(1)概要
以下の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。以下の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態のインターホンシステム1は、図1に示すように、通話装置30と判定部27と通知部35とを備える。通話装置30は、施設10の管理領域10A外に設置されて来訪者が施設10の管理領域10A内の利用者と通話するための装置である。本実施形態では、施設10は、一例として戸建住宅であることを想定する。この場合、「利用者」とは、戸建住宅の居住者(住人)に相当する。したがって、「管理領域10A内」とは、宅内に相当し、「管理領域10A外」とは、宅外(例えば外玄関)に相当する。
ただし、施設10は、戸建住宅以外に、集合住宅(マンション)、オフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港等であってもよい。例えば、施設10が集合住宅である場合、「管理領域10A内」とは各住戸内に相当し、「管理領域10A外」とは集合住宅の共用玄関等に相当する。
そして、判定部27は、通話装置30を操作した来訪者が特定の来訪者か否かを判定する。本実施形態では、特定の来訪者が、一例として図3に示すような配達業者M1であることを想定する。ただし、特定の来訪者は、配達業務を専門とする配達会社の配達業者M1以外に、特定の近隣住人、郵便配達員、訪問販売業者、銀行員、ホームヘルパー、医療施設の職員、老人施設の介護職員、スーパーマーケット等の店員等であってもよい。
通知部35は、来訪者が特定の来訪者と判定され、かつ、利用者が管理領域10A内に居るとき、利用者が管理領域10A内に居る旨を来訪者に通知する。なお、上述の通り、施設10が一例として戸建住宅であることを想定するため、以下では、説明の便宜上、利用者(住人)が管理領域10A内(宅内)に居る旨の通知を、「在宅通知」と呼ぶ。
この構成によれば、特定の来訪者に対して在宅通知が行われる。したがって、実際には利用者が管理領域10A内に居るにも関わらず、特定の来訪者に誤って利用者が不在と判断される可能性を低減することができる。
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態のインターホンシステム1について、図1〜図5を参照して詳しく説明する。インターホンシステム1は、図1に示すように、一例として戸建住宅である施設10の管理領域10A内(宅内)に設置されたインターホン親機2(室内親機)と、管理領域10A外に設置されたインターホン子機3(玄関子機)と、を備えている。インターホンシステム1は、図1に示すように、管理領域10A内にそれぞれ設置された、提示部4と検知部6とを更に備えている。インターホンシステム1は、1又は複数の室内子機(不図示)を備えていてもよい。
インターホン親機2は、インターホン子機3との間で通信(例えば、通話、及び映像信号の受信等)を行うように構成されている。また、インターホン親機2は、図1に示すように、管理領域10A内に設置されているルータ7を介して、インターネット等のネットワークNT1に接続可能である。そのため、インターホン親機2は、ネットワークNT1に接続されているサーバ装置5に接続することができる。
インターホンシステム1が集合住宅等に適用される場合には、インターホン親機2を複数備え、各インターホン親機2が住戸内に設置され、インターホン子機3が共用玄関に設置されていてもよい。この場合、インターホン子機3と各インターホン親機2との間において呼出制御を行い、信号を中継する制御装置(不図示)が集合住宅等の管理室に設置されていることが望ましい。あるいは、インターホンシステム1は、インターホン子機3を複数備え、各インターホン子機3が、各住戸内のインターホン親機2と対応するように、各住戸の外玄関に設置されていてもよい。
(2.2)インターホン子機
まず、インターホン子機3の構成について説明する。インターホン子機3は、図1に示すように、制御部31と、通信部32と、通話部33と、操作部34と、を備えている。制御部31、通信部32、通話部33、及び操作部34は、来訪者が施設10の管理領域10A内の住人と通話するための通話装置30(第1通話装置)を構成する。また、インターホン子機3は、通話装置30に加えて、通知部35と、撮像部36と、を更に備えている。なお、インターホン子機3は、記憶部(不図示)を備えていてもよい。
制御部31は、例えばプロセッサ及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータで構成されている。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが制御部31として機能する。これにより、通信部32、通話部33、操作部34、通知部35及び撮像部36を制御する機能が実現される。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
通信部32は、インターホン親機2と通信するための通信インタフェースである。通信部32は、例えばツイストペア線等からなる2線式の伝送路L1(図1では1本の線で示す)を介して、インターホン親機2と電気的に接続されている。通信部32は、撮像部36で撮像した映像信号をインターホン親機2に送信する。さらに、インターホン子機3とインターホン親機2との間で音声信号及び制御信号等が双方向に伝送可能となるように、通信部32は、インターホン親機2との間で双方向に通信可能に構成されている。
通話部33は、スピーカ及びマイクロホン等を有している。通信部32にてインターホン親機2から受信したデジタルの音声信号がアナログの音声信号に変換(復調)され、当該音声信号が通話部33のスピーカから出力される。また、通話部33のマイクロホンにて集音された音声は、マイクロホンからアナログの音声信号として通信部32に入力され、通信部32にてデジタルの音声信号に変換されてインターホン親機2へ送信される。すなわち、通話部33のスピーカ及びマイクロホンにより、インターホン親機2との間で通話が実現される。
操作部34は、住人を呼び出すための呼出操作を受け付けるように構成されている。操作部34は、図4に示すように、例えば呼出ボタン340を有しており、来訪者が呼出ボタン340に対して押操作すると、インターホン子機3は、住人を呼び出すための呼出信号を通信部32からインターホン親機2へ送信する。なお、インターホンシステム1が集合住宅等に適用される場合には、操作部34は、複数の入力ボタンを有した入力装置を備え、来訪者が入力装置へ訪問先の住戸の番号を入力することで、該当する住戸のインターホン親機2へ呼出信号が送信されてもよい。
通知部35は、インターホン親機2にて来訪者が特定の来訪者の一例として配達業者M1であると判定され、かつ、住人が管理領域10A内に居るとき、住人が管理領域10A内に居る旨の通知、すなわち、「在宅通知」を来訪者に対して行う。具体的には、通知部35は、図4に示すように、インターホン子機3の筐体の前面に設けられた表示パネル350を有している。表示パネル350は、例えば液晶ディスプレイである。
配達業者M1が操作部34の呼出ボタン340を押操作すると、当該押操作によってインターホン親機2から呼出音が鳴動される。配達業者M1は、一般的に、呼出ボタン340の押操作後、所定の時間(例えば30秒)が経過し、更にもう一度呼出ボタン340の押操作を行なっても住人の応答が無ければ、住人が不在であると判断する。しかし、住人にとっては在宅中であっても、トイレで用を足している最中であったり、入浴中であったり、寝間着姿であったりして、直ちに応答できない場合がある。
そこで、通知部35は、通信部32を介して、インターホン親機2から在宅通知の実行指令等を含んだ制御信号を受信すると、「在宅メッセージ」を表示パネル350に表示させる。在宅メッセージの例としては、「只今、在宅中ですが直ちに応答できません。暫くお待ちください。」等が挙げられる。インターホン子機3は、メッセージデータをインターホン親機2から受信してもよいし、メッセージデータを制御部31のメモリ内に予め記憶していてもよい。メッセージデータが制御部31のメモリ内に予め記憶されている場合、通知部35は、在宅通知の実行指令のみを含んだ制御信号を受信してもよい。また、在宅メッセージは、複数種類あってもよく、インターホン親機2にて判定される来訪者の種類に応じて、異なるメッセージが表示パネル350に表示されてもよい。
また、インターホン子機3がタッチパネルディスプレイを備えている場合には、タッチパネルディスプレイが表示パネル350と操作部34とを兼ねてもよい。なお、配達業者M1の判定については、後の「(2.3)インターホン親機」の欄で詳しく説明する。
撮像部36は、撮像素子を有し、被写体(来訪者)を撮像するためのカメラである。本実施形態では、来訪者がインターホン子機3を操作する際に来訪者を撮像できるように、撮像部36の撮像エリア(視野)は、図4に示すように、インターホン子機3の前方に設定されている。本実施形態の撮像部36は、例えば、動画を撮像するカメラである。さらに、本実施形態の撮像部36は、例えば、カラー画像を撮像するカメラである。
撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の二次元イメージセンサである。撮像部36は、被写体からの光をレンズ等の光学系によって撮像素子の撮像面(受光面)上に結像させ、撮像素子にて被写体からの光を電気信号に変換する。そして、撮像部36は、撮像素子の出力信号を映像信号として、通信部32を介してインターホン親機2へ送信する。撮像部36における撮像処理の開始は、呼出ボタン340が押操作されたことをトリガーとする。なお、オプションとして、撮像処理の開始は、インターホン子機3の筐体の前面に設けられた人感センサ(不図示)で人を感知したことをトリガーとして行われてもよい。
(2.3)インターホン親機
次に、インターホン親機2の構成について説明する。インターホン親機2は、図1に示すように、制御部21と、通信部22と、通話部23と、操作部24と、第1取得部25(利用者情報取得部)と、記憶部26と、を備えている。制御部21、通信部22、通話部23、操作部24、第1取得部25、及び記憶部26は、住人が来訪者と通話するための通話装置20(第2通話装置)を構成する。また、インターホン親機2は、通話装置20に加えて、判定部27と、第2取得部28(予告情報取得部、及び識別情報取得部)と、を更に備えている。
制御部21は、例えばプロセッサ及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータで構成されている。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが制御部21として機能する。これにより、通信部22、通話部23、操作部24、第1取得部25及び第2取得部28等を制御する機能が実現される。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。本実施形態では、図1に示すように、制御部21と判定部27とが別体に図示されているが、判定部27の機能も、制御部21のプロセッサがプログラムを実行することにより実現されてもよい。要するに、制御部21が、判定部27の機能も兼ねてもよい。
通信部22は、インターホン子機3と通信するための通信インタフェースである。通信部22は、伝送路L1を介して、インターホン子機3と電気的に接続されている。通信部22は、インターホン子機3との間で双方向に通信可能に構成されている。
通話部23は、スピーカ及びマイクロホン等を有している。通信部22にてインターホン子機3から受信したデジタルの音声信号がアナログの音声信号に変換(復調)され、当該音声信号が通話部23のスピーカから出力される。また、通話部23のマイクロホンにて集音された音声は、マイクロホンからアナログの音声信号として通信部22に入力され、通信部22にてデジタルの音声信号に変換されてインターホン子機3へ送信される。なお、来訪者がインターホン子機3の呼出ボタン340を押操作して通信部22が呼出信号を受け取ると、通話部23のスピーカから呼出音が鳴動される。
操作部24は、管理領域10A内の在又は不在の申告を住人(利用者)が予め入力するための入力部240を有している。第1取得部25(利用者情報取得部)は、入力部240に入力された申告を「利用者情報」として取得する。ところで、本実施形態の操作部24は、タッチパネルディスプレイ241を有している(図5参照)。このタッチパネルディスプレイ241には、通信部22がインターホン子機3から受信した映像信号が出力される。また、住人は、タッチパネルディスプレイ241を通じて種々の設定及び操作(通話音や呼出音の音量設定、撮像部36で撮像された過去の映像の再生、映像の録画に関する操作等)を行うことができる。さらに、操作部24は、タッチパネルディスプレイ241の周辺に、種々の入力ボタン(通話の開始ボタン及び通話の終了ボタン等)を有している。
なお、住人が所有する情報端末(例えばスマートフォン等の携帯端末)が、上述した操作部24における入力部240の機能を担ってもよい。つまり、在又は不在の申告は、例えばインターホン親機2と通信可能なスマートフォン等を介して行われてもよい。
ここで、本実施形態の操作部24は、図5に示すように、メニュー画面を経由して、在宅申告画面N1をタッチパネルディスプレイ241に表示させることができる。図示例では、在宅申告画面N1に、後述する(図3中の配達物M2が配達される)予定時間帯N2と合わせて、「在宅」及び「不在宅」を示す四角いボタン型の図形が表示されている。住人は、指先で「在宅」の表示部位N3、又は「不在宅」の表示部位N4をタッチすることで、予定時間帯N2に対して上記申告を行うことができる。要するに、タッチパネルディスプレイ241が、上記申告を入力するための入力部240の機能を兼ねている。在宅申告画面N1で入力された申告は、当該画面で注釈されるように、当日限り有効であることが望ましいが、数日先の予定時間帯に対する申告を受け付け可能であってもよい。
第1取得部25(利用者情報取得部)は、住人が管理領域10A内に居るか否かに関する「利用者情報」を取得するように構成されている。本実施形態の第1取得部25は、操作部24のタッチパネルディスプレイ241に入力された上記申告に関するデータを受け取り、予定時間帯N2を含む(後述の)予告情報と対応付けて記憶部26に記憶させる。
さらに、第1取得部25は、検知部6と無線通信又は有線通信するためのインタフェースを有している。検知部6は、住人が管理領域10A内に居るか否かを自動的に検知するように構成されている。具体的には、検知部6は、例えば、管理領域10A内に設置されている1又は複数の人感センサから構成されている。検知部6は、管理領域10A内の電気負荷を管理するための制御機器、いわゆるHEMS(Home Energy Management System)コントローラであってもよい。検知部6がHEMSコントローラである場合、検知部6は、管理領域10A内の消費電力から、住人が管理領域10A内に居るか否かを判断してもよい。また、検知部6は、電気錠の状態(開状態又は閉状態)に関する情報から、住人が管理領域10A内に居るか否かを判断してもよい。この他にも、検知部6は、例えばエアコンディショナが動作中か否かを(消費電力ではなく)送風量や、室内の温度、湿度等から判断し、その動作判定結果から住人が管理領域10A内に居るか否かを判断してもよい。いずれの場合においても、検知部6は、もし住人が居ると判断すれば検知信号を第1取得部25へ送信する。
記憶部26は、データを書き換え可能なメモリであって、不揮発性メモリであることが好ましい。記憶部26は、撮像部36で撮像した映像を記憶するように構成されている。また、記憶部26は、第1取得部25及び第2取得部28で取得した種々の情報(利用者情報、並びに、後述する予告情報及び識別情報等)を記憶するように構成されている。さらに、記憶部26は、インターホン子機3の表示パネル350に表示させるための複数種類の在宅メッセージを予め記憶している。住人は、タッチパネルディスプレイ241を通じて、記憶部26内に記憶されている複数種類の在宅メッセージの中から、実際に使用する在宅メッセージを適宜に選択することができる。また、在宅メッセージの内容は、タッチパネルディスプレイ241を通じて、住人の好みに合わせて編集することができてもよい。
第2取得部28(予告情報取得部、及び識別情報取得部)は、ルータ7を介して、ネットワークNT1に接続されているサーバ装置5から「予告情報」及び「識別情報」を取得するように構成されている通信インタフェースである。ここで言うサーバ装置5は、例えば配達会社が所有する情報配信用のサーバである。ただし、サーバ装置5は、種々の情報配信を請け負っている仲介業者(配信業者)が所有する装置であってもよく、この場合、配達会社のサーバ装置とインターホン親機2との間において、データの中継を行うことになる。
ここで、第2取得部28が取得する予告情報は、配達物M2が配達される予定時間帯(例えば2017年○月×日の午後12:00〜16:00)を少なくとも含む。予告情報は、予定時間帯に加えて、配達会社名、配達物M2の差出人、配達物M2の種類や品名、及び、配達日の平日、土日、祝日の別を含む情報等を含んでいることが好ましい。予定時間帯は、例えば、通販等で商品を購入した顧客(この場合住人)又は差出人が予め配達業者に対して指定した時間帯である。第2取得部28は、予告情報を、事前(例えば配達日の前日)にサーバ装置5から受け取る。第2取得部28は、取得した予告情報を、記憶部26に記憶する。
例えば、住人がタッチパネルディスプレイ241を操作して、在宅申告用のメニューを呼び出したときには、記憶部26に記憶されている未配達の全ての予告情報が抽出されて、一覧として表示されることが望ましい。住人は、予告情報の一覧から申告したい予定時間帯を選択することで、図5に示すような「在宅」及び「不在宅」を入力可能な在宅申告画面N1に切り替わる。なお、既に配達済みの過去の予告情報に関するデータ(履歴)が、タッチパネルディスプレイ241を通じて閲覧可能であることが望ましい。
第2取得部28は、この予告情報を、サーバ装置5からではなく配達業者M1が携帯する携帯端末M3(通信端末、図4参照)から受け取ってもよい。携帯端末M3は、配達業務専用の端末であってもよいし、スマートフォン等であってもよい。また、配達業者M1が移動中に渋滞等に遭遇して、予定時間帯の終わりの時刻よりも30分程度遅くなることが見込まれる場合には、第2取得部28は、後追いで修正された予告情報をサーバ装置5又は携帯端末M3から受け取ってもよい。
第2取得部28が取得する識別情報とは、配達業者M1を識別するための情報であり、判定部27で来訪者が配達業者M1であるか否かを判定するために用いる情報である。識別情報は、一例として、配達会社の会社コード、又は配達業者M1の各人に付与されている固有のID情報(例えば社員番号)等を含む。このID情報は、予告情報の予定時間帯において、実際に施設10を訪れる予定の配達業者M1のID情報である。
第2取得部28は、識別情報を、事前(例えば配達日の前日、又は予定時間帯の開始時刻よりも数時間前)にサーバ装置5から受け取る。第2取得部28は、識別情報を、予告情報と合わせて同時にサーバ装置5から受け取ってもよい。第2取得部28は、取得した識別情報を記憶部26に記憶する。識別情報は、配達業者M1の顔画像であってもよい。また、識別情報は、配達会社を特定するための情報として、会社コード以外に、配達会社の社名、配達会社の配達業者M1が着用する制服や帽子に関する情報(色、柄等)、配達会社の特有のシンボルマーク等に関する情報であってもよい。なお、配達業者M1の成りすましを防ぐために、第2取得部28は、予告情報とは違って、この識別情報を配達業者M1が携帯する携帯端末M3から受け取ることは望ましくない。すなわち、第2取得部28は、この識別情報をサーバ装置5から受け取ることが望ましい。
ところで、インターホン親機2は、ルータ7を介して、住人が所持する携帯端末(例えばスマートフォン等)とも接続可能である。住人の携帯端末とルータ7との間の通信は、例えば、WiFi(登録商標)による無線通信である。上述した在又は不在の申告は、住人の携帯端末を介して、インターホン親機2に対して行われてもよい。
(2.4)インターホン親機の判定部
以下、インターホン親機2の判定部27について詳しく説明する。判定部27は、インターホン子機3の通話装置30を操作した来訪者が特定の来訪者(ここでは配達業者M1)か否かを判定するように構成されている。判定部27は、第2取得部28を介してサーバ装置5から予め受け取っていた識別情報を用いて、特定の来訪者の判定処理を行う(以下、単に「判定処理」と呼ぶ)。
本実施形態の判定部27は、通話装置30が操作されたこと、例えば呼出ボタン340が押操作されたことをトリガーとして判定処理を実行する。また、撮像部36も、上述の通り、例えば呼出ボタン340が押操作されたことをトリガーとして撮像処理を実行する。なお、呼出ボタン340を押操作する意思を持たない不審者を撮像することを目的とする場合、オプションとして、撮像部36の撮像処理は、更に、人感センサで人を感知したときにも実行されてもよい。ただし、本実施形態では、配達業者M1等のように住人をインターホン子機3で呼び出す意思を持つ来訪者に対して、在宅通知を行うことを想定している。そのため、ここでは、一例として、本実施形態の撮像部36は、判定部27の判定処理と同様に、通話装置30が操作されたときに撮像処理を開始する。
以下、判定部27の動作について、図2のフローチャート図を参照しながら説明する。判定部27は、通話装置30が操作されると、判定処理を開始する(ステップS1)。判定処理は、次の第1処理、第2処理、及び第3処理を含む。判定部27は、第1処理において、記憶部26内に記憶されている全ての予告情報を確認し、通話装置30が操作された現在の時刻に該当する予定時間帯を含んだ予告情報が存在するか否かを判断する(ステップS2)。判定部27は、該当する予告情報が存在すれば(ステップS2:Yes)、判定処理を継続し(ステップS3へ)、存在しなければ判定処理を終了する(ステップS4)。つまり、現在の時刻が、配達物M2が配達される予定時間帯以外の時間帯であれば、在宅メッセージは、表示パネル350に表示されない。
なお、配達業者M1が渋滞等に巻き込まれて配達が予定時間帯よりも遅延することを考慮して、判定部27は、第1処理において、予定時間帯の終了時刻から更に30分〜1時間程度多く含んだ時間帯を用いてもよい。また、判定処理の開始後、判定部27が第1処理を実行せずに直接ステップS3へ移行するように、タッチパネルディスプレイ241を通じて、設定変更が可能であってもよい。例えば、住人が、翌日配達予定の配達物に関して、予告情報をサーバ装置5から予め受け取っていないことを承知している場合もある。そのような場合には、第1処理をキャンセルするように設定変更できてもよい。
続いて、判定部27は、第2処理を実行する(ステップS3)。判定部27は、第2処理において、撮像部36の撮像処理で得られた来訪者の画像データを用いて画像解析を行う。そして、判定部27は、第2処理において、画像解析を通じて、来訪者が配達業者M1であるか否かを特定することが可能な情報(以下「特定情報」と呼ぶ)を取得する(ステップS5)。さらに、判定部27は、第3処理において、取得した特定情報と、サーバ装置5から予め受け取っていた記憶部26内の識別情報とを照合して、通話装置30を操作した来訪者が配達業者M1か否かを判定する(ステップS6)。
ここで、本実施形態では、判定部27は、第2処理において、サーバ装置5から予め受け取っていた識別情報に応じて、次のような特定情報の取得を行う。
(識別情報:会社コードと配達業者のID情報)
サーバ装置5から取得した識別情報が、例えば、会社コード、及び/又は配達業者M1のID情報を含んでいるとする。判定部27は、配達業者M1によって提示される社員証M4(図3参照)に印刷されているバーコード、QRコード(登録商標)等の2次元バーコード、文字列といった識別符号を、撮像部36で撮像された画像データから読み取る。そして、判定部27は、読み取った識別符号から、特定情報として会社コード及び/又はID情報を抽出する。この場合、通知部35は、表示パネル350に、例えば「配達員の方は社員証等をご提示ください。」といったメッセージを事前に出力させることが好ましい。判定部27は、第3処理で、画像データから抽出した特定情報(会社コード及び/又はID情報)と、記憶部26内の識別情報とを照合して、通話装置30を操作した来訪者が配達業者M1か否かを判定する。
なお、配達業者M1の社員証M4が、例えば非接触ICカードであれば、判定部27は、画像解析を行わなくてもよい。この場合、インターホン子機3は、NFC(Near FieldCommunication)によって、インターホン子機3に近づけられた社員証M4から特定情報を取得できるように通信インタフェースを有していることが好ましい。判定部27は、第3処理で、社員証M4からNFCによって得られた会社コード及び/又はID情報と、記憶部26内の識別情報とを照合して、通話装置30を操作した来訪者が配達業者M1か否かを判定する。
また、判定部27は、図4に示すように、社員証M4に印刷されているバーコード又はQRコードの代わりに、配達業者M1の携帯端末M3の画面に表示されているバーコード又はQRコード等を読み取り、特定情報を抽出してもよい。
識別情報は、セキュリティ面の向上を考慮すれば、会社コード及びID情報の両方を含んでいることが好ましいが、これらのいずれか一方のみを含んでいてもよい。
(識別情報:配達業者の顔画像)
サーバ装置5から取得した識別情報が、例えば、配達業者M1の顔画像(又は顔の特徴点のみのデータ)を含んでいるとする。判定部27は、撮像部36で撮像された来訪者の画像データの顔の部分M5(図3参照)から、特定情報として例えば顔の特徴点を抽出する。そして、判定部27は、第3処理で、画像データから抽出した特定情報(特徴点)と、記憶部26内の識別情報とを照合して、通話装置30を操作した来訪者が配達業者M1か否かを判定する。
(識別情報:配達会社の社名とシンボルマーク)
サーバ装置5から取得した識別情報が、例えば、配達会社の社名(例えば○×運輸)及び/又はシンボルマークを含んでいるとする。判定部27は、撮像部36で撮像された来訪者の画像データにおける帽子M6又は制服M7の胸部分M8(図3参照)から、特定情報として「○×運輸」及び/又はシンボルマークに関するデータを抽出する。そして、判定部27は、第3処理で、画像データから抽出した特定情報と、記憶部26内の識別情報とを照合して、通話装置30を操作した来訪者が配達業者M1か否かを判定する。
(識別情報:その他)
サーバ装置5から取得した識別情報は、例えば、配達業者M1の帽子M6及び/又は制服M7の色、柄等に関する情報を含んでいてもよい。この場合、判定部27は、撮像部36で撮像された来訪者の画像データにおける帽子M6及び/又は制服M7から、特定情報(色、柄等)を抽出する。
また、識別情報は、配達番号(伝票番号)等を含んでいてもよい。この場合、判定部27は、配達業者M1によって撮像部36の前に提示された納品書又は物品受領書に印刷されている配達番号、又は、配達業者M1の携帯端末M3の画面に表示されている配達番号を読み取ってもよい。また、識別情報は、配達業者M1のID情報と配達番号の両方を、含んでいてもよい。この場合、ID情報と配達番号の両方を例えばQRコードに入れ込み、これらの両方が、記憶部26内の識別情報との照合に用いられてもよい。
このように、上述した特定情報をサーバ装置5から取得した識別情報と照合することで、判定部27における配達業者M1の判定精度の向上を図ることができる。特に、配達業者M1のID情報、又は配達業者M1の顔画像を特定情報として用いることは、配達業者の成りすましを防ぐ上では、効果的である。なお、第3処理では、上述した会社コード、配達業者M1のID情報、配達業者M1の顔画像、社名、シンボルマーク、制服及び帽子の色、柄、並びに配達番号等の複数の特定情報うち、いずれか2つ以上の特定情報を組み合わせて照合に用いてもよい。この場合、更に、配達業者M1の判定精度の向上を図ることができる。
そして、判定部27は、通話装置30を操作した来訪者が配達業者M1と判定し(第1条件)、かつ、住人が管理領域10A内に居るとき(第2条件)、インターホン子機3の通知部35に在宅通知を行わせる。具体的には、判定部27は、第3処理において、第1条件及び第2条件の両方が満たされているか否かの判定を行う(ステップS6)。判定部27は、第1条件及び第2条件の両方が満たされていれば(ステップS6:Yes)、在宅通知の実行の旨を制御部21に伝え(ステップS7)、判定処理を終了する(ステップS8)。制御部21は、通信部22を通じてインターホン子機3の通知部35に在宅通知を実行させる。その結果、通知部35の表示パネル350に、在宅メッセージとして「只今、在宅中ですが直ちに応答できません。暫くお待ちください。」等が表示される。一方、判定部27は、第1条件及び第2条件のいずれか一方でも満たされていなければ(ステップS6:No)、そのまま判定処理を終了する(ステップS9)。
ここで言う第2条件の「住人が管理領域10A内に居る」という判定は、記憶部26に記憶されている利用者情報に基づいて行われる。すなわち、判定部27は、記憶部26内における事前に住人によって入力された申告の有無を確認し、在宅の申告が有れば、第2条件は満たされていると判断する。ただし、判定部27は、該当する予告情報に対して申告が無くても、検知部6から検知信号を受け取っていれば、第2条件は満たされていると判断する。
なお、通知部35は、来訪者が操作部34を最初に操作した時点から、一定時間(例えば30秒)が経過したとき(第3条件)に、表示パネル350への在宅メッセージの表示をさせることが好ましい。制御部21は、自身のマイクロコンピュータに内蔵されているタイマを用いて一定時間の計時を行い、当該一定時間の経過後に通信部22を通じてインターホン子機3に在宅通知を実行させる。あるいは、インターホン子機3の制御部31が、インターホン親機2から在宅通知の実行指令を受けてから、自身のマイクロコンピュータに内蔵されているタイマを用いて一定時間の計時を行い、当該一定時間の経過後に通知部35に在宅通知を実行させてもよい。なお、第3条件の上記一定時間は、住人(利用者)により、操作部24の入力部240又はインターホン親機2との通信が可能なスマートフォン等を介して適宜に設定変更(例えば30秒から45秒へ)可能であってもよい。
第3条件は、本実施形態のインターホンシステム1において、必須の条件ではない。すなわち、第1条件と第2条件とが満たされていれば、操作部34が操作されてから即座に在宅メッセージが表示されてもよい。しかし、即座に在宅メッセージが表示される場合と比べて、住人は、応答まで一定時間の分だけ更に余裕を持って行動を取ることができる。
制御部21は、通知部35が在宅メッセージの表示を開始してから、住人がインターホン親機2で応答を行うと(例えば通話の開始ボタンを押操作すると)、在宅メッセージの表示を終了させる。また、制御部21は、一定時間が経過する前に住人がインターホン親機2で応答を行うと、在宅メッセージの表示をキャンセルする。なお、住人はインターホン親機2で応答することなく、直接玄関先へ向かい応答する場合もある。したがって、制御部21は、在宅メッセージの表示後、所定の時間(例えば3分)が経過すると、在宅メッセージの表示を終了させることが好ましい。制御部21は、制御部21のマイクロコンピュータに内蔵されているタイマを用いて、上記所定の時間の計時を行う。
さらに、制御部21は、一定時間が経過するまでの間に、住人からインターホン親機2の操作部24を通じて在宅メッセージの表示の緊急停止を受け付け可能に構成されている。例えば、住人が、タッチパネルディスプレイ241に表示されている来訪者の映像を見て、なんらかの事情により応答も在宅メッセージの表示も拒否したい場合には、緊急停止を実行するための操作を行えばよい。要するに、操作部34が操作されてから即座に在宅メッセージが表示される場合と比べて、住人は、在宅メッセージの表示を緊急的にキャンセルすることができる。
このように、本実施形態のインターホンシステム1においては、特定の来訪者(ここでは配達業者M1)に対して在宅通知が行われる。したがって、実際には住人が管理領域10A内に居るにも関わらず、特定の来訪者に誤って住人が不在と判断される可能性を低減することができる。
特に、住人にとっては在宅中であっても、トイレで用を足している最中であったり、入浴中であったり、寝間着姿であったりして、インターホン親機2から呼出音が鳴動しても直ちに応答できない可能性がある。また、住人が高齢者又は身体障害者である場合、インターホン親機2で応答するまでにある程度の時間を要する可能性がある。しかし、在宅通知が行われることで、配達業者M1に誤って住人が不在宅と判断されて不在通知が投函されてしまうという可能性が低減される。したがって、配達物M2の再配達を減らし、配達業者M1の手間を軽減することができる。
また、例えば、集合住宅に宅配ボックス等がある場合、もし配達業者M1に誤って住人が不在宅と判断されると、配達物M2が宅配ボックスに着荷してしまう可能性がある。配達物M2の重量が比較的大きい場合、配達物M2が宅配ボックスに着荷してしまうと、後で住人自身が重い配達物M2を宅配ボックスから管理領域10A内へ持ち運ぶという手間が発生する。この持ち運びは、例えば高齢者又は身体障害者等にとっては大きな負担となり得る。しかし、在宅通知が行われることで、住人自身が重い配達物M2を管理領域10A内へ持ち運ぶという事態が発生する可能性を減らすことができる。
(2.5)提示部
ところで、住人にとっても、実際に在宅通知が実行されたのか否かについて知ることができれば、応答まで、更に余裕を持って行動を取ることができる。そこで、本実施形態のインターホンシステム1においては、図1に示すように、提示部4が設けられている。提示部4は、通知部35によって在宅通知が実行されたことを住人に提示する。提示部4は、在宅通知が実行された旨を、インターホン親機2から有線通信又は無線通信により受け取るように構成されている。提示部4は、液晶ディスプレイ等の表示部を有し、在宅通知が実行された旨を、メッセージとして当該表示部から提示する。
また、提示部4は、スピーカや表示ランプ等の出力部を有し、在宅通知が実行された旨を、当該スピーカから出力される音声で提示してもよいし、当該表示ランプの点灯・点滅で提示してもよい。あるいは、宅内にあるテレビ等の家電機器が提示部4として機能してもよい。この場合、テレビ画面に、在宅通知が実行された旨をポップアップ表示させてもよい。住人は、例えば寝間着姿のままで、ヘッドホンスピーカを用いてテレビ等を視聴していることがある。そのため、住人は来訪者を知らせるインターホン親機2からの呼出音すら聞こえていない場合がある。この点を考慮すれば、在宅通知が実行された旨をメッセージとしてテレビ画面にポップアップ表示させることで、来訪者の存在を知ることができるのは当然のこと、更に、ヘッドホンスピーカを外して普段着へ着替えてから応答できるという余裕もできる。
提示部4は、インターホン親機2に備え付けられていてもよい。すなわち、在宅通知が実行された旨が、インターホン親機2の操作部24のタッチパネルディスプレイ241にメッセージで提示されてもよいし、通話部23のスピーカから出力される音声で提示されてもよい。この場合、インターホン親機2が提示部4の機能を有することで、インターホンシステム1全体としての部材点数の削減、及び構成の簡素化を図ることができる。
(3)変形例
以下に、いくつかの変形例について列記する。以下では上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。
基本例では、判定部27、第1取得部25、及び第2取得部28が、インターホン親機2に設けられている。しかし、この限りではなく、判定部27、第1取得部25、及び第2取得部28の機能がインターホン子機3に設けられていてもよい。つまり、インターホン子機3が、サーバ装置5から直接予告情報を取得して、来訪者が特定の来訪者か否か判定するように構成されていてもよい。しかし、インターホン子機3の大型化及び製造コスト増加の懸念を考慮すれば、基本例のように、判定部27、第1取得部25、及び第2取得部28がインターホン親機2に設けられていることが望ましい。
また、インターホンシステム1が集合住宅等に適用される場合、判定部27、第1取得部25、及び第2取得部28の機能のうちのいくつかは、集合住宅等の管理室に設置されて複数の住戸内のインターホン親機2を制御する制御装置に設けられていてもよい。
また、基本例では、インターホン親機2の制御部21は、1つのインターホン子機3の通知部35へ在宅通知を実行させるように構成されているが、2つ以上のインターホン子機3の通知部35へ在宅通知を実行させるように構成されてもよい。
基本例では、通知部35は、住人が管理領域10A内に居る旨の在宅通知のみを行なっている。しかし、この限りではなく、通知部35は、在宅通知に加えて、「不在宅通知」も行なってもよい。つまり、判定部27は、記憶部26内における事前に住人によって入力された不在宅の申告の有無を確認し、不在宅の申告が有れば、不在宅通知を実行する旨を制御部21に伝えてもよい。この場合、通知部35は、表示パネル350に「申し訳ございませんが、只今、不在宅です。」等のメッセージを表示させる。これにより、来訪者である配達業者M1は、呼出ボタン340を押操作後、必要以上に住人の応答を待つという手間が省ける。
基本例では、通知部35は、来訪者が操作部34を最初に操作した時点から、一定時間(例えば30秒)が経過したとき(第3条件)に、在宅通知を行なっている。しかし、この限りではなく、通知部35は、操作部34が操作された回数が所定の回数以上(例えば2回以上)となったときに、在宅通知を行なってもよい。
また、基本例では、通知部35は、在宅メッセージの表示後、所定の時間(例えば3分)が経過すると、在宅メッセージの表示を終了する。しかし、通知部35は、操作部34が操作された回数が所定の回数以上(例えば2回以上)となったときに、在宅メッセージの表示を終了してもよい。
基本例では、通知部35は、表示パネル350にメッセージを表示させることにより在宅通知を行なっている。しかし、この限りではなく、通知部35は、例えば、スピーカから「只今、在宅中ですが直ちに応答できません。暫くお待ちください。」という内容を音声にて出力することにより在宅通知を行なってもよい。この場合、通話部33のスピーカがこの音声出力を兼ねてもよい。ただし、音声出力の場合、不在宅通知を行うと、住人が不在であることが来訪者以外の不特定の人へも知れわたる可能性があるため、セキュリティの低下を考慮すると、音声出力での不在宅通知は、行わないことが望ましい。また、通知部35は、「在宅中」等と記された表示部位と、その横に設けられている表示ランプとを有し、当該表示ランプを緑色に点灯することで、在宅通知を行なってもよい。
基本例では、在又は不在の申告が、タッチパネルディスプレイ241を通じて行なわれているが、入力部240は、当該申告を入力するための専用のディップスイッチ、又は押しボタンスイッチ等を有していてもよい。
基本例では、申告を入力する入力部240(住人による自己申告)と検知部6(在・不在の自動検知)とが設けられているが、これら両方のうち一方だけが設けられていてもよい。ただし、検知部6のみが設けられている場合に比べて、少なくとも入力部240のみが設けられている方が、住人が管理領域10A内に居るという情報をより精度良く得ることができる。要するに、検知部6は、インターホンシステム1において、必須の構成要素ではない。
基本例では、来訪者によって通話装置30が操作された現在の時刻が、サーバ装置5から予め取得する予告情報に含まれている予定時間帯に該当するときに、在宅通知が行われる。しかし、この限りではなく、通知部35は、通話装置30が操作された現在の時刻が予告情報の予定時間帯以外であっても在宅通知を実行するように構成されていてもよい。例えば、タッチパネルディスプレイ241を通じて、住人側で在宅通知を実行するための時間帯を任意に設定できてもよい。ただし、サーバ装置5から予め取得する予定時間帯に基づいて在宅通知の実行の決定を行う方が、通話装置30を操作した来訪者が配達業者ではないにも関わらず誤って在宅通知が実行されてしまう可能性を低減することができる。
基本例におけるインターホンシステム1(主に判定部27)と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。ここで、インターホンシステム1又は制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、インターホンシステム1又は制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
また、基本例のインターホン親機2は、1つの装置で実現されているが、この構成に限定されない。インターホン親機2の判定部27、第1取得部25、及び第2取得部28の機能のうちの少なくとも1つの機能が、2つ以上の装置に分散して設けられてもよい。例えば、基本例では、第2取得部28が、予告情報取得部の機能と識別情報取得部の機能の両方を兼ねているが、これらの機能が2つ以上の装置に分散して設けられてもよい。
また、通話装置20、判定部27、第1取得部25及び第2取得部28の各々の機能が、複数の装置に分散して設けられていてもよい。例えば、インターホンシステム1のある特定の機能が、複数のシステムに分散して設けられてもよい。また、インターホンシステム1の少なくとも一部の機能(例えば判定部27の機能)は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係るインターホンシステム1は、通話装置30と判定部27と通知部35とを備える。通話装置30は、施設10の管理領域10A外に設置されて来訪者が施設10の管理領域10A内の利用者と通話するための装置である。判定部27は、通話装置30を操作した来訪者が特定の来訪者(配達業者M1)か否かを判定する。通知部35は、来訪者が特定の来訪者と判定され、かつ、利用者が管理領域10A内に居るとき、利用者が管理領域10A内に居る旨を来訪者に通知する(在宅通知の出力)。第1の態様によれば、特定の来訪者に誤って利用者が不在と判断される可能性を低減することができる。
第2の態様に係るインターホンシステム1に関して、第1の態様において、通話装置30は、利用者を呼び出すための呼出操作を受け付ける操作部34を有することが好ましい。通知部35は、来訪者によって操作部34が操作されてから一定時間が経過しても利用者から応答が無ければ、利用者が管理領域10A内に居る旨を来訪者に通知することが好ましい。第2の態様によれば、例えば来訪者によって操作部34が操作されてから即座に利用者が管理領域10A内に居る旨を来訪者に通知する場合と比べて、利用者は、応答まで余裕を持って行動を取ることができる。また、利用者は、一定時間が経過するまでの間に、例えば上記通知の実行を緊急的にキャンセルすることができる。
第3の態様に係るインターホンシステム1に関して、第2の態様において、特定の来訪者とは、配達業者M1であり、当該インターホンシステム1は、予告情報取得部(第2取得部28)を、更に備えることが好ましい。予告情報取得部は、配達物M2が配達される予定時間帯を少なくとも含む予告情報を、配達業者M1のサーバ装置5又は情報端末(携帯端末M3)から受け取ることが好ましい。通知部35は、予定時間帯において、来訪者によって操作部34が操作されてから一定時間が経過しても利用者から応答が無ければ、利用者が管理領域10A内に居る旨を来訪者に通知することが好ましい。第3の態様によれば、予定時間帯以外であれば、たとえ来訪者によって操作部34が操作されても上記通知は行われない。したがって、来訪者が特定の来訪者(配達業者M1)ではないにも関わらず、誤って上記通知が行われる可能性を低減することができる。
第4の態様に係るインターホンシステム1は、第1〜第3の態様のいずれか1つにおいて、管理領域10A内に設置され、通話装置30である第1通話装置との間で来訪者と通話可能な第2通話装置(通話装置20)を、更に備えることが好ましい。第2通話装置(通話装置20)は、利用者が管理領域10A内に居るか否かに関する利用者情報を取得する利用者情報取得部(第1取得部25)を有していることが好ましい。第4の態様によれば、利用者が管理領域10A内に居るという情報をより精度良く得ることができる。
第5の態様に係るインターホンシステム1に関して、第4の態様において、第2通話装置(通話装置20)は、管理領域10A内の在又は不在の申告を利用者が予め入力するための入力部240を、更に有することが好ましい。利用者情報取得部(第1取得部25)は、入力部240に入力された申告を利用者情報として取得することが好ましい。第5の態様によれば、例えば人感センサによる検出情報又は施設10内の消費電力に関する情報を利用者情報として自動的に取得する場合に比べて、利用者が管理領域10A内に居るという情報をより精度良く得ることができる。
第6の態様に係るインターホンシステム1に関して、第1〜第5の態様のいずれか1つにおいて、特定の来訪者とは、配達業者M1であり、当該インターホンシステム1は、識別情報取得部(第2取得部28)を、更に備えることが好ましい。識別情報取得部は、配達業者M1を識別するための識別情報を、配達業者M1のサーバ装置5から受け取ることが好ましい。判定部27は、識別情報取得部で受け取った識別情報を用いて、通話装置30を操作した来訪者が配達業者M1か否かを判定することが好ましい。第6の態様によれば、判定部27における配達業者M1の判定精度の向上を図ることができる。
第7の態様に係るインターホンシステム1は、第1〜第6の態様のいずれか1つにおいて、提示部4を、更に備えることが好ましい。提示部4は、通知部35によって利用者が管理領域10A内に居る旨が来訪者に通知されたことを、利用者に提示することが好ましい。第7の態様によれば、利用者は、上記通知が行われたことを知ることができるため、応答まで余裕を持って行動を取ることができる。
第8の態様に係るインターホン親機2は、施設10の管理領域10A内に設置される。インターホン親機2は、第1〜第7の態様のいずれか1つにおけるインターホンシステム1の通話装置30である第1通話装置との間で来訪者と通話可能な第2通話装置(通話装置20)と、判定部27と、を備える。第8の態様によれば、特定の来訪者に誤って利用者が不在と判断される可能性を低減することが可能なインターホン親機2を提供することができる。
第9の態様に係る制御方法は、施設10の管理領域10A外に設置されて来訪者が施設10の管理領域10A内の利用者と通話するための通話装置30を備えたインターホンシステムの制御方法である。当該制御方法は、通話装置30を操作した来訪者が特定の来訪者(配達業者M1)か否かを判定することを含む。当該制御方法は、来訪者が特定の来訪者と判定され、かつ、利用者が管理領域10A内に居るとき、利用者が管理領域10A内に居る旨を来訪者に通知することを、更に含む。第9の態様によれば、特定の来訪者に誤って利用者が不在と判断される可能性を低減することができる。
第10の態様に係るプログラムは、施設10の管理領域10A外に設置されて来訪者が施設10の管理領域10A内の利用者と通話するための通話装置30を備えたインターホンシステムの機能を、コンピュータシステムに実行させるプログラムである。当該プログラムは、通話装置30を操作した来訪者が特定の来訪者(配達業者M1)か否かを判定する判定ステップを含む。当該プログラムは、来訪者が特定の来訪者と判定され、かつ、利用者が管理領域10A内に居るとき、利用者が管理領域10A内に居る旨を来訪者に通知する通知ステップを、更に含む。第10の態様によれば、特定の来訪者に誤って利用者が不在と判断される可能性を低減することが可能な機能を提供できる。