JP3176871B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

使い捨ておむつ

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JP3176871B2 JP11135397A JP11135397A JP3176871B2 JP 3176871 B2 JP3176871 B2 JP 3176871B2 JP 11135397 A JP11135397 A JP 11135397A JP 11135397 A JP11135397 A JP 11135397A JP 3176871 B2 JP3176871 B2 JP 3176871B2
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信也 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィット性に優れ
た展開型の使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート、
及びこれら両シート間に介在する液保持性の吸収体を有
し、使用時に着用者の腹側に位置する腹側部及び背中側
に位置する背側部が形成されている、いわゆる展開型の
使い捨ておむつが、広く用いられている。
【0003】しかし、従来の展開型の使い捨ておむつ
は、背側部の左右両側縁に設けられたテープファスナー
を、腹側部の裏面シートの表面側に貼着することによ
り、おむつの止着を行うものであったため、特に立った
ままで装着する際における操作性が悪く、また、装着中
におけるフィット性が悪いため、装着感に劣り、おむつ
と身体との間に隙間が生じて尿等が漏れるなどの問題が
あった。
【0004】従って、本発明の目的は、装着時の操作性
に優れ、且つ装着中におけるフィット性に優れた使い捨
ておむつを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、上記背側部の左右両側縁に伸縮部を有するフラ
ップを設け、更に該伸縮部として特定の積層シートを用
いてなる使い捨ておむつが、上記目的を達成し得ること
を知見した。
【0006】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート、
及びこれら両シート間に介在する液保持性の吸収体を有
し、使用時に着用者の腹側に位置する腹側部及び背中側
に位置する背側部が形成されている、展開型の使い捨て
おむつにおいて、上記背側部あるいは腹側部の左右両側
縁には、それぞれフラップが連設されており、左右の該
フラップの少なくとも何れか一方における先端部には、
フラップ止着部が設けられており、該フラップ止着部に
より、左右の該フラップを着用者の腹側あるいは背側に
おいて止着することができるようになしてあり、上記腹
側部あるいは背側部には、その左右両側におむつ止着部
が設けられており、該おむつ止着部を上記フラップの裏
面シート側に当接させておむつの止着ができるようにな
してあり、上記フラップは、少なくともその基端部側に
伸縮部を有し、上記伸縮部は、下記積層シートからな
ることを特徴とする使い捨ておむつを提供するものであ
る。 積層シート;不織布/エラストマーフィルム/不織布
の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸
長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それ
ぞれの横方向が同一の方向となるように積層されてお
り、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏
面の不織布がエラストマーフィルムを介して互いに同じ
接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シー
トであって、上記接合点の面積の合計は、積層シート全
体の面積に対して30%以下であり、100%伸長時に
おける伸縮特性が、100g/25mm以上であり、1
00%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下で
あり、上記不織布の目付は、1層あたり15g/m2
50g/m2 であり、上記エラストマーフィルムの目付
けは、10〜100g/m2 である積層シート。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の使い捨ておむつの
好ましい一実施形態を、図面を参照して説明する。ここ
で、図1は、本発明の使い捨ておむつの好ましい一実施
形態を示す正面図であり、図2は、図1に示す実施形態
の使い捨ておむつの展開図である。
【0008】図1及び図2に示す実施形態の使い捨てお
むつ1は、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面
シート3、及びこれら両シート間に介在する液保持性の
吸収体4を有し、使用時に着用者の腹側に位置する腹側
部A及び背中側に位置する背側部Bが形成されている、
展開型の使い捨ておむつである。
【0009】図1及び図2に示す実施形態の使い捨てお
むつ1について詳細に説明すると、上記吸収体4はその
股下領域が縊れた砂時計状に湾曲形成されている。ま
た、上記表面シート2及び上記裏面シート3も上記吸収
体4の形状に即してその股下領域が上述の如く湾曲形成
されている。そして、上記吸収体4は、上記表面シート
2及び上記裏面シート3により挟持・固定されている。
また、上記吸収体4の周縁部におけるウエスト部5とレ
ッグ部6とには、おむつを着用した際に、着用者にウエ
スト部5とレッグ部6とをフィットさせるためのウエス
ト部弾性伸縮部材7a及びレッグ弾性伸縮部材7bが、
それぞれ上記表面シート2と上記裏面シート3とにより
固定されて設けられている。
【0010】上記使い捨ておむつ1の長手方向左右両側
には、それぞれ不織布が配されて立体ガード8が形成さ
れている。該立体ガード8の自由端9には立体ガード弾
性伸縮部材7cが配されて、ギャザーを形成している。
このような構成は、従来の展開型の使い捨ておむつと同
様である。
【0011】次に、上記使い捨ておむつ1を構成する各
部材の形成材料について説明する。上記表面シート2と
しては、排泄物を吸収体へ透過させる液透過性シートで
肌着に近い感触を有したものが好ましく、このような液
透過性シートとしては、例えば、織布、不織布、多孔性
フィルム等が好ましく挙げられる。また、表面シート2
の周縁にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水
性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステ
ルのような親水性化合物を全体に塗布し、周縁を温水で
洗浄する方法により、撥水処理を施し、周縁における尿
等の滲みによる漏れを防止することができる。
【0012】上記裏面シート3としては、熱可塑性樹脂
にフィラーを加えて延伸した液不透過性かつ蒸気透過性
のフィルムシート、または繊維集合体と該フィルムシー
トとのラミネート等が用いられる。
【0013】上記吸収体4としては、解繊パルプを主材
とし、高分子吸水ポリマーを併用したものが好ましい。
該高分子吸水ポリマーは、上記吸収体4の上層、中層、
下層の何れの位置に存在させてもよく、また、パルプと
混合したものであってもよい。また、該高分子吸水ポリ
マーは自重の20倍以上の液体を吸収して保持し得る保
持性能を有し、ゲル化する性質を有する粒子状のものが
好ましい。このような高分子吸水ポリマーとしては、例
えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、
デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナト
リウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル
酸(塩)重合体などが好ましく挙げられる。
【0014】上記ウエスト部弾性伸縮部材7a、上記レ
ッグ部弾性伸縮部材7b及び上記立体ガード弾性伸縮部
材7cとしては、それぞれ、糸ゴム、平ゴム、フィルム
タイプのゴム、或いはポリウレタン又はメタロセン触媒
を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体
の弾性フィルム、糸ゴム、平ゴム、発泡体等が好ましく
挙げられ、特に50%伸長時の応力が40〜150グラ
ムのものが好ましい。なお、上記ウエスト部弾性伸縮部
材7aが配されて形成された腹側部Aにおけるウエスト
ギャザーの伸縮度は1.1〜2.0倍であることが好ま
しい。
【0015】また、上記立体ガード8を形成する上記不
織布としては、通常おむつに用いられるものを特に制限
なく用いることができる。
【0016】而して、図1及び図2に示すように、本実
施形態の使い捨ておむつ1においては、上記背側部Bの
左右両側縁B1,B2に、それぞれフラップ10a,1
0bが連設されている。左右の該フラップ10a,10
bのうちフラップ10aにおける先端部11には、フラ
ップ止着部14が設けられており、該フラップ止着部1
4により、左右の該フラップ10a,10bを着用者の
腹側において止着することができるようになされてい
る。また、上記腹側部Aには、その左右両側におむつ止
着部20,20・・・が設けられており、該おむつ止着
部20,20・・・を、上記フラップ10a,10bの
裏面シート側に当接させて、おむつの止着ができるよう
になされている。
【0017】上記フラップ10a,10bについて更に
詳述すると、図1及び図2に示すように、上記フラップ
10a,10bは、対称的に形成されており、それぞ
れ、基端部12から先端部11にかけて幅が細くなるよ
うになされている。また、上記フラップ止着部14は、
上記フラップ10aの先端部11における表面シート側
に設けられており、上記フラップ10bの裏面シート側
に該フラップ先端部11を当接させることにより、フラ
ップ10a,10bの止着ができるようになされてい
る。また、上記おむつ止着部20,20・・・は、それ
ぞれ上記腹側部Aの左右両側の上下に設けられており、
片側2個ずつ合計4個設けられている。
【0018】そして、図1及び図2に示すように、上記
フラップ10a,10bは、その基端部12側に伸縮部
13を有している。上記伸縮部13について更に詳述す
ると、該伸縮部13は、上記フラップ10a,10bの
フラップ本体15と上記背側部Bの左右両側縁B1,B
2とをそれぞれ連結するように設けられている。上記フ
ラップ10a,10bは、非応力下における該フラップ
10a,10bの長さに対して1.2〜4倍の長さに伸
長可能であることが好ましい。即ち、上記伸縮部13
は、その伸縮により、フラップ全体がフラップ全体の長
さに対して1.2〜4倍の長さとなるような伸縮性能を
有することが好ましい。該伸長可能な長さが1.2倍未
満であると、上記使い捨ておむつ1がその装着時に身体
の動きに追従することができずフィット性向上の効果が
低下し、4倍を超えると、装着する時の操作性が悪くな
るので、好ましくない。ここで、「非応力下」とは、外
力が何もかかっていない状態を意味する。
【0019】上記フラップ本体15の長さL1と上記伸
縮部13の長さL2との比は(図2参照)、L1:L2
=90〜0:10〜100であることが好ましい。従っ
て、L1とL2との比の大小によって、上記フラップ本
体15が上記フラップ止着部14及び上記おむつ止着部
20の被止着部となる場合と、上記伸縮部13が上記フ
ラップ止着部14及び上記おむつ止着部20の被止着部
となる場合とがある。
【0020】次に、上記フラップ止着部14、上記おむ
つ止着部20及び上記フラップ10a,10bの形成材
料について説明する。
【0021】上記フラップ止着部14及び上記おむつ止
着部20は、それぞれ、機械的ファスナーの凸部材によ
り形成されている。該機械的ファスナーの凸部材として
は、基材シート上に錨型のオス型係合部材が多数配され
たものや、基材シート上に釣型のオス型係合部材が多数
配されたもの等を挙げることができる。また、「マジッ
クテープ」(登録商標、クラレ社製)、「クイックロ
ン」(登録商標、YKK社製)、「マジクロス」(登録
商標、カネボウベルタッチ社製)等の市販品を用いるこ
ともできる。
【0022】また、上記フラップ10a,10bにおけ
る上記フラップ本体15は、不織布で形成されており、
上記フラップ止着部14及び上記おむつ止着部20にお
ける上記機械的ファスナーの凸部材に対して係合可能に
なされている。
【0023】上記不織布としては、通常使い捨ておむつ
に用いられるものであれば特に制限無く用いることがで
きる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン
(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リアミド等熱可塑性樹脂の単独樹脂から成形されるフィ
ラメント;鞘芯型や並列型複合フィラメントを用い、通
常の溶融紡糸により、フィラメントを必要に応じて延伸
し、クリンピング処理し、切断した短繊維を熱、接着剤
等で点接着するか、又は水流、針等で交絡させてなる不
織布、即ち、湿式法、乾式法、スパーンレース法又はス
パンボンド法等により形成されてなる不織布などが用い
られる。また、多層フィラメントを成形した後、該多層
フィラメントを外力によって分割した分割フィラメント
からなる不織布を用いることもできる。更に、メルトブ
ローン或いはスパンボンド成形法により直接成形される
不織布を用いることもできる。中でも、高弾性樹脂を芯
にし、低弾性及び/又は低融点樹脂を鞘に用いた鞘芯型
複合フィラメントを用いてなる不織布は、風合い及び弾
力性が良好であり、また生産性、安全性及びコストの点
から好ましい。この際用いられる上記複合フィラメント
としては、芯/鞘が、PET/PE、PP/PE、PE
T/PPである、ポリオレフィン系鞘芯型複合フィラメ
ントが挙げられる。一般に、上記機械的ファスナーの凸
部材に対して良好な係合性を得ようとするならば、嵩の
高い、上記短繊維のサーマルボンド若しくはニードルパ
ンチ不織布、又は繊維自由度が比較的大きいスパンレー
ス不織布を用いることが好ましい。
【0024】また、上記不織布に用いられる上記フィラ
メントは、得られる不織布の柔軟性及び風合いから、そ
の太さが細い程好ましく、特に好ましい太さは3デニー
ル以下であり、下限は特に制限されないが0.1デニー
ル位までである。これ未満であると製造が困難である。
また、上記不織布の坪量は、5〜200g/m2 が好ま
しく、10〜50g/m2 が特に好ましい。また、0.
5g/cm2 加重下の厚さは、15〜700μmが好ま
しく、特に好ましくは30〜400μmである。
【0025】上記フラップ止着部14及び上記おむつ止
着部20は、上記の形成材料(機械的ファスナーの凸部
材)を、それぞれ、フラップ又は腹側部の表面シート側
に接着固定するなどして容易に形成することができ、ま
た、上記フラップ10a,10bは、超音波シール(熱
融着)、接着剤固定等して形成することができる。
【0026】次に、上記伸縮部13について説明する。
上記伸縮部13は、特定の積層シートにより形成され
ている。以下、本発明に用いられる上記の特定の積層シ
ート(以下、単に「積層シート」という)について更
に詳細に説明する。本発明に用いられる上記の特定の積
層シートは、不織布/エラストマーフィルム/不織布の
3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長
可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞ
れの横方向が同一の方向となるように積層されており、
各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の
不織布がエラストマーフィルムを介して互いに同じ接合
点で接合されるように接合固定されてなる積層シートで
あって、上記接合点は特定の面積を有し、上記不織布は
特定の目付を有し、上記エラストマーフィルムは特定の
目付を有し、特定の伸縮特性及び永久歪みを有する。
【0027】本発明において用いられる上記不織布が有
する上記の特定の目付は、一層あたり15g/m2 〜5
0g/m2 であり、好ましくは、20〜30g/m2
ある。上記目付が15g/m2 未満であると、不織布の
風合いが悪くなり、また積層シートの伸び止まり感が低
下する。また、50g/m2 を超えると、横方向への伸
長力が高くなり過ぎる他、コストも高くなる。尚、上記
「伸び止まり感」とは、積層シートを伸長させた際に不
織布が伸長しきった状態で伸張応力が高くなり手ごたえ
が変化する長さを有することをいう。
【0028】本発明において、「伸長可能」とは、10
0%以上の破断伸長を有し、且つ50%伸長時の応力が
150g/25mm以下であることをいう。尚、該応力
は、後述する伸縮特性と同様の条件で、50%伸長させ
た時の応力である。このような特性は、上記不織布とし
てスパンレース不織布、スパンボンド不織布又はヒート
ロール不織布を用いることによって実現される。また、
本発明においては、100%伸長回復率が40%以上で
あること、即ち永久歪みが60%以下であるのがより好
ましい。このような特性は、上記不織布としてスパンボ
ンド不織布又はヒートロール不織布を用いることによっ
て実現される。
【0029】上記不織布としては、上記目付を満足し且
つ少なくとも横方向に伸長可能な不織布であれば特に制
限されないが、下記するものなどが好ましく用いられ
る。尚、ここで「横方向」とは、製造過程における積層
シート(不織布及びエラストマーフィルム)の流れ方向
に対する垂直方向を意味する。本発明において用いられ
る不織布としては、接合点あるいは融着点を有さない不
織布であるために伸長性を発現できるスパンレース不織
布、融着点は有するが各融着点間を捲縮させる等して伸
長あるいは構造変形が可能になされたスパンボンド不織
布やヒートロール不織布等が挙げられる。
【0030】また、上記スパンレース不織布を構成する
繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィンからなるポリオレフィン系繊維;ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポ
リエステルからなるポリエステル系繊維;6ナイロン、
6,6ナイロン、12ナイロン等のナイロン系樹脂から
なるナイロン系繊維;レーヨン、コットン、絹等の繊維
等が用いられ、これらは単独で若しくは2種以上併用し
て用いることができる。また、これらの繊維の繊度は、
1.0〜10デニール(d)とするのが好ましい。ま
た、上記スパンボンド不織布を構成する繊維としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンから
なるポリオレフィン系繊維;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルから
なるポリエステル系繊維;6ナイロン、6,6ナイロ
ン、12ナイロン等のナイロン系樹脂からなるナイロン
系繊維、あるいは上記樹脂から成る芯鞘構造の繊維、サ
イドバイサイド構造の繊維等の複合繊維等が用いられ、
これらは単独で若しくは2種以上併用して用いることが
できる。また、これらの繊維の繊度は、1.0〜10d
とするのが好ましい。また、上記ヒートロール不織布を
構成する繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン
等のポリオレフィンからなるポリオレフィン系繊維;ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等のポリエステルからなるポリエステル系繊維;6ナ
イロン、6,6ナイロン、12ナイロン等のナイロン系
樹脂からなるナイロン系繊維、あるいは上記樹脂から成
る芯鞘、サイドバイサイドの繊維等が用いられ、これら
は単独で若しくは2種以上併用して用いることができ
る。また、これらの繊維の繊度は、1.0〜10dとす
るのが好ましい。また、併用する場合の各繊維の配合割
合は任意である。
【0031】換言すると、本発明において用いられる上
記不織布としては、上記ポリオレフィン系繊維を含む不
織布、上記ポリエステル系繊維を含む不織布、上記ナイ
ロン系繊維を含む不織布、及びレーヨン、コットン、絹
の繊維等からなる不織布等が挙げられる。
【0032】本発明において用いられる上記エラストマ
ーフィルムが有する上記の特定の目付は、10〜100
g/m2 であり、好ましくは、15〜60g/m2 であ
る。上記目付が10g/m2 未満であると、発現する伸
縮物性が低くなり、100g/m2 を超えると、伸長さ
せるために要する力が高くなりすぎる他、コスト高とな
る。
【0033】上記エラストマーフィルムとしては、上記
の目付を有するエラストマーフィルムであり、弾性伸縮
性を有するものであれば特に制限されないが、下記する
熱可塑性エラストマーにより形成されてなるフィルムな
どが好ましく用いられる。公知のメタロセン触媒を用い
て、公知の重合方法に準じて重合されたポリエチレン
(該ポリエチレンは、密度0.90以下であるのが好ま
しく、コモノマーがブテン、ヘキセン、オクテン等の炭
素数3以上のα−オレフィンでその含有率が10mol
%以上、更には、20〜60mol%以上であるのが好
ましい);スチレンーイソプレンースチレン(SI
S)、スチレンーブタジエンースチレン(SBS)、ス
チレンーエチレンーブタジエンースチレン(SEB
S)、スチレンーエチレンープロピレンースチレン(S
EPS)等のスチレン系エラストマー;ハードセグメン
トにウレタン結合を有し、ソフトセグメントにポリエー
テル、ポリエステル、カプロラクトン、ポリカーボネー
ト等を有するウレタン系エラストマー;ハードセグメン
トにエステル結合を有し、ソフトセグメントにポリエス
テル、ポリエーテル等を有するエステル系エラストマ
ー。上記エラストマーフィルムの永久歪み(該エラスト
マーフィルムを100%伸長させて戻した際の永久歪
み)は、30%以下であるのが好ましい。
【0034】尚、本発明においては、上記エラストマー
フィルムに滑剤やアンチプロッキング剤を添加する必要
はないが、エラストマーの成形加工性を向上させるため
に滑剤を添加してもよい。この際の添加量は、従来の積
層シートにおいて用いられていた添加量よりも少なくて
よい。具体的には、エラストマーフィルム全体に対して
750ppm以下とするのが好ましい。上記滑剤として
は、「プラスチックの滑性と滑剤」(日刊工業新聞社、
昭和52年6月30日発行)に記載の滑剤等が挙げら
る。
【0035】本発明においては、上記不織布と上記エラ
ストマーフィルムとの組合せとして、下記の組合せ又
はが好ましい。 上記不織布として、ポリオレフィン系繊維を含有する
不織布を用い、上記エラストマーフィルムとして、上記
のメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン又は
上記スチレン系エラストマーを用いる組合せ。 上記不織布として、ポリエステル系繊維又はナイロン
系繊維を含有する不織布を用い、上記エラストマーフィ
ルムとして、上記スチレン系エラストマー、上記ウレタ
ン系エラストマー又は上記エステル系エラストマーを用
いる組合せ。
【0036】ここで用いられる上記不織布としては、上
述のようにポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊
維、ナイロン系繊維等を含有するものであれば良いが、
特に積層シートにおける復元特性(引っ張った後に外力
を開放した際に初期の状態に戻る戻り方の特性)を良く
するためには、不織布自体が戻りの応力を発現できるタ
イプのもの(即ち、伸縮力を有する不織布)が好ましく
用いられる。このため、一部のスパンボンド不織布やヒ
ートロール不織布にみられるように、捲縮あるいは構造
変形可能な加工を施した不織布は、伸長された後ももと
の形になる力を発現できるため、本発明において好まし
く用いることができる。尚、上記不織布(の構成繊維)
と上記エラストマーフィルムとの組み合わせのうち好ま
しいものを明記するのは、上記の組合せが該エラストマ
ーフィルムを該不織布に熱接着させるために特に好まし
いからである。
【0037】そして、上記積層シートは、不織布/エラ
ストマーフィルム/不織布の3層構造からなり、該不織
布は少なくとも横方向に伸長可能な上記不織布であり、
表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方
向となるように積層されており、各層は、多数の不連続
な接合点により、表面及び裏面の不織布がエラストマー
フィルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように
接合固定されてなる。
【0038】以下、図面を参照して、上記積層シートの
構造について説明する。ここで、図3は上記積層シート
の1形態を拡大して示す拡大斜視図である。図3に示す
形態の上記積層シート101は、表面の不織布102a
及び裏面の不織布102b、並びに両不織布の間に介在
するエラストマーフィルム103が、多数の不連続な点
状の接合点104で、一体に接合されてなる、不織布1
02a/エラストマーフィルム103/不織布102b
の3層構造からなる。また、各層102a,103,1
02bは、それぞれ、各上記接合点104により、表面
及び裏面の不織布102a,102bがエラストマーフ
ィルム103を介して同じ接合点で接合されている。即
ち、各接合点104において、各層102a,103,
102bは一体になされている。そして、表面及び裏面
の上記不織布層102a,102bは、それぞれの横方
向(図3に示す矢印方向D1,D2)が同一方向(矢印
方向D3)となるように積層されている。即ち、各不織
布の伸長可能な方向が同一方向であり積層シート101
が少なくとも横方向(矢印方向D3)には伸縮可能とな
るようになされている。
【0039】上記接合点104の面積の合計(上記の特
定の面積)は、積層シート101全体の面積に対して3
0%以下であり、好ましくは1〜20%である。上記接
合点104の面積の合計が30%を超えると、接合面積
が大きくなりすぎるため積層シートが固定化されて、伸
縮物性が低下する。
【0040】また、多数の上記接合点104は、好まし
くはそれぞれ1mm以上、更に好ましくは1〜10mm
の間隔をあけて配されているのが望ましい。上記接合点
104の間隔が、1mm未満であると、接合面積が大き
くなりすぎて、伸縮物性が低下するので好ましくない。
ここで、上記「間隔」とは、図3のdに示されるよう
に、各接合点104間の最も距離の短い位置における間
隔である。
【0041】また、上記接合点104の大きさは、図3
に示すような点状(ドット状)である場合には、0.1
〜20.0mm2 であるのが好ましく、0.1〜10.
0mm2 であるのが更に好ましく、0.1〜2.0mm
2 であるのが最も好ましい。上記接合点104の大きさ
が、0.1mm2 未満であると、接合力が低く、伸縮に
よって積層シートの各層の剥離を生じやすく、20.0
mm2 を超えると、不織布の伸長可能な領域を固定化さ
せることになるので、積層シートの伸縮性を防げるた
め、好ましくない。
【0042】上記接合点104の形状は、上記の図3に
示す形態には制限されず、例えば、図4に示す積層シー
ト101Aのように、長方形状の接合点104Aが、積
層シート101Aの縦方向(製造時におけるシートの流
れ方向)に沿って配されてなる形状とすることができ
る。また、図5に示す積層シート101Bのように、長
方形状の接合点104Bが、積層シート101Bの縦方
向(製造時におけるシートの流れ方向)に対して斜めの
方向に向けて(左下方に傾けて)配してなる列B 1 ’と
右下方に傾けて配してなる列B2 ’とを交互に配してな
る形状とすることもできる。また、このように接合点の
形状が長方形状である場合には、該接合点の大きさは、
1.0〜3.0mm2 であるのが好ましい。
【0043】上記積層シートは、少なくとも横方向には
伸縮可能なシートである。即ち、少なくとも上記不織布
の伸長可能な方向には伸縮可能となされたシートであ
る。そして、上記積層シートにおける上記の特定の伸縮
特性は、積層シートの横方向に100%伸長時における
伸縮特性が、100g/25mm以上であり、好ましく
は300〜1500g/25mmである。上記伸縮特性
が100g/25mm未満であると、おむつの伸縮基材
として用いるためには、フィット性を得られにくい。こ
こで、上記伸縮特性は、下記の如くして測定できるもの
である。 伸縮特性の測定法;上記積層シートにより幅25mmの
試料を作成し、該試料を積算装置付伸長試験機にチャッ
ク間距離が100mmとなるように固定する。次いで、
固定された試料を300mm/minの速度で100%
延伸し、この際の応力を測定し、これを伸縮特性値とし
た。
【0044】上記積層シートにおける上記の特定の永久
歪みは、積層シートの横方向に100%伸長させて戻し
た際の永久歪みが、30%以下であり、好ましくは20
〜0%である。上記永久歪みが30%を超えると、おむ
つの伸縮基材として用いるためには、フィット性を得ら
れにくい。ここで、上記永久歪みは、下記の如くして測
定できるものである。 永久歪みの測定法;上記積層シートにより幅25mmの
試料を作成し、該試料を積算装置付伸長試験機にチャッ
ク間距離が100mmとなるように無張力で固定し、次
いで、各試料を300mm/minの速度で100%延
伸する。次いで、300mm/minの速度で初期のチ
ャック間距離まで戻した際(即ち、無張力状態とした
際)の試料の長さを測定し、このときの初期長さよりも
伸びて長くなった部分の長さの初期長さの初期のチャッ
ク間距離に対に対する割合(%)を求め、これを永久歪
みとした。
【0045】また、上記積層シートは、その拡幅試験後
の剥離力が、50g/25mm以上であるのが好まし
く、70g/25mm以上であるのが更に好ましく、1
25g/25mm以上であるのが最も好ましい。上記剥
離力が50g/25mm未満であると、積層シートを伸
び縮みさせて使用する際に不織布とエラストマーフィル
ムとが剥離しやすく好ましくない。
【0046】ここで、上記の拡幅試験後の剥離力は、下
記の如くして測定されるものである。即ち、先ず、積層
シートを幅25mm、長さ150mmの長方形状に切断
してサンプルシートを得る。尚、ここで、「幅」方向
は、該積層シートの縦方向に沿った方向であり、「長
さ」方向は、該積層シートの横方向(伸縮方向)に沿っ
た方向である(他の測定法の説明においても同様であ
る)。次いで、得られたサンプルシートを上記長さ方向
に向けて200%伸張・回復させ、その後、ラミ強力を
測定し、その値を上記剥離力とする。尚、上記伸張回復
させる際の条件は、測定機械として「テンシロンRTA
−100」(オリエンテック社製)を用い、チャック間
距離100mm、引張速度300mm/min、戻り速
度300mm/minとした。また、上記ラミ強力の測
定条件は、測定機械として「テンシロンRTA−10
0」(オリエンテック社製)を用い、チャック間距離3
0mm、引張速度300mm/min、戻り速度300
mm/minとし、上記サンプルシートの長さ方向方向
に向けて、エラストマーフィルムと不織布とを剥離させ
る(表面の不織布とエラストマーフィルム及び裏面の不
織布とを剥離させるか、若しくは裏面の不織布とエラス
トマーフィルム及び表面の不織布とを剥離させる)こと
により行った。
【0047】また、上記積層シートは、ノッチが入った
際の破断伸度が、200%以上であるのが好ましく、2
50%以上であるのが更に好ましく、300%以上であ
るのが最も好ましい。また、上記積層シートは、ノッチ
が入った際の破断強度が1300g/40mm以上であ
るのが好ましく、1500g/40mm以上であるのが
更に好ましく、2000g/40mm以上であるのが最
も好ましい。尚、伸度200%とは、初期状態(非応力
下)における長さの3倍の長さにまで伸ばした状態を意
味する。
【0048】ここで、上記破断伸度及び上記破断強度
は、それぞれ下記の如くして測定されるものである。 〔破断伸度及び破断強度の測定法〕先ず、積層シートを
幅40mm×長さ70mmの長方形状に切断してサンプ
ルシートを得る。得られたサンプルシートにノッチを一
つ入れる。ここで、ノッチは、該サンプルシートの長手
方向1端部における幅方向中央に設け、その長さは10
mmとする。そして、ノッチが設けられたサンプルシー
トのノッチが設けられて2つに分割された端部をそれぞ
れ下記測定機械にチャック間距離20mmで把持させ、
次いで下記条件で、該サンプルシートの長さ方向に向け
て引張り、破断したときの伸度及び強度を測定し、これ
らをそれぞれノッチを入れた際の破断伸度及び破断強度
とする。 条件:測定機械;「テンシロンRTA−100」(オリエンテック社製) 引張速度;300mm/min
【0049】尚、上記積層シートの破断伸度は、200
%以上であるのが好ましく、破断強度は、500g/2
5mm以上であるのが好ましく、750g/25mm以
上であるのが更に好ましく、1000g/25mm以上
であるのが最も好ましい。破断伸度及び破断強度は、積
層シートを幅25mm、長さ150mmに切断してサン
プルシートを得、得られたサンプルシートを下記測定機
械にチャック間距離100mmで装着し、引っ張り速度
300mm/1分(往復)で引っ張り、サンプルシート
が破断する際の伸度及び強度を測定し、これらを破断伸
度及び破断強度とした。
【0050】また、上記積層シート全体の厚さは、40
〜120μmとするのが好ましく、50〜90μmとす
るのが更に好ましい。また、上記積層シートの目付は、
60〜120g/m2 とするのが好ましい。
【0051】上記積層シートは、上述の如く構成されて
いるので、伸縮特性に優れ、しかも、ブロッキングを起
こさないものである。
【0052】次いで、上記積層シートの好ましい製造方
法について説明する。上記積層シートは、熱可塑性エラ
ストマーを溶融状態でフィルム状に成形し、得られたフ
ィルム状物を溶融状態のまま横方向に伸長可能な2枚の
不織布間に挟み込んで積層体とし、該積層体を横方向に
不連続なパターンで多数の凸状部が配されてなるエンボ
スロールによりエンボス処理して、各層を接合して一体
化させる積層工程を行うこと(第1の方法)により製造
することができる。
【0053】ここで、上記「横方向」とは、上記フィル
ム状物、上記不織布、上記積層体及び得られる積層シー
トの流れ方向に対して垂直の方向である。上記熱可塑性
エラストマーとしては、上記のエラストマーフィルムの
形成材料として具体的に例示した熱可塑性エラストマー
が用いられる。尚、上記熱可塑性エラストマーは、上記
ブロッキング防止剤又は上記滑剤を実質的に含有しない
のが好ましい。換言すると、本発明においては、このよ
うなブロッキング防止剤及び滑剤を用いなくてもエラス
トマーフィルムがブロッキングすることがない。ここ
で、上記エラストマーフィルムをフィルム単体として取
り扱うためには、かなり多量の滑剤やブロッキング防止
剤としてのフィラーを添加しなければならないが、該フ
ィラーを多量に添加することはエラストマーフィルム自
体の伸縮物性を阻害することになるし、また、滑剤の添
加はホットメルトの接着性を低下させたりする。さら
に、おむつ、ナプキン等の肌に近いところで使用するも
のの部材として用いるには、皮膚刺激性の問題が生じ
る。従って、本発明において、上記「実質的に含有しな
い」とは、エラストマーフィルムの生産性を向上させる
ために、ブロッキングを防止する目的で用いる時の使用
量とは比べものにならないほどの少量のブロッキング防
止剤又は滑剤を用いることは許容する趣旨、換言する
と、ブロッキング防止効果は発現し得ない程度の少量で
用いることは許容する意味である。尚、後述の図7に示
す製造方法(第2の方法)においても、エラストマーフ
ィルムをロール状に巻とらなくてすむため、チルロール
あるいはバックアップロールに巻きとられないレベルの
量で滑剤を用いれば良い。また、チルロール及びバック
アップロールに剥離処理を施せば滑剤の量をさらに低減
できる。上記不織布は、具体的に例示した上記目付を有
する上記不織布である。
【0054】また、上記「熱可塑性エラストマーを溶融
状態でフィルム状に成形する」とは、該熱可塑性エラス
トマーをその融点以上の温度でフィルム状に成形するこ
とを意味する。また、上記「フィルム状物を溶融状態の
まま」とは、該フィルム状物を構成する該熱可塑性エラ
ストマーをその凝固点以上の温度を維持したまま後の工
程に供することを意味する。即ち、溶融状態の熱可塑性
エラストマーは、熱源(Tダイ)からはなれて押し出さ
れた後、自然(環境温度に対して)的に冷却されていく
ので、この冷却過程の熱可塑性エラストマーを不織布に
挟み込む工程を有することを意味する。
【0055】また、上記エンボスロールとしては、上記
のパターンで上記凸状部が配されてなるロールであれ
ば、その形成材料などは特に制限されないが、金属(例
えば、スチール)ロール面に種々のパターンを彫刻等に
より凹凸をつけたロールを用いることができる。また、
上記凸状部の形状は特に制限されず、所望の上記接合部
の形状に即した形状、即ち、点状(ドット状)、長方形
状等とすることができる。また、多数の上記凸状部は、
それぞれ1mm以上の間隔をあけて配されているのが好
ましく、1〜10mmの間隔をあけて配されているのが
更に好ましい。また、該凸状部の高さは、0.2mm以
上であるのが好ましく、0.3〜1.5mmであるのが
更に好ましい。
【0056】また、上記エンボス処理は、Tダイによる
チルロールに該当するロールにエンボス処理を処してあ
れば(即ち、該チルロールをエンボスロールとして用い
れば)その条件は特に制限されず、溶融したエラストマ
ーを冷却できれば良い。従って、エンボス処理は、その
温度を0〜50℃とし、圧力を0.1〜20kg/cm
2 とするのが好ましい。また、この際のバックアップロ
ール(押し付けロール)は、チルロールに形成されたパ
ターンにめり込むほど柔らかいものは避けるべきであ
る。該バックアップロールの材質は、金属、樹脂、及び
シリコーンの何れでも用いられるが、チルロールに形成
されたパターンにめり込むほど柔かくない範囲で硬度を
選定する必要がある。
【0057】また、バックアップロールとして比較的柔
らかい材料を用いた場合、例えばショアーD硬度で20
くらいのラバーロールを用いた場合、チルロールに押し
つける際の圧力を低くすべきであろうし、逆にショアー
D硬度で80くらいのエポキシ樹脂ロールを用いた場
合、ある程度押しつけ圧を上げることが可能である。加
えて、この押しつけ圧とバックアップロールへのパター
ンのめり込みとは、製造される積層シートの伸縮性に大
きな影響を与えるものである。即ち、柔軟なバックアッ
プロールを用いることにより、めり込みが少ないように
すると押しつけ圧を低くする必要があるため、積層シー
トの接合力が低下する。逆に接合力を上げるために押し
つけ圧を上げると、不織布への熱可塑性エラストマー樹
脂のしみ込みが多くなり良好な伸縮物性が得られにく
い。このため、積層シートの接合力と伸縮物性とを同時
に向上させるには、ある程度の硬度を有したバックアッ
プロールを用いる方が製造が容易になり、ショアーD硬
度で40以上のバックアップロールを用いると、比較的
安定した製造が可能である。また、上記積層シートはエ
ンボスの面積率が比較的低いため、特にバックアップロ
ールとエンボスの面積率及び深さとを適宜選定する必要
がある。また、エンボスロールは金属で作られているた
めバックアップロールは摩耗しないような材料を用いる
ことが良い。
【0058】以下、更に図6を参照して、上記製造方法
(第1の方法)の1形態について詳述する。ここで、図
6は本発明の製造方法の要部を示す概略図である。図6
に示すように、上記積層シートの製造方法は、Tダイ1
11から熱可塑性エラストマーを溶融状態(該熱可塑性
エラストマーの軟化点以上の温度)でフィルム状に押出
成形して連続したフィルム状物103’を得る。得られ
たフィルム状物103’を、溶融状態のまま連続した不
織布102,102間に挟み込んで積層体1’を製造す
る。この際、各不織布102,102間に挟み込むと同
時にエンボスロール112によりエンボス処理を行う。
該エンボスロール112には、その表面に、多数のドッ
ト状の凸状部112aが形成されている。また、エンボ
ス処理は、上記積層体101’を該エンボスロールとバ
ックアップロール113,114とで加圧・狭持するこ
とにより行う。該バックアップロール113,114と
しては、金属、樹脂、シリコーン等からなるロールを用
いることができる。そして、エンボス処理されて、各層
が接合されて一体化されてなる積層シート101は、引
き取りロール115により引き取られ、巻き取りロール
116に巻き取られる。
【0059】尚、上記製造方法において、上記積層工程
以外の工程は、通常の積層シートの製造方法と同様に行
うことができる。
【0060】次いで、上記積層シートの好ましい他の製
造方法について説明する。尚、用語の説明等、特に詳述
しない点については、上記の第1の方法でした説明が適
宜適用される。
【0061】上記積層シートは、熱可塑性エラストマー
を溶融状態でフィルム状に成形し、得られたフィルム状
物を冷却した後、横方向に伸長可能な2枚の不織布間に
挟み込んで積層体とし、該積層体を横方向に不連続なパ
ターンで多数の凸状部が配されてなる加熱エンボスロー
ルにより熱エンボス処理して、各層を接合して一体化さ
せる積層工程を行うこと(第2の方法)により製造する
ことができる。
【0062】ここで、上記の「冷却」は、通常のフィル
ムの成形法と同様に、チルロールを用いて行う。この際
のチルロールの温度は、0〜50℃とするのが好まし
い。また、上記熱エンボス処理の条件は、加熱エンボス
ロールの温度を好ましくは50〜200℃、更に好まし
くは50〜150℃とし、加圧圧力を1〜20kg/c
2 とするのが望ましい。
【0063】以下、更に図7を参照して、上記製造方法
(第2の方法)の1形態について詳述する。ここで、図
7は上記積層シートの製造方法の要部を示す概略図であ
る。
【0064】図7に示すように、上記積層シートの製造
方法は、Tダイ111から熱可塑性エラストマーを溶融
状態(該熱可塑性エラストマーの軟化点以上の温度)で
フィルム状に押出成形して連続したフィルム状物10
3’を得る。得られたフィルム状物103’を、チルロ
ール120、押さえロール113’,114’間に通し
て冷却する。冷却されたフィルム状物103”を連続し
た不織布102,102間に挟み込んで積層体101’
を製造する。
【0065】次いで、上記積層体101’を加熱エンボ
スロール112’にかけて熱エンボス処理を行う。該加
熱エンボスロール112’には、その表面に、多数のド
ット状の凸状部112aが形成されている。また、熱エ
ンボス処理は、上記積層体101’を該加熱エンボスロ
ール112’とバックアップロール113とで加圧・狭
持することにより行う。該バックアップロール113と
しては、金属、樹脂、シリコーン等からなるロールを用
いることができる。そして、熱エンボス処理されて、各
層が接合されて一体化されてなる積層シート101は、
引き取りロール115により引き取られ、巻き取りロー
ル116に巻き取られる。
【0066】次に、図1に示す実施形態の使い捨ておむ
つ1の装着方法について図8を参照して説明する。ここ
で、図8は、図1に示す実施形態の使い捨ておむつの使
用形態を示す図であり、図8(a)は、フラップ止着部
を止着する際の状態を示す正面図であり、図8(b)
は、おむつ止着部を止着する際の状態を示す正面図であ
る。本実施形態の使い捨ておむつ1を着用するには、先
ず、図8(a)に示すように、着用者30の背側の腰部
に上記背側部を当接させた後、上記フラップ10a,1
0bを着用者30の腰部に沿って腹側にもってくる。次
いで、図8(a)中の矢印で示すように、上記フラップ
10b上に上記フラップ10aが重なるようにし、上記
フラップ10aの先端部における上記フラップ止着部1
4を上記フラップ10bの裏面シート側に係合させて止
着する。次いで、上記腹側部を着用者30の股間に沿っ
て腹側に引き上げ、図8(b)に示すように、上記おむ
つ止着部20を、上記フラップ10a,10bの裏面シ
ート側に係合させて止着することにより、使い捨ておむ
つ1を着用して使用に供することができる。また、着用
者が乳幼児の場合、背後にまわり込んでおむつをつける
方がやりやすいこともある。その場合、フラップを背部
にて係合させ股間に沿って背側へ引き上げて止着させて
も良い。
【0067】本実施形態の使い捨ておむつ1は、上述の
ような構成を有しているので、装着時における操作性に
優れ、また、フィット性にも優れる。特に上記伸縮部1
3を有しているので、着用者の動きに上記フラップ10
が追従するので、特にフィット性が良好である。とりわ
け、上記伸縮部13を上記の特定の積層シートで形成し
ているので、伸縮特性に優れ、また積層シートの製造中
にブロッキングを起こすことがなく、更に着用中に着用
者の肌を刺激することもないものである。更に、上記止
着部14の上記フラップ10に対する結合力が、上記伸
縮部13の伸縮性により向上するので、止着性にも優れ
る。
【0068】以上、本発明の使い捨ておむつをその好ま
しい実施形態に基づき説明したが、本発明の使い捨てお
むつは上記実施形態に制限されるものではなく、種々の
変更形態が可能である。例えば、上記実施形態において
は、上記フラップ10はその基端部12側に上記伸縮部
13を有しているが、これに代えて図9に示すように、
上記フラップ10全体が上記伸縮部13、即ち、上記積
層シートから成っていてもよい。また、上記ウエストギ
ャザー5aは、設けなくてもよい。即ち、本発明の使い
捨ておむつ1は上記伸縮部13の作用により着用者の動
きに良好に追従するので、特に上記ウエストギャザー5
aを設けずとも十分にフィット性の高いものである。ま
た、上記フラップを上記腹側部Aの左右両側縁に設けて
該フラップ10を背側において止着するようにし、更に
上記おむつ止着部20を上記背側部Bに設けてもよい。
【0069】
【発明の効果】本発明の使い捨ておむつは、装着時の操
作性に優れ、且つ装着中におけるフィット性に優れたも
のである。また、本発明の使い捨ておむつは、上記伸縮
部として用いる上記積層シートが布様の感触を有するこ
とにより、快適な装着感を有するものであると共に、着
用者の肌を刺激することがないものである。特に、本発
明の使い捨ておむつは、立ったままはかせる使い捨てお
むつとしても好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつの好ましい一
実施形態を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す実施形態の使い捨ておむつ
の展開図である。
【図3】図3は、本発明に用いられる積層シートの1形
態を拡大して示す拡大斜視図である。
【図4】図4は、本発明に用いられる積層シートの他の
形態を拡大して示す拡大斜視図である。
【図5】図5は、本発明に用いられる積層シートの他の
形態を拡大して示す拡大斜視図である。
【図6】図6は、本発明に用いられる積層シートの製造
方法の要部を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明に用いられる積層シートの製造
方法の要部を示す概略図である。
【図8】図8は、図1に示す実施形態の使い捨ておむつ
の使用形態を示す図であり、図8(a)は、フラップ止
着部を止着する際の状態を示す正面図であり、図8
(b)は、おむつ止着部を止着する際の状態を示す正面
図である。
【図9】図9は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形
態を示す展開図(図2相当図)である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ 2 表面シート 3 裏面シート 4 吸収体 5 ウエスト部 6 レッグ部 7a ウエスト部弾性伸縮部材 7b レッグ部弾性伸縮部材 7c 立体ガード弾性伸縮部材 8 立体ガード 9 自由端 10a フラップ 10b フラップ 11 先端部 12 基端部 13 伸縮部 14 フラップ止着部 15 フラップ本体 20 おむつ止着部 A 腹側部 B 背側部 101 積層シート 102a 表面の不織布 102b 裏面の不織布 103 エラストマーフィルム 104 接合点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61F 13/49 A61F 5/44 A61F 13/56 B32B 5/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液透過性の表面シート、液不透過性の裏
    面シート、及びこれら両シート間に介在する液保持性の
    吸収体を有し、使用時に着用者の腹側に位置する腹側部
    及び背中側に位置する背側部が形成されている、展開型
    の使い捨ておむつにおいて、 上記背側部あるいは腹側部の左右両側縁には、それぞれ
    フラップが連設されており、左右の該フラップの少なく
    とも何れか一方における先端部には、フラップ止着部が
    設けられており、該フラップ止着部により、左右の該フ
    ラップを着用者の腹側あるいは背側において止着するこ
    とができるようになしてあり、 上記腹側部あるいは背側部には、その左右両側におむつ
    止着部が設けられており、該おむつ止着部を上記フラッ
    プの裏面シート側に当接させておむつの止着ができるよ
    うになしてあり、 上記フラップは、少なくともその基端部側に伸縮部を有
    し、 上記伸縮部は、下記積層シートからなることを特徴と
    する使い捨ておむつ。 積層シート;不織布/エラストマーフィルム/不織布
    の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸
    長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それ
    ぞれの横方向が同一の方向となるように積層されてお
    り、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏
    面の不織布がエラストマーフィルムを介して互いに同じ
    接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シー
    トであって、 上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対
    して30%以下であり、 100%伸長時における伸縮特性が、100g/25m
    m以上であり、 100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下
    であり、 上記不織布の目付は、1層あたり15g/m2 〜50g
    /m2 であり、 上記エラストマーフィルムの目付けは、10〜100g
    /m2 である積層シート。
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