JP2019099735A - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】流動性、成形性が良好であり、得られる成形品の耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)がグラフト重合したグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m2)の共重合物である共重合体(B)と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、及びマレイミド系単量体を含むビニル系単量体混合物(m3)の共重合物である共重合体(C)とを含む熱可塑性樹脂組成物。共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)が9.0×104〜11.0×104であり、共重合体(B)中の芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位の合計を100質量%としたとき、シアン化ビニル単量体単位の含有量が25〜40質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、流動性、成形性が良好であり、得られる成形品の耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性に優れる熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関する。
樹脂材料の流動性、成形性を向上させることは、成形品の薄肉化や大型化への対応が容易となることから、自動車分野、電気・電子機器分野など幅広い分野における工業的な有用性が非常に高い。そのため、樹脂材料の流動性の向上については、これまで様々な手法が検討されてきた。これら手法のうち、ゴム質重合体とSAN(スチレンアクリロニトリルコポリマー)とを組み合わせた樹脂材料を用いることによって、ゴム質重合体に由来する特性を保持しつつ、成形品の流動性を高める手法は、すでに工業化されている。このような材料としては、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ASA樹脂(アクリロニトリル−スチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレン・α−オレフィン−スチレン共重合体)などの熱可塑性樹脂がある。
特にAES樹脂については様々な検討がなされているが、成形品の耐衝撃性を向上させるためにAES樹脂を多量に添加する必要があり、この場合、得られる成形品は耐薬品性が低下する。また、成形品の耐衝撃性を向上させるために比較的粒子径の大きいAES樹脂を添加する必要があるため、得られる樹脂の流動性、摺動性が低下する。
成形性、摺動性および耐衝撃性を向上させる手段として、AES樹脂にシリコーンオイルやオレフィン系ゴム質重合体を添加した材料も提案されている(例えば特許文献1〜6参照)。
特開2017−20050号公報 特開2016−180124号公報 特表2015−98832号公報 特開2015−212371号公報 特開2014−169447号公報 特開2013−64124号公報
特許文献1〜6に記載の技術は、成形性、耐衝撃性、耐熱性のいずれかの改良効果はあるものの、流動性、耐薬品性についての改良効果は不十分であり、車両内装材やOA機器、家電部品などへの要求性能を十分には満たすことはできない。
本発明は、流動性、成形性が良好であり、得られる成形品の耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性に優れる熱可塑性樹脂組成物およびその成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を共重合してなる共重合体の質量平均分子量(Mw)とシアン化ビニル単量体単位の含有量を所定範囲とし、この共重合体に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、及び耐熱性付与成分であるマレイミド系単量体を共重合してなる共重合体と、特定のグラフト共重合体と組み合わせることによって、上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)がグラフト重合したグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m2)の共重合物である共重合体(B)と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、及びマレイミド系単量体を含むビニル系単量体混合物(m3)の共重合物である共重合体(C)とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、該共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)が9.0×10〜11.0×10であり、共重合体(B)中の芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位の合計を100質量%としたとき、シアン化ビニル単量体単位の含有量が25〜40質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2] 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)が架橋処理された架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)であり、そのゲル含有率が35〜85質量%である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] 前記ビニル系単量体混合物(m1)100質量%中の芳香族ビニル単量体の割合が60〜85質量%で、シアン化ビニル単量体の割合が15〜40質量%であり、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)とビニル系単量体混合物(m1)の合計100質量%におけるエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の割合が50〜80質量%で、ビニル系単量体混合物(m1)の割合が20〜50質量%であり、前記グラフト共重合体(A)のグラフト率が20〜100%である、[1]又は[2]に記載のグラフト共重合体(A)。
[4] 前記ビニル系単量体混合物(m3)100質量%中の前記芳香族ビニル単量体の割合が40〜60質量%、前記シアン化ビニル単量体の割合が10〜20質量%、前記マレイミド系単量体の割合が30〜40質量%であり、前記共重合体(C)の質量平均分子量(Mw)が7.0×10〜15.0×10である、[1]ないし[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5] 熱可塑性樹脂組成物100質量%中のグラフト共重合体(A)の含有量が18〜20質量%、共重合体(B)の含有量が30〜50質量%、共重合体(C)の含有量が30〜50質量%であり、温度220℃、荷重10kgで測定したMVRが6.0〜14.0cm/10分である、[1]ないし[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性および成形性に優れる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐衝撃性、耐熱性、および耐薬品性に優れた成形品を得ることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本願明細書において「単位」とは、重合体又は共重合体中に含まれる、重合前の化合物(単量体、即ちモノマー)に由来する構造部分を意味し、例えば、「芳香族ビニル単量体単位」とは「芳香族ビニル単量体に由来して共重合体中に含まれる構造部分」を意味する。各共重合体の単量体単位の含有割合は、当該共重合体の製造に用いたビニル系単量体混合物中の該単量体の含有割合に該当する。
また、「成形品」とは、熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
また、数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
〔熱可塑性樹脂組成物〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以下のグラフト共重合体(A)と共重合体(B)と共重合体(C)とを含むものである。
グラフト共重合体(A):エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)がグラフト重合したグラフト共重合体(A)。即ち、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られるグラフト共重合体(A)。
共重合体(B):芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m2)の共重合物である共重合体(B)。即ち、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位を構成単量体として含む共重合体(B)。この共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は9.0×10〜11.0×10であり、共重合体(B)中の芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位の合計を100質量%としたとき、シアン化ビニル単量体単位の含有量が25〜40質量%で、ビニル系単量体混合物(m2)中の芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体の合計100質量%中のシアン化ビニル単量体の含有量は25〜40質量%である。
共重合体(C):芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、及びマレイミド系単量体を含むビニル系単量体混合物(m3)の共重合物である共重合体(C)。即ち、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位とマレイミド系単量体単位とを含む共重合体(C)。
[作用効果]
本発明の熱可塑性樹脂組成物にあっては、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたグラフト共重合体(A)と、質量平均分子量(Mw)とシアン化ビニル単量体単位の含有割合が特定の範囲内にある、芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位を構成単位として少なくとも含有する共重合体(B)と、芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位、およびマレイミド系単量体単位を構成単位として少なくとも含有する共重合体(C)を含むことで、流動性、成形性を高めた上で、得られる成形品の耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性およびその持続性を向上させることができる。
[グラフト共重合体(A)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれるグラフト共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)をグラフト重合してなるものである。
なお、グラフト共重合体(A)に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を架橋処理することで得られる架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)であっても良い。
<エチレン・α−オレフィン共重合体(a)>
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとを公知の重合方法によって共重合することによって得られた、エチレン単位とα−オレフィン単位とを含む共重合体である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、非共役ジエン単位をさらに含むエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体であってもよい。エチレン・α−オレフィン共重合体(a)が非共役ジエン単位を含むことで、得られる成形品の耐衝撃性がより優れたものとなる。
上記α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−イコセン、1−ドコセン等の1種又は2種以上が挙げられる。得られる成形品の耐衝撃性の点から、炭素数が3〜20のα−オレフィンが好ましく、プロピレンが特に好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)のエチレン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を構成する全ての構成単位の合計を100質量%としたときに、45〜80質量%が好ましく、50〜75質量%がより好ましい。エチレン単位の含有率が上記範囲内であると、得られる成形品の耐衝撃性が更に優れたものとなる。
非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。中でも、得られる成形品の耐衝撃性が優れることから、ジシクロペンタジエンおよび/又は5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)が非共役ジエン単位を含むエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体である場合、α−オレフィン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体を構成する全ての構成単位の合計を100質量%としたときに、20〜55質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。また
、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体の非共役ジエン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体を構成する全ての構成単位の合計を100質量%としたときに、0.5〜10.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましい。α−オレフィン単位および非共役ジエン単位の含有率が上記範囲であると、得られる成形品の耐衝撃性が向上する点で好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは4×10〜35×10であり、より好ましくは5×10〜10×10である。質量平均分子量(Mw)が4×10よりも小さい場合には、得られる成形品の耐衝撃性が劣る傾向があり、一方、質量平均分子量(Mw)が35×10よりも大きい場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形性が劣る傾向がある。質量平均分子量(Mw)が5×10〜10×10であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形性がより優れたものとなる。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1〜5であり、より好ましくは3.1〜4.0である。分子量分布(Mw/Mn)が5よりも大きい場合には、得られる成形品の耐衝撃性が劣る傾向がある。分子量分布(Mw/Mn)が3.1〜4.0であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性および成形品の耐衝撃性がさらに優れたものとなる。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定し、標準ポリスチレンで換算した値である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の製造方法は限定されるものではないが、通常、メタロセン触媒又はチーグラー・ナッタ触媒を用いて、エチレンとα−オレフィン、又はエチレンとα−オレフィンと非共役ジエンを共重合することによって製造される。
メタロセン触媒としては、遷移金属(ジルコニウム、チタン、ハフニウム等)にシクロペンタジエニル骨格を有する有機化合物、ハロゲン原子等が配位したメタロセン錯体と、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物等とを組み合わせた触媒が挙げられる。
チーグラー・ナッタ触媒としては、遷移金属(チタン、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウム等)のハロゲン化物と有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物等とを組み合わせた触媒が挙げられる。
重合方法としては、前記触媒の存在下に、エチレンとα−オレフィン、又はエチレンとα−オレフィンと非共役ジエンを溶媒中で共重合させる方法が挙げられる。溶媒としては、炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)が挙げられる。炭化水素溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、原料のα−オレフィンを溶媒として用いてもよい。
エチレン、α−オレフィンや非共役ジエンの供給量、水素等の分子量調節剤の種類や量、触媒の種類や量、反応温度、圧力等の反応条件を変更することによって、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)のエチレン単位の含有率、質量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を調整することができる。
グラフト共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)をグラフト重合して製造しても良いし、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を架橋処理して架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)を製造した後に、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)に芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)をグラフト重合してグラフト共重合体(A)を製造しても良い。その際、重合方法としては、公知の重合方法(乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法等)を用いることができる。特に限定されるものではないが、得られる成形品の耐衝撃性が優れることから乳化重合法が好ましい。
乳化重合法では例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を水性分散体に分散させたオレフィン樹脂水性分散体(b)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)を重合することで、グラフト重合体(A)を得ることができる。
オレフィン樹脂水性分散体(b)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を水性媒体に分散させたものである。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)にビニル系単量体混合物(m1)を乳化重合させてグラフト共重合体(A)を製造する場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を乳化してその後の架橋処理をO/W型エマルションの系で行い、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の水性分散体を得るか、もしくは架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)を乳化することで架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の水性分散体を得る必要があるが、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を乳化してエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の水性分散体を得た後に、架橋処理を行うことが、架橋処理の簡便性から好ましい。以下、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を乳化することで得られるエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の水性分散体をオレフィン樹脂水性分散体(b)とする。
<オレフィン樹脂水性分散体(b)>
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を乳化する方法としては、特に限定されるものではないが、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機などの公知の溶融混練手段でエチレン・α−オレフィン共重合体(a)又はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体を溶融混練し、機械的剪断力を与えて分散させ、乳化剤を含む水性媒体に添加する方法、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)又はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体をペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒に乳化剤とともに溶解し、水性媒体に添加して乳化させた後、十分に攪拌し、炭化水素溶媒を留去する方法などが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を乳化する際に用いることができる乳化剤としては、通常用いられるものであればよく、例えば、長鎖アルキルカルボン酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の公知のものが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化剤の添加量は、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱着色を抑制でき、水性分散体中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の粒子径制御が容易である点から、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して1〜8質量部が好ましい。
酸変性オレフィン重合体としては、質量平均分子量が1,000〜5,000のオレフィン重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン等)を、官能基を有する化合物(不飽和カルボン酸化合物等)で変性したものが挙げられる。不飽和カルボン酸化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノアミド等が挙げられる。酸変性オレフィン重合体の酸価は10〜50mg−KOH/g程度が好ましい。酸変性オレフィン重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸変性オレフィン重合体の添加量は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して、1〜40質量部が好ましい。酸変性オレフィン重合体の添加量が上記範囲内であれば、得られる成形品の耐衝撃性のバランスがさらに優れたものとなる。
なお、オレフィン樹脂水性分散体(b)の水性媒体としては、水又は塩基性物質の水溶液を用いることができる。
上記の乳化処理に用いる乳化剤の種類又は使用量、酸変性オレフィン重合体の種類又は使用量、混練時に加える剪断力、温度条件、水分率等を調整することで、オレフィン樹脂水性分散体(b)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の平均粒子径を制御できる。このオレフィン樹脂水性分散体(b)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の平均粒子径は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の水性分散体に分散している架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の平均粒子径と変わりない。
なお、オレフィン樹脂水性分散体(b)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)や、水性分散体に分散している架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)が、そのまま熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)や架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の平均粒子径を示すことは、電子顕微鏡の画像解析によって確認されている。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(a)又は後述の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の平均粒子径は、得られる成形品の物性が優れたものとなることから、0.2〜0.6μmであることが好ましく、0.3〜0.5μmであることがより好ましい。平均粒子径が0.2μmよりも小さい場合には、得られる成形品の耐衝撃性が劣る傾向がある。平均粒子径が0.6μmよりも大きい場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の耐衝撃性が劣る傾向がある。特に、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)又は架橋エチレン・α-オレフィン共重合体(k)の平均粒子径が0.3〜0.5μmであれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の耐衝撃性がさらに優れたものとなる。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)又は架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の平均粒子径の具体的な測定方法は、後掲の実施例の項に示す通りである。
<架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)>
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に架橋処理を行い、そのゲル含有率を調整したものである。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)又はオレフィン樹脂水性分散体(b)中に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)を架橋処理することにより、得られる成形品の耐衝撃性がさらに優れたものとなる。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)のゲル含有率は、得られる成形品の耐衝撃性が良好となることから、35〜85質量%が好ましく、45〜80質量%がより好ましく、60〜75質量%が特に好ましい。ここで、ゲル含有率とは、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)をトルエンで膨潤させた場合の、膨潤前の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)に対する、乾燥させたトルエン不溶解分の割合であり、具体的な測定方法は、後掲の実施例の項に示す通りである。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の架橋処理は、公知の方法によって行うことができる。架橋処理の方法としては、[1]エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に、有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加して架橋処理を行う方法や、[2]電離性放射線によって架橋処理を行う方法等が挙げられるが、得られる成形品の耐衝撃性の観点から、[1]の方法が好ましい。
[1]の方法としては、具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)又はオレフィン樹脂水性分散体(b)に、有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加し、加熱する方法等が挙げられる。ここで、有機過酸化物および多官能性化合物の添加量、加熱温度、加熱時間等を調整することによって、得られる架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)のゲル含有率を調整することができる。加熱温度は、用いる有機過酸化物の種類により異なり、用いる有機過酸化物の10時間半減期温度の−5℃〜+30℃が好ましい。また、好ましい加熱時間は、3〜15時間である。
有機過酸化物は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に架橋構造を形成させるためのものである。有機過酸化物としては、例えば、ペルオキシエステル化合物、ペルオキシケタール化合物、ジアルキルペルオキシド化合物等が挙げられる。有機過酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ペルオキシエステル化合物の具体例としては、α,α’−ビス(ネオデカノイルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレイト、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ2−ヘキシルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ2−ヘキシルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシマレイックアシッド、t−ブチルペルオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート等が挙げられる。
ペルオキシケタール化合物の具体例としては、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
ジアルキルペルオキシド化合物の具体例としては、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
有機過酸化物としては、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)のゲル含有率を調整しやすい点から、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド化合物が特に好ましい。
有機過酸化物の添加量は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)のゲル含有率を35〜85質量%の範囲に調整しやすい点から、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましい。
多官能性化合物は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)のゲル含有率を調整するために、必要に応じて有機過酸化物と併用されるものである。多官能性化合物としては、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられ、ゲル含有率を調整しやすい点から、ジビニルベンゼンが好ましい。多官能性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能性化合物の添加量は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)のゲル含有率を35〜85質量%に調整しやすい点から、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
<ビニル系単量体混合物(m1)>
本発明で用いるグラフト共重合体(A)に使用されるビニル系単量体混合物(m1)は、ビニル系単量体として少なくとも芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体とを含む混合物である。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−又はp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられ、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の耐衝撃性の点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニル単量体の含有率は、ビニル系単量体混合物(m1)100質量%中60〜85質量%が好ましく、62〜80質量%がより好ましい。芳香族ビニル単量体の含有率が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形品の耐衝撃性がより優れたものとなる。
シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。シアン化ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアン化ビニル単量体の含有率は、ビニル系単量体混合物(m1)100質量%中15〜40質量%が好ましく、20〜38質量%がより好ましい。シアン化ビニル単量体の含有率が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形品の耐衝撃性がより優れたものとなる。
ビニル系単量体混合物(m1)は、上記の芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体の他に、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
他のビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステルや、
N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アルキル置換フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド等のN−アリールマレイミド、N−アラルキルマレイミド等のマレイミド系単量体や、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル等が挙げられ、これらは1種で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
<使用割合>
グラフト共重合体(A)は、上述したエチレン・α−オレフィン共重合体(a)もしくは架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)にビニル系単量体混合物(m1)がグラフト重合したものである。
グラフト共重合体(A)の製造に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(a)もしくは架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の割合は50〜80質量%で、ビニル系単量体混合物(m1)の割合は20〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)もしくは架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)が60〜80質量%で、ビニル系単量体混合物(m1)が20〜40質量%である。ただし、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)もしくは架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)とビニル系単量体混合物(m1)との合計を100質量%とする。エチレン・α−オレフィン共重合体(a)もしくは架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の割合が上記範囲内であれば、グラフト共重合体(A)の生産性が良好であるとともに、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性や成形品の耐衝撃性等の物性バランスが更に向上する。
<グラフト率>
グラフト共重合体(A)は、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性およびその成形品の耐衝撃性のバランスの観点から、グラフト率が20〜100%であることが好ましく、30〜90%がより好ましい。
なお、グラフト共重合体(A)のグラフト率の測定方法については、後掲の実施例の項に示す。
<グラフト共重合体(A)の製造方法>
グラフト共重合体(A)は、塊状重合法、溶液重合法、塊状懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法により製造され、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性およびその成形品の耐衝撃性が良好なことから乳化重合法が好ましい。
乳化重合法によるグラフト共重合体(A)の製造方法としては、例えば、ビニル系単量体混合物(m1)に有機過酸化物を混合した上で、ビニル系単量体混合物(m1)を、オレフィン樹脂水性分散体(b)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)又は架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の水性分散体に分散している架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)に対し、連続的に添加する方法が挙げられる。有機過酸化物は、有機過酸化物と遷移金属と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤として用いるのが好ましい。重合の際に、連鎖移動剤、乳化剤等を状況に応じて用いてもよい。
レドックス系開始剤としては、重合反応条件を高温下にする必要がなく、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の劣化等を避け、得られる成形品の耐衝撃性の低下を回避できる点から、有機過酸化物と硫酸第一鉄−キレート剤−還元剤を組み合わせたものが好ましい。
有機過酸化物としては、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
レドックス系開始剤としては、クメンヒドロペルオキシドと、硫酸第一鉄と、ピロリン酸ナトリウムと、デキストロースとからなるものがより好ましい。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類(オクチルメルカプタン、n−又はt−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−又はt−テトラデシルメルカプタン等)、アリル化合物(アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、これらのナトリウム塩等)、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられ、分子量を調整することが容易な点から、メルカプタン類が好ましい。連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤の添加方法は、一括、分割、連続のいずれでもよい。
連鎖移動剤の添加量は、ビニル単量体混合物(m1)100質量部に対して2.0質量部以下が好ましい。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系塩、脂肪酸塩、アミノ酸誘導体塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部にカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等を有し、カチオン部にアミン塩、第4級アンモニウム塩等を有するものが挙げられる。
乳化剤の添加量は、ビニル単量体混合物(m1)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
乳化重合法によって得られるグラフト共重合体(A)は、水中に分散した状態である。グラフト共重合体(A)を含む水性分散体からグラフト共重合体(A)を回収する方法としては、例えば、水性分散体に析出剤を添加し、加熱、撹拌した後、析出剤を分離し、析出したグラフト共重合体(A)を水洗、脱水、乾燥する析出法が挙げられる。
析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の水溶液が挙げられる。析出剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト共重合体(A)を含む水性分散体に、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。
溶液重合法によるグラフト共重合体(A)の製造方法としては、例えば、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶剤を用いる方法が挙げられ、その不活性重合溶剤としては、エチルベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、ジクロロメチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが用いられる。また、重合開始剤としては、一般的な開始剤が用いられ、例えば、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が用いられる。重合開始剤は、一括で添加してもよく、連続的に添加してもよい。
[共重合体(B)]
共重合体(B)は、芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位を構成単位として少なくとも含有し、必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体単位を構成単位として有するものであって、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m2)を、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、或いはこれらを組み合わせた公知の重合方法で共重合して得られる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−又はp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げられ、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性、成形品の耐衝撃性の点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、前述のビニル系単量体混合物(m1)に含まれる他のビニル系単量体として例示したものなどを適宜使用できる。
共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、9.0×10〜11.0×10であり、9.0×10〜10.0×10が好ましい。共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)が9.0×10よりも小さい場合には、得られる成形品の耐衝撃性が劣るものとなる。一方、質量平均分子量(Mw)が11.0×10よりも大きい場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性が劣るものとなる。質量平均分子量(Mw)が9.0×10〜10.0×10であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性および成形品の耐衝撃性がより優れたものとなる。
ここで、共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定し、標準ポリスチレンで換算した値である。
共重合体(B)は、芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位の合計を100質量%としたとき、シアン化ビニル単量体単位の含有量が25〜40質量%(芳香族ビニル単量体単量体の含有量が75〜60質量%)であり、30〜35質量%(芳香族ビニル単量体単位の含有量が65〜70質量%)が好ましい。シアン化ビニル単量体単位の含有量が25質量%より少ない場合には、得られる成形品の耐薬品性が劣るものとなる。シアン化ビニル単量体単位の含有量が40質量%よりも多い場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性が劣るものとなる。シアン化ビニル単量体単位の含有量が30〜35質量%であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性および成形品の耐薬品性がさらに優れたものとなる。
なお、共重合体(B)が芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位以外の他のビニル系単量体単位を含む場合、共重合体(B)中の他のビニル系単量体単位の含有量は15質量%以下、特に10質量%以下であることが好ましい。
<共重合体(C)>
共重合体(C)は、芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位およびマレイミド系単量体単位を構成単位として少なくとも含有し、必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体単位をも構成単位として有するものであって、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド系単量体、および必要に応じて用いられる他のビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(m3)を、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、これらを組み合わせた公知の重合方法で共重合して得られる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−又はp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げられ、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性、成形品の耐衝撃性の点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
マレイミド系単量体としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アルキル置換フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド等のN−アリールマレイミド、N−アラルキルマレイミドなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、前述のビニル系単量体混合物(m1)に含まれる他のビニル系単量体として例示したもののうち、マレイミド系単量体以外のものなどを適宜使用できる。
共重合体(C)の各単量体単位の含有量については特に制限はないが、得られる熱可塑性樹脂組成物および成形品の耐熱性が良好となることから、芳香族ビニル単量体単位は40〜60質量%、シアン化ビニル単量体単位は10〜20質量%、マレイミド系単量体単位は30〜40質量%、即ち、ビニル系単量体混合物(m3)100質量%中の芳香族ビニル単量体の含有量は40〜60質量%、シアン化ビニル単量体の含有量は10〜20質量%、マレイミド系単量体単位の含有量は30〜40質量%であることが好ましく、他のビニル系単量体の含有量は10質量%以下であることが好ましい。
共重合体(C)の質量平均分子量(Mw)は、7.0×10〜15.0×10であることが好ましく、10.0×10〜14.0×10がより好ましい。共重合体(C)の質量平均分子量(Mw)が7.0×10よりも小さい場合には、得られる成形品の耐衝撃性が劣る傾向がある。一方、質量平均分子量(Mw)が15.0×10よりも大きい場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性が劣るものとなる。質量平均分子量(Mw)が7.0×10〜15.0×10であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性および成形品の耐衝撃性がより優れたものとなる。
ここで、共重合体(C)の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定し、標準ポリスチレンで換算した値である。
[各成分の含有量]
グラフト共重合体(A)の含有量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量%中18〜26質量%が好ましく、20〜25質量%がより好ましい。グラフト共重合体(A)の含有量が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性および成形品の耐衝撃性がさらに優れたものとなる。
共重合体(B)の含有量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量%中30〜50質量%が好ましく、35〜40質量%がより好ましい。共重合体(B)の含有量が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性および成形品の耐衝撃性、耐薬品性がさらに優れたものとなる。
共重合体(C)の含有量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量%中30〜50質量%が好ましく、35〜40質量%がより好ましい。共重合体(C)の含有量が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性および成形品の耐衝撃性、耐熱性および耐薬品性がさらに優れたものとなる。
[その他の熱可塑性樹脂]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、上記グラフト共重合体(A)、共重合体(B)、および共重合体(C)以外の他の熱可塑性樹脂を含有してもよい。他の熱可塑性樹脂としては特に制限はなく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアリレート、液晶ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂およびポリアミド樹脂(ナイロン)等が挙げられる。
ただし、本発明の熱可塑性樹脂組成物が、これらのその他の熱可塑性樹脂を含有する場合、上記グラフト共重合体(A)、共重合体(B)、および共重合体(C)を含有することによる効果を有効に得る上で、熱可塑性樹脂組成物中の全樹脂成分100質量%中のその他の熱可塑性樹脂の割合は、30質量%以下であることが好ましい。
[添加剤]
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、得られる熱可塑性樹脂組成物およびその成形品の物性を損なわない範囲において、熱可塑性樹脂組成物の製造時(混合時)、成形時に、慣用の他の添加剤、例えば酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、染料、充填剤(カーボンブラック、シリカ、酸化チタン等)、シリコーンオイル、パラフィンオイル、耐熱剤、耐候剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤等を配合することができる。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、共重合体(B)、および共重合体(C)と、必要に応じて用いられる添加剤やその他の熱可塑性樹脂とを混合することにより得られる。具体的には、これらの成分をV型ブレンダ、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いて混合分散し、得られた混合物をスクリュー式押出機、バンバリーミキサ、加圧ニーダ、ミキシングロールなどの溶融混練機などを用いて溶融混練することにより製造される。また、必要に応じて、ペレタイザーなどを用いて溶融混練物をペレット化してもよい。
[熱可塑性樹脂組成物のMVR]
本発明の熱可塑性樹脂組成物について温度220℃、荷重10kgで測定したメルトボリュームレイト(MVR)は、6.0〜14.0cm/10分であることが好ましく、7.0〜13.0cm/10分であることがより好ましい。熱可塑性樹脂組成物のMVRが上記下限値以上であれば流動性がより優れたものとなり、上記上限値以下であれば成形性がより優れたものとなる。
熱可塑性樹脂組成物のMVRは、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の質量平均粒子径や分子量および分子量分布、共重合体(B)、(C)の含有量および分子量等によって調整することができる。
「成形品」
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を公知の成形方法によって成形加工して得られる。その成形方法としては、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法、圧空成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等が挙げられる。これらのなかでも、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができるため、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましい。
[用途]
本発明の熱可塑性樹脂組成物およびその成形品は、流動性、成形性が良好であり、また、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性およびその持続性に優れるため、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品は、車両内装部品、事務機器、家電、建材、玩具、文房具等の雑貨等の用途に好適である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例中の「%」および「部」は明記しない限りは質量基準である。
[測定・評価方法]
以下の実施例および比較例における各種測定および評価方法は、以下の通りである。
<体積平均粒子径>
マイクロトラック(日機装社製「ナノトラック150」)を用い、測定溶媒としてイオン交換水を用いて、オレフィン樹脂水性分散体(b)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)や、水性分散体に分散している架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の体積平均粒子径を測定した。実際、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)や架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の体積平均粒子径が、そのまま熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)や架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の体積平均粒子径を示すことを、製造された熱可塑性樹脂組成物の電子顕微鏡写真の画像解析によって確認した。
<ゲル含有率>
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の水性分散体を希硫酸にて凝固させ、水洗乾燥して得られる凝固粉試料[Z1]0.5gを、200mL、110℃のトルエン中に5時間浸漬し、次いで、200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その乾燥物の質量[Z2]を測定し、下記式(1)から、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)のゲル含有率を求めた。
ゲル含有率(質量%)=乾燥物質量[Z2](g)/凝固粉試料質量[Z1](g)×100
・・・(1)
<グラフト率>
グラフト共重合体(A)1gを80mLのアセトンに添加し、65〜70℃にて3時間加熱還流し、得られた懸濁アセトン溶液を遠心分離機(日立工機社製「CR21E」)にて14,000rpm、30分間遠心分離して、沈殿成分(アセトン不溶成分)とアセトン溶液(アセトン可溶成分)を分取した。そして、沈殿成分(アセトン不溶成分)を乾燥させてその質量(Y(g))を測定し、下記式(2)によりグラフト率を算出した。なお、式(2)におけるYは、グラフト共重合体(A)のアセトン不溶成分の質量(g)、XはYを求める際に使用したグラフト共重合体(A)の全質量(g)、ゴム分率はグラフト共重合体(A)の製造に用いた架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の水性分散体における固形分濃度である。
グラフト率(質量%)={(Y−X×ゴム分率)/X×ゴム分率}×100
・・・(2)
<質量平均分子量(Mw)>
GPC(GPC:Waters社製「GPC/V2000」、カラム:昭和電工社製「ShodexAT−G+AT−806MS」)を用い、o−ジクロロベンゼン(145℃)を溶媒として、ポリスチレン換算での質量平均分子量(Mw)を測定した。
<流動性の評価−1.MVR>
ペレット状の熱可塑性樹脂組成物のMVRは、メルトインデックサ(株式会社東洋精機製作所製、「F−F01」)を用い、ISO 1133に準拠し、シリンダ温度220℃、荷重10kgで測定した。MVRが大きいほど、流動性に優れる。
<流動性の評価−2.スパイラル流動長>
ペレット状の熱可塑性樹脂組成物から、スパイラルフロー金型(幅15mm×厚さ2mm)で、射出成形機(株式会社日本製鋼所製「J75EII−P」)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度50℃、射出圧力100MPaの条件で成形し、スパイラル流動長(mm)を測定した。スパイラル流動長が大きいほど、流動性に優れる。
<成形性(成形収縮率)の評価>
ペレット状の熱可塑性樹脂組成物から、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、4オンス)を用い、シリンダー設定温度260℃、金型温度60℃の条件で、射出率20g/秒から+1%、5%、10%と変更し、長さ100mm、幅100mm、厚み3mmの板状の成形品を作製した。
次いで、得られた成形品の長さ(流動方向)、幅(垂直方向)をマイクロメータ(株式会社ミツトヨ製、デジマチック標準外側マイクロメータ「MDC−MB」)を用いて測定し、下記式(3)、(4)から成形品の成形収縮率を求めた。
流動方向の成形収縮率(%)[MD]=
(流動方向の金型寸法[ML0](mm)−流動方向の測定寸法[ML](mm))
/流動方向の金型寸法[ML0](mm)×100 ・・・(3)
垂直方向の成形収縮率(%)[TD]=
(垂直方向の金型寸法[TL0](mm)−垂直方向の測定寸法[TL](mm))
/垂直方向の金型寸法[TL0](mm)×100 ・・・(4)
MD、TDの値が小さいほど、成形性に優れる。
<耐衝撃性の評価>
ISO 3167に準拠して、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物から、射出成形機(東芝機械株式会社製、「IS55FP−1.5A」)を用いて試験片(成形品)を作製した。この試験片のシャルピー衝撃強度(ノッチ付)をISO 179に準拠して、23℃の雰囲気下で測定した。シャルピー衝撃強度が大きいほど耐衝撃性に優れる。
<耐熱性(HDT)の評価>
ISO 3167に準拠して、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物から、射出成形機(東芝機械株式会社製、「IS55FP−1.5A」)を用いて試験片(成形品)を作製した。この試験片の荷重たわみ温度(HDT)をISO 75に準拠して、23℃の雰囲気下で測定した。HDTの温度が高いほど耐熱性に優れる。
<耐薬品性(ベンディングフォーム法)の評価>
ペレット状の熱可塑性樹脂組成物から、ESC金型(厚み2mmm、幅12mm、長さ15mm)で射出成形機(東芝機械株式会社製、「IS55FP−1.5A」)を用いて試験片(成形品)を作製した。この試験片を、0.2〜1.0%歪率の定歪治具にセットし、その上に芳香剤(株式会社ダイヤケミカル製)、又は人工汗液(キシダ化学株式会社製)を滴下した。23℃、50%R.H.の雰囲気中に48時間放置した後に治具から取り外し、過大歪(2.0〜6.0%)をかけ、劣化およびクラックが発生する材料の限界歪値(%)を割り出した。限界歪値が大きいほど耐薬品性に優れる。
<製造例1:エチレン・プロピレン共重合体(a−1)の製造>
20L撹拌機付きステンレス重合槽を十分に窒素置換した後に、脱水精製したヘキサン10Lを添加し、8.0mmol/Lに調製したエチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を、5L/hの量で連続的に1時間供給した後、さらに触媒として0.8mmol/Lに調整したVOClのヘキサン溶液を5L/hの量で、ヘキサンを5L/hの量で連続的に供給した。一方、重合槽上部から、重合槽内の重合液が常に10Lになるように重合液を連続的に抜き出した。バブリング管を用いてエチレンを2300L/hの量で、プロピレンを600L/hの量で、水素を400L/hの量で供給し、同時に5−エチリデン−2−ノルボルネンを100L/hの量で供給し、重合反応を35℃で行った。
前記条件で重合反応を行い、エチレン・プロピレン共重合体(a−1)を含む重合溶液を得た。得られた重合溶液を、塩酸で脱灰した後に、メタノールに投入して析出させた後、乾燥させ、エチレン・プロピレン共重合体(a−1)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(a−1)のポリマーの性状を表1に示す。
<製造例2:エチレン・プロピレン共重合体(a−2)〜(a−5)の製造>
表1に示すように水素の供給量を変更した以外は、エチレン・プロピレン共重合体(a−1)と同様にして、エチレン・プロピレン共重合体(a−2)〜(a−5)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(a−2)〜(a−5)のポリマーの性状を表1に示す。
Figure 2019099735
<製造例3:オレフィン樹脂水性分散体(b−1)の製造>
エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)100部と、酸変性オレフィン重合体として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学社製、「三井ハイワックス 2203A」、質量平均分子量:2,700、酸価:30mg/g)20部と、乳化剤としてオレイン酸カリウム5部(花王社製、「KSソープ」)とを混合した。
この混合物を2軸スクリュー押出機(池貝社製、「PCM30」、L/D=40)のホッパーから4kg/hで供給し、該2軸スクリュー押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウム0.5部とイオン交換水2.4部を混合した水溶液を連続的に供給しながら、220℃に加熱して溶融混練して押出した。溶融混練物を2軸スクリュー押出機の先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。そして、2軸スクリュー押出機先端より吐出させた固体を、80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、固形分濃度40質量%付近まで希釈して、オレフィン樹脂水性分散体(b−1)を得た。電子顕微鏡により、熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の平均粒子径を確認したところ、0.41μmであった。
<製造例4:オレフィン樹脂水性分散体(b−2)〜(b−5)の製造>
表2に示すように、エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)をエチレン・α−オレフィン共重合体(a−2)〜(a−5)へ変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(b−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(b−2)〜(b−5)を得た。
各オレフィン樹脂水性分散体(b−2)〜(b−5)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の平均粒子径を表2に示す。
Figure 2019099735
<製造例5:架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の製造>
オレフィン樹脂水性分散体(b−1)(固形分として100部)に固形分濃度が35%になるようにイオン交換水を加え、有機過酸化物としてt−ブチルクミルペルオキシド1部、多官能性化合物としてジビニルベンゼン1部を添加し、130℃で5時間反応させて、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の水性分散体を得た。
水性分散体に分散している架橋エチレン・プロピレン共重合体(k)のゲル含有率と体積平均粒子径を測定したところ、ゲル含有率は33質量%で、体積平均粒子径は0.40μmであった。
<製造例6:グラフト共重合体(A−1)の製造>
撹拌機付きステンレス重合槽に、水性分散体に分散している架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)(固形分として70部)を入れ、固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部およびフラクトース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。ここへ、スチレン19.8部、アクリロニトリル10.2部およびクメンヒドロペルオキシド0.6部を150分間連続的に添加し、重合温度を80℃に保ち乳化重合を行い、体積平均粒子径0.41μmのグラフト共重合体(A−1)を含むラテックスを得た。グラフト共重合体(A−1)を含むラテックスに酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉状のグラフト共重合体(A−1)を得た。グラフト共重合体(A−1)のグラフト率は40%であった。電子顕微鏡により、熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の平均粒子径を確認している。
<製造例7:グラフト共重合体(A−2)〜(A−6)の製造>
表3に示すように、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)の代りにオレフィン樹脂水性分散体(b−1)〜(b−5)を用いた以外は、グラフト共重合体(A−1)と同様にして、グラフト共重合体(A−2)〜(A−6)を得た。グラフト共重合体(A−2)〜(A−6)のグラフト率を表3に示す。
Figure 2019099735
<製造例8:グラフト共重合体(X)の製造>
蒸留水175部に、ポリブタジエンの乳化ラテックス65部(固形分換算)と、スチレ24.5部、アクリロニトリル10.5部からなる単量体混合物と、不均化ロジン酸カリウム1.3部、硫酸第一鉄0.0046部、フルクトース0.28部、t−ドデシルメルカプタン0.11部及びクメンハイドロパーオキサイド0.20部とを仕込み、60℃から反応を開始し、途中で70℃まで昇温し、2時間半後乳化グラフト重合を完結させた。反応性生物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してグラフト共重合体(X)を得た。グラフト共重合体(X)のグラフト率は33%であった。
<製造例9:共重合体(B−1)の製造>
窒素置換した反応器に、水105部、コハク酸ジカリウム0.003部、リン酸カルシウム0.39部、tert−ブチル−2−エチルペルオキシヘキサノエート0.032部、ビス(3,3−ジメチルブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.062部、tert−ドデシルメルカプタン(t−DM)0.54部と、アクリロニトリル34部およびスチレン39部からなるビニル系単量体混合物を加え、開始温度60℃として、水を60〜240分間に20部、スチレンを165〜375分間に27部ポンプで加えた。5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応後、重合物を取り出した。転化率は96%で、得られた共重合体(B−1)の質量平均分子量(Mw)は9.4×10であった。
<製造例10:共重合体(B−2)〜(B−10)の製造>
重合工程で用いた、tert−ブチル−2−エチルペルオキシヘキサノエート、ビス(3,3−ジメチルブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert−ドデシルメルカプタン(t−DM)、アクリロニトリル、スチレンの量を表4に示すように変更した以外は、製造例9と同様にして共重合体(B−2)〜(B−10)を得た。なお、共重合体(B−6)、(B−8)では、更に1,1−ビス(3,3−ジメチルブチルペルオキシ)シクロヘキサンを表4に示す量加えた。
Figure 2019099735
<製造例11:共重合体(C)の製造>
撹拌装置を備えた20Lの重合反応器を窒素置換した後、この重合反応器に、アクリロニトリル15部、スチレン54部およびN−フェニルマレイミド31部からなる混合液と、メチルエチルケトン30部および重合開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.103部からなる混合液とを別々の配管から連続的に滴下供給し、重合温度100℃および滞留時間90分の条件の下で共重合反応を行った。
次いで、この反応により得られた重合反応液を、重合反応器の底部に備えたギヤポンプにより連続的に抜き取り、その重合反応液を150℃に保持した熱交換機にて約20分滞在させた。その後、バレル温度230℃に制御した2ベントタイプの30mm二軸押出機に導入し、その二軸押出機における大気圧の第1のベント部と、0.0027MPaの第2のベント部とで揮発成分を脱揮した。そして、脱揮したペレタイザーにてペレット化して、共重合体(C)のペレットを得た。得られた共重合体(C)の質量平均分子量は14.5×10であった。
[実施例1〜17、比較例1〜10]
表5〜7に示す種類と量(部)のグラフト共重合体(A)又はグラフト共重合体(X)、共重合体(B)および共重合体(C)と、EBS−WAX(花王製)1.0部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。得られた混合物を、スクリュー式押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX−28型二軸押出機」)を用いて、シリンダー温度200〜260℃、93.325kPa真空にて溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物を得た。さらに、溶融混練後に、ペレタイザー(創研社製「SH型ペレタイザー」)を用いてペレット化を行って、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形性、その成形品の耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性を前記のとおり評価した。これらの結果を表5〜7に示す。
Figure 2019099735
Figure 2019099735
Figure 2019099735
表5〜7より明らかなように、実施例1〜17の本発明の熱可塑性樹脂組成物は流動性、成形性に優れていた。また、実施例1〜17で得られた成形品は、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性の持続性が優れていた。
これらの結果から、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性、成形性が優れており、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性の持続性に優れた成形品を得ることができ、車輌内装部品、OA機器、家電部品、玩具、文房具等の雑貨等の用途に好適に適用できることがわかる。
一方、比較例1〜10の結果から、本発明の要件を満たさないものは、熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形性、成形品の耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性の持続性のいずれかに劣るものであった。
本発明によれば、流動性、成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物により、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性に優れる成形品を得ることができる。特に、熱可塑性樹脂組成物の流動性と得られる成形品の耐熱性および耐薬品性のバランスは、従来の熱可塑性樹脂組成物に比べて高いレベルであり、ベンチレーター、スイッチ、カップホルダーなどの車両内装用部品、OA機器、家電部品、建材、玩具、文房具等の雑貨等への本発明の利用価値は極めて高い。

Claims (6)

  1. エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)がグラフト重合したグラフト共重合体(A)と、
    芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物(m2)の共重合物である共重合体(B)と、
    芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、及びマレイミド系単量体を含むビニル系単量体混合物(m3)の共重合物である共重合体(C)と
    を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    該共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)が9.0×10〜11.0×10であり、
    共重合体(B)中の芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位の合計を100質量%としたとき、シアン化ビニル単量体単位の含有量が25〜40質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)が架橋処理された架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(k)であり、そのゲル含有率が35〜85質量%である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ビニル系単量体混合物(m1)100質量%中の芳香族ビニル単量体の割合が60〜85質量%で、シアン化ビニル単量体の割合が15〜40質量%であり、
    前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)とビニル系単量体混合物(m1)の合計100質量%におけるエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の割合が50〜80質量%で、ビニル系単量体混合物(m1)の割合が20〜50質量%であり、
    前記グラフト共重合体(A)のグラフト率が20〜100%である、請求項1又は2に記載のグラフト共重合体(A)。
  4. 前記ビニル系単量体混合物(m3)100質量%中の芳香族ビニル単量体の割合が40〜60質量%、シアン化ビニル単量体の割合が10〜20質量%、マレイミド系単量体の割合が30〜40質量%であり、前記共重合体(C)の質量平均分子量(Mw)が7.0×10〜15.0×10である、請求項1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 熱可塑性樹脂組成物100質量%中の前記グラフト共重合体(A)の含有量が18〜20質量%、前記共重合体(B)の含有量が30〜50質量%、前記共重合体(C)の含有量が30〜50質量%であり、温度220℃、荷重10kgで測定したMVRが6.0〜14.0cm/10分である、請求項1ないし4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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