以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図2における紙面に垂直な方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図2における左右方向)が示される。図1、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図2における上下方向)が、Z方向を軸として回転する水平面内の方向としてθ方向が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
まず図1を参照して、部品実装装置1の構造を説明する。部品実装装置1は、部品を基板に実装する機能を有する。基台1aの中央部には、X方向に延びた一対の搬送コンベアを備えた基板搬送機構2が配設されている。基板搬送機構2は部品実装対象の基板3を上流側装置から受け取って搬送し、以下に説明する部品搭載機構による実装作業位置に位置決め保持する。
基板搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配設されている。部品供給部4は、フィーダテーブル4a上に複数のテープフィーダ5を並設して構成されている。テープフィーダ5は、基板3に実装される部品P(図2参照)を収納したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品Pを部品搭載機構の搭載ヘッド8による取り出し位置に供給する。
次に、部品搭載機構について説明する。基台1aのX方向の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム6がY方向に沿って配設されている。Y軸ビーム6にはリニア駆動機構を備えたX軸ビーム7がY方向に移動自在に装着されている。X軸ビーム7は、X方向に沿って配設されている。X軸ビーム7にはプレート部材9がX方向に移動自在に装着されており、プレート部材9には搭載ヘッド8が保持フレーム10を介して装着されている。
搭載ヘッド8は、基板3に実装される部品Pを部品供給部4からピックアップして保持する機能を有している。搭載ヘッド8は、Y軸ビーム6、X軸ビーム7を駆動することによりX方向、Y方向へ水平移動し、保持する部品Pを基板搬送機構2に位置決め保持された基板3に搭載する部品搭載機構を構成する。そして、Y軸ビーム6、X軸ビーム7は、搭載ヘッド8を水平面内で移動させるヘッド移動機構11を構成する。
次に、図2〜4を参照して、搭載ヘッド8の構造を説明する。図2において、搭載ヘッド8は、保持フレーム10と保持フレーム10に固定されるカバー8aによって側面と上面が覆われた構造を有している。保持フレーム10の下部には、ロータ保持部12が水平方向に延出して設けられている。ロータ保持部12には、ロータである円柱形のノズルシャフト保持体13がベアリング12aを介してZ方向の回転軸CLを軸心として回転自在に保持されている(図3参照)。ノズルシャフト保持体13の上面には、回転軸CLを軸心とする保持体従動ギア14が固着されている。
ロータ保持部12の上方には、インデックス駆動モータ15が配設されている。インデックス駆動モータ15には、保持体従動ギア14とかみ合うインデックス駆動ギア15aが装着されている。保持体従動ギア14は、インデックス駆動モータ15の駆動によってインデックス駆動ギア15aを介してインデックス回転する(矢印a)。これにより、ノズルシャフト保持体13も保持体従動ギア14とともにインデックス回転する。
図4は、ノズルシャフト保持体13の水平面に沿う断面を模式的に示している。図3,4において、ノズルシャフト保持体13の回転軸CLを中心とする円周上の位置には、ノズルシャフト保持体13を上下に貫通する複数(ここでは12個)の貫通孔16が設けられている。各貫通孔16には、円柱状のノズルシャフト17がノズルシャフト保持体13に対して上下動自在に挿入されている。
図3において、貫通孔16の内周面16aの上下に離れた2箇所には、ノズルシャフト17を上下方向にガイドする軸受け18が配置されている。各ノズルシャフト17の下方にはノズルホルダ19が設けられ、ノズルホルダ19には吸着ノズル20が着脱自在に装着されている。すなわち、搭載ヘッド8は、複数(ここでは12個)の吸着ノズル20を有する。ノズルシャフト17の上端部には、略L字状の取り付け具21aがθ方向に回転自在に装着されている。取り付け具21aには、カムフォロア21が水平方向を軸心とする回転軸を外側に向けて取り付けられている。
図2において、保持フレーム10の上部には、円筒カム23を固定するカム保持部22が水平方向に延出して設けられている。円筒カム23の外周面には溝23aが設けられている。溝23aは、保持フレーム10とは反対側が高く、保持フレーム10に近づくにつれて緩やかに低くなるように設けられている。各ノズルシャフト17に取り付けられたカムフォロア21は、溝23aに沿って移動できるように円筒カム23に装着されている。
各ノズルシャフト17は、ノズルシャフト保持体13の上方に設けられたバネなどの弾性体24によって上方に付勢されている。ノズルシャフト保持体13がインデックス回転すると、ノズルシャフト17はこれに倣って水平方向に周回移動しながら円筒カム23の溝23aに沿って上下運動する。円筒カム23は、溝23aが最も低くなる箇所で一部が切除されており、その切除箇所では溝23aは途切れている。
保持フレーム10と円筒カム23の間には、部品吸着ノズル昇降機構25が配設されている。部品吸着ノズル昇降機構25は、Z方向に延びたねじ軸25a、ねじ軸25aを回転駆動する昇降モータ25b、ねじ軸25aに螺合するナット25cを含んで構成されている。ナット25cには、円筒カム23の切除箇所に沿って昇降移動可能なカムフォロア保持具25dが設けられている。カムフォロア保持具25dは、昇降モータ25bの駆動によってナット25cとともに昇降する。カムフォロア保持具25dは、切除箇所で途切れた溝23aを補完する形状を有している。従って、溝23aに沿って移動するカムフォロア21はカムフォロア保持具25dにスムーズに乗り移ることができる。
溝23aに沿って移動してきたカムフォロア21はこの位置で溝23aから外れ、溝23aと同じ高さ位置で待機するカムフォロア保持具25dに乗り移って保持される。この状態で昇降モータ25bが駆動されると、ノズルシャフト17および吸着ノズル20は、カムフォロア21とともにノズルシャフト保持体13に対して昇降する(矢印b)。なお、部品吸着ノズル昇降機構25は上記の構造に限定されることなく、ノズルシャフト17を上下運動させるものであればリニアモータを使用した構造でもエアシリンダを使用した構造でもよい。
このように、カムフォロア保持具25dがカムフォロア21を保持するノズルシャフト17の位置は、当該ノズルシャフト17が昇降する第1ステーションS1となっている。図4において、ノズルシャフト保持体13がインデックス回転(ここでは30度ずつ回転)して停止する12箇所の位置を、第1ステーションS1から順に時計回りで第nステーションSn(n=1,2,・・・,12)と称する。すなわち、ノズルシャフト保持体13に挿入されたノズルシャフト17の下部に装着される12個の吸着ノズル20は、ノズルシャフト保持体13がインデックス回転する毎に、第nステーションSnから隣の第n+1ステーションSn+1に移動して、第12ステーションS12の次は第1ステーションS1に戻ってくる。
図3において、ノズルシャフト保持体13の上面には、ノズルシャフト保持体13の回転軸CLを中心とする取り付け穴13aが設けられている。円筒カム23を上下に貫く円柱状の回転体26は、その先端部26aを取り付け穴13aにベアリング26bを介して嵌入させることで、ノズルシャフト保持体13に対して回転自在に配設されている。
回転体26の上端部付近には、回転軸CLを軸心とするθ回転従動ギア27が固着されている。円筒カム23の上方には、θ回転従動ギア27とかみ合うθ回転駆動ギア28aが装着されたθ回転モータ28が配置されている。θ回転従動ギア27は、θ回転モータ28の駆動によってθ回転駆動ギア28aを介してθ方向に回転する。これにより、回転体26は、θ回転従動ギア27とともにθ方向に回転する(矢印c)。
回転体26におけるノズルシャフト保持体13と円筒カム23の間には、ノズルシャフト17の昇降ストロークに対応させて上下方向に長く伸びたノズル駆動ギア29が固着されている。各ノズルシャフト17には、ノズル駆動ギア29とかみ合う位置にノズル回転ギア30が固着されている。各ノズルシャフト17は、ノズル駆動ギア29の駆動によってノズル回転ギア30を介して一斉にθ方向に回転する(矢印d)。
図2において、ロータ保持部12には、インデックス回転して第3ステーションS3に停止している吸着ノズル20の先端20aを含むその周囲を側面から撮像する側面撮像カメラ31が設けられている。吸着ノズル20の先端20aに部品Pが吸着されている場合、側面撮像カメラ31は、吸着ノズル20の先端20aの周囲と吸着された部品Pを側面から同時に撮像する。側面撮像カメラ31は、ノズルシャフト保持体13がインデックス回転する毎に、相対的に移動して第3ステーションS3に停止する吸着ノズル20の先端20aを順次撮像する。
すなわち、側面撮像カメラ31は、搭載ヘッド8と一体的に設けられ、複数の吸着ノズル20に対して相対的に移動することで複数の吸着ノズル20のそれぞれの先端20aの周囲を順次側面から撮像する。側面撮像カメラ31は、吸着ノズル20を撮像するカメラ31aと、吸着ノズル20の像をカメラ31aに導くミラー31bを含んで構成される。部品を基板3に搭載する際は、側面撮像カメラ31による吸着ノズル20が吸着する部品Pの認識結果を加味し、ノズルシャフト17の下降位置(部品Pの搭載高さ)を補正する搭載高さ補正が行われる。
次に、図3,4を参照して搭載ヘッド8の空気流路について説明する。図3において、ノズルシャフト保持体13の内部には、ノズルシャフト保持体13の上部中央に設けられた取り付け穴13aの上面に開口し、回転軸CLに沿う縦方向に共通流路13bが設けられている。共通流路13bは、取り付け穴13aに嵌入する回転体26の内部に設けられた回転体内孔26cに連通する。回転体内孔26cは、回転体26の上端部に接続された管32を介して負圧発生源(図示省略)に通じている(矢印e)。
図4において、ノズルシャフト保持体13の内部において共通流路13bと各貫通孔16の間には、バルブユニット33(ここでは12個)がそれぞれ配設されている。各バルブユニット33は、ノズルシャフト保持体13の内部に形成された保持体横孔13cを介して共通流路13bに連通している。また、各バルブユニット33は、ノズルシャフト保持体13の内部に形成された接続孔13d、各貫通孔16の連通隙間16b、ノズルシャフト17の外周面17aに貫通して開口する開口部17c、ノズルシャフト17の内部のシャフト内穴17b、吸着ノズル20の内部に設けられたノズル内孔を介して吸着ノズル20の先端20aと連通している。
また、各バルブユニット33は、それぞれノズルシャフト保持体13の内部に形成された上側接続管路13e、下側接続管路13f、正圧接続管路13gを介して、ノズルシャフト保持体13の底面に形成された上側接続口34a、下側接続口34b、正圧接続口34cに連通している。第1ステーションS1及び第4ステーションS4のノズルシャフト保持体13の下方には、それぞれエア供給部35A,35Bが配設されている。ノズルシャフト保持体13がインデックス回転して第1ステーションS1に停止すると、ノズルシャフト17の上側接続口34a、下側接続口34b、正圧接続口34cは、エア供給部35Aの上側供給路35Aa、下側供給路35Ab、正圧供給路35Acに、パッド36を介してそれぞれ接続される。
第4ステーションS4に停止したノズルシャフト17の上側接続口34a、下側接続口34b、正圧接続口34cは、エア供給部35Bの上側供給路35Ba、下側供給路35Bb、正圧供給路35Bcに、パッド36を介してそれぞれ接続される。上側供給路35Aa,35Ba、下側供給路35Ab,35Bbは、それぞれ開閉弁V(図5参照)を介して正圧発生源(図示省略)に通じている。開閉弁Vを制御することにより、所定のタイミングで上側供給路35Aa,35Ba、下側供給路35Ab,35Bbに個別に正圧が供給される。正圧供給路35Ac,35Bcには、常時、大気圧が供給されている。
図4において、各バルブユニット33は、上側接続口34a、下側接続口34bから供給される正圧によって内部の経路を切り換え、接続孔13dに共通流路13bから供給される負圧を供給する「負圧供給状態」、または、接続孔13dに正圧供給路35Ac,35Bcから供給される大気圧を供給する「大気圧供給状態」に切り替えて設定する機能を有している。「負圧供給状態」では、吸着ノズル20の先端20aに負圧が供給されて、先端20aに部品Pを吸着することができる。すなわち、バルブユニット33は、吸着ノズル20の先端20aへの真空の供給を開閉する真空バルブとなる。
「大気圧供給状態」では、吸着ノズル20の先端20aに大気圧が供給される。また「大気圧供給状態」では、共通流路13bと接続孔13d間の経路が遮断されるため、吸着ノズル20の先端20aから共通流路13bに大気が流入(真空リーク)することはない。またバルブユニット33は、下側ポート33bまたは上側ポート33aへの正圧供給が止まると、「負圧供給状態」または「大気圧供給状態」を維持するようになっている。
例えば、第1ステーションS1においてバルブユニット33が「負圧供給状態」に設定されて吸着ノズル20が部品Pを吸着したノズルシャフト17は、ノズルシャフト保持体13がインデックス回転して第1ステーションS1から外れても、継続して部品Pを保持することができる。また例えば、第4ステーションS4においてバルブユニット33が「大気圧供給状態」に設定されたノズルシャフト17は、ノズルシャフト保持体13がインデックス回転して第4ステーションS4から外れても、負圧発生源に通じる経路が遮断された状態が維持される。
次に図5を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1が備える制御装置40は、CPU機能を備える演算処理装置である。制御装置40は、機構制御部41、装置記憶部42、カメラ指示部43、厚み算出部44、処理範囲設定部45、部品吸着処理部46、部品搭載処理部47、表示処理部48を備えている。装置記憶部42は、機構制御部41による各部の制御に必要な実装作業パラメータの他、判断結果データ42a、2次画像データ42b、厚みデータ42cなどを記憶する。機構制御部41は、基板搬送機構2の作動制御を行って基板3を搬送して実装作業位置に位置決め保持させ、テープフィーダ5の作動制御を行って部品取り出し位置に部品Pを供給させる。
また機構制御部41は、ヘッド移動機構11の作動制御を行って搭載ヘッド8を水平面内で移動させる。また機構制御部41は、インデックス駆動モータ15、昇降モータ25b、θ回転モータ28の作動制御を行って、ノズルシャフト保持体13をインデックス回転させ、第1ステーションS1に位置するノズルシャフト17を昇降させ、各ノズルシャフト17を一斉にθ回転させる。また機構制御部41は、開閉弁Vの動作を制御して、第1ステーションS1及び第4ステーションS4に位置するバルブユニット33を「負圧供給状態」又は「大気圧供給状態」に設定する。
図5において、カメラ指示部43は側面撮像カメラ31に対して各種処理の指示を行う。側面撮像カメラ31は、画像を撮像するカメラ31aの他、カメラ動作制御部50、カメラ記憶部51、部品有無判断部52を備えている。カメラ動作制御部50は、カメラ指示部43からの指示を受けて、第3ステーションS3に位置する吸着ノズル20の先端20aの画像をカメラ31aによって撮像する。カメラ記憶部51は、処理範囲データ51a、1次画像データ51bを記憶する。
カメラ31aによって撮像された画像は1次画像データ51bとしてカメラ記憶部51に一時保存された後、制御装置40に送信され、撮像された吸着ノズル20に紐付けされて装置記憶部42に2次画像データ42bとして記憶される。部品有無判断部52は、カメラ31aにより撮像されている画像データに基づき、吸着ノズル20の先端20aに吸着された部品Pの有無を判断する部品有無判断処理を実行する。判断結果は制御装置40に送信され、判断された吸着ノズル20に紐付けされて装置記憶部42に判断結果データ42aとして記憶される。すなわち、部品有無判断部52は、側面撮像カメラ31で得られた画像データに基づき、吸着ノズル20の先端20aに吸着された部品Pの有無を判断する判断部となる。
部品有無判断部52は、側面撮像カメラ31又は搭載ヘッド8に設けられている。すなわち、部品有無判断部52(判断部)は、搭載ヘッド8又は側面撮像カメラ31に設けられた制御部である。そして、部品有無判断部52は、カメラ31aが1次画像データ51bとなる画像を撮像している途中に、その画像データを基に部品Pの有無を判断する。すなわち、部品有無判断部52による部品Pの有無判断は、取得された1次画像データ51bを制御装置40に送信する前に完了しているため、制御装置40において同様の判断を実行する場合よりも高速に判断することができる。
ここで図6,7を参照して、部品有無判断処理について説明する。部品有無判断処理には、画像の平均輝度値に基づく判断とコントラスト値に基づく判断がある。まず図7を参照して、平均輝度値に基づく部品有無判断処理について説明する。図6(a)は、部品Pを吸着した部品有りの吸着ノズル20を側面撮像カメラ31によって撮像した撮像視野VFの画像を示している。図6(b)は、部品Pを吸着していない部品無しの吸着ノズル20を側面撮像カメラ31によって撮像した撮像視野VFの画像を示している。撮像視野VFの画像内には、点線で示す長方形の処理範囲Rが設定されている。処理範囲Rは、例えば撮像視野VF内の長方形の4つの頂点の座標として処理範囲データ51aに記憶されている。
側面撮像カメラ31の画像において、部品Pがある領域は部品Pで反射する光によって輝度が高い。そのため、図6(a)に示す部品有りの場合、処理範囲Rの平均輝度値は高くなる(明るい)。一方、図6(b)に示す部品無しの場合、処理範囲Rの平均輝度値は低い(暗い)。部品有無判断部52は、カメラ31aが1次画像データ51bとなる画像を撮像している途中に、処理範囲R内の全画像データが得られると処理範囲R内の平均輝度値を算出し、所定値よりも高い(明るい)場合は部品有りと判断し、所定値よりも低い(暗い)場合は部品無しと判断する。このように、部品有無判断部52(判断部)は、画像データにおける予め設定された処理範囲R内の平均輝度値に基づき、部品Pの有無を判断する。
なお、上記は反射方式により認識した場合で説明したが、透過方式の照明により認識した場合には、部品有りの場合には処理範囲Rの平均輝度値は低くなり(暗い)、部品無しの場合には処理範囲Rの平均輝度値は高くなる(明るい)。この場合も、部品有無判断部52(判断部)は、画像データにおける予め設定された処理範囲R内の平均輝度値に基づき、部品Pの有無を判断する。
次に図7を参照して、コントラスト値に基づく部品有無判定処理について説明する。図7(a)は部品有りの場合、図7(b)は部品無しの場合の吸着ノズル20を側面撮像カメラ31によって撮像した撮像視野VFの画像を示している。図7と同様に、撮像視野VFの画像内には、点線で示す長方形の処理範囲Rが設定されている。カメラ31aは最上段を左から右に走査し、順に下方に一段ずつ下がりながら左から右に走査して撮像する。処理範囲Rの画素IEは、部品Pが有る場所は輝度が高く(明るく)、部品Pが無い場所は輝度が低くなる(暗い)。
図7(a)に示す部品有りの場合、部品P上では輝度が高い画素IEが所定数連続して出現する。図7(b)に示す部品無しの場合、輝度が高い画素IEは連続して出現しない。すなわち、部品Pが有る場合は走査線SL上に輝度の明暗差(コントラスト)が発生し、部品Pが無い場合は輝度の明暗差は生じない。部品有無判断部52は、カメラ31aが1次画像データ51bとなる画像を撮像している途中に、処理範囲R内の走査線SL上の画素IEの輝度を計測し、所定値以上のコントラスト(明暗差)が発生すると部品有りと判断し、所定値以上のコントラストが発生しない場合は部品無しと判断する。このように、部品有無判断部52(判断部)は、画像データにおける予め設定された処理範囲R内のコントラスト値に基づき、部品Pの有無を判断する。
なお、上述したように、透過方式の照明により認識した場合には、部品有りの場合には輝度値は低くなり(暗い)、部品無しの場合には輝度値は高くなる(明るい)。この場合も、部品有無判断部52(判断部)は、画像データにおける予め設定された処理範囲R内のコントラスト値に基づき、部品Pの有無を判断する。
図5において、厚み算出部44は、1次画像データ51bが転送されて装置記憶部42に記憶された2次画像データ42bを画像処理して、吸着ノズル20の先端20aに吸着された部品Pの厚みTを算出する厚み算出処理を実行する。すなわち、厚み算出部44は、側面撮像カメラ31で得られた2次画像データ42b(画像データ)に基づき、吸着ノズル20の先端20aに吸着された部品Pの厚みTを算出する算出部となる。ここで図8に示す2次画像データ42bを参照して、部品の厚みTについて説明する。厚み算出部44は、画像処理により吸着ノズル20の先端20aの位置と吸着された部品Pの下面Paの位置を認識し、両位置の差分を算出して部品Pの厚みTとする。
算出された部品Pの厚みTは、撮像された吸着ノズル20に紐付けされて装置記憶部42に厚みデータ42cとして記憶される。このように、厚み算出部44(算出部)は、部品実装装置1の本体に設けられた制御部であり、部品有無判断部52(判断部)における部品Pの有無の判断と厚み算出部44(算出部)における部品Pの厚みTの算出は、同じ画像データ(1次画像データ51b、2次画像データ42b)に基づき行われる。
処理範囲設定部45は、部品有無判断処理で使用される処理範囲Rを、搭載ヘッド8が有する複数(ここでは12個)の吸着ノズル20のそれぞれについて決定する処理範囲設定処理を実行する。処理範囲設定部45は、ノズルシャフト保持体13をインデックス回転させて、部品Pを吸着していない吸着ノズル20を順に第3ステーションS3に位置させ、側面撮像カメラ31によって吸着ノズル20の先端20aを含む画像を撮像する。図9(a),(b)に、撮像された画像データの例を示す。処理範囲設定部45は、得られた画像データを画像処理して吸着ノズル20の先端20aの位置を認識し、認識された吸着ノズル20の先端20aを含む所定の範囲を処理範囲Rと設定する。
図9(a),(b)に示すように、吸着ノズル20の先端20aの位置は、吸着ノズル20自体の作製誤差、吸着ノズル20のノズルホルダ19への装着誤差などで生じる各種の要因によって、吸着ノズル20毎に異なっている。図9(a)は吸着ノズル20の先端20aが撮像視野VFにおける高めの位置に位置する例を示し、図9(b)は吸着ノズル20の先端20aが撮像視野VFにおける低めの位置に位置する例を示している。処理範囲設定部45は、搭載ヘッド8に装着される全ての吸着ノズル20に対して処理範囲Rを設定し、吸着ノズル20に紐付けした処理範囲データ51aとしてカメラ記憶部51に記憶させる。すなわち、画像データにおける予め設定された処理範囲Rは、吸着ノズル20に部品Pが無い状態での画像データに基づき、複数の吸着ノズル20のそれぞれについて設定される。
図5において、部品吸着処理部46は、テープフィーダ5、ヘッド移動機構11、インデックス駆動モータ15、昇降モータ25b、θ回転モータ28、開閉弁Vを制御して、テープフィーダ5の取り出し位置に供給させた部品Pを、順に第1ステーションS1に位置させた吸着ノズル20でピックアップする部品吸着処理を制御する。
部品搭載処理部47は、ヘッド移動機構11、インデックス駆動モータ15、昇降モータ25b、θ回転モータ28を制御して、吸着ノズル20が吸着している部品Pを、順に部品実装作業位置に位置決め保持された基板3上の所定の搭載位置に搭載する部品搭載処理を制御する。部品搭載処理部47は、部品搭載処理において、装置記憶部42に記憶される厚みデータ42cに基づいて、吸着ノズル20の下降量(部品Pの搭載高さ)を補正して部品Pを搭載する。表示処理部48は、部品実装装置1の操作に必要な情報、側面撮像カメラ31が撮像した2次画像データ42bなどを制御装置40に繋がるモニタ等の画像表示装置49に表示させる。
次に図10〜13を参照しながら部品実装装置1における部品実装方法について説明する。図10において、処理範囲設定部45は、部品Pを吸着していない吸着ノズル20を順に第3ステーションS3に位置させ、側面撮像カメラ31によって吸着ノズル20の先端20aを含む画像を撮像する。そして処理範囲設定部45、撮像した画像データに基づきそれぞれの吸着ノズル20について処理範囲Rを設定する処理範囲設定処理を実行する(ST1:処理範囲決定工程)。設定された処理範囲Rは、処理範囲データ51aとしてカメラ記憶部51に記憶される。
次いで部品吸着処理部46は、ノズルシャフト保持体13(ロータ)を30度インデックス回転させる(ST2:第1インデックス回転工程)。この時点の状態を、図12に示す。図12において、第1ステーションS1に位置する吸着ノズル20を第1吸着ノズル20(1)として、以下反時計回りに第2吸着ノズル20(2)から第12吸着ノズル20(12)と定義する。ノズルシャフト保持体13は、インデックス回転する度に時計回りに30度ずつ回転する(矢印f)。また、図12に示す状態を図13におけるロータインデックスI0と定義し、便宜上、図13では第1吸着ノズル20(1)をN1と表す。
図10において、次いで部品吸着処理部46は、部品吸着処理を実行する(ST3:部品吸着処理工程)。次に図11を参照して、部品吸着処理工程(ST13)を詳細に説明する。図11において、まず部品吸着処理部46は、第1ステーションS1に位置する第1吸着ノズル20(1)にテープフィーダ5が供給する部品Pを吸着させる(ST11:部品吸着工程)。この時点で、第1吸着ノズル20(1)のバルブユニット33は「負圧供給状態」に設定されており、第1吸着ノズル20(1)の先端20aには真空が供給されている。図13では、「負圧供給状態」の吸着ノズル20に斜線ハッチングを付している。
次いで部品吸着処理部46は、ノズルシャフト保持体13をインデックス回転させる(ST2)。これで図13に示すロータインデックスI1の状態となり、第1吸着ノズル20(1)が第2ステーションS2に移動し、第2吸着ノズル20(2)が第1ステーションS1に位置する。次いで部品吸着処理部46は、第2吸着ノズル20(2)に部品Pを吸着させる(ST11)。これにより、第2吸着ノズル20(2)の先端20aには真空が供給される。
次いで部品吸着処理部46は、ノズルシャフト保持体13をインデックス回転させる(ST2)。これで図13に示すロータインデックスI2の状態となり、第1吸着ノズル20(1)が第3ステーションS3に、第2吸着ノズル20(2)が第2ステーションS2に移動し、第3吸着ノズル20(3)が第1ステーションS1に位置する。次いで部品吸着処理部46は、第3吸着ノズル20(3)に部品Pを吸着させる(ST11)。これにより、第3吸着ノズル20(3)の先端20aには真空が供給される。
図11において、部品吸着工程(ST11)と並行して、部品有無判断部52は、第1吸着ノズル20(1)を側面撮像カメラ31で撮像し(ST12)、第1吸着ノズル20(1)が部品Pを吸着しているか否かを判断する部品有無判断処理を実行する(ST13:部品有無判断工程)。第1吸着ノズル20(1)が部品Pを吸着していると判断されると(ST13においてYes)、厚み算出部44は2次画像データ42bに基づいて第1吸着ノズル20(1)が吸着している部品Pの厚みTを算出する厚み算出処理を実行する(ST14:厚み算出工程)。
すなわち、部品実装装置1は、第1吸着ノズル20(1)により部品Pの吸着動作を実施した(ST11)後に、部品有無判断部52(判断部)により第1吸着ノズル20(1)の先端20aに部品Pが有ると判断された場合には(ST13においてYes)、厚み算出部44(算出部)により第1吸着ノズル20(1)が吸着する部品Pの厚みTを算出する(ST14)。このように、側面撮像カメラ31による撮像(ST12)、部品有無判断工程(ST13)、厚み算出工程(ST14)は、部品実装装置1による部品有無判断方法を構成する。
側面撮像カメラ31により1次画像データ51bが取得されると、部品吸着処理部46は、厚み算出処理(ST14)の完了前であっても、次の第1インデックス回転工程(ST2)が実行可能な場合は第1インデックス回転工程(ST2)を実行させる。すなわち、厚み算出工程(ST14)と、第1インデックス回転工程(ST2)、部品吸着工程(ST11)、側面撮像カメラ31による撮像(ST12)は、並行して実行される。
以降、全ての吸着ノズル20で部品吸着処理が完了しない間は(ST4においてNo)、第1インデックス回転工程(ST2)と部品吸着処理工程(ST3)が繰り返して実行される。すなわち図13において、ロータインデックスI3では、部品吸着処理部46は第4吸着ノズル20(4)に部品Pを吸着させ(ST11)、部品有無判断部52は第2吸着ノズル20(2)が部品Pを吸着しているか否かを判断する(ST13)。
図13において、ロータインデックスI4では、部品有無判断処理で第3吸着ノズル20(3)が部品Pを吸着していなと判断されている(ST13においてNo)。その場合、第3吸着ノズル20(3)が第4ステーションS4に移動するロータインデックスI5において、部品吸着処理部46は、第3吸着ノズル20(3)のバルブユニット33を「負圧供給状態」から「大気圧供給状態」に切り替える。すなわち、部品吸着処理部46は、第3吸着ノズル20(3)の先端20aに真空を供給する真空バルブ(バルブユニット33)を閉じる(ST15:真空バルブ閉工程)。
すなわち、第3吸着ノズル20(3)により部品Pの吸着動作を実施した(ST11)後に、部品有無判断部52(判断部)により第3吸着ノズル20(3)の先端20aに部品Pが無いと判断された場合には(ST13においてNo)、第3吸着ノズル20(3)の先端20aに真空を供給する真空バルブ(バルブユニット33)が閉じられる(ST15)。これにより、部品Pを吸着していない第3吸着ノズル20(3)の先端20aから真空リーク(大気が流入)して共通流路13bの圧力が上昇し、部品Pを吸着している第1吸着ノズル20(1)などが吸着力の低下により部品Pを落下させるという問題が発生することを防止できる。
また、部品有無判断処理において第3吸着ノズル20(3)が部品Pを吸着していなと判断された場合(ST13においてNo)、厚み算出部44による第3吸着ノズル20(3)に対する厚み算出処理は実行されない。すなわち、第3吸着ノズル20(3)により部品Pの吸着動作を実施した(ST11)後に、部品有無判断部52(判断部)により第3吸着ノズル20(3)の先端20aに部品Pが無いと判断された場合には(ST13においてNo)、真空バルブ(バルブユニット33)を閉じることと並行して厚み算出部44(算出部)による第3吸着ノズル20(3)における部品Pの厚みTの算出が停止される(厚み算出処理が実行されない)。
これにより、厚み算出部44は第3吸着ノズル20(3)に対する厚み算出処理をキャンセルして、第4吸着ノズル20(4)に対する厚み算出処理を繰り上げて開始することができる。図13の例では、第6吸着ノズル20(6)、第10吸着ノズル20(10)が部品Pを吸着していないと判断され(ST13においてNo)、それぞれ、ロータインデックスI8、ロータインデックスI12において真空バルブ(バブルユニット33)が閉じられる(ST15)。そして、第6吸着ノズル20(6)、第10吸着ノズル20(10)に対する厚み算出処理はキャンセルされて、第7吸着ノズル20(7)、第11吸着ノズル20(11)の厚み算出処理が繰り上げ実行される。
なお、部品有無判断処理(ST13)において部品Pを吸着している(Yes)と判定された吸着ノズル20(例えば、第1吸着ノズル20(1)など)は、第4ステーションS4での真空バルブ(バルブユニット33)の動作変更は実行されずに「負圧供給状態」が維持される。
図10において、ロータインデックスI11における第12吸着ノズル20(12)に対する部品吸着処理をもって、全ての吸着ノズル20に対する部品吸着処理が完了すると(ST4においてNo)、部品搭載処理部47は、ノズルシャフト保持体13(ロータ)を30度インデックス回転させる(ST5:第2インデックス回転工程)。これにより、第1吸着ノズル20(1)が一周して第1ステーションS1に位置することになる(ロータインデックスI12)。
次いで部品搭載処理部47は、第1吸着ノズル20(1)が吸着する部品Pを基板3上の所定の搭載位置に搭載する部品搭載処理を実行する(ST6:部品搭載処理工程)。部品搭載処理では、厚み算出工程(ST14)で得られた部品Pの厚みT(厚みデータ42c)に基づいて、各吸着ノズル20の搭載高さ補正が行われる。なお、第3ステーションS3における部品有無判断処理(ST13)、及び第4ステーションS4における真空バルブ(バルブユニット33)を閉じる処理(ST15)は、全ての吸着ノズル20(第12吸着ノズル20(12)まで)の処理が完了するまで、第1ステーションS1における部品搭載処理と並行して実行される。
以降、全ての吸着ノズル20で部品装着処理が完了しない間は(ST7においてNo)、第2インデックス回転工程(ST5)と部品搭載処理工程(ST6)が繰り返して実行される。すなわち、吸着ノズル20が吸着している部品Pが順に基板3上の所定の搭載位置に搭載される。その際、部品Pを吸着していない第3吸着ノズル20(3)、第6吸着ノズル20(6)、第10吸着ノズル20(10)では、部品搭載処理工程(ST6)はスキップされて次の第2インデックス回転工程(ST5)が実行される。
図10において、全ての吸着ノズル20(第12吸着ノズル20(12)まで)について部品搭載処理が完了すると(ST7においてYes)、第1インデックス回転工程(ST2)に戻って、部品吸着処理が実行される。
上記説明したように本実施の形態の部品実装装置1は、複数の吸着ノズル20を有する搭載ヘッド8と一体的に設けられ、複数の吸着ノズル20に対して相対的に移動することで吸着ノズル20の先端20aの周囲を順次側面から撮像する側面撮像カメラ31を備えている。そして、部品有無判断部52(判断部)によって、側面撮像カメラ31で得られた1次画像データ51bに基づき、吸着ノズル20の先端20aに吸着された部品Pの有無を判断し、厚み算出部44によって、側面撮像カメラ31で得られた2次画像データ42bに基づき、吸着ノズル20の先端20aに吸着された部品Pの厚みTを算出している。
このように、部品Pの有無の判断を部品Pの厚みTを算出する制御部(厚み算出部44)とは別の制御部(部品有無判断部52)によって実行することにより、吸着ノズル20における部品Pの有無を高速に判断することができる。
なお、実施の形態においては、吸着ノズル20が円周上に配置された、いわゆるロータリー型の搭載ヘッド8を例に挙げて説明したが、これに限らず、吸着ノズル20が直線状に複数配置されたタイプの搭載ヘッドにも本発明を適用しても良い。その場合、例えば、直線状に配置された吸着ノズル20に対して移動可能な側面撮像カメラ31を搭載ヘッドに一体的に設けるようにしても良い。
なお、実施の形態にて説明した部品有無判断の処理については、第1ステーションS1における部品Pの吸着動作後の吸着ノズル20の先端20aの部品Pの有無の判断、すなわち部品吸着ミスの判断に利用しているが、それに限定されることはない。例えば、第1ステーションS1における部品Pの搭載動作の後に、吸着ノズル20が部品Pを搭載せずに持ち帰ってしまう現象、いわゆる部品の持ち帰りの判断に利用しても良い。