JP2019107984A - 操舵装置及び船舶 - Google Patents

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Abstract

【課題】舵角の全域において舵板をスムーズに回動させることができる駆動手段を備える操舵装置を提供する。【解決手段】駆動手段を、舵板を支持する上下方向に延在する舵軸と、舵軸の径方向に延在する連結アームと、連結アームの先端部に上下方向に延在する支軸と、支軸にロッド先端部を回転自在に固定した一対の油圧シリンダで構成し、舵板が中立姿勢状態から最大舵角姿勢状態の間に、いずれか一方の油圧シリンダの長手方向の軸心が、舵軸を中心として回動する支軸の回転軌跡の接線に沿って設ける。【選択図】図3

Description

本発明は、船舶の操舵装置であって、舵角を従来の舵角限度70°を超えて舵軸を回転可能とするにあたり、最大舵角付近での必要操舵力を減じて低速時でもスラスター同様の操船能力を提供して、油圧シリンダの配置に特徴を有する操舵装置に関し、水上船舶に好適、機械設置スペースに制約のある小型船にも有利な操舵装置である。
従来、貨物船等の一般船舶の舵は、通常、操舵機の回転角度を左右±35°ずつ、合計70°とし、舵の舵角も同じく合計70°とされる。舵の舵角を拡げるには、ピストンロッド1本の往復動を回転動に変換する動力伝達手段では、ピストンロッドへの作用角であるクランク角が鋭角になりすぎるという問題がある。
特許文献1は、従来技術の典型であるラムおよびシリンダ方式のラプソンスライド型の駆動機構を開示している(特許文献1の図7参照)。
ここに、転舵角幅を特許文献1の図7の左右合計でΘラジアンとすれば、舵軸に作用するトルクTは、ひとつの油圧シリンダ力Fに対し、フォークの動径をRとして、
T=FRsin{(π−Θ)/2}・・・(1)
である。
レシプロ型内燃機関のピストンクランク機構に類似させ、次式2に示すクランク角θは式(2)によってあらわすことができる。
θ={(π−Θ)/2}・・・(2)
式(2)からわかるように、転舵角幅が70°をはるかに超え、例えば、140°となれば油圧シリンダ力は、従来比2.5倍の性能強化を要する。通常、ラプソンスライド型に用いる油圧シリンダは単動タイプであり、これに適用する油圧シリンダは大型化する。
使用可能な油圧に限度があることから、シリンダの大口径化を図れば高コストに繋がるし、特許文献1図6に示されるように、高出力化による付帯設備の大型化、あるいは、長ストロークによる設置面積の増加は、特に小型船で問題となる。
また、式(2)から明らかなように、ラプソンスライド型の場合に、広い舵角を実現しようとすると、動径R(特許文献1図6では動径30)を小とするか、油圧シリンダのストロークSを長くするか、少なくともいずれかを要する。そして、ストック中心軸線を中心として両端の最大舵角近傍では、操舵トルクは舵角範囲で最低となる。
しかるに、舵角限界付近では、流体抵抗も大となり、舵角を従来よりも大とするならば、より大きな操舵トルクを生成する必要がある。
一方、小型船では、スラスターを備えず、大型船に比べ主舵のみで小回りの効く操舵能力が求められる。低速時の操船においては、最大舵角付近でプロペラを高速回転し操船能力を増すことが望ましいというニーズもある。
トランクピストン型の駆動機構は、油圧シリンダ駆動機構を2セット使用し、同じ油圧シリンダを用いても発生操舵トルクを2倍にするが、操舵中立点から所望の舵角70°以上、例えば、140°以上の舵角を得ようとすれば、クランク角が鋭角になり過ぎる問題は上述のラプソンスライド型と変わらない。
このような従来装置では、最大舵角付近では、作用角が鋭角となって十分に舵力を発生できず、プロペラの高速回転が不可能となり大きな舵角をとって急旋回するに足る推力をプロペラスクリューに与えることができないという問題も発見された。
また、最大舵角付近では、不用意に舵板が回転する、水流に負けてしまい舵の制御を失うという安全性の課題も見出された。
他方、1軸推進に対して2舵の操船の船舶では、緊急時の急停止には、舵が船体に対して大きな舵角で回転させることが求められる。プロペラ後方に2枚の舵板を配し、2舵の共同によりプロペラ後方を遮蔽するように大きな舵角をとり、大きな制動力を提供することが可能となり、1軸推進2舵操船の採用を提案している。ある商用技術では、広い舵角を実現する仕組みとして、ロータリーベーン式の油圧駆動機構を提案している(特許文献2、非特許文献1,2)。しかし、経済的に実用的、保守性、耐久性に優れる適当なものは、なお、検討の余地がある。ロータリーベーン方式は、ロータリーベーン部位自体に様々な技術課題を伴うからである。
このように、1枚舵であっても2枚舵であっても、従来技術は、十分に実用的な操舵装置を提供できていない。
特開平9−150795号公報 特許第2968265号公報
新・舵取機械・舵システムの新しい概念―シリングラダ―、ロータリーベーン舵取機、ベクツィン・ラダーシステム(1)日本マリンエンジニアリング学会誌、第45巻 第2号 P93−99 新・舵取機械・舵システムの新しい概念―シリングラダ―、ロータリーベーン舵取機、ベクツィン・ラダーシステム(2)日本マリンエンジニアリング学会誌、第45巻 第3号 P97−104
そこで、本発明は、舵角の全域において舵板を船舶の操舵に十分な舵力を生成させ、船舶をよりスムーズに回動させることができる駆動手段を備える操舵装置を提供することにある。
<請求項1に係る発明>
舵板を回動する駆動手段を備えた操舵装置であって、
前記駆動手段を、舵板を支持する上下方向に延在する舵軸と、舵軸と一体にこの径方向に延在する連結アームと、連結アームの先端部に上下方向に延在する支軸と、支軸にロッド先端部を回転自在に固定した一対の油圧シリンダで構成し、
前記舵板が最大舵角姿勢状態時に、いずれか一方の前記油圧シリンダの長手方向の軸心が、舵軸を中心として回動する支軸の回転軌跡の接線に沿うように油圧シリンダが設けられることを特徴とする操舵装置。
[作用効果]
舵板を舵角の全域である略140°の範囲で操船に十分な操舵力を発揮できる。従来の操舵装置に用いる程度のサイズの油圧シリンダを利用できる。また、船尾の限られた機械スペースに収納可能である。さらに、油圧による動力伝達機構の採用は動力伝達は液体により摺動部位が限定され、小型の油圧シリンダの採用は、油圧ポンプの能力も減じられ、総じて、騒音舵板の回動時に発生する騒音・振動を従来並みに抑制することができる。
そして、このような伝統的な油圧シリンダの採用により従来と同レベルの耐久性及び信頼性を確保する。以下、詳細に説明する。
油圧シリンダは1舵軸あたり二本構成であって、従来、舵トルクが最小となる最大舵角時において、1対の油圧シリンダのうち、いずれか一方の油圧シリンダの長手方向の軸心が、舵軸を中心として回動する支軸の回転軌跡の接線に沿うように油圧シリンダが設けられるから、この場合において、油圧シリンダの往復動力線と、連結アームとは直交し、トルク生成は最大値を与え得る。油圧シリンダが同一の推力で運転されると生成舵トルクは最大舵角姿勢状態時に最大となる。このように、従来とは異なり、クランク角が最低となる最大舵角時でのトルク生成に最大値を与え得る。
油圧シリンダ1本あたりの能力を抑えることは、汎用部品を用いて油圧回路を構成可能とすることになり、製造コスト上も、設置スペースの節約により船舶の積載能力上も有利であって、499トン以下の小型船においても有効である。
<請求項2に係る発明>
前記舵板が右側舵角姿勢状態において、前記1対の油圧シリンダにおける右舷側に配置された第1油圧シリンダの長手方向の軸心が、舵軸を中心として回動する支軸の回転軌跡の接線に沿って設けられ、
前記舵板が左側舵角姿勢状態において、前記1対の油圧シリンダにおける左舷側に配置された第2油圧シリンダの長手方向の軸心が、舵軸を中心として回動する支軸の回転軌跡の接線に沿って設けられる請求項1記載の操舵装置。
[作用効果]
舵板を舵角の全域である左側舵角姿勢状態から右側舵角姿勢状態の全域に亘ってスムーズに回動することができる。舵板が右側舵角姿勢状態において前記1対の油圧シリンダにおける右舷側に配置された第1油圧シリンダが最大トルクを生成可能であり、第1油圧シリンダが主シリンダとして作用し、左側舵角姿勢状態において、油圧シリンダにおける左舷側に配置された第2油圧シリンダが最大トルクを生成可能であり、第2油圧シリンダが主シリンダとして作用する。すなわち、したがって、互いに一方の最大舵角時には、一方の油圧シリンダが主シリンダとして作用し、他方の油圧シリンダは補助油圧シリンダとして作用する。このように、舵中立から幅広い舵角を取る条件下でも、トルク生成を二つの油圧シリンダで平準化し、左側舵角姿勢状態から右側舵角姿勢状態の全域に亘ってスムーズに回動することができる。油圧シリンダ1本あたりの所要能力を抑える効果をする。また、推力制御もより簡便に行える効果も与える。
従来は、クランク角が最低となる左右最大舵角時には舵トルクは最低であったが、本発明では、クランク角が最低となる左右最大舵角時の舵トルクは、少なくとも1つの油圧シリンダは最大舵トルクを生成する。
ところで、従来のトランクピストン型の舵柄は、舵軸中心に点対称に両持ちで動径を伸ばす。これに対して、本発明の連結アームは、例えば単一部材であり、舵軸中心に片持ちで動径を舵軸中心から舵軸から離隔する片方向へ動径を伸ばす。このように片持ち構造であるから、動径部の総重量をより軽くすることができ、製造材料費も比較的低減されるし、舵軸まわりの慣性モーメントもより小さくなり、省エネルギーである。部品点数が減ぜられ、摺動部が減るから保守費用も低減すると。
<請求項3に係る発明>
前記舵板が中立姿勢状態から左側舵角姿勢状態の間に、前記第1油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線に沿い、前記第2油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線と所定の交差角度を有して交差し、
前記舵板が中立姿勢状態から右側舵角姿勢状態の間に、前記第2油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線に沿い、前記第1油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線と所定の交差角度を有して交差する請求項1又は2記載の操舵装置。
[作用効果]
舵板を舵角の全域である左側舵角姿勢状態から右側舵角姿勢状態の全域に亘ってスムーズに、且つ、確実に回動することができる。
第1油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線に沿うとき、クランク角はゼロとなり、油圧シリンダ推力は舵トルク生成に貢献せず、この近傍で舵は第1油圧シリンダの推力制御に関し無制御状態になる。この場合でも、第2油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線と所定の交差角度を有して交差し、第2油圧シリンダの推力は舵トルク生成に有効に働き、この近傍で舵は第2油圧シリンダの推力制御に関し制御可能な状態にできる。総じて、舵角の全域である左側舵角姿勢状態から右側舵角姿勢状態の全域に亘って舵板は油圧シリンダ推力コントロール下にある。
第2油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線に沿うとき、クランク角はゼロとなり、油圧シリンダ推力は舵トルク生成に貢献せず、この近傍で舵は第2油圧シリンダの推力制御に関し無制御状態になる。この場合でも、第1油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線と所定の交差角度を有して交差し、第1油圧シリンダの推力は舵トルク生成に有効に働き、この近傍で舵は第1油圧シリンダの推力制御に関し制御可能な状態にできる。総じて、舵角の全域である左側舵角姿勢状態から右側舵角姿勢状態の全域に亘って舵板は油圧シリンダ推力コントロール下にある。
<請求項4に係る発明>
前記舵板が左側舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸の回転トルクが単調増加し、前記舵板が右側舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸の回転トルクが単調増加する構成とした請求項2又は3記載の操舵装置。
[作用効果]
油圧シリンダの油圧制御をより簡易に行うことができる。
左右最大舵角付近では、船軸に対する偏角が大きいため、水流から舵へ当たる流体力が最も大きくなる。従来のラプソンスライド型にしろ、トランクピストン型にしろ、従来のシリンダ方式では、最大舵角でクランク角が最小となり、最も舵力を要するにも拘わらず、生成する舵トルクは最小値をとり、原理的に舵力が最も小さくなるという不都合があった。逆に言えば、従来の操舵装置のシリンダ配置では左右最大舵角付近で僅かなロッド変位で舵角が大きく変化する。すなわち、従来の操舵装置のシリンダ配置では、微妙な推力制御をすべき左右最大舵角付近での油圧制御をより精緻に行う必要がある。もしも左右最大舵角付近で同一の推力を働かせたならば舵軸の回転トルクに谷が発生する場合、そのトルクに谷の前後を横切るとき、その近傍では、微妙な推力制御、微妙なロッド変位制御を要し、油圧シリンダの油圧制御を複雑化せざるを得ない。あるいは、左右最大舵角付近で同一の推力を働かせたならば舵軸の回転トルクに山が発生すると、そのトルクに山の前後を横切るとき動作は不安定となり、その近傍では、微妙な推力制御、微妙なロッド変位制御を要し、油圧シリンダの油圧制御を複雑化せざるを得ない。
これに対し、本発明では、左右側舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸の回転トルクが単調増加するから、油圧シリンダの油圧制御をより簡易に行うことができる。
ここで、左右側舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸の回転トルクが単調減少する構成は、左右側舵角姿勢状態で最大舵トルクを与えず、操舵性能として本構成に比べ劣る。
以上のように、舵板が左側舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸の回転トルクが単調増加し、前記舵板が右側舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸の回転トルクが単調増加する構成は、とりわけ好ましい。
<請求項5に係る発明>
前記連結アームの先端部に上下方向に延在する2本の支軸を設け、前記油圧シリンダのロッド先端部をそれぞれ別の前記支軸に回転自在に固定した請求項1〜4のいずれか1項に記載の操舵装置。
[作用効果]
舵板を舵角の全域である左側舵角姿勢状態から右側舵角姿勢状態の全域に亘って、より確実に回動するにあたり、高さ方向に省スペースとなる。
このように、連結アームにロッド先端部をそれぞれ別の前記支軸に回転自在に固定すれば、二つの油圧シリンダの設置高さに差を設ける必要がなく、油圧シリンダの収納高さを抑えることができる効果を与えより好適である。
<請求項6に係る発明>
請求項1〜5に記載された操舵装置を、スクリュー軸の左右方向の両側部にそれぞれ配置し、前記舵軸の軸心視において、前記舵板を、前記スクリュー軸の固定されたプロペラの側方から後方に移動可能な構成にした2舵用の船舶。
2舵用の船舶への応用範囲を拡げることができる。
スクリュー軸の左右方向の両側部に舵板を配置する2舵を有する船舶(ゲートラダー付き船舶)では、2枚の舵板をプロペラの側方からプロペラ後方まで移動すると、緊急停止を要する場合、プロペラ後方に発生するプロペラ後流をプロペラの真後ろでほぼ遮蔽する動きをするため、制止力を大とする効果を発揮するため、略140°以上の舵角範囲にわたり舵板を制御する必要性が高く、本発明の適用対象として好適である。
第1実施形態に係る操舵装置の斜視図である。 舵板を中立姿勢にした第1実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 舵板の後部を反時計方向に回転させ右側最大舵角姿勢にした第1実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 舵板の後部を時計方向に回転させ左側最大舵角姿勢にした第1実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 第2実施形態に係る操舵装置の斜視図である。 左右一対の舵板を中立姿勢にした第2実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 左右一対の舵板の後部を反時計方向に回転させ中立姿勢状態から右側最大舵角姿勢の間にした第2実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 左右一対の舵板の後部を時計方向に回転させ中立姿勢状態から左側最大舵角姿勢の間にした第2実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 操舵装置の一対の油圧シリンダの舵角と舵トルクの関係を示すグラフである。 左右一対の舵板を中立姿勢にした第2実施形態の変形例の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 左右一対の舵板の後部を時計方向に回転させ中立姿勢状態から左側最大舵角姿勢の間にした第2実施形態の変形例の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。
<第1実施形態>
図1〜4に示した第1実施形態の操舵装置の構成について説明する。
操舵装置は、舵板30と、舵板30の上面に連結された上下方向に延在する舵軸20と、舵軸20の上部から径方向に延在する連結アーム50と、連結アーム50の先端部に設けられた上下方向に延在する支軸60と、右舷側に配置された油圧シリンダ(請求項における「第1油圧シリンダ」)100と、左舷側に配置された油圧シリンダ(請求項における「第2油圧シリンダ」)110とから形成されている。また、舵軸20は、船体(図示省略)の下部に回転自在に支持されている。
油圧シリンダ100の基部、すなわち、シリンダチューブの基部は、連結部材102を介して船体に回転自在に連結され、油圧シリンダ100の先端部、すなわち、シリンダロッドの先端部は、連結部材103を介して支軸60に回転自在に連結されている。また、油圧シリンダ100は、油圧シリンダ100の基部から左舷側に傾斜して配置されている。
油圧シリンダ110の基部、すなわち、シリンダチューブの基部は、連結部材102を介して船体に回転自在に連結され、油圧シリンダ110の先端部、すなわち、シリンダロッドの先端部は、連結部材113を介して支軸60に回転自在に連結されている。また、油圧シリンダ110は、油圧シリンダ110の基部から右舷側に傾斜して配置されている。
図3に示すように、油圧シリンダ100の長手方向の軸心は、最大舵角δ/2時、すなわち、舵軸20を中心として舵板30の後部が反時計方向に最も回転した右側最大舵角姿勢時には、舵軸20を中心として回転する連結アーム50の先端部60に設けられた支軸60の回転軌跡の接線に沿って設けられている。すなわち、油圧シリンダ100の長手方向の軸心を、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線Xと直角になるように設けている。これにより、連結アーム50の先端部に設けられた支軸60に、舵軸20を中心に連結アーム50の先端部を反時計方向に回転させる最大のトルクを加えることができる。また、油圧シリンダ110は、油圧シリンダ110の基部から舵角が大きくなるに従って舷側への傾斜が大きくなる。
図4に示すように、油圧シリンダ110の長手方向の軸心は、最大舵角δ/2時、すなわち、舵軸20を中心として舵板30の後部が時計方向に最も回転した左側最大舵角姿勢時には、舵軸20を中心として回転する連結アーム50の先端部60に設けられた支軸60の回転軌跡の接線に沿って設けられている。すなわち、油圧シリンダ110の長手方向の軸心を、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線Xと直角になるように設けている。これにより、連結アーム50の先端部に設けられた支軸60に、舵軸20を中心に連結アーム50の先端部を時計方向に回転させる最大のトルクを加えることができる。また、油圧シリンダ100は、油圧シリンダ100の基部から舵角が大きくなるに従って舷側への傾斜が大きくなる。
したがって、右側最大舵角姿勢時には、油圧シリンダ100が主シリンダとして働き、油圧シリンダ110は補助油圧シリンダとして働く、左側最大舵角姿勢時には、油圧シリンダ110が主シリンダとして働き、油圧シリンダ100は補助油圧シリンダとして働く。
第1実施形態の操舵装置は、舵軸20の中心をとおる前後方向に延在する中心線に対して舵中立状態で油圧シリンダ100と油圧シリンダ110が左右対称になるように設けられ、図2に示す中立姿勢から図3に示す右側最大舵角姿勢の回転角度は70度に設定され(δ=140度の半分)、図2に示す中立姿勢から図4に示す左側最大舵角姿勢の回転角度は70度(δ=140度の半分)に設定されている。
第1実施形態の操舵装置は、舵軸20の中心と支軸60の中心をとおる仮想線Xが舵中立状態でスクリュー軸70方向に平行となるように連結アーム50、舵軸20、舵板30が一体に形成されている。
油圧シリンダ100と油圧シリンダ110の先端を支軸60に連結し、油圧シリンダ100と油圧シリンダ110として小型な油圧シリンダを採用する。こうして、汎用部品を用いて油圧回路を構成可能とすることになり、製造コスト上も、設置スペースの節約により船舶の積載能力上も有利であって、499トン以下の小型船においても有効である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部品、部材には同一符号を付して説明を省略する。図5〜8に示すように、第2実施形態は、プロペラ40を後端部に支持するスクリュー軸70の左側と右側にそれぞれ駆動手段を設けている。
右側に配置された駆動手段は、右舷側の舵板30Aを駆動する舵軸20Aに対して、右側最大舵角姿勢状態時に、連結アーム50Aの支軸60Aの回転軌跡の接線Tに長手方向の軸心が沿うように、油圧シリンダ110Aが設けられており、左側最大舵角姿勢状態時に、連結アーム50Aの支軸60Aの回転軌跡の接線Tに長手方向の軸心が沿うように、油圧シリンダ100Aが設けられている。なお、第2実施形態においては、右側最大舵角姿勢は、舵軸20Aを中心として舵板30Aの後端部が上流側に30°(図中のαに対応)傾斜した姿勢をいい、左側最大舵角姿勢とは、舵軸20Aを中心として舵板30Aの後端部が下流側に110°(図中のβに対応)傾斜した姿勢をいい、舵板30Aは、中立姿勢から上流側に30°、下流側に110°で合計140°回動できる。
左側に配置された駆動手段は、左舷側の舵板30Bを駆動する舵軸20Bに対して、右側最大舵角姿勢状態時に、連結アーム50Bの支軸60Bの回転軌跡の接線Tに長手方向の軸心が沿うように、油圧シリンダ100Bが設けられており、左側最大舵角姿勢状態時に、連結アーム50Bの支軸60Bの回転軌跡の接線Tに長手方向の軸心が沿うように、油圧シリンダ110Bが設けられている。なお、第2実施形態においては、右側最大舵角姿勢は、舵軸20Bを中心として舵板30Bの後端部が下流側に110°傾斜した姿勢をいい、左側最大舵角姿勢とは、舵軸20Bを中心として舵板30Aの後端部が上流側に30°傾斜した姿勢をいい、舵板30Bは、中立姿勢から上流側に30°、下流側に110°で後継140°回動できる。
第2実施形態では、舵軸20の中心と支軸60の仮想線Xが舵中立状態でスクリュー軸70と上流側最大舵角交叉するように連結アーム50、舵軸20、舵板30が一体に形成されいる。例えば、上流に30°、下流に110°旋回し、合計140°の範囲で旋回可能である場合、交叉角は30°である。この交叉角は、必ずしも上流側最大舵角である必要なく、例えば、船尾スペースとの関係、各油圧シリンダが干渉しないように設定されれば足りる。
巡航直進の保針操船、舵中央の場合には、両舵板30A,30Bは、プロペラ40の側方に船軸と平行、スクリュー軸70方向に保持されている。
低速時に右舷方向へスラスト流を生成する場合、舵板30Bは、油圧シリンダ100Bと110Bによって駆動される舵軸20Bの回転によりプロペラ40側方からプロペラ後方に110°まで右側最大舵角姿勢状態へ移動可能であり、同時にもう一方の舵板30Aは、油圧シリンダ100Aと110Aによって駆動される舵軸20Aの回転によりプロペラ40側方からプロペラ40上流側に最大舵角30°まで右側最大舵角姿勢状態へ移動するように構成されている。上流側へは右側最大舵角30°も旋回すれば十分に操舵の目的を達成するし、これ以上舵を切っても操船の効果はなく、むしろ船速を落とす元になる。
低速時に左舷方向へスラスト流を生成する場合、舵板30Aは、油圧シリンダ100Aと110Aによって駆動される舵軸20Aの回転によりプロペラ40側方からプロペラ後方に110°まで左側最大舵角姿勢状態へ移動可能であり、同時にもう一方の舵板30Bは、油圧シリンダ100Bと110Bによって駆動される舵軸20Bの回転によりプロペラ40側方からプロペラ40上流側に最大舵角30°まで左側最大舵角姿勢状態へ移動するように構成されている。上流側へは左側最大舵角30°も旋回すれば十分に操舵の目的を達成する。
2枚舵を備える船舶は、港湾接岸時等必要に応じサイドスラスター同様に強い横の流れを生成し、最大舵角付近でも十分な舵力に耐えて、プロペラの水流を旋回のために偏向整流させ、舵中立から船首側へ30°の舵角、あるいは、舵中立から90°を超える舵角で緊急制動しても十分な舵力を生成する点好ましく、あるいは、急停止減速時には、両方の舵板を各舵軸の回転によりプロペラ側方からプロペラ上流側へ船軸に線対称に30°程度旋回すれば、舵を船舶の制動に利用できるようにもなり、高い制動性能を確保できる点好ましい。
図9の舵板30の舵角が0°においては、左右一対に設けられた操舵装置の油圧シリンダ100(図9中の「A」が対応)の長手方向の軸心が、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線の延長線上に沿う。すなわち、舵軸20の中心と、支軸60の中心と、連結部材102の中心が一直線状に位置する。これにより、油圧シリンダ100の舵軸20を回動させる舵トルクは略0Nmとなる。一方、シリンダ110(図9中の「B」が対応)の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ110の舵軸20を回動させる舵トルクは略130Nmとなる。よって、油圧シリンダ100とシリンダ110によって舵軸20を回動させる舵トルクの総和は略130Nmとなる。したがって、一方の油圧シリンダの舵トルクが0Nmになった場合においても、他方の油圧シリンダによって舵板30を回動させることができる。
図9の舵板30の舵角が上流側に30°(上流側最大舵角)においては、左右一対に設けられた操舵装置の油圧シリンダ100の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ100の舵軸20を回動させる一方の舵トルクは略50Nmとなる。同様に、シリンダ110の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ110の舵軸20を回動させるもう一方の舵トルクは略150Nmとなる、よって、油圧シリンダ100とシリンダ110によって舵軸20を回動させる舵トルクの総和は略200Nmとなりこの近傍の最大舵トルクとなる。そして、上流側最大舵角付近において、その近傍で上流側最大舵角に向け舵トルクは単調増加し、局所的に最大舵トルクを発生する。
図9の舵板30の舵角が下流側に80°においては、左右一対に設けられた操舵装置の油圧シリンダ110の長手方向の軸心が、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線の延長線上に沿う。すなわち、舵軸20の中心と、支軸60の中心と、連結部材112の中心が一直線状に位置する。これにより、油圧シリンダ110の舵軸20を回動させる一方の舵トルクは略0Nmとなる。一方、シリンダ100の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ100の舵軸20を回動させる舵トルクの総和は略180Nmとなる。したがって、一方の油圧シリンダの舵トルクが0Nmになった場合においても、他方の油圧シリンダによって舵板30を回動させることができる。
図9の舵板30の舵角が下流側に110°(下流側最大舵角)においては、左右一対に設けられた操舵装置の油圧シリンダ100の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ100の舵軸20を回動させる一方の舵トルクは略200Nmとなる。同様に、シリンダ110の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ110の舵軸20を回動させるもう一方の舵トルクは略80Nmとなる、よって、油圧シリンダ100とシリンダ110によって舵軸20を回動させる舵トルクは略280Nmとなり最大舵トルクの総和となる。そして、下流側最大舵角付近において、その近傍で下流側最大舵角に向け舵トルクは単調増加し、局所的に最大舵トルクを発生する。
このように、第2の実施形態に係る操舵装置モデルの舵角に対する舵トルクは、図9のグラフに示されているように、油圧シリンダAとBが互いに最大舵角付近で補完し合い、総和Cは、上流最大舵角で略180Nm、下流最大舵角で略280Nmである。通常の舵では、舵角70°では、舵トルクは最大舵角では最大から1/4以下となる。最大舵角70°ではクランク角が20°となり、舵トルクがsin20°的に低下する。これは、図9で、50Nm以下に相当する。これに対して、本構成は最大舵角でも略180Nmの舵トルクを生成する。すなわち、本構成は、従来技術の略2倍の性能を発揮する。逆に言えば、1油圧シリンダの能力は、従来技術に比し、半分の能力でも十分足りる。
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例について説明する。なお、第2実施形態と同一部品、部材には同一符号を付して説明を省略する。図11,12に示すように、第2実施形態の変形例は、油圧シリンダ100のロッド先端部を回転自在に支持する支軸61と、油圧シリンダ110のロッド先端部を回転自在に支持する支軸62を別体として形成している。これにより、油圧シリンダ100,110を配置に左右で段差を設ける必要がないという設置スペース上の利点があり、好ましい。少なくとも段差解消の特別な機構を不要とし製造コスト・保守コストを下げる利点があり好ましい。
支軸61の中心と支軸62を結ぶ仮想線の中心が、第2実施形態の支軸60に対応し、支軸61の中心と支軸62を結ぶ仮想線の中心の回転軌跡が、第2実施形態の支軸60の回転軌跡に対応する。
本発明は、水上船舶の舵板の操舵部分に適用可能なものである。
20 舵軸
30 舵板
40 プロペラ
50 連結アーム
60 支軸
61 支軸
62 支軸
70 スクリュー軸
100 油圧シリンダ(第1油圧シリンダ)
110 油圧シリンダ(第2油圧シリンダ)
T 接線
本発明は、船舶の操舵装置であって、舵角を従来の舵角限度70°を超えて舵軸を回転可能とするにあたり、最大舵角付近での必要操舵力を減じて低速時でもスラスター同様の操船能力を提供して、油圧シリンダの配置に特徴を有する操舵装置に関し、水上船舶に好適、機械設置スペースに制約のある小型船にも有利な操舵装置である。
従来、貨物船等の一般船舶の舵は、通常、操舵機の回転角度を左右±35°ずつ、合計70°とし、舵の舵角も同じく合計70°とされる。舵の舵角を拡げるには、ピストンロッド1本の往復動を回転動に変換する動力伝達手段では、ピストンロッドへの作用角であるクランク角が鋭角になりすぎるという問題がある。
特許文献1は、従来技術の典型であるラムおよびシリンダ方式のラプソンスライド型の駆動機構を開示している(特許文献1の図7参照)。
ここに、転舵角幅を特許文献1の図7の左右合計でΘラジアンとすれば、舵軸に作用するトルクTは、ひとつの油圧シリンダ力Fに対し、フォークの動径をRとして、
T=FRsin{(π−Θ)/2}・・・(1)
である。
レシプロ型内燃機関のピストンクランク機構に類似させ、次式2に示すクランク角θは式(2)によってあらわすことができる。
θ={(π−Θ)/2}・・・(2)
式(2)からわかるように、転舵角幅が70°をはるかに超え、例えば、140°となれば油圧シリンダ力は、従来比2.5倍の性能強化を要する。通常、ラプソンスライド型に用いる油圧シリンダは単動タイプであり、これに適用する油圧シリンダは大型化する。
使用可能な油圧に限度があることから、シリンダの大口径化を図れば高コストに繋がるし、特許文献1図6に示されるように、高出力化による付帯設備の大型化、あるいは、長ストロークによる設置面積の増加は、特に小型船で問題となる。
また、式(2)から明らかなように、ラプソンスライド型の場合に、広い舵角を実現しようとすると、動径R(特許文献1図6では動径30)を小とするか、油圧シリンダのストロークSを長くするか、少なくともいずれかを要する。そして、ストック中心軸線を中心として両端の最大舵角近傍では、操舵トルクは舵角範囲で最低となる。
しかるに、舵角限界付近では、流体抵抗も大となり、舵角を従来よりも大とするならば、より大きな操舵トルクを生成する必要がある。
一方、小型船では、スラスターを備えず、大型船に比べ主舵のみで小回りの効く操舵能力が求められる。低速時の操船においては、最大舵角付近でプロペラを高速回転し操船能力を増すことが望ましいというニーズもある。
トランクピストン型の駆動機構は、油圧シリンダ駆動機構を2セット使用し、同じ油圧シリンダを用いても発生操舵トルクを2倍にするが、操舵中立点から所望の舵角70°以上、例えば、140°以上の舵角を得ようとすれば、クランク角が鋭角になり過ぎる問題は上述のラプソンスライド型と変わらない。
このような従来装置では、最大舵角付近では、作用角が鋭角となって十分に舵力を発生できず、プロペラの高速回転が不可能となり大きな舵角をとって急旋回するに足る推力をプロペラスクリューに与えることができないという問題も発見された。
また、最大舵角付近では、不用意に舵板が回転する、水流に負けてしまい舵の制御を失うという安全性の課題も見出された。
他方、1軸推進に対して2舵の操船の船舶では、緊急時の急停止には、舵が船体に対して大きな舵角で回転させることが求められる。プロペラ後方に2枚の舵板を配し、2舵の共同によりプロペラ後方を遮蔽するように大きな舵角をとり、大きな制動力を提供することが可能となり、1軸推進2舵操船の採用を提案している。ある商用技術では、広い舵角を実現する仕組みとして、ロータリーベーン式の油圧駆動機構を提案している(特許文献2、非特許文献1,2)。しかし、経済的に実用的、保守性、耐久性に優れる適当なものは、なお、検討の余地がある。ロータリーベーン方式は、ロータリーベーン部位自体に様々な技術課題を伴うからである。
このように、1枚舵であっても2枚舵であっても、従来技術は、十分に実用的な操舵装置を提供できていない。
特開平9−150795号公報 特許第2968265号公報
新・舵取機械・舵システムの新しい概念―シリングラダ―、ロータリーベーン舵取機、ベクツィン・ラダーシステム(1)日本マリンエンジニアリング学会誌、第45巻 第2号 P93−99 新・舵取機械・舵システムの新しい概念―シリングラダ―、ロータリーベーン舵取機、ベクツィン・ラダーシステム(2)日本マリンエンジニアリング学会誌、第45巻 第3号 P97−104
そこで、本発明は、舵角の全域において舵板を船舶の操舵に十分な舵力を生成させ、船舶をよりスムーズに回動させることができる駆動手段を備える操舵装置を提供することにある。
<請求項1に係る発明>
舵板を回動する駆動手段を備えた操舵装置であって、
前記舵板を、スクリュー軸の左側に設けられる左舵板と、該スクリュー軸の右側に設けられる右舵板で形成し、
前記左舵板を駆動する左駆動手段を、前記左舵板を支持する上下方向に延在する舵軸と、該左舵軸の径方向に延在する連結アームと、該左連結アームの先端部に上下方向に延在する支軸と、該左支軸にロッド先端部を回転自在に固定した第1左油圧シリンダと第2左油圧シリンダで構成し、
前記右舵板を駆動する右駆動手段を、前記右舵板を支持する上下方向に延在する右舵軸と、該右舵軸の径方向に延在する右連結アームと、該右連結アームの先端部に上下方向に延在する右支軸と、該右支軸にロッド先端部を回転自在に固定した第1右油圧シリンダと第2右油圧シリンダで構成し、
前記左舵軸の軸心視において、左側最大舵角姿勢時には、前記左舵軸を時計方向にα度回転し、右側最大舵角姿勢時には、前記左舵軸を反時計方向にβ度回転し、
前記右舵軸の軸心視において、左側最大舵角姿勢時には、前記右舵軸を時計方向にβ度回転し、右側最大舵角姿勢時には、前記右舵軸を反時計方向にα度回転し、
前記左側最大舵角姿勢時には、前記第2左油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記左舵軸を中心として回動する左支軸の回転軌跡の接線に沿って設けられ、前記第1右油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記右舵軸を中心として回動する右支軸の回転軌跡の接線に沿って設けられ、
前記右側最大舵角姿勢時には、前記第1左油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記左舵軸を中心として回動する左支軸の回転軌跡の接線に沿って設けられ、前記第2右油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記右舵軸を中心として回動する右支軸の回転軌跡の接線に沿って設けられることを特徴とする操舵装置
[作用効果]
圧シリンダは1舵軸あたり二本構成であって、従来、舵トルクが最小となる最大舵角時において、1対の油圧シリンダのうち、いずれか一方の油圧シリンダの長手方向の軸心が、舵軸を中心として回動する支軸の回転軌跡の接線に沿うように油圧シリンダが設けられるから、この場合において、油圧シリンダの往復動力線と、連結アームとは直交し、トルク生成は最大値を与え得る。油圧シリンダが同一の推力で運転されると生成舵トルクは最大舵角姿勢状態時に最大となる。このように、従来とは異なり、クランク角が最低となる最大舵角時でのトルク生成に最大値を与え得る。
<請求項に係る発明>
前記左最大舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸と右舵軸の回転トルクが単調増加し、前記右最大舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸と右舵軸の回転トルクが単調増加する構成とした請求項記載の操舵装置。
[作用効果]
右側舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸の回転トルクが単調増加するから、油圧シリンダの油圧制御をより簡易に行うことができる。
<請求項3に係る発明>
前記α度が30度であり、前記β度が110度であり、
前記左舵板が中立姿勢状態時には、前記第1左油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記左舵軸と左支軸の中心を結ぶ仮想線に沿って設け、
前記右舵板が中立姿勢状態時には、前記第1右油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記右舵軸と右支軸の中心を結ぶ仮想線に沿って設けた請求項1又は2記載の操舵装置。
<請求項に係る発明>
前記連結アームの先端部に上下方向に延在する2本の支軸を近接して設け、前記第1左油圧シリンダと第2左油圧シリンダのロッド先端部をそれぞれ別の前記支軸に回転自在に固定し、
前記右連結アームの先端部に上下方向に延在する2本の右支軸を近接して設け、前記第1右油圧シリンダと第2右油圧シリンダのロッド先端部をそれぞれ別の前記右支軸に回転自在に固定した請求項1〜のいずれか1項に記載の操舵装置。
[作用効果]
舵板を舵角の全域である左側舵角姿勢状態から右側舵角姿勢状態の全域に亘って、より確実に回動するにあたり、高さ方向に省スペースとなる。
このように、連結アームにロッド先端部をそれぞれ別の前記支軸に回転自在に固定すれば、二つの油圧シリンダの設置高さに差を設ける必要がなく、油圧シリンダの収納高さを抑えることができる効果を与えより好適である。
左側最大舵角姿勢時から舵角右側最大舵角姿勢時の全域において舵板を効率良く回動することができる。
第1実施形態に係る操舵装置の斜視図である。 舵板を中立姿勢にした第1実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 舵板の後部を反時計方向に回転させ右側最大舵角姿勢にした第1実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 舵板の後部を時計方向に回転させ左側最大舵角姿勢にした第1実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 第2実施形態に係る操舵装置の斜視図である。 左右一対の舵板を中立姿勢にした第2実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 左右一対の舵板の後部を反時計方向に回転させ中立姿勢状態から右側最大舵角姿勢の間にした第2実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 左右一対の舵板の後部を時計方向に回転させ中立姿勢状態から左側最大舵角姿勢の間にした第2実施形態の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 操舵装置の一対の油圧シリンダの舵角と舵トルクの関係を示すグラフである。 左右一対の舵板を中立姿勢にした第2実施形態の変形例の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。 左右一対の舵板の後部を時計方向に回転させ中立姿勢状態から左側最大舵角姿勢の間にした第2実施形態の変形例の操舵装置の油圧シリンダと連結アームの状態を説明する平面図である。
<第1実施形態>
図1〜4に示した第1実施形態の操舵装置の構成について説明する。
操舵装置は、舵板30と、舵板30の上面に連結された上下方向に延在する舵軸20と、舵軸20の上部から径方向に延在する連結アーム50と、連結アーム50の先端部に設けられた上下方向に延在する支軸60と、右舷側に配置された油圧シリン100と、左舷側に配置された油圧シリン110とから形成されている。また、舵軸20は、船体(図示省略)の下部に回転自在に支持されている。
油圧シリンダ100の基部、すなわち、シリンダチューブの基部は、連結部材102を介して船体に回転自在に連結され、油圧シリンダ100の先端部、すなわち、シリンダロッドの先端部は、連結部材103を介して支軸60に回転自在に連結されている。また、油圧シリンダ100は、油圧シリンダ100の基部から左舷側に傾斜して配置されている。
油圧シリンダ110の基部、すなわち、シリンダチューブの基部は、連結部材102を介して船体に回転自在に連結され、油圧シリンダ110の先端部、すなわち、シリンダロッドの先端部は、連結部材113を介して支軸60に回転自在に連結されている。また、油圧シリンダ110は、油圧シリンダ110の基部から右舷側に傾斜して配置されている。
図3に示すように、油圧シリンダ100の長手方向の軸心は、最大舵角δ/2時、すなわち、舵軸20を中心として舵板30の後部が反時計方向に最も回転した右側最大舵角姿勢時には、舵軸20を中心として回転する連結アーム50の先端部60に設けられた支軸60の回転軌跡の接線に沿って設けられている。すなわち、油圧シリンダ100の長手方向の軸心を、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線Xと直角になるように設けている。これにより、連結アーム50の先端部に設けられた支軸60に、舵軸20を中心に連結アーム50の先端部を反時計方向に回転させる最大のトルクを加えることができる。また、油圧シリンダ110は、油圧シリンダ110の基部から舵角が大きくなるに従って舷側への傾斜が大きくなる。
図4に示すように、油圧シリンダ110の長手方向の軸心は、最大舵角δ/2時、すなわち、舵軸20を中心として舵板30の後部が時計方向に最も回転した左側最大舵角姿勢時には、舵軸20を中心として回転する連結アーム50の先端部60に設けられた支軸60の回転軌跡の接線に沿って設けられている。すなわち、油圧シリンダ110の長手方向の軸心を、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線Xと直角になるように設けている。これにより、連結アーム50の先端部に設けられた支軸60に、舵軸20を中心に連結アーム50の先端部を時計方向に回転させる最大のトルクを加えることができる。また、油圧シリンダ100は、油圧シリンダ100の基部から舵角が大きくなるに従って舷側への傾斜が大きくなる。
したがって、右側最大舵角姿勢時には、油圧シリンダ100が主シリンダとして働き、油圧シリンダ110は補助油圧シリンダとして働く、左側最大舵角姿勢時には、油圧シリンダ110が主シリンダとして働き、油圧シリンダ100は補助油圧シリンダとして働く。
第1実施形態の操舵装置は、舵軸20の中心をとおる前後方向に延在する中心線に対して舵中立状態で油圧シリンダ100と油圧シリンダ110が左右対称になるように設けられ、図2に示す中立姿勢から図3に示す右側最大舵角姿勢の回転角度は70度に設定され(δ=140度の半分)、図2に示す中立姿勢から図4に示す左側最大舵角姿勢の回転角度は70度(δ=140度の半分)に設定されている。
第1実施形態の操舵装置は、舵軸20の中心と支軸60の中心をとおる仮想線Xが舵中立状態でスクリュー軸70方向に平行となるように連結アーム50、舵軸20、舵板30が一体に形成されている。
油圧シリンダ100と油圧シリンダ110の先端を支軸60に連結し、油圧シリンダ100と油圧シリンダ110として小型な油圧シリンダを採用する。こうして、汎用部品を用いて油圧回路を構成可能とすることになり、製造コスト上も、設置スペースの節約により船舶の積載能力上も有利であって、499トン以下の小型船においても有効である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部品、部材には同一符号を付して説明を省略する。図5〜8に示すように、第2実施形態は、プロペラ40を後端部に支持するスクリュー軸70の左側と右側にそれぞれ駆動手段を設けている。
右側に配置された駆動手段は、右舷側の舵板(請求項における「右舵板」)30Aを駆動する舵軸(請求項における「右舵軸」)20Aに対して、右側最大舵角姿勢状態時に、連結アーム(請求項における「右連結アーム」)50Aの支軸(請求項における「右支軸」)60Aの回転軌跡の接線Tに長手方向の軸心が沿うように、油圧シリンダ110Aが設けられており、左側最大舵角姿勢状態時に、連結アーム50Aの支軸60Aの回転軌跡の接線Tに長手方向の軸心が沿うように、油圧シリンダ100Aが設けられている。なお、第2実施形態においては、右側最大舵角姿勢は、舵軸20Aを中心として舵板30Aの後端部が上流側に30°(図中のαに対応)傾斜した姿勢をいい、左側最大舵角姿勢とは、舵軸20Aを中心として舵板30Aの後端部が下流側に110°(図中のβに対応)傾斜した姿勢をいい、舵板30Aは、中立姿勢から上流側に30°、下流側に110°で合計140°回動できる。
左側に配置された駆動手段は、左舷側の舵板(請求項における「左舵板」)30Bを駆動する舵軸(請求項における「左舵軸」)20Bに対して、右側最大舵角姿勢状態時に、連結アーム(請求項における「左連結アーム」)50Bの支軸(請求項における「左支軸」)60Bの回転軌跡の接線Tに長手方向の軸心が沿うように、油圧シリンダ100Bが設けられており、左側最大舵角姿勢状態時に、連結アーム50Bの支軸60Bの回転軌跡の接線Tに長手方向の軸心が沿うように、油圧シリンダ110Bが設けられている。なお、第2実施形態においては、右側最大舵角姿勢は、舵軸20Bを中心として舵板30Bの後端部が下流側に110°傾斜した姿勢をいい、左側最大舵角姿勢とは、舵軸20Bを中心として舵板30Aの後端部が上流側に30°傾斜した姿勢をいい、舵板30Bは、中立姿勢から上流側に30°、下流側に110°で後継140°回動できる。
第2実施形態では、舵軸20の中心と支軸60の仮想線Xが舵中立状態でスクリュー軸70と上流側最大舵角交叉するように連結アーム50、舵軸20、舵板30が一体に形成されいる。例えば、上流に30°、下流に110°旋回し、合計140°の範囲で旋回可能である場合、交叉角は30°である。この交叉角は、必ずしも上流側最大舵角である必要なく、例えば、船尾スペースとの関係、各油圧シリンダが干渉しないように設定されれば足りる。
巡航直進の保針操船、舵中央の場合には、両舵板30A,30Bは、プロペラ40の側方に船軸と平行、スクリュー軸70方向に保持されている。
低速時に右舷方向へスラスト流を生成する場合、舵板30Bは、油圧シリンダ100Bと110Bによって駆動される舵軸20Bの回転によりプロペラ40側方からプロペラ後方に110°まで右側最大舵角姿勢状態へ移動可能であり、同時にもう一方の舵板30Aは、油圧シリンダ(請求項における「第1右油圧シリンダ」)100Aと油圧シリンダ(請求項における「第2右油圧シリンダ」)110Aによって駆動される舵軸20Aの回転によりプロペラ40側方からプロペラ40上流側に最大舵角30°まで右側最大舵角姿勢状態へ移動するように構成されている。上流側へは右側最大舵角30°も旋回すれば十分に操舵の目的を達成するし、これ以上舵を切っても操船の効果はなく、むしろ船速を落とす元になる。
低速時に左舷方向へスラスト流を生成する場合、舵板30Aは、油圧シリンダ100Aと110Aによって駆動される舵軸20Aの回転によりプロペラ40側方からプロペラ後方に110°まで左側最大舵角姿勢状態へ移動可能であり、同時にもう一方の舵板30Bは、油圧シリンダ(請求項における「第1左油圧シリンダ」)100Bと油圧シリンダ(請求項における「第2左油圧シリンダ」)110Bによって駆動される舵軸20Bの回転によりプロペラ40側方からプロペラ40上流側に最大舵角30°まで左側最大舵角姿勢状態へ移動するように構成されている。上流側へは左側最大舵角30°も旋回すれば十分に操舵の目的を達成する。
2枚舵を備える船舶は、港湾接岸時等必要に応じサイドスラスター同様に強い横の流れを生成し、最大舵角付近でも十分な舵力に耐えて、プロペラの水流を旋回のために偏向整流させ、舵中立から船首側へ30°の舵角、あるいは、舵中立から90°を超える舵角で緊急制動しても十分な舵力を生成する点好ましく、あるいは、急停止減速時には、両方の舵板を各舵軸の回転によりプロペラ側方からプロペラ上流側へ船軸に線対称に30°程度旋回すれば、舵を船舶の制動に利用できるようにもなり、高い制動性能を確保できる点好ましい。
図9の舵板30の舵角が0°においては、左右一対に設けられた操舵装置の油圧シリンダ100(図9中の「A」が対応)の長手方向の軸心が、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線の延長線上に沿う。すなわち、舵軸20の中心と、支軸60の中心と、連結部材102の中心が一直線状に位置する。これにより、油圧シリンダ100の舵軸20を回動させる舵トルクは略0Nmとなる。一方、シリンダ110(図9中の「B」が対応)の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ110の舵軸20を回動させる舵トルクは略130Nmとなる。よって、油圧シリンダ100とシリンダ110によって舵軸20を回動させる舵トルクの総和は略130Nmとなる。したがって、一方の油圧シリンダの舵トルクが0Nmになった場合においても、他方の油圧シリンダによって舵板30を回動させることができる。
図9の舵板30の舵角が上流側に30°(上流側最大舵角)においては、左右一対に設けられた操舵装置の油圧シリンダ100の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ100の舵軸20を回動させる一方の舵トルクは略50Nmとなる。同様に、シリンダ110の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ110の舵軸20を回動させるもう一方の舵トルクは略150Nmとなる、よって、油圧シリンダ100とシリンダ110によって舵軸20を回動させる舵トルクの総和は略200Nmとなりこの近傍の最大舵トルクとなる。そして、上流側最大舵角付近において、その近傍で上流側最大舵角に向け舵トルクは単調増加し、局所的に最大舵トルクを発生する。
図9の舵板30の舵角が下流側に80°においては、左右一対に設けられた操舵装置の油圧シリンダ110の長手方向の軸心が、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線の延長線上に沿う。すなわち、舵軸20の中心と、支軸60の中心と、連結部材112の中心が一直線状に位置する。これにより、油圧シリンダ110の舵軸20を回動させる一方の舵トルクは略0Nmとなる。一方、シリンダ100の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ100の舵軸20を回動させる舵トルクの総和は略180Nmとなる。したがって、一方の油圧シリンダの舵トルクが0Nmになった場合においても、他方の油圧シリンダによって舵板30を回動させることができる。
図9の舵板30の舵角が下流側に110°(下流側最大舵角)においては、左右一対に設けられた操舵装置の油圧シリンダ100の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ100の舵軸20を回動させる一方の舵トルクは略200Nmとなる。同様に、シリンダ110の長手方向の軸心は、舵軸20と支軸60の中心を結んだ仮想線と所定の交差角度をもって交差して油圧シリンダ110の舵軸20を回動させるもう一方の舵トルクは略80Nmとなる、よって、油圧シリンダ100とシリンダ110によって舵軸20を回動させる舵トルクは略280Nmとなり最大舵トルクの総和となる。そして、下流側最大舵角付近において、その近傍で下流側最大舵角に向け舵トルクは単調増加し、局所的に最大舵トルクを発生する。
このように、第2の実施形態に係る操舵装置モデルの舵角に対する舵トルクは、図9のグラフに示されているように、油圧シリンダAとBが互いに最大舵角付近で補完し合い、総和Cは、上流最大舵角で略180Nm、下流最大舵角で略280Nmである。通常の舵では、舵角70°では、舵トルクは最大舵角では最大から1/4以下となる。最大舵角70°ではクランク角が20°となり、舵トルクがsin20°的に低下する。これは、図9で、50Nm以下に相当する。これに対して、本構成は最大舵角でも略180Nmの舵トルクを生成する。すなわち、本構成は、従来技術の略2倍の性能を発揮する。逆に言えば、1油圧シリンダの能力は、従来技術に比し、半分の能力でも十分足りる。
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例について説明する。なお、第2実施形態と同一部品、部材には同一符号を付して説明を省略する。図11,12に示すように、第2実施形態の変形例は、油圧シリンダ100のロッド先端部を回転自在に支持する支軸61と、油圧シリンダ110のロッド先端部を回転自在に支持する支軸62を別体として形成している。これにより、油圧シリンダ100,110を配置に左右で段差を設ける必要がないという設置スペース上の利点があり、好ましい。少なくとも段差解消の特別な機構を不要とし製造コスト・保守コストを下げる利点があり好ましい。
支軸61の中心と支軸62を結ぶ仮想線の中心が、第2実施形態の支軸60に対応し、支軸61の中心と支軸62を結ぶ仮想線の中心の回転軌跡が、第2実施形態の支軸60の回転軌跡に対応する。
本発明は、水上船舶の舵板の操舵部分に適用可能なものである。
20 舵軸
20A 舵軸(右舵軸)
20B 舵軸(左舵軸)
30 舵板
30A 舵板(右舵板)
30B 舵板(左舵板)
40 プロペラ
50 連結アーム
50A 連結アーム(右連結アーム)
50B 連結アーム(左連結アーム)
60 支軸
60A 支軸(右支軸)
60B 支軸(左支軸)
61 支軸
62 支軸
70 スクリュー軸
100 油圧シリン
100A 油圧シリンダ(第1右油圧シリンダ)
100B 油圧シリンダ(第1左油圧シリンダ)
110 油圧シリン
110A 油圧シリンダ(第2右油圧シリンダ)
110B 油圧シリンダ(第2左油圧シリンダ)
T 接線

Claims (6)

  1. 舵板を回動する駆動手段を備えた操舵装置であって、
    前記駆動手段を、舵板を支持する上下方向に延在する舵軸と、舵軸の径方向に延在する連結アームと、連結アームの先端部に上下方向に延在する支軸と、支軸にロッド先端部を回転自在に固定した一対の油圧シリンダで構成し、
    前記舵板が最大舵角姿勢状態時に、いずれか一方の前記油圧シリンダの長手方向の軸心が、舵軸を中心として回動する支軸の回転軌跡の接線に沿って設けられることを特徴とする操舵装置。
  2. 前記舵板が左側舵角姿勢状態において、前記油圧シリンダにおける右側に配置された第1油圧シリンダの長手方向の軸心が、舵軸を中心として回動する支軸の回転軌跡の接線に沿って設けられ、
    前記舵板が右側舵角姿勢状態において、前記油圧シリンダにおける左側に配置された第2油圧シリンダの長手方向の軸心が、舵軸を中心として回動する支軸の回転軌跡の接線に沿って設けられる請求項1記載の操舵装置。
  3. 前記舵板が中立姿勢状態から左側舵角姿勢状態の間に、前記第1油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線に沿い、前記第2油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線と所定の交差角度を有して交差し、
    前記舵板が中立姿勢状態から右側舵角姿勢状態の間に、前記第2油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線に沿い、前記第1油圧シリンダの長手方向の軸心が、前記舵軸と支軸の中心を結ぶ仮想線と所定の交差角度を有して交差する請求項1又は2記載の操舵装置。
  4. 前記舵板が左側舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸の回転トルクが単調増加し、前記舵板が右側舵角姿勢状態の直前において、前記舵軸の回転トルクが単調増加する構成とした請求項2又は3記載の操舵装置。
  5. 前記連結アームの先端部に上下方向に延在する2本の支軸を設け、前記油圧シリンダのロッド先端部をそれぞれ別の前記支軸に回転自在に固定した請求項1〜4のいずれか1項に記載の操舵装置。
  6. 請求項1〜5に記載された操舵装置を、スクリュー軸の左右方向の両側部にそれぞれ配置し、前記舵軸の軸心視において、前記舵板を、前記スクリュー軸の固定されたプロペラの側方から後方に移動可能な構成にした2舵用の船舶。
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