JP2009102774A - 不織布の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な工程を要さず低コストで生産効率の良い嵩高不織布の製造方法を提供する。また、エラストマー材料によらず、おむつやナプキン、傷口シートなどの衛生用品の表面材として好適に用いうる、柔らかな風合いでクッション性のある不織布の製造方法を提供する。
【手段】エラストマー的挙動を示さない不織布からなる第1層を少なくとも2%伸長させ弾性変形を生じさせる工程、前記第1層と、不織布からなる第2層を実質的に非伸長の状態で積層させる工程、前記第1層の伸長状態を維持して、複数の接着領域がそれぞれ不連続になるように前記第1層と第2層とを接着する工程、及び前記接着した両層を弛緩させ第2層の外側面に複数の嵩のある領域を生じさせる工程を有する不織布の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は衛生用品に好適に用いうる嵩高な不織布の製造方法に関する。
おむつやナプキン、傷口シートなどの衛生用品に用いられる表面材は、通常着用者の肌に直接当てて使用されるため、柔らかな肌触りであることが求められる。とくに乳幼児の肌や傷口に当てて使用されることもあり、できるだけやさしい肌当りでクッション性のあるものが望まれる。このような要望に応えるため、例えば不織布にキルティングを施したような厚みのある凹凸を施し、柔らかさを与えることが考えられる。
不織布の表面に凹凸を設けたものとして、例えば非伸縮性シートとエラストマーシートとを間欠的に接合し、非伸縮性シートに襞を設けたものが挙げられる(特許文献1、2参照)。これは、おむつなどのウエストや股関節を締め付けるギャザー等としては良好に機能するかもしれないが、上述したような傷口などにおいて良好な肌当りが得られるとはかぎらない。また、通常伸縮性のエラストマー不織布は高コストであり、例えば絆創膏等の衛生用品に広く適用することは難しい。さらに、傷口や、乳幼児の肌、股間に沿わせるときなどにおいて強く締め付けられることがむしろ適さないこともある。また、エラストマーシートは低荷重にて伸長が発生するため、使用者の体の動きに追随して伸長してしまい、非伸縮性シートに設けられた襞が消失してしまうこともある。
これに対し、非伸縮性のフィルムシート等に1000%伸長というような大きな変形を与え永久変形させた層と、他の層とを部分的に接合し、脱力したときにピロー部を形成するものが開示されている(特許文献3参照)。しかし、このように大きな変形を均一に生じさせるには精度の高い張力制御を行う必要があり特殊な設備が必要となるだけでなく、使用可能な素材も限定されてしまう。あるいは、2つの連続材料ウエブを相互接着するに当たり、各ウエブ層のシート送り速度を2倍程度異ならせ、送り込まれるウエブ量の差によりウエブ面に皺を生じさせる方法が開示されている(特許文献4参照)。しかし速度比のことなる部材を接着させる場合には、接着工程の近傍での張力を適切に制御しないと不均一な皺形状が発現しやすい。更に接着前後で速度が異なることになるため、接着機構が速度制御のためのニップロールの役割も果たす必要があり、加工装置の損耗が激しいことに加え、加工速度の高速化が難しいという問題が挙げられる。このほか、ギアロールに不織布を吸引させて凹凸形状を賦型し、これと平面状の不織布とを接合して、上記ギアロールの略歯形状に賦型された凹凸面を有する複合シートの製造方法が開示されている(特許文献5参照)。この方法では正確な凹凸が形成可能ではあるが、製造装置が特殊であるため、高コストとなってしまう。
特開2000−79652号公報 特開平10−264321号公報 特開平06−255006号公報 特表平08−502220号公報 特開2005−111908号公報
本発明は、複雑な工程を要さず低コストで生産効率の良い嵩高な不織布の製造方法の提供を目的とする。また本発明は、おむつやナプキン、傷口シートなどの衛生用品の表面材として好適に用いうる、柔らかな風合いでクッション性のある嵩高な不織布の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、エラストマー的挙動を示さない不織布からなる第1層を少なくとも2%伸長させ弾性変形を生じさせる工程、前記第1層と、不織布からなる第2層を実質的に非伸長の状態で積層させる工程、前記第1層の伸長状態を維持して、複数の接着領域がそれぞれ不連続になるように前記第1層と第2層とを接着する工程、及び前記接着した両層を弛緩させ第2層の外側面に複数の嵩のある領域を生じさせる工程を有する不織布の製造方法により上記の目的を達成したものである。
本発明の製造方法によれば、嵩高な不織布を、材料費や加工費を抑えて、複雑な工程を要さず生産効率よく製造することができる。また本発明の製造方法により製造される嵩高な不織布は、柔らかな風合いと良好なクッション性とを有し、おむつやナプキン、傷口シートなどの衛生用品の表面材として好適に用いることができる。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
図1は、本発明の製造方法の各工程の実施形態を模式的に示す斜視図である。本実施形態においては、同図に示したように、第1層の不織布シート1が原反ロール11から送り出される。一方、第2層の不織布シート2が原反ロール12から送り出され、両シート1,2は、回転方向rに回転するエンボスロール17と回転方向rに回転するフラットロール16との間に挟み込まれ接着される。本実施形態において、エンボスロール17は多数の凸部を有し加熱されていることが好ましく、これにより間欠的に熱圧着して良好な接着領域(エンボス)3を多数、連続して形成することができる。
本実施形態においては、第1層の不織布が第2層との接着前及び接着時に2%以上伸長させられている。第1層の不織布シート1を伸長させる態様は特に限定されないが、本実施形態においては、テンションロール14により伸長させている。詳しくいうと、第1層シート1は、片方を原反ロール11によりシート1が送りだされながらも位置固定され、一方ではシート接合位置aでロール16,17の間に挟まれ位置固定されている。すなわち、シート1は動的な状態ではあるが、両側を位置固定されている。このような固定状態で2つのガイドロール13を介し、この間でシート1を押し下げるようにテンションロール14を沈みこませることにより(方向t)、シート1に所望の張力を与えることができる。そして逆方向にテンションロール14を上げればこの張力は緩和される。換言すれば、テンションロール14は位置固定されておらず、方向t及びその逆方向に適宜移動することにより、シート1にかかる張力を変化させこの伸長率を調節することができる。したがって、例えばシート1が方向bに送られながらロールの回転ムラ等により伸長率が変化したときにも、上記の構成によればテンションロール14の位置を変え、適宜に張力を調節することで一定の伸長率を維持することができる。
本実施形態においては、上記のように第1層シート1の伸長率は第2層との接着前及び接着時において2%以上であるが、第1層シート1の弾性変形する伸長率の範囲であれば特に限定されない。第1層シート1として用いられる通常の不織布を考慮したとき、例えば、上記伸長率を2.0〜30%とすることが好ましく、2.0〜25%とすることがより好ましい。なお、本発明において弾性変形とは、特定の方向に加えられた荷重とシートのその方向への伸長量がほぼ比例関係にあり、かつ荷重を取り除いた際にほぼ伸張前の長さに戻るものと定義され、永久変形と区別される。
これに対し、本実施形態において、第2層の不織布シート2は第1層との接着前及び接着時において実質的に非伸長とされている。本発明において実質的に非伸長とは、製造工程上不可避的な張力以上にはシート反に張力がかけられておらず伸長していないことをいう。例えば、本実施形態についていうと、原反ロール12から、方向bに向けて送り出されたシート2がエンボスロール17とフラットロール16との間のシート接合点aに送り込まれるに際し、シート2が不用意にたるまずに安定して供給されるように、通常シート2には張力が付与されている。このような工程上必要な張力付加による多少の伸長はあってもよく、本発明においてこの多少の伸長状態は上記実質的に非伸長の状態に含まれる。上記実質的に非伸長の状態に含まれる多少の伸長状態は、製造条件や、不織布の種類等にもよるため特定しがたいが、典型的には例えば伸長率0.0〜1.5%程度の伸長率が上記実質的に非伸長の状態に含まれる。
本実施形態において、第1層シート1及び第2層シート2は前記の接合点aを通過し、エンボスロール17及びフラットロール16により間欠的に熱圧着された複合シート9となる。この接合点aにおいては、上記のとおり第1層の伸長状態が維持されており、本実施形態においては、さらにこの伸長状態が維持された複合シート9が送られ(方向b)、ガイドロール19に至るまでこの伸長状態が維持されている。そして、ガイドロール19を通過したところで第1層の伸長状態は解かれ、弛緩し、弾性変形していた第1層シート1が収縮する。これにともない実質的に非伸長であった第2層シート2にはシート長さに余りが生じ、そこが嵩高く盛り上がる。このようにして複数の柔らかな嵩のある領域4(図2参照)を第2層シート側に有する嵩高不織布10が得られる。
図2は、図1に示した嵩高不織布の要部を一部断面により模式的に示した拡大斜視図である。嵩高不織布10は、上述のように第1層をなす不織布シート1と第2層をなす不織布シート2とからなり、第2層の外側には波打つように突出した嵩のある領域4を複数有する。両シートは複数の不連続の接着領域(円形エンボス)3により接着されており、この接着領域3が嵩のある領域4の谷部を構成するようにされている。
接着領域3の配置は、その複数が不連続に第1層と第2層とを接着するようにされていれば特に限定されず、用途や不織布の特性等に応じて適宜定めればよい(本発明において接着領域が不連続とは、個々の接着領域の面積が小さく、かつ個々の接着領域が近接し列状に連なったような実質的に連続であるような領域を形成しないことをいう。)。良好な嵩のある領域4を形成し、後述する内部空間5との相互作用によるクッション性や液体透過性を高めることを考慮すると、複数の接着領域のそれぞれの面積を円相当直径で5mm以下とし、かつ、前記第1層の伸長方向における前記複数の接着領域の最近接距離を3〜20mmとし、さらに前記複数の接着領域の合計面積(s1)と、嵩高不織布全体の面積(s2)との割合(s1/s2)を10%以下とすることが好ましい。
上記接着領域の面積とは嵩高不織布の面方向における面積である。上記円相当直径とは接着領域の面積を、その形状に関わらず、円の面積に換算したときの円の直径をいう。本発明において、接着領域の面積は円相当直径で上述のように5mm以下であることが好ましく、0.5〜4.0mmであることがより好ましい。
第1層の伸長方向における接着領域間の最近接距離とは、特定の接着領域の縁からみて第1層の伸長方向で最も近くにある他の接着領域の縁までの距離をいう。例えば、後述する試験材における図6に示したエンボスパターンでいうと、ここでは各エンボス3が均等な間隔で千鳥格子状に配置されている。そして特定の、円形エンボス3aを取り出してみると、この周辺にエンボス3b,3c...が接線(円弧)cに接するように等間隔で配されている。この試験材においては第1層の伸長方向がY方向であるので、エンボス3bが第1層の伸長方向における最近接エンボスとなり、最近接距離はdとなる(図示したものにおいては、エンボス3aと3cとの距離もdとなっている。)。なお、第1層の伸長方向が複数あるときには、すべての伸長方向において最近接距離を求め、このなかで最も短いものを最近接距離とする。
本発明において、上記接着領域の最近接距離は上述のように3〜20mmであることが好ましく、4〜15mmであることがより好ましい。
上記の複数の接着領域の合計面積(s1)と、嵩高不織布全体の面積(s2)との割合(s1/s2)は、用いられる嵩高不織布の全体において算出すればよいが、ロールに巻き取られたシート反のような場合は算定に手間がかかりすぎ困難であり、このようなときには例えば1m×1m程度の範囲で評価すればよい。また、後述するようなパンティライナ等の表面材とするときには(図3参照)、そのパンティライナ20における表面材において上記面積割合を算定すればよい。上記の面積割合(s1/s2)は特に限定されないが、上述のように10%以下とすることが好ましく、2〜8%とすることがより好ましい。
上記複数の接着領域の配置パターンは特に限定されないが、例えば、直交格子状又は千鳥格子状のエンボスパターンとすることが好ましい。
直交格子状パターンとは、接着領域がなす複数の列において、各列における複数の接着領域の配置が互いに略一致していることをいう。換言すれば、接着領域を各列に直交する方向に投影したときに、各接着領域の投影像が略同じ位置で重なる関係にあることをいう。
千鳥格子状パターンとは、各列の複数の接着領域の配置のピッチをずらした配列をいう。換言すれば、接着領域を各列に直交する方向に投影したときに、各接着領域の投影像が隣り合う列同士で一致しない配置であり、なかでも1列おきに略一致する配置であることが好ましい。
後述する図6で示したエンボスパターンでいうと、良好な千鳥格子状パターンとされており、エンボス列l、l、l...を直交方向(Y方向)に投影したときに、各エンボス3の投影像が、l、l...と1例おきに一致するようにされている。また、図6に示すエンボスパターンにおいては、X方向においても上記の千鳥格子状パターンに配列されており、より好ましい。
本実施形態の嵩高不織布10の嵩のある領域4の下部には、第1層シート1と第2層シート2との間に空間5が保持されている(図2参照)。この空間5が保持されていることにより、嵩のある領域4に適度なエアクッション性が生じ、肌に直接当てて用いる衛生用品の表面材として用いたときにも、柔らかな弾力性が実現される。具体的には、嵩高不織布10の第2層シート側を着用者に向けて、例えば傷口や乳幼児の肌などに当てたときにも、凸部が突出しすぎて刺すような感じを与えず、ふわっとした感触で違和感のない風合いが得られる。また、多数の嵩のある領域4が肌や傷口などとの間に適度な隙間を形成し、通気性がよくベタつきを防ぐことができる。このとき、内部の空間5が拡張・収縮して呼吸するようにして一層サラッとした感触が得られる。
本実施形態の嵩高不織布10を生理用ナプキンやおむつの表面材として用いたときには、上記の良好な肌あたり及び通気性とあわせ、間欠的に設けられたエンボス3と内部に保持された空間5の相互作用により優れた液体透過性を示し、液体の逆戻りを抑制しうる。このことを図3に示した吸収性物品の一実施形態であるパンティライナにより具体的に説明する。本実施形態のパンティライナ20においては、第1層シート1及び第2層シート2からなる嵩高不織布10の下方に、吸収体32が配され、さらに下方に裏面シート33が設けられている。そして嵩高不織布10と裏面シート33とがサイドシール部31で接合され、吸収体32が内部に収納された構成となっている。吸収体32は液体吸収保持性の高い材料が好ましく、吸収性物品に通常用いられているものを使用することができる。また、裏面シート33は液体を透過しにくい材料からなることが好ましく、吸収性物品に通常用いられているものを使用することができる。
このパンティライナ20において、表面材を構成する嵩高不織布10の表面に液体が付与されたとき、この液体はエンボス3に集中しながら素早く内部の吸収体32に取り込まれる。そして、一度吸収体32に液体が取り込まれると、嵩高不織布10には嵩のある領域(丘状部)4の内部に保持された空間5(図2参照)があるため、この液体を逆戻りしにくくする作用を示す。例えば着用者の姿勢が変化して吸収体が圧縮され内部の液体が滲み出すようなときに、上記の空間5がこの液体を保持して着用者の肌に漏れ出すことを抑えるはたらきをする。また、着用者の肌に当接する表面側には多数の丘状部4がある。このため、内部の吸収体32に液体が保持され第1層シート1が多少液体を保持した状態であっても、着用者の肌と直接接する面積が低減され、湿った感じを与えず、あるいはこのような感触を和らげ、サラッとした着用感が実現される。さらに、粘性の高い半固形状の排泄物に対しても、丘状部4の内部に保持した空間5(図2)が素早く取り込む作用を示し、良好な着用感が得られる。
本発明の製造方法を図示した本実施形態により説明したが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。例えば、第1層の不織布シート1の伸長をテンションロール4(図1)によらず、原反ロール11とエンボスロール17及びフラットロール16との回転速度を変化させたり、各ロールの位置を変化させたりして調節してもよい。また、接着領域3は上記の実施形態で示したような円形エンボスに限られず、矩形のエンボスであっても、線状のエンボスであってもよい。
本発明の製造方法においては、第1層の不織布としてエラストマー的挙動を示さないものが用いられる。これにより、上述したような、エラストマーを用いたのでは得られない柔らかな風合いでクッション性のある嵩高不織布が得られる。本発明において「エラストマー的挙動を示さない不織布」とは、破断点伸度が30%以下であるか、又は、30%伸長後の伸長回復率が80%以下である不織布をいう。ここで破断点伸度とは、脱力状態にある不織布の元の長さをL1とし、伸長したときの長さをL2としたとき、特定の方向に不織布を伸長して破断させたときの伸長率((L2−L1)/L1)をいう。また、伸長回復率は、脱力状態にある不織布の元の長さをL1とし、不織布を特定の方向に30%の伸長率で伸長させたときの長さをL3とし、これを脱力したときの長さをL4としたときに、伸長前の長さL1にまで戻った割合((L3−L4)/(L3−L1))をいう。これに対し、伸長前の長さL1にまで戻らなかった割合((L4−L1)/(L3−L1))は永久歪と定義され、上記伸長回復率が80%以下であることは、換言すれば永久歪が20%より大きいことを意味する。本発明においてエラストマー的挙動を示さない不織布は、複数の方向に異なる伸長性を有するとき、いずれの方向においても上記条件(破断点伸度が30%以下であるか、又は、30%伸長回後の伸長回復率が80%以下である)を満たす不織布をいう。
本発明において上記の第1層を構成する不織布の弾性率は0.7N/mm以上であり、かつ、該弾性率を後述する第2層を構成する不織布の弾性率以上とすることが好ましい。本発明において不織布の弾性率は以下のように定義される。
[不織布の弾性率の測定・算定方法]
測定する不織布のシートから、弾性率を測定する方向を長手方向として縦150mm横50mmの試験体として切り出す(図4参照)。この試験体41の長手方向の両端にチャック42を取り付け、両チャック42間の距離43が100mmとなるようにする。片側のチャックを固定し、もう一方のチャックを引張り、試験体41を伸長させながら、試験体の伸びと荷重の値を断続的に測定する。得られた測定値をもとに、横軸に伸び(mm)、縦軸に荷重(N)をとりプロットし、伸びに対して荷重が直線的に変化する初期伸びに対する荷重の傾きを求める。この測定を10回行い前記傾きの平均値を求める。これを本発明における弾性率とする。
不織布シートから試験体を切り取る方向により弾性率が異なるときには、前述の第1層の不織布を伸長する方向の弾性率をいうものとし、第1層を複数の方向で伸長するときにはこれらの平均値をいうものとする。
第1層の不織布として用いることのできる材料は特に限定されないが、熱接着や接着剤による接合等のボンディング工程を経た製品不織布や、これらのボンディング工程を経ていないいわゆる不織ウエブも含まれる。用いられる繊維は特に限定されないが、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、これらの複合繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維が挙げられ、中でもPP、PE、PETの複合繊維が好ましく用いられる。不織布の製造方法は特に限定はなく、例えば、スパンボンド、スパンレース、エアスルー、ポイントボンド、メルトブロー、ケミカルボンド、エアレイド、ニードルパンチ等の方法にて製造することができる。中でも、本発明の第1層に用いる不織布としては、弾性変形による伸長をさせ弛緩して適度に収縮することを考慮し、スパンボンド、エアスルー、ケミカルボンド、スパンレースによる不織布が好ましい。
第1層の不織布の坪量は特に限定されないが、12〜40g/mであることが好ましく、15〜30g/mであることがより好ましい。第1層の不織布の厚さは特に限定されないが、0.1〜1.0mmであることが好ましく、0.15〜0.8mmであることがより好ましい。本発明において不織布の厚さは、特に断らない限り、レーザー変位計(KEYENCE(株)社製 LK−085)を用い、50Paの荷重をかけた条件で測定した厚みをいう。この測定は、10回行いその平均値をその不織布の厚みとする。
本発明の製造方法においては、実質的に非伸長の不織布からなる第2層が、上記第1層と組み合わせて用いられる。この第2層に用いられる不織布は通常のものであれば特に限定されず、上記第1層で例示した繊維ないし製造方法を用いたものが挙げられる。なかでも、上記第2層は上述したように柔らかに波打った多数の嵩のある領域が設けられ嵩高い不織布構造をなすことが好ましく、これを通常着用者の肌に当接して用いることに鑑み、第2層の不織布を構成する繊維を芯鞘型複合繊維、5.6dtex以下の低繊度、とすることが好ましく、製造方法はエアスルー、ポイントボンド、スパンレースによるものであることが好ましい。
第2層の不織布の坪量は特に限定されないが、16〜50g/mであることが好ましく、18〜35g/mであることがより好ましい。第2層の不織布の厚さは特に限定されないが、0.4〜1.5mmであることが好ましく、0.5〜1.2mmであることがより好ましい。
また、上記第2層の座屈荷重を20cN以下とすることが好ましく、15cN以下とすることがより好ましい。このようにすることで、上記第1層と間欠的に接合し、この第1層の伸長・弛緩の動きにあわせて第2層に嵩のある領域が形成されやすくなり、一層良好なクッション性が実現される。
[座屈荷重の測定方法]
本発明において上記座屈荷重とは以下のようにして測定した値をいう。
まず、測定対象となる不織布のシートから、座屈荷重を測定する方向と直交する方向を長手方向にして、150mm×30mmの試験体を切り出す。この試験体の長手方向の両側縁が円筒の両縁をなすよう、前記試験体を円筒状に丸める。該長手方向の両端部が約5mm重なるようにして、ステープラー針54で2箇所をとめる(図5参照)。作製した円筒状の試験体51の、片方の縁が接するように水平のステージ52にのせ、もう一方の縁に水平の加圧板53をあてる。加圧板を10mm/minの速度で押し下げていったとき、試験体51が変形していく際に加圧板にかけられた最大点荷重を求める。同様の測定を1つの試験材あたり5回行い、平均値を求め、本発明における座屈荷重とする。なお、測定する第2層の不織布が、不織布シートから試験材を切り取る方向により異なる座屈荷重を有するときは、前記第1層を伸長させる方向に対応する第2層の不織布の方向の座屈荷重をいうものとする。第1層を複数の方向で伸長するときには、これらに対応する方向の平均値をいうものとする。
本発明の製造方法で得られる嵩高不織布は、図示したパンティライナ以外にも、例えば、ナプキン、使い捨ておむつ、絆創膏を始めとした傷口シートなどの表面材として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例・比較例)
図1に示した製造工程により下記のようにして不織布複合材(試験材1〜5)を作製した。
原反ロール11から表1に示した第1層の不織布シート1を送りだし、一方原反ロール12から表1に示した第2層の不織布シート2を送り出した。第1層シート1についてはテンションロール14により下表1に示した伸長率となるようにした。135℃に加熱したエンボスロール17には千鳥格子状の円形エンボスが賦型されるように凸部18が配設され、上記両シート1,2をフラットロール16との間で間欠的に加熱圧着した。このようにして複数の円形エンボスにより接着した複合シート4をさらに送りだし、ガイドロール19を通過したところで上記第1層の伸長状態を解き弛緩し、不織布複合材(試験材1〜5)を得た。得られた試験材1〜5には図6に示したような千鳥格子状の円形エンボスが互いに均等な間隔で形成され、この最近接距離dはいずれの試験材についてもおよそ4mmであり、円形エンボスの直径は2mmであった。
なお、試験材1の第1層に用いた不織布は伸長回復率が57%であり、試験材2及び3の第1層に用いた不織布の破断点伸度はそれぞれ25%及び22%であり、いずれもエラストマー的挙動を示さない不織布であった。
上記試験材1〜5の作製手順に対して、形成される接着領域が図7に示したような連続した格子柄状になるようにエンボスロールを変更した以外同様にして、不織布複合材(試験材6)を得た。試験材6における接着領域71の幅wは1mmであり、格子間距離mは7mmであった。
[嵩のある領域の有無及びクッション性のパネル試験]
作製した試験材1〜6について、第1層外側に形成された嵩のある領域の有無及びこのクッション性をパネル5人による試験により評価した。評価の基準は以下のとおりである。はっきりと嵩のある領域が目視確認され、手触りにより高いクッション性が感じられるものを「◎」とした。嵩のある領域が見た目に認められるが際立った凹凸ではなく、手触りによるクッション性が幾分感じられるものを「○」とした。嵩のある領域が見た目にどうにか確認されるが、手触りによるクッション性はほとんど感じられないものを「△」とした。嵩のある領域が目視確認されず、手触りによるクッション性も全ったく感じられないものを「×」とした。結果を下表1に示した。
[試験材の厚さの測定]
作製した試験材1〜6について、それぞれ、レーザー変位計(KEYENCE(株)社製 LK−085)を用いて、円板状の重り(直径60mm 重量14.0g:50Pa)を測定台に載せ、その時の厚みを0とし、次に100×100mmのサイズに切り出した試験片を測定台に載せ、その上に重りを載せた際の測定値を試験片の厚みとした。この測定を別々の試験片にて10回行い、その測定値の平均をそれぞれの試験材の厚みとした。このようにして厚さ(t)を測定した。結果を下表1に示した。
[厚さ変化率の算出]
各試験材の作製に用いた第1層不織布と第2層不織布とを加工せず、そのまま重ね合わせたものについて、上述の試験材の厚さの測定と同様にして厚さ(t)を測定した。この重ね合わせただけのものの厚さをtとし、上述の試験材の厚さtとの比率(t/t)を求めて、厚さ変化率とした。結果を下表1に示した。
Figure 2009102774
比較のための試験材4〜6はいずれも単に不織布を重ね合わせたものより厚みが増すことはなく、エンボスパターンが連続したもの(試験材6)はむしろ薄いものとなってしまった。また、これらの試験材には嵩のある領域が認められず、いずれもクッション性のないものであった(パネル試験の判定「×」)。
これに対し、本発明の製造方法により製造した試験材1〜3はいずれも厚みが増し嵩高くなり、良好な嵩のある領域が多数形成され、クッション性に富む柔らかな風合いのものであった。なかでも、試験材1及び2は厚さ変化率がそれぞれ50%及び27%という、エラストマー材料を用いていないにも関わらず顕著な厚みの増加がみられ、極めて高いクッション性を感じられるものであった。これらの結果から、本発明の製造方法によれば、複数の嵩のある領域及びその内部に保持された空間によるクッション性に富む良質の嵩高不織布を、高コストのエラストマー材料によらず、かつ複雑な加工工程や特殊な加工装置を用いずに、効率的かつ低コストで製造することができることが分かる。
本発明の製造方法の好ましい実施態様を模式的に示す斜視図である。 図1に示した嵩高不織布の要部を一部断面により模式的に示した拡大斜視図である。 嵩高不織布を用いた吸収性物品の一実施形態を一部切欠して模式的に示す斜視図である。 弾性率の測定試験の態様を模式的に示す斜視図である。 座屈荷重の測定試験の態様を模式的に示す斜視図である。 試験材1〜5の不連続エンボスパターンを模式的に示す拡大平面図である。 試験材6の連続エンボスパターンを模式的に示す拡大図である。
符号の説明
1 第1層の不織布シート
2 第2層の不織布シート
3 接着領域(円形エンボス)
4 嵩のある領域(丘状部)
5 空間
7 伸長領域
8 弛緩領域
9 複合シート
10 嵩高不織布
11、12 原反ロール
13、19 ガイドロール
14 テンションロール
16 フラットロール
17 エンボスロール
18 凸部
31 サイドシール部
32 吸収体
33 裏面シート
41、51 試験体
42 チャック
52 ステージ
53 加圧板
54 ステープラー針
71 連続接着領域

Claims (5)

  1. (a)エラストマー的挙動を示さない不織布からなる第1層を少なくとも2%伸長させ弾性変形を生じさせる工程、
    (b)前記第1層と、不織布からなる第2層を実質的に非伸長の状態で積層させる工程、
    (c)前記第1層の伸長状態を維持して、複数の接着領域がそれぞれ不連続になるように前記第1層と第2層とを接着する工程、及び
    (d)前記接着した両層を弛緩させ第2層の外側面に複数の嵩のある領域を生じさせる工程を有する不織布の製造方法。
  2. 前記第2層を構成する不織布の座屈荷重が20cN以下であることを特徴とする請求項1記載の不織布の製造方法。
  3. 前記複数の接着領域のそれぞれの面積が円相当直径で5mm以下のものとし、かつ、前記第1層の伸長方向における前記複数の接着領域の最近接距離を3〜20mmとし、
    さらに前記複数の接着領域の合計面積(s1)と、嵩高不織布全体の面積(s2)との割合(s1/s2)を10%以下とすることを特徴とする請求項1又は2記載の不織布の製造方法。
  4. 第1層を構成する不織布の弾性率を0.7N/mm以上とし、かつ、該弾性率を第2層を構成する不織布の弾性率以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布の製造方法。
  5. 前記複数の接着領域を、前記第1層及び第2層をフラットロールと加熱した凹凸ロールとの間で圧着して形成する請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布の製造方法。
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