JP2019118376A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】打撃耐久性に優れたゴルフボールを提供する。【解決手段】ゴルフボールは、球状コアと、前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有し、前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物、(d)架橋開始剤、および、(e)金属化合物を含有するコア用ゴム組成物から形成されており、前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(b)共架橋剤および(e)金属化合物に含まれる2価の金属イオンとのモル比(2価金属イオン/(b1)成分)が、0.60〜2.00であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴルフボールに関する。
従来、ゴム組成物から形成された球状コアと、この球状コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールが提案されている。ゴルフボールは、通常、繰り返し使用される。そのため、ゴルフボールには、打撃に対する耐久性が求められる。ゴルフボールの打撃耐久性を向上させる方法として、コアを構成するゴム組成物に多官能化合物を配合することが提案されている。
例えば、特許文献1には、ポリブタジエンを基材とし、これに対して重合架橋性モノマーとして多官能不飽和エステルと不飽和カルボン酸との混合物を添加配合し、重合架橋性モノマーの配合量をポリブタジエン100重量部に対し20〜35重量部としたゴルフボール配合物が記載されている(特許文献1(請求項1、表1、2)参照)。
また、特許文献2には、ポリブタジエンゴム100重量部、アクリル酸またはメタクリル酸15〜25重量部、アクリル酸またはメタクリル酸のエステル1〜15重量部、酸化亜鉛20〜70重量部、および有機過酸化物1〜6重量部を含有する組成物を直径36.5mm〜39.0mmに加熱架橋して成形したソリッドコアに、アイオノマー樹脂100重量部、アクリル酸またはメタクリル酸の金属塩0.5〜10重量部、着色剤1〜5重量部を含有する組成物を厚さ1.8mm〜2.3mmに被覆してなるゴルフボールが記載されている(特許文献2(請求項1、表1)参照)。
また、特許文献3には、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、および(d)硬化剤内包マイクロカプセルを含有するゴム組成物から形成された球形体であって、表面硬度と中心硬度との硬度差が、JIS−C硬度で26以上であり、表面硬度と表面から10mmの地点の硬度との硬度差が、JIS−C硬度で15以上である球形体をゴルフボールの構成要素として有するゴルフボールが記載されている(特許文献3(請求項1、表1、2)参照)。
特開昭57−25337号公報 特開昭58−118775号公報 特開2012−139414号公報
本発明は、打撃耐久性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明のゴルフボールは、球状コアと、前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有し、前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物、(d)架橋開始剤、および、(e)金属化合物を含有するコア用ゴム組成物から形成されており、前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(b)共架橋剤および(e)金属化合物に含まれる2価の金属イオンとのモル比(2価金属イオン/(b1)成分)が、0.60〜2.00であることを特徴とする。
本発明では、球状コアを構成するゴム組成物中のモル比(2価金属イオン/(b1)成分)を制御することで、反発性を維持しつつ打撃耐久性を向上させることが出来る。
本発明によれば、打撃耐久性に優れたゴルフボールが得られる。
本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。
本発明のゴルフボールは、球状コアと、前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有し、前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物、(d)架橋開始剤、および、(e)金属化合物を含有するコア用ゴム組成物から形成されており、前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(b)共架橋剤および(e)金属化合物に含まれる2価の金属イオンとのモル比(2価金属イオン/(b1)成分)が、0.60〜2.00であることを特徴とする。
本発明では、球状コアを構成するゴム組成物中のモル比(2価金属イオン/(b1)成分)を制御することで、反発性を維持しつつ打撃耐久性を向上させることが出来る。
(a)基材ゴム
前記(a)基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス−1,4−結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。前記(a)基材ゴム中のハイシスポリブタジエンの含有量は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2−ビニル結合の含有量が2.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2−ビニル結合の含有量が多すぎると反発性が低下する場合がある。
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下するおそれがある。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC−8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは80以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
前記ゴム組成物は、前記(a)基材ゴムとして、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が異なるハイシスポリブタジエンを少なくとも2種含有することが好ましく、2種含有することがより好ましい。2種のハイシスポリブタジエンを含有する場合、第一ハイシスポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4(100℃))が50未満であり、第二ハイシスポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4(100℃))が50以上であることが好ましい。
前記第一ハイシスポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4(100℃))は、30以上が好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上であり、50未満が好ましく、より好ましくは49以下、さらに好ましくは48以下である。前記第二ハイシスポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4(100℃))は、50以上が好ましく、より好ましくは52以上、さらに好ましくは54以上であり、100以下が好ましく、より好ましくは90以下、さらに好ましくは80以下、最も好ましくは70以下である。
前記(a)基材ゴム中の第一ハイシスポリブタジエンと第二ハイシスポリブタジエンとの質量比(第一ハイシスポリブタジエン/第二ハイシスポリブタジエン)は、0.3以上が好ましく、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.7以上であり、3.0以下が好ましく、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。
前記ゴム組成物は、前記(a)基材ゴムとして、ポリブタジエンゴムおよびポリイソプレンゴムを含有することも好ましい。前記ポリイソプレンゴムのムーニー粘度(ML1+4(100℃))は、55以上が好ましく、より好ましくは60以上、さらに好ましくは65以上であり、120以下が好ましく、より好ましくは110以下、さらに好ましくは100以下である。
前記(a)基材ゴム中のポリブタジエンゴムとポリイソプレンゴムとの質量比(ポリブタジエンゴム/ポリイソプレンゴム)は、1以上が好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは4以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。
(b)共架橋剤
前記(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、共架橋剤として、ゴム組成物に配合されるものであり、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有する。ゴム組成物中で炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を金属化合物で中和することにより、共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を使用する場合と実質的に同様の効果が得られる。
炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等を挙げることができる。
炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記金属成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記金属成分としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属が好ましい。炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の2価の金属塩を用いることにより、ゴム分子間に金属架橋が生じやすくなるからである。特に、2価の金属塩としては、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の亜鉛塩が好ましく、より好ましくはアクリル酸亜鉛である。なお、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、25質量部以上がさらに好ましく、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量が15質量部未満では、ゴム組成物から成形される部材を適当な硬さとするために、後述する(d)架橋開始剤の量を増加しなければならず、ゴルフボールの反発性が低下する傾向がある。一方、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量が50質量部を超えると、ゴム組成物から成形される部材が硬くなりすぎて、ゴルフボールの打球感が低下するおそれがある。
(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物
前記(c)架橋性化合物が有する重合性不飽和結合としては、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合が挙げられ、炭素−炭素二重結合が好ましい。前記(c)架橋性化合物が分子中に有する重合性不飽和結合の個数は、2個以上であり、6個以下が好ましく、より好ましくは4個以下である。前記(c)架橋性化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、(c)架橋性化合物には、前記(b)共架橋剤として使用される炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸およびその金属塩は含まない。
前記(c)架橋性化合物の分子量は、100以上が好ましく、より好ましくは130以上、さらに好ましくは150以上であり、500以下が好ましく、より好ましくは450以下、さらに好ましくは400以下である。
前記(c)架橋性化合物としては、分子内にビニル基を2個以上有する架橋性化合物が好ましく、分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性化合物がより好ましい。なお、「(メタ)アクリロイル基」は、「アクリロイル基および/またはメタクリロイル基」を表す。
前記分子内にビニル基を2個以上有する架橋性化合物としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、トリビニルアントラセン、ジビニルシクロヘキサン、トリビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。
前記分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性化合物としては、例えば、2価〜6価のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を表す。前記2価〜6価のアルコールとしては、炭素数2〜20のアルカンポリオールが挙げられ、炭素数2〜20のアルカンジオール、炭素数2〜20のアルカントリオールが好ましい。
前記分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリート、ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレートなどの分子内に(メタ)アクリロイル基を2個有する架橋性化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの分子内に(メタ)アクリロイル基を3個有する架橋性化合物などが挙げられる。これらの中でも前記(c)架橋性化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記(c)架橋性化合物の熱による単独重合温度(Tc)は、120℃以上が好ましく、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは140℃以上である。前記(c)架橋性化合物の熱による単独重合温度(Tc)が120℃以上であればコア成型時に架橋性化合物のみによる単独重合を抑制でき、ゴルフボール性能への悪影響を低減できる。前記(c)架橋性化合物の熱による単独重合温度の上限は特に限定されないが、300℃程度である。なお、配合材料として2種以上の(c)成分を使用する場合、全ての(c)成分が上記範囲を満たすことが好ましい。
前記(c)架橋性化合物の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であって、39質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。前記(c)架橋性化合物の配合量が2質量部以上であればゴルフボールの打撃耐久性がより向上し、39質量部以下であればゴルフボールの反発性の低下を抑制できる。
(d)架橋開始剤
前記(d)架橋開始剤は、(a)基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。(d)架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。前記有機過酸化物は、具体的には、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。ジアルキルパーオキサイドとしては、例えば、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(175.4℃)、ジクミルパーオキサイド(175.2℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(179.8℃)、t−ブチルクミルペルオキシ(173.3℃)、ジ−t−ヘキシルペルオキシ(176.7℃)、ジ−t−ブチルペルオキシ(185.9℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(194.3℃)などが挙げられる。パーオキシエステルとしては、例えば、t−ブチルペルオキシマレエート(167.5℃)、t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノエート(166.0℃)、t−ブチルペルオキシラウレート(159.4℃)、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(158.8℃)、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート(160.3℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン(158.2℃)、t−ブチルペルオキシアセテート(159.9℃)、t−ブチルペルオキシベンゾエート(166.8℃)などが挙げられる。パーオキシケタールとしては、例えば、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(147.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン(149.2℃)、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン(142.1℃)、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(153.8℃)、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン(159.9℃)、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート(172.5℃)、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキシル)プロパン(153.8℃)などが挙げられる。ハイドロパーオキサイドとしては、例えば、p−メンタンハイドロパーオキサイド(199.5℃)、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(232.5℃)などが挙げられる。上記有機過酸化物の化合物名の後の括弧内に記載した数値は、これらの1分間半減期温度である。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記有機過酸化物を2種以上併用する場合、使用される有機過酸化物の1分間半減期温度の最大値と最小値との差は25℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以下である。
前記(d)架橋開始剤の1分間半減期温度(Td)は、160℃未満が好ましく、より好ましくは158℃以下、さらに好ましくは155℃以下である。(d)架橋開始剤の1分間半減期温度が160℃未満であれば球状コアの成型温度を低く設定でき、基材ゴムの劣化を抑制できる。前記(d)架橋開始剤の1分間半減期温度は、100℃以上が好ましく、より好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上である。(d)架橋開始剤の1分間半減期温度が100℃以上であればゴム組成物を調製する際に、(d)架橋開始剤が分解することを抑制できる。なお、配合材料として2種以上の(d)成分を使用する場合、全ての(d)成分が上記範囲を満たすことが好ましい。
前記(d)架橋開始剤の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.5質量部以下、さらに好ましくは2.0質量部以下である。0.1質量部未満では、ゴム組成物から成形される部材が柔らかくなりすぎて、ゴルフボールの反発性が低下する傾向があり、5.0質量部を超えると、ゴム組成物から成形される部材を適切な硬さにするために、前述した(b)共架橋剤の使用量を減少する必要があり、ゴルフボールの反発性が不足したり、耐久性が悪くなるおそれがある。
(e)金属化合物
前記(e)金属化合物としては、ゴム組成物中において(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を中和することができるものであれば、特に限定されない。前記(e)金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。前記(e)金属化合物として好ましいのは、2価金属化合物であり、より好ましくは亜鉛化合物である。2価金属化合物は、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸と反応して、金属架橋を形成するからである。また、亜鉛化合物を用いることにより、反発性の高いゴルフボールが得られる。(e)金属化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。(e)金属化合物の含有量は、所望とする(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の中和度に応じて、適宜調整すればよい。
前記(e)金属化合物の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であって、40質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。1質量部以上であれば、ゴルフボールの反発性がより良好となり、40質量部以下であればゴルフボールの打撃耐久性の低下を抑制できる。
(f)有機硫黄化合物
前記コア用ゴム組成物には、さらに(f)有機硫黄化合物を配合してもよい。前記ゴム組成物が(f)有機硫黄化合物を含有することにより、球状コアの反発性がより向上する。前記(f)有機硫黄化合物は、単独もしくは二種以上を混合して使用することができる。
前記(f)有機硫黄化合物としては、分子内に硫黄原子を有する有機化合物であれば、特に限定されず、例えば、チオール基(−SH)、または、硫黄数が2〜4のポリスルフィド結合(−S−S−、−S−S−S−、または、−S−S−S−S−)を有する有機化合物、あるいはこれらの金属塩(−SM、−S−M−S−、−S−M−S−S−,−S−S−M−S−S−,−S−M−S−S−S−など、Mは金属原子)を挙げることができる。金属塩としては、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、銅(I)、銀(I)などの1価の金属塩、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン(II)、マンガン(II)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、ジルコニウム(II)、スズ(II)等の2価の金属塩が挙げられる。また、(f)有機硫黄化合物は、脂肪族化合物(脂肪族チオール、脂肪族チオカルボン酸、脂肪族ジチオカルボン酸、脂肪族ポリスルフィドなど)、複素環式化合物、脂環式化合物(脂環式チオール、脂環式チオカルボン酸、脂環式ジチオカルボン酸、脂環式ポリスルフィドなど)、および、芳香族化合物のいずれであってもよい。
前記(f)有機硫黄化合物としては、例えば、チオール類(チオフェノール類、チオナフトール類)、ポリスルフィド類、チウラム類、チオカルボン酸類、ジチオカルボン酸類、スルフェンアミド類、ジチオカルバミン酸塩類、チアゾール類などを挙げることができる。
チオール類としては、例えば、チオフェノール類、チオナフトール類が挙げられる。前記チオフェノール類としては、例えば、チオフェノール;4−フルオロチオフェノール、2,5−ジフルオロチオフェノール、2,6−ジフルオロチオフェノール、2,4,5−トリフルオロチオフェノール、2,4,5,6−テトラフルオロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノールなどのフルオロ基で置換されたチオフェノール類;2−クロロチオフェノール、4−クロロチオフェノール、2,4−ジクロロチオフェノール、2,5−ジクロロチオフェノール、2,6−ジクロロチオフェノール、2,4,5−トリクロロチオフェノール、2,4,5,6−テトラクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールなどのクロロ基で置換されたチオフェノール類;4−ブロモチオフェノール、2,5−ジブロモチオフェノール、2,6−ジブロモチオフェノール、2,4,5−トリブロモチオフェノール、2,4,5,6−テトラブロモチオフェノール、ペンタブロモチオフェノールなどのブロモ基で置換されたチオフェノール類;4−ヨードチオフェノール、2,5−ジヨードチオフェノール、2,6−ジヨードチオフェノール、2,4,5−トリヨードチオフェノール、2,4,5,6−テトラヨードチオフェノール、ペンタヨードチオフェノールなどのヨード基で置換されたチオフェノール類;または、これらの金属塩が挙げられる。金属塩としては、亜鉛塩が好ましい。
前記チオナフトール類(ナフタレンチオール類)としては、2−チオナフトール、1−チオナフトール、1−クロロ−2−チオナフトール、2−クロロ−1−チオナフトール、1−ブロモ−2−チオナフトール、2−ブロモ−1−チオナフトール、1−フルオロ−2−チオナフトール、2−フルオロ−1−チオナフトール、1−シアノ−2−チオナフトール、2−シアノ−1−チオナフトール、1−アセチル−2−チオナフトール、2−アセチル−1−チオナフトール、またはこれらの金属塩を挙げることができ、2−チオナフトール、1−チオナフトール、またはこれらの金属塩が好ましい。金属塩としては、好ましくは2価の金属塩、より好ましくは亜鉛塩である。金属塩の具体的としては、例えば、1−チオナフトールの亜鉛塩、2−チオナフトールの亜鉛塩が挙げられる。
ポリスルフィド類とは、ポリスルフィド結合を有する有機硫黄化合物であり、例えば、ジスルフィド類、トリスルフィド類、テトラスルフィド類が挙げられる。前記ポリスルフィド類としては、ジフェニルポリスルフィド類が好ましい。
ジフェニルポリスルフィド類としては、ジフェニルジスルフィドの他;ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6−テトラフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6−テトラブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6−テトラヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタヨードフェニル)ジスルフィド等のハロゲン基で置換されたジフェニルジスルフィド類;ビス(4−メチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリ−t−ブチルフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタ−t−ブチルフェニル)ジスルフィド等のアルキル基で置換されたジフェニルジスルフィド類;などが挙げられる。
チウラム類としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラムモノスルフィド類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラムテトラスルフィド類が挙げられる。チオカルボン酸類としては、例えば、ナフタレンチオカルボン酸が挙げられる。ジチオカルボン酸類としては、例えば、ナフタレンジチオカルボン酸が挙げられる。スルフェンアミド類としては、例えば、N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドが挙げられる。
(f)有機硫黄化合物としては、チオフェノール類および/またはその金属塩、チオナフトール類および/またはその金属塩、ジフェニルジスルフィド類、チウラムジスルフィド類が好ましく、より好ましくは2,4−ジクロロチオフェノール、2,6−ジフルオロチオフェノール、2,6−ジクロロチオフェノール、2,6−ジブロモチオフェノール、2,6−ジヨードチオフェノール、2,4,5−トリクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノール、1−チオナフトール、2−チオナフトール、ジフェニルジスルフィド、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドである。
(f)有機硫黄化合物の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.0質量部以下である。0.05質量部未満では、(f)有機硫黄化合物を添加した効果が得られず、ゴルフボールの反発性が向上しないおそれがある。また、5.0質量部を超えると、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなって、反発性が低下するおそれがある。
(g)カルボン酸および/またはその金属塩
前記コア用ゴム組成物には、さらに(g)カルボン酸および/またはその金属塩を配合してもよい。なお、(g)カルボン酸および/またはその塩には、前記(b)共架橋剤として使用する炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸およびその金属塩は含まない。前記(g)カルボン酸および/またはその塩としては、飽和脂肪酸、飽和脂肪酸金属塩、芳香族カルボン酸および芳香族カルボン酸金属塩が挙げられる。前記(g)カルボン酸および/またはその金属塩は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
前記飽和脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸などが挙げられる。
前記芳香族カルボン酸としては、安息香酸、ブチル安息香酸、アニス酸(メトキシ安息香酸)、ジメトキシ安息香酸、トリメトキシ安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸、クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、トリクロロ安息香酸、アセトキシ安息香酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸などが挙げられる。
前記(g)カルボン酸金属塩のカチオン成分としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀などの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、マンガンなどの2価の金属イオン;アルミニウム、鉄などの3価の金属イオン;錫、ジルコニウム、チタンなどのその他のイオンが挙げられる。前記カチオン成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
コア用ゴム組成物
前記コア用ゴム組成物中の前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(b)共架橋剤および(e)金属化合物に含まれる2価の金属イオンとのモル比(2価金属イオン/(b1)成分)は、0.60以上が好ましく、より好ましくは0.63以上、さらに好ましくは0.65以上であり、2.00以下が好ましく、より好ましくは1.95以下、さらに好ましくは1.90以下、特に好ましくは1.00以下である。前記モル比が0.60以上であれば高反発性を維持しつつ打撃耐久性を向上でき、2.00以下であれば高反発性を維持しつつ打撃耐久性を向上できる。前記コア用ゴム組成物が(g)カルボン酸および/またはその金属塩を含有する場合には、前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(b)共架橋剤、(e)金属化合物および(g)カルボン酸および/またはその金属塩に含まれる2価の金属イオンとのモル比(2価金属イオン/(b1)成分)が上記範囲内であることが好ましい。
前記コア用ゴム組成物は、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の亜鉛塩、(e)金属化合物として亜鉛化合物を含有することが好ましい。この場合、前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(b)共架橋剤および(e)金属化合物に含まれる亜鉛イオンとのモル比(亜鉛イオン/(b1)成分)は、0.60以上が好ましく、より好ましくは0.63以上、さらに好ましくは0.65以上であり、2.00以下が好ましく、より好ましくは1.95以下、さらに好ましくは1.90以下、特に好ましくは1.00以下である。前記コア用ゴム組成物が(g)カルボン酸および/またはその金属塩としてカルボン酸亜鉛塩を含有する場合には、前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(b)共架橋剤、(e)金属化合物および(g)カルボン酸および/またはその金属塩に含まれる亜鉛イオンとのモル比(亜鉛イオン/(b1)成分)が上記範囲内であることが好ましい。
前記コア用ゴム組成物中の前記(b)共架橋剤、(e)金属化合物および(g)カルボン酸および/またはその金属塩に含まれる2価の金属イオンの総量は、前記(a)基材ゴム100質量部に対して0.15mol以上が好ましく、より好ましくは0.16mol以上、さらに好ましくは0.17mol以上であり、2.2mol以下が好ましく、より好ましくは2.1mol以下、さらに好ましくは2.0mol以下、特に好ましくは0.5mol以下である。
前記コア用ゴム組成物中の前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物との合計含有量は、前記(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、より好ましくは16質量部以上、さらに好ましくは19質量部以上であり、60質量部以下が好ましく、より好ましくは58質量部以下、さらに好ましくは56質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。合計含有量が15質量部以上であればゴルフボールの反発性と打撃耐久性を両立でき、60質量部以下であれば打撃耐久性がより良好となる。
前記コア用ゴム組成物中の前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物との質量比((b1)成分/(c)成分)は、0.40以上が好ましく、より好ましくは0.45以上、さらに好ましくは0.50以上であり、26.0以下が好ましく、より好ましくは24.0以下、さらに好ましくは22.0以下、特に好ましくは15.0以下である。前記質量比((b1)成分/(c)成分)が0.40以上であればゴルフボールの反発性と打撃耐久性を両立でき、26.0以下であれば打撃耐久性がより良好となる。
前記コア用ゴム組成物中の前記(c)架橋性化合物の熱による単独重合温度(Tc)と(d)架橋開始剤の1分間半減期温度(Td)との温度差(Td−Tc)は、30℃以下が好ましく、より好ましくは25℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。前記温度差(Td−Tc)が30℃以下であれば、コア成型時における(c)架橋性化合物の熱による単独重合を抑制でき、得られる球状コアの打撃耐久性をより向上できる。前記温度差(Td−Tc)の下限は特に限定されないが、−140℃程度である。なお、配合材料として2種以上の(c)成分、および/または、2種以上の(d)成分を使用する場合、全ての(c)成分および(d)成分に対して、上記範囲を満たすことが好ましい。
コア用ゴム組成物は、必要に応じて、顔料、重量調整などのための充填剤、老化防止剤、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を配合してもよい。また、コア用ゴム組成物は、ゴルフボールのコアや、コア作製時に発生した端材を粉砕したゴム粉末を含有してもよい。
ゴム組成物に配合される顔料としては、例えば、白色顔料、青色顔料、紫色顔料などを挙げることができる。前記白色顔料としては、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの種類は、特に限定されないが、隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いることが好ましい。また、酸化チタンの含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上であって、8質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下である。
ゴム組成物が白色顔料と青色顔料とを含有することも好ましい態様である。青色顔料は、白色を鮮やかに見せるために配合され、例えば、群青、コバルト青、フタロシアニンブルーなどを挙げることができる。また、前記紫色顔料としては、例えば、アントラキノンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、メチルバイオレットなどを挙げることができる。
ゴム組成物に用いる充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、硫酸バリウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。
前記老化防止剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
本発明で使用するゴム組成物は、(a)基材ゴム、(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋性化合物、(d)架橋開始剤、(e)金属化合物、および、必要に応じてその他の添加剤などを混合して、混練することにより得られる。混練の方法は、特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
前記球状コアは、混練後のゴム組成物を金型内で成形することにより得ることができる。球状コアに成形する温度は、120℃以上が好ましく、170℃以下が好ましく、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは140℃以下である。すなわち、前記球状コアは、前記コア用ゴム組成物を170℃以下の成形温度で形成されたものが好ましい。成形温度が150℃以下であれば、(c)架橋性化合物の単独重合を抑制でき、コア内部の3次元架橋硬度を十分に形成できる。また、成形時の圧力は、2.9MPa〜11.8MPaが好ましい。成形時間は、10分間〜60分間が好ましい。
球状コア
前記球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。前記球状コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、球状コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
前記球状コアは、直径34.8mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にセンターが縮む量)が、1.90mm以上が好ましく、より好ましくは2.00mm以上、さらに好ましくは2.10mm以上であり、5.00mm以下が好ましく、より好ましくは4.80mm以下、さらに好ましくは4.60mm以下である。前記圧縮変形量が、1.90mm以上であれば打球感がより良好となり、5.00mm以下であれば、反発性がより良好となる。
前記球状コアの表面硬度Hsと中心硬度Hoとの硬度差(Hs−Ho)は、ショアD硬度で、10以上が好ましく、より好ましくは18以上、さらに好ましくは20以上であり、50以下が好ましく、48以下がより好ましく、45以下がさらに好ましい。前記硬度差が大きいと、高打出角および低スピンの飛距離が大きいゴルフボールが得られる。
前記球状コアの中心硬度Hoは、ショアD硬度で、40以上が好ましく、より好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上である。球状コアの中心硬度HoがショアD硬度で40以上であれば、軟らかくなりすぎず、反発性が良好となる。また、球状コアの中心硬度Hoは、ショアD硬度で65以下が好ましく、より好ましくは63以下であり、さらに好ましくは60以下である。前記中心硬度HoがショアD硬度で65以下であれば、硬くなり過ぎず、打球感が良好となる。
前記球状コアの表面硬度Hsは、ショアD硬度で、70以上が好ましく、より好ましくは73以上、さらに好ましくは75以上であり、90以下が好ましく、より好ましくは88以下、さらに好ましくは85以下である。前記球状コアの表面硬度を、ショアD硬度で70以上とすることにより、球状コアが軟らかくなり過ぎることがなく、良好な反発性が得られる。また、前記球状コアの表面硬度をショアD硬度で90以下とすることにより、球状コアが硬くなり過ぎず、良好な打球感が得られる。
カバー
前記カバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成される。前記樹脂成分としては、例えば、アイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーなどが挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシ基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシ基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンが好ましい。前記炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。これらのなかでも、前記アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポン・ポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、1557(Zn)、1605(Na)、1706(Zn)、1707(Na)、AM3711(Mg)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、1855(Zn)など)」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、9945(Zn)、8140(Na)、8150(Na)、9120(Zn)、9150(Zn)、6910(Mg)、6120(Mg)、7930(Li)、7940(Li)、AD8546(Li)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、8320(Na)、9320(Zn)、6320(Mg)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)など)」が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、8030(Na)、7010(Zn)、7030(Zn)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、7520(Zn)など)」が挙げられる。
なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。前記アイオノマー樹脂は、単独で若しくは2種以上を混合して使用しても良い。
前記カバーを構成するカバー用組成物は、樹脂成分として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたはアイオノマー樹脂を含有することが好ましい。アイオノマー樹脂を使用する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。カバー用組成物の樹脂成分中のポリウレタンまたはアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
前記カバー用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
前記カバー用組成物のスラブ硬度は、所望のゴルフボールの性能に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、飛距離を重視するディスタンス系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で50以上が好ましく、55以上がより好ましく、60以上がさらに好ましく、80以下が好ましく、70以下がより好ましく、68以下がさらに好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度を50以上にすることにより、ドライバーショットおよびアイアンショットにおいて、高打出角で低スピンのゴルフボールが得られ、飛距離が向上する。また、カバー用組成物のスラブ硬度を80以下とすることにより、耐久性に優れたゴルフボールが得られる。また、コントロール性を重視するスピン系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で、50未満が好ましく、20以上が好ましく、25以上がより好ましく、30以上がさらに好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度が、ショアD硬度で50未満であれば、ドライバーショットでは、本発明のコアにより、高飛距離化がはかれるとともに、アプローチショットのスピン量が高くなり、グリーン上で止まりやすいゴルフボールが得られる。また、スラブ硬度を20以上とすることにより、耐擦過傷性が向上する。複数のカバー層の場合は、各層を構成するカバー用組成物のスラブ硬度は、上記範囲内であれば、同一あるいは異なっても良い。
前記カバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
圧縮成形法によりカバーを成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形してカバーに成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一なカバー厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
カバー用組成物を射出成形してカバーを成形する場合、押出して得られたペレット状のカバー用組成物を用いて射出成形しても良いし、あるいは、基材樹脂成分や顔料などのカバー用材料をドライブレンドして直接射出成形してもよい。カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、200℃〜250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
カバーを成形する際には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
前記カバーの厚みは、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。カバーの厚みが4.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、さらに好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上である。カバーの厚みが0.3mm未満では、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合がある。複数のカバー層の場合は、複数のカバー層の合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
前記カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
ゴルフボール
本発明のゴルフボールの構造は、球状コアと、前記球状コアを被覆する一層以上のカバーとを有するものであれば、特に限定されない。前記球状コアは、単層構造であることが好ましい。単層構造の球状コアは、多層構造の界面における打撃時のエネルギーロスがなく、反発性が向上するからである。また、カバーは、一層以上の構造であればよく、単層構造、あるいは、少なくとも二層以上の多層構造を有していてもよい。本発明のゴルフボールとしては、例えば、球状コアと前記球状コアを被覆するように配設された単層のカバーとからなるツーピースゴルフボール;球状コアと前記球状コアを被覆するように配設された二層以上のカバーを有するマルチピースゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む);球状コアと前記球状コアの周囲に設けられた糸ゴム層と、前記糸ゴム層を被覆するように配設されたカバーとを有する糸巻きゴルフボールなどを挙げることができる。上記いずれの構造のゴルフボールにも本発明を好適に利用できる。
本発明のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、本発明のゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.2mm以上、さらに好ましくは2.4mm以上であり、4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.5mm以下、さらに好ましくは3.4mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール1は、球状コア2と、球状コア2を被覆するカバー3とを有する。このカバーの表面には、多数のディンプル31が形成されている。このゴルフボール3の表面のうち、ディンプル31以外の部分は、ランド32である。このゴルフボール1は、カバー3の外側にペイント層およびマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)(c)架橋性化合物の熱による重合温度
(c)架橋性化合物の熱による重合温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。測定は、昇温速度を10℃/min、測定温度範囲を−10℃〜250℃とした。得られたDSC曲線について、ピークトップにおける温度を読み取り、これを熱による重合温度とした。
(2)コア硬度(ショアD硬度)
コアの表面部において測定した硬度をコア表面硬度とした。また、コアを半球状に切断し、切断面の中心において測定した硬度をコア中心硬度とした。硬度は、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて測定した。検出器は、「Shore D」を用いた。
(3)圧縮変形量(mm)
コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアまたはゴルフボールが縮む量)を測定した。
(4)反発性能
各ゴルフボールに198.4gの金属製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの反発係数とした。なお、反発係数は、ゴルフボールNo.18の反発係数を100として、指数化した値で示した。
(5)ドライバー飛距離
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットM/Cに、メタルヘッド製W#1ドライバー(ダンロップスポーツ社製、XXIO S ロフト11°)を取り付け、ヘッドスピード40m/秒でゴルフボールを打撃し、飛距離(発射始点から静止地点までの距離)を測定した。なお、測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。なお、各ゴルフボールの飛距離は、ゴルフボールNo.18の飛距離との差(飛距離の差=各ゴルフボールの飛距離−ゴルフボールゴルフボールNo.18の飛距離)で示した。
(6)耐久性
各ゴルフボールを12個ずつ、エアガンを用いて金属板に45m/秒の速度で衝突させて、ゴルフボールが壊れるまでの繰返し回数を測定した。なお、耐久性は、ゴルフボールNo.16の耐久性を100として、指数化した値で示した。
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表1、2に示す配合のゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で表に示した条件で加熱プレスすることにより直径39.8mmの球状コアを得た。なお、硫酸バリウムは、得られるゴルフボールの質量が、45.4gとなるように適量加えた。
Figure 2019118376
Figure 2019118376
表1、表2で用いた材料は下記の通りである。
ポリブタジエンゴム:JSR社製、BR730(ハイシスポリブタジエンゴム(シス−1,4−結合含有量=95質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3))
ZN−DA90S:日触テクノファインケミカル社製、アクリル酸亜鉛(ステアリン酸亜鉛を10質量%含有)
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
パーヘキサ(登録商標)C−40:日油社製、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:153.8℃)
パーヘキサHC:日油社製、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)
パークミル(登録商標)D:日油社製、ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度:175.2℃)
TMPT:新中村化学工業社製、トリメチロールプロパントリメタクリレート(熱による単独重合温度:140℃)
A−TMPT:新中村化学工業社製、トリメチロールプロパントリアクリレート
EGDMA:東京化成工業社製、エチレングリコールジメタクリレート
HDDMA:東京化成工業社製、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
(2)カバーの成形
表3に示した配合材料を用いて、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物を得た。押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は押出機のダイの位置で160℃〜230℃に加熱された。
Figure 2019118376
表3で用いた材料は下記の通りである。
ハイミラン(登録商標)1605:三井・デュポン・ポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1706:三井・デュポン・ポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
酸化チタン:石原産業社製、A220
前記で得たカバー用組成物を、前述のようにして得た球状コア上に射出成形することにより、前記球状コアを被覆するカバーを成形した。カバーを成形するための成形用上下金型は、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねている。カバー成形時には、ホールドピンを突き出し、コアを投入後ホールドさせ、80トンの圧力で型締めした金型に210℃〜260℃に加熱した樹脂を0.3秒で注入し、30秒間冷却して型開きしてゴルフボールを取り出した。
得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.8mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。得られたゴルフボールについて、評価した結果を表1、2に示した。
ゴルフボールNo.1〜13および17は、コア用ゴム組成物が、(a)成分〜(e)成分を含有し、かつ、モル比(2価金属イオン/(b1)成分)が、0.60〜2.00である。これらのゴルフボールNo.1〜13および17は、いずれも飛距離に優れ、かつ、打撃耐久性が優れている。
ゴルフボールNo.18は、コア用ゴム組成物が、(a)成分〜(e)成分を含有するが、モル比(2価金属イオン/(b1)成分)が0.60未満である。このゴルフボールNo.18は、飛距離が劣る。
ゴルフボールNo.19は、コア用ゴム組成物が、(a)成分〜(e)成分を含有するが、モル比(2価金属イオン/(b1)成分)が2.00超である。このゴルフボールNo.19は、飛距離は優れるものの、打撃耐久性が劣る。
1:ゴルフボール、2:球状コア、3:カバー、31:ディンプル、32:ランド

Claims (6)

  1. 球状コアと、前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、
    前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物、(d)架橋開始剤、および、(e)金属化合物を含有するコア用ゴム組成物から形成されており、
    前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(b)共架橋剤および(e)金属化合物に含まれる2価の金属イオンとのモル比(2価金属イオン/(b1)成分)が、0.60〜2.00であることを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物が、分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性化合物である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物が、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. 前記コア用ゴム組成物中の前記(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物の含有量が、前記(a)基材ゴム100質量部に対して、2質量部〜39質量部である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  5. 前記コア用ゴム組成物中の前記(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量が、前記(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部〜50質量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  6. 前記コア用ゴム組成物中の前記(b)共架橋剤中の(b1)炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸成分と、前記(c)分子内に重合性不飽和結合を2個以上有する架橋性化合物との質量比((b1)成分/(c)成分)が、0.40〜26.0である請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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