JP2019116594A - 塗料用樹脂エマルション及びその製造方法 - Google Patents

塗料用樹脂エマルション及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗膜における耐汚染性と塗膜伸び性とをバランス良く両立する方法を提供する。【解決手段】塗料用樹脂エマルションであって、該樹脂エマルションを構成する樹脂は、ガラス転移温度が0℃以上であり、かつ変性ポリロタキサン由来の構成単位を0.01〜4質量%含み、該変性ポリロタキサンは、環状分子と、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基をもつ鎖状分子とを有するポリロタキサンの環状分子にラジカル重合性基をもつ官能基が結合した構造を有する塗料用樹脂エマルション。【選択図】なし

Description

本発明は、塗料用樹脂エマルション及びその製造方法に関し、より詳しくは、建築外装塗料等に好適に用いることができる塗料用樹脂エマルション及びその製造方法に関する。
樹脂エマルションを含む塗料は、有機溶剤をベースとした塗料と比べて塗装作業者や居住者の健康被害及び環境汚染等を低減することができ、建築物、土木構造物、自動車等の輸送機器等に広く利用されている。また、このような塗料に用いられる樹脂エマルションについて、種々の開発・改良がなされている。
例えば、乳化重合によって得られる(メタ)アクリルエマルションと、水溶性樹脂とを必須として構成される塗料用水性樹脂組成物であって、上記塗料用水性樹脂組成物は、(メタ)アクリルエマルションと水溶性樹脂とが架橋構造を形成し得るものである塗料用水性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また変性ポリロタキサンと、ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有する単量体とを共重合させてなるポリロタキサン架橋重合体であって、該変性ポリロタキサンは、環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、該直鎖状分子の両末端にブロック基を有するポリロタキサンの該環状分子に、官能性単量体が反応した構造を有するものであるポリロタキサン架橋重合体が水に分散してなる水分散体が開示され、塗料にも利用できることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
なお、塗料ではないが、乳化重合法を経て作製された特定のポリロタキサン架橋ゴム質重合体に、特定のビニル系単量体がグラフト重合してなるグラフト重合体と他の熱可塑性樹脂とを含むゴム強化熱可塑性樹脂組成物が開示され、該ゴム強化熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特許第5290951号公報 特開2016−69398号公報 特開2017−171835号公報
しかしながら、樹脂エマルションを含む塗料を用いて得られる塗膜は、汚染物質の付着に対する耐汚染性が充分ではなく、有機溶剤型の耐汚染型塗料のレベルには未だ及ばないのが現状である。耐汚染性を優れたものとするために例えは樹脂のガラス転移温度(Tg)を高くして塗膜硬度を上げることが考えられるが、その場合は柔軟性(塗膜伸び性)が低下してしまう。
柔軟性に優れる塗膜は、寒暖差による膨張・収縮に充分に対応することができ、また、下地への追従性に優れるため、例えば下地にひび割れがある場合にこれを適切に埋めて補修することができる。なお、柔軟性を優れたものとするために例えは樹脂のTgを低くすると、耐汚染性が低下してしまう。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、塗膜における耐汚染性と塗膜伸び性とをバランス良く両立する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、塗膜における耐汚染性と塗膜伸び性とをバランス良く両立する方法について検討し、環状分子にラジカル重合性基が結合した変性ポリロタキサンを樹脂に導入することに着目した。ポリロタキサンは、環状分子と、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基をもつ鎖状分子とを有する。変性ポリロタキサンを用いて得られる架橋体は、環状分子が鎖状分子に沿って滑車のように移動することで、ポリマー間のテンションを均一にすることができ、伸び物性等を向上することができる(滑車効果)。本発明者らは、変性ポリロタキサンを高Tgの樹脂から構成される樹脂エマルションに導入することで、高硬度塗膜による耐汚染性を維持しながら建築外装等に用いられる塗膜に求められる伸び性も向上できる可能性があると考えた。次いで、本発明者らは、樹脂中の変性ポリロタキサン由来の構造単位の質量割合が重要であることを見出し、該構造単位を樹脂中0.01〜4質量%導入した樹脂エマルションを合成した。本発明者らは、この樹脂エマルションを含む塗料を用いて得られた塗膜が、耐汚染性と塗膜伸び性とをバランス良く両立できることを見出し、上記課題を見事に解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、塗料用樹脂エマルションであって、該樹脂エマルションを構成する樹脂は、ガラス転移温度が0℃以上であり、かつ変性ポリロタキサン由来の構成単位を0.01〜4質量%含み、該変性ポリロタキサンは、環状分子と、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基をもつ鎖状分子とを有するポリロタキサンの環状分子にラジカル重合性基をもつ官能基が結合した構造を有することを特徴とする塗料用樹脂エマルションである。
本発明の塗料用樹脂エマルションは、塗膜における耐汚染性と塗膜伸び性とをバランス良く両立することができるものである。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
<本発明の塗料用樹脂エマルション>
本発明の塗料用樹脂エマルションを構成する樹脂は、ガラス転移温度が0℃以上であり、かつ変性ポリロタキサン由来の構成単位を0.01〜4質量%含む。
(変性ポリロタキサン)
変性ポリロタキサンは、ポリロタキサンの環状分子にラジカル重合性基をもつ官能基が結合した構造を有する。ポリロタキサンは、環状分子と、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基をもつ鎖状分子とを有する。
ラジカル重合性基は、例えば反応性不飽和二重結合を有する基であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等が挙げられるが、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ラジカル重合性基をもつ官能基が結合した構造中、ラジカル重合性基以外の部分は、特に限定されないが、例えばポリカプロラクトン鎖とヒドロキシプロピル基が結合した分子鎖、ヒドロキシプロピル基由来の構造等が挙げられる。
上記環状分子は、その開口部を鎖状分子が貫通でき、鎖状分子に貫通された状態で鎖状分子に沿って移動できるものであればよく、例えば、クラウンエーテル、環状シロキサン、環状オリゴ糖等が挙げられる。これらの環状分子は、更に、ラジカル重合性基をもつ官能基以外のその他の置換基を有していてもよい。上記の環状分子の中でも、環状オリゴ糖が好ましく、シクロデキストリンがより好ましい。
本発明に係る変性ポリロタキサンは、1種類の環状分子のみを有するものであってもよく、2種以上の環状分子を有していてもよい。
上記変性ポリロタキサンは、変性ポリロタキサン1分子当たり、上記環状分子を例えば1〜500個有することが好ましく、5〜300個有することがより好ましく、10〜200個有することが更に好ましい。
また上記環状分子は、環状分子1分子当たり、ラジカル重合性基をもつ官能基を例えば1〜24個有することが好ましく、3〜15個有することがより好ましく、6〜12個有することが更に好ましい。
そのため、例えば好ましい形態では、上記変性ポリロタキサン1分子当たり、ラジカル重合性基数は最大12000個(環状分子500個×環状分子1分子あたりラジカル重合性基数24個=12000個)となり、更に好ましい形態では、ラジカル重合性基数は60〜2400個(環状分子10個×環状分子1分子あたりラジカル重合性基数6個=60個〜環状分子200個×環状分子1分子あたりラジカル重合性基数12個=2400個)となる。
なお、「変性ポリロタキサン1分子当たり」は、本発明の樹脂エマルションにおいて「変性ポリロタキサン由来の構成単位1個当たり」と言い換えることができる。
上記鎖状分子は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよいが、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、これらのうち1種を用いてもよく、2種以上を併用しても良い。中でも、直鎖状の鎖状分子が好ましく、ポリエチレングリコールがより好ましい。
上記ストッパー基は、その嵩高さや、イオン性等により環状分子が鎖状分子から抜けることを防止する機能を有する限り特に限定されないが、例えばその嵩高さにより当該機能を有するものとしては、例えばジニトロフェニル基、アダマンタン基、トリチル基やこれらの誘導体基等の環状構造基が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。中でも、例えばアダマンタン基がより好ましい。上記ストッパー基は、更に置換基を有していてもよい。
本発明の塗料用樹脂エマルションを構成する樹脂は、変性ポリロタキサン由来の構成単位を0.01〜4質量%含む。上述した好ましい形態では変性ポリロタキサン1分子当たりラジカル重合基を最大12000個有し、更に好ましい形態でもラジカル重合性基数として60〜2400個有する変性ポリロタキサン由来の構成単位を含有する樹脂を用いて得られる塗膜は、高架橋となり塗膜伸びが低下すると予想されるが、上記樹脂が変性ポリロタキサン由来の構成単位を上記の範囲内で含むことで、塗膜における架橋度が適度なものとなり、本発明の効果を発揮できる。
本発明の塗料用樹脂エマルションを構成する樹脂は、架橋度をある程度低くして塗膜伸び性をより優れたものとする観点から、変性ポリロタキサン由来の構成単位を3質量%以下含むことが好ましく、2質量%以下含むことがより好ましく、1質量%以下含むことが更に好ましい。また、上記樹脂は、変性ポリロタキサン由来の構成単位を0.05質量%以上含むことが好ましく、0.1質量%以上含むことがより好ましい。
(樹脂エマルション)
本発明の樹脂エマルションは、上記変性ポリロタキサンを含む単量体成分を重合してなる構造を有する。
本発明の樹脂エマルションを構成する樹脂は、ガラス転移温度が0℃以上であるが、耐汚染性をより優れたものとする観点からは、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。
上記ガラス転移温度は、塗膜伸び性をより優れたものとする観点からは、100℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、20℃以下であることが特に好ましい。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に記載の方法により単量体組成から算出することができる。また、本発明に係るエマルションの少なくとも1種が多段重合して得られるものである場合(例えば、コア部とシェル部とを有する樹脂粒子である場合)は、上記ガラス転移温度は、全ての段で用いた単量体組成から算出したTg(トータルTg)を意味する。
本発明の樹脂エマルションにおける樹脂を構成する単量体としては特に限定されず、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート、脂環構造含有不飽和単量体(脂環構造を有する不飽和単量体)、水酸基含有(メタ)アクリレート、芳香族系不飽和単量体、酸基含有不飽和単量体(アニオン性基含有不飽和単量体とも言う)、ケイ素原子含有不飽和単量体、フッ素原子含有不飽和単量体、窒素原子含有不飽和単量体、エポキシ基含有不飽和単量体、紫外線吸収性不飽和単量体、ヒンダードアミン系不飽和単量体(紫外線安定性不飽和単量体)、カルボニル基含有不飽和単量体等が挙げられる。
特に、本発明の樹脂エマルションは、アクリル系エマルション(アクリル系樹脂エマルションとも言う)であることが好ましく、例えば、少なくとも脂肪族(メタ)アクリレート、特にアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含むことが好ましい。
上記脂肪族(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートがあり、例示化合物としてメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等;これら以外の(メタ)アクリル酸系単量体のエステル化物等が挙げられる。上記脂肪族(メタ)アクリレートは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂エマルションを構成する樹脂は、上記脂肪族(メタ)アクリレート由来の構成単位を、20質量%以上含有することが好ましく、40質量%以上含有することがより好ましく、60質量%以上含有することが更に好ましい。また、上記樹脂は、脂肪族(メタ)アクリレート由来の構成単位を、99質量%以下含有することが好ましい。
また本発明の樹脂エマルションを構成する樹脂は、脂環構造を有する不飽和単量体由来の構成単位を1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは、10〜40%質量%含むことであり、更に好ましくは、15〜35質量%含むことであり、特に好ましくは、20〜30質量%含むことである。
脂環構造を有する不飽和単量体は、耐水性と耐候性に優れているが、得られる塗膜を硬脆くする場合があった。本発明の樹脂エマルションにより、脂環構造を有する不飽和単量体由来の構成単位を多く含む樹脂でも塗膜伸び性が充分に優れたものとなる。
上記脂環構造を有する不飽和単量体は、脂環構造(好ましくは、炭素数が4〜20のシクロアルキル基であり、より好ましくは、炭素数が4〜10のシクロアルキル基である)と反応性不飽和結合とを有する化合物であればよいが、具体的には、脂環式(メタ)アクリレート[例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のC4−20シクロアルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC4−10シクロアルキル(メタ)アクリレート)、シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のC4−10シクロアルキルC1−4アルキル(メタ)アクリレート)、架橋環式(メタ)アクリレート(例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等)等]等が挙げられる。なお、脂環構造を有する不飽和単量体は、更に置換基(例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシル基、アシル基、スルホン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子等)を有していてもよい。上記脂環構造を有する不飽和単量体は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記脂環構造を有する不飽和単量体の中でも、C4−20シクロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、C4−10シクロアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
更に、本発明の樹脂エマルションを構成する樹脂は、芳香族系不飽和単量体由来の構成単位を2〜40質量%含むことが好ましい。より好ましくは、5〜35%質量%含むことであり、更に好ましくは、7〜30質量%含むことである。
芳香族系不飽和単量体は、耐水性と耐アルカリ性に優れているが、得られる塗膜を硬脆くする場合があった。本発明の樹脂エマルションにより、芳香族系不飽和単量体由来の構成単位を多く含む樹脂でも塗膜伸び性が充分に優れたものとなる。
上記芳香族系不飽和単量体は、芳香族基と反応性不飽和結合とを有する化合物であればよく、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられ、好ましくはスチレンである。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシC2−10アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC2−6アルキル(メタ)アクリレート、さらに好ましくはC2−4アルキル(メタ)アクリレート等]、3以上のヒドロキシル基を有するポリオールの(メタ)アクリレート[例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のトリ乃至ヘキサヒドロキシC3−10ポリオールの(メタ)アクリレート]等が挙げられる。
上記酸基含有不飽和単量体(アニオン性基含有不飽和単量体)は、酸基(アニオン性基)と反応性不飽和結合とを有する化合物であればよく、例えば、カルボン酸基含有不飽和単量体[例えば、不飽和モノカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の脂肪族不飽和モノカルボン酸)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和モノカルボン酸)等]、スルホン酸基含有不飽和単量体[例えば、スチレン系単量体(例えば、スチレンスルホン酸等)等]等が挙げられる。なお、酸基含有不飽和単量体は、アニオン化されていてもよく、塩を形成していてもよい。酸基含有不飽和単量体は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。代表的な酸基含有不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
上記樹脂が酸基含有不飽和単量体(アニオン性基含有不飽和単量体)由来の構成単位を含む場合、酸基含有不飽和単量体由来の構成単位の質量割合は、例えば、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.02〜5質量%であり、更に好ましくは0.05〜3質量%である。
上記ケイ素原子含有不飽和単量体は、ケイ素原子と反応性不飽和結合とを有する化合物であればよく、例えば、ビニル基含有シラン[例えば、ビニル基を有するハロシラン(例えば、ビニルトリクロロシラン等のビニルモノ乃至トリハロシラン)、ビニル基を有するアルコキシシラン[ビニルアルコキシシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルモノ乃至トリアルコキシシラン、好ましくはビニルモノ乃至トリC1−4アルコキシシラン)、ビニルアルコキシアルコキシシラン(例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルモノ乃至トリ(C1−4アルコキシC1−4アルコキシ)シラン等)等]、(メタ)アクリロイル基含有シラン[例えば、(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシラン(例えば、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルモノ乃至トリアルコキシシラン、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルキルモノ乃至トリC1−4アルコキシシラン)、トリアルキルシロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート等のトリC1−4アルキルシロキシC2−4アルキル(メタ)アクリレート等)等]等が挙げられる。ケイ素原子含有不飽和単量体は、単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用してもよい。代表的なケイ素原子含有不飽和単量体としては、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシランが挙げられる。
上記フッ素原子含有不飽和単量体は、フッ素原子と反応性不飽和結合とを有する化合物であればよく、例えば、フッ素原子含有アクリル系単量体[例えば、フルオロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフルオロC1−10アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはフルオロC2−6アルキル(メタ)アクリレート等)等]等が挙げられる。
上記窒素原子含有不飽和単量体は、窒素原子と反応性不飽和結合とを有する化合物であればよく、例えば、(メタ)アクリルアミド系化合物{例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド[例えば、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジC1−4アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)等]等}、窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物{例えば、N−置換アミノアルキル(メタ)アクリレート[例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N−ジC1−4アルキルアミノC2−4アルキル(メタ)アクリレート]等}等が挙げられる。
上記エポキシ基含有不飽和単量体は、エポキシ基と反応性不飽和結合とを有する化合物であればよく、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリレート[例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート等のグリシジルオキシC2−4アルキル(メタ)アクリレート)等]、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記紫外線吸収性不飽和単量体は、紫外線吸収性基と反応性不飽和結合とを有する化合物であればよく、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性不飽和単量体、ベンゾフェノン系紫外線吸収性不飽和単量体等が挙げられる。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイル基)を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、具体的には、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル〕−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキ シ−5’−(メタ)アクリロイルアミノメチル−5’−tert−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチル−3’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3’−tert−ブチルフェニル〕−4−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤、具体的には、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ〕プロポキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−4−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕ブトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系不飽和単量体(紫外線安定性不飽和単量体、重合性基を有する光安定剤、光安定性を有する単量体)としては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイル−1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。ヒンダードアミン系不飽和単量体は、単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記樹脂がヒンダードアミン系不飽和単量体由来の構成単位を含む場合、該樹脂におけるヒンダードアミン系不飽和単量体由来の構成単位の質量割合は、例えば、0.01〜20質量%であり、好ましくは0.05〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%である。
上記カルボニル基含有不飽和単量体は、カルボニル基と反応性不飽和結合基とを有する化合物であればよく、例えば、不飽和アルデヒド[例えば、アルケナール(例えば、アクロレイン、メタクロレイン等のC3−10アルケナール)、(メタ)アクリロキシアルキルアルケナール(例えば、アクリルオキシアルキルプロペナール、メタクリルオキシアルキルプロペナール)、ホルミルスチロール等]、不飽和ケトン[例えば、アルケノン(例えば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ビニルブチルケトン等)、(メタ)アクリロイルオキシアルカノン(例えば、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート等)、N−(メタ)アクリロイルアミノアルカノン(例えば、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド等)、アルカンジオール(メタ)アクリレートアセチルアセテート(例えば、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレートアセチルアセテート等のC2−6アルカンジオール(メタ)アクリレートアセチルアセテート)、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(アセトアセトキシ)エチルアクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート)等]等が挙げられる。
本発明の樹脂エマルションを構成する樹脂は、更に、その他の共重合可能な不飽和単量体由来の構成単位を有する重合体を含んでいてもよい。上記その他の共重合可能な不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリロニトリルや、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、多官能性不飽和単量体があり、多官能性不飽和単量体としては、例えば、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテルが挙げられる。
本発明の樹脂エマルションは、単量体成分を重合してなる重合体(樹脂)が溶媒中に分散しているものである。本明細書中、溶媒中に分散しているとは、溶媒中に溶解することなく分散していることを意味する。重合体が分散している溶媒としては、水又は水と有機溶媒との混合溶媒が挙げられるが、溶媒100質量%中、水が50質量%以上であることが好ましい。溶媒中における水の質量割合は、樹脂エマルションに要求される物性によって異なるが、70質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%以上である。
上記有機溶媒としては、水と混合することができるものである限り特に制限されず、例えば、メタノールのような低級アルコール等の親水性溶媒等を用いることができる。
中でも、上記溶媒は、水であることが特に好ましい。
本発明の塗料用樹脂エマルションは、更に、乳化剤成分を含んでいてもよい。
上記乳化剤成分としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両性乳化剤、及び、高分子乳化剤の1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルフォネート、ナトリウムドデシルスルフォネート等のアルキルスルフォネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルフォネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルフォネート等のアルキルアリールスルフォネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレート等の脂肪酸塩等が挙げられる。
上記ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの縮合物;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリアミド;エチレンオキサイドと脂肪族アミンの縮合生成物等が挙げられる。
上記カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド等のアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
上記両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤等が挙げられる。
上記高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレート等のポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;またはこれらの重合体を構成する重合性単量体のうちの1種以上を共重合成分とする共重合体等が挙げられる。
中でも、重合性基を有する乳化剤、いわゆる反応性乳化剤を使用するのが好ましく、樹脂エマルションが含む樹脂(重合体)の原料となる単量体成分が上述した好ましい単量体を含むものであり、更に、反応性乳化剤を使用することがより好ましい。
すなわち、樹脂エマルションが、反応性乳化剤を含む単量体成分を重合して得られる重合体を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記反応性乳化剤とは、単量体中に不飽和二重結合を有する、その他の単量体と重合可能な界面活性剤を意味する。具体的には、分子中にビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基等のラジカル重合性の二重結合を有し、非反応性乳化剤と同様に乳化、分散機能を持つ乳化剤である。重合安定性や塗膜性能の観点から、ポリオキシアルキレン鎖を分子構造中に持つものが特に好ましい。
上記反応性乳化剤としては、例えば、ビス(ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルフォネート塩(例えば、日本乳化剤(株)製、アントックスMS−60等)、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業(株)製、エレミノールRS−30等)、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩、ポリオキシアルキレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルフォネート塩(例えば、第一工業製薬(株)製、アクアロンHS−10等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシアルキレンのスルフォネート塩(例えば、第一工業製薬(株)製、アクアロンKH−10等)やアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシアルキレンのスルフォネート塩(例えば、(株)ADEKA製、アデカリアソープSE−10N等)、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシアルキレン硫酸エステル塩(例えば、(株)ADEKA製、アデカリアソープSR−10、SR−30等)、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、(株)ADEKA製、アデカリアソープER−20等)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(例えば、第一工業製薬(株)製、アクアロンRN−20等)、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、(株)ADEKA製、アデカリアソープNE−10等)等が挙げられる。特に環境面を重視する場合には、非ノニルフェニル型の乳化剤を用いるのが好ましい。なお、上記反応性乳化剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記反応性乳化剤の配合割合は、特に限定はされないが、例えば、樹脂100質量%に対し、0.5〜10質量%とするのが好ましい。より好ましくは1.0〜8.0質量%、更に好ましくは2.0〜6.0質量%とするのがよい。反応性乳化剤の使用量が多すぎると、塗膜の耐水性を低下させるおそれがあり、一方、少なすぎると、重合安定性が低下しやすい。
上記反応性乳化剤以外の乳化剤を使用する場合の配合割合は、特に限定されないが、例えば、樹脂100質量%に対して、0.5〜10質量%とすることが好ましい。より好ましくは、1〜5質量%であり、更に好ましくは、2〜4質量%である。
なお、本明細書中、樹脂とは、本発明の塗料用樹脂エマルション中、樹脂粒子を形成する重合体を構成する構成単位、並びに、樹脂粒子の原料として用いられた単量体由来のオリゴマー及び単量体を意味するが、乳化剤成分を意味しない。
本発明の樹脂エマルションは、単量体成分を重合してなるエマルション(以下、本発明に係るエマルションとも言う。)を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。本発明の樹脂エマルションが、本発明に係るエマルションを2種以上含む場合、2種以上の本発明に係るエマルションを混合(ブレンド)して得られる混合物であってもよく、一連の製造工程の中で2種以上の重合体鎖を含むものを製造(例えば、多段重合等)して得られる2種以上の重合体鎖が複合化したエマルションであってもよい。一連の製造工程の中で2種以上の本発明に係るエマルションを含むものを得るためには、単量体滴下条件等の製造条件を適宜設定すればよい。上記2種以上の重合体鎖が複合化したものとは、例えば、後述するコア部とシェル部とを有する形態等の複層構造である形態が挙げられる。言い換えれば、本発明の樹脂エマルションは、複層構造型樹脂エマルション(複層構造の樹脂エマルション)であることが好ましい。本発明に係るエマルションが、コア部とシェル部とを有する形態としては、例えば、本発明に係るエマルションが2種類の本発明に係るエマルションからなり、該2種類の本発明に係るエマルションの一方がコア部、他方がシェル部を形成しているものが挙げられる。
なお、本発明の樹脂エマルションを構成する樹脂を重合するための単量体成分において、変性ポリロタキサンが、エマルションのコア部を形成する単量体成分、シェル部を形成する単量体成分のいずれかに含まれていてもよく、これらの両方に含まれていてもよい。例えば、本発明の樹脂エマルションが複層構造型樹脂エマルションであり、最内層及び最内層よりも外側にある外層を有し、該外層に変性ポリロタキサン由来の構成単位を含むことが好ましい形態の1つである。
また上記樹脂のうち少なくとも1種が2種以上の重合体鎖が複合化した形態であってもよい。中でも、上記樹脂の少なくとも1種が、2種又は3種の重合体鎖が複合化した形態であることが好ましく、3種の重合体鎖が複合化した形態であることがより好ましい。
上記樹脂が、2種以上の重合体鎖が複合化した形態である場合、一方の重合体鎖と他方の重合体鎖とが完全に相溶し、これらを区別できない均質構造のものであってもよく、これらが完全には相溶せずに不均質に形成されるもの(例えば、コア・シェル複合構造やミクロドメイン構造)であってもよいが、これらの構造の中でも、エマルションの特性を充分に引き出し、安定なエマルションを作製するためには、例えばコア・シェル複合構造であることが好ましい。なお、本明細書では、コア・シェル複合構造のシェル部が、更に2種以上の重合体鎖が複合化した形態であってもよい。
コア・シェル複合構造を有するエマルションは、本発明の効果をより顕著に発揮することができる。なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
上記樹脂の少なくとも1種が2種以上の重合体鎖が複合化した形態である場合、第1段目の重合体鎖(最内層の重合体鎖)のガラス転移温度は、−20〜120℃であることが好ましい。より好ましくは、−10〜110℃である。
また第2段目の重合体鎖(最内層よりも外側にある外層の重合体鎖)のガラス転移温度は、−40〜50℃であることが好ましい。より好ましくは、−30〜40℃である。
また第3段目の重合体鎖(例えば、最外層の重合体鎖)のガラス転移温度は、0〜40℃であることが好ましい。より好ましくは、10〜30℃である。
また、上記の最外層の重合体鎖が、ヒンダードアミン系不飽和単量体(紫外線安定性不飽和単量体、重合性基を有する光安定剤、光安定性を有する単量体)由来の構造単位を含有すると、塗膜の耐候性に優れると共に耐水性にも優れる。上記の最外層の重合体鎖全体におけるヒンダードアミン系不飽和単量体由来の構造単位の質量割合は、1〜10質量%であり、好ましくは2〜8質量%であり、さらに好ましくは3〜6質量%である。
上記樹脂において、3種の重合鎖が複合化した形態が好ましく、第1段目〜第3段目の重合体鎖の少なくとも1つが、ガラス転移温度60〜100℃であることも本発明における好ましい形態の1つであり、これにより、塗膜の強靱性を優れたものとすることができる。特に最内層の重合鎖のガラス転移温度が60〜100℃であることが好ましい。更に樹脂粒子100質量%中、上記最内層の重合鎖が占める質量割合が好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは10〜30質量%であり、更に好ましくは15〜25質量%である。
上記3種の重合鎖が複合化した形態を有する樹脂エマルションの製造方法は特に制限されないが、多段階の乳化重合を行い、1段目で最内層部(粒子)を形成した後、当該1段目の粒子上に2段目を乳化重合して外層を形成し、当該外層上に3段目を乳化重合して最外層を形成させる方法が好適である。
本発明の樹脂エマルションは、重量平均分子量が10万以上であることが好ましく、20万以上であることがより好ましく、40万以上であることが更に好ましく、100万以上であることが特に好ましい。
本明細書中、エマルションの重量平均分子量とは、エマルションを形成する重合体の重量平均分子量を言う。
なお、重量平均分子量(Mw)は、GPCを用い、以下の条件により測定することができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー(株)製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー(株)製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー(株)製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
本発明の樹脂エマルションにおける、樹脂粒子の平均粒子径は80〜450nmであることが好ましい。
樹脂粒子の平均粒子径は、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下である。また、平均粒子径は、好ましくは100nm以上である。
樹脂粒子の平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の樹脂エマルションは、固形分の含有割合がエマルション全体に対して30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。
なお、ここでいう固形分とは、エマルションに含まれる水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
本発明の樹脂エマルションのpHとしては特に限定されないが、2〜10であることが好ましく、3〜9.5であることがより好ましく、7〜9であることが更に好ましい。上記エマルションのpHは、当該樹脂に、アンモニア水、水溶性アミン類、水酸化アルカリ水溶液等を添加することによって調整することができる。
本明細書中、pHは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の樹脂エマルションの粘度としては特に限定されないが、1〜10000mPa・sであることが好ましく、5〜5000mPa・sであることがより好ましく、10〜2000mPa・sであることが更に好ましく、30〜1000mPa・sであることが一層好ましく、80〜500mPa・sであることが特に好ましい。
本明細書中、粘度は、後述する実施例に記載の条件(ただし、回転粘度計の毎分回転数は20rpmとする。)により測定することができる。
本発明の樹脂エマルションは、更に、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分として、例えば、塗膜表面の親水化剤として無機粒子、水溶性ポリマー、水系架橋剤がある。無機粒子としては、例えばコロイダルシリカが挙げられる。水溶性ポリマーとしては、例えばビニルアルコール系樹脂(ポバール)、ビニルラクタム系樹脂(ポリビニルピロリドン)が挙げられる。水系架橋剤としては、例えばオキサゾリン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤が挙げられる。オキサゾリン系架橋剤は、(株)日本触媒製のエポクロスシリーズ(例えば、エポクロスK−2010E、K−2020E、K−2030E、WS−500等)等として入手することもできる。
本発明の樹脂エマルションがその他の成分を含む場合、本発明の樹脂エマルション全体に対して、その他の成分の割合は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。なお、ここでいうその他の成分とは、本発明の樹脂エマルションを含む塗料を塗布し、乾燥した後も塗膜中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、水系溶媒等の揮発成分は含まれない。
本発明の樹脂エマルションは、上述したように、樹脂とともに水系溶媒等の溶媒を含む。
上記溶媒の含有量は、本発明の樹脂エマルション100質量%中、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、該溶媒の含有量は、97質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。
本発明は、塗料に用いる樹脂エマルションを製造する方法であって、該製造方法は、変性ポリロタキサンを固形分換算で0.01〜4質量%含む単量体成分を乳化重合して、ガラス転移温度が0℃以上である樹脂エマルションを得る工程を含み、該変性ポリロタキサンは、環状分子と、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基をもつ鎖状分子とを有するポリロタキサンの環状分子にラジカル重合性基をもつ官能基が結合した構造を有する塗料用樹脂エマルションの製造方法でもある。
本発明の樹脂エマルションを例えば乳化重合により製造する場合、乳化重合工程で用いることのできる重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2−アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド等のアゾ化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の過酸化物;等が挙げられる。具体的には、例えば、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)、水性化合物(例えば、アニオン系の4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、カチオン系の2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));レドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等)、水性過酸化物(例えば、過硫酸カリ及び過酸化アンモニウム等);等を挙げることができる。なお、重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、好ましくは、全単量体成分100重量部に対し、0.05〜1質量%とするのがよく、より好ましくは0.1〜0.5質量%とするのがよい。重合開始剤の使用量が0.05質量%未満であると、重合速度が遅くなって未反応の重合性単量体が残存しやすくなり、一方、1質量%を超えると、形成される塗膜の耐水性が低下する傾向がある。
上記添加方法は、特に制限はなく、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下等のいずれの方法であってもよい。さらに、重合の完了を速めるためには、最終段の重合性単量体成分の滴下終了前後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
上記乳化重合工程において、重合開始剤の分解を促進する目的で、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤や硫酸第一鉄等の遷移金属塩を添加してもよい。乳化重合工程においては、さらに必要に応じて、pH緩衝剤、キレート剤、連鎖移動剤、成膜助剤等の公知の添加剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン等のチオール基を有する化合物等が挙げられる。成膜助剤としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート等が挙げられる。上記添加剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、樹脂エマルション100質量%に対し、0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%とするのがよい。
上記乳化重合工程における重合温度としては、特に限定はなく、好ましくは0〜100℃、より好ましくは40〜95℃とするのがよい。重合温度は一定であってもよいし、重合途中でもしくは各段階によって変化させてもよい。重合時間についても、特に限定はなく、反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合開始から終了まで2〜8時間の範囲とするのが好ましい。重合時の雰囲気については、重合開始剤の効率を高めるため窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが一般的である。
本発明はまた、本発明の樹脂エマルションを、顔料との混合工程のために、塗料の材料として供給する工程を含む樹脂エマルションの使用方法でもある。供給は、特に限定されず、例えば顔料との混合工程を実施する他人への譲渡であってもよい。
本発明の樹脂エマルションは、建築構造物;建設機器;自動車等の輸送機器等に用いる塗料の原料又は塗料そのものとして好適に用いることができるが、中でも、建築構造物に用いる塗料に用いることが好ましい。本発明の樹脂エマルションは、建築外装塗料に用いることがより好ましく、トップコート(又は上塗り材、例えば、外装材(建材)のトップコート)に更に好適に使用することができる。
上記外装材としては、例えば、各種建材(例えば、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボード等の無機質建材;瓦、外壁材等の窯業系建材等)等が挙げられる。窯業系建材は、例えば、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料等を添加し、得られた混合物を成形し、得られた成形体を養生し、硬化させることによって得られる。このような外装材(建材)の表面には、通常、所望の意匠を付与する等のために、上塗り材(水性塗料)が塗布されている。本発明の樹脂エマルションは、このトップコート用又は上塗り材(水性塗料)として好適に使用することができる。
本発明はまた、樹脂エマルションであって、該樹脂エマルションを構成する樹脂は、ガラス転移温度が0℃以上であり、かつ変性ポリロタキサン由来の構成単位を0.01〜1質量%含み、該変性ポリロタキサンは、環状分子と、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基をもつ鎖状分子とを有するポリロタキサンの環状分子にラジカル重合性基をもつ官能基が結合した構造を有する樹脂エマルションでもある。該樹脂エマルションを用いて得られる硬化物は、耐汚染性と伸び性とがバランス良く両立されたものである。
<本発明の塗料>
本発明はまた、本発明の塗料用樹脂エマルションを含む塗料でもある。
本発明の塗料の固形分100質量%中、樹脂エマルションの固形分は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。また、該樹脂エマルションの固形分は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の塗料を塗布する際には、例えば、スプレー、ローラー、ハケ、コテ等を用いることができる。
本発明の塗料は、更に、顔料を含有しても良い。
上記顔料としては、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。
上記有機顔料としては特に限定されないが、例えば、アゾ顔料、アゾメチン顔料、メチン顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イミノイソインドリン顔料、イミノイソインドリノン顔料、キナクリドンレッドやキナクリドンバイオレット等のキナクリドン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、アントラピリミジン顔料、カルバゾール顔料、モノアリーライドイエロー、ジアリーライドイエロー、ベンゾイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ、ナフトールオレンジ、キノフタロン顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記無機顔料としては特に限定されないが、例えば、二酸化チタン、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化鉄、酸化クロムグリーン、カーボンブラック、フェロシアン化第二鉄(プルシアンブルー)、ウルトラマリン、クロム酸鉛等をはじめ、雲母(マイカ)、クレー、アルミニウム粉末、タルク、ケイ酸アルミニウム等の扁平形状を有する顔料、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の体質顔料等が挙げられる。これらの無機顔料は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
顔料のなかでは、塗膜の隠蔽性及び経済性を向上させる観点から、無機顔料が好ましく、そのなかでも二酸化チタンがより好ましい。
本発明の塗料が上記顔料を含む場合、顔料の含有量としては、本発明の塗料中の樹脂(エマルションの原料として用いられた全単量体成分)100質量部に対し、10質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることが更に好ましく、100質量部以上であることが特に好ましい。また、該顔料の含有量は、1000質量部以下であることが好ましい。
本発明の塗料は、更にその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、添加剤としては、例えば、成膜助剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤、レベリング剤、抗酸化剤、重合禁止剤、骨材、カップリング剤、抗菌剤、金属不活性化剤、湿潤剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防錆剤、防曇剤、防食剤、防炎剤、滴下防止剤、防藻剤、防腐剤、老化防止剤、防カビ剤、難燃剤、耐熱安定剤、艶消し剤、加工安定剤等が挙げられる。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
なお、上記顔料及びその他の成分は、例えば、ディゾルバー等を用いて、本発明の樹脂エマルションと混合され得る。
本発明の塗料は、建築物;土木構造物;建設機器;自動車等の輸送機器等に好適に用いることができる。本発明の塗料は、例えば建築物に用いられる建築外装塗料であることが好ましく、トップコート(又は上塗り材、例えば、外装材(建材)のトップコート)がより好ましい。
<本発明の塗膜及びその製造方法>
本発明は更に、本発明の塗料を用いて得られる塗膜でもある。
なお、本発明は、変性ポリロタキサンを含む単量体成分を重合してなる樹脂エマルションを含む塗料を乾燥させて塗膜を得る工程を含む塗膜の製造方法でもある。
以下では、本発明の塗膜の好ましい形態について説明する。
本発明の塗膜は、厚みが10μm〜2mmであることが好ましい。
本発明の塗膜を形成する基材は、塗膜を形成することができる限り特に制限されず、鋼板等の金属材料、プラスチック材料等いずれのものであってもよい。
本発明の塗膜は、上述したように、スプレー、ローラー、ハケ、コテ等を用いて本発明の塗料を塗布することより得ることができる。
本発明の塗膜は、本発明の塗料を1層で塗工して得られるものでもよく、2層以上に重ね塗りすることによって塗工して得られるものでもよい。2層以上に重ね塗りすることによって塗工する場合、その一部の層のみが本発明の塗料によって形成されてもよく、全部の層が本発明の塗料によって形成されてもよい。重ね塗りは、例えば、プライマー処理やシーラー処理等を施した被塗物に、第1層(例えば、下塗り層)用塗料を塗布して乾燥させた後 、第2層(例えば、上塗り層)用塗料を上塗りし、乾燥させる方法等が挙げられるが、本発明はかかる方法によって限定されるものではない。
本発明の塗膜は、塗布した本発明の塗料を例えば加熱乾燥して得られるものであってもよいが、室温で乾燥することにより得られるものであることが好ましい。
本発明の塗膜は、耐汚染性と塗膜伸び性とがバランス良く両立されたものであり、建築物、土木構造物、自動車等の輸送機関等に用いることができるが、中でも建築物に用いることが好ましく、建築外装塗膜であることがより好ましい。
以下に発明を実施するための形態を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの発明を実施するための形態のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。また、複層構造型樹脂エマルションが含有する樹脂粒子の内層を芯部(コア部)とも言い、最外層を殻部(シェル部)とも言う。
以下の製造例において、各種物性等は以下のように評価した。
<不揮発分(N.V.)>
得られたエマルション約1gを秤量、熱風乾燥機で150℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所(株)製「F−71」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
B型回転粘度計(東機産業(株)製「VISCOMETER TVB−10」)を用いて、25℃、2rpmと20rpmの条件下で測定した。なお、下記表1、表2では20rpmの条件下で測定した粘度を示す。また、チキソ係数Ti(2rpmの粘度/20rpmの粘度)を算出した。
<体積平均粒子径>
動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems(株)製「NICOM P Model 380」)を用い、体積平均粒子径を測定した。
<最低造膜温度(MFT)>
熱勾配試験機の上に置いたガラス板上に0.2mmのアプリケーターで、得られた水性樹脂分散体を塗工、乾燥し、その塗膜にクラックの生じた温度を最低成膜温度(MFT)とした。
<重合体のガラス転移温度(Tg)>
重合体のTgは、各段で用いた単量体組成(ただし、変性ポリロタキサンを除く)から、下記計算式(1)を用いて算出した。
Figure 2019116594
式中、Tg′は、重合体のTg(絶対温度)である。W′、W′、・・・Wn′は、全単量体成分に対する各単量体の質量分率である。T、T、・・・Tnは、各単量体成分からなるホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(絶対温度)である。
なお、全ての段で用いた単量体組成から算出したTgを「全体」の項目において「Tg」として記載した。
上記計算式(1)により重合性単量体成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
シクロへキシルメタクリレート(CHMA):83℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
メチルメタクリレート(MMA):105℃
スチレン(St):100℃
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):55℃
アクリル酸(AA):95℃
以下の実施例及び比較例で使用する単量体、乳化剤の市販品について説明する。
アデカスタブLA−87(単にLA−87とも言う。):ヒンダートアミン系光安定性(耐候性)基含有単量体(商品名、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート:(株)ADEKA製)
アデカリアソープSR−10(単にSR−10とも言う。):ラジカル重合性基含有反応性乳化剤(商品名、エーテルサルフェート型アンモニウム塩:(株)ADEKA製)
「アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製 キー・ミクスチャーSA3400C」(単にSA3400Cとも言う。)は、環状分子としてのα−シクロデキストリンと、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基としてアダマンタン基をもつ鎖状分子(数平均分子量35,000のポリエチレングリコール)とを有するポリロタキサンの環状分子にアクリル基をもつ官能基が結合した構造を有する変性ポリロタキサンである。官能基の、アクリル基以外の部分は、ポリカプロラクトン鎖とヒドロキシプロピル基とが結合した分子鎖とヒドロキシプロピル基が結合した分子鎖である。
「アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製 キー・ミクスチャーSA2400C」(単にSA2400Cとも言う。)は、環状分子としてのα−シクロデキストリンと、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基としてアダマンタン基をもつ鎖状分子(数平均分子量20,000のポリエチレングリコール)とを有するポリロタキサンの環状分子にアクリル基をもつ官能基が結合した構造を有する変性ポリロタキサンである。官能基の、アクリル基以外の部分は、ポリカプロラクトン鎖とヒドロキシプロピル基が結合した分子鎖である。
「アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製 キー・ミクスチャーSM3400C」(単にSM3400Cとも言う。)は、環状分子としてのα−シクロデキストリンと、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基としてアダマンタン基をもつ鎖状分子(数平均分子量35,000のポリエチレングリコール)とを有するポリロタキサンの環状分子にメタクリル基をもつ官能基が結合した構造を有する変性ポリロタキサンである。官能基の、メタクリル基以外の部分は、ポリカプロラクトン鎖とヒドロキシプロピル基とが結合した分子鎖である。
「アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製 スーパーポリマー SH3400P」(単にSH3400Pとも言う。)は、環状分子としてのα−シクロデキストリンと、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基としてアダマンタン基をもつ鎖状分子(数平均分子量35,000のポリエチレングリコール)とを有するポリロタキサンの環状分子に水酸基をもつ官能基が結合した構造を有する変性ポリロタキサンである。
官能基の、水酸基以外の部分は、ポリカプロラクトン鎖とヒドロキシプロピル基とが結合した分子鎖である。
なお、ポリロタキサンの水酸基価は、72mg−KOH/gであり、ポリロタキサンの数平均分子量は、700,000である。
製造方法(A1)(1段重合用)
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水558部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水300部、乳化剤((株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10)の25%水溶液200部、シクロヘキシルメタクリレート350部、2−エチルヘキシルアクリレート334部、メチルメタクリレート189.5部、スチレン100部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート5部、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート20部((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA−87)、及び、変性ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製、商品名:セルム キー・ミクスチャーSA3400C)1.5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの90部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸アンモニウムの5%水溶液20部をフラスコ内に添加することにより、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部と過硫酸アンモニウムの5%水溶液40部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液80部を180分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水をpHが8〜9になるようにフラスコ内に添加し、重合反応を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュ(JISメッシュ、以下同じ)の金網で濾過することにより、樹脂エマルション(A1)を得た。
製造方法(A2)〜(A9)
下記表1に記載のように仕込みを変更した以外は、製造方法(A1)と同様の操作で樹脂エマルション(A2)〜(A9)を得た。
製造方法(A10)(2段重合用)
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水558部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水150部、乳化剤((株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10)の25%水溶液100部、シクロヘキシルメタクリレート107部、2−エチルヘキシルアクリレート212.5部、メチルメタクリレート127部、スチレン50部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート2.5部、及び、変性ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製、商品名:セルム キー・ミクスチャーSA3400C)1部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの90部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸アンモニウムの5%水溶液20部をフラスコ内に添加することにより、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部と過硫酸アンモニウムの5%水溶液20部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持した。
その後、脱イオン水150部、乳化剤((株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10)の25%水溶液100部、シクロヘキシルメタクリレート306.5部、2−エチルヘキシルアクリレート121部、スチレン50部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート2.5部、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA−87)20部からなる2段目のプレエマルション、過硫酸アンモニウムの5%水溶液20部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持した。
最後に、25%アンモニア水をpHが8〜9になるようにフラスコ内に添加し、重合反応を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュ(JISメッシュ、以下同じ)の金網で濾過することにより、樹脂エマルション(A10)を得た。
製造方法(A11)、(A12)
下記表1に記載のように仕込みを変更した以外は、製造方法(A10)と同様の操作で樹脂エマルション(A11)、(A12)を得た。
製造方法(A13)(3段重合用)
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水558部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水60部、乳化剤((株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10)の25%水溶液40部、シクロヘキシルメタクリレート129部、メチルメタクリレート70部及び変性ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製、商品名:セルム キー・ミクスチャーSA3400C)1部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの90部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸アンモニウムの5%水溶液20部をフラスコ内に添加することにより、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部と過硫酸アンモニウムの5%水溶液8部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液16部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持した。
その後、脱イオン水90部、乳化剤((株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10)の25%水溶液60部、シクロヘキシルメタクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレート180部、メチルメタクリレート50部、及び、スチレン50部からなる2段目のプレエマルション、過硫酸アンモニウムの5%水溶液12部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液24部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持した。
次に、脱イオン水150部、乳化剤((株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10)の25%水溶液100部、シクロヘキシルメタクリレート100部、2−エチルヘキシルアクリレート160部、メチルメタクリレート168部、スチレン50部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート2部及び2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート20部からなる3段目のプレエマルション、過硫酸アンモニウムの5%水溶液20部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持した。
最後に、25%アンモニア水をpHが8〜9になるようにフラスコ内に添加し、重合反応を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュ(JISメッシュ、以下同じ)の金網で濾過することにより、樹脂エマルション(A13)を得た。
製造方法(A14)〜(A16)
下記表1に記載のように仕込みを変更した以外は、製造方法(A13)と同様の操作で樹脂エマルション(A14)〜(A16)を得た。
製造方法(B1)〜(B5)
下記表2に記載のように仕込みを変更した以外は、製造方法(A1)と同様の操作で樹脂エマルション(B1)〜(B5)を得た。
製造方法(B6)
アクリル酸ブチル98.8質量部に2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート0.2質量部、ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製、「セルム スーパーポリマー SH3400P」)1質量部を溶解させ、60℃で8時間反応させて変性ポリロタキサンが溶解したアクリル酸ブチル溶液を得た。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機及び撹拌装置を備えた反応容器に、脱イオン水310質量部、アルケニルコハク酸ジカリウム1質量部、及び、t−ブチルヒドロペルオキシド0.2質量部と、上記で得られた変性ポリロタキサンのアクリル酸ブチル溶液を仕込み、反応容器を窒素置換したのち、55℃に昇温した。次いで、ナトリウムホルムアルデヒトスルホキシレート0.3質量部、硫酸第一鉄七水塩0.0001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0003質量部、脱イオン水10質量部を添加し、重合を開始させた。重合発熱が確認されたのち、ジャケット温度を75℃にし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間保持することで、樹脂エマルション(B6)を得た。
評価方法
以下のように各種特性(塗膜伸び性、耐汚染性、塗膜強靭性)を評価した。結果を表1及び表2に示す。
<塗膜伸び性>
・塗料作製
樹脂エマルション(A1〜A16、B1〜B6を示す)100部に、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート(JNC(株)製、品番:CS−12)7部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500rpmにて10分間撹拌した。さらに、不揮発分量が40質量%となるように適量の希釈水を添加した後、増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕の5%水溶液1部を添加し、その状態で30分間撹拌することにより、試料を調製した。
・塗膜作製及び試験
離形紙を貼りつけたガラス板(縦:150mm、横:150mm、厚さ:2mm)の端に試験膜厚が0.3mmになるようにガムテープで枠をつけた試験用基板に前記で得られた試料を塗布し、室温で24時間、80℃で48時間乾燥させた後、形成された塗膜を基板から剥離させ、ダンベル状に切り抜き(形状はJIS6909に準拠)、20℃に調温した恒温槽内で2時間入れた後、引っ張り試験機〔(株)島津製作所製、商品名:オートグラフAGS−100D〕を用いて初期標線間距離20mm、引っ張り速度200mm/minの条件で引っ張り試験を行ない、被膜の伸張率を式:
[被膜の伸張率(%)]={[破断時の伸び−20mm]÷[20mm]}×100
に基づいて調べ、以下の評価基準に基づいて被膜の伸張性を評価した。
・評価基準
◎:被膜の伸張率が120%以上
○:被膜の伸張率が100%以上〜120%未満
△:被膜の伸張率が80%以上100%未満
×:被膜の伸張率が80%未満
<耐汚染性>
・塗料作製
樹脂エマルション(A1〜A16、B1〜B6を示す)100部に、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕7部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500rpmにて10分間撹拌した後、顔料ペーストの量が樹脂粒子と顔料ペーストの合計の14体積%となるように、白色顔料ペーストを添加した。さらに、不揮発分量が50質量%となるように適量の希釈水及び適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を当該混合物に添加した後、BH型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度20rpmにおける25℃での粘度が4500mPa・sとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕の5%水溶液を当該混合物に添加し、その状態で30分間攪拌することにより、試料を調製した。
なお、白色顔料ペーストは、脱イオン水210部、分散剤〔花王(株)製、商品名:デモールEP〕60部、分散剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ディスコートN−14〕50部、湿潤剤〔花王(株)製、商品名:エマルゲンLS−106〕10部、プロピレングリコール60部、酸化チタン〔石原産業(株)製、品番:CR−95〕1000部及びガラスビーズ(直径:1mm)200部をホモディスパーで回転速度3000rpmにて60分間分散させることによって調製した。
・塗膜作製及び試験
アルミ板〔日本テストパネル(株)製、縦:400mm、横:100mm、厚さ:1mm〕に上記白色塗料を10mi1アプリケーターで塗布し、23℃で1週間乾燥させた。試験板を縦方向に半分のところ(200mm)で南面30度の傾斜がつくように折り曲げた。試験板の斜面の部位に関して初期L値(L)を色差計〔日本電色工業(株)製、品番:ZE−6000〕で測定し、JIS Z2381(大気暴露試験方法通則)に準じ、以下の条件にて屋外暴露試験を行った。6ヵ月後に試験板を引き上げ、上記色差計で試験板の斜面の部位に関してL値(L)を測定した。
−試験条件−
(南面30度、直接暴露(暴露地:大阪府吹田市/(株)日本触媒敷地内))。
・評価基準
次に、L値の変化値を式:
ΔL=(L)−(L
に基づいて求め、以下の評価基準に基づいて斜面部の耐汚染性を評価した。
[耐汚染性(斜面の耐汚染性)評価基準]
◎:ΔLが5未満
○:ΔLが5以上10未満
△:ΔLが10以上15未満
×:ΔLが15以上
<塗膜強靭性>
・塗料作製
樹脂エマルション(A1〜A16、B1〜B6を示す)100部に、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕7部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500rpmにて10分間撹拌した。さらに、不揮発分量が40質量%となるように適量の希釈水を添加した後、増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕の5%水溶液1部を添加し、その状態で30分間撹拌することにより、試料を調製した。
・塗膜作製及び試験
離形紙を貼りつけたガラス板(縦:150mm、横:70mm、厚さ:2mm)の端に試験膜厚が0.3mmになるようにガムテープで枠をつけた試験用基板に前記で得られた試料を塗布し、室温で24時間乾燥させた後、形成された塗膜を基板から剥離させ、手で引っ張り、以下の評価基準に基づいて塗膜の強靭性を評価した。
・評価基準
◎:塗膜に強い力をかけても裂けない
○:塗膜に弱い力をかけても裂けないが、強い力をかけると裂ける
×:塗膜に弱い力をかけると裂ける、または、弱い力をかけると伸びる
Figure 2019116594
Figure 2019116594
実施例の樹脂エマルションは、樹脂のガラス転移温度が高いことにより耐汚染性と塗膜強靱性に優れるとともに、樹脂に変性ポリロタキサンが適度に導入されたことにより、塗膜伸び性にも優れるものであった。上記評価基準では、耐汚染性、塗膜伸び性がいずれも△又は△より優れていればこれらの効果がバランス良く両立できていると言えるところ、実施例の樹脂エマルションは、耐汚染性、塗膜伸び性をバランス良く両立できるものであった。

Claims (8)

  1. 塗料用樹脂エマルションであって、
    該樹脂エマルションを構成する樹脂は、ガラス転移温度が0℃以上であり、かつ変性ポリロタキサン由来の構成単位を0.01〜4質量%含み、
    該変性ポリロタキサンは、環状分子と、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基をもつ鎖状分子とを有するポリロタキサンの環状分子にラジカル重合性基をもつ官能基が結合した構造を有する
    ことを特徴とする塗料用樹脂エマルション。
  2. 前記樹脂は、脂環構造を有する不飽和単量体由来の構成単位を1〜50質量%含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の塗料用樹脂エマルション。
  3. 前記樹脂は、芳香族系不飽和単量体由来の構成単位を2〜40質量%含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料用樹脂エマルション。
  4. 前記樹脂エマルションは、複層構造型樹脂エマルションである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗料用樹脂エマルション。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の塗料用樹脂エマルションを含む
    ことを特徴とする塗料。
  6. 請求項5に記載の塗料を用いて得られる
    ことを特徴とする塗膜。
  7. 塗料に用いる樹脂エマルションを製造する方法であって、
    該製造方法は、変性ポリロタキサンを固形分換算で0.01〜4質量%含む単量体成分を乳化重合して、ガラス転移温度が0℃以上である樹脂から構成される樹脂エマルションを得る工程を含み、
    該変性ポリロタキサンは、環状分子と、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基をもつ鎖状分子とを有するポリロタキサンの環状分子にラジカル重合性基をもつ官能基が結合した構造を有する
    ことを特徴とする塗料用樹脂エマルションの製造方法。
  8. 樹脂エマルションであって、
    該樹脂エマルションを構成する樹脂は、ガラス転移温度が0℃以上であり、かつ変性ポリロタキサン由来の構成単位を0.01〜1質量%含み、
    該変性ポリロタキサンは、環状分子と、環状分子の開口部を貫通し、両末端にストッパー基をもつ鎖状分子とを有するポリロタキサンの環状分子にラジカル重合性基をもつ官能基が結合した構造を有する
    ことを特徴とする樹脂エマルション。
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