JP2017150067A - 脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、大型構造用鋼として十分なアレスト性を有し、しかも工業的に安定的かつ効率的な製造が可能な、脆性き裂伝播停止特性に優れた厚手高強度鋼板を提供することを目的とし、板厚50mm以上、降伏強度460MPa級でもKca=6000N/mm1.5の温度が−10℃以下となる、脆性き裂伝播停止特性に優れた厚手高強度鋼板を得ることを課題とする。
【解決手段】所定の成分を有し、ミクロ組織がフェライト:20〜50%、パーライト:5%以下、ベイナイト:40〜80%を含有するとともに、表層領域において、円相当径で25μm以上のフェライトが面積率にして10%以下であり、析出物・介在物の円相当径の大きいものから個数割合にして20%までのものの平均円相当径が0.4μm以下であり、圧延方向垂直断面においてEBSD結晶方位解析において、き裂伝播有効結晶粒径がd=(5.4×[Ni]+16)×(1.2−t/300)(μm)以下である高アレスト性鋼板。
【選択図】図1

Description

本発明は、脆性き裂伝播停止特性(以下、アレスト性とも表記する。)に優れた鋼板(以下、アレスト鋼板とも表記する。)に関する。
特に、本発明は、降伏強度460MPa級(降伏強度460〜530MPa)、板厚50mm以上の板厚の厚い鋼材(以下、厚手材とも表記する。)で、Kca=6000N/mm1.5となる温度(以下、アレスト性指標TKca=6000とも表記する。)が−10℃以下となる、脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板およびその製造方法に関する。
なお、本発明に係る鋼板は、造船、建築、橋梁、タンク、海洋構造物等の溶接構造物に広く適用される。また、本発明鋼板は、鋼板だけでなく鋼管、コラム等に加工した二次加工品として流通する場合もある。
近年の鋼構造物の大型化にともない、使用される鋼材の肉厚化(特に板厚50mm以上の厚手化)と高強度化とともに、安全性確保の観点から脆性き裂伝播停止特性への要求が厳しくなってきている。ところが、一般に強度や板厚が大きくなると、アレスト性の確保は急激に困難さを増し、鋼構造物への厚手高強度鋼板の適用を阻害する要因となっている。同時に需要家の短納期化に対する要望も年々大きくなり、鋼板製造工程における生産性向上が強く望まれている。
鋼材のアレスト性を向上させる冶金学的な要因としては、(i)結晶粒微細化、(ii)Ni添加、(iii)脆化第二相制御、(iv)集合組織制御等が知られている。
(i)の結晶粒を微細化する方法については、特許文献1に記載された技術がある。これは、Ar3点以上の未再結晶域で圧下率50%以上の圧延を施した後、700〜750℃の範囲で圧下率30〜50%の二相域圧延を行う方法である。また、鋼板の結晶粒を微細化する特殊な方法として、圧延前または粗圧延終了後に鋼片表面を冷却し、内部との温度差をつけたまま圧延開始して復熱させることにより表層部に細粒フェライトを生成させる方法が特許文献2、3に記載されている。
(ii)のNi添加は、低温域における交差すべりを助長することで、脆性き裂の伝播を抑制し(非特許文献1参照)、マトリクスのアレスト性を向上させるといわれている(非特許文献2参照)。
(iii)の脆化第二相を制御する方法としては、特許文献4に記載された技術がある。これは、母相のフェライト中に脆化相であるマルテンサイトを微細分散させる技術である。
(iv)の集合組織制御に関しては、極低炭素のベイナイト鋼で低温大圧下圧延を行い、圧延面に並行に(211)面を発達させる方法が特許文献5に記載されている。
特開平02−129318号公報 特公平06−004903号公報 特開2003−221619号公報 特開昭59−047323号公報 特開2002−241891号公報 特開2008−248382号公報 特開2013−151743号公報 特開2010−202938号公報
田村今男著、「鉄鋼材料強度学」、日刊工業新聞社発行、1969年7月5日、p.125 長谷部、川口、「テーパ形DCB試験によるNi添加鋼板の脆性破壊伝播停止特性について」、鉄と鋼、vol.61(1975)、p.875
特許文献1に記載された方法は、ミクロ組織がフェライト主体で強度が比較的低く、板厚も20mm程度の低温用鋼を対象としたものである。したがって、本発明が対象とするような板厚50mm以上の厚手材に適用する場合には、スラブ厚の観点からそもそも圧下率確保が困難で、温度待ち時間が長くなり生産性が著しく低下してしまうという問題がある。また、特許文献1に記載の方法では、降伏強度460MPa以上を確保することも難しい。
特許文献2、3に記載されている発明を、本発明が対象とするような厚手材に適用しようとする場合は、組織形態が同じであってもアレスト性確保は困難となり、表層フェライト微細化による効果は相対的に小さくなるという問題がある。さらに、製造プロセスにおいても、板厚方向の温度制御がさらに困難となるとともに、復熱過程での圧下率を大きくせざるを得ず、生産性を大きく阻害するという問題がある。
上記(ii)のようにNi添加だけで所望のアレスト性を有する鋼板を製造するには合金コストがかかりすぎるという問題がある。そこで、Ni添加量を削減するために、Ni添加と組織微細化等を併用してアレスト性を確保しようとしても、Ni添加と併用する他の因子のアレスト性に及ぼす影響を分離・定量化する試みは十分なされてはおらず、Ni添加型高アレスト鋼板の製造指針は明確化されているとは言い難い状況である。
特許文献4に記載された発明のように、マルテンサイトを微細に分散させることは、厚手材では困難である。さらに、厚手高強度鋼板においては、この種の脆化相は脆性破壊発生特性を低下させてしまうおそれがある。
特許文献5に記載された発明は、板厚50mm以上の厚手材に適用すると、圧延効率が極端に低下してしまい、工業的生産には適さないという問題がある。
特許文献6は、Ni含有鋼において、き裂伝播方向(TD)に最も近い<001>軸同士のなす角(き裂伝播偏向角)が20°以上となる境界を結晶粒界と定義して、その粒径、Ni含有量、パーライト分率、セメンタイト径を規定した高アレスト性鋼板が提案されている。しかし、この発明はTD周りの回転を許容しているが、圧延方向(RD)周りの回転を許容していないことと、き裂伝播偏向角が小さいため、実際の粒径よりも小さく算出され、推定精度が悪いという問題がある。
特許文献7は、二相域圧延での累積圧下率が40%以上で、平均1パスの圧下率が6%以上にして、板厚中央部の集合組織のXRD面強度比、ベイナイト分率、板厚の1/4部分でのvTrsを規定した高アレスト性鋼板が提案されている。しかし、集合組織の観点からアレスト性を担保するため、材質の異方性が大きく、生産性も低いという問題がある。
特許文献8は、擬ポリゴナル・フェライトの平均面積率、隣接結晶の方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた結晶粒の粒径、島状マルテンサイトの平均円相当径、および降伏応力が一定の関係を満足することにより高アレスト性鋼板が得られることを提案している。しかし、擬ポリゴナル・フェライト主体の組織であり、Ar3直上の温度域での圧下率が低いことから、十分なアレスト性が得られていないのが実態である。
以上のように、本発明が対象とする、板厚が50mm以上の厚手材で、降伏強度が460MPa級でも、アレスト性指標TKca=6000が−10℃以下となる、大型構造物に適用可能な、高アレスト鋼板を安定的かつ効率的に製造する技術はいまだ確立されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大型構造用鋼として十分なアレスト性を有し、しかも工業的に安定的かつ効率的な製造が可能な、脆性き裂伝播停止特性に優れた厚手高強度鋼板を提供することを目的とする。具体的には、板厚50mm以上、降伏強度YSが460MPa級であって、アレスト性指標TKca=6000が−10℃以下であり、継手のHAZ靱性vE−40℃が100J以上である、靱性き裂伝播停止特性に優れた鋼板を得ることを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、アレスト性支配因子について鋭意検討し、板厚50mm以上の厚手材でも安定してアレスト性を確保できるための以下の知見を得た。
(a) 脆性き裂が伝播する際の破壊の単位(破面上でほぼ平面的に破壊した領域の大きさをいう。以下、破面単位、または基本組織単位とも表記する。)は、見かけの結晶粒径ではなく、EBSDを用いた結晶方位解析によって得られる粒径と非常によく一致することを見出した。具体的には、ある結晶粒のき裂伝播面となりうる3つの{100}面の法線ベクトルのうち、圧延方向(RD)に最も近いベクトルを板面(ND面)に投影した場合に、隣接する結晶粒における上記のND面投影ベクトル同士のなす角度(以下、き裂伝播偏向角と表記する。)が25°以上である境界を粒界と定義した時の平均粒径(以下、き裂伝播有効結晶粒径と表記する。)とアレスト性との間に密接な相関があることを見出した。
(b) Niによるアレスト性向上効果と細粒化の効果は独立であり、ほぼ加算則が成立することを見出した。即ち、き裂伝播有効結晶粒径を十分微細化できればNi添加は必須ではないが、Niを添加すれば組織は粗くても同等のアレスト性を確保することができ、仕上圧延温度の高温化等の製造負荷軽減が可能であることを見出した。
(c) き裂伝播有効結晶粒径が微細であっても、パーライト面積率が5%超になると、粗大なパーライトが脆性破壊の起点となりやすく、アレスト性も低下してしまうことを見出した。これを回避するためには、加速冷却過程の冷却速度、および停止温度を制御する必要がある。
(d) 鋼板表面から板厚の5%の深さまでの領域(表層領域)に生成した粗大なフェライトの面積率が10%を超えると、例え板厚平均のき裂伝播有効結晶粒径が微細であっても、アレスト性は低下してしまうことを見出した。これを避けるためには、仕上圧延温度、冷却開始温度が下がりすぎないように制御する必要がある。
(e) NbやTiの炭窒化物やセメンタイトのような析出物や非金属介在物(以下、説明上の便宜のために、本明細書において析出物と介在物を合わせて単に析出物と表記する。)は、微細であればアレスト性に影響しないが、粗大になるとアレスト性を低下させることを見出した。析出物のサイズを微細に保つためには、スラブ加熱、加速冷却、および引き続き行う熱処理条件を適切に制御する必要がある。
本発明は、これら知見に基づき成されたものであり、その要旨とするところは次の通りである。
[1]
質量%で、
C :0.050〜0.140%、
Si:0.03〜0.50%、
Mn:0.30〜2.00%、
P :0.020%以下、
S :0.010%以下、
Nb:0.005〜0.040%、
Ti:0.005〜0.030%、
Al:0.001〜0.100%、
N :0.0010〜0.0080%を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記式1〜式3で規定されるPs値が0.40〜0.54%であって、
ミクロ組織が面積率にして
フェライト:20〜50%、
パーライト:5%以下、
ベイナイト:40〜80%を含有するとともに、
鋼板表面から板厚の5%深さまでの表層領域において、結晶粒の円相当径で25μm以上のフェライトが面積率にして10%以下であり、円相当径が50nm以上の析出物および介在物の円相当径の大きいものから、個数割合にして20%までのものの平均円相当径が0.40μm以下であり、
さらに圧延方向垂直断面においてEBSDを用いた結晶方位解析において、き裂伝播有効結晶粒径が下記式4のd(μm)以下であり、板厚t(mm)が50mm以上であることを特徴とする脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板。
Ps=Ceq+3.6×[Nb]+79×Bsol …式1
Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5 …式2
Bsol=[B]−([N]−[Ti]×14/48)×11/14 …式3
d=(5.4×[Ni]+16)×(1.2−t/300) …式4
ここで、[C]などの[元素記号]は当該元素の含有量(質量%)を示し、含有しない場合は0を代入するものとする。また、B無添加または式3においてBsol<0の場合は式1においてBsol=0とする。
[2]
さらに、質量%で、
Cu:0.05〜1.50%、
Ni:0.05〜2.00%、
Cr:0.05〜1.00%、
Mo:0.02〜0.50%、
V :0.005〜0.100%、
B :0.0002〜0.0030%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、
上記[1]に記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板。
[3]
さらに、質量%で、
Mg :0.0003〜0.0050%、
Ca :0.0005〜0.0030%、
Zr :0.0005〜0.0050%、
REM:0.0005〜0.0100%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、
上記[1]または[2]に記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板。
[4]
上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の組成を有する鋼片を加熱する際に、加熱下限温度TLを下記の式9によるものとし、加熱上限温度TUを下記の式10によるものとしたとき、加熱炉内に鋼片を装入してから、鋼片の温度が加熱下限温度TLに達した時点を保持開始として、鋼片の温度が加熱下限温度TLから加熱上限温度TUの範囲に保たれるように加熱炉の温度を制御し、保持開始から、前記鋼片を加熱炉から抽出する迄の時間を、保持時間tm(分)とし、そして、保持時間tm(分)における鋼片の温度の時間平均温度を加熱温度T(℃)としたとき、加熱温度T(℃)と保持時間tm(分)が下記の式5〜式7を満たしており、
900℃以上の温度域で圧延を行うに際し、少なくとも最終3パスの圧下率がそれぞれ10%以上、パス間時間がそれぞれ15秒以下、かつ前パスの圧下率を下回らないように圧延を行い、
さらに、各圧延をする前の鋼片の厚さをtbとしたときに、鋼板表面からtb/4の部分の温度が、下記式8で示すAr3を用いてAr3+30℃〜Ar3+80℃の範囲で、圧延を行う複数のパスにおいて、各パスの平均圧下率が5.0%以下、累積圧下率が40%以上、平均パス間時間が25秒以下の条件で圧延を行った後、
得られた鋼板の板厚をtとしたときに、引き続き鋼板表面からt/4の部分の温度がAr3以上の温度から400℃以下の温度まで、板厚平均で5℃/秒以上の冷却速度で冷却を行うことを特徴とする脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板の製造方法。
57000/{1.2−0.16×log([C][Nb])}≦PH≦84000/(1.9−0.18×log[Ti]) …式5
PH=(T+273)×{log(tm)+25} …式6
tm≧30 …式7
Ar3=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]−15[Cr]−55[Ni]−80[Mo] …式8
TL=57000/{1.2−0.16×log([C][Nb])}/{log(30)+25}−273 …式9
TU=84000/(1.9−0.18×log[Ti])/{log(30)+25}−273 …式10
ここで、[C]などの[元素記号]は当該元素の含有量(質量%)を示し、含有しない場合は0を代入するものとする。
[5]
さらに、300〜600℃の温度で熱処理を行うことを特徴とする、[4]に記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板の製造方法。
本発明の適用によって、板厚が50mm以上の厚手材で、降伏強度が460MPa級でも、アレスト性指標TKca=6000(Kca=6000N/mm1.5となる温度)が−10℃以下となる、大型構造物に適用可能な高アレスト鋼板を、安定的かつ効率的な製造方法により提供することが可能になる。
EBSDによる結晶方位マップと等き裂伝播抵抗領域の境界を解析した結果の一例である。 結晶方位差、き裂伝播偏向角と伝播抵抗境界との関係の一例を示す図である。 アレスト性におよぼすNi量とき裂伝播有効結晶粒径の関係の一例を示す図である。 所定のアレスト性を付与するために必要なNi量とき裂伝播有効結晶粒径との関係の一例を示す図である。 析出物・介在物の上位20%の平均円相当径とアレスト性との関係の一例を示す図である。
以下、本発明を構成する各要件について詳細に説明していく。
[ミクロ組織]
一般に、靭性を支配する基本組織単位は、フェライト鋼ではフェライト粒径であり、ベイナイト鋼ではパケットやブロックと呼ばれる領域のサイズであり、これらのサイズが小さいほど靭性が向上する。ところが、降伏強度460MPa級の鋼ではフェライトとベイナイトが混在する組織であり、通常の光学顕微鏡による組織観察では、基本組織単位を客観的に定義し、そのサイズを測定することは非常に困難である。
そこで本発明者らは、まずNiを含有しない鋼片を用いて種々の条件で板厚60mmの鋼板を製造し、アレスト性評価のためWES 2815に記載される方法をもとに、500mm幅の試験片を用いて温度勾配型ESSO試験を行った。その後試験片の破面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、ティアリッジと呼ばれる延性破壊部で囲まれたへき開面のサイズ(破面単位)を測定し、これとアレスト性との間に良好な相関があることを確認した。
次に、上記破面近傍のND面が観察できるように小片を切り出してEBSD測定を行い、破面近傍の粒における結晶方位解析結果と、破面をSEMにて観察した破面写真とを突き合わせて比較し解析を行った。破面写真を観察し、破面の方位が大きく変化している境界、または破面上で大きなティアリッジが確認される境界で、き裂伝播の抵抗となっていると考え、これを破面単位境界とした。そして、破面近傍の粒における結晶方位解析結果が、破面写真から観察される破面単位境界と一致する解析条件を詳細に検討した。その一例を図1に示す。
通常、大角粒界の定義とされる結晶方位差15゜以上の境界を描画して得られたマップをもとに、その境界で区切られた領域(以下、等方位領域と表記する。)内の代表点について解析を行う。へき開面と考えられる{100}面で構成される立方体を図1中に示した。図1中の結晶方位差の数字は、隣接する等方位領域の方位を一致させるために必要な回転角度である。また、き裂伝播偏向角の数字は、隣接する等方位領域における、RDに最も近い<001>軸をND面に投影させたベクトル同士のなす角であり、RDおよび圧延幅方向(TD)を軸とする回転を許容してそろえるために必要な角度である。図中の矢印は、破面をSEMにて観察した破面写真から、き裂伝播の抵抗となっていると考えられる、破面の方位が大きく変化している境界、または破面上で大きなティアリッジが確認された境界である破面単位境界を示した。
これより、通常の解析で用いられる結晶方位差15°以上を閾値とした場合の境界では、き裂伝播抵抗となっていない場合があることがわかる。一方で、き裂伝播偏向角が大きい境界とは概ね対応している。他の領域における解析結果も含めて、結晶方位差、き裂伝播偏向角と伝播抵抗境界との対応をまとめて図2に示す。
図2から、結晶方位差と伝播抵抗の有無とは対応していないのに対し、き裂伝播偏向角が25゜以上のところが伝播抵抗あり、すなわち破面単位境界に対応していることがわかる。以上のように、EBSD解析結果から、き裂伝播偏向角が25°以上の境界を決定し、この境界で囲まれた領域の平均円相当径(き裂伝播有効結晶粒径)を算出できる。
すなわち、圧延方向垂直断面(RD面)においてEBSDを用いた結晶方位解析を行い、方位差15°以内の領域(等方位領域)に区分した組織に、JIS G 0551に準拠した切断法を適用して、測定線上で連続して隣り合う複数の等方位領域における3つの<001>軸を表すベクトルの内、RDとのなす角が最小であるベクトルを鋼板表面(ND面)に投影したベクトル同士が相互になす角度(き裂伝播偏向角)が25°未満の、前記測定線上で連続して隣り合う複数の等方位領域を1つの領域(等き裂伝播抵抗領域)と見なすとき、その等き裂伝播抵抗領域の前記切断法により算出される平均円相当径が、き裂伝播有効結晶粒径である。
こうして測定したき裂伝播有効結晶粒径とアレスト性との関係を詳細に調べたところ、大型構造用鋼に適用可能なレベルのアレスト性と、460MPa級の降伏強度を付与するためには、加熱、圧延、冷却条件を精緻に制御する必要があり、生産性を阻害する要因となることが判明した。
そこで上記課題を解決する手段として、Ni添加による効果を詳細に検討した。ミクロ組織、強度がほぼ同等となるようにNi、Mnのバランスを種々変えて鋳造した鋼片を用いて、同一の製造条件にて板厚60mm、および90mmの鋼板を製造し、ESSO試験によりアレスト性を調査した。
その結果、き裂伝播有効結晶粒径にはほとんど変化が見られないにもかかわらず、Ni量が多いほどアレスト性が向上する傾向を確認した。ESSO試験片の破面を観察すると、Ni量増加にともなって三次元的な凹凸が顕著になる様子が認められた。これは固溶Niによって交差すべりが助長され、き裂の進展方向がよりランダム化したためと考えられる。
次に、Ni添加とき裂伝播有効結晶粒径の微細化の効果を分離・定量化することを目的に、上記のNi含有鋼片を種々の条件で圧延した鋼板のアレスト性を調査した。その結果、図3に示すように、細粒化によるアレスト性向上効果はNi量に関わらず、ほぼ同じ傾向を示すことを知見した。
すなわち、適量のNiを活用することにより、き裂伝播有効結晶粒径を微細化せずともアレスト性を確保することができる。したがって、Niの合金コストよりも鋼材製造効率が求められる場合には、Ni添加により仕上圧延温度を高温化でき、温度待ち時間が短縮されるため、厚手材の生産性を顕著に高めることが可能となる。
さらに、上述した種々の鋼板を用いて、アレスト性に及ぼすき裂伝播有効結晶粒径、Ni量、板厚の影響をさらに詳細に解析した。その結果、き裂伝播有効結晶粒径の条件として、限界き裂伝播有効結晶粒径d以下とする必要があることを知見した。
d=(5.4×[Ni]+16)×(1.2−t/300) …式4
ここで、[Ni]はNi含有量(質量%)、tは板厚(mm)を表す。
式4の第1項(5.4×[Ni]+16)は、板厚60mm材のアレスト性におよぼすき裂伝播有効結晶粒径とNiの影響をベースとして図4から導いた。また、式4の第2項(1.2−t/300)は、き裂伝播有効結晶粒径、Ni量が同等で板厚が異なる鋼板のアレスト性の差から導いた板厚効果の係数である。限界き裂伝播有効結晶粒径dは、これらの積により求められる。き裂伝播有効結晶粒径が限界き裂伝播有効結晶粒径dよりも大きい場合には、脆性き裂がある結晶粒から別の結晶粒に伝播する際に形成されるティアリッジの頻度が十分でないため、き裂伝播を抑制する効果が小さくなり、アレスト性が低下する。
本発明者らは、き裂伝播有効結晶粒径以外の組織因子がアレスト性におよぼす影響についても検討を加えた。これは、き裂伝播有効結晶粒径が微細であるにもかかわらずアレスト性が十分でない場合が確認されたためである。
その一つがベイナイト主体の組織に混在するパーライトである。パーライト組織の面積率が高くなると、大きなパーライトが増え、これが脆性破壊の起点になることで、アレスト性も劣化する傾向があることが分かった。そのため、パーライト面積率は5%以下にする必要がある。
また、主にベイナイト中に含まれるセメンタイト、あるいはNb、Tiの炭窒化物などの析出物のサイズもアレスト性に影響することを確認した。ただし、これら析出物の平均径で整理するとアレスト性との相関はあまりなく、比較的粗大な析出物のサイズ、例えば図5に示すように、析出物および介在物の円相当径の大きいものから個数割合にして上位20%の平均円相当径(直径)が0.40μm超であると、アレスト性は低下することがわかった。
微細な析出物は、主き裂伝播に先立って、マトリクスとの界面でマイクロクラックを生成させることで応力を緩和させ、アレスト性向上に寄与する可能性がある一方で、粗大な析出物はパーライトと同様に脆性破壊を誘発する要因となり、アレスト性を低下させてしまうと考えられる。
さらに、鋼板表面から板厚の5%の深さまでの領域(表層領域)に生成した粗大なフェライト(以下、表層粗大フェライトと表記する。)もアレスト性を低下させることが判明した。この表層粗大フェライトは、比較的焼入れ性の低い鋼をAr3より低い温度で圧延するか、または、Ar3以上で圧延を完了しても加速冷却の開始がAr3を下回った場合に生成する。表層領域における結晶粒の円相当径が25μm以上のフェライトの面積率が10%以下であれば、顕著なアレスト性の低下は回避できる。アレスト性を確保する観点から、表層領域における結晶粒の円相当径が25μm以上のフェライトの面積率は少ない方がよく、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下にするとよい。
残りの組織はフェライトとベイナイトであり、一部パーライトを含有することもある。本発明に係る降伏応力460MPa級の鋼では、ベイナイトが主体となり、面積率で40%以上あればよい。フェライトは靭性を確保する観点から、少なくとも面積率で20%含有するとよい。一方、ベイナイト含有量が面積率で80%を超えると、その分フェライト量が少なくなり靭性が悪化するので、ベイナイトの含有量の上限は80%にするとよい。フェライトの面積率の上限は、強度を確保する観点から面積率で50%を上限とする。パーライトは5%以下にするとよい。
[成分]
次に、本発明の成分限定理由について説明する。
Cは、組織粗大化防止に寄与する元素であるとともに、強度を高めるのに不可欠な元素であるため0.050%以上含有する。これらの効果を確保するため、好ましくは0.055%以上、さらに好ましくは0.060%以上にするとよい。一方、含有量が増えると溶接熱影響部(HAZ)靭性確保が困難となり、セメンタイトも粗大化しやすくなるため0.140%以下とする。これらの効果を確保するため、好ましくは0.120%以下、さらに好ましくは0.110%以下にするとよい。
Siは、脱酸元素であり、マトリクスを固溶強化するため0.03%以上含有する。これらの効果を確保するため、好ましくは0.07%以上、さらに好ましくは0.10%以上にするとよい。一方、含有量が0.50%を超えると溶接性とHAZ靭性を劣化させるため0.50%以下とする。これらの効果を確保するため、好ましくは0.40%以下、さらに好ましくは0.30%以下にするとよい。
Mnは、母材の強度・靭性を向上させる元素として有効であるため0.30%以上含有する。これらの効果を確保するため、好ましくは0.50%以上、さらに好ましくは0.80%以上にするとよい。一方、過剰に含有すると、HAZ靭性、溶接割れ性を劣化させるため2.00%以下とする。これらの効果を確保するため、好ましくは1.90%以下、さらに好ましくは1.80%以下にするとよい。
P、Sは、不純物であり含有量が少ないほど望ましい。しかし、これを工業的に低減させるためには多大なコストがかかることから、Pは0.020%以下、Sは0.010%以下に制限するとよい。
Nbは、微量の含有により組織微細化、変態強化、析出強化に寄与し、母材強度確保に有効な元素であるため0.005%以上含有するが、過剰に含有するとHAZを硬化させ著しく靭性を劣化させるため0.040%以下とする。
Tiは、微量の含有により組織微細化、析出強化、微細TiN生成により母材の強度・靭性、HAZ靭性向上に有効であるため0.005%以上含有する。これらの効果を確保するため、好ましくは0.007%以上、さらに好ましくは0.010%以上にするとよい。一方、過剰に含有するとHAZ靭性を著しく劣化させるため0.030%以下とする。これらの効果を確保するため、好ましくは0.025%以下、さらに好ましくは0.020%以下にするとよい。
Alは、重要な脱酸元素であるため0.001%以上含有する。これらの効果を確保するため、好ましくは0.010%以上、さらに好ましくは0.020%以上にするとよい。一方、過剰に含有すると鋼片の表面品位を損ない、靭性に有害な介在物を形成するため0.100%以下とする。これらの効果を確保するため、好ましくは0.080%以下、さらに好ましくは0.060%以下にするとよい。
Nは、Tiと共に窒化物を形成しHAZ靭性を向上させるため0.0010%以上含有する。これらの効果を確保するため、好ましくは0.0015%以上、さらに好ましくは0.0020%以上にするとよい。一方、過剰に含有すると固溶Nによる脆化が生じるため0.0080%以下に限定する。これらの効果を確保するため、好ましくは0.0070%以下、さらに好ましくは0.0060%以下にするとよい。
以上の元素のほかは、残部はFeおよび不可避的不純物であるが、必要に応じて、選択添加元素を含有することができる。選択添加元素は以下の理由により限定する。これら選択添加元素は、Feの一部を代替して含有することができる。
Cu、Cr、Moは、いずれも焼入れ性を向上させ、高強度化に有効であるため、Cu、Crは0.05%以上、Moは0.02%以上含有してもよい。一方、過度の含有はHAZ靭性を低下させるため、Cuは1.50%以下、Crは1.00%以下、Moは0.50%以下に制限するとよい。
Niは、HAZ靭性をあまり低下させずに、強度確保とアレスト性向上に寄与するため0.05%以上含有してもよい。一方、Ni量の増加は鋼片コストを上昇させるため2.00%以下に制限するとよい。
Vは、析出強化により強度上昇に寄与するため0.005%以上含有するとよい。一方、0.100%超含有するとHAZ靭性を低下させるため、これを上限とするとよい。
Bは、焼入れ性を向上させる元素であり、適量含有により鋼の強度を高めるのに有効であるが、過度の含有は溶接性を損ねるため、0.0002〜0.0030%に制限するとよい。
Mg、Ca、Zr、REMは、微細な酸化物や硫化物を形成しHAZ靭性向上に寄与するが、過度の含有は介在物を粗大化させ靭性を低下させるため、Mgは0.0003〜0.0050%、Caは0.0005〜0.0030%、Zrは0.0005〜0.0050%、REMは0.0005〜0.0100%の範囲で含有するとよい。なお、REMとはLa,Ce等の希土類元素のことである。
上述した各元素の範囲の規定に加えて、下記式1〜式3で規定されるPsが0.40〜0.54%となるように含有する必要がある。
Ps=Ceq+3.6×[Nb]+79×Bsol …式1
Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5 …式2
Bsol=[B]−([N]−[Ti]×14/48)×11/14 …式3
ここで、[C]のように[元素記号]で示す項は、当該元素の含有量(質量%)を示す。(たとえば[C]は、炭素(C)の含有量(質量%)を示す。)式1の係数は焼入れ性への寄与から実験的に求めた。Bsolは固溶Bの推定値に相当するもので、B無添加、または式3においてBsol<0の場合は式1においてBsol=0とする。上記のPs値が0.40%未満であると降伏強度460MPaを確保することは困難であり、0.54%超であると強度過大で靭性とアレスト性が低下するおそれがある。
[製造方法]
続いて本発明鋼を製造するための手段について説明する。
まず、上記に説明した所定の成分を含有する鋼片を加熱する際に、加熱温度と保持時間を下記に示すように制御する。上述した式5の左辺にC、Nbの含有量を代入し、tmを式7より最短の30(分)として式6に代入し、式5の左辺がPHと等しいとして加熱下限温度TLを算出する。
TL=57000/{1.2−0.16×log([C][Nb])}/{log(30)+25}−273 …式9
次に、式5の右辺にTiの含有量を代入し、tmを式7より最短の30(分)として式6に代入し、式5の右辺とPHが等しいとして加熱上限温度TUを算出する。
TU=84000/(1.9−0.18×log[Ti])/{log(30)+25}−273 …式10
ここで、[元素記号]は、当該元素の含有量(質量%)を示す。
例えば、C:0.10%、Nb:0.010%、Ti:0.010%の場合は、加熱下限温度TLは1008℃であり、加熱上限温度TUは1131℃である。
鋼片の温度とは、鋼片の表面温度、加熱炉内の雰囲気温度、鋼片の加熱炉内での加熱経過時間等から伝熱計算により、逐次算出される鋼片の板厚方向の断面の平均温度とする。
加熱炉内に鋼片を装入してから、鋼片の温度が加熱下限温度TLに達した時点を保持開始として、鋼片の温度が加熱下限温度TLから加熱上限温度TUの範囲に保たれるように加熱炉の温度を制御し、鋼片を加熱炉から抽出する。上述した保持開始から、鋼片を加熱炉から抽出する迄の時間を、保持時間tm(分)とする。そして、保持時間tmの間における鋼片の温度の時間平均温度を加熱温度T(℃)とする。Tとtmは以下の式5〜式7を満たす条件で加熱する必要がある。
57000/{1.2−0.16×log([C][Nb])}≦PH≦84000/(1.9−0.18×log[Ti]) …式5
PH=(T+273)×{log(tm)+25} …式6
tm≧30 …式7
ここで、[元素記号]は、上記したように当該元素の含有量(質量%)を示す。
式5の各係数や定数は、粗大オーステナイト(γ)が生成する限界条件、固溶Nb量を確保するための限界条件から実験的に定めた。なお、表2(表2−1と表2−2を総称して表2と表現する。)中では、式5の左辺をML、右辺をMUとして記載している。
ML=57000/{1.2−0.16×log([C][Nb])}
MU=84000/(1.9−0.18×log[Ti])
保持時間は30分以上としたが、これはNb等の微量合金元素を均一に固溶させるためである。
式6に示すPHは焼戻しの温度と保持時間の換算に用いられる焼戻しパラメータを基に規定した。式5の左辺はCとNb量に応じて変化する加熱条件の下限であり、右辺はTi量に応じて変化する加熱条件の上限である。
次に、加熱で生成したγ粒を再結晶により効果的に微細化するため少なくとも3パスの圧延を含む粗圧延を行う。粗圧延は、900℃以上の温度域で、かつ、少なくとも最終3パス圧延において、それぞれの圧延パスでの圧下率が10%以上、パス間時間が15秒以下、さらにそれぞれ圧延パスにおいて前パスの圧下率を下回らないように圧延を行うとよい。
温度が900℃未満であるとパス間で十分再結晶が進行せず、γが混粒となる可能性がある。
最終3パスの圧下率がそれぞれ10%未満であると、再結晶γが十分微細化できない。
最終3パスにおいて後段パスの方が軽圧下となると、再結晶γが粗大化するおそれがある。
また、パス間時間が長すぎると、再結晶γが粒成長してしまい、最終組織の微細化が困難となる。
なお、圧下率は(入側板厚−出側板厚)/入側板厚×100(%)、パス間時間は当パス圧延終了から次パス圧延開始までの時間とする。
引き続き仕上圧延を行う。仕上圧延は、アレスト性を支配するき裂伝播有効結晶粒径微細化の観点から最も重要な工程であり、鋼板表面からtb/4の部分(tb:各圧延をする前の鋼片の厚さ)の温度がAr3+30℃〜Ar3+80℃の範囲で、仕上圧延を行う複数のパスにおいて、各パスの平均圧下率が5.0%以下、且つ累積圧下率が40%以上で、平均パス間時間が25秒以下の条件で圧延を行うとよい。
Ar3は下記式8で表される。
Ar3=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]−15[Cr]−55[Ni]−80[Mo] …式8
ここで、[元素記号]は、上記したように当該元素の含有量(質量%)を示す。
これらの条件を満たさないと、き裂伝播有効結晶粒径を十分微細化できないか、あるいは表層部に粗大なフェライトが生成してしまうため、アレスト性が低下してしまう。
なお、累積圧下率とは、鋼板表面からtb/4の部分が所定の温度範囲にある複数パスにおいて、(最初のパスの入側板厚−最後のパスの出側板厚)/最初のパスの入側板厚×100(%)のことである。また、当該パスの平均圧下率とは、上記複数パスのそれぞれのパスにおいて、(入側板厚−出側板厚)/入側板厚×100(%)で定まる各パス圧下率を平均したものである。
仕上圧延完了後は、鋼板表面からt/4の部分(t:板厚)の温度がAr3以上から400℃以下まで、板厚平均で5℃/秒以上の冷却速度で、冷却するとよい。
冷却開始温度がAr3を切ると表層部の粗大フェライト面積率が10%超となり、アレスト性が低下してしまう。冷却速度が5℃/秒未満、あるいは冷却停止温度が400℃よりも高いと、強度が不足するだけでなく、き裂伝播有効結晶粒径の微細化が不十分となる、あるいはパーライトが5%超生成し、アレスト性が低下してしまう。以上の製造方法により、所望の特性を有する脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板を得ることができる。
さらに、加速冷却後は、強度・靭性を調整するために300〜600℃の温度で焼戻し熱処理を行ってもよい。熱処理温度が300℃未満では延性や靭性の改善が十分でなく、600℃を超えるとセメンタイトが粗大化して、アレスト性が低下してしまう。
以上の製造方法は、本発明に係る鋼板を得るための製造方法の一態様であって、本発明に係る鋼板は、この態様の製造方法に限定されるものではない。
以下、実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を大きく逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
表1の化学成分を有する鋼片を用いて、表2(表2−1と表2−2を総称して表2と表現する。)の製造条件により板厚50〜100mmの鋼板を試作した。表3(表3−1と表3−2を総称して表3と表現する。)に組織、母材強度、靭性、アレスト性、HAZ靭性を示す。
表層領域の粗大フェライト面積率は、鋼板表面から板厚の1%、2%、3%、4%、5%の深さ毎に、圧延方向垂直断面(RD面)について、光学顕微鏡写真を画像解析することにより算出した。ここで、粗大フェライトとは、結晶粒の円相当径(直径)が25μm以上のものとし、この粗大フェライトの面積率をそれぞれの箇所毎に測定した。そして、これら5箇所の粗大フェライトの面積率を平均して、表層領域の粗大フェライト面積率とした。
フェライト、パーライト、ベイナイトの面積率は、鋼板の表面下5mm、板厚の1/4相当部、板厚中心部のRD面の光学顕微鏡写真から測定し、平均値を算出した。
析出物径は、上記と同様の板厚位置3か所から抽出レプリカを作製し、透過電子顕微鏡により2万倍で撮影した写真を用いて、面積0.002μm(0.002×10−12)以上の析出物の中から100個以上を無作為に抽出し、これを対象として画像解析を行い、大きいものから個数割合にして20%以内に相当する析出物の円相当径の平均値を算出した。
すなわち、析出物の円相当径(直径)が50nm(50×10−9m)以上の中から
100個以上を無作為に抽出し、大きいものから個数割合にして20%以内に相当する析出物の円相当径の平均値を算出した。
き裂伝播有効結晶粒径は、上記と同様の板厚位置3箇所からRD面が測定面となるようにEBSD用サンプルを採取し、500×500μmの領域を1μmピッチで測定した後、結晶方位マップをもとに延べ長さ2mmの範囲にわたって方位解析を行うことにより粒界を決定し、JIS G 0551(2013)に準拠した切断法によって算出した。
母材強度は、板厚中心部からTD方向に採取したJIS Z 2241(2011)の4号引張試験片を用いて、降伏強度(YS)、引張強度(TS)を評価した。
母材靭性は、板厚中心部からRD方向に採取したJIS Z 2242(2005)の2mmVノッチ衝撃試験片を用いて、破面遷移温度(vTrs)を評価した。
アレスト性は、WES 2815(2014)に記載される方法に基づいて、全厚で500mm幅の試験片を採取して、温度勾配型ESSO試験を行い、Kca=6000N/mm1.5を示す温度にて評価した。
HAZ靭性は、角度30°のレ形開先、ルートギャップ10mm、入熱約5kJ/mmの条件でサブマージアーク溶接継手を作製し、裏面部から採取したシャルピー試験片の溶融線に沿ってノッチを入れて、−40℃で3本試験したときの平均吸収エネルギーで評価した。
本発明例のNo.1〜22は、化学成分が所定の範囲内にあり、かつ適切な条件で製造したため、本発明の範囲内のミクロ組織となり、いずれも降伏強度460MPa級鋼として十分な強度を有し、母材靭性、アレスト性、HAZ靭性も良好であった。
一方、比較例のNo.23〜50は、化学成分が本発明の範囲を逸脱しているか、あるいは製造条件が適切でなかったために、強度、アレスト性、HAZ靭性のいずれかが確保できなかった。
No.26、30、39は加熱条件が適切でなかった例である。No.26、39は、PHが上限を超えたために加熱γが粗大化し、き裂伝播有効結晶粒径の微細化が図れなかったために、アレスト性が低下した。No.30はPHが下限未満であったためにNbが十分固溶せず、ベイナイト面積率が不足、析出物径が粗大となり、強度とアレスト性が低下した。
No.25、27、32、34、35は粗圧延の条件が適切でなかった例である。No.34は圧延終了温度が低かったためにγの再結晶が不均一となり、き裂伝播有効結晶粒径が粗大化し、アレスト性が低下した。No.25、35は最終3パスの圧下率が小さかったために再結晶γが十分微細化できず、き裂伝播有効結晶粒径が大きくなり、アレスト性が低下した。No.27は後段パスが軽圧下であった、No.32はパス間時間が長かったために再結晶γが粗大化し、き裂伝播有効結晶粒径が微細化できず、アレスト性が低下した。
No.23、29、31、33、37は仕上圧延の条件が適切でなかった例である。No.23は、仕上圧延が二相域圧延となり、Ar3+30℃〜Ar3+80℃の範囲における累積圧下率が不足したため、表層部に粗大なフェライトが多量に生成し、アレスト性が低下した。No.31、33は、二相域圧延ではなかったものの、上記温度範囲における累積圧下率が足りなかったために、アレスト性が不十分であった。No.29は1パス平均圧下率が大きかったために加工発熱してCR効果が弱まり、き裂伝播有効結晶粒径の微細化が図れず、アレスト性が低下した。No.37は平均パス間時間が長かったためにγが一部再結晶してしまい、き裂伝播有効結晶粒径が粗大化してアレスト性が低下した。
No.24、36、38は加速冷却条件が適切でなかった例である。No.24は冷却停止温度が高かったために、パーライト面積率が大きくなり、アレスト性が低下した。No.36は冷却速度が小さかったために、き裂伝播有効結晶粒径が微細化せず、アレスト性が低下した。No.38は加速冷却を行わず空冷したため、フェライトとパーライトの面積率が過大、ベイナイト面積率が過小で、かつき裂伝播有効結晶粒径が微細化されず、強度とアレスト性が低下した。
No.28は熱処理温度が高かったためにセメンタイト径が大きくなり、十分なアレスト性が得られなかった。
No.40〜50は、化学成分が所定の範囲を逸脱していた例である。No.40はPs値が下限に満たなかったため、き裂伝播有効結晶粒径が十分微細化できず、降伏強度とアレスト性が低かった。No.41はC量が過剰であったためセメンタイトが粗大化し、アレスト性とHAZ靭性が低下した。No.42はSi、No.43はMn、No.44はP、No.45はS、No.47はTi、No.48はAl、No.49はNが過剰であったためHAZ靭性が低下した。No.46はNbが過剰、No.50はPs値が過大であったため、強度が高くなり過ぎてアレスト性とHAZ靭性が低下した。
本発明に係る鋼板は、造船、建築、橋梁、タンク、海洋構造物等の溶接構造物に広く適用することができる。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C :0.050〜0.140%、
    Si:0.03〜0.50%、
    Mn:0.30〜2.00%、
    P :0.020%以下、
    S :0.010%以下、
    Nb:0.005〜0.040%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    Al:0.001〜0.100%、
    N :0.0010〜0.0080%を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記式1〜式3で規定されるPs値が0.40〜0.54%であって、
    ミクロ組織が面積率にして
    フェライト:20〜50%、
    パーライト:5%以下、
    ベイナイト:40〜80%を含有するとともに、
    鋼板表面から板厚の5%の深さまでの表層領域において、結晶粒の円相当径が25μm以上のフェライトが面積率にして10%以下であり、
    円相当径が50nm以上の析出物および介在物のうち円相当径の大きいものから個数割合にして20%までのものの平均円相当径が0.40μm以下であり、
    さらに圧延方向垂直断面においてEBSDを用いた結晶方位解析において、き裂伝播有効結晶粒径が下記式4のd(μm)以下であり、板厚t(mm)が50mm以上であることを特徴とする、脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板。
    Ps=Ceq+3.6×[Nb]+79×Bsol …式1
    Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5 …式2
    Bsol=[B]−([N]−[Ti]×14/48)×11/14 …式3
    d=(5.4×[Ni]+16)×(1.2−t/300) …式4
    ここで、[C]などの[元素記号]は当該元素の含有量(質量%)を示し、含有しない場合は0を代入するものとする。また、B無含有または式3においてBsol<0の場合は式1においてBsol=0とする。
  2. さらに、質量%で、
    Cu:0.05〜1.50%、
    Ni:0.05〜2.00%、
    Cr:0.05〜1.00%、
    Mo:0.02〜0.50%、
    V :0.005〜0.100%、
    B :0.0002〜0.0030%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板。
  3. さらに、質量%で、
    Mg :0.0003〜0.0050%、
    Ca :0.0005〜0.0030%、
    Zr :0.0005〜0.0050%、
    REM:0.0005〜0.0100%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板の製造方法であって、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の組成を有する鋼片を加熱する際に、加熱下限温度TLを下記の式9によるものとし、加熱上限温度TUを下記の式10によるものとしたとき、加熱炉内に鋼片を装入してから、鋼片の温度が加熱下限温度TLに達した時点を保持開始として、鋼片の温度が加熱下限温度TLから加熱上限温度TUの範囲に保たれるように加熱炉の温度を制御し、保持開始から、前記鋼片を加熱炉から抽出する迄の時間を、保持時間tm(分)とし、そして、保持時間tm(分)における鋼片の温度の時間平均温度を加熱温度T(℃)としたとき、加熱温度T(℃)と保持時間tm(分)が下記の式5〜式7を満たしており、
    900℃以上の温度域で圧延を行うに際し、少なくとも最終3パスの圧下率がそれぞれ10%以上、パス間時間がそれぞれ15秒以下、かつ前パスの圧下率を下回らないように圧延を行い、
    さらに、各圧延をする前の鋼片の厚さをtbとしたときに、鋼板表面からtb/4の部分の温度が、下記式8で示すAr3を用いてAr3+30℃〜Ar3+80℃の範囲で、圧延を行う複数のパスにおいて、各パスの平均圧下率が5.0%以下、累積圧下率が40%以上、平均パス間時間が25秒以下の条件で圧延を行った後、
    得られた鋼板の板厚をtとしたときに、引き続き鋼板表面からt/4の部分の温度がAr3以上の温度から400℃以下の温度まで、板厚平均で5℃/秒以上の冷却速度で冷却を行うことを特徴とする、脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板の製造方法。
    57000/{1.2−0.16×log([C][Nb])}
    ≦PH
    ≦84000/(1.9−0.18×log[Ti]) …式5
    PH=(T+273)×{log(tm)+25} …式6
    tm≧30 …式7
    Ar3=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]−15[Cr]−55[Ni]−80[Mo] …式8
    TL=57000/{1.2−0.16×log([C][Nb])}/{log(30)+25}−273 …式9
    TU=84000/(1.9−0.18×log[Ti])/{log(30)+25}−273 …式10
    ここで、[C]などの[元素記号]は当該元素の含有量(質量%)を示し、含有しない場合は0を代入するものとする。
  5. さらに、300〜600℃の温度で熱処理を行うことを特徴とする、請求項4に記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板の製造方法。
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