JP2019112246A - ガラス繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、低い誘電率及び誘電正接と低い紡糸温度を両立したガラス繊維とその製造方法に関する。【解決手段】本発明のガラス繊維は、ガラス組成として、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO270〜80%、Al2O30〜2%、B2O315〜21.5%、MgO 0〜1.5%、CaO 0〜2%、Li2O 0〜2%、Na2O 0〜3%、K2O 0〜3%、Li2O+Na2O+K2O 4.0%以上を含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、高速通信機器用部品や車載用レーダー等、低誘電率及び低誘電正接特性が求められる樹脂部材の補強材として好適なガラス繊維と、その製造方法に関するものである。
情報産業を支えるさまざまな電子機器の発達に伴い、携帯電話や携帯情報端末(PDA)等に関わる技術が目覚ましく進捗している。高密度化、高速処理化が進む電子機器用回路部品には、信号伝播遅延を最小限に抑え、また熱損失による基板の発熱を防ぐために、低誘電率及び低誘電正接特性が要求される。これら電子機器用回路基板の例としてプリント配線基板や低温焼成基板が挙げられる。プリント配線基板は樹脂に強化材としてガラス繊維を混合させシート形状にした複合材料であり、低温焼成基板はSiOやBを多量に含有する粉末ガラスにシリカ等のフィラー(充填物)を混合させた複合粉末のグリーンシートを焼成したものである。
また、上記した他に、電子機器の小型化、通信の高速化に伴い、近年では回路基板周辺の樹脂、通信機器用部品及び電子機器筐体に用いられる樹脂部材の低誘電特性に対する要求が高まり、その強化材として用いられるガラス繊維についても低誘電率化及び低誘電正接化が求められている。更に、自動車産業においても、自動運転システムの発展に伴い、車載用レーダーやカメラに使用される部材として、高強度で軽量な低誘電率低誘電正接ガラス繊維強化樹脂の需要が高まるとみられている。
プリント配線基板及び樹脂強化用のガラス繊維としては、Eガラス(室温における周波数1MHzでの誘電率εが6.7、誘電正接tanδが12×10−4である)が一般に知られているが、Eガラスは上記低誘電率化及び低誘電正接化の要求を満たさない。そこで、特許文献1には、Eガラスよりも低い誘電率と誘電正接を特徴にしたDガラスと呼称されるガラスが開示されている。Dガラスは、例えば、質量百分率表示で、SiO 74.6%、Al 1.0%、B 20.0%、MgO 0.5%、CaO 0.4%、LiO 0.5%、NaO 2.0%、KO 1.0%の組成を有し、室温における1MHzの誘電率が約4.4である。
また、特許文献2には、例えば、質量百分率表示で、SiO 73.0%、Al 0.2%、B 18.4%、MgO 4.3%、CaO 0.6%、LiO 0.9%、NaO 1.5%、KO1.1%の組成を有し、室温における1MHzの誘電率が4.7、誘電正接が3×10−4であり、紡糸温度(103.0dPa・sの粘度に相当する温度)が1325℃であるガラス繊維が開示されている。
また、特許文献3には、例えば、質量百分率表示で、SiO 76.5%、Al 0.2%、B 19.1%、MgO 0.5%、CaO 0.4%、Li2-O 1.1%、NaO 1.4%、KO 0.8%、LiO+NaO+KO 3.3%の組成を有し、室温における1MHzの誘電率が4.2、誘電正接が10×10−4であり、紡糸温度が1315℃であるガラス繊維が開示されている。
また、特許文献4には、例えば、質量百分率表示で、SiO 72.9%、Al 1.0%、B 21.0%、CaO 1.1%、ZnO 1.5%、Li2-O 0.8%、NaO 0.1%、KO 0.6%、LiO+NaO+KO 1.5%、TiO 0.6%、ZrO 0.4%の組成を有し、紡糸温度が1350℃である樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスが開示されている。
特開昭63−2831号公報 特開2003−137590号公報 特開2011−68549号公報 特開2013−103867号公報
Dガラスは、低い誘電率及び誘電正接を達成するために、EガラスよりもSiOの含有量が多くなっている。そのため、紡糸温度が1300℃以上と高くなり、一般的なEガラスと比べると高温で製造する必要がある。
ガラス繊維は、一般的に、主に白金を主要成分とした貴金属で構成されるブッシングと呼ばれる耐熱容器から、高温状態に保持した溶融ガラスを引き出すことで製造される。ブッシングは耐熱ノズルを多数備えており、この耐熱ノズルから、多数のガラスが細い溶融ガラスのストリームとして引き出されて冷却され、ガラス繊維とされる。
ガラス繊維の製造において、紡糸温度が高いと、ブッシングを高温に保つ必要からブッシングへのダメージが大きくなり、ブッシング寿命が短くなる。その結果、ブッシング交換頻度の上昇により、生産にかかる費用が増大する。更に、紡糸温度が高いことで、エネルギーコストも高くなってしまう。
本発明は、上述した状況に鑑み、低い誘電率及び誘電正接と低い紡糸温度を両立したガラス繊維とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ガラス繊維を構成するガラス組成のうち、アルカリ金属酸化物(LiO、NaO及びKO)に注目し、その含有量を所定範囲に限定することによって、低い誘電率及び誘電正接を有しながらも、従来のDガラスよりも紡糸温度が低いガラス繊維が得られることを見出し、本発明を提示するに至った。
本発明のガラス繊維は、ガラス組成として、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO 70〜80%、Al 0〜2%、B 15〜21.5%、MgO 0〜1.5%、CaO 0〜2%、LiO 0〜2%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、LiO+NaO+KO 4.0%以上を含有することを特徴とする。このようにすることで、誘電率及び誘電正接が低く、更に、紡糸温度が低いガラス繊維を得ることができる。
本発明のガラス繊維は、質量比で、(LiO+NaO+KO)/Bの値が0.21以上であることが好ましい。Bは紡糸温度や誘電率及び誘電正接を低下させる効果がある一方で、ガラス溶融時に蒸発し易くなるため、Bが多い場合は、ガラスが不均質になり易い。そこで、上記のようにすることで、Bの含有量を必要以上に増やすことなく、紡糸温度を所期の温度まで低下させることができる。
本発明のガラス繊維は、LiO+NaO+KO−Alが4.0%以上であることが好ましい。このようにすることで、紡糸温度を更に低下させることができる。
本発明のガラス繊維は、質量比で、(LiO+NaO+KO−Al)/Bの値が0.20以上であることが好ましい。このようにすることで、誘電率及び誘電正接の上昇を抑えながらも、Bの含有量を過度に増やすことなく、紡糸温度を低下させることができる。
本発明のガラス繊維は、103.0dPa・sの粘度に相当する温度が1290℃以下であることが好ましい。
本発明のガラス繊維は、25℃、1MHzでの誘電率が4.40以下であることが好ましい。
本発明のガラス繊維は、25℃、1MHzでの誘電正接が10×10−4未満であることが好ましい。
本発明のガラス繊維の製造方法は、ガラス組成として、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO 70〜80%、Al 0〜2%、B 15〜21.5%、MgO 0〜1.5%、CaO 0〜2%、LiO 0〜2%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、LiO+NaO+KO 4.0%以上を含有するように調合した原料バッチをガラス溶融炉で溶融し、得られた溶融ガラスをブッシングから連続的に引き出して繊維状に成形することを特徴とする。
本発明のガラスは、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO 70〜80%、Al 0〜2%、B 15〜21.5%、MgO 0〜1.5%、CaO 0〜2%、LiO 0〜2%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、LiO+NaO+KO 4.0%以上を含有することを特徴とする。
本発明のガラス繊維は、高速通信機器部品等の樹脂強化材として好適な低誘電特性を有する。しかも、従来のDガラスよりも低い紡糸温度を有しているため、ブッシング寿命を延ばすことができる。また、ブッシングの交換にかかる費用や、ブッシングを高温に保つために必要なエネルギーコストを削減することができる。
まず、本発明のガラス繊維のガラス組成について、各成分の含有量を限定した理由を以下に詳述する。なお、本発明において、特段の断りがない限り、%表示は質量百分率を指す。また、本発明において「紡糸温度」とは、ガラスの粘度が103.0dPa・sとなる温度を意味し、「液相温度」とは、失透要因となる結晶の初相が析出する温度を意味する。
SiOは、ガラス構造において、その網目状構造の骨格を形成する成分であり、また誘電率及び誘電正接を低下させる成分である。SiOの含有量が少なすぎると、所期の効果が得られない。一方、SiOの含有量が多すぎると高温粘度が上昇し、溶融性が悪くなる。よって、SiOの好適な範囲は70〜80%であり、より好ましくは72〜78%、さらに好ましくは73〜77%、一層好ましくは74〜77%である。
Alは、ガラスの分相化を抑制し、耐水性を向上させる成分であるが、Alの含有量が多すぎると誘電率が高くなる上、分相性が悪化する。ガラスの分相性の悪化は、得られたガラス繊維の耐酸性の悪化に繋がるため好ましくない。また、Alは溶融温度及び紡糸温度を上昇させる成分であるため、その含有量が多すぎると炉及びブッシングの寿命が短くなる。よって、Alの好適な範囲は0〜2%であり、より好ましくは0〜1.8%、さらに好ましくは0〜1.4%、一層好ましくは0〜1.2%である。
は、SiOと同様にガラス網目構造において骨格を形成する成分である。また、溶融温度及び紡糸温度を低下させ、誘電率及び誘電正接を下げる成分である。Bの含有量が少なすぎると、所期の効果が得られない。一方、Bの含有量が多すぎると溶融時や紡糸時のB蒸発量が多くなり、均質なガラスを得ることが困難となる場合がある上、ガラスの耐酸性や分相性が悪化するため好ましくない。よって、Bの好適な範囲は15〜21.5%であり、より好ましくは16〜21.0%、さらに好ましくは17〜20.7%、一層好ましくは18〜20.5%である。
MgOは、ガラス原料を溶融し易くする融剤としての働きを有する成分である。また、高温粘度の低下に非常に有効であり、溶融時にガラスの泡切れを良くし、均質なガラスを作るのに役立つ。しかし、MgOの含有量が多すぎると、誘電率及び誘電正接が高くなるため好ましくない。よって、MgOの好適な範囲は0〜1.5%であり、より好ましくは0〜1.2%、さらに好ましくは0〜0.9%、一層好ましくは0〜0.7%である。
CaOは、ガラス原料を溶融し易くする融剤としての働きを有する成分である。また、高温粘度の低下に非常に有効であり、溶融時にガラスの泡切れを良くし、均質なガラスを作るのに役立つ。しかし、CaOの含有量が多すぎると、誘電率及び誘電正接が高くなるため好ましくない。よって、CaOの好適な範囲は0〜2%であり、より好ましくは0〜1.5%、さらに好ましくは0〜1%、一層好ましくは0〜0.8%である。
アルカリ金属酸化物であるLiO、NaO及びKOは融剤として働き、また紡糸温度を低下させる成分である。しかし、いずれもガラス組成中の含有量が多くなると、ガラスの誘電率及び誘電正接が高くなる上、耐水性も悪くなる。そのため、LiOの好適な範囲は0〜2%であり、より好ましくは0.3〜1.9%、さらに好ましくは0.5〜1.8%、一層好ましくは0.6〜1.8%である。また、NaOの好適な範囲は0〜3%であり、より好ましくは0.5〜2.8%、さらに好ましくは0.8〜2.7%、一層好ましくは1.0〜2.4%である。さらに、KOの好適な範囲は0〜3%であり、より好ましくは0.2〜2.7%、さらに好ましくは0.5〜2.5%、一層好ましくは0.8〜2.2%である。
本発明では、LiO+NaO+KOの含有量(LiO、NaO及びKOの含有量の合量)を厳密に規制することで、低い誘電率及び誘電正接と低い紡糸温度を両立できる。また、ブッシング交換にかかる費用や、ブッシングを高温に保つために必要なエネルギーコストを削減することができる。LiO+NaO+KOの含有量が少なすぎると、ガラス繊維の紡糸温度が上昇してブッシングへのダメージが大きくなり、ブッシング寿命が短くなる。一方、LiO+NaO+KOの含有量が多すぎると、誘電率や誘電正接が高くなってしまう。そのため、LiO+NaO+KOの含有量は、4.0%以上であり、好ましくは4.0〜5.5%、より好ましくは4.0超〜4.8%、さらに好ましくは4.1〜4.7%、一層好ましくは4.1〜4.5%である。
ところで、Alは紡糸温度と誘電率及び誘電正接を上昇させる成分であり、本発明の目的を達成するためには、Alの含有量を低く保つことが好ましい。一方、BはAlとは反対に紡糸温度、誘電率及び誘電正接を低下させる成分であるが、Bの増量のみでこれらの要件を満足させようとすると、溶融時のB蒸発量が多くなり、生産性が悪化してしまう虞がある。また、アルカリ金属酸化物は紡糸温度を低下させる一方、誘電率及び誘電正接を上昇させる成分である。このようにこれらの成分は、誘電特性と紡糸温度に密接に関係している。
例えば、紡糸温度を下げる成分であるアルカリ金属酸化物とBの比を所定の範囲に調整すれば、Bの含有量を過度に増やすことなく、紡糸温度を所期の温度まで低下させることができる。更に、誘電率及び誘電正接を適切な範囲に収めることができる。具体的には、(LiO+NaO+KO)/Bの値を、0.21以上、0.21〜0.25、特に0.21〜0.24に調整することが好ましい。なお、(LiO+NaO+KO)/Bとは、LiO、NaO及びKOの含有量の合量をBの含有量で除した値である。なお、この値が大きすぎると誘電率や誘電正接が上昇し易くなる。
また、紡糸温度を下げる成分であるアルカリ金属酸化物の含有量が、紡糸温度を上げる成分であるAlの含有量に対して十分に多ければ、紡糸温度を所期の温度まで低下させることができる。そのため、LiO+NaO+KO−Alの値を、4.0%以上、4.0超〜5.0%、4.1〜4.7%、特に4.1〜4.5%に調整することが好ましい。なお、LiO+NaO+KO−Alの値とは、LiO、NaO及びKOの含有量の合量から、Alの含有量を引いた値である。なお、この値が大きすぎると誘電率や誘電正接が上昇し易くなる。
さらに、Bの含有量を過度に増やすことなく紡糸温度を低下させるためには、(LiO+NaO+KO−Al)/Bの値を、0.20以上、0.20〜0.25、特に0.21〜0.24に調整することが好ましい。なお、この値が大きすぎると誘電率や誘電正接が上昇し易くなる。
本発明のガラス繊維は、上述の成分に加えて、必要に応じて各種の成分を添加することができる。例えば、ZrO、P、Fe等をそれぞれ3%、Cr、MoO、Pt、Rh及びNiO等をそれぞれ0.1%まで含有してもよい。
次に、本発明のガラス繊維の特性について以下に詳述する。
ガラス繊維の紡糸温度が高いと、ブッシングへのダメージが大きくなり、ブッシング寿命が短くなる。また、ブッシング交換頻度やエネルギーコストが増大し、生産コストが高くなる。そのため、本発明のガラス繊維の紡糸温度は好ましくは1290℃以下であり、より好ましくは1285℃以下であり、さらに好ましくは1280℃以下である。
また、液相温度が高いと、安定した生産が困難になる。そのため、本発明のガラス繊維は、液相温度が、好ましくは1050℃以下であり、より好ましくは1000℃以下であり、更に好ましくは980℃以下である。
また、液相温度と紡糸温度との差が大きいと、紡糸時に結晶が流出し難くなり、糸の切断が少なくなるため、生産性を向上できる。そのため、本発明のガラス繊維は、液相温度と紡糸温度との差が、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは220℃以上であり、さらに好ましくは240℃以上であり、一層好ましくは260℃以上である。
誘電率や誘電正接が低いと、誘電損失が小さくなり、低誘電特性が求められる用途、例えばプリント配線基板や通信機器部品等の樹脂補強材に使用するガラス繊維として好適である。そのため、本発明のガラス繊維は、25℃、1MHzでの誘電率が、好ましくは4.40以下であり、より好ましくは4.38以下であり、さらに好ましくは4.36以下である。また、25℃、1MHzでの誘電正接は、好ましくは10×10−4以下であり、より好ましくは8×10−4以下であり、さらに好ましくは7×10−4以下である。
以下、本発明のガラス繊維の製造方法を、ダイレクトメルト法(DM法)を例にして説明する。但し、本発明は下記の方法に制限されるものではなく、例えばマーブル状に成形した繊維用ガラス材料をブッシング装置で再溶融し紡糸する、いわゆる間接成形法(MM法:マーブルメルト法)を採用することもできる。なお、この方法は少量多品種生産に向いている。
まず、ガラス組成として、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO 70〜80%、Al 0〜2%、B 15〜21.5%、MgO 0〜1.5%、CaO 0〜2%、LiO 0〜2%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、LiO+NaO+KO 4.0%以上となるように原料バッチを調合する。なお、ガラス原料の一部又は全部にカレットを使用してもよい。各成分の含有量を上記の通りとした理由は既述の通りであり、ここでは説明を省略する。
次いで、調合した原料バッチをガラス溶融炉に投入し、ガラス化し、溶融、均質化する。溶融温度は1500〜1600℃程度が好適である。
続いて溶融ガラスを繊維状に成形して、ガラス繊維を得る。
必要に応じて、ガラス繊維の表面に、所望の物理化学的な性能を付与する被覆剤を塗布してもよい。具体的には集束剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、被膜形成剤、カップリング剤あるいは潤滑剤を被覆してもよい。
なお、ガラス繊維の表面処理に使用できるカップリング剤の例として、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等があり、複合化する樹脂の種類によりこれらを適宜選択してもよい。
本発明のガラス繊維は、樹脂強化用チョップドストランドとして使用するのに好適であるほか、ガラスクロス、ガラスフィラー、ガラスチョップドストランド、ガラスペーパー、不織布、コンティニアスストランドマット、編物、ガラスロービング、ミルドファイバ等、いかなるガラス繊維製品に加工してもよい。
本発明のガラス繊維は、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、本発明以外の繊維と混合して使用することができる。このような繊維としては、Eガラス繊維、Sガラス繊維等のガラス繊維のほか、炭素繊維や金属繊維等のガラス繊維以外の繊維が挙げられる。
次に、本発明のガラスについて以下に説明する。
本発明のガラスは、SiO 70〜80%、Al 0〜2%、B 15〜21.5%、MgO 0〜1.5%、CaO 0〜2%、LiO 0〜2%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、LiO+NaO+KO 4.0%以上を含有する。本発明のガラスの組成、特性の詳細は既述の通りであり、ここでは割愛する。
本発明のガラスは、ガラス繊維の他、粉末状、ガラスフレーク(鱗片状ガラス)状であってもよく、高速通信機器部品の樹脂強化材等、各種用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
表1に、本発明の実施例(No.1〜5)及び比較例(No.6〜10)をそれぞれ示す。
表1の各試料は、次のようにして調製した。
まず、天然原料や化成原料等の複数の各種ガラス原料を所定量秤量し、溶融後に得られるガラス組成が、表1で示すガラス組成となるように調製した。次に、得られた原料混合バッチを白金ロジウム製の坩堝内に投入した後、間接加熱電気炉内にて大気雰囲気中約1550℃で2時間初期溶融を行い、更に約1600℃で2時間加熱して溶融ガラスとした。なお、溶融ガラスを均質な状態にするために、初期溶融の途中で耐熱性攪拌棒を使用して溶融ガラスの攪拌を行った。こうして均質な状態とした溶融ガラスをカーボン板状に流し出し、板状に成形した後、アニールすることによって歪を除去した。
得られた各試料について、25℃、1MHzでの誘電率、誘電正接、紡糸温度及び液相温度を測定した。
25℃、1MHzでの誘電率及び誘電正接は、各板状ガラスから50mm×50mm×3mmの寸法に加工し、1200番のアルミナ研磨液で研磨した後、精密アニールを施したガラス試料片を用いて計測した。測定は、ASTM D150−87に準拠し、インピーダンスアナライザを使用することによって計測した。
紡糸温度は、各板状ガラスの一部を予め適正なサイズとなるように破砕し、それを白金製坩堝に投入して再加熱し、融液状態にまで加熱した後に白金球引き上げ法により測定した。
液相温度は、次のようにして測定した。各板状ガラスを粉砕し、300〜500μmの範囲の粒度となるように調整した状態で、耐火性の容器に適切な嵩密度を有する状態に充填した。続いて、間接加熱型の温度勾配炉内に入れて静置し、16時間大気雰囲気中で加熱操作を行った。その後に耐火性容器ごと試験体を取り出し、室温まで冷却後、偏光顕微鏡によって結晶の初相が析出する温度を特定し、液相温度とした。
紡糸温度と液相温度の差は両者の値から算出した。
表1から分かるように、本発明の実施例ガラスは、25℃、1MHzでの誘電率及び誘電正接が低く、優れた誘電特性を有していた。更に、紡糸温度が低いため、従来のDガラスに比べてブッシング交換頻度やエネルギーコストが低く、生産コストを低減できる。更に、Bの含有量も適切な範囲にあり、生産性が良好であると考えられる。
一方、比較例ガラスは、いずれの組成も紡糸温度が高いため、ブッシング交換頻度やエネルギーコストが増大し、生産コストが高くなると考えられる。加えて、No.9は、Bの含有量が多いため、ガラス溶融時にB蒸発量が増加し、均質なガラスを製造することが困難であると考えられる。
本発明のガラス繊維は、高速通信機器用部品や車載用レーダー等の樹脂強化材として用いることにより、その高い性能を発揮するものであるが、プリント配線基板用途や電子部品用パッケージ、FRP構造材等として用いてもよい。

Claims (9)

  1. ガラス組成として、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO 70〜80%、Al 0〜2%、B 15〜21.5%、MgO 0〜1.5%、CaO 0〜2%、LiO 0〜2%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、LiO+NaO+KO 4.0%以上を含有することを特徴とするガラス繊維。
  2. 質量比で、(LiO+NaO+KO)/Bの値が0.21以上であることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維。
  3. LiO+NaO+KO−Alが4.0%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維。
  4. 質量比で、(LiO+NaO+KO−Al)/Bの値が0.20以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス繊維。
  5. 103.0dPa・sの粘度に相当する温度が1290℃以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラス繊維。
  6. 25℃、1MHzでの誘電率が4.40以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のガラス繊維。
  7. 25℃、1MHzでの誘電正接が10×10−4未満であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のガラス繊維。
  8. ガラス組成として、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO 70〜80%、Al 0〜2%、B 15〜21.5%、MgO 0〜1.5%、CaO 0〜2%、LiO 0〜2%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、LiO+NaO+KO 4.0%以上を含有するように調合した原料バッチをガラス溶融炉で溶融し、得られた溶融ガラスをブッシングから連続的に引き出して繊維状に成形することを特徴とするガラス繊維の製造方法。
  9. ガラス組成として、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO 70〜80%、Al 0〜2%、B 15〜21.5%、MgO 0〜1.5%、CaO 0〜2%、LiO 0〜2%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、LiO+NaO+KO 4.0%以上を含有することを特徴とするガラス。
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