以下、本開示に係る搬送システムについて、検体検査自動化システムに適用される試験管搬送システムを例に、図面に基づき説明する。
検体検査自動化システムは、検体の分析を行う分析装置に加えて、例えば、投入モジュール、前処理モジュール、開栓モジュール、子検体準備モジュール、分注モジュール、閉栓モジュール、収納モジュール等の複数の処理モジュールを備え、これら複数の処理モジュールを試験管搬送システムに対して配設して構成されている。
この場合、投入モジュールは、検体が収容された専用の試験管すなわち検体容器をホルダに搭載してシステム内に投入する。前処理モジュールは、試験管内の検体に対して例えば遠心処理等の必要な前処理を実施する。開栓モジュールは、試験管の開口部を密閉する栓を開栓する。子検体準備モジュールは、分析装置での分析に用いる子検体容器を用意する。分注モジュールは、試験管から子検体容器に検体の分注処理を実行する。閉栓モジュールは、処理が終了した試験管の開口部を閉栓する。収納モジュールは、試験管をホルダからトレイに移載して収納する。
なお、検体検査自動化システムにおける上述した処理内容及び処置モジュールは一例であって、検体の分析・検査を行うものであるならば、他の処理モジュールを備え他の処理を実行するものであってもよい。
そして、検体が収容された試験管は専用のホルダ(例えば、一本検体ホルダ、検体ラック等)に搭載された状態で、ベルトライン、爪送り機構等の搬送機構を含む試験管搬送システムによって、各処理モジュール間を搬送される構成になっている。すなわち、試験管搬送システムは、試験管、すなわち試験管が搭載されたホルダの検体検査自動化システムにおける搬送路を構成する。
その上で、試験管搬送システムでは、複数のベルトラインを適宜つなぐことによって、試験管が搭載されたホルダを、検体検査自動化システム内で長距離搬送できるようにしている。また、その際、一方のベルトラインから他方のベルトラインへホルダが移載されるベルトラインつなぎ部分では、一方のベルトラインによる被搬送体の搬送方向と他方のベルトラインによる被搬送体の搬送方向とを異ならせる(例えば、直角にする)ことによって、システム内におけるホルダの進行方向を変えられるようにしている。
図9は、ベルトライン間で進行方向が直交変化する場合のホルダの移動状態を、水平方向から眺めた図である。
図10は、ベルトライン間で進行方向が直交変化する場合のホルダの移動状態を、垂直方向上方から眺めた図である。
図9(a)及び図10(a)は、移載前の、移載元のベルトラインでのホルダの搬送状態を示した図である。
図9(b)及び図10(b)は、移載元のベルトラインから移載先のベルトラインへの移載時のホルダの搬送状態を示した図である。
図9(c)及び図10(c)は、移載先のベルトラインへの移載完了時のホルダの搬送状態を示した図である。
試験管搬送システム1による試験管搬送路2は、図示の例では、一方(移載元側)のベルトライン11-1による被搬送体の搬送方向と他方(移載元側)のベルトライン11-2による被搬送体の搬送方向とが直角になるようにして、ベルトライン11-1、11-2双方のホルダ搭載面同士の高さ位置を合わせて、ベルトライン11-1の終端とベルトライン11-2の一の側部とを近接させて、ベルトライン11-1、11-2双方をつないで構成されている。
各ベルトライン11-1、11-2は、例えばベルトコンベアを用いて構成され、無端状に形成されたベルト12を駆動ローラ13で一方向に回転移送することにより、ベルト12上に搭載された被搬送体20としての試験管(図示略)が搭載されたホルダ21を対応方向に搬送できる構成になっている。ベルトライン11-1、11-2の搭載面の幅方向(図中y方向)両側には、搬送中のホルダ21の転倒・転落を防止するベルトガイド壁14がその搬送方向(図中x方向)に沿って適宜設けられている。
図示の例のように、双方のベルトライン11-1、11-2それぞれの被搬送体20の搬送方向(図中x方向)が直角になるような場合は、一方のベルトライン11-1の終端が移載元側の搬出部になり、当該一方のベルトライン11-1の搬出部が近接して設けられた、他方のベルトライン11-2におけるベルトガイド壁14が無い搬送路部分が移載先側の搬入部になり、ベルトライン双方の一対の搬出部、搬入部が、両ベルトライン11-1、11-2間における被搬送体20の移載部19になる。なお、後述の図11に示すように、双方のベルトライン11-3、11-4の被搬送体20の搬送方向(図中、x方向)が直線状(同一方向)になるような場合は、一方のベルトライン11-3の終端が移載元側の搬出部になり、他方のベルトライン11-4の始端が移載先側の搬入部になり、この搬出部、搬入部が、両ベルトライン11-3、11-4間における被搬送体20の移載部19になる。これら移載部19では、被搬送体20が移載先側(下流側)のベルトライン11-2、11-4の側面や端面に接触して停止または転倒しないように、通常、移載元のベルトライン11-1、11-3の搭載面の高さ位置は移載先のベルトライン11-2、11-4の搭載面の高さ位置以上となるように高さ設定されている。
なお、図示の例では、被搬送体20を連続的に移動させながら移送するライン移送機構10としてベルトライン11を採用したが、ライン移送機構10は、被搬送体20を連続的に移動させながら移送できるものであるならば、上述したベルトライン11に限定されるものではなく、例えば、駆動機構を備えたローラーコンベア等であってもよい。
そして、試験管搬送路1のこのようなライン移送機構10の移載部19では、被搬送体20の移載中もライン移送機構10は移送状態にあり、図示の例のベルトライン11-1、11-2の場合も搭載面が移動している搬送状態にあるため、ホルダ21には、その底面(被搭載面)に垂直な垂直軸回り(図中、z0軸回り、すなわち、ホルダ21の中心軸回り)に、回転変位が次に述べるようにして起きる。
例えば、ホルダ底面全体が移載元のベルトライン11-1に搭載されてホルダ21が搬送されている図9(a)及び図10(a)に示す移載前状態では、ホルダ21には、そのホルダ底面を介して、移載元のベルトライン11-1の搬送方向速度が専ら作用している。そのため、移載前のホルダ21には、その底面に垂直な垂直軸回りの回転変位は生じない。
ところが、移載部19では、図9(b)及び図10(b)に示すように、ホルダ底面のベルトライン11-1の搬送方向(x方向)に沿った前方側部分が移載先のベルトライン11-2の搭載面に当接し、ホルダ底面の前方側部分が移載先のベルトライン11-2によっても支持され始めるようになる。その際、ホルダ21には、ベルトライン11-1の搬送方向(x方向)に沿ったホルダ底面後方側の、ベルトライン11-1の搭載面と当接している搬出残り部分を介して、移載元のベルトライン11-1の搬送方向速度がまだ作用して搬送方向(x方向)に移送されているとともに、ベルトライン11-1の搬送方向(x方向)に沿ったホルダ底面前方側の、ベルトライン11-2の搭載面と当接している搬入開始部分を介して、移載先のベルトライン10-2の搬送方向速度も作用し始めるようになる。そのため、ホルダ21は、移載元のベルトライン11-1の搭載面との摩擦力等により移載先のベルトライン11-2による搬送方向(x方向)への移送が未だ制限されている移載中状態になり、両ベルトライン11-1、11-2間の搬送方向(x方向)の違いによって、その底面に垂直な垂直軸(z0軸)回りに回転変位し始める。
その後、移載部19では、図9(c)及び図10(c)に示すように、ベルトライン11-1の搬送方向に沿ったホルダ底面後方側の搬出残り部分が移載元のベルトライン11-1の搭載面から離れ、ホルダ21が移載元のベルトライン11-1で支持されなくなり、今度は、ホルダ底面全体が移載先のベルトライン11-2に搭載されて支持されるようになる。このような移載完了状態になると、ホルダ21には、そのホルダ底面を介して、移載元のベルトライン11-1の搬送方向速度は作用しなくなり、移載先のベルトライン11-2の搬送方向速度が専ら作用するようになる。そのため、移載完了後のホルダ21には、底面に垂直な垂直軸(z0軸)周りの回転変位は生じなくなり、ホルダ21の回転変位は停止する。
このようにして、試験管搬送路2では、搭載されるベルトライン11が変わり、検体検査自動化システム内でホルダ21の搬送方向が変わっても、このようにベルトライン11の移載部19で回転させられることによって、ホルダ21の向きも搬送方向の変化に対応して変化するようになっている。
図11は、複数のベルトライン上を進行するホルダの移動状態を示す図である。図11は、検体検査自動化システムの垂直方向(図中、Z軸方向)の上方側から試験管搬送システム1の試験管搬送路2を眺めた状態を示したものである。
試験管搬送路2が、図示のような複数(図示の例では、5つ)のベルトライン11-1〜11-5を有し、被搬送体20(ホルダ21)がこれらベルトライン11により順次搬送されて検体検査自動化システム内を移動する場合、被搬送体20の向きも次に述べるように順次変化させられることになる。
説明にあたっては、検体検査自動化システムすなわち試験管搬送システム1の3次元座標系をXYZ座標系で表し、各ベルトライン11-1〜11-5の3次元座標系を、被搬送体20の進行方向である搬送方向(ベルトラインの長さ方向)をx軸、搬送方向に垂直で載置面と平行な方向(ベルトラインの幅方向)をy軸、搬送方向に垂直で載置面と垂直な方向をz軸とするxyz座標系で表し、各ベルトラインの搬送方向xと本来一致させるホルダ21の基準向き(ホルダ21の正面向き)を矢印x0で表す。そして、図示の例では、被搬送体20は、始めはその基準向き(正面向き)x0をベルトライン11の搬送方向(x方向)に一致させてベルトライン11-1に搭載され、ベルトライン11-1〜11-5により順次搬送されているものとする。
図示のように、ベルトライン11上に搭載されている被搬送体20の基準向きx0は、ベルトライン間の移載部19で、移載元のベルトライン11の搬送方向と移載先のベルトライン11の搬送方向とが相違し、移載前後でベルトライン11それぞれの搬送方向(x方向)が変化する度に、被搬送体20は、ベルトライン11による搬送方向(x方向)の変化に合わせて基準向き(正面向き)x0を変える。
例えば、ベルトライン11-1とベルトライン11-2とのように、移載元、移載先それぞれのベルトライン11の搬送方向(x方向)が直交し、被搬送体20の進行方向が方向転換する場合、その移載部19では、被搬送体20の基準向きx0は、その中心軸回り(z0軸回り)に大きく回転変位する。そして、試験管搬送システム1のXYZ座標系上における被搬送体20の基準向き(正面向き)x0も変化する。
これに対し、例えば、ベルトライン11-3とベルトライン11-4とのように、移載元、移載先それぞれベルトライン11の搬送方向(x方向)が変化せず、被搬送体20の進行方向が同一で被搬送体20が直進する場合、その移載部19では、被搬送体20の基準向きx0は回転変位しない。そして、試験管搬送システム1のXYZ座標系上における被搬送体20の基準向き(正面向き)x0も変化しない。
しかしながら、一のベルトライン11による被搬送体20の移送中であっても、ベルトライン11の搭載面の幅方向(y方向)両側には、搬送中の被搬送体20の転倒・転落を防止するベルトガイド壁14が設けられているため、例えば、被搬送体20の一方の側面側だけがベルトガイド壁に接触する場合、被搬送体20がベルトライン11の幅方向(y方向)の一方側のベルトガイド壁14といわゆる片当するような場合は、移送中のホルダ21をその底面(被搭載面)に垂直な垂直軸回りに回転変位させるような大きな摩擦力が生じる場合もある。
次に、試験管搬送システム1に適用され、被搬送体20としての、試験管31を搭載したホルダ21の搬送時における方向補正機構40の構成について、図面に基づき設明する。
図1は、本開示の搬送システムの一実施の形態としての試験管搬送システムが有する方向補正機構の一実施例の構成図である。
図1において、図1(a)は、方向補正機構が設けられた被搬送体をその基準向き(正面向き)x0から眺めた正面図、図1(b)は、その被搬送体を幅方向(y0方向)に眺めた側面図、図1(c)は、その被搬送体を高さ方向(z0方向)から眺めた上面図(平面図)、図1(d)は、その被搬送体の斜視図である。
本実施例に係る試験管搬送システム1の方向補正機構40は、図1に示すように、検体が収容された試験管31を搭載可能なホルダ21に一体的に取り付けられた構成になっている。
ホルダ21は、ベルトガイド壁14のガイド面の高さに合わせた高さ寸法を有する基部22と、基部22と同軸にかつ基部22の上面に一体的に固定された保持部23とを有する構成になっている。
ホルダ20は、図示の例では一本検体ホルダであるため、基部22は円柱状に形成され、その直径は、ベルトライン11の幅方向(y方向)の寸法とほぼ等しく、ベルトライン11の幅方向それぞれに設けられた一対のベルトガイド壁14間の、ベルトライン11の幅方向に沿ったガイド面間距離よりもやや小さくなっている。そして、基部22の底面は、ベルトライン11の搭載面に対する被搭載面になっており、基部22の周面は、ベルトライン11に設けられたベルトガイド壁14による被ガイド面になっている。なお、基部22の形状は、図示のような円柱形状に限られるものではなく、ベルトガイド壁14のガイド壁面と当接してホルダ21の転倒・転落を防止する被ガイド面をその幅方向(y方向)の両側に有する形状であればよい。例えば、底面が二等辺三角形、角丸四角形、ホームベースのような多角形形状や楕円形形状のような、その基準向き(正面向き)x0から眺めた立体形状が左右対称形状になっている立体部材であればよい。
一方、保持部23は、その上面に、直径が試験管31の外周径と略等しい孔径を有する有底の試験管搭載部24が開口され、試験管31をその開口から搭載/取り出し可能な構成になっている。試験管搭載部24は、その底面部24aが、搭載された試験管31の搭載支持部となり、孔壁部24bが、搭載された試験管31の姿勢保持部となっている。なお、図示の例では、保持部23は、有底孔を備えた筒状部材として形成されているが、保持部23の構成はこれに限定されるものではなく、試験管31を搭載/取り出し可能で、搭載状態の試験管31を所定姿勢(好ましくは、直立姿勢)に保持できる構成であればよい。例えば、保持部23は、基部22の上面に、搭載される試験管31の外周に沿って3本以上の柱状部を立設した構成であってもよい。また、ホルダ21自体も、図示の例では、ホルダ21が一本検体ホルダであるため、その保持部23は1本の試験管31を保持する構成になっているが、検体用ラックのように複数本の試験管31をまとめて搭載支持し、かつその姿勢保持できる構成であってもよい。
方向補正機構40は、ホルダ21の基部22の周面に方向補正部材としてのガイド羽部材41を位置決めして一体的に取り付けて構成されている。
図2は、図1に示した方向補正機構を構成するガイド羽部材の構成図である。
図2において、図2(a)は、成形加工前のガイド羽部材の展開図である。図2(b)は、成形加工後のガイド羽部材の平面図である。図2(c)は、成形加工後のガイド羽部材を、ホルダの基準向き(正面向き、図1中のx0方向)と同じ向き(x0方向)から眺めた正面図である。
本実施例では、方向補正機構40を構成するガイド羽部材41は、金属製又は樹脂製の薄厚の弾性シート状部材を成形加工して構成されている。本実施例では、薄厚の弾性シート状部材として、例えば、厚さ0.2mmのポリプロピレンシートが用いられている。なお、薄厚の弾性シート状部材は、ポリプロピレンシートに限らず、他の金属製又は樹脂製の薄厚の弾性シート状部材であってもよい。また、その厚さは、ホルダ21をベルトライン11で搬送する際ガイド羽部材41に生じる後述のガイド羽部43の変形を復元できる剛性を確保できる厚さがあればよい。なお、厚さについては、取り付け先のホルダ21の基部22に取り付け溝等の特別な取付部を設けずとも、ガイド羽部材41をホルダ21の基部22の外周面に直接取り付けて、ホルダ21をベルトライン11で支障なく搬送できるように、薄い方が好ましい。
図2(a)に示すように、その成形加工前の展開状態で、ガイド羽部材41は、矩形状の固定基部42と、基端がこの固定基部42の幅方向(y0方向)の両端部にそれぞれ一体的に接続された一対のガイド羽部43とを有する構成になっている。これにより、ガイド羽部材41は、各ガイド羽部43が、固定基部42の幅方向(y0方向)の両端から、先端が自由端となってそれぞれ延びる構成になっている。
ここで、ガイド羽部材41における固定基部42の幅方向(y0方向)の長さは、図示の例では、ホルダ21の基部22の周面長さの約2分の1程度(ホルダ21の基部22の半径をrとすると、π・r程度)の長さになっている。また、固定基部42の高さ方向(z0方向)の長さは、ホルダ21の基部22の高さ方向(z0方向)の長さ以下になっている。また、各ガイド羽部43の羽根長さは、ガイド羽部材41をホルダ21の基部22に図2(b)に示すように位置決め取り付けた状態で、ガイド羽部43の先端側が最もホルダ21に近接するように変形している場合であっても、ホルダ21の背面向き(x0方向と反対向き)に基部22よりも後方へ突出しないような長さになっている。
ガイド羽部材41は、ホルダ21の基部22に取り付け固定されるに当たって、その固定基部42は、ホルダ21の基部22の周面形状に合わせて湾曲成形され、各ガイド羽部43は、この湾曲成形された固定基部42を基部22の周面に取り付け固定した状態で、ガイド羽部43の基端側部分43aがホルダ21の周面の接線方向に対して所定角度θ1(例えば、20°)を保ちながらホルダ21の周面から離間するように、固定基部42との接続部で折曲成形され、さらにその羽長さの方向に沿った途中部分で、ガイド羽部43の先端側部分43bが前述した基端側部分43aの延設方向に対して所定角度θ2(例えば、20°)を保ちながらホルダ21の周面の接線方向に対してさらに離間するように、折曲成形されている。
そして、試験管搬送システム1では、このように成形加工されたガイド羽部材41を、図1及び図2に示すように、ホルダ21の基準向きすなわち正面向き(x0方向)にガイド羽部材41の正面向き(x0方向)を合せて、ガイド羽部材41の固定基部42をホルダ21の基部22に取り付け固定することにより、試験管搬送システム1の方向補正機構40が構成されている。
これにより、ホルダ21の搬送向きである基準向き(x0方向)を正面にしてホルダ21を眺めて、図1(a)に示すように、ガイド羽部材41のガイド羽部43は、ホルダ21の幅方向(y0方向)に、ホルダ21の基部22の側面よりも突出し、また、ガイド羽部43は、図1(b)〜(d)に示すように、ホルダ21の正面側から背面側に向かって、一対のガイド羽部43間の距離を拡げながら斜め後方方向に延びている。そして、ホルダ21の搬送向きである基準向き(x0方向)に沿って眺めたガイド羽部43の後端(先端側部分43b)は、ホルダ21の後端よりも後方に突出しないようになっている。
その際、一対のガイド羽部43間の離間距離が最大となるガイド羽部43の先端間の離間距離は、ベルトライン11の幅方向それぞれに設けられた一対のベルトガイド壁14間の、ベルトライン11の幅方向に沿ったガイド面間距離と等しいか、またはそれ以上の大きさになっている。これにより、ホルダ21が、その基準向き(x0方向)をベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致させてベルトライン11に搭載された場合、ベルトライン11の幅方向それぞれに設けられた一対のベルトガイド壁14のガイド壁面に、ガイド羽部材41の一方のガイド羽部43だけが片当たりしないようになっている。
そして、このように構成された方向補正機構40のガイド羽部材41に備えられた一対のガイド羽部43の剛性は、ホルダ21がその基準向き(x0方向)をベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致させてベルトライン11に搭載されて移送されているときにベルトガイド壁14、14と接触しているような場合であっても、その接触摩擦により移送中のホルダ21がベルトライン11上で停止せず、かつホルダ21の回転変位を抑制できる程度に、前述したガイド羽部材41自体の材質、厚さも含め、ガイド羽部43の羽長さl、羽の幅d、羽の拡幅角度θ1,θ2等によって調整されている。
次に、被搬送体20であるホルダ21に備えられた方向補正機構40としてのガイド羽部材41の機能について、図3に基づいて説明する。
図3は、被搬送体であるホルダに備えられた方向補正機構としてのガイド羽部材の機能についての説明図である。
図3において、図3(a)は、ホルダ21の基準向き(x0方向)がベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致している様子を示した図であり、図3(b)、(c)は、ホルダ21の基準向き(x0方向)がベルトライン11の搬送方向(x方向)に対して左右いずれかの向きに角度δだけずれている様子を示した図である。
図3(a)に示すような、ホルダ21の基準向き(x0方向)がベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致している状態では、ガイド羽部材41の一対のガイド羽部43は、その先端(先端側部分43aの先端)がそれぞれ対向するベルトガイド壁14と当接した状態になり、ベルトライン11の搬送方向(x方向)に沿ったホルダ21の直径を中心線にして、互いがほぼ線対称の形状状態になっている。このような状態では、ホルダ21がベルトライン11上を搬送されても、各ガイド羽部43の先端がベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさは略等しくなるため、ホルダ21には回転モーメントがほとんど働かない。そのため、ホルダ21は、その基準向き(x0方向)がベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致した状態を保ちながら、ベルトライン11上を搬送される。また、各ガイド羽部43の先端がベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさのバランスが崩れそうになる場合であっても、各ガイド羽部43の先端がベルトガイド壁14に接触しているためホルダ21の回転の抵抗となり、ホルダ21の基準向き(x0方向)の安定化が図られる。
さらに、図示の実施例では、この状態では、ホルダ21の搬送向きである基準向き(x0方向)に沿って眺めたガイド羽部43の後端(先端側部分43bの先端)は、ホルダ21の後端よりも後方に突出しないようになっている。これにより、ベルトライン11上を多数のホルダ21が流れており、後ろから来る他のホルダ21が衝突するような場合であっても、ガイド羽部43は後ろから来る他のホルダ21と衝突しないようになっているため、ホルダ21は他のホルダ21が衝突しても回転しにくくになっている。
これに対し、図3(b)、(c) に示すような、ホルダ21の基準向き(x0方向)がベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致していない状態では、ガイド羽部材41の一対のガイド羽部43の中の一方が、点線で示した通常状態に対して破線で示したように撓み変形してベルトガイド壁14と当接するようになる。そして、一対のガイド羽部43は、ベルトライン11の搬送方向(x方向)に沿ったホルダ21の直径を中心線にして、互いがほぼ線対称の形状状態ではなくなる。このような状態では、ホルダ21がベルトライン11上を搬送されると、各ガイド羽部43の先端がベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさは、一方のガイド羽部43のベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさが他方のガイド羽部43のベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさよりも大きい、いわゆる片当たり状態になり、不均衡が生じるようになる。そのため、ホルダ21には、各ガイド羽部43の先端がベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさを均衡させるような回転モーメントが働くようになる。そのため、ホルダ21は、その基準向き(x0方向)がベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致した状態にするように回転変位しながら、ベルトライン11上を搬送される。
そして、図示の例では、ガイド羽部43は、図2(a)に示すように、ホルダ21の周面の接線方向に対して所定角度θ1を保ちながら離間するように、固定基部42との接続部で折曲成形され、さらにその羽長さの方向に沿った途中部分で、ガイド羽部43の先端側部分43bが基端側部分43aの延設方向に対して所定角度θ2を保ちながらホルダ21の周面の接線方向に対してさらに離間するように、複数回、折曲成形された構成になっている。そのため、ガイド羽部43は、片当たり状態であっても通常の接触状態であっても、ガイド羽部43の先端(先端側部分43aの先端)がベルトガイド壁14と接触又は当接するようになっているため、ベルトガイド壁14に対する当接面や接触面がガイド羽部43の羽面上で変化しないので、ガイド羽部43同士のバランスが崩れにくくなっている。
図4は、図9及び図10に示したような、搬送元と搬送先のベルトライン11間で搬送方向が90°変化する移載部19に関し、ホルダ21の基準向き(x0方向)の角度変化をホルダモーションセンサを用いて測定した結果の一例を示した図である。
図4では、ホルダ21の基準向き(x0方向)の角度変化は、ホルダ21の基準向き(x0方向)が搬送元のベルトライン11-1の搬送方向(x方向)に合致している場合を0°で表し、搬送先のベルトライン11-2の搬送方向(x方向)に合致している場合を90°で表した場合の、ホルダ21の中心軸(z0軸)回りの回転角度である。
図中、破線は、方向補正機構40としてのガイド羽部材41を装着していないホルダ21の回転状態を表し、実線は、方向補正機構40としてのガイド羽部材41を装着した同一ホルダ21の回転状態を示したものである。
本測定では、薄厚の弾性シート状部材として、厚さ0.2mmのポリプロピレンシートを用い、ガイド羽部43の羽長さlが11.5mm、θ1、θ2を共に20°に成形したガイド羽部材41を用いた。また、ホルダモーションセンサには、例えば、国際公開第2011/40203号に記載されているような試験管型点検デバイスを用い、この試験管型点検デバイスを試験管31に代えて試験管搭載部24に搭載し、測定した。
その結果、図4において破線で示すように、方向補正機構40としてのガイド羽部材41を装着していないホルダ21の場合は、ベルトライン間で、ホルダ21の基準向き(x0方向)は、最終的に36°までしか回転しなかった。
これに対し、実線で示すように、方向補正機構40としてのガイド羽部材41を装着したホルダ21の場合は、ベルトライン間で、ホルダの基準向き(x0方向)は、最終的に86°回転しており、ベルトライン11-1、11-2の搬送方向変化によく追随していることが確認できた。
これは、ガイド羽部材41を装着したホルダ21の回転変位が止まった時間400ms以降も、さらに回転変位し続けていることに表れている。その原因として、ホルダ21の底面(被搭載面)全体が搬送先のベルトライン11-2の搭載面上に移動し終わり、ベルトライン間でのホルダ21の移載に伴うホルダ21の回転が停止してしまう状態であっても、ホルダの基準向き(x0方向)が移載先のベルトライン11-2の搬送方向(x方向)と未だ大きくずれているため、ガイド羽部材41の一対のガイド羽部43は、移載先のベルトライン11のベルトガイド壁14に対し、図3 (c) に示すような片当たり状態になっていことに因る。その結果、ガイド羽部材41の上述した作用により、ホルダ21は移載先のベルトライン11-2上を搬送されことによって、各ガイド羽部43の先端がベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさが略等しくなるように、ホルダ21がさらに回転させられ、ガイド羽部材41を装着していないホルダ21よりも、さらに回転するからである。
なお、図4に示した測定結果の一例は、移載元と移載先とで搬送方向が90°変化するベルトライン間の移載部19で、ガイド羽部材41を装着していないホルダ21が、搬送先のベルトライン11-2の搬送方向(x方向)に対して、不足回転した場合に該当する。これに対し、ガイド羽部材41を装着していないホルダ21が過回転してしまう場合でも、ガイド羽部材41を装着したホルダ21の場合は、今度は図3 (c) に示すような片当たり状態になる。その結果、ホルダ21が移載先のベルトライン11上を搬送されることによって、同様に各ガイド羽部43の先端がベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさが略等しくなるように、ホルダ21が逆回り方向に回転させられ、搬送方向変化に追随する。
なお、ベルトライン11間の移載部19での、搬送先のベルトライン11の搬送方向(x方向)に対してのホルダ21の不足回転及び過回転は、搬送元及び搬送先のベルトライン11間でのホルダ搭載面の段差、搭載面の摩擦係数や搬送速度の関係等によって起こるものである。例えば、搬送元及び搬送先のベルトライン間に、図9に示すような、搬送元のベルトライン11-1の搭載面に対して搬送先のベルトライン11-2の搭載面が低くなっている段差がある場合には、移載部19では、搬送元のベルトライン11-1の搭載面から離れたホルダ21の基準向き(x0方向)側の底面(被搭載面)には、ホルダ21の傾倒によって搬送先のベルトライン11-2の搭載面と接触するまで、搬送先のベルトライン11-2の搭載面からその搬送方向に沿った力が作用しないので、段差がない場合に対してその作用の遅れ時間分だけ、ホルダ21の不足回転が起きる。
図5は、図1に示した方向補正機構を適用した試験管搬送システムによるバーコード読み取りの過程の一例を示した図である。
図5(a)は、移載前の、移載元のベルトラインでの試験管が搭載されたホルダの搬送状態を示した図である。
図5(b)は、移載元のベルトラインから移載先のベルトラインへの移載時の試験管が搭載されたホルダの搬送状態を示した図である。
図5(c)は、移載先のベルトラインへの移載完了時の試験管が搭載されたホルダの搬送状態を示した図である。
本実施例の試験管搬送システム1では、図9及び図10に示したと同様な、搬送元と搬送先のベルトライン間で搬送方向が90°変化する移載部19を有し、搬送先のベルトライン11-2の移載部19よりも搬送方向下流側の、搬送方向に対して右側のベルトガイド壁14には、バーコードリーダ51が設けられている。バーコードリーダ51は、ホルダ21に搭載された、検体が収容された試験管31の外周面に貼付されているバーコードラベル52を読み取る。バーコードラベル52には、収容されている検体の種別や処理方法を識別するためバーコードが記載されている。
バーコードラベル52が外周面に貼付された試験管31は、バーコードラベル52の貼付された外周面位置を、ホルダ21の基準向き(x0方向)すなわち正面向きに対して位置決めされて、ホルダ21の試験管搭載部24に搭載される。図示の例では、バーコードリーダ51が、ベルトライン11-2の搬送方向に対して右側のベルトガイド壁14の設けられているため、試験管31は、ホルダ21の正面を前面にして、図1に示すように、バーコードラベル52の貼付外周位置がホルダ21の右側面になるようにして、試験管搭載部24に搭載される。
これにより、試験管31が搭載されたホルダ21を試験管搬送システム1に投入する際、投入されるベルトライン11の搬送方向(x方向)と投入するホルダ21の基準向き(x0方向)とを合致させるようにして投入するだけで、検体が収容された試験管31が搭載されたホルダ21が、搬送元のベルトライン11-1と搬送先のベルトライン11-2との間の搬送方向が90°変化する移載部19を通過する場合であっても、図5(a)〜(c)に示したように、ホルダ21に装着された方向補正機構40としてのガイド羽部材41の前述した作用によって、特別に試験管回転機構を備えずとも、移載先のベルトライン11-2のベルトガイド壁14に設けられたバーコードリーダ51に、試験管31の外周面に貼付されたバーコードラベル52を、読取可能に的確に正対させることができる。
上述した実施例では、方向補正機構40として、金属製又は樹脂製の薄厚の弾性シート状部材を成形加工して、一対のガイド羽部43が固定基部42を介して一体的接続された構成のガイド羽部材41として説明した。しかしながら、方向補正機構40の構成は、ホルダが、その基準向き(x0方向)をベルトライン11の搬送方向(x方向)と合致させるように、各ガイド羽部43を介してベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさに応じてバランスを保ちながら、ベルトライン11上を搬送される構成であれば、その具体的構成は、上述した実施例に限られるものではない。
図6は、ホルダに備えられた方向補正機構の一変形例の構成図である。
図6において、 図6(a)は、方向補正機構が設けられたホルダを高さ方向(z0方向)から眺めた上面図(平面図)、図6(b)は、方向補正機構が設けられたホルダを幅方向(y0方向)に眺めた側面図である。
図示の例では、方向補正機構40は、ホルダ21の基部22に設けられた一対の可倒ガイド腕機構45によって構成されている。可倒ガイド腕機構45は、ベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致させる基部22の基準向き(x0方向)に沿った基部22の直径を中心線にして、基部22の外周面に互いが線対称になるように取り付けられている。
可倒ガイド腕機構45は、ガイド腕部材46を備え、ガイド腕部材46は、基端部がピン等により軸支され、ホルダ21の基部22に対して揺動可能に取り付けられている。そして、ガイド腕部材46の揺動端となる先端部には、ローラ47が回転可能に取り付けられ、このローラ47の外周面が、ベルトガイド壁14に対するガイド腕部材46の接触部になっている。各ガイド腕部材46は、ベルトガイド壁14と接触していない状態で、ホルダ21の基準向き(x0方向)に沿った基部22の接線方向との間で所定角度θ3を有して、先端部がホルダ21の基部22に対して離間させられるように配置されている。そのために、各ガイド腕部材46は、例えばねじりバネ部材48からなる付勢手段によって、ローラ47が設けられた先端部側を基端部側から押し拡げるように付勢されている。
これにより、可倒ガイド腕機構45は、前述した実施例のガイド羽部材41のガイド羽部43の場合と同様に、ホルダ21の搬送向きである基準向き(x0方向)を正面にしてホルダ21を眺めて、ガイド腕部材46の先端部がホルダ21の幅方向(y0方向)に、ホルダ21の基部22の側面よりも突出するようになっている。そして、ガイド腕部材46は、ホルダ21の正面側から背面側に向かって、一対のガイド腕部材46間の距離を拡げながら斜め後方方向に延びている。その際、ホルダ21の搬送向きである基準向き(x0方向)に沿って眺めたガイド腕部材46の先端は、ホルダ21の後端よりも後方に突出しないようになっている。
各ガイド腕部材46は、ホルダ21の基準向き(x0方向)をベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致させてベルトライン11に搭載された状態で、ベルトライン11のベルトガイド壁14と接触するローラ47を介して適度な押圧を壁面にかけることができるように、ガイド腕部材46及びねじりバネ部材48の剛性やバネ力が調整されている。
本実施例の可倒ガイド腕機構45からなる方向補正機構40によっても、前述したガイド羽部材41のガイド羽部43の場合と同様に、ホルダ21は、その基準向き(x0方向)をベルトライン11の搬送方向(x方向)と合致させるように、各可倒ガイド腕機構45のガイド腕部材46を介してベルトガイド壁14から受ける抗力の大きさに応じてバランスを保ちながら、ベルトライン11上を搬送されることになる。
そして、可倒ガイド腕機構45のガイド腕部材46は、搬送中にベルトガイド壁14に接触しても、ベルトガイド壁14からの抗力を回転可能なローラ47を介して受けることができるので、摩耗が少なく、その方向補正性能の長寿命化を図ることができる。
図7は、本開示の搬送システムの別の実施の形態としての試験管搬送システムが有する方向補正機構の一実施例の構成図である。
図7において、図7(a)は、方向補正機構が設けられたホルダを高さ方向(z0方向)から眺めた上面図(平面図)、図7(b)は、方向補正機構が設けられたホルダを幅方向(y0方向)に眺めた側面図である。
図示の例では、方向補正機構40は、ホルダ21の基部22に設けられた一対のマグネット61を有している。各マグネット61は、ベルトライン11の搬送方向(x方向)に合致させる基部22の基準向き(x0方向)に沿った基部22の直径を中心線にして、基部22の外周面に互いが線対称になるように取り付けられている。図示の例では、各マグネット61は、基部22の基準向き(x0方向)に垂直な基部22の直径方向の外周面にマグネット面を臨ませて設けられている。
さらに、本実施例の方向補正機構40では、ベルトライン11のベルトガイド壁14には、図8に示すように、強磁性体62がベルトライン11の搬送路を挟んで搬送路の幅方向(y方向)に相対向させて設けられた構成になっている。
図8は、図7に示した方向補正機構を適用した試験管搬送システムにおけるベルトライン間のホルダの移載過程を示した図である。
強磁性体62は、移載元と移載先のベルトライン間で搬送方向が90°変化する移載部19において、移載元側のベルトライン11-1の搬出部と、移載先側のベルトライン11-1の搬入部とに、それぞれベルトライン11の搬送路を挟んで搬送路の幅方向(y方向)に相対向させて一対ずつ、ベルトライン11のベルトガイド壁14に設けられている。強磁性体62の形成材料には、例えば、鉄、コバルト、ニッケルが利用される。
本実施例の方向補正機構40は、ホルダ21がベルトライン11に設けられた一対の強磁性体62、62間を通過する際、ホルダ21の基部22の両側にそれぞれ設けられたマグネット61と、このマグネット61に対応する強磁性体62との間に作用する磁力(吸引力)が、ホルダ21の幅方向(y0方向)両側でバランスさせるように機能する。
そして、図8に示すような搬送元と搬送先のベルトライン間で搬送方向が90°変化する移載部19では、ホルダ21は、移載元のベルトライン11-1の搬出部に設けられた一対の強磁性体62間を通過する際に、移載が開始される前にまず、ホルダ21の基準向き(x0方向)がベルトライン11-1の搬送方向(x方向)に合致するように調整される。そして、移載先のベルトライン11-2への移載完了後は、移載中にその基準向き(x0方向)が変化したホルダ21は、移載先のベルトライン11-1の搬入部に設けられた一対の強磁性体62間を通過する際に、ホルダ21の基準向き(x0方向)がベルトライン11-2の搬送方向(x方向)に合致するように調整される。
なお、本実施例の方向補正機構40では、ベルトライン11-1の搬出部及び搬入部のベルトガイド壁14にそれぞれ一対の強磁性体62を設けた配置構成で説明したが、強磁性体62の配置構成はこれに限られるものではない。ベルトライン11の搬送方向に沿って適宜間隔を空けてベルトガイド壁14に複数対の強磁性体62を配置した構成としてもよい。
また、上記実施例では、ベルトライン11のベルトガイド壁14に強磁性体62を設けた構成としたが、ベルトラインのベルトガイド壁を強磁性材料で構成しても同様の効果が得られる。
また、搬送元のベルトライン11-1の搬出部に設けられた一対の強磁性体62は、ベルトライン11の搬送方向に沿って互いの位置をずらせて配置することにより、移載におけるホルダ21の回転不足を補えるように、移載が開始される前に予め、ホルダ21の基準向き(x0方向)を移載元のベルトライン11-1の搬送方向(x方向)に対してずらすように構成してもよい。
このように、本開示に係る搬送システム、特に試験管搬送システムの具体的構成は、上述した実施例に限定されるものではなく、種々の変形例が可能である。また、実施例では、被搬送体を連続的に移動させながら移送するライン移送機構としてベルトライン11、を採用したが、ライン移送機構は、被搬送体を連続的に移動させながら移送てきるものであるならば、ベルトライン11に限定されるものではない。
その上で、試験管搬送システムに適用した場合は、ベルトラインの点検を行う際も、ホルダや点検デバイスの進行方向とホルダ内のモーションセンサ(角速度センサと加速度センサ)の検出方向との間の角度が一定になり、センサの回転方向を検出する必要がなくなるため(水平2軸,垂直1軸の3個のセンサによる座標変換が必要)、センサ数を1個に減らすことができる。また、方向検出のための3個のセンサ信号による座標変換が不要になるため計算負荷が低減し、計算精度も向上できる。
また、進行方向に対しカメラの撮像方向を一定にできるので、画像による装置内の検査が容易になる。
また、試験管のバーコードラベルの方向を一定にできるため、バーコードラベルを読み取るための回転機構のコストと装置のスループット向上できる。