JP2019106362A - 非水電解液電池用電解液及びそれを用いた非水電解液電池 - Google Patents

非水電解液電池用電解液及びそれを用いた非水電解液電池 Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル後の容量維持率を損なうことなく、Niリッチな正極から電解液中へのNi溶出が低減された電解液、及び該電解液を用いた非水電解液電池の提供。【解決手段】少なくともニッケルを含む1種以上の酸化物を正極活物質として含み、当該正極活物質に含まれる金属中のニッケル含有量が30〜100質量%である正極を含む非水電解液電池用の電解液であって、式(1)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種、及び、フルオロスルホン酸リチウム、O=S−F結合を有する化合物、O=P−F結合を有する化合物、P(=O)F2結合を有する化合物、及び一般式(5)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、電解液の総量100質量%に対する、フルオロスルホン酸リチウム他の濃度が0.01〜5.00質量%である、非水電解液電池用電解液。Si(R1)a(R2)4−a(1)【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液電池用電解液とこれを用いた非水電解液電池に関する。
電気化学デバイスである電池において、近年、情報関連機器、通信機器、すなわち、パソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン等の小型、高エネルギー密度用途向けの蓄電システムや、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車補助電源、電力貯蔵等の大型、パワー用途向けの蓄電システムが注目を集めている。その候補の一つがエネルギー密度や電圧が高く高容量が得られるリチウムイオン電池を始めとした非水電解液二次電池であり、現在、盛んに研究開発が行われている。
非水電解液電池用電解液(以下「非水電解液」と記載する場合がある)としては、環状カーボネートや、鎖状カーボネート、エステル等の溶媒に溶質としてヘキサフルオロリン酸リチウム(以下LiPF6)や、ビス(フルオロスルホニルイミド)リチウム(以下LiFSI)、テトラフルオロホウ酸リチウム(以下LiBF)等の含フッ素電解質を溶解した非水電解液が、高電圧及び高容量の電池を得るのに好適であることからよく利用されている。しかしながら、このような非水電解液を用いる非水電解液電池は、サイクル特性、出力特性を始めとする電池特性において必ずしも満足できるものではない。
例えばリチウムイオン二次電池の場合、初充電時に負極にリチウムカチオンが挿入される際に、負極とリチウムカチオン、又は負極と電解液溶媒が反応し、負極表面上に酸化リチウムや炭酸リチウム、アルキル炭酸リチウムを主成分とする被膜を形成する。この電極表面上の皮膜はSolid Electrolyte Interface(SEI)と呼ばれ、更なる溶媒の還元分解を抑制し電池性能の劣化を抑える等、その性質が電池性能に大きな影響を与える。また、同様に正極表面上にも分解物による皮膜が形成され、これも溶媒の酸化分解を抑制し、電池内部でのガス発生を抑える等といった重要な役割を果たす事が知られている。
サイクルや高温貯蔵といった耐久性や、入出力特性などを始めとする電池特性を向上させるためには、イオン伝導性が高く、かつ、電子伝導性が低い安定なSEIを形成させることが重要であり、添加剤と称される化合物を電解液中に少量(通常は0.001質量%以上10質量%以下)加えることで、積極的に良好なSEIを形成させる試みが広くなされている。
例えば、特許文献1ではビニレンカーボネート(以下VCと記載する)が電池の耐久性を大幅に向上させる有効なSEIを形成させる添加剤として用いられている。また、VC以外にも、特許文献2、3では不飽和結合を有するケイ素化合物を用いる事で、又は特許文献4では不飽和結合とハロゲンの両方を含むケイ素化合物を用いる事でサイクル特性及び低温特性に優れた電池が得られる事が開示されている。また特許文献5ではトリアルコキシビニルシランを用いる事で、4.2V以上4.35V未満であるリチウム二次電池において電池膨れの抑制効果を奏する事が開示されている。更には、不飽和結合を有するケイ素化合物と、含フッ素化合物(特定の構造のフルオロリン酸塩、特定の構造のフルオロホスホリル構造及び/又はフルオロスルホニル構造を有するイミド塩)を同時に用いる事で−30℃以下でも優れた低温出力特性を有し、かつ50℃以上の高温でのサイクル特性が優れた電池が得られる事を特許文献6にて開示している。
また、サイクル特性、出力特性を始めとする電池特性の向上検討以上に、電池自体のエネルギー密度を高める研究が盛んに行われており、それは大きく分けて二通りの手法がある、一つは電池の充電電圧を高くする手法であり、これによって平均放電電圧が高くなり、大きな放電容量が得られる。しかし、電圧が上がる事で溶媒が酸化分解され、ガス発生による電池の膨れが顕著であり、充電電圧が4.5V以上となる高電圧電池は広く実用化されてないのが現状である。
もう一つの電池のエネルギー密度を高める手法が、正極としてニッケル酸化物を利用する方法である。例えば、特許文献7には、正極としてLiNiOを用いるリチウムイオン二次電池が開示されている。
ニッケル酸化物は、理論容量は高いものの、充電時の熱安定性が低く、当初はコバルト酸化物や、マンガン酸化物、そしてリン酸鉄等が主に正極活物質として使用されてきた。しかし、電池のエネルギー密度向上への要求が更に厳しくなり、更には、コバルトは天然資源の埋蔵量に懸念があるため、ニッケル、コバルト、マンガンを組み合わせた三元系正極「1対1対1」が用いられるようになってきた。例えば、特許文献8には、ニッケルの一部をマンガンやコバルト等に置換した正極が開示されている。
この三元系正極に関しても、コバルトの使用を更に削減するため、そして更に正極容量を増大させる事を目的としてこれ以上にニッケル比率を増加させた正極を用いた電池の開発が非常に盛んに行われている。ここで、ニッケル比率を増加させたNiリッチ正極としては、ニッケル、コバルト、マンガン系ではその比率が「3対1対1」や「8対1対1」のもの、そして、マンガンをアルミニウムに置き換え、ニッケル、コバルト、アルミニウムの比率が「8.5対1.0対0.5」、「8.8対0.9対0.3」「9.0対0.5対0.5」等のものが知られている。
なお、非水電解液電池用電解液に用いられるLiPF濃縮液の合成方法の一例は、例えば特許文献9に開示されている。
特開平8−045545号公報 特許第3497812号公報 特許第5072379号公報 特開2004−039510号公報 特許第6051537号公報 特開2016−157679号公報 特開平6−096769号公報 WO2010/113583 特許第5845955号公報 特許第5668684公報
Z.Anorg. Chem. 2006, 632, P1356(Rovnanik, Prvel著、「Syntheses of Phosphoryl Chloro- and Bromofluorides and Crystal Structures of POFCl2 and POF2Cl、WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim」)
不飽和結合を有するケイ素化合物を含有する電解液は確かに耐久性(サイクル特性、高温貯蔵特性)の点では優れるが、Niリッチな正極(具体的には、正極活物質に含まれる金属中のニッケル含有量が30〜100質量%)を用いた電池において、充放電を繰り返すと当該正極からNiが電解液中に溶出する傾向があった。溶出したNiは負極に析出する事となるが、これは電池の短絡の原因となり得るものであり非常に危険な状況なため、正極からのNiの溶出防止策が強く望まれていた。
本発明は、サイクル後の容量維持率を損なうことなく、Niリッチな正極から電解液中へのNi溶出が低減された、不飽和結合を有するケイ素化合物を含有する電解液、及び該電解液を用いたNi含有量の多い正極を備える非水電解液電池を提供することを目的とする。
本発明は、
少なくともニッケルを含む1種以上の酸化物を正極活物質として含み、当該正極活物質に含まれる金属中のニッケル含有量が30〜100質量%である正極を含む非水電解液電池用の電解液であって、
(I)非水有機溶媒、
(II)イオン性塩である、溶質、
(III)一般式(1)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種、及び、
(IV)フルオロスルホン酸リチウム(以降、LiSOFと記載する場合がある)、一般式(2)で示されるO=S−F結合を有する化合物、一般式(3)で示されるO=P−F結合を有する化合物、一般式(4)で示されるP(=O)F結合を有する化合物、及び一般式(5)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種
を含み、
上記(I)〜(IV)の総量100質量%に対する、上記(IV)の濃度が0.01〜5.00質量%である、非水電解液電池用電解液(以降、単純に「非水電解液」又は「電解液」と記載する場合がある)である。
Si(Ra(R4−a (1)
[一般式(1)中、Rはそれぞれ互いに独立して炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。
はそれぞれ互いに独立して、フッ素原子、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルコキシ基、炭素数が3〜10のアリル基、炭素数が2〜10のアルキニル基、炭素数が6〜15のアリール基、炭素数が3〜10のアリルオキシ基、炭素数が2〜10のアルキニルオキシ基、及び炭素数が6〜15のアリールオキシ基からなる群から選ばれる基を示し、これらの基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していても良い。なお「フッ素原子を有している」とは、具体的には上記の基における水素原子がフッ素原子に置換されたものを指す。また「酸素原子を有している」とは、具体的には上記の基の炭素原子の間に「−O−」(エーテル結合)が介在する基が挙げられる。
aは2〜4である。]
−S(=O)−F (2)
[一般式(2)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基である。]
上記Rの、
アルキル基は、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ペンタフルオロエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基が好ましく、
アルケニル基は、エテニル基が好ましく、
アリール基は、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、tert−アミルフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)が好ましく、
アリールオキシ基は、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、tert−アミルフェノキシ基、又はナフトキシ基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)が好ましく、
アルコキシ基は、フッ素で置換されていても良い、シクロヘキシロキシ基、メトキシ基、又はエトキシ基が好ましい。
中でも、サイクル後の容量維持率とNi溶出の抑制効果のバランスや、化合物の安定性の観点から、Rはメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、エテニル基、フェニル基が特に好ましい。
−PF(=O)−R (3)
[一般式(3)中、Rは、アルコキシ基、又はアリールオキシ基であり、RはOLiである(なお、Oは酸素、Liはリチウムを表す)。]
上記Rの、
アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、3−メチルブトキシ基、1−メチルブトキシ基、1−エチルプロポキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1−トリフルオロイソプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ基、又はシクロヘキシロキシ基が好ましく、
アリールオキシ基は、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、フルオロフェノキシ基、、tert−ブチルフェノキシ基、tert−アミルフェノキシ基、ビフェノキシ基、又はナフトキシ基が好ましく、それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い。
中でも、サイクル後の容量維持率とNi溶出の抑制効果のバランスや、化合物の安定性の観点から、Rはエトキシ基が特に好ましい。
−P(=O)F (4)
[一般式(4)中、Rは、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基である。]
上記Rの、
アリール基は、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、tert−アミルフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)が好ましく、
アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、3−メチルブトキシ基、1−メチルブトキシ基、1−エチルプロポキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1−トリフルオロイソプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ基、又はシクロヘキシロキシ基が好ましく、
アリールオキシ基は、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、フルオロフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、tert−アミルフェノキシ基、ビフェノキシ基、又はナフトキシ基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)が好ましい。
中でも、サイクル後の容量維持率とNi溶出の抑制効果のバランスや、化合物の安定性の観点から、Rはフェニル基、フェノキシ基が特に好ましい。
Figure 2019106362
[一般式(5)中、Xは酸素原子、又はハロゲン原子に置換されていてもよいメチレン基であり、Yはリン原子、又は硫黄原子である。nはYがリン原子の場合は0、硫黄原子の場合は1である。R及びRはそれぞれ独立で、ハロゲン原子、ハロゲン原子に置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基である。なお、Yが硫黄原子の場合、Rは存在しない。]
上記R及びRの、
ハロゲン原子はフッ素原子が好ましく
ハロゲン原子に置換されていてもよいアルキル基は、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ペンタフルオロエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基が好ましく、
ハロゲン原子に置換されていてもよいアルケニル基は、エテニル基が好ましく、
ハロゲン原子に置換されていてもよいアリール基は、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、tert−アミルフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)が好ましい。
中でも、サイクル後の容量維持率とNi溶出の抑制効果のバランスや、化合物の安定性の観点から、R、Rはフッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、エテニル基、フェニル基、フルオロフェニル基が特に好ましい。
本発明の電解液中に上記(III)と、(IV)が上述の所定の濃度で存在することが重要である。
上記(IV)を含有することで、
上記(III)を含む電解液をNiリッチな正極を備えた電池に適用した際に、当該Niリッチな正極から電解液中へのNiの溶出が低減される。
上記(IV)成分として、フルオロスルホン酸リチウム、上記一般式(2)で示されるO=S−F結合を有する化合物、上記一般式(4)で示されるP(=O)F結合を有する化合物、及び上記一般式(5)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いると、サイクル後の容量維持率とNi溶出の抑制効果をよりバランスよく発揮できるため特に好ましい。
上記Rはエテニル基である事が好ましい。
また、上記Rのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、3−ペンチル基、及びtert−ペンチル基から選ばれることが好ましく、
アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1−トリフルオロイソプロポキシ基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ基から選ばれることが好ましく、
アリル基は、2−プロペニル基が好ましく、
アルキニル基は、エチニル基が好ましく、
アリール基は、フェニル基、メチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、及びtert−アミルフェニル基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)から選ばれることが好ましく、
アリルオキシ基は、2−プロペニルオキシ基が好ましく、
アルキニルオキシ基は、プロパルギルオキシ基が好ましく、また
アリールオキシ基は、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、及びtert−アミルフェノキシ基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)から選ばれることが好ましい。
また、上記一般式(1)のaが3又は4であると耐久性向上効果が優れる観点からより好ましい。
また、上記(III)は、具体的には後述の化合物(1−1)〜(1−28)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、中でも(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−10)、(1−12)、(1−15)、(1−22)、(1−23)、(1−24)、(1−25)、(1−26)、(1−27)、及び(1−28)からなる群から選ばれる少なくとも1種が合成の容易さと、化合物の安定性の点からより好ましい。
それらの中でも、(1−1)、(1−2)、(1−4)、(1−10)、(1−12)、(1−15)、(1−22)、(1−24)、(1−25)、及び(1−28)からなる群から選ばれる少なくとも1種であると耐久性向上効果がより優れる観点から好ましく、(1−1)、(1−2)、(1−12)、及び(1−15)からなる群から選ばれる少なくとも1種であると特に好ましい。
Figure 2019106362
本発明によると、サイクル後の容量維持率を損なうことなく、Niリッチな正極から電解液中へのNi溶出が低減された、不飽和結合を有するケイ素化合物を含有する電解液、及び該電解液を用いたNi含有量の多い正極を備える非水電解液電池を提供することができる。
以下の実施形態における各構成及びそれらの組み合わせは例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1.非水電解液電池用電解液
本発明の非水電解液電池用電解液は、
少なくともニッケルを含む1種以上の酸化物を正極活物質として含み、当該正極活物質に含まれる金属中のニッケル含有量が30〜100質量%である正極を含む非水電解液電池用の電解液であって、
(I)非水有機溶媒、
(II)イオン性塩である、溶質、
(III)上記一般式(1)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種、及び、
(IV)LiSOF、上記一般式(2)で示されるO=S−F結合を有する化合物、上記一般式(3)で示されるO=P−F結合を有する化合物、上記一般式(4)で示されるP(=O)F結合を有する化合物、及び上記一般式(5)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種
を含み、
(I)〜(IV)の総量100質量%に対する、上記(IV)の濃度が0.01〜5.00質量%である。
(I)非水有機溶媒について
本発明の非水電解液電池用電解液に用いる非水有機溶媒の種類は、特に限定されず、任意の非水有機溶媒を用いることができる。具体的には、エチルメチルカーボネート(以降「EMC」と記載する)、ジメチルカーボネート(以降「DMC」と記載する)、ジエチルカーボネート(以降「DEC」と記載する)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルプロピルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルメチルカーボネート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルエチルカーボネート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルプロピルカーボネート、ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピル)カーボネート、エチレンカーボネート(以降「EC」と記載する)、プロピレンカーボネート(以降「PC」と記載する)、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(以降「FEC」と記載する)、ジフルオロエチレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−フルオロプロピオン酸メチル、2−フルオロプロピオン酸エチル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記非水有機溶媒は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であると、高温でのサイクル特性に優れる点で好ましい。また、上記非水有機溶媒が、エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であると、低温での入出力特性に優れる点で好ましい。
上記環状カーボネートの具体例としてEC、PC、ブチレンカーボネート、及びFEC等が挙げられ、中でもEC、PC、及びFECからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記鎖状カーボネートの具体例としてEMC、DMC、DEC、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルエチルカーボネート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルメチルカーボネート、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルエチルカーボネート等が挙げられ、中でもEMC、DMC、DEC、及びメチルプロピルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、上記エステルの具体例として、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−フルオロプロピオン酸メチル、及び2−フルオロプロピオン酸エチル等が挙げられる。
本発明の非水電解液電池用電解液は、ポリマーを含む事もでき、一般にポリマー固体電解質と呼ばれる。ポリマー固体電解質には、可塑剤として非水有機溶媒を含有するものも含まれる。
ポリマーは、上記溶質及び上記添加剤を溶解できる非プロトン性のポリマーであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖又は側鎖に持つポリマー、ポリビニリデンフロライドのホモポリマー又はコポリマー、メタクリル酸エステルポリマー、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。これらのポリマーに可塑剤を加える場合は、上記の非水有機溶媒のうち非プロトン性非水有機溶媒が好ましい。
(II)溶質について
例えば、アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオン、(ジフルオロホスホニル)(フルオロスルホニル)イミドアニオン、及び(ジフルオロホスホニル)(トリフルオロスルホニル)イミドアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンの対からなるイオン性塩であることが好ましい。
また、上記溶質であるイオン性塩のカチオンがリチウム、ナトリウム、カリウム、又はマグネシウムであり、アニオンがヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが、上記非水有機溶媒に対する溶解度の高さや、その電気化学安定性の点から好ましい。
これら溶質の濃度については、特に制限はないが、下限は0.5mol/L以上、好ましくは0.7mol/L以上、さらに好ましくは0.9mol/L以上であり、また、上限は2.5mol/L以下、好ましくは2.2mol/L以下、さらに好ましくは2.0mol/L以下の範囲である。0.5mol/Lを下回るとイオン伝導度が低下することにより非水電解液電池のサイクル特性、出力特性が低下し、一方、2.5mol/Lを超えると非水電解液電池用電解液の粘度が上昇することによりやはりイオン伝導を低下させ、非水電解液電池のサイクル特性、出力特性を低下させる恐れがある。また、これら溶質は単独で用いても良いし、複数を組み合わせて使用しても良い。
一度に多量の該溶質を非水有機溶媒に溶解すると、溶質の溶解熱のため非水電解液の温度が上昇することがあり、該液温が著しく上昇すると、例えば溶質としてLiPFを用いた場合に、LiPFが分解する恐れがあるため好ましくない。
上記非水電解液において、(I)〜(IV)の総量100質量%に対する、(III)の濃度は0.01質量%以上、2.00質量%以下が好ましい。0.01質量%以上であれば非水電解液電池の特性を向上させる効果が得られ易く、一方、2.00質量%以下であればNi溶出量を大幅に増大させることなく良好な耐久性向上効果を発揮し易い。より好ましくは0.04質量%以上、1.00質量%以下であり、さらに好ましくは0.08質量%以上、0.50質量%以下の範囲である。
上記非水電解液において、(I)〜(IV)の総量100質量%に対する、(IV)の濃度は0.01質量%以上、5.00質量%以下である。0.01質量%を下回るとNiリッチな正極から電解液中へのNi溶出の低減効果が十分に得られず、一方、5.00質量%を超えると耐久性向上効果は極めて高いものの、初期容量が低下する恐れや、正極集電体アルミニウムの溶出の懸念がある。より好ましくは0.10質量%以上、2.50質量%以下であり、さらに好ましくは0.50質量%以上、1.50質量%以下の範囲である。
その他の添加剤について
本発明の要旨を損なわない限りにおいて、本発明の非水電解液電池用電解液に一般に用いられる添加成分を任意の比率でさらに添加しても良い。具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキシルフルオロベンゼン、フルオロベンゼン(以降、FBと記載する場合がある)、ビフェニル、ジフルオロアニソール、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、2−フルオロトルエン、2−フルオロビフェニル、ビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、メチルプロパルギルカーボネート、エチルプロパルギルカーボネート、ジプロパルギルカーボネート、無水マレイン酸、無水コハク酸、プロパンサルトン、1,3−プロパンスルトン(以降、PSと記載する場合がある)、ブタンスルトン、メチレンメタンジスルホネート、ジメチレンメタンジスルホネート、トリメチレンメタンジスルホネート、下記一般式(6)で示される化合物(例えば、Rがエチレン基である化合物(以降、「Dod」と記載する場合がある)、Rがプロピレン基である化合物(以降、「Dad」と記載する場合がある)、Rがブチレン基である化合物、Rがペンチレン基である化合物、Rが−CH−CH(C)−基である化合物(以降「pDod」と記載する場合がある))、メタンスルホン酸メチル、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(以降、LDFBOPと記載する場合がある)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸ナトリウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸カリウム、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウム(以降、LDFOBと記載する場合がある)、ジフルオロオキサラトホウ酸ナトリウム、ジフルオロオキサラトホウ酸カリウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸ナトリウム、ビス(オキサラト)ホウ酸カリウム、テトラフルオロオキサラトリン酸リチウム(以降、LTFOPと記載する場合がある)、テトラフルオロオキサラトリン酸ナトリウム、テトラフルオロオキサラトリン酸カリウム、トリス(オキサラト)リン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム(以降、LiPOと記載する場合がある)、フルオロリン酸リチウム等の過充電防止効果、負極皮膜形成効果や正極保護効果を有する化合物が挙げられる。
当該その他の添加剤の電解液中の含有量は0.01質量%以上、8.00質量%以下が好ましい。
Figure 2019106362
[一般式(6)中、Rは炭素数2〜5の炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合は分枝構造をとってもよい。また、当該炭化水素基にはハロゲン原子やヘテロ原子や酸素原子が含まれていてもよい。]
また、溶質として挙げられたイオン性塩は、溶質の好適な濃度の下限である0.5mol/Lよりも電解液中の含有量が少ない場合に、“その他の添加剤”として負極皮膜形成効果や正極保護効果を発揮し得る。この場合、電解液中の含有量が0.01質量%以上、5.00質量%が好ましい。この場合のイオン性塩としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、フルオロスルホン酸ナトリウム、フルオロスルホン酸カリウム、フルオロスルホン酸マグネシウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドマグネシウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドナトリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドマグネシウム、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドリチウム、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドナトリウム、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドカリウム、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドマグネシウム、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドリチウム、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドナトリウム、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドカリウム、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドマグネシウム、(ジフルオロホスホニル)(フルオロスルホニル)イミドリチウム、(ジフルオロホスホニル)(フルオロスルホニル)イミドナトリウム、(ジフルオロホスホニル)(フルオロスルホニル)イミドカリウム、(ジフルオロホスホニル)(フルオロスルホニル)イミドマグネシウム、(ジフルオロホスホニル)(トリフルオロスルホニル)イミドリチウム、(ジフルオロホスホニル)(トリフルオロスルホニル)イミドナトリウム、(ジフルオロホスホニル)(トリフルオロスルホニル)イミドカリウム、及び(ジフルオロホスホニル)(トリフルオロスルホニル)イミドマグネシウム等が挙げられる。
更には、ポリマー電池と呼ばれる非水電解液電池に使用される場合のように非水電解液電池用電解液をゲル化剤や架橋ポリマーにより擬固体化して使用することも可能である。
2.非水電解液電池
本発明の非水電解液電池は、少なくとも、(ア)上記の非水電解液電池用電解液と、(イ)正極と、(ウ)負極とを含む。さらには、(エ)セパレータや外装体等を含むことが好ましい。
〔(イ)正極〕
(イ)正極は、少なくともニッケルを含む1種以上の酸化物を正極活物質として含み、当該正極活物質に含まれる金属中のニッケル含有量が30〜100質量%である。
[正極活物質]
非水電解液中のカチオンがリチウム主体となるリチウムイオン二次電池の場合、(イ)正極を構成する正極活物質は、充放電が可能な種々の材料であれば特に限定されるものでないが、例えば、(A)ニッケル、又はニッケルに加えてマンガン、コバルト、アルミニウムからなる群から選ばれる一つ以上の金属を含有し、かつ層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、(B)スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、(C)リチウム含有オリビン型リン酸塩、及び(D)層状岩塩型構造を有するリチウム過剰層状遷移金属酸化物から少なくとも1種を含有するものが挙げられる。
((A)リチウム遷移金属複合酸化物)
正極活物質(A)ニッケル、又はニッケルに加えてマンガン、コバルト、アルミニウムからなる群から選ばれる一つ以上の金属を含有し、かつ層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物等が挙げられる。また、これらリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部を、Al、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、B、Ba、Y、Sn等の他の元素で置換したものを用いても良い。
リチウム・ニッケル複合酸化物の具体例としては、LiNiOやMg、Zr、Al、Ti等の異種元素を添加したニッケル酸リチウム、LiNiO粒子粉末の粒子表面の一部に酸化アルミニウムが被覆したものを用いても良い。
リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物及びニッケル・コバルトの一部をAlなどで置換した複合酸化物については、一般式[1−1]で示される。
LiNi1−b−cCo [1−1]
式[1−1]中、MはAl、Fe、Mg、Zr、Ti、Bからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、aは0.9≦a≦1.2であり、b、cは、0.1≦b≦0.3、0≦c≦0.1の条件を満たす。
これらは、例えば、特開2009−137834号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。具体的には、LiNi0.8Co0.2、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiNi0.87Co0.10Al0.03、LiNi0.6Co0.3Al0.1等が挙げられる。
リチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物の具体例としては、LiNi0.5Mn0.5等が挙げられる。
リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物及びニッケル・マンガン・コバルトの一部をAlなどで置換した複合酸化物としては、一般式[1−2]で示されるリチウム含有複合酸化物が挙げられる。
LiNiMnCo [1−2]
式[1−2]中、MはAl、Fe、Mg、Zr、Ti、B、Snからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、dは0.9≦d≦1.2であり、e、f、g及びhは、e+f+g+h=1、0≦e≦0.7、0≦f≦0.5、0≦g≦0.5、及びh≧0の条件を満たす。
リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物は、構造安定性を高め、リチウム二次電池における高温での安全性を向上させるためにマンガンを一般式[1−2]に示す範囲で含有するものが好ましく、特にリチウムイオン二次電池の高率特性を高めるためにコバルトを一般式[1−2]に示す範囲でさらに含有するものがより好ましい。
具体的には、例えば4.3V以上に充放電領域を有する、Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O、Li[Ni0.45Mn0.35Co0.2]O、Li[Ni0.5Mn0.3Co0.2]O、Li[Ni0.6Mn0.2Co0.2]O、Li[Ni0.49Mn0.3Co0.2Zr0.01]O、Li[Ni0.49Mn0.3Co0.2Mg0.01]O等が挙げられる。
((B)スピネル構造を有するニッケル含有リチウムマンガン複合酸化物)
正極活物質(B)スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、一般式[1−3]で示されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。
Li(Mn2−k )O [1−3]
式[1−3]中、MはNiを含み、それ以外にCo、Fe、Mg、Cr、Cu、Al及びTiからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素を含んでも良い。jは1.05≦j≦1.15であり、kは0<k≦0.20である。
具体的には、例えば、LiMn1.9Ni0.1、LiMn1.5Ni0.5等が挙げられる。
((C)オリビン型リチウムリン酸塩)
正極活物質(C)オリビン型リチウムリン酸塩としては、例えば一般式[1−4]で示されるものが挙げられる。
LiFe1−n PO [1−4]
式[1−4]中、MはNiを含み、それ以外にCo、Mn、Cu、Zn、Nb、Mg、Al、Ti、W、Zr及びCdから選ばれる少なくとも1つであり、nは、0<n≦1である。
具体的には、例えば、LiNiPO等が挙げられる。
((D)リチウム過剰層状遷移金属酸化物)
正極活物質(D)層状岩塩型構造を有するニッケル含有リチウム過剰層状遷移金属酸化物としては、例えば一般式[1−5]で示されるものが挙げられる。
xLiM・(1−x)Li [1−5]
式[1−5]中、xは、0<x<1を満たす数であり、Mは、平均酸化数が3である少なくとも1種以上の金属元素であり、Mは、平均酸化数が4である少なくとも1種の金属元素である。式[1−5]中、Mは、好ましくは3価のMn、Ni、Co、Fe、V、Crから選ばれてなる1種の金属元素であるが、2価と4価の等量の金属で平均酸化数を3価にしてもよい。
また、式[1−5]中、Mは、好ましくはMn、Zr、Tiから選ばれてなる1種以上の金属元素である。なお、M、Mのどちらかに必ずニッケルが含まれる。具体的には、0.5[LiNi0.5Mn0.5]・0.5[LiMnO]、0.5[LiNi1/3Co1/3Mn1/3]・0.5[LiMnO]、0.5[LiNi0.375Co0.25Mn0.375]・0.5[LiMnO]、0.5[LiNi0.375Co0.125Fe0.125Mn0.375]・0.5[LiMnO]、0.45[LiNi0.375Co0.25Mn0.375]・0.10[LiTiO]・0.45[LiMnO]等が挙げられる。
この一般式[1−5]で表される正極活物質(D)は、4.4V(Li基準)以上の高電圧充電で高容量を発現することが知られている(例えば、米国特許7,135,252号明細書 )。
これら正極活物質は、例えば特開2008−270201号公報、WO2013/118661号公報、特開2013−030284号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。
正極活物質としては、上記(A)〜(D)から選ばれる少なくとも1つを主成分として含有し、少なくともニッケルを含む1種以上の酸化物を含み、当該正極活物質に含まれる金属中のニッケル含有量が30〜100質量%であればよいが、それ以外に含まれるものとしては、例えばFeS、TiS、TiO、V、MoO、MoS等の遷移元素カルコゲナイド、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が挙げられる。
[正極集電体]
(イ)正極は、正極集電体を有する。正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
[正極活物質層]
(イ)正極は、例えば正極集電体の少なくとも一方の面に正極活物質層が形成される。正極活物質層は、例えば、前述の正極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、炭素繊維、黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)、フッ素化黒鉛等の炭素材料を用いることができる。正極においては、結晶性の低いアセチレンブラックやケッチェンブラックを用いることが好ましい。
〔(ウ)負極〕
負極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、リチウム金属、リチウム金属と他の金属との合金や金属間化合物、種々の炭素材料(人造黒鉛、天然黒鉛など)、金属酸化物、金属窒化物、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物、活性炭、導電性ポリマー等が用いられる。
炭素材料とは、例えば、易黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化炭素(ハードカーボン)や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解性炭素、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類にはピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵及び放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られるので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状あるいは鱗片状のいずれでもよい。また、非晶質炭素や非晶質炭素を表面に被覆した黒鉛材料は、材料表面と電解液との反応性が低くなるため、より好ましい。
(ウ)負極は、少なくとも1種の負極活物質を含むことが好ましい。
[負極活物質]
非水電解液中のカチオンがリチウム主体となるリチウムイオン二次電池の場合、(ウ)負極を構成する負極活物質としては、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能なものであり、例えば(E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料、(F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料、(G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物、(H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金、及び(I)リチウムチタン酸化物から選ばれる少なくとも1種を含有するものが挙げられる。これら負極活物質は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組合せて用いることもできる。
((E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料)
負極活物質(E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料としては、例えば熱分解炭素類、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、有機高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは黒鉛化したものでもよい。当該炭素材料は、X線回折法で測定した(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下のものであり、中でも、その真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料が好ましい。
((F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料)
負極活物質(F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料としては、非晶質炭素が挙げられ、これは、2000℃以上の高温で熱処理してもほとんど積層秩序が変化しない炭素材料である。例えば難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、1500℃以下で焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソペーズビッチカーボンファイバー(MCF)等が例示される。株式会社クレハ製のカーボトロン(登録商標)P等は、その代表的な事例である。
((G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物)
負極活物質(G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物としては、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な、例えば酸化シリコン、酸化スズ等が挙げられる。
Siの超微粒子がSiO中に分散した構造を持つSiO等がある。この材料を負極活物質として用いると、Liと反応するSiが超微粒子であるために充放電がスムーズに行われる一方で、上記構造を有するSiO粒子自体は表面積が小さいため、負極活物質層を形成するための組成物(ペースト)とした際の塗料性や負極合剤層の集電体に対する接着性も良好である。
なお、SiOは充放電に伴う体積変化が大きいため、SiOと上述負極活物質(E)の黒鉛とを特定比率で負極活物質に併用することで高容量化と良好な充放電サイクル特性とを両立することができる。
((H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金)
負極活物質(H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金としては、例えばシリコン、スズ、アルミニウム等の金属、シリコン合金、スズ合金、アルミニウム合金等が挙げられ、これらの金属や合金が、充放電に伴いリチウムと合金化した材料も使用できる。
これらの好ましい具体例としては、WO2004/100293号や特開2008−016424号等に記載される、例えばケイ素(Si)、スズ(Sn)等の金属単体(例えば粉末状のもの)、該金属合金、該金属を含有する化合物、該金属にスズ(Sn)とコバルト(Co)とを含む合金等が挙げられる。当該金属を電極に使用した場合、高い充電容量を発現することができ、かつ、充放電に伴う体積の膨張・収縮が比較的少ないことから好ましい。また、これらの金属は、これをリチウムイオン二次電池の負極に用いた場合に、充電時にLiと合金化するため、高い充電容量を発現することが知られており、この点でも好ましい。
さらに、例えばWO2004/042851号、WO2007/083155号等に記載される、サブミクロン直径のシリコンのピラーから形成された負極活物質、シリコンで構成される繊維からなる負極活物質等を用いてもよい。
((I)リチウムチタン酸化物)
負極活物質(I)リチウムチタン酸化物としては、例えば、スピネル構造を有するチタン酸リチウム、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム等を挙げることができる。
スピネル構造を有するチタン酸リチウムとしては、例えば、Li4+αTi12(αは充放電反応により0≦α≦3の範囲内で変化する)を挙げることができる。また、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウムとしては、例えば、Li2+βTi(βは充放電反応により0≦β≦3の範囲内で変化する)を挙げることができる。これら負極活物質は、例えば特開2007−018883号公報、特開2009−176752号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。
例えば、非水電解液中のカチオンがナトリウム主体となるナトリウムイオン二次電池の場合、負極活物質としてハードカーボンやTiO、V、MoO等の酸化物等が用いられる。例えば、非水電解液中のカチオンがナトリウム主体となるナトリウムイオン二次電池の場合、正極活物質としてNaFeO、NaCrO、NaNiO、NaMnO、NaCoO等のナトリウム含有遷移金属複合酸化物、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物のFe、Cr、Ni、Mn、Co等の遷移金属が複数混合したもの、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属の一部が他の遷移金属以外の金属に置換されたもの、NaFeP、NaCo(PO等の遷移金属のリン酸化合物、TiS、FeS等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が使用される。
[負極集電体]
(ウ)負極は、負極集電体を有する。負極集電体としては、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
[負極活物質層]
(ウ)負極は、例えば負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が形成される。負極活物質層は、例えば、前述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、炭素繊維、黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)、フッ素化黒鉛等の炭素材料を用いることができる。
〔電極((イ)正極及び(ウ)負極)の製造方法〕
電極は、例えば、活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを所定の配合量でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水等の溶媒中に分散混練し、得られたペーストを集電体に塗布、乾燥して活物質層を形成することで得ることができる。得られた電極は、ロールプレス等の方法により圧縮して、適当な密度の電極に調節することが好ましい。
〔(エ)セパレータ〕
上記の非水電解液電池は、(エ)セパレータを備えることができる。(イ)正極と(ウ)負極の接触を防ぐためのセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンや、セルロース、紙、又はガラス繊維等で作られた不織布や多孔質シートが使用される。これらのフィルムは、電解液がしみ込んでイオンが透過し易いように、微多孔化されているものが好ましい。
ポリオレフィンセパレータとしては、例えば多孔性ポリオレフィンフィルム等の微多孔性高分子フィルムといった正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜が挙げられる。多孔性ポリオレフィンフィルムの具体例としては、例えば多孔性ポリエチレンフィルム単独、又は多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンフィルムとを重ね合わせて複層フィルムとして用いてもよい。また、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとを複合化したフィルム等が挙げられる。
〔外装体〕
非水電解液電池を構成するにあたり、非水電解液電池の外装体としては、例えばコイン型、円筒型、角型等の金属缶や、ラミネート外装体を用いることができる。金属缶材料としては、例えばニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン等が挙げられる。
ラミネート外装体としては、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、SUS製ラミネートフィルム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルム等を用いることができる。
本実施形態にかかる非水電解液電池の構成は、特に制限されるものではないが、例えば、正極及び負極が対向配置された電極素子と、非水電解液とが、外装体に内包されている構成とすることができる。非水電解液電池の形状は、特に限定されるものではないが、以上の各要素からコイン状、円筒状、角形、又はアルミラミネートシート型等の形状の電気化学デバイスが組み立てられる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
〔NCM811正極の作製〕
LiNi0.8Mn0.1Co0.1粉末91.0質量%に、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(以降PVDF)を4.5質量%、導電材としてアセチレンブラックを4.5質量%混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドン(以降NMP)を添加し、正極合材ペーストを作製した。このペーストをアルミニウム箔(A1085)の両面に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、4×5cmに打ち抜くことで試験用NCM811正極を得た。
〔NCA正極の作製〕
LiNi0.87Co0.10Al0.03粉末89.0質量%に、バインダーとしてPVDFを5.0質量%、導電材としてアセチレンブラックを6.0質量%混合し、さらにNMPを添加し、正極合材ペーストを作製した。このペーストをアルミニウム箔(A1085)の両面に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、4×5cmに打ち抜くことで試験用NCA正極を得た。
〔黒鉛負極の作製〕
人造黒鉛粉末92.0質量%に、バインダーとして8.0質量%のPVDFを混合し、さらにNMPを添加し、負極合材ペーストを作製した。このペーストを銅箔の片面に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、4×5cmに打ち抜くことで試験用黒鉛負極を得た。
〔一般式(1)で示される不飽和結合を有するケイ素化合物の合成〕
上記一般式(1)で示される不飽和結合を有する置換基を備えたケイ素化合物は種々の方法により製造できる。製造法としては、限定されることはないが、例えば、四塩化ケイ素とエチニルグリニャール試薬とをテトラヒドロフラン中で内温40℃以下にて反応させる事により、エチニルトリクロロシラン、ジエチニルジクロロシラン、トリエチニルクロロシラン、テトラエチニルシラン(1−15)が得られる。この時、エチニルグリニャール試薬の使用量を調整して反応させた後に、内温100℃以下で減圧蒸留する事によりこれらのケイ素化合物を作り分けることが可能である。
そして、(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−10)はトリエチニルクロロシランを原料とし、トリエチルアミン等の塩基存在下で、1当量の対応するアルコールを反応させる事で容易に入手できた。同様に、(1−11)、(1−13)、(1−14)、(1−16)、(1−28)は、トリエチニルクロロシランに1当量の対応する有機リチウム試薬、又はグリニャール試薬、又はフッ化カリウムを反応させる事で入手した。
(1−5)はジエチニルジクロロシランにトリエチルアミン等の塩基存在下で2当量のメタノールを反応させる事で、(1−17)は2当量のアリルグリニャール試薬を反応させる事で、(1−19)は2当量のナトリウムアセチリドを反応させる事で得た。(1−25)、(1−26)、(1−27)はジエチニルジクロロシランに、塩基存在下で1当量の対応するアルコール、又は有機リチウム試薬を反応させた後に、更に1当量のフッ化カリウムを反応させる事で得た。
更に(1−9)、(1−20)はエチニルトリクロロシランを原料とし、3当量のプロパルギルアルコール、又はナトリウムアセチリドを反応させる事でそれぞれを得た。
(1−12)はフェニルトリクロロシランに3当量のエチニルグリニャール試薬を反応させる事で、(1−18)はフェニルトリクロロシランに当モル数のエチニルグリニャール試薬を反応させた後に2当量のナトリウムアセチリドを反応させる事で得られた。
(1−24)はトリクロロメチルシランに3当量のエチニルグリニャール試薬を反応させる事で得た。そして、(1−21)、(1−22)、(1−23)はトリクロロメチルシランに2当量のエチニルグリニャール試薬を反応させた後に、トリエチルアミン等の塩基存在下で1当量の対応するアルコール、又は有機リチウム試薬を反応させる事で得た。
〔(IV)について〕
市販のフルオロスルホン酸を0℃に冷却しながら1当量のアンモニアで中和する事でフルオロスルホン酸アンモニウムが得られた。このフルオロスルホン酸アンモニウムに塩化リチウムを加え、カチオン交換を行う事によってLiSOFが得られた。
エテンスルホニルフルオリド(以降、「化合物(2−1)」と記載する場合がある)はAldrich社製のものを使用した。
また、Aldrich社製のメタンスルホニルクロリド、東京化成工業製のベンゼンスルホニルクロリド、ジクロロリン酸フェニル、和光純薬製のフェニルジクロロホスフィンオキシドを、フッ化カリウムでフッ素する事で、それぞれ、メタンスルホニルフルオリド(以降、「化合物(2−4)」と記載する場合がある)、ベンゼンスルホニルフルオリド(以降、「化合物(2−2)」と記載する場合がある)、ジフルオロリン酸フェニル(以降、「化合物(4−1)」と記載する場合がある)、フェニルジフルオロホスフィンオキシド(以降、「化合物(4−2)」と記載する場合がある)を得た。
また、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド(以降、「化合物(2−3)」と記載する場合がある)はセントラル硝子製のものを使用した。
また、エチルフルオロリン酸リチウム(以降、「化合物(3−1)」と記載する場合がある)は、ジフルオロリン酸リチウムにエタノールを反応させる事で得た。
以下に示す化合物(5−1)、(5−3)は、Combi-blocks社製のテトラヒドロチオフェン−3−オール−1,1−ジオキシドと、Aldric社製のメタンスルホニルクロリド、または非特許文献1に記載された手法にてジフルオロリン酸カリウムをオキシ塩化リンにて塩素化して合成したクロロジフルオロホスフィンオキシドとの反応にてそれぞれ得た。
また、以下に示す化合物(5−2)は、上記のテトラヒドロチオフェン−3−オール−1,1−ジオキシドと東京化成工業製の2−クロロエタンスルホニルクロリドを反応させた後に、トリエチルアミンを作用させて脱塩酸にて二重結合を形成させる事で得た。
また、特許文献10に記載された手法にて2、3−ジヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムと塩化チオニルを反応させた後に塩酸水溶液で処理する事で合成した2−ヒドロキシ−1,3−プロパンスルトンと、上記のクロロジフルオロホスフィンオキシドとを反応させる事で以下に示す化合物(5−4)を得た。
Figure 2019106362
〔LiPF溶液(DMC、EMC)の調製〕
特許文献9に開示した方法に従って、LiPF濃縮液の合成を行った。すなわち、炭酸エステル(DMC、又はEMC)中で、三塩化リンと塩化リチウムと塩素を反応させて六塩化リン酸リチウムを合成した後に、そこにフッ化水素を導入する事でフッ素化を行い、LiPFと塩化水素と未反応のフッ化水素が含まれるDMC溶液、EMC溶液をそれぞれ得た。これを減圧濃縮する事でほぼ全ての塩化水素と大部分のフッ化水素が除去されたLiPF濃縮液が得られた。残るフッ化水素を取り除くため、各炭酸エステルを添加して濃度30.0質量%に調整して粘度を下げた後に、濃縮液各100gに対して10質量%の脱水イオン交換樹脂を添加し、精製処理を行った。これによって、30.0質量%のLiPF/DMC溶液と、30.0質量%のLiPF/EMC溶液が得られた。
〔基準電解液の調製〕
上記で調製した30.0質量%のLiPF/EMC溶液と、非水溶媒である、EMC、DEC、ECとを、LiPF濃度が1.0M、溶媒比(体積)がEMC:DEC:EC=4:2:3となるように混合し、これを基準電解液1とした。
同様に、30.0質量%のLiPF/DMC溶液と、DMCとECとを、LiPF濃度が1.0M、溶媒比(体積)がDMC:EC=2:1となるように混合したものを基準電解液2とした。
Figure 2019106362
〔実施例及び比較例に係る非水電解液の調製〕
基準電解液1に対し、0.25質量%に相当するケイ素化合物(1−1)を加え、1時間攪拌して溶解した。これを非水電解液1-(1-1)-0.25-(0)とした。
次に、基準電解液1に対し、0.25質量%に相当するケイ素化合物(1−1)と、0.02質量%に相当するLiSOFを加え、1時間攪拌して溶解した。これを非水電解液1-(1-1)-0.25-LiSO3F-0.02とした。
同様に、表2に示す通りに、
基準電解液1に対して、(III)成分と(IV)成分を表2に示す濃度となるように添加し、攪拌して溶解する事で、それぞれの非水電解液を得た。
Figure 2019106362
同様に、表3に示す通りに、
基準電解液1に対して、(III)成分と(IV)成分とその他の溶質又は添加成分を表3に示す濃度となるように添加し、攪拌して溶解する事で、それぞれの非水電解液を得た。
Figure 2019106362
なお、表中でLiPOはジフルオロリン酸リチウムを意味し、LTFOPはテトラフルオロオキサラトリン酸リチウムを意味し、LDFBOPはジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウムを意味し、LDFOBはジフルオロオキサラトホウ酸リチウムを意味し、LiFSIはビス(フルオロスルホニル)イミドリチウムを意味し、LTFFSIは(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドリチウムを意味し、LDFPIはビス(ジフルオロホスホニル)イミドリチウムを意味する。
同様に、表4に示す通りに、
基準電解液2に対して、(III)成分と(IV)成分を表4に示す濃度となるように添加し、攪拌して溶解する事で、それぞれの非水電解液を得た。
Figure 2019106362
同様に、表5に示す通りに、
基準電解液2に対して、(III)成分と(IV)成分とその他の溶質又は添加成分を表5に示す濃度となるように添加し、攪拌して溶解する事で、それぞれの非水電解液を得た。
Figure 2019106362
〔非水電解液電池の作製〕 NCM811/黒鉛
露点−50℃以下のアルゴン雰囲気で、上述のNCM811正極に端子を溶接した後に、その両側をポリエチレン製セパレータ(5×6cm)2枚で挟み、更にその外側を予め端子を溶接した黒鉛負極2枚で、負極活物質面が正極活物質面と対向するように挟み込んだ。そして、それらを一辺の開口部が残されたアルミラミネートの袋に入れ、非水電解液を真空注液した後に、開口部を熱で封止する事によって、実施例1−1〜1−39、比較例1−1〜1−32に係るアルミラミネート型の電池を作製した。なお、非水電解液として表2、3に記載のものを用いた。
〔初期充放電〕
組み立てた上記の電池は、正極活物質重量で規格した容量は73mAhとなった。電池を25℃恒温槽に入れその状態で充放電装置と接続した。充電レート0.2C(5時間で満充電となる電流値)にて4.2Vまで充電を行った。4.2Vを1時間維持した後に、放電レート0.2Cにて3.0Vまで放電を行った。これを充放電1サイクルとし、計3サイクルの充放電を行って電池を安定化させた。
〔400サイクル後 容量測定試験(サイクル特性評価)〕
次に、50℃の恒温槽に電池を入れて2時間静置した後に、充電レート2Cにて4.2Vまで充電を行った。4.2Vに到達後はその電圧を1時間維持した後、放電レート2Cにて3.0Vまで放電を行った。この50℃の環境下での2Cでの充放電を400サイクル繰り返した。そして以下の計算式よりサイクル後の容量維持率を算出した。
容量維持率[%]=(400サイクル後の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
〔Ni溶出量測定〕
400サイクル後の電池を大気非暴露の環境下で分解し、負極を取り出した。回収した負極は、炭酸ジメチルで洗浄した後に集電体上の活物質層を削り取って回収した。回収した活物質層は14.0質量%の高純度硝酸水溶液に加え、150℃で2時間加熱を行った。残渣の全量を超純水に溶解させた水溶液を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所製 ICPS−7510)にて測定し、活物質層中に含まれるNi成分の量[μg/g](Ni成分/負極活物質層)を求めた。段落[0074]で得られた試験用負極のみ(電池に組み込む前の試験用負極)を同様に炭酸ジメチル洗浄した後に集電体上の活物質層を削り取って回収した。回収した活物質層について、上記と同様の処理を経て、誘導結合プラズマ発光分光分析装置にて、負極活物質層中に含まれるNi成分の量を測定したところ、検出下限1.0μg/g 未満 (Ni成分/負極活物質層)であったことから、400サイクル後の電池から取り出した負極活物質層から定量されたNi成分は全て正極活物質から溶出したと言える。
NCM811/黒鉛の電極構成の電池の評価結果を表6、7に示す。比較例1−9、1−10、実施例1−13〜1−17に関しては、成分(III)が含まれない電解液を用いた比較例1−9の400サイクル後容量維持率、Ni溶出量をそれぞれ100としたときの相対値として示した。また、それ以外の実施例、比較例に関しては、それぞれの電解液組成において、成分(IV)が含まれない組成の電解液を用いた比較例の400サイクル後容量維持率、Ni溶出量をそれぞれ100としたときの相対値として示した。
Figure 2019106362
Figure 2019106362
ケイ素化合物(1−1)を使用し、その添加量を特に好適な0.08〜0.50質量%の範囲内である0.25質量%に固定して、LiSOFの量を0.00質量%から5.50質量%に変化させた場合、LiSOFの量が増えるにつれてNiの溶出を抑制する傾向が見られた。LiSOFの量が2.40質量%まではNi溶出量の抑制とともに容量維持率の向上が見られた(実施例1−1〜1−5、比較例1−1)。4.50質量%では更なる容量維持率の向上が得られず(実施例1−6)、5.50質量%に至っては2.40、4.50質量%と比べた時の容量維持率の低下が見られた(比較例1−2)。これは、添加量が多すぎるために正極集電体のアルミニウム等へ悪影響が顕在化したためだと思われる。
ケイ素化合物(1−2)、(1−12)、(1−15)を用いた結果について比較すると、(1−1)を用いた場合と同様の傾向が確認された(実施例1−7〜1−12、比較例1−3〜1−8)。LiSOFの量が0.00質量%から0.60質量%、1.40質量%と増加するにつれて、容量維持率の向上だけでなくNi溶出量の低減が見られた。また、5.50質量%添加においては、さらなるNi溶出抑制が確認されたものの、1.40質量%と比べた時の容量維持率の低下が見られ、正極集電体のアルミニウム等へ悪影響が顕在化したことが窺われた。
実施例1−1〜1−6の結果から明らかであるように、容量維持率、Ni溶出抑制の両方に向上効果が見られるのはLiSOFが2.40質量%添加までである。ただし、更なる長期試験や、温度を上げた試験においてはよりLiSOFの添加量が少ない場合においても正極集電体のアルミニウム等への悪影響が見えてくる可能性も考えられるため、さらには、LiSOFの添加コストや性能向上の上昇幅をも総合して鑑みると、0.10〜2.50質量%がよりバランスの取れた添加量であり、0.50〜1.50質量%が特にバランスの取れた添加量と言える。
そこで、これ以降の実施例及び比較例ではLiSOFの添加量が特に好適な0.50〜1.50質量%の範囲内である1.00質量%に固定して実験を行っている。
上述の通り、LiSOFの量を1.00質量%に固定した上で、ケイ素化合物(1−1)の添加量を0.00〜2.50質量%まで増加させた時の評価を行ったところ(比較例1−9、1−10、実施例1−13〜1−17)、添加量が0.02質量%から1.50質量%までは、徐々に容量維持率の向上が見られると共に、Ni溶出量の増加が見られた(実施例1−13〜1−17)。それに対して、添加量を2.50質量%に増やすと、容量維持率の向上は見られずに、Ni溶出量の増加のみが確認された(比較例1−10)。
当然ながら、Niの溶出は抑えつつ、可能な限り容量維持率を向上させる事が望まれる。上記の比較例1−9、1−10、実施例1−13〜1−17の結果から、一般式(1)で示される不飽和結合を有するケイ素化合物の濃度が0.01〜2.00質量%である実施例1−13〜1−17は、Ni溶出量を大幅に増大させることなく良好な耐久性向上効果を発揮し易い。さらに同濃度が0.04〜1.00質量%である実施例1−14〜1−16は、上述の効果をより発揮し易く、同濃度が0.08〜0.50質量%である実施例1−15〜1−16は、上述の効果を特に発揮し易い。
これ以降の実施例ではLiSOFの添加量((IV)成分の添加量)を、特に好適な0.50〜1.50質量%の範囲内である1.00質量%に固定して実験を行っている。
また、これ以降の実施例及び比較例では一般式(1)で示される不飽和結合を有するケイ素化合物の添加量を、特に好適な0.08〜0.50質量%の範囲内である0.25質量%に固定して実験を行っている。
比較例1−11〜1−20、実施例1−18〜1−27に、一般式(1)で示される不飽和結合を有するケイ素化合物の種類を替えた時の評価結果を示した。何れの場合においても、LiSOFを添加しない系に比べて、LiSOFを1.00質量%加えた系の方が、容量維持率の向上とNi溶出の抑制が明らかに確認出来た。
比較例1−21〜1−32、実施例1−28〜1−39に、一般式(1)で示される不飽和結合を有するケイ素化合物の種類を替え、さらに種々のその他の溶質又は添加成分を含有させた場合の評価結果を示した。何れの場合においても、LiSOFを添加しない系に比べて、LiSOFを1.00質量%加えた系の方が、容量維持率の向上とNi溶出の抑制が明らかに確認出来た。
〔非水電解液電池の作製〕 NCA/黒鉛
露点−50℃以下のアルゴン雰囲気で、上述のNCA正極に端子を溶接した後に、その両側をポリエチレン製セパレータ(5×6cm)2枚で挟み、更にその外側を予め端子を溶接した黒鉛負極2枚で、負極活物質面が正極活物質面と対向するように挟み込んだ。そして、それらを一辺の開口部が残されたアルミラミネートの袋に入れ、、非水電解液を真空注液した後に、開口部を熱で封止する事によって、実施例2−1〜2−18、比較例2−1〜2−18に係るアルミラミネート型の電池を作製した。なお、非水電解液として表4、5に記載のものを用いた。
〔初期充放電〕
組み立てた上記の電池は、正極活物質重量で規格した容量は70mAhとなった。電池を25℃恒温槽に入れその状態で充放電装置と接続した。充電レート0.2C(5時間で満充電となる電流値)にて4.1Vまで充電を行った。4.1Vを1時間維持した後に、放電レート0.2Cにて2.7Vまで放電を行った。これを充放電1サイクルとし、計3サイクルの充放電を行って電池を安定化させた。
〔400サイクル後 容量測定試験(サイクル特性評価)〕
NCM811/黒鉛の電極構成の電池と同様の条件で評価を行った。
〔Ni溶出量測定〕
NCM811/黒鉛の電極構成の電池と同様の条件で評価を行った。
評価結果を表8、9に示す。実施例2−1〜2−18の容量維持率、及びNi溶出量の値は、それぞれ、比較例2−1〜2−18の容量維持率、及びNi溶出量の値を100とした時の相対値である。
Figure 2019106362
Figure 2019106362
上記の結果から明らかなように、正極がNCAに変わっても、NCM811の場合と同様に、一般式(1)で示される不飽和結合を有する何れのケイ素化合物においても、LiSOFを添加しない系に比べて、LiSOFを1.00質量%加えた系の方が、容量維持率の向上とNi溶出の抑制が確認出来た。
また、上述と同様の手順で、表10〜13に示す通りに、
基準電解液1、又は基準電解液2に対して、(III)成分と(IV)成分とその他の溶質又は添加成分を表10〜13に示す濃度となるように添加し、攪拌して溶解する事で、それぞれの非水電解液を得た。
Figure 2019106362
Figure 2019106362
Figure 2019106362
Figure 2019106362
表10、11に記載の非水電解液を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順で、実施例1−40〜1−77、比較例1−33〜1−70に係るアルミラミネート型の電池を作製し、同様の評価を行った。結果を表14、15に示す。なお、表14、15に記載の実施例、比較例に関しては、それぞれの電解液組成において、成分(IV)が含まれない組成の電解液を用いた比較例の400サイクル後容量維持率、Ni溶出量をそれぞれ100としたときの相対値として示した。
Figure 2019106362
Figure 2019106362
表12、13に記載の非水電解液を用いたこと以外は実施例2−1と同様の手順で、実施例2−19〜2−36、比較例2−19〜2−36に係るアルミラミネート型の電池を作製し、同様の評価を行った。結果を表16、17に示す。なお、表16、17に記載の実施例、比較例に関しては、それぞれの電解液組成において、成分(IV)が含まれない組成の電解液を用いた比較例の400サイクル後容量維持率、Ni溶出量をそれぞれ100としたときの相対値として示した。
Figure 2019106362
Figure 2019106362
表14の結果から、成分(IV)として、LiSOFの代わりに、一般式(2)で示されるO=S−F結合を有する化合物、一般式(3)で示されるO=P−F結合を有する化合物、一般式(4)で示されるP(=O)F結合を有する化合物、一般式(5)で示される化合物を用いた場合においても、成分(IV)を添加しない系に比べて、成分(IV)を1.00質量%加えた系の方が、容量維持率の向上とNi溶出の抑制が明らかに確認出来た。
また、表15の結果から、上述の効果は、更にその他の溶質又は添加成分を添加した場合においても、同様に確認出来た。
また、表16〜17の結果から、上述の効果は、正極がNCAに変わっても、NCM811の場合と同様に確認出来た。
また、上述と同様の手順で、表18に示す通りに、
基準電解液1に対して、(III)成分と(IV)成分を表18に示す濃度となるように添加し、攪拌して溶解する事で、それぞれの非水電解液を得た。
Figure 2019106362
表18に記載の非水電解液を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順で、実施例3−1〜3−12に係るアルミラミネート型の電池を作製し、同様の評価を行った。結果を表19に示す。なお、表19の実施例に関しては、実施例3−12の400サイクル後容量維持率、Ni溶出量をそれぞれ100としたときの相対値として示した。
Figure 2019106362
表19の結果から、
(IV)成分として化合物(3−1)を用いた実施例3−12に比べて、
(IV)成分として、フルオロスルホン酸リチウム、化合物(2−1)〜(2−4)、(4−1)〜(4−2)、(5−1)〜(5−4)を用いた実施例3−1〜3−11の方が、
400サイクル後容量維持率及びNi溶出量のいずれか或いは両方の評価結果がより優れることが確認された。
このことから、(IV)成分として、フルオロスルホン酸リチウム、上記一般式(2)で示されるO=S−F結合を有する化合物、上記一般式(4)で示されるP(=O)F結合を有する化合物、及び上記一般式(5)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いると、サイクル後の容量維持率とNi溶出の抑制効果をよりバランスよく発揮できることがわかる。
また、上述と同様の手順で、表20に示す通りに、
基準電解液1に対して、(III)成分と(IV)成分を表20に示す濃度となるように添加し、攪拌して溶解する事で、それぞれの非水電解液を得た。
Figure 2019106362
表20に記載の非水電解液を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順で、実施例4−1〜4−28、比較例4−1に係るアルミラミネート型の電池を作製し、同様の評価を行った。結果を表21に示す。なお、表21の実施例、比較例に関しては、比較例4−1の400サイクル後容量維持率を100としたときの相対値として示した。
Figure 2019106362
表21の結果から、
(III)成分を含有しない比較例4−1に比べて、
(III)成分として、化合物(1−1)〜(1−28)を用いた実施例4−1〜4−28では耐久性(400サイクル後容量維持率)の向上が確認された。
一般式(1)のaが3又は4である、化合物(1−1)〜(1−4)、(1−6)〜(1−28)を用いた実施例では、3%以上という大きな耐久性(400サイクル後容量維持率)の向上が確認された。
中でも、化合物(1−1)、(1−2)、(1−4)、(1−10)、(1−12)、(1−15)、(1−22)、(1−24)、(1−25)、(1−28)を用いた実施例では、より大きな耐久性(400サイクル後容量維持率)の向上が確認された。
更にその中でも、化合物(1−1)、(1−2)、(1−12)、(1−15)を用いた実施例では、特に大きな耐久性(400サイクル後容量維持率)の向上が確認された。

Claims (18)

  1. 少なくともニッケルを含む1種以上の酸化物を正極活物質として含み、当該正極活物質に含まれる金属中のニッケル含有量が30〜100質量%である正極を含む非水電解液電池用の電解液であって、
    (I)非水有機溶媒、
    (II)イオン性塩である、溶質、
    (III)一般式(1)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種、及び、
    (IV)フルオロスルホン酸リチウム、一般式(2)で示されるO=S−F結合を有する化合物、一般式(3)で示されるO=P−F結合を有する化合物、一般式(4)で示されるP(=O)F結合を有する化合物、及び一般式(5)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種
    を含み、
    前記(I)〜(IV)の総量100質量%に対する、前記(IV)の濃度が0.01〜5.00質量%である、非水電解液電池用電解液。
    Si(Ra(R4−a (1)
    [一般式(1)中、Rはそれぞれ互いに独立して炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。
    はそれぞれ互いに独立して、フッ素原子、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルコキシ基、炭素数が3〜10のアリル基、炭素数が2〜10のアルキニル基、炭素数が6〜15のアリール基、炭素数が3〜10のアリルオキシ基、炭素数が2〜10のアルキニルオキシ基、及び炭素数が6〜15のアリールオキシ基からなる群から選ばれる基を示し、これらの基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していても良い。
    aは2〜4である。]
    −S(=O)−F (2)
    [一般式(2)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基である。]
    −PF(=O)−R (3)
    [一般式(3)中、Rは、アルコキシ基、又はアリールオキシ基であり、Rは、OLiである(なお、Oは酸素、Liはリチウムを表す)。]
    −P(=O)F (4)
    [一般式(4)中、Rは、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基である。]
    Figure 2019106362
    [一般式(5)中、Xは酸素原子、又はハロゲン原子に置換されていてもよいメチレン基であり、Yはリン原子、又は硫黄原子である。nはYがリン原子の場合は0、硫黄原子の場合は1である。R及びRはそれぞれ独立で、ハロゲン原子、ハロゲン原子に置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基である。なお、Yが硫黄原子の場合、Rは存在しない。]
  2. 前記Rがエテニル基である、請求項1に記載の非水電解液電池用電解液。
  3. 前記Rの、
    アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、3−ペンチル基、及びtert−ペンチル基から選ばれる基であり、
    アルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1−トリフルオロイソプロポキシ基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ基から選ばれる基であり、
    アリル基が、2−プロペニル基であり、
    アルキニル基が、エチニル基であり、
    アリール基が、フェニル基、メチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、及びtert−アミルフェニル基から選ばれる基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)であり、
    アリルオキシ基が、2−プロペニルオキシ基であり、
    アルキニルオキシ基が、プロパルギルオキシ基であり、
    アリールオキシ基が、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、及びtert−アミルフェノキシ基から選ばれる基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)である、請求項1又は2に記載の非水電解液電池用電解液。
  4. 前記一般式(1)のaが3又は4である、請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  5. 前記(III)が、下記(1−1)〜(1−28)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
    Figure 2019106362
  6. 前記(III)が、前記(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−10)、(1−12)、(1−15)、(1−22)、(1−23)、(1−24)、(1−25)、(1−26)、(1−27)、及び(1−28)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の非水電解液電池用電解液。
  7. 前記(III)が、前記(1−1)、(1−2)、(1−4)、(1−10)、(1−12)、(1−15)、(1−22)、(1−24)、(1−25)、及び(1−28)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の非水電解液電池用電解液。
  8. 前記Rの、
    アルキル基が、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ペンタフルオロエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であり、
    アルケニル基が、エテニル基であり、
    アリール基が、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、tert−アミルフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)である、請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  9. 前記Rの、
    アルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、3−メチルブトキシ基、1−メチルブトキシ基、1−エチルプロポキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1−トリフルオロイソプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ基、又はシクロヘキシロキシ基であり、
    アリールオキシ基が、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、フルオロフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、tert−アミルフェノキシ基、ビフェノキシ基、又はナフトキシ基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)である、請求項1〜8のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  10. 前記Rの、
    アリール基が、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、tert−アミルフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)であり、
    アルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、3−メチルブトキシ基、1−メチルブトキシ基、1−エチルプロポキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1−トリフルオロイソプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ基、又はシクロヘキシロキシ基であり、
    アリールオキシ基が、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、フルオロフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、tert−アミルフェノキシ基、ビフェノキシ基、又はナフトキシ基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)である、請求項1〜9のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  11. 前記R及びRの、
    ハロゲン原子がフッ素原子であり、ハロゲン原子に置換されていてもよいアルキル基が、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ペンタフルオロエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であり、
    ハロゲン原子に置換されていてもよいアルケニル基が、エテニル基であり、
    ハロゲン原子に置換されていてもよいアリール基が、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、tert−アミルフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基(それぞれの芳香環の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い)である、請求項1〜10のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  12. 前記非水有機溶媒が、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルプロピルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルメチルカーボネート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルエチルカーボネート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルプロピルカーボネート、ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピル)カーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−フルオロプロピオン酸メチル、2−フルオロプロピオン酸エチル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜11のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  13. 前記非水有機溶媒が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜11のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  14. 前記環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及びフルオロエチレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記鎖状カーボネートが、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びメチルプロピルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項13に記載の非水電解液電池用電解液。
  15. 前記溶質が、アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンとの対からなるイオン性塩である請求項1〜14のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  16. 前記溶質のカチオンがリチウム、ナトリウム、カリウム、又はマグネシウムであり、アニオンがヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項15に記載の非水電解液電池用電解液。
  17. 前記(I)〜(IV)の総量100質量%に対する、前記(III)の濃度が0.01〜2.00質量%である、請求項1〜16のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  18. 少なくともニッケルを含む1種以上の酸化物を正極活物質として含み、当該正極活物質に含まれる金属中のニッケル含有量が30〜100質量%である正極と、負極と、請求項1〜17のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液とを含む、非水電解液電池。
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