JP2019107603A - 遮水シートの施工方法及び遮水工 - Google Patents

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Abstract

【課題】遮水シートを用いた遮水工の施工方法及び遮水工の遮水材使用量の低減。【解決手段】下層の遮水シート26Bと変形追随性遮水材30との接触面は、遮水シート22の接地面(底面)14と平行な面上で確保し、上層の遮水シート26Aと変形追随性遮水材30との接触面は、遮水シート22の接地面に対して立ち上がるウエイト部材28の側面と平行な面で確保し、変形追随性遮水材30を被覆する所定の厚みを少なくとも上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X1とすることで、上層の遮水層26A、下層の遮水層26Bと変形追随性遮水材30との両者の接触面積を同等程度確保することで、上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X1の分だけ、鉛直遮水壁16とウエイト部材28との距離を短く設定でき変形追随性遮水材30の必要体積の低減を図る遮水工の施工方法。【選択図】図1

Description

本発明は、遮水シートを用いた遮水工の施工方法及び遮水工に関するものである。
例えば、管理型処分場やそれに類する施設(本説明では、「管理型処分場等施設」という。)を造成するケースでは、管理型処分場等施設の外周を隔壁によって閉鎖し、閉鎖領域内の側面や底面に遮水シートを敷設することにより側面や底面の遮水機能を確保する、遮水工を施す必要がある。閉鎖領域の外周護岸の構造形式は、鋼矢板、鋼管矢板、箱型矢板、溝付矢板等の矢板式護岸や、ケーソンや鋼板セル等の重力式護岸で構成される鉛直遮水壁と、傾斜提や混成堤とを組み合わせることによって構成されている。そして、閉鎖領域内の底面全域や傾斜堤や混成堤の法面に敷設した遮水シートと鉛直遮水壁との接続部を、変形追随性遮水材で覆うことにより、閉鎖領域の遮水性を確保する構造が用いられる(例えば、特許文献1から3参照)。
特開2008−080325号公報 特開2011−156534号公報 特開2011−156535号公報
上述の遮水シートを用いた遮水工において、遮水シートと鉛直遮水壁の接続部での遮水性を確保するために、遮水シート端部をアスファルトマスチック等の変形追随性遮水材で被覆する必要がある。しかしながら、上述のような管理型処分場のケースでは、その接続部の延べ長さは長大となり、よって、遮水シート端部を被覆するための変形追随性遮水材の使用量も膨大となり、施工コストの増大を招くものであった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遮水シートを用いた異種構造の接合部における遮水工の施工方法及び遮水工において、変形追随性遮水材の使用量を低減し、事業費と工期を圧縮することにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)管理型処分場等施設の遮水工の施工方法であって、
三層の保護マットの間に二層の遮水シートが挟持された重ね合わせ構造を有し、かつ、前記三層の保護マットのうち中間層の保護マットのみ、予め、端部から所定幅だけ除去した多層一体型遮水シートを用意し、
該多層一体型遮水シートの端部を被接続対象に隣接させて被敷設面に敷設し、
少なくとも前記所定幅だけ当該多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、ブロック状のウエイト部材を配置し、
前記多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットを、その端部から少なくとも前記所定幅折り上げて前記ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着させ、前記上層の遮水シートの前記ウエイト部材との密着面と反対側の面を露出させるとともに、下層の遮水シートの上面を少なくとも前記所定幅だけ露出させ、
前記ウエイト部材よりも前記被接続対象側を、所定の厚みの変形追随性遮水材で被覆し、前記多層一体型遮水シートから前記被接続対象に至る連続した遮水構造体を構成する遮水工の施工方法(請求項1)。
本項に係る遮水工の施工方法は、三層の保護マットの間に二層の遮水シートが挟持された重ね合わせ構造を有し、かつ、三層の保護マットのうち中間層の保護マットのみ、予め、端部から所定幅だけ除去した多層一体型遮水シートを用いて、遮水工を施工するものである。ここで、「所定幅」は、多層一体型遮水シートに必要な遮水機能を発揮させるために必要となる幅である。
この多層一体型遮水シートの端部を、被接続対象に隣接させて被敷設面上に敷設し、その上にブロック状のウエイト部材を配置して、多層一体型遮水シートを被敷設面に固定する。この際、少なくとも所定幅当該多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、ウエイト部材を配置する。そして、多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットを、その端部から少なくとも所定幅だけ折り上げて、ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着させる。そして、上層の遮水シートのウエイト部材との密着面と反対側の面を露出させるとともに、下層の遮水シートの上面を少なくとも所定幅だけ露出させる。
この状態で、下層の遮水シートの上面を少なくとも所定幅露出させた場合には、上層の遮水シートのウエイト部材との密着面と反対側の面と、下層の遮水シートの上面との露出幅(露出面積)は同一ないし略同一となる。すなわち、下層の遮水シートは、その端部が被接続対象に隣接した状態で、下層の遮水シートの上面が被接続対象とウエイト部材との間に露出する幅(面積)と同等の幅(面積)だけ、上層の遮水シートの、ウエイト部材との密着面と反対側の面が露出した状態にある。そして、ウエイト部材よりも被接続対象側を、所定の厚みの変形追随性遮水材で被覆することで、上層の遮水シートのウエイト部材との密着面と反対側の面と、下層の遮水シートの上面とを、変形追随性遮水材と同一ないし略同一の面積で密着させ、多層一体型遮水シートから被接続対象に至る連続した遮水構造体を構成するものである。
なお、多層一体型遮水シートは、敷設現場に搬入される前に、三層の保護マットのうち中間層の保護マットのみ、端部から所定幅だけ除去した状態としてもよいが、必要に応じて、敷設の直前にこのような態様へと加工してもよい。
(2)上記(1)項において、前記被接続対象が、遮水壁である遮水工の施工方法(請求項2)。
本項に係る遮水工の施工方法は、被接続対象が遮水壁であることから、多層一体型遮水シートの端部を、遮水壁に隣接させて被敷設面に敷設し、上記(1)項の各工程を実施することで、多層一体型遮水シートから遮水壁に至る連続した遮水構造体を構成するものである。
(3)上記(1)項において、前記接続対象が鉛直遮水壁であり、前記多層一体型遮水シートの被敷設面が水平面ないし略水平面である遮水工の施工方法(請求項3)。
本項に係る遮水工の施工方法は、被接続対象が鉛直遮水壁であることから、多層一体型遮水シートの端部を、鉛直遮水壁に隣接させて水平面ないし略水平面である被敷設面に敷設し、上記(1)項の各工程を実施することで、多層一体型遮水シートから鉛直遮水壁に至る連続した遮水構造体を構成するものである。
(4)上記(1)項において、前記接続対象が鉛直遮水壁であり、前記多層一体型遮水シートの被敷設面が傾斜面である遮水工の施工方法(請求項4)。
本項に係る遮水工の施工方法は、被接続対象が鉛直遮水壁であり、多層一体型遮水シートの被敷設面が傾斜面であることから、多層一体型遮水シートを被敷設面としての傾斜面に敷設し、その際に多層一体型遮水シートの端部を、遮水壁に隣接させて敷設し、上記(1)項の各工程を実施することで、多層一体型遮水シートから鉛直遮水壁に至る連続した遮水構造体を構成するものである。
なお、多層一体型遮水シートを傾斜面に敷設するにあたり、ウエイト部材を配置する際に、当該多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置として、傾斜面において変形追随性遮水材が流れ落ちてしまうことを防止するために用いられる、石材等の流下抵抗材から導き出される安全率の分だけ、多層一体型遮水シートの端部からの距離を増加させる。即ち、変形追随性遮水材中に流下抵抗材が介在する分だけ減少する、単位体積当たりの変形追随性遮水材の量を補うために、変形追随性遮水材を打設すべき範囲を増大させる必要があり、これに伴い、ウエイト部材の、多層一体型遮水シートの端部からの距離を増加させ、この距離の増加分だけ、上層の遮水シートのウエイト部材との密着面と反対側の面の高さと、下層の遮水シートの上面の露出幅を所定幅よりも増加させることとする。
(5)上記(1)項において、前記接続対象が、前記多層一体型遮水シートに先立ち敷設された前記多層一体型遮水シートと同じ重ね合わせ構造を有する多層一体型遮水シートであり、
該接続対象である他方の多層一体型遮水シートの端部から、ラップ代として、下層の遮水シートを予め露出させておき、該予め露出させた他方の多層一体型遮水シートの下層の遮水シートの上面に、前記多層一体型遮水シートを重ねて被敷設面に敷設する遮水シート重合工程と、
該遮水シート重合工程の前又は後に、
前記他方の多層一体型遮水シートの端部から、及び/又は、前記多層一体型遮水シートの端部から、少なくとも前記所定幅を確保して、該確保した少なくとも前記所定幅だけ、前記他方の多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、及び/又は、前記多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、前記ブロック状のウエイト部材を配置する工程と、
前記他方の多層一体型遮水シートの、及び/又は、前記多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットを、その端部から少なくとも前記所定幅折り上げて前記ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着させ、前記上層の遮水シートの前記ウエイト部材との密着面と反対側の面を露出させるとともに、前記下層の遮水シートの上面を少なくとも前記所定幅露出させる工程とを含み、
前記他方の多層一体型遮水シート上のウエイト部材、及び、前記多層一体型遮水シート上のウエイト部材の間を、所定の厚みの変形追随性遮水材で被覆し、前記多層一体型遮水シートから前記他方の多層一体型遮水シートに至る連続した遮水構造体を構成する遮水工の施工方法(請求項5)。
本項に係る遮水工の施工方法は、接続対象が、前記多層一体型遮水シートに先立ち敷設された多層一体型遮水シートと同じ重ね合わせ構造を有する多層一体型遮水シートであることから、次の工程を踏むものである。
まず、多層一体型遮水シートに先立ち敷設された多層一体型遮水シートは、その端部から、ラップ代として、下層の遮水シートを予め露出させておくものである。そして例えば、上記(1)項における、三層の保護マットの間に二層の遮水シートが挟持された重ね合わせ構造を有し、かつ、前記三層の保護マットのうち中間層の保護マットのみ、予め、端部から所定幅だけ除去した多層一体型遮水シートを用意する工程の後に、
接続対象である他方の多層一体型遮水シートの予め露出させた下層の遮水シートの上面に、前記(後から敷設する)多層一体型遮水シートを重ねて被敷設面に敷設する遮水シート重合工程を含むものである。
そして、一つの作業手順としては、遮水シート重合工程に先立ち、他方の多層一体型遮水シートの端部から少なくとも所定幅を確保して、該確保した少なくとも所定幅だけ、他方の多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、ブロック状のウエイト部材を配置し、他方の多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットを、その端部から少なくとも所定幅折り上げてウエイト部材の被接続対象側の側面に密着させ、上層の遮水シートの前記ウエイト部材との密着面と反対側の面を露出させるとともに、下層の遮水シートの上面を少なくとも所定幅露出させる。そして、遮水シート重合工程の後に、少なくとも所定幅だけ(後から敷設する)多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、ブロック状のウエイト部材を配置し、(後から敷設する)多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットを、その端部から少なくとも所定幅だけ折り上げてウエイト部材の側面に密着させ、上層の遮水シートのウエイト部材との密着面と反対側の面を露出させるとともに、下層の遮水シートの上面を少なくとも所定幅だけ露出させる工程を実施する。
又は、別の作業手順として、遮水シート重合工程の後に、他方の多層一体型遮水シートの端部、及び、(後から敷設する)多層一体型遮水シートの端部から、少なくとも所定幅を確保して、該確保した少なくとも所定幅だけ、他方の多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置、及び、(後から敷設する)多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、ブロック状のウエイト部材を配置し、他方の多層一体型遮水シート及び(後から敷設する)多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットを、その端部から少なくとも所定幅折り上げてウエイト部材の被接続対象側の側面に密着させ、上層の遮水シートのウエイト部材との密着面と反対側の面を露出させるとともに、下層の遮水シートの上面を少なくとも前記所定幅露出させる。
要するに、上記各工程の順序を適宜入れ換えるようにして、上記各工程を全て実施することで、いずれの作業手順においても、(後から敷設する)多層一体型遮水シートと、他方の多層一体型遮水シートとを、夫々を固定するためのウエイト部材の間で、ほぼ対称の敷設構造となるように敷設する工程を含むものである。そして、(後から敷設する)ウエイト部材及び他方のウエイト部材の間を、所定の厚みの変形追随性遮水材で被覆し、(後から敷設する)多層一体型遮水シートから他方の多層一体型遮水シートに至る連続した遮水構造体を構成するものである。
(6)上記(1)から(5)項において、前記ウエイト部材を、前記上層の遮水シート端部を筒状に固定し、その筒状とした内部にコンクリートを充填して、形成する遮水工の施工方法(請求項6)。
本項に係る遮水工の施工方法は、ウエイト部材として、完成品を設置場所に持ち込むのではなく、上層の遮水シート端部を筒状に固定し、その筒状とした内部にコンクリートを充填することで、多層一体型遮水シートを利用して設置場所で形成するものである。よって、重量物であるウエイト部材を設置場所に搬入する手間を無くすとともにものとなる。また、ウエイト部材を設置する場合では、ウエイト部材間の隙間を不織布等により詰め、変形追随性遮水材を打設した際の漏出防止のための措置を実施する必要があるが、本項のごとく、上層の遮水シート端部を筒状とすることで、隙間のないウエイト部材を形成することができる。
(7)上記(1)から(6)項において、前記変形追随性遮水材を被覆する所定の厚みとして、少なくとも、前記上層の遮水シートを折り上げた所定幅とする遮水工の施工方法
(請求項7)。
上記(1)で述べたように、多層一体型遮水シートの、下層の遮水シートはその端部が被接続対象に隣接した状態で、被接続対象とウエイト部材との間に露出する幅(面積)と同等の幅(面積)だけ、上層の上遮水シートのウエイト部材との密着面と反対側の面が露出した状態にある場合には、本項に係る遮水工の施工方法は、変形追随性遮水材を被覆する所定の厚みとして、少なくとも、上層の遮水シートを折り上げた所定幅とすることで、下層の遮水シートの露出した上面の全体と、ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着した上層の遮水シートの、ウエイト部材との密着面と反対側の露出面とが、変形追随性遮水材と密着する面積を、同一ないし略同一とするものである。
換言すれば、下層の遮水シートと変形追随性遮水材との接触面は、遮水シートの設置面(底面)と平行な面上で確保され、上層の遮水シートと変形追随性遮水材との接触面は、遮水シートの設置面に対して立ち上がるウエイト部材の側面と平行な面で確保され、かつ、変形追随性遮水材を被覆する所定の厚みとして、少なくとも、上層の遮水シートを折り上げた所定幅とすることで、両者の接触面積は同等程度確保されることとなる。このため、変形追随性遮水材に対する上層の遮水層と下層の遮水層との双方の接触面を、遮水シートの設置面(底面)と平行な面上で確保する必要が無く、上層の遮水シートを折り上げた所定幅の分だけ、被接続対象とウエイト部材との距離を短く設定することにより、変形追随性遮水材の必要体積を低減するものとなる。
一方、上記(4)で述べたように、変形追随性遮水材と共に流下抵抗材が用いられる態様であっても、上層の遮水シートと変形追随性遮水材との接触面は、遮水シートの設置面から立ち上がるウエイト部材の側面と平行な面で確保され、かつ、変形追随性遮水材を被覆する所定の厚みとして、少なくとも、上層の遮水シートを折り上げた所定幅とすることで、(1)と同様に必要な密着面積が得られる。従って、上記(4)の態様であっても、変形追随性遮水材に対する上層の遮水層と下層の遮水層との双方の接触面を、遮水シートの設置面(傾斜面)と平行な面上で確保する必要が無く、上層の遮水シートを折り上げた所定幅の分だけ、被接続対象とウエイト部材との距離を短く設定することにより、変形追随性遮水材の必要体積を低減するものとなる。
(8)上記(1)から(7)項において、前記ウエイト部材の高さを、前記上層の遮水シートを折り上げた所定幅以上とし、折り上げた上層の遮水シートの端部を最上層の保護マットの端部と共に前記ウエイト部材の被接続対象側の側面上部に固定する遮水工の施工方法(請求項8)。
本項に係る遮水工の施工方法は、ウエイト部材の高さを、上層の遮水シートを折り上げた所定幅以上とすることで、変形追随性遮水材がウエイト部材を超えて漏えいすることを防ぐものである。又、折り上げた上層の遮水シートをウエイト部材に固定する際に、折り上げた上層の遮水シートの端部を最上層の保護マットの端部と共にウエイト部材の被接続対象側の側面上部に固定することで、上層の遮水シートとウエイト部材とが直接的に接して、上層の遮水シートが損傷することを、防ぐものである。
(9)管理型処分場等施設の遮水工であって、
三層の保護マットの間に二層の遮水シートが挟持された重ね合わせ構造を有し、かつ、前記三層の保護マットのうち中間層の保護マットのみ、端部から所定幅だけ除去された多層一体型遮水シートが、その端部を被接続対象に隣接させて被敷設面に敷設され、
少なくとも前記所定幅当該多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、ブロック状のウエイト部材が配置され、
前記多層一体型遮水シートの上層の遮水シート及び最上層の保護マットが、その端部から少なくとも所定幅折り上げられて前記ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着し、前記上層の遮水シートの被接続対象との密着面と反対側の面と、下層の遮水シートの上面の少なくとも前記所定幅の範囲とが、前記ウエイト部材よりも前記被接続対象側を被覆する所定の厚みの変形追随性遮水材と密着し、前記多層一体型遮水シートから前記被接続対象に至る連続した遮水構造体が構成される遮水工(請求項9)。
(10)上記(9)項において、前記被接続対象が、遮水壁である遮水工(請求項10)。
(11)上記(9)項において、前記接続対象が鉛直遮水壁であり、前記多層一体型遮水シートの被敷設面が水平面ないし略水平面である遮水工(請求項11)。
(12)上記(9)項において、前記接続対象が鉛直遮水壁であり、前記多層一体型遮水シートの被敷設面が傾斜面である遮水工(請求項12)。
(13)上記(9)項において、前記接続対象が前記多層一体型遮水シートと同じ重ね合わせ構造を有する多層一体型遮水シートであり、
前記多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットが、その端部から所定幅だけ折り上げられて前記ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着し、下層の遮水シートの上面に、接続対象である他方の多層一体型遮水シートが、前記他方の多層一体型遮水シートの端部から前記ウエイト部材に至るまでの幅として少なくとも前記所定幅が確保された状態で重なり、
少なくとも前記所定幅前記他方の多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、他方のブロック状のウエイト部材が配置され、
前記他方の多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットがその端部から少なくとも所定幅折り上げられて前記他方のウエイト部材の被接続対象側の側面に密着し、
前記多層一体型遮水シートの、前記上層の遮水シートの前記ウエイト部材との密着面と反対側の面、下層の遮水シートの上面、及び、前記他方の多層一体型遮水シートの、前記上層の遮水シートの前記ウエイト部材との密着面と反対側の面、下層の遮水シートの上面が、前記ウエイト部材よりも前記被接続対象側を被覆する所定の厚みの変形追随性遮水材と密着し、前記前多層一体型遮水シートから前記他方の多層一体型遮水シートに至る連続した遮水構造体が構成される遮水工(請求項13)。
(14)上記(9)から(13)項において、前記ウエイト部材は、前記上層の遮水シート端部が筒状に固定され、その筒状とした内部に充填されたコンクリートにより、構成されている遮水工。(請求項14)。
(15)上記(9)から(14)項において、前記変形追随性遮水材を被覆する所定の厚みが、少なくとも、前記上層の遮水シートを折り上げた所定幅である遮水工(請求項15)。
(16)上記(9)から(15)項において、前記ウエイト部材の高さが、前記上層の遮水シートを折り上げた所定幅以上であり、折り上げた上層の遮水シートの端部が最上層の保護マットの端部と共に前記ウエイト部材の被接続対象側の側面上部に固定されている遮水工(請求項16)。
そして、上記(9)から(16)項の遮水工は、上記(1)から(8)項の遮水工の施工方法によって設置されるものであり、上記(1)から(8)項の遮水工の施工方法と同等の作用が得られるものである。
本発明はこのように構成したので、遮水シートを用いた遮水工の施工方法及び遮水工において、変形追随性遮水材の使用量を低減し、事業費と工期を圧縮することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る遮水工を模式的に示す断面図であり、(a)は本発明の第1の実施の形態を示し、(b)はその比較例を示すものである。 本発明の実施の形態に係る遮水工を模式的に示す断面図であり、(a)は本発明の第2の実施の形態を示し、(b)はその比較例を示すものである。 本発明の実施の形態に係る遮水工を模式的に示す断面図であり、(a)は本発明の第3の実施の形態を示し、(b)はその比較例を示すものである。 (a)(b)は本発明の第4の実施の形態に係るウエイト部材の構造を示すものである。 本発明の実施の形態に係る遮水工の施工方法及び遮水工が用いられる、管理型処分場等施設を部分的に断面で示した鳥観図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係る遮水シートを用いた遮水工の施工方法及び遮水工は、図5に示されるように、管理型処分場等施設12に用いられるものであり、図5の例では、管理型海面処分場が示されている。本説明では、管理型処分場等施設12の底面14と遮水壁16との間の遮水性を確保する遮水構造体10(10A)と、管理型海面処分場等施設12の、遮水壁16と傾斜面18との間の遮水性を確保する遮水構造体10(10B)と、底面14を覆う遮水シートの接続部分20の遮水性を確保する遮水構造体10(10C)とについて説明する。なお、図示の例では、遮水壁16は、鉛直遮水壁であり、適宜、鋼矢板、鋼管矢板、箱型矢板、溝付矢板等の矢板式構造や、ケーソンや鋼板セル等の重力式構造によって構成されている。
最初に、図1を参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係る、底面14と、鉛直遮水壁16との間の遮水性を確保するための遮水構造体10Aを構成する、遮水工の施工方法について説明する。なお、図1(a)は遮水構造体10Aの完成状態が断面図視されたものであるが、以下の説明では、この完成状態の遮水構造体10Aを参照しながら、施工手順についても説明する。
本発明の第1の実施の形態では、図1(a)に示されるように、多層一体型遮水シート22が用いられる。本発明の実施の形態に係る多層一体型遮水シート22は、三層の保護マット24(24A、24B、24C)の間に、二層の遮水シート26(26A、26B)が挟持された、五層の重ね合わせ構造を有するものである。そして、三層の保護マット24のうち、中間層の保護マット24Bのみ、予め、端部から所定幅X1だけ除去したものを用意する。遮水シート26A、26Bは、塩化ビニル製、ポリエチレン製、その他の高分子材が用いられた材質からなり、保護マット24A、24B、24Cは、長繊維不織布や短繊維不織布や反毛フエルト等の材質からなるものである。そして、各層の厚みや重さは様々であってよい。なお、便宜上、三層の保護マット24(24A、24B、24C)は図1(a)にのみ拡大して示しているが、図1〜図3のいずれの三層の保護マット24についても、同様に五層の重ね合わせ構造を有している。
そして、多層一体型遮水シート22を、その端部22eを被接続対象としての鉛直遮水壁16に隣接させて、被敷設面である底面14上に敷設する。
続いて、少なくとも遮水に必要となる所定幅X1だけ多層一体型遮水シート22上の端部22eから所定幅X1離れた位置、図1に示した例では、所定幅X1に、多層一体型遮水シート22の端部22eと鉛直遮水壁16との間の施工誤差と、ブロック状のウェイト部材の施工誤差を含めた距離X3だけ、鉛直遮水壁16から離れた位置に、ブロック状のウエイト部材28を配置する。ウエイト部材28には、直方体状のコンクリートブロック等が用いられる。
一例として、所定幅X1=500mmであるとき、多層一体型遮水シート22の端部22eの敷設位置の施工誤差として100mmを確保する。同様に、ウエイト部材28の設置位置についても、施工誤差として100mmを確保する。従って、X1の寸法補助線の両側には、100mmづつ施工誤差が確保されており、これらの施工誤差も考慮すれば、鉛直遮水壁16からウエイト部材28の左側側面までの距離X3は、100mm+500mm+100mm=700mmとなる。
又、ウエイト部材28の高さHは、後述するように、上層の遮水シート26Aを折り上げる所定幅X1以上とする。
続いて、多層一体型遮水シート22の、上層の遮水シート26A及び最上層の保護マット24Aを、その端部から少なくとも所定幅X1折り上げて、ウエイト部材28の鉛直遮水壁16側の側面(図1(a)では左側面)に密着させる(密着させるためには、ウエイトの施工誤差分だけ余分に折り上げることが可能となるため、X1もしくはそれ以上折り上げることとしてもよい)。
そして、上層の遮水シート26Aの端部26eを、最上層の保護マット24Aの端部(図示省略)と共に、ウエイト部材28の被接続対象側の側面(図1(a)では左側面)の比較的上部に固定する。これにより、上層の遮水シート26Aの、ウエイト部材28との密着面と反対側の面(図1(a)では左側面)を露出させるとともに、下層の遮水シートの上面を、所定幅X1もしくはそれ以上露出させる。
最後に、ウエイト部材28よりも被接続対象側、すなわち、図1(a)では鉛直遮水壁16とウエイト部材29との間を、所定の厚みX1の変形追随性遮水材30で被覆する。変形追随性遮水材30を被覆する所定の厚みとしては、少なくとも、上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X1とするが、それ以上の厚みとすれば、上層の遮水シート26eの端部が変形追随性遮水材30に完全に覆われ、かつ、変形追随性遮水材30層の厚みの増大も伴って、変形追随性遮水材30による遮水効果はより高くなる。しかしながら、変形追随性遮水材30の使用量が増加することにもつながることから、コスト面も考慮して、変形追随性遮水材30の適切な施工高さを決定することとする。
なお、変形追随性遮水材30としては、アスファルトマスチック、土質系遮水材、膨潤性遮水材等、適切な遮水材を選択する。またそれら二種類以上組み合わせて用いてもよい。
以上の工程により施工された、多層一体型遮水シート22から鉛直遮水壁16に至る遮水構造体10Aの構造をまとめると、以下の通りになる。
三層の保護マット24A、24B、24Cの間に二層の遮水シート26A、26Bが挟持された重ね合わせ構造を有し、かつ、三層の保護マット24A、24B、24Cのうち中間層の保護マット24Bのみ、端部から少なくとも所定幅X1除去された多層一体型遮水シート22が、その端部22eを被接続対象としての鉛直遮水壁16に隣接させて被敷設面としての底面14に敷設され、
少なくとも所定幅X1だけ多層一体型遮水シート22上の端部22eから離れた位置に、ブロック状のウエイト部材28が配置され、
多層一体型遮水シート22の上層の遮水シート26A(及び最上層の保護マット24A)の端部26eが、その端部から少なくとも所定幅X1折り上げられてウエイト部材28の被接続対象側の側面に密着し、上層の遮水シート26Aの被接続対象との密着面と反対側の面と、下層の遮水シート26Bの上面の少なくとも所定幅X1の範囲とが、ウエイト部材28よりも被接続対象側を被覆する所定の厚みX1の変形追随性遮水材30と密着し、多層一体型遮水シート22から鉛直遮水壁16に至る遮水構造体10Aが構成されている。
さて、上記構成をなす本発明の第1の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
即ち、底面14と、鉛直遮水壁16との間の遮水性を確保するための遮水構造体10Aを構成するに際して、上述のごとく、多層一体型遮水シート22の端部22eを、鉛直遮水壁16に隣接させて底面14上に敷設し、その上にブロック状のウエイト部材28を配置して、多層一体型遮水シート22を底面14上に固定する際に、少なくとも所定幅X1だけ多層一体型遮水シート22上の端部22eから離れた位置に、ウエイト部材28を配置する。そして、多層一体型遮水シート22の、上層の遮水シート26A(最上層の保護マット24A)を、その端部26eから少なくとも所定幅X1折り上げて、ウエイト部材28の鉛直遮水壁16側の側面に密着させる。そして、上層の遮水シート26Aのウエイト部材28との密着面と反対側の面(図1(a)では左側面)を露出させるとともに、下層の遮水シート26Bの上面を所定幅X1露出させる。
この状態で、上層の遮水シート26Aのウエイト部材との密着面と反対側の面と、下層の遮水シート26Bの上面との露出幅(露出面積)は同一ないし略同一(前述の施工誤差を含むため)となる。
すなわち、下層の遮水シート26Bは、その端部22eが鉛直遮水壁16に隣接した状態で、下層の遮水シート26Bの上面が鉛直遮水壁16とウエイト部材28との間に露出する幅X1(面積)と同等の幅X1(面積)だけ、上層の上遮水シート26Aの、ウエイト部材28との密着面と反対側の面が露出した状態にある。そして、ウエイト部材28よりも鉛直遮水壁16側を、所定の厚みの変形追随性遮水材30で被覆することで、上層の遮水シート26Aのウエイト部材28との密着面と反対側の面と、下層の遮水シート26Bの上面とを、変形追随性遮水材30と同一ないし略同一の面積で密着させ、多層一体型遮水シート22から鉛直遮水壁16に至る遮水構造体10Aを構成することが可能となる。
又、変形追随性遮水材30を被覆する所定の厚みとして、上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X1と同じ値X1とすることで、下層の遮水シート26Bの露出した上面の全体と、ウエイト部材28の鉛直遮水壁16側の側面に密着した上層の遮水シート26Aの、ウエイト部材28との密着面と反対側の露出面とが、変形追随性遮水材30と密着する面積を、同一ないし略同一とすることが可能となる。
換言すれば、下層の遮水シート26Bと変形追随性遮水材30との接触面は、遮水シート22の設置面(底面)14と平行な面上で確保され、上層の遮水シート26Aと変形追随性遮水材30との接触面は、遮水シート22の設置面に対して立ち上がるウエイト部材28の側面と平行な面で確保され、かつ、変形追随性遮水材30を被覆する所定の厚みとして、少なくとも、上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X1とすることで、上層の遮水層26Aと変形追随性遮水材30、下層の遮水層26Bと変形追随性遮水材30との、両者の接触面積は同等程度確保されることとなる。このため、変形追随性遮水材30に対する上層の遮水層26Aと下層の遮水層26Bとの双方の接触面を、遮水シートの設置面(底面)14と平行な面上で確保する必要が無く(図1(b)参照)、上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X1の分だけ、鉛直遮水壁16とウエイト部材28との距離を短く設定することにより、変形追随性遮水材30の必要体積を低減することが可能となる。
又、ウエイト部材28の高さを、上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X1以上とすることで、変形追随性遮水材30がウエイト部材28を超えて漏えいすることを防ぐことが可能となる。又、折り上げた上層の遮水シート26Aをウエイト部材28に固定する際に、折り上げた上層の遮水シート26Aの端部26eを最上層の保護マット24Aの端部と共に、ウエイト部材28の鉛直遮水壁16側の側面上部に固定することで、上層の遮水シート26Aとウエイト部材28とが直接的に接して、上層の遮水シート26Aが損傷することを、防ぐことができる。加えて、ウエイト部材28を設置する場合では、ウエイト部材間の隙間(紙面と直行する方向に複数並ぶウエイト部材28間の隙間)を不織布等により詰め、変形追随性遮水材30を打設した際の漏出防止のための措置を実施する必要がある。しかしながら、上記のように上層の遮水シート26Aの端部26eを最上層の保護マット24Aの端部と共に、ウエイト部材28の鉛直遮水壁16側の側面上部に固定することで、変形追随性遮水材を打設した際の漏出防止のための措置を不要とすることができる。
図1(b)には、比較例として、図1(a)では上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X1の分を折り上げることなく、下層の遮水シート26Bと平行に伸ばし、遮水シート22の設置面(底面)14と平行な面上で、変形追随性遮水材30との接触面を確保した遮水構造体10A’を示している。なお、所定幅X1に、多層一体型遮水シート22の端部22eと鉛直遮水壁16との間の施工誤差、又は、ブロック状のウエイト部材28の施工誤差を含めた距離をX3’で示している。
この例でも、必要な遮水性を確保するために、上層の遮水シート26Aと下層の遮水シート26Bとの双方で、変形追随性遮水材30との接触幅X1を確保する必要があることから、遮水シート22の設置面(底面)14と平行な面上で、変形追随性遮水材30の必要最小打設幅は合計でX1+X1=2X1となる。従って、図1(a)の本発明の第1の実施の形態との比較において、変形追随性遮水材30の必要体積が、少なくともX1×X1×L(施工延長)だけ多くなる。
より具体的数値例を挙げて比較すれば、変形追随性遮水材30としてアスファルトマスチックを用いた場合、図1(a)の例では、変形追随性遮水材30の打設高を500mmとし、打設幅は100mm+500mm+100mm=700mmであるのに対し、図1(b)の例では、同100mm+500mm+500mm+100mm=1200mmとなり、両者のアスファルトマスチックの体積比は7/12となる。アスファルトマスチックの材料費と施工費の合計が約30万円/m、その施工延長L=2000mと仮定すれば、全体費用は3.6億円から2.1億円へと、比較例に対して1.5億円のコストダウンにつながるものとなる。
なお、本実施の形態では、接続対象として鉛直遮水壁16を例示して説明したが、遮水壁が垂直ではない場合にも、同様に適用可能である。
続いて、図2を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る、傾斜面18と、鉛直遮水壁16との間の遮水性を確保するための遮水構造体10Bを構成する、遮水工の施工方法について説明する。図1で説明した、本発明の第1の実施の形態に係る遮水構造体10Aと同一部分、若しくは相当する部分については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
なお、図2(a)は遮水構造体10Bの完成状態を、傾斜面18を見上げるもしくは見下ろす断面で図視したものであるが、以下の説明では、この完成状態の遮水構造体10Bを参照しながら、施工手順についても説明する。
本発明の第2の実施の形態に係る遮水構造体10Bは、多層一体型遮水シート22を傾斜面18に敷設するにあたり、第1の実施の形態に係る遮水構造体10Aに対する施工手順の相違点として、ウエイト部材28を配置する際の位置が異なることとなる。
本例では、傾斜面18において変形追随性遮水材30が(図2の紙面方向に)流れ落ちてしまうことを防止するために、石材等の流下抵抗材34が用いられる。流下抵抗材34は、変形追随性遮水材30を打設する前に、斜面18に沿って、所定の厚みとなるように複数層重ねて設置されるものであり、図示の例では石材が三段に積み重ねられている。そして、流下抵抗材34から導き出される安全率の分だけ、多層一体型遮水シート22上の端部22eから離れた位置までの距離X2は、図1におけるX1より増加される。具体例として、石材からなる流下抵抗材34を用いる場合の安全率Fs=2.5であり、X2=X1(500mm)×2.5=1250mmとなる。
即ち、変形追随性遮水材30中に流下抵抗材34が介在する分だけ減少する、単位体積当たりの変形追随性遮水材30の量を補うために、変形追随性遮水材30を打設すべき範囲を増大させる必要があり、これに伴い、多層一体型遮水シート22の端部22eからウエイト部材28までの距離を増加させ、この距離の増加分X2−X1だけ、下層の遮水シート26Bの上面の露出幅についても、図1の例における所定幅X1よりも増加させたX2とするものである。
なお、上記具体例において、図1でのX1=500mmに対してウエイト部の高さH=700mmとするところを、図2の例ではX2=1250mmに対してH2=1500mmとする。
そして、ウエイト部材28よりも鉛直遮水壁16側を、所定の厚みX2の変形追随性遮水材30(及び流下抵抗材34)で被覆することで、上層の遮水シート26Aのウエイト部材28との密着面と反対側の面と、下層の遮水シート26Bの上面を、変形追随性遮水材30に同一ないし略同一の面積で密着させた、多層一体型遮水シート22から鉛直遮水壁16に至る遮水構造体10Bを構成するものである。
そして、変形追随性遮水材30と共に流下抵抗材34が用いられる態様であっても、上層の遮水シート26Aと変形追随性遮水材30との接触面は、遮水シート22の設置面である傾斜面18から立ち上がるウエイト部材28の側面と平行な面で確保され、かつ、変形追随性遮水材30を被覆する所定の厚みとして、少なくとも、上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X2もしくはそれ以上とすることで、図1(a)の例と同様に必要な接触面積が確保される。従って、本発明の第2の実施の形態に係る遮水構造体10Bにおいても、変形追随性遮水材30に対する上層の遮水層26Aと下層の遮水層26Bとの双方の接触面を、遮水シートの設置面(傾斜面)18と平行な面上で確保する必要が無く、上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X2の分だけ、鉛直遮水壁16とウエイト部材28との距離を短く設定することにより、変形追随性遮水材30の必要体積を低減することができる。
図2(b)には、本発明の第2の実施の形態に係る遮水構造体10Bの比較例として、図2(a)では上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X2の分を折り上げることなく、下層の遮水シート26Bと平行に伸ばし、遮水シート22の設置面(傾斜面)14と平行な面上で、変形追随性遮水材30との接触面を確保した、遮水構造体10B’を示している。
この例でも、必要な遮水性を確保するために、上層の遮水シート26Aと下層の遮水シート26Bとの双方で、変形追随性遮水材30との接触幅X2を確保する必要があることから、遮水シート22の設置面(傾斜面)14と平行な面上で、変形追随性遮水材30の打設幅は合計でX2+X2となる。従って、図2(a)の本発明の第2の実施の形態との比較において、変形追随性遮水材30の必要体積が、少なくともX2×X2×Lだけ多くなることは理解されるであろう。
その他、本発明の第1の実施の形態に係る遮水構造体10Aと同様の作用効果については、詳しい説明を省略する。
続いて、図3を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る、底面14上で、同じ重ね合わせ構造を有する多層一体型遮水シート同士の接続部分20の遮水性を確保するための遮水構造体10Cを構成する、遮水工の施工方法について説明する。図1で説明した、本発明の第1の実施の形態に係る遮水構造体10Aと同一部分、若しくは相当する部分については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
なお、図3(a)は遮水構造体10Cの完成状態を示す断面図であるが、以下の説明では、この完成状態の遮水構造体10Cを参照しながら、施工手順についても説明する。
本発明の第3の実施の形態に係る遮水構造体10Cは、図1で説明した、本発明の第1の実施の形態に係る遮水構造体10Aとの相違点として、接続対象が、多層一体型遮水シート22に先立ち敷設された、多層一体型遮水シート22と同じ重ね合わせ構造を有する多層一体型遮水シート22’であることが挙げられる。
具体的に工程が異なる部分について図3(a)を参照しながら説明すると、まず、接続対象である他方の多層一体型遮水シート22’を敷設する(以下、本工程を「I」で表す)。多層一体型遮水シート22に先立ち敷設された他方の多層一体型遮水シート22’は、その端部22e’から、ラップ代(図3に寸法X4で示される)として、下層の遮水シート26B’を予め露出させておくものである。そして、下層の遮水シート26B’の上面に、多層一体型遮水シート22を(ラップ代寸法X4だけ)重ねて被敷設面14に敷設する、遮水シート重合工程(以下、本工程を「IV」で表す)を含むものである。
そして、一つの作業手順としては、遮水シート重合工程(IV)に先立ち、他方の多層一体型遮水シート22’の端部22e’から少なくとも所定幅(X1+X4)を確保して、確保した少なくとも所定幅だけ、他方の多層一体型遮水シート22’上の端部22e’から離れた位置に、ブロック状のウエイト部材28’を配置する(以下、本工程を「II」で表す)。そして、他方の多層一体型遮水シート22’の、上層の遮水シート26A’及び最上層の保護マット24A’を、その端部22e’から少なくとも所定幅X1だけ折り上げて、ウエイト部材28’の側面(図3の右側面)に密着させ、上層の遮水シート26A’のウエイト部材28’との密着面と反対側の面を露出させるとともに、下層の遮水シート26B’の上面を少なくとも所定幅(X1+X4)露出させる(以下、本工程を「III」で表す)。
そして、遮水シート重合工程(IV)の後に、少なくとも所定幅X1だけ(後から敷設する)多層一体型遮水シート22上の端部22eから離れた位置に、ブロック状のウエイト部材28を配置し(以下、本工程を「V」で表す)、多層一体型遮水シート22の、上層の遮水シート26A及び最上層の保護マット24Aを、その端部22eから少なくとも所定幅X1だけ折り上げてウエイト部材22の側面(図3の左側面)に密着させ、上層の遮水シート26Aのウエイト部材22との密着面と反対側の面を露出させるとともに、下層の遮水シート26Bの上面を少なくとも所定幅X1だけ露出させる工程(以下、本工程を「VI」で表す)を実施する。
又は、別の作業手順として、遮水シート重合工程(IV)の後に、他方の多層一体型遮水シート22’の端部22e’、及び、(後から敷設する)多層一体型遮水シート22の端部22eから、少なくとも所定幅X1を確保して、確保した少なくとも所定幅X1だけ、他方の多層一体型遮水シート22’上の端部22e’から離れた位置、及び、(後から敷設する)多層一体型遮水シート22上の端部22eから離れた位置に、ブロック状のウエイト部材28’、28を配置し(II、Vの順、又は、V、IIの順)、他方の多層一体型遮水シート22’及び(後から敷設する)多層一体型遮水シート22の、上層の遮水シート26A’、26A及び最上層の保護マット24A’、24Aを、その端部22e’、22eから少なくとも所定幅X1だけ折り上げてウエイト部材28’、28の側面に密着させ、上層の遮水シート26A’、26Aのウエイト部材28’、28との密着面と反対側の面を露出させるとともに、下層の遮水シート26B’、26Bの上面を少なくとも所定幅X1だけ露出させる(III、VIの順又はVI、IIIの順)。
更に想定される別の作業手順を、便宜上、工程番号のみ示して説明すると、(I)、(II)、(IV)、(V)の後に(III)、(VI)又は(VI)、(III)を実施してよい。更には、(I)、(IV)、(II)、(III)、(V)、(VI)の順で実施してもよく、(I)、(IV)、(V)、(VI)(II)、(III)、の順で実施してもよい。
図3(a)において、X4は先に敷設する(他方の)多層一体型遮水シート22(’のラップ代であり、後に敷設する(後から敷設する)多層一体型遮水シート22については、このラップ代X4に重ねた状態で、所定幅X1を確保すれば良い。寸法例として、他方の多層一体型遮水シート22’に係る所定幅X1=500mm、X4=200mmとし、(後から敷設する)多層一体型遮水シート22に係るX1=500mmで、X4は(後から敷設する)多層一体型遮水シート22に係るX1に含まれる状態となる。したがって、変形追随性遮水材30の幅は最小で1000mmとなる。しかしながら、ウエイト部材28、28’の施工誤差100mm×左右2箇所と、(後から敷設する)多層一体型遮水シート22に係る敷設誤差として例えば200mmとした場合、変形追随性遮水材30の幅は、最小で1000=mm、最大で1000+100×2+200=1400mmとなる。
最後に、ウエイト部材28及び他方のウエイト部材28’の間を、所定の厚みの変形追随性遮水材30で被覆し、多層一体型遮水シート22から他方の多層一体型遮水シート22’に至る遮水構造体10Cを構成するものである。変形追随性遮水材30の打設幅は、上述に例示したとおりとなる。
以上の工程により施工された、多層一体型遮水シート22から被接続対象としての他方の多層一体型遮水シート22’に至る遮水構造体10Cの構造の特徴部分をまとめると、以下の通りになる。
接続対象が多層一体型遮水シート22と同じ重ね合わせ構造を有する多層一体型遮水シート22’であり、
(後から敷設する)多層一体型遮水シート22の、上層の遮水シート26A及び最上層の保護マット24Aが、その端部22eから少なくとも所定幅X1折り上げられてウエイト部材28の被接続対象(他方の多層一体型遮水シート22’)側の側面に密着し、下層の遮水シート26Bの上面に、接続対象である他方の多層一体型遮水シート22’が、他方の多層一体型遮水シート22’の端部22e’から(後から設置する)ウエイト部材28に至るまでの幅として少なくとも所定幅X1が確保された状態で重なり、
少なくとも所定幅X1他方の多層一体型遮水シート22’上の端部22e’から離れた位置に、他方のブロック状のウエイト部材28’が配置され、
他方の多層一体型遮水シート22’の、上層の遮水シート26A’(及び最上層の保護マット24A’)がその端部22e’から少なくとも所定幅X1折り上げられて他方のウエイト部材28’の被接続対象((後から敷設する)多層一体型遮水シート22)側の側面に密着し、
(後から敷設する)多層一体型遮水シート22の、上層の遮水シート26Aのウエイト部材28との密着面と反対側の面、下層の遮水シート26Bの上面、及び、他方の多層一体型遮水シート22’の、上層の遮水シート26A’のウエイト部材28’との密着面と反対側の面、下層の遮水シート26B’の上面が、ウエイト部材28、28’よりも被接続対象側(後から設置する)ウエイト部材28及び他方のウエイト部材28’の間の範囲)を被覆する所定の厚みの変形追随性遮水材30と密着し、(後から敷設する)多層一体型遮水シート22から他方の多層一体型遮水シート22’に至る遮水構造体10Cが構成されている。
図3(b)には、本発明の第3の実施の形態に係る遮水構造体10Cの比較例として、図3(a)では上層の遮水シート26Aを折り上げた所定幅X1の分を折り上げることなく、下層の遮水シート26Bと平行に伸ばし、多層一体型遮水シート22の設置面(底面)14と平行な面上で、変形追随性遮水材30との接触面を確保した、遮水構造体10C’を示している。
この例では、(後から敷設する)多層一体型遮水シート22と、他方の多層一体型遮水シート22’との双方で、各々、下層の遮水シート26B及び遮水シート26B’のラップ代の幅X4と、上層の遮水シート26A及び遮水シート26A’のウエイト部材28およびウエイト部材28’の施工誤差を含む幅X3’とを確保する必要があることから、変形追随性遮水材30の打設幅は、合計でX3’+X1+X1+X3’=2X1+2X3’となる。従って、図3(a)の本発明の第2の実施の形態との比較において、変形追随性遮水材30の必要幅は、少なくとも2X1だけ多くなることは理解されるであろう。
その他、本発明の第1の実施の形態に係る遮水構造体10Aと同様の作用効果については、詳しい説明を省略する。
続いて、図4を参照しながら、本発明の第4の実施の形態に係る、遮水工の施工方法について説明する。
本発明の第4の実施の形態は、上述した本発明の第1、第2及び第3の実施の形態に係る遮水体構造10A、10B、10Cのいずれにも適用可能なものであり、ウエイト部材30を、以下の工法によるものに置換するものである。
具体的には、図4に示されるように、ウエイト部材36の、上層の遮水シート26Aの端部26eを筒状に固定し、その筒状とした内部にコンクリート等(砂などの土砂であっても良い)を充填して形成するものである。図4(a)の例は、上層の遮水シート26Aの端部26eを折り返して筒状に形成し、当該筒状の外側から上層の遮水シート26Aの一般部(端部以外の部分)に対して、端部26eを溶着等により固定するものである。一方、図4(b)の例は、上層の遮水シート26Aの端部26eを巻き込んで筒状に形成し、当該筒状の内側から上層の遮水シート26Aの一般部に対して、端部26eを溶着等により固定するものである。このようにして上層の遮水シート26Aの端部26eを筒状に固定し、さらに筒状の両端部を適切な手法によって塞ぎ、内部に生コンクリート等を打設して養生することで、遮水シート26Aの端部26e近傍の筒状断面が転写された、ウエイト部材36が形成される。
このように、本発明の第4の実施の形態に係る遮水工の施工方法によれば、ウエイト部材36は、上層の遮水シート26Aの端部26eが筒状に固定され、その筒状とした内部に充填されたコンクリート等により、構成されるものである。よって、図1から図3の例のごとく、完成品としてのウエイト部材28を設置場所に持ち込むのではなく、多層一体型遮水シート22を利用して、設置場所でウエイト部材36を形成することができる。よって、重量物であるウエイト部材36を設置場所に搬入する手間を無くすもことが可能となる。
その他、本発明の第1から第3の実施の形態に係る遮水構造体10A、10B、10Cと同様の作用効果については、詳しい説明を省略する。
10、10A、10B、10C:遮水体構造、 12:管理型海面処分場等施設、 14:遮水シートの設置面(底面または傾斜面)、 16:遮水壁、 18:傾斜面、 20:遮水シートの接続部分、 22:多層一体型遮水シート、 22’:他方の多層一体型遮水シート、 22e:端部、 24(24A、24B、24C):保護マット、 26(26A、26B):遮水シート、 28:ウエイト部材、 28’:他方のウエイト部材、 30:変形追随性遮水材、 34:流下抵抗材、 X1:所定幅、 H:ウエイト部材の高さ

Claims (16)

  1. 管理型処分場等施設の遮水工の施工方法であって、
    三層の保護マットの間に二層の遮水シートが挟持された重ね合わせ構造を有し、かつ、前記三層の保護マットのうち中間層の保護マットのみ、予め、端部から所定幅だけ除去した多層一体型遮水シートを用意し、
    該多層一体型遮水シートの端部を被接続対象に隣接させて被敷設面に敷設し、
    少なくとも前記所定幅だけ当該多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、ブロック状のウエイト部材を配置し、
    前記多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットを、その端部から少なくとも前記所定幅折り上げて前記ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着させ、前記上層の遮水シートの前記ウエイト部材との密着面と反対側の面を露出させるとともに、下層の遮水シートの上面を少なくとも前記所定幅露出させ、
    前記ウエイト部材よりも前記被接続対象側を、所定の厚みの遮水材で被覆し、前記多層一体型遮水シートから前記被接続対象に至る連続した遮水構造体を構成することを特徴とする遮水工の施工方法。
  2. 前記被接続対象が、遮水壁であることを特徴とする請求項1記載の遮水工の施工方法。
  3. 前記接続対象が鉛直遮水壁であり、前記多層一体型遮水シートの被敷設面が水平面ないし略水平面であることを特徴とする請求項1記載の遮水工の施工方法。
  4. 前記接続対象が鉛直遮水壁であり、前記多層一体型遮水シートの被敷設面が傾斜面であ
    ることを特徴とする請求項1記載の遮水工の施工方法。
  5. 前記接続対象が、前記多層一体型遮水シートに先立ち敷設された前記多層一体型遮水シートと同じ重ね合わせ構造を有する多層一体型遮水シートであり、
    該接続対象である他方の多層一体型遮水シートの端部から、ラップ代として、下層の遮水シートを予め露出させておき、該予め露出させた他方の多層一体型遮水シートの下層の遮水シートの上面に、前記多層一体型遮水シートを重ねて被敷設面に敷設する遮水シート重合工程と、
    該遮水シート重合工程の前又は後に、
    前記他方の多層一体型遮水シートの端部から、及び/又は、前記多層一体型遮水シートの端部から、少なくとも前記所定幅を確保して、該確保した少なくとも前記所定幅だけ、前記他方の多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、及び/又は、前記多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、前記ブロック状のウエイト部材を配置する工程と、
    前記他方の多層一体型遮水シートの、及び/又は、前記多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットを、その端部から少なくとも前記所定幅折り上げて前記ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着させ、前記上層の遮水シートの前記ウエイト部材との密着面と反対側の面を露出させるとともに、前記下層の遮水シートの上面を少なくとも前記所定幅露出させる工程とを含み、
    前記他方の多層一体型遮水シート上のウエイト部材、及び、前記多層一体型遮水シート上のウエイト部材の間を、所定の厚みの変形追随性遮水材で被覆し、前記多層一体型遮水シートから前記他方の多層一体型遮水シートに至る連続した遮水構造体を構成することを特徴とする請求項1記載の遮水工の施工方法。
  6. 前記ウエイト部材を、前記上層の遮水シート端部を筒状に固定し、その筒状とした内部にコンクリートを充填して、形成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の遮水工の施工方法。
  7. 前記遮水材を被覆する所定の厚みとして、少なくとも、前記上層の遮水シートを折り上げた所定幅とすることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の遮水工の施工方法。
  8. 前記ウエイト部材の高さを、前記上層の遮水シートを折り上げた所定幅以上とし、折り上げた上層の遮水シートの端部を最上層の保護マットの端部と共に前記ウエイト部材の被接続対象側の側面上部に固定することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の遮水工の施工方法。
  9. 管理型処分場等施設の遮水工であって、
    三層の保護マットの間に二層の遮水シートが挟持された重ね合わせ構造を有し、かつ、前記三層の保護マットのうち中間層の保護マットのみ、端部から所定幅だけ除去された多層一体型遮水シートが、その端部を被接続対象に隣接させて被敷設面に敷設され、
    少なくとも前記所定幅だけ当該多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、ブロック状のウエイト部材が配置され、
    前記多層一体型遮水シートの上層の遮水シート及び最上層の保護マットが、その端部から少なくとも前記所定幅折り上げられて前記ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着し、前記上層の遮水シートの被接続対象との密着面と反対側の面と、下層の遮水シートの上面の少なくとも前記所定幅の範囲とが、前記ウエイト部材よりも前記被接続対象側を被覆する所定の厚みの遮水材と密着し、前記多層一体型遮水シートから前記被接続対象に至る連続した遮水構造体が構成されることを特徴とする遮水工。
  10. 前記被接続対象が、遮水壁であることを特徴とする請求項9記載の遮水工。
  11. 前記接続対象が鉛直遮水壁であり、前記多層一体型遮水シートの被敷設面が水平面ないし略水平面であることを特徴とする請求項9記載の遮水工。
  12. 前記接続対象が鉛直遮水壁であり、前記多層一体型遮水シートの被敷設面が傾斜面であることを特徴とする請求項9記載の遮水工。
  13. 前記接続対象が前記多層一体型遮水シートと同じ重ね合わせ構造を有する多層一体型遮水シートであり、
    前記多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットが、その端部から少なくとも前記所定幅折り上げられて前記ウエイト部材の被接続対象側の側面に密着し、下層の遮水シートの上面に、接続対象である他方の多層一体型遮水シートが、前記他方の多層一体型遮水シートの端部から前記ウエイト部材に至るまでの幅として少なくとも前記所定幅が確保された状態で重なり、
    少なくとも前記所定幅だけ前記他方の多層一体型遮水シート上の端部から離れた位置に、他方のブロック状のウエイト部材が配置され、
    前記他方の多層一体型遮水シートの、上層の遮水シート及び最上層の保護マットがその端部から少なくとも前記所定幅だけ折り上げられて前記他方のウエイト部材の被接続対象側の側面に密着し、
    前記多層一体型遮水シートの、前記上層の遮水シートの前記ウエイト部材との密着面と反対側の面、下層の遮水シートの上面、及び、前記他方の多層一体型遮水シートの、前記上層の遮水シートの前記ウエイト部材との密着面と反対側の面、下層の遮水シートの上面が、前記ウエイト部材よりも前記被接続対象側を被覆する所定の厚みの変形追随性遮水材と密着し、前記前多層一体型遮水シートから前記他方の多層一体型遮水シートに至る連続した遮水構造体が構成されることを特徴とする請求項9記載の遮水工。
  14. 前記ウエイト部材は、前記上層の遮水シート端部が筒状に固定され、その筒状とした内部に充填されたコンクリートにより、構成されていることを特徴とする請求項9から13のいずれか1項記載の遮水工。
  15. 前記変形追随性遮水材を被覆する所定の厚みが、少なくとも、前記上層の遮水シートを折り上げた所定幅であることを特徴とする請求項9から14のいずれか1項記載の遮水工。
  16. 前記ウエイト部材の高さが、前記上層の遮水シートを折り上げた所定幅以上であり、折り上げた上層の遮水シートの端部が最上層の保護マットの端部と共に前記ウエイト部材の被接続対象側の側面上部に固定されていることを特徴とする請求項9から15のいずれか1項記載の遮水工。
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