JP2019109212A - イムノクロマト検査用デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】正確な判定の可能なイムノクロマトグラフィー用検査デバイスを提供する。【解決手段】試験片と、前記試験片を支持する複数の支持台を有する下部ハウジングと、前記試験片に試料を滴下するための滴下孔を有し、かつ、前記滴下孔から導入された試料が前記試験片上で展開する方向に検出窓を有する上部ハウジングとからなるイムノクロマトグラフィー用検査デバイスであって、前記デバイスの内部空間は、検体抽出液が内壁を伝って移動することのないように、前記デバイスの長手方向に関して、少なくとも二つ以上に区画されているイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。【選択図】図1
Description
本発明は、抗原−抗体反応を利用したイムノクロマト検査の技術分野に属する。本発明は、具体的にはイムノクロマト検査に用いられるデバイスに関する。
尿、糞、唾液、血液、血清、咽頭の採取液など生体由来の試料から、抗原−抗体の免疫反応に基づく特異性を利用して、簡易かつ迅速に診断を行うための臨床診断法としてイムノクロマトグラフィー法が知られている。イムノクロマトグラフィー法は、一端に担体の金コロイドなどで呈色標識された第一抗体を含浸せしめた部材を配置し、また、他端に第二抗体を予め固定して捕捉部位(検出ライン)を配置したニトロセルロース等のストリップに、液体状の生体試料を該含浸部材に滴下することにより、該試料、第一抗体および該試料中の抗原と第一抗体の抗原抗体反応により形成される複合体の混合物をストリップ状の担体中にて該一端から該他端に向けて毛細管現象により展開させることにより行われる。該複合体は、前記捕捉部位において抗原と第二抗体との抗原抗体反応により捕捉されて集積して発色する。未結合の第一抗体は補足部位の前方に配置されるコントロールラインで補足される。そして、ストリップ担体の前記捕捉部位における呈色の度合いを肉眼または光学的検出器で観察することにより、被験試料中の抗原の有無を判定することができる。
一方、検査機関での検査を容易とするためにイムノクロマトグラフィー用の試験片を典型的にはプラスチックなどの樹脂からなるハウジングに収容したデバイスが利用されている。この検査用デバイスには、患者から採取した検体を抽出した抽出液を試験片に滴下するための滴下孔と、呈色反応等によって抗原の有無を判定するための検出窓が備えられている。
現在医療機関で用いられているイムノクロマトグラフィー用のデバイスとしては、ストリップ状の試験片をそのまま利用するものと、上述のように、試験片がハウジングに収容されたデバイスとして利用するものと、2種類の検査キットが用いられている。そして、医療機関では、コスト、取り扱い性、廃棄などの観点からそれぞれの医療機関に適した形態の検査キットを採用し、検査に用いている。
引用文献1には、ストリップ状の試験片がハウジングに内蔵された検査キットが開示されている。ここで、ハウジングの試験片のサンプルパッドに対応する位置に滴下用の開口が設けられ、そこから検体抽出液が導入される。引用文献2には、ストリップ状の試験片がそのまま検査に用いられる検査キットが開示されている。引用文献3には、ストリップ状の試験片を上部に搭載する台が開示されている。
ハウジングを有するイムノクロマト検査用デバイスでは、過剰量の検体抽出液が導入されると、検体抽出液の水平方向への展開による様々な要因により検査結果に悪影響を及ぼすため、検体抽出液の滴下量を注意深く設定する必要がある。一方で露出したストリップ状の試験片を用いたイムノクロマト検査用デバイスの場合は十分な量の検体抽出液に一端を浸す必要がある。したがって、十分の量の検体抽出液を必要としているが、従来のイムノトクロマト検査用デバイスのケースにそのまま試験片を内蔵し、少量の検体抽出液を導入しただけでは十分な検体抽出液が試験片の吸収されずに展開不良が起こり、逆に大量の検体抽出液を導入すると、ハウジング内壁を伝った検体液の回り込みにより検査結果に悪影響が起こる。本発明は、イムノクロマト検査時において、検体滴下量のばらつきがあっても、特に過剰量に滴下した場合にも、正確な判定結果を得ることができるイムノクロマト検査用デバイスを提供することを主な課題とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、上部ハウジングと下部ハウジングと試験片とからなるイムノクロマト検査用デバイスにおいて、そのケースのハウジング構造の最適化によって上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]試験片と、前記試験片を支持する複数の支持台を有する下部ハウジングと、前記試験片に試料を滴下するための滴下孔を有し、かつ、前記滴下孔から導入された試料が前記試験片上で展開する方向に検出窓を有する上部ハウジングとからなるイムノクロマトグラフィー用検査デバイスであって、
前記デバイスの内部空間は、検体抽出液が内壁を伝って移動することのないように、前記デバイスの長手方向に関して、少なくとも二つ以上に区画されているイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[2]前記内部空間を区画する少なくとも一つの境界壁は前記試験片を通すための開口を有し、前記試験片と前記開口の隙間は前記試験片の厚み方向および幅方向に関して2mm以下であることを特徴とする[1]のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[3]前記少なくとも一つの境界壁は、前記試験片の標的抗体の初期設置位置と、前記試験片の前記検体抽出液の滴下または導入位置との間に位置する[1]または[2]に記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[4]前記試験片の前記検体抽出液の滴下または導入位置側の端部はそれらを含む区画内で接置していない[1]ないし[3]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[5]前記試験片の展開方向の端部が前記上部ハウジングと前記下部ハウジングの圧接によって固定されている[1]ないし[4]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[6]前記試験片の検体抽出液の導入部の周囲に吸水構造が設けられている[1]ないし[5]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[7]前記試験片の検体抽出液の導入部の周囲に水検知手段が設けられている[1]ないし[6]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[8]
前記試験片が、試験片単体でも検査に用いられる、[1]ないし[7]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
前記デバイスの内部空間は、検体抽出液が内壁を伝って移動することのないように、前記デバイスの長手方向に関して、少なくとも二つ以上に区画されているイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[2]前記内部空間を区画する少なくとも一つの境界壁は前記試験片を通すための開口を有し、前記試験片と前記開口の隙間は前記試験片の厚み方向および幅方向に関して2mm以下であることを特徴とする[1]のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[3]前記少なくとも一つの境界壁は、前記試験片の標的抗体の初期設置位置と、前記試験片の前記検体抽出液の滴下または導入位置との間に位置する[1]または[2]に記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[4]前記試験片の前記検体抽出液の滴下または導入位置側の端部はそれらを含む区画内で接置していない[1]ないし[3]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[5]前記試験片の展開方向の端部が前記上部ハウジングと前記下部ハウジングの圧接によって固定されている[1]ないし[4]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[6]前記試験片の検体抽出液の導入部の周囲に吸水構造が設けられている[1]ないし[5]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[7]前記試験片の検体抽出液の導入部の周囲に水検知手段が設けられている[1]ないし[6]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
[8]
前記試験片が、試験片単体でも検査に用いられる、[1]ないし[7]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
本発明に係るイムノクロマト検査用デバイス(以下、「本発明デバイス」という。)は、その最適なハウジング構造を有することによって、患者から抽出した検体の滴下量が適正でなかったとしても、正確な判定を行うことが可能である。さらに、内包するストリップ状の試験片の種類に依存することがないため、ストリップ状の試験片の検査キットとハウジングを含む検査デバイスの検査キットで、試験片を共用することが可能で開発コストを削減することができる。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
<本発明デバイス>
本発明デバイスは、イノムクロマト用試験片150(以下、「試験片」という)と、該試験片を所定の位置に搭載する下部ハウジング100と、該試験片を搭載した下部ハウジングを覆う上部ハウジング200とからなる。図1(A)は下部ハウジングの上面図、図1(B)は下部ハウジングの破線A-A'の断面図、図1(C)は下部ハウジングの側方図、図2(A)は上部ハウジングの上面図、図2(B)は上部ハウジングの裏面を示す図、図2(C)は上部ハウジングの破線C-C'の側方断面図をそれぞれ示す。
<本発明デバイス>
本発明デバイスは、イノムクロマト用試験片150(以下、「試験片」という)と、該試験片を所定の位置に搭載する下部ハウジング100と、該試験片を搭載した下部ハウジングを覆う上部ハウジング200とからなる。図1(A)は下部ハウジングの上面図、図1(B)は下部ハウジングの破線A-A'の断面図、図1(C)は下部ハウジングの側方図、図2(A)は上部ハウジングの上面図、図2(B)は上部ハウジングの裏面を示す図、図2(C)は上部ハウジングの破線C-C'の側方断面図をそれぞれ示す。
図1は下部ハウジング100の構成を示し、下部ハウジング100には、下部ハウジング本体101、固定突起102(ハウジングの周囲に配置、図では8箇所)、試験片の幅方向の移動を規制するための一対の第1の規制壁104、第2の規制壁105、デバイスの内部空間を区画するための第一の境界壁の一部を構成する凸部106、試験片を下部ハウジング本体101の上面から上方に配置するための支持台108、支持台110、支持台111、デバイスの内部空間を区画するための第二の境界壁の一部を構成する凸部109、吸水構造112、水分検知シール113である。ここで、試験片150が破線で示されており、試験片150のハウジング本体101への搭載状態(位置)を示している。
図2は上部ハウジング200の構成を示し、上部ハウジング200には、上部ハウジング本体201、検体液滴下用の滴下孔202、反応の有無を確認するために試験片が露出した検出窓203、水分検知シールを確認するための透過窓204、上部ハウジングの周囲に設けられ(図では8箇所)、下部ハウジング本体101の固定突起102と勘合して上部ハウジング本体201と下部ハウジング本体101とを係止する穴部208、試験片150を下部ハウジング側に押圧するための凸部206、凸部209、凸部210、上部ハウジングの上面212が含まれる。
図3(A)は上部ハウジング200と下部ハウジング100が嵌合された状態を示す、図1の破線A−A’、図2の破線C−C’での断面図である。図に示したように、内部空間は凸部106と凸部206からなる境界壁B1と外壁によって形成される区画S1、境界壁B1と、凸部109と凸部209からなる境界壁B2とによって形成される区画S2、境界壁B2と、外壁によって形成される区画S3に区画されている。図3(B)は図3(A)の破線D−D’での縦断面図を示す。
<イムノクロマト用試験片(テストストリップ)>
図4にインフルエンザ判定用のイムノクロマト用試験片の例を示した。患者検体を希釈した検体液(ここではA型インフルエンザ由来の抗原308を含む場合)が試験片のサンプルパッド301に導入されると、検体液は金コロイド標識抗体309が含浸したコンジュゲート部302に展開し、金コロイド標識抗体309と抗原(アナライト)308が結合し、複合体を構成する。続いて複合体は溶液とともにニトロセルロース等からなるメンブレン303に到達し、メンブレン上では矢印方向に毛細管現象で展開される。続いて、抗原308はテストライン1(TL1)305、テストライン2(TL2)306の固相化抗体である補足抗体310、311のいずれかと結合し、この場合、補足抗体310はA型インフルエンザに特異性を持ち、補足抗体311はB型インフルエンザに特異性を持つため、抗原308と補足抗体310が結合して、TL1 305が呈色を示す。さらに未反応の標識抗体はコントロールライン(CL)に到達し、標識抗体に特異性を持つ固相化抗体312に結合し呈色するため、展開状態を把握することができる。さらに検体液は吸収パッド304に吸収される。
図4にインフルエンザ判定用のイムノクロマト用試験片の例を示した。患者検体を希釈した検体液(ここではA型インフルエンザ由来の抗原308を含む場合)が試験片のサンプルパッド301に導入されると、検体液は金コロイド標識抗体309が含浸したコンジュゲート部302に展開し、金コロイド標識抗体309と抗原(アナライト)308が結合し、複合体を構成する。続いて複合体は溶液とともにニトロセルロース等からなるメンブレン303に到達し、メンブレン上では矢印方向に毛細管現象で展開される。続いて、抗原308はテストライン1(TL1)305、テストライン2(TL2)306の固相化抗体である補足抗体310、311のいずれかと結合し、この場合、補足抗体310はA型インフルエンザに特異性を持ち、補足抗体311はB型インフルエンザに特異性を持つため、抗原308と補足抗体310が結合して、TL1 305が呈色を示す。さらに未反応の標識抗体はコントロールライン(CL)に到達し、標識抗体に特異性を持つ固相化抗体312に結合し呈色するため、展開状態を把握することができる。さらに検体液は吸収パッド304に吸収される。
以下に本発明のデバイスの各部の構成と機能を詳述する。
<ハウジングの外観>
本発明のイムノクロマト用デバイスは、下部ハウジングと、上記イムノクロマトグラフ用試験片が、下部ハウジング100に搭載され、さらに試験片150が搭載された状態で試験片を覆うように配置される上部ハウジング200との複合体からなり、上部ハウジングの上面212には試験片のサンプルパッドに検体液を導入するための滴下孔202と、テストライン305、306およびコントロールライン307を肉眼または光学的に検出するための検出窓205を有する。また内部の水分検知シールの状態を確認するための透過窓204を有する。
<ハウジングの外観>
本発明のイムノクロマト用デバイスは、下部ハウジングと、上記イムノクロマトグラフ用試験片が、下部ハウジング100に搭載され、さらに試験片150が搭載された状態で試験片を覆うように配置される上部ハウジング200との複合体からなり、上部ハウジングの上面212には試験片のサンプルパッドに検体液を導入するための滴下孔202と、テストライン305、306およびコントロールライン307を肉眼または光学的に検出するための検出窓205を有する。また内部の水分検知シールの状態を確認するための透過窓204を有する。
滴下孔202は試験片150に検体液を供給するために形成されており、役割を果たす限りは、形状、形成部位等は限定されないが、試験片の幅方向に均等に検体液を導入する観点からは試験片とほぼ等しい幅を有する楕円あるいは長方形形状を持つと都合が良い。
検出窓205は試験片150のテストライン305,306およびコントロールライン307を肉眼または光学的に検出できるように形成されており、役割を果たす限りは、形状、形成部位等は限定されない。例えば、本実施例ではそれぞれのラインが同時に確認できる試験片の長手方向に沿った開口を例示したが、それぞれのラインのみ、いくつかのラインが同時に、あるいはさらにそれらのラインの一部のみが露出する開口としてもよい。また、検出窓205の表面には透明なプラスチックなどで覆い密閉の窓とすることもできる。
本発明デバイスのハウジングの材料はプラスチック等の合成樹脂で不透明なものが好ましく、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、耐衝撃性ポリスチレン等のポリスチレン又はPET等を単独または組み合わせたもの、あるいはそれらに適量のフィラーを添加した合成樹脂が利用できる。また、本実施例のハウジングは射出成形やバルク部材からの切削によって形成することができる。さらに、各構成部材を異なる材質から構成される場合は、一体成形によって形成することができる。なお、本実施例では1つの試験片を搭載する例を示したが、複数の試験片を試験片の幅方向に配置されるように構成しても良い。
<ハウジングの内部構造>
<下部ハウジング>
下部ハウジング100は、図1に示されるように、試験片150を保持するための構成を有する。
・規制壁
規制壁104、105は、下部ハウジング100上に配置される試験片150の、下部ハウジング100の上面120での面内の移動を規制する機能を有する。規制壁は少なくとも幅方向に関して、試験片の前後の側面に一箇所ずつ対(規制壁104、105)で配置される。規制壁は下部ハウジングと同一の材料によって射出成形するのが好ましいが例えば、アルミニウムなどの金属板からなる板状の規制壁を下部ハウジングの樹脂と一体成形により形成することもできる。この場合は、規制壁を変形させることによっても試験片の挿入・保持ができる。
<下部ハウジング>
下部ハウジング100は、図1に示されるように、試験片150を保持するための構成を有する。
・規制壁
規制壁104、105は、下部ハウジング100上に配置される試験片150の、下部ハウジング100の上面120での面内の移動を規制する機能を有する。規制壁は少なくとも幅方向に関して、試験片の前後の側面に一箇所ずつ対(規制壁104、105)で配置される。規制壁は下部ハウジングと同一の材料によって射出成形するのが好ましいが例えば、アルミニウムなどの金属板からなる板状の規制壁を下部ハウジングの樹脂と一体成形により形成することもできる。この場合は、規制壁を変形させることによっても試験片の挿入・保持ができる。
・支持台
支持台108、110は試験片を下部ハウジング本体101の上面から離間させる。これによって、サンプルパッドから漏れ出て、本来の試験片の展開ルートから外れた検体液が下部ハウジング本体の上面を伝って再度試験片に接触することを防止することができる。これによって誤判定のリスクを低減することができる。支持台は少なくともテストラインやコントロールラインの下部を支持する要素として配置されるのが好ましい。支持台の幅は試験片の幅以上、特に試験片の幅より大きな幅であることが好ましい。これによって支持台近傍に余分な検体液が溜まったとしても試験片に接触することが防がれる。典型的には支持台の高さは0.5mm以上であるとハウジングの底面を伝わる水分が検体液に接触することが妨げられる。本実施例においては凸部106、109の高さも支持台と同等され、支持台の機能も兼ねている。ただし、凸部の高さはこれに限られない。
支持台108、110は試験片を下部ハウジング本体101の上面から離間させる。これによって、サンプルパッドから漏れ出て、本来の試験片の展開ルートから外れた検体液が下部ハウジング本体の上面を伝って再度試験片に接触することを防止することができる。これによって誤判定のリスクを低減することができる。支持台は少なくともテストラインやコントロールラインの下部を支持する要素として配置されるのが好ましい。支持台の幅は試験片の幅以上、特に試験片の幅より大きな幅であることが好ましい。これによって支持台近傍に余分な検体液が溜まったとしても試験片に接触することが防がれる。典型的には支持台の高さは0.5mm以上であるとハウジングの底面を伝わる水分が検体液に接触することが妨げられる。本実施例においては凸部106、109の高さも支持台と同等され、支持台の機能も兼ねている。ただし、凸部の高さはこれに限られない。
好ましくは、支持台は下部ハウジングと同一の材料で射出成形によって形成されるが、検体液と反応しない材料からなる金属あるいはガラス、セラミックなどから構成し、一体成形によって形成しても良い。
・吸水(保水)構造
本実施例では、好適には、吸水構造112を区画S1に有する。吸水構造は下部ハウジング上面に設けられた吸水のための構造(毛細管現象によって水分を保水するための微細な凹凸構造、表面を荒くして表面に水分を吸着するための表面処理された構造、吸水するための多孔性部材など、あるいは好ましくは、吸水のための高分子ポリマーなどの繊維からなるシート、吸水パッドなど)である。好適には吸水構造112は試験片150の近傍となるように、試験片の長手方向の左右、あるいは試験片の上下に位置するように配置され、区画S1に導入された検体抽出液が試験片に吸収されやすいようにし、また、区画S1内での水分の移動を妨げるようにする。
本実施例では、好適には、吸水構造112を区画S1に有する。吸水構造は下部ハウジング上面に設けられた吸水のための構造(毛細管現象によって水分を保水するための微細な凹凸構造、表面を荒くして表面に水分を吸着するための表面処理された構造、吸水するための多孔性部材など、あるいは好ましくは、吸水のための高分子ポリマーなどの繊維からなるシート、吸水パッドなど)である。好適には吸水構造112は試験片150の近傍となるように、試験片の長手方向の左右、あるいは試験片の上下に位置するように配置され、区画S1に導入された検体抽出液が試験片に吸収されやすいようにし、また、区画S1内での水分の移動を妨げるようにする。
・水分検知シール
水分検知シール(日本国特許第5331167号記載の技術などが利用できる)は、十分な量の検体液がデバイス内(区画S1)に導入されたか否かを検査時に容易に認識できるように区画S1内に配置される。また典型的には前述の吸水構造112上に配置される。
水分検知シール(日本国特許第5331167号記載の技術などが利用できる)は、十分な量の検体液がデバイス内(区画S1)に導入されたか否かを検査時に容易に認識できるように区画S1内に配置される。また典型的には前述の吸水構造112上に配置される。
<上部ハウジング>
上部ハウジング200は、図2に示されるように、試験片150を保持するための構成を有する。
・凸部
上部ハウジングには試験片150が区画S1、S2、S3を貫通するように設けられた、デバイスの内部を区画するための境界壁B1、B2の一部を構成する凸部206、209が設けられている。凸部206、209の中央部には試験片150を貫通させるための凹部(例えば、206’)が設けられている。また、これらの凸部によって試験片の反りも抑えられる。
上部ハウジング200は、図2に示されるように、試験片150を保持するための構成を有する。
・凸部
上部ハウジングには試験片150が区画S1、S2、S3を貫通するように設けられた、デバイスの内部を区画するための境界壁B1、B2の一部を構成する凸部206、209が設けられている。凸部206、209の中央部には試験片150を貫通させるための凹部(例えば、206’)が設けられている。また、これらの凸部によって試験片の反りも抑えられる。
・規制壁
凸部210は下部ハウジングに設けられた支持台111との間で試験片150を挟み、試験片150のデバイス内での長手方向の移動を規制する。
凸部210は下部ハウジングに設けられた支持台111との間で試験片150を挟み、試験片150のデバイス内での長手方向の移動を規制する。
・滴下孔
滴下孔202は区画S1に十分な量の検体液を導入できるサイズであればどのようなサイズであってもよいが、S1に導入された検体液が滴下孔から漏れ出ることを防ぐために、デバイスの長手方向の幅は4mm以下であると都合がよい(なお、デバイスの幅方向の幅が4mm以下であってもよい)。なお、専用の試験片を使い、その試験紙のサンプルパッド上面にクリアマイラ等の被覆がなされていない場合は、滴下孔をサンプルパッド上面に近接するように設けてもよい。さらに、区画S1上には空気抜き用の微小な孔を設けてもよい。
滴下孔202は区画S1に十分な量の検体液を導入できるサイズであればどのようなサイズであってもよいが、S1に導入された検体液が滴下孔から漏れ出ることを防ぐために、デバイスの長手方向の幅は4mm以下であると都合がよい(なお、デバイスの幅方向の幅が4mm以下であってもよい)。なお、専用の試験片を使い、その試験紙のサンプルパッド上面にクリアマイラ等の被覆がなされていない場合は、滴下孔をサンプルパッド上面に近接するように設けてもよい。さらに、区画S1上には空気抜き用の微小な孔を設けてもよい。
・検出窓
検出窓205の底部は0mm〜2mmの間隔でデバイスに搭載される試験片150の表面に近接するように設計される。これにより検出窓205の底部232によって試験片150の浮上りが防止できる。試験片150の幅方向の検出窓の幅は、試験片の幅より1.5mm程度小さいサイズから0.5mm程度小さいサイズの間で設計されるので、隙間からごみ等がハウジング内部に入ることが無い。また、支持台110と過剰に重なって試験片に不均一な負荷を与え、判定結果に影響を与えることも無い。
検出窓205の底部は0mm〜2mmの間隔でデバイスに搭載される試験片150の表面に近接するように設計される。これにより検出窓205の底部232によって試験片150の浮上りが防止できる。試験片150の幅方向の検出窓の幅は、試験片の幅より1.5mm程度小さいサイズから0.5mm程度小さいサイズの間で設計されるので、隙間からごみ等がハウジング内部に入ることが無い。また、支持台110と過剰に重なって試験片に不均一な負荷を与え、判定結果に影響を与えることも無い。
・透過窓
透過窓204は上部ハウジング上に設けられ、デバイス内に設けられた水分検知シール113を確認するために設けられたもので、ユーザーが目視によって、十分な検体液があったかどうか、また、判定結果に影響があったかどうかを判断するために用いられる。
透過窓204は上部ハウジング上に設けられ、デバイス内に設けられた水分検知シール113を確認するために設けられたもので、ユーザーが目視によって、十分な検体液があったかどうか、また、判定結果に影響があったかどうかを判断するために用いられる。
<測定結果の評価>
・目視判定
目視にて判定窓および透過窓を確認し、検査結果を評価する。
・光学測定装置による判定
特定の呈色反応をテストラインが示す場合は、テストラインに光を照射し、反射光を測定する、あるいは、テストラインからの蛍光を計測する、あるいは、C-MOS等の測定装置で判定領域を撮像し画像解析によってテストラインの呈色の強度を算出することができる。この際に、コントロールラインの呈色度合いを同様に測定し、あるいは/さらに透過窓の呈色度合いを同様に測定し、テストラインの呈色度合いと、検査結果の判定に用いることもできる。
・目視判定
目視にて判定窓および透過窓を確認し、検査結果を評価する。
・光学測定装置による判定
特定の呈色反応をテストラインが示す場合は、テストラインに光を照射し、反射光を測定する、あるいは、テストラインからの蛍光を計測する、あるいは、C-MOS等の測定装置で判定領域を撮像し画像解析によってテストラインの呈色の強度を算出することができる。この際に、コントロールラインの呈色度合いを同様に測定し、あるいは/さらに透過窓の呈色度合いを同様に測定し、テストラインの呈色度合いと、検査結果の判定に用いることもできる。
<試験片の搭載>
図3に試験片の搭載状況が示されている。試験片150は上部ハウジング200と下部ハウジング100の嵌合状態でそれらの中央に設けられた隙間に収容されている。試験片150の検体抽出液の導入側の端部Eは区画S1内で浮いた状態(境界壁B1は除く)で配置され、さらに、滴下孔は試験片の端部よりも更にハウジングの端部側に配置されていると、検体液に浸漬された状態(ストリップ状試験片単体で用いられる場合)と等しくなるので都合がよい。また、標識抗体の配置されたコンジュゲート部302はS1とは境界壁B1で区切られた空間に配置されている。これによって検体抽出液に標識抗体が溶出してしまうことが防がれる。また、図3(c)に試験片150と境界壁B1との関係を示した。境界壁B1に設けられた開口B1’は試験片150を内包した状態で隣接する区画間で検体液が流動しないサイズであれば制限はないが(ただし、試験片150内を毛細管現象で展開される検体液の移動は制限されない)、特に試験片の幅方向での隙間(ここではw1+w2)および、試験片の厚み方向での隙間(ここではh)は2mm以下であると水分が表面張力により隣接する区画へ移動することが妨げられるので都合がよい。ここでは境界壁B1を例に説明したが、境界壁B2や、新たな境界壁についても同様に設定することができる。さらに、区画S1には多量の検体抽出液が導入されることも想定されるので、少なくとも上部ハウジング200と下部ハウジング100の区画S1形成する部位の接触部には外部に検体液が漏れ出ないように樹脂やゴムでシールしてもよい。
図3に試験片の搭載状況が示されている。試験片150は上部ハウジング200と下部ハウジング100の嵌合状態でそれらの中央に設けられた隙間に収容されている。試験片150の検体抽出液の導入側の端部Eは区画S1内で浮いた状態(境界壁B1は除く)で配置され、さらに、滴下孔は試験片の端部よりも更にハウジングの端部側に配置されていると、検体液に浸漬された状態(ストリップ状試験片単体で用いられる場合)と等しくなるので都合がよい。また、標識抗体の配置されたコンジュゲート部302はS1とは境界壁B1で区切られた空間に配置されている。これによって検体抽出液に標識抗体が溶出してしまうことが防がれる。また、図3(c)に試験片150と境界壁B1との関係を示した。境界壁B1に設けられた開口B1’は試験片150を内包した状態で隣接する区画間で検体液が流動しないサイズであれば制限はないが(ただし、試験片150内を毛細管現象で展開される検体液の移動は制限されない)、特に試験片の幅方向での隙間(ここではw1+w2)および、試験片の厚み方向での隙間(ここではh)は2mm以下であると水分が表面張力により隣接する区画へ移動することが妨げられるので都合がよい。ここでは境界壁B1を例に説明したが、境界壁B2や、新たな境界壁についても同様に設定することができる。さらに、区画S1には多量の検体抽出液が導入されることも想定されるので、少なくとも上部ハウジング200と下部ハウジング100の区画S1形成する部位の接触部には外部に検体液が漏れ出ないように樹脂やゴムでシールしてもよい。
<検体抽出液の導入方法>
検体は所定の検体抽出液に抽出され、スポイトや専用の検体抽出液用のチューブ等の容器に収容され、滴下孔202から導入される。検査実施者は所定量の検体抽出液が区画S1に導入されたことを容器の目盛りあるいは透過窓から水分検知シールの呈色状況を見て確認しながら行う。適量の検体抽出液が導入されたら、試験片に定められた条件で判定を行うまで、静置する。この時、デバイスの仕様に応じて、立てた状態で使用するか、あるいは倒した状態で使用するかは決定される。本実施例によれば、区画S1に十分な検体抽出液を導入することが可能で、なおかつ、その検体抽出液が隣接する区画S2に漏れ出ることがないので、正確な検査を行うことができる。さらに、本実施例によれば、区画S2と区画S3が区画されているので、何らかの異常により区画S1から区画S2に検体抽出液が漏出したとしても、さらに、区画S3へ漏出することが妨げられるので、判定領域で漏れ出た検体抽出液が悪影響を与えることがない。
検体は所定の検体抽出液に抽出され、スポイトや専用の検体抽出液用のチューブ等の容器に収容され、滴下孔202から導入される。検査実施者は所定量の検体抽出液が区画S1に導入されたことを容器の目盛りあるいは透過窓から水分検知シールの呈色状況を見て確認しながら行う。適量の検体抽出液が導入されたら、試験片に定められた条件で判定を行うまで、静置する。この時、デバイスの仕様に応じて、立てた状態で使用するか、あるいは倒した状態で使用するかは決定される。本実施例によれば、区画S1に十分な検体抽出液を導入することが可能で、なおかつ、その検体抽出液が隣接する区画S2に漏れ出ることがないので、正確な検査を行うことができる。さらに、本実施例によれば、区画S2と区画S3が区画されているので、何らかの異常により区画S1から区画S2に検体抽出液が漏出したとしても、さらに、区画S3へ漏出することが妨げられるので、判定領域で漏れ出た検体抽出液が悪影響を与えることがない。
<変形例>
本発明の変形例にかかわるハウジングの断面図を図5に示した。本変形例ではハウジングに内蔵される試験片は主表面上にクリアマイラなどの被覆がされていない本ハウジングの専用(露出したストリップ状で用いられることのない)の試験片である。下部ハウジングには試験片150の長手方向の移動を規制する規制壁501、502、サンプル滴下部で試験片150を支持するための支持台503がさらに設けられている。本変形例においては、検体抽出液は滴下孔から近接する試験片150のサンプルパッド部に導入される。
本発明の変形例にかかわるハウジングの断面図を図5に示した。本変形例ではハウジングに内蔵される試験片は主表面上にクリアマイラなどの被覆がされていない本ハウジングの専用(露出したストリップ状で用いられることのない)の試験片である。下部ハウジングには試験片150の長手方向の移動を規制する規制壁501、502、サンプル滴下部で試験片150を支持するための支持台503がさらに設けられている。本変形例においては、検体抽出液は滴下孔から近接する試験片150のサンプルパッド部に導入される。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数等は適宜変更して実施することができる。さらにそれぞれの実施例を組み合わせて新たな実施形態とすることもできる。
本発明によれば、患者から抽出した検体の滴下量が適正でなかったとしても、正確な判定を行うことが可能であり、また、ハウジングに内蔵される試験片として、本来、露出したストリップ状の試験片として利用される試験片を利用することができる。
100 下部ハウジング
101 下部ハウジング本体
102 固定特許
104 第1の規制壁
105 第2の規制壁
106、109、206、209、210 凸部
108 支持台
110 支持台
111 支持台
112 吸水構造
113 水分検知シール
120 上面
150 試験片
200 上部ハウジング
201 上部ハウジング本体
202 滴下孔
204 透過窓
205 検出窓
212 上面
B1、B2 境界壁
101 下部ハウジング本体
102 固定特許
104 第1の規制壁
105 第2の規制壁
106、109、206、209、210 凸部
108 支持台
110 支持台
111 支持台
112 吸水構造
113 水分検知シール
120 上面
150 試験片
200 上部ハウジング
201 上部ハウジング本体
202 滴下孔
204 透過窓
205 検出窓
212 上面
B1、B2 境界壁
Claims (8)
- 試験片と、前記試験片を支持する複数の支持台を有する下部ハウジングと、前記試験片に試料を滴下するための滴下孔を有し、かつ、前記滴下孔から導入された試料が前記試験片上で展開する方向に検出窓を有する上部ハウジングとからなるイムノクロマトグラフィー用検査デバイスであって、
前記デバイスの内部空間は、検体抽出液が内壁を伝って移動することのないように、前記デバイスの長手方向に関して、少なくとも二つ以上に区画されているイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。 - 前記内部空間を区画する少なくとも一つの境界壁は前記試験片を通すための開口を有し、前記試験片と前記開口の隙間は前記試験片の厚み方向および幅方向に関して2mm以下であることを特徴とする、請求項1のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
- 前記少なくとも一つの境界壁は、前記試験片の標的抗体の初期設置位置と、前記試験片の前記検体抽出液の滴下または導入位置との間に位置する、請求項1または請求項2に記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
- 前記試験片の前記検体抽出液の滴下または導入位置側の端部はそれらを含む区画内で接置していない、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
- 前記試験片の展開方向の端部が前記上部ハウジングと前記下部ハウジングの圧接によって固定されている、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
- 前記試験片の検体抽出液の導入部の周囲に吸水構造が設けられている、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
- 前記試験片の検体抽出液の導入部の周囲に水分検知手段が設けられている、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
- 前記試験片が、試験片単体でも検査に用いられる、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用検査デバイス。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021066139A1 (ja) * | 2019-10-04 | 2021-04-08 | デンカ株式会社 | 糖鎖抗原を抽出し測定するためのイムノクロマトデバイス |
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-
2017
- 2017-12-20 JP JP2017244266A patent/JP2019109212A/ja active Pending
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