本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1〜図11を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係る検体搬送システムが適用される検体検査システムの全体構成を概略的に示す図である。
図1において、検体検査システムは、検体容器109a,109b,109c(以降、各検体容器の区別が必要な場合を除き、検体容器109と総称する)に収容された検体を分析装置107a,107b,107c(以降、各分析装置の区別が必要な場合を除き、分析装置107と称する)での分析処理が可能な状態に処理する前処理工程を実施する前処理装置100と、前処理装置100に適用された検体搬送システム200によって搬送された検体容器109に収容された検体の分析処理を行う複数(例えば3つ)の分析装置107a,107b,107cと、分析装置107による分析処理を含む所定の処理が終了して検体搬送システム200で搬送されてきた検体容器109を収納する収納モジュール113とから概略構成されている。
前処理装置100は、前処理工程を構成する複数の工程の何れかを担う複数の処理モジュールから構成されており、本実施の形態では、検体検査システムに投入された検体容器109を検体ホルダー(保持部材)119に搭載して受付処理を施す投入モジュール102と、投入モジュール102に投入された検体容器109に識別子として例えばバーコードを貼付するバーコード貼付モジュール104と、検体容器109を一時的に収納する収納モジュール101と、検体容器109の開栓処理を行う開栓モジュール103と、検体容器109に収容された検体を必要に応じて他の検体容器(ここでは検体容器109と区別しない)に分注する分注モジュール105とを備えた場合を例示している。
本実施の形態における分析装置107a,107b,107cは、検体容器109の授受を行う検体搬入搬出位置の高さがそれぞれ異なる場合を例示している。例えば、分析装置107aは、前処理装置100から検体容器109が搬出される高さと同じ高さに検体搬入搬出位置を有している場合を例示している。なお、検体搬入搬出位置は、検体容器109の検体に対する分析装置107の他の処理(検体の吸引など)を行う位置であってもよい。また、分析装置107bは、段差構造(例えば、床面に配設された配線や配管等を保護するための保護台等の構造物)上に配置されており、前処理装置100から検体容器109が搬出される高さよりも高い位置に検体搬入搬出位置を有している場合を例示している。また、分析装置107cは、分析装置107aとは構造が異なることにより、前処理装置100から検体容器109が搬出される高さよりも高い位置であって、かつ、分析装置107bの検体搬入搬出位置よりも低い位置に検体搬入搬出位置を有している場合を例示している。
検体搬送システム200は、前処理装置100での前処理が終了した検体(検体容器109)を搬送ライン106a,106b,106c(以降、各搬送ラインの区別が必要な場合を除き、搬送ライン106と称する)に沿って配置された分析装置107に搬送するものであり、検体容器109の搬送方向上流側短部を前処理装置100に接続した搬送ライン106aと、搬送ライン106aの下流側短部に接続された搬送ライン106bと、搬送ライン106bの下流側短部に接続された搬送ライン106cとを備えている。搬送ライン106bと106cの間には、後述する昇降機構108の対応勾配を変更する勾配変更機構が設けられている。また、搬送ライン106cの下流側短部には、収納モジュール113が接続されている。
搬送ライン106aは水平方向に設置されており、前処理装置100から検体容器109を水平方向に搬送する。搬送ライン106aには分析装置107aが設置されており、分析装置107aの検体搬入搬出位置は搬送ライン106aの高さに設けられている。
搬送ライン106bは、搬送ライン106aの下流側短部に上方に直線的に傾斜して接続されており、検体容器109を斜め上方向に搬送する。搬送ライン106bは、言い換えると傾斜搬送ラインである。搬送ライン(傾斜搬送ライン)106bには分析装置107bが設置されており、分析装置107bの検体搬入搬出位置は搬送ライン106bの途中に設けられている。
搬送ライン106cは、搬送ライン106bの下流側短部に下方に直線的に傾斜して接続されており、検体容器109を斜め下方に搬送する。搬送ライン106cは、言い換えると傾斜搬送ラインである。搬送ライン(傾斜搬送ライン)106cには分析装置107cが設置されており、分析装置107cの検体搬入搬出位置は搬送ライン106cの途中に設けられている。
搬送ライン106においては、検体容器109を架設される検体ホルダー119は、昇降機構108に載せられて搬送される。昇降機構108は、搬送ライン106に沿って配置され、図示しない駆動装置により駆動される昇降機構駆動ベルト111によって搬送される。また、昇降機構108は、昇降機構ガイド110に支持されることにより安定的に搬送される。
図2〜図4は、搬送ラインにおける検体容器の搬送に用いられる昇降機構を概略的に示す図である。図2は昇降機構の側面図、図3は上面図、図4は正面図である。なお、図2〜図4においては、昇降機構108の搬送方向を正面(前方向)として説明する。また、説明の簡単のため、検体ホルダー119のみを図示し、検体容器109は図示を省略する。
昇降機構108は、検体容器109を架設する検体ホルダー119を搭載可能であり、搬送ライン106における検体容器109の搬送において、検体容器109を垂直に保った状態で保持部材119を搬送するアダプタ部材である。
昇降機構108は、水平方向に延在するように設けられ、上下に並列に配置された上水平部材1および、昇降機構駆動ベルト接続部10が一体となっている下水平部材2と、上下方向に延在するように設けられ、検体容器109の搬送方向における前後方向に並列に配置された2つの縦部材3,4と、検体ホルダー119を載せる台部材5とから概略構成されている。
上水平部材1と縦部材3,4とは、回動部1a,1bにおいて前後方向に回動可能に接続されている。また、下水平部材2と縦部材3,4とは、回動部2a,2bにおいて前後方向に回動可能に接続されている。上水平部材1と下水平部材2、及び縦部材3と縦部材4は、それぞれ平行に設けられており、回動部1a,1b,2a,2bを頂点とし、各角度を変形可能な平方四辺形(方形を含む)を形成する。また、回動部1a,1b,2a,2bにおいては、各部材1〜4の位置関係が摩擦力によって固定されるように構成されており、例えば、摩擦力を超える力を加えることによって、前述の平方四辺形を変形することが可能である。言い換えると、摩擦力を超える力が加わらない場合は、前述の平方四辺形は保持される。
下水平部材2の回動部1a,1bには、横方向水平に突出するよう配置された水平軸6a,6bが接続されている。また、水平軸6a,6bの軸周りには、水平軸6a,6bに対して長手方向(軸方向)に摺動可能に設けられた支持部材7a,7bが配置されている。支持部材7a,7bの上部には、台部材5が相対的に固定されており、支持部材7a,7bが水平軸6a,6bに対して摺動することにより、台部材5が昇降機構108に対して横方向水平に相対移動可能である。
上水平部材1の前後両端には、昇降機構ガイド110に沿って移動可能に構成された被ガイド部材8a、8bが配置されている。同様に、下水平部材2の前後両端には、昇降機構ガイド110に沿って移動可能に構成された被ガイド部材9a、9bが配置されている。被ガイド部材8a、8b,9a,9bは、例えば、球形状を有している。
図5は、昇降機構ガイドの一例を示す断面図である。
昇降機構ガイド110は、昇降機構108の搬送方向における上下方向および左右方向への被ガイド部材8a、8b,9a,9bの移動を制限しつつ、搬送方向への移動をガイドするものであり、例えば、円筒形状の周方向の一部を欠損した略円筒形状を有している。昇降機構108が昇降機構駆動ベルト111によって駆動されるとき、昇降機構ガイド110の内部を被ガイド部材8a、8b,9a,9bが移動することにより、昇降機構108は搬送ライン106に沿って搬送される。
なお、昇降機構ガイドは図5に示した形状のものには限られない。例えば、図6に示す昇降機構ガイドの他の例(昇降機構ガイド110A)においても、昇降機構ガイド110と同様に昇降機構108の搬送方向における上下方向および左右方向への被ガイド部材8a、8b,9a,9bの移動を制限しつつ、搬送方向への移動をガイドするものであればよく、例えば、半円筒形状を有して構成されていてもよい。この場合においても、昇降機構108が昇降機構駆動ベルト111によって駆動されるとき、昇降機構ガイド110Aの内部を被ガイド部材8a、8b,9a,9bが移動することにより、昇降機構108は搬送ライン106に沿って搬送される。
図7〜図9は、搬送ラインを搬送される場合の昇降機構と昇降機構ガイドとの関係を示す図である。なお、図7〜図9においては、説明のために昇降機構ガイド110と被ガイド部材8a、8b,9a,9bとの接触部分のみを抜き出して概略的に示している。
図7においては、搬送ライン106(傾斜搬送ライン106b)の昇降機構ガイド110に沿って昇降機構108が搬送される場合を示しており、図中の左下側から右上側に昇降機構108が搬送される場合を示している。この場合、被ガイド部材8a,9aが一方(上側)の昇降機構ガイド110に沿い、被ガイド部材8b、9bが他方(下側)の昇降機構ガイド110に沿うように、昇降機構108は変形される。一方および他方の昇降機構ガイド110の間隔は、昇降機構108の台部材5が前後方向において水平となる幅に設定される。また、昇降機構ガイド110によって被ガイド部材8a、8b,9a,9bの左右方向への移動が制限されるため、水平軸6a,6b、支持部材7a,7b、及び台部材5が横方向においても水平に保たれる。このように、台部材5が水平に保たれることにより、検体ホルダー119及び検体容器109が水平に保たれた状態で搬送される。
図8においては、搬送ライン106(搬送ライン106a)の昇降機構ガイド110に沿って昇降機構108が搬送される場合を示しており、図中の左側から右側に昇降機構108が搬送される場合を示している。この場合、被ガイド部材8a,8bが一方(上側)の昇降機構ガイド110に沿い、被ガイド部材9a,9bが他方(下側)の昇降機構ガイド110に沿うように、昇降機構108は変形される。一方および他方の昇降機構ガイド110の間隔は、被ガイド部材8a、8bと被ガイド部材9a、9bの距離に設定される。下側の昇降機構ガイド110によって被ガイド部材9a、9bの下方向への移動が制限されるとともに、昇降機構ガイド110によって被ガイド部材8a、8b,9a,9bの左右方向への移動が制限されるため、水平軸6a,6b、支持部材7a,7b、及び台部材5の水平が保たれる。
図9においては、搬送ライン106(傾斜搬送ライン106c)の昇降機構ガイド110に沿って昇降機構108が搬送される場合を示しており、図中の左上側から右下側に昇降機構108が搬送される場合を示している。この場合、被ガイド部材8a,9aが一方(下側)の昇降機構ガイド110に沿い、被ガイド部材8b、9bが他方(上側)の昇降機構ガイド110に沿うように、昇降機構108は変形される。一方および他方の昇降機構ガイド110の間隔は、昇降機構108の台部材5が前後方向において水平となる幅に設定される。また、昇降機構ガイド110によって被ガイド部材8a、8b,9a,9bの左右方向への移動が制限されるため、水平軸6a,6b、支持部材7a,7b、及び台部材5が横方向においても水平に保たれる。
図10は、勾配変更機構の構成を模式的に示す図である。また、図11は、勾配変更機構の機能を概略的に説明する示す図である。
図10及び図11において、勾配変更機構112は、昇降機構ガイド117と、昇降機構固定機構116と、勾配変更アーム115とから概略構成されている。昇降機構ガイド117は、昇降機構108の被ガイド部材9a,9bをガイドすることにより、昇降機構108の前後方向の水平を保つものであり、昇降機構固定機構116は、昇降機構108を下方から支持して固定するものである。また、勾配変更アーム15は、図示しない駆動機構により駆動され、昇降機構固定機構116により固定された昇降機構108を前後方向の一方から他方側に押すことによって、昇降機構108が対応可能な勾配(対応勾配)を搬送ライン106の勾配(言い換えると、昇降機構ガイド110の勾配)に変更する。勾配変更機構112は、搬送ライン106の傾斜の変更部(例えば、上り斜面の傾斜搬送ライン106bと下り斜面の傾斜搬送ライン106cの切り替え位置に配置される。これにより、検体搬入搬出位置の高さの異なる分析装置107を並列配置して検体を連続的に処理することが可能となる。
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
検体前処理装置においては、検体を収容した検体容器に対して、検体受付処理、遠心処理、開栓処理、小分け分注処理など処理内容の異なる複数の前処理モジュールによって順次処理を行うため、検体を収容した検体容器の開栓した状態での搬送を考慮に入れる必要がある。また、前処理装置には様々な種類の分析装置への接続要求があり、それらの分析装置においては検体容器の搬入搬出位置の高さが一様ではないことも多い。つまり、前処理装置や種々の分析装置をオンライン接続するためには、高さの異なる搬入搬出位置に対応することができる検体容器の搬送機能が要求される。一方で、例えば、搭載した検体容器を垂直方向に搬送して高さを変えるエレベータ方式を用いた搬送機能においては、検体容器の高さを変更する処理がバッチ処理となってしまうため搬送処理の処理速度が低下するという特徴があり、異なる種類の分析装置のオンライン接続数を増やすほどシステム全体の処理速度が低下してしまうという問題があった。
これに対して本実施の形態においては、検体を収容して検体ホルダー119に架設された検体容器109を搬送するための搬送ラインであって、直線的に傾斜した傾斜搬送ライン106b,106cと、搬送ラインで106の検体容器109の搬送に用いられる昇降機構108であって、検体容器109を架設する検体ホルダー119を搭載可能であり、傾斜搬送ライン106b、106cにおける検体容器109の搬送において、検体容器109を垂直に保った状態で検体ホルダー119を搬送する昇降機構108とを備えるように構成したので、搬送処理の処理速度の低下を抑制しつつ、搬送搬出位置の高さが異なる装置間においても検体容器を搬送することができる。
<第1の実施例>
本発明の第1の実施例を図12を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態の検体搬送システムを、ベルトライン型の検体搬送システムに組み込んだ場合を示すものである。
図12は、本実施例の検体搬送システムを上方から見た様子を概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図12において、検体搬送システムは、搬入ベルトライン201によって搬送されてきた検体容器109(検体ホルダー119)を昇降機構108に載せ替える位置に配置された回転機構204と、昇降機構108の検体容器109(検体ホルダー119)を搬出ベルトライン202に載せ替える位置に配置された回転機構203と、検体容器109を搬入ベルトライン201側から搬出ベルトライン202側に搬送する送り側の上りの傾斜搬送ライン206及び下りの傾斜搬送ライン207と、検体容器109を搬出ベルトライン202側から搬入ベルトライン201側に搬送する戻り側の上りの傾斜搬送ライン206及び下りの傾斜搬送ライン207と、上りの傾斜搬送ライン206と下りの傾斜搬送ライン207の間に設置された勾配変更機構112と、異常昇降機構排出ライン205とから概略構成されている。また、送り側の上りの傾斜搬送ライン206及び下りの傾斜搬送ライン207には、搬入ベルトライン201及び搬出ベルトライン202とは、検体搬入搬出位置の高さが異なる分析装置107が配置されている。
回転機構203,204は、昇降機構108を保持した状態で水平方向に回動することにより、昇降機構108の搬送方向を変更するものである。回転機構204において、搬入ベルトライン201から昇降機構108に検体容器109が載せ替えられる。また、回転機構203において、昇降機構108から搬出ベルトライン202に検体容器109が載せ替えられる。回転機構203,204の回転時(及び搬送時)には、昇降機構108の台部材5は縮退して他の構成(搬入ベルトライン201、搬出ベルトライン202等)との接触を回避するとともに、検体容器109の載せ替え時には、昇降機構108の台部材5を横方向に伸長して水平移動することにより載せ替え位置まで移動させる。
検体容器109が載せられた昇降機構108は、上りの傾斜搬送ライン206によって搬送されて分析装置107を介した後、勾配変更機構112に送られる。勾配変更機構112で勾配が変更された昇降機構108は、下りの傾斜搬送ライン207によって搬送されて分析装置107を介した後、回転機構203に送られ、昇降機構108から搬出ベルトライン202に検体容器109が載せ替えられる。
回転機構203において検体容器109を搬出ベルトライン202に搬出した昇降機構108は、回転機構203によって、戻り側の上りの傾斜搬送ライン206に送られ、勾配変更機構112および下りの傾斜搬送ライン207を介して回転機構204に送られる。なお、勾配変更機構112は、昇降機構108の勾配変更の状態を監視して異常を検知する機能を有しており、異常が検知された昇降機構108は、回転機構204によって送り側の傾斜搬送ライン206には送られず、異常昇降機構排出ライン205に送られる。
なお、必要に応じて戻り側の傾斜搬送ライン206,207で検体容器109を載せた昇降機構108を搬送することにより、再度、分析装置107に搬送することも可能である。
<第2の実施例>
本発明の第2の実施例を図13を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態の検体搬送システムを、戻り型のベルトラインを有する検体搬送システムに組み込んだ場合を示すものである。
図13は、本実施例の検体搬送システムを上方から見た様子を概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態及び他の実施例と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図13において、検体搬送システムは、搬入ベルトライン301によって搬送されてきた検体容器109(検体ホルダー119)を昇降機構108に載せ替えるとともに、昇降機構108の検体容器109を搬出ベルトライン306に載せ替える位置に配置された回転機構302と、回転機構302から昇降機構108を搬送する送り側の上りの傾斜搬送ライン303と、昇降機構108を回転機構302側に搬送する戻り側の下りの傾斜搬送ライン305と、傾斜搬送ライン303により搬送されてきた昇降機構108の搬送方向を変えて傾斜搬送ライン305に送り出す回転機構304とから概略構成されている。また、送り側の上りの傾斜搬送ライン303及び下りの傾斜搬送ライン305には、搬入ベルトライン301及び搬出ベルトライン306とは、検体搬入搬出位置の高さが異なる分析装置107が配置されている。また、回転機構304は、昇降機構108の勾配を変更する機構を有している。
搬入ベルトライン301で搬送されてきた検体容器109は、回転機構302で昇降機構108に載せ替えられ、傾斜搬送ライン303で分析装置107を介して搬送された後、回転機構304によって傾斜搬送ライン305に戻されて分析装置107を介して搬送され、回転機構302によって搬出ベルトライン306に載せ替えられて搬出される。
なお、必要に応じて、戻り側の傾斜搬送ライン305で搬送されてきた検体容器109を載せた昇降機構108を回転機構302によって送り側の傾斜搬送ライン303に送ることにより、再度、分析装置107に搬送することも可能である。
<第3の実施例>
本発明の第3の実施例を図14及び図15を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態の検体搬送システムを、追い越し機能を有する検体搬送システムに組み込んだ場合を示すものである。
図14は、本実施例の検体搬送システムにおける検体容器の搬送の概念を模式的に示す図である。また、図15は、本実施例の検体搬送システムを上方から見た様子を概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態及び他の実施例と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図14及び図15において、検体搬送システムは、搬入側の搬送ライン401と、搬送ライン401によって搬送された昇降機構108を下流側に搬送する上りの傾斜搬送ライン403(一般ライン)と、傾斜搬送ライン403と並列に配置され、搬送ライン401によって搬送された昇降機構108を傾斜搬送ライン403とは別に下流側に搬送する上りの傾斜搬送ライン404(追い越しライン)と、搬送ライン401によって搬送された昇降機構108の搬送先を傾斜搬送ライン403(一般ライン)と傾斜搬送ライン404(追い越しライン)の何れに搬送するかを切り替える分岐機構402と、傾斜搬送ライン403(一般ライン)及び傾斜搬送ライン404(追い越しライン)で送られてきた昇降機構108を合流させて下流側に送り出す合流機構405と、合流機構405から送り出された昇降機構108の勾配を変更して下りの傾斜搬送ライン406に送り出す勾配変更機構112と、傾斜搬送ライン406で搬送された昇降機構108を下流側に搬送する搬送ライン407とから概略構成されている。
分岐機構402は、移動機構402bによって搬送方向における横方向に移動可能に設けられた昇降機構ガイド402aを有しており、昇降機構108を保持した状態で移動して傾斜搬送ライン404,405の位置に移動することにより、昇降機構108を搬送する搬送ラインを選択的に切り替えることができる。
合流機構405も分岐機構402と同様の構成を有している。すなわち、合流機構405は、移動機構405bによって搬送方向における横方向に移動可能に設けられた昇降機構ガイド405aを有しており、傾斜搬送ライン404,405の位置に移動して昇降機構108を受け取ることにより、昇降機構108を合流させることができる。
搬送ライン401で搬送された昇降機構108は、載せている検体容器109の優先度などに応じて分岐機構402により、傾斜搬送ライン403(一般ライン)又は傾斜搬送ライン404(追い越しライン)に分岐される。傾斜搬送ライン404(追い越しライン)に送られた昇降機構108は、傾斜搬送ライン403(一般ライン)の昇降機構108を追い越すことにより優先して搬送され、合流機構405で合流されて勾配変更機構112で勾配を変更され、傾斜搬送ライン406を介して搬送ライン407に送られる。また、傾斜搬送ライン403(一般ライン)に送られた昇降機構108は、傾斜搬送ライン404(追い越しライン)の昇降機構108の搬送の後に合流機構405で合流されて勾配変更機構112で勾配を変更され、傾斜搬送ライン406を介して搬送ライン407に送られる。
このように、昇降機構108を分岐機構402で検体容器109に収容された検体の処理の優先度に応じて傾斜搬送ライン403(一般ライン)または傾斜搬送ライン404(追い越しライン)に分岐させることにより、優先度の高い検体をいち早く搬送することが可能である。なお、傾斜搬送ライン404(追い越しライン)によって昇降機構108が搬送される場合には、傾斜搬送ライン403(一般ライン)には昇降機構108が一時的に停止されるため、傾斜搬送ライン403(一般ライン)は、検体容器109を貯留しておくバッファとしての機能も有している。
<第4の実施例>
本発明の第4の実施例を図16及び図17を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態の検体搬送システムを、搬送ラインの分岐機能を有する検体搬送システムに組み込んだ場合を示すものである。
図16は、本実施例の検体搬送システムにおける検体容器の搬送の概念を模式的に示す図である。また、図17は、本実施例の検体搬送システムを上方から見た様子を概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態及び他の実施例と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図16及び図17において、検体搬送システムは、搬入側の搬送ライン401と、搬送ライン401によって搬送された昇降機構108を下流側に搬送する上りの傾斜搬送ライン501と、傾斜搬送ライン501の中途から分岐して配置され、傾斜搬送ライン501を搬送される昇降機構108に載せられた検体容器109の処理工程とは異なる処理工程を要する検体容器109を載せた昇降機構108を搬送する搬送ライン502と、傾斜搬送ライン501を搬送されている昇降機構を傾斜搬送ライン501と搬送ライン502の何れに搬送するかを切り替える分岐機構402と、傾斜搬送ライン501及び搬送ライン502のそれぞれで搬送された昇降機構108の勾配を変更して下りの傾斜搬送ライン503に送り出す勾配変更機構112と、搬送ライン502で搬送された昇降機構108を傾斜搬送ライン503に合流させる合流機構405と、傾斜搬送ライン503で搬送された昇降機構108を下流側に搬送する搬送ライン407とから概略構成されている。なお、本実施例では図示しないが、傾斜搬送ライン501及び搬送ライン502では、異なる処理工程が配置されている。異なる処理工程とは、例えば、異なる分析処理を行う分析装置が配置されている場合、或いは、所定の処理の有無が異なる場合などである。
搬送ライン401及び傾斜搬送ライン501で搬送された昇降機構108は、載せている検体容器109の処理内容などに応じて分岐機構402により、傾斜搬送ライン501又は搬送ライン502に分岐される。傾斜搬送ライン501を搬送される検体容器109と搬送ライン502を搬送される検体容器109とではそれぞれ異なる処理工程が施され、勾配変更機構112で勾配を変更され、合流機構405で合流されて下流側に搬送される。
このように、搬送ラインを分岐させることにより、処理工程の異なる検体を効率良く処理することが可能である。
<第5の実施例>
本発明の第5の実施例を図18及び図19を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態の検体搬送システムを、搬送ラインの分岐機能を有する検体搬送システムに組み込んだ場合を示すものである。
図18は、本実施例の検体搬送システムにおける検体容器の搬送の概念を模式的に示す図である。また、図19は、本実施例の検体搬送システムを上方から見た様子を概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態及び他の実施例と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図18及び図19において、検体搬送システムは、搬入側の搬送ライン401と、搬送ライン401によって搬送された昇降機構108を下流側に搬送する上りの傾斜搬送ライン601と、傾斜搬送ライン601を搬送される昇降機構108に載せられた検体容器109の処理工程とは異なる処理工程を要する検体容器109を載せた昇降機構108を搬送する搬送ライン602と、搬送ライン401によって搬送された昇降機構108の搬送先を傾斜搬送ライン601と搬送ライン602の何れに搬送するかを切り替える分岐機構402と、搬送ライン401によって搬送された昇降機構108を搬送ライン602側に搬送する搬送ライン604と、搬送ライン601によって搬送された昇降機構108の搬送先を傾斜搬送ライン603と搬送ライン604の何れに搬送するかを切り替える分岐機構402Aと、搬送ライン604を搬送された昇降機構108を搬送ライン602の中途に合流させる合流機構405と、傾斜搬送ライン603と搬送ライン602で送られてきた昇降機構108を合流させて搬送ライン405に送り出す合流機構405とから概略構成されている。なお、分岐機構402Aは、分岐機構402と同様の機能を有するとともに、昇降機構108の勾配を変更する機構も有している。
このように構成した本実施例においても、第4の実施例と同様に、搬送ラインを分岐させることにより、処理工程の異なる検体を効率良く処理することが可能である。
<第6の実施例>
本発明の第6の実施例を図20及び図21を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態の検体搬送システムを、戻りラインを有する検体搬送システムに組み込んだ場合を示すものである。
図20は、本実施例の検体搬送システムにおける検体容器の搬送の概念を模式的に示す図である。また、図21は、本実施例の検体搬送システムを上方から見た様子を概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態及び他の実施例と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図20及び図21において、検体搬送システムは、搬入側の搬送ライン401と、搬送ライン401によって搬送された昇降機構108を下流側に搬送する送り側の上りの傾斜搬送ライン701と、傾斜搬送ライン701と並列に配置され、搬送ライン701によって搬送された昇降機構108を搬送ライン701の上流側に戻す戻り側の下りの傾斜搬送ライン702と、搬送ライン401によって搬送された昇降機構108と戻り側の傾斜搬送ライン702によって搬送された昇降機構108とを合流して傾斜搬送ライン701に送り出す合流機構405と、傾斜搬送ライン701によって搬送された昇降機構108の勾配を変更する勾配変更機構112と、勾配変更機構112を介した昇降機構108の搬送先を戻り側の傾斜搬送ライン702と送り側の下りの傾斜搬送ライン704の何れに搬送するかを切り替える分岐機構402と、傾斜搬送ライン704で搬送された昇降機構108を下流側に搬送する搬送ライン407とから概略構成されている。
このように構成した本実施例においては、必要に応じて検体容器109を戻すことにより、再度、同様の処理工程を通過させることが可能となる。
<第1の実施例の変形例>
本発明の第1の実施例の変形例を図22〜図23を参照しつつ説明する。
本変形例は、第1の実施例の検体搬送システムをにおいて、3台の分析装置を直列配置した場合を示すものである。
図22は、本変形例の検体搬送システムを上方から見た様子を概略的に示す図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図22においては、昇降機構108が傾斜搬送ライン801を通り、回転機構802で搬送角度を変更し、搬送ライン803を搬送させて検体搬入搬出位置803aで停止さて分析装置107に検体容器109(又は検体)を取り込む。その後、回転機構802で搬送角度を変更し、勾配変更機構112で昇降機構108の勾配を変更し、搬送ライン804を搬送させて検体搬入搬出位置804aで停止さて分析装置107に検体容器109(又は検体)を取り込む。 を変更する。その後、回転機構802で搬送角度を変更し、搬送ライン805を搬送させて検体搬入搬出位置805aで停止さて分析装置107に検体容器109(又は検体)を取り込む。その後、回転機構802で搬送角度を変更し、搬送ライン806で下流側に搬送される。
また、図23は他の変形例の検体搬送システムを上方から見た様子を概略的に示す図である。本変形例は、第1の実施例の検体搬送システムにおいて、2台の分析装置によりループ処理を行う場合を示すものである。
図23においては、昇降機構108が傾斜搬送ライン901を通り、回転機構802を介して傾斜搬送ライン902で搬送されて検体搬入搬出位置902aで停止さて分析装置107に検体容器109(又は検体)を取り込む。その後、回転機構802で搬送角度を変更し、勾配変更機構112で昇降機構108の勾配を変更し、傾斜搬送ライン804を搬送させた後、回転機構802で搬送角度を変更し、傾斜搬送ライン903を搬送させて検体搬入搬出位置903aで停止さて分析装置107に検体容器109(又は検体)を取り込む。その後、再処理が必要な場合には、回転機構802で搬送角度を変更して、戻り側の傾斜搬送ライン905で回転機構802に搬送されてループ処理される。また、再処理が必要出ない場合には、回転機構802を介して傾斜搬送ライン904で下流側に搬送される。
また、図24はさらに他の変形例の検体搬送システムを上方から見た様子を概略的に示す図である。本変形例は、第1の実施例の検体搬送システムにおいて、3台の分析装置を用いるとともに分岐処理を行う場合を示すものである。
図24においては、昇降機構108が傾斜搬送ライン1001を通り、回転機構802で搬送方向を変更された後、傾斜搬送ライン1002で搬送されて検体搬入搬出位置1002aで停止さて分析装置107に検体容器109(又は検体)を取り込む。その後、昇降機構108は、勾配変更機構112で勾配を変更され、回転機構802で傾斜搬送ライン1003又は傾斜搬送ライン1005の何れかの方向に搬送角度が変更されて送り出される。傾斜搬送ライン1003では、検体搬入搬出位置1003aで停止さて分析装置107に検体容器109(又は検体)を取り込み、回転機構802で搬送角度が変更されて、搬送ライン1004に搬送される。また、傾斜搬送ライン1005では、検体搬入搬出位置1005aで停止さて分析装置107に検体容器109(又は検体)を取り込み、回転機構802で搬送角度が変更されて、搬送ライン1006に搬送される。
なお、本発明は、上記した実施の形態及び各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例や組み合わせが含まれる。つまり、上記した実施の形態は本願発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。すなわち、傾斜搬送ラインに分岐機構、合流機構、回転機構等を適宜組み合わせて、所望の検体搬送システムを構成することができる。