JP2019108146A - 飲料容器および飲料容器セット - Google Patents

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Abstract

【課題】飲料容器に塗装を行なう場合に、可視光塗料に加え、蛍光塗料を用い、双方を利用した装飾を施すことにより、装飾性に優れ、明所のみならず暗所での視認性に優れた飲料容器等を提供する。【解決手段】金属基材としての容器基体12と、容器基体12の下地として塗布され、紫外光の照射により蛍光を発し、容器基体12とともに蛍光を視認可能な蛍光塗料としてのベースコート層141と、ベースコート層141の上に形成され、可視光下にて発色する可視光塗料を用いてなされる装飾部としての印刷層142と、を有する飲料容器10。【選択図】図1

Description

本発明は、飲料容器等に係るものであり、飲料容器の一例として飲料を充填するための金属缶等に使用される飲料容器に関する。
飲料を充填するために、例えば、金属缶が用いられることがある。この場合、金属缶等の外観をさらに向上させて付加価値を高めるために、可視光下にて発色する可視光塗料を用い塗装を行ない、装飾を施す場合がある。また紫外光等を照射することで蛍光を発する蛍光塗料を用いて、ロット番号や暗号等の隠しマークを印刷する場合がある。
特許文献1には、(A)エポキシ樹脂バインダー、(B)螢光着色剤、(C)テトラアルキルアンモニウム塩及びテトラアルキルホスホニウム塩から選択された導電剤及び(D)有機溶剤を含有させることにより紫外線照射で視認可能なインクジェットプリンター用透明蛍光インキ組成物が開示されている。
また特許文献2には、容器外表面に、紫外線照射で視認可能な隠しマークがインクジェット印刷により形成されて成る隠しマーク付き容器において、隠しマークが、ベース樹脂、蛍光着色剤、テトラアルキルアンモニウム塩及びテトラアルキルホスホニウム塩から選択される導電剤、及び有機溶剤から成り、蛍光着色剤が2,2’−(2,5−チオフェンジイル)−ビス(5−t−ブチルベンゾオキサゾール)であるインクジェット用インク組成物から成る青色系隠しマークと、インクジェット用インク組成物から形成される赤色系隠しマークの両方を有することを特徴とする隠しマーク付き容器が開示されている。
特開2004−59831号公報 特開2013−203801号公報
従来、飲料容器の装飾は、可視光下にて発色する可視光塗料のみを用いて行なわれている。
しかしながら、装飾を可視光塗料のみで行った場合、装飾は固定され変化することはないため、装飾性には限界がある。また明所では、装飾を視認できる一方で、暗所では、装飾を視認しにくく、暗所での装飾の視認性に問題が生じやすい。
本発明は、飲料容器に塗装を行なう場合に、可視光塗料に加え、蛍光塗料を用い、双方を利用した装飾を施すことにより、装飾性に優れ、明所のみならず暗所での視認性に優れた飲料容器等を提供しようとするものである。
かくして本発明によれば、金属基材と、金属基材の下地として塗布され、紫外光の照射により蛍光を発し、金属基材とともに蛍光を視認可能な蛍光塗料と、蛍光塗料の上に形成され、可視光下にて発色する可視光塗料を用いてなされる装飾部と、を有する飲料容器が提供される。なお、蛍光塗料は蓄光を有する蓄光塗料でも構わない。
ここで、蛍光塗料は、装飾部とともに装飾の一部として機能させることができる。この場合、飲料容器に暗所のみならず明所でも装飾性を発揮させることができる。
また、蛍光塗料は、装飾部の背景として機能させることができる。この場合、蛍光塗料の箇所を背景として利用することができる。
またさらに、蛍光塗料は無色であり、金属基材の有する金属光沢が得られる領域の上に形成されることができる。この場合、蛍光塗料の箇所について、金属光沢を活かした図柄を表現することができる。
そして、蛍光塗料は、金属光沢に加えた蛍光色により装飾の一部として機能させることができる。この場合、蛍光塗料の箇所について、金属光沢と蛍光による相乗効果による装飾性を発揮させることができる。
また蛍光塗料は、色材を有する有色蛍光塗料であり、有色蛍光塗料を用いた蛍光塗料を用いた誘目性を利用して装飾の一部として機能させることができる。この場合、蛍光塗料に、暗所のみならず明所でも装飾性を発揮させることができる。
さらに有色蛍光塗料は、色材の色と蛍光の色とが異なる色相を有するようにすることができる。この場合、装飾性および誘目性がより向上する。
更に、本発明によれば、複数の飲料容器を含む飲料容器セットであって、飲料容器は、金属基材と、金属基材の下地として塗布され、紫外光の照射により蛍光を発し、下地とともに蛍光を視認可能な蛍光塗料と、蛍光塗料の上に形成され、可視光下にて発色する可視光塗料を用いてなされる装飾部と、を有する飲料容器セットが提供される。この場合、例えば、缶体を複数まとめて販売する場合に、それぞれの缶体の図柄を異なるものとすることができる。
本発明によれば、装飾性に優れ、明所のみならず暗所での視認性に優れた飲料容器等を提供することができる。
(a)〜(b)は、本実施の形態の飲料容器が使用される形態について説明した図である。 (a)〜(b)は、ベースコート層が、蛍光を発しない状態と、発した状態とで図柄を比較した図である。 (a)〜(b)は、本実施形態の飲料容器セットの例を示した図である。 缶体への印刷を行う印刷装置を説明する図である。
以下、本発明を実施する形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
<飲料容器全体の説明>
図1(a)〜(b)は、本実施の形態の飲料容器が使用される形態について説明した図である。ここで図1(a)は、本実施の形態の飲料容器が使用される缶体Kの概略を示した図であり、図1(b)は、図1(a)の断面の一部分を拡大した図である。
図1(a)〜(b)に示すように缶体Kは、本実施の形態の飲料容器10と、飲料容器10の上部を塞ぐための蓋部材20とから構成される。
そして飲料容器10は、飲料が充填可能な容器基体12と、容器基体12の外周面に形成される塗膜14とからなる。また本実施の形態では、塗膜14は、下地層であるベースコート層141と、ベースコート層141上に形成され、標記が付される標記層としての印刷層142と、印刷層142を保護するために印刷層142上に形成される保護層としてのトップコート層143とから構成されている。
容器基体12は、飲料を内部に封入する金属基材の一例である。容器基体12は、本実施の形態では、飲料を充填するため例えば、図中上部が開口する有底円筒状を採る。飲料としては、特に限定されることはないが、例えばビールなどのアルコール類、ジュースなどのソフトドリンク類である。また容器基体12の材料としては、アルミニウム、鉄(スチール)等の金属類を使用することができる。
容器基体12として金属類を使用した場合、蓋部材20は、外縁部をいわゆる巻き締めすることで飲料容器10に固定されている。蓋部材20には、飲み口としての開口部を形成するためにタブ(図示せず)が備えられていてもよい。
塗膜14のベースコート層141は、容器基体12の下地として塗布され、紫外光の照射により蛍光を発する蛍光塗料の一例である。即ち、ベースコート層141には、蛍光塗料が含まれる。この事項については、詳しくは後述する。ベースコート層141の厚さは、例えば、2μm〜3μmとすることができる。なお、蛍光塗料は蓄光を有する蓄光塗料でも構わない。
塗膜14の印刷層142は、本実施の形態では、ベースコート層141に印刷される層である。印刷層142により文字や図形などを含む種々の図柄が印刷され、これにより飲料容器10を見る者に、商品名、商標名を認識させることができる。さらに詳しくは後述するが、これにより容器基体12に装飾を施すことができ、飲料容器10を見る者に美観等を与えることができる。
印刷層142を形成させるために、例えば顔料を含む金属印刷用のインキを用いることができる。ここで顔料(色量)としては、各種の有機顔料や無機顔料が用いられる。また、インキの展色剤(ビヒクル)としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分とすることができる。そして熱硬化性樹脂としては、アルキッド型又はポリエステル型の樹脂等が用いられる。また紫外線硬化性樹脂としては、紫外線ラジカル重合型、紫外線カチオン重合型の樹脂等が用いられる。さらに、インキには添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、艶消し剤、ワックス類(天然系、石油系、合成系)、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化剤、増粘剤、皮張り防止剤、安定剤、消泡剤、光重合開始剤等が挙げられる。
塗膜14のトップコート層143は、上述の通り、印刷層142を保護するために設けられる層である。トップコート層143の成分は、主として樹脂である。この樹脂の種類は透明であれば特に限定されるものではなく、エポキシ/フェノール樹脂、ポリエステル/アミノ系樹脂、エポキシ/ポリエステル/アクリル/アミノ系樹脂等を使用することができる。このうちエポキシ/ポリエステル/アクリル/アミノ系樹脂を使用した場合は、水性塗料とすることができる。そのため飲料容器10の製造時における塗膜14の焼付け乾燥時に揮発する有機溶剤量が少ない利点がある。また、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、低分子ポリエステル樹脂、天然油脂、蝋等の添加剤も任意に配合することができる。さらに、トップコート層143の塗装に使用する塗布液は、エクソンモービル社製のソルベッソ(登録商標)等の溶剤や添加剤を加えて所要粘度の液状塗料として調製されるが、塗布後の焼付け乾燥によって塗布液中の不揮発成分のみが残留する。従って、トップコート層143は、上述した樹脂等の不揮発成分によって構成されている。
本実施の形態において塗膜14の厚さは、例えば、5μm以上20μm以下とすることができる。
<ベースコート層141についての説明>
次にベースコート層141について詳述する。
本実施の形態で、ベースコート層141は、容器基体12の下地として塗布され、紫外光の照射により蛍光を発する蛍光塗料として機能する。本実施の形態では、この光として、紫外光(UV:ultraviolet)を用いる。UVを照射するための光源としては、特に限られるものではなく、例えば、ブラックライトや殺菌灯などの紫外線低圧水銀ランプ、UVLED(Light Emitting Diode)、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が使用できる。
またベースコート層141は、容器基体12とともに蛍光を視認可能である。つまりベースコート層141は、透明若しくは半透明であり、ベースコート層141に紫外光を照射したときに発する蛍光を視認できるとともに、ベースコート層141を通して、ベースコート層141の下側にある容器基体12についても視認できる。この場合、ベースコート層141を無色とすることができる。
ベースコート層141を透明若しくは半透明とすることで、ベースコート層141は、容器基体12の有する金属光沢が得られる領域の上に形成することになる。そのためベースコート層141が無色の場合、紫外線を照射しない状態では、飲料容器10を見る者は、金属光沢を視認できる。また紫外線を照射している状態では、飲料容器10を見る者は、金属光沢と蛍光色とを双方視認することになる。
ただし、ベースコート層141を有色とすることを妨げるものではない。この場合、ベースコート層141を色材を有する有色蛍光塗料とする。色材としては、所望する色を有する顔料を使用することができる。ただしこのとき色材の含有量を少量とし、ベースコート層141の下側にある容器基体12が視認できる程度とすることが必要である。これによりベースコート層141を、半透明とすることを維持できる。
このように、ベースコート層141が有色である場合は、紫外線を照射しない状態では、金属光沢とともに、有色蛍光塗料に含まれる色材の色を双方視認することになる。また紫外線を照射している状態では、これに加えさらにベースコート層141が発する蛍光色を視認することになる。
ベースコート層141は、通常は、容器基体12の素地を隠蔽するための隠蔽層である。そのため、ベースコート層141は、例えば、白色の塗料を用いて形成され、容器基体12の金属光沢は視認できない。対して、本実施の形態では、ベースコート層141を透明若しくは半透明とすることで、容器基体12の素地を隠蔽せずに、容器基体12の有する金属光沢が見えるようにすることに特徴を有する。よって、ベースコート層141は、紫外線を照射した状態で、金属光沢に加えた蛍光色により装飾の一部として機能する。
また本実施の形態で、印刷層142は、ベースコート層141の上に形成され、可視光下にて発色する可視光塗料を用いてなされる装飾部として機能する。つまり印刷層142は、可視光が照射されると、可視光塗料の色に応じた光を反射し、その結果、予め定められた色に発色する。可視光塗料は、種々の色が用意されている。この色としては、例えば、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)等を挙げることができる。よって印刷層142は、カラーの図柄を表現することができる。印刷層142は、可視光下にて発色することで、主たる装飾部を構成し、印刷層142に印刷される図柄の基本となる要素を表現する。
そして、ベースコート層141は、蛍光を発することで、印刷層142とともに装飾の一部として機能させることができる。つまりベースコート層141は、蛍光を発するための光を照射しない状態では、蛍光を発しない。対して、ベースコート層141は、紫外光を照射した状態で、蛍光色で発色し、この状態において、印刷層142に対し、従たる装飾部を構成する。即ち、ベースコート層141は、図柄の基本構成を表現する印刷層142に加え、さらに付加的な図柄を表現する。そして、ベースコート層141および印刷層142の相乗効果で、誘目性を発揮させ、装飾の一部として機能させる。ここで、「誘目性」とは、人の目をひきつけるかどうかの性質(心理的な変化)を言う。
この場合、ベースコート層141は、例えば、印刷層142の背景として機能させることができる。なおベースコート層141を有色とする場合、色材の色と蛍光の色とは、同色でもよいが、色材の色と蛍光の色とが異なる色相を有するようにすることが好ましい。これにより、蛍光を発しないときと、発するときとで、色が異なることによる感情の変化を引出し、装飾性および誘目性がより向上する。
図2(a)〜(b)は、ベースコート層141が、蛍光を発しない状態と、発した状態とで図柄を比較した図である。このうち図2(a)は、印刷層142が、可視光下にて発色するのに対し、ベースコート層141は、蛍光を発しない状態を示す。また、図2(b)は、印刷層142が、可視光下にて発色するとともに、ベースコート層141が、蛍光を発した状態を示す。
ここで印刷層142は、海辺の風景を表し、前景である海S1および花火S2の図柄からなる。またベースコート層141は、後景(背景)である空J1となる箇所に形成されている。
そして図2(a)の場合では、印刷層142は、可視光下で発色し、缶体Kを見る者は、印刷層142により描かれた海S1および花火S2の図柄からなる海辺の風景を認識することができる。またベースコート層141は、蛍光は発せず、例えば、無色の蛍光塗料により形成される。そのためベースコート層141は、可視光下において発色しない。図示する例では、ベースコート層141は、認識できない。ただし、ベースコート層141は、半透明であるため、ベースコート層141の下に存在する容器基体12がベースコート層141を通して認識することができる。そして容器基体12は、金属光沢を有するため、この金属光沢が認識され、これが空J1として見える。またベースコート層141を有色の有色蛍光塗料により形成する場合、例えば、色材の色を青色とすることで、金属光沢とともに青色が認識され、これが空J1として見える。
一方、図2(b)の場合では、印刷層142は、可視光下で発色し、缶体Kを見る者は、印刷層142により描かれた海辺の風景を認識することができる。またベースコート層141は、蛍光を発し、この蛍光の色により発色する。そのためベースコート層141の蛍光色とともに、容器基体12の金属光沢を見ることができる。よって金属光沢を有する蛍光色として認識することができる。
図2(a)の場合、缶体Kに対する照明環境を調整し、例えば、明るい照明とすることで、印刷層142の発色は、明るくなる。対してベースコート層141は、蛍光の色では、発色しない。そのため、この場合、例えば、花火S2が打ち上げられた昼間の海辺の風景を表現することができる。
一方、図2(b)の場合では、缶体Kに対する照明環境を調整し、例えば、暗い照明とすることで、印刷層142の発色は、暗くなり、認識しにくくなる。対してベースコート層141の発色は、相対的に明るくなる。この場合、例えば、ベースコート層141の発色を赤色とする。これにより空J1の色も赤色となり、花火S2が打ち上げられた夕方の海辺の風景を表現することができる。
<飲料容器セットの説明>
上述した缶体Kおよび飲料容器10は、複数個をセットとし、これにより複数の缶体セットや複数の飲料容器を含む飲料容器セットとすることもできる。
図3(a)〜(b)は、本実施形態の飲料容器セットStの例を示した図である。
図3(a)〜(b)は、ベースコート層141が、蛍光を発しない状態と、発した状態とで図柄を比較した図である。即ち、図3(a)は、印刷層142が、可視光下にて発色するのに対し、ベースコート層141は、蛍光を発しない状態を示す。また、図3(b)は、印刷層142が、可視光下にて発色するとともに、ベースコート層141が、蛍光を発した状態を示す。
図示する飲料容器セットStは、4個の飲料容器10である飲料容器10a、10b、10c、10dからなる。またこれは、4個の缶体Kからなる缶体セットStであると言うこともできる。
ここで印刷層142は、サンタクロースS3、そりS4、トナカイS5、トナカイ同士を繋ぐ紐S6、および木S7となる箇所に形成されている。またベースコート層141は、後景である雪原J2および空J3の箇所に形成されている。そしてこれにより雪原J2を走り、トナカイS5に牽かれたそりS4に乗ったサンタクロースS3の図柄を表す。
そして図3(a)の場合では、印刷層142であるサンタクロースS3、そりS4、トナカイS5、トナカイ同士を繋ぐ紐S6、および木S7の箇所が可視光下で発色し、缶体Kを見る者は、印刷層142により描かれ、紐S6により繋がれたトナカイS5に牽かれたそりS4に乗ったサンタクロースS3が、雪原J2を走る風景を認識することができる。またベースコート層141は、上述したように蛍光は発せず、例えば、無色の蛍光塗料により形成されるため可視光下において発色しない。よって図示する例では、ベースコート層141は、認識できない。ただし、ベースコート層141は、半透明であるため、ベースコート層141の下に存在する容器基体12がベースコート層141を通して認識することができる。そして容器基体12は、金属光沢を有するため、この金属光沢が認識され、これが雪原J2および空J3として見える。
一方、図3(b)の場合では、図3(a)と同様に、印刷層142であるサンタクロースS3、そりS4、トナカイS5、トナカイ同士を繋ぐ紐S6、および木S7の箇所が可視光下で発色し、缶体Kを見る者は、印刷層142により描かれ、紐S6により繋がれたトナカイS5に牽かれたそりS4に乗ったサンタクロースS3が、雪原J2を走る風景を認識することができる。またベースコート層141は、蛍光を発し、この蛍光の色により発色する。これによりベースコート層141の蛍光色とともに、容器基体12の金属光沢を見ることができる。この場合、例えば、雪原J2の箇所を白色の蛍光を発し、空J3の箇所を青色の蛍光を発するようにする。これにより昼間の雪原J2を走り、トナカイS5に牽かれたそりS4に乗ったサンタクロースS3の風景を認識することができる。ここで、本実施の形態では、雪原J2を走るサンタクロースS3を例示したが、表現したい内容(シナリオ)に基づき、図柄、文字、識別マーク、背景などの構成要素を用いたレイアウト上の全体構成(強弱や配色など)を適宜、選択して提供しても構わない。また、缶体K単体のみならず、複数個の缶体Kからなる缶体セットStで構成することにより、その表現の多様性や構成要素間からくる心理的な変化を引き出すことが可能となり、視認性及び誘目性がより向上する。
図示する飲料容器セットStは、飲料容器10a、10b、10c、10dのそれぞれの図柄を組み合わせることで、全体として1つの図柄を形成している。つまりこの場合、飲料容器10a、10b、10c、10dの印刷層142およびベースコート層141により、一体的な1つの装飾を表す。
<ベースコート層形成用インク>
ベースコート層141を形成させるために、ベースコート層形成用インクを用いて印刷を行なう。ベースコート層形成用インクとしては、以下のような蛍光塗料が用いられる。
ベースコート層141は、主として樹脂である。樹脂としては、ポリエステル/エポキシ/アミノ系樹脂及びポリエステル/アクリル/アミノ系樹脂等を使用することができる。また紫外線硬化型塗料によりベースコート層141を形成する場合は光重合開始剤を含有させたエポキシ/ポリエチレン系樹脂等が使用できる。また、本実施の形態では、以下に示すような蛍光材料が含まれる。
ここで蛍光材料としては、上述した紫外線等の励起光で蛍光を発するものであれば、特に限られるものでないが、例えば、蛍光体を用いることができる。
紫外線を励起光とする場合、蛍光体としては、例えば、蛍光ランプやプラズマディスプレイ(PDP)に用いられる赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体を使用することができる。具体的には、赤色蛍光体として、Y:Eu3+(YOX)が使用できる。また緑色蛍光体として、LaP:Ce、Tb(LAP)が使用できる。さらに青色蛍光体として、BaMgAl1017:Eu(BAM)や(Sr、Ba、Ca)10(POCl12:Eu(SCA)が使用できる。
また青色の可視光を励起光とする場合、蛍光体としては、例えば、白色LED用蛍光体を使用することができる。具体的には、緑色蛍光体として、(Ba、Sr、Mg)(SiO:Eu、MnやSrSi13Al:Euが使用できる。また黄色蛍光体として、(Ba、Sr、Mg)SiO:Eu、Mnが使用できる。さらに赤色蛍光体として、SrSiAlON13:Euが使用できる。
また蛍光体の代わりあるいは蛍光体に加え、n共役架橋ポリマーから形成されたナノ粒子を使用することができる。
このn共役架橋ポリマーとしては、例えば、下記(1)式で示されるn共役モノマーと、(2)式で示される架橋剤とを含む。
下記(1)式中、RおよびRは、それぞれ独立して、基:−X−Qである。またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成するように連結されている。
ここで、Xは、(1〜30C)アルキレン、(2〜30C)アルケニレン、(2〜30C)アルキニレン、−[(CH−O]−、−[O−(CH−、−(CH(CF−、および−[O−Si(Rz)−(Rzは、(1〜4C)アルキルであり、nは、1から30であり、mは、0から30である)からなる群から選択される。
Qは、水素、メチル、ヒドロキシル、カルボキシ、(1〜4C)アルコキシカルボニル、アミノ、−C=CH、−C≡CH、−SH、−ビオチン、−ストレプトアビジン、−CF、ならびにアクリレート、エポキシおよびスチレンから選択される重合性基から選択される末端基である。
また下記(2)式中、Yは、存在しないか、結合であるか、または架橋基である。
Figure 2019108146
Figure 2019108146
<塗膜14の形成方法>
次に、塗膜14の形成方法について説明する。
ベースコート層141は、上述したベースコート層形成用インクを、スプレー法やロールコーター法により塗布することで、形成することができる。即ち、スプレー法では、圧縮空気を用いてベースコート層形成用インクを霧化し、回転する容器基体12に向け噴射することで塗布を行なう。またロールコーター法では、回転するロールにベースコート層形成用インクを塗りつけ、ロールに同期して回転する容器基体12にロールコートする。そして塗布後は、ベースコート層形成用インクに紫外線を照射することにより、硬化させる。
またトップコート層143についても、同様にスプレー法やロールコーター法より塗布することで、形成することができる。そして塗布後は、焼付け乾燥することにより、硬化させる。
印刷層142については、例えば、以下のような印刷装置1を使用することで、印刷を行なうことで形成する。
図4は、缶体Kへの印刷を行う印刷装置1を説明する図である。
図4に示す印刷装置1には、円柱状に形成され、図中反時計回り方向へ間欠的に回転する旋回タレット2が設けられている。さらに、旋回タレット2の外周面から突出するように設けられ、且つ、放射状に配置され、飲料容器10を支持する缶体支持部材3が設けられている。
旋回タレット2は、飲料容器10を保持した状態で回転を行って飲料容器10の搬送を行なう。
缶体支持部材3は、合計で8個設けられ、旋回タレット2の回転方向において、45°おきに配置されている。
さらに、各缶体支持部材3の先端には、円筒状のマンドレル4が設けられている。マンドレル4は、飲料容器10の内部に挿入され、飲料容器10の内側から飲料容器10を支持する。
さらに、本実施形態では、印刷装置1への飲料容器10の投入が行われる缶体投入部100、印刷装置1からの飲料容器10の排出が行われる缶体排出部200が設けられている。
缶体投入部100には、不図示の缶体供給装置が設けられ、この缶体供給装置によって、マンドレル4への飲料容器10の供給が行われる。
缶体排出部200には、不図示の缶体取り外し装置が設けられ、マンドレル4からの飲料容器10(印刷済みの飲料容器10)の取り外しが行われる。
さらに、本実施形態では、飲料容器10が移動していく移動経路の上に(鉛直方向における上方に)、印刷手段として機能する第1インクジェットヘッドH1〜第5インクジェットヘッドH5の5つのインクジェットヘッドHが設けられている。
5つのインクジェットヘッドHは、旋回タレット2の回転方向において、45°おきに配置されている。インクジェットヘッドHの各々は、下面に、複数のインク吐出口(不図示)を備え、このインク吐出口から下方の飲料容器10に向けてインクを吐出し、飲料容器10への印刷を行う。
なお、第1インクジェットヘッドH1は、例えば、イエローのインクを下方に位置する飲料容器10に吐出する。また、第2インクジェットヘッドH2は、マゼンタのインクを吐出し、第3インクジェットヘッドH3は、シアンのインクを吐出し、第4インクジェットヘッドH4は、白のインクを吐出する。さらに、第5インクジェットヘッドH5は、黒のインクを吐出する。
さらに、旋回タレット2の回転方向において、5つのインクジェットヘッドHの下流側には、UVLED300(紫外線照射装置)が設置されている。
各インクジェットヘッドHでは、UV硬化型のインクが、飲料容器10の外周面へ吐出される。本実施形態では、UVLED300から飲料容器10へ紫外線を照射することで、飲料容器10の外周面に形成された画像を硬化させる。
なお、UVLED300に換えて、UVランプを設置してもよい。また、熱硬化型のインクを用いる場合には、UVLED300に換えてヒータを設置する。
印刷装置1の動作を説明する。
缶体投入部100では、回転を停止したマンドレル4が待機しており、不図示の缶体供給装置によって、このマンドレル4に対し、飲料容器10が供給される。これにより、マンドレル4による飲料容器10の保持が開始される。
マンドレル4による飲料容器10の保持が開始されると、旋回タレット2の回転が開始され、マンドレル4は、第1インクジェットヘッドH1の下部に到達する。マンドレル4が第1インクジェットヘッドH1の下部に到達すると、旋回タレット2の回転は一旦停止される。
また、本実施形態では、マンドレル4による飲料容器10の保持が開始された後、不図示のロータリエンコーダ付モータによりマンドレル4の回転が開始される。
缶体支持部材3内には、ロータリエンコーダ付モータが設けられおり、マンドレル4による飲料容器10の保持が開始されると、このロータリエンコーダ付モータによりマンドレル4の回転が開始される。
このため、本実施形態では、第1インクジェットヘッドH1の下部にマンドレル4が達した際、マンドレル4および飲料容器10が周方向に回転している。そして、本実施形態では、第1インクジェットヘッドH1から、鉛直方向における下向きにインクが吐出される。これにより、飲料容器10に画像が形成される。
飲料容器10が1回転すると、飲料容器10の全周に亘って画像が形成された状態となり、第1インクジェットヘッドH1における印刷は終了する。
なお、本実施形態では、第1インクジェットヘッドH1がインクの吐出を開始したときの飲料容器10の回転位置を、ロータリエンコーダを用いて検出し、制御部(不図示)に格納する。
その後、本実施形態では、旋回タレット2の回転が再び開始され、飲料容器10が、第2インクジェットヘッドH2の下部に達する。そして、第2インクジェットヘッドH2からインクが吐出される。
より具体的には、飲料容器10の回転位置が、制御部に格納された上記回転位置になると、第2インクジェットヘッドH2からのインクの吐出が開始される。そして、飲料容器10が1回転すると、第2インクジェットヘッドH2における印刷は終了する。
次いで、旋回タレット2の回転が再び行われ、飲料容器10が、第3インクジェットヘッドH3の下部に達する。そして、第3インクジェットヘッドH3からのインクの吐出が開始される。そして、インクの吐出開始から飲料容器10が1回転すると、第3インクジェットヘッドH3での印刷は終了する。
同様に、旋回タレット2の回転が再び行われ、飲料容器10が、第4インクジェットヘッドH4の下部に達し、第4インクジェットヘッドH4からのインクの吐出が行われる。そして、インクの吐出開始から飲料容器10が1回転すると、第4インクジェットヘッドH4での印刷は終了する。
その後、旋回タレット2の回転が再び行われ、飲料容器10が、第5インクジェットヘッドH5の下部に達し、第5インクジェットヘッドH5からのインクの吐出が行われる。インクの吐出開始から飲料容器10が1回転すると、第5インクジェットヘッドH5での印刷は終了する。
なお、互いに隣接するインクジェットヘッドH間において、マンドレル4(飲料容器10)は、継続して回転させてもよいし、停止や減速させてもよい。
なお、停止や減速させる場合は、各インクジェットヘッドHに飲料容器10が到達する度に、マンドレル4の回転数を増加させ、回転数が予め定められた回転数になると、印刷が開始される。
第5インクジェットヘッドH5での印刷が終了すると、飲料容器10は、旋回タレット2の更なる回転に伴い、UVLED300の下部に到達する。
この位置でも、飲料容器10の回転(自転)が行われ、UVLED300からのUV光が飲料容器10の外周面に照射される。これにより、飲料容器10に付着したインクが硬化する。その後、旋回タレット2の回転に伴い、飲料容器10は、缶体排出部200に到達する。
缶体排出部200では、マンドレル4からの飲料容器10の取り外しが行われる。
取り外された飲料容器10は、後の工程へ移送される。なお、飲料容器10が取り外れた後の空のマンドレル4は、缶体投入部100に再び達し、缶体投入部100では、このマンドレル4に対して新たな飲料容器10が供給される。
なお上述した例では、印刷装置1として、旋回タレット2が回転するに従い、飲料容器10が旋回タレット2の周方向に移動し、インクジェットヘッドHにより順次印刷を行なう印刷方式について説明したがこれに限られるものではない。例えば、インクジェットヘッドHを直線状に配し、飲料容器10を、直線状に移動して、このインクジェットヘッドHにより順次印刷を行なう印刷方式であってもよい。
また上述した例では、インクジェットヘッドHからインクを吐出し、これにより印刷を行なうインクジェット印刷について説明したがこれに限られるものではない。例えば、印刷版面の凸部にインクを付着させ、飲料容器10に印刷する凸版印刷により行なう方法でもよい。
1…印刷装置、10…飲料容器、12…容器基体、14…塗膜、141…ベースコート層、142…印刷層、143…トップコート層、K…缶体

Claims (8)

  1. 金属基材と、
    前記金属基材の下地として塗布され、紫外光の照射により蛍光を発し、当該金属基材とともに当該蛍光を視認可能な蛍光塗料と、
    前記蛍光塗料の上に形成され、可視光下にて発色する可視光塗料を用いてなされる装飾部と、
    を有する飲料容器。
  2. 前記蛍光塗料は、前記装飾部とともに装飾の一部として機能させる、ことを特徴とする請求項1記載の飲料容器。
  3. 前記蛍光塗料は、前記装飾部の背景として機能させる、ことを特徴とする請求項2記載の飲料容器。
  4. 前記蛍光塗料は無色であり、前記金属基材の有する金属光沢が得られる領域の上に形成される、ことを特徴とする請求項1記載の飲料容器。
  5. 前記蛍光塗料は、前記金属光沢に加えた蛍光色により装飾の一部として機能させる、ことを特徴とする請求項4記載の飲料容器。
  6. 前記蛍光塗料は、色材を有する有色蛍光塗料であり、当該有色蛍光塗料を用いた当該蛍光塗料の誘目性を利用して装飾の一部として機能させる、ことを特徴とする請求項1記載の飲料容器。
  7. 前記有色蛍光塗料は、色材の色と蛍光の色とが異なる色相を有する、ことを特徴とする請求項6記載の飲料容器。
  8. 複数の飲料容器を含む飲料容器セットであって、
    前記飲料容器は、
    金属基材と、
    前記金属基材の下地として塗布され、紫外光の照射により蛍光を発し、下地とともに当該蛍光を視認可能な蛍光塗料と、
    前記蛍光塗料の上に形成され、可視光下にて発色する可視光塗料を用いてなされる装飾部と、
    を有する飲料容器セット。
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