JP2019099743A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
また、補強性の低いカーボンブラックを使用したり、カーボンブラックの配合量を少なくすることによって、低転がり抵抗を実現し易いが、その手法ではトレッドの強度が低下する等の理由により、耐摩耗性が低下した。一方、補強性の高い微粒径のカーボンブラックを使用すると、耐摩耗性を向上することはできる、微粒径にすることによって、ゴム成分中へのカーボンブラックの分散が悪くなり、加硫したゴム組成物の発熱が高くなる問題があった。
天然ゴム及びポリイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1つのイソプレン系ゴム(A−1)及び前記充填剤に対して親和性を有する官能基を有し、前記イソプレン系ゴム(A−1)と非相溶である変性共役ジエン系重合体(A−2)を含むゴム成分(A)と、
を含み、
前記ゴム成分(A)中、前記イソプレン系ゴム(A−1)の含有量が50〜85質量%、かつ前記変性共役ジエン系重合体(A−2)の含有量が15〜50質量%であり、
前記カーボンブラック(B)の含有量(b)と前記シリカ(C)の含有量(c)との合計量が、ゴム成分(A)100質量部に対して30〜80質量部であり、
前記含有量(b)と前記の含有量(c)との割合が、質量基準で、(b):(c)=60〜85:40〜15であるゴム組成物である。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)と、充填剤とを含む。
ゴム成分(A)は、天然ゴム及びポリイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1つのイソプレン系ゴム(A−1)と、充填剤に対して親和性を有する官能基を有する変性共役ジエン系重合体(A−2)を含む。イソプレン系ゴム(A−1)と変性共役ジエン系重合体(A−2)とは、非相溶である。ゴム成分(A)中、イソプレン系ゴム(A−1)の含有量は50〜85質量%であり、かつ変性共役ジエン系重合体(A−2)の含有量は15〜50質量%である。
充填剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が20〜195m2/gのカーボンブラック(B)と、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が200m2/g以上のシリカ(C)とを含む。
カーボンブラック(B)の含有量(b)とシリカ(C)の含有量(c)との合計量(b+c)は、ゴム成分(A)100質量部に対して30〜80質量部であり、含有量(b)と含有量(c)との割合は、(b):(c)=60〜85:40〜15である。
なお、以下、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積を、「CTAB比表面積」又は、単に「CTAB」と称することがある。
しかし、本発明では、CTABが200m2/g以上となるような微粒径のシリカを用いても、ゴム組成物を上記構成とすることで、耐摩耗性は損なわれずに、低発熱性に優れる加硫ゴムが得られることがわかった。かかる理由は定かではないが、次の理由によるものと推察される。
本発明では、互いに非相溶であるイソプレン系ゴム(A−1)と変性共役ジエン系重合体(A−2)とを含むゴムマトリックス中に、充填剤が含まれることで、充填剤は、変性共役ジエン系重合体(A−2)相に偏在し易くなり、本発明のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムの局所歪が生じにくくなると考えられる。その結果、加硫ゴムは耐摩耗性が損なわれにくくなるのと考えられる。
更に、シリカ配合系での低発熱性により、本発明のゴム組成物から得られる加硫ゴムは、耐摩耗性が損なわれずに、低発熱性を向上することができ、低発熱性に優れると考えられる。
以下、本発明のゴム組成物及びタイヤの詳細について説明する。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)を含有する
ゴム成分(A)は、天然ゴム及びポリイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1つのイソプレン系ゴム(A−1)と、充填剤に対して親和性を有する官能基を有し、イソプレン系ゴム(A−1)と非相溶である変性共役ジエン系重合体(A−2)を少なくとも含む。
ゴム成分(A)が、イソプレン系ゴム(A−1)と変性共役ジエン系重合体(A−2)とで相分離し、変性共役ジエン系重合体(A−2)相に充填剤が偏在することで、加硫ゴム及びタイヤの耐摩耗性に優れる。
ゴム成分(A)は、更に、未変性の共役ジエン系重合体(A−3)を含んでいてもよいし、本発明の効果を損なわない限度において、非共役ジエン系重合体(A−4)を含んでいてもよい。非共役ジエン系重合体(A−4)は変性されていてもよいし、未変性であってもよい。
ゴム成分(A)が更に未変性の共役ジエン系重合体(A−3)を含む場合は、低発熱性の観点から、ゴム成分(A)中の含有量が20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。ゴム成分(A)中の未変性の共役ジエン系重合体(A−3)の含有量は0質量%であることが更に好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A−2)の変性前の重合体、即ち、未変性の共役ジエン系重合体(A−3)としては、ポリイソプレンゴム(IR)以外の合成共役ジエン系ゴムが挙げられ、具体的には、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(BIR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(SBIR)等が挙げられる。
上記合成共役ジエン系ゴムは、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
以上の中でも、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)が好ましい。
「充填剤に対して親和性を有する」とは、「充填剤に対して相互作用性を有する」と換言することができ、具体的には、変性官能基と充填剤表面との間で、例えば、共有結合;分子間力(イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力などの分子間力)を形成することを意味する。
充填剤との相互作用性の高い変性官能基としては、特に制限はなく、例えば、含窒素官能基、含ケイ素官能基、含酸素官能基などが好適に挙げられる。
充填剤に対して親和性を有する官能基は、酸素原子、ケイ素原子、及び窒素原子からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、酸素原子及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1つと、窒素原子とを含むことがより好ましく、酸素原子、ケイ素原子、及び窒素原子の全てを含むことが更に好ましい。
酸素原子、ケイ素原子、及び窒素原子の全てを含む官能基は、シリカにもカーボンブラックにも相互作用することができる。官能基中の原子の含有割合を変えることで、充填剤種の親和性を制御することができる。例えば、酸素原子、ケイ素原子、及び窒素原子の全てを含みながら、窒素原子の含有割合が高い官能基は、カーボンブラックに対する親和性が高くなる傾向にある。また、酸素原子、ケイ素原子、及び窒素原子の全てを含みながら、酸素原子及びケイ素原子の含有割合が高い官能基はシリカに対する親和性が高くなる傾向にある。
変性共役ジエン系重合体(A−2)は、シリカとカーボンブラックの両方に親和性を有する官能基を有する変性共役ジエン系重合体を用いてもよいし、シリカに親和性を有する官能基を有する変性共役ジエン系重合体とカーボンブラックに親和性を有する官能基を有する変性共役ジエン系重合体とを混合して用いてもよい。
R1 a−Si−(OR2)4−a ・・・ (I)
一般式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0〜2の整数であり、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトンは含まれない。
q1は1以上であることが好ましく、1であることがより好ましい。
R31は炭素数1〜10の二価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜5の二価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
R32およびR33は加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。R34およびR35は、各々独立に、炭素数1〜10の一価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜5の二価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
一般式(X)〜(XII)の化合物の中でも、N1,N1,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)−1,7へプタン、2−((ヘキシル−ジメトキシシリル)メチル)−N1,N1,N3,N3−2−ペンタメチルプロパン−1,3−ジアミン、N1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル−N3,N3−ジメチル−N1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン−1,3−ジアミン、4−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N1,N1,N7,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)へプタン−1,7−ジアミンが好ましい。
本発明のゴム組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)比表面積が20〜195m2/gのカーボンブラック(B)を含む。
カーボンブラックのCTAB比表面積が20m2/g未満であると耐摩耗性に優れず、195m2/gを超えると低発熱性に優れない。耐摩耗性をより向上する観点からカーボンブラックのCTAB比表面積は50m2/g以上であることが好ましく、70m2/g以上であることがより好ましい。また、低発熱性をより向上する観点からカーボンブラックのCTABは1502/g以下であることが好ましく、130m2/g以下であることがより好ましい。
カーボンブラックのCTAB比表面積は、JIS K 6217−3:2001(比表面積の求め方−CTAB 吸着法)に準拠した方法で測定することができる。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001(比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法)のA法によって求められる。
なお、カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K 6217−4:2001(オイル吸収量の求め方)によって求められる。
以下、含有量(b)と含有量(c)との合計量〔=(b)+(c)〕を「合計量(d)」と称することがある。
合計量(d)が、ゴム成分(A)100質量部に対して30質量部未満であると、架橋ゴム及びタイヤの耐摩耗性が得られず、80質量部を超えると、架橋ゴムの低発熱性に優れず、タイヤの低ロス性に優れない。
合計量(d)は、架橋ゴム及びタイヤの耐摩耗性をより向上する観点から、ゴム成分(A)100質量部に対して30質量部を超えることが好ましく、35質量部以上であることがより好ましい。合計量(d)は、架橋ゴムの低発熱性およびタイヤの低ロス性をより向上する観点から、ゴム成分(A)100質量部に対して70質量部以下であることが好ましく、55質量部以下であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)比表面積が200m2/g以上のシリカ(C)を含む。
シリカ(C)のCTAB比表面積が200m2/g未満であると、加硫ゴム及びタイヤの耐摩耗性に優れない。シリカ(C)のCTAB比表面積の上限は特に制限されないが、現時点において、250m2/gを超える製品は入手することができない。
シリカ(C)のCTAB比表面積は、加硫ゴム及びタイヤの耐摩耗性をより向上する観点から、210m2/g以上であることが好ましい。
シリカ(C)のCTAB比表面積は、ASTM−D3765−80の方法に準拠した方法で測定することができる。
CTAB比表面積が200m2/g以上となるシリカは、市販品でもよく、例えば、ローディア社のZeosil Premium200MP(商品名)、Evonik社の9500GR(商品名)として、入手することができる。
この割合の数値範囲は、カーボンブラック(B)の含有量(b)とシリカ(C)の含有量(c)との合計量(d)〔=(b)+(c)〕中のシリカ(C)の含有割合が15〜40質量%であることを意味する。
合計量(d)中のシリカ(C)の含有割合が15質量%未満であると耐摩耗性を損ねず低発熱性を向上することが難しくなり、40質量%を超えると耐摩耗性が低下するおそれがある。
合計量(d)中のシリカ(C)の含有割合は30質量%以下であることが好ましい。
充填剤が、カーボンブラック(B)及びシリカ(C)以外の充填剤を含んでいる場合でも、カーボンブラック(B)の含有量(b)とシリカ(C)の含有量(c)との割合〔(b):(c)〕は、質量基準で、60〜85:40〜15であり、好ましくは70〜85:30〜15である。
本発明のゴム組成物は、変性共役ジエン系重合体(A−2)を含むが、シリカ−ゴム成分間の結合を強化して、ゴム組成物の補強性をさらに高めた上で、シリカの分散性を向上させるために、本発明のゴム組成物は、更に、シランカップリング剤を用いてもよい。
本発明のゴム組成物中のシランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量に対して5〜15質量%以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量がシリカの含有量に対して15質量%以下であることで、ゴム成分の補強性及び分散性を改良する効果が得られ、経済性も損ないにくい。また、シランカップリング剤の含有量が、シリカの含有量に対して5質量%以上であることで、ごゴム組成物中のシリカの分散性を高めることができる。
本発明のゴム組成物には、既述のゴム成分(A)、カーボンブラック(B)及びシリカ(C)、並びに必要に応じて含まれるシランカップリング剤以外に、例えば、加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される各種成分を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら各種成分としては、市販品を好適に使用することができる。また、上記ゴム組成物は、ゴム成分と、カーボンブラック(B)と、シリカ(C)と、適宜選択した各種成分とを配合して、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、インテンシブミキサーなどの密閉型混練り装置、ロールなどの非密閉型混練り装置等を用いて混練り後、熱入れ、押出等することにより調製することができる。
本発明のゴム組成物は、充填剤に対して親和性を有する官能基を有する変性共役ジエン系重合体(A−2)を含むため、充填剤と変性共役ジエン系重合体(A−2)との結びつきが強く、ゴム組成物を混練り時に、充填剤の凝集塊をほぐすことができる。そのため、加硫ゴム及びタイヤの低発熱性を高め易い。
本発明の加硫ゴムは、本発明のゴム組成物を加硫したゴムであり、耐摩耗性を損ねずに、低発熱性に優れる。そのため、本発明の加硫ゴムは、タイヤ、防振ゴム、免震ゴム、コンベアベルト等のベルト、ゴムクローラ、各種ホースなどの種々のゴム製品に用いることができる。
例えば、本発明の加硫ゴムをタイヤに用いる場合、タイヤの構成は、本発明のゴム組成物を用いたものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。かかるタイヤは、耐摩耗性を損ねずに、低ロス性に優れる。
タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に本発明のゴム組成物及びコードからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱し、加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
表1に示すゴム成分、カーボンブラック、及びシリカを用い、表2に示す配合処方のゴム組成物を常法に従って調製した。
表1中のゴム成分(A)、カーボンブラック、及びシリカを除く各成分の詳細は次のとおりである。
シランカップリング剤:信越化学工業株式会社製、ABC−856
硫黄:鶴見化学社株式会製、商品名「粉末硫黄」
加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーCZ−G」
ステアリン酸:新日本理化株式会社製、商品名「ステアリン酸50S」
亜鉛華:ハクスイテック株式会社製、商品名「3号亜鉛華」
老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック 6C」
1.ゴム成分(A)
天然ゴム(A−1):RSS#1
変性BR1(A−2):下記製造方法により製造した変性共役ジエン系重合体
変性BR2(A−2):下記製造方法により製造した変性共役ジエン系重合体
未変性BR(A−3):ポリブタジエンゴム、旭化成株式会社製、商品名「NF35R」
上記ゴム成分について、天然ゴム(A−1)と変性BR1(A−2);天然ゴム(A−1)と変性BR2(A−2);天然ゴム(A−1)と未変性BR(A−3)が、それぞれ互いに非相溶であることを確認した。具体的には、実施例及び比較例のゴム組成物について、FIB/SEMを用いて、ゴム組成物の4μm×4μmの領域を観察し、染色具合の違いがあることを確認した。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン83.1gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.04ミリモルを加え、あらかじめn−ブチルリチウムとヘキサメチレンイミンとを1:1のモル比で調整しておいた0.8ミリモルのリチウムアミド化合物を加えた後、50℃で3時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、四塩化スズを0.48ミリモル添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Aを得た。
また、得られたポリマーのミクロ構造を測定した結果、ブタジエン部分のビニル結合量が14%、ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られたポリスチレン換算ピーク分子量が200、000であった。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、1,3−ブタジエン83.1gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.16ミリモルを加え、0.8ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で2時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)〕(メチル)(ジエトキシ)シランを0.72ミリモル添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Bを得た。
また、得られたポリマーのミクロ構造を測定した結果、ブタジエン部分のビニル結合量が30%、ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られたポリスチレン換算ピーク分子量が200、000であった。
CB(B):カーボンブラック、旭カーボン社製、商品名「旭#78」(CTAB:122m2/g)
シリカ1:日本シリカ工業株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(CTAB:150m2/g)
シリカ2:Evonik社製、商品名「9500GR」(CTAB:220m2/g)
調製したゴム組成物をタイヤケースゴムに用いてタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を試作し、試作タイヤから加硫ゴムを切り出して、加硫ゴムの耐摩耗性及び低発熱性を評価した。結果を表2に示す。
各加硫ゴムのサンプルについて、ランボーン摩耗試験を行った。JIS K 6264−2:2005に規定されるランボーン摩耗試験の標準試験条件により、室温(23℃)にて耐摩耗性を評価した。
なお、評価については、比較例1の加硫ゴムのサンプルの摩耗量の逆数を100とした場合の摩耗量の逆数を指数として示し、耐摩耗性指数の数値が大きいほど、耐摩耗性が良好であることを示す。
加硫ゴムについて、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪3%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例1のtanδを100として下記式にて指数表示した。発熱性指数が小さいほど、低発熱性に優れ、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
発熱性指数=(各加硫ゴムのtanδ/比較例1の加硫ゴムのtanδ)×100
上記の耐摩耗性指数と発熱性指数とを用い、下記式にて耐摩耗性と低発熱性のバランス指数を算出した。バランス指数が大きいほど、耐摩耗性と低発熱性のバランスに優れることを示す。
バランス指数=(耐摩耗性指数−100)+(100−低発熱性指数)
また、比較例2のように、ゴム成分として、充填剤に親和性のある官能基を有する変性共役ジエン系重合体を含んでいても、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積(CTAB)が200m2/g以上のシリカ(C)を用いずに、他のシリカを用いた比較例2の加硫ゴムは、バランス指数が大きく、また、比較例1の加硫ゴムに比べ低発熱性を向上するものの、耐摩耗性を損ねてしまうことがわかる。
Claims (7)
- セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が20〜195m2/gのカーボンブラック(B)及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が200m2/g以上のシリカ(C)を含む充填剤と、
天然ゴム及びポリイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1つのイソプレン系ゴム(A−1)及び前記充填剤に対して親和性を有する官能基を有し、前記イソプレン系ゴム(A−1)と非相溶である変性共役ジエン系重合体(A−2)を含むゴム成分(A)と、
を含み、
前記ゴム成分(A)中、前記イソプレン系ゴム(A−1)の含有量が50〜85質量%、かつ前記変性共役ジエン系重合体(A−2)の含有量が15〜50質量%であり、
前記カーボンブラック(B)の含有量(b)と前記シリカ(C)の含有量(c)との合計量が、ゴム成分(A)100質量部に対して30〜80質量部であり、
前記含有量(b)と前記の含有量(c)との割合が、質量基準で、(b):(c)=60〜85:40〜15であるゴム組成物。 - 前記ゴム成分(A)中、前記イソプレン系ゴム(A−1)の含有量が60〜80質量%、かつ前記変性共役ジエン系重合体(A−2)の含有量が20〜40質量%である請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記カーボンブラック(B)の含有量(b)と前記シリカ(C)の含有量(c)との割合が、質量基準で、(b):(c)=70〜85:30〜15である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 前記シリカ(C)は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が210m2/g以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 前記充填剤に対して親和性を有する官能基が、酸素原子、ケイ素原子、及び窒素原子からなる群より選択される少なくとも1つを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 前記充填剤に対して親和性を有する官能基が、酸素原子及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1つと、窒素原子とを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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