JP2019098896A - マスタシリンダ - Google Patents

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史景 山中
Fumihiro Yamanaka
史景 山中
佐々木 拓郎
Takuo Sasaki
拓郎 佐々木
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Abstract

【課題】本件出願人の知見に基づいて異音の発生を抑制することが可能なマスタシリンダを提供すること。【解決手段】シリンダ孔部24が形成されたシリンダ本体12と、シリンダ本体12の開口部20から挿入されるプッシュロッド16と、プッシュロッド16により押圧されて変位するピストン14とを備え、このピストン14は、開口部20側の端部に設けられてシリンダ孔部24の内壁と摺動する開口部側摺動部40を有し、プッシュロッド16には、開口部側摺動部40から開口部20側へ偏位した位置にオイルシール18が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、車両等のブレーキ装置やクラッチ装置に配置されるマスタシリンダに関する。
例えば、特許文献1には、ストッパプレート1の振動によって異音が発生するため、押さえ部5を設けたマスタシリンダが開示されている(本明細書に添付した図面の図6参照)。この押さえ部5は、シリンダ孔2の開口部3を覆うブーツ4に設けられている。
特許文献1によれば、プッシュロッド6の頭部6aとストッパプレート1とが離間した状態になったとき、ストッパプレート1への押し付け力が無くなり、ストッパプレート1が振動して異音が発生する、としている。
特開2008−290551号公報
ところで、本件出願人が異音の発生原因について鋭意研究した結果、異音は、シリンダ本体とピストンとの摺動部に対して水分・水が進入・発生(結露)することによって発生するスティック音(ギーギーという音)であることが判明した。
この点に関し、特許文献1に開示されたマスタシリンダの構造では、シリンダ本体7とピストン8との摺動部8aがシリンダ孔2の開口部3の側端部に位置し、このシリンダ孔2の開口部3の側端部からスティック音が車室内に伝達されることとなる。
また、特許文献1に開示されたマスタシリンダの構造では、プッシュロッド6の外周面と、このプッシュロッド6の外周面を囲繞するブーツ4の開口部4aとの間に間隙9が設けられている。この間隙9を通じてシリンダ本体7とピストン8との摺動部8aに水、水分が進入(発生)し、スティック音の漏れが発生するものと思われる。なお、図6において、シリンダ孔2とピストン8との摺動部8aには、シリンダ孔内に充填された作動油の流出を防止するためのオイルシール9aが装着されている。
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、本件出願人の知見に基づいて異音の発生を抑制することが可能なマスタシリンダを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、シリンダ孔部が形成されたシリンダ本体と、前記シリンダ本体の開口部から挿入されるプッシュロッドと、前記シリンダ孔部内に摺動自在に設けられ、前記プッシュロッドにより押圧されて変位するピストンとを備えたマスタシリンダにおいて、前記ピストンは、前記開口部側の端部に設けられて前記シリンダ孔部の内壁と摺動する摺動部を有し、少なくとも前記プッシュロッド又は前記ピストンのいずれか一方には、前記摺動部から前記開口部側へ偏位した位置にオイルシールが設けられていることを特徴とする。
本発明では、本件出願人の知見に基づいて異音の発生を抑制することが可能なマスタシリンダを得ることができる。
本発明の実施形態に係るマスタシリンダの軸方向に沿った概略構造断面図である。 図1の部分拡大断面図である。 押圧拡径部とオイルシールとの位置関係を示す拡大断面図である。 本発明の他の実施形態に係るマスタシリンダの軸方向に沿った概略構造断面図である。 図3の部分拡大断面図である。 特許文献1に開示されたマスタシリンダの構造を示す部分拡大断面図である。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るマスタシリンダの軸方向に沿った概略構造断面図、図2は、図1の部分拡大断面図である。
本実施形態に係るマスタシリンダ10は、例えば、車両の図示しないクラッチ装置や図示しないブレーキ装置等に適用することができる。図示しないクラッチ装置に対してマスタシリンダ10を適用した場合、踏み込み操作されるクラッチペダルによってマスタシリンダ10に対して踏力が伝達される。これにより、マスタシリンダ10は、クラッチペダルの踏力に対応する圧力(液圧)を発生させることができる。
また、図示しないブレーキ装置に対してマスタシリンダ10を適用した場合、踏み込み操作されるブレーキペダルによる踏力が負圧ブースタで倍力されてマスタシリンダ10に伝達される。これにより、マスタシリンダ10は、倍力された踏力に基づいて車輪を制動するブレーキ液圧を発生させることができる。
図1に示されるように、本実施形態に係るマスタシリンダ10は、シリンダ本体12と、ピストン14と、プッシュロッド16と、オイルシール18とを備えて構成されている。
シリンダ本体12は、軸方向に沿った一端に開口部20を有し、軸方向に沿った他端が底壁部22で閉塞された有底円筒体によって構成されている。シリンダ本体12は、開口部20から閉塞された底壁部22まで軸方向に沿って延在するシリンダ孔部24を有する。このシリンダ孔部24の内部には、単一のピストン14がシリンダ本体12の軸方向に沿って変位自在に収装されている。
なお、本実施形態に係るマスタシリンダ10を周知の構造を有するタンデム型のブレーキ装置に適用した場合には、軸方向に沿った一側に収装された図示しないプライマリピストンと、軸方向に沿った他側に収装された図示しないセカンダリピストンとからなる2つのピストンが摺動自在に収納されている。
シリンダ孔部24の内部には、ピストン14の変位方向に沿った先端面によって圧力室26が形成されている。この圧力室26には、作動油28(図2の網点参照)が充填されるようになっている。
図1に戻り、また、圧力室26の内部には、ピストン14をシリンダ本体12の開口部20側に向かって押し戻すばね部材30が配置されている。このばね部材30の一端部は、シリンダ本体12の他端を閉塞する底壁部22に係着されていると共に、他端部は、ピストン14の先端側に設けられた環状係合部32に係着されている。
さらに、シリンダ本体12には、圧力室26内に作動油28を供給するための作動油供給通路34が設けられている。この作動油供給通路34の一端部は、図示しないリザーバタンクに連通接続され、他端部は、圧力室26に連通接続されている。
さらに、シリンダ本体12には、圧力室26内で加圧された作動油28を導出する出力通路36が設けられている。この出力通路36は、例えば、図示しないクラッチ装置等に接続される。
ピストン14は、シリンダ孔部24内に摺動自在に設けられ、プッシュロッド16により押圧されてシリンダ孔部24の軸方向に沿って変位するように設けられている。ピストン14は、シリンダ孔部24の内壁に沿って摺動する摺動部を有する。
この摺動部は、ピストン14の先端側に設けられた先端側摺動部38と、開口部20側の端部に設けられた開口部側摺動部40とによって構成されている。先端側摺動部38は、ピストン14の中間部に設けられたロッド42から外径に向かって拡径した第1環状拡径部58aの外周面によって形成されている。また、開口部側摺動部40は、開口部20に近接するロッド42の端部から外径に向かって拡径した第2環状拡径部58bの外周面によって形成されている。なお、第2環状拡径部58bの外周面の軸方向寸法は、第1環状拡径部58aの外周面の軸方向寸法と比較して大きく設定されている。
第1環状拡径部58aと環状係合部32との間には、ピストンパッキン44が装着されている。このピストンパッキン44は、外径側のリップが撓むことにより、開口部20側の圧力室26内の作動油28が底壁部22側の圧力室26内へ流通させることができる。
ピストン14の開口部側摺動部40の端面には、プッシュロッド16の先端部が当接する窪み部46が形成されている。この窪み部46は、軸直断面が略円弧状を呈しロッド42側に向かって窪む凹部によって形成されている。
プッシュロッド16の先端部は、シリンダ本体12の開口部20から挿入され、シリンダ本体12の軸方向に沿って進退可能に設けられている。プッシュロッド16は、例えば、図示しないクラッチ装置の操作側に設けられた伝達ロッド48が接続され、図示しないクラッチペダルに連結されている。これにより、プッシュロッド16は、図示しないクラッチペダルを踏み込み操作したとき、図1中の左側に移動してピストン14をシリンダ本体12の底壁部22側に向かって押圧する。
プッシュロッド16は、押圧拡径部50と、中間拡径部52と、ロッド部54とを有する。押圧拡径部50は、後記する部分球面56を有する略球体からなり、ピストン14側の端部に設けられてピストン14を押圧する。中間拡径部52は、プッシュロッド16の軸方向に沿った中間位置で外径方向に向かって突出している。ロッド部54は、中間拡径部52と伝達ロッド48との間に設けられている。
押圧拡径部50の先端部は、部分球面56を有し、ピストン14の開口部側摺動部40の端面に形成された窪み部46と接触するように設けられている。窪み部46の曲率半径は、部分球面56の曲率半径よりも大きく設定されている。これにより、プッシュロッド16の押圧拡径部50は、軸線Xから多少偏心した場合であっても、ピストン14を軸線方向に沿って押圧可能に設けられている。
図3は、押圧拡径部とオイルシールとの位置関係を示す拡大断面図である。なお、角度θは、プッシュロッド16の軸線Xに対するプッシュロッド16の揺動角を示している。
図3において、仮想円Cは、押圧拡径部50の部分球面56に沿って形成されている。この仮想円Cの中心Oは、環状のオイルシール18の中心Oと一致している。すなわち、オイルシール18は、部分球面56を有する略球体の押圧拡径部50の中心位置に配置されている。
図2に示されるように、プッシュロッド16には、開口部側摺動部40から開口部20側へ偏位した位置にオイルシール18が設けられている。このオイルシール18は、環状体からなり、軸直方向の断面が略V字状に形成されている。オイルシール18は、プッシュロッド16の押圧拡径部50と中間拡径部52との間に挟持されている。換言すると、オイルシール18は、ピストン14の開口部側摺動部40から開口部20側にオフセットしたシリンダ孔部24内の位置で、プッシュロッド16に装着されている。オイルシール18の外径リップ部60は、シリンダ孔部24の内壁に摺接して作動油28が外部に流出することを阻止するシール機能を有する。
シリンダ本体12の開口部20には、環状段部62が形成されている。この環状段部62には、中間拡径部52よりも開口部20側に位置するストッパプレート64がリング状の係止部材66を介して係止されている。このストッパプレート64は、円板形状を呈している。ストッパプレート64の中心には、プッシュロッド16のロッド部54が挿通可能な円形状の貫通孔68が形成されている。この貫通孔68の直径は、プッシュロッド16のロッド部54よりも大径で、且つ、中間拡径部52の最大外径よりも縮径して形成されている。これにより、プッシュロッド16の中間拡径部52の外径部は、ストッパプレート64の貫通孔68の周辺部と当接可能に設けられている。
本実施形態に係るマスタシリンダ10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
本件出願人の知見によれば、異音は、シリンダ本体12とピストン14との摺動部に対して水分・水が進入・発生(結露)することによって発生するスティック音(ギーギーという音)であることが判明した。
図1及び図2に示されるように、本実施形態では、前記の知見に基づいて、プッシュロッド16の先端部側で、開口部側摺動部40から開口部20側へ偏位した位置にオイルシール18を設けている。これにより、本実施形態では、オイルシール18によって外部から摺動部(主として、開口部側摺動部40)への水・水分の進入・発生を抑制することができる。この結果、本実施形態では、シリンダ孔部24の内壁とピストン14の開口部側摺動部40とが摺接して発生するスティック音をオイルシール18によって好適に抑制することができる。
また、本実施形態では、従来からピストン14に装着されているオイルシール18を用いることが可能であるため、部品点数の増加や組立工数の増加を抑制して、製造コストを従来と同様に維持することができる。
さらに、本実施形態では、オイルシール18をプッシュロッド16の押圧拡径部50と中間拡径部52との間で挟持している。これにより、本実施形態では、ピストン14を押圧する押圧拡径部50よりも軸線X方向に沿った開口部20側(車内側)にオイルシール18を配置することができる。これにより、本実施形態では、オイルシール18が配置されたシリンダ孔部24の位置まで作動油28を充たすことができる(図2参照)。この結果、本実施形態では、作動油28をプッシュロッド16とピストン14との接触部分(押圧拡径部50及び窪み部46)まで行き渡ることができ、この接触部分における異音・摩耗・水分進入を好適に抑制することができる。
さらにまた、本実施形態では、オイルシール18をプッシュロッド16の押圧拡径部50と中間拡径部52との間で挟持しているため、従来のプッシュロッドに対して中間拡径部52を設けることで容易に製造することができる。
さらにまた、本実施形態では、プッシュロッド16の中間拡径部52がストッパプレート64に当接することで、プッシュロッド16の変位範囲(後退方向の変位範囲)が確定されている。これにより、本実施形態では、ストッパプレート64がオイルシール18と干渉(接触)することを好適に回避することができる。
図3に示されるように、押圧拡径部50は、部分球面56を有する略球体からなり、オイルシール18は、部分球面56を有する押圧拡径部50(略球体)の中心位置に配置されている。これにより、本実施形態では、例えば、プッシュロッド16が揺動角θ(図3参照)だけ揺動した場合であっても、オイルシール18の上下方向の位置ずれを抑制して、シール性能を好適に保持することができる。
次に、本発明の他の実施形態に係るマスタシリンダ10aについて説明する。
図4は、本発明の他の実施形態に係るマスタシリンダの軸方向に沿った概略構造断面図、図5は、図4の部分拡大断面図である。
図1〜図3に示される前記実施形態に係るマスタシリンダ10では、プッシュロッド16にオイルシール18を装着しているが、図4及び図5に示される他の実施形態に係るマスタシリンダ10aでは、ピストン70にオイルシール18を装着している点で相違している。
すなわち、図5に示されるように、他の実施形態に係るマスタシリンダ10aは、シリンダ本体12の開口部20に近接するピストン70の端部側で、開口部側摺動部40から開口部20側へ偏位した位置にオイルシール18を設けている。
これにより、他の実施形態では、オイルシール18によって外部から摺動部(主として、開口部側摺動部40)への水・水分の進入・発生を抑制することができる。この結果、他の実施形態では、シリンダ孔部24の内壁とピストン70の開口部側摺動部40とが摺接して発生するスティック音をオイルシール18によって好適に抑制することができる。
なお、その他の構成乃至作用効果は、前記実施形態と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
10、10a マスタシリンダ
12 シリンダ本体
14、70 ピストン
16 プッシュロッド
18 オイルシール
20 開口部
24 シリンダ孔部
40 開口部側摺動部(摺動部)
50 押圧拡径部
52 中間拡径部
56 部分球面
64 ストッパプレート
C 仮想円
O 中心

Claims (4)

  1. シリンダ孔部が形成されたシリンダ本体と、前記シリンダ本体の開口部から挿入されるプッシュロッドと、前記シリンダ孔部内に摺動自在に設けられ、前記プッシュロッドにより押圧されて変位するピストンとを備えたマスタシリンダにおいて、
    前記ピストンは、前記開口部側の端部に設けられて前記シリンダ孔部の内壁と摺動する摺動部を有し、
    少なくとも前記プッシュロッド又は前記ピストンのいずれか一方には、前記摺動部から前記開口部側へ偏位した位置にオイルシールが設けられていることを特徴とするマスタシリンダ。
  2. 請求項1記載のマスタシリンダにおいて、
    前記プッシュロッドは、前記ピストン側の端部に設けられて前記ピストンを押圧する押圧拡径部と、前記プッシュロッドの軸方向に沿った中間位置で外径方向に向かって突出する中間拡径部とを有し、
    前記オイルシールは、前記押圧拡径部と前記中間拡径部との間に挟持されていることを特徴とするマスタシリンダ。
  3. 請求項2記載のマスタシリンダにおいて、
    前記シリンダ孔部の内壁には、前記中間拡径部よりも前記開口部側に位置するストッパプレートが設けられ、
    前記中間拡径部は、前記ストッパプレートと当接可能に設けられていることを特徴とするマスタシリンダ。
  4. 請求項2記載のマスタシリンダにおいて、
    前記押圧拡径部は、部分球面を有する略球体からなり、
    前記オイルシールは、前記部分球面を有する前記略球体の中心位置に配置されていることを特徴とするマスタシリンダ。
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