JP2019114310A - 光ディスク及び光ディスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
「光ディスクの端面」とは、図1に示すように、光ディスクの端部を構成する面であって、一方の基板の上記片面(外側面)端部の位置と他方の基板の上記片面(外側面)端部の位置とを基準線(図1に示すような、光ディスクの中心軸と直交する一点破線)として、その間に存在する面(図1中、太い実線で示された面)をいう。
「断面視において、前記光ディスクの端面における凹凸差」とは、図1に示すように、断面視における端面において、光ディスクの中心軸から端面の最も突出した部分までの距離(L1)と、光ディスクの中心軸から端面の最も窪んだ部分までの距離(L2)との差(ΔL=L1−L2)をいう。
「平均値」とは、光ディスクの外周の少なくとも4箇所(好ましくは8箇所)において、それぞれ断面視における端面の凹凸差を測定し、得られた凹凸差を平均したものをいう。この場合の「4箇所」の位置は任意であるが、例えば図2に示すように、光ディスクの外周を周方向に略4等分する4等分線と、光ディスクの外周との交点である4箇所とする。
「平面視において、前記光ディスクの端面における凹凸差」とは、図3に示すように、平面視において、光ディスクの中心軸から光ディスクの外周のうち中心軸から最も遠い部分までの長さ(R1)と、光ディスクの中心軸から光ディスクの外周のうち中心軸に最も近い部分までの長さ(R2)との差(ΔR=R1−R2)をいう。
図4に光ディスク100の構成を概略的に示す。図4(A)が断面図であってディスク端部近傍を拡大した図、図4(B)が平面図である。図4に示すように、光ディスク100は、基板1の片面側に記録層2を有し、該基板1の反対面側に貼り合せ面を有する記録基板10が、一対にして貼り合されている。光ディスク100は、断面視において、光ディスク100の端面における凹凸差(ΔL、図1参照)の平均値が120μm以下であることに一つの特徴を有する。
図5に示すように、一対の記録基板10、10は、それぞれ、基板1と、基板の片面側に設けられた記録層2を有しており、基板1の反対面側が貼り合せ面とされる。
基板1は、光ディスクの基板として公知のものをいずれも採用可能である。基板1を構成する材質は、光ディスクとしての機能を確保可能な材質であればよい。例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。中でも強度や透明性等の観点からポリカーボネート系樹脂からなることが好ましい。基板1の形状は規格に応じて適宜決定すればよく、例えば平面視において中心部に穴を有する円盤状であることが好ましい。
記録層2は、光ディスクの記録層として公知のものをいずれも採用可能である。記録層2は多層構造であってもよい。非書換型の場合、記録層2は半透明な酸化物層を有する。一方、書換型の場合、記録層2は不透明な金属層を有する。本開示の光ディスク100においては、記録層2の形態によらず、上記課題を解決することができる。記録層2の構成は自明であり、ここではこれ以上の説明を省略する。
本開示の光ディスク100は、少なくとも上記の基板1及び記録層2を有する記録基板10が1対にして貼り合されていればよい。光ディスク100は、これら以外の層を有していてもよい。例えば、図1及び4に示すように、光ディスク100は、記録基板10の片面側及び端面にカバー層20及びハードコート層30が設けられており(例えば、記録基板10の片面側及び端面において、ハードコート層30がカバー層20を介して設けられており)、記録基板10、10の貼り合せ面同士が接着層40を介して貼り合せられており、光ディスク100の端面が、カバー層20及び/又はハードコート層30と接着層40とによって構成されていることが好ましい。特に、図4に示すように、光ディスク100の端面がハードコート層30と接着層40とによって構成されていることが好ましい。
カバー層20は、光ディスクの読み取り面のキズやへこみ等を防止するためのもので、公知のものをいずれも採用可能である。例えば、カバー層20には、紫外線硬化樹脂などの感光性樹脂を硬化してなる樹脂層を適用することができる。この樹脂層の材料としては、例えば、紫外線硬化型のアクリル系樹脂が挙げられる。カバー層20は、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリレート化合物以外のエチレン性不飽和化合物、スリップ剤、及び光重合開始剤を含む硬化物層であることが好ましい。
ハードコート層30は、光ディスクの読み取り面のキズや汚れを防止するためのもので、公知のものをいずれも採用可能である。例えば、特許文献1に開示されているように、ハードコート層30には、機械的強度を向上させるためにシリカゲルの微粉末を混入したものや、溶剤タイプ、無溶剤タイプなどの紫外線硬化樹脂を用いることができる。ハードコート層30は、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリレート化合物以外のエチレン性不飽和化合物、スリップ剤、及び光重合開始剤を含む硬化物層であることが好ましい。硬化物層を構成する各成分のモノマー種や組成比を調整することで、カバー層20よりも硬質な層とすることができる。ハードコート層として高い表面保護効果を発揮できることに加えて、後述の接着層40のハジキに対するレべリング剤による効果がより顕著となるためである。
接着層40は両面型の光ディスクにおいて記録基板同士を接着可能な成分を含むものであればよい。特に、接着層40は、紫外線硬化樹脂を含むことが好ましい。紫外線硬化樹脂の具体例は特に限定されるものではなく、一般的な紫外線硬化樹脂をいずれも採用可能である。たとえば、カチオン重合系やラジカル重合系の紫外線硬化樹脂が挙げられるが、特に、ラジカル重合系の紫外線硬化樹脂が好ましい。接着層40の厚みも特に限定されるものではなく、記録基板10、10を適切に接着可能な厚みであればよい。接着強度と接着成分の硬化の容易性との両立等を考慮した場合、例えば、接着層40の厚み(図5のT2)を10μm以上100μm以下とすることが好ましい。下限がより好ましくは20μm以上、上限がより好ましくは80μm以下であり、特に好ましくは40μmである。接着層40は記録基板10の貼り合せ面の全面に設けられていることが好ましい。
上述の通り、本開示の光ディスク100は、その端面における凹凸差(ΔL)の平均値が120μm以下であることに一つの特徴を有する。このように、端面における凹凸差を小さくすることで、ディスク外周部をつかむ形で機械的に高速ハンドリングした場合においても、応力集中等が生じ難く、ディスク端面の割れや剥離が生じ難い。特に、本開示の光ディスク100は、その端面における凹凸差(ΔL)が、光ディスク100の外周のいずれの箇所においても、120μm以下であることが好ましい。このように、ディスクの外周全体に亘って、端面における凹凸差を小さくすることで、上記の効果がより顕著となる。
凹凸差(ΔL)の平均値は、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下である。また、端面における凹凸差(ΔL)が、光ディスク100の外周のいずれの箇所においても、100μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは40μm以下である。
尚、光ディスク100には、基板1及び記録層2を有する記録基板10と、カバー層20と、ハードコート層30と、接着層40とのほかに、上記課題を解決できる範囲で、何らかの層を備えていてもよい。例えば、記録基板10において基板1と記録層2との間に何らかの中間層を備えていてもよいし、記録層2とカバー層20との間に何らかの中間層を備えていてもよいし、カバー層20とハードコート層30との間に何らかの中間層を備えていてもよいし、基板1と接着層3との間に何らかの中間層を備えていてもよい。
上述したように、従来の光ディスクにおいては、接着層のハジキによって端面の凹凸差が大きくなる場合がある。これに対し、上述したように、接着層にレベリング剤を含ませることで、接着層のハジキを解消して端面の凹凸差を小さくすることができる。すなわち、図7に示すように、本願は上記課題を解決するための別の形態として、基板1の片面側に記録層2を有するとともに該基板1の反対面側に貼り合せ面を有する記録基板10が、一対にして貼り合せられた光ディスクであって、記録基板10の貼り合せ面同士が接着層50を介して貼り合せられており、接着層50がレべリング剤を含む、光ディスク200を開示する。光ディスク200に備えられる記録基板10については、上記光ディスク100におけるものと同様とすることができる。一方、光ディスク200に備えられる接着層50は、光ディスク100に備えられる接着層40の好ましい形態に相当する。
本開示の技術は、上記したような光ディスクとしての側面のほか、光ディスクの製造方法としての側面も有する。
すなわち、本開示の光ディスク100の製造方法は、基板1の片面側に記録層2を有するとともに該基板1の反対面側に貼り合せ面を有する記録基板10を2枚準備し、準備した2枚の記録基板10、10の貼り合せ面同士を貼り合せて光ディスク100を製造する方法であって、断面視において、光ディスク100の端面における凹凸差(ΔL)の平均値を50μm以下とすることを特徴とする。凹凸差(ΔL)を50μm以下とするには、上記したように、例えば、基板1の端部の形状を工夫したり、ハードコート層30の塗布量を調整したり、接着層40の組成を調整(レベリング剤を含ませる)することが有効である。
また、本開示の光ディスク200の製造方法は、基板1の片面側に記録層2を有するとともに該基板1の反対面側に貼り合せ面を有する記録基板10を2枚準備し、準備した2枚の記録基板10、10の貼り合せ面同士を接着層50を介して貼り合せて光ディスク200を製造する方法であって、接着層50にレべリング剤を含ませることを特徴とする。このように接着層50にレベリング剤を含ませた場合でも、光ディスク200の端面における凹凸差(ΔLやΔR)を小さくすることができる。
1.1.比較例1
次のプロセスで記録基板を作製した。
(1)射出成型によって厚み0.5mmで基板端部に突出部や切欠きを設けた溝付きポリカーボネート基板を作製した。
(2)その後、基板上にスパッタリングにより記録層を成膜した。記録層は次の複数の層から構成されるものとした。
Sn−Zn−In−Si−O 6nm、Ag‐Cu−Nd 70nm、CrTaO−SiO2 8nm、ZnS−SiO2 2nm、GeInSbTe 26nm、ZrO2−ZnS 5nm、ZnS−SiO2 28nm。
(3)記録層上にそれぞれ紫外線硬化樹脂からなり、総厚みが100μmの、記録層を保護するカバー層及び読み取り面のキズ・汚れ防止の為のハードコート層をスピンコートにて形成することで、記録基板を得た。
なお、いずれの凹凸差も4点で測定した場合の平均値を表す。以下、同様とする。
ポリカーボネート基板の端部の突出部や切欠きの形状を工夫したこと以外は、比較例1と同様にして光ディスクを得た。実施例1に係る光ディスクにおいて、図5におけるX1は50μm、X2は300μm、W1は100μm、W2は400μm、W3は100μm、T1は0.5mm、T2は40μmであった。
接着層として紫外線硬化樹脂とともにレベリング剤としてポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製 DOW CORNING TORAY L-7001)を0.3質量%もしくは0.5質量%含ませたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る光ディスクを得た。実施例1に係る光ディスクと同様に、実施例2に係る光ディスクも、図5におけるX1が50μm、X2が300μm、W1が100μm、W2が400μm、W3が100μm、T1が0.5mm、T2が40μmであった。
比較例1及び実施例1、2に係る光ディスクについて、端部を機械的に掴んで高速ハンドリング(0.5秒以内にディスクを10cm以上移動)を行う。その結果、比較例1に係る光ディスクにおいては、端部において割れや剥離が生じ、製品不良となり易い。一方、実施例1に係る光ディスクにおいては、端部のハジキの部分において、局所的に小さな割れや剥離が生じる場合があったものの、ディスク全体として大きな問題はなく、そのまま出荷できるレベルである。また、実施例2に係る光ディスクにおいては、端部において割れや剥離は生じず、極めて良好な結果となる。
2 記録層
10 記録基板
20 ハードコート層
30、40 接着層
100、200 光ディスク
Claims (14)
- 基板の片面側に記録層を有するとともに該基板の反対面側に貼り合せ面を有する記録基板が、一対にして貼り合せられた光ディスクであって、
断面視において、前記光ディスクの端面における凹凸差の平均値が120μm以下である、
光ディスク。 - 平面視において、前記光ディスクの端面における凹凸差が25μm以下である、
請求項1に記載の光ディスク。 - 前記記録基板の前記片面側及び端面にカバー層及びハードコート層が設けられており、
前記記録基板の前記貼り合せ面同士が接着層を介して貼り合せられており、
前記光ディスクの前記端面が、前記カバー層及び/又は前記ハードコート層と前記接着層とによって構成されている、
請求項1又は2に記載の光ディスク。 - 前記接着層がレべリング剤を含む、
請求項3に記載の光ディスク。 - 前記レべリング剤が、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種のシリコーンオイルである、
請求項4に記載の光ディスク。 - 前記接着層が接着成分として紫外線硬化樹脂を含む、
請求項3〜5のいずれか1項に記載の光ディスク。 - 前記ハードコート層が(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリレート化合物以外のエチレン性不飽和化合物、スリップ剤、及び光重合開始剤を含む硬化物層からなる、
請求項3〜6のいずれか1項に記載の光ディスク。 - 基板の片面側に記録層を有するとともに該基板の反対面側に貼り合せ面を有する記録基板が、一対にして貼り合せられた光ディスクであって、
前記記録基板の前記貼り合せ面同士が接着層を介して貼り合せられており、
前記接着層がレべリング剤を含む、
光ディスク。 - 前記レべリング剤が、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種のシリコーンオイルである、
請求項8に記載の光ディスク。 - 前記接着層が接着成分として紫外線硬化樹脂を含む、
請求項8又は9に記載の光ディスク。 - 前記記録基板の前記片面側及び端面にカバー層及びハードコート層が設けられており、
前記光ディスクの前記端面が、前記カバー層及び/又は前記ハードコート層と前記接着層とによって構成されている、
請求項8〜10のいずれか1項に記載の光ディスク。 - 前記ハードコート層が(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリレート化合物以外のエチレン性不飽和化合物、スリップ剤、及び光重合開始剤を含む硬化物層からなる、
請求項11に記載の光ディスク。 - 基板の片面側に記録層を有するとともに該基板の反対面側に貼り合せ面を有する記録基板を2枚準備し、準備した2枚の記録基板の前記貼り合せ面同士を貼り合せて光ディスクを製造する方法であって、
断面視において、前記光ディスクの端面における凹凸差の平均値を120μm以下とする、
光ディスクの製造方法。 - 基板の片面側に記録層を有するとともに該基板の反対面側に貼り合せ面を有する記録基板を2枚準備し、準備した2枚の記録基板の前記貼り合せ面同士を接着層を介して貼り合せて光ディスクを製造する方法であって、
前記接着層にレべリング剤を含ませる、
光ディスクの製造方法。
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