等で積層フィルム10の表面を撫でたとき、凸部3の間で起伏構造7に触れやすく、布材様な柔らかい触感をより明確に感じさせることができる。また、連結部6の延在する方向に沿って、起伏構造7の凸条部72が延在していると、前述した複雑な触感がより明確に感じられて好ましい。さらに同様の観点から、連結部6が積層フィルム10の平面方向に互いに交差する複数の方向(図1及び2においてはX方向とY方向)に延在している場合、これらの複数の方向それぞれに沿って延在する別々の凸条部72が配されていることが好ましい。
この起伏構造7の平面方向における配置は、図1及び2に示す格子状の連結部6に対応した配置に限らず、種々設定することができる。例えば、以下の(A1)〜(A7)に示す態様が挙げられる。(A1)〜(A7)のいずれの態様においても、起伏構造7が連結部6に配されるものとして示している。
(A1)
凹凸構造5の凸部3の配列方向、及び起伏構造7の凸条部72の延在方向(連結部6の延在方向)を積層フィルムの幅方向(X方向)及び長手方向(Y方向)の少なくともいずれか一方に対して交差する方向とする態様。
(A2)
凹凸構造5の凸部3の離間配列する列同士の間隔、及び起伏構造7の凸条部72(連結部6)同士の間隔の少なくともいずれか一方が、均等でない態様。例えば、積層フィルム10の周囲よりも中央部分で前記間隔が狭くされている態様。
(A3)
図1における配置において、起伏構造7(連結部6)が連続的に延在するのではなく、破線状に離間して延在している態様。
(A4)
図1における配置において、起伏構造7(連結部6)が幅違いの延在列を有する態様。
(A5)
図1における配置において、起伏構造7(連結部6)が積層フィルム10の端部までには達しない配置とする態様。
(A6)
凸部3が平面形状として複数の異なる多角形状を有し、概ね幅方向(X方向)及び長手方向(Y方向)に沿って離間配置され、これに対して起伏構造7(連結部6)の延在方向を前記多角形の各辺に沿う方向とする等、起伏構造7(連結部6)の延在方向がより複雑にされた態様。
(A7)
起伏構造7の凸条部72(連結部6)を波状に延在させる態様。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法の好ましい形態について説明する。
まず、図7(A)に示すように、弾性層1と塑性層2とを有し、塑性層2を最表面とする積層構造の原料フィルム100を準備する。図7(A)では、弾性層1の両面に一対の塑性層2を積層した3層構造を有するものとしているが、これに限定されるものではない。
原料フィルム100に対して、該原料フィルム100の平面方向における互いに交差する複層の方向に部分延伸を行う(部分延伸工程)。ここでいう部分延伸とは、原料フィルム100全体を牽引して均一な延伸を行うのではなく、原料フィルム100の一部分を延伸することをいう。具体的には、図7(B)に示すように、互いに噛み合う歯と溝とを有する一対のギアロール200、210間に、原料フィルム100を挟み込む処理を行う。より具体的には、ギアロール200の歯201がギアロール210の溝212に遊挿され、ギアロール210の歯211がギアロール200の溝202に遊挿される。この一対のギアロール200、210に間に原料フィルム100を搬送し、原料フィルム100の両面に対し、一対のギアロール200、210が噛み合って互いに反対方向に押し込む。これにより、ギアロール200の歯201と、ギアロール210の歯211とが原料フィルム100に当接し、当接した原料フィルム100の部分101及び102の間の部分103において、部分延伸が行われる。すなわち、原料フィルム100の部分101、102が互いに反対方向に押し込まれ、その反対方向へ押し込む力が、原料フィルム100の部分103に作用して部分延伸される。
ギアロール200、210として、歯201及び211を円盤状にしてロール軸方向に並べたものを用いる場合がある(第一態様)。また、歯201及び211をロール軸方向に延在して、ロール周面方向に離間させて複数配置したものを用いる場合がある(第二態様)。第一態様及び第二態様の場合は、2回に分けて延伸方向を変えて部分延伸加工を行う。
第一態様のロールを用いて第1回目の部分延伸加工を行う場合、原料フィルム100は、ロール軸方向に並ぶ円盤状の歯の間で原料フィルム100を幅方向(X方向)に部分延伸する。部分延伸された部分は、原料フィルム100の長手方向(Y方向)に延在する。次に、第二態様のロールを用いて第2回目の部分延伸加工を行う。これにより、原料フィルム100は、ロール周面方向に並ぶ歯の間で原料フィルム100を長手方向(Y方向)に部分延伸する。部分延伸された部分は、原料フィルム100の幅方向(X方向)に延在する。これにより、幅方向(X方向)及び長手方向(Y方向)に延在し格子状にされた連結部6が形成され、連結部6に囲まれた部分が独立突起にされた凸部3が平面方向に互いに離間し、幅方向と長手方向に配列される。これにより、図1及び2に示す積層フィルム10が形成される。このように連結部6が部分延伸された部分であるため、弾性層1及び塑性層2、特に塑性層2が延伸される。このとき、場合によっては、連結部6は透明度が低下し白色化することがある。
また、上記の部分延伸加工においては、塑性層2が塑性変形するレベルに延伸すると、その部分において前述した凸条部72を有する起伏構造7が形成されて好ましい。それは次のようにして塑性層2が収縮することによる。すなわち、図8(A)のように弾性層1と塑性層2とを有する原料フィルム100を、塑性層2が塑性変形する程度に、図8(B)に示すように部分延伸する。この場合、図8(C)に示すように、塑性層2が塑性変形する一方で、弾性層1が弾性回復すると、元の長さに戻れなかった塑性層2が弾性層1に連れられて長さが縮まる。塑性層2は塑性変形した分、長さが元の長さよりも延び、弾性層1の収縮に伴って微細な筋状の凸条部72が複数配された起伏構造7が形成される。このように塑性層2が塑性変形する部分は、最も強い延伸力が加えられた連結部6において主に形成される。このとき、場合によっては、積層フィルムの透明度はより明確に低下し白色化することがある。また、部分延伸の倍率や弾性層1が有する弾性率などによって、弾性層1が伸ばされた分、厚みが薄くなる場合がある。この場合、前述した図6に示すように、積層フィルム10の層厚みH1が他の部分の層厚みH2よりも薄くなる。
あるいは、上記の第一態様及び第二態様を組み合わせた加工方法以外に、次の第三態様の方法で積層フィルム100を製造することができる。
すなわち、第三態様としては、一対のギアロール200、210のロール周面に、凹凸構造5の凸部3の配列パターンに合わせて歯201、211を配置したもの(ピンロール)を用いることができる。この場合、1回の部分延伸加工において、歯201、211の配置パターンに合わせて互いに交差する複数の方向に同時に部分延伸することができる。
本発明の積層フィルムは、種々の物品の肌に触れる表面に配することができる。特に、吸収性物品の裏面シートに用いると、厚みを高めることなく布材様の柔らかい肌触りが得られる。これにより、吸収性物品に触れた使用者が、つけ心地のよい安心感のある装着性を想起することができる。なかでも、塑性層を吸収性物品の最裏面に露出させて本発明の積層フィルムを配した形態が好ましい。
本発明の積層フィルムは、様々な吸収性物品に特に制限なく適用することができる。例えば、成人用や乳幼児用の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の裏面シートなどに適用することができる。
本発明の積層フィルムを含む吸収性物品は、表面シート、裏面シート、及び、これらのシートに挟まれた吸収体を有する。吸収性物品の構成部材には、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば、表面シートとしては、液透過性のある肌触りの柔らかいものを用いることができる。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
ポリウレタンからなる弾性層1、炭酸カルシウム粒子を含有した直鎖状低密度ポリエチレンからなる塑性層2を積層した図7(A)に示す3層構造の原料フィルム100を準備した。次いで、ギアロール200、210として、歯を円盤状にしてロール軸方向に並べたギアロールを一対対向配置させたものと、歯をロール軸方向に延在して、ロール周面方向に離間させて複数配置したギアロールを一対対向配置させたものとを用いて、2回に分けて部分延伸加工を行った。その際、第1回目の部分延伸加工の延伸方向に対して、第2回目の部分延伸加工の延伸方向を90°として行った。第1回目及び第2回目の延伸倍率をいずれも2.7倍とした。このようにして原料フィルム100に対し2回の部分延伸加工をして、実施例1の積層フィルム試料を作製した。実施例1のフィルムは、一方向の面から多方向の面に突出する積層構造の凸部の間隔は2.0mmであり、平面方向に互いに90°で交差する複数方向に配列されている。また、起伏構造は、凸部の間に存在し、かつ、凸部が離間して配列される方向に沿って延在している。
(実施例2)
第2回目の部分延伸加工に実施例1と同様のギアロールを用い、第1回目の部分延伸加工の延伸方向に対して、第2回目の部分延伸加工の延伸方向を110°とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層フィルム試料を作製した。実施例2のフィルムは、凹凸構造の凸部の間隔は2.0mmであり、平面方向に互いに110°で交差する複数方向に配列されている。起伏構造は、実施例1と同様である。
(実施例3)
第1回目の部分延伸加工の延伸方向に対して、第2回目の部分延伸加工の延伸方向を135°とした以外は、実施例2と同様にして、実施例3の積層フィルム試料を作製した。実施例3のフィルムは、凹凸構造の凸部の間隔は2.0mmであり、平面方向に互いに135°で交差する複数方向に配列されている。起伏構造は、実施例1及び2と同様である。
(比較例1)
実施例1における第2回目の部分延伸加工を行わず、一方向にのみ部分延伸を行った以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層フィルム試料を作製した。一方の面から他方の面に突出する積層構造の凸部は、平面方向に互いに交差する複数方向には配列していなかった。
(比較例2)
実施例1で用いたものと同様の原料フィルムに対し、部分延伸ではなく全体を一方向に、延伸倍率2.0倍にして延伸し、比較例2の積層フィルム試料を作製した。一方の面から他方の面に突出する積層構造の凸部を複数、離間して配した凹凸構造(マクロな凹凸構造)は、出来なかった。
(比較例3)
実施例1で用いたものと同様の原料フィルム全体に対する延伸加工を2回に分けて行った。第1回目の全体延伸加工の延伸方向に対して、第2回目の全体延伸加工の延伸方向を90°として行った。第1回目及び第2回目の延伸倍率をいずれも1.8倍とした。このようにして原料フィルムに対し2回の全体延伸加工をして、比較例3の積層フィルム試料を作製した。一方の面から他方の面に突出する積層構造の凸部を複数、離間して配した凹凸構造(マクロな凹凸構造)は、出来なかった。
(比較例4)
炭酸カルシウム粒子を含有した直鎖状低密度ポリエチレンからなる単層の原料フィルムを用いて、実施例1と同様の部分延伸加工を行って、比較例4のフィルム試料を作製した。
(比較例5)
実施例1で用いたものと同様の積層構造を有する原料フィルムを、延伸加工せずそのまま比較例5の積層フィルム試料とした。
(比較例6)
比較例5の積層フィルム試料と同様のものに、坪量8g/mのSMS(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド)不織布を積層して比較例6の積層フィルム試料とした。
上記の各試料に対して下記(1)〜(5)の測定及び試験を行った。
(1)フィルム厚みの測定
各試料を5cm四方の大きさに調製し、0.05kPaの圧力がかかる状態で、フィルム厚みをレーザー変位計(キーエンス株式会社製)にて測定した。測定箇所は、サンプル平面内の5箇所で、その平均値を各試料のフィルム厚みとした。
(2)層厚みの測定
各試料について、前述の<フィルムの層厚みの測定方法>に記載の方法で、層厚みを測定した。
(3)曲げ剛性の測定
各試料を5cm四方の大きさに調製して4枚重ねにし、ハンドロメーター(ユニパルス株式会社製、型番:F360A DIGITAL INDICATOR)を用いてフィルム中央部の曲げ剛性を測定した。その際、ハンドロメーターのスリット幅は30mmとした。
(4)肌触り官能評価試験
各試料を10cm四方の大きさに調製したものを、ミクロな凹凸構造が上側に来るように平面に置き、パネル(サニタリー分野の研究に従事する者)5人に表面を指で撫でてもらった。撫でる強さと方向は指定しなかった。
始めに、不織布(SMS不織布:8g/m)を触った時が10点、原料フィルムとして用いた未加工フィルムを触った時が1点であることをパネルに伝え、すべての試料を触ってもらった後に、各試料の肌触りが不織布(SMS不織布:8g/m)と原料フィルムとして用いた未加工フィルムのいずれかに近いかで、点数をつけてもらい評価した。評価点の平均値を各試料の肌触り官能評価の点数とした。
(5)外観官能評価試験
黒台紙の上に、各試料を10cm四方の大きさに調製したものを、ミクロな凹凸構造が上側に来るように平面に置き、パネル(サニタリー分野の研究に従事する者)5人に外観を見てもらった。
始めに、無色透明なプラスチックフィルム(厚み100μm、再生OHPフィルム VF−1300、コクヨ株式会社製、材質:ポリエチレンテレフタレート)の外観が10点、穴あきの生じた部分延伸加工後のLDPEフィルム(厚み12μm、延伸倍率2.7倍)の外観が1点であることをパネルに伝え、すべての試料を観てもらった後に、各試料の外観が無色透明なプラスチックフィルム(厚み100μm)と穴あきの生じた部分延伸加工後のLDPEフィルム(厚み12μm、延伸倍率2.7倍)のいずれかに近いかで、点数をつけてもらい評価した。評価点の平均値を各試料の外観官能評価の点数とした。
結果を表1に示す。
表1に示す通り、比較例2及び3の試料は、全体延伸して凹凸構造を設けなかったものであり、フィルム厚みが40μm及び70μmであった。これに対し、実施例1〜3の試料は、比較例2及び3の試料と同等の坪量であるにも関わらず、2.5倍以上のフィルム厚みを有していた。また、実施例1〜3の試料は、一方向にのみ部分延伸した比較例1のものよりもフィルム厚みを有し、実施例1〜3よりも坪量の大きい比較例6と同等またはそれ以上のフィルム厚みを有していた。さらに、実施例1〜3は、比較例1〜5の試料よりもふっくらした触感を感じられるものであった。
実施例1〜3の試料は、H1がH2よりも小さく、より柔らかく感じることができるものであった。一方で、延伸倍率が低かった比較例2及び3、単層フィルムを用いた比較例4、並びに延伸加工を行わなかった比較例5及び6の試料では、フィルムに起伏構造(ミクロな凹凸構造)が現れず、H1及びH2を測定できなかった。
実施例1〜3の試料は、一方向にのみ部分延伸した比較例1のものよりも曲げ剛性が低く、同等のフィルム厚みのある比較例6の試料の曲げ剛性の4割以下であり、柔らかいものであることが分かった。また、実施例1〜3は、同等の坪量を有する比較例5よりも曲げ剛性が低く、柔らかいものであることが分かった。一方で、比較例4の試料は、二方向に部分延伸しているにもかからず、単層フィルムからなるため曲げ剛性が8gf/cmで、直ぐにしわになってしまい、保形性が足りないものであった。これに対し、実施例1〜3は、積層フィルムを二方向に部分延伸したもので、約2倍の曲げ剛性を有し、適度な保形性、耐久性を有していた。
実施例1〜3は、同等の坪量を有する比較例1〜3よりも肌触り官能評価の点数が高く、実際に触れた際に柔らかく感じられるものであることが分かった。また、実施例1〜3は、同等の坪量を有する比較例2及び3の試料よりも、また不織布と積層フィルムとを重ねた比較例6の試料よりも外観官能評価の点数が高かった。
以上のことから、実施例1〜3は、フィルム厚み、曲げ剛性、肌触り官能評価及び外観官能評価の全ての項目において、比較例1〜6よりも優れていることが分かった。
1 弾性層
2 塑性層
3 凸部
4 凹部
5 凹凸構造(マクロな凹凸構造)
6 連結部
7 起伏構造(ミクロな凹凸構造)
71 溝
72 凸条部
10 積層フィルム

Claims (9)

  1. 弾性層と塑性層とを有し、前記塑性層を最表面とする積層構造のフィルムであって、
    該フィルムは、一方の面から他方の面に突出する積層構造の凸部を複数、離間して配した凹凸構造を有し、
    前記凸部は平面方向に互いに交差する複数方向に配列されている積層フィルム。
  2. 前記凸部がフィルム平面に対し、互いに反対方向に突出する部分を有する、請求項1記載の積層フィルム。
  3. 前記積層フィルムが、前記凹凸構造よりも高低差が小さい起伏構造を有する、請求項1又は2記載の積層フィルム。
  4. 前記起伏構造が、平面方向における一方向に延在する凸条部を有する、請求項3記載の積層フィルム。
  5. 前記起伏構造が、前記一方向と交差する異なる方向に延在する別の凸条部を有する、請求項4記載のフィルム。
  6. 前記起伏構造が、少なくとも前記凹凸構造の凸部間に存在する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 表面シート、裏面シート、及び、これらのシートに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、前記裏面シートとして、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムを、前記塑性層を前記吸収性物品の最裏面に露出させて配した吸収性物品。
  8. 弾性層と塑性層とを有し、前記塑性層を最表面とする積層構造の原料フィルムを、平面視における互いに交差する複数の方向に部分延伸する工程を有する、積層フィルムの製造方法。
  9. 前記部分延伸する工程が、互いに噛み合う歯と溝とを有する一対のギアロール間に、前記原料フィルムを挟み込む処理を有する、請求項8記載の積層フィルムの製造方法。

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