JP2019104955A - 炭素鋼鋳片及び炭素鋼鋳片の製造方法 - Google Patents
炭素鋼鋳片及び炭素鋼鋳片の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019104955A JP2019104955A JP2017237187A JP2017237187A JP2019104955A JP 2019104955 A JP2019104955 A JP 2019104955A JP 2017237187 A JP2017237187 A JP 2017237187A JP 2017237187 A JP2017237187 A JP 2017237187A JP 2019104955 A JP2019104955 A JP 2019104955A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rem
- less
- phosphide
- slab
- zrs
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/10—Reduction of greenhouse gas [GHG] emissions
- Y02P10/143—Reduction of greenhouse gas [GHG] emissions of methane [CH4]
Landscapes
- Continuous Casting (AREA)
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Abstract
Description
例えば、特許文献1には、REMの一種であるNdを添加してPを固定することにより、Pのミクロ偏析を抑制し、鋳片の特性向上を図る技術が提案されている。
特許文献2には、REMとCaを添加した鋼種において、直送圧延プロセスで製造した高張力鋼板が提案されている。
特許文献3には、REMとCaを添加した鋼種に対して、再加熱して圧延を行うことで、機械的特性を向上させる技術が提案されている。
ここで、HAZ靱性の向上には、微細な介在物をピン止め粒子として活用し、溶接時の結晶粒の粗大化を抑制することが有効であることが知られている。
C;0.03%以上0.12%以下、
Si;0.01%以上1.5%以下、
Mn;0.01%以上3.0%以下、
P;0.0030%以上0.040%以下、
Al;0.01%以上1.5%以下、
t.S;0.0010%以上0.0070%以下、
t.Ti;0.005%以上0.02%以下、
t.O;0.0005%以上0.004%以下、
t.N;0.0001%以上0.01%以下、
を含有するとともに、
t.Ca,t.Zr,t.REMを、t.O,t.S,t.Ca,t.Zr,t.REMの質量%をそれぞれ[t.O],[t.S],[t.Ca],[t.Zr],[t.REM]、とした場合に、下記の(1)〜(3)式を満足する範囲内で含有し、残部が鉄及び不純物からなり、
ZrSを析出核としてREMリン化物が析出しており、円相当直径が0.05μm以上1.0μm以下のREMリン化物の個数密度が200個/mm2以上、かつ、円相当直径が10μmを超える介在物の個数密度が5個/mm2未満であることを特徴としている。
(1)式:91.2/48×[t.O]+91.2/64×[t.S]≦[t.Zr]≦91.2/48×[t.O]+1.6×[t.S]
(2)式:40/48×[t.O]≦[t.Ca]≦40/16×[t.O]
(3)式:140/32×([t.S]−32/91.2×[t.Zr])+0.005≦[t.REM]≦140/32×([t.S]−32/91.2×[t.Zr])+0.030
また、円相当直径が10μmを超える介在物の個数密度が5個/mm2未満に抑えられているので、粗大な介在物に起因する靭性の低下を抑制することができる。
Cr;0.001%以上2.0%以下、
Ni;0.001%以上2.0%以下、
Cu;0.001%以上2.0%以下、
Nb;0.001%以上0.2%以下、
V;0.001%以上1.0%以下、
W;0.001%以上1.0%以下、
As;0.0001%以上0.5%以下、
Co;0.0001%以上1.0%以下、
Sn;0.0001%以上0.2%以下、
Pb;0.0001%以上0.2%以下、
Y;0.0001%以上0.2%以下、
Hf;0.0001%以上0.2%以下、
Mg;0.0003%以上0.002%以下、
からなる群から選択される一種又は二種以上を含んでいてもよい。
なお、本発明においては、圧下工程における圧下率(%)を、「{(圧下前の鋳片厚み−圧下後の鋳片厚み)/圧下前の鋳片厚み}×100」と定義する。
厚鋼板等の製品を溶接する際に、REMリン化物をピン止め粒子として活用するためには、リン化物を鋳片全体に析出させる必要がある。Caを添加すると溶鋼中のOとSがCaOとCaSになって安定化されるため、その後にREMを添加するとREMリン化物が生成され易くなる。しかし、Caが溶存するとREMの活量を下げるために、凝固末期にREMリン化物が生成しやすくなる。凝固末期ではREMおよびPが濃化しているため、周囲のREMおよびPを吸収してREMリン化物が成長し、容易に粗大化しやすい。一方、Zrは溶存するとREMの活量を上げるために、REMリン化物が生成されやすくなるが、溶鋼中でREMリン化物が生成される結果として介在物が粗大化しやすい。REM添加量を少なくすると、生成されるリン化物量が減少してしまうために、HAZ靭性改善効果が小さくなってしまう。
そこで、本発明ではCaとZrを溶存させないように添加してREMの活量変化を回避し、溶鋼中にZrSを生成させるようにして、ZrSをリン化物析出サイトとするREMリン化物の析出を、鋳片の凝固直後における圧下歪みを利用して起こさせる。その結果、REMリン化物が微細に分散生成される。
次に、安定なCaZrO3が形成されてREMが反応するOが無くなった状態で溶鋼にREMを添加しているので、REMが酸素によって消費されることがない。
そして、連続鋳造工程の冷却過程で鋳片の圧下を行う圧下工程において、REMリン化物が析出する。ここで、ZrSとREMリン化物の格子整合性が高いことから、REMリン化物はZrSを析出核として析出することになる。
この圧下工程における圧下率が10%以上とされているので、鋳片に対して十分な歪を与えることができ、REMリン化物を生成することができる。
一方、この圧下工程における圧下率が50%以下とされているので、圧下時に鋳片における割れの発生を抑制することができる。
(1)式:91.2/48×[t.O]+91.2/64×[t.S]≦[t.Zr]≦91.2/48×[t.O]+1.6×[t.S]
(2)式:40/48×[t.O]≦[t.Ca]≦40/16×[t.O]
(3)式:140/32×([t.S]−32/91.2×[t.Zr])+0.005≦[t.REM]≦140/32×([t.S]−32/91.2×[t.Zr])+0.030
また、円相当直径が10μmを超える介在物の個数密度が5個/mm2未満とされている。
Cは、鋼の焼入れ性と強度を制御する最も基本的な元素であり、焼入れ硬化層を硬くかつ深く形成することで、疲労強度が向上する。
ここで、Cの含有量が0.03%未満では、残留オーステナイト及び低温変態相を十分に生成できず、上述の作用効果を奏功せしめることができないおそれがある。一方、Cの含有量が0.12%を超えると、加工性及び溶接性が低下してしまうおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Cの含有量を0.03%以上0.12%以下の範囲内に限定している。
Siは、焼入れのための加熱時にオーステナイトの核生成サイト数を増加させ、オーステナイトの粒成長を抑制して、焼入れ硬化層の粒径を微細化させる。また、Siは、炭化物の生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、さらに、ベイナイト組織の生成に対しても有効であり、材料全体の強度を確保する。
ここで、Siの含有量が0.01%未満では、上述の作用効果を奏功せしめることができないおそれがある。一方、Siの含有量が1.5%を超えると、介在物中のSiO2濃度が高くなり、介在物が粗大化し、靭性、延性、溶接性が低下するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Siの含有量を0.01%以上1.5%以下の範囲内に限定している。
Mnは、鋼の強度を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、Mnの含有量が0.01%未満では、上述の作用効果を奏功せしめることができないおそれがある。一方、Mnの含有量が3.0%を超えると、Mnの偏析及び固溶強化の増大により延性が低下するおそれがる。また、溶接性及び母材の靭性が劣化するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Mnの含有量を0.01%以上3.0%以下の範囲内に限定している。
Pは、Fe原子よりも小さな置換型固溶強化元素として利用する場合において有効である。そして、REMリン化物を生成するために必須の元素である。
ここで、Pの含有量が0.0030%未満では、REMリン化物を十分に生成することができないおそれがある。一方、Pの含有量が0.040%を超えると、REMでPを固定しても残存するPがオーステナイトの粒界に偏析し、粒界強度が低下して、加工性が劣化するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Pの含有量を0.0030%以上0.040%以下の範囲内に限定している。
Alは、溶鋼の脱酸を促進するために添加される元素である。
ここで、Alの含有量が0.01%未満では、十分に脱酸をすることができないおそれがある。一方、Alの含有量が1.5%を超えると、粗大な介在物(Al2O3クラスター)が発生し、靭性が劣化するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Alの含有量を0.01%以上1.5%以下の範囲内に限定している。
Sは、鋼中に不純物として含まれて偏析しやすく、MnS系の粗大な延伸介在物を形成して靭性を劣化させる。そして、REMリン化物の析出核となるZrSを生成するために必須の元素である。
ここで、t.Sの含有量が0.0010%未満では、ZrSを十分に生成することができないおそれがある。一方、t.Sの含有量が0.0070%を超えると、ZrSが粗大化し、REMリン化物を微細に分散させることができないおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Sの含有量を0.0010%以上0.0070%以下の範囲内に限定している。なお、t.S(トータル硫黄)は、化合物の状態で鋳片に分散しているSを含むものである。
Tiは、炭化物、窒化物、炭窒化物を形成し、結晶粒の微細化及び鋼板の高強度化に寄与し、靭性を向上させる。
ここで、t.Tiの含有量が0.005%未満では、上述の作用効果を奏功せしめることができないおそれがある。一方、t.Tiの含有量が0.02%を超えると、粗大な炭窒化物が生成し、靭性が劣化するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、t.Tiの含有量を0.005%以上0.02%以下の範囲内に限定している。なお、t.Ti(トータルチタン)は、化合物の状態で鋳片に分散しているTiを含むものである。
t.Oは、不可避的に0.0005%は含有される。ここで、t.Oの含有量が0.004%を超えると、Al,Ca,Ti,REM等の元素と反応して粗大な酸化物等を生成し、靭性が低下するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、t.Oの含有量を0.0005%以上0.004%以下の範囲内に限定している。なお、t.O(トータル酸素)は、化合物の状態で鋳片に分散しているOを含むものである。
Nは、Al、Ti等の元素と窒化物を形成し、母材組織の微細化を促進する作用効果を有する。
ここで、t.Nの含有量を0.0001%未満に低減するためには、多大なコストが掛かる。一方、t.Nの含有量が0.01%を超えると、Al,Ti等の元素と粗大な窒化物を形成し、靭性が低下するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Nの含有量を0.0001%以上0.01%以下の範囲内に限定している。
Zrは、後述するCaとともに安定なCaZrO3を形成し、鋼中の酸素濃度を低下させ、REMリン化物の生成を促進する。そして、Zrは、Sと反応してZrSを形成する。このZrSがREMリン化物の析出核となり、REMリン化物を微細に分散させることが可能となる。さらに、溶接時にZrSが再溶解することにより、微細なREMリン化物がピン止め粒子として作用し、結晶粒の粗大化を抑制する。これにより、HAZ靭性が向上することになる。
(1)式:91.2/48×[t.O]+91.2/64×[t.S]≦[t.Zr]≦91.2/48×[t.O]+1.6×[t.S]
ここで、t.Zrの上限及び下限を(1)式で規定した理由について、図1及び図2のS−Zr二元状態図を用いて説明する。なお、図2においては、温度を(℃)で表示し、濃度を(mass%)で表示している。
Caは、Zrとともに安定なCaZrO3を形成し、鋼中の酸素濃度を低下させ、REMリン化物の生成を促進する。
Caの含有量が少ないと、CaZrO3を形成した後にもZrO2が残存してしまい、REM添加時にREMがZrO2を還元することでREM2O3が形成される。これにより、REMが消費され、REMリン化物を十分に生成することができなくなる。また、このREM2O3によりノズルの閉塞が発生しやすくなる。
一方、Caの含有量が多いと、CaOが生成することになり、このCaOと耐火物のAl2O3と反応して液相介在物が形成され、凝固時に粗大な介在物となり、靭性を低下させるおそれがある。
(2)式:40/48×[t.O]≦[t.Ca]≦40/16×[t.O]
t.Caの下限は、「CaZrO3を形成するために必要なCa量」となる。t.Caの下限を上述のように規定することで、ZrO2の残存を防止でき、REMリン化物の生成を促進することができる。
t.Caの上限は、「耐火物と反応して粗大なカルシウムアルミネートが生成しないCa量」となる。t.Caの上限を上述のように規定することで、耐火物と反応して粗大な液相介在物の生成を防止でき、靭性の低下を防止することができる。
REMは、Sc、Y、およびLaからLuまでのランタノイドを含む総称である。REMは、REMリン化物を形成し、Pによる靭性低下を防止する。そして、微細なREMリン化物を分散させることで、ピン止め粒子として作用し、溶接時の加熱の際に結晶粒が粗大化することを抑制でき、HAZ靭性を向上させる。
(3)式:140/32×([t.S]−32/91.2×[t.Zr])+0.005≦[t.REM]≦140/32×([t.S]−32/91.2×[t.Zr])+0.030
なお、REMを添加する場合、主にミッシュメタルを用いており、REMとしてLa、Ce,Pr,Ndが主成分となるため、REMの原子量を140として、(3)式を規定している。
t.REMの上限は、「Zrで固定されずに残存したSによって消費されるREM量」+「粗大なREMリン化物の生成を抑制するためのREM量(0.03%)」である。t.REMの上限を上述のように規定することで、粗大なREMリン化物の生成を抑制して、靭性の劣化を抑えることができる。
本実施形態である炭素鋼鋳片においては、ZrSを析出核としてREMリン化物が生成することになる。ここで、各種化合物とREMリン化物(CeP)との格子不整合度を表1に示す。なお、格子不整合度は、turnbull and Vonnegutによる理論に基づいて算出した。
本実施形態の炭素鋼鋳片においては、上述のようにZrSを析出核としてREMリン化物が生成している。この状態において、円相当直径が0.05μm以上1.0μm以下のREMリン化物の個数密度が200個/mm2以上であることにより、溶接時に加熱した際に、ZrSが再溶融して微細なREMリン化物が分散することになり、REMリン化物をピン止め粒子として活用することが可能となる。
粗大な介在物が存在すると、靭性が低下してしまうとともに、粗大介在物に起因した欠陥が発生するおそれがある。
このため、本実施形態では、円相当直径が10μmを超える介在物の個数密度を5個/mm2以下に制限している。
次に、本実施形態である炭素鋼鋳片の製造方法について、図3及び図4を参照しつつ説明する。
まず、質量%で、C;0.03%以上0.12%以下、Si;0.01%以上1.5%以下、Mn;0.01%以上3.0%以下、P;0.0030%以上0.040%以下、Al;0.01%以上1.5%以下、t.S;0.0010%以上0.0070%以下、t.Ti;0.005%以上0.02%以下、t.O;0.0005%以上0.004%以下、t.N;0.0001%以上0.01%以下、を含む溶鋼を溶製する。
次に、上述の溶鋼にZrとCaを添加する。このときのZrの添加量は、上述の(1)式を満足するように、t.O及びt.Sに応じて設定する。添加したZrと溶鋼中のO及びSが反応し、溶鋼中にZrO2及びZrSが形成されることになる。
また、Caの添加量は、上述の(2)式を満足するように、Zr添加量を設定した時と同じようにt.Oに応じて設定する。ZrとCaとOが反応し、安定なCaZrO3が形成される。これにより、ZrO2は溶鋼中に残存しなくなる。
t.Oの濃度は、Zr及びCa添加前の溶鋼からサンプルを採取して迅速分析計を用いて測定すると正確に把握できるが、同一の設備を用いて同様な精錬処理を施した溶鋼中のt.Oを予め調べておくことでも本発明の実施は可能であり、その効果を享受することができる。t.Sの濃度は、Zr及びCa添加前の溶鋼からサンプルを採取して、通常の方法で分析すればよい。
なお、Zrより先にCaを添加すると、Caが粗大な液相介在物であるカルシウムアルミネートを生成するおそれがあるため、Zrを添加した後にCaを添加する方がより好ましい。
次に、Zr及びCaを添加した溶鋼に対してREMを添加する。このときのREMの添加量は、前述の(3)式を満足するように、t.S及びt.Zrに応じて設定する。
次に、上述の溶鋼を連続鋳造装置の鋳型へと注入して炭素鋼鋳片を連続的に鋳造する。この連続鋳造中に、鋳片1/2厚部の温度が1200℃以上1390℃以下の温度範囲で、圧下率10%以上50%以下の範囲で圧下する。これにより、ZrSを析出核としてREMリン化物が析出する。この鋳片1/2厚部の温度は、熱流体解析ソフトを用いて算出することができる。
以上のことから、本実施形態では、圧下工程S05における鋳片1/2厚部の温度を1200℃以上1390℃以下の範囲内に設定している。
また、圧下工程S05における圧下率が10%未満では、鋳片に対して十分な歪を与えることができず、REMリン化物を十分に生成することができないおそれがある。一方、圧下工程S05における圧下率が50%を超えると、圧下時に鋳片に割れが発生するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、圧下工程S05における圧下率を10%以上50%以下の範囲内に設定している。
この炭素鋼鋳片は、圧延等によって鋼材とされ、溶接等が行われる。溶接時に入熱され、熱影響部が形成される。
凝固後、かつ、圧下前(固相線温度以下で圧下時前の温度)には、図4(b)に示すように、ZrSが鋳片中に分散している。
凝固後の圧下時(1390℃から1200℃の範囲)には、図4(c)に示すように、ZrSを析出核として、REMリン化物が析出する。
すなわち、炭素鋼鋳片においては、ZrSを析出核としてREMリン化物が析出した状態とされている。
また、t.Caを、t.Oに応じて、上述の(2)式を満足する範囲となるように、含有しているので、安定なCaZrO3を形成し、ZrO2を消滅させるために、REMリン化物の生成を促進するとともに、CaOとAl2O3とを含む液相介在物の生成を抑制することができる。
さらに、t.REMを、t.S,t.Zrに応じて、上述の(3)式を満足する範囲となるように含有しているので、微細なREMリン化物を生成することができる。
したがって、炭素鋼鋳片の状態ではZrSを析出核としてREMリン化物が析出しており、溶接時の加熱過程においてZrSの少なくとも一部が再溶融し、微細なREMリン化物が分散することになる。
また、円相当直径が10μmを超える介在物の個数密度が5個/mm2未満に抑えられているので、粗大な介在物に起因する靭性の低下を抑制することができる。
さらに、Zr及びCa添加工程S02において、上記(2)式を満足するようにCaを添加しているので、ZrとCaとOが反応し、安定なCaZrO3が形成されるとともに、ZrO2を消滅させることができる。
次に、REM添加工程S03において、安定なCaZrO3が形成された溶鋼に対して、上記(3)式を満足するようにREMを添加しているので、REMが酸素によって消費されることが無く、REMリン化物を生成するためのREMが確保されることになる。
そして、連続鋳造工程S04の冷却過程において、鋳片の圧下を行う圧下工程S05を備えているので、鋳片に歪が加わり、REMリン化物が生成される。ここで、ZrSとREMリン化物の格子整合性が高いことから、REMリン化物はZrSを析出核として析出することになる。
また、圧下工程S05における圧下率が10%以上とされているので、鋳片に対して十分な歪を与えることができ、REMリン化物を生成することができる。一方、圧下工程S05における圧下率が50%以下とされているので、圧下時に鋳片における割れの発生を抑制することができる。
NiおよびCuは、焼入れ性を向上させて鋼の強度を高める元素で、いずれも0.001%〜2.0%の範囲で必要に応じて鋼中に含有させることができる。
表2に記載した溶鋼成分に調整した溶鋼を、垂直曲げ連続鋳造装置を用いて、鋳造幅2000mm、鋳片厚み240mmの鋳型に鋳造した。記載した本発明例、比較例は、いずれも請求項1に規定した各成分の濃度範囲を満たすものである。
圧下率が60%であった比較例1−2では、鋳片に割れが生じた。このため、その後の評価を中止した。
圧下工程における鋳片1/2厚部の温度が1404℃であった比較例1−4においては、HAZの靭性が不十分であった。REMリン化物の析出核となるZrSの個数が不足し、REMリン化物を十分に生成させることができなかったためと推測される。
次に、実施例1の結果に基づいて、炭素鋼鋳片の成分組成の影響について確認実験を行った。
表4に記載された溶鋼成分になるように、図3に示した手順で添加元素を添加して溶鋼を得た。連続鋳造中の冷却過程において、表5に示す条件で鋳片を圧下した。記載した本発明例、比較例は、いずれも請求項3に規定した鋳片の圧下条件の範囲を満たすものである。
また、実施例1と同様の手順で、HAZ靭性(吸収エネルギー値)を評価した。評価結果を表5に示す。
t.Zrが(1)式の上限を超えた比較例2−2においては、HAZの靭性が不十分であった。t.Zrの濃度が高過ぎて溶融温度が高いZrSが生成し、ZrSの共晶を生成しなかったために、ZrSが溶接時の加熱過程において再溶融せず、REMリン化物がピン止め粒子として有効に作用しなかったためと推測される。また、粗大なZrSが生成し、靭性が低下したためと推測される。
t.Caが(2)式の上限を超えた比較例2−4においては、HAZの靭性が不十分であった。生成したCaOが耐火物のAl2O3と反応して液相介在物となり、粗大な介在物が形成されたためと推測される。
t.REMが(3)式の上限を超えた比較例2−6においては、HAZの靭性が不十分であった。粗大なREMリン化物が形成されたためと推測される。
S03 REM添加工程
S04 連続鋳造工程
S05 圧下工程
Claims (3)
- 質量%で、
C;0.03%以上0.12%以下、
Si;0.01%以上1.5%以下、
Mn;0.01%以上3.0%以下、
P;0.0030%以上0.040%以下、
Al;0.01%以上1.5%以下、
t.S;0.0010%以上0.0070%以下、
t.Ti;0.005%以上0.02%以下、
t.O;0.0005%以上0.004%以下、
t.N;0.0001%以上0.01%以下、
を含有するとともに、
t.Ca,t.Zr,t.REMを、t.O,t.S,t.Ca,t.Zr,t.REMの質量%をそれぞれ[t.O],[t.S],[t.Ca],[t.Zr],[t.REM]とした場合に、下記の(1)〜(3)式を満足する範囲内で含有し、残部が鉄及び不純物からなり、
ZrSを析出核としてREMリン化物が析出しており、
円相当直径が0.05μm以上1.0μm以下であるREMリン化物の個数密度が200個/mm2以上とされ、
円相当直径が10μmを超える介在物の個数密度が5個/mm2未満とされていることを特徴とする炭素鋼鋳片。
(1)式:91.2/48×[t.O]+91.2/64×[t.S]≦[t.Zr]≦91.2/48×[t.O]+1.6×[t.S]
(2)式:40/48×[t.O]≦[t.Ca]≦40/16×[t.O]
(3)式:140/32×([t.S]−32/91.2×[t.Zr])+0.005≦[t.REM]≦140/32×([t.S]−32/91.2×[t.Zr])+0.030 - さらに、質量%で、
Cr;0.001%以上2.0%以下、
Ni;0.001%以上2.0%以下、
Cu;0.001%以上2.0%以下、
Nb;0.001%以上0.2%以下、
V;0.001%以上1.0%以下、
W;0.001%以上1.0%以下、
As;0.0001%以上0.5%以下、
Co;0.0001%以上1.0%以下、
Sn;0.0001%以上0.2%以下、
Pb;0.0001%以上0.2%以下、
Y;0.0001%以上0.2%以下、
Hf;0.0001%以上0.2%以下、
Mg;0.0003%以上0.002%以下、
からなる群から選択される一種又は二種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素鋼鋳片。 - 請求項1又は請求項2に記載の炭素鋼鋳片を製造するための炭素鋼鋳片の製造方法であって、
t.Ca,t.Zr,t.REMを除く元素の溶鋼中の含有量をそれぞれ請求項1又は請求項2に記載の範囲内に調整した後、前記溶鋼に対してZr及びCaを添加するZr及びCa添加工程と、
Zr及びCaを添加した溶鋼に、REMを添加するREM添加工程と、
REMを添加した溶鋼を用いて連続鋳造する連続鋳造工程と、
連続鋳造工程の冷却過程において、鋳片の圧下を行う圧下工程と、
を備えており、
前記圧下工程においては、鋳片1/2厚部の温度が1200℃以上1390℃以下の温度範囲内で、圧下率10%以上50%以下の圧下をすることを特徴とする炭素鋼鋳片の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017237187A JP7027858B2 (ja) | 2017-12-11 | 2017-12-11 | 炭素鋼鋳片及び炭素鋼鋳片の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017237187A JP7027858B2 (ja) | 2017-12-11 | 2017-12-11 | 炭素鋼鋳片及び炭素鋼鋳片の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019104955A true JP2019104955A (ja) | 2019-06-27 |
JP7027858B2 JP7027858B2 (ja) | 2022-03-02 |
Family
ID=67060994
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017237187A Active JP7027858B2 (ja) | 2017-12-11 | 2017-12-11 | 炭素鋼鋳片及び炭素鋼鋳片の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7027858B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110819906A (zh) * | 2019-11-12 | 2020-02-21 | 武汉科技大学 | 一种改善残余元素Cu、As、Sn恶化冷轧带钢深冲性能的方法 |
JP2021155766A (ja) * | 2020-03-25 | 2021-10-07 | 日本製鉄株式会社 | 延伸性MnSが少ない鋼材、鋼鋳片、およびそれらの製造方法 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03254340A (ja) * | 1990-03-03 | 1991-11-13 | Kawasaki Steel Corp | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 |
JP2010209461A (ja) * | 2009-02-12 | 2010-09-24 | Nippon Steel Corp | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板及び高強度ラインパイプ用鋼管 |
JP2012241267A (ja) * | 2011-05-24 | 2012-12-10 | Jfe Steel Corp | 高圧縮強度鋼管及びその製造方法 |
JP2013213242A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-17 | Kobe Steel Ltd | 耐水素誘起割れ性に優れた鋼板およびその製造方法 |
WO2014103629A1 (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-03 | 新日鐵住金株式会社 | 降伏強度670~870N/mm2、及び引張強さ780~940N/mm2を有する鋼板 |
JP2016164289A (ja) * | 2015-03-06 | 2016-09-08 | 新日鐵住金株式会社 | 溶接用高張力鋼 |
JP2016199806A (ja) * | 2015-04-10 | 2016-12-01 | 株式会社神戸製鋼所 | 低温靱性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板および高強度ラインパイプ用鋼管 |
JP2016216819A (ja) * | 2015-05-22 | 2016-12-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 厚鋼板及び溶接継手 |
JP2017150067A (ja) * | 2016-02-25 | 2017-08-31 | 新日鐵住金株式会社 | 脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板およびその製造方法 |
-
2017
- 2017-12-11 JP JP2017237187A patent/JP7027858B2/ja active Active
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03254340A (ja) * | 1990-03-03 | 1991-11-13 | Kawasaki Steel Corp | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 |
JP2010209461A (ja) * | 2009-02-12 | 2010-09-24 | Nippon Steel Corp | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板及び高強度ラインパイプ用鋼管 |
JP2012241267A (ja) * | 2011-05-24 | 2012-12-10 | Jfe Steel Corp | 高圧縮強度鋼管及びその製造方法 |
JP2013213242A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-17 | Kobe Steel Ltd | 耐水素誘起割れ性に優れた鋼板およびその製造方法 |
WO2014103629A1 (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-03 | 新日鐵住金株式会社 | 降伏強度670~870N/mm2、及び引張強さ780~940N/mm2を有する鋼板 |
JP2016164289A (ja) * | 2015-03-06 | 2016-09-08 | 新日鐵住金株式会社 | 溶接用高張力鋼 |
JP2016199806A (ja) * | 2015-04-10 | 2016-12-01 | 株式会社神戸製鋼所 | 低温靱性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板および高強度ラインパイプ用鋼管 |
JP2016216819A (ja) * | 2015-05-22 | 2016-12-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 厚鋼板及び溶接継手 |
JP2017150067A (ja) * | 2016-02-25 | 2017-08-31 | 新日鐵住金株式会社 | 脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板およびその製造方法 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110819906A (zh) * | 2019-11-12 | 2020-02-21 | 武汉科技大学 | 一种改善残余元素Cu、As、Sn恶化冷轧带钢深冲性能的方法 |
JP2021155766A (ja) * | 2020-03-25 | 2021-10-07 | 日本製鉄株式会社 | 延伸性MnSが少ない鋼材、鋼鋳片、およびそれらの製造方法 |
JP7492118B2 (ja) | 2020-03-25 | 2024-05-29 | 日本製鉄株式会社 | 延伸性MnSが少ない鋼材、鋼鋳片、およびそれらの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7027858B2 (ja) | 2022-03-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3863878B2 (ja) | 溶接熱影響部の靭性が優れた溶接構造用鋼材、その製造方法及びこれを用いた溶接構造物 | |
JP6245417B1 (ja) | 鋼材 | |
WO2011148754A1 (ja) | 厚鋼板の製造方法 | |
JPWO2008126910A1 (ja) | 高温特性と靭性に優れた鋼材及びその製造方法 | |
JP2011080156A (ja) | 大入熱溶接による溶接熱影響部の低温靭性に優れた厚手高強度鋼板 | |
JP5842314B2 (ja) | 大入熱溶接用鋼 | |
JP2003213366A (ja) | 母材および大小入熱溶接熱影響部の靭性に優れた鋼材 | |
JP5796636B2 (ja) | 大入熱溶接用鋼材 | |
JP5098210B2 (ja) | 耐火用鋼材およびその製造方法 | |
JP6665658B2 (ja) | 高強度厚鋼板 | |
KR101488633B1 (ko) | 용접용 강재 | |
JP5340839B2 (ja) | 溶接熱影響部の靭性に優れた鋼板 | |
JP2019104955A (ja) | 炭素鋼鋳片及び炭素鋼鋳片の製造方法 | |
JP3502822B2 (ja) | 溶接熱影響部靭性の優れた鋼材およびその製造方法 | |
WO2016009595A1 (ja) | 大入熱溶接用鋼板の製造方法 | |
JP2010180424A (ja) | 大入熱溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材およびその製造方法 | |
JP5233365B2 (ja) | 大入熱溶接用鋼材 | |
JP4959402B2 (ja) | 耐表面割れ特性に優れた高強度溶接構造用鋼とその製造方法 | |
JP2009179844A (ja) | 溶接熱影響部の靭性に優れた高張力厚鋼板 | |
JP3397271B2 (ja) | 耐火用圧延形鋼およびその製造方法 | |
JP3472017B2 (ja) | 耐火圧延形鋼およびその製造方法 | |
JP3502805B2 (ja) | 溶接継手部靭性の優れた鋼材の製造方法 | |
JP7272471B2 (ja) | 鋼板 | |
JP4357080B2 (ja) | 凝固結晶粒微細化鋼及び凝固結晶粒微細化オーステナイト系ステンレス鋼並びにそれらの溶接継ぎ手 | |
JP5493557B2 (ja) | 大入熱溶接用鋼材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200805 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210430 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210511 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210621 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210720 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210826 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220118 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220131 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7027858 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |